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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108598
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/12 20060101AFI20240805BHJP
【FI】
H05K7/12 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023013038
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】石井 寛明
(72)【発明者】
【氏名】小川 伊彦
【テーマコード(参考)】
4E353
【Fターム(参考)】
4E353AA21
4E353BB06
4E353CC05
4E353CC13
4E353DD02
4E353DD08
4E353DR04
4E353DR05
4E353DR12
4E353DR23
4E353DR29
4E353DR32
4E353DR45
4E353DR57
4E353GG29
(57)【要約】
【課題】レール部材への取付状態を保持する保持部材を挟持するために設けられたリブの破損の可能性を低くできる電子機器を提供する。
【解決手段】電子機器は、第1溝及び第2溝を有する外壁を備える。第1溝は、第1方向に延びてレール部材と係合する。第2溝は、第1溝から分岐して第2方向に延びる。第2溝は、レール部材を筐体との間に挟んでレール部材の第1溝との係合を保持する保持部材を装着可能である。外壁は、第1方向及び第2方向に拡がる基壁と、基壁から第1溝及び第2溝の凹み方向に延びて第1溝の側面を含む第1側壁と、第1溝の底面を含む第1底壁と、基壁から凹み方向に延びて第2溝の側面を含む第2側壁と、第2溝の底面を含む第2底壁とを備える。電子機器は、第2側壁から突出して第2底壁との間に保持部材を挟持可能なリブを更に備える。第2溝の幅方向から見て、リブは第1側壁から第2方向に離れた位置にある。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レール部材に取り付け可能な電子機器であって、
外壁を有する筐体と、
前記外壁に設けられ、第1方向に延び、前記レール部材と係合する第1溝と、
前記外壁に設けられ、前記第1溝から分岐して前記第1方向と直交または略直交する第2方向に延び、前記第1溝に係合された前記レール部材を前記筐体との間に挟むことによって前記レール部材を前記第1溝と係合した状態に保持する保持部材を装着可能な第2溝と、を備え、
前記外壁は、
前記第1方向及び前記第2方向に拡がる基壁と、
前記基壁から前記第1溝及び前記第2溝の凹み方向に延び、前記第1溝の側面を含む第1側壁と、
前記第1側壁と繋がっており、前記第1溝の底面を含む第1底壁と、
前記基壁から前記凹み方向に延び、前記第1側壁と繋がっており、前記第2溝の側面を含む第2側壁と、
前記第2側壁と繋がっており、前記第2溝の底面を含む第2底壁と、を備え、
前記第2側壁から突出して前記第2溝に沿って延び、前記第2底壁と前記凹み方向に対向して前記第2底壁との間に前記保持部材を挟持可能なリブを更に備え、
前記第1方向と平行な前記第2溝の幅方向から見て、前記リブは、前記第1側壁から前記第2方向に離れた位置にある電子機器。
【請求項2】
前記リブの前記第1底壁側の端面の前記第2側壁との境界部に、前記端面と前記第2側壁とを円弧状に接続する湾曲面が形成されている請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記リブと前記第1側壁との前記第2方向の距離は、前記第1側壁の厚みより長い請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記リブと前記第1側壁との前記第2方向の距離は、前記基壁の厚みより長い請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項5】
前記リブと前記第1側壁との前記第2方向の距離は、前記リブの厚みより長い請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項6】
前記リブと前記第1側壁との前記第2方向の距離は、前記第1側壁の厚みの1.25倍以上である請求項1または2に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レール部材に取り付け可能な電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
