(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010866
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】熱供給システム、管理サーバ、動作方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
F24H 15/168 20220101AFI20240118BHJP
F24H 15/20 20220101ALI20240118BHJP
F24H 15/30 20220101ALI20240118BHJP
F24H 4/02 20220101ALI20240118BHJP
F24H 15/457 20220101ALI20240118BHJP
【FI】
F24H15/168
F24H15/20
F24H15/30
F24H4/02 C
F24H15/457
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022112419
(22)【出願日】2022-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土屋 和之
【テーマコード(参考)】
3L122
【Fターム(参考)】
3L122AA04
3L122AA23
3L122AA54
3L122AA63
3L122AB22
3L122AB33
3L122AB52
3L122BA02
3L122BA04
3L122BA13
3L122BA14
3L122BA23
3L122BA24
3L122BA36
3L122BA44
3L122BB03
3L122BB12
3L122BB13
3L122BB14
3L122BB15
3L122EA42
3L122EA50
(57)【要約】
【課題】電力需給が逼迫する時間帯において、蓄熱運転に起因する消費電力の増大を抑制することが可能な技術を提供する。
【解決手段】熱供給システムは、複数の熱供給装置と、管理サーバを備える。複数の熱供給装置のそれぞれは、蓄熱ユニットと、熱源ユニットを備えており、蓄熱運転を実行可能である。複数の熱供給装置のそれぞれは、過去の熱供給実績に基づいて、蓄熱運転時間帯を設定するように構成されている。管理サーバは、複数の熱供給装置のそれぞれの蓄熱運転時間帯を取得し、電力需給が逼迫する時間帯である需給逼迫時間帯を特定し、複数の熱供給装置のうち、蓄熱運転時間帯が需給逼迫時間帯と少なくとも部分的に重なるもののうちの少なくとも1つを、第1再設定対象熱供給装置として特定し、第1再設定対象熱供給装置の蓄熱運転時間帯を、需給逼迫時間帯と重ならない時間帯に再設定するように構成されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の熱供給装置と、前記複数の熱供給装置のそれぞれと通信可能な管理サーバを備える熱供給システムであって、
前記複数の熱供給装置のそれぞれは、
熱媒を蓄える蓄熱ユニットと、
電力を利用して前記熱媒を加熱する熱源ユニットを備えており、
前記複数の熱供給装置のそれぞれは、前記熱源ユニットにより前記熱媒を加熱して、加熱された前記熱媒を前記蓄熱ユニットへ蓄える蓄熱運転を実行可能であり、
前記複数の熱供給装置のそれぞれは、過去の熱供給実績に基づいて、前記蓄熱運転を実行する時間帯である蓄熱運転時間帯を設定するように構成されており、
前記管理サーバは、
前記複数の熱供給装置のそれぞれの前記蓄熱運転時間帯を取得し、
電力需給が逼迫する時間帯である需給逼迫時間帯を特定し、
前記複数の熱供給装置のうち、前記蓄熱運転時間帯が前記需給逼迫時間帯と少なくとも部分的に重なるもののうちの少なくとも1つを、第1再設定対象熱供給装置として特定し、
前記第1再設定対象熱供給装置の前記蓄熱運転時間帯を、前記需給逼迫時間帯と重ならない時間帯に再設定するように構成されている、熱供給システム。
【請求項2】
前記管理サーバは、前記複数の熱供給装置のうち、前記蓄熱運転時間帯が前記需給逼迫時間帯と少なくとも部分的に重なるもののうち、想定される熱供給量が多いものを、前記第1再設定対象熱供給装置として特定するように構成されている、請求項1の熱供給システム。
【請求項3】
前記管理サーバは、前記第1再設定対象熱供給装置の前記蓄熱運転時間帯を、前記需給逼迫時間帯よりも早い時間帯に再設定するように構成されている、請求項1または2の熱供給システム。
【請求項4】
前記管理サーバは、
前記複数の熱供給装置のうち、前記蓄熱運転時間帯が前記需給逼迫時間帯よりも早い時間帯に設定されているもののうち少なくとも1つを、第2再設定対象熱供給装置として特定し、
前記第1再設定対象熱供給装置について、前記蓄熱運転時間帯を前記需給逼迫時間帯よりも早い時間帯に再設定することに伴って、前記第2再設定対象熱供給装置について、前記蓄熱運転時間帯をより早い時間帯に再設定するように構成されている、請求項3の熱供給システム。
【請求項5】
管理サーバであって、
前記管理サーバは、複数の熱供給装置と、前記管理サーバを備える熱供給システムで使用され、
前記管理サーバは、前記複数の熱供給装置のそれぞれと通信可能であり、
前記複数の熱供給装置のそれぞれは、
熱媒を蓄える蓄熱ユニットと、
電力を利用して前記熱媒を加熱する熱源ユニットを備えており、
前記複数の熱供給装置のそれぞれは、前記熱源ユニットにより前記熱媒を加熱して、加熱された前記熱媒を前記蓄熱ユニットへ蓄える蓄熱運転を実行可能であり、
前記複数の熱供給装置のそれぞれは、過去の熱供給実績に基づいて、前記蓄熱運転を実行する時間帯である蓄熱運転時間帯を設定するように構成されており、
前記管理サーバは、
前記複数の熱供給装置のそれぞれの前記蓄熱運転時間帯を取得し、
電力需給が逼迫する時間帯である需給逼迫時間帯を特定し、
前記複数の熱供給装置のうち、前記蓄熱運転時間帯が前記需給逼迫時間帯と少なくとも部分的に重なるもののうちの少なくとも1つを、第1再設定対象熱供給装置として特定し、
前記第1再設定対象熱供給装置の前記蓄熱運転時間帯を、前記需給逼迫時間帯と重ならない時間帯に再設定するように構成されている、管理サーバ。
【請求項6】
管理サーバの動作方法であって、
前記管理サーバは、複数の熱供給装置と、前記管理サーバを備える熱供給システムで使用され、
前記管理サーバは、前記複数の熱供給装置のそれぞれと通信可能であり、
前記複数の熱供給装置のそれぞれは、
熱媒を蓄える蓄熱ユニットと、
