(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108637
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】粉体容器
(51)【国際特許分類】
A45D 33/00 20060101AFI20240805BHJP
A45D 33/02 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
A45D33/00 615F
A45D33/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023013096
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】古原 裕嗣
(57)【要約】
【課題】所望の量の粉体を容易に取り出すことができるとともに、非使用時における粉体の漏れを抑制できる粉体容器を提供する。
【解決手段】本発明に係る態様の粉体容器は、粉体が収容される内容器と、内容器が収容される外容器と、内容器の上端開口部に上下方向で向かい合う位置に形成された吐出孔を有し、内容器の上端開口部を閉塞する弾性変位可能な中蓋と、吐出孔を閉塞する閉位置、及び吐出孔を開放する開位置の間を、外容器に対する上下方向に沿う容器軸回りの回転操作に伴い、外容器に着脱可能に設けられた蓋体と、を備えている。中蓋は、蓋体が閉位置にあるとき上下方向から見て外容器に備えられた規制部と重なり合うことで、外容器に対する下方移動が規制される規制位置、及び蓋体が前記開位置にあるとき上下方向から見て中蓋が前記規制部から退避することで、外容器に対する下方移動が許容される許容位置間を回転可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体が収容される有底筒状の内容器と、
前記内容器が収容される外容器と、
前記内容器の上端開口部に上下方向で向かい合う位置に形成された吐出孔を有し、前記内容器の上端開口部を閉塞する弾性変位可能な中蓋と、
前記吐出孔を閉塞する閉位置、及び前記吐出孔を開放する開位置の間を、前記外容器に対する上下方向に沿う容器軸回りの回転操作に伴い、前記外容器に着脱可能に設けられた蓋体と、を備え、
前記蓋体は、前記閉位置及び前記開位置間での前記外容器に対する回転操作に伴い、前記中蓋に備えられた被係合部に対して前記容器軸回りに係合して、前記外容器に対して前記中蓋を回転させる係合部を備え、
前記中蓋は、前記蓋体が前記閉位置にあるとき上下方向から見て前記外容器に備えられた規制部と重なり合うことで、前記規制部に対する下方移動が規制される規制位置、及び前記蓋体が前記開位置にあるとき上下方向から見て前記中蓋が前記規制部から退避することで、前記規制部に対する下方移動が許容される許容位置間を回転可能である粉体容器。
【請求項2】
前記蓋体は、前記閉位置において上下方向から見て前記中蓋の周囲を取り囲むとともに、前記外容器の上端開口縁に前記外容器の上方から当接する当接筒を備えている請求項1に記載の粉体容器。
【請求項3】
前記内容器は、前記中蓋よりも軟質な材料によって弾性変形可能に構成され、前記中蓋を弾性変位可能に支持している請求項1又は請求項2に記載の粉体容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体容器に関する。
【背景技術】
【0002】
粉体容器として、粉体が収容される有底筒状の容器本体と、粉体が通過する吐出孔を有し、容器本体の上端開口部を閉塞する中蓋と、を備える構成が知られている(例えば、下記特許文献1参照)。
この種の粉体容器において、粉体を取り出すには、例えば中蓋にパフ等を押し当てた状態で塗布容器を上下反転させる。これにより、吐出孔を通過した粉体がパフ等に付着する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来技術にあっては、粉体を取り出す際の操作性に関して未だ改善の余地があった。
【0005】
本発明は、粉体を取り出す際の操作性を向上させることができる粉体容器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下の態様を採用した。
