(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108625
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】操作装置、及びパワーウィンドウスイッチ
(51)【国際特許分類】
H01H 23/00 20060101AFI20240805BHJP
H01H 23/30 20060101ALI20240805BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
H01H23/00 S
H01H23/30
B60R16/02 630J
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023013079
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】松澤 孝彦
【テーマコード(参考)】
5G035
【Fターム(参考)】
5G035CA04
5G035PA02
(57)【要約】
【課題】操作間違いを生じ難くできる操作装置、及びパワーウィンドウスイッチを提供する。
【解決手段】操作装置1は、動作対象とする可動物(例えば、ウィンドウ)の操作スイッチ10を備える。操作スイッチ10は、中立位置を起点に両方向に回転可能に設けられ、回転軸15の軸交差方向の両側に設けられた指操作部20の各々に対し、個々の可動物について操作が割り振られている。第1検出部18は、中立位置を起点とした操作スイッチ10の回転操作を検出する。第2検出部24は、複数の指操作部20のうち、どの指操作部20に人体が触れているのかを検出するために、複数の指操作部20の各々に形成されている。操作装置1は、第1検出部18の出力と第2検出部24の出力との組み合わせに基づき、操作スイッチ10に対してユーザが行う操作を識別する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の座席の少なくとも1つに設けられ、各席に設けられた可動物を電動で動作させるときに操作される操作装置であって、
中立位置を起点に両方向に回転可能に設けられ、回転軸の軸交差方向の両側に設けられた指操作部の各々に対し、個々の前記可動物について操作が割り振られた操作スイッチと、
前記中立位置を起点とした前記操作スイッチの回転操作を検出する第1検出部と、
前記複数の指操作部のうち、どの前記指操作部に人体が触れているのかを検出するために、前記複数の指操作部の各々に形成された第2検出部と、
前記第1検出部の第1検出信号と前記第2検出部の第2検出信号との組み合わせに基づき、前記操作スイッチに対してユーザが行う操作を識別する操作識別部と、を備えた操作装置。
【請求項2】
前記操作スイッチは、前記操作スイッチの取付け先であるパネルの平面方向に前記回転軸を沿わせた向きで、前記パネルに回転可能に取付けられている、請求項1に記載の操作装置。
【請求項3】
前記操作スイッチは、前記回転軸を対称軸とした対称形状に形成されている、請求項1に記載の操作装置。
【請求項4】
前記指操作部は、前記軸交差方向の両側の各々において、複数設けられている、請求項1に記載の操作装置。
【請求項5】
前記第2検出部は、前記指操作部へのタッチ操作に応じた前記第2検出信号を出力するタッチセンサである、請求項1に記載の操作装置。
【請求項6】
前記操作識別部は、前記操作スイッチの回転操作時、前記回転軸の軸交差方向両側の前記第2検出部で操作を同時検出した場合、前記軸交差方向両側の一対の指操作部のうち、回転方向に持ち上げられる方の前記指操作部の操作を優先する、請求項1に記載の操作装置。
【請求項7】
前記指操作部は、前記回転軸を境目として一方に配置された第1指操作部と、前記回転軸を境目として他方に配置された第2指操作部と、を含み、
前記操作スイッチにおける前記回転軸の軸回りの一方の回転は、前記第1指操作部の場合、組をなす前記可動物を第1動作させるための操作として割り振られ、前記第2指操作部の場合、組をなす前記可動物を第2動作させるための操作として割り振られ、
前記操作スイッチにおける前記回転軸の軸回りの他方の回転は、前記第1指操作部の場合、組をなす前記可動物を前記第2動作させるための操作として割り振られ、前記第2指操作部の場合、組をなす前記可動物を前記第1動作させるための操作として割り振られている、請求項1に記載の操作装置。
【請求項8】
複数の座席の少なくとも1つに設けられ、各席に設けられたウィンドウを電動で昇降させるときに操作されるパワーウィンドウスイッチであって、