電力を利用して前記熱媒を加熱する熱源ユニットを備えており、
前記複数の熱供給装置のそれぞれは、前記熱源ユニットにより前記熱媒を加熱して、加熱された前記熱媒を前記蓄熱ユニットへ蓄える蓄熱運転を実行可能であり、
前記複数の熱供給装置のそれぞれは、過去の熱供給実績に基づいて、前記蓄熱運転を実行する時間帯である蓄熱運転時間帯を設定するように構成されており、
前記動作方法は、
前記複数の熱供給装置のそれぞれの前記蓄熱運転時間帯を取得することと、
電力需給が逼迫する時間帯である需給逼迫時間帯を特定することと、
前記複数の熱供給装置のうち、前記蓄熱運転時間帯が前記需給逼迫時間帯と少なくとも部分的に重なるもののうちの少なくとも1つを、第1再設定対象熱供給装置として特定することと、
前記第1再設定対象熱供給装置の前記蓄熱運転時間帯を、前記需給逼迫時間帯と重ならない時間帯に再設定することを含む、動作方法。
【請求項7】
管理サーバのためのプログラムであって、
前記管理サーバは、複数の熱供給装置と、前記管理サーバを備える熱供給システムで使用され、
前記管理サーバは、前記複数の熱供給装置のそれぞれと通信可能であり、
前記複数の熱供給装置のそれぞれは、
熱媒を蓄える蓄熱ユニットと、
電力を利用して前記熱媒を加熱する熱源ユニットを備えており、
前記複数の熱供給装置のそれぞれは、前記熱源ユニットにより前記熱媒を加熱して、加熱された前記熱媒を前記蓄熱ユニットへ蓄える蓄熱運転を実行可能であり、
前記複数の熱供給装置のそれぞれは、過去の熱供給実績に基づいて、前記蓄熱運転を実行する時間帯である蓄熱運転時間帯を設定するように構成されており、
前記プログラムは、前記管理サーバに、
前記複数の熱供給装置のそれぞれの前記蓄熱運転時間帯を取得するステップと、
電力需給が逼迫する時間帯である需給逼迫時間帯を特定するステップと、
前記複数の熱供給装置のうち、前記蓄熱運転時間帯が前記需給逼迫時間帯と少なくとも部分的に重なるもののうちの少なくとも1つを、第1再設定対象熱供給装置として特定するステップと、
前記第1再設定対象熱供給装置の前記蓄熱運転時間帯を、前記需給逼迫時間帯と重ならない時間帯に再設定するステップを実行させるように構成されている、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、熱供給システム、管理サーバ、動作方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、熱供給装置が開示されている。前記熱供給装置は、熱媒を蓄える蓄熱ユニットと、電力を利用して前記熱媒を加熱する熱源ユニットを備えている。前記熱供給装置は、前記熱源ユニットにより前記熱媒を加熱して、加熱された前記熱媒を前記蓄熱ユニットへ蓄える蓄熱運転を実行可能である。前記熱供給装置は、過去の熱供給実績に基づいて、前記蓄熱運転を実行する時間帯である蓄熱運転時間帯を設定するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような熱供給装置が複数の住居のそれぞれに設置されている場合、同じような生活様式の住居では同じような時間帯に蓄熱運転が実行されることになり、複数の住居の全体で見た時に一時的な消費電力の増大を招くことがある。複数の住居に電力を供給する電力事業者の電力需給が逼迫する時間帯に、このような消費電力の増大を招いてしまうと、電力需給をさらに逼迫させてしまうおそれがある。本明細書では、電力需給が逼迫する時間帯において、蓄熱運転に起因する消費電力の増大を抑制することが可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示する熱供給システムは、複数の熱供給装置と、前記複数の熱供給装置のそれぞれと通信可能な管理サーバを備えていてもよい。前記複数の熱供給装置のそれぞれは、熱媒を蓄える蓄熱ユニットと、電力を利用して前記熱媒を加熱する熱源ユニットを備えていてもよい。前記複数の熱供給装置のそれぞれは、前記熱源ユニットにより前記熱媒を加熱して、加熱された前記熱媒を前記蓄熱ユニットへ蓄える蓄熱運転を実行可能であってもよい。前記複数の熱供給装置のそれぞれは、過去の熱供給実績に基づいて、前記蓄熱運転を実行する時間帯である蓄熱運転時間帯を設定するように構成されていてもよい。前記管理サーバは、前記複数の熱供給装置のそれぞれの前記蓄熱運転時間帯を取得し、電力需給が逼迫する時間帯である需給逼迫時間帯を特定し、前記複数の熱供給装置のうち、前記蓄熱運転時間帯が前記需給逼迫時間帯と少なくとも部分的に重なるもののうちの少なくとも1つを、第1再設定対象熱供給装置として特定し、前記第1再設定対象熱供給装置の前記蓄熱運転時間帯を、前記需給逼迫時間帯と重ならない時間帯に再設定するように構成されていてもよい。
【0006】
本明細書は、管理サーバも開示する。前記管理サーバは、複数の熱供給装置と、前記管理サーバを備える熱供給システムで使用されてもよい。前記管理サーバは、前記複数の熱供給装置のそれぞれと通信可能であってもよい。前記複数の熱供給装置のそれぞれは、熱媒を蓄える蓄熱ユニットと、電力を利用して前記熱媒を加熱する熱源ユニットを備えていてもよい。前記複数の熱供給装置のそれぞれは、前記熱源ユニットにより前記熱媒を加熱して、加熱された前記熱媒を前記蓄熱ユニットへ蓄える蓄熱運転を実行可能であってもよい。前記複数の熱供給装置のそれぞれは、過去の熱供給実績に基づいて、前記蓄熱運転を実行する時間帯である蓄熱運転時間帯を設定するように構成されていてもよい。前記管理サーバは、前記複数の熱供給装置のそれぞれの前記蓄熱運転時間帯を取得し、電力需給が逼迫する時間帯である需給逼迫時間帯を特定し、前記複数の熱供給装置のうち、前記蓄熱運転時間帯が前記需給逼迫時間帯と少なくとも部分的に重なるもののうちの少なくとも1つを、第1再設定対象熱供給装置として特定し、前記第1再設定対象熱供給装置の前記蓄熱運転時間帯を、前記需給逼迫時間帯と重ならない時間帯に再設定するように構成されていてもよい。
【0007】
