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  • 特開-方法、プログラム、および、装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108614
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】方法、プログラム、および、装置
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20240805BHJP
【FI】
G05B23/02 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023013059
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(74)【代理人】
【識別番号】100172236
【弁理士】
【氏名又は名称】岩木 宣憲
(72)【発明者】
【氏名】佃 光樹
(72)【発明者】
【氏名】矢野 慧介
【テーマコード(参考)】
3C223
【Fターム(参考)】
3C223AA11
3C223BA03
3C223CC02
3C223DD03
3C223EB01
3C223EB02
3C223EB07
3C223FF02
3C223FF03
3C223FF04
3C223FF12
3C223FF13
3C223FF33
3C223FF42
3C223FF52
3C223GG01
3C223HH03
(57)【要約】
【課題】複数種類の特徴量のデータの中から監視対象の異常判定に適した特徴量のデータを推奨可能な方法を提供すること。
【解決手段】本開示の方法は、正常時および異常時の監視対象からそれぞれ取得された複数種類の特徴量のデータの各々に対して、正常時および異常時の同じ種類の特徴量のデータの乖離度合いをスコア化することでスコア付けを行い、監視対象の異常判定に用いる特徴量として、付けられたスコアが所定条件を満たす特徴量を推奨する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正常時および異常時の監視対象からそれぞれ取得された複数種類の特徴量のデータの各々に対して、正常時および異常時の同じ種類の前記特徴量のデータの乖離度合いをスコア化することでスコア付けを行い、
前記監視対象の異常判定に用いる前記特徴量として、付けられたスコアが所定条件を満たす前記特徴量を推奨する、方法。
【請求項2】
取得された複数種類の前記特徴量のデータの各々を前記特徴量の値の大きさの度数分布に基づいてヒストグラム化し、ヒストグラム化された前記特徴量のデータに基づいて前記乖離度合いのスコア付けを行う、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
異常時の前記特徴量のデータの最大値を異常最大値とし、正常時の前記特徴量のデータの最大値を正常最大値とすると、
前記異常最大値と前記正常最大値との差を前記正常最大値で除した値を前記乖離度合いのスコアとして算出する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記異常判定において、前記特徴量のデータが閾値以上となった場合に前記監視対象が異常であると判定されるとすると、
前記異常最大値および前記正常最大値の間の値を前記閾値として推奨する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
1種類の前記特徴量のデータを取得する度に、取得した前記特徴量のデータをヒストグラム化する、請求項2~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
正常時および異常時の監視対象からそれぞれ取得された複数種類の特徴量のデータの各々に対して、正常時および異常時の同じ種類の前記特徴量のデータの乖離度合いをスコア化することでスコア付けを行い、
前記監視対象の異常判定に用いる前記特徴量として、付けられたスコアが所定条件を満たす前記特徴量を推奨する、方法をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項7】
正常時および異常時の監視対象の複数種類の特徴量のデータを取得可能に構成された取得部と、
取得された複数種類の前記特徴量のデータの各々に対して、正常時および異常時の同じ種類の前記特徴量のデータの乖離度合いをスコア化することでスコア付けを実行可能に構成されたスコア付け部と、
前記監視対象の異常判定に用いる前記特徴量として、付けられたスコアが所定条件を満たす前記特徴量を推奨可能に構成された推奨部と
を備える、装置。
【請求項8】
推奨された前記特徴量を複数表示可能な表示部と、
前記表示部に表示された複数種類の前記特徴量の中から1つの前記特徴量を選択可能な選択部と
