(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108624
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】操作装置、及びパワーウィンドウスイッチ
(51)【国際特許分類】
H01H 89/00 20060101AFI20240805BHJP
H01H 23/30 20060101ALI20240805BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
H01H89/00
H01H23/30
B60R16/02 630J
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023013078
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】松澤 孝彦
【テーマコード(参考)】
5G035
5G052
【Fターム(参考)】
5G035CA04
5G035CB03
5G035JA01
5G035JB02
5G052AA14
5G052AA35
5G052BB03
5G052JB02
(57)【要約】
【課題】可動物を動作させる際の操作性を向上できる操作装置、及びパワーウィンドウスイッチを提供する。
【解決手段】操作装置1は、動作対象とする可動物(例えば、ウィンドウ)を選択するための複数の選択スイッチ10と、選択下にある可動物の動作を実行するときに操作される実行スイッチ11と、を備える。選択スイッチ10は、各席の可動物ごとに複数設けられている。実行スイッチ11は、複数の選択スイッチ10の間で共用される。操作装置1は、複数の選択スイッチ10のうち、自席と組をなす自席選択スイッチ26に対し、複数の選択スイッチ10の全てが選択状態となる全選択の機能が割り当てられている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の座席の少なくとも1つに設けられ、各席に設けられた可動物を電動で動作させるときに操作される操作装置であって、
動作対象とする前記可動物を選択するために、各席の前記可動物ごとに設けられた複数の選択スイッチと、
前記選択スイッチのスイッチ信号に基づき、動作対象とする前記可動物の選択状態を切り替える切替部と、
前記複数の選択スイッチの間で共用され、選択下にある前記可動物の動作を実行するときに操作される実行スイッチと、を備え、
前記切替部は、前記複数の選択スイッチのうち、自席と組をなす自席選択スイッチに対し、前記複数の選択スイッチの全てが選択状態となる全選択の機能を割り当てている、操作装置。
【請求項2】
前記切替部は、前記自席選択スイッチのみ選択状態にある場合に、前記自席選択スイッチが操作されたことを検出すると、前記選択スイッチの選択状態を、全ての前記選択スイッチが選択された全選択状態に切り替える、請求項1に記載の操作装置。
【請求項3】
前記切替部は、全ての前記選択スイッチが選択された全選択状態のとき、前記自席選択スイッチではない他席選択スイッチが操作されたことを検出すると、その操作された前記他席選択スイッチを選択下から外す、請求項1に記載の操作装置。
【請求項4】
前記複数の選択スイッチの各々に設けられ、組をなす前記選択スイッチが選択下となったときに光ることにより、いま選択下である旨を報知する照明部を備えた、請求項1に記載の操作装置。
【請求項5】
前記切替部は、前記自席選択スイッチのみ選択下となっている初期状態から選択状態の切り替え操作が行われた後、非初期状態において前記選択スイッチが操作されない状態が一定時間経過したとき、選択状態を元の初期状態に戻す、請求項1に記載の操作装置。
【請求項6】
前記複数の選択スイッチは、前記実行スイッチを中央にして、各座席に対応した位置に配置されている、請求項1に記載の操作装置。
【請求項7】
前記実行スイッチは、中立位置を起点として、前記中立位置の両方向に操作可能に構成され、
前記実行スイッチを前記中立位置から一方向に動かす操作は、前記可動物を第1方向に動かす操作に割り当てられ、
前記実行スイッチを前記中立位置から他方向に動かす操作は、前記第1方向とは反対の第2方向に前記可動物を動かす操作に割り当てられている、請求項1に記載の操作装置。
【請求項8】
