(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108655
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】屋根パネル及び該屋根パネルを備えた建物
(51)【国際特許分類】
E04B 7/20 20060101AFI20240805BHJP
E04B 7/22 20060101ALI20240805BHJP
E04B 1/76 20060101ALI20240805BHJP
E04B 1/70 20060101ALI20240805BHJP
E04B 1/80 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
E04B7/20 511
E04B7/22
E04B7/20 521D
E04B1/76 500Z
E04B1/70 A
E04B1/80 100J
E04B1/80 100L
E04B1/80 100P
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023013123
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100178582
【弁理士】
【氏名又は名称】行武 孝
(72)【発明者】
【氏名】東 忠雄
(72)【発明者】
【氏名】高橋 一聡
(72)【発明者】
【氏名】出端 祐輔
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001DB01
2E001DB05
2E001DD01
2E001DD02
2E001FA16
2E001GA12
2E001GA24
2E001GA42
2E001HA32
2E001HA33
2E001HD09
2E001HD11
2E001NA07
2E001ND28
(57)【要約】
【課題】夏型結露及び冬型結露を問わず屋根パネルの断熱層内における結露の発生を有効に抑制する。
【解決手段】屋根パネル100は、屋根横方向に延び且つ該屋根横方向に直交する屋根縦方向に間隔を空けて並ぶ複数の横架材21に跨ってその上側に設置される。屋根パネル10は、その設置状態において複数の横架材21に跨って配置されるフレーム体110と、フレーム体110に支持され、上下に並んで配置される上側断熱層120及び下側断熱層130と、上側断熱層120と下側断熱層130との間に介装される屋根側気密用層140とを備え、上側断熱層120の厚さは、下側断熱層130の厚さよりも大きい。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根横方向に延び且つ該屋根横方向に直交する屋根縦方向に間隔を空けて並ぶ複数の横架材に跨ってその上側に設置される屋根パネルであって、
当該屋根パネルの設置状態において前記複数の横架材に跨って配置されるフレーム体と、
前記フレーム体に支持され、上下に並んで配置される上側断熱層及び下側断熱層と、
前記上側断熱層と前記下側断熱層との間に介装される屋根側気密用層とを備え、
前記上側断熱層の厚さは、前記下側断熱層の厚さよりも大きい、屋根パネル。
【請求項2】
請求項1記載の屋根パネルにおいて、
前記屋根側気密用層は、前記設置状態において、前記複数の横架材を含む建物本体に設けられた本体側気密用層に接続される、屋根パネル。
【請求項3】
請求項2記載の屋根パネルにおいて、
前記屋根側気密用層は、前記設置状態において、前記上側断熱層と前記下側断熱層との間に介在して前記屋根縦方向に延びるシート状の介在部と、該介在部における前記屋根縦方向の屋根外方側の端縁に接続された非介在部とを有し、
前記非介在部は、前記設置状態において、前記本体側気密用層に接続される、屋根パネル。
【請求項4】
請求項3記載の屋根パネルにおいて、
前記非介在部は、前記屋根横方向から見て前記介在部の延長線よりも下側に延びるように形成されている、屋根パネル。
【請求項5】
請求項4記載の屋根パネルにおいて、
当該屋根パネルにより形成される屋根は傾斜屋根であり、
前記設置状態において、前記屋根縦方向において最も屋根外方側に位置する前記横架材である最外横架材と前記フレーム体との間に介在することで、複数の垂木部材の水平方向に対する傾斜角度を所定角度に保持する取付部材をさらに備え、
前記取付部材は、前記フレーム体における前記最外横架材に対応する部分に固定されて、前記設置状態において下端部が前記最外横架材によって水平に支持されるように構成されている、屋根パネル。
【請求項6】
請求項5記載の屋根パネルにおいて、
前記屋根側気密用層の非介在部は、前記取付部材を含む、屋根パネル。
【請求項7】
請求項5記載の屋根パネルにおいて、
前記取付部材は、前記屋根縦方向において前記下側断熱層に対向するように配置され、
前記屋根側気密用層の非介在部は、前記取付部材と前記下側断熱層との間に挟まれて配置され、
前記屋根側気密用層の非介在部は、その下端部が、前記設置状態において、前記取付部材と前記下側断熱層との間から下側に露出して前記本体側気密用層に接続されるように構成されている、屋根パネル。
【請求項8】
請求項7記載の屋根パネルにおいて、
前記屋根側気密用層の非介在部は、その下端面が、前記設置状態において前記取付部材の下面と同じ高さに位置するように構成されている、屋根パネル。
【請求項9】
請求項7記載の屋根パネルにおいて、
前記屋根側気密用層の非介在部は、前記設置状態において前記取付部材の下面よりも下側に突出するように構成されている、屋根パネル。
【請求項10】
請求項1記載の屋根パネルにおいて、
前記フレーム体は、前記設置状態において前記複数の横架材に跨って前記屋根縦方向に延びるとともに前記屋根横方向に間隔を空けて並ぶ複数の垂木部材を有し、
前記屋根側気密用層は、前記複数の垂木部材に跨がってその下面側を覆うように配置されて前記フレーム体に固定されており、
前記上側断熱層は、前記複数の垂木部材と前記屋根側気密用層とによって形成される空間に配置されている、屋根パネル。
【請求項11】
請求項10記載の屋根パネルにおいて、
前記複数の垂木部材の上端面に当接するとともに前記フレーム体の上側を覆う野地板をさらに備え、
前記上側断熱層は、その上面と前記野地板との間に前記屋根縦方向に延びる屋根側通気路を形成するように構成されている、屋根パネル。
【請求項12】
請求項11記載の屋根パネルにおいて、
前記上側断熱層は、屋根縦方向において、前記下側断熱層よりも屋根外方側に突出する突出部を有し、
前記フレーム体は、前記屋根横方向に延びて前記複数の垂木部材の前記屋根縦方向の屋根外方側の端部同士を連結するとともに、屋根縦方向において、前記上側断熱層の前記突出部よりも屋根外方側に離間した位置に配置される連結部材を有し、
前記連結部材と前記上側断熱層の突出部との間には、前記複数の垂木部材により区画されて前記屋根側通気路に連通する連通路が形成されている、屋根パネル。
【請求項13】
請求項1記載の屋根パネルによって形成される屋根と、前記複数の横架材を含んでいて天井側が当該屋根により覆われた建物本体とを備えた建物であって、
前記建物本体は、
前記屋根縦方向において最も屋根外方側に位置する前記横架材である最外横架材と、
前記最外横架材の下面に接続された複数の柱部材を骨格とする側壁部と、
前記最外横架材の室内側面及び前記複数の柱部材の室内側面に取付けられ、前記側壁部における屋外空間と屋内空間との間の気密性を確保するための上下方向に延びる本体側気密用層と、を有しており、
前記屋根側気密用層は、前記本体側気密用層に接続されていて、該本体側気密用層と協働することにより、前記屋根横方向から見て前記側壁部側から前記屋根側に亘って連続する気密ラインを形成するように構成されている、建物。
【請求項14】
請求項13記載の建物において、
前記側壁部は、前記最外横架材よりも室外側に設けられて上下方向に延びる外側断熱層を有し、
前記屋根パネルの前記上側断熱層は、前記屋根縦方向において前記下側断熱層よりも屋根外方側に突出する突出部を有し、
前記突出部は、前記屋根パネルの設置状態において、前記最外横架材に下側から支持されるとともに、前記外側断熱層の上端部の上側に位置するように構成されている、建物。
【請求項15】
請求項14記載の建物において、
前記屋根パネルは、前記複数の垂木部材の上端面に当接するとともに前記フレーム体の上側を覆う野地板をさらに備え、
前記屋根パネルの前記上側断熱層は、前記野地板との間で前記屋根縦方向に延びる屋根側通気路を形成するように構成され、
前記側壁部は、前記外側断熱層の室外側に配置されて該外側断熱層との間に上下方向に延びる壁側通気路を形成する外壁パネルをさらに有し、
前記壁側通気路は、前記複数の垂木部材により区画される空間を介して前記屋根側通気路に連通している、建物。
【請求項16】
請求項13記載の建物において、
前記複数の横架材は、棟木と、当該棟木を挟んでその両側に配置された一対の軒桁とを含み、
前記屋根は、前記棟木を挟んでその両側に配置され、前記棟木と各軒桁とに跨がって配された一対の傾斜屋根部とを有し、
前記一対の傾斜屋根部の前記屋根側気密用層は、屋根横方向から見て、前記棟木の上側の該両傾斜屋根部の境界部において互いに連結される、建物。
【請求項17】
請求項13記載の建物において、
前記複数の横架材は、棟木と、当該棟木を挟んでその両側に配置された一対の軒桁とを含み、
前記屋根は、前記棟木を挟んでその両側に配置され、前記棟木と各軒桁とに跨がって配された一対の傾斜屋根部とを有し、
前記一対の傾斜屋根部の前記上側断熱層は、屋根横方向から見て、前記棟木の上側の該両傾斜屋根部の境界部にて互いに連結される、建物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋根パネル及び該屋根パネルを備えた建物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、屋根枠と該屋根枠内の空間に配置される断熱部材と屋根枠の下面において断熱部材を覆う気密性の防湿シートとを有する屋根パネルが知られている(例えば、下記特許文献1参照)。
【0003】