を備える、請求項7に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、方法、プログラム、および、装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数種類の稼働情報の中から入力に応じて1つの事象をトリガとして選択する第1の選択手段を具備する施設管制装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-142714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の発明において、複数種類の特徴量のデータの中から、監視対象である設備の異常を判定するのに適した稼働情報を選択するためには、設備に対する知識および発生する異常に対する知識が必要になる場合がある。
【0005】
本開示は、複数種類の特徴量の中から監視対象の異常判定に適した特徴量を推奨可能な方法、プログラムおよび装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様の方法は、
正常時および異常時の監視対象からそれぞれ取得された複数種類の特徴量のデータの各々に対して、正常時および異常時の同じ種類の前記特徴量のデータの乖離度合いをスコア化することでスコア付けを行い、
前記監視対象の異常判定に用いる前記特徴量として、付けられたスコアが所定条件を満たす前記特徴量を推奨する。
【0007】
本開示の一態様のプログラムは、
正常時および異常時の監視対象からそれぞれ取得された複数種類の特徴量のデータの各々に対して、正常時および異常時の同じ種類の前記特徴量のデータの乖離度合いをスコア化することでスコア付けを行い、
前記監視対象の異常判定に用いる前記特徴量として、付けられたスコアが所定条件を満たす前記特徴量を推奨する、方法をコンピュータに実行させる。
【0008】
本開示の一態様の装置は、
正常時および異常時の監視対象の複数種類の特徴量のデータを取得可能に構成された取得部と、
取得された複数種類の前記特徴量のデータの各々に対して、正常時および異常時の同じ種類の前記特徴量のデータの乖離度合いをスコア化することでスコア付けを実行可能に構成されたスコア付け部と、
前記監視対象の異常判定に用いる前記特徴量として、付けられたスコアが所定条件を満たす前記特徴量を推奨可能に構成された推奨部と
を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、複数種類の特徴量の中から監視対象の異常判定に適した特徴量を推奨可能な方法、プログラムおよび装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の一実施形態の装置を示すブロック図。
図2】正常時および異常時の乖離度合いのスコア化を説明するための第1の図。
図3】正常時および異常時の乖離度合いのスコア化を説明するための第2の図。
図4】正常時および異常時の乖離度合いのスコア化を説明するための第3の図。
図5】推奨された特徴量の表示態様の一例を示す図。
図6】推奨された閾値の表示態様の一例を示す図。
図7】本開示の方法の一例を説明するためのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の一例を添付図面に従って説明する。以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、本開示の適用物、および、本開示の用途を制限することを意図するものではない。添付図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは必ずしも合致していない。
【0012】
本開示の一実施形態の装置1は、監視対象100(例えば、工場の生産設備)を監視する機器に適用され、監視対象である生産設備の異常判定に用いる特徴量を推奨可能に構成されている。装置1は、図1に示すように、プロセッサ11、記憶部12、通信部13、取得部21、スコア付け部22および推奨部23を含む。
【0013】
プロセッサ11は、CPU、MPU、GPU、DSP、FPGA、ASIC等を含む。記憶部12は、例えば、内部記録媒体または外部記録媒体で構成されている。内部記録媒体は、不揮発メモリ等を含む。外部記録媒体は、ハードディスク(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)、光ディスク装置等を含む。通信部13は、例えば、サーバおよびセンサ等の外部装置との間でデータの送受信を行うための通信回路または通信モジュールを含む。
【0014】
取得部21、スコア付け部22および推奨部23は、例えば、記憶部12に記憶されている所定のプログラムをプロセッサ11が実行することにより実現される。
【0015】
取得部21は、正常時および異常時の監視対象の複数種類の特徴量のデータを取得可能に構成されている。監視対象の特徴量のデータは、例えば、センサにより所定のサンプリング時間毎に検出され、通信部13を介して装置1に入力されて、記憶部12に記憶される。この場合、取得部21は、記憶部12から監視対象の複数種類の特徴量のデータを取得する。特徴量には、例えば、周波数、有効電力または電流実効値が含まれる。
