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▶ 株式会社キヤメル鉛筆製作所の特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108667
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】鉛筆
(51)【国際特許分類】
   B43K 19/02 20060101AFI20240805BHJP
   A45D 40/20 20060101ALI20240805BHJP
   G09B 19/24 20060101ALN20240805BHJP
【FI】
B43K19/02 F
B43K19/02 G
A45D40/20 A
G09B19/24 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023013141
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】523034553
【氏名又は名称】株式会社キヤメル鉛筆製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】加藤 栄一
(57)【要約】
【課題】鉛筆における外側面の適切な位置に指を配置し続けることが容易である鉛筆を提供する。
【解決手段】鉛筆100は、芯20と、軸体10と、を有する。軸体10は芯20の周囲を覆う。軸体10の横断面の形状は三角形である。軸体10は、三つの外側面13を有する。外側面13は、軸体10の軸方向に延在する。三つの外側面13のそれぞれにおける少なくとも一部は、有底の凹溝15である。凹溝15は、軸体10の軸方向に延在する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯と、前記芯の周囲を覆う軸体と、を有する鉛筆であって、
前記軸体の横断面の形状が三角形であり、
前記軸体は、前記軸体の軸方向に延在する三つの外側面を有し、
前記三つの外側面のそれぞれにおける少なくとも一部は、軸方向に延在する有底の凹溝である、鉛筆。
【請求項2】
前記軸体は、前記軸方向に延在して前記芯を挟むように配置された第一部材および第二部材を含み、
前記第一部材と前記第二部材とは接面で接着されており、
前記横断面において、前記接面は前記三角形のいずれの角も通らず、前記接面と第一の前記外側面とが互いに沿っている、請求項1に記載の鉛筆。
【請求項3】
前記軸体は、第二の前記外側面および第三の前記外側面との間に配置されて前記軸方向に延在する第一の角部を有し、
前記凹溝は前記軸体の周方向に互いに離間する一対の開口端の間において開口しており、
前記第二の外側面および前記第三の外側面における前記凹溝のそれぞれは、前記横断面において、前記一対の開口端のうち前記第一の角部の近接側の一の前記開口端を通って前記接面に鉛直な方向に延在する仮想線上または前記仮想線よりも前記軸体の外方に配置されている、請求項2に記載の鉛筆。
【請求項4】
前記第二の外側面および前記第三の外側面における前記凹溝を画成するそれぞれの画成面が、前記第一部材と前記第二部材とにわたっている、請求項3に記載の鉛筆。
【請求項5】
前記芯の横断面は円形であり、
三つの前記外側面のそれぞれの間に配置されて前記軸方向に沿う角部は、滑らかな曲面として形成されており、
前記三つの外側面における前記凹溝を画成するそれぞれの画成面は滑らかな曲面であり、
前記角部の先端における前記角部の曲面の曲率半径は、前記芯の横断面の半径と等しいか、またはそれよりも大きく、
前記凹溝の底部における前記画成面の曲率半径は、前記三角形の仮想外接円の半径よりも大きい、請求項4に記載の鉛筆。
【請求項6】
前記角部の曲面と前記凹溝の画成面とは前記軸体の周方向に連続している、請求項5に記載の鉛筆。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉛筆に関する。
【背景技術】
【0002】
鉛筆には、断面の形状が三角形のものがある。この種の技術に関し、下記特許文献1には、鉛筆(10)の軸方向に延在する三つの平坦な外側面(第一面(1)から第三面(3))の一つのみに凹溝(凹凸部(31))を設けた鉛筆(10)が開示されている。鉛筆(10)の断面形状が三角形であることにより、指を正しい位置に配置して鉛筆(10)を握ることができるようになるとされている。また、三つの外側面のうち一つのみに凹溝を設けることにより、この凹溝がある外側面を中指に載せて痛くない程度の力で鉛筆(10)を握るようにすることで鉛筆(10)を強く握ることを防止できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-069504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、鉛筆を握って字等を書く場合、鉛筆における三つの外側面のそれぞれに適切な位置で指を配置し続けることができない場合がある。例えば力の弱い子供は芯と紙面との摩擦によって手に握られた鉛筆の位置がずれ、気づかないうちに正しい握り方から外れていることが考えられる。
【0005】
