(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108642
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】映像出力装置、映像出力方法、および探索装置
(51)【国際特許分類】
H04N 23/60 20230101AFI20240805BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20240805BHJP
G06V 20/52 20220101ALI20240805BHJP
G06V 20/58 20220101ALI20240805BHJP
G07C 5/00 20060101ALI20240805BHJP
H04N 23/611 20230101ALI20240805BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20240805BHJP
H04N 5/92 20060101ALI20240805BHJP
H04N 5/77 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
H04N23/60 500
G06T7/00 650B
G06V20/52
G06V20/58
G07C5/00 Z
H04N23/60 300
H04N23/611
H04N7/18 U
H04N7/18 J
H04N5/92 010
H04N5/77
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023013103
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永野 雅之
【テーマコード(参考)】
3E138
5C053
5C054
5C122
5L096
【Fターム(参考)】
3E138AA07
3E138BA20
3E138CA03
3E138CB03
3E138DB06
3E138GA01
3E138HA10
3E138MA01
3E138MB08
3E138MC12
3E138MD05
3E138MF05
3E138MF07
5C053GB06
5C053JA21
5C053LA01
5C054CC02
5C054EA01
5C054EA07
5C054FC01
5C054FC12
5C054FF03
5C054GB01
5C054GB05
5C054GD03
5C054GD09
5C054HA26
5C122DA14
5C122EA42
5C122FH11
5C122FH14
5C122GA01
5C122GA23
5C122GA28
5C122GC13
5C122HB01
5L096BA04
5L096FA02
5L096HA08
(57)【要約】
【課題】特定の状況にある検出対象が認識された映像データを適切に出力すること。
【解決手段】映像出力装置は、車両の周辺を撮影したカメラから映像データを取得する映像データ取得部と、映像データ取得部により取得された映像データから認識対象を検出するとともに検出された認識対象が特定の状況であるかを認識する画像認識部と、画像認識部により特定の状況であると認識した場合、認識対象が含まれる映像データをイベント記録データとして出力するイベント出力部と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周辺を撮影したカメラから映像データを取得する映像データ取得部と、
前記映像データ取得部により取得された前記映像データから認識対象を検出するとともに検出された前記認識対象が特定の状況であるかを認識する画像認識部と、
前記画像認識部により前記特定の状況であると認識した場合、前記認識対象が含まれる前記映像データをイベント記録データとして出力するイベント出力部と、
を備える、映像出力装置。
【請求項2】
前記認識対象は、子供、老人、およびペットのうち、少なくとも1つを含む、
請求項1に記載の映像出力装置。
【請求項3】
前記イベント記録データを記憶する記憶部をさらに備え、前記イベント出力部は、前記記憶部に前記認識対象が含まれる前記イベント記録データが記憶されている場合には、最新の前記イベント記録データと、前記記憶部に記憶されている前記イベント記録データと、を比較し、適している方の前記イベント記録データを上書きされないように前記記憶部に記憶させる、
請求項1または2に記載の映像出力装置。
【請求項4】
車両の周辺を撮影したカメラから映像データを取得するステップと、
取得された前記映像データから認識対象を検出するとともに検出された前記認識対象が特定の状況であるかを認識するステップと、
前記特定の状況であると認識した場合、前記認識対象が含まれる前記映像データをイベント記録データとして出力するステップと、
