(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108600
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】電子回路
(51)【国際特許分類】
G06F 7/58 20060101AFI20240805BHJP
【FI】
G06F7/58 680
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023013040
(22)【出願日】2023-01-31
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和3年度国立研究開発法人情報通信研究機構「革新的情報通信技術研究開発委託研究/研究開発課題名:継続的進化を可能とするB5G IoT SoC及びIoTソリューション構築プラットホームの研究開発」、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】319006047
【氏名又は名称】シャープセミコンダクターイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】重政 晴彦
(57)【要約】
【課題】チャレンジデータに対して高いエントロピーを有するレスポンスデータを生成することができる電子回路を提供する。
【解決手段】電子回路は、第1の電圧立ち上がり時間を有する第1の出力を生成する第1の回路と、チャレンジデータに含まれるデータに応じて、前記第1の出力を、前記第1の電圧立ち上がり時間と異なる第2の電圧立ち上がり時間を有する第2の出力に変化させる第2の回路と、初期値が不定であり、出力値が前記第2の電圧立ち上がり時間に応じて変化する第3の回路と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電圧立ち上がり時間を有する第1の出力を生成する第1の回路と、
チャレンジデータに含まれるデータに応じて、前記第1の出力を、前記第1の電圧立ち上がり時間と異なる第2の電圧立ち上がり時間を有する第2の出力に変化させる第2の回路と、
初期値が不定であり、出力値が前記第2の電圧立ち上がり時間に応じて変化する第3の回路と、
を備える電子回路。
【請求項2】
前記第1の回路は、前記チャレンジデータに含まれる第1のデータに応じて前記第1の出力の立ち上がり後電圧を変化させ、
前記データは、第2のデータであり、
前記出力値は、前記第2の出力の立ち上がり後電圧に応じて変化する
請求項1に記載の電子回路。
【請求項3】
前記第2の回路は、前記データに応じて変化する少なくともひとつのインピーダンス値を有し前記第1の出力を前記第2の出力に変化させる少なくともひとつのインピーダンス素子を備える
請求項1に記載の電子回路。
【請求項4】
前記少なくともひとつのインピーダンス値は、前記データを構成する第1の構成データに応じて変化するリアクタンス値を含み、
前記少なくともひとつのインピーダンス素子は、前記リアクタンス値を有するリアクタンス素子を含む
請求項3に記載の電子回路。
【請求項5】
前記リアクタンス値は、容量性リアクタンス値であり、
前記リアクタンス素子は、容量性リアクタンス素子である
請求項4に記載の電子回路。
【請求項6】
前記少なくともひとつのインピーダンス値は、前記データを構成する第2の構成データに応じて変化するレジスタンス値を含み、
前記少なくともひとつのインピーダンス素子は、前記レジスタンス値を有するレジスタンス素子を含む
請求項4又は5に記載の電子回路。
【請求項7】
前記リアクタンス値は、容量性リアクタンス値であり、
前記リアクタンス素子は、容量性リアクタンス素子であり、
前記第2の回路は、前記レジスタンス素子及び前記容量性リアクタンス素子を備える積分回路を備える
請求項6に記載の電子回路。
【請求項8】
前記第3の回路は、RSラッチ、D型フリップフロップ及びランダムアクセスメモリセルからなる群より選択される少なくとも1種を備える
請求項1から5までのいずれかに記載の電子回路。
【請求項9】
前記第1の回路及び前記第2の回路に前記第1のデータ及び前記第2のデータをそれぞれ入力した後に、前記第1の回路にイネーブル信号を入力するコントローラを備え、
前記第1の回路は、前記イネーブル信号が入力されるのに同期して前記第1の出力を生成することを開始する
請求項2に記載の電子回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子回路に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ラッチPUFを開示する。当該ラッチPUFには、RSラッチ回路が搭載される。当該ラッチPUFにおいては、RSラッチ回路の入力端子に入力されるクロック信号の周波数が変動させられることにより、乱数を出力するRSラッチ回路又は定数を出力するRSラッチ回路の比率が変化させられる。これにより、ラッチPUFにより生成される固体別情報の品質を向上させることができる(段落0033及び0034)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたラッチPUFにおいては、生成される固体別情報のエントロピーが依然として十分でない。
【0005】
本開示は、この問題に鑑みてなされた。本開示の一態様は、例えば、チャレンジデータに対して高いエントロピーを有するレスポンスデータを生成することができる電子回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様の電子回路は、第1の電圧立ち上がり時間を有する第1の出力を生成する第1の回路と、チャレンジデータに含まれるデータに応じて、前記第1の出力を、前記第1の電圧立ち上がり時間と異なる第2の電圧立ち上がり時間を有する第2の出力に変化させる第2の回路と、初期値が不定であり、出力値が前記第2の電圧立ち上がり時間に応じて変化する第3の回路と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態の電子回路のブロック図である。
