(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108603
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】ガラス板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C03B 17/06 20060101AFI20240805BHJP
C03B 33/02 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
C03B17/06
C03B33/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023013046
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000232243
【氏名又は名称】日本電気硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100129148
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 淳也
(72)【発明者】
【氏名】青池 満
(72)【発明者】
【氏名】森田 誠一
(72)【発明者】
【氏名】饗場 久敏
(72)【発明者】
【氏名】西川 佳範
【テーマコード(参考)】
4G015
【Fターム(参考)】
4G015FA01
4G015FB02
4G015FC01
4G015FC04
(57)【要約】
【課題】オーバーフロー成形によって製造されたガラス板の合わせ面を効率良く除去する。
【解決手段】ガラス板の製造方法は、マザーガラス板G1に所定の処理を行うことでガラス板を製造する処理工程S5を備える。処理工程S5は、マザーガラス板G1の第一主面Gaを除去加工する第一除去工程S52を備える。第一除去工程S52では、マザーガラス板G1の合わせ面Gdと、マザーガラス板G1の中心位置O1との距離d
1が、第一除去工程S52の前よりも大きくなるように、マザーガラス板G1の第一主面Gaを除去する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーバーフロー成形を行う成形体により溶融ガラスからガラスリボンを成形する成形工程と、前記ガラスリボンからマザーガラス板を切り出す切断工程と、前記マザーガラス板に所定の処理を行うことでガラス板を製造する処理工程と、を備えるガラス板の製造方法であって、
前記成形体は、前記溶融ガラスを流下させる一対の側壁面と、前記一対の側壁面を流下する前記溶融ガラスを融合させる下端部と、を有し、
前記マザーガラス板の板厚は、150μm以上1300μm以下であり、
前記マザーガラス板は、第一主面と、第二主面と、前記第一主面と前記第二主面とを接続する端面と、前記溶融ガラスが前記成形体の前記下端部で融合することにより形成される合わせ面と、を備え、
前記処理工程は、前記マザーガラス板の前記第一主面を除去加工する第一除去工程を備え、
前記第一除去工程では、前記合わせ面と、前記マザーガラス板の板厚方向における前記第一主面と前記第二主面との中心位置との距離が、前記第一除去工程前よりも大きくなるように、前記マザーガラス板の前記第一主面を除去することを特徴とするガラス板の製造方法。
【請求項2】
前記第一除去工程では、前記マザーガラス板の前記第一主面に対してエッチング処理を行うことを特徴とする請求項1に記載のガラス板の製造方法。
【請求項3】
前記第一除去工程では、前記マザーガラス板の前記端面において前記合わせ面に対応する位置に、前記第二主面と平行に延びる溝部を形成することを特徴とする請求項2に記載のガラス板の製造方法。
【請求項4】
前記第一除去工程では、前記マザーガラス板の前記第一主面に対して機械研磨又は化学機械研磨を行うことを特徴とする請求項1に記載のガラス板の製造方法。
【請求項5】
前記マザーガラス板の前記合わせ面と、前記第一除去工程の前における前記マザーガラス板の前記第一主面と前記第二主面との前記中心位置との距離は、10μm未満であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のガラス板の製造方法。
【請求項6】
前記マザーガラス板の前記合わせ面と、前記第一除去工程の後における前記マザーガラス板の前記第一主面と前記第二主面との前記中心位置との距離は、15μm以上であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のガラス板の製造方法。
【請求項7】
前記処理工程は、前記第一除去工程の前に前記マザーガラス板の前記第二主面に保護フィルムを貼り付ける保護工程と、前記第一除去工程の後に前記第二主面から前記保護フィルムを剥離させる剥離工程と、を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のガラス板の製造方法。