を含む、映像出力方法。
【請求項5】
特定の状況にある認識対象が含まれるイベント記録データを取得するイベント取得部と、
検出対象に関する検出対象情報を取得する検出対象情報取得部と、
前記検出対象情報取得部が前記検出対象情報を取得した場合、前記検出対象情報に基づいて、前記イベント取得部が取得した前記イベント記録データから前記検出対象を探索する探索部と、
を備える、探索装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像出力装置、映像出力方法、および探索装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カメラが撮影した映像データに基づいて人物の属性を判定し、判定した属性に基づいて情報を通知する技術が知られている。例えば、特許文献1には、判定した人物の属性に基づいて案内・接客サービスを提供する自律ロボットに対して招集指令を送信する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで車両に搭載されたカメラにおいて車両の周辺を撮影した映像データに特定の状況にある検出対象が含まれている場合には、検出対象を後から検索可能とするために他の外部装置に送信したり、記録したりすることが望ましい。
【0005】
本発明は、特定の状況にある検出対象が認識された映像データを適切に出力することのできる映像出力装置、映像出力方法、および探索装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の映像出力装置は、車両の周辺を撮影したカメラから映像データを取得する映像データ取得部と、前記映像データ取得部により取得された前記映像データから認識対象を検出するとともに検出された前記認識対象が特定の状況であるかを認識する画像認識部と、前記画像認識部により前記特定の状況であると認識した場合、前記認識対象が含まれる前記映像データをイベント記録データとして出力するイベント出力部と、を備える。
【0007】
本発明の映像出力方法は、車両の周辺を撮影したカメラから映像データを取得するステップと、取得された前記映像データから認識対象を検出するとともに検出された前記認識対象が特定の状況であるかを認識するステップと、前記特定の状況であると認識した場合、前記認識対象が含まれる前記映像データをイベント記録データとして出力するステップと、を含む。
【0008】
本発明の探索装置は、特定の状況にある認識対象が含まれるイベント記録データを取得するイベント取得部と、検出対象に関する検出対象情報を取得する検出対象情報取得部と、前記検出対象情報取得部が前記検出対象情報を取得した場合、前記検出対象情報に基づいて、前記イベント取得部が取得した前記イベント記録データから前記検出対象を探索する探索部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、特定の状況にある検出対象が認識された映像データを適切に出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る探索システムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る映像出力装置の構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る探索装置の構成例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係るイベント記録データ出力処理の流れを示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、第2実施形態に係るイベント記録データの出力処理の流れを示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、第3実施形態に係る探索装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、第4実施形態に係る探索装置の構成例を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、第4実施形態に係る探索装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、以下の実施形態において、同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0012】
[第1実施形態]
(探索システム)
図1を用いて、第1実施形態に係る探索システムの構成例について説明する。
図1は、第1実施形態に係る探索システムの構成を示す図である。
【0013】
