(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108612
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】NTCサーミスタ素子及び電子部品装置
(51)【国際特許分類】
H01C 7/04 20060101AFI20240805BHJP
H01C 7/18 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
H01C7/04
H01C7/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023013057
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】簗田 壮司
(72)【発明者】
【氏名】八木沼 一郎
(72)【発明者】
【氏名】小椋 俊介
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 駿一
(72)【発明者】
【氏名】内田 雅幸
【テーマコード(参考)】
5E034
【Fターム(参考)】
5E034BA04
5E034BB05
5E034BC02
5E034DA07
5E034DB01
5E034DB04
5E034DC01
(57)【要約】
【課題】熱応答性に優れるNTCサーミスタ素子を提供する。
【解決手段】素体3は、第一方向D1で互いに対向する一対の端面3a,3bと、第二方向D2で互いに対向する一対の側面3c,3dと、第三方向D3で互いに対向する一対の側面と、を含む。各外部電極5,7は、一対の端面3a,3bのうち対応する端面に配置されている。各内部電極9,11は、第二方向D2で互いに対向するように素体3内に配置されていると共に、一対の外部電極5,7のうち対応する外部電極に電気的に接続されている。外部導体20は、一対の外部電極5,7から離間して、素体3上に配置されている。素体3は、第二方向D2で、一対の内部電極9,11の間に位置している素体領域31を含む。外部導体は、側面3cに配置されている導体部分23を含む。素体領域31と、導体部分23とは、第三方向D3で互いに対向する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一方向で互いに対向する一対の端面と、前記第一方向に交差する第二方向で互いに対向する第一側面及び第二側面と、前記第一方向と前記第二方向とに交差する第三方向で互いに対向する第三側面及び第四側面と、を含むサーミスタ素体と、
前記一対の端面のうち対応する端面にそれぞれ配置されている一対の外部電極と、
前記第二方向で互いに対向するように前記サーミスタ素体内に配置されていると共に、前記一対の外部電極のうち対応する外部電極にそれぞれ電気的に接続されている一対の内部電極と、
前記一対の外部電極から離間して、前記サーミスタ素体上に配置されている外部導体と、を備え、
前記サーミスタ素体は、前記第二方向で、前記一対の内部電極の間に位置している素体領域を含み、
前記外部導体は、前記第三側面に配置されている導体部分を含み、
前記素体領域と、前記導体部分とは、前記第三方向で互いに対向する、NTCサーミスタ素子。
【請求項2】
前記外部導体と前記素体領域とを前記第三方向から見たときに、前記素体領域は、前記導体部分の内側に位置している、請求項1に記載のNTCサーミスタ素子。
【請求項3】
前記素体領域と対向するように前記サーミスタ素体内に配置されていると共に、前記導体部分に物理的に接続されている内部導体を更に備える、請求項1に記載のNTCサーミスタ素子。
【請求項4】
前記内部導体は、
前記素体領域に対向すると共に、前記第一方向において、前記素体領域の幅より大きい幅を有する第一部分と、
前記第一部分と前記導体部分とを物理的に連結している第二部分と、を含む、請求項3に記載のNTCサーミスタ素子。
【請求項5】
前記外部導体は、前記第四側面に配置されていると共に前記第三方向で前記素体領域に対向する別の導体部分を含む、請求項1に記載のNTCサーミスタ素子。
【請求項6】
前記素体領域と前記別の導体部分とを前記第三方向から見たときに、前記素体領域は、前記別の導体部分の内側に位置している、請求項5に記載のNTCサーミスタ素子。
【請求項7】
前記素体領域と対向するように前記サーミスタ素体内に配置されていると共に、前記別の導体部分に物理的に接続されている内部導体を更に備える、請求項5に記載のNTCサーミスタ素子。
【請求項8】
前記内部導体は、
前記素体領域に対向すると共に、前記第一方向において、前記素体領域の幅より大きい幅を有する第一部分と、
前記第一部分と前記別の導体部分とを物理的に接続している第二部分と、を含む、請求項7に記載のNTCサーミスタ素子。
【請求項9】
前記サーミスタ素体内に配置されていると共に、前記外部導体に物理的に接続されている内部導体を更に備え、
前記内部導体は、
前記第二方向から見て、前記素体領域を囲むように配置されている第一部分と、
前記第一部分と前記導体部分とを物理的に接続している第二部分と、
前記第一部分と前記別の導体部分とを物理的に接続している第三部分と、を含む、請求項5に記載のNTCサーミスタ素子。
【請求項10】
互いに対向する一対の端面と、前記一対の端面を連結している少なくとも一つの側面と、を含むサーミスタ素体と、
前記一対の端面のうち対応する端面にそれぞれ配置されている一対の外部電極と、
互いに対向するように前記サーミスタ素体内に配置されていると共に、それぞれが前記一対の外部電極のうち対応する外部電極に電気的に接続されている一対の内部電極と、
前記一対の外部電極から離間して、前記素体上に配置されている外部導体と、を備え、
前記サーミスタ素体は、前記一対の内部電極が互いに対向する方向で、前記一対の内部電極の間に位置している素体領域を含み、
前記外部導体は、前記少なくとも一つの側面に配置されている導体部分を含み、
前記素体領域と、前記導体部分とは、互いに対向する、NTCサーミスタ素子。
【請求項11】
請求項1又は10に記載の前記NTCサーミスタ素子と、
前記NTCサーミスタ素子が実装される電子機器と、を備え、
前記電子機器は、
それぞれに前記一対の外部電極のうち対応する外部電極が電気的かつ物理的に接続されている一対の導体と、
前記外部導体が物理的に接続されている熱伝導体と、を含む、電子部品装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、NTC(Negative Temperature Coefficient)サーミスタ素子及び電子部品装置に関する。
【背景技術】
【0002】