この屋根パネルは、棟木、母屋及び軒桁といった屋根横方向(屋根の幅方向)に延びる複数の横架材に跨ってその上側に設置される。屋根パネルに使用される屋根枠は、横架材に直交する方向に延びるとともに屋根横方向に間隔を空けて並ぶ複数の垂木部材を有している。前記断熱部材は、この複数の垂木部材の間の空間に充填されている。断熱部材の下面は防湿シートにより覆われている。断熱部材の上面には野地板が固定され、防湿シートの下面には仕上材が固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示す従来の屋根パネルでは、断熱部材(断熱層)の下面が防湿シート(屋根側気密用層)によって覆われている。このため、冬季には、建物内の高湿の空気の断熱層内への侵入が屋根側気密用層によって抑制され、この結果、断熱層内における結露(いわゆる冬型結露)が抑制される。しかしながら、夏季には、建物外の高湿の空気が屋根パネルの断熱層を透過して屋根側気密用層に到達し、この状態で、空調機で冷却された空気によって屋根側気密用層が冷却されることで断熱層内に結露(いわゆる夏型結露)が生じてしまう。このように、前記従来の屋根パネルでは、断熱層内における冬型結露の発生を抑制することはできても夏型結露の発生を抑制することはできない。そこで、夏型結露を抑制するために屋根側気密用層を断熱層の上面に配置することも考えられるが、そうすると今度は、冬季に低温の外気により屋根側気密用層が冷却されるので、上述したように断熱層内において冬型結露が発生してしまう。夏型結露及び冬型結露を問わず断熱層内に結露が発生すると、断熱層の腐食が進行してその断熱性能が低下するという問題が生じる。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、夏型結露及び冬型結露を問わず屋根パネルの断熱層内における結露の発生を有効に抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面に係る屋根パネルは、屋根横方向に延び且つ該屋根横方向に直交する屋根縦方向に間隔を空けて並ぶ複数の横架材に跨ってその上側に設置される屋根パネルであって、当該屋根パネルの設置状態において前記複数の横架材に跨って配置されるフレーム体と、前記フレーム体に支持され、上下に並んで配置される上側断熱層及び下側断熱層と、前記上側断熱層と前記下側断熱層との間に介装される屋根側気密用層とを備え、前記上側断熱層の厚さは、前記下側断熱層の厚さよりも大きい。
【0008】
この屋根パネルによれば、上側断熱層と下側断熱層と屋根側気密用層とが1つのフレーム体に支持されてユニット化される。したがって、作業者は、屋根パネルを設置するだけでこれら各層の設置作業を完了することができ、作業効率を格段に向上させることができる。すなわち、このようなユニット化された屋根パネルを使用しない場合、作業者は断熱層に挟まれた箇所に屋根側気密用層を配置して気密ラインを形成する必要があり、その作業は非常に困難になる。これに対して、前記屋根パネルによれば、上側断熱層と下側断熱層と屋根側気密用層とが予めフレーム体に支持されて互いの位置関係が固定されているので、これら各層を個別に設置する場合に比べて作業が容易になる。尚、本明細書において、「気密用層」とは、気密用を兼ねる防湿用層として定義される。また、気密ラインとは、屋内空間側と屋外空間側との空気の流通が遮断される面を、屋根横方向から見たラインであって気密用を兼ねる防湿ラインとして定義される。
【0009】
そして、前記屋根側気密用層は上側断熱層と下側断熱層との間に配置されているので、各断熱層における夏型結露及び冬型結露を有効に抑制することができる。すなわち、冬季には、低温の外気による屋根側気密用層の冷却を上側断熱層によって抑制することができる。したがって、建物内の高湿の空気が下側断熱層を透過して屋根側気密用層に到達したとしても、該屋根側気密用層による当該空気の冷却が抑制されるので結露(冬型結露)の発生も抑制される。また、夏季には、空調機で冷却された建物内の空気による屋根側気密用層の冷却を下側断熱層によって抑制することができる。したがって、建物外の高湿の空気が上側断熱層を透過して屋根側気密用層に到達したとしても、該屋根側気密用層による当該空気の冷却は抑制されるので結露(夏型結露)の発生も抑制される。
【0010】
ここで、冬季における低温側空間(この場合は屋外空間)の温度は0℃近くまで低下するのに対し、夏季における低温側空間(この場合、屋内空間)の温度はせいぜい20℃程度である。このため、冬季においては、夏季に比べて、屋外空間の低温空気による屋根側気密用層の冷却が著しい。そこで、前記屋根パネルでは、上側断熱層の厚さ(つまり屋外空間側の断熱層の厚さ)を、下側断熱層の厚さ(屋内空間側の断熱層の厚さ)よりも大きく設定することで、冬季における屋根側気密用層の冷却(温度低下)を十分に抑制することができる。この結果、冬型結露の発生を有効に抑制することができる。したがって、前記屋根パネルによれば、冬型結露対策に充填を置きつつ、冬型結露と夏型結露との双方を有効に抑制することができる。
【0011】
前記の構成において、前記屋根側気密用層は、前記設置状態において、前記複数の横架材を含む建物本体に設けられた本体側気密用層に接続されることが好ましい。
【0012】
本構成によれば、作業者が屋根パネルの設置作業を完了すると、当該屋根パネルに設けられた屋根側気密用層が建物本体に設けられた本体側気密用層に接続されて、建物本体側から屋根側に至る一つの連続した気密ラインが形成される。したがって、屋根パネルの設置に伴う作業効率を格段に向上させることができる。すなわち、従来の屋根パネルでは、作業者は、当該屋根パネルの設置作業とは別に、気密ラインを形成するための多くの作業を行う必要があるが、本構成によれば、気密ラインの形成に必要な作業工数が大幅に低減されるので作業効率が向上する。
【0013】
前記の構成において、前記屋根側気密用層は、前記設置状態において、前記上側断熱層と前記下側断熱層との間に介在して前記屋根縦方向に延びるシート状の介在部と、該介在部における前記屋根縦方向の屋根外方側の端縁に接続された非介在部とを有し、前記非介在部は、前記設置状態において、前記本体側気密用層に接続されることが好ましい。
【0014】
本構成によれば、屋根側気密用層の非介在部を利用して、当該屋根側気密用層を本体側気密用層に容易に接続することができる。したがって、本体側気密用層が、上側断熱層と下側断熱層との境界領域から多少離れた位置にあっても、屋根側気密用層に設けられた非介在部を利用して屋根側気密用層と本体側気密用層とを接続することができる。よって、本体側気密用層と各断熱層との相対的な位置関係(配置位置)の自由度を高めつつ両気密用層を確実に接続することができる。
【0015】
前記の構成において、前記非介在部は、前記屋根横方向から見て前記介在部の延長線よりも下側に延びるように形成されていることが好ましい。
【0016】
本構成によれば、屋根側気密用層の非介在部を利用して、該屋根側気密用層と本体側気密用層とをより一層確実に接続することができる。すなわち、建物本体に設けられる本体側気密用層は、通常、屋根側気密用層よりも下側に配置される。発明者等はこの点に着目して、屋根側気密用層の非介在部を、シート状の介在部の延長線よりも下側に延出させるようにした。これにより、屋根側気密用層と該屋根側気密用層よりも下側に位置する本体側気密用層とを非介在部によって確実に接続することができる。
【0017】
前記の構成において、前記屋根パネルにより形成される屋根は傾斜屋根であり、前記設置状態において、前記屋根縦方向において最も屋根外方側に位置する前記横架材である最外横架材と前記フレーム体との間に介在することで、前記複数の垂木部材の水平方向に対する傾斜角度を所定角度に保持する取付部材をさらに備え、前記取付部材は、前記フレーム体における前記最外横架材に対応する部分に固定されて、前記設置状態において下端部が前記最外横架材によって水平に支持されるように構成されている。
【0018】
本構成によれば、屋根パネルを複数の横架材の上側に設置する際に、フレーム体に固定された取付部材の下端部が最外横架材によって下側から水平に支持される。よって、屋根パネルの設置に際して、フレーム体が屋根勾配に沿って落下するのを防止することができる。延いては、屋根パネルの設置作業性を向上させることができる。
【0019】
前記の構成において、前記屋根側気密用層の非介在部は、前記取付部材を含んでいてもよい。
【0020】
本構成によれば、屋根側気密用層の非介在部を利用した当該屋根側気密用層と本体側気密用層との接続を確実に行うことができる。すなわち、取付部材は、フレーム体を最外横架材の上面に支持させる機能を有しているので、比較的剛性が高い部材で構成される。このような剛性の高い部材を屋根側気密用層の非介在部として利用することで、例えば可撓性を有する樹脂製シートを非介在部として利用する場合に比べて、非介在部の位置ばらつきを抑えることができる。よって、屋根パネルを設置する際に、非介在部の位置がばらつかずに一定に維持されるので、非介在部を利用した屋根側気密用層と本体側気密用層との接続を確実に行うことができる。また、既存の取付部材を非介在部として利用することでコストを低減することができる。
【0021】
前記の構成において、前記取付部材は、前記屋根縦方向において前記下側断熱層に対向するように配置され、前記屋根側気密用層の非介在部は、前記取付部材と前記下側断熱層との間に挟まれて配置され、前記屋根側気密用層の非介在部は、その下端部が、前記設置状態において、前記取付部材と前記下側断熱層との間から下側に露出して前記本体側気密用層に接続されるように構成されていることが好ましい。
【0022】
本構成によれば、屋根パネルの設置状態において、屋根側気密用層の非介在部の下端部が、取付部材と下側断熱層との間から下側に露出しているので、該非介在部の下端部を本体側気密用層に容易に接続することができる。また、屋根側気密用層の非介在部を、前記取付部材と下側断熱層との間に挟み込んでしっかりと固定することができる。したがって、屋根パネルを設置する際に、屋根側気密用層の非介在部の位置がばらつかずに一定に維持されるので、非介在部を利用した屋根側気密用層と本体側気密用層との接続を確実に行うことができる。
【0023】
前記の構成において、前記屋根側気密用層の非介在部は、その下端面が、前記設置状態において前記取付部材の下面と同じ高さに位置するように構成されていてもよい。