【請求項8】
前記処理工程は、前記第一除去工程の後に前記マザーガラス板の前記第一主面及び前記第二主面に対してエッチング処理を行う第二除去工程をさらに備えることを特徴とする請求項6に記載のガラス板の製造方法。
【請求項9】
前記第二除去工程の後の前記ガラス板の板厚は、10μm以上120μm以下であり、
前記第一除去工程の前の前記マザーガラス板の板厚をt0(μm)とし、前記第一除去工程の前の前記マザーガラス板の前記合わせ面と、前記第一主面と前記第二主面との前記中心位置との距離をd1(μm)とし、前記第二除去工程の後の前記マザーガラス板の板厚をt2(μm)とした場合に、前記第一除去工程における除去量δ1(μm)、及び前記第二除去工程における除去量δ2(μm)が式(1)及び式(2)を満たすことを特徴とする請求項8に記載のガラス板の製造方法。
t0=t2+δ1+2δ2 ・・・(1)
(t0/2)+d1<δ1+δ2 ・・・(2)
【請求項10】
板厚が90μm以上680μm以下のガラス板であって、
除去加工面である第一主面と、火造り面である第二主面と、前記第一主面と前記第二主面とを接続する端面と、前記第一主面と前記第二主面との間で溶融ガラスの融合により構成される合わせ面と、を備え、
前記合わせ面は、板厚方向において、前記第一主面と前記第二主面との中心位置から前記第一主面側に15μm以上離れていることを特徴とするガラス板。
【請求項11】
板厚が90μm以上680μm以下のガラス板であって、
除去加工面である第一主面と、火造り面である第二主面と、前記第一主面と前記第二主面とを接続する端面と、前記第一主面と前記第二主面との間で溶融ガラスの融合により構成される合わせ面と、を備え、
前記端面は、前記合わせ面に対応する位置に、前記第一主面と平行に延びる溝部を備え、
前記溝部は、板厚方向において、前記第一主面と前記第二主面との中心位置から前記第一主面側に15μm以上離れていることを特徴とするガラス板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどのディスプレイ用の基板やカバーガラス、或いは、スマートフォン、タブレット、ノートブックPC等のモバイルデバイス、特にフォルダブルデバイスに使用される化学強化可能なカバーガラスをはじめとする様々な分野において、ガラス板が使用されている。この種のガラス板の製造には、例えばオーバーフローダウンドロー法などの公知の方法が使用される。
【0003】
オーバーフローダウンドロー法は、断面が略楔形の成形体の上部に設けられたオーバーフロー溝に溶融ガラスを流し込み、このオーバーフロー溝から両側に溢れ出た溶融ガラスを成形体の両側の側壁面に沿って流下させた後、成形体の下端部で融合一体化することで、ガラスリボンを連続成形するというものである(例えば特許文献1参照)。
【0004】
ガラスリボンは、所定の冷却工程を経た後に、その中途部が幅方向に沿って切断される。これにより、ガラスリボンから枚葉状のガラス板が切り出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
オーバーフローダウンドロー法に用いられる成形体は、アルミナ系やジルコニア系等の耐火物により構成される。従来のガラス板の製造方法では、成形体の側壁面に接触して流下する溶融ガラスに、成形体に含まれる成分(例えばAl、Zr等)が拡散し、混入する。成形体に由来する成分は、溶融ガラスが成形体の下端部で融合したときに、この融合によって形成されるガラスリボンの合わせ面に残存することになる。
【0007】
上記のように成形体に由来する成分を含む合わせ面がガラス板に残存していると、ガラス板の機能や強度を損なうおそれがあり、ガラス板の品質低下の原因となる。このため、ガラス板の合わせ面を除去する必要があった。
【0008】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、オーバーフロー成形によって製造されたガラス板の合わせ面を効率良く除去することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明は上記の課題を解決するためのものであり、オーバーフロー成形を行う成形体により溶融ガラスからガラスリボンを成形する成形工程と、前記ガラスリボンからマザーガラス板を切り出す切断工程と、前記マザーガラス板に所定の処理を行うことでガラス板を製造する処理工程と、を備えるガラス板の製造方法であって、前記成形体は、前記溶融ガラスを流下させる一対の側壁面と、前記一対の側壁面を流下する前記溶融ガラスを融合させる下端部と、を有し、前記マザーガラス板の板厚は、150μm以上1300μm以下であり、前記マザーガラス板は、第一主面と、第二主面と、前記第一主面と前記第二主面とを接続する端面と、前記溶融ガラスが前記成形体の前記下端部で融合することにより形成される合わせ面と、を備え、前記処理工程は、前記マザーガラス板の前記第一主面を除去加工する第一除去工程を備え、前記第一除去工程では、前記合わせ面と、前記マザーガラス板の板厚方向における前記第一主面と前記第二主面との中心位置との距離が、前記第一除去工程前よりも大きくなるように、前記マザーガラス板の前記第一主面を除去することを特徴とする。