知られているNTCサーミスタ素子は、サーミスタ素体と、サーミスタ素体上の一対の外部電極と、サーミスタ素体内の一対の内部電極と、を備える(たとえば、特許文献1参照)。サーミスタ素体は、第一方向で互いに対向する一対の端面を含む。一対の外部電極のそれぞれは、一対の端面のうち対応する端面に配置されている。一対の内部電極は、第一方向に交差する第二方向で互いに対向する。一対の内部電極のそれぞれは、一対の外部電極のうち対応する外部電極に電気的に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一つの態様は、熱応答性に優れるNTCサーミスタ素子を提供することを目的とする。本発明の別の一つの態様は、熱応答性に優れるNTCサーミスタ素子を提供することを目的とする。本発明の更に別の一つの態様は、熱応答性に優れるNTCサーミスタ素子に熱を確実に伝える電子部品装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一つの態様に係るNTCサーミスタ素子は、第一方向で互いに対向する一対の端面と、第一方向に交差する第二方向で互いに対向する第一側面及び第二側面と、第一方向と第二方向とに交差する第三方向で互いに対向する第三側面及び第四側面と、を含むサーミスタ素体と、一対の端面のうち対応する端面にそれぞれ配置されている一対の外部電極と、第二方向で互いに対向するようにサーミスタ素体内に配置されていると共に、一対の外部電極のうち対応する外部電極にそれぞれ電気的に接続されている一対の内部電極と、一対の外部電極から離間して、サーミスタ素体上に配置されている外部導体と、を備える。サーミスタ素体は、第二方向で、一対の内部電極の間に位置している素体領域を含む。外部導体は、第三側面に配置されている導体部分を含む。素体領域と、導体部分とは、第三方向で互いに対向する。
【0006】
上記一つの態様では、外部導体が、サーミスタ素体上に配置されている。したがって、熱源からの熱が、外部導体を通して、サーミスタ素体に伝わりやすい。
第三側面と第四側面とは、一対の内部電極が互いに対向する第二方向に交差する第三方向で互いに対向する。第三側面は、サーミスタ素体が含むと共に一対の内部電極の間に位置している素体領域に、直接的に対向する傾向にある。素体領域は、NTCサーミスタ素子の特性に寄与する。外部導体が含む導体部分は、第三側面に配置されていると共に、素体領域と第三方向で対向する。したがって、導体部分から素体領域に、熱が伝わりやすい。この結果、上記一つの態様は、熱応答性に優れる。
【0007】
上記一つの態様では、外部導体と素体領域とを第三方向から見たときに、素体領域は、導体部分の内側に位置してもよい。
素体領域と導体部分とが上述したように位置する構成は、熱を導体部分から素体領域に確実に伝えやすい。したがって、本構成は、熱応答性により一層優れる。
【0008】
上記一つの態様では、素体領域と対向するようにサーミスタ素体内に配置されていると共に、導体部分に物理的に接続されている内部導体を備えてもよい。
上記内部導体を含む構成では、熱源からの熱は、導体部分及び内部導体を通して、素体領域に伝わりやすい。本構成では、内部導体は、素体領域と対向する。したがって、熱が、内部導体から素体領域に確実に伝わりやすい。この結果、本構成は、熱応答性により一層優れる。
【0009】
上記一つの態様では、内部導体は、素体領域に対向すると共に、第一方向において、素体領域の幅より大きい幅を有する第一部分と、第一部分と導体部分とを物理的に連結している第二部分と、を含んでもよい。
内部導体が上記第一及び第二部分を含む構成では、熱源からの熱は、導体部分から、第二部分と第一部分とを通して、素体領域に伝わりやすい。本構成では、第一部分の幅は、素体領域の幅より大きい。したがって、熱が、第一部分から素体領域に確実に伝わりやすい。この結果、本構成は、熱応答性により一層優れる。
【0010】
上記一つの態様では、外部導体は、第四側面に配置されていると共に第三方向で素体領域に対向する別の導体部分を含んでもよい。
第四側面は、素体領域に、直接的に対向する傾向にある。外部導体が上記別の導体部分を含む構成では、熱が、別の導体部分からも素体領域に伝わりやすい。したがって、本構成は、熱応答性により一層優れる。
【0011】
上記一つの態様では、素体領域と別の導体部分とを第三方向から見たときに、素体領域は、別の導体部分の内側に位置してもよい。
素体領域と別の導体部分とが上述したように位置する構成は、熱を別の導体部分から素体領域に確実に伝えやすい。したがって、本構成は、熱応答性により一層優れる。
【0012】
上記一つの態様では、素体領域と対向するようにサーミスタ素体内に配置されていると共に、別の導体部分に物理的に接続されている内部導体を備えてもよい。
上記内部導体を含む構成では、熱源からの熱は、別の導体部分及び内部導体を通して、素体領域に伝わりやすい。本構成では、内部導体は、素体領域と対向する。したがって、熱が、内部導体から素体領域に確実に伝わりやすい。この結果、本構成は、熱応答性により一層優れる。
【0013】
上記一つの態様では、内部導体は、素体領域に対向すると共に、第一方向において、素体領域の幅より大きい幅を有する第一部分と、第一部分と別の導体部分とを物理的に接続している第二部分と、を含んでもよい。
内部導体が上記第一及び第二部分を含む構成では、熱源からの熱は、別の導体部分から、第二部分と第一部分とを通して、素体領域に伝わりやすい。本構成では、第一部分の幅は、素体領域の幅より大きい。したがって、熱が、第一部分から素体領域に確実に伝わりやすい。この結果、本構成は、熱応答性により一層優れる。
【0014】
上記一つの態様では、サーミスタ素体内に配置されていると共に、外部導体に物理的に接続されている内部導体を備え、内部導体は、第二方向から見て、素体領域を囲むように配置されている第一部分と、第一部分と導体部分とを物理的に接続している第二部分と、第一部分と別の導体部分とを物理的に接続している第三部分と、を含んでもよい。
内部導体が上記第一、第二、及び第三部分を含む構成では、熱源からの熱は、導体部分から、第二部分と第一部分とを通して、素体領域に伝わりやすく、別の導体部分から、第三部分と第一部分とを通して、素体領域に伝わりやすい。本構成では、第一部分は、素体領域を囲んでいる。したがって、熱が、第一部分から素体領域に確実に伝わりやすい。この結果、本構成は、熱応答性により一層優れる。
【0015】
本発明の別の一つの態様に係るNTCサーミスタ素子は、互いに対向する一対の端面と、一対の端面を連結している少なくとも一つの側面と、を含むサーミスタ素体と、一対の端面のうち対応する端面にそれぞれ配置されている一対の外部電極と、互いに対向するように前記サーミスタ素体内に配置されていると共に、それぞれが一対の外部電極のうち対応する外部電極に電気的に接続されている一対の内部電極と、一対の外部電極から離間して、素体上に配置されている外部導体と、を備える。サーミスタ素体は、一対の内部電極が互いに対向する方向で、一対の内部電極の間に位置している素体領域を含む。外部導体は、少なくとも一つの側面に配置されている導体部分を含む。素体領域と、導体部分とは、互いに対向する。
