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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108663
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   F24C 1/00 20060101AFI20240805BHJP
   F24C 7/02 20060101ALI20240805BHJP
   F24C 15/00 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
F24C1/00 340A
F24C7/02 340J
F24C7/02 340D
F24C1/00 310B
F24C15/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023013136
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 浩二
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】旭 香織
(72)【発明者】
【氏名】正木 利佳
【テーマコード(参考)】
3L086
【Fターム(参考)】
3L086AA01
3L086AA13
3L086CA07
3L086CA10
3L086CA14
3L086CB05
3L086CC06
3L086DA24
(57)【要約】
【課題】低温蒸気を使って冷凍食品の解凍加熱を行う際に、簡単な操作で所望の提供状体(仕上がり状態)が得られる加熱調理器を提供する。
【解決手段】加熱調理器100は、被加熱物2を収容する加熱調理室1と、加熱調理室1内に低温蒸気を供給する供給部としての蒸気発生ヒータ6及び蒸気供給口7と、被加熱物2に関する被加熱物情報が入力される入力部としての操作パネル31と、被加熱物情報に基づいて供給部を制御する制御部30とを備える。
【選択図】図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱物を収容する加熱調理室と、
前記加熱調理室内に低温蒸気を供給する供給部と、
前記被加熱物の解凍に関する被加熱物情報が入力される入力部と、
前記被加熱物情報に基づいて前記供給部の制御方法を決定する制御部と
を備える、加熱調理器。
【請求項2】
前記被加熱物情報は、前記被加熱物の解凍温度及び解凍時間と前記被加熱物の提供状態とを含む、請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記制御方法は、前記供給部から供給される前記低温蒸気の設定温度と解凍加熱時間とを含む、請求項1又は請求項2に記載の加熱調理器。
【請求項4】
音声が入力されるマイクと、前記マイクに入力された音声を認識する音声認識部とを有する音声入力部をさらに備え、
前記音声入力部は、前記音声認識部による認識結果を前記被加熱物情報として前記制御部に伝達する、請求項1又は請求項2に記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記制御部が決定した前記制御方法を表示する表示部をさらに備える、請求項1又は請求項2に記載の加熱調理器。
【請求項6】
想定し得る前記被加熱物情報に応じた適切な前記制御方法を記憶する記憶部をさらに備える、請求項1又は請求項2に記載の加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、過熱水蒸気による加熱を行う加熱調理器に関し、特に、低温蒸気による解凍加熱が可能な加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されている高周波加熱調理装置は、解凍シーケンスと温めシーケンスの他に冷凍食品を解凍して調理する冷凍食品シーケンスを有しており、操作を入力する操作部がこれらのシーケンスを切り替えるための表示手段と切り替え手段とを備えている。これにより、冷凍食品を解凍、調理する際に、表示に従って切り替え手段にて冷凍食品シーケンスを容易に設定でき、冷凍食品のパッケージに表示された解凍調理の目安時間を換算無しにそのまま運転時間として入力できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-212013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