本発明は上述のような課題に鑑みてなされたものであり、鉛筆における各外側面の所定の位置に指を配置し続けることが容易である鉛筆を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の鉛筆は、芯と、前記芯の周囲を覆う軸体と、を有する鉛筆であって、前記軸体の横断面の形状が三角形であり、前記軸体は、前記軸体の軸方向に延在する三つの外側面を有し、前記三つの外側面のそれぞれにおける少なくとも一部は、軸方向に延在する有底の凹溝であることを特徴とする。
【0007】
三つの外側面のそれぞれに凹溝が設けられていることによって、各外側面に配置される指が当該凹溝に食い込むように、または当該凹溝を画成する画成面に沿うようにして鉛筆は指によって把持される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の鉛筆によれば、凹溝に沿うまたは食い込むように指が鉛筆の外側面に配置されるため、鉛筆を握って文字を書くときもなお、指を各外側面の所定の位置に配置し続けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第一実施形態にかかる鉛筆の一例を示す斜視図である。
図2図2(a)は第一実施形態にかかる鉛筆の角部側から見た平面図である。図2(b)は第一実施形態にかかる鉛筆の外側面側から見た平面図である。
図3】第一実施形態にかかる鉛筆の横断面図である。軸体の断面におけるハッチングは省略されている。
図4】本発明の第二実施形態にかかる鉛筆の一例を示す斜視図である。
図5図5(a)は第二実施形態にかかる鉛筆の角部側から見た平面図である。図5(b)は第二実施形態にかかる鉛筆の外側面側から見た平面図である。
図6】第二実施形態にかかる鉛筆の横断面図である。軸体の断面におけるハッチングは省略されている。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の鉛筆の各種の構成要素は、個々に独立した存在である必要はなく、複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等を許容する。
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、各図面において、対応する構成要素には共通の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
また、本発明でいう平面とは、平面を目標として物理的に形成した形状を意味しており、当然ながら幾何学的に完全な平面であることは要しない。
【0012】
<第一実施形態>
(鉛筆)
図1は、本発明の第一の実施形態にかかる鉛筆の一例を示す斜視図である。
【0013】
はじめに、本実施形態の鉛筆の概要について説明する。
鉛筆100は芯20と軸体10とを有する。軸体10は芯20の周囲を覆っている。軸体10の横断面の形状は三角形である。軸体10は、軸体10の軸方向に延在する三つの外側面13を有する。三つの外側面13のそれぞれにおける少なくとも一部は、軸方向に延在する有底の凹溝15である。
三つの外側面13のそれぞれに凹溝15が設けられていることによって、各外側面13に配置される指が凹溝15に食い込むように、または凹溝15を画成する後述の画成面15bに沿うようにして鉛筆100は指によって把持される。このように、凹溝15に沿うまたは食い込むように指が鉛筆100の外側面13に配置されるため、鉛筆100を握って文字を書くときもなお、指を各外側面13の所定の位置に配置し続けることができる。
また、凹溝15が軸体10の軸方向に延在することによって、鉛筆100が削られた場合でも凹溝15が所定の位置に配置される。また、凹溝15が軸体の軸方向に延在していることで、鉛筆100の使用者は親指および人差し指を軸体10の軸方向に沿わせるように配することが容易となる。
【0014】
次に、本実施形態の鉛筆100について詳細に説明する。
鉛筆100とは、筆記具の一つであり、後述する芯20を軸体10で覆ったものである。本発明の鉛筆100は、幼児または児童を含む鉛筆の持ち方を習得しようとする者に鉛筆の持ち方を習得させるために用いられてもよく、既に鉛筆の持ち方を習得している者に対して、鉛筆100をより容易に持たせるために用いられてもよい。本実施形態の鉛筆100は芯が黒鉛を含む鉛筆でもよく、顔料または染料を含む色鉛筆でもよく、眉などを描くための化粧用鉛筆でもよい。
芯20とは、黒鉛または顔料若しくは染料が含まれて紙面等に文字または記号等を残すための部材である。芯20は長尺な部材である。
【0015】
軸体10とは、芯20を覆って芯20を支持する部材である。軸体10は木製であってもよく、合金等の金属または樹脂等のその他の材料が用いられて形成されていてもよい。軸体10は芯20の長手方向に長尺であり、当該長手方向を軸体10の軸方向という。
軸体10は芯20の周囲全体を覆っている。換言すると芯20の径方向の全部において芯20の表面(周面であり、側端面を含まない)に軸体10が配置されている。芯20の径方向とは、芯20の軸心方向に見た中心から芯20の表面(外縁)に向かう方向である。芯20の横断面が円形であるか、または多角形等のその他の形であるかによらず、上述の意味で芯20の径方向の言葉を用いる。軸体10と芯20とは図示しない接着剤によって接着されている。接着剤は芯20の周面の全体に配置されている。