中立位置を起点に両方向に回転可能に設けられ、回転軸の軸交差方向の両側に設けられた指操作部の各々に対し、個々の前記ウィンドウについて操作が割り振られた操作スイッチと、
前記中立位置を起点とした前記操作スイッチの回転操作を検出する第1検出部と、
前記複数の指操作部のうち、どの前記指操作部に人体が触れているのかを検出するために、前記複数の指操作部の各々に形成された第2検出部と、
前記第1検出部の第1検出信号と前記第2検出部の第2検出信号との組み合わせに基づき、前記ウィンドウの開閉のためにユーザが前記操作スイッチに対して行う操作を識別する操作識別部と、を備えたパワーウィンドウスイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作装置、及びパワーウィンドウスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されるように、車両においてウィンドウを電動で昇降させる際に操作するスイッチ装置が周知である。特許文献1のスイッチ装置は、単一の操作ノブによって、例えば、運転席側ウィンドウ、助手席側ウィンドウ、後席右側ウィンドウ、及び後席左側ウィンドウ、の4つを操作できる技術となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の場合、1つの操作ノブに対し、運転席側ウィンドウの操作部位、助手席側ウィンドウの操作部位、後席右側ウィンドウの操作部位、後席左側ウィンドウの操作部位、の各々が割り振られている。このため、操作ノブは、どの座席のウィンドウであっても操作方向が同じとなっている。よって、ユーザが意図するウィンドウとは異なるウィンドウを操作してしまう可能性があるため、何らかの対策が必要とされていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決する操作装置は、複数の座席の少なくとも1つに設けられ、各席に設けられた可動物を電動で動作させるときに操作される装置であって、中立位置を起点に両方向に回転可能に設けられ、回転軸の軸交差方向の両側に設けられた指操作部の各々に対し、個々の前記可動物について操作が割り振られた操作スイッチと、前記中立位置を起点とした前記操作スイッチの回転操作を検出する第1検出部と、前記複数の指操作部のうち、どの前記指操作部に人体が触れているのかを検出するために、前記複数の指操作部の各々に形成された第2検出部と、前記第1検出部の第1検出信号と前記第2検出部の第2検出信号との組み合わせに基づき、前記操作スイッチに対してユーザが行う操作を識別する操作識別部と、を備えた。
【0006】
前記課題を解決するパワーウィンドウスイッチは、複数の座席の少なくとも1つに設けられ、各席に設けられたウィンドウを電動で昇降させるときに操作される構成であって、中立位置を起点に両方向に回転可能に設けられ、回転軸の軸交差方向の両側に設けられた指操作部の各々に対し、個々の前記ウィンドウについて操作が割り振られた操作スイッチと、前記中立位置を起点とした前記操作スイッチの回転操作を検出する第1検出部と、前記複数の指操作部のうち、どの前記指操作部に人体が触れているのかを検出するために、前記複数の指操作部の各々に形成された第2検出部と、前記第1検出部の第1検出信号と前記第2検出部の第2検出信号との組み合わせに基づき、前記ウィンドウの開閉のためにユーザが前記操作スイッチに対して行う操作を識別する操作識別部と、を備えたパワーウィンドウスイッチ。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、操作間違いを生じ難くできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態において車両のドア内壁の構成を示す斜視図である。
【
図5】(a)、(b)は操作スイッチを第1指操作部で操作するときの説明図である。
【
図6】(a)、(b)は操作スイッチを第2指操作部で操作するときの説明図である。
【
図8】第1指操作部及び第2指操作部を同時操作したときの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の一実施形態を説明する。
(操作装置1)
図1に示すように、操作装置1は、各席に設けられた可動物2を電動で動作させるときに操作するための装置として車両3に設けられている。本例の場合、操作装置1は、可動物2としてのウィンドウ4を電動で昇降(開閉)させる際に操作するパワーウィンドウスイッチ5である。操作装置1は、例えば、車両ドア6の内側、具体的には、ドア内壁の肘掛け部7に配置されている。操作装置1は、複数の座席のうち、少なくとも1つに設けられていればよい。
【0010】
(操作スイッチ10)