【0010】
本方法では、処理工程において、合わせ面とガラス板の中心位置との距離が大きくなるように第一除去工程によってマザーガラス板の第一主面を除去することで、合わせ面は、第一主面側に偏って位置することになる。このようにマザーガラス板の板厚方向における合わせ面を第一主面側に偏在させ、例えばマザーガラス板の第一主面と第二主面とに同時にエッチング処理を施すことで、合わせ面をマザーガラス板から効率良く除去することが可能となる。
【0011】
(2) 上記の(1)に記載のガラス板の製造方法において、前記第一除去工程では、前記マザーガラス板の前記第一主面に対してエッチング処理を行ってもよい。これにより、マザーガラス板の加工を精度良く行うことができる。
【0012】
(3) 上記の(1)又は(2)に記載のガラス板の製造方法において、前記第一除去工程では、前記マザーガラス板の前記端面において前記合わせ面に対応する位置に、前記第二主面と平行に延びる溝部を形成してもよい。
【0013】
かかる構成によれば、マザーガラス板の端面に溝部を形成することで、マザーガラス板の板厚方向における合わせ面の位置を確認することができる。
【0014】
(4) 上記の(1)から(3)のいずれかに記載のガラス板の製造方法において、前記第一除去工程では、前記マザーガラス板の前記第一主面に対して機械研磨又は化学機械研磨を行ってもよい。これにより、第一主面を効率良くかつ精度良く加工することができる。
【0015】
(5) 上記の(1)から(4)のいずれかに記載のガラス板の製造方法において、前記マザーガラス板の前記合わせ面と、前記第一除去工程の前における前記マザーガラス板の前記第一主面と前記第二主面との前記中心位置との距離は、10μm未満であってもよい。
【0016】
オーバーフロー成形を行う場合、成形体の一方の側壁面から流下する溶融ガラスと、他方の側壁面から流下する溶融ガラスとでは、その厚さが若干異なる場合がある。この場合、マザーガラス板の合わせ面は、ガラス板の板厚方向における中心位置から離れた位置に形成されることになる。合わせ面の位置とマザーガラス板の中心位置との距離が大きくなると、マザーガラス板の反りや歪が悪化するおそれがある。本方法では、合わせ面の位置とマザーガラス板の中心位置との距離を10μm未満とすることで、マザーガラス板における反りや歪を可及的に低減することができる。なお、「前記マザーガラス板の前記合わせ面と、前記第一除去工程の前における前記マザーガラス板の前記第一主面と前記第二主面との前記中心位置との距離は、10μm未満である」とは、第一除去工程前において、合わせ面と中心位置とが一致している場合も含む。
【0017】
(6) 上記の(1)から(5)のいずれかに記載のガラス板の製造方法において、前記マザーガラス板の前記合わせ面と、前記第一除去工程の後における前記マザーガラス板の前記第一主面と前記第二主面との前記中心位置との距離は、15μm以上であってもよい。
【0018】
かかる構成によれば、マザーガラス板の合わせ面と、第一除去工程の後におけるマザーガラス板の中心位置との距離を15μm以上とすることで、その後に、例えばマザーガラス板の第一主面と第二主面とに同時にエッチング処理を施すことで、合わせ面をマザーガラス板から効率良く除去することが可能となる。
【0019】
(7) 上記の(1)から(6)のいずれかに記載のガラス板の製造方法において、前記処理工程は、前記第一除去工程の前に前記マザーガラス板の前記第二主面に保護フィルムを貼り付ける保護工程と、前記第一除去工程の後に前記第二主面から前記保護フィルムを剥離させる剥離工程と、を備えてもよい。
【0020】
かかる構成によれば、保護工程においてマザーガラス板の第二主面に保護フィルムを貼り付けることで、第一除去工程において、第二主面を保護フィルムによって保護することができる。また、剥離工程によって保護フィルムをマザーガラス板の第二主面から剥離させることで、その後に例えばマザーガラス板の第一主面と第二主面とにエッチング処理を行うことで、合わせ面を効率良く除去することができる。
【0021】
(8) 上記の(1)から(7)のいずれかに記載のガラス板の製造方法において、前記処理工程は、前記第一除去工程の後に前記マザーガラス板の前記第一主面及び前記第二主面に対してエッチング処理を行う第二除去工程をさらに備えてもよい。
【0022】
かかる構成によれば、第一除去工程後に第二除去工程を行うことによって、合わせ面をマザーガラス板から効率良く除去することができる。
