(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108635
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】搬送装置、物品の供給方法及び計量システム
(51)【国際特許分類】
G01G 11/00 20060101AFI20240805BHJP
G01G 19/387 20060101ALN20240805BHJP
【FI】
G01G11/00 M
G01G19/387 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023013094
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067323
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 教光
(74)【代理人】
【識別番号】100124268
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 典行
(72)【発明者】
【氏名】夏目 昌美
(57)【要約】
【課題】長物状の物品を塊状にして後段に効率的に供給する。
【解決手段】搬送装置3は、連続運転される供給コンベア10、第1シャッタ21、第2シャッタ22、及び制御手段を具備し、長物状の物品Wを塊状にして組合せ計量装置2に供給する。閉止された第1及び第2シャッタ21,22 が塊状の物品Wを保持している状態(
図2d直後)で、第1シャッタ21を所定時間だけ開放して塊状の物品Wを計量装置に供給し(
図3a)、第1シャッタ21を閉止後に第2シャッタ22を所定時間だけ開放して塊状の
物品Wを下流側に搬送し(
図3b)、所定の制御時間が経過するまでは第1シャッタ21を開放せず、投入部14に物品Wを投入して(
図3c)、第2シャッタ22にも塊状の物品Wを保持させた状態とする(
図2d直後)。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長物状の物品(W)を後段装置(2)に供給するための搬送装置(3)であって、
搬送方向(A)の上流側に前記物品の投入部(14)が設けられるとともに搬送方向の下流側が前記後段装置の上方に配置された連続運転される供給コンベア(10)と、
前記供給コンベアの下流側に設けられて前記供給コンベアによる物品の搬送経路を開閉する第1シャッタ(21)と、
前記投入部から前記供給コンベアに投入された物品が前記第1シャッタによって搬送を妨げられることで塊状となるように前記第1シャッタを制御する制御手段と、
を具備することを特徴とする搬送装置(3)。
【請求項2】
前記供給コンベアの投入部の下流側であって前記第1シャッタの上流側に設けられ、前記供給コンベアによる物品の搬送経路を開閉する第2シャッタ(22)をさらに有しており、
前記制御手段は、
前記第1シャッタにより搬送を妨げられている塊状の物品を、前記第1シャッタを所定時間だけ開放することにより前記後段装置に供給し、当該供給後に前記第2シャッタを所定時間だけ開放し、前記第2シャッタの上流側に存在していた塊状の物品が前記第1シャッタに到達するまでに要する時間を越える制御時間が経過するまでは前記第1シャッタを開放しないように制御することを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記第1シャッタの上流側に存在する前記物品を検知するセンサ(23)をさらに有しており、
前記制御手段は、前記センサが物品を検知し、かつ前記制御時間が経過した後に、前記第1シャッタを開放することを特徴とする請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
請求項2に記載の搬送装置(3)を用いた物品の供給方法であって、
前記搬送装置を、前記第1シャッタ(21)及び前記第2シャッタ(22)が閉止され、何れも塊状の物品(W)の搬送を妨げて保持している待機状態とし、