(1)本発明の一態様に係る粉体容器は、粉体が収容される有底筒状の内容器と、前記内容器が収容される外容器と、前記内容器の上端開口部に上下方向で向かい合う位置に形成された吐出孔を有し、前記内容器の上端開口部を閉塞する弾性変位可能な中蓋と、前記吐出孔を閉塞する閉位置、及び前記吐出孔を開放する開位置の間を、前記外容器に対する上下方向に沿う容器軸回りの回転操作に伴い、前記外容器に着脱可能に設けられた蓋体と、を備え、前記蓋体は、前記閉位置及び前記開位置間での前記外容器に対する回転操作に伴い、前記中蓋に備えられた被係合部に対して前記容器軸回りに係合して、前記外容器に対して前記中蓋を回転させる係合部を備え、前記中蓋は、前記蓋体が前記閉位置にあるとき上下方向から見て前記外容器に備えられた規制部と重なり合うことで、前記規制部に対する下方移動が規制される規制位置、及び前記蓋体が前記開位置にあるとき上下方向から見て前記中蓋が前記規制部から退避することで、前記規制部に対する下方移動が許容される許容位置間を回転可能である。
本態様によれば、中蓋を許容位置に移行させた状態で中蓋を押し下げると、中蓋が弾性変位する。すると、内容器に収容された粉体が吐出孔に接近することで、粉体が吐出孔を通じて中蓋の上面側まで到達する。これにより、中蓋の上面側で粉体を取り出すことができる。この場合、中蓋の押し下げ量に応じた量の粉体が吐出孔を通過するため、従来のように粉体容器自体を上下反転させて粉体を取り出す構成に比べ、所望の量の粉体を容易に取り出すことができる。その結果、粉体を取り出す際の操作性を向上させることができる。
その上で、本態様では、中蓋の下方移動を規制する規制位置、及び中蓋の下方移動を許容する許容位置間を、蓋体の開閉操作に応じて切り替えることができる。そのため、蓋体が閉位置にあるときにおいて、規制部に対する中蓋の下方移動を規制することができる。これにより、非使用時における粉体の漏れを抑制できる。
【0007】
上記態様に係る粉体容器において、前記蓋体は、前記閉位置において上下方向から見て前記中蓋の周囲を取り囲むとともに、前記外容器の上端開口縁に前記外容器の上方から当接する当接筒を備えていることが好ましい。
本態様によれば、蓋体が閉位置にあるときに外容器の上端開口縁と当接筒とが当接することで、粉体容器の内外の連通を遮断できる。これにより、非使用時における粉体の漏れを抑制できる。
【0008】
上記態様に係る粉体容器において、前記内容器は、前記中蓋よりも軟質な材料によって弾性変形可能に構成され、前記中蓋を弾性変位可能に支持していることが好ましい。
本態様によれば、例えば別体の付勢部材等によって中蓋を弾性変位可能に構成する場合に比べて、構成の簡素化や部品点数の削減を図ることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の態様によれば、所望の量の粉体を容易に取り出すことができるとともに、非使用時における粉体の漏れを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】蓋体が閉位置にある状態を示す粉体容器の断面図である。
【
図2】中蓋が規制位置にある状態を示す粉体容器の平面図である。
【
図3】蓋体が開位置にある状態を示す粉体容器の断面図である。
【
図4】中蓋が許容位置にある状態を示す粉体容器の平面図である。
【
図5】粉体の取出方法を説明するための粉体容器の動作説明図(断面図)である。
【
図6】粉体の取出方法を説明するための粉体容器の動作説明図(断面図)である。
【
図7】粉体の取出方法を説明するための粉体容器の動作説明図(断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示す粉体容器1は、外容器10と、カートリッジ11と、蓋体12と、を備えている。外容器10、カートリッジ11及び蓋体12は、何れも共通軸と同軸に配設された筒状に形成されている。以下、共通軸を容器軸Oといい、容器軸Oに沿う方向を上下方向とする。上下方向のうち蓋体12の頂壁51b側を上方とし、外容器10の底壁25側を下方とする。また、上下方向から見て容器軸Oに交差する方向を径方向といい、容器軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0012】
外容器10は、カートリッジ収容部21と、外装筒22と、を備えている。
カートリッジ収容部21は、容器軸Oと同軸に配置された有底筒状に形成されている。具体的に、カートリッジ収容部21は、底壁25と、底壁25の外周縁から上方に延びる周壁26と、を備えている。周壁26の上部には、雄ねじ部26aが形成されている。
【0013】
図1、