【0023】
(9) 上記の(8)に記載のガラス板の製造方法において、前記第二除去工程の後の前記ガラス板の板厚は、10μm以上120μm以下であり、前記第一除去工程の前の前記マザーガラス板の板厚をt0(μm)とし、前記第一除去工程の前の前記マザーガラス板の前記合わせ面と、前記第一主面と前記第二主面との前記中心位置との距離をd1(μm)とし、前記第二除去工程の後の前記マザーガラス板の板厚をt2(μm)とした場合に、前記第一除去工程における除去量δ1(μm)、及び前記第二除去工程における除去量δ2(μm)が式(1)及び式(2)を満たすことができる。
t0=t2+δ1+2δ2 ・・・(1)
(t0/2)+d1<δ1+δ2 ・・・(2)
【0024】
かかる構成によれば、マザーガラス板から合わせ面を確実に除去することができる。
【0025】
(10) 本発明は上記の課題を解決するためのものであり、板厚が90μm以上680μm以下のガラス板であって、除去加工面である第一主面と、火造り面である第二主面と、前記第一主面と前記第二主面とを接続する端面と、前記第一主面と前記第二主面との間で溶融ガラスの融合により構成される合わせ面と、を備え、前記合わせ面は、板厚方向において、前記第一主面と前記第二主面との中心位置から前記第一主面側に15μm以上離れていることを特徴とする。
【0026】
かかる構成によれば、合わせ面が、第一主面と第二主面との中心位置から第一主面側に15μm以上離れていることで、合わせ面をマザーガラス板から効率良く除去することが可能となる。
【0027】
(11) 本発明は上記の課題を解決するためのものであり、板厚が90μm以上680μm以下のガラス板であって、除去加工面である第一主面と、火造り面である第二主面と、前記第一主面と前記第二主面とを接続する端面と、前記第一主面と前記第二主面との間で溶融ガラスの融合により構成される合わせ面と、を備え、前記端面は、前記合わせ面に対応する位置に、前記第一主面と平行に延びる溝部を備え、前記溝部は、板厚方向において、前記第一主面と前記第二主面との中心位置から前記第一主面側に15μm以上離れていることを特徴とする。
【0028】
かかる構成によれば、合わせ面の位置に対応する溝部をガラス板の端面に形成し、溝部の位置を、第一主面と第二主面との中心位置から第一主面側に15μm以上離すことで、合わせ面をマザーガラス板から効率良く除去することが可能となる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、オーバーフロー成形によって製造されたガラス板の合わせ面を効率良く除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図3】ガラス板の製造方法を示すフローチャートである。
【
図5】ガラス板の製造方法における処理工程を示すフローチャートである。
【
図7】処理工程の第一除去工程を示す断面図である。
【
図8】処理工程の剥離工程後のガラス板を示す断面図である。
【
図9】処理工程の第二除去工程後のガラス板を示す断面図である。
【
図10】処理工程前のガラス板と処理工程後のガラス板とを比較する図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。
図1乃至
図10は、本発明に係るガラス板の製造方法の一実施形態を示す。
【0032】
図1は、本方法に使用されるガラス板の製造装置を示す。製造装置は、溶融ガラスGMからガラスリボンGRを連続成形する成形装置1と、ガラスリボンGRからマザーガラス板(以下「第一ガラス板」という)G1を切り出す切断装置2と、を備える。
【0033】
成形装置1は、ガラスリボンGRを成形する成形炉3と、ガラスリボンGRの内部歪を低減するためにガラスリボンGRを徐冷(アニール処理)する徐冷炉4と、ガラスリボンGRを室温付近まで冷却する冷却ゾーン5と、成形炉3、徐冷炉4及び冷却ゾーン5のそれぞれに上下複数段に設けられるローラ対6と、を備えている。ローラ対6は、ガラスリボンGRの幅方向の両端部を挟持し、ガラスリボンGRに適度な張力を付与しながら、ガラスリボンGRを搬送して降下させる。
【0034】
成形炉3の内部空間には、オーバーフローダウンドロー法により溶融ガラスGMからガラスリボンGRを成形する成形体7が配置されている。成形体7は、例えばアルミナ系又はジルコニア系等の耐火煉瓦により構成されているが、成形体7の材質は本実施形態に限定されない。
【0035】
図1及び
図2に示すように、成形体7は、その上部に、溶融ガラスGMを溢れ出させるためのオーバーフロー溝8を有している。この他、成形体7は、溶融ガラスGMを流下させる一対の側壁面9,10と、一対の側壁面9,10を流下する溶融ガラスGMを融合させる下端部11と、を有している。
【0036】
成形装置1によって成形されたガラスリボンGRの幅方向の両端部は、成形過程の収縮等の影響により、幅方向の中央部に比べて厚みが大きい耳部(不要部)を含む。