【0016】
「正常時の監視対象」は、例えば、予定されている性能および機能等を発揮可能な状態の監視対象である。「正常時の監視対象」の一例を次に示す。
・メンテナンス直後の監視対象
・新品の監視対象
・部品(例えば、ドリル)を交換した直後の監視対象
【0017】
「異常時の監視対象」は、例えば、予定されている性能および機能等を発揮できない状態の監視対象である。「異常時の監視対象」の一例を次に示す。
・メンテナンス(例えば、発生した不具合を解消するためのメンテナンス)直前の監視対象
・長期間(例えば、耐用年数を超えて)稼働した監視対象
・長期間使用した部品(例えば、摩耗したドリル)を交換する直前の監視対象
【0018】
スコア付け部22は、取得された複数種類の特徴量のデータの各々に対して、正常時および異常時の同じ種類の特徴量のデータの乖離度合い(以下、正常時および異常時の乖離度合いという。)をスコア化することでスコア付けを実行可能に構成されている。本実施形態では、スコア付け部22は、取得された複数種類の特徴量のデータの各々を特徴量の値の大きさの度数分布に基づいてヒストグラム化し、ヒストグラム化された特徴量のデータに基づいて正常時および異常時の乖離度合いのスコア付けを行う。ヒストグラム化は、1種類の特徴量のデータが取得される度に行われる。
【0019】
正常時および異常時の乖離度合いのスコア化の一例を以下に示す。
・異常時の特徴量のデータの最大値を異常最大値とし、正常時の特徴量のデータの最大値を正常最大値とする。異常最大値から正常最大値を引いた差を正常最大値で除した値(最大値の増加率)を正常時および異常時の乖離度合いを表すスコアとして算出する(つまり、スコア=[異常最大値-正常最大値]/正常最大値)。
・正常時および異常時の特徴量のデータを統計的に検定して、検定値を算出する。検定は、例えば、Welchのt検定を用いる。算出された検定値を正常時および異常時の乖離度合いを表すスコアとして算出する。正常時および異常時の検定値の差が大きいほど、乖離度合いが高い(つまり、スコアが高い)と判定される。一例として、正常時および異常時の乖離度合いが高いヒストグラムを図2に示し、第1正常時および異常時の乖離度合いが低いヒストグラムを図3に示す。図2および図3において、正常時の特徴量のデータを点線で示し、異常時の特徴量のデータを実線で示している。
・正常時の特徴量のデータを陽性とし異常時の特徴量のデータを陰性としてROC曲線を描画し、AUC(Area Under the Curve)値を算出する(図4参照)。算出されたAUC値を正常時および異常時の乖離度合いを表すスコアとして算出する。AUC値が大きいほど、正常時および異常時の乖離度合いが高いと判定される。
【0020】
推奨部23は、監視対象の異常判定に用いる特徴量として、付けられたスコアが所定条件を満たす特徴量を推奨可能に構成されている。特徴量は、例えば、「種類」および「データ」の少なくともいずれかの形式で推奨される。所定条件は、例えば、スコアが所定値(例えば、算出された全てのスコアの最大値の95%)以上であることが含まれる。異常判定は、例えば、所定の特徴量のデータが閾値以上となった場合に監視対象が異常であると判定される。
【0021】
本実施形態では、推奨部23は、異常最大値および正常最大値の間の値を推奨された特徴量のデータに対する閾値として推奨可能に構成されている。
【0022】
本実施形態では、装置1は、表示部24および選択部25を備える。表示部24は、例えば、ディスプレイで構成され、推奨された特徴量を複数表示可能に構成されている。表示部24は、推奨された複数種類の特徴量のうち、付けられたスコアの高い特徴量から順番にユーザに提示するように構成されてもよい。選択部25は、表示部24に表示された複数種類の特徴量の中から1つの特徴量を選択可能に構成されている。選択部25は、例えば、記憶部12に記憶されている所定のプログラムをプロセッサ11が実行することにより実現される。ユーザによる特徴量の選択は、例えば、マウス、キーボードまたはスマートフォンの入力装置を介して行われる。
【0023】
推奨された特徴量の表示態様の一例を図5に示す。図5では、推奨された特徴量の種類が「特徴量名」に示され、正常時の特徴量のデータが「初期データ」に示され、異常時の特徴量のデータを「異常データ」に示されている。
【0024】
表示部24は、推奨された閾値を表示可能に構成されている。推奨された閾値の表示態様の一例を図6に示す。図6では、図5と同様に、推奨された特徴量の種類が「特徴量名」に示され、正常時の特徴量のデータが「初期データ」に示され、異常時の特徴量のデータを「異常データ」に示されている。また、推奨された閾値として、「警報」と、「警報」よりも値が小さい「注意」とが特徴量のデータ毎に示されている。図6の表示態様では、ユーザは、正常時および異常時の特徴量のデータを見ながら、「警報」および「注意」の各々に対応する数値の近傍に位置する上下の矢印を用いて推奨された閾値を微調整し、最終的な閾値を設定することができる。選択された特徴量のデータと、選択された特徴量のデータに対して設定された閾値は、例えば、通信部13を介して、監視対象の監視を行う機器に出力される。