図2に示すように、周壁26の上部には、凹部26bが形成されている。凹部26bは、周方向に延びるとともに、径方向の内側及び上方に向けて開放されている。図示の例において、凹部26bは、周方向に間隔をあけて複数(例えば、3つ)形成されている。凹部26b内には、規制部26cが形成されている。規制部26cは、凹部26bの内周面から径方向の内側に突出している。規制部26cにおける径方向の内側端面は、周壁26の内周面と面一になっている。但し、規制部26cにおける径方向の内側端面は、周壁26の内周面に対して径方向にずれていてもよい。
【0014】
規制部26cの下端縁は、凹部26bの底面に連なっている。一方、規制部26cの上端縁は、周壁26の上端開口縁よりも下方に位置している。規制部26cは、凹部26b内において周方向に延びている。本実施形態において、規制部26cは、凹部26bにおける周方向の一方側端面から周方向の中央部に亘って形成されている。すなわち、凹部26b内において、周方向の中央部から周方向の他方側端面に至る部分は、規制部26cが形成されていない隙間部S1を構成している。
【0015】
図1に示すように、外装筒22は、周壁26における上下方向の中間部に連なっている。外装筒22は、周壁26の下部を全周に亘って取り囲んでいる。
【0016】
カートリッジ11は、外容器10(カートリッジ収容部21)内に着脱可能に収容される。カートリッジ11には、粉体が収容される。粉体としては、例えばルースパウダーやベビーパウダー等が挙げられる。カートリッジ11は、内容器31と、中蓋32と、を備えている。
【0017】
内容器31は、粉体収容部31aと、取付筒31bと、を備えている。
粉体収容部31aは、容器軸Oと同軸に配置された有底筒状に形成されている。粉体収容部31aは、外容器10及び中蓋32よりも軟質な材料によって弾性変形可能に形成されている。本実施形態において、粉体収容部31aは、例えばエラストマー等の弾性変形可能な軟材質によって取付筒31bとともに一体に形成されている。その上で、粉体収容部31aは、外容器10や取付筒31bよりも薄肉に形成されることで、外容器10や取付筒31bに比べて弾性変形し易くなっている。なお、粉体収容部31aは、少なくとも周壁が弾性変形する構成等であってもよい。また、粉体収容部31aは、シリコンゴム等のゴム部材によって形成されていてもよい。
【0018】
取付筒31bは、粉体収容部31aの上端開口縁から上方に向けて突出している。取付筒31bは、粉体収容部31aの全周に亘って延びている。
【0019】
中蓋32は、容器軸Oと同軸に配置された有底筒状に形成されている。中蓋32は、カートリッジ収容部21の内側において、外容器10に対して容器軸O回りに回転可能に保持されている。中蓋32は、基筒41と、シール筒42と、閉塞板43と、を備えている。
基筒41は、周壁26の内周面に沿って上下方向に延びている。基筒41における下部の内側には、取付筒31bが基筒41の下方から嵌め込まれている。すなわち、基筒41の上部は、内容器31に対して上方に突出している。なお、内容器31は、中蓋32に対して容器軸O回りに回転可能に接続されていても、中蓋32に対して回転不能(中蓋32とともに一体回転可能)に接続されていてもよい。
【0020】
シール筒42は、基筒41における上下方向の中央部から径方向の内側に張り出した後、下方に延びている。シール筒42は、取付筒31bの内周面に密接している。
閉塞板43は、粉体収容部31aの上端開口部を閉塞している。閉塞板43の外周縁は、シール筒42の下端開口縁に連なっている。閉塞板43の内周部は、外周部に比べて薄肉に形成された薄肉部43aを構成している。すなわち、薄肉部43aは、閉塞板43の外周部に比べて弾性変形し易くなっている。
【0021】
図2に示すように、閉塞板43には、複数の吐出孔43bが形成されている。図示の例において、各吐出孔43bは、薄肉部43aにおいて、径方向及び周方向に互いに間隔をあけて形成されている。
【0022】
図1、
図2に示すように、中蓋32のうち、閉塞板43の上方であって、基筒41及びシール筒42で囲まれた空間は、塗布具収容空間S2を画成している。塗布具収容空間S2は、上方に向けて開放されている。塗布具収容空間S2には、パフ等の塗布具Pが収容可能である。塗布具Pは、塗布具収容空間S2において、吐出孔43bを上方から閉塞するように閉塞板43上に載置されている。
【0023】
ここで、中蓋32は、基筒41の上部から径方向の外側に張り出す張出部44を備えている。具体的に、張出部44は、基筒41のうち、規制部26cよりも上方に位置する部分に、各凹部26bに対応して周方向に間隔をあけて複数形成されている。張出部44のうち、下部は各凹部26b内に収容される一方、上部は外容器10(周壁26)に対して上方に突出している。張出部44における周方向の寸法は、隙間部S1における周方向の寸法以下になっている。