本明細書は、管理サーバの動作方法も開示する。前記管理サーバは、複数の熱供給装置と、前記管理サーバを備える熱供給システムで使用されてもよい。前記管理サーバは、前記複数の熱供給装置のそれぞれと通信可能であってもよい。前記複数の熱供給装置のそれぞれは、熱媒を蓄える蓄熱ユニットと、電力を利用して前記熱媒を加熱する熱源ユニットを備えていてもよい。前記複数の熱供給装置のそれぞれは、前記熱源ユニットにより前記熱媒を加熱して、加熱された前記熱媒を前記蓄熱ユニットへ蓄える蓄熱運転を実行可能であってもよい。前記複数の熱供給装置のそれぞれは、過去の熱供給実績に基づいて、前記蓄熱運転を実行する時間帯である蓄熱運転時間帯を設定するように構成されていてもよい。前記動作方法は、前記複数の熱供給装置のそれぞれの前記蓄熱運転時間帯を取得することと、電力需給が逼迫する時間帯である需給逼迫時間帯を特定することと、前記複数の熱供給装置のうち、前記蓄熱運転時間帯が前記需給逼迫時間帯と少なくとも部分的に重なるもののうちの少なくとも1つを、第1再設定対象熱供給装置として特定することと、前記第1再設定対象熱供給装置の前記蓄熱運転時間帯を、前記需給逼迫時間帯と重ならない時間帯に再設定することを含んでもよい。
【0008】
本明細書は、管理サーバのためのプログラムも開示する。前記管理サーバは、複数の熱供給装置と、前記管理サーバを備える熱供給システムで使用されてもよい。前記管理サーバは、前記複数の熱供給装置のそれぞれと通信可能であってもよい。前記複数の熱供給装置のそれぞれは、熱媒を蓄える蓄熱ユニットと、電力を利用して前記熱媒を加熱する熱源ユニットを備えていてもよい。前記複数の熱供給装置のそれぞれは、前記熱源ユニットにより前記熱媒を加熱して、加熱された前記熱媒を前記蓄熱ユニットへ蓄える蓄熱運転を実行可能であってもよい。前記複数の熱供給装置のそれぞれは、過去の熱供給実績に基づいて、前記蓄熱運転を実行する時間帯である蓄熱運転時間帯を設定するように構成されていてもよい。前記プログラムは、前記管理サーバに、前記複数の熱供給装置のそれぞれの前記蓄熱運転時間帯を取得するステップと、電力需給が逼迫する時間帯である需給逼迫時間帯を特定するステップと、前記複数の熱供給装置のうち、前記蓄熱運転時間帯が前記需給逼迫時間帯と少なくとも部分的に重なるもののうちの少なくとも1つを、第1再設定対象熱供給装置として特定するステップと、前記第1再設定対象熱供給装置の前記蓄熱運転時間帯を、前記需給逼迫時間帯と重ならない時間帯に再設定するステップを実行させるように構成されていてもよい。
【0009】
上記の構成によれば、電力需給が逼迫する時間帯に蓄熱運転が実行されることを抑制することができる。このような構成とすることによって、電力需給が逼迫する時間帯において、蓄熱運転に起因する消費電力の増大を抑制することができる。
【0010】
上記の熱供給システムでは、前記管理サーバは、前記複数の熱供給装置のうち、前記蓄熱運転時間帯が前記需給逼迫時間帯と少なくとも部分的に重なるもののうち、想定される熱供給量が多いものを、前記第1再設定対象熱供給装置として特定するように構成されていてもよい。
【0011】
複数の熱供給装置のうち、想定される熱供給量が多いものは、それだけ蓄熱運転を実行したときの消費電力が大きいと考えられる。上記の構成によれば、電力需給が逼迫する時間帯において、蓄熱運転に起因する消費電力の増大をより効果的に抑制することができる。
【0012】
上記の熱供給システムでは、前記管理サーバは、前記第1再設定対象熱供給装置の前記蓄熱運転時間帯を、前記需給逼迫時間帯よりも早い時間帯に再設定するように構成されていてもよい。
【0013】
通常、複数の熱供給装置のそれぞれの蓄熱運転時間帯は、その熱供給装置において必要とされる熱量を、必要とされる時刻までに蓄熱できるように設定されている。このため、仮に蓄熱運転時間帯を当初に設定された時間帯よりも遅い時間帯に再設定してしまうと、その熱供給装置において必要とされる熱量を、必要とされる時刻までに蓄熱しておくことができないおそれがある。上記の構成によれば、蓄熱運転時間帯が当初に設定された時間帯よりも早い時間帯に再設定されるので、その熱供給装置において必要とされる熱量を、必要とされる時刻までに蓄熱しておくことができる。
【0014】
上記の熱供給システムでは、前記管理サーバは、前記複数の熱供給装置のうち、前記蓄熱運転時間帯が前記需給逼迫時間帯よりも早い時間帯に設定されているもののうち少なくとも1つを、第2再設定対象熱供給装置として特定し、前記第1再設定対象熱供給装置について、前記蓄熱運転時間帯を前記需給逼迫時間帯よりも早い時間帯に再設定することに伴って、前記第2再設定対象熱供給装置について、前記蓄熱運転時間帯をより早い時間帯に再設定するように構成されていてもよい。
【0015】
上記の構成によれば、蓄熱運転時間帯を再設定したことに伴って、一部の時間帯で蓄熱運転が集中的に実行されて、一時的に消費電力が増大してしまうことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施例の給湯システム100の構成を模式的に示す図である。
【
図2】実施例の貯湯式給湯器104の構成を模式的に示す図である。
【
図3】実施例の貯湯式給湯器104が設置されている住居102において給湯が行われる時間帯の例を示す図である。
【
図4】実施例の管理サーバ116が実行する沸上運転時間帯の再設定処理のフローチャートである。
【
図5】実施例の給湯システム100における、給湯器A-Fの沸上運転時間帯の例を示すグラフである。
【
図6】実施例の給湯システム100における、レベル1の節電要請に対応して再設定された、給湯器A-Fの沸上運転時間帯の例を示す図である。
【
図7】実施例の給湯システム100における、レベル2の節電要請に対応して再設定された、給湯器A-Fの沸上運転時間帯の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(実施例)
図1に示すように、本実施例に係る給湯システム100は、複数の住居102a、102b、・・・のそれぞれに設置された複数の貯湯式給湯器104a、104b、・・・および複数のホームゲートウェイ106a、106b、・・・と、貯湯式給湯器104a、104b、・・・の製造事業者114により管理される管理サーバ116を備えている。複数のホームゲートウェイ106a、106b、・・・と、管理サーバ116は、それぞれ、インターネット118に接続されている。
【0018】
なお、以降の説明では、複数の住居102a、102b、・・・のそれぞれ、複数の貯湯式給湯器104a、104b、・・・のそれぞれ、複数のホームゲートウェイ106a、106b、・・・のそれぞれを、単に住居102、貯湯式給湯器104、ホームゲートウェイ106と表記することがある。
【0019】
(貯湯式給湯器104)
図2に示すように、本実施例に係る貯湯式給湯器104は、HP(ヒートポンプ)ユニット4と、タンクユニット6と、バーナユニット8を備えている。