【
図2】第1実施形態の電子回路に備えられるコントローラ及び少なくともひとつのインピーダンス素子のブロック図である。
【
図3】第1実施形態の電子回路に備えられる第1の回路の回路図である。
【
図4】第1実施形態の電子回路に備えられる第2の回路の一例の回路図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態の電子回路に備えられる第3の回路の第1の例の回路図である。
【
図6】第1実施形態の電子回路に備えられる第3の回路の第2の例のブロック図である。
【
図7】第1実施形態の電子回路に備えられる第3の回路の第3の例のブロック図である。
【
図8】第1実施形態の電子回路に備えられるキャパシタの回路図である。
【
図9】第1実施形態の電子回路に備えられる抵抗の回路図である。
【
図10】第1実施形態の電子回路に備えられるレジスタンス素子に備えられる各スイッチの回路図である。
【
図11】第1実施形態の電子回路に備えられる第2の回路により出力される第2の出力の波形の例及び当該電子回路に備えられるRSラッチにより出力される信号の波形の例を示す図である。
【
図12】第1実施形態の電子回路に備えられるコントローラにより行われる処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、図面については、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0009】
1 第1実施形態
1.1 電子回路の概略
図1は、第1実施形態の電子回路のブロック図である。
【0010】
図1に示される電子回路1は、物理的に複製困難な関数(PUF)を発生させる。電子回路1は、発生させたPUFにより、チャレンジデータ11に対するレスポンスデータ12を生成する。生成されるレスポンスデータ12は、PUFデータ等とも呼ばれる。発生するPUFは、電子回路1の個体ごとに異なる、電子回路1の個体に固有の関数である。このため、生成されるレスポンスデータ12も、電子回路1の個体ごとに異なる、電子回路1の個体に固有のデータである。レスポンスデータ12は、高いエントロピーを有する。このため、チャレンジデータ11が変化した場合のレスポンスデータ12の変化を予測することは、困難である。これらのことから、電子回路1は、認証装置、乱数発生装置等に好適に実装される。
【0011】
電子回路1は、RSラッチ、リセット機能を有しないD型フリップフロップ、ランダムアクセスメモリセル等の、初期値が不定である保持素子が起動後に保持するデータが、入力される信号の立ち上がりに応じて変化することを利用する。
【0012】
電子回路1には、チャレンジデータ11が入力される。入力されるチャレンジデータ11は、例えば、n桁のビット列である。nは、例えば、16である。チャレンジデータ11は、チャレンジコード等とも呼ばれる。電子回路1は、レスポンスデータ12を出力する。出力されるレスポンスデータ12は、例えば、m桁のビット列である。mは、例えば、8である。レスポンスデータ12は、レスポンスコード等とも呼ばれる。
【0013】
1.2 電子回路の構成
図1に示されるように、電子回路1は、コントローラ20、第1の回路21、第2の回路22及び第3の回路23を備える。
【0014】
コントローラ20には、チャレンジデータ11が入力される。コントローラ20は、入力されたチャレンジデータ11から第1のデータ31及び第2のデータ32を生成する。生成される第1のデータ31及び第2のデータ32は、チャレンジデータ11に含まれる。第1のデータ31及び第2のデータ32は、互いに異なる。チャレンジデータ11が16桁のビット列である場合は、第1のデータ31は、例えば、16桁のビット列に含まれる4桁のビット列である。4桁のビット列は、例えば、15桁目から12桁目までのビット列[15:12]である。また、第2のデータ32は、例えば、16桁のビット列に含まれる12桁のビット列である。12桁のビット列は、例えば、11桁目から0桁目までのビット列[11:0]である。
【0015】
コントローラ20は、生成した第1のデータ31及び第2のデータ32を第1の回路21及び第2の回路22にそれぞれ入力する。
【0016】
第1の回路21は、第1の出力41を生成する。生成される第1の出力41は、直流である。第1の出力41は、第1の立ち上がり後電圧V1を有する。第1の出力41の電圧は、0Vから第1の立ち上がり後電圧V1まで上昇し、第1の立ち上がり後電圧V1まで上昇した後は第1の立ち上がり後電圧V1で安定する。第1の出力41の電圧の時間変化率ΔV/Δtは、第1の出力41の電圧が上昇している間は、時間が経過するにつれて小さくなって0に近づき、第1の出力41の電圧が安定した後は、0になる。第1の出力41は、第1の電圧立ち上がり時間TR1を有する。第1の電圧立ち上がり時間TR1は、第1の出力41の電圧が0Vから第1の立ち上がり後電圧V1まで上昇するのに要する時間の指標である。第1実施形態においては、第1の電圧立ち上がり時間TR1は、第1の出力41の電圧が0Vから第1の立ち上がり後電圧V1の90%まで上昇するのに要する時間であるとする。
【0017】
第1の回路21は、第1の立ち上がり後電圧V1が変化する可変電圧回路である。第1の回路21は、入力された第1のデータ31に応じて第1の立ち上がり後電圧V1を変化させる。
【0018】
第1の回路21は、イネーブル信号33が入力されるのに同期して、第1の出力41を生成することを開始する。
【0019】
第2の回路22の入力は、第1の回路21の出力に電気的に接続される。このため、第2の回路22には、第1の回路21により生成された第1の出力41が入力される。
【0020】
図1に示されるように、第2の回路22は、少なくともひとつのインピーダンス素子61を備える。
【0021】
少なくともひとつのインピーダンス素子61がふたつ以上のインピーダンス素子である場合は、ふたつ以上のインピーダンス素子は、互いに電気的に接続されてインピーダンス素子網を構成する。