軸体10の横断面とは、軸体10の軸方向に見た軸体10の断面である。軸体10の横断面の形状が三角形であるとは、軸体10の横断面の外形から把握される角を結んだ形状が三角形であることをいう。本実施形態においては、図3に図示されるように、軸体10の横断面は三つの角部16を有する。当該三つの角部16の後述する角部先端16eを結んだ図形の形状が三角形である。以下において、当該三つの角部16の後述する角部先端16eを結んでできた図形を軸体10横断面における三角形と呼称することがある。本実施形態において軸体10横断面における三角形は略正三角形であり、鉛筆100は芯20を中心として120度回転対称形であるが、これに限られない。ここで略正三角形とは、完全な正三角形に限られず、若干歪んでいてもよい。当該三角形の形状は、二等辺三角形でもよく、その他の三角形でもよい。
【0016】
外側面13とは、軸体10の表面を構成する一部面領域をいう。特に外側面13とは、軸体10横断面における三角形の一辺に沿う面である。ここで沿うとは軸体10の横断面において外側面13のおおよその延在方向が軸体10横断面における三角形の一辺と沿っており、好ましくは略平行であることをいう。略平行とは、平行を含むが完全な平行に限られない。本実施形態においては後述するように軸体10の角部16の表面は曲面となっている。角部16の表面が曲面である場合、当該曲面である面領域については外側面13に含まないものとする。例えば、軸体10の横断面において軸体10の横断面の外縁の曲率、凸形状の向きまたは傾きが変化する点を角部16の表面と外側面13との境界としてもよい。具体的には、本実施形態では軸体10横断面において軸体10の外縁は、後述する曲面端部16dにて傾きが変化している。より具体的には、曲面端部16dを挟む当該外縁の一方の一部(平坦部13d)と他方の一部(角部16表面)とは曲面端部16dにて交差している。この場合、曲面端部16dが角部16の表面と外側面13との境界となる。また、後述の第二実施形態では、軸体10横断面において第一開口端15a1(曲面端部16d)において軸体10の外縁の曲率が変化し、また軸体10の軸心に対する凸形状の向きが逆転している。具体的には、第一開口端15a1を挟んで当該外縁の一方の一部(画成面15b)は軸体10の横断面において内方向きに凸形状であって曲率半径が大きく、他方の一部(角部16の表面)は外方向きに凸形状であって画成面15bに比べて曲率半径が小さい。この場合、第一開口端15a1(曲面端部16d)が角部16の表面と外側面13との境界となる。軸体10の横断面において外縁が緩やかな曲線であり、外側面13の中央と後述する角部先端16e近傍とにおいて曲率がほぼ同じである場合には、一の角部先端16eから他の角部先端16eまでの周面全体を外側面13としてもよい。
軸体10には軸体10の軸線方向に延在する三つの凹溝15が形成されている。各凹溝15は三つの外側面13のそれぞれに含まれる。すなわち、凹溝15とは、軸体10における凹部を形成する軸体10の一部を意味する。各凹溝15は軸体10の軸方向において外側面13の一端から他端にまで渡っている。
また、各凹溝15は外側面13の幅方向に一定の幅を有している。本実施形態において、図2(b)に図示されるように外側面13の幅方向における一部が凹溝15である。より具体的には、本実施形態における外側面13は、外側面13の幅方向における中央の一部が凹溝15であり、外側面13の幅方向における両外側の一部が後述する平坦部13dである。本実施形態に代えて、後述する第二実施形態のように外側面13の幅方向において外側面13の全部が凹溝15であってもよい。ここで外側面13の幅方向とは軸体10横断面における三角形の辺の一つに平行する方向(当該横断面において外側面13がおおよそ延在する方向)である。なお、外側面13の幅方向は、軸体10の軸方向と直交する方向でもある。
本実施形態における凹溝15は後述するように曲面によって画成されているが、これに限られない。凹溝15は一対の壁面と底面とによって画成されていてもよく、当該壁面と当該底面との間は滑らかに形成されていてもよく、階段状に形成されていてもよい。
【0017】
軸体10は、軸方向に延在して芯20を挟むように配置された第一部材11および第二部材12を含む。第一部材11と第二部材12とは接面14で接着されている。軸体10の横断面において、接面14は軸体10横断面における三角形のいずれの角も通らず、接面14と第一の外側面(第一外側面13a)とが互いに沿っている。
図3に図示されるように、本実施形態において後述する第一角部16aを含む部材を第一部材11とし、後述する第二角部16bおよび第三角部16cを含む部材を第二部材12という。軸体10の横断面において、第一部材11と第二部材12とがあわせて軸体10横断面における三角形を構成している。第一部材11の横断面の形状は三角形であり、第二部材12の横断面の形状はおよそ台形である。