レール部材に取り付け可能な電子機器の一例が、特許文献1に開示されている。特許文献1に開示された電力計測装置(電子機器)は、分電盤等に設けられているDINレール(レール部材)に取り付けて用いることができる。取り付けの際には、電子機器の背面に設けられたレール溝とレール部材とが係合され、係止部材が上方向にスライドされる。これにより、電子機器をレール部材に係止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-12939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された電子機器では、電子機器がレール部材に係止されているとき、係止部材は、レール溝を区画する側面から突出して当該側面に沿って延びたリブとレール溝の底面との間に挟まれている。この場合、以下の問題が生じるおそれがある。
【0005】
レール部材は分電盤等に固定されている。一方、電子機器はレール部材によってレール部材に取り付けられた状態に保持されているがレール部材に固定されていない。そのため、外部から電子機器に衝撃等の外力が作用すると、電子機器はレール部材に対して振動する。このとき、振動する電子機器のリブは、係止部材から力を受ける。ここで、リブが肉厚の大きな壁から突出していると、リブが係止部材から力を受けて動こうとするときに当該肉厚の大きな壁は殆ど動かない。その結果、リブが当該肉厚の大きな壁に対して相対的に動くこととなるため、リブの破損の可能性が高まってしまう。リブの長手方向のレール部材側の端部は、力を受けたときに曲がりやすいため、リブの他部分より破損の可能性が高い。
【0006】
従って、本開示の目的は、前記課題を解決することにあって、レール部材に取り付けられた状態を保持するための保持部材を挟持するために筐体に設けられたリブの破損の可能性を低くすることができる電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る電子機器は、
レール部材に取り付け可能な電子機器であって、
外壁を有する筐体と、
前記外壁に設けられ、第1方向に延び、前記レール部材と係合する第1溝と、
前記外壁に設けられ、前記第1溝から分岐して前記第1方向と直交または略直交する第2方向に延び、前記第1溝に係合された前記レール部材を前記筐体との間に挟むことによって前記レール部材を前記第1溝と係合した状態に保持する保持部材を装着可能な第2溝と、を備え、
前記外壁は、
前記第1方向及び前記第2方向に拡がる基壁と、
前記基壁から前記第1溝及び前記第2溝の凹み方向に延び、前記第1溝の側面を含む第1側壁と、
前記第1側壁と繋がっており、前記第1溝の底面を含む第1底壁と、
前記基壁から前記凹み方向に延び、前記第1側壁と繋がっており、前記第2溝の側面を含む第2側壁と、
前記第2側壁と繋がっており、前記第2溝の底面を含む第2底壁と、を備え、
前記第2側壁から突出して前記第2溝に沿って延び、前記第2底壁と前記凹み方向に対向して前記第2底壁との間に前記保持部材を挟持可能なリブを更に備え、
前記第1方向と平行な前記第2溝の幅方向から見て、前記リブは、前記第1側壁から前記第2方向に離れた位置にある。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、レール部材に取り付けられた状態を保持するための保持部材を挟持するために筐体に設けられたリブの破損の可能性を低くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る電子機器がDINレールに取り付けられている状態の斜視図を例示する。
図2図2は、実施形態に係る電子機器を後方から見た斜視図を例示する。
図3図3は、後部筐体を後方から見た斜視図を例示する。
図4図4は、図3の破線部の拡大図を例示する。
図5図5は、後部筐体の背面図を例示する。
図6図6は、図5のA-A線に沿った電子機器の断面図を例示する。
図7図7は、図5のB-B線に沿った電子機器の断面図を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の一例が添付図面に従って説明される。
【0011】
なお、添付図面の各図において、X-Y-Z直交座標系が示されている。また、以下の説明では、必要に応じて特定の方向あるいは位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「右」、「左」、「前」、「後」を含む用語)が用いられる。以下の説明では、説明の便宜上、X-Y-Z直交座標系において、X方向とY方向とZ方向とは互いに直交しており、X方向が電子機器10の前後方向(奥行き方向)とされ、Y方向が電子機器10の幅方向とされ、Z方向が電子機器10の高さ方向とされる。詳細には、各図のX方向の矢印の方向が前方向、X方向の矢印と逆方向が後方向、Y方向の矢印の方向が右方向、Y方向の矢印と逆方向が左方向、Z方向の矢印の方向が上方向、Z方向の矢印と逆方向が下方向とされる。しかし、これらX-Y-Z直交座標系や特定の方向あるいは位置を示す用語の使用は、図面を参照した本開示の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本開示の技術的範囲が限定されるものではない。