【0024】
本構成によれば、屋根側気密用層の非介在部の下端面と取付部材の下面とが面一になるので、例えば非介在部が取付部材の下面よりも下側に突出している場合に比べて、取付部材を最外横架材の上面に取付ける際の取付性を向上させることができる。また、この場合、屋根パネルを設置する際に、屋根側気密用層の非介在部を本体側気密用層に重ねる必要がないので、非介在部の長さを節約して材料コストを低減することができる。
【0025】
前記の構成において、前記屋根側気密用層の非介在部は、前記設置状態において前記取付部材の下面よりも下側に突出するように構成されていてもよい。
【0026】
本構成によれば、屋根パネルを設置する際に、屋根側気密用層の非介在部における前記取付部材の下面よりも下側に突出する部分を、本体側気密用層の厚さ方向に重ねることで、屋根側気密用層と本体側気密用層との接続代を十分に確保しながら両者を接続することができる。よって、屋根側気密用層と本体側気密用層との接続部分において気密ラインの連続性が損なわれるのを防止することができる。
【0027】
前記の構成において、前記フレーム体は、前記設置状態において前記複数の横架材に跨って前記屋根縦方向に延びるとともに前記屋根横方向に間隔を空けて並ぶ複数の垂木部材を有し、前記屋根側気密用層は、前記複数の垂木部材に跨がってその下面側を覆うように配置されて前記フレーム体に固定されており、前記上側断熱層は、前記複数の垂木部材と前記屋根側気密用層とによって形成される空間に配置されていることが好ましい。
【0028】
本構成によれば、上側断熱層は、複数の垂木部材と屋根側気密用層とによって形成される空間に配置される。この空間は、底面が屋根側気密用層によって構成されることとなる。したがって、作業者が上側断熱層を当該空間内に配置する際に、予め屋根側気密用層をフレーム体に取付けておくことで、前記空間から上側断熱層が脱落するのを防止することができる。よって、前記フレーム体に対する上側断熱層の取付け作業性を向上させることができる。
【0029】
前記の構成において、前記複数の垂木部材の上端面に当接するとともに前記フレーム体の上側を覆う野地板をさらに備え、前記上側断熱層は、その上面と前記野地板との間に前記屋根縦方向に延びる屋根側通気路を形成するように構成されていることが好ましい。
【0030】
本構成によれば、屋根パネル内の高湿の空気を屋根側通気路を介して換気することができる。よって、屋根パネル内に高湿の空気が滞留して結露が生じるのを防止することができる。
【0031】
前記の構成において、前記上側断熱層は、屋根縦方向において、前記下側断熱層よりも屋根外方側に突出する突出部を有し、前記フレーム体は、前記屋根横方向に延びて前記複数の垂木部材の前記屋根縦方向の屋根外方側の端部同士を連結するとともに、屋根縦方向において、前記上側断熱層の前記突出部よりも屋根外方側に離間した位置に配置される連結部材を有し、前記連結部材と前記上側断熱層の突出部との間には、前記複数の垂木部材により区画されて前記屋根側通気路に連通する連通路が形成されていることが好ましい。
【0032】
本構成によれば、各断熱層やフレーム体に連通孔を形成したりすることなく簡単な構成で屋根側通気路への連通路を確保することができる。
【0033】
本発明の他の局面に係る建物は、前記屋根パネルによって形成される屋根と、前記複数の横架材を含んでいて天井側が当該屋根により覆われた建物本体とを備えた建物であって、前記建物本体は、前記屋根縦方向において最も屋根外方側に位置する前記横架材である最外横架材と、前記最外横架材の下面に接続された複数の柱部材を骨格とする側壁部と、前記最外横架材の室内側面及び前記柱部材の室内側面に取付けられ、前記側壁部における屋外空間と屋内空間との間の気密性を確保するための上下方向に延びる本体側気密用層と、を有しており、前記屋根側気密用層は、前記本体側気密用層に接続されていて、該本体側気密用層と協働することにより、前記屋根横方向から見て前記側壁部側から前記屋根側に亘って連続する気密ラインを形成するように構成されている。
【0034】
本構成によれば、前記側壁部側から前記屋根側に亘って気密ラインが連続的に繋がっているので、建物本体の側壁部と屋根との接続部においても気密性を確保することができる。よって、例えば、冬季において、屋内空間内の高湿の空気が、建物本体の側壁部と屋根との接続部から屋根パネルの上側断熱層内に回り込んで結露を生じさせるのを防止することができる。また、夏季において、屋外空間に存在する高湿の空気が建物本体の側壁部と屋根との接続部から屋根パネルの下側断熱層内に侵入して結露を生じさせるのを防止することができる。
【0035】
前記の構成において、前記側壁部は、前記最外横架材よりも室外側に設けられて上下方向に延びる外側断熱層を有し、前記屋根パネルの前記上側断熱層は、前記屋根縦方向において前記下側断熱層よりも屋根外方側に突出する突出部を有し、前記突出部は、前記屋根パネルの設置状態において、前記最外横架材に下側から支持されるとともに、前記外側断熱層の上端部の上側に位置するように構成されていることが好ましい。
【0036】
本構成によれば、上側断熱層の突出部が外側断熱層の上側に位置しているので、屋根横方向から見たときに、屋根パネルの上側断熱層と、建物本体の側壁部の外側断熱層とによって、気密ラインの外側を囲むように断熱層を配置することができる。よって、屋外空間の冷気によって気密ラインを構成する屋根側気密用層及び本体側気密用層が冷却されるのを抑制し、上述の冬型結露の発生を抑制することができる。また、建物全体の断熱性を向上させて室内の温度を快適に保つことができる。
【0037】
前記の構成において、前記屋根パネルは、前記複数の垂木部材の上端面に当接するとともに前記フレーム体の上側を覆う野地板をさらに備え、前記屋根パネルの前記上側断熱層は、前記野地板との間で前記屋根縦方向に延びる屋根側通気路を形成するように構成され、前記側壁部は、前記外側断熱層の室外側に配置されて該外側断熱層との間に上下方向に延びる壁側通気路を形成する外壁パネルをさらに有し、前記壁側通気路は、前記複数の垂木部材により区画される空間を介して前記屋根側通気路に連通していることが好ましい。
【0038】
本構成によれば、例えば屋内空間から漏出した高湿の空気は、壁側通気路及び屋根側通気路を通って換気される。よって、側壁部内における結露の発生を抑制することができる。
【0039】
前記の構成において、前記複数の横架材は、棟木と、当該棟木を挟んでその両側に配置された一対の軒桁とを含み、前記屋根は、前記棟木を挟んでその両側に配置され、前記棟木と各軒桁とに跨がって配された一対の傾斜屋根部とを有し、前記一対の傾斜屋根部の前記屋根側気密層は、屋根横方向から見て、前記棟木の上側の該両傾斜屋根部の境界部において互いに連結される。
【0040】
本構成によれば、一対の傾斜屋根部の屋根側気密用層が棟木の上側で途切れることなく連続的に繋がって一つの気密ラインを形成することとなる。よって、棟木の上側(つまり一対の傾斜屋根部の境界部)にて気密ラインが途切れて気密性が損なわれるのを防止することができる。
【0041】
前記の構成において、前記複数の横架材は、棟木と、当該棟木を挟んでその両側に配置された一対の軒桁とを含み、前記屋根は、前記棟木を挟んでその両側に配置され、前記棟木と各軒桁とに跨がって配された一対の傾斜屋根部とを有し、前記一対の傾斜屋根部の上側断熱層は、屋根横方向から見て、前記棟木の上側の該両傾斜屋根部の境界部において互いに連結される。
【0042】
本構成によれば、一対の傾斜屋根部の上側断熱層が棟木の上側で途切れることなく連続的に繋がって一つの断熱ライン(屋外側と屋外側との断熱性を発揮する面を屋根横方向から見たライン)を形成することとなる。したがって、棟木の上側(つまり一対の傾斜屋根部の境界部)にて断熱ラインが途切れて建物の断熱性が損なわれるのを防止することができる。
【発明の効果】
【0043】
本発明によれば、夏型結露及び冬型結露を問わず屋根パネルに設けられた断熱層内における結露の発生を有効に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】本発明の一実施形態に係る屋根パネルを備えた建物の屋根付近を示す屋根縦方向に沿った鉛直断面図である。
【
図3】
図1のIII部を拡大して示す拡大断面図である。
【
図4】屋根パネルを、建物本体に設けられた複数の横架材の上側に設置する直前の状態を示す屋根縦方向に沿った鉛直断面図である。
【
図5】屋根パネルの一部を切断してその内部の各層を上層から順に露出させて示した内部カットモデルである。
【
図6】屋根パネルにおけるフレーム体を抽出して示す斜視図である。
【
図7】屋根パネルにおけるフレーム体と屋根側防湿シートと軒桁取付部材とを抽出して示す斜視図である。
【
図8】
図7の状態からフレーム体に母屋取付部材をさらに取付けた状態を示す斜視図である。
【
図9】
図8の状態からフレーム体に下側断熱部材をさらに取付けた状態を示す斜視図である。
【
図10】
図9の状態からフレーム体に上側断熱部材をさらに取付けた状態を示す斜視図である。
【
図11】
図10の状態からフレーム体に野地板をさらに取付けた状態を示す完成斜視図である。
【
図12A】変形実施形態1を示す
図4の左端の部分断面図に相当する図である。
【
図12B】変形実施形態2を示す
図4の左端の部分断面図に相当する図である。
【
図13A】変形実施形態3を示す
図4の左端の部分断面図に相当する図である。
【
図13B】変形実施形態4を示す
図4の左端の部分断面図に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態につき詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る屋根パネル100を備えた建物1の屋根付近を示す縦断面図である。なお、
図1では上下方向及び左右方向(水平方向)が図示されているが、当該方向は本実施形態に係る屋根パネル100及びこれを備えた建物1を説明するために示すものであり、本発明に係る屋根パネル及び建物の構造、使用態様などを限定するものではない。また、
図1では、一例として、紙面左側が建物1の外側として図示され、紙面右側が建物1の内側として図示されている。