第一部材11の表面の一部面領域と第二部材12の表面の一部面領域とは互いに対向しており、対向し合う当該一部面領域同士において第一部材11と第二部材12とは接着されている。接面14とは、第一部材11と第二部材12とに挟まれて接着されている面である。本実施形態において接面14は平坦である。また、軸体10の横断面において接面14は芯20によって二つに分断されている。すなわち、第一部材11と第二部材12とは、接面14において接着剤を介して直接に接着されているとともに、芯20を介して間接に接着されてもいる。
軸体10の横断面において接面14が軸体10横断面における三角形のいずれの角も通らないとは、換言すると軸体10の横断面において接面14が後述するどの角部16における角部先端16eも通らないことをいう。さらに換言すると、軸体10の横断面において接面14の一端および他端は、外側面13(特に後述する第二外側面13bまたは第三外側面13c)または角部16の表面(角部先端16eを除く)上に配置されている。好ましくは、軸体10の横断面において接面14の一端および他端は外側面13(特に第二外側面13bまたは第三外側面13c)上に配置されている。接面14は第一外側面13aと交わっておらず、第一外側面13aと離間している。すなわち接面14の一端および他端は第一外側面13a上に配置されず、第一外側面13aと離間している。
第一外側面13aとは、三つの外側面13のうちの一の外側面13であって、軸体10の横断面において接面14に沿っているものである。軸体10の横断面において第一外側面13aと接面14とが互いに沿っているとは、第一外側面13a全体の延在する方向と接面14とが沿っていることをいう。好ましくは当該方向と接面14とが略平行であることをいう。より具体的には、凹溝15の底部における接線または後述する凹溝15の一対の開口端を結んだ直線が接面14と沿っており、好ましくは接面14に略平行である。
手で鉛筆100を持つ場合、指が鉛筆100を把持するための応力が軸体10横断面における三角形の角(後述する角部先端16e)に集中する。第一部材11と第二部材12との境界である接面14が軸体10横断面における三角形の角を通らないことによって、当該接面14で第一部材11と第二部材12との間に応力が集中して亀裂が生じることが抑制される。
【0018】
図3に図示されるように、軸体10は、第二の外側面(第二外側面13b)および第三の外側面(第三外側面13c)との間に配置されて軸方向に延在する第一の角部(第一角部16a)を有する。凹溝15は軸体の周方向に互いに離間する一対の開口端15aの間において開口している。第二外側面13bおよび第三外側面13cにおける凹溝15のそれぞれは、軸体10の横断面において、一対の開口端15aのうち第一角部16aの近接側の一の開口端(第一開口端15a1)を通って接面14に鉛直な方向に延在する仮想線(仮想線IIまたは仮想線III)上または仮想線よりも軸体10の外方に配置されている。
第二外側面13bおよび第三外側面13cとは、軸体10における三つの外側面13のうち第一外側面13aを除いた二つの外側面13のそれぞれである。当該二つの外側面13のうちいずれを第二外側面13bまたは第三外側面13cとしてもよい。
角部16とは、軸体10横断面における三角形の角の近傍部分である。角部16は軸体10の軸方向に沿って延在している。角部16の表面は軸体10の外表面の一部であり、外側面13とは一致しない面領域である。軸体10の外表面においては、軸体10の周方向に外側面13および角部16の表面が交互に連続している。以下において、角部16の表面を単に角部16ということがある。本実施形態のように角部16が面取りされている場合には、当該面取りされて形成された面領域が角部16の表面である。具体的には、角部16がR面取りまたはC面取りされている場合には、R面取りされて形成された曲面、またはC面取りされて形成された平面が角部16の表面である。なお、角部16がC面取りされている場合においても、軸体10の横断面において当該横断面の形状が三角形であると把握できる限り、C面取りされた部分を角部16としてよい。ただしこの場合、C面取りによって生じたC面の幅は、当該横断面の形状が六角形ではなく三角形であるとおおよそ認識できる程度に外側面13の幅よりも十分小さいものとする。
本実施形態においては、角部16がR面取りされている。本実施形態の鉛筆100における角部16の表面は二つの曲面端部16dに挟まれて角部先端16eを含む面である。曲面端部16dとはR面取りにより形成された曲面と後述する平坦部13dとの境界である。角部先端16eとは、軸体10横断面における三角形の角にあたる。より具体的には、軸体10の横断面において角部16のうち最も軸体10の外方に突出している点または角部16の表面において軸体10の周方向の中央である。
第一角部16aは、角部16の一つであり、第二外側面13bと第三外側面13cとに挟まれている。換言すると、第一角部16aは軸体10の軸心を挟んで第一外側面13aと対向している。角部16が二つの外側面13に挟まれているとは、軸体10の周面に沿って当該角部16が二つの外側面13に挟まれていることをいう。すなわち、当該角部16の表面は二つの外側面13のそれぞれと軸体10の周方向に連続している。軸体10が有する三つの角部16のうち、第一角部16aを除いた二つの角部16をそれぞれ第二角部16bおよび第三角部16cとする。第二角部16bは第一外側面13aと第三外側面13cとに挟まれており、第二外側面13bと軸体10の軸心を挟んで対向する。第三角部16cは第一外側面13aと第二外側面13bとに挟まれており、第三外側面13cと軸体10の軸心を挟んで対向する。