複数の座席の少なくとも1つに設けられ、各席に設けられたウィンドウを電動で昇降させるときに操作するパワーウィンドウスイッチであって、
動作対象とする前記ウィンドウを選択するために、各席の前記ウィンドウごとに設けられた複数の選択スイッチと、
前記選択スイッチのスイッチ信号に基づき、動作対象とする前記ウィンドウの選択状態を切り替える切替部と、
前記複数の選択スイッチの間で共用され、選択下にある前記ウィンドウの動作を実行するときに操作される実行スイッチと、を備え、
前記切替部は、前記複数の選択スイッチのうち、自席と組をなす自席選択スイッチに対し、前記複数の選択スイッチの全てが選択状態となる全選択の機能を割り当てている、パワーウィンドウスイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作装置、及びパワーウィンドウスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されるように、車両においてウィンドウを電動で昇降させる際に操作するパワーウィンドウ装置が周知である。特許文献1のパワーウィンドウ装置は、動作させるウィンドウを選択する選択スイッチと、選択スイッチにより選択されたウィンドウを昇降させる機能を有する単一の昇降スイッチと、を備える。選択スイッチが操作されていない状態で昇降スイッチが操作されたときには、運転席のウィンドウを昇降させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の場合、複数の選択スイッチの間で1つの昇降スイッチを共用するため、スイッチの部品点数を少なく抑えることができている。しかし、複数のウィンドウを昇降させたい状況が生じたとき、選択スイッチの操作によるウィンドウの選択と、昇降スイッチの操作と、を繰り返す必要があるため、操作が面倒に感じてしまう可能性があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決する操作装置は、複数の座席の少なくとも1つに設けられ、各席に設けられた可動物を電動で動作させるときに操作される装置であって、動作対象とする前記可動物を選択するために、各席の前記可動物ごとに設けられた複数の選択スイッチと、前記選択スイッチのスイッチ信号に基づき、動作対象とする前記可動物の選択状態を切り替える切替部と、前記複数の選択スイッチの間で共用され、選択下にある前記可動物の動作を実行するときに操作される実行スイッチと、を備え、前記切替部は、前記複数の選択スイッチのうち、自席と組をなす自席選択スイッチに対し、前記複数の選択スイッチの全てが選択状態となる全選択の機能を割り当てている。
【0006】
前記課題を解決するパワーウィンドウスイッチは、複数の座席の少なくとも1つに設けられ、各席に設けられたウィンドウを電動で昇降させるときに操作する構成であって、動作対象とする前記ウィンドウを選択するために、各席の前記ウィンドウごとに設けられた複数の選択スイッチと、前記選択スイッチのスイッチ信号に基づき、動作対象とする前記ウィンドウの選択状態を切り替える切替部と、前記複数の選択スイッチの間で共用され、選択下にある前記ウィンドウの動作を実行するときに操作される実行スイッチと、を備え、前記切替部は、前記複数の選択スイッチのうち、自席と組をなす自席選択スイッチに対し、前記複数の選択スイッチの全てが選択状態となる全選択の機能を割り当てている。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、可動物を動作させる際の操作性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態において車両のドア内壁の構成を示す斜視図である。
【
図6】(a)、(b)は、実行スイッチの操作の仕方を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の一実施形態を説明する。
(操作装置1)
図1に示すように、操作装置1は、各席に設けられた可動物2を電動で動作させるときに操作するための装置として車両3に設けられている。本例の場合、操作装置1は、可動物2としてのウィンドウ4を電動で昇降(開閉)させる際に操作するパワーウィンドウスイッチ5である。操作装置1は、例えば、車両ドア6の内側、具体的には、ドア内壁の肘掛け部7に配置されている。操作装置1は、複数の座席のうち、少なくとも1つに設けられていればよい。
【0010】
