(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108652
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
A01D 69/02 20060101AFI20240805BHJP
A01D 41/12 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
A01D69/02
A01D41/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023013119
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 岳行
(72)【発明者】
【氏名】高木 真吾
(72)【発明者】
【氏名】黒瀬 英明
(72)【発明者】
【氏名】二宮 浩二
(72)【発明者】
【氏名】後田 達哉
(72)【発明者】
【氏名】北川 智志
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 大翔
(72)【発明者】
【氏名】川崎 優太
(72)【発明者】
【氏名】景浦 宏一
(72)【発明者】
【氏名】織田 湧平
(72)【発明者】
【氏名】板山 真
(72)【発明者】
【氏名】原 竜太郎
(72)【発明者】
【氏名】平井 大輔
【テーマコード(参考)】
2B074
2B076
【Fターム(参考)】
2B074AA02
2B074AB01
2B074AC02
2B074AE03
2B074AF02
2B074BA07
2B074CE01
2B074CF01
2B074CH01
2B074DA01
2B074DA02
2B074DA03
2B074DA04
2B074DC02
2B074DC03
2B074DE03
2B074DF07
2B076AA03
2B076BA05
2B076BB02
2B076CC02
2B076CD01
(57)【要約】
【課題】溝状のフレーム構成材を使用する場合に比べて、作物の収穫時に発電をする発電部とバッテリとを接続する配線におけるノイズを抑制すること。
【解決手段】走行車体(2,502)の各部に給電するバッテリ(388)と、選別部(34,516)から排出される不要部(101)の落下に伴って発電する発電機(386)と、発電機(386)とバッテリ(388)とを接続する配線(387)であって、走行車体(2,502)に支持された導電性の筒状の枠体(389)の内部を通過して配策された配線(387)と、を備えた作業車両(1,501)。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車体(2,502)と、
前記走行車体(2,502)の前部に配置され、圃場から作物(100)を収穫する収穫部(3,513)と、
前記走行車体(2,502)の後部に配置され、前記収穫部(3,513)で収穫された作物(100)から作物本体(102)と不要部(101)とを選別すると共に、前記不要部(101)を排出する選別部(34,516)と、
前記作物本体(102)を収容する収容部(48,517)と、
前記走行車体(2,502)に支持されて前記走行車体(2,502)の各部に給電するバッテリ(388)と、
前記走行車体(2,502)の後部に配置され、前記選別部(34,516)から排出される前記不要部(101)の落下に伴って発電する発電機(386)と、
前記発電機(386)と前記バッテリ(388)とを接続する配線(387)であって、前記走行車体(2,502)に支持された導電性の筒状の枠体(389)の内部を通過して配策された前記配線(387)と、
を備えたことを特徴とする作業車両(1,501)。
【請求項2】
前記走行車体(2,502)を操縦する操縦者が着席可能な第1の座席(14)と、
前記作物(100)の収穫作業を補助する補助者が着席可能な第2の座席(92)と、
前記作物(100)から前記不要部(101)を切断する切断部(36)を有する前記選別部(34)と、
前記切断部(36)の調整を行う調整部(452~456)であって、前記第2の座席(92)に着席した補助者から作業可能な位置に配置され、前記切断部(36)の調整が前記第2の座席(92)から可能に構成された前記調整部(452~456)と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の作業車両(1,501)。
【請求項3】
前記収容部(517)から延び、前記走行車体(502)の外部のコンテナ(521)に向けて前記収容部(517)に収容された作物本体を送る移送部(518)であって、内部を前記作物本体が通過し且つ移送方向に沿って伸縮可能な通過部(518a,518b)と、前記通過部(518a,518b)を伸縮させる伸縮部(563a,563b)と、前記通過部(518a,518b)の外端に配置され前記外部のコンテナ(521)に接続される外端部(518c)と、前記通過部(518a,518b)に配置された電極部(564)であって、前記外部のコンテナ(521)の通電部(615,616)と電気的に接続可能な前記電極部(564)と、を有する前記移送部(518)と、
前記バッテリ(388)から給電可能であるととともに、前記通電部(615,616)に接続され且つ前記外部のコンテナ(521)に搭載された外部バッテリ(617)からも給電が可能な前記移送部(518)と、
前記外部バッテリ(617)から充電が可能な前記バッテリ(388)と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の作業車両(1,501)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンバインや、野菜収穫機等の作業車両に関し、特に、作物の収穫部を有する作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
コンバインや野菜収穫機等の作業車両において、グレンタンクの内部に羽根車を設けて、グレンタンクに向けて放出される穀粒で羽根車を回転させて、羽根車の回転で発電し、バッテリに蓄える技術が知られている(特許文献1)。
また、電動アクチュエータと電源供給部とを接続する配線用ハーネスが、機体フレーム構成材に上方から入り込む溝形状に収容され、機体フレーム構成材上に作用する上方からの重量が配線用ハーネスに作用しないように構成された技術が知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-4631号公報(特に、請求項1)