図1に示すように、探索システム1は、映像出力装置10と、探索装置12と、を含む。例えば探索システム1は、複数の映像出力装置10を含んでいてもよい。映像出力装置10と、探索装置12とは、有線または無線のネットワークNを介して通信可能に接続されている。ネットワークNは、例えば、インターネット網であるが、これに限定されない。
【0014】
映像出力装置10は、例えば、車両に搭載されるドライブレコーダで実現される。探索装置12は、例えば、探索システム1の管理室に配置されるサーバ装置で実現される。映像出力装置10は、車両の周辺を撮影した映像データから認識対象が特定の状況であることを認識した場合に、映像データをイベント記録データとして出力する。イベント記録データは例えば、特定の状況が開始してから終了するまでの期間の映像データである。探索装置12は、映像出力装置10が出力したイベント記録データから所定の検出対象を検出する。
【0015】
(映像出力装置)
図2を用いて、第1実施形態に係る映像出力装置の構成例について説明する。
図2は、第1実施形態に係る映像出力装置の構成例を示すブロック図である。
【0016】
図2に示すように、映像出力装置10は、カメラ20と、入力部22と、表示部24と、記憶部26と、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信部28と、通信部30と、制御部32と、を備える。
【0017】
カメラ20は、映像出力装置10が設けられている車両の周辺を撮影するカメラである。カメラ20は、例えば、1つのカメラで構成されていてもよいし、複数のカメラで構成されていてもよい。カメラ20は、撮影した映像データを制御部32の映像データ取得部40に出力する。
【0018】
入力部22は、映像出力装置10に対する各種の操作を受け付ける。入力部22は、例えば、ボタン、スイッチ、タッチパネルなどで実現されるが、これらに限定されない。
【0019】
表示部24は、各種の画像を表示する。表示部24は、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro-Luminescence)などを含むディスプレイである。表示部24はタッチパネルディスプレイであってもよい。この場合、表示部24のタッチパネルディスプレイは入力部22としても機能する。
【0020】
記憶部26は、各種の情報を記憶している。記憶部26は、制御部32の演算内容、およびプログラム等の情報を記憶する。記憶部26は、例えば、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)のような主記憶装置、HDD(Hard Disk Drive)等の外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ以上の書き込み可能な記憶装置を含む。
【0021】
記憶部26は、例えば、カメラ20が撮影した映像データから各種の物体を認識するための辞書データを記憶している。
【0022】
GNSS受信部28は、GNSS衛星からのGNSS信号を受信するGNSS受信機などで構成される。GNSS受信部28は、受信したGNSS信号を制御部32の位置情報取得部46へ出力する。
【0023】
通信部30は、映像出力装置10と、外部装置との間の通信を実行する通信インターフェースである。通信部30は、例えば、映像出力装置10と、探索装置12との間の通信を実行する。
【0024】
制御部32は、映像出力装置10の各部を制御する。制御部32は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などの情報処理装置と、RAM又はROMなどの記憶装置とを有する。制御部32は、映像出力装置10の動作を制御するプログラムを実行する。制御部32は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてもよい。制御部32は、ハードウェアと、ソフトウェアとの組み合わせで実現されてもよい。
【0025】
制御部32は、映像データ取得部40と、画像認識部42と、イベント出力部44と、位置情報取得部46と、を備える。
【0026】
映像データ取得部40は、カメラ20を制御して、車両の周辺を撮影させる。映像データ取得部40は、カメラ20が撮影した映像データを、カメラ20から取得する。また、映像データ取得部40は、カメラ20が撮影した映像データの通常記録をする。ここで通常記録の映像データは上書き可能な状態で記憶部26に記憶される。例えば映像データ取得部40は、記憶部26における記憶容量が少なくなった場合、撮影時刻が古い通常記録の映像データを削除し、空いた記憶容量に撮影時刻が新しい通常記録の映像データを記憶させる。また映像データ取得部40は、通常記録の映像データを、通信部30を介して、通常記録の映像データを図示しない記憶装置に送信し、記憶装置は、イベント記録データを上書き可能な状態で記憶してもよい。ここで、図示しない記憶装置とは、例えば複数の映像出力装置10のデータを管理するための管理室に配置されるサーバ装置である。