【0022】
少なくともひとつのインピーダンス素子61は、入力された第1の出力41を第2の出力42に変化させる。これにより、少なくともひとつのインピーダンス素子61を備える第2の回路22は、第1の出力41を第2の出力42に変化させる。第2の出力42は、直流である。第2の出力42は、第2の立ち上がり後電圧V2を有する。第2の出力42の電圧は、0Vから第2の立ち上がり後電圧V2まで上昇し、第2の立ち上がり後電圧V2まで上昇した後は第2の立ち上がり後電圧V2で安定する。第2の出力42の電圧の時間変化率ΔV/Δtは、第2の出力42の電圧が上昇している間は、時間が経過するにつれて小さくなって0に近づき、第2の出力42の電圧が安定した後は、0になる。第2の出力42は、第2の電圧立ち上がり時間TR2を有する。第2の電圧立ち上がり時間TR2は、第2の出力42の電圧が0Vから第2の立ち上がり後電圧V2まで上昇するのに要する時間の指標である。第1実施形態においては、第2の電圧立ち上がり時間TR2は、第2の出力42の電圧が0Vから第2の立ち上がり後電圧V2の90%まで上昇するのに要する時間であるとする。第2の立ち上がり後電圧V2は、第1の立ち上がり後電圧V1と概ね同じである。第2の電圧立ち上がり時間TR2は、第1の電圧立ち上がり時間TR1と異なる。したがって、少なくともひとつのインピーダンス素子61は、電圧立ち上がり時間TRを第1の電圧立ち上がり時間TR1から第2の電圧立ち上がり時間TR2に変化させる。
【0023】
少なくともひとつのインピーダンス素子6は、少なくともひとつのインピーダンス素子61が有する少なくともひとつのインピーダンス値71が変化する可変インピーダンス素子である。少なくともひとつのインピーダンス素子6は、入力された第2のデータ32に応じて少なくともひとつのインピーダンス値711を変化させる。これにより、少なくともひとつのインピーダンス素子6は、第2のデータ32に応じて、第1の電圧立ち上がり時間TR1を有する第1の出力41を、第2の電圧立ち上がり時間TR2を有する第2の出力42に変化させる。これにより、第2の回路22は、電圧立ち上がり時間TRを第1の電圧立ち上がり時間TR1から第2の電圧立ち上がり時間TR2に変化させる。
【0024】
第3の回路23の入力は、第2の回路22の出力に電気的に接続される。このため、第3の回路23には、第2の回路22により出力された第2の出力42が入力される。
【0025】
第3の回路23は、論理データを保持し、保持する論理データを出力する。
【0026】
第3の回路23への電源電力が開始された後に第3の回路23により出力される初期値は、不定である。第3の回路23への電源電力の供給は、第1の回路21により行われてもよいし、第1の回路21とは別の電源により行われてもよい。
【0027】
第3の回路23に第2の出力42が入力された後に第3の回路23により出力される出力値は、入力された第2の出力42に応じて変化する。出力値は、入力された第2の出力42の第2の立ち上がり後電圧V2及び第2の電圧立ち上がり時間TR2に応じて変化する。第2の出力42の第2の立ち上がり後電圧V2は、第1の出力41の第1の立ち上がり後電圧V1と概ね同じであり、第1の出力41の第1の立ち上がり後電圧V1は、チャレンジデータ11に含まれる第1のデータ31に応じて変化する。また、第2の出力42の第2の電圧立ち上がり時間TR2は、チャレンジデータ11に含まれる第2のデータ32に応じて変化する。このため、出力値は、チャレンジデータ11に応じて変化する。
【0028】
第3の回路23は、レスポンスデータ12を保持する。保持されるレスポンスデータ12は、第3の回路23に第2の出力42が入力された後に第3の回路23により出力される出力値である。このため、レスポンスデータ12は、入力された第2の出力42の第2の立ち上がり後電圧V2及び第2の電圧立ち上がり時間TR2に応じて変化し、チャレンジデータ11に応じて変化する。
【0029】
第3の回路23は、保持するレスポンスデータ12を出力する。
【0030】
コントローラ20、第1の回路21、第2の回路22及び第3の回路23は、ディスクリート部品により構成されてもよいし、集積回路により構成されてもよいし、集積回路に内蔵されてもよい。コントローラ20の全部又は一部が、メモリに記憶されたプログラムを実行するプロセッサにより構成されてもよい。
【0031】
1.3 インピーダンス素子
図2は、第1実施形態の電子回路に備えられるコントローラ及び少なくともひとつのインピーダンス素子のブロック図である。
【0032】
図2に示されるように、少なくともひとつのインピーダンス素子61に入力される第2のデータ32は、第1の構成データ81及び第2の構成データ82により構成される。
【0033】
チャレンジデータ11が16桁のビット列である場合は、第1の構成データ81及び第2の構成データ82の各々は、例えば、6桁のビット列である。第1の構成データ81となる6桁のビット列は、例えば、5桁目から0桁目までのビット列[5:0]である。また、第2の構成データ82となる6桁のビット列は、例えば、11桁目から6桁目までのビット列[11:6]である。
【0034】
少なくともひとつのインピーダンス素子61は、リアクタンス素子(キャパシタ又はインダクタ)91及びレジスタンス素子(抵抗)92を含む。このため、少なくともひとつのインピーダンス値71は、リアクタンス素子91が有するリアクタンス値101及びレジスタンス素子92が有するレジスタンス値102を含む。
【0035】
リアクタンス素子91は、リアクタンス値101が変化する可変リアクタンス素子である。リアクタンス素子91は、入力された第1の構成データ81に応じてリアクタンス値101を変化させる。レジスタンス素子92は、レジスタンス値102が変化する可変抵抗である。レジスタンス素子92は、入力された第2の構成データ82に応じてレジスタンス値102を変化させる。
【0036】