【特許文献2】特開2009-268367号公報(特に、請求項4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、発電機からバッテリまでの配線について記載がなく、特許文献2に記載のハーネスと同様に配策することが考えられる。しかしながら、特許文献1では羽根車の回転やモータの回転に伴う振動で配線にノイズが含まれ易く、特許文献2に記載の技術のように、上方が開放された溝状のフレームではノイズ対策が十分にできない問題がある。
【0005】
本発明は、溝状のフレーム構成材を使用する場合に比べて、作物の収穫時に発電をする発電部とバッテリとを接続する配線におけるノイズを抑制することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の上記課題は次の解決手段により解決される。
請求項1に記載の発明は、走行車体(2,502)と、前記走行車体(2,502)の前部に配置され、圃場から作物(100)を収穫する収穫部(3,513)と、前記走行車体(2,502)の後部に配置され、前記収穫部(3,513)で収穫された作物(100)から作物本体(102)と不要部(101)とを選別すると共に、前記不要部(101)を排出する選別部(34,516)と、前記作物本体(102)を収容する収容部(48,517)と、前記走行車体(2,502)に支持されて前記走行車体(2,502)の各部に給電するバッテリ(388)と、前記走行車体(2,502)の後部に配置され、前記選別部(34,516)から排出される前記不要部(101)の落下に伴って発電する発電機(386)と、前記発電機(386)と前記バッテリ(388)とを接続する配線(387)であって、前記走行車体(2,502)に支持された導電性の筒状の枠体(389)の内部を通過して配策された前記配線(387)と、を備えたことを特徴とする作業車両(1,501)である。
【0007】
請求項2に記載の発明は、前記走行車体(2,502)を操縦する操縦者が着席可能な第1の座席(14)と、前記作物(100)の収穫作業を補助する補助者が着席可能な第2の座席(92)と、前記作物(100)から前記不要部(101)を切断する切断部(36)を有する前記選別部(34)と、前記切断部(36)の調整を行う調整部(452~456)であって、前記第2の座席(92)に着席した補助者から作業可能な位置に配置され、前記切断部(36)の調整が前記第2の座席(92)から可能に構成された前記調整部(452~456)と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の作業車両(1,501)である。
【0008】
請求項3に記載の発明は、前記収容部(517)から延び、前記走行車体(502)の外部のコンテナ(521)に向けて前記収容部(517)に収容された作物本体を送る移送部(518)であって、内部を前記作物本体が通過し且つ移送方向に沿って伸縮可能な通過部(518a,518b)と、前記通過部(518a,518b)を伸縮させる伸縮部(563a,563b)と、前記通過部(518a,518b)の外端に配置され前記外部のコンテナ(521)に接続される外端部(518c)と、前記通過部(518a,518b)に配置された電極部(564)であって、前記外部のコンテナ(521)の通電部(615,616)と電気的に接続可能な前記電極部(564)と、を有する前記移送部(518)と、前記バッテリ(388)から給電可能であるととともに、前記通電部(615,616)に接続され且つ前記外部のコンテナ(521)に搭載された外部バッテリ(617)からも給電が可能な前記移送部(518)と、前記外部バッテリ(617)から充電が可能な前記バッテリ(388)と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の作業車両(1,501)である。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によれば、走行車体(2,502)に支持された導電性の筒状の枠体(389)の内部に配線(387)を通過させて配策することで、溝状のフレーム構成材を使用する場合に比べて、作物の収穫時に発電をする発電部(386)とバッテリ(388)とを接続する配線(387)におけるノイズを抑制することができる。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、第2の座席(92)の補助者が切断部(36)を確認しながら、切断部(36)の調整ができる。
【0011】
請求項3記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、外部のコンテナ(521)の通電部(615,616)と接触可能な電極部(564)を移送部(518)に設けることで、外部のコンテナ(521)の電力を利用することができ、バッテリ(388)の充電を行うこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は実施の形態の作業車両の一例としての野菜収穫機の右側面図である。
【
図2】
図2は実施の形態の野菜収穫機の左側面図である。
【
図3】
図3は実施の形態の野菜収穫機の平面図である。
【
図4】
図4は実施の形態の野菜収穫機の背面図である。
【
図5】
図5は実施の形態の野菜収穫機において作物が収穫される状態の一例の説明図である。
【
図6】
図6は実施の形態の作業車両のフレーム部分の要部説明図である。
【
図9】
図9は本発明の実施の形態の作業車両の他の一例としてのコンバインの側面図である。
【
図13】
図13は
図9に示す形態のコンバインとコンテナとの接続部分の要部説明図である。
【
図15】
図15は実施の形態の発電機とバッテリとを接続する配線の途中部分に設けられたカプラ部分の説明図であり、
図15(A)が従来の防水カプラの斜視図、
図15(B)はカプラカバーの斜視図である。
【
図17】
図17はカプラカバーの他の形態の説明図であり、
図17(A)はヒンジ部を有する形態の説明図、
図17(B)はカプラカバーが防水カプラに一体化された形態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は実施の形態の作業車両の一例としての野菜収穫機の右側面図である。
図2は実施の形態の野菜収穫機の左側面図である。
図3は実施の形態の野菜収穫機の平面図である。
図4は実施の形態の野菜収穫機の背面図である。
図1~
図4には、この発明の実施の形態に係る作業車両としての野菜収穫機1が示されている。
以下の説明では、野菜収穫機1の前進方向を前方、その後進方向を後方とする。また同様に、野菜収穫機1の前進方向に向いたときの左右の方向をそれぞれ左側、右側とし、野菜収穫機1の上下の方向をそれぞれ上方、下方とする。
【0014】