前記第1シャッタを所定時間だけ開放することにより前記第1シャッタの上流側に存在していた塊状の物品を前記後段装置(2)に供給し、
当該供給後に前記第2シャッタを前記所定時間だけ開放して塊状の物品を下流側に搬送し、前記制御時間が経過するまでは前記第1シャッタを開放しないように制御するとともに、
物品が存在しない前記投入部(14)に物品を投入し、前記第2シャッタが物品の搬送を妨げて物品を塊状とすることにより、前記搬送装置を再び前記待機状態とすることを特徴とする物品の供給方法。
【請求項5】
請求項1に記載の搬送装置(3)と、
前記搬送装置によって物品(W)を供給される前記後段装置としての計量装置(2)と、
を供えた計量システム(1)であって、
前記制御手段は、前記計量装置から送られる要求信号に応じて前記第1シャッタ(21)を制御することを特徴とする計量システム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、麺類のような線状の物品を計量装置等の後段装置に供給するための搬送装置に係り、特に、線状の物品を塊状にして後段装置に供給することができ、また未熟練の作業者であっても、後段装置に対する物品の供給が効率的となるように物品の投入を適切に行なうことができる搬送装置に関するものであり、さらに係る搬送装置を用いた後段装置への物品の供給方法及び計量システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には組合せ計量装置の発明が開示されている。この組合せ計量装置1は、所定間隔で横方向に並んだ複数のベルトコンベア6を備えた物品の供給部2と、複数のベルトコンベア6の下方にそれぞれ設けられ、縦に並ぶ複数個のカップ8からなる列が横方向に複数列並べられた組合せ計量部7と、組合せ計量部7の下方に配置され、目標重量範囲内の組合せとなるように供給された被計量物Wを搬送する集合コンベア13と、集合コンベア13の一端部の近傍に配置され、目標重量範囲内の被計量物Wが排出される正規品排出先OKを備えている。さらに正規品排出先OKの隣部に所定距離だけ離れて非正規品排出先NGが設けられ、集合コンベア13の一端部が、非正規品排出先NGに被計量物Wを排出できるよう所定距離だけ移動可能とされている。この発明によれば、複数種類の被計量物をミックスして供給する場合に、組合せに使えない非正規品の被計量物を正規品と分別して種類ごとに排出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されている組合せ計量装置1では、ベルトコンベア6の上流側の投入部において作業者が手作業で物品を投入していた。ここで、物品が柔らかい長物状の物品、例えば麺であるとすると、麺を一纏まりの塊状にして後段の計量装置に供給する必要がある。すなわち、組合せ計量装置においては、計量した複数の物品の組合せから目標重量の物品を得る都合上、麺を長物状のままで搬送して計量装置に供給したのでは、搬送方向の後方に麺を引きずった状態となり、計量装置の計量容器から麺がはみ出した状態となる等、一纏まりの塊状の物品として計量を行なうことが困難となるからである。
【0005】
熟練作業者であれば、麺を線状に延ばしたままの状態ではなく、塊状にしてベルト上に投入することは可能かもしれない。さらに、ベルトコンベアのベルトに投入間隔の目安になる印を搬送方向に沿って適当間隔で設けておけば、熟練作業者が塊状にした麺を所定間隔でベルト上に供給することは一応可能ではある。しかしながら、現実には、前述した組合せ計量装置1の供給部2におけるベルトコンベア6の作動は連続運転ではなく、組合せ計量機側から出力される物品投入信号に依存する間欠運転であるため、ベルトコンベア6がいつ作動するか、いつ停止するかは不明であり、またベルトコンベア6上の麺は機構上視認できない位置にあるケースが多いため、ベルトコンベア6上にある塊状の麺と麺の間隔を所定間隔にするのは熟練作業者でも困難であった。
【0006】
また、近年の人手不足に伴って熟練作業者の確保はますます困難になっており、このような状況のために、組合せ計量装置のユーザーからメーカーに対して強い自動化要求が寄せられるようになっている。