【0024】
本実施形態において、張出部44は、外容器10に対する中蓋32の回転に伴い、規制部26cに平面視で重なり合う規制位置(
図1、
図2参照)と、隙間部S1に平面視で重なり合う許容位置(
図3、
図4参照)と、の間を移動する。規制位置において、中蓋32は、張出部44が規制部26cに規制部26cの上方から当接することで、外容器10に対する下方移動が規制されている。一方、許容位置において、中蓋32は、張出部44が平面視において規制部26cから退避することで、規制部26cによる下方移動が許容される。すなわち、許容位置において、中蓋32は、張出部44が隙間部S1に対して上方から進退するように、内容器31の弾性力により外容器10に対して上下方向に弾性変位可能に構成されている。
【0025】
張出部44には、被係合部44aが形成されている。被係合部44aは、例えば径方向の外側を向く平目ローレット状の凹凸面である。被係合部44aは、張出部44における周方向の全長に亘って形成されている。図示の例において、被係合部44aは、径方向の内側に凸の円弧面が周方向に連なって形成されることで凹凸面を構成している。なお、被係合部44aは、張出部44の一部に形成されていてもよい。
【0026】
図1に示すように、蓋体12は、外容器10に対して着脱可能に設けられている。蓋体12は、蓋本体51と、当接筒52と、を備えている。
蓋本体51は、周壁部51a及び頂壁51bを有する有頂筒状に形成されている。周壁部51aの内周面には、雌ねじ部51cが形成されている。蓋体12は、雌ねじ部51cと、外容器10の雄ねじ部26aと、の螺着によって外容器10に着脱可能に構成されている。すなわち、蓋体12は、外容器10に対する回転操作に伴い、外容器10に対して上下動可能である。蓋本体51は、蓋体12が外容器10に装着された閉位置において、外容器10の上端開口部を閉塞することで、吐出孔43bを間接的に閉塞している。一方、
図3、
図4に示すように、蓋本体51は、蓋体12が外容器10から取り外された開位置において、吐出孔43bを開放している。なお、蓋体12は、閉位置において吐出孔43bを直接閉塞していてもよい。
【0027】
図1に示すように、当接筒52は、頂壁51bのうち周壁26と平面視で重なり合う位置から下方に延びている。当接筒52は、容器軸Oと同軸に配置されている。当接筒52は、蓋体12が閉位置にあるとき、平面視で中蓋32の周囲を取り囲むとともに、周壁26の上端開口縁に周壁26の上方から当接している。これにより、粉体容器1の内外の連通が遮断されている。なお、蓋体12が閉位置にあるとき、頂壁51bと中蓋32(基筒41)との間には、隙間が設けられている。
【0028】
図1、
図2に示すように、当接筒52には、係合部52aが形成されている。係合部52aは、例えば径方向の内側を向く平目ローレット状の凹凸面である。図示の例において、係合部52aは、径方向の内側に凸の円弧面が周方向に連なって形成されることで凹凸面を構成している。係合部52aは、当接筒52の全周に亘って形成されている。但し、係合部52aは、当接筒52における一部に形成されていてもよい。
【0029】
係合部52aは、外容器10に対する蓋体12の着脱操作に伴い、被係合部44aに対して係合又は離脱する。具体的に、蓋体12が開位置から閉位置に移行するにあたって、外容器10に対して回転しながら下降する際に、係合部52aと被係合部44aとが周方向に係合する。中蓋32は、係合部52aと被係合部44aが係合した後、蓋体12がさらに閉位置に向かう過程において、蓋体12とともに周方向の一方側に回転する。その結果、中蓋32は、蓋体12の開位置から閉位置への移行に伴い、許容位置から規制位置に移行する。
一方、中蓋32は、蓋体12が閉位置から開位置に移行するにあたって、蓋体12とともに周方向の他方側に回転する。その結果、中蓋32は、蓋体12の閉位置から開位置への移行に伴い、規制位置から許容位置に移行する。また、中蓋32が規制位置に移行した後、蓋体12がさらに開位置に向かう過程において、蓋体12が外容器10に対して回転しながら上昇する際に、係合部52aと被係合部44aとの係合が解除される。
【0030】
次に、上述した粉体容器1の使用方法について説明する。以下の説明では、蓋体12が閉位置にあり、中蓋32が規制位置にある状態を初期状態とする。
