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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108669
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】操作機構および入力装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 13/20 20060101AFI20240805BHJP
   G05G 5/05 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
H01H13/20 C
G05G5/05
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023013148
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】小原 啓志
【テーマコード(参考)】
3J070
5G206
【Fターム(参考)】
3J070AA41
3J070BA05
3J070BA09
3J070BA71
3J070CA47
3J070CC71
3J070CD11
3J070CD31
3J070DA01
5G206AS04J
5G206AS23H
5G206AS23J
5G206FU03
5G206JU32
5G206KS15
5G206LS05
(57)【要約】
【課題】復帰手段を設けることなく、良好な押圧操作感と、確実な復帰力とを得ることができるようにすること。
【解決手段】操作機構は、磁石と、磁性体から形成され、磁石の一方の極に接続された第1の可動板と、磁性体から形成され、磁石の他方の極に接続された第2の可動板とを備え、第1の可動板の非操作時には、第2の可動板が第1の可動板に重なる復帰位置にあり、第1の可動板の操作時には、第1の可動板が第2の可動板の中間部を押し下げることによって、第2の可動板の中間部が第1の可動板に接触しつつ、第2の可動板の自由端が第1の可動板から離間するように、第2の可動板が傾倒する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁石と、
磁性体から形成され、前記磁石の一方の極に接続された第1の可動板と、
磁性体から形成され、前記磁石の他方の極に接続された第2の可動板と
を備え、
前記第1の可動板の非操作時には、前記第2の可動板が前記第1の可動板に重なる復帰位置にあり、
前記第1の可動板の操作時には、前記第1の可動板が前記第2の可動板の中間部を押し下げることによって、前記第2の可動板の前記中間部が前記第1の可動板に接触しつつ、前記第2の可動板の自由端が前記第1の可動板から離間するように、前記第2の可動板が傾倒する
ことを特徴とする操作機構。
【請求項2】
前記第1の可動板および前記第2の可動板の各々は、末端部を支点として傾倒可能に設けられており、
前記第1の可動板の自由端が、前記第2の可動板の前記中間部に常時接触可能に重ね合わせられている
を特徴とする請求項1に記載の操作機構。
【請求項3】
前記第1の可動板と前記磁石の前記一方の極との間に設けられた第1のヨークと、
前記第2の可動板と前記磁石の前記他方の極との間に設けられた第2のヨークと
を備えることを特徴とする請求項1に記載の操作機構。
【請求項4】
前記第1の可動板は、
末端部にて前記磁石の前記一方の極に接続され、且つ、末端部から前記磁石の前記他方の極側に向かって延びて設けられ、
前記第2の可動板は、
末端部にて前記磁石の前記他方の極に接続され、且つ、末端部から前記磁石の前記一方の極側に向かって延びて設けられ、
前記第1の可動板の非操作時には、前記第1の可動板の自由端側の部分と、前記第2の可動板の自由端側の部分とが、互いに重なりあっている
ことを特徴とする請求項1に記載の操作機構。
【請求項5】
弾性素材が用いられて形成され、操作者からの押圧操作がなされることによって、前記第1の可動板を操作する、操作部材をさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載の操作機構。
【請求項6】
操作者からの押圧操作がなされる操作部材と、
前記操作部材と前記第1の可動板との間に介在して設けられ、前記操作部材と連動して移動することにより、前記第1の可動板を操作する介在部材と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の操作機構。
【請求項7】
磁石と、
磁性体から形成され、前記磁石の一方の極に末端部が接続され、且つ、末端部を支点として傾倒可能に設けられた第1の可動板と、
磁性体から形成され、前記磁石の他方の極に末端部が接続され、且つ、末端部を支点として傾倒可能に設けられた第2の可動板と
を備え、
前記第1の可動板の自由端側の部分と、前記第2の可動板の自由端側の部分とが、互いに重ねて設けられており、
前記第1の可動板と前記第2の可動板とが重なる平面上に、前記第1の可動板の自由端と前記第2の可動板の末端部との間の第1の隙間と、前記第2の可動板の自由端と前記第1の可動板の末端部との間の第2の隙間とを有し、
前記第1の可動板の自由端が、前記第2の可動板の中間部に常時接触可能に重ね合わせられている
ことを特徴とする操作機構。
【請求項8】
前記第1の可動板と前記磁石の前記一方の極との間に設けられた第1のヨークと、
前記第2の可動板と前記磁石の前記他方の極との間に設けられた第2のヨークと
を備えることを特徴とする請求項7に記載の操作機構。
【請求項9】
前記第1の可動板は、
末端部から前記磁石の前記他方の極側に向かって延びて設けられ、
前記第2の可動板は、
末端部から前記磁石の前記一方の極側に向かって延びて設けられ、
前記第1の可動板の非操作時には、前記第1の可動板の自由端側の部分と、前記第2の可動板の自由端側の部分とが、互いに重なりあっている
ことを特徴とする請求項8に記載の操作機構。
【請求項10】
前記第1のヨークと前記第2のヨークとの間の距離を全体の幅としたとき、当該全体の幅に対する前記第1の隙間の割合が15~35%である