(操作装置1の各種スイッチ)
図2に示すように、操作装置1は、複数(本例は、4つ)の選択スイッチ10と、1つの実行スイッチ11と、を備える。複数の選択スイッチ10は、動作対象とする可動物2を選択するために、各席の可動物2ごとに設けられている。複数の選択スイッチ10は、例えば、実行スイッチ11を中央にして、各座席に対応した位置に配置されている。実行スイッチ11は、複数の選択スイッチ10の間で共用されるとともに、選択下にある可動物2の動作を実行(開始)するときに操作される。
【0011】
(選択スイッチ10のスイッチ構造)
図2に示す通り、複数の選択スイッチ10は、各席の可動物2(本例は、ウィンドウ4)ごとに設けられている。本例の場合、複数の選択スイッチ10は、運転席のウィンドウ4を選択するための運転席選択スイッチ13と、助手席のウィンドウ4を選択するための助手席選択スイッチ14と、右後席のウィンドウ4を選択するための右後席選択スイッチ15と、左後席のウィンドウ4を選択するための左後席選択スイッチ16と、を含む。
【0012】
図3に示すように、選択スイッチ10の各々は、選択スイッチ10の表面を人体の一部で触れて操作するタッチスイッチである。この場合、選択スイッチ10は、操作装置1の表面フレーム18に取付けられたパネル部19と、パネル部19への人体によるタッチ操作を検出するタッチセンサ20と、を備える。パネル部19は、例えば、板状に形成された透明樹脂であることが好ましい。パネル部19には、全周に環状の縁部21が形成されている。
【0013】
タッチセンサ20は、例えば、パネル部19の裏面に取付けられている。タッチセンサ20は、例えば、静電検出可能なセンサシートであることが好ましい。タッチセンサ20は、例えば、透明電極であることが好ましい。
【0014】
選択スイッチ10の各々は、選択状態下となったときに選択スイッチ10を照明する照明部22を備える。照明部22は、例えば、LEDである。照明部22は、パネル部19の背面に配置されるとともに、パネル部19を背面から照射する。照明部22は、パネル部19の背面に配置された基板23に実装されている。
【0015】
(選択スイッチ10の全選択機能)
図2に示す通り、複数の選択スイッチ10のうち、自席と組をなす自席選択スイッチ26には、複数の選択スイッチ10の全てが選択状態となる全選択の機能が割り当てられている。例えば、運転席に配置された操作装置1の場合、運転席選択スイッチ13が自席選択スイッチ26であって、運転席選択スイッチ13に全選択の機能が割り当てられている。なお、運転席に配置された操作装置1の場合、助手席選択スイッチ14、右後席選択スイッチ15、及び左後席選択スイッチ16が、他席選択スイッチ27である。
【0016】
また、
図4に示すように、助手席に配置された操作装置1の場合、助手席選択スイッチ14に全選択の機能が割り当てられている。このように、助手席に配置された操作装置1の場合、助手席選択スイッチ14が自席選択スイッチ26であり、そして、助手席選択スイッチ14に全選択機能が割り当てられている。なお、右後席に配置された操作装置1や、左後席に配置された操作装置1も、同様の形式で全選択機能が割り振られる。
【0017】
(実行スイッチ11のスイッチ構造)
図5に示すように、実行スイッチ11は、ユーザによって操作される操作体30を備える。操作体30は、回転軸31回りに回転可能に台座32に取付けられている。本例の場合、操作体30は、中立位置(
図5に示す状態)を起点に回転軸31回りの両方向に回転可能に設けられている。操作体30及び台座32は、操作装置1の表面フレーム18に形成された凹部33内に配置されている。
【0018】
図6(a)、(b)に示すように、実行スイッチ11は、中立位置を起点として、中立位置の両方向に操作可能に構成されている。本例の場合、実行スイッチ11(操作体30)を中立位置から一方向に動かす操作は、可動物2を第1方向に動かす操作に割り当てられている。具体的には、操作体30は、下側に押し込む回転方向(
図6(a)の矢印A1方向)の操作が、ウィンドウ4の下降操作として割り当てられている。このように、本例の場合、第1方向の動作は、ウィンドウ4の下降動作である。
【0019】
また、実行スイッチ11(操作体30)を中立位置から他方向に動かす操作は、可動物2を第2方向に動かす操作に割り当てられている。具体的には、操作体30は、上側に引き上げられる回転方向(