野菜収穫機1は、左右一対のクローラ21A,21B等からなる走行装置にて支持される機体(走行車体の一例)2に、野菜である作物100を畑等の圃場200から収穫する収穫装置(収穫部の一例)3、収穫装置3で収穫された作物100を収容部の一例である収容袋48に収容する収容装置4、収穫装置3で収穫された作物100を清掃処理するよう搬送する第1ベルト搬送装置5、第1ベルト搬送装置5から受け渡された作物100を選別作業エリア9を通過させてから収容装置4まで搬送する第2ベルト搬送装置6、走行および機器操作のための操縦部12等を備えている。
この実施の形態における作物100は、根菜系の野菜である人参を対象とする。
【0015】
走行装置であるクローラ21A,21Bは、機体2に搭載される図示しないエンジンから出力される回転動力が伝達されて回転する車軸および駆動輪によりベルトクローラを駆動するようになっている。
また、上記操縦部12は、操縦席ボックス13に、操縦席(第1の座席の一例)14、走行操作用や機器操作用の操縦レバー15(操舵部材の一例)、計器パネル(表示部材の一例)16、図示しない入力ボタン、アクセルペダル、ブレーキペダル(制動部材の一例)やパーキングブレーキ(いわゆるサイドブレーキ、駐車ブレーキの一例)等を配置して構成されている。操縦部12では、操縦席14に座る操縦(作業)者により、計器パネル16の確認、操縦レバー15の操作等からなる操縦作業が行われる。
【0016】
収穫装置3は、作物100である人参の茎葉部を挟持して圃場から引き抜いた後に後方上部にむけて搬送する引抜き搬送装置31、作物100の茎葉部を圃場200から引き起こす引き起こし装置33、作物100の茎葉部(不要部の一例)を切断する茎葉処理装置(選別部の一例)34等を備えている。この収穫装置3は、機体2の左側に配置されている。また収穫装置3は、引抜き搬送装置31と引き起こし装置33が機体2に対して上下に移動して圃場200に対する位置の調節ができるよう取り付けられている。
【0017】
図1~
図3における符号17は圃場200に接地する接地輪、符号18は振動を付与して土壌を柔らかくするサブソイラを示している。接地輪17は、機体2に対して上下方向に移動可能な状態で取り付けられている。サブソイラ18は、圃場200のうち収穫する作物100の両側付近における地中に差し込まれて振動を付与する。またサブソイラ18は、接地輪17と連結されているとともに、接地輪17と連動して上下方向に移動可能な状態で取り付けられている。
【0018】
引抜き搬送装置31は、圃場200に接近した位置から機体2の後方上部に至る位置までに適宜配置される従動プーリ、駆動プーリ等の支持部品に懸架されて回転する左右一対の挟持用ベルト32A,32B等を備えている。
挟持用ベルト32A,32Bの前部には、人参の根菜部の上端(いわゆる「人参の肩」)を揃えるための肩揃え部(図示せず、根菜部の上端のガイド部)が配置されている。
なお、実施の形態では、挟持用ベルト32A,32Bの前部には、通過する収穫物(作物、人参)を検出する検出部の一例としての収穫物センサSN1が配置されている。収穫物センサSN1は、通過する収穫物に検知バー等が接触して検出する接触型のセンサを使用することが可能であるが、可視光や赤外線等の透過または反射、散乱で検出する非接触型のセンサを使用することも可能である。したがって、左右一対の挟持用ベルト32A,32Bに対して、収穫物センサSN1は、片側に設置する構成とすることも可能であるし、両側に設置する構成とすることも可能である。
【0019】
図5は実施の形態の野菜収穫機において作物が収穫される状態の一例の説明図である。
茎葉処理装置34は、挟持用ベルト32A,32Bで搬送される作物100の茎葉部を挟持してほぼ水平方向の後方側に搬送する左右一対の搬送ベルト35A,35Bと、搬送ベルト35A,35Bのほぼ中間の位置において作物100の茎葉部(不要部の一例)101と根菜部(作物本体の一例)102との間を切断する左右一対の回転切断刃(切断部の一例)36と、その切断された後の作物100の根菜部102における切り残された茎葉部(残葉)101や付着する残土等の不要物を除去して清掃する清掃装置と、回転切断刃36で切り落とされた作物100の茎葉部101を受けて圃場200に滑り落とすよう傾斜している排出台38等を備えている。
ここで清掃装置は、上記第1ベルト搬送装置5に相当する。
【0020】
上記第1ベルト搬送装置5は、回転切断刃36で切断された後に落下する作物100の根菜部を受け止めて機体2の右方向に搬送するベルトコンベア51と、ベルトコンベア51で搬送される作物100の根菜部における残葉、残土等を除去して清掃処理するとともに斜め前方や側方にある第2ベルト搬送装置6に送り出す清掃処理ローラ52とで構成されている。
【0021】
ベルトコンベア51は、第2ベルト搬送装置6よりも機体2の後方側の位置で機体2の左右方向に長く延びるよう機体2の前後方向に間隔をあけて配置された支持フレーム53,53と、支持フレーム53,53の長手方向の両端部における間にそれぞれ回転可能に設けられる駆動ローラおよび従動ローラと、その駆動ローラと従動ローラに掛け回されて回転する第1搬送ベルト56とで構成されている。
またベルトコンベア51は、第1搬送ベルト56の搬送始端側が、回転切断刃36のほぼ直下の位置に存在するよう配置されている。
【0022】
ベルトコンベア51では、第1搬送ベルト56が、例えば上記図示しないエンジンからの回転動力の伝達で回転する駆動ローラにより、作物100を搬送方向E1になるよう回転させられる。このときの搬送方向E1は、第1搬送ベルト56の搬送面が機体2の左側から右側にむけて移動するときの方向になる。第1搬送ベルト56としては、例えばゴム等の材料にて所要の幅、厚さおよび周長で製作された無端状のベルトが適用される。
【0023】
清掃処理ローラ52は、ベルトコンベア51の搬送終端側の上面部において作物100の根菜部102が通過しない程度の隙間をあけた状態でかつベルトコンベア51の搬送方向に対して斜めに交差した状態で回転するよう配置されている。
【0024】
この第1ベルト搬送装置5では、ベルトコンベア51の第1搬送ベルト56により搬送される作物100が、清掃処理ローラ52との接触による残土落としや清掃処理ローラ52と第1搬送ベルト56の隙間に残葉が挟まれて取り除かれる残葉取り等の清掃処理を受けるとともに、清掃処理ローラ52により機体2の右前方に案内されながら搬送され、最終的に、第2ベルト搬送装置6に移動させられて受け渡される。
【0025】
第2ベルト搬送装置6は、茎葉処理装置34における第1ベルト搬送装置5から受け渡される作物100(の根菜部)を、機体2の左側から右側に搬送し始め、補助作業者(補助者、選別作業者)が選別の作業をする選別作業エリア9を通過させた後に収容装置4へ送り出すまで搬送するベルトコンベア61で構成されている。