【0019】
凹溝15の開口端15aとは、外側面13上の点が軸体10の軸方向に連なった線であって、凹溝15の幅方向における凹溝15の外方と内方との境界である。具体的には、軸体10の横断面において、軸体10の外縁のうち軸体10横断面における三角形の辺に対して平行または軸体10の外方に向けて突出するように湾曲である線と、当該辺に対して軸体10の内方に向けて窪むように湾曲である線と、の境界である。本実施形態における開口端15aは、後述する平坦部13dと凹溝15の画成面15bとの境界である。後述する第二実施形態における開口端15aは、角部16の曲面と外側面13との境界である。より具体的には、第二実施形態における開口端15aは軸体10の横断面において軸体10の外縁の曲率が変化した点である。
第二外側面13bおよび第三外側面13cにおける一対の開口端15aのうち、第一角部16aの近接側の開口端15aを第一開口端15a1とする。第一外側面13aにおける一対の開口端15aのそれぞれは第一開口端15a1に該当しない。
軸体10の横断面において、第二外側面13bにおける第一開口端15a1を通って接面14に鉛直方向に延在する仮想線を仮想線IIとし、第三外側面13cにおける第一開口端15a1を通って接面14に鉛直方向に延在する仮想線を仮想線IIIとする。軸体10の横断面において第二外側面13bにおける凹溝15は仮想線II上または仮想線IIよりも軸体10の外方に配置されており、第三外側面13cにおける凹溝15は仮想線III上または仮想線IIIよりも軸体10の外方に配置されている。軸体10の横断面において凹溝15が当該仮想線上にあるとは、当該仮想線と凹溝15の後述する画成面15bとが重複していることをいう。特に当該横断面において第一開口端15a1近傍の画成面15bと当該仮想線とが重複していてもよい。またここで、軸体10の横断面における軸体10の外方とは、軸体10の軸心から軸体10の外縁に向かう方向であり、軸体10の外縁から軸体10の軸心に向かう方向と反対の方向である。軸体10の外縁から軸体10の軸心に向かう方向を軸体の内方と呼ぶことがある。またここで、軸体10の横断面において凹溝15が仮想線上または仮想線よりも軸体10の外方にある態様とは、設計図面上当該態様となっていればよい。すなわち、軸体10の横断面において凹溝15が仮想線上または仮想線よりも軸体10の外方にあることを意図して設計し、製造した鉛筆100の横断面において凹溝15のごく一部が仮想線よりも軸体10の内方に配置されていてもよい。特に、当該横断面において、後述する画成面15bのうちの第一開口端15a1近傍の一部が仮想線よりも軸体10のわずかに内方に配置されていてもよい。好ましくは、凹溝15(画成面15b)の全体が、仮想線上または仮想線よりも軸体10の外方に配置されている。
【0020】
軸体10の横断面において凹溝15が仮想線上または仮想線よりも軸体10の外方に配置されていることによって、軸体10に凹溝を容易に形成することができる。一般的な鉛筆100において、二枚の板部材を重ね合わせて二枚の板部材が対向する面に鉛直である方向の両側からそれぞれ刃をあてて削ることで軸体10の外形が形成される。本実施形態の凹溝15は当該方向の両側から刃をあてて軸体10の外形(三角柱形状)を形成すると同時に形成されることができる。すなわち、軸体10の外形を容易に形成することができる。
【0021】
第二外側面13bおよび第三外側面13cにおける凹溝15を画成するそれぞれの画成面15bは、第一部材11と第二部材12とにわたっている。換言すると、画成面15bにおいて凹溝15の幅方向の一部は第一部材11に属し、当該幅方向の他の一部は第二部材に属している。すなわち、一対の開口端15aのそれぞれが第一部材11および第二部材12のそれぞれに属している。第一部材11に属する画成面15bの幅寸法(外側面13の幅方向における寸法)は、第二部材12に属する画成面15bの幅寸法よりも大きい。一方、第一外側面13aは凹溝15の幅方向における全部が第二部材12に属している。
また、接面14の一端および他端において接面14は、第二外側面13bにおける凹溝15の画成面15bおよび第三外側面13cにおける凹溝15の画成面15bと交わっている。
第二外側面13bおよび第三外側面13cにおける凹溝15の画成面15bが第一部材11および第二部材12にわたっていることによって、鉛筆100を指で把持して手で握ったときに指から第二外側面13bまたは第三外側面13cにかかる応力は第一部材11および第二部材12に分散してかかる。一対の開口端15aのそれぞれが第一部材11および第二部材12のそれぞれに属しているためである。これによって、第一部材11または第二部材12に不均一に指からの応力がかかることが抑制され、第一部材11と第二部材12とが接面において破断することが防止される。
【0022】