図6(b)の矢印A2方向)の操作が、ウィンドウ4の上昇操作として割り当てられている。このように、本例の場合、第2方向の動作は、ウィンドウ4の上昇動作である。
【0020】
図5、
図6(a)、及び
図6(b)に示す通り、操作装置1は、操作体30の回転操作を検出する検出部34を備える。なお、検出部34は、例えば、メカニカルスイッチ及びセンサのいずれでもよい。検出部34は、操作体30が下側に押し込まれたときの回転操作と、操作体30が上側に引き上げられたときの回転操作と、を検出する。
【0021】
なお、操作体30の中立位置からの押し込み操作、及び、操作体30の中立位置からの引き上げ操作、の各々は、2段階操作となっている。具体的には、中立位置から1段目に操作体30を回す操作は、操作体30を操作中のみ可動物2が動作するマニュアル操作として割り当てられている。また、中立位置から2段目まで操作体30を回す操作は、操作体30から手を離しても可動物2の動作が継続されるオート操作として割り当てられている。
【0022】
(操作装置1の電気構成)
図7に示すように、操作装置1は、操作装置1の動作を制御する制御装置37を備える。制御装置37は、選択スイッチ10の各々のタッチセンサ20及び照明部22と、実行スイッチ11の検出部34と、に電気的に接続されている。制御装置37は、タッチセンサ20及び検出部34の出力に基づき、操作装置1へのユーザ操作を判定し、その判定結果として、制御指令Saを他のECU(Electronic Control Unit)に出力する。
【0023】
操作装置1は、選択スイッチ10のスイッチ信号St(本例は、タッチセンサ20の静電容量)に基づき選択スイッチ10の選択状態を切り替える切替部38を備える。切替部38は、例えば、制御装置37に設けられている。切替部38は、選択スイッチ10のスイッチ信号Stに基づき、動作対象とする可動物2の選択状態を切り替える。切替部38は、複数の選択スイッチ10のうち、自席と組をなす自席選択スイッチ26に対し、複数の選択スイッチ10の全てが選択状態となる全選択の機能を割り当てている。
【0024】
次に、本実施形態の操作装置1(パワーウィンドウスイッチ5)の作用について説明する。
(動作対象を一つずつ切り替える場合)
図8のステップ101に示すように、操作装置1は、通常、初期状態をとる。初期状態のときは、例えば、複数の選択スイッチ10のうち、自席選択スイッチ26のみが選択下となった状態をとる。例えば、運転席の操作装置1の場合、自席選択スイッチ26である運転席選択スイッチ13が選択状態となる。なお、選択状態となった運転席選択スイッチ13は、組をなす照明部22が光ることにより、いま選択下であることが報知される。
【0025】
運転席選択スイッチ13が選択状態のとき、実行スイッチ11が引き上げ操作されると、運転席のウィンドウ4が上昇する。また、運転席選択スイッチ13が選択状態のとき、実行スイッチ11が押し込み操作されると、運転席のウィンドウ4が下降する。このように、運転席選択スイッチ13を選択状態としておけば、実行スイッチ11の操作によって、運転席のウィンドウ4を昇降操作できる。
【0026】
ステップ102に示すように、初期状態下において、助手席選択スイッチ14が操作されると、助手席選択スイッチ14が選択下となった選択状態に切り替わる。すなわち、切替部38は、初期状態のとき、助手席選択スイッチ14がタッチ操作されたことを検出すると、選択スイッチ10の選択状態を、助手席選択スイッチ14が選択された状態に切り替える。このとき、助手席選択スイッチ14と組をなす照明部22が光ることにより、いま助手席選択スイッチ14が選択されていることが報知される。
【0027】
助手席選択スイッチ14が選択状態のとき、実行スイッチ11が引き上げ操作されると、助手席のウィンドウ4が上昇する。また、助手席選択スイッチ14が選択状態のとき、実行スイッチ11が押し込み操作されると、助手席のウィンドウ4が下降する。このように、助手席のウィンドウ4を昇降したい場合には、助手席選択スイッチ14を操作して選択状態下とし、そして、実行スイッチ11を操作することにより実行する。
【0028】
ステップ103に示すように、切替部38は、初期状態下において、右後席選択スイッチ15がタッチ操作されたことを検出すると、選択スイッチ10の選択状態を、右後席選択スイッチ15が選択された状態に切り替える。このとき、右後席選択スイッチ15と組をなす照明部22が光る。このように、右後席選択スイッチ15を昇降したい場合には、右後席選択スイッチ15を操作して選択状態下とし、そして、実行スイッチ11を操作することにより実行する。