【0037】
図1に示すように、切断装置2は、成形装置1の下方で縦姿勢のガラスリボンGRを所定の長さ毎に幅方向に切断することにより、ガラスリボンGRから第一ガラス板G1を順次切り出す。
【0038】
切断装置2は、ガラスリボンGRの一方の表面上に幅方向に沿ってスクライブ線SL1を形成するスクライブ装置(図示省略)と、スクライブ線SL1に対応する位置で、ガラスリボンGRの他方の表面を支持する接触部12と、切り出し対象の第一ガラス板G1に対応する部分(スクライブ線SL1より下の部分)のガラスリボンGRを保持し、スクライブ線SL1に曲げ応力を作用させる応力付与部13と、を備えている。
【0039】
スクライブ装置は、例えばホイールカッタを備えている。スクライブ装置は、ホイールカッタに限らず、例えばレーザ照射などの他の方法でスクライブ線SL1を形成するものであってもよい。
【0040】
接触部12は、降下中のガラスリボンGRに追従降下しつつ、ガラスリボンGRの幅方向に沿って、ガラスリボンGRの表面に接触する接触面を有する板状体(定盤)から構成されている。応力付与部13は、ガラスリボンGRの幅方向の両端部を把持する把持部(例えばチャック)を備える。
【0041】
以下、上記構成の製造装置を使用してガラス板を製造する方法について説明する。
図3に示すように、本方法は、成形工程S1と、徐冷工程S2と、冷却工程S3と、切断工程S4と、処理工程S5と、を備える。
【0042】
図1に示すように、成形工程S1では、成形装置1によって溶融ガラスGMからガラスリボンGRを連続成形する。成形体7は、溶融ガラスGMをオーバーフロー溝8から溢れ出させて、当該成形体7の両側の側壁面9,10に沿って流下させる。
【0043】
さらに成形体7は、流下させた溶融ガラスGMを下端部11で融合(合流)させる。これにより、所定の幅を有するガラスリボンGRが成形される。このとき、
図2に示すように、成形体7の一方の側壁面9を流下する溶融ガラスGMと、成形体7の他方の側壁面10を流下する溶融ガラスGMとの融合により、その融合部分がガラスリボンGRの内部に層状の合わせ面Gdとなって残存する。
【0044】
徐冷工程S2では、徐冷炉4内に配されたローラ対6によって、ガラスリボンGRを下方に搬送する。徐冷炉4内では所定の温度勾配が設定されており、ガラスリボンGRは徐冷炉4内を通過することで徐冷される。徐冷工程S2後の冷却工程S3では、ガラスリボンGRは、徐冷炉4の下方に配された冷却ゾーン5を通過しつつ、室温付近まで冷却される。
【0045】
切断工程S4は、第一切断工程及び第二切断工程を含む。第一切断工程では、切断装置2によってガラスリボンGRの中途部を幅方向に沿って切断することで、所定サイズの第一ガラス板G1を切り出す。すなわち、第一切断工程では、下方に移動するガラスリボンGRの中途部にスクライブ装置によって幅方向に沿うスクライブ線SL1を形成し(スクライブ工程)、このスクライブ線SL1に沿ってガラスリボンGRの一部を折割ることで、枚葉状の第一ガラス板G1を形成する(折割工程)。
【0046】
スクライブ工程において、スクライブ装置のホイールカッタは、降下中のガラスリボンGRに追従降下しつつ、ガラスリボンGRの幅方向にスクライブ線SL1を形成する。折割工程において、応力付与部13は、降下中のガラスリボンGRに追従降下しつつ、接触部12を支点としてガラスリボンGRを湾曲させるための動作を行う。この応力付与部13の動作により、スクライブ線SL1に曲げ応力が付与される。その結果、ガラスリボンGRがスクライブ線SL1に沿って幅方向に折り割られ、ガラスリボンGRから第一ガラス板G1が切り出される。
【0047】
第二切断工程では、図示しない切断装置によって、第一ガラス板G1の幅方向の端部(不要部)を切断、除去する。
【0048】
図4は、第二切断工程の後であって、処理工程S5を行う前の第一ガラス板G1を示す。第一ガラス板G1は、第一主面Gaと、第二主面Gbと、第一主面Gaと第二主面Gbとを接続する端面Gcと、合わせ面Gdと、を有する。第一ガラス板G1の板厚t
0の上限値は、好ましくは、1300μm以下であり、より好ましくは700μm以下であり、さらに好ましくは500μm以下である。第一ガラス板G1の板厚t
0の下限値は、好ましくは、150μm以上であり、より好ましくは200μm以上であり、さらに好ましくは250μm以上である。
【0049】
第一ガラス板G1の第一主面Ga及び第二主面Gbは、上記のオーバーフローダウンドロー法により、火造り面として形成される。ここで、「火造り面」とは、成形装置1の成形体7と接触することなく形成された面をいう。このような火造り面は、未研磨であるにもかかわらず、優れた表面性状を有する。
【0050】