【0012】
また、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、その適用物、あるいは、その用途を制限することを意図するものではない。さらに、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは必ずしも合致していない。
【0013】
図1は、実施形態に係る電子機器がDINレールに取り付けられている状態の斜視図を例示する。
【0014】
図1に示す電子機器10は、本実施形態ではモータ状態監視機器である。なお、電子機器10は、モータ状態監視機器に限らない。例えば、電子機器10は、電源装置、温度調節装置、センサユニット、通信ユニット等であってもよい。
【0015】
電子機器10は、制御盤等の外部機器に取り付けられる。本実施形態において、電子機器10は、図1に示すように、外部機器の一部であるレール状の部材、例えばDINレール91に取り付けられる。DINレール91は、レール部材の一例である。
【0016】
DINレール91は、ドイツ工業規格(DIN)に従って製造されている。DINレール91の断面は、概ねU字形状である。DINレール91のU字形状の両端部には、一対のフランジ部911が形成されている。
【0017】
図2は、実施形態に係る電子機器を後方から見た斜視図を例示する。
【0018】
図1及び図2に示すように、電子機器10は、後部筐体20と、端子台30と、前部筐体40とを備える。
【0019】
後部筐体20は、本実施形態において前側が開放された箱形状である。後部筐体20は、筐体の一例である。後部筐体20の内部に配置された端子台30が、後部筐体20の開放された前側に露出している。後部筐体20の開放された前側において端子台30が露出している部分を除く部分は、前部筐体40によって塞がれている。
【0020】
後部筐体20は、後壁21と、上壁22と、下壁23と、右壁24と、左壁25とを備える。後壁21は、外壁の一例である。上壁22は、後壁21の上端部から前方へ延びている。下壁23は、後壁21の下端部から前方へ延びている。右壁24は、後壁21の右端部から前方へ延びている。左壁25は、後壁21の左端部から前方へ延びている。
【0021】
左壁25は、支持面(不図示)を有する。左壁25の支持面は、後部筐体20の内部に位置している。左壁25の支持面は、端子台30を支持する。右壁24は、左壁25と同様に構成された支持面(不図示)を有する。右壁24の支持面は、左壁25の支持面と同様に、端子台30を支持する。
【0022】
図3は、後部筐体を後方から見た斜視図を例示する。
【0023】
図2及び図3に示すように、後部筐体20の後壁21の外面(後方を向く面)には、第1溝71と第2溝72とが設けられている。
【0024】
第1溝71は、Y方向(電子機器10の幅方向)に延びている。第1溝71は、電子機器10の右端から左端に亘って設けられている。第1溝71は、Z方向(電子機器10の高さ方向)に対向する一対の側面71Aと、一対の側面71Aの各々と繋がった底面71Bとによって区画されている。
【0025】
第2溝72は、第1溝71の下端から分岐してZ方向に延びている。第2溝72は、第1溝71から電子機器10の下端に亘って設けられている。なお、第2溝72は、第1溝71の上端から分岐していてもよい。この場合、第2溝72は、第1溝71から電子機器10の上端に亘って設けられる。また、第2溝72は、Z方向に対して傾斜した方向に延びていてもよい。つまり、第2溝72は、Y方向と直交方向(Z方向)またはY方向と略直交する方向(Z方向に対して傾斜した方向)に延びていてもよい。例えば、第2溝72は、下方に向かうにしたがって幅広となるように延びていてもよい。言い換えると、第2溝72のY方向の長さは、Z方向の矢印と逆方向に向かうにしたがって長くなっていてもよい。この場合、第2溝72の下側におけるY方向の長さは、第2溝72の上側におけるY方向の長さより長い。第2溝72が下方に向かうにしたがって幅広となるように延びている構成の場合、後述する保持部材92の上下方向のスライドをスムーズに行うことができる。そのため、保持部材92を第2溝72の下端から上方へスライドさせることによる保持部材92の第2溝72への装着と、保持部材92を第2溝72の下端から下方へ引き抜く保持部材92の第2溝72からの脱抜をスムーズに行うことができる。もちろん、第2溝72は、全体として、第1溝71の下端から右斜め下に向かって延びていてもよいし、第1溝71の下端から左斜め下に向かって延びていてもよい。