【0016】
上記別の一つの態様では、外部導体が、サーミスタ素体上に配置されている。したがって、熱源からの熱が、外部導体を通して、サーミスタ素体に伝わりやすい。
外部導体が含む導体部分は、素体領域と第三方向で対向する。したがって、導体部分から素体領域に、熱が伝わりやすい。この結果、上記別の一つの態様は、熱応答性に優れる。
【0017】
本発明の更に別の一つの態様に係る電子部品装置は、上記NTCサーミスタ素子と、NTCサーミスタ素子が実装される電子機器と、を備える。電子機器は、それぞれに一対の外部電極のうち対応する外部電極が電気的かつ物理的に接続されている一対の導体と、外部導体が物理的に接続されている熱伝導体と、を含む。
上記更に別の一つの態様では、熱源からの熱が、熱伝導体を通して外部導体に伝わりやすい。したがって、上記更に別の一つの態様は、熱を、熱応答性に優れる上記NTCサーミスタ素子に確実に伝える。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一つの態様は、熱応答性に優れるNTCサーミスタ素子を提供する。本発明の別の一つの態様は、熱応答性に優れるNTCサーミスタ素子を提供する。本発明の更に別の一つの態様は、熱応答性に優れるNTCサーミスタ素子に熱を確実に伝える電子部品装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】一実施形態に係るNTCサーミスタ素子を示す斜視図である。
【
図2】本実施形態に係るNTCサーミスタ素子の断面構成を示す図である。
【
図3】本実施形態に係るNTCサーミスタ素子の断面構成を示す図である。
【
図4】本実施形態に係るNTCサーミスタ素子の断面構成を示す図である。
【
図5】本実施形態の第一変形例に係るNTCサーミスタ素子の断面構成を示す図である。
【
図6】本実施形態の第一変形例に係るNTCサーミスタ素子の断面構成を示す図である。
【
図7】本実施形態の第一変形例に係るNTCサーミスタ素子の断面構成を示す図である。
【
図8】本実施形態の第二変形例に係るNTCサーミスタ素子を示す斜視図である。
【
図9】本実施形態の第三変形例に係るNTCサーミスタ素子を示す斜視図である。
【
図10】本実施形態に係る電子部品装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0021】
図1~
図4を参照して、本実施形態に係るNTCサーミスタ素子T1の構成を説明する。
図1は、本実施形態に係るNTCサーミスタ素子を示す斜視図である。
図2~
図4は、本実施形態に係るNTCサーミスタ素子の断面構成を示す図である。
図2~
図4では、ハッチングが省略されている。
【0022】
図1~
図4に示されるように、NTCサーミスタ素子T1は、素体3と、被覆層4と、複数の外部電極5,7と、複数の内部電極9,11と、外部導体20と、を備える。素体3は、たとえば、直方体形状を呈する。被覆層4は、素体3上に配置されている。複数の外部電極5,7は、被覆層4上に配置されている。複数の外部電極5,7は、素体3上に、間接的に配置されている。複数の外部電極5,7は、素体3上に、直接的に配置されていてもよい。NTCサーミスタ素子T1は、たとえば、一対の外部電極5,7を備える。一対の外部電極5,7は、素体3上に配置されている。一対の外部電極5,7は、互いに離間している。NTCサーミスタ素子T1は、たとえば、一対の複数の内部電極9,11を備える。一対の複数の内部電極9,11は、素体3内に配置されている。直方体形状は、角部及び稜線部が面取りされている直方体の形状、又は、角部及び稜線部が丸められている直方体の形状を含む。
【0023】
素体3は、一対の端面3a,3bと、一対の側面3c,3dと、一対の側面3e,3fと、を含む。素体3の表面は、端面3a,3b及び四つの側面3c,3d,3e,3fを含む。端面3a,3b及び四つの側面3c,3d,3e,3fのそれぞれは、矩形状を呈する。矩形状は、たとえば、各角が面取りされている形状、又は、各角が丸められている形状を含む。
一対の端面3a,3bは、第一方向D1で互いに対向する。一対の側面3c,3dは、第二方向D2で互いに対向する。一対の側面3e,3fは、第三方向D3で互いに対向する。第一方向D1は、第二方向D2に交差すると共に、第三方向D3に交差する。第一方向D1は、たとえば、第二方向D2に直交すると共に、第三方向D3に直交する。第二方向D2は、第三方向D3に交差する。第二方向D2は、たとえば、第三方向D3に直交する。
たとえば、側面3eが第一側面を含む場合、側面3fが第二側面を含んでもよく、側面3cが第三側面を含んでもよく、側面3dが第四側面を含んでもよい。
【0024】
一対の端面3a,3bのそれぞれは、一対の側面3c,3dを連結するように第二方向D2に延在していると共に、一対の側面3e,3fを連結するように第三方向D3に延在している。一対の側面3c,3dのそれぞれは、一対の端面3a,3bを連結するように第一方向D1に延在していると共に、一対の側面3e,3fを連結するように第三方向D3に延在している。一対の側面3e,3fのそれぞれは、一対の端面3a,3bを連結するように第一方向D1に延在していると共に、一対の側面3c,3dを連結するように第二方向D2に延在している。一対の端面3a,3bのそれぞれは、四つの側面3c,3d,3e,3fと隣り合う。一対の側面3c,3dのそれぞれは、一対の側面3e,3fと隣り合う。一対の端面3a,3bのそれぞれは、四つの側面3c,3d,3e,3fのそれぞれと間接的に隣り合ってもよい。一対の側面3c,3dのそれぞれは、側面3e,3fと間接的に隣り合ってもよい。
【0025】
素体3は、第二方向D2に複数のサーミスタ層が積層されて構成されている。複数のサーミスタ層の積層方向は、第二方向D2と一致する。素体3は、積層されている複数のサーミスタ層を含む。各サーミスタ層は、たとえば、NTCサーミスタ材料を含むセラミックグリーンシートの焼結体を含む。NTCサーミスタ材料は、たとえば、半導体セラミック材料を含む。NTCサーミスタ材料は、スピネル構造を有する複合酸化物を主成分として含む。複合酸化物は、たとえば、Mn、Ni、Co、及び、Feを含む遷移金属元素の中から選ばれる2種あるいはそれ以上の元素を含む。本実施形態では、NTCサーミスタ材料は、たとえば、Mn3О4粉末、NiО粉末、及びCо3О4粉末を含む。素体3は、サーミスタ素体を含む。
【0026】
NTCサーミスタ材料は、副成分を含んでもよい。副成分は、たとえば、Cu、Al、又はZrを含む。副成分を含むNTCサーミスタ材料は、たとえば、NTCサーミスタの特性を向上する。本実施形態では、副成分は、少なくともZrを含む。主成分及び副成分の組成、並びに、含有量は、NTCサーミスタ素子T1に求められる特性に応じて設定される。実際の素体3では、各サーミスタ層は、各サーミスタ層の間の境界が視認できない程度に一体化されている。