【0046】
(建物の全体構成)
建物1は、建物本体10と、複数の屋根パネル100により構成される屋根50とを有している。
【0047】
屋根50は、建物本体10の天井側を閉塞するように配置されていて屋外空間OSと屋内空間ISとを区画する。屋根50は、いわゆる切妻屋根であって、妻側(
図1の紙面垂直方向の手前側)から見て棟を頂点とする二等辺三角形の斜辺を構成するように配置された左右一対の傾斜屋根部50L,50Rを有している。
図1では、左側の傾斜屋根部50L及びその周辺付近と他方の傾斜屋根部50Rの上端部付近のみを示し、その他の部分は省略している。なお、以下の説明において、屋根50の棟と平行な方向(
図1の紙面垂直方向)を屋根横方向と定義し、屋根面に沿って該屋根横方向に直交する方向(本例では屋根傾斜方向と同方向)を屋根縦方向と定義する。
【0048】
図2は、屋根50を構成する傾斜屋根部50L,50Rを示す斜視図である。各傾斜屋根部50L,50Rは、屋根横方向に並ぶ複数の屋根パネル100によって構成される。各屋根パネル100は、建物本体10に設けられた複数の横架材21に跨がってその上側に設置される。なお、
図2では、屋根横方向の両端に位置する2つの屋根パネル100のみを示し、両者の間に位置する屋根パネル100は図示を省略している。
【0049】
図1を参照して、各屋根パネル100の上面(後述する野地板160の上面)には、屋根横方向(
図1の紙面垂直方向)に延びるとともに屋根縦方向に間隔を空けて並ぶ複数の瓦桟52が固定され、隣接する瓦桟52に跨って瓦51が敷設されている。各瓦51は、その上端部が瓦桟52に掛止され、下端部が下方側に隣接する瓦51の上端部に上側から重合して固定されている。
【0050】
(建物本体)
前記建物本体10は、前記複数の横架材21を含む屋根支持構造部20と、建物1の側面を形成する側壁部30とを有している。
【0051】
屋根支持構造部20は、前記横架材21として棟木22、母屋23及び軒桁24を有している。棟木22、母屋23及び軒桁24は、屋根横方向に延びる断面矩形状の木製の長尺部材からなり、屋根縦方向に互いに間隔を空けて配置されている。棟木22、母屋23及び軒桁24は、屋根勾配に応じて棟側から軒側に向かってこの順に設置高さが低くなるように配置されている。前記軒桁24は、屋根縦方向において最も屋根外方側に位置する最外横架材に相当する。なお、
図1における横架材21の配置は一例であり、横架材21の数及び形状はこれに限定されない。また、横架材21の材質も木製に限定されず、例えば金属製であってもよい。
【0052】
棟木22は、左右の傾斜屋根部50L,50Rの境界部の下側に一つだけ設けられている。母屋23及び軒桁24は、左右の傾斜屋根部50L,50Rのそれぞれの下側に一つずつ設けられている。母屋23は複数設けられていてもよい。左右の軒桁24の間の中央には、該両軒桁24と同じ高さに位置するとともに屋根横方向に延びる桁28が配置されている。
【0053】
左右の軒桁24と中央の桁28とは、左右方向に延びるとともに屋根横方向に間隔を空けて並ぶ複数の梁(図示省略)によって連結されている。
【0054】
棟木22及び母屋23は、小屋束(図示省略)を介して前記複数の梁に連結されている。軒桁24は、上下方向に延びるとともに屋根横方向(
図1の紙面垂直方向)に間隔を空けて並ぶ複数の柱部材38(
図1では一つのみを示す)によって下方から支持されている。これら複数の柱部材38は、軒桁24の支持部材として機能するとともに後述する側壁部30の骨格部材としても機能する。
【0055】
図3に示すように、前記側壁部30は、上端部が屋根50に接続される鉛直壁部であって、屋外空間ОSと屋内空間ISとを区画するように配置されている。
【0056】
具体的には、側壁部30は、壁厚さ方向において外側から内側に向かって順に配置された外壁パネル31と、外側断熱層32と、下地材33と、内側断熱層34と、本体側気密用層39としての本体側防湿シート35と、内壁パネル36とを有している。
【0057】
外壁パネル31は、建物1の外壁面を形成する部材であって上下方向に沿って延設されている。外壁パネル31は、前記外側断熱層32よりも外側に僅かに離間した位置に配置されていて、該外側断熱層32との間に上下方向に延びる壁側通気路37を形成している。
【0058】
外側断熱層32は、前記壁側通気路37に面してその内側に配置されている。外側断熱層32は、屋外空間OSと屋内空間ISとの間における断熱性を高めることができる。外側断熱層32は、例えば押出発泡ポリスチレン等の硬質の断熱材から構成される。ただし、外側断熱層32は、セルロースファイバー、ロックウール、グラスウール等の繊維系の断熱材から構成されてもよい。
【0059】
下地材33は、外壁パネル31の内側に配置され、例えば合板により構成されている。下地材33は、軒桁24の外側面と、軒桁24を支持する複数の柱部材38(
図3では一つのみを示す)の外側面と、複数の柱部材38の互いの間の空間S0とを外側から覆うように配置されている。ここで、複数の柱部材38の外側面と軒桁24の外側面とは互いの継ぎ目を挟んで面一に繋がることによって下地材33の取付面を構成している。下地材33はこの取付面に釘等により固定されている。
【0060】
内側断熱層34は、前記外側断熱層32よりも内側に配置された断熱材であって、外側断熱層32と同様に屋外空間OSと屋内空間ISとの間における断熱性を高める機能を有している。内側断熱層34は、軒桁24の下側において前記複数の柱部材38の間に形成される空間S0に充填された断熱材からなり、例えばセルロースファイバー、ロックウール、グラスウール等の繊維系の断熱材から構成される。ただし、内側断熱層34は、押出発泡ポリスチレン等の硬質の断熱材から構成されていてもよい。
【0061】
前記本体側気密用層39としての本体側防湿シート35は、1枚又は複数枚の樹脂製シートにより構成される。本体側防湿シート35は、上下方向に沿うように配置されていて、前記複数の柱部材38の内側面と、軒桁24の内側面と、複数の柱部材38の互いの間の空間S0とを内側から覆うように配置されている。本体側防湿シート35の上端面の高さ位置は、軒桁24の上面の高さ位置に一致している。換言すると、本体側防湿シート35の上端面は、軒桁24の上面と面一に形成されている。ここで、複数の柱部材38の内側面と軒桁24の内側面とは互いの継ぎ目を挟んで面一に繋がることで本体側防湿シート35の取付面を構成している。本体側防湿シート35はこの取付面にステープル等により固定されている。そうして、本体側防湿シート35は、建物本体10の側壁部30における屋外空間OSと屋内空間ISとの間の気密性及び防湿性を高めることができる。
【0062】
なお、軒桁24は、本実施形態では一例として木材により構成されているが、要求される気密レベルによって軒桁24が木材で構成されていたとしても、軒桁24自身が気密ライン(
図1参照。詳細は後述する)の一部として機能し得る。この場合、本体側防湿シート35の上端面は、軒桁24の上面と下面との間の高さ、又は軒桁24の下面と同じ高さに位置していてもよい。これによれば、軒桁24自身が気密ラインKの一部を構成し、当該軒桁24によって本体側防湿シート35と後述する屋根側防湿シート141とが接続されることで建物本体10側から屋根50側に至る気密ラインK(
図1参照)が形成される。
【0063】
内壁パネル36は、例えば石膏ボード等の板材から構成されるものであり、その内側面が室内空間S1に面するように配置されている。内壁パネル36は、本体側防湿シート35よりも内側に上下方向に沿うように配置されている。
【0064】
内壁パネル36の上端面は、室内空間S1と屋根裏空間S2とを区画する天井板材25の下面に接続されている。天井板材25は、上述した屋根支持構造部20の下端において左右方向に延びる野縁26に支持されている。野縁26の左右方向の両端部は、軒桁24の内側面に、下地木40及び連結板材41を介して連結されている。
【0065】
(屋根パネル)
次に、屋根50を構成する前記屋根パネル100の詳細を説明する。
図4は、屋根パネル100を、棟木22、母屋23及び軒桁24の上側に設置する直前の状態を示す屋根縦方向に沿った鉛直断面図である。この図に示すように、屋根パネル100は、棟木22、母屋23及び軒桁24の上側の予め定めた設置位置に上側から設置される。後述するように、屋根パネル100は、軒桁取付部材151を軒桁24の上面に固定し、母屋取付部材150を母屋23の上面に固定することで設置が完了する。以下の説明では、特に断らない限り、屋根パネル100の設置が完了した状態(以下、設置状態という)にあるものとして当該屋根パネル100の説明を行う。
【0066】
図5は、屋根パネル100の一部を切断してその内部の各層120,130,140を上層から順に露出させて示す内部カットモデルである。
【0067】
屋根パネル100は、フレーム体110と、上側断熱層120を構成する複数の上側断熱部材121と、下側断熱層130を構成する複数の下側断熱部材131と、屋根側気密用層140を構成する1枚の屋根側防湿シート141と、母屋取付部材150と、軒桁取付部材151と、複数の野地板160とを有している。
【0068】
図6は、屋根パネル100のフレーム体110を抽出して示す斜視図である。
図5及び
図6を参照して、フレーム体110は、屋根パネル100の設置状態において、棟木22、母屋23及び軒桁24に跨がって屋根縦方向に延びる複数(本例では4つ)の垂木部材111と、該複数の垂木部材111同士を連結する連結部材112とを有している。フレーム体110は木材により構成されているが、これに限ったものではなく、例えば金属や樹脂で構成されていてもよい。
【0069】
複数の垂木部材111は、屋根横方向に互いに間隔を空けて(
図6の例では等間隔に)配置されている。各垂木部材111は、屋根縦方向に延び且つ屋根横方向に厚みを有する長尺の板材で構成されている。
【0070】
