(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108650
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】無線通信システム並びにその経路切替方法及び経路切替プログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 16/04 20090101AFI20240805BHJP
H04W 40/04 20090101ALI20240805BHJP
H04W 88/12 20090101ALI20240805BHJP
H04L 47/125 20220101ALI20240805BHJP
【FI】
H04W16/04
H04W40/04
H04W88/12
H04L47/125
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023013117
(22)【出願日】2023-01-31
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)2020年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業/先導研究(委託)/超知性コンピューティングアーキテクチャの研究開発」委託事業、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092772
【弁理士】
【氏名又は名称】阪本 清孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119688
【弁理士】
【氏名又は名称】田邉 壽二
(72)【発明者】
【氏名】流田 理一郎
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 力
(72)【発明者】
【氏名】田上 敦士
【テーマコード(参考)】
5K030
5K067
【Fターム(参考)】
5K030GA13
5K030JA02
5K030LB05
5K030LE03
5K067AA22
5K067DD34
5K067EE10
5K067EE13
5K067EE16
5K067JJ43
(57)【要約】
【課題】仮想化基地局によって構成されるRANにおいて、各ユニットを仮想化するコンピュータに搭載されるアクセラレータACCをRICが把握し、予測されるトラヒック需要に応じてトラフィック処理が可能なユニットを見極めて経路を選択する。
【解決手段】各仮想化基地局はCU,DU及びRUの各ユニットを所定の経路で接続して構成され、各ユニット間のインタフェースはオープン化されている。各ユニットを仮想化するコンピュータの少なくとも一部はACCを搭載する。各ユニットはコンピュータのACC情報及びトラヒック情報をRANコントローラへ通知する。RANコントローラは各ユニットのACCの情報及びトラヒック情報に基づいて最適経路を計算する経路計算部101と、最適経路の情報を各ユニットへ通知する経路通知部102とを具備し、各ユニットは、通知された経路情報に基づいてユニット間の経路を切り替える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想化基地局をRANコントローラで制御し、各仮想化基地局がセッションユニット(CU),分散ユニット(DU)及び無線ユニット(RU)を所定の経路で接続して構成され、各ユニット間のインタフェースがオープン化された無線通信システムにおいて、
各ユニットを仮想化するコンピュータの少なくとも一部がアクセラレータを搭載し、
前記各ユニットは自身を仮想化するコンピュータが搭載するアクセラレータの情報及びトラヒック情報をRANコントローラへ通知し、
前記RANコントローラが、
各ユニットから通知されたアクセラレータの情報及びトラヒック情報に基づいて各ユニットを接続する経路を計算する手段と、
前記経路の情報を前記各ユニットへ通知する手段とを具備し、
前記各ユニットは、前記通知された経路の情報に基づいて経路を切り替えることを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記RANコントローラが、前記各ユニットから通知されたトラヒック情報に基づいてRANの負荷を予測する手段を更に具備し、
前記経路を計算する手段は、前記予測したRANの負荷及びアクセラレータの情報に基づいて経路を計算することを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記トラヒック情報が、各ユニットの配下のRUに接続しているユーザ端末数及びトラヒック量の少なくとも一方であることを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記アクセラレータの情報がアクセラレータの有無に関する情報を含み、