【0027】
NTCサーミスタ素子T1は、たとえば、JIS表示での2012サイズを有する。JIS表示での2012サイズは、EIA表示での0805サイズと対応する。素体3の第二方向D2での長さは、たとえば、約1.2mmである。素体3の第一方向D1での長さは、たとえば、約2.0mmである。素体3の第三方向D3での長さは、たとえば、約1.2mmである。
【0028】
図2及び
図3に示されるように、被覆層4は、素体3の表面上に、直接的に配置されている。被覆層4は、一対の端面3a,3b上と、四つの側面3c,3d,3e,3f上とに形成されている。被覆層4は、素体3の表面を覆っている。本実施形態では、素体3の表面の略全体を覆っている。被覆層4は、ガラス材料を含む。被覆層4の厚さは、たとえば、0.01~0.5μmである。本実施形態では、被覆層4の厚さは、約0.15μmである。ガラス材料は、たとえば、SiO
2-Al
2O
3-LiO
2系結晶化ガラスを含む。ガラス材料は、非晶質ガラスを含んでもよい。NTCサーミスタ素子T1は、被覆層4を備えなくてもよい。
【0029】
図1に示されるように、一対の外部電極5,7は、たとえば、素体3の第一方向D1での両端部にそれぞれ配置されている。一対の外部電極5,7は、
図2~
図4に示されるように、被覆層4上に配置されている。被覆層4は、各外部電極5,7で覆われている部分と、各外部電極5,7から露出している部分とを含む。
外部電極5は、端面3aに配置されている。外部電極7は、端面3bに配置されている。各外部電極5,7は、一対の端面3a,3bのうち対応する端面に配置されている。外部電極5,7は、第一方向D1で、互いに離間すると共に互いに対向する。
外部電極5は、たとえば、端面3a上と、四つの側面3c,3d,3e,3fの各一部上とに配置されている。各側面3c,3d,3e,3fの上記一部は、各側面3c,3d,3e,3fにおける端面3a寄りの一部領域である。本実施形態では、外部電極5は、端面3aの全体を覆っている。
外部電極7は、たとえば、端面3b上と、四つの側面3c,3d,3e,3fの各一部上とに配置されている。各側面3c,3d,3e,3fの上記一部は、各側面3c,3d,3e,3fにおける端面3b寄りの一部領域である。本実施形態では、外部電極7は、端面3bの全体を覆っている。
【0030】
図2及び
図3に示されるように、一対の内部電極9,11は、互いに対向するように素体3内に配置されている。一対の内部電極9,11は、たとえば、第二方向D2で互いに対向する。一対の内部電極9,11は、第二方向D2で互いに離間している。
各内部電極9,11は、第二方向D2から見て、たとえば、矩形状を呈する。各内部電極9,11において、たとえば、第一方向D1での長さは、第三方向D3での長さより大きい。内部電極9の大きさと内部電極11の大きさとは、たとえば、略同一である。
【0031】
内部電極9は、第二方向D2で互い対向する一対の面を含む。内部電極9が含む一対の面のうち一方の面は、側面3cと対向する。内部電極9が含む一対の面のうち他方の面は、内部電極11と対向する。内部電極9は、端面3aから露出している端部を含む。内部電極9が含む端部は、端面3aから突出していると共に、被覆層4を貫通している。内部電極9が含む端部は、被覆層4から露出している部分を含む。内部電極9は、上記端部を除き、素体3内に位置している。
内部電極11は、第二方向D2で互い対向する一対の面を含む。内部電極11が含む一対の面のうち一方の面は、側面3dと対向する。内部電極11が含む一対の面のうち他方の面は、内部電極9と対向する。内部電極11は、端面3bから露出している端部を含む。内部電極11が含む端部は、端面3bから突出していると共に、被覆層4を貫通している。内部電極11が含む端部は、被覆層4から露出している部分を含む。内部電極11は、上記端部を除き、素体3内に位置している。
【0032】
内部電極9は、被覆層4から露出している上記部分にて、外部電極5と接続されている。内部電極9は、外部電極5と、物理的かつ電気的に接続されている。内部電極11は、被覆層4から露出している上記部分にて、外部電極7と接続されている。内部電極11は、外部電極5と、物理的かつ電気的に接続されている。一対の内部電極9,11のそれぞれは、一対の外部電極5,7のうち対応する外部電極に電気的に接続されている。
被覆層4を備えないNTCサーミスタ素子T1では、内部電極9が含む端部は、端面3aから突出していなくてもよく、内部電極11が含む端部は、端面3bから突出していなくてもよい。この場合でも、内部電極9は、外部電極5と、物理的かつ電気的に接続されると共に、内部電極11は、外部電極7と、物理的かつ電気的に接続される。
【0033】
各内部電極9,11は、積層型電子部品の内部導体として通常用いられる導電性材料からなる。導電性材料は、たとえば、貴金属又は貴金属合金を含む。貴金属は、たとえば、Ag、Pd、Au、又はPtを含む。貴金属合金は、たとえば、Ag-Pd合金を含む。導電性材料は、卑金属又は卑金属合金を含んでもよい。卑金属は、たとえば、Cu又はNiを含む。各内部電極9,11は、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成されている。
【0034】
図2~
図4に示されるように、素体3は、素体領域31と、素体領域33とを含む。素体領域31は、第二方向D2で、一対の内部電極9,11の間に位置している。素体領域31は、素体3内に位置し、素体3の表面から離間している。素体領域33は、素体領域31の外側に位置し、素体3の表面を含む。素体領域33は、端面3a,3b及び四つの側面3c,3d,3e,3fを含む。素体領域31は、主として、NTCサーミスタ素子T1の特性に寄与する。
素体領域31は、第二方向D2で、内部電極9と内部電極11とに重なっている。素体領域31は、内部電極9と内部電極11とに接している。素体領域31は、たとえば、内部電極9と内部電極11とに直接的に接している。素体領域31は、一対の内部電極9,11のそれぞれが含む上記他方の面に接している。一対の内部電極9,11のそれぞれが含む上記他方の面は、素体領域31に接している領域と、素体領域33に接している領域とを含む。素体領域31は、一対の内部電極9,11のそれぞれが含む上記一方の面に接していない。素体領域31は、たとえば、略柱体形状を呈している。略柱体形状は、たとえば、略角柱形状、略円柱形状、又は、略錐台形状を含む。略角柱形状は、たとえば、略直方体形状を含む。
【0035】
素体領域31は、たとえば、第一~第四仮想面で囲まれる。第一仮想面は、内部電極9に直交すると共に、内部電極11の第一方向D1での端縁に接する。第二仮想面は、内部電極11に直交すると共に、内部電極9の第一方向D1での端縁に接する。第三仮想面は、一対の内部電極9,11のそれぞれが含むと共に側面3eと対向する端縁に接している。第四仮想面は、一対の内部電極9,11のそれぞれが含むと共に側面3fと対向する端縁に接している。