連結部材112は、屋根横方向に延びる長尺の板材で構成されている。連結部材112は、厚さ方向の一側面が前記複数の垂木部材111の軒側の端面に当接する状態で該各垂木部材111に固定されている。連結部材112は、屋根横方向において最も一方側の端に位置する垂木部材111から最も他方側の端に位置する垂木部材111に至る連結本体部112aと、該連結本体部112aに接続され、最も他方側の端に位置する垂木部材111よりも該他方側に突出する突出板部112bとを有している。突出板部112bの突出長さL2は、例えば、隣接する垂木部材111同士の間隔L1に等しくなるように設定される。このように突出板部112bを設けることで、フレーム体110を屋根横方向に並べたときに、突出板部112bの突出端部において欠落している垂木部材111を、隣接するフレーム体110の垂木部材111が補うように配置される。したがって、垂木部材111が、互いに隣接するフレーム体110の境界部付近で重複配置される(一本余分に配置される)のを防止することができる。
【0071】
また、連結部材112と上側断熱層120の軒側端面との間には、複数の垂木部材111により区画されて後述する屋根側通気路161に連通する連通路162(
図1及び
図3参照)が形成されている。
【0072】
図7は、屋根パネル100のフレーム体110と屋根側防湿シート141と軒桁取付部材151とを抽出して示す斜視図である。上述の
図4と該
図7に示すように、屋根側防湿シート141は、例えば一枚の樹脂製シートからなる。
【0073】
屋根側防湿シート141は、
図4に示すように平坦状シート部141aと下側延出シート部141bとを有している。平坦状シート部141aは、上側断熱層120と下側断熱層130との間に介在する介在部に相当し、下側延出シート部141bは前記介在部に接続された非介在部に相当する。
【0074】
平坦状シート部141aは、フレーム体110の連結部材112と同じ横幅を有する矩形シート状をなしている。平坦状シート部141aは、屋根面に垂直な方向から見て棟木22と軒桁24とに跨がって両者の間を閉塞するように形成されている。
図7に示すように、平坦状シート部141aは、フレーム体110における複数の垂木部材111の下端面に沿って配置されていて、当該フレーム体110にステープル(図示省略)により固定される。
【0075】
下側延出シート部141bは、平坦状シート部141aの軒側の端縁に接続されている。下側延出シート部141bは、該平坦状シート部141aの延長線よりも下側(本例では鉛直下側)に延出している。下側延出シート部141bは、
図4に示すように、軒桁取付部材151と下側断熱部材131とに挟まれた状態で平坦状シート部141aの軒側端縁から鉛直下側に延びている。下側延出シート部141bの下端面は、軒桁取付部材151の下面151cと同じ高さに位置している。換言すると、下側延出シート部141bの下端面は、軒桁取付部材151の下面151cと面一に形成されている。また、下側延出シート部141bの下端面置は、隣接する下側断熱部材131の下端位置よりも僅かに下側に位置している。下側延出シート部141bの下端面は、屋根パネル100の設置状態において、本体側防湿シート35の上端面に当接する(
図3参照)。なお、下側延出シート部141bは、本体側防湿シート35に対して厚さ方向に重なるように配置されていてもよい。
【0076】
軒桁取付部材151は、屋根パネル100を軒桁24の上面に取付けるための部材である。軒桁取付部材151は、
図7に示すように、各垂木部材111の下端面における前記軒桁24に対応する箇所にビス101により固定されている。軒桁取付部材151は、下側から見て、各垂木部材111に直交する方向に延設されている。具体的には、軒桁取付部材151は、屋根横方向に延びる三角注状の長尺部材からなる。軒桁取付部材151の屋根横方向の長さは、例えば屋根側防湿シート141の横幅と等しく設定される。
【0077】
軒桁取付部材151は、
図4に示すように、屋根縦方向において、屋根側防湿シート141の下側延出シート部141bに対向して(隣接して)配置されている。軒桁取付部材151は、軒桁24とフレーム体110との間に介在することで、各垂木部材111の水平方向(本例では左右方向)に対する傾斜角度を所定角度(屋根勾配に応じた角度)に保持するように構成されている。
【0078】
具体的には、軒桁取付部材151は、屋根勾配に応じた角度で棟側から軒側に向かうほど低くなるように傾斜する傾斜面151aと、傾斜面151aの上端縁から下側に延びる鉛直端面151bと、鉛直端面151bの下端縁と傾斜面151aの下端縁とを接続する水平な下面151cとを有している。軒桁取付部材151の傾斜面151aは各垂木部材111の下端面に当接している。軒桁取付部材151の下面151cは、軒桁24の上面に載置される。鉛直端面151bは、下側断熱部材131との間で屋根側防湿シート141の下側延出シート部141bを挟み込むこと該下側延出シート部141bを固定する。
【0079】
図8は、
図7の状態からフレーム体110に母屋取付部材150をさらに取付けた状態を示す斜視図である。母屋取付部材150は、屋根パネル100を母屋23(
図4参照)に取付けるための部材である。
【0080】
上述の
図4及び該
図8を参照して、母屋取付部材150は、各垂木部材111の下端面における母屋23に対応する箇所に、屋根側防湿シート141を挟んで固定されている。この固定には例えばビス102(
図8参照)が使用される。母屋取付部材150は、下側から見て、各垂木部材111に直交する方向に延設されている。
【0081】
母屋取付部材150は、母屋23とフレーム体110との間に介在することで、各垂木部材111の水平方向(本例では左右方向)に対する傾斜角度を前記所定角度(屋根勾配に応じた角度)に保持するように構成されている。母屋取付部材150の基本的な構成は、軒桁取付部材151と同様である。すなわち、母屋取付部材150は傾斜面150aと鉛直端面150bと下面150cとを有しており、傾斜面150aが各垂木部材111の下端面に当接し、下面150cが母屋23の上面に載置される。鉛直端面150bは、棟側に位置する下側断熱部材131の端面に当接して当該下側断熱部材131の屋根縦方向の位置決めを行う。
【0082】
図9は、
図8の状態からフレーム体110に下側断熱部材131をさらに取付けた状態を示す斜視図である。
【0083】
上述の
図4及び該
図9に示すように、下側断熱部材131は、屋根縦方向に長い矩形板状をなしている。本実施形態では下側断熱部材131は合計で四つ設けられており、各下側断熱部材131は、例えば押出発泡ポリスチレン等の硬質の断熱材から構成される。ただし、各下側断熱部材131は、セルロースファイバー、ロックウール、グラスウール等の繊維系の断熱材から構成されてもよい。前記四つの下側断熱部材131は、フレーム体110に対して屋根側防湿シート141を挟んで固定される。下側断熱部材131は、フレーム体110の下面側における軒桁取付部材151と母屋取付部材150との間である軒側領域r1、及び、フレーム体110の下面側における母屋取付部材150よりも棟側である棟側領域r2にそれぞれ二つずつ設けられている。軒側領域r1は母屋23と軒桁24の間の空間に対応する領域であり、棟側領域r2は棟木22と母屋23との間の空間に対応する領域である。各領域r1,r2において、二つの下側断熱部材131は屋根横方向に隙間なく並んで配置されている。各下側断熱部材131は、フレーム体110に対して屋根側防湿シート141の平坦状シート部141aを挟んで固定されている。この固定には例えばビス103が使用される。そして、前記四つの下側断熱部材131によって下側断熱層130が構成されている。下側断熱層130は、屋根50における屋外空間OSと屋内空間ISとの間の断熱性を高める機能を有している(
図1及び
図3参照)。
【0084】
図4に示すように、棟側に配置される下側断熱部材131は、屋根側防湿シート141の平坦状シート部141aの棟側端縁部を露出させるように配置されている。この露出部分は、屋根パネル100を棟木22に取付けるための棟取付面部141cを構成している。棟木22の上面には、この棟取付面部141cが固定される台座部材27が設けられている。台座部材27は、棟木22の延設方向の全体に亘って延びる断面略台形状の長尺部材であって、屋根勾配に沿って傾斜する左右の傾斜面27aと、左右の傾斜面27aの上端同士を接続する水平上端面27bと、棟木22の上面に固定される下面27cとを有している。左右の傾斜面27a及び水平上端面27bは棟木防湿シート29によって覆われている。棟木防湿シート29は、1枚の樹脂製のシートにより構成されていて、台座部材27の左右の傾斜面27a及び水平上端面27bに接着剤等により固定されている。
【0085】
図10は、
図9の状態からフレーム体110の上面側に上側断熱部材121をさらに取付けた状態を示す斜視図である。
【0086】
上述の
図4及び該
図10に示すように、上側断熱部材121は、屋根縦方向に長い短冊板状に形成されている。本実施形態では上側断熱部材121は合計で八つ設けられている。各上側断熱部材121は、例えば押出発泡ポリスチレン等の硬質の断熱材から構成される。ただし、各上側断熱部材121は、セルロースファイバー、ロックウール、グラスウール等の繊維系の断熱材から構成されてもよい。
【0087】
前記八つの上側断熱部材121は、各垂木部材111の側面に面した屋根縦方向に延びる各空間113を埋めるように配置されている。各空間113は屋根側防湿シート141の平坦状シート部141aを底面とする上側に開放する空間である。各空間113には、上側断熱部材121が二つずつ屋根縦方向に隙間なく並んで配置されている。これら八つの上側断熱部材121は、フレーム体110に対してビス104により固定される。各上側断熱部材121の横幅寸法は各垂木部材111の側面同士の間に形成される空間に収容されるように設定される。また、上側断熱部材121の屋根縦方向の寸法は、二つの上側断熱部材121を該屋根縦方向に隙間なく並べたときに、少なくとも、棟木22と軒桁24との間の空間全体を閉塞するような長さに設定されている。
図10の例では棟側の上側断熱部材121の方が、軒側の上側断熱部材121よりも屋根縦方向に長く形成されているが、長さの大小関係はこれに限ったものではない。また、上側断熱部材121の厚さT1(
図4参照)は、下側断熱部材131の厚さT2よりも大きい。ここで厚さとは、屋根面に垂直な方向の厚さである。
図4では、一例として、上側断熱部材121の厚さT1は、下側断熱部材131の厚さT2の2倍~3倍に設定されている。