リアクタンス素子91は、容量性リアクタンス素子(キャパシタ)であってもよいし、誘導性リアクタンス素子(インダクタ)であってもよい。このため、リアクタンス値101は、容量性リアクタンス値であってもよいし、誘導性リアクタンス値であってもよい。ただし、リアクタンス素子91が容量性リアクタンス素子であり、リアクタンス値101が容量性リアクタンス値である場合は、リアクタンス素子91が誘導性リアクタンス素子であり、リアクタンス値101が誘導性アクタンス値である場合と比較して、第2の回路22を集積回路に内蔵することが容易になる。リアクタンス素子91が容量性リアクタンス値である場合は、リアクタンス値101は、周波数f及び容量性リアクタンス素子のキャパシタンス値Cを用いて、1/jωC(ω=2πf)で表される。リアクタンス素子91が誘導性リアクタンス素子である場合は、リアクタンス値101は、周波数f及び誘導性リアクタンス素子のインダクタンス値Lを用いて、jωL(ω=2πf)で表される。
【0037】
1.4 第1の回路
図3は、第1実施形態の電子回路に備えられる第1の回路の回路図である。
【0038】
図3に示される第1の回路21は、降圧レギュレータである。このため、第1の回路21は、入力される電源電圧より低い一定の電圧を有する第1の出力41を生成することができる。
【0039】
図3に示されるように、第1の回路21は、入力端子21a、出力端子21b及び入力端子21cを備える。
【0040】
入力端子21aには、電源電圧が入力される。出力端子21bからは、第1の出力41が出力される。入力端子21cには、イネーブル信号33が入力される。
【0041】
図3に示されるように、第1の回路21は、可変電圧デコーダ111、分圧回路112、エラーアンプ113及び制御素子114を備える。
【0042】
可変電圧デコーダ111は、入力された第1のデータ31をデコードして制御信号を生成する。
【0043】
分圧回路112は、第1の回路21により出力される電圧を分圧して分圧された電圧を出力する。分圧回路112は、生成された制御信号に応じて分圧された電圧を変化させる。
【0044】
図3に図示されるように、分圧回路112は、第1の分圧抵抗121及び第2の分圧抵抗122を備える。
【0045】
第1の分圧抵抗121の第1の端子121aは、第1の回路21の出力端子21bに電気的に接続される。第2の分圧抵抗122の第1の端子122aは、第1の分圧抵抗121の第2の端子121bに電気的に接続される。第2の分圧抵抗122の第2の端子122bは、接地される。
【0046】
これらにより、分圧回路112は、第1の回路21の出力端子21bから電圧が出力されている間に、第1の分圧抵抗121の第2の端子121b及び第2の分圧抵抗122の第1の端子122aが電気的に接続されるノード131から分圧された電圧を出力する。分圧された電圧は、第1の分圧抵抗121及び第2の分圧抵抗122の抵抗値の比により決まる。
【0047】
分圧回路112は、生成された制御信号に応じて第1の分圧抵抗121の抵抗値を変化させることにより、生成された制御信号に応じて分圧された電圧を変化させる。
【0048】
エラーアンプ113は、エラーアンプ113の非反転入力端子113aに入力された電圧からエラーアンプ113の反転入力端子113bに入力された電圧を減じた差が大きくなるほど、エラーアンプ113の出力端子113cから出力される電圧を高くする。
【0049】
エラーアンプ113の非反転入力端子113aは、ノード131に電気的に接続される。エラーアンプ113の反転入力端子113bは、基準電圧源に電気的に接続される。
【0050】
これらにより、エラーアンプ113は、分圧された電圧から基準電圧源により発生させられる基準電圧を減じた差が大きくなるほど、エラーアンプ113の出力端子113cから出力される電圧を高くする。
【0051】
また、エラーアンプ113は、エラーアンプ113のイネーブル端子113dにイネーブル信号33が入力されるのに同期して、エラーアンプ113の出力端子113cから電圧を出力することを開始する。
【0052】
エラーアンプ113のイネーブル端子113dは、第1の回路21の入力端子21cに電気的に接続される。
【0053】
これらにより、エラーアンプ113は、第1の回路21の入力端子21cにイネーブル信号33が入力されるのに同期して、エラーアンプ113の出力端子113cから電圧を出力することを開始する。
【0054】
制御素子114は、制御素子114の制御端子114aに入力された電圧が高くなるほど、制御素子114の第1の端子114bから制御素子114の第2の端子114cへ流れる電流を強く制限する。
【0055】
制御素子114の制御端子114aは、エラーアンプ113の出力端子113cに電気的に接続される。制御素子114の第1の端子114bは、第1の回路21の入力端子21aに電気的に接続される。制御素子114の第2の端子114cは、第1の回路21の出力端子21bに電気的に接続される。
【0056】
これらにより、制御素子114は、エラーアンプ113の出力端子113cから出力される電圧が高くなるほど、第1の回路21の入力端子21aから第1の回路21の出力端子21bへ流れる電流への制限を強くする。これにより、制御素子114は、分圧された電圧から基準電圧を減じた差が大きくなるほど、第1の回路21の出力端子21bから出力される電圧を低くする。
【0057】
これらにより、第1の回路21は、出力端子21bから出力される電圧を、第1のデータ31に応じて変化する第1の立ち上がり後電圧V1で安定させる。
【0058】
1.5 第2の回路
図4は、第1実施形態の電子回路に備えられる第2の回路の一例の回路図である。
【0059】
図4に示されるように、第2の回路22の一例においては、リアクタンス素子91は、容量性リアクタンス素子(キャパシタ)141であり、リアクタンス値101は、容量性リアクタンス値である。
【0060】
容量性リアクタンス素子141は、キャパシタンス値が変化する可変容量素子である。容量性リアクタンス素子141は、入力された第1の構成データ81に応じてキャパシタンス値を変化させる。これにより、容量性リアクタンス素子141は、入力された第1の構成データ81に応じて容量性リアクタンス値を変化させる。