【0027】
画像認識部42は、映像データ取得部40が取得した映像データに対して認識処理を実行し、映像データに含まれる認識対象を検出するとともに特定の状況であるかを認識する。画像認識部42は、例えば、記憶部26に記憶された辞書データを用いて、認識対象を検出する。具体的には画像認識部42は、機械学習モデルによって認識対象であるか否かを検出してもよい。この機械学習モデルは、画像データが入力されたことに応じて、認識対象が画像に存在するか否かの判定結果を表すフラグを出力するように構成されている。また、この機械学習モデルは、入力データと正解データのペアで構成される訓練データを用いて訓練されたものである。画像認識部42が検出する認識対象は、例えば、子供、老人、ペットなどであるが、これに限定されない。
【0028】
認識対象及び特定の状況は、任意に設定可能であってよい。認識対象及び特定の状況は例えば入力部22を介して設定可能である。認識対象及び特定の状況は例えば通信部30を介して図示しない外部装置から設定可能である。
【0029】
画像認識部42は、例えば、1人でいる子供を認識対象及び特定の状況として認識する。この場合認識対象は子供であり、特定の状況は認識対象が1人でいることとなる。具体的には画像認識部42は、検出した認識対象の所定範囲内に、他の人物が検出されない場合に、認識対象が1人でいることを認識する。ここで、所定範囲とは例えば半径5mとするがこれに限らない。また、画像認識部42は、検出した認識対象の所定範囲内に、他の人物が検出されるが、認識対象に顔を向けていない場合に、認識対象が1人でいることを認識してもよい。また、画像認識部42は、認識対象が1人でいることが一定期間継続した場合に初めて、特定の状況であると認識してもよい。ここで一定期間とは例えば5秒である。画像認識部42は、その他の公知技術を用いて認識対象が特定の状況であると認識してもよい。
【0030】
画像認識部42は、例えば、1人で歩いている子供を認識対象及び特定の状況として認識する。この場合認識対象は子供であり、特定の状況は認識対象が1人で歩いていることとなる。画像認識部42は、例えば、子供だけの複数人からなるグループを認識対象として認識してもよい。この場合認識対象は子供だけの複数人からなるグループである。
【0031】
画像認識部42は、例えば、1人でいる老人を認識対象及び特定の状況として認識する。この場合認識対象は老人であり、特定の状況は認識対象が1人でいることとなる。画像認識部42は、例えば、1人で歩いている老人を認識対象及び特定の状況として認識する。この場合認識対象は老人であり、特定の状況は認識対象が1人で歩いていることとなる。
【0032】
画像認識部42は、例えば、周囲に飼い主がいないペットを認識対象及び特定の状況として認識する。この場合認識対象はペットであり、特定の状況は認識対象の飼い主が映っていないこととなる。ペットは、犬および猫が例示されるが、これらに限定されない。画像認識部42は、例えば、首輪をしているが周囲に飼い主がいないペットを認識対象として認識する。画像認識部42は、例えば、リードを付けているが、周囲に飼い主がいないペットを認識対象として認識する。
【0033】
画像認識部42は、例えば、状況の不自然さに基づいて、特定の状況を認識してもよい。つまり、画像認識部42は、不自然な状況であるか否かを判定することで特定の状況を認識する。不自然な状況であるか否かは、例えば機械学習モデルによって判定されてもよい。この機械学習モデルは、画像データが入力されたことに応じて、状況が不自然か否かの判定結果を表すフラグを出力するように構成されている。また、この機械学習モデルは、入力データと正解データのペアで構成される訓練データを用いて訓練されたものである。
【0034】
画像認識部42は、例えば、屋外で寝間着を着用している人物を特定の状況として認識してもよい。この場合特定の状況は認識対象が屋外で寝間着を着用していること、となる。画像認識部42は、例えば、屋外で裸足の人物を特定の状況として認識してもよい。この場合特定の状況は認識対象が屋外において裸足でいること、となる。画像認識部42は、例えば、夕方以降などに1人でいる子供または子供だけのグループを認識対象として認識してもよい。画像認識部42は、例えば、夜中などに1人で歩いている老人を認識対象として認識してもよい。この場合特定の状況は認識対象が特定の時間において屋外で単独でいること、となる。画像認識部42は、例えば、街頭を一匹で歩いているペットを認識対象として認識してもよい。
【0035】