【0025】
図7を参照して、本開示の監視対象の異常判定に用いる特徴量を推奨する方法の一例を説明する。図5に示す方法は、一例として、プロセッサ11が所定のプログラムを実行することで実施される。
【0026】
図7に示すように、監視対象の異常判定に用いる特徴量を推奨する方法が開始されると、取得部21が、正常時および異常時の監視対象の複数種類の特徴量のデータを取得する(ステップS1)。複数種類の特徴量のデータが取得されると、装置1は、取得された複数種類の特徴量のデータの各々を特徴量の値の大きさの度数分布に基づいてヒストグラム化する(ステップS2)。
【0027】
取得された特徴量のデータがヒストグラム化されると、スコア付け部22は、ヒストグラム化された複数種類の特徴量のデータの各々に対して、スコア付けを行う(ステップS3)。スコア付けは、正常時および異常時の乖離度合いをスコア化することで行われる。
【0028】
ヒストグラム化された複数種類の特徴量のデータの各々に対してスコア付けが行われると、推奨部23は、スコアが所定条件を満たす特徴量を監視対象の異常判定に用いる特徴量として推奨し(ステップS4)、監視対象の異常判定に用いる特徴量のデータを推奨する方法が終了する。
【0029】
本開示の方法によれば、次のような効果を発揮できる。
【0030】
一般に、監視対象の異常を監視可能な監視機器は、測定可能な複数種類のパラメータ(つまり、特徴量のデータ)を使い分けて監視対象の状態をモニタリングすることで、監視対象の様々な異常を検出可能に構成されている。しかし、監視対象または捉えたい異常に応じて監視するのに適したパラメータを選択するためには、電気的知識、監視対象の知識、異常発生メカニズム等のドメイン知識が要求される場合がある。特に、取得可能なパラメータが多くなればなるほど、適切なパラメータを選択するのが難しくなる。
【0031】
本開示の方法は、次の構成を備える。このような構成により、複数種類の特徴量の中から監視対象の異常判定に適した特徴量を推奨できる。
・正常時および異常時の監視対象からそれぞれ取得された複数種類の特徴量のデータの各々に対して、正常時および異常時の同じ種類の特徴量のデータの乖離度合いをスコア化することでスコア付けを行う。
・監視対象の異常判定に用いる特徴量として、付けられたスコアが所定条件を満たす特徴量を推奨する。
【0032】
本開示の方法は、次に示す複数の構成のいずれか1つまたは複数の構成を任意に採用できる。つまり、次に示す複数の構成のいずれか1つまたは複数の構成は、前記実施形態に含まれていた場合は任意に削除でき、前記実施形態に含まれていない場合は任意に付加することができる。このような構成を採用することにより、複数種類の特徴量の中から監視対象の異常判定に適した特徴量を推奨できる方法をより確実に実現できる。
【0033】
取得された複数種類の特徴量のデータの各々をヒストグラム化し、ヒストグラム化された特徴量のデータに基づいて前記乖離度合いのスコア付けを行う。
【0034】
異常最大値から正常最大値を引いた差を正常最大値で除した値を乖離度合いのスコアとして算出する。
【0035】
異常最大値および正常最大値の間の値を異常判定の閾値として推奨する。
【0036】
1種類の特徴量のデータを取得する度に、取得した特徴量のデータをヒストグラム化する。このような構成により、記憶部12が、複数種類の特徴量のデータを全て記憶する必要がなくなり、記憶部12に記憶されるデータの容量を削減できる。
【0037】
本開示の方法は、コンピュータに実行させることができる。本開示には、本開示の方法をコンピュータに実行させるためのプログラム、および、本開示の方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを記憶するコンピュータ可読性の記憶媒体が含まれる。
【0038】
装置1によれば、次のような効果を発揮できる。
【0039】
装置1は、取得部21と、スコア付け部22と、推奨部23とを備える。取得部21は、正常時および異常時の監視対象の複数種類の特徴量のデータを取得可能に構成されている。スコア付け部22は、取得された複数種類の特徴量のデータの各々に対して、正常時および異常時の同じ種類の特徴量のデータの乖離度合いをスコア化することでスコア付けを実行可能に構成されている。推奨部23は、監視対象の異常判定に用いる特徴量として、付けられたスコアが所定条件を満たす特徴量を推奨可能に構成されている。このような構成により、複数種類の特徴量の中から監視対象の異常判定に適した特徴量を推奨できる。
【0040】
装置1は、推奨された特徴量を複数表示可能な表示部24と、表示部24に表示された複数種類の特徴量の中から1つの特徴量を選択可能な選択部25とを備える。このような構成により、推奨された特徴量を確認し易く、選択し易い装置1を実現できる。
【0041】
本開示の方法および装置1は、次のように構成することができる。
【0042】