前記経路を計算する手段は、アクセラレータを搭載したコンピュータで仮想化されたユニットの能力をアクセラレータを搭載しないコンピュータで仮想化されたユニットの能力よりも高く評価し、能力のより高いユニットがより多くのトラヒックを負担する経路を計算することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記アクセラレータの情報がアクセラレータの能力の指標となる情報を含み、
前記経路を計算する手段は、アクセラレータの能力がより高いコンピュータで仮想化されたユニットの能力をより高く評価し、能力のより高いユニットがより多くのトラヒックを負担する経路を計算することを特徴とする請求項4に記載の無線通信システム。
【請求項6】
仮想化基地局をRANコントローラで制御し、各仮想化基地局がセッションユニット(CU),分散ユニット(DU)及び無線ユニット(RU)を所定の経路で接続して構成され、各ユニット間のインタフェースがオープン化された無線通信システムの経路切替方法において、
各ユニットを仮想化するコンピュータの少なくとも一部がアクセラレータを搭載し、
前記各ユニットは自身を仮想化するコンピュータが搭載するアクセラレータの情報及びトラヒック情報をRANコントローラへ通知し、
前記RANコントローラは、
各ユニットから通知されたアクセラレータの情報及びトラヒック情報に基づいて各ユニットを接続する経路を計算し、
前記経路の情報を前記各ユニットへ通知し、
前記各ユニットは、前記通知された経路の情報に基づいて経路を切り替えることを特徴とする無線通信システムの経路切替方法。
【請求項7】
前記アクセラレータの情報がアクセラレータの有無に関する情報を含み、
アクセラレータを搭載したコンピュータで仮想化されたユニットの能力をアクセラレータを搭載しないコンピュータで仮想化されたユニットの能力よりも高く評価し、能力のより高いユニットがより多くのトラヒックを負担する経路を計算することを特徴とする請求項6に記載の無線通信システムの経路切替方法。
【請求項8】
前記アクセラレータの情報がアクセラレータの能力の指標となる情報を含み、
アクセラレータの能力がより高いコンピュータで仮想化されたユニットの能力をより高く評価し、能力のより高いユニットがより多くのトラヒックを負担する経路を計算することを特徴とする請求項7に記載の無線通信システムの経路切替方法。
【請求項9】
仮想化基地局をRANコントローラで制御し、各仮想化基地局がセッションユニット(CU),分散ユニット(DU)及び無線ユニット(RU)を所定の経路で接続して構成され、各ユニット間のインタフェースがオープン化された無線通信システムの経路切替プログラムにおいて、
各ユニットを仮想化するコンピュータの少なくとも一部がアクセラレータを搭載し、
前記各ユニットは自身を仮想化するコンピュータが搭載するアクセラレータの情報及びトラヒック情報をRANコントローラへ通知し、
前記RANコントローラに、
各ユニットから通知されたアクセラレータの情報及びトラヒック情報に基づいて各ユニットを接続する経路を計算する手順と、
前記経路の情報を前記各ユニットへ通知する手順とを実行させ、
前記各ユニットは、前記通知された経路の情報に基づいて経路を切り替えることを特徴とする無線通信システムの経路切替プログラム。
【請求項10】
前記アクセラレータの情報がアクセラレータの有無に関する情報を含み、
前記経路を計算する手順では、アクセラレータを搭載したコンピュータで仮想化されたユニットの能力をアクセラレータを搭載しないコンピュータで仮想化されたユニットの能力よりも高く評価し、能力のより高いユニットがより多くのトラヒックを負担する経路を計算することを特徴とする請求項9に記載の無線通信システムの経路切替プログラム。
【請求項11】
前記アクセラレータの情報がアクセラレータの能力の指標となる情報を含み、
前記経路を計算する手順では、アクセラレータの能力がより高いコンピュータで仮想化されたユニットの能力をより高く評価し、能力のより高いユニットがより多くのトラヒックを負担する経路を計算することを特徴とする請求項10に記載の無線通信システムの経路切替プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システム並びにその経路切替方法及び経路切替プログラムに係り、特に、RAN(Radio Access Network)の無線基地局を仮想化するコンピュータの能力に応じて各仮想化基地局のユニット間の接続を切り替えて負荷分散を実現し、RANの処理能力及び消費電力効率を向上させる無線通信システム並びにその経路切替方法及び経路切替プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