イベント出力部44は、画像認識部42が映像データから認識対象が特定の状況であると認識した場合に、その映像データをイベント記録データとして出力する。イベント出力部44は、例えば、映像データが撮影された時刻に関する時刻情報と、撮影された位置に関する位置情報とをイベント記録データに含めて出力する。ここで、撮影された位置に関する位置情報は、例えば位置情報取得部46から取得する。イベント記録データには、車両(映像出力装置)の車速の情報、及び、映像出力装置10の撮像方向の情報がさらに含まれていてもよい。イベント出力部44は、例えば、イベント記録データを上書きされないように記憶部26に記憶させる。イベント出力部44は、例えば、通信部30を介して、イベント記録データを探索装置12に送信する。イベント出力部44は、例えば、通信部30を介して、イベント記録データを図示しない記憶装置に送信し、記憶装置は、イベント記録データを上書きされないように記憶してもよい。
【0036】
イベント出力部44は、イベント記録データを記憶部26に記憶させる際に、そのイベント記録データに含まれる認識対象と同一の認識対象を含むイベント記録データが記憶部26に記憶されているか否かを判定する。イベント出力部44は、同一の認識対象を含むイベント記録データが記憶されていると判定された場合には、最新のイベント記録データと、記憶部26に記憶されているイベント記録データを比較する。
【0037】
イベント出力部44は、最新のイベント記録データと、記憶部26に記憶されているイベント記録データとのうちの適している方のイベント記録データを上書きされないように記憶部26に記憶させる。イベント出力部44は、例えば、認識対象の撮影時刻の新しい方のイベント記録データ、認識対象の顔がよく見える方のイベント記録データ、認識対象の特定が容易な方のイベント記録データを、適している方のイベント記録データとして判定する。また、イベント出力部44が選択する上書きされないように記憶させるのに適しているイベント記録データは、1つであってもよいし、複数であってもよい。イベント出力部44は、例えば、認識対象の撮影時刻の新しいイベント記録データと、認識対象の顔がよく見えるイベント記録データと、の2つのイベント記録データを上書きされないように記憶部26に記憶させてもよい。
【0038】
イベント出力部44は例えば、最新のイベント記録データと、記憶部26に記憶されているイベント記録データとのうち上書きされないように記憶させるのに適していない方のイベント記録データについては、映像データは削除し、その映像データの識別データを生成し、識別データのみを記憶部26に記憶させる。識別データには、認識対象の特徴量データ、撮影時刻、および撮影された位置に関する情報、撮影した車両(映像出力装置)の車速及び進行方向に関する情報などを含むが、これらに限定されない。イベント出力部44は、上書きされないように記憶させるのに適していないイベント記録データであっても削除せず、識別データとイベント記録データの両方を記憶部26に記憶させてもよい。
【0039】
位置情報取得部46は、車両(映像出力装置)の現在位置を示す位置情報を取得する。位置情報取得部46は、GNSS受信部28が受信したGNSS信号に基づいて、車両の現在位置の位置情報を公知の方法によって算出する。
【0040】
(探索装置)
図3を用いて、第1実施形態に係る探索装置の構成例について説明する。
図3は、第1実施形態に係る探索装置の構成例を示すブロック図である。
【0041】
図3に示すように、探索装置12は、通信部50と、記憶部52と、制御部54と、を備える。
【0042】
通信部50は、探索装置12と、外部装置との間の通信を実行する通信インターフェースである。通信部50は、例えば、探索装置12と、映像出力装置10との間の通信を実行する。
【0043】
記憶部52は、各種の情報を記憶している。記憶部52は、制御部54の演算内容、およびプログラム等の情報を記憶する。記憶部52は、例えば、RAMと、ROMのような主記憶装置、HDD等の外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ以上の書き込み可能な記憶装置を含む。
【0044】
記憶部52は、例えば、映像出力装置10から取得された認識対象が含まれるイベント記録データと、認識対象に関する識別データとを記憶している。
【0045】
制御部54は、探索装置12の各部を制御する。制御部54は、例えば、CPUやMPUなどの情報処理装置と、RAM又はROMなどの記憶装置とを有する。制御部54は、探索装置12の動作を制御するプログラムを実行する。制御部54は、例えば、ASICやFPGA等の集積回路により実現されてもよい。制御部54は、ハードウェアと、ソフトウェアとの組み合わせで実現されてもよい。
【0046】