芯20の横断面は円形である。三つの外側面13のそれぞれの間に配置されて軸方向に沿う角部16は、滑らかな曲面として形成されている。三つの外側面13における凹溝15を画成するそれぞれの画成面15bは滑らかな曲面である。角部16の先端(角部先端16e)における角部16の曲面の曲率半径は、芯20の横断面の半径と等しいか、またはそれよりも大きい。凹溝15の底部における画成面15bの曲率半径は、軸体10横断面における三角形の仮想外接円(図3における仮想外接円IV)の半径よりも大きい。
ここで芯20の横断面が円形であるとは、完全な円形であることに限られず、若干偏平である等変形していてもよい。
角部16が滑らかな曲面であるとは、角部16の表面が軸体10の周方向に段差なく滑らかに湾曲していることをいう。角部16の曲率半径とは、具体的には軸体10の横断面において角部16の外縁上の任意の点における角部16の外縁の曲率半径である。本実施形態において軸体10の横断面において角部16は円弧である。換言すると、角部16の曲率半径は、どの点(曲面端部16dおよび角部先端16eを含む)においても等しい。本実施形態に代えて、角部16における軸体10の周方向に異なる位置によって角部16の曲率半径は異なっていてもよい。例えば、角部先端16eまたはその近傍における角部16の曲率半径が、曲面端部16dまたはその近傍における角部16の曲率半径より大きくても小さくてもよい。
また、角部16の角部先端16eにおける曲率半径は、軸体10横断面における三角形の仮想外接円の半径よりも小さく、また、凹溝15の底部における曲率半径よりも小さい。鉛筆100の製造工程において複数の軸体10を上下方向に積み上げておくことがある。軸体10を積み上げたとき、角部16の曲率半径が凹溝15の曲率半径よりも小さい場合、軸体10の角部16が、当該軸体の上側に配置された別の軸体10の凹溝15の内部に緩く嵌合する。このため、軸体10を積み上げた場合に複数の軸体10が軸体10の周方向にランダムに回転せず、軸体10の軸方向に見たとき各軸体10の角部16が互いにおよそ同じ方向を向くように軸体10を積み上げることができる。このように軸体10の向きを揃えて積み上げておけば、塗装工程等の軸体10に関する次工程で均一な処理を行うことができる。
凹溝15の画成面15bとは外側面13において凹溝15を画成している一部面領域または外側面13における全面領域である。凹溝15の画成面15bが滑らかな曲面であるとは、画成面15bが軸体10の周方向に段差なく滑らかに連なった湾曲面であることをいう。画成面15bの曲率半径とは、より具体的には軸体10の横断面において画成面15b上の任意の点における曲線である画成面15bの曲率半径である。本実施形態において軸体10の横断面において画成面15bは円弧である。換言すると、画成面15bの曲率半径は、どの点(凹溝15における底部またはその近傍の点および開口端15aまたはその近傍の点を含む)においても等しい。凹溝15における底部とは、凹溝15の画成面15bにおいて軸体10の最も内方に配置されている点または凹溝15の幅方向における中央に配置される画成面15b上の点である。本実施形態に代えて、画成面15bにおける軸体10の周方向に異なる位置によって画成面15bの曲率半径は異なっていてもよい。例えば、凹溝15における底部またはその近傍の点における画成面15bの曲率半径が、開口端15aまたはその近傍の点における画成面15bの曲率半径より大きいまたは小さくてもよい。
【0023】
軸体10横断面における三角形の仮想外接円とは、三つの角部16における角部先端16eのそれぞれを通る円である。後述するように角部先端16eにおける角部16の曲率半径が当該仮想外接円IVの半径よりも小さい場合、軸体10の横断面において角部16は当該仮想外接円IVの内部に配置されることが好ましい。さらには、軸体10の横断面において軸体10は当該仮想外接円IVの内部に配置されることが好ましい。
角部先端16eにおける角部16の曲率半径を芯20断面の半径よりも大きくすることによって、角部16の表面を平坦に近づけることができる。換言すると、角部16の高さ(軸体10の軸心から角部先端16eに向かう方向における角部16の寸法)は小さくなる。このようにすれば、同じ板厚に板部材を用いて軸体10を形成する場合、角部先端16eにおける角部16の曲率半径が芯20断面の半径よりも小さい軸体10に比べて、軸体10の横断面をより大きいものとすることができる。すなわち、上述したように一般的に軸体10は芯20を挟むように二枚の板部材を重ねた上で所望の形状に削って形成されるが、当該板の板厚が薄くても大きな横断面の軸体10を形成することができる。軸体10の横断面がより大きいことによって、鉛筆100の使用者が指によって鉛筆100を把持しやすくなる。軸体10の横断面がより大きいとは、当該横断面の面積がより大きいこと、または当該横断面において外側面13が軸体10のより外方側に配置されていることを意味する。
また、角部16の曲率半径を大きくした場合、相対的に外側面13の幅が狭まり、鉛筆100の使用者が鉛筆100を指で把持する面領域が小さくなってしまう。凹溝15の底部における曲率半径を軸体10横断面における三角形の仮想外接円の半径よりも大きくすることで、使用者が鉛筆100を指で把持する面領域を担保している。凹溝15が幅広となることで一対の開口端15a間の画成面15bに沿った距離が長くなるためである。また、使用者の指と凹溝15の画成面15bとの密着をよくするために、使用者(幼児、児童または成人を含む)の親指または人差し指の延在方向に見た断面において、当該指の腹の中央における当該指の外縁の曲率半径よりも凹溝15の底部における曲率半径を大きくしてもよい。