素体領域31の第一方向D1での長さは、たとえば、第一方向D1における、内部電極9の上記端縁と内部電極11の上記端縁との間隔である。素体領域31の第二方向D2での長さは、たとえば、一対の内部電極9,11の間隔である。素体領域31の第三方向D3での長さは、たとえば、各内部電極9,11の上記第三方向D3長さである。
【0036】
図1~
図4に示されるように、外部導体20は、被覆層4上に配置されている。外部導体20は、素体3上に、間接的に配置されている。外部導体20は、素体3上に、直接的に配置されていてもよい。外部導体20は、一対の外部電極5,7から離間している。外部導体20は、第一方向D1において、一対の外部電極5,7の間に位置している。
外部導体20は、たとえば、複数の導体部分21,23を含む。外部導体20は、たとえば、一対の導体部分21,23を含む。一対の導体部分21,23は、互いに離間しており、第三方向D3で互いに対向する。外部導体20は、複数の導体部分21,23のうち一つの導体部分のみを含んでもよい。外部導体20は、一対の導体部分21,23のうちいずれか一方のみを含んでもよい。
【0037】
導体部分21は、側面3e上に配置されている。導体部分21は、側面3c上に配置されていてもよく、側面3d上に配置されていてもよい。本実施形態では、導体部分21は、側面3cの一部上と、側面3dの一部上とに配置されている。導体部分21は、素体領域31と対向する。導体部分21と素体領域31とは、たとえば、第三方向D3で互いに対向する。導体部分21と素体領域31とを第三方向D3から見たときに、素体領域31は、導体部分21の内側に位置している。導体部分21と素体領域31とを第三方向D3から見たときに、素体領域31の全体は、導体部分21の外縁の内側に位置している。
【0038】
導体部分23は、側面3f上に配置されている。導体部分23は、側面3c上に配置されていてもよく、側面3d上に配置されていてもよい。本実施形態では、導体部分23は、側面3cの一部上と、側面3dの一部上とに配置されている。導体部分23は、素体領域31と対向する。導体部分23と素体領域31とは、たとえば、第三方向D3で互いに対向する。導体部分23と素体領域31とを第三方向D3から見たときに、素体領域31は、導体部分23の内側に位置している。導体部分23と素体領域31とを第三方向D3から見たときに、素体領域31の全体は、導体部分23の外縁の内側に位置している。
【0039】
NTCサーミスタ素子T1は、たとえば、内部導体40を備える。内部導体40は、素体3内に配置されている。内部導体40は、素体領域33内に配置されており、素体領域31内には配置されていない。内部導体40は、素体領域31と対向するように素体3内に配置されている。内部導体40は、たとえば、複数の内部導体41,43を含む。内部導体40は、たとえば、少なくとも一つの内部導体41と、少なくとも一つの内部導体43を含む。NTCサーミスタ素子T1は、内部導体40を備えなくてもよい。
内部導体41は、素体領域31と第三方向D3で対向すると共に、導体部分21に物理的に接続されている。内部導体43は、素体領域31と第三方向D3で対向すると共に、導体部分23に物理的に接続されている。各内部導体41,43は、素体領域31から離間しており、素体領域31内に位置する部分を含まない。各内部導体41,43は、第二方向D2において、各内部電極9,11とは異なる位置(層)に位置する。各内部導体41,43は、第二方向D2において、互いに異なる位置(層)に位置していてもよい。
【0040】
各内部導体41は、部分41aと部分41bとを含む。部分41aは、素体領域31に対向すると共に、第一方向D1において、素体領域31の幅より大きい幅を有する。部分41aは、第三方向D3から見て、素体領域31の少なくとも一部と重なっている。本実施形態では、部分41aは、第三方向D3から見て、素体領域31の全体と重なっている。部分41aは、たとえば、第三方向D3から見て、素体領域31と重なっている第一領域と、第一領域の両側に位置している一対の第二領域と、を含む。一対の第二領域は、第三方向D3から見て、素体領域31と重なっていない。一対の第二領域は、素体領域31と第三方向D3で対向していない。
部分41bは、部分41aと導体部分21とを物理的に連結している。部分41bは、部分41aと導体部分21とに物理的に接続されている。部分41bは、部分41aに接続されている端と、導体部分21に接続されている端とを含む。導体部分21に接続されている端は、側面3eに露出している。部分41bの第一方向D1での長さは、導体部分21の第一方向D1での長さより小さい。各部分41a,41bは、第二方向D2から見て、たとえば、矩形状を呈する。部分41aの第一方向D1での長さは、部分41bの第一方向D1での長さより大きい。部分41aの第一方向D1での長さは、部分41bの第一方向D1での長さと同等でもよい。部分41aと部分41bとは、一体に形成されている。
たとえば、部分41aが、第一部分を含む場合、部分41bは、第二部分を含む。
【0041】
各内部導体43は、部分43aと部分43bとを含む。部分43aは、素体領域31に対向すると共に、第一方向D1において、素体領域31の幅より大きい幅を有する。部分43aは、第三方向D3から見て、素体領域33の少なくとも一部と重なっている。本実施形態では、部分43aは、第三方向D3から見て、素体領域31の全体と重なっている。部分43aは、たとえば、第三方向D3から見て、素体領域31と重なっている第三領域と、第三領域の両側に位置している一対の第四領域と、を含む。一対の第四領域は、第三方向D3から見て、素体領域31と重なっていない。一対の第四領域は、素体領域31と第三方向D3で対向していない。
部分43bは、部分43aと導体部分23とを物理的に連結している。部分43bは、部分43aと導体部分23とに物理的に接続されている。部分43bは、部分43aに接続されている端と、導体部分23に接続されている端とを含む。導体部分23に接続されている端は、側面3fに露出している。部分43bの第一方向D1での長さは、導体部分23の第一方向D1での長さより小さい。各部分43a,43bは、第二方向D2から見て、たとえば、矩形状を呈する。部分43aの第一方向D1での長さは、部分43bの第一方向D1での長さより大きい。部分43aの第一方向D1での長さは、部分43bの第一方向D1での長さと同等でもよい。部分43aと部分43bとは、一体に形成されている。
たとえば、部分43aが、第一部分を含む場合、部分43bは、第二部分を含む。
【0042】
外部電極5,7及び外部導体20のそれぞれは、たとえば、焼結金属層を含む。焼結金属層は、導電性ペーストを焼き付けることにより形成される。焼結金属層は、導電性ペーストに含まれる金属成分(金属粉末)が焼結することにより形成される。焼結金属層は、貴金属又は貴金属合金を含む。貴金属は、たとえば、Ag、Pd、Au、又はPtを含む。貴金属合金は、たとえば、Ag-Pd合金を含む。焼結金属層は、卑金属又は卑金属合金を含んでもよい。卑金属は、たとえば、Cu又はNiを含む。導電性ペーストは、たとえば、上述した種類の金属粉末、ガラス成分、有機バインダ、及び有機溶剤を含む。