図4において、第一主面Gaと第二主面Gbとの中間位置、すなわち、第一ガラス板G1の板厚方向Tにおける中心位置O1を通る中心線を一点鎖線で示す。中心位置O1から第一主面Gaまでの距離は、中心位置O1から第二主面Gbまでの距離と等しい。
【0051】
第一ガラス板G1の合わせ面Gdは、ガラスリボンGRの成形時に形成されたものである。
図4に示すように、合わせ面Gdは、第一ガラス板G1の中心位置O1から離れた位置にある。合わせ面Gdと、中心位置O1との位置のずれは、成形工程S1において、成形体7の一方の側壁面9を流れる溶融ガラスGMの厚さと、他方の側壁面10を流れる溶融ガラスGMの厚さとの違いに起因する。第一ガラス板G1の合わせ面Gdと、第一ガラス板G1の中心位置O1との距離d
1は、好ましくは10μm未満であり、より好ましくは5μm未満である。この例において、合わせ面Gdから第一主面Gaまでの板厚方向Tにおける距離d
2は、合わせ面Gdから第二主面Gbまでの板厚方向Tにおける距離d
3よりも小さい(d
2<d
3)。
【0052】
図5に示すように、処理工程S5は、保護工程S51と、第一除去工程S52と、剥離工程S53と、第二除去工程S54と、を備える。
【0053】
図6に示すように、保護工程S51では、第一除去工程S52を行う前に第一ガラス板G1の第二主面Gbに保護フィルム14を貼り付ける。保護フィルム14としては、例えばポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリイミドフィルム、アクリル系フィルム等の樹脂フィルムが用いられる。
【0054】
第一除去工程S52では、合わせ面Gdと、板厚方向Tにおける第一主面Gaと第二主面Gbとの中心位置O1との距離d1が大きくなるように、第一ガラス板G1の第一主面Gaを除去する。換言すると、第一除去工程S52では、第一ガラス板G1の第一主面Gaと合わせ面Gdとの距離d2が小さくなるように、この第一主面Gaを除去する。
【0055】
本実施形態において、第一ガラス板G1の第一主面Gaを除去する方法として、研磨処理が行われる。研磨処理としては、機械研磨、化学機械研磨、及び化学研磨が挙げられる。本実施形態では、第一ガラス板G1の第一主面Gaを化学研磨(エッチング)により除去する例を示す。
【0056】
第一除去工程S52では、第一ガラス板G1の第一主面Gaに対して例えばウェットエッチング処理を行う。第一ガラス板G1は、例えばエッチング槽に収容されたエッチング液に浸漬される。エッチング液としては、例えばフッ酸、塩酸等を含む酸性水溶液が使用される。このエッチング処理により、第一ガラス板G1の第一主面Ga及び端面Gcが所定のエッチングレートで除去される。一方、第一ガラス板G1の第二主面Gbは、保護フィルム14により保護されているため、エッチング処理が行われない。このため、第二主面Gbは、第一除去工程S52が行われた場合であっても、火造り面の状態を維持する。
【0057】
図7は、第一除去工程S52が行われた後のマザーガラス板(以下「第二ガラス板」という)G2を示す。第二ガラス板G2は、第一除去工程S52によって新たに形成された除去加工面(研磨面)としての第一主面Gaと、火造り面である第二主面Gbと、第一除去工程S52によって新たに形成された端面Gcと、合わせ面Gdと、を備える。
【0058】
図7に示すように、第一除去工程S52によって、第二ガラス板G2の端面Gcにおいて合わせ面Gdに対応する位置に、第一主面Ga及び第二主面Gbと平行に延びる溝部Geが形成される。合わせ面Gdには、成形工程S1において溶融ガラスGMに混入した成形体7に由来する成分(例えばZr)が含まれている。このため、第一除去工程S52では、第一ガラス板G1の端面Gcにおいて、合わせ面Gdが形成されている部分と、その他の部分とで、エッチングレートが異なる。溝部Geは、このエッチングレートの違いに応じて第一ガラス板G1(第二ガラス板G2)の端面Gcの一部に形成される。
【0059】
図7に示すように、第一除去工程S52によって、第二ガラス板G2の第二主面Gbと、端面Gcとの境界部分に第二主面Gbに対して傾斜する傾斜面Gfが形成される。傾斜面Gfは、第一除去工程S52において、保護フィルム14と第一ガラス板G1の第二主面Gbとの間にエッチング液が進入することにより形成されるものである。
【0060】
第二ガラス板G2の板厚t1は、第一ガラス板G1の板厚t0よりも小さい。第二ガラス板G2の板厚t1の上限値は、好ましくは680μm以下であり、より好ましくは400μm以下である。第二ガラス板G2の板厚t1の下限値は、好ましくは90μm以上であり、より好ましくは150μm以上である。
【0061】
溝部Geは、板厚方向Tにおいて、第二ガラス板G2の中心位置O1から第一主面Ga側に15μm以上離れていることが好ましい。溝部Geと第二ガラス板G2の中心位置O1との距離は、第二ガラス板G2の合わせ面Gdと、第一除去工程S52の後における第二ガラス板G2の中心位置O1との距離d1と等しい。この距離d1は、第一除去工程S52の前よりも大きくなっている。距離d1の上限値は、好ましくは300μm以下であり、より好ましくは200μm以下である。距離d1の下限値は、好ましくは15μm以上であり、より好ましくは30μm以上である。