【0026】
このベルトコンベア61は、そのコンベア全体が1つの第2搬送ベルト62を用いて構成されている。
また、このベルトコンベア61は、第1ベルト搬送装置5からの作物100の受け渡しを行う観点から、その一部(第2搬送ベルト62の搬送始端側の領域)が、第1ベルト搬送装置5のベルトコンベア51と並行した状態で配置されている。ベルトコンベア61の全体は、機体2の操縦部12よりも後方になる位置でかつ第1ベルト搬送装置5よりも前方になる位置において、機体2の左右方向に長く延びて存在する状態で配置されている。
さらに、このベルトコンベア61は、固定コンベア部61Aと可動コンベア部61Bとで構成されている。
【0027】
固定コンベア部61Aは、ベルトコンベア61のうち機体2の左端側で搬送始端になる位置から搬送途中(可動コンベア部61Bとの接続部)の位置までの領域に固定された状態で配置される部分である。
【0028】
一方、可動コンベア部61Bは、ベルトコンベア61のうち固定コンベア部61Aの搬送終端になる位置から収容装置4に達する位置までの領域に存在する部分であって、固定コンベア部61A寄りの端部を支点にして揺動可能な状態で配置される部分である。
【0029】
また可動コンベア部61Bは、可動支持フレームに対して、可動支持フレームを回動支軸65を支点にして上下方向に揺動させるよう伸縮する昇降用シリンダ81(の一端部)や、回転動力を発生するモータ82や、モータ82の回転動力を第2搬送ベルト62に伝達する駆動伝達装置83等も配置されている。
【0030】
昇降用シリンダ81は、
図4に示されるように、例えばその昇降用シリンダ81の上端部で伸縮時に出没するピストンロッドの上端部が可動支持フレームの回動支軸65寄りの底面部(底面フレーム)に対して回動可能に取り付けられている一方で、その昇降用シリンダ81の下端部が作業フロア(91)の上端部よりも機体2の左側になる部位に対して回動可能に取り付けられている。これにより、昇降用シリンダ81は、最も収縮した状態にあるときに、全体として機体2の右側に少し倒れ込むよう傾いた状態で配置されている。
また昇降用シリンダ81としては、例えば電動シリンダが適用される。実施の形態の昇降用シリンダ81は、収容装置4の吊り下げ装置201の上下動に連動して、収容袋48の上端の高さに可動コンベア部61Bの下流端(右端)の高さが対応するように移動する。なお、昇降用シリンダ81は、例えば作業フロア(91)に設置するペダル89を操作することにより手動で作動させることも可能である。ペダル89は、上昇操作用のペダルと下降操作用のペダルで構成されている。可動コンベア部61Bは、ペダル89を操作して昇降用シリンダ81を作動させることにより、回動支軸65を支点に揺動する。
【0031】
さらに可動コンベア部61Bは、選別作業エリア9を通過して存在するよう配置されている。また可動コンベア部61Bは、選別作業エリア9の一部を構成している。
【0032】
選別作業エリア9は、機体2の床フレーム23において操縦部12の操縦席ボックス13よりも後方側の領域に設けられた作業フロア91と、作業フロア91のうち可動コンベア部61Bよりも後方側の位置に設けられた選別作業席(第2の座席の一例)92を備えている。
図4では、選別作業席92の図示を省略している。
この選別作業エリア9では、作業フロア91に搭乗して選別作業席92に着座した選別作業者が、可動コンベア部61Bにおける第2搬送ベルト62で搬送されるときの作物100のうちから損傷、変形等の要因で不良品として認められるものを選別して手で掴んで取り除く等の作業が行われる。
【0033】
次に、上記収容装置4は、
図1、
図3、
図4等に示されるように、第2ベルト搬送装置6から搬送されて送り出される作物100を収容するための収容袋48(いわゆる、フレコンバッグ)を載置する載置台41(支持体の一例)と、載置台41に載置された収容袋48の開口部を収容作業時にフック47で吊り下げて保持する吊り下げ装置201等で構成されている。
【0034】
載置台41は、第2ベルト搬送装置6における可動コンベア部61Bの搬送終端の下方側の位置で選別作業エリア9の作業フロア91から機体2の右側に突出して存在する状態で配置されている。
また載置台41は、平面形状が矩形状からなる板材で構成されている。載置台41は、機体2の右端に設けられた上下方向に延びる支持軸42に対して回動可能に取り付けられている。載置台41は、図示しないモータで支持軸42を中心として回転移動される。実施の形態の載置台41は、収容袋48の下面を支持する支持位置と、後方に回動して収容袋48の底面から離間する離間位置との間で移動可能である。したがって、載置台41が離間位置に移動した状態では、収容袋48の下面が開放された状態となり、収容袋48を下方に降ろすことで、収容袋48を圃場200に下ろすことが可能な状態となる。
【0035】
なお、載置台41は、離間位置において、選別作業席92の下方に移動して、選別作業者(補助者)が選別作業席92から降りる際のステップとして利用できるようにすることも可能である。他にも、選別作業席92の下方に収納する構成とすることも可能である。また、載置台41は、後方に回転移動する構成に限定されず、前方に回転移動する構成とすることも可能であるし、前後または左右にスライド移動する構成とすることも可能である。
また、載置台41を使用する場合、新しい収容袋48に何も入っていない状態では、収容袋48が風で移動しやすかったり、開口部が閉じてしまったりする恐れがあるため、数本の作物100を入れておいて、収容袋48が若干張ったような状態とすることが好ましい。
【0036】
図6は実施の形態の作業車両のフレーム部分の要部説明図である。
排出台38の内部には、搬送ベルト35A,35Bの後端の下方の位置に、接触部材の一例としての羽根車381が配置されている。羽根車381は回転軸382を中心として回転可能に構成されている。羽根車381は、搬送ベルト35A,35Bから落下する茎葉部101に接触して回転可能に構成されている。回転軸382の軸端部には、発電機386が接続されている。発電機386は、羽根車381の回転に伴って発電可能である。
発電機386からは配線387が延びている。配線387は、後部の排出台38と、機体2の前後方向中央部の高圧バッテリ388との間を接続する。高圧バッテリ388は、収穫装置3、第1ベルト搬送装置5、第2ベルト搬送装置6、クローラ21A,21B等へ給電を行う。配線387は、第1ベルト搬送装置5の下部を通過した後、機体2の前後方向に延びる枠体の一例としてのフレーム389の内部を通過して配策されている。
【0037】