【0020】
(HPユニット4)
HPユニット4は、外気から吸熱して水を加熱する熱源である。HPユニット4は、圧縮機10と、凝縮器12と、膨張弁14と、蒸発器16からなるHP熱源17を備えている。HPユニット4は、冷媒(例えばフロン系冷媒)を、圧縮機10、凝縮器12、膨張弁14、蒸発器16の順に循環させることで、外気から吸熱して水を加熱する。圧縮機10は、冷媒を加圧して高温高圧にする。凝縮器12は、水との熱交換により冷媒を冷却する。凝縮器12の水流路の両端部には、それぞれ、HP往き経路19とHP戻り経路21が接続されている。膨張弁14は、冷媒を減圧して低温低圧にする。蒸発器16は、外気との熱交換により冷媒を加熱する。HPユニット4はさらに、凝縮器12に水を循環させる循環ポンプ18と、凝縮器12に流れ込む水の温度を検出する往きサーミスタ20と、凝縮器12から流れ出る水の温度を検出する戻りサーミスタ22と、外気温度を検出する外気温度サーミスタ23と、HPユニット4の各構成要素の動作を制御するHPコントローラ24を備えている。
【0021】
(タンクユニット6)
タンクユニット6は、タンク30と、混合弁32と、バイパス制御弁34を備えている。タンク30は、外側が断熱材で覆われており、内部に水を蓄える密閉型の容器である。本実施例のタンク30の容量は、例えば100リットルである。HPユニット4の循環ポンプ18が駆動すると、タンク30の底部の水が、タンク往き経路31およびHP往き経路19を介して、凝縮器12へ送られる。凝縮器12で加熱されて高温となった水は、HP戻り経路21およびタンク戻り経路33を介して、タンク30の頂部からタンク30内に戻される。HPユニット4によって加熱された水がタンク30に流れ込むと、タンク30の内部には、低温の水の層の上に高温の水の層が積み重なった温度成層が形成される。タンク30には、上部の水の温度を検出する上部サーミスタ36と、中間部の水の温度を検出する中間部サーミスタ37と、下部の水の温度を検出する下部サーミスタ38が取り付けられている。
【0022】
タンクユニット6には、給水経路40を介して水道水が供給される。給水経路40には、給水圧力を減圧する減圧弁42と、給水温度を検出する入水サーミスタ44が取り付けられている。給水経路40は、タンク30の底部に連通するタンク給水経路46と、混合弁32に連通するタンクバイパス経路48に分岐している。タンク給水経路46とタンクバイパス経路48には、それぞれ、逆止弁50、52が取り付けられている。また、タンクバイパス経路48には、混合弁32に流入する水道水の流量を検出する水側水量センサ54が取り付けられている。タンク30の頂部と混合弁32は、タンク出湯経路56を介して連通している。タンク出湯経路56には、逆止弁58と、混合弁32に流入するタンク30からの水の流量を検出する湯側水量センサ60が取り付けられている。
【0023】
混合弁32は、タンクバイパス経路48から流れ込む水道水と、タンク出湯経路56から流れ込むタンク30からの水を混合して、第1給湯経路62に送り出す。混合弁32は、図示しないステッピングモータによって弁体を駆動し、タンクバイパス経路48側の開度(水側の開度)と、タンク出湯経路56側の開度(湯側の開度)を調整する。第1給湯経路62には、混合弁32から送り出される水の温度を検出する混合サーミスタ64が取り付けられている。
【0024】
タンクユニット6からは、第2給湯経路66を介して、台所やシャワー、カラン等の給湯箇所への給湯が行われる。第2給湯経路66には、給湯箇所へ供給される水の温度を検出する給湯出口サーミスタ68と、逆止弁70が取り付けられている。第1給湯経路62と第2給湯経路66の間は、給湯バイパス経路72によって連通している。給湯バイパス経路72には、バイパス制御弁34が取り付けられている。タンクユニット6は、さらに、タンクユニット6の各構成要素の動作を制御するタンクコントローラ74を備えている。
【0025】
(バーナユニット8)
バーナユニット8は、バーナ80と、熱交換器82と、バイパスサーボ84と、水量サーボ86と、湯はり弁88を備えている。バーナ80は、燃料ガスの燃焼によって熱交換器82を流れる水を加熱する補助熱源機である。バーナ80には、ガス供給管(図示省略)を介して燃料ガスが供給される。熱交換器82には、バーナ往路90を介して、タンクユニット6の第1給湯経路62からの水が流れ込む。熱交換器82を通過した水は、バーナ復路92を介して、タンクユニット6の第2給湯経路66へ流れ出る。バーナ往路90には、バーナ往路90を流れる水の流量を調整する水量サーボ86と、バーナ往路90を流れる水の流量を検出する水量センサ91が取り付けられている。バーナ往路90とバーナ復路92の間は、バーナバイパス経路94を介して連通している。バーナ往路90とバーナバイパス経路94の接続部に、バイパスサーボ84が取り付けられている。バイパスサーボ84は、バーナ往路90からバーナバイパス経路94へ流れる水の流量を調整する。バーナ復路92には、熱交換器82から流れ出る水の温度を検出するバーナ給湯サーミスタ96が取り付けられている。バーナ復路92からは、湯はり経路98が分岐している。湯はり経路98には、湯はり弁88が取り付けられている。バーナユニット8からは、湯はり経路98を介して、給湯箇所である浴槽への湯はりが行われる。
【0026】
バーナユニット8はさらに、バーナコントローラ97と、バーナコントローラ97と通信可能なリモコン99と、を備えている。バーナコントローラ97は、バーナユニット8の各構成要素の動作を制御する。リモコン99は、スイッチやボタン等を介して、ユーザからの各種の操作入力を受け入れる。また、リモコン99は、表示や音声によってユーザに貯湯式給湯器104の設定や動作に関する各種の情報を通知する。
【0027】
HPコントローラ24、タンクコントローラ74、バーナコントローラ97、リモコン99は、何れも、CPU、ROM、RAM等の制御部と、EEPROM等の記憶部を備えており、記憶部に記憶されているプログラムに従って制御部が各種の処理を実行する。HPコントローラ24とタンクコントローラ74は、互いに通信可能である。タンクコントローラ74とバーナコントローラ97は、互いに通信可能である。従って、HPコントローラ24と、タンクコントローラ74と、バーナコントローラ97が協調して制御を行うことで、貯湯式給湯器104は沸上運転、給湯運転等の各種の動作を行うことができる。以下では、HPコントローラ24と、タンクコントローラ74と、バーナコントローラ97を総称して、単にコントローラとも呼ぶ。