【0026】
後壁21は、基壁211と、一対の第1側壁212、213と、第1底壁214と、一対の第2側壁215、216と、第2底壁217とを備える。
【0027】
基壁211は、Y方向及びZ方向に拡がっている。Y方向は第1方向の一例である。Z方向は第2方向の一例である。本実施形態において、基壁211は、後壁21のうち、第1溝71及び第2溝72を除く部分を構成している。
【0028】
一対の第1側壁212、213は、基壁211における第1溝71との境界部からX方向(第1溝71の凹み方向)に延びている。第1側壁212は、第1溝71の下端部からX方向に延びている。第1側壁213は、第1溝71の上端部からX方向に延びている。一対の第1側壁212、213は、Z方向に互いに対向している。第1側壁212は、第1溝71の下側の側面71Aを含む。第1側壁213は、第1溝71の上側の側面71Aを含む。
【0029】
第1底壁214は、第1側壁212、213の前端部と繋がっている。言い換えると、第1底壁214は、第1側壁212、213における第1溝71の底側の端部と繋がっている。第1底壁214の下端部は、第1側壁212と繋がっている。第1底壁214の上端部は、第1側壁213と繋がっている。第1底壁214は、第1溝71の底面71Bを含む。
【0030】
図3に示すように、一対の第2側壁215、216は、基壁211における第2溝72との境界部からX方向(第1溝71の凹み方向)に延びている。第2側壁215は、第2溝72の左端部からX方向に延びている。第2側壁216は、第2溝72の右端部からX方向に延びている。一対の第2側壁215、216の上端部は、第1側壁212と繋がっている。一対の第2側壁215、216は、Y方向に互いに対向している。第2側壁215は、第2溝72の左側の側面72Aを含む。第2側壁216は、第2溝72の右側の側面72Aを含む。
【0031】
第2底壁217は、第2側壁215、216の前端部と繋がっている。言い換えると、第2底壁217は、第2側壁215、216における第2溝72の底側の端部と繋がっている。第2底壁217の左端部は、第2側壁215と繋がっている。第2底壁217の右端部は、第2側壁216と繋がっている。第2底壁217は、第2溝72の底面72Bを含む。
【0032】
図1に示すように、第1溝71は、DINレール91と係合する。本実施形態において、第1溝71は、DINレール91と係合する係合部73を有する。本実施形態において、係合部73は、図2及び図3に示すように、一対の側面71Aのうちの上側の側面71Aから下方へ突出した突起である。係合部73は、第1溝71を区画する底面71BとX方向(第1溝71の凹み方向)に対向している。係合部73は、底面71Bとの間に一対のフランジ部911の一方を挟むことによって、DINレール91と係合する。
【0033】
図2に示すように、第2溝72には、保持部材92が装着可能である。第2溝72を区画する一対の側面72Aから一対のリブ80が突出している。各リブ80は、第2溝72に沿って延びている。図3に示すように、各リブ80は、第2溝72を区画する底面72BとX方向(第2溝72の凹み方向)に対向している。図2に示すように、各リブ80は、第2溝72を区画する底面72Bとの間に、保持部材92のY方向の両端部を挟む。これにより、保持部材92は、リブ80と第2溝72を区画する底面72Bとの間に挟持され、第2溝72に沿って移動可能である。なお、リブ80は、第2溝72を区画する一対の側面72Aの一方のみから突出していてもよい。また、リブ80が設けられる位置について、後に詳細に説明される。
【0034】
保持部材92が上方へ移動することによって、保持部材92の上端部921が第2溝72から第1溝71内へ突出する。保持部材92の上端部921と第1溝71の底面71Bとの間には、隙間が形成されている。保持部材92は、第1溝71に係合されたDINレール91の一対のフランジ部911の他方を、上端部921と底面71Bとの間に挟むことによって、DINレール91を第1溝71と係合した状態に保持する。なお、保持部材92は、公知の位置ロック機構93によって、図3に示す位置に保持されることが可能である。
【0035】