図2に示すように、操作装置1は、可動物2を動作させるときに操作する操作スイッチ10を備える。本例の操作スイッチ10は、1つのスイッチ部材に対し、全ての可動物2の昇降操作機能が割り当てられている。操作スイッチ10は、例えば、操作スイッチ10の取付け先であるパネル11(本例は、肘掛け部7の一部)の凹部12内に可動可能に取付けられている。
【0011】
図3に示すように、操作スイッチ10は、ユーザによって操作される操作体14を備える。操作体14は、回転軸15回りに回転可能に台座16に取付けられている。本例の場合、操作体14は、中立位置(
図3に示す状態)を起点に回転軸15回りの両方向(
図3の矢印A1、A2方向)に回転可能に設けられている。操作体14及び台座16は、パネル11の凹部12内に配置されている。
【0012】
操作スイッチ10は、操作スイッチ10の取付け先であるパネル11の平面方向(
図3のX-Y軸平面方向)に回転軸15を沿わせた向きで、パネル11に回転可能に取付けられている。このため、操作スイッチ10は、パネル11の平面に対して交差する方向に押し込んだり引き上げたりすることにより、操作される。本例の場合、操作スイッチ10は、中立位置を起点として、車体後方に倒れ込んで回るときの回転方向である第1回転方向(
図3の矢印A1方向)と、車体前方に倒れ込んで回るときの回転方向である第2回転方向(
図3の矢印A2方向)と、に回転する。
【0013】
操作装置1は、操作スイッチ10の回転操作を検出する第1検出部18を備える。なお、第1検出部18は、例えば、メカニカルスイッチ及びセンサのいずれでもよい。第1検出部18は、操作体14が車体後方に倒れ込んで回るときの回転操作(矢印A1方向の操作)と、操作体14が車体前方に倒れ込んで回るときの回転操作(矢印A2方向の操作)と、を検出する。
【0014】
なお、操作体14の中立位置からの押し込み操作、及び、操作体14の中立位置からの引き上げ操作、の各々は、2段階操作となっている。具体的には、中立位置から1段目に操作体14を回す操作は、操作体14を操作中のみ可動物2が動作するマニュアル操作として割り当てられている。また、中立位置から2段目まで操作体14を回す操作は、操作体14から手を離しても可動物2の動作が継続されるオート操作として割り当てられている。
【0015】
図4に示すように、操作スイッチ10は、各席の可動物2(本例は、ウィンドウ4:以下同様)を昇降させるときの操作箇所として、各ウィンドウ4に対応するように複数の指操作部20が設けられている。本例の場合、操作スイッチ10は、回転軸15の軸交差方向(
図4のX軸方向)の両側に設けられた指操作部20の各々に対し、個々のウィンドウ4について操作が割り振られている。
【0016】
指操作部20は、回転軸15を境目として一方に配置された第1指操作部21と、回転軸15を境目として他方に配置された第2指操作部22と、を含む。第1指操作部21は、例えば、前席のウィンドウ4を動作させるときの操作箇所として設けられている。第2指操作部22は、例えば、後席のウィンドウ4を動作させるときの操作箇所として設けられている。
【0017】
第1指操作部21及び第2指操作部22の各々は、複数設けられている。具体的には、第1指操作部21は、運転席のウィンドウ4用の運転席用指操作部21aと、助手席のウィンドウ4用の助手席用指操作部21bと、を含む。また、第2指操作部22は、右後席のウィンドウ4用の右後席用指操作部22aと、左後席のウィンドウ4用の左後席用指操作部22bと、を含む。このように、複数の指操作部20は、回転軸15の軸方向に並んで複数配列されたものが、回転軸15の軸交差方向両側(
図4のX軸方向の両側)に各々配置されている。
【0018】
操作スイッチ10は、回転軸15を対称軸とした対称形状に形成されている。本例の場合、第1指操作部21及び第2指操作部22が回転軸15を対称軸として対称配置されている。なお、指操作部20に描かれたウィンドウ4の絵柄(意匠)は、対称配置ではなく、同じデザインに形成されている。
【0019】
図3及び
図4に示す通り、操作装置1は、どの指操作部20に人体が触れているのかを検出する第2検出部24を備える。本例の第2検出部24は、指操作部20への人体によるタッチ操作を検出するタッチセンサであることが好ましい。第2検出部24は、複数の指操作部20の各々に形成されている。第2検出部24は、例えば、静電検出可能なセンサシートであることが好ましい。
【0020】