【0007】
本発明は、以上説明した従来の技術における課題に鑑みてなされたものであり、自動化が困難な柔らかい長物状の物品の特性を克服して後段装置における生産性を向上させるために、線状の物品を塊状にして後段装置に供給することができ、また未熟練の作業者であっても、後段装置に対する物品の供給が効率的となるように物品の投入を適切に行なうことができる搬送装置と、係る搬送装置を用いた後段装置への物品の供給方法及び計量システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載された搬送装置3は、
長物状の物品Wを後段装置2に供給するための搬送装置3であって、
搬送方向Aの上流側に前記物品Wの投入部13が設けられるとともに搬送方向Aの下流側が前記後段装置2の上方に配置された連続運転される供給コンベア10と、
前記供給コンベア10の下流側に設けられて前記供給コンベア10による物品Wの搬送経路を開閉する第1シャッタ21と、
前記投入部13から前記供給コンベア10に投入された物品Wが前記第1シャッタ21によって搬送を妨げられることで塊状となるように前記第1シャッタ21を制御する制御手段と、
を具備することを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載された搬送装置3は、請求項1に記載の搬送装置3において、
前記供給コンベア10の投入部13の下流側であって前記第1シャッタ21の上流側に設けられ、前記供給コンベア10による物品Wの搬送経路を開閉する第2シャッタ22をさらに有しており、
前記制御手段は、
前記第1シャッタ21により搬送を妨げられている塊状の物品Wを、前記第1シャッタ21を所定時間だけ開放することにより前記後段装置2に供給し、当該供給後に前記第2シャッタ22を所定時間だけ開放し、前記第2シャッタ22の上流側に存在していた塊状の物品Wが前記第1シャッタ21に到達するまでに要する時間を越える制御時間が経過するまでは前記第1シャッタ21を開放しないように制御することを特徴としている。
【0010】
請求項3に記載された搬送装置3は、請求項2に記載の搬送装置3において、
前記第1シャッタ21の上流側に存在する前記物品Wを検知するセンサ23をさらに有しており、
前記制御手段は、前記センサ23が物品Wを検知し、かつ前記制御時間が経過した後に、前記第1シャッタ21を開放することを特徴としている。
【0011】
請求項4に記載された物品Wの供給方法は、
請求項2に記載の搬送装置3を用いた物品Wの供給方法であって、
前記搬送装置3を、前記第1シャッタ21及び前記第2シャッタ22が閉止され、何れも塊状の物品Wの搬送を妨げて保持している待機状態とし、
前記第1シャッタ21を所定時間だけ開放することにより前記第1シャッタ21の上流側に存在していた塊状の物品Wを前記後段装置2に供給し、
当該供給後に前記第2シャッタ22を前記所定時間だけ開放して塊状の物品Wを下流側に搬送し、前記制御時間が経過するまでは前記第1シャッタ21を開放しないように制御するとともに、
物品Wが存在しない前記投入部13に物品Wを投入し、前記第2シャッタ22が物品Wの搬送を妨げて物品Wを塊状とすることにより、前記搬送装置3を再び前記待機状態とすることを特徴としている。
【0012】
請求項5に記載された計量システム1は、
請求項1に記載の搬送装置3と、
前記搬送装置3によって物品Wを供給される前記後段装置としての計量装置2と、
を供えた計量システム1であって、
前記制御手段は、前記計量装置2から送られる要求信号に応じて前記第1シャッタ21を制御することを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載された搬送装置によれば、連続運転される供給コンベアの投入部に長物状の物品を投入すると、物品は供給コンベアによって搬送されるが、閉止された第1シャッタに移動を妨げられるため、第1シャッタの上流側に接した状態で集約され、互いに絡まって塊状となる。物品が原形の長物状のままであるか、又は一部が塊状となっても長物状の部分を引きずる状態であると、後段装置に供給される際に長物状の部分が周辺装置等に引っ掛かるため物品の処理において支障が生じやすいが、塊状の物品であればこのような問題は発生しにくく、後段装置における取り扱いが容易となる。