電子機器10は、以下の順序でDINレール91に取り付けられる。保持部材92が第2溝72に配置されていない状態または保持部材92が図2に示す位置より下方に位置する状態において、一対のフランジ部911の一方が係合部73と底面71Bとの間に挟まれる。次に、保持部材92が図2に示す位置に移動され、一対のフランジ部911の他方が保持部材92と底面71Bとの間に挟まれる。これにより、一対のフランジ部911の双方が電子機器10と保持部材92とに挟持され、電子機器10は、DINレール91に取り付けられる。
【0036】
電子機器10は、前述したDINレール91への取り付けとは逆の順序でDINレール91から取り外される。
【0037】
図1に示すように、電子機器10は、複数の端子台30を備える。各端子台30は、後部筐体20の内部に位置している。
【0038】
各端子台30は、上壁22の前方に位置しており、上方及び前方を向いている。各端子台30は、上壁22の前方において後部筐体20の外部に露出している。なお、図には示されていないが、本実施形態では、3個の端子台30が、下壁23の前方(下壁23と前部筐体40との間)に位置しており、下方及び前方を向いている。
【0039】
各端子台30は、端子301A、301Bと、仕切壁302とを備える。図1に示される12個の端子台30のうちの1個に、端子301A、301Bと仕切壁302との参照符号が示されており、他の端子台30においては当該参照符号が省略されている。仕切壁302は、端子301Aと端子301Bとの間に位置している。各端子301A、301Bは、後部筐体20の内部に位置するプリント基板(不図示)に実装された各種電子部品と電気的に接続されている。
【0040】
前部筐体40は、後部筐体20の前方に位置する。本実施形態において、前部筐体40は、嵌合等の公知の手段によって後部筐体20の右壁24及び左壁25に組付けられている。前部筐体40は、後部筐体20の開放された前側の少なくとも一部を塞いている。本実施形態において、前部筐体40は、後部筐体20の開放された前側のうち、上壁22の前方に位置している端子台30と下壁23の前方に位置している端子台30との間の部分を塞いでいる。本実施形態において、前部筐体40には、モータの状態等を示す表示部41と、各種パラメータの入力やチャンネル切替等のための操作部42とが、搭載されている。
【0041】
以下、リブ80が設けられる位置が説明される。なお、以下では、一対のリブ80のうち第2側壁215から突出しているリブ80について説明されるが、本実施形態では、一対のリブ80のうち第2側壁216から突出しているリブ80についても第2側壁215から突出しているリブ80と同様に構成されている。
【0042】
図4は、図3の破線部の拡大図を例示する。図5は、後部筐体の背面図を例示する。図6は、図5のA-A線に沿った電子機器の断面図を例示する。図7は、図5のB-B線に沿った電子機器の断面図を例示する。
【0043】
図3及び図4に示すように、リブ80は、第1側壁212に含まれる第1溝71の側面71Aより下方に位置する。また、図6に示すように、リブ80は、第1側壁212より下方に位置する。図6において、第1側壁212の下端は破線で示されているが、図7において、第1側壁212の下端は実線で示されている。図7に示される第1側壁212の下端は、図6に破線で示される第1側壁212の下端と同じ高さである。以上より、リブ80は、第1側壁212に対して下方に外れた位置にある。言い換えると、Y方向と平行な第2溝72の幅方向から見て、リブ80は、第1側壁212からZ方向(上下方向)に離れた位置にある。
【0044】
前述したように、リブ80は、第1側壁212より下方に位置する(図6参照)。つまり、図4に示すリブ80の上端面80Aは、第1側壁212より下方に位置する。リブ80の上端面80Aは、リブ80の第1底壁214側の端面である。図4に示すように、リブ80の上端面80Aは、平面80Aaと湾曲面80Abとを有する。平面80Aaは、X方向及びY方向に拡がっている。湾曲面80Abは、リブ80の第2溝72の側面72Aからの突出の基端部に位置している。湾曲面80Abは、上端面80Aのうちの側面72Aとの境界部に位置している。つまり、湾曲面80Abは、上端面80Aのうちの第2側壁215、216との境界部に位置している。湾曲面80Abは、上端面80A(詳細には上端面80Aの平面80Aa)と側面72Aとを円弧状に接続している。
【0045】
本実施形態において、リブ80と第1側壁212とのZ方向の距離Dは、第1側壁212の厚みTh2の1.25倍以上である。図6に示すように、距離Dは、リブの上端面80Aと第1側壁212の下端面とのZ方向の間隔である。例えば、第1側壁212の厚みTh2が2mmの場合、距離Dは2.5mm以上である。なお、本実施形態において、距離Dは、湾曲面80Abの上端面80Aのうち平面80Aaと第1側壁212の下端面とのZ方向の間隔である。しかし、距離Dは、湾曲面80Abの上端面80Aのうち湾曲面80Abと第1側壁212の下端面とのZ方向の間隔であってもよい。