制御部54は、イベント取得部60と、検出対象情報取得部62と、探索部64と、を含む。
【0047】
イベント取得部60は、通信部50を介して、認識対象が含まれるイベント記録データと、認識対象に関する識別データとを映像出力装置10から取得する。イベント取得部60は、イベント記録データのみを映像出力装置10から取得してもよい。イベント取得部60は、複数の映像出力装置10からイベント記録データと識別データとを取得してもよい。イベント取得部60は、取得したイベント記録データと識別データとを記憶部52に記憶させる。
【0048】
検出対象情報取得部62は、イベント取得部60から取得したイベント記録データから検出すべき検出対象に関する情報である検出対象情報を取得する。検出対象情報は、例えば、通信部50を介して、図示しない外部装置から検出対象情報を取得する。検出対象に関する検出対象情報は、例えば、迷子に関する迷子情報である。
【0049】
検出対象情報は、例えば、検出対象を判別可能な画像情報であってよい。画像情報は、例えば、人物またはペットの顔画像、および全体像などの情報を含む。画像情報には、その他の画像が含まれてもよい。
【0050】
検出対象情報は、例えば、検出対象の特徴を示す特徴情報であってよい。特徴情報は、例えば、検出対象の種別(例えば、人、犬、猫など)、身長(体長)、年齢、性別、服装などに関する情報を含む。特徴情報には、その他の情報が含まれてもよい。
【0051】
探索部64は、検出対象情報取得部62が検出対象情報を取得した場合、検出対象を探索する。探索部64は、検出対象情報に基づいて、イベント取得部60が取得したイベント記録データと識別データとから検出対象を探索する。イベント取得部60がイベント記録データのみを映像出力装置10から取得する場合、探索部64は、検出対象情報に基づいて、イベント記録データのみから検出対象を探索する。イベント取得部60が複数の映像出力装置10からイベント記録データと識別データとを取得する場合、探索部64は、検出対象情報に基づいて、複数の映像出力装置10から取得したイベント記録データと識別データとから検出対象を探索する。探索部64は例えば、機械学習モデル、テンプレートマッチング、またはパターンマッチングなど、公知技術を用いて検出対象を探索する。
【0052】
(イベント記録データ出力処理)
図4を用いて、第1実施形態に係るイベント記録データ出力処理の流れについて説明する。
図4は、第1実施形態に係るイベント記録データ出力処理の流れを示すフローチャートである。
【0053】
映像データ取得部40は、カメラ20から車両の周辺を撮影した映像データを取得する(ステップS10)。そして、ステップS12に進む。
【0054】
映像データ取得部40は、カメラ20から取得した映像データの通常記録を開始する(ステップS12)。通常記録が開始されると、映像データは上書き可能な状態で記憶部26に記憶される。そして、ステップS14に進む。
【0055】
画像認識部42は、映像データ取得部40が取得した映像データに対して画像認識処理を実行し、映像データから認識対象を検出するとともに検出された認識対象が特定の状況であると認識されたか否かを判定する(ステップS14)。映像データから特定の状況であると判定された場合(ステップS14;Yes)、ステップS16に進む。映像データから特定の状況であると判定されない場合(ステップS14;No)、ステップS18に進む。
【0056】
ステップS14でYesと判定された場合、イベント出力部44は、認識対象を含む映像データをイベント記録データとして出力する(ステップS16)。イベント出力部44は、例えば、イベント記録データを上書きされないように記憶部26に記憶させる。イベント出力部44は、例えば、通信部30を介して、探索装置12にイベント記録データを出力する。イベント出力部44は、例えば、通信部30を介して、図示しない記憶装置にイベント記録データを出力する。そして、ステップS18に進む。
【0057】
制御部32は、処理を終了するか否かを判定する(ステップS18)。例えば、制御部32は入力部22を介して、処理を終了する操作を受け付けた場合や、電源をオフに操作を受け付けた場合に、処理を終了すると判定する。処理を終了すると判定された場合(ステップS18;Yes)、
図4の処理を終了する。処理を終了すると判定されない場合(ステップS18;No)、ステップS10に進む。
【0058】
上述のとおり、第1実施形態は、カメラが撮影した映像データから所定の認識対象が特定の状況であると認識された場合には、その映像データを上書きされないイベント記録データとして出力する。これにより、第1実施形態は、例えば、迷子の可能性がある、1人でいる子供の映像データなどをイベント記録データとして記憶させることができる。
【0059】
[第2実施形態]