【0014】
請求項2に記載された搬送装置によれば、第1シャッタにより搬送を妨げられている塊状の物品を第1シャッタの開放によって後段装置に供給できる。当該供給後、第2シャッタを所定時間だけ開放し、第2シャッタの上流側にあった塊状の物品を第1シャッタに送ることができる。塊状の物品が第1シャッタに到達するまでに要する時間よりも長い制御時間が経過するまでは、第1シャッタは開放されない。このため、作業者は、投入部に物品がないことを投入の合図として投入部に物品を投入すればよいので、物品の投入タイミングについて熟練は不要である。投入された長物状の物品は供給コンベアによって搬送され、閉止された第2シャッタに移動を妨げられて集約され、互いに絡まって塊状となる。この時点まで第1シャッタの手前には塊状の物品が保持されているため、閉止された第1シャッタ及び第2シャッタが、それぞれ塊状の物品を保持した状態になる。以上の動作を繰り返せば、扱いが難しい長物状の物品を塊状にして効率的に後段装置に供給することができる。
【0015】
請求項3に記載された搬送装置によれば、第1シャッタの上流側に存在する物品をセンサが検知し、かつ前記制御時間が経過した場合にのみ、シャッタを開放して保持していた塊状の物品を後段装置に供給することができる。
【0016】
請求項4に記載された物品の供給方法によれば、第1シャッタ及び第2シャッタが何れも塊状の物品を保持している待機状態において、第1シャッタを開放して塊状の物品を後段装置に供給することができる。そして第1シャッタを閉止した後に第2シャッタを開放して塊状の物品を下流側に搬送し、第2シャッタの上流側に存在していた塊状の物品が第1シャッタに到達するまでに要する時間を越える制御時間が経過するまでは第1シャッタを開放しないものとする。この間に、作業者は、投入部に物品がないことを投入の合図として投入部に物品を投入することができる。これによって、第2シャッタが塊状の物品を保持する状態となり、搬送装置を再び前記待機状態にすることができる。以上のサイクルを繰り返すことにより、扱いが難しい長物状の物品を塊状にして効率的に後段装置に供給する作業を連続的に行なうことができる。
【0017】
請求項5に記載された計量システムによれば、連続運転される供給コンベアの投入部に長物状の物品を投入すると、物品は供給コンベアによって搬送されるが、閉止された第1シャッタに移動を妨げられるため、第1シャッタの上流側に接した状態で集約され、互いに絡まって塊状となる。物品が原形の長物状のままであるか、又は一部が塊状となっても長物状の部分を引きずる形状であると、後段の計量装置に供給される際に長物状の部分が周辺装置等に引っ掛かるため計量を正確に行なうことが難しくなるが、塊状の物品であればこのような問題は発生しにくく、後段の計量装置における計量をより高精度で、かつ能率的に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施形態の計量システムの模式的正面図である。
【
図2】実施形態の計量システムが有する搬送装置の構造と連続動作を示す模式的側面図である。
【
図3】実施形態の計量システムが有する搬送装置の構造と連続動作を示す模式的側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
第1実施形態の計量システムの構成を
図1~
図3を参照して説明する。
図1は計量システム1の全体構成を模式的に示す図である。
図1に示すように、計量システム1は、組合せ計量装置2と、組合せ計量装置2の上部に設けられた搬送装置3を備えている。詳細は後述するが、搬送装置3は、組合せ計量装置2に被計量物である物品を供給する装置である。また、組合せ計量装置2は、搬送装置3から供給された長物状の物品Wを小分けにして計量し、重量が測定された小分けの物品Wを適宜組み合わせ、目標の重量範囲内に入る量にまとめて排出する装置である。実施形態における長物状の物品としては、細長く柔らかい食材、例えば各種麺類やしらたき等を例示することができる。