【0061】
図4に示されるように、第2の回路22は、入力端子22a及び出力端子22bを備える。
【0062】
レジスタンス素子(抵抗)92の第1の端子92aは、第2の回路22の入力端子22aに電気的に接続される。レジスタンス素子92の第2の端子92bは、第2の回路22の出力端子22bに電気的に接続される。容量性リアクタンス素子141の第1の端子141aは、第2の回路22の出力端子22bに電気的に接続される。容量性リアクタンス素子141の第2の端子141bは、接地される。これにより、レジスタンス素子92の入力は、第1の回路21の出力に電気的に接続される。また、容量性リアクタンス素子141の入力は、レジスタンス素子92の出力に電気的に接続される。また、第3の回路23の入力は、容量性リアクタンス素子141の出力に電気的に接続される。また、第2の回路22は、レジスタンス素子92及び容量性リアクタンス素子141を備える積分回路151を備える。積分回路151は、第1の出力41を積分する。このため、積分回路151は、第2の出力42の電圧立ち上がり時間TRを第1の電圧立ち上がり時間TR1から第2の電圧立ち上がり時間TR2へ変化させる。
【0063】
1.6 第3の回路
図5は、第1実施形態の電子回路に備えられる第3の回路の第1の例の回路図である。
【0064】
第3の回路23の第1の例においては、
図5に示されるように、第3の回路23は、入力端子23a及びm個の出力端子23b-1,23b-2,・・・,23b-mを備える。
【0065】
図5に示されるように、第3の回路23は、m個のRSラッチ161-1,161-2,・・・,161-mを備える。
【0066】
RSラッチ161-1,161-2,・・・,161-mに含まれる各RSラッチ161は、各RSラッチ161の入力端子161aに入力された信号により示される論理値を保持し、保持した論理値を示す信号を各RSラッチ161の出力端子161bから出力する。ただし、各RSラッチ161への電源電力の供給が開始された後に各RSラッチ161により保持される初期値は、不定である。また、各RSラッチ161の入力端子161aに信号が入力された後に各RSラッチ161により保持される出力値は、当該信号の立ち上がり後電圧及び電圧立ち上がり時間に応じて変化する。RSラッチ161-1,161-2,・・・,161-mの入力端子161aに同じ信号が入力された場合でも、RSラッチ161-1,161-2,・・・,161-mの出力端子161bから同じ論理値が出力されるとは限らない。すなわち、各RSラッチ161の出力端子161bから出力される論理値は、各RSラッチ161に固有の論理値である。
【0067】
RSラッチ161-1,161-2,・・・,161-mの入力端子161aは、第3の回路23の入力端子23aに電気的に接続される。RSラッチ161-1,161-2,・・・,161-mの出力端子161bは、第3の回路23の出力端子23b-1,23b-2,・・・,23b-mにそれぞれ電気的に接続される。
【0068】
これらにより、第3の回路23は、第2の出力42の第2の立ち上がり後電圧V2及び第2の電圧立ち上がり時間TR2に応じて変化するレスポンスデータ12をm個の出力端子23b-1,23b-2,・・・,23b-mから出力する。出力されるレスポンスデータ12は、m個の出力端子23b-1,23b-2,・・・,23b-mにより出力される信号によりそれぞれ示されるm個の出力データからなる。
【0069】
第3の回路23の第2の例においては、
図6に示されるように、第3の回路23は、m個のRSラッチ161-1,161-2,・・・,161-mに代えて、m個のランダムアクセスメモリ(RAM)セル171-1,171-2,・・・,171-mを備える。RAMは、スタティックRAM(SRAM)等である。
【0070】
図7は、第1実施形態の電子回路に備えられる第3の回路の第3の例のブロック図である。
【0071】
第3の回路23の第3の例においては、
図7に示されるように、第3の回路23は、m個のRSラッチ161-1,161-2,・・・,161-mに代えて、m個のリセット機能を有しないD型フリップフロップ(DFF)181-1,181-2,・・・,181-mを備える。
【0072】
第3の回路23は、m個のRSラッチ161-1,161-2,・・・,161-mに代えてm個のRAMセル171-1,171-2,・・・,171-m、m個のDFF181-1,181-2,・・・,181-m等のm個のラッチ回路を備える場合も、m個のRSラッチ161-1,161-2,・・・,161-mを備える場合と同様に動作する。
【0073】
1.7 容量性リアクタンス素子
図8は、第1実施形態の電子回路に備えられる容量性リアクタンス素子の回路図である。
【0074】
図8に示されるように、容量性リアクタンス素子141は、容量性リアクタンス素子191-1,191-2,191-3,191-4,・・・,191-j-1,191-j、スイッチ192-1,192-2,192-3,192-4,・・・,192-j-1,192-j及び可変容量デコーダ193を備える。
【0075】
容量性リアクタンス素子191-1,191-2,191-3,191-4,・・・,191-j-1,191-jは、キャパシタンス値C,2C,4C,8C,・・・,2j-1C及び2jCをそれぞれ有する。
【0076】
スイッチ192-1,192-2,192-3,192-4,・・・,192-j-1,192-jに含まれる各スイッチ192は、各スイッチ192の制御端子192aに入力されている信号がオン信号である間は、各スイッチ192の第2の端子192cを各スイッチ192の第1の端子192bと導通させる。一方、各スイッチ192は、各スイッチ192の制御端子192aに入力されている信号がオフ信号である間は、各スイッチ192の第2の端子192cを各スイッチ192の第1の端子192bと導通させない。
【0077】