新しい加熱方式である低温蒸気を使った解凍加熱では、本来は冷凍食品の種類などによって異なる提供状態(仕上がり状態)が求められる。例えば、冷凍ケーキなら冷蔵状態に仕上がることが求められ、冷凍巻きずしなら常温状態に仕上がることが求められ、冷凍弁当なら温かい状態に仕上がることが求められる。ところが、実際には一律、冷蔵状態に仕上がってしまう。
【0005】
冷凍食品のパッケージには、通常の解凍方法、例えば、冷蔵室、流水、常温、レンジなどによる解凍調理の目安時間が表示されていることが多い。しかしながら、低温蒸気を使った解凍加熱での解凍温度や解凍時間が表示されていることは希であり、単純な換算もできないので、適切な設定値が使用者にとってはわかりにくい。
【0006】
本開示は、低温蒸気を使って冷凍食品の解凍加熱を行う際に、簡単な操作で所望の提供状態が得られる加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の加熱調理器は、被加熱物を収容する加熱調理室と、前記加熱調理室内に低温蒸気を供給する供給部と、前記被加熱物に関する被加熱物情報が入力される入力部と、前記被加熱物情報に基づいて前記供給部を制御する制御部とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、低温蒸気を使って冷凍食品の解凍加熱を行う際に、簡単な操作で所望の提供状態が得られるので、解凍直後に食べ頃の温度で提供することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の一実施形態に係る加熱調理器100の概略構成を示す縦断面図である。
図2】加熱調理器100の電気的な概略構成を示すブロック図である。
図3A】低温蒸気を使う解凍加熱の第1操作例を示す説明図である。
図3B】低温蒸気を使う解凍加熱の第2操作例を示す説明図である。
図3C】低温蒸気を使う解凍加熱の第3操作例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0011】
(1)加熱調理器100の基本構成
図1は、本開示の一実施形態に係る加熱調理器100の概略構成を示す縦断面図である。なお、この加熱調理器100は、100℃超の過熱水蒸気、100℃の飽和水蒸気、又は100℃未満の低温蒸気による加熱の他、電子レンジとしても機能するように構成されているが、図1ではマグネトロン40の図示を省略している。
【0012】
この図1に示すように、加熱調理器100は、食品を収容する加熱調理室1と、これの側面に配置された循環ダクト20内に設けられ、庫内の空気を循環する例えば軸流式の循環ファン4及び庫内の空気を加熱するヒータ5とを主に備えて構成されている。また、循環ダクト20の上下部には、庫内空気の吸い込み口22,吹き出し口23が開けられている。ここで、加熱調理室1内に収容された食品である被加熱物2は、庫内下部に設置された網状若しくは皿状の食品棚3に載置されている。
【0013】
また、循環ダクト20の上部には外気供給経路21が接続されており、その内部には外気を吸入する冷却ファン16、及び第2開閉弁17が設置されている。そして、循環ダクト20内の庫内空気循環経路には、蒸気供給口7が設置されている。一方、循環ダクト20の斜め上方には給水タンク8が設けられており、給水タンク8内の水は下方の流水経路11を通って蒸気発生ヒータ6に供給される。供給された水は、蒸気発生ヒータ6で加熱され、水蒸気となって蒸気供給口7より噴出する。なお、蒸気発生ヒータ6のみ、又は蒸気発生ヒータ6及び蒸気供給口7が本開示の「供給部」に対応する。
【0014】
さて、加熱調理の際には、外気供給経路21内の第2開閉弁17が閉じ、蒸気発生ヒータ6で生成された飽和水蒸気或いは過熱水蒸気が、蒸気供給口7より循環ダクト20内に供給される。供給された水蒸気は、循環ダクト20内のヒータ5によって加熱され、高温過熱水蒸気となって庫内に供給される。具体的には、過熱水蒸気が循環ファン4により循環ダクト20下部の吹き出し口23から加熱調理室1に送り込まれ、これにより食品棚3上の被加熱物2が加熱される。このとき、高温雰囲気による対流伝熱と過熱水蒸気の凝縮伝熱,放射伝熱によって、食品である被加熱物2が効率よく加熱調理される。
【0015】