正常時および異常時の乖離度合いのスコア付けは、取得された複数種類の前記特徴量のデータの各々をヒストグラム化する場合に限らず、他の方法により行われてもよい。
【0043】
推奨部23は、閾値を推奨する処理を実行可能である場合に限らず、閾値を推奨する処理を実行不可能であってもよい。
【0044】
特徴量のデータのヒストグラム化は、装置1で行う場合に限らず、サーバ等の外部装置で行ってもよい。この場合、装置1は、ヒストグラム化された特徴量のデータを取得可能に構成される。
【0045】
取得された特徴量のデータのヒストグラム化は、1種類の特徴量のデータを取得する度に行う場合に限らず、複数種類または全種類の特徴量のデータが取得されたときに行うようにしてもよい。
【0046】
表示部24および選択部25は、省略することができる。この場合、装置1は、通信部13を介して推奨された特徴量および/または推奨された閾値を外部の表示装置(例えば、PCのモニタ)に出力するように構成されてもよい。装置1および外部の表示装置は、有線通信または無線通信で接続される。
【0047】
以上、図面を参照して本開示における種々の実施形態を詳細に説明したが、最後に、本開示の種々の態様について説明する。なお、以下の説明では、一例として、参照符号も添えて記載する。
【0048】
本開示の第1態様の方法は、
正常時および異常時の監視対象からそれぞれ取得された複数種類の特徴量のデータの各々に対して、正常時および異常時の同じ種類の前記特徴量のデータの乖離度合いをスコア化することでスコア付けを行い、
前記監視対象の異常判定に用いる前記特徴量として、付けられたスコアが所定条件を満たす前記特徴量を推奨する。
【0049】
本開示の第2態様の方法は、第1態様に記載の方法において、
取得された複数種類の前記特徴量のデータの各々をヒストグラム化し、ヒストグラム化された前記特徴量のデータに基づいて前記乖離度合いのスコア付けを行う。
【0050】
本開示の第3態様の方法は、第2態様に記載の方法において、
異常時の前記特徴量のデータの最大値を異常最大値とし、正常時の前記特徴量のデータの最大値を正常最大値とすると、
前記異常最大値と前記正常最大値との差を前記正常最大値で除した値を前記乖離度合いのスコアとして算出する。
【0051】
本開示の第4態様の方法は、第3態様に記載の方法において、
前記異常判定において、前記特徴量のデータが閾値以上となった場合に前記監視対象が異常であると判定されるとすると、
前記異常最大値および前記正常最大値の間の値を前記閾値として推奨する。
【0052】
本開示の第5態様の方法は、第2態様~第4態様のいずれかに記載の方法において、
1種類の前記特徴量のデータを取得する度に、取得した前記特徴量のデータをヒストグラム化する。
【0053】
本開示の第6態様のプログラムは、
正常時および異常時の監視対象からそれぞれ取得された複数種類の特徴量のデータの各々に対して、正常時および異常時の同じ種類の前記特徴量のデータの乖離度合いをスコア化することでスコア付けを行い、
前記監視対象の異常判定に用いる前記特徴量として、付けられたスコアが所定条件を満たす前記特徴量を推奨する、方法をコンピュータに実行させる。
【0054】
本開示の第7態様の装置1は、
正常時および異常時の監視対象の複数種類の特徴量のデータを取得可能に構成された取得部21と、
取得された複数種類の前記特徴量のデータの各々に対して、正常時および異常時の同じ種類の前記特徴量のデータの乖離度合いをスコア化することでスコア付けを実行可能に構成されたスコア付け部22と、
前記監視対象の異常判定に用いる前記特徴量として、付けられたスコアが所定条件を満たす前記特徴量を推奨可能に構成された推奨部23と
を備える。
【0055】
本開示の第8態様の装置1は、第7態様の装置1において、
推奨された前記特徴量を複数表示可能な表示部24と、
前記表示部に表示された複数種類の前記特徴量の中から1つの前記特徴量を選択可能な選択部25と
を備える。
【0056】
前記様々な実施形態または変形例のうちの任意の実施形態または変形例を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。また、実施形態同士の組み合わせまたは実施例同士の組み合わせまたは実施形態と実施例との組み合わせが可能であると共に、異なる実施形態または実施例の中の特徴同士の組み合わせも可能である。
【0057】
本開示は、添付図面を参照しながら好ましい実施形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本開示の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本開示は、例えば、工場の生産設備を監視する機器に適用できる。
【符号の説明】
【0059】
1 装置
11 プロセッサ
12 記憶部
13 通信部
21 取得部
22 スコア付け部
23 推奨部
24 表示部
25 選択部
100 監視対象
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7