容量性リアクタンス素子191-1,191-2,191-3,191-4,・・・,191-j-1,191-jの第1の端子191aは、容量性リアクタンス素子141の第1の端子141aに電気的に接続される。
【0078】
スイッチ192-1,192-2,192-3,192-4,・・・,192-j-1,192-jの第1の端子192bは、容量性リアクタンス素子191-1,191-2,191-3,191-4,・・・,191-j-1,191-jの第2の端子191bにそれぞれ電気的に接続される。
【0079】
スイッチ192-1,192-2,192-3,192-4,・・・,192-j-1,192-jの第2の端子192cは、容量性リアクタンス素子141の第2の端子141bに電気的に接続される。
【0080】
これにより、スイッチ192-1,192-2,192-3,192-4,・・・,192-j-1,192-jは、スイッチ192-1,192-2,192-3,192-4,・・・,192-j-1,192-jの制御端子192aに入力されている信号がオン信号である間は、容量性リアクタンス素子191-1,191-2,191-3,191-4,・・・,191-j-1,191-jのキャパシタンス値を、容量性リアクタンス素子141のキャパシタンス値にそれぞれ含める。
【0081】
可変容量デコーダ193は、入力された第1の構成データ81をデコードしてスイッチ192-1,192-2,192-3,192-4,・・・,192-j-1,192-jの制御端子192aに入力する信号を生成する。
【0082】
これにより、容量性リアクタンス素子191-1,191-2,191-3,191-4,・・・,191-j-1,191-jから第1の構成データ81に応じて選択された容量性リアクタンス素子のキャパシタンス値を容量性リアクタンス素子141のキャパシタンス値に含めることができる。これにより、容量性リアクタンス素子141のキャパシタンス値を、0から(C+2C+4C+8C+・・・+2j-1C+2jC)までにおいてC刻みで変化させることができる。
【0083】
1.8 レジスタンス素子
図9に示されるように、レジスタンス素子92は、レジスタンス素子(抵抗)201-1,201-2,201-3,201-4,・・・,201-k-1,201-k、スイッチ202-1,202-2,202-3,202-4,・・・,202-k-1,202-k及び可変抵抗デコーダ203を備える。
【0084】
レジスタンス素子201-1,201-2,201-3,201-4,・・・,201-k-1,201-kは、レジスタンス値R,2R,4R,8R,・・・,2k-1R及び2kRをそれぞれ有する。
【0085】
スイッチ202-1,202-2,202-3,202-4,・・・,202-k-1,202-kに含まれる各スイッチ202は、各スイッチ202の制御端子202aに入力されている信号がオン信号である間は、各スイッチ202の第2の端子202cを各スイッチ202の第1の端子202bと導通させる。一方、各スイッチ202は、各スイッチ202の制御端子202aに入力されている信号がオフ信号である間は、各スイッチ202の第2の端子202cを各スイッチ202の第1の端子202bと導通させない。
【0086】
レジスタンス素子201-2,201-3,201-4,・・・,201-k-1,201-kの第1の端子201aは、隣接するレジスタンス素子201-1,201-2,201-3,201-4,・・・,201-k-1の第2の端子201bにそれぞれ電気的に接続される。一方の端にあるレジスタンス素子201-1の第1の端子201aは、レジスタンス素子92の第1の端子92aに電気的に接続される。他方の端にあるレジスタンス素子201-kの第2の端子201bは、レジスタンス素子92の第2の端子92bに電気的に接続される。
【0087】
スイッチ202-1,202-2,202-3,202-4,・・・,202-k-1,202-kの第1の端子202bは、レジスタンス素子201-1,201-2,201-3,201-4,・・・,201-k-1,201-kの第1の端子201aにそれぞれ電気的に接続される。スイッチ202-1,202-2,202-3,202-4,・・・,202-k-1,202-kの第2の端子202cは、レジスタンス素子201-1,201-2,201-3,201-4,・・・,201-k-1,201-kの第2の端子201bにそれぞれ電気的に接続される。
【0088】
これにより、スイッチ202-1,202-2,202-3,202-4,・・・,202-k-1,202-kは、それぞれ、スイッチ202-1,202-2,202-3,202-4,・・・,202-k-1,202-kの制御端子202aに入力されている信号がオン信号である間は、抵抗201-1,201-2,201-3,201-4,・・・,201-k-1,201-kの第1の端子201a及び第2の端子201bを電気的に短絡する。
【0089】
可変抵抗デコーダ203は、入力された第2の構成データ82をデコードしてスイッチ202-1,202-2,202-3,202-4,・・・,202-k-1,202-kに入力する信号を生成する。
【0090】
これにより、レジスタンス素子201-1,201-2,201-3,201-4,・・・,201-k-1,201-kから第2の構成データ82に応じて選択されたレジスタンス素子の第1の端子201a及び第2の端子202cを電気的に短絡することができる。これにより、レジスタンス素子92のレジスタンス値を、0から(R+2R+4R+8R+・・・+2k-1R+2kR)までにおいてR刻みで変化させることができる。
【0091】
図10に示されるように、各スイッチ202は、第1のスイッチング素子211、第2のスイッチング素子212及びインバータ213を備える。
【0092】
第1のスイッチング素子211は、第1のスイッチング素子211の制御端子211aに入力されている信号がオン信号である間は、第1のスイッチング素子211の第2の端子211cを第1のスイッチング素子211の第1の端子211bと導通させる。一方、第1のスイッチング素子211は、第1のスイッチング素子211の制御端子211aに入力されている信号がオフ信号である間は、第1のスイッチング素子211の第2の端子211cを第1のスイッチング素子211の第1の端子211bと導通させない。