【0062】
第二ガラス板G2において、板厚方向Tにおける合わせ面Gdと第一主面Gaとの距離d2は、第一除去工程S52の前における当該距離d2よりも小さくなっている。一方、第二ガラス板G2において、板厚方向Tにおける合わせ面Gdと第二主面Gbとの距離d3は、第一除去工程S52の前における当該距離d3と等しい。
【0063】
図8に示すように、剥離工程S53では、第一除去工程S52の後に第二ガラス板G2の第二主面Gbから保護フィルム14を剥離させる。剥離工程S53では、保護フィルム14を第二ガラス板G2の第二主面Gbから引きはがしてもよく、保護フィルム14を有機溶剤により除去してもよい。
【0064】
第二除去工程S54では、剥離工程S53の後に、第二ガラス板G2の第一主面Ga、第二主面Gb及び端面Gcに対してエッチング処理を行う。この場合において、第二ガラス板G2を切断することで、小型のガラス板とし、各ガラス板にエッチング処理を施してもよい。また、第二ガラス板G2から傾斜面Gf及び溝部Geを切除してもよい。
【0065】
第二除去工程S54では、第二ガラス板G2をエッチング槽内のエッチング液に浸漬し、第一主面Ga、第二主面Gb及び端面Gcを同一のエッチングレートにより除去する。これにより、第二ガラス板G2から合わせ面Gdが除去される。
【0066】
図9は、第二除去工程S54の後のガラス板(以下「第三ガラス板」という)G3を示す。第三ガラス板G3は、第二除去工程S54により新たに形成された、第一主面Ga、第二主面Gb及び端面Gcを有する。第三ガラス板G3の板厚t
2は、第二ガラス板G2の板厚t
1よりも小さい。第三ガラス板G3の板厚t
2の上限値は、好ましくは120μm以下であり、より好ましくは90μm以下である。第三ガラス板G3の板厚t
2の下限値は、好ましくは10μm以上であり、より好ましくは25μm以上である。
【0067】
この第三ガラス板G3は、例えば、液晶ディスプレイ・プラズマディスプレイ・有機ELディスプレイ等のパネルディスプレイ、太陽電池、リチウムイオン電池、デジタルサイネージ、タッチパネル、電子ペーパー等のデバイスのガラス基板、或いは、スマートフォン、タブレット、ノートブックPC等のモバイルデバイス、特にフォルダブルデバイスに使用される化学強化可能なカバーガラス、あるいは、湾曲可能な薄膜太陽電池や有機EL照明等に使用されるカバーガラス、他には、医療品のガラス容器、窓板ガラス、積層軽量窓ガラスや、デジタルサイネージ用、あるいは保護眼鏡等の保護基板として使用されるガラス樹脂積層体用のガラス等に利用されるが、これらの用途に限定されない。
【0068】
第三ガラス板G3は、例えばアルカリアルミノシリケートガラスであり、ガラス組成として、質量%で、SiO2 50~80%、Al2O3 5~25%、B2O3 0~15%、Na2O 1~20%、K2O 0~10%を含有してもよい。また、当該組成の場合、Li2Oを実質的に含まないことが好ましい。
【0069】
別の組成例として、第三ガラス板G3は、ガラス組成として、質量%で、SiO2 40%~70%、Al2O3 10%~30%、B2O3 0%~3%、Na2O 5%~25%、K2O 0%~5.5%、Li2O 0.1%~10%、MgO 0%~5.5%、P2O5 2%~10%を含有しても良い。
【0070】
この第三ガラス板G3に対しては、第二除去工程S54の後に、化学強化処理(強化工程)が施されてもよい。化学強化処理は、一段階のイオン交換を施すものであってもよく、二段階或いは三段階以上のイオン交換を施すものであってもよい。
【0071】
上記のように、第一ガラス板G1の合わせ面Gdを確実に除去するためには、その合わせ面Gdと中心位置O1との距離d1と、第一除去工程S52における第一主面Gaの除去量δ1と、第二除去工程S54における各主面Ga,Gbの除去量δ2とを好適に制御する必要がある。
【0072】
以下、第一除去工程S52及び第二除去工程S54における合わせ面Gdと中心位置O1との距離d
1と、各主面Ga,Gbの除去量δ
1,δ
2との関係について、
図10を参照しながら説明する。
【0073】
図10(a)は、合わせ面Gdが中心位置O1から第一主面Ga側に離れている第一ガラス板G1に処理工程S5を施した例を示す。
図10(b)は、合わせ面Gdが中心位置O1から第二主面Gb側に離れている第一ガラス板G1に処理工程S5を施した例を示す。
図10(b)に示す例では、第一ガラス板G1の合わせ面Gdから第一主面Gaまでの距離d
2は、合わせ面Gdから第二主面Gbまでの距離d
3よりも大きくなっている。
【0074】
図10(a)(b)に示すように、板厚t