図2(a)に図示されるように、角部16に対向して見たとき、角部16の幅(寸法L3)は、軸体10の幅(寸法L1)の三分の一と等しいか、またはそれよりも大きい。本実施形態に代えて、角部16の幅(寸法L3)は、軸体10の幅(寸法L1)の三分の一よりも小さくてもよい。
【0024】
図2(b)に図示されるように、本実施形態において、角部16の表面と凹溝15の画成面15bとは軸体10の周方向に連続せず、周方向に離間している。具体的には、角部16の表面と凹溝15の画成面15bとの間には平坦部13dが配置されている。平坦部13dとは、外側面13の一部面領域であって、平坦な面領域である。平坦部13dは軸体10の軸方向に延在している。上述したように、各外側面13において凹溝15の画成面15bは一対の平坦部13dの間に配置されている。画成面15bを挟む一対の平坦部13dは、互いに同一平面上に配置されており、本実施形態における鉛筆100を机等の平坦な面に置くと、一対の平坦部13dはそれぞれが当該面と面接触する。図3に図示される軸体10の横断面において平坦部13dは、軸体10横断面における三角形の辺の一つに略平行である。また、第一外側面13aにおける平坦部13dは接面14と略平行である。また、軸体10の横断面において平坦部13dと凹溝15の画成面15bとの間には軸体10の外縁における外方に向かって突出する形状の段となっている。また、平坦部13dの幅(外側面13の幅方向における寸法L2)は、軸体10の横断面において第二外側面13bまたは第三外側面13cの画成面15bに沿った接面14の一端と開口端15aとの距離よりも小さい。図2(b)に図示されるように、平坦部13dの幅は、凹溝15の幅(外側面13の幅方向における寸法)よりも小さい。
【0025】
図2(b)に図示されるように、外側面13に対向して軸体10を見たときにおいて、凹溝15の幅(寸法L2)は軸体10の幅(寸法L1)の半分よりも大きい。
また、図3に一点鎖線で示された仮想線Iは、軸体10の横断面において軸体10の幅方向の最も外方に突出した点を結んだ線である。軸体10の幅方向とは軸体10の軸方向に直交して軸体10横断面における三角形の辺の一つに平行な方向である。各凹溝15は、仮想線Iよりも軸体10の外方に配置されている。好ましくは、凹溝15は、当該凹溝15を含む外側面13を挟むように配置される一対の角部16におけるそれぞれ角部先端16eを結んだ直線よりも軸体10の外方に配置されている。上述のように凹溝15の深さが小さく、凹溝15の画成面15bの曲率半径が大きいことによって、指の腹や側面が凹溝15の画成面15bにより良好に沿って配置される。なお、図3および図6においては、第二角部16bの角部先端16eと第三角部の角部先端16eとを結んだ仮想線Iのみが図示されており、第一角部16aの角部先端16eと第三角部16cの角部先端16eとを結んだ仮想線I、および第一角部16aの角部先端16eと第二角部16bの角部先端16eとを結んだ仮想線Iは図示省略されている。
【0026】
<第二実施形態>
図4は本実施形態にかかる鉛筆100の一例を示す斜視図である。
はじめに、本実施形態の鉛筆100の概要について説明する。
【0027】
鉛筆100は、芯20と、芯20の周囲を覆う軸体10と、を有する。軸体10の横断面の形状が三角形である。軸体10は、軸体10の軸方向に延在する三つの外側面13を有する。三つの外側面13のそれぞれにおける少なくとも一部は、軸方向に延在する有底の凹溝15である。
【0028】
次に、本実施形態の鉛筆100について詳細に説明する。
本実施形態の鉛筆100は、角部16の曲面と凹溝15の画成面15bとは軸体10の周方向に連続している点で上記第一実施形態と相違する。換言すると、本実施形態における軸体10の外表面は第一実施形態における平坦部13dを有しない。上述したように、本実施形態における開口端15aは、角部16の曲面と凹溝15の画成面15bとの境界であって、軸体10の横断面において軸体10の外縁の曲率が変化した点を軸体10の軸方向につなげて形成される線である。本実施形態において、開口端15aは、角部16の曲面端部16dでもある。本実施形態のように角部16の曲面と凹溝15の画成面15bとは開口端15aにおいて軸体10の周方向に段差なく滑らかに連なっていてもよく、開口端15aにおいて段差が形成されていてもよい。具体的には、角部16の曲面および凹溝15の画成面15bは、開口端15aにおいて軸体10の外方に凸である段を形成していてもよく、軸体10の内方に凸である段を形成していてもよい。
角部16の曲面と凹溝15の画成面15bとが隙間なく隣り合っていることによって、図5(b)に図示されるように本実施形態では凹溝15が幅広となっている。具体的には、外側面13に対向して見たときの凹溝15の幅(寸法L2)は、軸体10の寸法L1の半分以上であり、また好ましくは接面14(図6参照)の幅(図6における寸法L4)と等しいか、またはそれよりも大きい。このように凹溝15が幅広であることによって、