【0029】
ステップ104に示すように、切替部38は、初期状態下において、左後席選択スイッチ16がタッチ操作されたことを検出すると、選択スイッチ10の選択状態を、左後席選択スイッチ16が選択された状態に切り替える。このとき、左後席選択スイッチ16と組をなす照明部22が光る。このように、左後席選択スイッチ16を昇降したい場合には、左後席選択スイッチ16を操作して選択状態下とし、そして、実行スイッチ11を操作することにより実行する。
【0030】
ステップ105に示すように、助手席選択スイッチ14、右後席選択スイッチ15、及び左後席選択スイッチ16のいずれかが選択下にあるとき、運転席選択スイッチ13が操作されると、元の初期状態に戻される。すなわち、初期状態から、助手席選択スイッチ14が選択された状態や、右後席選択スイッチ15が選択された状態や、左後席選択スイッチ16が選択された状態に、選択状態を切り替えた後、運転席選択スイッチ13が操作されると、元の初期状態に戻る。
【0031】
(動作対象を全選択する場合)
図8のステップ106に示すように、初期状態下において、自席選択スイッチ26である運転席選択スイッチ13が操作されると、選択スイッチ10が全選択状態に切り替わる。このように、切替部38は、自席選択スイッチ26のみ選択状態にある場合に、自席選択スイッチ26が操作されたことを検出すると、選択スイッチ10の選択状態を、全ての選択スイッチ10が選択された全選択状態に切り替える。全選択状態のとき、全ての選択スイッチ10の照明部22が光る。
【0032】
選択スイッチ10が全選択状態のとき、実行スイッチ11が引き上げ操作されると、全席のウィンドウ4が上昇する。また、選択スイッチ10が全選択状態のとき、実行スイッチ11が押し込み操作されると、全席のウィンドウ4が下降する。このように、選択スイッチ10を全選択状態としておけば、単一の実行スイッチ11の一度の操作によって、全席のウィンドウ4を同時に昇降操作できる。
【0033】
ステップ107に示すように、全選択状態のときに、左後席選択スイッチ16が操作されると、左後席選択スイッチ16が選択状態から外される。すなわち、切替部38は、全ての選択スイッチ10が選択された全選択状態のとき、自席選択スイッチ26ではない他席選択スイッチ27(ここでは、左後席選択スイッチ16)が操作されたことを検出すると、その操作された他席選択スイッチ27を選択下から外す。選択下から外された左後席選択スイッチ16の照明部22は、消灯される。これにより、運転席、助手席、及び右後席の3つのウィンドウ4について、昇降操作が可能になる。
【0034】
なお、全選択状態から他席選択スイッチ27(ここでは、左後席選択スイッチ16)が選択下から外された後、選択下から外された他席選択スイッチ27が再度操作されると、この他席選択スイッチ27が選択下に含まれる状態に戻る。すなわち、全選択状態から他席選択スイッチ27を選択下から外しても、もう一度、その他席選択スイッチ27を操作すれば、元の状態に戻る。
【0035】
ステップ108において、運転席選択スイッチ13、助手席選択スイッチ14、及び右後席選択スイッチ15の3つが選択状態のときに、右後席選択スイッチ15が操作されると、右後席選択スイッチ15が選択状態から外される。すなわち、切替部38は、複数の選択スイッチ10が選択下のとき、その中の他席選択スイッチ27が操作されたことを検出すると、その操作された他席選択スイッチ27を選択下から外す。選択下から外された右後席選択スイッチ15の照明部22は、消灯される。これにより、運転席、及び助手席の2つのウィンドウ4について、昇降操作が可能になる。
【0036】
ステップ109に示すように、複数の選択スイッチ10が選択状態(全選択も含む)にあるとき、自席選択スイッチ26である運転席選択スイッチ13が操作されると、初期状態、すなわち、運転席選択スイッチ13のみが選択された状態に初期状態に戻る。このように、複数の選択スイッチ10が選択された状態に移行させても、もう一度、運転席選択スイッチ13を操作すれば、元の初期状態に戻すことが可能である。
【0037】
(選択操作のタイムアウト)