(イベント記録データ出力処理)
図5を用いて、第2実施形態に係るイベント記録データの出力処理について説明する。
図5は、第2実施形態に係るイベント記録データの出力処理の流れを示すフローチャートである。第2実施形態に係る映像出力装置10の構成は、
図2に示す映像出力装置10の構成と同一なので、説明を省略する。
【0060】
ステップS30からステップS34の処理は、それぞれ、
図4に示すステップS10からステップS14の処理と同一の処理なので、説明を省略する。
【0061】
ステップS34でYesと判定された場合、イベント出力部44は、イベント記録データが記憶部26に記憶されているか否かを判定する(ステップS36)。イベント記録データが記憶されていないと判定された場合(ステップS36;No)、ステップS38に進む。イベント記憶データが記憶されていると判定された場合(ステップS36;Yes)、ステップS40に進む。
【0062】
ステップS36でNoと判定された場合、イベント出力部44は、イベント記録データを上書きされないように記憶部26に記憶させる(ステップS38)。そして、ステップS46に進む。
【0063】
ステップS36でYesと判定された場合、画像認識部42は、記憶部26に記憶されているイベント記録データに映像データから認識された認識対象と同一の認識対象が含まれているか否かを判定する(ステップS40)。例えば、画像認識部42は、イベント記録データに対して画像認識処理を実行し、映像データから認識された認識対象と同一の認識対象が含まれているか否かを判定する。イベント記録データに映像データから認識された認識対象と同一の認識対象が含まれていると判定された場合(ステップS40;Yes)、ステップS42に進む。イベント記録データに映像データから認識された認識対象と同一の認識対象が含まれていると判定されない場合(ステップS40;No)、ステップS38に進む。
【0064】
ステップS40でYesと判定された場合、イベント出力部44は、映像データ取得部40が取得した映像データと、記憶部26に記憶されているイベント記録データを比較し、適している方をイベント記録データとして上書きされないように記憶部26に記憶させる(ステップS42)。そして、ステップS44に進む。
【0065】
イベント出力部44は、映像データ取得部40が取得した映像データと、記憶部26に記憶されているイベント記録データのうちの残りの方の識別データを記憶部26に記憶させる(ステップS44)。そして、ステップS46に進む。
【0066】
ステップS46の処理は、
図4に示すステップS18の処理と同一なので、説明を省略する。
【0067】
上述のとおり、第2実施形態は、カメラが撮影した映像データと記憶部に記憶されたイベント記録データとを比較し、適している方を最新のイベント記録データとして記憶させることができる。これにより、第2実施形態は、同一の認識対象を含む不必要な映像データを圧縮することができるので、不必要な映像データで記憶部の容量が圧迫されてしまうことを防止することができる。
【0068】
[第3実施形態]
図6を用いて、第3実施形態に係る探索装置の処理の流れについて説明する。
図6は、第3実施形態に係る探索装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【0069】
イベント取得部60は、映像出力装置10からイベント記録データおよび識別データを取得する(ステップS50)。そして、ステップS52に進む。
【0070】
イベント取得部60は、取得したイベント記録データおよび識別データを記憶部52に記憶させる(ステップS52)。そして、ステップS54に進む。
【0071】
検出対象情報取得部62は、検出対象情報を取得したか否かを判定する(ステップS54)。検出対象情報を取得したと判定された場合(ステップS54;Yes)、ステップS56に進む。検出対象情報を取得したと判定されない場合(ステップS54;No)、
図6の処理を終了する。なお、ステップS54の処理は、ステップS52の処理後だけに実行されるのに限られない。ステップS54の処理は、例えば検出対象情報取得部62が図示しない外部装置から検出対象情報を取得したときに実行されてもよい。
【0072】
ステップS54でYesと判定された場合、探索部64は、記憶部52に記憶されたすべてのイベント記録データおよび識別データから検出対象を探索する(ステップS56)。そして、
図6の処理を終了する。
【0073】
上述のとおり、第3実施形態は、映像出力装置10が出力したイベント記録データおよび識別データから任意の検出対象を探索することができる。これにより、第3実施形態は、例えば、迷子の可能性がある、1人でいる子供を探索することができる。
【0074】
[第4実施形態]