【0020】
図1に示すように、組合せ計量装置2の上部には、組合せ計量部4が設けられている。組合せ計量部4は、多数のカップ5から構成されている。各カップ5は、上下が開口した中空状であり、かつ下部の開口には図示しない開閉板が設けられており、開閉板は図示しない駆動手段で開閉できる。カップ5は縦方向に3個が並んで列を構成し、この列が横方向へ8列に並んで一組の組合せ計量部4を構成している。各カップ5は、最上段がプールカップ5a、中段が計量カップ5b、下段がメモリカップ5cである。各カップ5a,5b,5cは、駆動手段による開閉板の開閉動作によって物品Wを下の段に落下排出することができる。
【0021】
プールカップ5aは、計量前の物品Wを所定量貯容した後に排出する。計量カップ5bは、収容した物品Wの重量をロードセルなどの秤量手段で計量する。メモリカップ5cは、計量後の物品Wを一時貯容する。組合せ計量においては、複数のメモリカップ5cが貯容している物品Wの重量を組み合わせて所望の目標重量範囲に入るように複数個のメモリカップ5cを選択する。このような目標重量範囲に入るような複数のメモリカップ5cの組合せの選択や、上述した開閉板の駆動、その他の各部の駆動制御などは、図示しない制御手段が統括して行う。
【0022】
図1に示すように、組合せ計量部4の下方には、集合排出部6が設けられている。集合排出部6は、複数個のメモリカップ5cの下方に設けられた集合コンベア7と、集合コンベア7が搬送した物品Wが投入される排出シュート8を備えている。
【0023】
図1に示すように、組合せ計量装置2の上方には搬送装置3が設けられている。搬送装置3は、組合せ計量装置2に物品を供給する供給コンベア10を備えている。供給コンベア10は、組合せ計量装置2において縦方向に並んだ3個のカップ5(5a,5b,5c)ごとに、各プールカップ5aの上方に配置されており、従って
図1の紙面に平行な左右方向に所定間隔で並んだ配置となっている。供給コンベア10による物品Wの搬送方向は、
図1において紙面に垂直な方向である。
【0024】
図2及び
図3は搬送装置3の構造と連続動作を示すための模式的側面図であるが、以下、これらの図を参照して搬送装置3の構造と、組合せ計量装置2との配置関係を説明する。
搬送装置3の供給コンベア10は、駆動ローラ11と、従動ローラ12と、駆動ローラ11及び従動ローラ12に掛け回されたベルト13からなり、物品Wを水平な搬送方向Aに沿って搬送する。供給コンベア10は、図示しない制御手段の制御により、組合せ計量装置2の稼働中には所定の速度で連続運転される。
【0025】
供給コンベア10の搬送方向Aの上流側の端部には、物品の投入部14が設けられている。投入部14は、その上方が開放されており、作業者は、投入部14に物品が存在するか否かを目視により確認することができる。また、
図3(a)に示すように、搬送方向Aに関する供給コンベア10の下流側の端部は、組合せ計量部4のプールカップ5aの開口の上方に配置されており、供給コンベア10が搬送してきた物品Wは、供給コンベア10の搬送方向Aの下流側の端部から落下してプールカップ5aに入るようになっている。
【0026】
供給コンベア10の下流側の端部の上方には、供給コンベア10による物品の搬送経路を開閉する第1シャッタ21が設けられている。第1シャッタ21は、上端部を水平な揺動軸によって揺動可能に軸支されており、図示しない制御手段が図示しない駆動手段を制御することにより、
図2の各分図に示す搬送経路の閉止位置に位置を固定することができ、また閉止位置と
図3(a)に示す搬送経路の開放位置との間で、任意に開閉動作することができる。
【0027】
閉止位置において第1シャッタ21の下端とベルトの間に生じる隙間は、物品Wが通過し得ない程度であるため、システム始動後、連続運転を始めた供給コンベア10が、
図2(a)~(c)に示すように閉止位置にある第1シャッタ21に長物状の物品Wを搬送してくると、物品Wは第1シャッタ21に移動を阻まれ、第1シャッタ21の上流側面21aに接した状態で集約され、互いに絡まって(丸まって)塊状となる。また、既に連続運転されている供給コンベア10が、