【0043】
外部電極5,7及び外部導体20のそれぞれは、めっき層を含んでもよい。めっき層は、焼結金属層上に形成される。めっき層は、二層構造を有してもよい。めっき層が二層構造を有する構成では、第一層は、たとえば、Niめっき層、Snめっき層、Cuめっき層、又はAuめっき層を含む。第一層上に形成される第二層は、たとえば、Snめっき層、Sn-Ag合金めっき層、Sn-Bi合金めっき層、又はSn-Cu合金めっき層を含む。めっき層は、三層以上の層構造を有してもよい。外部電極5,7及び外部導体20のそれぞれの厚さは、たとえば、50~100μmである。
【0044】
内部電極9,11及び内部導体40のそれぞれは、積層型電子部品の内部導体として通常用いられる導電性材料からなる。導電性材料は、たとえば、貴金属又は貴金属合金を含む。貴金属は、たとえば、Ag、Pd、Au、又はPtを含む。貴金属合金は、たとえば、Ag-Pd合金を含む。導電性材料は、卑金属又は卑金属合金を含んでもよい。卑金属は、たとえば、Cu又はNiを含む。内部電極9,11及び内部導体40のそれぞれは、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成されている。内部電極9,11及び内部導体40のそれぞれの厚さは、たとえば、0.5~5μmである。
【0045】
NTCサーミスタ素子T1では、外部導体20が、素体3上に配置されている。したがって、熱源からの熱が、外部導体20を通して、素体3に伝わりやすい。
側面3eと側面3fとは、第三方向D3で互いに対向する。側面3eは、素体領域31に、直接的に対向する傾向にある。素体領域31は、上述したように、NTCサーミスタ素子T1の特性に寄与する。外部導体20が含む導体部分21は、側面3eに配置されていると共に、素体領域31と第三方向D3で対向する。したがって、導体部分21から素体領域31に、熱が伝わりやすい。この結果、NTCサーミスタ素子T1は、熱応答性に優れる。
【0046】
NTCサーミスタ素子T1では、外部導体20と素体領域31とを第三方向D3から見たときに、素体領域31は、導体部分21の内側に位置している。
したがって、NTCサーミスタ素子T1は、熱を導体部分21から素体領域31に確実に伝えやすい。この結果、NTCサーミスタ素子T1は、熱応答性により一層優れる。
【0047】
NTCサーミスタ素子T1は、内部導体41を含む。
熱源からの熱は、導体部分21及び内部導体41を通して、素体領域31に伝わりやすい。内部導体41は、素体領域31と対向する。したがって、熱が、内部導体41から素体領域31に確実に伝わりやすい。この結果、NTCサーミスタ素子T1は、熱応答性により一層優れる。
【0048】
NTCサーミスタ素子T1では、内部導体41は、部分41aと部分41bとを含む。
熱源からの熱は、導体部分21から、部分41bと部分41aとを通して、素体領域31に伝わりやすい。部分41aの幅は、素体領域31の幅より大きい。したがって、熱が、部分41aから素体領域31に確実に伝わりやすい。この結果、NTCサーミスタ素子T1は、熱応答性により一層優れる。
【0049】
NTCサーミスタ素子T1では、外部導体20は、導体部分23を含む。
側面3fは、素体領域31に、直接的に対向する傾向にある。導体部分23は、側面3fに配置されていると共に、素体領域31と第三方向D3で対向する。したがって、熱が、導体部分23からも素体領域31に伝わりやすい。この結果、NTCサーミスタ素子T1は、熱応答性により一層優れる。
【0050】
NTCサーミスタ素子T1では、導体部分23と素体領域31とを第三方向D3から見たときに、素体領域31は、導体部分23の内側に位置している。
したがって、NTCサーミスタ素子T1は、熱を導体部分23から素体領域31に確実に伝えやすい。したがって、NTCサーミスタ素子T1は、熱応答性により一層優れる。
【0051】
NTCサーミスタ素子T1は、内部導体43を含む。
熱源からの熱は、導体部分23及び内部導体43を通して、素体領域31に伝わりやすい。内部導体43は、素体領域31と対向する。したがって、熱が、内部導体43から素体領域31に確実に伝わりやすい。この結果、NTCサーミスタ素子T1は、熱応答性により一層優れる。
【0052】
NTCサーミスタ素子T1では、内部導体43は、部分43aと部分43bとを含む。
熱源からの熱は、導体部分23から、部分43bと部分43aとを通して、素体領域31に伝わりやすい。部分43aの幅は、素体領域31の幅より大きい。したがって、熱が、部分43aから素体領域31に確実に伝わりやすい。この結果、NTCサーミスタ素子T1は、熱応答性により一層優れる。
【0053】
図5、
図6及び
図7を参照しながら、本実施形態の第一変形例に係るNTCサーミスタ素子T1について説明する。
図5~
図7は、第一変形例に係るNTCサーミスタ素子の断面構成を示す図である。
図5~
図7では、ハッチングが省略されている。第一変形例に係るNTCサーミスタ素子T1は、内部導体40の構成を除いて、上述した実施形態に係るNTCサーミスタ素子T1と同一の構成を有している。
【0054】
第一変形例に係るNTCサーミスタ素子T1では、内部導体40は、互いに連結されている内部導体41,43を含む。互いに連結されている内部導体41,43は、第二方向D2において、同じ位置(層)に位置している。内部導体40は、内部導体41と内部導体43とを物理的に連結している、少なくとも一つの部分45を含む。内部導体40は、一対の部分45を含んでもよい。内部導体40は、一対の導体部分21,23を物理的に連結している。部分41a,41bと、部分43a,43bと、部分45とは一体に形成されている。
【0055】
内部導体40は、内部導体41が含む部分41a,41bと、内部導体43が含む部分43a,43bと、部分45と、を含む。部分45は、部分41aと部分43aとを物理的に連結している。部分45は、各部分41a,43aが含むと共に第三方向D3で対向する端同士を物理的に連結している。部分45は、部分41aに物理的に接続されている端と、部分43aに物理的に接続されている端と、を含む。部分45は、第一方向D1で素体領域31と対向する。
【0056】
部分45は、素体領域31から離間しており、素体領域31内に位置する部分を含まない。部分41aと、部分43aと、部分45とは、第二方向D2から見て、素体領域31を囲むように配置されている。素体領域31は、第二方向D2から見て、部分41aと、部分43aと、一対の部分45とで囲まれる領域内に位置している。部分41aと、部分43aと、一対の部分45とで囲まれる領域は、第二方向D2から見て、略矩形状を呈する。部分41aと、部分43aと、部分45とは、略矩形環状を呈する。内部導体40は、素体領域31を貫通していない。