図7を用いて、第4実施形態に係る探索装置の構成例について説明する。
図7は、第4実施形態に係る探索装置の構成例を示すブロック図である。
【0075】
図7に示すように、探索装置12Aは、制御部54Aが判定部66と、生成部68とを備える点で、
図3に示す探索装置12と異なる。
【0076】
判定部66は、記憶部52に同一の検出対象を含むイベント記録データが複数記憶されているか否かを判定する。
【0077】
生成部68は、映像出力装置10に対してイベント記録データを削除可能である旨を示す制御信号を生成する。生成部68は、例えば、判定部66が同一の検出対象を含む複数のイベント記録データが記憶部52に記憶されていると判定した場合に、最新のイベント記録データ以外のイベント記録データを削除するための制御信号を生成する。生成部68は、記憶するのに適していないイベント記録データを削除するための制御信号を生成してもよい。ここで記憶するのに適していないイベント記録データとは例えば、認識対象の撮影時刻が古いイベント記録データ、認識対象の顔がよく見えないイベント記録データ、認識対象の特定が困難なイベント記録データである。生成部68は、生成した制御信号を映像出力装置10に送信して、映像出力装置10にイベント記録データを削除させる。探索システム1が複数の映像出力装置10を含んでいる場合、生成部68は、削除する対象のイベント記録データを出力した映像出力装置10に対して生成した制御信号を送信する。
【0078】
図8を用いて、第4実施形態に係る探索装置の処理の流れについて説明する。
図8は、第4実施形態に係る探索装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【0079】
ステップS60からステップS66の処理は、それぞれ、
図6に示すステップS50からステップS56の処理と同一なので、説明を省略する。
【0080】
判定部66は、記憶部52に同一の検出対象を含むイベント記録データが複数記憶されているか否かを判定する(ステップS68)。具体的には、判定部66は、イベント記録データに対応付けられた識別データに基づいて、同一の検出対象を含むイベント記録データが複数記憶されているか否かを判定する。またイベント取得部60がイベント記録データのみを映像出力装置10から取得する場合、判定部66は例えば、イベント記録データ毎に認識対象の特徴量データを算出し、算出した特徴量データに基づいて、同一の検出対象を含むイベント記録データが複数記憶されているか否かを判定する。同一の検出対象を含むイベント記録データが複数記憶されていると判定された場合(ステップS68;Yes)、ステップS70に進む。同一の検出対象を含むイベント記録データが複数記憶されていると判定されない場合(ステップS68;No)、
図8の処理を終了する。
【0081】
生成部68は、イベント記録データを削除させるための制御信号を生成する(ステップS70)。具体的には、生成部68は、最新のイベント記録データ以外のイベント記録データを出力した映像出力装置10に対して、イベント記録データを削除させるための制御信号を生成する。そして、ステップS72に進む。
【0082】
生成部68は、通信部50を介して、イベント記録データを削除させるための制御信号を映像出力装置10に送信する(ステップS72)。そして、
図8の処理を終了する。
【0083】
上述のとおり、第4実施形態は、不必要なイベント記録データを記憶している映像出力装置に対して、イベント記録データを削除させることができる。これにより、第4実施形態は、映像出力装置が不必要なイベント記録データで記憶部の容量が圧迫されてしまうことを防止することができる。
【0084】
図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。なお、この分散・統合による構成は動的に行われてもよい。
【0085】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これら実施形態の内容により本発明が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0086】
本開示は、SDGs(Sustainable Development Goals)の「住み続けられるまちづくりを」の実現に貢献し、公共施設の安心・安全に寄与する事項を含む。
【符号の説明】
【0087】
1 探索システム
10 映像出力装置
12,12A 探索装置
20 カメラ
22 入力部
24 表示部
26,52 記憶部
28 GNSS受信部
30,50 通信部
32,54,54A 制御部
40 映像データ取得部
42 画像認識部
44 イベント出力部
46 位置情報取得部
60 イベント取得部
62 検出対象情報取得部
64 探索部
66 判定部
68 生成部