【0028】
(沸上運転)
沸上運転では、貯湯式給湯器104は、HPユニット4を駆動して、タンク30内の水を加熱する。沸上運転が開始されると、コントローラは、HP熱源17の圧縮機10を駆動して、圧縮機10、凝縮器12、膨張弁14、蒸発器16の順に冷媒を循環させるとともに、循環ポンプ18を駆動して、タンク30と凝縮器12の間で水を循環させる。これによって、タンク30の底部から吸い出された水は、凝縮器12において沸上目標温度まで加熱されて、タンク30の頂部に戻される。コントローラは、往きサーミスタ20で検出される温度が沸上目標温度に達すると、タンク30内の水が全て沸上目標温度まで加熱された水で置き換えられたと判断して、沸上運転を終了する。
【0029】
(給湯運転)
給湯運転では、給湯設定温度の水を給湯箇所へ供給する。給湯設定温度は、ユーザによって設定される温度である。コントローラは、水側水量センサ54で検出される流量と、湯側水量センサ60で検出される流量を合算した流量(給湯流量ともいう)が最低動作流量以上となると、カランの開栓や浴槽への湯はりなどにより給湯箇所への給湯が開始されたものと判断する。コントローラは、上部サーミスタ36で検出される温度に応じて、以下の非燃焼給湯運転または燃焼給湯運転を実行する。
【0030】
コントローラは、上部サーミスタ36で検出される温度が給湯設定温度以上である場合、非燃焼給湯運転を実行する。非燃焼給湯運転では、コントローラは、バーナ80の燃焼運転を禁止するとともに、混合サーミスタ64で検出される温度が給湯設定温度となるように、混合弁32の開度を調整する。これによって、給湯箇所に給湯設定温度に温度調整された水が供給される。
【0031】
また、コントローラは、上部サーミスタ36で検出される温度が給湯設定温度未満の場合、燃焼給湯運転を実行する。燃焼給湯運転では、コントローラは、バーナ80の燃焼運転を許可するとともに、混合サーミスタ64で検出される温度が、給湯設定温度よりもバーナ80の最小加熱能力の分だけ低い温度となるように、混合弁32の開度を調整する。この場合、タンク30の上部から供給される高温の水と、給水経路40から供給される低温の水が、混合弁32において混合された後、バーナ80によって給湯設定温度まで加熱されて、給湯箇所へ供給される。なお、燃焼給湯運転には、混合弁32がタンク30側に全閉状態に固定されている場合も含まれる。この場合、コントローラは、バーナ80によって加熱された水が給湯設定温度になるように、バーナ80の加熱能力を調整する。
【0032】
上記の非燃焼給湯運転または燃焼給湯運転を実行中に、給湯流量が最低動作流量を下回ると、コントローラは、カランの閉栓や浴槽への湯はりの終了などにより給湯箇所への給湯が終了したものと判断して、給湯運転を終了する。
【0033】
(貯湯式給湯器104による沸上運転時間帯の設定処理)
以下では
図3を参照して、貯湯式給湯器104による沸上運転時間帯の設定処理について説明する。貯湯式給湯器104のコントローラは、住居102における過去の給湯の使用実績に応じて、当日の沸上運転時間帯を設定する。具体的には、コントローラは、住居102において、給湯が行われる度に、給湯が開始された時刻と、給湯が終了した時刻と、を示す給湯時刻情報と、供給された温水の量を示す給湯水量情報と、を記憶する。また、コントローラは、貯湯式給湯器104が沸上運転を実行する度に、沸上運転を開始した時刻と、沸上運転を終了した時刻と、を示す沸上時刻情報と、沸上運転で沸き上げた温水の量を示す沸上水量情報と、を記憶する。コントローラは、1日分の給湯時刻情報、給湯水量情報、沸上時刻情報および沸上水量情報を、住居102の1日分の運転履歴として記憶する。本実施例では、コントローラは、住居102の過去7日分の運転履歴を記憶する。このため、コントローラは、24時間毎に、8日前の運転履歴を消去して、前日の運転履歴を記憶する。
【0034】
次いで、コントローラは、住居102の過去7日分の運転履歴から、過去7日間において、最初の給湯が開始された時刻のうち、最も早い時刻を特定する。以下では、この時刻を「第1の給湯開始予定時刻S1」と呼ぶ。例えば、コントローラは、6:00を第1の給湯開始予定時刻S1として特定する(
図3参照)。なお、最初の給湯では、5L~20L程度の水が供給されることが多い。この場合、コントローラは、第1の給湯開始予定時刻S1までの沸上目標水量として30Lを設定する。
【0035】
また、コントローラは、住居102の過去7日分の運転履歴から、過去7日間において、湯張り運転が開始された時刻のうち、最も早い時刻を特定する。以下では、この時刻を「第2の給湯開始予定時刻B1」と呼ぶ。本実施例では、住居102では、毎日20:00に湯張り運転を開始するように予め設定されている。例えば、コントローラは、20:00を第2の給湯開始予定時刻B1として特定する(
図3参照)。なお、湯張り運転では、150L~180L程度の水が供給されることが多い。この場合、コントローラは、第2の給湯開始予定時刻B1までの沸上目標水量として100Lを設定する。
【0036】
さらに、コントローラは、住居102の過去7日分の運転履歴から、過去7日間において、最後の給湯が終了した時刻のうち、最も遅い時刻を特定する。以下では、この時刻を「給湯終了時刻G1」と呼ぶ。例えば、コントローラは、0:00を給湯終了時刻G1として特定する(
図3参照)。
【0037】
さらに、コントローラは、沸上目標温度、及び、沸上目標水量に基づいて、第1の所定時間α、第2の所定時間β、及び、第3の所定時間γを特定する。第1の所定時間αとは、最初の給湯の前に行う沸上運転において、沸上目標水量(例えば、30L)を沸上目標温度(例えば、45℃)まで加熱する場合の沸上運転の所要時間である。また、第2の所定時間βとは、湯張り運転の前に行う沸上運転において、沸上目標水量(例えば、100L)を沸上目標温度(例えば、45℃)まで加熱する場合の沸上運転の所要時間である。第3の所定時間γとは、HPユニット4の駆動を停止させた後に、タンク30に貯留されている高温の水のみを利用して、給湯終了時刻G1まで、給湯箇所に給湯設定温度の水を供給可能と想定される時間である。
【0038】
次いで、