図3(a)~(c)に示すように閉止位置にある第1シャッタ21に塊状の物品Wを搬送してくると、物品Wは第1シャッタ21に移動を阻まれ、第1シャッタ21の上流側面21aに接した状態で保持される。
【0028】
供給コンベア10において、第1シャッタ21よりも上流側かつ投入部14よりも下流側の位置、概ねコンベア長の略中央部分の上方には、供給コンベア10による物品Wの搬送経路を開閉する第2シャッタ22が設けられている。第2シャッタ22の構造及び開閉の機構は第1シャッタ21と同様である。すなわち、第2シャッタ22は、
図2(b)~(d)及び
図3(a)に示す搬送経路の閉止位置に位置を固定することができ、また閉止位置と、
図2(a)及び
図3(b)に示す搬送経路の開放位置との間で、任意に開閉動作することができる。
【0029】
閉止位置において第2シャッタ22の下端とベルトの間に生じる隙間は、物品Wが通過し得ない程度であるため、システム始動後、連続運転を始めた供給コンベア10の投入部14に長物状の物品Wを投入すると、
図2(c)及び(d)に示すように、長物状の物品Wは、閉止位置にある第2シャッタ22に移動を阻まれ、第2シャッタ22の上流側面22aに接した状態で集約され、
図3(a)に示すように、互いに絡まって塊状となる。
【0030】
第1シャッタ21の上流側の隣部には、物品Wと干渉しない位置に物品Wの存在を検出するセンサ23が設けられている。センサ23は、第1シャッタ21の上流側に物品Wが到達していることを検知できるとともに、第1シャッタ21の上流側において物品Wが所定の塊状となったことを検知することができる。
【0031】
図示はしないが、計量システム1は、組合せ計量装置2と搬送装置3を制御する制御手段を備えている。制御手段は、予め読み込まれたプログラムに従い、任意に定められた運転に関する設定値やセンサ等からの信号等に基づき、供給コンベア10と、第1シャッタ21及び第2シャッタ22の駆動手段を制御することにより、組合せ計量装置2に塊状の物品を効率的に供給するとともに、組合せ計量装置2を制御して物品の組合せ計量を行なう。
【0032】
以下、制御手段による搬送装置3の制御を
図2及び
図3を参照して説明する。
図2(a)に示すように、計量システム1を始動すると、搬送装置3の供給コンベア10は、所定の速度による連続運転を開始する。システム始動時、供給コンベア10の投入部14には物品Wがない。作業員は、投入部14に物品Wがないことを目視で確認した後、手作業で適量の物品Wを長物状のままで投入する。投入する物品Wの量は、概ね組合せ計量装置2における組合せ計量の目標値の1/3~1/4に相当する程度とし、作業者の目測で投入するものとする。投入部14に物品Wが投入されると、図示しないセンサが物品Wを検知し、この検知信号に基づいて制御手段が第2シャッタ22を開放する。このような物品Wの投入に伴う第2シャッタ22の開放はシステム始動時のみに行なわれるものである。なお、物品Wの投入に伴う第2シャッタ22の開放は、計量システム1を始動し、搬送装置3の供給コンベア10が所定の速度による連続運転を開始した場合に自動的に行なわれるようにしてもよい。
【0033】
図2(b)に示すように、長物状の物品Wが第1シャッタ21に到達すると、センサ23が物品Wを検知し、物品Wの検知信号に基づいて制御手段が駆動手段を操作し、第2シャッタ22を閉止する。ここで投入部14は、物品Wが存在しない状態となる。なお、センサ23を用いずに、不図示の投入センサによる物品W投入の検知から所定時間経過後に第2シャッタ22を閉止するようにしてもよい。
【0034】
図2(c)に示すように、先行の物品Wは、供給コンベア10によって搬送されるが、閉止された第1シャッタ21に移動を妨げられるため、第1シャッタ21の上流側面21aに接した状態で集約され、互いに絡まって徐々に拡大し、より大きな塊状となっていく。投入部14は、再び、物品Wが存在しない状態になるので、これを投入の合図として確認した作業者が、長物状の物品Wを投入部14に投入する。