たとえば、部分41a,43a,45からなる部位が第一部分を含む場合、部分41bが第二部分を含んでもよく、部分43bが第三部分を含んでもよい。
【0057】
第一変形例では、内部導体40は、内部導体41が含む部分41a,41bと、内部導体43が含む部分43a,43bと、部分45と、を含む。
熱源からの熱は、導体部分21から、部分41bと部分41aと部分45とを通して、素体領域31に伝わりやすく、導体部分23から、部分43bと部分43aと部分45とを通して、素体領域31に伝わりやすい。部分41aと、部分43aと、部分45とは、第二方向D2から見て、素体領域31を囲んでいる。したがって、熱が、部分41a、部分43a、及び部分45から素体領域31に確実に伝わりやすい。この結果、第一変形例では、NTCサーミスタ素子T1は、熱応答性により一層優れる。
【0058】
図8を参照しながら、本実施形態の第二変形例に係るNTCサーミスタ素子T1について説明する。
図8は、第二変形例に係るNTCサーミスタ素子を示す斜視図である。第二変形例に係るNTCサーミスタ素子T1は、外部導体20の構成を除いて、上述した実施形態に係るNTCサーミスタ素子T1、又は、第一変形例に係るNTCサーミスタ素子T1と同一の構成を有している。
第二変形例における内部電極9,11及び内部導体40の構成は、上述した実施形態に係るNTCサーミスタ素子T1、又は、第一変形例に係るNTCサーミスタ素子T1における内部電極9,11及び内部導体40の構成と同じである。
【0059】
第二変形例に係るNTCサーミスタ素子T1では、外部導体20は、複数の導体部分21,23,25,27を含む。
導体部分25は、側面3c上に配置されている。導体部分25は、一対の導体部分21,23を物理的に連結している。導体部分25は、一対の導体部分21,23のそれぞれと物理的に接続されている。導体部分25と素体領域31とを第二方向から見たとき、導体部分25と素体領域31とは互いに重なっている。導体部分25と素体領域31とを第二方向から見たとき、素体領域31は、導体部分25の内側に位置している。導体部分25と素体領域31とを見たとき、導体部分25と素体領域31とは互いに対向する。
導体部分27は、側面3d上に配置されている。導体部分27は、一対の導体部分21,23を物理的に連結している。導体部分27は、一対の導体部分21,23のそれぞれと物理的に接続されている。導体部分27と素体領域31とを第二方向から見たとき、導体部分27と素体領域31とは互いに重なっている。導体部分27と素体領域31とを第二方向から見たとき、素体領域31は、導体部分27の内側に位置している。導体部分27と素体領域31とを見たとき、導体部分27と素体領域31とは互いに対向する。
導体部分25と導体部分27とは、第二方向D2で互いに対向する。各導体部分21,23,25,27は、一体に形成されている。外部導体20は、四つの側面3c,3d,3e,3f上に連続して配置されている。
【0060】
図9を参照しながら、本実施形態の第三変形例に係るNTCサーミスタ素子T1について説明する。
図9は、第三変形例に係るNTCサーミスタ素子を示す斜視図である。第三変形例に係るNTCサーミスタ素子T1は、外部導体20の構成を除いて、第二変形例に係るNTCサーミスタ素子T1と同一の構成を有している。
第三変形例における内部電極9,11及び内部導体40の構成は、上述した実施形態に係るNTCサーミスタ素子T1、又は、第一変形例に係るNTCサーミスタ素子T1における内部電極9,11及び内部導体40の構成と同じである。
【0061】
第三変形例に係るNTCサーミスタ素子T1では、導体部分25は、部分25aと一対の部分25bとを含む。一対の部分25bは、部分25aの両側に位置している。一対の部分25bのうち一方は、導体部分21と物理的に接続されている。一対の部分25bのうち他方は、導体部分23と物理的に接続されている。導体部分27は、部分27aと一対の部分27bとを含む。一対の部分27bは、部分27aの両側に位置している。一対の部分27bのうち一方は、導体部分21と物理的に接続されている。一対の部分27bのうち他方は、導体部分23と物理的に接続されている。
【0062】
部分25aは、一対の部分25bの間に位置している。部分25aと一対の部分25bとは連続している。部分25aと一対の部分25bとは、一体に形成されている。部分25aの第一方向D1での長さは、一対の部分25bの第一方向D1での各長さより大きい。一対の部分25bの第一方向D1での各長さは、一対の導体部分21,23の第一方向D1での各長さと略同等である。部分25aと素体領域31とを第二方向から見たとき、素体領域31は、部分25aの内側に位置している。部分25aと素体領域31とを見たとき、部分25aと素体領域31とは互いに対向する。
部分27aは、一対の部分27bの間に位置している。部分27aと一対の部分27bとは連続している。部分27aと一対の部分27bとは、一体に形成されている。部分27aの第一方向D1での長さは、一対の部分27bの第一方向D1での各長さより大きい。一対の部分27bの第一方向D1での各長さは、一対の導体部分21,23の第一方向D1での各長さと略同等である。部分27aと素体領域31とを第二方向から見たとき、素体領域31は、部分27aの内側に位置している。部分27aと素体領域31とを見たとき、部分27aと素体領域31とは互いに対向する。
各導体部分21,23は、導体部分25,27と同様に、一対の部分と、一対の部分の間に位置すると共に一対の部分の第一方向D1での各長さより大きい第一方向D1での長さを有する部分と、を含んでもよい。
【0063】
次に、
図10を参照して、電子部品装置ECDの構成を説明する。
図10は、本実施形態に係る電子部品装置を示す図である。
電子部品装置ECDは、NTCサーミスタ素子T1と、発熱し得る電子部品EDと、NTCサーミスタ素子T1及び電子部品EDが実装される電子機器ESと、を備える。電子部品EDは、熱源となり得る。NTCサーミスタ素子T1は、電子部品EDにて発生する熱を検出する。電子部品EDは、たとえば、FET(Field Effect Transistor)、又はPMIC(Power Management Integrated Circuit)を含む。
電子機器ESは、たとえば、回路基板を含む。NTCサーミスタ素子T1及び電子部品EDは、たとえば、電子機器ESにはんだ実装される。NTCサーミスタ素子T1では、たとえば、側面3dが、電子機器ESと対向する。この場合、側面3dは、実装面を構成するように配置される。側面3dは、実装面である。側面3cが、実装面であってもよい。
図10では、はんだフィレットの図示が省略されている。電子機器ESは、回路基板の代わりに、たとえば、電子部品EDとは別の電子部品を含んでもよい。この場合、電子部品EDは、別の電子部品に実装される。