図3に示すように、コントローラは、第1の給湯開始予定時刻S1から第1の所定時間αだけ前の時刻を第1の沸上開始予定時刻S0として特定し、第2の給湯開始予定時刻B1から第2の所定時間βだけ前の時刻を第2の沸上開始予定時刻B0として特定する。また、コントローラは、給湯終了時刻G1から第3の所定時間γだけ前の時刻をヒートポンプ停止時刻G0として特定する。そして、コントローラは、沸上開始予定時刻S0,B0が到来すると、沸上運転を開始させる。また、コントローラは、ヒートポンプ停止時刻G0が到来すると、沸上運転を禁止する。なお、第1の給湯開始予定時刻S1は、第1の沸上終了予定時刻S1ということもでき、第2の給湯開始予定時刻B1は、第2の沸上終了予定時刻B1ということもできる。
【0039】
(ホームゲートウェイ106)
図1に示すように、ホームゲートウェイ106は、例えば無線LAN等を介して、貯湯式給湯器104のコントローラと通信可能である。貯湯式給湯器104のコントローラは、ホームゲートウェイ106を介して、インターネット118に接続可能である。
【0040】
(管理サーバ116)
管理サーバ116は、CPU、ROM、RAM等の制御部と、HDD、SSD等の記憶部を備えており、記憶部に記憶されているプログラムに従って制御部が各種の処理を実行する。管理サーバ116は、インターネット118を介して、複数の貯湯式給湯器104のそれぞれと通信可能である。管理サーバ116は、複数の貯湯式給湯器104のそれぞれから、複数の貯湯式給湯器104のそれぞれで設定されている沸上運転時間帯を示す沸上運転時間帯データを取得可能である。沸上運転時間帯データは、例えば、沸上開始予定時刻S0,B0を示すデータと、沸上終了予定時刻S1,B1を示すデータを含む。なお、管理サーバ116は、複数の貯湯式給湯器104のそれぞれから、過去の所定期間(例えば7日間)における運転履歴を示すデータも取得可能である。また、管理サーバ116の記憶部には、複数の貯湯式給湯器104が設置されている住居102のそれぞれの所在地を示す所在地データが予め記憶されている。
【0041】
複数の住居102のそれぞれには、電力事業者から電力が供給されている。電力事業者は、ある地域において、ある時間帯、電力需給が逼迫することが予想される場合に、節電要請を発出する。この場合に、管理サーバ116は、インターネット118を介して、電力事業者が発出する節電要請の内容を示す節電要請データを受信可能である。節電要請データは、節電要請のレベルを示すレベルデータと、節電要請の対象地域を示す対象地域データと、節電要請の対象時間帯を示す対象時間帯データを含んでいる。節電要請のレベルは、電力需給の逼迫度合いに応じて電力事業者が節電を要請する度合いを複数の段階で示しており、例えば、レベル1は弱い節電要請を示しており、レベル2は強い節電要請を示している。
【0042】
(管理サーバ116による沸上運転時間帯の再設定処理)
管理サーバ116は、電力事業者から節電要請が発出されている場合に、必要に応じて、貯湯式給湯器104の当日の沸上運転時間帯の再設定を行う。管理サーバ116は、毎日、所定時刻(例えば2時)になると、
図4に示す処理を行う。
【0043】
S2では、管理サーバ116は、電力事業者から節電要請が発出されているか否かを判断する。管理サーバ116は、インターネット118を介して、節電要請データを受信した場合に、電力事業者から節電要請が発出されていると判断する。節電要請が発出されていない場合(NOの場合)、管理サーバ116は
図4の処理を終了する。節電要請が発出されている場合(YESの場合)、処理はS4へ進む。
【0044】
S4では、管理サーバ116は、節電要請データに基づいて、節電要請のレベル、対象地域および対象時間帯を特定する。
【0045】
S6では、管理サーバ116は、節電要請の対象地域と、貯湯式給湯器104が設置されている住居102の所在地に基づいて、節電要請の対象地域内にある貯湯式給湯器104を地域内貯湯式給湯器104’として特定する。
【0046】
S8では、管理サーバ116は、地域内貯湯式給湯器104’のそれぞれについて、当日の沸上運転時間帯を取得する。
【0047】
S10では、管理サーバ116は、節電要請の対象時間帯と、地域内貯湯式給湯器104’の沸上運転時間帯に基づいて、当日の沸上運転時間帯が節電要請の対象時間帯と重なる地域内貯湯式給湯器104’を、再設定候補貯湯式給湯器104’’として特定する。
【0048】
S12では、管理サーバ116は、節電要請のレベルがレベル1であるか否かを判断する。節電要請のレベルがレベル1の場合(YESの場合)、処理はS14へ進む。
【0049】
S14では、管理サーバ116は、再設定候補貯湯式給湯器104’’のうちで、沸上運転時間帯を再設定する対象とするものを、再設定対象貯湯式給湯器104’’’として特定する。例えば、管理サーバ116は、再設定候補貯湯式給湯器104’’のうちで、当日に想定される温水の供給量が多いもの、例えば、過去の所定期間(例えば7日間)における温水の供給量が多いもの、および/または、過去の所定期間(例えば7日間)における沸上運転の実行回数が多いものを、再設定対象貯湯式給湯器104’’’として特定する。
【0050】
S16では、管理サーバ116は、再設定対象貯湯式給湯器104’’’について、節電要請の対象時間帯と重なっている沸上運転時間帯を、節電要請の対象時間帯と重ならないように再設定する。例えば、管理サーバ116は、節電要請の対象時間帯と重なっている沸上運転時間帯を、節電要請の対象時間帯と重ならないように、所定の時間幅(例えば2時間)だけ早い時間帯に再設定する。なお、節電要請の対象時間帯の長さおよび/または沸上運転時間帯の長さに応じて、上記の時間幅の長さを変更してもよい。
【0051】
S18では、管理サーバ116は、再設定された沸上運転時間帯を示すデータを、再設定対象貯湯式給湯器104’’’に送信する。再設定対象貯湯式給湯器104’’’のコントローラは、再設定された沸上運転時間帯を示すデータを管理サーバ116から受信すると、当日の沸上運転時間帯を更新する。S18の後、
図4の処理は終了する。
【0052】
S12で、節電要請のレベルがレベル2である場合(NOの場合)、処理はS20へ進む。
【0053】
S20では、管理サーバ116は、再設定候補貯湯式給湯器104’’の全てを、再設定対象貯湯式給湯器104’’’として特定する。
【0054】