次に、解凍調理の際には、外気供給経路21内の第2開閉弁17が開き、冷却ファン16によって外気が庫内に送風されるとともに、蒸気発生ヒータ6で生成された飽和水蒸気或いは過熱水蒸気が、蒸気供給口7より循環ダクト20内に供給される。供給された水蒸気は、外気供給経路21より送風される外気と混合され、低温の飽和水蒸気又は過熱水蒸気となって、上記と同様にして庫内に供給される。そして、主に水蒸気の凝縮伝熱によって、食品である被加熱物2が効率よく加熱され、解凍調理される。
【0016】
また、外気温度は調理器の設置場所,時間,及び季節によって異なるため、温度センサ33(図1には不図示、図2参照)を加熱調理室1内或いは後述する排気管12a内に設置し、この温度センサ33の検知信号に基づいて、水蒸気が適切な温度となるように、冷却ファン16の回転数、或いは蒸気供給量を制御する。
【0017】
また、加熱調理及び解凍調理の両工程において、庫内に水蒸気を供給した時、余剰空気及び余剰水蒸気は、加熱調理室1の底面又は側面下部に設けられた排出経路24、及びさらに下部に設けられた排水容器19を通り、循環ダクト20と反対側面に設置された排気管12aを経て、排気口12より排気される。
【0018】
また、加熱調理室1の底面は、排出経路24が最下部となるように傾斜を設けられており、調理中に結露した水蒸気及び食品から出た水分は、加熱調理室1の底面の傾斜に沿って流れ、排出経路24を通って着脱自在な排水容器19に貯留される。貯留された排水は、排水口18より適時排水可能となっている。
【0019】
さらに、排出経路24内には第1開閉弁15が配置されている。ここでは調理中の全時間或いは所定時間、第1開閉弁15を閉じた状態とし、その間は新たな蒸気供給を停止して、庫内に存在する水蒸気を循環させる。これにより、蒸気発生のための水分供給量が少なくて済む。調理終了後は第1開閉弁15を開いて、排水容器19に排水する。
【0020】
(2)加熱調理器100の電気的な概略構成
図2は加熱調理器100の電気的な概略構成を示すブロック図である。
【0021】
この図2に示すように、加熱調理器100は、上述した循環ファン4、ヒータ5、蒸気発生ヒータ6、冷却ファン16、及び温度センサ33の他に、制御部30と、操作パネル31と、音声入力部32と、音声出力部34と、不揮発メモリ35と、マグネトロン40とを備えている。
【0022】
制御部30は、加熱調理器100の各部を制御する。制御部30は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサーを含み、不揮発メモリ35に記憶されたコンピュータープログラムを実行するようにしてもよい。
【0023】
操作パネル31は、加熱調理器100に対する各種操作を行うための操作部材であって、例えば、解凍加熱を開始させるための解凍キー31bが配置されている。さらに、操作パネル31は、加熱調理器100の各種情報や状態などを表示する表示画面31aを有している。操作パネル31としては、例えば液晶や有機EL(Organic Electro Luminescence)などを使用したタッチパネルディスプレイが挙げられるが、これに限らない。この操作パネル31に対する各種操作は制御部30へ入力される。この操作パネル31上の各種表示などは制御部30によって制御される。
【0024】
音声入力部32は、音声を入力するマイク32aとこのマイク32aに入力された音声を認識する音声認識部32bとを有しており、この音声認識部32bによる認識結果を制御部30に伝達する。これにより、加熱調理器100に対して使用者が声で発した指令が制御部30に入力される。
【0025】
音声出力部34は、音声合成部34a及びスピーカ34bを有しており、加熱調理終了などの合図、各種の操作ガイダンスや使用者に対する注意喚起などを通知音や合成音声などとしてスピーカ34bから出力する。
【0026】
不揮発メモリ35は、電源が供給されなくても記憶内容が保持できる書き換え可能なメモリーであり、例えばフラッシュメモリーが挙げられるが、これに限らない。この不揮発メモリ35には、各種の設定情報などが記憶されるとともに、制御部30がCPUを含む場合にはそのCPU用コンピュータープログラムを記憶させてもよい。
【0027】
マグネトロン40は、被加熱物2を誘電加熱で暖めるためのマイクロ波を出力し、加熱調理器100を電子レンジとして機能させる。
【0028】
(3)低温蒸気を使う解凍加熱の操作例
図3Aは低温蒸気を使う解凍加熱の第1操作例を示す説明図であり、図3Bは第2操作例を示す説明図であり、図3Cは第3操作例を示す説明図である。
【0029】
(3-1)お刺身