【0088】
ここで、
図4を参照して、棟側に位置する上側断熱部材121は、その下側に配置された下側断熱部材131よりも棟側に突出している。この上側断熱部材121の棟側端面は、屋根横方向に延びる矩形板状の断熱部材171(
図4参照)により覆われている。断熱部材171は、例えばエチレン・プロピレンゴム(EPT)により構成されていて、釘105など(
図10にのみ示す)によって該上側断熱部材121に固定される。
図1に示すように左右の屋根パネル100の断熱部材171は、棟木22の上側(左右の屋根パネル100の境界部)にて互いに当接するように配置されている。
【0089】
図4を参照して、軒側に位置する上側断熱部材121は、その下側に位置する下側断熱部材131よりも軒側に突出する突出部121a(上側断熱層120の突出部に相当)を有している。この突出部121aの下面には、前記軒桁取付部材151と断熱部材170とが並んで固定されている。断熱部材170は、軒桁取付部材151よりも軒側に配置されている。断熱部材170は、屋根横方向に延びる長尺部材であって、例えばエチレン・プロピレンゴム(EPT)により構成されている。
【0090】
断熱部材170は、
図3に示すように、建物本体10の側壁部30に設けられた外側断熱層32の上端面と、前記上側断熱部材121の突出部分の下面との間の空間を埋めるように断面台形状に形成されている。上側断熱部材121の突出側の端面と、断熱部材170の外側面と、外側断熱層32の外側面とは面一に繋がって上下方向に延びる鉛直面を形成している。
【0091】
また、屋根パネル100の設置状態では、左側の傾斜屋根部50Lの屋根パネル100に設けられた上側断熱層120と、右側の傾斜屋根部50Rの屋根パネル100に設けられた上側断熱層120とが、棟木22の上側(左右の屋根パネル100の境界部)にて断熱部材171を介して連結される(
図1参照)。該連結された左右の屋根パネル100の上側断熱層120は、上述した左右の側壁部30に設けられた外側断熱層32(
図1参照)と協働して、気密ラインKの外側で建物全体を囲むように断熱ライン(図示省略)を形成する。
【0092】
図11は、
図10の状態からフレーム体110の上側に野地板160を取付けた状態を示す斜視図である。本例では、野地板160は四つ設けられている。これら四つの野地板160は、フレーム体110の上側全体を覆うように二行二列に配置されている。各野地板160は、屋根縦方向に長い矩形板材からなりフレーム体110の各垂木部材111の上端面に当接して配置されている。各野地板160はそれぞれ、釘106によりフレーム体110に固定されている。
【0093】
図3に示すように、各野地板160の下面と上側断熱部材121の上面との間には、隙間が存在している。この隙間は、垂木部材111に沿って屋根縦方向に延びる屋根側通気路161を構成している。屋根側通気路161は左右の傾斜屋根部50L,50Rの屋根パネル100に形成され、この左右の屋根側通気路161は、棟木22の上側にて互いに連通している(
図1参照)。各屋根側通気路161の下端部は、複数の垂木部材111の間の空間を通じて前記壁側通気路37の上端部に連通している。これにより、
図3の破線矢印で示すように、水分を含む高湿の空気を壁側通気路37及び屋根側通気路161を介して換気することができる。
【0094】
(屋根パネルの組立て手順)
以上、屋根パネル100及び該屋根パネル100を含む建物1の構成について説明した。上述した
図6から
図10は、屋根パネル100の各部材の抽出斜視図であるとともに、組立て手順図としても理解される。以下、この組立て手順を簡単に説明しておく。屋根パネル100を組み立てる際には、先ず、フレーム体110を用意し(
図6参照)、用意したフレーム体110の下端面に屋根側防湿シート141及び軒桁取付部材151を直接取付ける(
図7参照)。この際、先ず軒桁取付部材151をフレーム体110に取り付けて、屋根側防湿シート141の一端部を、軒桁取付部材151の鉛直端面151b(
図4参照)に沿って屈曲させることで下側延出シート部141bを形成する。そうして、軒桁取付部材151及び屋根側防湿シート141の取付けが完了した後、母屋取付部材150を、フレーム体110の下面に屋根側防湿シート141を挟んで取付けるとともに(
図8参照)、屋根側防湿シート141の平坦状シート部141aの下面に下側断熱部材131を固定する(
図9参照)。この状態で、フレーム体110の各垂木部材111の側面に面した各空間113に上側断熱部材121を嵌め込んで固定する(
図10参照)。このとき、各空間113の下側は屋根側防湿シート141の平坦状シート部141aにより閉塞されているので、上側断熱部材121が下側に脱落することもない。上側断熱部材121を固定した後は、フレーム体110に野地板160を取付けて屋根パネル100が完成する(
図11参照)。なお、断熱部材170,171の取付け作業は適宜のタイミングで行えばよい。また、ここで説明した屋根パネル100の組立て手順は一例でありこれに限定されない。
【0095】
(屋根パネルの建物本体への組付け手順)
完成した屋根パネル100(
図4参照)を建物本体10に組付ける際には、軒桁24の上面と、母屋23の上面と、棟木防湿シート29の上面とに当該屋根パネル100をビスなどで固定する。具体的には、屋根パネル100を、棟木22、母屋23及び軒桁24の上側にて屋根勾配に対応する角度に傾けて位置合わせを行った後、当該屋根パネル100を
図4の白抜き矢印に示すように下側に移動させて固定する。そうして、屋根パネル100の組付け作業が完了する。
【0096】
そして、屋根パネル100の組付けが完了すると、
図3に示すように、屋根側防湿シート141(屋根側気密用層140)の下側延出シート部141bの下端面と、本体側防湿シート35(本体側気密用層39)の上端面とが当接する。この結果、本体側気密用層39と屋根側気密用層140とが連続的に繋がるので、
図1に示すように建物本体10の側壁部30側から屋根50側に至る連続した気密ラインKが形成される。この気密ラインKは棟木22を挟んで左右両側に形成される。そして、この左右の気密ラインKは棟木22の上面を覆う前記棟木防湿シート29を介して連続的に繋がる。
【0097】
なお、気密ラインKとは、屋内空間IS側と屋外空間OS側との空気の流通が遮断される面を、屋根横方向から見たラインであって気密用を兼ねる防湿ラインである。この気密ラインKが途中で途切れていると、この途切れ箇所にて建物1の気密性及び防湿性が損なわれることとなるが、本例ではこの気密ラインKが連続的に繋がっているので建物1の気密性を高く維持することができる。
【0098】
(作用効果)
以上説明したように、本実施形態に係る屋根パネル100は、フレーム体110と、フレーム体110に支持され、上下に並んで配置される上側断熱層120及び下側断熱層130と、上側断熱層120と下側断熱層130との間に介装される屋根側気密用層140とを備えている。そして、上側断熱層120の厚さT1は、下側断熱層130の厚さT2よりも大きく設定されている。
【0099】
この屋根パネル100によれば、上側断熱層120と下側断熱層130と屋根側気密用層140とが1つのフレーム体110に支持されてユニット化されている。したがって、作業者は、屋根パネル100を設置するだけでこれらの各層120,130,140の設置作業を完了することができ、作業効率を格段に向上させることができる。すなわち、このようなユニット化された屋根パネル100を使用しない場合、作業者は断熱層に挟まれた箇所に屋根側気密用層とを配置する必要があり、その作業は非常に困難である。これに対して、前記屋根パネル100によれば、上側断熱層120と下側断熱層130と屋根側気密用層140とが1つのフレーム体110に支持されて互いの位置関係が予め固定されているので、これら各層120,130,140を個別に設置する場合に比べて作業が容易になる。
【0100】
また、屋根側気密用層140(
図3参照)が上側断熱層120と下側断熱層130との間に配置されているので、各断熱層120,130における夏型結露及び冬型結露を有効に抑制することができる。すなわち、冬季には、低温の外気による屋根側気密用層140の冷却を上側断熱層120によって抑制することができる。したがって、屋内空間IS内の高湿の空気が下側断熱層130を透過して屋根側気密用層140に到達したとしても、該屋根側気密用層140による当該空気の冷却が抑制されるので結露の発生も抑制される。また、夏季には、空調機で冷却された屋内空間IS内の空気による屋根側気密用層140の冷却を下側断熱層130によって抑制することができる。したがって、屋外空間OSから高湿の空気が上側断熱層120を透過して屋根側気密用層140に到達したとしても、該屋根側気密用層140による当該空気の冷却は抑制されるので結露の発生も抑制される。
【0101】
ここで、冬季における低温側空間(この場合は屋外空間OS)の温度は0℃近くまで低下するのに対し、夏季における低温側空間の温度(この場合、屋内空間IS)はせいぜい20℃程度である。このため、冬季においては、夏季に比べて、屋外空間OSの低温空気による屋根側気密用層140の冷却が著しい。そこで、前記屋根パネル100では、上側断熱層120の厚さT1(つまり屋外空間OS側の断熱層の厚さ)を、下側断熱層130の厚さT2(屋内空間側の断熱層の厚さ)よりも大きく設定することで、冬季における屋根側気密用層140の温度低下を十分に抑制するようにした。これにより、冬型結露の発生を有効に抑制することができる。したがって、前記屋根パネル100によれば、冬型結露対策に充填を置きつつ、冬型結露と夏型結露との双方を有効に抑制することができる。
【0102】
また、本実施形態に係る屋根パネル100では、屋根側気密用層140は、前記設置状態において、建物本体10に設けられた本体側気密用層39に接続されるように構成されている(
図3参照)。屋根側気密用層140と本体側気密用層39とが接続されると上述の気密ラインK(
図1参照)が形成されるので、作業者は屋根パネル100の設置作業とは別に気密ラインKの形成作業を行う必要がなく、作業を効率的に進めることができる。
【0103】