S22では、管理サーバ116は、再設定対象貯湯式給湯器104’’’について、節電要請の対象時間帯と重なっている沸上運転時間帯を、節電要請の対象時間帯と重ならないように再設定する。例えば、管理サーバ116は、節電要請の対象時間帯と重なっている沸上運転時間帯を、節電要請の対象時間帯と重ならないように、所定の時間幅(例えば2時間)だけ早い時間帯に再設定する。なお、節電要請の対象時間帯の長さおよび/または沸上運転時間帯の長さに応じて、上記の時間幅の長さを変更してもよい。
【0055】
S24では、管理サーバ116は、地域内貯湯式給湯器104’の中から、再設定対象貯湯式給湯器104’’’を追加するか否かを判断する。例えば、管理サーバ116は、S22の処理または後述するS28の処理によって、再設定対象貯湯式給湯器104’’’の沸上運転時間帯を再設定し、再設定後の沸上運転時間帯が、他の地域内貯湯式給湯器104’の沸上運転時間帯と重なる場合に、再設定対象貯湯式給湯器104’’’を追加する。再設定対象貯湯式給湯器104’’’を追加する場合(YESの場合)、処理はS26へ進む。
【0056】
S26では、管理サーバ116は、地域内貯湯式給湯器104’のうち、沸上運転時間帯が、S22の処理または後述するS28の処理によって再設定された沸上運転時間帯と重なるものを、再設定対象貯湯式給湯器104’’’として追加する。
【0057】
S28では、管理サーバ116は、S26の処理で追加された再設定対象貯湯式給湯器104’’’について、沸上運転時間帯を、所定の時間幅(例えば2時間)だけ早い時間帯に再設定する。S28の後、処理はS24へ戻る。
【0058】
S24で再設定対象貯湯式給湯器104’’’を追加しない場合(NOの場合)、処理はS30へ進む。
【0059】
S30では、管理サーバ116は、再設定された沸上運転時間帯を示すデータを、再設定対象貯湯式給湯器104’’’に送信する。再設定対象貯湯式給湯器104’’’のコントローラは、再設定された沸上運転時間帯を示すデータを管理サーバ116から受信すると、当日の沸上運転時間帯を更新する。S30の後、
図4の処理は終了する。
【0060】
以下では、
図5-
図7を参照して、節電要請に応じた沸上運転時間帯の再設定について説明する。
図5-
図7に示す例では、節電要請の対象地域内に、6つの貯湯式給湯器104(以下では、それぞれ、給湯器A-Fとも表記する)が存在している。
図5に示す例では、給湯器A,Bの沸上運転時間帯は、16:30-17:30に設定されており、給湯器C,Dの沸上運転時間帯は、17:30-18:30に設定されており、給湯器E,Fの沸上運転時間帯は18:30-19:30に設定されている。節電要請の対象時間帯は、18:00-19:00である。また、給湯器A,C,Eで当日に想定される温水の供給量は、給湯器B,D,Fで当日に想定される温水の供給量よりも多い。
【0061】
図6は、節電要請のレベルがレベル1の場合を示している。この場合、沸上運転時間帯が節電要請の対象時間帯と重なる給湯器C,D,E,Fのうち、当日に想定される温水の供給量が多い給湯器C,Eについて、沸上運転時間帯の再設定が行われる。例えば、給湯器Cの沸上運転時間帯は、15:30-16:30に再設定され、給湯器Eの沸上運転時間帯は、16:30-17:30に再設定される。これによって、節電要請の対象時間帯18:00-19:00における、給湯器A-Fの沸上運転による消費電力の増大を抑制することができる。
【0062】
図7は、節電要請のレベルがレベル2の場合を示している。この場合、沸上運転時間帯が節電要請の対象時間帯と重なる給湯器C,D,E,Fの全てについて、沸上運転時間帯の再設定が行われる。例えば、給湯器C,Dの沸上運転時間帯は、15:30-16:30に再設定され、給湯器E,Fの沸上運転時間帯は、17:30-18:30に再設定される。これによって、節電要請の対象時間帯18:00-19:00における、給湯器A-Fの沸上運転による消費電力の増大を大幅に抑制することができる。また、
図7に示す例では、給湯器C-Fの沸上運転時間帯の再設定に伴って、給湯器A,Bの沸上運転時間帯も、14:30-15:30に再設定される。これによって、節電要請の対象時間帯以外の時間帯において、同時に多数の貯湯式給湯器104が沸上運転を実行することを抑制することができる。
【0063】
(変形例)
上記の実施例では、熱供給システムとして給湯システム100を例とし、熱供給装置として貯湯式給湯器104を例として説明したが、熱供給システムおよび熱供給装置は暖房等の他の用途で使用される熱を供給するものであってもよい。この場合、熱媒は不凍液等の水以外の熱媒であってもよい。また、上記の実施例では、蓄熱ユニットとしてタンクユニット6を例として説明したが、蓄熱ユニットは他の形態で熱媒を蓄えるものであってもよい。さらに、上記の実施例では、熱源ユニットとして、HPユニット4を例として説明したが、熱源ユニットは電気ヒータ等の他の形態で熱媒を加熱するものであってもよい。
【0064】
上記の実施例では、電力事業者から節電要請が発出されている場合に、管理サーバ116が、節電要請データに基づいて、節電要請のレベル、対象地域、対象時間帯を特定する構成について説明した。これとは異なり、電力事業者から節電要請が発出されていない場合でも、管理サーバ116が、各地域の電力需給の経時的な変化を示すデータを取得して、電力需給が逼迫するおそれがある地域および時間帯を対象として、電力需給が逼迫する度合いに応じて、節電要請が発出されている場合と同様の処理を実行してもよい。
【0065】
上記の実施例では、管理サーバ116は、節電要請のレベルがレベル1の場合には、
図4のS14-S18の処理を実行し、節電要請のレベルがレベル2の場合には、
図4のS20―S30の処理を実行する構成について説明した。これとは異なり、管理サーバ116は、節電要請のレベルに関わらず、
図4のS14-S18の処理を実行するように構成してもよいし、節電要請のレベルに関わらず、
図4のS20-S30の処理を実行するように構成してもよい。また、管理サーバ116は、
図4のS24-S28を行わない構成としてもよい。この場合、
図4のS22の後、処理はS30へ進む。
【0066】
上記の実施例において、管理サーバ116は、
図4のS16やS22の処理で、再設定対象貯湯式給湯器104’’’について、節電要請の対象時間帯と重なっている沸上運転時間帯を、節電要請の対象時間帯と重ならないように再設定するとともに、節電要請の対象時間帯を、再設定対象貯湯式給湯器104’’’の沸上運転を禁止する時間帯として設定してもよい。この場合、S18またはS30の処理において、管理サーバ116から再設定対象貯湯式給湯器104’’’に、沸上運転を禁止する時間帯を示すデータを送信することで、再設定対象貯湯式給湯器104’’’が節電要請の対象時間帯に沸上運転を実行することを確実に防止することができる。