実施の形態のフレーム389は、中空の筒状に形成されている。また、フレーム389は、導電性の材料の一例としての鉄で構成されているが、鉄以外の導電性の材料を使用することも可能であるし、導電性の合金を使用することも可能である。実施の形態のフレーム389は、機体2の左右方向の中央部に配置されている。したがって、配線387は収穫装置3の側方を通過するように配策されている。
また、実施の形態では、操縦部12の下方には、低圧バッテリ401が配置されている。低圧バッテリ401は、制御部のCPUや表示パネル、各種センサ等へ給電を行う。低圧バッテリ401の後方には図示しない変圧器が配置されている。高圧バッテリ388から延びる第2の配線402が変圧器を介して低圧バッテリ401に電気的に接続されている。実施の形態では高圧バッテリ388から延びる第2の配線402も、フレーム389と同様の導電性の筒状の第2のフレーム403の内部を通過して配策されている。
【0038】
したがって、実施の形態の野菜収穫機1では、不要部である茎葉部101の排出を利用して発電機386で発電が行われ、高圧バッテリ388や低圧バッテリ401の充電が行われる。したがって、各バッテリ388,401の電力消費が抑制され、野菜収穫機1の運転時間を長くでき、収穫装置3等の電動の装置を長期間安定して駆動できる。
また、実施の形態の野菜収穫機1では、発電機386からの配線387がフレーム389で覆われ、電磁的に遮蔽(シールド)された状態となっている。よって、発電機386で発電された電気にノイズが発生することが抑制される。したがって、従来構成の溝状のフレーム構成材を使用する場合に比べて、作物の収穫時に発電をする発電機386と高圧バッテリ388とを接続する配線におけるノイズを抑制することが可能である。したがって、ノイズが抑制されない場合に比べて、充電も安定して行うことができる。
【0039】
なお、発電機386や配線387の外側は、土等の汚れや器具の接触での破損を抑制するために、外装カバーで覆うことが望ましい。外装カバーは、前記排出台38は、メンテナンス時に内部を開放できるように回動可能に構成されている場合には、回動時に追従するように柔軟な材料で構成することが望ましい。
また、実施の形態では、配線387が第1ベルト搬送装置5の下部を通過しており、選別作業者や清掃処理ローラ52からのゴミの排出に影響することが抑制されている。
さらに、実施の形態では、配線387が収穫装置3の側方を通過するように配策されており、収穫装置3やクローラ21A,21Bへの影響が少なくなる。
【0040】
なお、実施の形態の野菜収穫機1において、第1ベルト搬送装置5や第2ベルト搬送装置6は、収穫装置3の作動開始に合わせて作動するが、これに限定されない。例えば、発電機386での発電が検知された場合、すなわち、不要部101が羽根車381を回転させ、根菜部102が第1ベルト搬送装置5に到達する場合に、第1ベルト搬送装置5や第2ベルト搬送装置6の作動を開始する構成とすることも可能である。根菜部102が第1ベルト搬送装置5に到達していないのに第1ベルト搬送装置5や第2ベルト搬送装置6を作動させる場合に比べて、無駄な電力消費を抑制できると共に、根菜部102が第1ベルト搬送装置5に到達すると速やかに作動させることが可能であり、第1ベルト搬送装置5での根菜部102の滞留も抑制される。
【0041】
なお、発電機(発電部の一例)386での発電が検知された後、第1ベルト搬送装置5等を作動させる場合には、始動電流として定常時に比べて大きな電流を所定の短時間通電することが望ましい。このようにすることで、特に寒い早朝作業時の第1ベルト搬送装置5等の始動がスムーズになり、根菜部102どうしの接触を軽減し、根菜部102の損傷を低減できる。
また、第2ベルト搬送装置6の下流端部に根菜部102を検知するセンサを設け、発電機386で発電をしなくなった後に、根菜部102を検知しなくなると、第1ベルト搬送装置5や第2ベルト搬送装置6を自動的に停止させる構成とすることも可能である。このように構成することで、第1ベルト搬送装置5や第2ベルト搬送装置6での無駄な電力消費を抑制可能である。
【0042】
また、第1ベルト搬送装置5や第2ベルト搬送装置6は、収穫装置3が作動中のみ(掘り取りクラッチが「入」の場合に)作動する構成とすることが望ましい。例えば、収穫装置3が停止中で野菜収穫機1が圃場や路上を走行中に、振動や風等で羽根車381が回転し発電機386が発電を行った場合に、第1ベルト搬送装置5や第2ベルト搬送装置6を作動すると、選別作業者が予期していない状況で第1ベルト搬送装置5や第2ベルト搬送装置6が作動することがある。したがって、急に第1ベルト搬送装置5や第2ベルト搬送装置6が作動すると、選別作業者が事故にあう恐れがあるが、収穫装置3が作動中のみ第1ベルト搬送装置5や第2ベルト搬送装置6が作動することで、選別作業者の安全が確保される。
なお、収穫装置3が停止中に発電機386が作動した場合は、発電した電力を全て高圧バッテリ388に充電することで、収穫作業中でなくても、充電を行うことが可能である。
【0043】
なお、
図1~
図6に示す実施の形態では、茎葉部101に接触する羽根車381の回転を利用して発電する構成を例示したがこれに限定されない。例えば、茎葉部101に接触して上下動するテコと、クランク、ピストンを組み合わせて、テコの上下動で発電する構成とすることも可能である。他にも、根菜部102が搬送ベルト35A,35Bから第1搬送ベルト56に落下する間の位置にシート状の圧電素子を配置しておいて、根菜部102の落下時の衝撃、接触圧で発電を行う構成とすることも可能である。
【0044】
図7は実施の形態の調整部の説明図である。
図8は調整部の要部説明図である。
図7において、収穫装置3の後部には、選別作業席92の右側の側面カバー451に、調整部の一例としての調整レバー452が配置されている。
図7、
図8において、調整レバー452の外端部には、選別作業席92の選別作業者が回転操作可能なハンドル部452aが設けられている。
図8において、調整レバー452の内端部には、第1の傘歯車452bが支持されている。第1の傘歯車452bには、第2の傘歯車453が噛み合っている。第2の傘歯車453は下方に延びるボルトシャフト454の上端に支持されている。ボルトシャフト454は下方に延びる棒状に形成されており、外周面にネジが形成されている。
【0045】
ボルトシャフト454には、昇降ベース455が配置されている。昇降ベース455は、収穫装置3の内部において上下方向に移動可能に支持されている。昇降ベース455は左右方向に延びる板状に形成されている。昇降ベース455の左右方向の中央部には、内周面にネジが切られたナット部455aが設けられている。ナット部455aには、ボルトシャフト454がネジ嵌合している。
昇降ベース455の左右両端部には、下方に延びる支持ロッド456が支持されている。左右一対の支持ロッド456の下端には、回転切断刃36がそれぞれ支持されている。回転切断刃36の下端には根菜部102の表面に接触して土等を落とすブラシ457が支持されている。