粉体容器1において粉体を取り出すには、まず
図1、
図3に示すように、蓋体12を閉位置から開位置に移行させる。具体的には、外容器10に対して蓋体12を周方向の他方側に回転させると、蓋体12が周方向の他方側に回転しながら上昇するとともに、中蓋32が蓋体12とともに周方向の他方側に回転する。これにより、中蓋32が規制位置から許容位置に移行する。中蓋32が許容位置に移行した後、さらに蓋体12を周方向の他方側に回転させる。この際、張出部44が凹部26bにおける周方向の一方側を向く面に当接することで、外容器10に対する中蓋32の回転が規制される。そのため、
図5に示すように、中蓋32が許容位置に移行した後は、蓋体12が外容器10及び中蓋32に対して周方向の他方側に回転しながら上昇する。この際、蓋体12は、係合部52aの凹凸面が被係合部44aの凹凸面を乗り越えながら、外容器10に対して回転する。その結果、係合部52aと被係合部44aとの係合が解除されるとともに、蓋体12が外容器10から取り外される。
以上により、蓋体12が閉位置から開位置に移行する。
【0031】
続いて、
図6に示すように、塗布具Pを介して閉塞板43を押し下げる。すると、中蓋32が外容器10に対して下方に移動する。これにより、中蓋32を介して内容器31が押し下げられることで、内容器31(粉体収容部31a)が弾性変形する。すると、閉塞板43が内容器31に収容された粉体に接近する。その結果、粉体が吐出孔43bを通じて閉塞板43の上面側まで到達することで、塗布具Pに粉体が付着する。粉体容器1の使用者は、塗布具Pに付着した粉体を被塗布部に対して塗布することができる。なお、塗布具Pによる押し下げを解除すると、内容器31が復元変形する。内容器31が復元変形することで、中蓋32が外容器10に対して上昇する。その結果、張出部44が隙間部S1において規制部26cよりも上方に位置する部分まで復帰する。
【0032】
粉体の塗布後、蓋体12を開位置から閉位置に戻す。具体的には、外容器10に対して蓋体12を周方向の一方側に回転させると、蓋体12が周方向の一方側に回転しながら下降する。蓋体12が回転しながら下降する過程で、係合部52aが被係合部44aに噛み合う。係合部52a及び被係合部44aが噛み合った状態で、蓋体12をさらに回転させると、中蓋32が蓋体12とともに周方向の一方側に回転する。これにより、張出部44が許容位置から規制位置に移行する。その後、当接筒52が周壁26の上端開口縁に周壁26の上方から当接することで、蓋体12が閉位置に移行する。なお、規制位置において、張出部44が凹部26bにおける周方向の他方側を向く面に当接することで、外容器10に対する中蓋32の回転が規制される。そのため、中蓋32が規制位置に移行した後、蓋体12は、係合部52aの凹凸面が被係合部44aの凹凸面を乗り越えながら、外容器10に対して回転する。
【0033】
中蓋32が規制位置に移行することで、蓋体12が閉位置にあるときでの外容器10に対する中蓋32の下方移動が規制される。そのため、非使用時において、内容器31が弾性変形することを抑制し、粉体が吐出孔43bを通過することを抑制できる。
【0034】
ところで、
図7に示すように、上述した方法によって粉体の取出操作を繰り返し行い、粉体収容部31a内の粉体の嵩が低くなると、粉体収容部31aの周壁部の弾性変形量が大きくなる。この際、粉体収容部31aの周壁部が蛇腹状に折り畳まれることで、閉塞板43と粉体収容部31aの底壁部との間に隙間S3が生じる可能性がある。粉体の嵩が隙間S3の寸法よりも低くなるまで粉体の残量が少なくなると、単に中蓋32を押し下げただけでは粉体が吐出孔43bを通過しない可能性がある。
【0035】
そこで、本実施形態では、閉塞板43の内周部が薄肉部43aとして弾性変形し易くなっている。そのため、中蓋32を押し下げた後、塗布具Pを介して閉塞板43をさらに押し込むと、閉塞板43が下方に向けて撓み変形する。その結果、粉体が吐出孔43bを通過し易くなる。なお、粉体を使い切った場合等、カートリッジ11を交換する場合には、中蓋32を掴んでカートリッジ11を引き上げる。これにより、カートリッジ11を外容器10から取り外すことができる。その後、新たなカートリッジ11を外容器10内に挿入することで、カートリッジ11を交換することができる。
【0036】