第五世代無線通信システム(5G)の高度化により、導入初期と比較して大容量、低遅延、および多接続な通信に対する需要がさらに高まることが想定されている。
【0003】
また、RANにおいて従来は統合されていた無線基地局の機能を、セッション処理を行うCU(Centralized Unit)、ベースバンド処理を行う分散ユニットDU(Distributed Unit)及び無線処理を行うRU(Radio Unit)に分割し、各ユニット間のインタフェース仕様をオープン化するための仕様検討がO-RAN Alliance(非特許文献1)で進められている。
【0004】
O-RAN Allianceでは更に、RANを統合的に制御するためのRANコントローラ(RIC:RAN Intelligent Controller)についても仕様検討が進められている。また、コスト削減および運用の容易性の観点から、特にCUおよびDUに関して汎用のサーバ上にソフトウェアとして実装する仮想化基地局の検討が進められている。
【0005】
一方、5Gの高度化により増大したトラフィック負荷を処理するために、CUおよびDUの処理負荷が増大することが想定される。処理負荷に応じて仮想化基地局の数を動的に増加・削減させる技術が特許文献1で検討されている。
【0006】
また、仮想化基地局におけるCPUの処理負荷の増大に対処するために、FPGA(Field-Programmable Gate Array:製造後に購入者や設計者が構成を設定できる集積回路)やGPU(Graphics Processing Unit)等のアクセラレータ(ACC)にCPUの処理をオフロードすることでCPUの処理負荷を低減する技術が特許文献2や非特許文献2、3で検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2021-523186号公報
【特許文献2】特許第7097340号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】"O-RAN ALLIANCE," https://www.o-ran.org/
【非特許文献2】流田 他, "仮想化基地局のハードウェアオフロードによる消費電力低減に関する定量評価,"信学技報, vol. 122, no. 129, CQ2022-19, pp. 13-18, 2022年7月.
【非特許文献3】J. C. Borromeo, et al.,"An Overview of Hardware Acceleration Techniques for 5G Functions," 2020 22nd International Conference on Transparent Optical Networks, July 2020.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
5Gの高度化による大容量トラフィックに対処するため、仮想化基地局におけるCPUへの処理負荷が増大し、CPUだけでは処理できなくなることが想定される。特許文献1が開示する技術によれば仮想化基地局の数を増減させることができるが、CPUの処理能力が向上するわけでは無いためCPUへの処理を分散させることが難しい。
【0010】
また、特許文献1が開示する技術では、仮想化基地局の各機能にACCを動的に割り当てることができるが、仮想化基地局の各機能は低遅延が求められるため、全ての仮想化基地局がACCを内包している必要がある。
【0011】
非特許文献2、3が開示する技術では、仮想化基地局における演算処理にCPUよりも適性のあるACCを使用することでCPUの処理負荷を軽減することが可能になるが、全てのCU、DUにACCを搭載するとコストが大幅に増大する問題がある。
【0012】
本発明の目的は、上記の技術課題を解決し、複数の仮想化基地局によって構成されるRANにおいて、CUやDUを仮想化するコンピュータが搭載するACC及びトラフィック処理負荷をRICに把握させ、予測されるトラヒック需要に応じてCU及びDUを接続する経路を最適化する無線通信システム並びにその経路切替方法及び経路切替プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために、本発明は、複数の仮想化基地局をRANコントローラで制御し、各仮想化基地局がCU,DU及びRUを所定の経路で接続して構成され、各ユニット間のインタフェースがオープン化された無線通信システムにおいて、各ユニットを仮想化するコンピュータの少なくとも一部がアクセラレータを搭載し、各ユニットは自身を仮想化するコンピュータが搭載するアクセラレータの情報及びトラヒック情報をRANコントローラへ通知し、RANコントローラが、各ユニットから通知されたアクセラレータの情報及びトラヒック情報に基づいて各ユニットを接続する経路を計算する手段と、経路の情報を前記各ユニットへ通知する手段とを具備し、前記各ユニットは、前記通知された経路の情報に基づいて経路を切り替えるようにした。