図3に示す通り、第2検出部24は、操作体14の上部に沿って配置された第1検出領域25と、操作体14の側部に沿って配置された第2検出領域26と、を有する。このように、本例の第2検出部24は、操作体14の上部及び側部の両方に亘って存在するように、シートを操作体14の角で折り曲げた形状に形成されている。なお、操作体14の側部は、指を引っ掛け易くするための円弧状の指引掛部27として形成されている。
【0021】
図4に示す通り、第2検出部24は、運転席用指操作部21aに設けられた運転席用第2検出部24aと、助手席用指操作部21bに設けられた助手席用第2検出部24bと、右後席用指操作部22aに設けられた右後席用第2検出部24cと、左後席用指操作部22bに設けられた左後席用第2検出部24dと、を有する。運転席用第2検出部24a及び助手席用第2検出部24bの組と、右後席用第2検出部24c及び左後席用第2検出部24dの組とは、回転軸15を対称軸として、対称配置されている。
【0022】
図5(a)及び
図6(b)に示すように、操作スイッチ10の回転軸15回りの回転において、一方(第1回転方向:矢印A1方向)の回転は、第1指操作部21の場合(
図5(a)に図示)、組をなす可動物2を第1動作させるための操作として割り振られ、第2指操作部22の場合(
図6(b)に図示)、組をなす可動物2を第2動作させるための操作として割り振られている。可動物2がウィンドウ4の場合、第1動作がウィンドウ4の上昇動作であり、第2動作がウィンドウ4の下降動作である。
【0023】
図5(b)及び
図6(a)に示すように、操作スイッチ10の回転軸15回りの回転において、他方(第2回転方向:矢印A2方向)の回転は、第1指操作部21の場合(
図5(b)に図示)、組をなす可動物2を第2動作させるための操作として割り振られ、第2指操作部22の場合(
図6(a)に図示)、組をなす可動物2を第1動作させるための操作として割り振られている。
【0024】
(操作装置1の電気構成)
図7に示すように、操作装置1は、操作装置1の動作を制御する制御装置29を備える。制御装置29は、第1検出部18及び第2検出部24と電気的に接続されている。制御装置29は、第1検出部18及び第2検出部24の出力に基づき、操作装置1へのユーザ操作を判定し、その判定結果として、制御指令Saを他のECU(Electronic Control Unit)に出力する。
【0025】
具体的には、操作装置1は、第1検出部18の第1検出信号S1と第2検出部24の第2検出信号S2との組み合わせに基づいてユーザ操作を識別する操作識別部30を備える。操作識別部30は、例えば、制御装置29に設けられている。本例の場合、操作識別部30は、第2検出部24の第2検出信号S2に基づき、どの指操作部20がタッチ操作されているのかを判定するとともに、第1検出部18の第1検出信号S1を操作体14の決定操作として入力する。
【0026】
次に、本実施形態の操作装置1の作用について説明する。
(第1指操作部21を用いたウィンドウ4の昇降操作)
図5(a)に示す通り、車両前席(運転席、又は助手席)のウィンドウ4を閉める場合には、操作体14の第1指操作部21(運転席用指操作部21a、又は助手席用指操作部21b)を指で引き上げることにより、回転軸15回りの矢印A1方向に操作体14を回転操作する。第1指操作部21のタッチ操作は、第1指操作部21に配置された第2検出部24で検出される。操作体14の回転軸15回りの矢印A1方向の回し操作は、第1検出部18で検出される。
【0027】
第2検出部24が例えば静電容量方式のタッチセンサの場合、静電容量の変化量が所定の閾値を超えたときに、タッチ操作ありと判定されることが好ましい。すなわち、操作識別部30は、第2検出部24によって検出される静電容量が所定の閾値を超えたとき、その第2検出部24と組をなす指操作部20がタッチ操作されていると判定することが好ましい。
【0028】
操作識別部30は、第1指操作部21がタッチ操作されながら操作体14が回転軸15回りに引き上げ操作されたことを検出すると、車両前席のウィンドウ4について、閉操作があった旨を認識する。そして、制御装置29は、車両前席のウィンドウ4について閉操作があった旨の制御指令Saを他のECUに出力する。従って、運転席用指操作部21aで操作体14が引き上げ操作された場合には、運転席のウィンドウ4の閉動作が実行される。また、助手席用指操作部21bで操作体14が引き上げ操作された場合には、助手席のウィンドウ4の閉動作が実行される。
【0029】
図5(b)に示す通り、車両前席(運転席、又は助手席)のウィンドウ4を開ける場合には、操作体14の第1指操作部21(運転席用指操作部21a、又は助手席用指操作部21b)を指で押し込むことにより、回転軸15回りの矢印A2方向に操作体14を回転操作する。第1指操作部21のタッチ操作は、第1指操作部21に配置された第2検出部24で検出される。操作体14の回転軸15回りの矢印A2方向の回し操作は、第1検出部18で検出される。