【0093】
第2のスイッチング素子212は、第2のスイッチング素子212の制御端子212aに入力されている信号が反転されたオン信号である間は、第2のスイッチング素子212の第2の端子212cを第2のスイッチング素子212の第1の端子212bと導通させる。一方、第2のスイッチング素子212は、第2のスイッチング素子212の制御端子212aに入力されている信号が反転されたオフ信号である場合は、第2のスイッチング素子212の第2の端子212cを第2のスイッチング素子212の第1の端子212bと導通させない。
【0094】
インバータ213は、インバータ213の入力端子213aに入力された信号を反転させ、反転させた信号をインバータ213の出力端子213bから出力する。
【0095】
第1のスイッチング素子211の第1の端子211b及び第2のスイッチング素子212の第1の端子212bは、各スイッチ202の第1の端子202bに電気的に接続される。第1のスイッチング素子211の第2の端子211c及び第2のスイッチング素子212の第2の端子212cは、各スイッチ202の第2の端子202cに電気的に接続される。第1のスイッチング素子211の制御端子211aは、各スイッチ202の制御端子202aに電気的に接続される。第2のスイッチング素子212の制御端子212aは、インバータ213の出力端子213bに電気的に接続される。インバータ213の入力端子213aは、各スイッチ202の制御端子202aに電気的に接続される。
【0096】
これにより、各スイッチ202の制御端子202aに入力されている信号がオン信号である間は、第1のスイッチング素子211の制御端子211aに入力されている信号がオン信号になる。また、第2のスイッチング素子212の制御端子212aに入力されている信号が反転されたオン信号になる。このため、第1のスイッチング素子211の第2の端子211cが第1のスイッチング素子211の第1の端子211bと導通する。また、第2のスイッチング素子212の第2の端子212cが第2のスイッチング素子212の第1の端子212bと導通する。これにより、各スイッチ202の第2の端子202cが各スイッチ202の第1の端子202bと導通する。
【0097】
1.9 第2の立ち上がり後電圧及び第2の電圧立ち上がり時間による出力データの変化
図11は、第1実施形態の電子回路に備えられる第2の回路により出力される第2の出力の波形の例及び当該電子回路に備えられるRSラッチにより出力される信号の波形の例を示す図である。
【0098】
上述したように、第1の回路21は、チャレンジデータ11に含まれる第1のデータ31に応じて、生成する第1の出力41の第1の立ち上がり後電圧V1を変化させ、第2の回路22により出力される第2の出力42の第2の立ち上がり後電圧V2を変化させる。例えば、
図11に示されるように、第1の回路21は、第2の立ち上がり後電圧V2を、VA,VB,VC等の間で変化させる。これにより、第1の回路21は、第2の出力42の波形の立ち上がり時の傾きを変化させる。第1の回路21は、少なくともひとつのインピーダンス値71によらずに、第2の出力42の波形の立ち上がり時の傾きを変化させることができる。
【0099】
また、上述したように、第2の回路22は、チャレンジデータ11に含まれる第2のデータ32に応じて、出力する第2の出力42の第2の電圧立ち上がり時間TR2を変化させる。例えば、
図11に示されるように、第2の回路22は、第2の電圧立ち上がり時間TR2を、TA,TB,TC等の間で変化させる。これにより、第2の回路22は、第2の出力42の波形の立ち上がり時の傾きを変化させる。第2の回路22は、少なくともひとつのインピーダンス値71により、第2の出力42の波形の立ち上がり時の傾きを変化させることができる。
【0100】
第3の回路23は、第2の出力42の波形の立ち上がり時の傾きに応じて、出力データを示す信号の信号値を変化させる。このため、第3の回路23は、第2の出力42の第2の立ち上がり後電圧V2及び第2の電圧立ち上がり時間TR2に応じて、出力データを示す信号の信号値を変化させる。
【0101】
例えば、
図11に示されるように、第3の回路23は、第2の電圧立ち上がり時間T2がTAである場合は、第2の立ち上がり後電圧V2がVAであるときに、信号値をLにし、第2の立ち上がり後電圧V2がVBであるときに、信号値をLにし、第2の立ち上がり後電圧V2がVCであるときに、信号値をHにする。また、第3の回路23は、第2の電圧立ち上がり時間T2がTBである場合は、第2の立ち上がり後電圧V2がVAであるときに、信号値をHにし、第2の立ち上がり後電圧V2がVBであるときに、信号値をHにし、第2の立ち上がり後電圧V2がVCであるときに、信号値をLにする。また、第3の回路23は、第2の電圧立ち上がり時間T2がTCである場合は、第2の立ち上がり後電圧V2がVAであるときに、信号値をLにし、第2の立ち上がり後電圧V2がVBであるときに、信号値をHにし、第2の立ち上がり後電圧V2がVCであるときに、信号値をHにする。
図11に示されるように、第3の回路23は、第2の電圧立ち上がり時間T2が同じであっても、第2の立ち上がり後電圧V2に応じて信号値を変化させることができる。
【0102】
また、
図11に示されるように、第3の回路23は、第2の立ち上がり後電圧V2がVAである場合は、第2の電圧立ち上がり時間T2がTAであるときに、信号値をLにし、第2の電圧立ち上がり時間T2がTBであるときに、信号値をHにし、第2の電圧立ち上がり時間T2がTCであるときに、信号値をLにする。また、第3の回路23は、第2の立ち上がり後電圧V2がVBである場合は、第2の電圧立ち上がり時間T2がTAであるときに、信号値をLにし、第2の電圧立ち上がり時間T2がTBであるときに、信号値をHにし、第2の電圧立ち上がり時間T2がTCであるときに、信号値をHにする。また、第3の回路23は、第2の立ち上がり後電圧V2がVCである場合は、第2の電圧立ち上がり時間T2がTAであるときに、信号値をHにし、第2の電圧立ち上がり時間T2がTBであるときに、信号値をLにし、第2の電圧立ち上がり時間T2がTCであるときに、信号値をHにする。