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、RANの無線基地局を仮想化するコンピュータのうちACCを搭載するコンピュータが仮想化するユニット(CU,DU)の能力を他のユニットよりも高く評価し、能力のより高いユニットがより多くのトラヒックを処理できるように各ユニット間の経路が切り替えられるので、最小限のハードウエアリソースで効率的なRAN運用が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明を適用した無線アクセスネットワーク(RAN)の主要部の構成を示した機能ブロック図である。
【
図2】仮想基地局の各ユニットがコンピュータに搭載されたACCに関する情報をRICへ通知するACC情報通知の手順を示したシーケンスフローである。
【
図3】仮想基地局の各ユニットが現在のトラヒック情報をRICへ周期的に通知するトラヒック情報通知の手順を示したシーケンスフローである。
【
図4】RICが各ユニット間の最適経路を計算して各ユニットへ経路の切り替えを指示する経路切替手順を示したシーケンスフローである。
【
図5】経路切替の例を示した機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明を適用した無線アクセスネットワーク(RAN)の主要部の構成を示した機能ブロック図であり、ここでは本発明の説明に不要な構成が省略されている。
【0017】
本実施形態では、各無線基地局がセッションユニット(CU:CU-A,CU-B),分散ユニット(DU:DU-A,DU-B,DU-C)及び無線ユニット(RU:RU-A,RU-B,RU-C,RU-D)の各ユニットを所定の経路で接続して構成される。各CU、DU及びRU間のインタフェースはO-RAN Allianceに準拠した仕様で共通化、オープン化されている。
【0018】
各無線基地局は汎用のコンピュータ(例えば、サーバ装置)にソフトウェアを組み合わせる仮想化技術により実現される仮想化基地局である。CU及びDUを実現するコンピュータの少なくとも一部には、当該コンピュータのCPUを補助するアクセラレータ(ACC)としてFPGAやGPUが実装されている。
【0019】
各仮想化基地局のCUはコアネットワーク(CN)とバックホール(BH)で接続されている。各CUと各DUとはミッドホール(MH)でメッシュ状に接続されている。各DUと各RUとはフロントホール(FH)でメッシュ状に接続されている。各RUにはアンテナ(ANT)が設けられ、多くのユーザ端末(UE)との間で無線通信を行う。
【0020】
各CU及びDUはRICと制御信号インタフェースで接続されている。制御信号インタフェースは、各CU及びDUが統計情報をRICに送信したり、RICが各CU及びDUへ制御情報を送信したりする際に使用される。RICは、経路計算部101及び経路通知部102を具備する。
【0021】
前記経路計算部101は、各ユニット(CU,DU)を仮想化するコンピュータに搭載されているACCの情報及び各ユニットのトラヒック情報に基づいて各ユニット間の最適経路を計算する。経路通知部102は、前記計算した最適経路の情報を各ユニットへ通知する。各ユニットは、RICから通知された経路情報に基づいてユニット間の経路を切り替える。前記経路計算部101及び経路通知部102の動作については後に詳述する。
【0022】
図2は、CU、DU及びRUの各ユニット間の経路を動的に切り替えて各仮想化基地局のトラヒック負荷を分散する手順のうち、初めに各ユニットが自身のACC情報をRICに登録する初期登録の手順を示したシーケンスフローである。
【0023】
時刻t1において、CUがRANへ最初に接続されるか再起動されるかすると、当該CUは時刻t2において、自身を仮想化技術により実現しているコンピュータがACCを搭載しているか否か、及び搭載していればACCの型番や種別など当該ACCの能力指標となる情報をACC情報としてRICへ制御信号インタフェースを介して送信する。時刻t3では、RICが各CUから受信したACC情報に基づいて当該各CUの能力を評価し、CU情報として更新登録する。
【0024】
同様に、時刻t4において、DUがRANへ初めて接続されるか再起動されるかすると、当該DUは時刻t5において、自身を仮想化技術により実現しているコンピュータがACCを搭載しているか否か、及び搭載していればその能力指標となる情報をACC情報としてRICへ制御信号インタフェースを介して送信する。時刻t6では、RICが各DUから受信したACC情報に基づいて当該DUの能力を評価し、DU情報として更新登録する。