【0046】
したがって、調整レバー452のハンドル部452aを回転させると、傘歯車452b,453が回転し、ボルトシャフト454が回転する。ボルトシャフト454が回転すると、ナット部455aを介して昇降ベース455が上下方向に移動し、回転切断刃36が昇降する。したがって、回転切断刃36の高さが調整される。回転切断刃36の高さが変更されると、茎葉部101と根菜部102とが切断される位置が変更され、根菜部102に残る茎葉部101の長さを短くしたり、長くしたりできる。
収穫装置3の圃場の表面や収穫前の作物100に対する高さにより、引抜き搬送装置31が茎葉部101を掴む位置(高さ)が異なり、回転切断刃36が切断する位置の調整が必要である。実施の形態では、調整レバー452の操作により、回転切断刃36の高さ調整が無段階で可能である。
前記符号452~456を付した各部により、回転切断刃36の調整を行う実施の形態の調整部452~456が構成されている。
【0047】
図7、
図8において、昇降ベース455の右端部には、右方に延びる目印バー461が支持されている。目印バー461は棒状に形成されている。目印バー461は、ハンドル部452aの回転に伴う昇降ベース455の昇降移動と一体的に移動する。目印バー461は、側面カバー451の目印孔451aを貫通して、選別作業席92側に突出している。
目印孔451aは上下方向に延びる長孔状に形成されている。側面カバー451には、目印孔451aの外縁部に選別作業者が視認する目印表示451bが設けられている。実施の形態の目印表示451bは、茎葉部101の切断位置についての目安として、根菜部102に残る茎葉部101の長さが標準的な「標準」や、残る茎葉部101の長さが長い「浅切り」や短い「深切り」の表記がされている。
【0048】
側面カバー451に対して、目印孔451aの内側には、上側の上限検知スイッチ462と、下側の下限検知スイッチ463とが配置されている。上限検知スイッチ462は、調整レバー452の回転に伴って、回転切断刃36が上昇し、目印バー461が接触すると、回転切断刃36が上限位置に達したことを検知する。また、下限検知スイッチ463は、調整レバー452の回転に伴って、回転切断刃36が下降し、目印バー461が接触すると、回転切断刃36が下限位置に達したことを検知する。上限位置または下限位置に到達した場合には、ランプ表示や音声案内、ブザー等で報知することが望ましい。
【0049】
側面カバー451において、目印孔451aの前側には、点検窓464が形成されている。点検窓464は、透明の窓材で構成されており、選別作業席92側から回転切断刃36の付近を見ることが可能に構成されている。したがって、点検窓464で回転切断刃36の位置や茎葉部101の切断位置を確認しながら、調整レバー452の操作が可能である。
また、実施の形態では、側面カバー451に収穫装置3の圃場に対する高さを調整するためのボタン465が配置されている。したがって、操縦席14の操縦者だけでなく、選別作業席92の選別作業者も、茎葉部101の切断位置に応じて、収穫装置3の高さを微調整することが可能である。
【0050】
なお、実施の形態では、回転切断刃36の高さ調整を調整レバー452を使用して手動で行う構成を例示したが、これに限定されない。例えば、第1の傘歯車452bをモータで正逆回転させる構成とし、モータを正回転させるボタンまたは逆回転させるボタンの入力に応じて、回転切断刃36の高さを調整する構成とすることが可能である。なお、モータを使用する場合には、上限検知スイッチ462または下限検知スイッチ463が目印バー461を検知すると、モータが停止するように構成することが望ましい。
【0051】
図9は本発明の実施の形態の作業車両の他の一例としてのコンバインの側面図である。
図10は
図9の作業車両の正面図である。
図11は
図9の作業車両の平面図である。
図12は
図9の作業車両の背面図である。
次に、
図9~
図12を使用して、実施の形態の他の形態の説明を行うが、
図1~
図8に示す形態と同様の構成については、説明の重複を避けるため、説明を省略する。
【0052】
図9~
図12において、本発明の実施の形態の他の形態の作業車両の一例としてのコンバイン501は、車体502を有する。車体502の下部には、左右一対の走行装置511を有する。他の形態の走行装置511は、一例として、無限軌道のいわゆるクローラーにより構成されている。車体502の右前方には、作業者が搭乗可能な搭乗部512が設置されている。車体502の前部には、圃場の作物を収穫する収穫装置513(作業機、収穫部の一例)が配置されている。収穫装置513の後方には、収穫された穀粒(作物本体の一例)を搬送する搬送装置514が配置されている。搬送装置514の後方には、搬送装置514で搬送された穀粒を脱穀する脱穀装置(選別部の一例)516が配置されている。脱穀装置516の右方には、脱穀装置516で処理された穀粒が収容されるグレンタンク517(収容部の一例)が配置されている。グレンタンク517の後部には、グレンタンク517から圃場外のトラックのコンテナ(外部のコンテナの一例)521に穀粒を排出する排出装置518(移送部の一例)が接続されている。
【0053】
車体502の後部には、藁(不要部の一例)を排出する藁排出装置519が配置されている。実施の形態の藁排出装置519は、不要部の一例としての藁を一時的に貯留することで、藁を束状にして排出が可能な装置、いわゆる、ドロッパで構成されている。すなわち、ドロッパ機能が作動中は、藁を束状にして排出可能であると共に、ドロッパ機能が停止中は、藁が束状にならずに収穫後の藁がそのまま排出される。
藁排出装置519の内部に、
図1~
図6に示す実施の形態の羽根車381を設置し、排出される藁との接触で回転する羽根車381を回転させて、発電機386で発電を行うことが可能である。
【0054】
図13は
図9に示す形態のコンバインとコンテナとの接続部分の要部説明図である。
図14は
図13の状態について下方から見た図である。
図13、
図14において、前記排出装置518は、グレンタンク517から上方向に延びる縦搬送部518aと、縦搬送部518aの上端から水平方向に延びる横搬送部518bと、横搬送部518bの先端から下方に穀粒を排出する排出部518c(外端部の一例)とを有する。横搬送部518bは、縦搬送部518aを中心として回転可能に構成されている。
また、通過部の一例としての縦搬送部518aと横搬送部518bは、中空の筒状に形成されており、内部を穀粒が通過可能に構成されている。縦搬送部518aと横搬送部518bの内部には、図示しない螺旋状の穀粒搬送部材がそれぞれ収容されており、穀粒搬送部材の回転により、穀粒が搬送される。横搬送部518bの基端部には、横搬送部518b内部の穀粒搬送部材を駆動する排出モータ561が配置されている。