【0046】
本実施形態では、図6に示すように、距離Dは、リブ80の厚みTh1より長い。リブ80の厚みTh1は、リブ80のX方向の長さである。
【0047】
本実施形態では、図6に示す距離Dは、図7に示す第1側壁212の厚みTh2より長い。第1側壁212の厚みTh2は、第1側壁212のZ方向の長さである。
【0048】
本実施形態では、図6に示す距離Dは、図7に示す基壁211の厚みTh3より長い。基壁211の厚みTh3は、基壁211のX方向の長さである。
【0049】
距離Dが短くなる程、リブ80はZ方向に長くなる。本実施形態では、距離Dの下限は、2.5mm、リブ80の厚みTh1、第1側壁212の厚みTh2、または基壁211の厚みTh3に設定されている。距離Dの下限が設定されることによって、リブ80のZ方向の長さの上限が設定可能である。
【0050】
一方、距離Dが長くなる程、リブ80はZ方向に短くなる。リブ80が短くなるにしたがって、リブ80と第2溝72の底面72Bとの間に挟まれた保持部材92の安定性が低下する。例えば、リブ80が短すぎることによって、第2溝72に装着された保持部材92がZ方向に対して傾くおそれがある。保持部材92の傾きが大きくなる程、電子機器10の安定性も低下する。そこで、本実施形態では、距離Dの上限値は、第2溝72に装着された保持部材92のZ方向に対する傾きが許容範囲内となるように設定されている。例えば、当該許容範囲は、保持部材92によってDINレール91に取り付けられた状態に保持された電子機器10のDINレール91に対する振動(がたつき)が当該電子機器10の正常な動作を損なわない程度に抑えられる範囲である。また、例えば、当該許容範囲は、第2溝72に装着された保持部材92のZ方向に対する傾きが保持部材92の幾何公差によって生じる傾き以下に維持されるような範囲である。
【0051】
本実施形態によれば、第1側壁212は基壁211からX方向(凹み方向)に延びている。そのため、後壁21において、基壁211のうち第1側壁212が設けられている部分は、基壁211のうち第1側壁212が設けられていない部分よりも、全体として厚く構成されている。ここで、本実施形態によれば、Y方向から見て、リブ80は、第1側壁212からZ方向に離れた位置にある。つまり、Y方向から見て、リブ80は、基壁211のうち第1側壁212が設けられている部分(後壁21の厚い部分)ではなく、基壁211のうち第1側壁212が設けられていない部分(後壁21の薄い部分)と重なっている。そのため、第1溝71においてDINレール91と係合した電子機器10が振動したときに第2溝72に装着された保持部材92からリブ80へ力が作用してリブ80が動こうとした場合、基壁211がリブ80に追従して動きやすい。これにより、リブ80に作用する力を緩和することができるため、リブ80が破損する可能性を低くすることができる。
【0052】
保持部材92からリブ80へ力が作用してリブ80が動いた場合、リブ80の上端面80Aの第2側壁215、216との境界部は、リブ80の他部分と比較して破損し易い。本実施形態によれば、境界部に湾曲面80Abが形成されているため、境界部に作用する力を点や線ではなく面で受けることができる。その結果、境界部に作用する力を分散することができる。そのため、境界部に湾曲面80Abが形成されていない構成よりも、境界部の破損の可能性を低くすることができる。
【0053】
仮に、Y方向から見て、リブ80が第1側壁212の近傍に位置する場合、リブ80の動きに追従する基壁211の動きは第1側壁212によって阻害されやすくなる。基壁211の動きが阻害されることにより、リブ80が基壁211に対して相対的に動く可能性が高くなるため、リブ80の破損の可能性が高くなる。
【0054】
本実施形態によれば、リブ80と第1側壁212とのZ方向の距離Dは、第1側壁212の厚みTh2より長い。つまり、距離Dが厚みTh2以下である構成よりも、リブ80は、基壁211のうち第1側壁212が設けられている部分(後壁21の厚い部分)から離れている。そのため、距離Dが厚みTh2以下である構成よりも、リブ80の動きに追従する基壁211の動きの第1側壁212による阻害を低減することができる。その結果、リブ80の破損の可能性を低くすることができる。
【0055】
また、本実施形態によれば、リブ80と第1側壁212とのZ方向の距離Dは、基壁211の厚みTh3より長い。つまり、距離Dが厚みTh3以下である構成よりも、リブ80は、基壁211のうち第1側壁212が設けられている部分(後壁21の厚い部分)から離れている。そのため、距離Dが厚みTh3以下である構成よりも、リブ80の動きに追従する基壁211の動きの第1側壁212による阻害を低減することができる。その結果、リブ80の破損の可能性を低くすることができる。