【0030】
操作識別部30は、第1指操作部21がタッチ操作されながら操作体14が回転軸15回りに押し込み操作されたことを検出すると、車両前席のウィンドウ4について、開操作があった旨を認識する。そして、制御装置29は、車両前席のウィンドウ4について開操作があった旨の制御指令Saを他のECUに出力する。従って、運転席用指操作部21aで操作体14が押し込み操作された場合には、運転席のウィンドウ4の開動作が実行される。また、助手席用指操作部21bで操作体14が押し込み操作された場合には、助手席のウィンドウ4の開動作が実行される。
【0031】
(第2指操作部22を用いたウィンドウ4の昇降操作)
図6(a)に示す通り、車両後席(右後席、又は左後席)のウィンドウ4を閉める場合には、操作体14の第2指操作部22(右後席用指操作部22a、又は左後席用指操作部22b)を指で引き上げることにより、回転軸15回りの矢印A2方向に操作体14を回転操作する。第2指操作部22のタッチ操作は、第2指操作部22に配置された第2検出部24で検出される。操作体14の回転軸15回りの矢印A2方向の回し操作は、第1検出部18で検出される。
【0032】
本例の場合、車両後席のウィンドウ4を閉めるときの操作体14の操作は、車両前席のウィンドウ4を閉めるときの操作体14の操作に対し、回転が逆方向である。よって、前席と後席とで操作方式が明確に異なるため、前席及び後席の各々において、ウィンドウ4を閉めるときに操作間違いを起こし難い。
【0033】
操作識別部30は、第2指操作部22がタッチ操作されながら操作体14が回転軸15回りに引き上げ操作されたことを検出すると、車両後席のウィンドウ4について、閉操作があった旨を認識する。そして、制御装置29は、車両後席のウィンドウ4について閉操作があった旨の制御指令Saを他のECUに出力する。従って、右後席用指操作部22aで操作体14が引き上げ操作された場合には、右後席のウィンドウ4の閉動作が実行される。また、左後席用指操作部22bで操作体14が引き上げ操作された場合には、左後席のウィンドウ4の閉動作が実行される。
【0034】
図6(b)に示す通り、車両後席(右後席、又は左後席)のウィンドウ4を開ける場合には、操作体14の第2指操作部22(右後席用指操作部22a、又は左後席用指操作部22b)を指で押し込むことにより、回転軸15回りの矢印A1方向に操作体14を回転操作する。第2指操作部22のタッチ操作は、第2指操作部22に配置された第2検出部24で検出される。操作体14の回転軸15回りの矢印A1方向の回し操作は、第1検出部18で検出される。
【0035】
本例の場合、車両後席のウィンドウ4を開けるときの操作体14の操作は、車両前席のウィンドウ4を開けるときの操作体14の操作に対し、回転が逆方向である。よって、前席と後席とで操作方式が明確に異なるため、前席及び後席の各々において、ウィンドウ4を開けるときに操作間違いを起こし難い。
【0036】
操作識別部30は、第2指操作部22がタッチ操作されながら操作体14が回転軸15回りに押し込み操作されたことを検出すると、車両後席のウィンドウ4について、開操作があった旨を認識する。そして、制御装置29は、車両後席のウィンドウ4について開操作があった旨の制御指令Saを他のECUに出力する。従って、右後席用指操作部22aで操作体14が押し込み操作された場合には、右後席のウィンドウ4の開動作が実行される。また、左後席用指操作部22bで操作体14が押し込み操作された場合には、左後席のウィンドウ4の開動作が実行される。
【0037】
(第1指操作部21及び第2指操作部22が同時操作された場合)
図8に示すように、操作体14(
図8の場合は、第1指操作部21)を引き上げ操作するとき、他の指が第2指操作部22に触れてしまう状況も生じ得る。これは、操作体14を引き上げる場合、操作体14を前後で摘まんで操作することが多いからである。このため、前席及び後席の一方のウィンドウ4を開操作するとき、この同時操作が生じてしまうと、操作意思がないにも関わらず、他方のウィンドウ4の開操作が実行されてしまうことになる。
【0038】
本例の場合、同時操作時は、ウィンドウ4の閉動作を優先する。このように、操作識別部30は、操作スイッチ10の回転操作時、回転軸15の軸交差方向両側の第2検出部24で操作を同時検出した場合、軸交差方向両側の一対の指操作部20のうち、回転方向に持ち上げられる方の指操作部20の操作を優先する。よって、第1指操作部21及び第2指操作部22が同時操作されても、ユーザの操作意思がある方の操作を正しく検出するとともに、その検出結果により、ウィンドウ4を動作させることが可能となる。