【0055】
横搬送部518bは、基端部562と先端部563とを有する。先端部563には軸方向に延びるガイドレール563a,563bが左右一対支持されている(右側のガイドレール563aは非図示)。一対のガイドレール563a,563bは、先端部の右側部と左側部に並行して配置されている。ガイドレール563a,563bは、基端部562に移動可能に支持されている。よって、先端部563が基端部562に対して筒の軸方向(長手方向)に沿って移動可能に構成されており、横搬送部518bの全体として、軸方向の長さが伸縮可能に構成されている。ガイドレール563a,563bの内側面には、図示しない板状の歯車、いわゆるラック歯が形成されている。
実施の形態ではガイドレール563a,563bが導電性の材料で構成されており、通電可能な電線、配線としての機能も有する。ガイドレール563a,563bの基端側の端部は、図示しない配線の一端部に接続されており、配線の他端部は前記高圧バッテリ388に接続されている。
【0056】
基端部562の先端側の端部には、一対のガイドレール563a,563bのそれぞれに対して、図示しないピニオンギアが配置されている。ピニオンギアは、ガイドレール563a,563bのラック歯と噛み合っている。ピニオンギアは、図示しないモータで正回転または逆回転駆動される。したがって、ピニオンギアの正逆回転を制御することでガイドレール563a,563bを伸縮方向に移動させることができ、横搬送部518bの伸縮を制御可能である。前記ガイドレール563a,563bとピニオンギアとにより、実施の形態の伸縮部が構成されている。
【0057】
先端部563の先端側の下面には、電極部の一例としての端子部564が支持されている。端子部564は、プラス電極端子部564aとマイナス電極端子部564bとを有する。プラス電極端子部564aとマイナス電極端子部564bとは、それぞれ、先端部563の外表面に沿った部分円筒殻状に形成されている。プラス電極端子部564aとマイナス電極端子部564bとは、間隔をあけて配置されている。プラス電極端子部564aとマイナス電極端子部564bは、導電性の材料で構成されている。
プラス電極端子部564aは右側のガイドレール563aに電気的に接続されており、マイナス電極端子部564bは左側のガイドレール563bに電気的に接続されている。
【0058】
コンテナ521は、内部に穀粒が収容可能なコンテナ本体611を有する。コンテナ本体611の外周には、第1の電極の一例としてのマイナス電極レール612と、第2の電極の一例としてのプラス電極レール613とが配置されている。各電極レール612,613は、コンテナ本体611の外周を水平方向に沿って1周するように配置されている。また、マイナス電極レール612とプラス電極レール613とは平行に配置されている。マイナス電極レール612およびプラス電極レール613は、コンテナ本体611の底部に支持された外部バッテリ617に電気的に接続されている。
【0059】
マイナス電極レール612とプラス電極レール613との間には、スライド受け部614が配置されている。スライド受け部614は、十字状のスライダフレーム614aを有する。スライダフレーム614aの上端には、横搬送部518bの先端部563の下面を受ける受け部614bが支持されている。実施の形態の受け部614bは、略U字状に形成されている。
受け部614bの上面には、プラス電極端子部564aに接触可能なプラス給電端子部615と、マイナス電極端子部564bに接触可能なマイナス給電端子部616と、が支持されている。通電部の一例としてのプラス給電端子部615とマイナス給電端子部616とは、プラス電極端子部564aとマイナス電極端子部564bに対応する部分円筒殻状に形成されており、導電性の材料で構成されている。また、実施の形態では、受け部614bの各給電端子部615,616に対して、電極端子部564a,564bの方が、横搬送部518bの長手方向に沿った長さが長く形成されている。
【0060】
スライダフレーム614aには、マイナス電極レール612とプラス電極レール613との間に配置される一対のコロ614cが回転可能に支持されている。コロ614cは、レール612,613を転がって、レール612,613に沿って移動可能に構成されている。したがって、実施の形態では、スライド受け部614が移動するため、横搬送部518bとコンテナ521との接続が容易であり、コンバイン501の停車位置やコンテナ521の設置位置の制限が緩和され、融通が利きやすくなる。よって、穀粒をコンバイン501からコンテナ521に排出する作業が容易になり、作業時間の短縮も期待される。
【0061】
スライダフレーム614aには、マイナス電極レール612に接触するマイナス給電部614dと、プラス電極レール613に接触するプラス給電部614eが支持されている。マイナス給電部614dから延びる配線616aは、マイナス給電端子部616に電気的に接続されており、プラス給電部614eから延びる配線615aは、プラス給電端子部615に電気的に接続されている。
【0062】
したがって、実施の形態のコンバイン501では、排出装置518の先端部563がコンテナ521の受け部614bに支持された状態では、外部バッテリ617が、電極レール612,613、給電部614d,614e、給電端子部615,616、電極端子部564a,564b、ガイドレール563a,563bを介して、コンバイン501の高圧バッテリ388に電気的に接続される。したがって、高圧バッテリ388に外部バッテリ617から給電、充電が可能である。また、排出モータ561を駆動する電力を外部バッテリ617から給電することが可能である。よって、高圧バッテリ388の電力の持続時間を長くすることが可能である。
【0063】
また、コンテナ521に収容される穀粒の嵩を均すために、横搬送部518bをコンテナ521に対して位置を調整する(いわゆる首振りをする)ことがある。ここで、実施の形態では、スライド受け部614がコンテナ521の外周に沿って移動可能である。したがって、外部バッテリ617と高圧バッテリ388との電気的な接続を維持した状態、すなわち、充電や給電が可能な状態で首振り可能である。そして、首振り時の横搬送部518bの伸縮の調整や縦搬送部518aに対する回転の調整のための電力を、外部バッテリ617から給電することが可能であり、高圧バッテリ388の電力消費が抑制される。
【0064】
なお、
図9に示す形態では、外部バッテリ617から給電される電力が直流の場合を例示したが、これに限定されない。DC-ACコンバータ等を設けて、交流の電力で供給することも可能である。この場合、給電端子部615,616と電極端子部564a,564bに替えて、コイルを設置して、電磁誘導で通電(電気的に接続)させることも可能である。