図8のステップ110に示すように、初期状態から選択状態が変更された後、選択スイッチ10が一定時間操作されないときは、元の初期状態に戻る。すなわち、切替部38は、自席選択スイッチ26のみ選択下となっている初期状態から選択状態の切り替え操作が行われた後、非初期状態において選択スイッチ10が操作されない状態が一定時間経過したとき、選択状態を元の初期状態に戻す。このように、選択スイッチ10の操作にタイムアウトの制限を設定することにより、初期状態への戻し忘れを防ぐ。
【0038】
(実施形態の効果)
上記実施形態の構成によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)操作装置1は、複数の座席の少なくとも1つに設けられ、各席に設けられた可動物2を電動で動作させるときに操作される。操作装置1は、選択スイッチ10、実行スイッチ11、及び切替部38を備える。選択スイッチ10は、動作対象とする可動物2を選択するために、各席の可動物2ごとに複数設けられている。切替部38は、選択スイッチ10のスイッチ信号Stに基づき、動作対象とする可動物2の選択状態を切り替える。実行スイッチ11は、複数の選択スイッチ10の間で共用され、選択下にある可動物2の動作を実行するときに操作される。切替部38は、複数の選択スイッチ10のうち、自席と組をなす自席選択スイッチ26に対し、複数の選択スイッチ10の全てが選択状態となる全選択の機能を割り当てている。
【0039】
本構成によれば、複数の選択スイッチ10のうちの自席選択スイッチ26に全選択の機能を割り当てたので、自席選択スイッチ26の操作により、全席の可動物2を選択下とした全選択状態で実行スイッチ11を操作すれば、全席の可動物2を一度に動作させることが可能となる。このため、全席の可動物2を動作させたい場合に、スイッチ操作を繰り返す必要がない。よって、可動物2を動作させる際の操作性を向上できる。
【0040】
(2)切替部38は、自席選択スイッチ26のみ選択状態にある場合に、自席選択スイッチ26が操作されたことを検出すると、選択スイッチ10の選択状態を、全ての選択スイッチ10が選択された全選択状態に切り替える。この構成によれば、選択スイッチ10群のうち自席選択スイッチ26のみ選択状態にある操作装置1に対し、単に自席選択スイッチ26を操作するという簡易な操作によって、選択状態を全選択状態に切り替えることができる。
【0041】
(3)切替部38は、全ての選択スイッチ10が選択された全選択状態のとき、自席選択スイッチ26ではない他席選択スイッチ27が操作されたことを検出すると、その操作された他席選択スイッチ27を選択下から外す。この構成によれば、同時に動作させる可動物2を適宜選択することが可能となるので、操作性の向上に一層寄与する。
【0042】
(4)操作装置1は、複数の選択スイッチ10の各々に設けられた照明部22を備える。照明部22は、組をなす選択スイッチ10が選択下となったときに光ることにより、いま選択下である旨を報知する。この構成によれば、いま選択下にある選択スイッチ10がどのスイッチであるのかを、照明部22の光によって認識することができる。
【0043】
(5)切替部38は、自席選択スイッチ26のみ選択下となっている初期状態から選択状態の切り替え操作が行われた後、非初期状態において選択スイッチ10が操作されない状態が一定時間経過したとき、選択状態を元の初期状態に戻す。この構成によれば、選択スイッチ10を初期状態から種々の状態へ切り替え操作した後、初期状態への戻し忘れを生じ難くすることができる。
【0044】
(6)複数の選択スイッチ10は、実行スイッチ11を中央にして、各座席に対応した位置に配置されている。この構成によれば、どの選択スイッチ10からでも、実行スイッチ11への距離を同じにすることが可能となるので、操作性の向上に一層寄与する。
【0045】
(7)実行スイッチ11は、中立位置を起点として、中立位置の両方向に操作可能に構成されている。実行スイッチ11を中立位置から一方向(本例は、下側)に動かす操作は、可動物2を第1方向に動かす操作に割り当てられている。また、実行スイッチ11を中立位置から他方向(本例は、上側)に動かす操作は、第1方向とは反対の第2方向に可動物2を動かす操作に割り当てられている。この構成によれば、実行スイッチ11による操作を、可動物2の位置を切り替える操作とすることができる。
【0046】
(他の実施形態)