【0067】
上記の実施例では、管理サーバ116は、複数の貯湯式給湯器104のそれぞれについて、個別に沸上運転時間帯の再設定を行う構成について説明した。これとは異なり、管理サーバ116は、複数の貯湯式給湯器104のそれぞれを、当日の沸上運転時間帯や当日に想定される温水の供給量が同一または近いものをグループ化して、グループ単位で沸上運転時間帯の再設定を行う構成としてもよい。
【0068】
以上のように、一またはそれ以上の実施形態において、給湯システム100(熱供給システムの例)は、複数の貯湯式給湯器104(複数の熱供給装置の例)と、複数の貯湯式給湯器104のそれぞれと通信可能な管理サーバ116を備えている。複数の貯湯式給湯器104のそれぞれは、水(熱媒の例)を蓄えるタンクユニット6(蓄熱ユニットの例)と、電力を利用して水を加熱するHPユニット4(熱源ユニットの例)を備えている。複数の貯湯式給湯器104のそれぞれは、HPユニット4により水を加熱して、加熱された水をタンクユニット6へ蓄える沸上運転(蓄熱運転の例)を実行可能である。複数の貯湯式給湯器104のそれぞれは、過去の給湯の使用実績(過去の熱供給実績の例)に基づいて、沸上運転を実行する時間帯である沸上運転時間帯(蓄熱運転時間帯の例)を設定するように構成されている。管理サーバ116は、複数の貯湯式給湯器104のそれぞれの沸上運転時間帯を取得し、電力需給が逼迫する時間帯である節電要請の対象時間帯(需給逼迫時間帯の例)を特定し、複数の貯湯式給湯器104のうち、沸上運転時間帯が節電要請の対象時間帯と少なくとも部分的に重なるもののうちの少なくとも1つを、再設定対象貯湯式給湯器104’’’(第1再設定対象熱供給装置の例)として特定し、再設定対象貯湯式給湯器104’’’の沸上運転時間帯を、節電要請の対象時間帯と重ならない時間帯に再設定するように構成されている。
【0069】
上記の構成によれば、電力需給が逼迫する時間帯に沸上運転が実行されることを抑制することができる。このような構成とすることによって、電力需給が逼迫する時間帯において、沸上運転に起因する消費電力の増大を抑制することができる。
【0070】
一またはそれ以上の実施形態において、管理サーバ116は、複数の貯湯式給湯器104のうち、沸上運転時間帯が節電要請の対象時間帯と少なくとも部分的に重なるもののうち、想定される熱供給量が多いものを、再設定対象貯湯式給湯器104’’’として特定するように構成されている。
【0071】
複数の貯湯式給湯器104のうち、想定される熱供給量が多いものは、それだけ沸上運転を実行したときの消費電力が大きいと考えられる。上記の構成によれば、電力需給が逼迫する時間帯において、沸上運転に起因する消費電力の増大をより効果的に抑制することができる。
【0072】
一またはそれ以上の実施形態において、管理サーバ116は、再設定対象貯湯式給湯器104’’’の沸上運転時間帯を、節電要請の対象時間帯よりも早い時間帯に再設定するように構成されている。
【0073】
通常、複数の貯湯式給湯器104のそれぞれの沸上運転時間帯は、その貯湯式給湯器104において必要とされる温水を、必要とされる時刻までに沸き上げることができるように設定されている。このため、仮に沸上運転時間帯を当初に設定された時間帯よりも遅い時間帯に再設定してしまうと、その貯湯式給湯器104において必要とされる温水を、必要とされる時刻までに沸き上げておくことができないおそれがある。上記の構成によれば、沸上運転時間帯が当初に設定された時間帯よりも早い時間帯に再設定されるので、その貯湯式給湯器104において必要とされる温水を、必要とされる時刻までに沸き上げておくことができる。
【0074】
一またはそれ以上の実施形態において、管理サーバ116は、複数の貯湯式給湯器104のうち、沸上運転時間帯が節電要請の対象時間帯よりも早い時間帯に設定されているもののうち少なくとも1つを、別の再設定対象貯湯式給湯器104’’’(第2再設定対象熱供給装置の例)として特定し、再設定対象貯湯式給湯器104’’’について、沸上運転時間帯を節電要請の対象時間帯よりも早い時間帯に再設定することに伴って、別の再設定対象貯湯式給湯器104’’’について、沸上運転時間帯をより早い時間帯に再設定するように構成されている。
【0075】
上記の構成によれば、沸上運転時間帯を再設定したことに伴って、一部の時間帯で沸上運転が集中的に実行されて、一時的に消費電力が増大してしまうことを抑制することができる。
【0076】
以上、各実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0077】
4 :HPユニット
6 :タンクユニット
8 :バーナユニット
10 :圧縮機
12 :凝縮器
14 :膨張弁
16 :蒸発器
17 :HP熱源
18 :循環ポンプ
19 :HP往き経路
20 :往きサーミスタ
21 :HP戻り経路
22 :戻りサーミスタ
23 :外気温度サーミスタ
24 :HPコントローラ
30 :タンク
31 :タンク往き経路
32 :混合弁
33 :タンク戻り経路
34 :バイパス制御弁
36 :上部サーミスタ
37 :中間部サーミスタ
38 :下部サーミスタ
40 :給水経路
42 :減圧弁
44 :入水サーミスタ
46 :タンク給水経路
48 :タンクバイパス経路
50 :逆止弁
52 :逆止弁
54 :水側水量センサ
56 :タンク出湯経路
58 :逆止弁
60 :湯側水量センサ
62 :第1給湯経路
64 :混合サーミスタ
66 :第2給湯経路
68 :給湯出口サーミスタ
70 :逆止弁
72 :給湯バイパス経路
74 :タンクコントローラ
80 :バーナ
82 :熱交換器
84 :バイパスサーボ
86 :水量サーボ
88 :湯はり弁
90 :バーナ往路
91 :水量センサ
92 :バーナ復路
94 :バーナバイパス経路
96 :バーナ給湯サーミスタ
97 :バーナコントローラ
98 :湯はり経路
99 :リモコン
100 :給湯システム
102 :住居
102a :住居
102b :住居
104 :貯湯式給湯器
104a :貯湯式給湯器
104b :貯湯式給湯器
106 :ホームゲートウェイ
106a :ホームゲートウェイ
106b :ホームゲートウェイ
116 :管理サーバ
118 :インターネット