【0039】
(実施形態の効果)
上記実施形態の構成によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)操作装置1は、複数の座席の少なくとも1つに設けられ、各席に設けられた可動物2を電動で動作させるときに操作される。操作装置1は、操作スイッチ10、第1検出部18、第2検出部24、及び操作識別部30を備える。操作スイッチ10は、中立位置を起点に両方向に回転可能に設けられ、回転軸15の軸交差方向の両側に設けられた指操作部20の各々に対し、個々の可動物2について操作が割り振られている。第1検出部18は、中立位置を起点とした操作スイッチ10の回転操作を検出する。第2検出部24は、複数の指操作部20のうち、どの指操作部20に人体が触れているのかを検出するために、複数の指操作部20の各々に形成されている。操作識別部30は、第1検出部18の第1検出信号S1と第2検出部24の第2検出信号S2との組み合わせに基づき、操作スイッチ10に対してユーザが行う操作を識別する。
【0040】
本構成によれば、複数の指操作部20が設けられた操作スイッチ10を用いて、それぞれの指操作部20に対応する可動物2を動作させる場合、回転軸15の軸交差方向の一方の指操作部20を操作するときと、回転軸15の軸交差方向の他方の指操作部20を操作するときと、の各々で、操作スイッチ10の操作方向を異ならせることが可能となる。よって、複数の可動物2の間で1つの操作スイッチ10を共用する場合であっても、操作間違いを生じ難くできる。
【0041】
(2)操作スイッチ10は、操作スイッチ10の取付け先であるパネル11の平面方向に回転軸15を沿わせた向きで、パネル11に回転可能に取付けられている。この構成によれば、操作スイッチ10を回転軸15回りに引き上げたり押し込んだりする操作によって、可動物2を動作させることができる。
【0042】
(3)操作スイッチ10は、回転軸15を対称軸とした対称形状に形成されている。この構成によれば、操作スイッチ10の操作性やデザイン性をよくすることができる。
(4)指操作部20は、回転軸15の軸交差方向の両側の各々において、複数設けられている。すなわち、本例の場合、指操作部20は、操作スイッチ10の前部及び後部の各々に2つずつ設けられている。この構成によれば、1つの操作スイッチ10で操作可能な可動物2を多く設定することが可能となるので、操作スイッチ10の機能性をよくするのに有利となる。
【0043】
(5)第2検出部24は、指操作部20へのタッチ操作に応じた第2検出信号S2を出力するタッチセンサである。この構成によれば、どの指操作部20にユーザが触れたか否かをタッチセンサで検出するという簡易な方法により、ユーザによって操作された指操作部20を特定することができる。
【0044】
(6)操作識別部30は、操作スイッチ10の回転操作時、回転軸15の軸交差方向両側の第2検出部24で操作を同時検出した場合、軸交差方向両側の一対の指操作部20のうち、回転方向に持ち上げられる方の指操作部20の操作を優先する。この構成によれば、ユーザが意図せず複数の指操作部20を同時に操作してしまっても、ユーザが操作したい可能性の高い方の指操作部20の操作を優先することが可能となる。よって、ユーザが意図する操作を、的確に検出することができる。
【0045】
(7)指操作部20は、回転軸15を境目として一方に配置された第1指操作部21と、回転軸15を境目として他方に配置された第2指操作部22と、を含む。操作スイッチ10における回転軸15の軸回りの一方の回転は、第1指操作部21の場合、組をなす可動物2を第1動作させるための操作として割り振られ、第2指操作部22の場合、組をなす可動物2を第2動作させるための操作として割り振られている。操作スイッチ10における回転軸15の軸回りの他方の回転は、第1指操作部21の場合、組をなす可動物2を第2動作させるための操作として割り振られ、第2指操作部22の場合、組をなす可動物2を第1動作させるための操作として割り振られている。
【0046】
この構成によれば、第1指操作部21及び第2指操作部22の両方に対し、操作スイッチ10を回転軸15回りに持ち上げる回し操作を、第1動作を実行するための操作として割り当てることが可能となる。また、第1指操作部21及び第2指操作部22の両方に対し、操作スイッチ10を回転軸15回り押し下げる回し操作を、第2動作を実行するための操作として割り当てることが可能となる。よって、複数の可動物2の間で1つの操作スイッチ10を共用するようにしても、操作スイッチ10の操作を、分かり易い操作とすることができる。
【0047】