【0025】
図3は、各ユニット間の経路を動的に切り替えて各仮想化基地局のトラヒック負荷を分散する手順のうち、各ユニットが自身の現在のトラヒック情報をRICへ周期的に通知するトラヒック情報通知の手順を示したシーケンスフローである。
【0026】
RANが稼働してトラヒック制御が開始されると、各CUは時刻t7(所定の周期:例えば、1分周期)で制御信号インタフェースを介してRICへ、配下のRUに接続されているUE数やトラヒック量をトラヒック情報として通知する。
【0027】
同様に、各DUも時刻t8(所定の周期:例えば、1分周期)で制御信号インタフェースを介してRICへ、配下のRUに接続されているUE数やトラヒック量をトラヒック情報として通知する。
【0028】
RICは時刻t9において、各CU及びDUから通知された各ユニットのトラヒック情報や各ユニットの配下のDUに接続しているUE数に基づいて、RANにトラヒック増の兆候があるか否かの負荷予測を繰り返し行う。
【0029】
図4は、各ユニット間の経路を動的に切り替えて各仮想化基地局のトラヒック負荷を分散する手順のうち、RICが最適経路を計算して各ユニットへ経路の切り替えを指示する経路切替の手順を示したシーケンスフローである。
【0030】
RICは、各CU及びDUから周期的に通知されるトラヒック情報に基づく負荷予測によりRANにトラヒック増の兆候が検出されると、時刻t10において、トラヒックの処理負荷が各CU及びDUへ分散されるように、前記負荷予測の結果及び各ユニットのACC情報に基づいて各CU、DU及びRU間の最適経路を計算する。
【0031】
本実施形態では、ACCを搭載したコンピュータにより仮想化されているユニット(CU,DU)の能力が、ACCを搭載しないコンピュータにより仮想化されているユニットの能力よりも高く評価される。そして、接続UE数のより多いRUに能力のより高いCU,DUが接続されるように各CU,DU,RU間の経路が計算される。
【0032】
例えば、
図5に示すようにRU-Cに接続するUE数の増加によりトラヒック増の兆候が検出され、ACCを搭載したコンピュータで仮想化されるDUが1台(例えば、DU-B)であれば、RU-CにDU-Bを接続する経路が計算される。更に、ACCを搭載したコンピュータで仮想化されるCUが1台(CU-A)であれば、前記DU-BにCU-Aを接続する経路が計算される。
【0033】
なお、ACCの能力をその型番に基づいて更に詳細に評価できる場合は、ACCの能力に応じて経路を最適化しても良い。例えば、ACCを搭載したコンピュータで仮想化されるDUが2台(例えば、DU-A,DU-B)であって、DU-Aを仮想化するコンピュータが搭載するACCの能力がDU-Bを仮想化するコンピュータが搭載するACCの能力よりも高ければ、接続UE数の多い上位2つのRUのうち、より接続UE数の多い一方をDU-Aに接続し、他方をDU-Bに接続する経路が計算される。
【0034】
経路計算が終了すると、時刻t11ではRICから各CUへ、接続先のDUを特定する接続先DU情報が制御インタフェースを介して通知される。時刻t12ではRICから各DUへ、接続先のRUを特定する接続先RU情報が制御インタフェースを介して通知される。
【0035】
時刻t13では、各CUが前記RICから通知された接続先DU情報に基づいて、接続先のDUを前記接続先DU情報で特定されたDUに切り替える。時刻t14では、各DUが前記RICから通知された接続先RU情報に基づいて、接続先のRUを前記接続先RU情報で特定されたRUに切り替える。
【0036】
本実施形態によれば、RANの無線基地局を仮想化するコンピュータのうちACCを搭載するコンピュータにより仮想化されるユニットの能力を他のユニットよりも高く評価し、能力のより高いユニットがより多くのトラヒックを処理できるように各ユニット間の経路が切り替えられるので、少ない計算リソースで効率的なRAN運用が可能になる。
【0037】
そして、上記の実施形態によれば無線通信のスループットや遅延時間等の通信品質を最小限のハードウエア資源により向上させることが可能となるので、地理的あるいは経済的な格差を超えて多くの人々に多様なコミュニケーションやエンターテインメントを提供できるようになる。その結果、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「レジリエントなインフラを整備し、包括的で持続可能な産業化を推進する」や目標11「都市を包摂的、安全、レジリエントかつ持続可能にする」に貢献することが可能となる。
【符号の説明】
【0038】
CU…セッションユニット,DU…分散ユニット,RU…無線ユニット,ACC…アクセラレータ,CN…コアネットワーク,BH…バックホール,MH…ミッドホール,101…経路計算部,102…経路通知部