本実施形態に係る屋根パネル100では、屋根側気密用層140は、前記設置状態において、上側断熱層120と下側断熱層130との間に介在する平坦状シート部141a(介在部)と、平坦状シート部141aの軒側の端縁に接続された下側延出シート部141b(非介在部)とを有し、下側延出シート部141bは、前記設置状態において、本体側気密用層39に接続される(
図3参照)。これによれば、屋根側気密用層140と、該屋根側気密用層140から離間した位置に設けられる本体側気密用層39とを下側延出シート部141bを利用して容易に接続することができる。
【0104】
しかも、本実施形態に係る屋根パネル100では、下側延出シート部141bは、屋根横方向から見て平坦状シート部141aの延長線よりも下側に延びるように形成されている(
図3参照)。これによれば、屋根側気密用層140とその下側に離間した位置に配置される本体側気密用層39とを、下側延出シート部141bを利用してより一層容易に接続することができる。
【0105】
また、本実施形態に係る屋根パネル100は、その設置状態において、フレーム体110と軒桁24との間に介在することで、複数の垂木部材111の左右方向(水平方向の一例)に対する傾斜角度を所定角度に保持する軒桁取付部材151を備えている。そして、この軒桁取付部材151の下面151cは、前記屋根パネル100前記設置状態において軒桁24により水平に支持されるように構成されている(
図3参照)。これによれば、屋根パネル100の設置に際して、フレーム体110が屋根勾配に沿って落下するのを防止することができる。延いては、屋根パネル100の設置作業性を向上させることができる。
【0106】
さらに、本実施形態に係る屋根パネル100では、前記設置状態において、軒桁取付部材151は屋根縦方向において下側断熱層130に対向するように配置され、前記屋根側防湿シート141の下側延出シート部141bは、軒桁取付部材151と下側断熱層130との間に挟まれて配置される(
図3参照)。これによれば、屋根側防湿シート141の下側延出シート部141bが、軒桁取付部材151と下側断熱層130との間でしっかりと固定される。したがって、下側延出シート部141bの位置を一定に維持して、当該下側延出シート部141bを利用した屋根側気密用層140と本体側気密用層39との接続を確実に行うことができる。
【0107】
また、本実施形態に係る屋根パネル100では、屋根側防湿シート141の下側延出シート部141bは、その下端面(下端部の一例)が、軒桁取付部材151と下側断熱層130との間から下側に露出して本体側気密用層39に接続されるように構成されている(
図3参照)。これによれば、下側延出シート部141bの下端面が露出しているので、当該下側延出シート部141bの下端面を本体側気密用層39に容易に接続することができる。延いては、屋根側気密用層140と本体側気密用層39との接続による気密ラインK(
図1参照)の形成が容易になる。
【0108】
加えて、本実施形態に係る屋根パネル100では、屋根側防湿シート141の下側延出シート部141bは、その下端面が、前記設置状態において軒桁取付部材151の下面151cと同じ高さに位置するように構成されている(
図3参照)。これによれば、屋根側防湿シート141の下側延出シート部141bの下端面と軒桁取付部材151の下面とが面一になるので、軒桁取付部材151を軒桁24の上面に取付ける際に下側延出シート部141bが邪魔にならず作業を容易に行うことができる。また、屋根パネル100を設置するだけで、下側延出シート部141bの下端面と、本体側気密用層39の上端面とが当接して、屋根側気密用層140と本体側気密用層39とが接続される。したがって、作業効率を向上させることができる。また、屋根側防湿シート141の下側延出シート部141bを本体側気密用層39の厚さ方向に重ねる必要がないので、下側延出シート部141bの長さを節約して材料コストを低減することができる。
【0109】
また、本実施形態に係る屋根パネル100では、上側断熱層120を構成する上側断熱部材121は、フレーム体110における複数の垂木部材111と屋根側防湿シート141とによって形成される空間113内に配置されている(
図10参照)。これによれば、作業者が上側断熱部材121を当該空間113内に配置する際に、予め屋根側防湿シート141をフレーム体110に取付けておくことで、当該空間113から上側断熱部材121が脱落するのを防止することができる。よって、前記フレーム体110に対する上側断熱部材121の取付け作業性を向上させることができる。
【0110】
また、本実施形態に係る屋根パネル100は、フレーム体110における複数の垂木部材111の上端面に当接するとともに該フレーム体110の上側を覆う野地板160をさらに備えている。上側断熱層120は、その上面と野地板160との間に、屋根縦方向に延びる屋根側通気路161を形成するように構成されている(
図3参照)。これによれば、屋根パネル100内の高湿の空気を屋根側通気路161を介して換気することができる。よって、屋根パネル100内に高湿の空気が滞留して結露が生じるのを防止することができる。
【0111】
また、本実施形態に係る屋根パネル100では、前記フレーム体110は、屋根横方向に延びて前記複数の垂木部材111の軒側の端部同士を連結する連結部材112をさらに有している。連結部材112は、上側断熱層120の突出部121aよりも軒側に離間した位置に配置されている。連結部材112と上側断熱層120の突出部121aとの間には、前記複数の垂木部材111により区画されて前記屋根側通気路161に連通する連通路162が形成されている(
図3参照)。これによれば、各断熱層120,130やフレーム体110に連通孔を形成したりすることなく簡単な構成で屋根側通気路161への連通路162を確保することができる。本実施形態の例ではこの連通路162を利用して、壁側通気路37と屋根側通気路161とを連通させることで空気の換気通路を簡単に構成することができる。
【0112】
また、本実施形態に係る屋根パネル100を備えた建物1では、本体側気密用層39を構成する本体側防湿シート35は、軒桁24の室内側面及び柱部材38の室内側面に取付けられて上下方向に延設されている。屋根パネル100の屋根側防湿シート141により構成される屋根側気密用層140は、本体側気密用層39と協働することにより、屋根横方向から見て側壁部30側から屋根50側に亘って連続する気密ラインK(
図1参照)を形成する。これによれば、側壁部30側から前記屋根50側に亘って気密ラインKが連続的に繋がっているので、建物本体10の側壁部30と屋根50との接続部においても気密性を確保することができる。よって、冬型結露及び夏型結露の発生をより一層確実に抑制することができる。
【0113】
また、本実施形態に係る屋根パネル100を備えた建物1では、屋根パネル100に設けられた上側断熱層120は、屋根縦方向において下側断熱層130よりも軒側(屋根外方側)に突出する突出部121aを有するとともに、前記屋根パネル100の設置状態において、該突出部121aが、前記側壁部30に設けられた外側断熱層32の上側に位置するように構成されている。これによれば、屋根パネル100の上側断熱層120と、建物本体10の側壁部30の外側断熱層32とによって、気密ラインIの外側を囲むように各断熱層32,120を配置することができる(
図1参照)。よって、屋外空間OSの冷気によって気密ラインIを構成する屋根側気密用層140及び本体側気密用層39が冷却されるのを抑制し、上述の冬型結露の発生を抑制することができる。また、建物1全体の断熱性を向上させて室内空間S1の温度を快適に保つことができる。
【0114】
また、本実施形態に係る屋根パネル100を備えた建物1では、側壁部30における外側断熱層32と外壁パネル31との間には上下方向に延びる壁側通気路37が形成されており、この壁側通気路37は、複数の垂木部材111の間の空間を介して屋根パネル100内の屋根側通気路161に連通している(
図3参照)。これによれば、例えば屋内空間ISから漏出した高湿の空気や、屋外空間OSから外壁パネル31の屋内側に侵入した高湿の空気は、
図3の破線矢印で示すように、壁側通気路37及び屋根側通気路161を通って換気される。したがって、側壁部30内における結露の発生を抑制することができる。
【0115】
本実施形態に係る屋根パネル100を備えた建物1では、左右の傾斜屋根部50L,50Rの屋根側気密用層140は、屋根横方向から見て、棟木22の上側(両傾斜屋根部50L,50Rの境界部)にて棟木防湿シート29を介して互いに連結される(
図1参照)。これによれば、一対の傾斜屋根部50L,50Rの屋根側気密用層140が棟木22の上側で途切れることなく連続的に繋がる。したがって、棟木22の上側にて左右の気密ラインKが連続的に繋がるので、両傾斜屋根部50L,50Rの境界部にて建物1の気密性が損なわれるのを防止することができる。
【0116】
また、本実施形態に係る屋根パネル100を備えた建物1では、左右の傾斜屋根部50L,50Rの上側断熱層120は、屋根横方向から見て、棟木22の上側(両傾斜屋根部50L,50Rの境界部)にて互いに連結される(
図1参照)。これによれば、一対の傾斜屋根部50L,50Rの上側断熱層120が棟木22の上側で途切れることなく連続的に繋がって一つの断熱ライン(図示省略)を形成する。したがって、棟木22の上側(つまり一対の傾斜屋根部50L,50Rの境界部)にて断熱ラインが途切れて建物1の断熱性が損なわれるのを防止することができる。
【0117】
(他の変形実施形態)
以上、本発明の実施形態に係る屋根パネル100及び建物1について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば次のような変形実施形態を採用することができる。なお、以下の変形実施形態の説明において、先の実施形態と同じ構成を有する部材には同じ符号を付している。
【0118】
(1)
図12Aは、変形実施形態1を示している。この
図12Aは、