(他の実施形態)
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0048】
・運転席用指操作部21a及び助手席用指操作部21bの両方を同時にタッチ操作しながら操作体14が回し操作されたとき、運転席及び助手席の両方のウィンドウ4を同時に昇降させてもよい。同様に、右後席用指操作部22a及び左後席用指操作部22bの両方を同時にタッチ操作しながら操作体14が回し操作されたとき、右後席及び左後席の両方のウィンドウ4を同時に昇降させてもよい。
【0049】
・操作スイッチ10は、第1指操作部21及び第2指操作部22を各々1つのみ有するスイッチでもよい。
・第2検出部24は、センサに限定されず、例えば、メカニカルスイッチでもよい。
【0050】
・操作スイッチ10は、対称形状に形成されることに限らず、非対称形状としてもよい。
・回転操作式の操作スイッチ10は、例えばダイヤルスイッチでもよい。
【0051】
・操作装置1は、車両3のドア内壁に設けられることに限らず、例えば、車内のセンターコンソール、センタークラスター、インストルメントパネル、シートなどに配置されてもよい。
【0052】
・可動物2は、ウィンドウ4に限定されず、車両3の席ごとに搭載される電装品であればよい。
・操作装置1は、パワーウィンドウスイッチ5に限定されず、可動物2の種類に応じた他のスイッチでもよい。
【0053】
・操作装置1は、車載用に限定されず、他の機器や装置に使用されてもよい。
・本開示において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本開示において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」または「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本開示において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」または「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【0054】
・操作識別部30は、[1]コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って動作する1つ以上のプロセッサによって構成されてもよいし、[2]そのようなプロセッサと、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する特定用途向け集積回路(ASIC)等の1つ以上の専用のハードウェア回路との組み合わせによって構成されてもよい。プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリを含み、メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコード、又は指令を格納している。メモリ(コンピュータ可読媒体)は、汎用、又は専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。或いは、上記プロセッサを含むコンピュータに代えて、各種処理の全てを実行する1つ以上の専用のハードウェア回路によって構成された処理回路が用いられてもよい。
【0055】
・本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【0056】
次に、上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について記載する。
(イ)前記操作装置において、前記操作識別部は、前記第1検出部で前記操作スイッチの回転を検出したとき、前記操作スイッチの回転操作を、前記第2検出部で人体を検出した前記指操作部に対応する前記可動体の操作として検出する。
【0057】
(ロ)前記操作装置において、前記操作スイッチを前記中立位置から前記回転軸回りに持ち上げる操作は、前記第2検出部でタッチ操作が検出された前記指操作部に対応する前記可動物を、第1動作させるための操作であり、前記操作スイッチを前記中立位置から前記回転軸回りに押し込む操作は、前記第2検出部でタッチ操作が検出された前記指操作部に対応する前記可動物を、第2動作させるための操作である。
【符号の説明】
【0058】
1…操作装置、2…可動物、4…ウィンドウ、5…パワーウィンドウスイッチ、10…操作スイッチ、11…パネル、15…回転軸、18…第1検出部、20…指操作部、21…第1指操作部、22…第2指操作部、24…第2検出部、30…操作識別部、S1…第1検出信号、S2…第2検出信号。