0を有する第一ガラス板G1の第一主面Gaが第一除去工程S52によって除去量δ
1でエッチング処理されることにより、板厚t
1を有する第二ガラス板G2が形成される。すなわち、処理工程S5を行う前の第一ガラス板G1の板厚t
0は、第一除去工程S52の後の第二ガラス板G2の板厚t
1と第一除去工程S52における除去量δ
1との和に等しい(t
0=t
1+δ
1)。
【0075】
板厚t1を有する第二ガラス板G2の第一主面Ga及び第二主面Gbが第二除去工程S54によって同じ除去量δ2でエッチング処理されることにより、板厚t2を有する第三ガラス板G3が形成される。すなわち、処理工程S5を行う前の第一ガラス板G1の板厚t0と、第三ガラス板G3の板厚t2と、各除去工程S52,S54における各除去量δ1,δ2との関係は、以下の式(1)で表される。
t0=t2+δ1+2δ2 ・・・(1)
【0076】
また、処理工程S5を行う前の第一ガラス板G1において、第一主面Ga又は第二主面Gbから合わせ面Gdまでの板厚方向Tにおける距離は、(t0/2)+d1で表される。第一ガラス板G1から合わせ面Gdを除去するためには、各除去工程S52,S54により第一主面Gaから除去されるガラスの量(厚さ)δ1,δ2を、この距離(t0/2)+d1よりも大きくする必要がある。すなわち、第一除去工程S52及び第二除去工程S54によって合わせ面Gdを確実に除去するための条件は、以下の式(2)で表される。
(t0/2)+d1<δ1+δ2 ・・・(2)
【0077】
以上説明した本実施形態によれば、処理工程S5の第一除去工程S52において、合わせ面Gdと第一ガラス板G1の中心位置O1との距離が大きくなるように第一ガラス板G1の第一主面Gaを除去することで、合わせ面Gdは、第一主面Ga側に偏って位置することになる。
【0078】
このように第一ガラス板G1の板厚方向Tにおいて合わせ面Gdを第一主面Ga側に偏在させることで、第二除去工程S54において、第二ガラス板G2の第一主面Gaと第二主面Gbとに同時にエッチング処理を施すことで、合わせ面Gdを第二ガラス板G2から確実かつ効率的に除去することが可能となる。これにより合わせ面Gdが存在しない高強度の第三ガラス板G3を効率良く製造することができる。
【0079】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、上記した作用効果に限定されるものでもない。本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0080】
上記の実施形態では、第一除去工程S52と第二除去工程S54とを同一の加工工場で行う場合について例示したが、本発明はこの構成に限定されない。本方法は、例えば、第一除去工程S52を行った後に、第一除去工程S52を行う加工工場とは別の加工工場(第二除去工程S54を行う工場)に第二ガラス板G2を搬送する搬送工程(輸送工程)を備えてもよい。
【0081】
上記の実施形態では、処理工程S5の第一除去工程S52をエッチング処理により行う例を示したが、本発明はこれに限定されない。第一除去工程S52を機械研磨により行う場合には、砥石等の研磨具によって第一ガラス板G1の第一主面Gaを除去することが可能である。第一除去工程S52を化学機械研磨により行う場合には、酸化セリウム粉等の研磨剤によって第一ガラス板G1の第一主面Gaを除去することが可能である。
【0082】
上記の実施形態では、処理工程S5の第一除去工程S52において、第一ガラス板G1をエッチング槽内のエッチング液に浸漬する例を示したが、本発明はこの構成に限定されない。第一除去工程S52では、第一ガラス板G1を横姿勢又は縦姿勢で搬送しながら、第一ガラス板G1の第一主面Gaにエッチング液をスプレー、シャワー等により塗布してもよい。
【0083】
上記の実施形態では、処理工程S5の第一除去工程S52において、エッチング液として酸性水溶液を使用したが、本発明はこの構成に限定されない。水酸化ナトリウム水溶液や水酸化カリウム水溶液等のアルカリ性水溶液を使用してもよい。
【0084】
上記の実施形態では、第一除去工程S52の前における合わせ面Gdと中心位置O1とが距離d1だけ離れていたが、本発明はこの構成に限定されない。第一除去工程S52の前における合わせ面Gdと中心位置O1とが一致していてもよい。
【符号の説明】
【0085】
7 成形体
9 側壁面
10 側壁面
11 下端部
14 保護フィルム
d1 合わせ面と中心位置との距離
G1 第一ガラス板
G2 第二ガラス板
G3 第三ガラス板
Ga 第一主面
Gb 第二主面
Gc 端面
Gd 合わせ面
Ge 溝部
GM 溶融ガラス
GR ガラスリボン
O1 第一主面と第二主面との中心位置
S1 成形工程
S2 切断工程
S5 処理工程
S51 保護工程
S52 第一除去工程
S53 剥離工程
S54 第二除去工程
T 板厚方向