図11に示されるように、第3の回路23は、第2の立ち上がり後電圧V2が同じであっても、第2の電圧立ち上がり時間T2に応じて信号値を変化させることができる。
【0103】
信号値は、第2の出力42の立ち上がりが開始するのに同期して変化し始め、第2の出力42の立ち上がりが終了する前にH又はLに定まる。
【0104】
第3の回路23は、第2の出力42の第2の立ち上がり後電圧V2及び第2の電圧立ち上がり時間TR2の組み合わせに応じて信号値を変化させる。これにより、第3の回路23が第2の立ち上がり後電圧V2及び第2の電圧立ち上がり時間TR2の片方のみに応じて信号値を変化させる場合と比較して、信号値のエントロピーを高くすることができる。
【0105】
出力される信号値は、電子回路1の寄生容量及び寄生抵抗の影響も受ける。また、電子回路1の寄生容量及び寄生抵抗は、電子回路1の個体ごとに異なる。このため、出力される信号値は、電子回路1の個体ごとに異なる。
【0106】
1.10 コントローラにより行われる処理
図12は、第1実施形態の電子回路に備えられるコントローラにより行われる処理の流れを示すフローチャートである。
【0107】
コントローラ20は、
図12に示されるステップS101及びS102を実行する。
【0108】
ステップS101においては、コントローラ20は、第1の回路21に電源電力が供給されており、第1の回路21にイネーブル信号33を入力していない状態で、第1の回路21及び第2の回路22に第1のデータ31及び第2のデータ32をそれぞれ入力する。
【0109】
これにより、第1の回路21は、第1のデータ31に応じた第1の立ち上がり後電圧V1を有する第1の出力41を出力することができる状態になる。また、第2の回路22に備えられインピーダンス素子61は、第2のデータ32に応じたインピーダンス値71を有する状態になり、第1の出力41を、第2のデータ32に応じた第2の電圧立ち上がり時間TR2を有する第2の出力42に変化させることができる状態になる。
【0110】
続くステップS102においては、コントローラ20は、第1の回路21にイネーブル信号33を入力する。これにより、第1の回路21は、第1のデータ31に応じた第1の立ち上がり後電圧V1を有する第1の出力41を出力する。また、第2の回路22は、第1の出力41を、第2のデータ32に応じた第2の電圧立ち上がり時間TR2を有する第2の出力42に変化させる。第2の回路22がレジスタンス素子92及び容量性リアクタンス素子141により構成される積分回路151である場合は、第2の電圧立ち上がり時間TR2は、レジスタンス素子92のレジスタンス値R及び容量性リアクタンス素子141のキャパシタンス値Cにより決まる時定数τ=R・Cに応じて変化する。これにより、第3の回路23は、第1のデータ31及び第2のデータ32を含むチャレンジデータ11に応じたレスポンスデータ12を出力する。
【0111】
本開示は、上記実施の形態に限定されるものではなく、上記実施の形態で示した構成と実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えてもよい。
【符号の説明】
【0112】
1 電子回路、11 チャレンジデータ、12 レスポンスデータ、20 コントローラ、21 第1の回路、21a 入力端子、21b 出力端子、21c 入力端子、22 第2の回路、22a 入力端子、22b 出力端子、23 第3の回路、23a 入力端子、23b-1,23b-2,23b-m 出力端子、31 第1のデータ、32 第2のデータ、33 イネーブル信号、41 第1の出力、42 第2の出力、61 インピーダンス素子、71 インピーダンス値、81 第1の構成データ、82 第2の構成データ、91 リアクタンス素子、92 レジスタンス素子、92a 第1の端子、92b 第2の端子、101 リアクタンス値、102 レジスタンス値、111 可変電圧デコーダ、112 分圧回路、113エラーアンプ、113a 非反転入力端子、113b 反転入力端子、113c 出力端子、113d イネーブル端子、114 制御素子、114a 制御端子、114b 第1の端子、114c 第2の端子、121 第1の分圧抵抗、121a 第1の端子、121b 第2の端子、122 第2の分圧抵抗、122a 第1の端子、122b 第2の端子、131 ノード、141 キャパシタ、141a 第1の端子、141b 第2の端子、151 積分回路、161-1,161-2,161-m RSラッチ、161 各RSラッチ、161a 入力端子、161b 出力端子、171-1,171-2,171-m ランダムアクセスメモリ(RAM)セル、181-1,181-2,181-m D型フリップフロップ(DFF)、191-1,191-2,191-3,191-4,191-j-1,191-j キャパシタ、191a 第1の端子、191b 第2の端子、192-1,192-2,192-3,192-4,192-j-1,192-j スイッチ、192 各スイッチ、192a 制御端子、192b 第1の端子、192c 第2の端子、193 可変容量デコーダ、201-1,201-2,201-3,201-4,201-k-1,201-k 抵抗、201a 第1の端子、201b 第2の端子、202-1,202-2,202-3,202-4,202-k-1,202-k スイッチ、202 各スイッチ、202a 制御端子、202b 第1の端子、202c 第2の端子、203 可変抵抗デコーダ、211 第1のスイッチング素子、211a 制御端子、211b 第1の端子、211c 第2の端子、212 第2のスイッチング素子、212a 制御端子、212b 第1の端子、212c 第2の端子、213 インバータ、213a 入力端子、213b 出力端子。