【0056】
また、本実施形態によれば、リブ80と第1側壁212とのZ方向の距離Dは、リブ80の厚みTh1より長い。つまり、距離Dが厚みTh1以下である構成よりも、リブ80は、基壁211のうち第1側壁212が設けられている部分(後壁21の厚い部分)から離れている。そのため、距離Dが厚みTh1以下である構成よりも、リブ80の動きに追従する基壁211の動きの第1側壁212による阻害を低減することができる。その結果、リブ80の破損の可能性を低くすることができる。
【0057】
また、本実施形態によれば、リブ80と第1側壁212とのZ方向の距離Dは、第1側壁212の厚みTh2の1.25倍以上である。そのため、厚みTh2が1.25倍未満の構成に比べて、リブ80の動きに追従する基壁211の動きの第1側壁212による阻害を低減することができる。その結果、リブ80の破損の可能性を低くすることができる。
【0058】
前述した説明は、以下のようにも表現することができる。
【0059】
(1) 本開示の一態様に係る電子機器10は、
レール部材(DINレール91)に取り付け可能な電子機器10であって、
外壁(後壁21)を有する筐体(後部筐体20)と、
前記外壁(後壁21)に設けられ、第1方向に延び、前記レール部材(DINレール91)と係合する第1溝71と、
前記外壁(後壁21)に設けられ、前記第1溝71から分岐して前記第1方向と直交または略直交する第2方向に延び、前記第1溝71に係合された前記レール部材(DINレール91)を前記筐体(後部筐体20)との間に挟むことによって前記レール部材(DINレール91)を前記第1溝71と係合した状態に保持する保持部材92を装着可能な第2溝72と、を備え、
前記外壁(後壁21)は、
前記第1方向及び前記第2方向に拡がる基壁211と、
前記基壁211から前記第1溝71及び前記第2溝72の凹み方向に延び、前記第1溝71の側面71Aを含む第1側壁212と、
前記第1側壁212と繋がっており、前記第1溝71の底面71Bを含む第1底壁214と、
前記基壁211から前記凹み方向に延び、前記第1側壁212と繋がっており、前記第2溝72の側面72Aを含む第2側壁215と、
前記第2側壁215と繋がっており、前記第2溝72の底面72Bを含む第2底壁217と、を備え、
前記第2側壁215から突出して前記第2溝72に沿って延び、前記第2底壁217と前記凹み方向に対向して前記第2底壁217との間に前記保持部材92を挟持可能なリブ80を更に備え、
前記第1方向と平行な前記第2溝72の幅方向から見て、前記リブ80は、前記第1側壁212から前記第2方向に離れた位置にある。
【0060】
(2) (1)の電子機器10では、
前記リブ80の前記第1底壁214側の端面(上端面80A)の前記第2側壁215との境界部に、前記端面(上端面80A)と前記第2側壁215とを円弧状に接続する湾曲面80Abが形成されていてもよい。
【0061】
(3) (1)または(2)の電子機器10では、
前記リブ80と前記第1側壁212との前記第2方向の距離Dは、前記第1側壁212の厚みTh2より長くてもよい。
【0062】
(4) (1)から(3)のいずれか1つの電子機器10では、
前記リブ80と前記第1側壁212との前記第2方向の距離Dは、前記基壁211の厚みTh3より長くてもよい。
【0063】
(5) (1)から(4)のいずれか1つの電子機器10では、
前記リブ80と前記第1側壁212との前記第2方向の距離Dは、前記リブ80の厚みTh1より長くてもよい。
【0064】
(6) (1)から(5)のいずれか1つの電子機器10では、
前記リブ80と前記第1側壁212との前記第2方向の距離Dは、前記第1側壁の厚みの1.25倍以上であってもよい。
【0065】
なお、前記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
【0066】
本開示は、適宜図面を参照しながら好ましい実施の形態に関連して充分に記載されているが、この技術に熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
【符号の説明】
【0067】
10 電子機器
20 後部筐体(筐体)
21 後壁(外壁)
211 基壁
212 第1側壁
213 第1側壁
214 第1底壁
215 第2側壁
216 第2側壁
217 第2底壁
71 第1溝
71A 側面
71B 底面
72 第2溝
72A 側面
72B 底面
80 リブ
80A 上端面(端面)
80Ab 湾曲面
91 DINレール(レール部材)
92 保持部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7