図4における左端の部分断面図に相当する図である。この変形実施形態1では、屋根側防湿シート141の下側延出シート部141bの構成が先の実施形態とは異なる。すなわち、本変形実施形態では、下側延出シート部141bは、軒桁取付部材151の下端位置よりも下側に突出している。この構成によれば、屋根パネル100の設置状態において、下側延出シート部141b(屋根側気密用層140の一部)の下端部を、本体側気密用層39の上端部に内側から重ねて接続(固定)することができる。これにより、屋根側気密用層140と本体側気密用層39との接続代を十分に確保することができる。よって、屋根側気密用層140と本体側気密用層39との接続部分において気密ラインK(
図1参照)の連続性が損なわれるのを防止することができる。延いては、気密ラインKの連続性を確保して夏型結露と冬型結露との双方を有効に抑制するという先の実施形態と同様の作用効果を確実に得ることができる。
【0119】
(2)
図12Bは、変形実施形態2を示している。この変形実施形態2では、軒桁取付部材151が、屋根パネル100とは別体で構成されて軒桁24の上面に予め固定されている点で変形実施形態1とは異なる。この構成によっても先の変形実施形態1と同様に、屋根側気密用層140と本体側気密用層39とが繋がることにより気密ラインKが形成されるという作用効果を得ることができる。
【0120】
(3)
図13Aは、変形実施形態3を示している。この変形実施形態3では、屋根側気密用層140の構成が先の実施形態とは異なっている。すなわち、本変形実施形態3では、屋根側気密用層140は、屋根側防湿シート141と軒桁取付部材152とで構成されている。
【0121】
屋根側防湿シート141は、
図3の下側延出シート部141bを有しておらず平坦状シート部141aのみで構成されている。平坦状シート部141aの軒側の端面は、軒桁取付部材152の鉛直端面152bに当接して接続されている。この場合、屋根側防湿シート141が上側断熱層120と下側断熱層130との間に介在する介在部に相当し、軒桁取付部材152が、前記介在部に接続された非介在部に相当する。
【0122】
軒桁取付部材152は、先の実施形態の軒桁取付部材151と同形状であるが、その材質が異なっている。すなわち、軒桁取付部材152は、気密性を発揮する部材、例えば、樹脂や金属で構成されている。また、軒桁取付部材152は、木材の表面に樹脂や金属をコーティングして構成されていてもよい。
【0123】
軒桁取付部材152の傾斜面152a、鉛直端面152b及び下面152cはそれぞれ、先の実施形態における軒桁取付部材151の傾斜面151a、鉛直端面151b及び下面151cに対応しているが、以下の点で先の実施形態とは異なる。すなわち、軒桁取付部材152は、その下面152cが、屋根パネル100の設置状態において、軒桁24の上面のみでなく本体側気密用層39の上端面にも当接するように形成されている。この当接によって、軒桁取付部材152と屋根側防湿シート141とを含む前記屋根側気密用層140が、本体側気密用層39に接続される。したがって、屋根パネル100を設置するだけで、屋根側気密用層140と本体側気密用層39とを接続して気密ラインKを形成することができる。また、屋根側気密用層140を構成する軒桁取付部材152は、シート状部材に比べて剛性が高く位置ばらつきが少ないので、該軒桁取付部材152を介した屋根側気密用層140と本体側気密用層39との接続を確実に行うことができる。よって、先の実施形態と同様に、屋根側気密用層140と本体側気密用層39とが繋がることにより気密ラインKが形成されるという作用効果を得ることができる。
【0124】
(4)
図13Bは、変形実施形態4を示している。この変形実施形態4では、軒桁取付部材152が、屋根パネル100とは別体で構成されて軒桁24及び本体側防湿シート35の上端面に予め固定されている点で変形実施形態3とは異なる。本変形実施形態では、本体側気密用層39は、軒桁取付部材152と本体側防湿シート35とによって構成される。この構成によっても先の変形実施形態3と同様に、屋根側気密用層140と本体側気密用層39とが繋がることにより気密ラインKが形成されるという作用効果を得ることができる。
【0125】
(5)先の実施形態では、建物本体10に設けられる横架材21(棟木22、母屋23及び軒桁24)は木材で構成されているが、これに限ったものではなく、例えば鉄骨などの金属部材で構成されていてもよい。この場合、軒桁24は、それ自身が本体側気密用層39の一部を構成して気密ラインKを形成することができるが、さらに、金属製の軒桁24の内側面に発砲ウレタンを吹き付けて、この発泡ウレタンを本体側気密用層39の一部としてもよい。なお、木製の軒桁24の内側面に発泡ウレタンを吹き付けて、この発泡ウレタンを本体側気密用層39の一部としてもよい。また、先の実施形態でも述べたように、要求される気密レベルによっては、軒桁24を木材で構成したとしても当該軒桁24によって気密ラインKの一部を構成することができる。
【0126】
(6)先の実施形態における軒桁取付部材151、並びに、変形実施形態3及び4における軒桁取付部材152は、断面が三角形状に形成されているが、これに限ったものではなく、例えば三角形の頂部を平坦面状にカットした断面台形状に形成されていてもよい。すなわち、軒桁取付部材151,152は、フレーム体110の水平方向に対する傾斜角度を予め定めた角度に保持できる形状であれば如何なる形状であってもよい。また、軒桁取付部材151,152の下面は、必ずしも平面状に形成されている必要はなく、例えば、軒桁24の上面に対して屋根横方向に延びる線に沿って線接触するように形成されていてもよい。
【0127】
(7)先の実施形態では、軒桁取付部材151は木材により構成されているが、これに限ったものではなく、例えば板金を折り曲げて形成した金具で構成されていてもよい。
【0128】
(8)先の実施形態における軒桁取付部材151、並びに、変形実施形態3及び4における軒桁取付部材152は、横架材21に沿って屋根横方向に延びる一つの部材で構成されている、これに限ったものではなく、例えば、屋根横方向に間隔を空けて並ぶ複数の部材であってもよい。但し、この場合は、安定した気密ラインKを形成するために、先の実施形態の如く、軒桁取付部材151,152を、屋根側気密用層140である屋根側防湿シート141を本体側気密用層39に直接接続することが好ましい。
【0129】
(9)先の実施形態では、棟木防湿シート29で覆われた台座部材27(
図4参照)は、予め棟木22の上面に固定されているが、これに限ったものではなく、例えば、棟木防湿シート29で覆われた台座部材27を、
図4の左右の屋根パネル100の一方に予め取付けておいてもよい。
【0130】
(10)先の実施形態では、屋根側気密用層140は、屋根側防湿シート141により構成されているが、これに限ったものではなく、例えば、断熱部材の表面に吹付けや塗り付けにより形成した防水塗料などで構成されていてもよい。また、屋根側気密用層140の施工方法は、
図7及び
図8に示すように最初に屋根側防湿シート141をフレーム体110に取付けてその後に下側断熱部材131を取付ける施工手順に限らず、例えば、下側断熱部材131に、屋根側気密用層140としての屋根側防湿シート141又は防水塗料などを予め設けておき、その後、下側断熱部材131を屋根側気密用層140と共にフレーム体110に取付けるようにしてもよい。すなわち、上側断熱層120と下側断熱層130との間に屋根側気密用層140を設けるための方法は、如何なる方法(及び手順)であってもよい。
【0131】
(11)先の実施形態では、フレーム体110における垂木部材111の下面に屋根側防湿シート141を固定した後に、当該屋根側防湿シート141の下面に下側断熱部材131を固定するようにしているが、これに限ったものではなく、例えば、垂木部材111の下面に中間断熱部材(図示省略)を配置した後、当該中間断熱部材の下面に屋根側防湿シート141を配置し、当該屋根側防湿シート141の下面に下側断熱部材131を固定するようにしてもよい。そして、下側断熱部材131を配置した後は、先の実施形態と同様に、各垂木部材111の側面に面した空間(当該空間の底面は中間断熱部材により構成される)に上側断熱部材121を配置すればよい。そうして作成された屋根パネル100(図示省略)では、上側断熱層120は、屋根側防湿シート141の上側に位置する上側断熱部材121と前記中間断熱部材との二層により構成される一方、下側断熱層130は、先の実施形態と同様に屋根側防湿シート141の下側に位置する下側断熱部材131のみで構成されることとなる。これによれば、上側断熱層120の厚さを、下側断熱層130の厚さに比べて十分に大きく設定することができる。なお、この場合の屋根パネル100の作成手順は上述した手順に限定されない。
【0132】
(12)先の実施形態では、屋根パネル100が適用される屋根50は、切妻屋根により構成されているが、これに限ったものではなく、例えば、片流れ屋根、寄棟屋根などにより構成されていてもよい。また、屋根50は、これら傾斜屋根に限らず、例えば傾斜を有さない陸屋根で構成されていてもよい。
【0133】
(13)本発明には、先の実施形態及び各変形実施形態の任意の組み合わせを含む。
【符号の説明】
【0134】
1 :建物
10 :建物本体
13 :空間
21 :横架材
22 :棟木(横架材)
23 :母屋(横架材)
24 :軒桁(横架材、最外横架材)
30 :側壁部
31 :外壁パネル
32 :外側断熱層
37 :壁側通気路
38 :柱部材
39 :本体側気密用層
50 :屋根
50L :傾斜屋根部
50R :傾斜屋根部
100 :屋根パネル
110 :フレーム体
111 :垂木部材
112 :連結部材
113 :空間(屋根側気密用層を底面とする空間)
120 :上側断熱層
121 :上側断熱部材(上側断熱層)
121a :上側断熱部材の突出部(上側断熱層の突出部)
130 :下側断熱層
131 :下側断熱部材(下側断熱層)
140 :屋根側気密用層
141 :屋根側防湿シート
141a :平坦状シート部(介在部)
141b :下側延出シート部(非介在部)
151 :軒桁取付部材(取付部材)
151c :軒桁取付部材の下面
152 :軒桁取付部材(取付部材、屋根側気密用層)
152c :軒桁取付部材の下面
160 :野地板
161 :屋根側通気路
162 :連通路(垂木部材により区画される空間)
K :気密ライン
ОS :屋外空間
IS :屋内空間
S0 :複数の柱部材の間の空間
T1 :上側断熱層の厚さ
T2 :下側断熱層の厚さ