また、図5(b)に図示されるように、角部16に対向して軸体10をみたときの角部16の幅(寸法L3)は、軸体10の幅(寸法L1)の四分の一と等しいか、それ以下である。
本実施形態における凹溝15の全体が仮想線Iよりも軸体10の外方に配置されている。または、凹溝15の底部を含む一部は、当該凹溝15を含む外側面13を挟む一対の角部16におけるそれぞれの角部先端16eを結んだ線よりも軸体10の内方に配置されている。
【0029】
本実施形態の鉛筆100は、第一実施形態における鉛筆100と同様に以下の特徴を有する。
軸体10は、軸方向に延在して芯20を挟むように配置された第一部材11および第二部材12を含む。第一部材11と第二部材12とは接面14で接着されている。軸体10の横断面において、接面14は三角形のいずれの角も通らず、接面14と第一外側面13aとが互いに沿っている。
軸体10は、第二外側面13bおよび第三外側面13cとの間に配置されて軸方向に延在する第一角部16aを有する。凹溝15は軸体の周方向に互いに離間する一対の開口端15aの間において開口している。第二外側面13bおよび第三外側面13cにおける凹溝15のそれぞれは、軸体10の横断面において、第一開口端15a1を通って接面14に鉛直な方向に延在する仮想線(図6における仮想線IIまたは仮想線III)上または仮想線よりも軸体10の外方に配置されている。
第二外側面13bおよび第三外側面13cにおける凹溝15を画成するそれぞれの画成面15bが、第一部材11と第二部材12とにわたっている。
芯20の横断面は円形である。三つの外側面13のそれぞれの間に配置されて軸方向に沿う角部16は、滑らかな曲面として形成されている。三つの外側面13における凹溝15を画成するそれぞれの画成面15bは滑らかな曲面である。角部16の先端(角部先端16e)における角部16の曲面の曲率半径は、芯20の横断面の半径と等しいか、またはそれよりも大きい。凹溝15の底部における画成面15bの曲率半径は、三角形の仮想外接円(仮想外接円IV)の半径よりも大きい。
【0030】
<変形例>
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成される限りにおける種々の変形、改良等の態様も含む。
以下の変形例は適宜組み合わせることができる。以下において、第一実施形態および第二実施形態をあわせて本実施形態と呼ぶことがある。
【0031】
本実施形態に代えて、接面14が軸体10横断面の三角形の角を通っていてもよい。例えば、軸体10の横断面において、接面14の一端が角部先端16eを通って、接面14の他端において接面14が当該角部先端を含む角部16に軸体10の中心を挟んで対向する外側面と交わっていてもよい。これによって、芯20を挟むように等しい厚さの二枚の板を重ねて軸体を形成する場合、十分大きな横断面の軸体10を形成することができる。
【0032】
上記実施形態は、以下の技術思想を包含するものである。
(1)芯と、前記芯の周囲を覆う軸体と、を有する鉛筆であって、
前記軸体の横断面の形状が三角形であり、
前記軸体は、前記軸体の軸方向に延在する三つの外側面を有し、
前記三つの外側面のそれぞれにおける少なくとも一部は、軸方向に延在する有底の凹溝である、鉛筆。
(2)前記軸体は、前記軸方向に延在して前記芯を挟むように配置された第一部材および第二部材を含み、
前記第一部材と前記第二部材とは接面で接着されており、
前記横断面において、前記接面は前記三角形のいずれの角も通らず、前記接面と第一の前記外側面とが互いに沿っている、(1)に記載の鉛筆。
(3)前記軸体は、第二の前記外側面および第三の前記外側面との間に配置されて前記軸方向に延在する第一の角部を有し、
前記凹溝は前記軸体の周方向に互いに離間する一対の開口端の間において開口しており、
前記第二の外側面および前記第三の外側面における前記凹溝のそれぞれは、前記横断面において、前記一対の開口端のうち前記第一の角部の近接側の一の前記開口端を通って前記接面に鉛直な方向に延在する仮想線上または前記仮想線よりも前記軸体の外方に配置されている、(2)に記載の鉛筆。
(4)前記第二の外側面および前記第三の外側面における前記凹溝を画成するそれぞれの画成面が、前記第一部材と前記第二部材とにわたっている、(3)に記載の鉛筆。
(5)前記芯の横断面は円形であり、
三つの前記外側面のそれぞれの間に配置されて前記軸方向に沿う角部は、滑らかな曲面として形成されており、
前記三つの外側面における前記凹溝を画成するそれぞれの画成面は滑らかな曲面であり、
前記角部の先端における前記角部の曲面の曲率半径は、前記芯の横断面の半径と等しいか、またはそれよりも大きく、
前記凹溝の底部における前記画成面の曲率半径は、前記三角形の仮想外接円の半径よりも大きい、(4)に記載の鉛筆。
(6)前記角部の曲面と前記凹溝の画成面とは前記軸体の周方向に連続している、(5)に記載の鉛筆。
【符号の説明】
【0033】
100 鉛筆
10 軸体
11 第一部材
12 第二部材
13 外側面
13a 第一外側面
13b 第二外側面
13c 第三外側面
13d 平坦部
14 接面
15 凹溝
15a 開口端
15a1 第一開口端
15b 画成面
16 角部
16a 第一角部
16b 第二角部
16c 第三角部
16d 曲面端部
16e 角部先端
20 芯
図1
図2
図3
図4
図5
図6