例えば、解凍調理を行いたい冷凍食品がお刺身であり、そのパッケージに記載されている解凍方法及び解凍時間の目安が「流水」で1時間だとする。なお、解凍方法とは、例えば、冷蔵室、流水、常温、レンジなどであり、解凍温度と考えてもよい。この場合の解凍方法及び解凍時間の目安が本開示の「被加熱物情報」の一例である。
【0030】
図3Aに示すように、解凍キー31bへのタッチ操作を行うと、解凍方法の選択及び解凍時間の入力を求める表示が表示画面31aに現れるので、「流水」をタッチして選択するとともに解凍時間として1時間00分を入力する。次に、仕上がり温度帯(冷蔵状態、常温状態、温かい状態)の選択を求める表示が表示画面31aに現れるので、「冷蔵状態」をタッチする。
【0031】
すると、表示画面31aに低温蒸気の設定温度(55℃)及び解凍加熱時間(30分)が表示されるとともに、そのような解凍条件での解凍調理が開始される。解凍調理終了後、お刺身は冷蔵状態になっており、すぐに食べることができる。
【0032】
(3-2)冷凍ケーキ
また、例えば、解凍調理を行いたい冷凍食品が冷凍ケーキであり、そのパッケージに記載されている解凍方法及び解凍時間の目安が「冷蔵室」で24時間だとする。
【0033】
図3Bに示すように、解凍キー31bへのタッチ操作を行うと、解凍方法の選択及び解凍時間の入力を求める表示が表示画面31aに現れるので、「冷蔵室」をタッチして選択するとともに解凍時間として24時間00分を入力する。次に、仕上がり温度帯(冷蔵状態、常温状態、温かい状態)の選択を求める表示が表示画面31aに現れるので、「冷蔵状態」をタッチする。
【0034】
すると、表示画面31aに低温蒸気の設定温度(50℃)及び解凍加熱時間(1時間30分)が表示されるとともに、そのような解凍条件での解凍調理が開始される。解凍調理終了後、冷凍ケーキは冷蔵状態になっており、すぐに食べることができる。
【0035】
(3-3)巻きずし
また、例えば、解凍調理を行いたい冷凍食品が巻きずしであり、そのパッケージに記載されている解凍方法及び解凍時間の目安が「冷蔵室」で24時間だとする。
【0036】
図3Cに示すように、解凍キー31bへのタッチ操作を行うと、解凍方法の選択及び解凍時間の入力を求める表示が表示画面31aに現れるので、「冷蔵室」をタッチして選択するとともに解凍時間として24時間00分を入力する。次に、仕上がり温度帯(冷蔵状態、常温状態、温かい状態)の選択を求める表示が表示画面31aに現れるので、「常温状態」をタッチする。
【0037】
すると、表示画面31aに低温蒸気の設定温度(60℃)及び解凍加熱時間(1時間50分)が表示されるとともに、そのような解凍条件での解凍調理が開始される。解凍調理終了後、巻きずしは常温状態になっており、すぐに食べることができる。
【0038】
このように、解凍方法の選択及び解凍時間の入力と仕上がり温度帯の選択とが行われると、制御部30が凍調理の制御方法を決定する。具体的には、低温蒸気の設定温度及び解凍加熱時間などの解凍条件を決定して解凍調理を開始するとともに、決定した制御方法を操作パネル31に表示する。この場合、操作パネル31が本開示の「表示部」に対応する。仕上がり温度帯は本開示の「提供状態」の一例である。
【0039】
そのためには、例えば、想定し得る解凍方法、解凍時間、及び仕上がり温度帯の各組合せに応じて最も適切な低温蒸気の設定温度及び解凍加熱時間を予め算出しておき、不揮発メモリ35にテーブルなどの形式で予め記憶させておけばよい。制御部30が必要なときに不揮発メモリ35から読み出せるからである。この場合、不揮発メモリ35が本開示の「記憶部」に対応する。
【0040】
また、決定した制御方法だけでなく、例えば、他の解凍方法による解凍時間の目安も操作パネル31に表示するようにしてもよい。この表示に必要な情報などは、不揮発メモリ35に予め記憶させておけばよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本開示は、低温蒸気による解凍加熱を行う加熱調理器などに利用可能である。
【符号の説明】
【0042】
1 加熱調理室
2 被加熱物
3 食品棚
4 循環ファン
5 ヒータ
6 蒸気発生ヒータ
7 蒸気供給口
8 給水タンク
11 流水経路
12 排気口
12a 排気管
15 第1開閉弁
16 冷却ファン
17 第2開閉弁
18 排水口
19 排水容器
20 循環ダクト
21 外気供給経路
22 吸い込み口
23 吹き出し口
24 排出経路
30 制御部
31 操作パネル
32 音声入力部
33 温度センサ
34 音声出力部
35 不揮発メモリ
40 マグネトロン
図1
図2
図3A
図3B
図3C