【0035】
図2(d)に示すように、第1シャッタ21においては、先に投入された物品Wは長物を引きずらない完全な塊状の形態となっているが、第2シャッタ22の手前に後から投入された物品Wは、比較的小さい塊状の部分から後方に長物が延びている形態であり、完全な塊状にはなっていない。
【0036】
図3(a)の直前の状態では、閉止された第1シャッタ21及び第2シャッタ22が、完全な塊状となった物品Wの搬送を妨げて保持している状態、すなわち2つの塊状の物品Wを下流に搬送・供給する前段階である待機状態が実現されている。供給コンベア10が最初の待機状態になるまでに要する運転時間は、諸条件を考慮して予め定めておくことができる。
【0037】
図3(a)に示すように、最初の待機状態が実現された後、第1シャッタ21を所定時間だけ開放することにより、第1シャッタ21の上流側に存在していた塊状の物品Wを組合せ計量部4のプールカップ5aに投入する。第1シャッタ21の開閉は、プールカップ5aの開閉板等を作動させる組合せ計量装置2の制御信号に連動して行なわせるものとし、また第1シャッタ21が開放されている時間は、組合せ計量装置2の計量サイクルの半分より若干短い時間とする。例えば、計量サイクルが1.2秒であるとすれば、その半分よりも若干短い0.5秒とすれば、第1シャッタ21の上流側で物品Wが保持される時間が確保でき、物品Wが塊状にまとまりやすくなる。
【0038】
図3(b)に示すように、第1シャッタ21を閉止した後に、第2シャッタ22を所定時間だけ開放し、塊状の物品Wを、第2シャッタ22を通過させて下流側に搬送する。第1シャッタ21の開放時間を0.5秒とすれば、第2シャッタ22の開放時間も同様に0.5秒とするのがよい。
なお、物品Wの第2シャッタ22から第1シャッタ21までの搬送所要時間を考慮の上、第1シャッタ21が完全に閉止する前から第2シャッタ22の開放を開始するようにしてもよい。
【0039】
図3(c)に示すように、この塊状の物品Wが第1シャッタ21に到達するまでに要する時間を越える制御時間が経過するまでは、第1シャッタ21を開放しないように制御する。従って、この塊状の物品Wは、第1シャッタ21で若干の時間だけ待機することとなる。この制御時間中、投入部14は物品Wが存在しない状態にあるので、これを投入の合図として確認した作業者が、長物状の物品Wを投入部14に投入する。
【0040】
図2(d)に示す状態に戻り、第1シャッタ21においては、先に投入された物品Wは長物を引きずらない完全な塊状の形態となっているが、第2シャッタ22においては、後から投入された物品Wが、比較的小さい塊状の部分から後方に長物が延びている形態となっており、その後、最初の待機状態となった後の、2度目の待機状態となる。以後、同様の手順を繰り返し、2個の塊状の物品Wをベルト上で随時作製しつつ、これらを逐次組合せ計量部4のプールカップ5aに供給していくことができる。
【0041】
なお、第1シャッタ21および第2シャッタ22の形状はこれに限られるものではなく、長物状の物品を塊状にできるのであれば、搬送経路を完全に覆う接触面を持っていなくともよい。動作も同様で、例えば上下移動により開閉するシャッタとしてもよい。
【0042】
以上説明した実施形態の搬送装置3によれば、組合せ計量装置2に供給される長物状の物品Wを、長物を引きずらない一纏まりの塊状とすることができ、かつ、投入部14が空となる度に物品Wを投入する簡単な補充作業により、供給コンベア10上に適当な間隔をもって2個の塊状の物品Wを随時準備して供給することができる。従って、長物状の物品Wを組合せ計量装置2に供給する際に、長物状の部分が周辺装置等に引っ掛かる等の不具合が起きにくく、物品Wの計量を円滑に行なうことができるとともに、未熟練の作業者であっても、また作業者の人数が少なくても、従来よりも高い生産性を実現することができる。
【符号の説明】
【0043】
1…計量システム
2…組合せ計量装置
3…搬送装置
10…供給コンベア
14…投入部
21…第1シャッタ
22…第2シャッタ
23…センサ
A…搬送方向