【0064】
電子機器ESは、たとえば、基板51と、一対の導体53と、熱伝導体55と、を含む。一対の導体53と熱伝導体55とは、基板51に配置されている。一対の導体53と熱伝導体55とは、互いに電気的に絶縁されている。一対の導体53は、たとえば、一対の電極パッドを含む。一対の外部電極5,7のそれぞれは、一対の電極パッドのうち対応する電極パッドと物理的かつ電気的に接続されている。
外部導体20は、熱伝導体55と物理的に接続されている。熱伝導体55は、たとえば、電子部品EDと物理的に接続されている。熱伝導体55は、電子部品EDと物理的かつ電気的に接続されていてもよい。熱伝導体55は、たとえば、金属を含む。熱伝導体55は、たとえば、Cuを含む。熱伝導体55は、たとえば、グラウンドパターンであってもよい。熱伝導体55は、電子部品EDと物理的に接続されていなくてもよい。熱伝導体55は、電子部品EDと近接していてもよい。
【0065】
電子部品装置ECDでは、電子部品EDが発熱する場合、電子部品EDにて発生した熱は、電子部品EDから熱伝導体55に伝わる。熱伝導体55に伝わった熱は、外部導体20から素体3に伝わる。
電子部品装置ECDでは、熱源からの熱が、熱伝導体55を通して外部導体20に伝わりやすい。したがって、電子部品装置ECDは、熱を、熱応答性に優れるNTCサーミスタ素子T1に確実に伝える。
【0066】
以上、本発明の実施形態及び第一~第三変形例について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態及び第一~第三変形例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0067】
NTCサーミスタ素子T1では、外部導体20と素体領域31とを第三方向D3から見たときに、素体領域31の全体が、導体部分21の内側に位置していなくてよい。外部導体20と素体領域31とを第三方向D3から見たときに、素体領域31の一部が、導体部分21の内側に位置していてもよい。外部導体20と素体領域31とを第三方向D3から見たときに、素体領域31の全体が、導体部分21の内側に位置している構成は、上述したように、熱応答性により一層優れる。
【0068】
上述した実施形態及び変形例の記載から把握されるとおり、本明細書は、以下に示す態様の開示を含んでいる。
(付記1)
第一方向で互いに対向する一対の端面と、前記第一方向に交差する第二方向で互いに対向する第一側面及び第二側面と、前記第一方向と前記第二方向とに交差する第三方向で互いに対向する第三側面及び第四側面と、を含むサーミスタ素体と、
前記一対の端面のうち対応する端面にそれぞれ配置されている一対の外部電極と、
前記第二方向で互いに対向するように前記サーミスタ素体内に配置されていると共に、前記一対の外部電極のうち対応する外部電極にそれぞれ電気的に接続されている一対の内部電極と、
前記一対の外部電極から離間して、前記サーミスタ素体上に配置されている外部導体と、を備え、
前記サーミスタ素体は、前記第二方向で、前記一対の内部電極の間に位置している素体領域を含み、
前記外部導体は、前記第三側面に配置されている導体部分を含み、
前記素体領域と、前記導体部分とは、前記第三方向で互いに対向する、NTCサーミスタ素子。
(付記2)
前記外部導体と前記素体領域とを前記第三方向から見たときに、前記素体領域は、前記導体部分の内側に位置している、付記1に記載のNTCサーミスタ素子。
(付記3)
前記素体領域と対向するように前記サーミスタ素体内に配置されていると共に、前記導体部分に物理的に接続されている内部導体を更に備える、付記1に記載のNTCサーミスタ素子。
(付記4)
前記内部導体は、
前記素体領域に対向すると共に、前記第一方向において、前記素体領域の幅より大きい幅を有する第一部分と、
前記第一部分と前記導体部分とを物理的に連結している第二部分と、を含む、付記3に記載のNTCサーミスタ素子。
(付記5)
前記外部導体は、前記第四側面に配置されていると共に前記第三方向で前記素体領域に対向する別の導体部分を含む、付記1に記載のNTCサーミスタ素子。
(付記6)
前記素体領域と前記別の導体部分とを前記第三方向から見たときに、前記素体領域は、前記別の導体部分の内側に位置している、付記5に記載のNTCサーミスタ素子。
(付記7)
前記素体領域と対向するように前記サーミスタ素体内に配置されていると共に、前記別の導体部分に物理的に接続されている内部導体を更に備える、付記5に記載のNTCサーミスタ素子。
(付記8)
前記内部導体は、
前記素体領域に対向すると共に、前記第一方向において、前記素体領域の幅より大きい幅を有する第一部分と、
前記第一部分と前記別の導体部分とを物理的に接続している第二部分と、を含む、付記7に記載のNTCサーミスタ素子。
(付記9)
前記サーミスタ素体内に配置されていると共に、前記外部導体に物理的に接続されている内部導体を更に備え、
前記内部導体は、
前記第二方向から見て、前記素体領域を囲むように配置されている第一部分と、
前記第一部分と前記導体部分とを物理的に接続している第二部分と、
前記第一部分と前記別の導体部分とを物理的に接続している第三部分と、を含む、付記5に記載のNTCサーミスタ素子。
(付記10)
互いに対向する一対の端面と、前記一対の端面を連結している少なくとも一つの側面と、を含むサーミスタ素体と、
前記一対の端面のうち対応する端面にそれぞれ配置されている一対の外部電極と、
互いに対向するように前記サーミスタ素体内に配置されていると共に、それぞれが前記一対の外部電極のうち対応する外部電極に電気的に接続されている一対の内部電極と、
前記一対の外部電極から離間して、前記素体上に配置されている外部導体と、を備え、
前記サーミスタ素体は、前記一対の内部電極が互いに対向する方向で、前記一対の内部電極の間に位置している素体領域を含み、
前記外部導体は、前記少なくとも一つの側面に配置されている導体部分を含み、
前記素体領域と、前記導体部分とは、互いに対向する、NTCサーミスタ素子。
(付記11)
付記1~10のいずれか一つに記載の前記NTCサーミスタ素子と、
前記NTCサーミスタ素子が実装される電子機器と、を備え、
前記電子機器は、
それぞれに前記一対の外部電極のうち対応する外部電極が電気的かつ物理的に接続されている一対の導体と、
前記外部導体が物理的に接続されている熱伝導体と、を含む、電子部品装置。
【符号の説明】
【0069】
3…素体、3a,3b…端面、3c,3d,3e,3f…側面、5,7…外部電極、9,11…内部電極、20…外部導体、21,23,25,27…導体部分、31…素体領域、40,41,43…内部導体、41a,41b,43a,43b,45…内部導体が含む部分、55…熱伝導体、ES…電子機器、ECD…電子部品装置、D1…第一方向、D2…第二方向、D3…第三方向、T1…NTCサーミスタ素子。