このように、本実施形態の粉体容器1において、蓋体12は、閉位置及び開位置間での外容器10に対する回転操作に伴い、中蓋32に備えられた被係合部44aに対して周方向に係合して、外容器10に対して中蓋32を回転させる係合部52aを備え、外容器10は、蓋体12が閉位置にあるとき平面視で中蓋32が重なり合うことで、規制部26c(外容器10)に対する中蓋32の下方移動を規制する一方、蓋体12が開位置にあるとき平面視で中蓋32が退避することで、規制部26c(外容器10)に対する中蓋32の下方移動を許容する規制部26cを備えている構成とした。
この構成によれば、中蓋32を許容位置に移行させた状態で中蓋32を押し下げると、中蓋32を介して内容器31が押し下げられることで、中蓋32が弾性変位する。すると、内容器31に収容された粉体が吐出孔43bに接近することで、粉体が吐出孔43bを通じて中蓋32の上面側まで到達する。これにより、中蓋32の上面側で粉体を取り出すことができる。この場合、中蓋32の押し下げ量に応じた量の粉体が吐出孔43bを通過するため、従来のように粉体容器自体を上下反転させて粉体を取り出す構成に比べ、所望の量の粉体を容易に取り出すことができる。その結果、粉体を取り出す際の操作性を向上させることができる。
その上で、本実施形態では、中蓋32の下方移動を規制する規制位置、及び中蓋32の下方移動を許容する許容位置間を、蓋体12の開閉操作に応じて切り替えることができる。そのため、蓋体12が閉位置にあるときにおいて、外容器10に対する中蓋32の下方移動を規制することができる。これにより、非使用時における粉体の漏れを抑制できる。
【0037】
本実施形態の粉体容器1において、蓋体12は、閉位置において上下方向から見て中蓋32の周囲を取り囲むとともに、外容器10の上端開口縁に外容器10の上方から当接する当接筒52を備えている構成とした。
この構成によれば、蓋体12が閉位置にあるときに外容器10(周壁26)の上端開口縁と当接筒52とが当接することで、粉体容器1の内外の連通を遮断できる。これにより、非使用時における粉体の漏れを抑制できる。
【0038】
本実施形態の粉体容器1において、内容器31は、中蓋32よりも軟質な材料によって弾性変形可能な構成とした。
この構成によれば、例えば別体の付勢部材等によって中蓋32を弾性変位可能に構成する場合に比べて、構成の簡素化や部品点数の削減を図ることができる。なお、内容器31を弾性変形させる場合であっても、本実施形態のように中蓋32の下方移動自体を規制部26cによって規制することで、例えば中蓋32の下方移動が内容器の下方移動を規制することによって間接的に規制される場合に比べ、規制位置において中蓋32の下方移動をより確実に規制することができる。
【0039】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換及びその他の変更が可能である。本発明は上述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
上述した実施形態では、規制部26cに当接可能な張出部44に被係合部44aが形成された構成について説明したが、この構成に限られない。規制部26cに当接可能な部材と、被係合部44aと、がそれぞれ中蓋32に別々に備えられていてもよい。
【0040】
上述した実施形態では、当接筒52に係合部52aが形成された構成について説明したが、この構成に限られない。係合部52aは、蓋体12のうち当接筒52と別の場所に備えられていてもよい。また、当接筒52は必須の構成ではない。
上述した実施形態では、内容器31自体が弾性変形する構成について説明したが、この構成に限られない。例えば内容器31内に設けられた付勢部材等によって、内容器31が弾性変位する構成であってもよい。
【0041】
上述した実施形態では、規制部26cが外容器10に一体に形成された構成について説明したが、この構成に限られない。外容器は、例えばカートリッジ収容部21や外装筒22を備える外容器本体と、外容器本体に対して挿入又は嵌合された規制部と、を備える構成であってもよい。
上述した実施形態では、吐出孔43bが適宜間隔をあけて配置された丸孔に形成された構成について説明したが、この構成に限られない。吐出孔43bの平面視形状は、丸以外に、多角形状等でもよい。また、例えば閉塞板43のうち、薄肉部43aに対応する部分を弾性変形可能なメッシュ状に形成した上で、メッシュ開口自体を吐出孔としてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1:粉体容器
10:外容器
12:蓋体
26c:規制部
31:内容器
32:中蓋
43b:吐出孔
44a:被係合部
52:当接筒
52a:係合部
O:容器軸