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0047】
・複数の選択スイッチ10が同時操作されたとき、これらを同時に選択状態に移行させてもよい。
・選択スイッチ10のデザインは、ウィンドウ4を模した形状に限定されず、単なる四角や丸などの他のデザインに変更してもよい。
【0048】
・選択スイッチ10は、タッチセンサ20に限定されず、例えば、メカニカルスイッチとしてもよい。
・選択スイッチ10の個数は、4つに限定されず、例えば、2つや3つとしてもよい。
【0049】
・実行スイッチ11は、回転操作式のスイッチに限定されず、例えば、プッシュ式やスライド式などに変更してもよい。
・選択スイッチ10及び実行スイッチ11の配置パターンは、実行スイッチ11を中央にして、周囲に選択スイッチ10を配置するパターンに限定されない。例えば、複数の選択スイッチ10をまとめて配置し、これらスイッチ群の横に実行スイッチ11を配置してもよい。
【0050】
・操作装置1は、車両3のドア内壁に設けられることに限らず、例えば、車内のセンターコンソール、センタークラスター、インストルメントパネル、シートなどに配置されてもよい。
【0051】
・全選択機能を有する操作装置1は、例えば、運転席にのみ設けられてもよい。
・可動物2は、ウィンドウ4に限定されず、車両3の席ごとに搭載される電装品であればよい。
【0052】
・操作装置1は、パワーウィンドウスイッチ5に限定されず、可動物2の種類に応じた他のスイッチでもよい。
・操作装置1は、車載用に限定されず、他の機器や装置に使用されてもよい。
【0053】
・本開示において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本開示において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」または「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本開示において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」または「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【0054】
・切替部38は、[1]コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って動作する1つ以上のプロセッサによって構成されてもよいし、[2]そのようなプロセッサと、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する特定用途向け集積回路(ASIC)等の1つ以上の専用のハードウェア回路との組み合わせによって構成されてもよい。プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリを含み、メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコード、又は指令を格納している。メモリ(コンピュータ可読媒体)は、汎用、又は専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。或いは、上記プロセッサを含むコンピュータに代えて、各種処理の全てを実行する1つ以上の専用のハードウェア回路によって構成された処理回路が用いられてもよい。
【0055】
・本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【0056】
次に、上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について記載する。
(イ)前記パワーウィンドウスイッチにおいて、前記実行スイッチは、中立位置を起点として、前記中立位置の両方向に操作可能に構成され、前記実行スイッチを前記中立位置から一方向に動かす操作は、前記ウィンドウの上昇操作に割り当てられ、前記実行スイッチを前記中立位置から他方向に動かす操作は、前記ウィンドウの下降操作に割り当てられている。
【符号の説明】
【0057】
1…操作装置、2…可動物、4…ウィンドウ、5…パワーウィンドウスイッチ、10…選択スイッチ、11…実行スイッチ、22…照明部、26…自席選択スイッチ、27…他席選択スイッチ、38…切替部、St…スイッチ信号。