また、外部の電源として、外部バッテリ617を例示したがこれに限定されない。例えば、家庭用電源や電柱からの給電等を利用することも可能である。
【0065】
図15は実施の形態の発電機とバッテリとを接続する配線の途中部分に設けられたカプラ部分の説明図であり、
図15(A)が従来の防水カプラの斜視図、
図15(B)はカプラカバーの斜視図である。
図15において、発電機386と高圧バッテリ388とを接続する配線387は、一本の線で接続することが望ましいが、配線387の経路によっては複数の線を接続する必要があることがある。複数の線を接続する場合、接続部分に水が付着すると漏電の恐れがある。したがって、
図15(A)に示すように、従来から、一方の配線801と他方の配線802との間を防水カプラ803で接続することが行われている。防水カプラ803は、配線801,802どうしが内部で接続されるカプラ本体803aに対して、配線801,802が貫通する部分には、カプラ本体803aの内部への浸水を防止するためのゴム栓803bが設けられている。また、各配線801,802は、防水カプラ803の近傍以外の部分は、保護カバー804,805で覆われている。保護カバー804,805は、外表面が蛇腹状に形成されている。
【0066】
ここで、作業車両を高圧水で洗車する際に、高圧水が防水カプラ803の部分に放水されると、ゴム栓803bを水が通過して、カプラ本体803aの内部に水が進入する恐れがあった。
これに対して、実施の形態では、防水カプラ803に、
図15(B)に示すカプラカバー811を装着している。カプラカバー811は、第1のカバー部812と、第2のカバー部813とを有する。
【0067】
図16は
図15(B)に示すカプラカバーのロック部分の拡大図であり、
図16(A)は一例の説明図、
図16(B)は他の例の説明図である。
第1のカバー部812は上方が開放された箱状に形成されている。第1のカバー部812には、配線801,802が通過する半円弧状の第1の切欠き部812a,812bが形成されている。第1の切欠き部812a,812bの内形は、保護カバー804,805の蛇腹の谷の部分の大きさに対応する大きさに形成されている。また、第1のカバー部812には、第1の切欠き部812a,812bが形成された側壁とは異なる側壁の上端部に、第1のロック部812cが2対(合計4つ)設けられている。
図16に示すように、第1のロック部812cは、上下方向に貫通する貫通孔812dが形成されている。
【0068】
第2のカバー部813は下方が開放された箱状に形成されている。第2のカバー部813には、第1の切欠き部812a,812bに対応して構成された半円弧状の第2の切欠き部813a,813bが形成されている。また、第2のカバー部813には、第1のロック部812cに対応する位置に、第2のロック部813cが2対(合計4つ)設けられている。
図16(A)に示すように、第2のロック部813cは、貫通孔812dを貫通する貫通部813dと、貫通部813dの先端に形成されて貫通孔812dを貫通後に第1のロック部812cの下面に引っ掛かる爪部813eとを有する。
爪部813eの形状は、
図16(A)に示すように、爪部813eの上面816が第1のロック部812cの下面817と平行な形状となる形態とすることも可能であるし、
図16(B)に示すように、爪部813e′の上面816′が第1のロック部812cの下面817に対して傾斜した形状となる形態とすることも可能である。
図16(B)に示す形態とすることで、カプラカバー811を取り外す場合に、作業を容易に行うことが可能である。
【0069】
したがって、第1のカバー部812と第2のカバー部813とを防水カプラ803の上下から挟む形で装着し、第1のロック部812cと第2のロック部813cとで連結、ロックすることで、防水カプラ803がカプラカバー811の内部に収容された状態とすることが可能である。
この時、カプラカバー811の切欠き部812a,812b,813a,813bは、保護カバー804,805の蛇腹の谷に噛み込んだ状態となる。したがって、カプラカバー811に対して高圧水が直撃しても、切欠き部812a,812b,813a,813bの噛み込みでカプラカバー811の内部には進入しにくい。そして、高圧水直撃時にカプラカバー811の内部に水が進入しても、カプラカバー811を設けない場合に比べて、防水カプラ803の部分に到達する水の量は大幅に少なく、ゴム栓803bで十分に対応可能である。したがって、配線801,802の接続部分への水の進入や漏電が抑制される。
【0070】
図17はカプラカバーの他の形態の説明図であり、
図17(A)はヒンジ部を有する形態の説明図、
図17(B)はカプラカバーが防水カプラに一体化された形態の説明図である。
図15に示すカプラカバー811は、第1のカバー部812と第2のカバー部813とが分離された形態、いわゆる、2つ割りの構成であるが、これに限定されない。例えば、
図17(A)に示すように、第1のカバー部812と第2のカバー部813のロック部812c,813cが形成された一辺をヒンジ部821に替えることが可能である。したがって、第1のカバー部812と第2のカバー部813とが、ヒンジ部821を中心として開閉可能な構成とすることが可能である。よって、
図17(A)に示すように、
図15に示す2つ割りの形態ではなく、第1のカバー部812と第2のカバー部813とを一体化した構成とすることも可能である。一体化した場合、2つ割りの構成に比べて、カプラカバー811が扱いやすくなり、着脱作業が容易になる。
【0071】
他にも、
図17(B)に示すように、カプラカバー811をカプラ本体803aに対して、ヒンジ部821を中心として回転可能に連結することで、カプラカバー811と防水カプラ803とを一体化することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明の作業車両は、人参を収穫する野菜収穫機や米穀を収穫するコンバインに限定されず、大根等を収穫する野菜収穫機や小麦を収穫する収穫機等、各種作業用車両にも適用できる。
【符号の説明】
【0073】
1,501…作業車両、
2,502…走行車体、
3,513…収穫部、
14…第1の座席、
34,516…選別部、
36…切断部、
48,517…収容部、
92…第2の座席、
100…作物、
101…不要部、
102…作物本体、
386…発電機、
387…配線、
388…バッテリ、
389…枠体、
452~456…調整部、
518…移送部、
518a,518b…通過部、
518c…外端部、
521…外部のコンテナ、
563a,563b…伸縮部、
564…電極部、
615,616…通電部、
617…外部バッテリ。