ことを特徴とする請求項9に記載の操作機構。
【請求項11】
前記第1のヨークと前記第2のヨークとの間の距離を全体の幅としたとき、当該全体の幅に対する前記第2の隙間の割合が20~40%である
ことを特徴とする請求項9に記載の操作機構。
【請求項12】
請求項1から11のいずれかの操作機構と、
前記第2の可動板の傾動によって切り替えられる入力手段と
を備えることを特徴とする入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作機構および入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、車両用ストップランプスイッチに関し、車両のブレーキペダルの踏み込み操作に伴って、移動子が移動したときに、アーマチュアに対する磁石の吸引力が徐々に弱まるように構成され、アーマチュアに対する磁石の吸引力よりも、可動接点ばねの弾性変形状態からの復元力が強くなったとき、可動接点ばねが復元することにより、可動接点を固定接点から離間させて、車両のストップランプを点灯させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-193699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術は、移動子を確実に復帰させるためのスプリング(すなわち、復帰手段)を設ける必要があり、部品点数の増加、装置全体の大型化、等の課題を有する。また、特許文献1の技術は、良好な操作感を得るという点でも、改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態に係る操作機構は、磁石と、磁性体から形成され、磁石の一方の極に接続された第1の可動板と、磁性体から形成され、磁石の他方の極に接続された第2の可動板とを備え、第1の可動板の非操作時には、第2の可動板が第1の可動板に重なる復帰位置にあり、第1の可動板の操作時には、第1の可動板が第2の可動板の中間部を押し下げることによって、第2の可動板の中間部が第1の可動板に接触しつつ、第2の可動板の自由端が第1の可動板から離間するように、第2の可動板が傾倒する。
【発明の効果】
【0006】
一実施形態に係る操作機構によれば、復帰手段を設けることなく、良好な押圧操作感と、確実な復帰力とを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態に係る入力装置の外観斜視図
図2】一実施形態に係る入力装置の分解斜視図
図3】一実施形態に係る入力装置の非操作時の断面図
図4】一実施形態に係る入力装置の操作時の断面図
図5】一実施形態に係る入力装置が有する第1の隙間および第2の隙間を示す図
図6】一実施形態に係る入力装置における第1の隙間と作動力およびクリック率との関係を示すグラフ
図7】一実施形態に係る入力装置における第2の隙間と作動力およびクリック率との関係を示すグラフ
図8】一実施形態に係る入力装置の操作荷重特性を示すグラフ
図9】一実施形態の第1変形例に係る入力装置の非操作時の断面図
図10】一実施形態の第1変形例に係る入力装置の操作時の断面図
図11】一実施形態の第1変形例に係る入力装置の作動力特性を示すグラフ
図12】一実施形態の第2変形例に係る入力装置の非操作時の断面図
図13】一実施形態の第2変形例に係る入力装置の非操作時の断面図
図14】一実施形態の第2変形例に係る入力装置の操作時の断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、一実施形態について説明する。なお、以降の説明では、便宜上、図中Z軸方向を上下方向とし、図中Y軸方向を左右方向とし、図中X軸方向を前後方向とする。但し、Z軸正方向を上方とし、Y軸正方向を右方とし、X軸正方向を前方とする。
【0009】
(入力装置100の概要)
図1は、一実施形態に係る入力装置100の外観斜視図である。図1に示すように、入力装置100は、全体的に、概ね直方体形状を有する。
【0010】
図1に示すように、入力装置100は、ハウジング110の上面が、フレーム120によって覆われている。フレーム120の中央部には、円形の開口部120Aが形成されている。開口部120Aには、ハウジング110の内部に設けられている第1の可動板130の操作部132が露出して設けられている。
【0011】
入力装置100は、第1の可動板130の操作部132による下方(Z軸負方向)への押圧操作が可能であり、当該押圧操作により、スイッチオフ状態からスイッチオン状態に切り替え可能である。
【0012】
(入力装置100の構成)
図2は、一実施形態に係る入力装置100の分解斜視図である。図3は、一実施形態に係る入力装置100の非操作時の断面図である。図2および図3に示すように、入力装置100は、ハウジング110、フレーム120、第1の可動板130、第2の可動板140、FPC150、磁石160、コイル165、ベース部材170、第1のヨーク171、および第2のヨーク172を備える。
【0013】
第1の可動板130、第2の可動板140、磁石160、コイル165、第1のヨーク171、および第2のヨーク172は、「操作機構」を構成する。
【0014】
ハウジング110は、概ね直方体形状を有する、容器状の部材である。ハウジング110は、上面部分に上部開口110Aを有し、さらに、上部開口110Aから下方に向かって凹んだ形状の、内部空間110Bを有する。例えば、ハウジング110は、比較的硬質な絶縁性素材(例えば、硬質樹脂等)が用いられて形成される。
【0015】
フレーム120は、金属製且つ平板状の部材である。フレーム120は、ハウジング110の上面に固定的に取り付けられることにより、ハウジング110の上部開口110Aを閉塞する。上面視にて、フレーム120の中央には、第1の可動板130の操作部132を上方に突出させるための、円形の開口部120Aが形成されている。また、フレーム120の左右両端部の各々には、当該フレーム120が折り曲げられことによって形成される、下方に垂下したフック121が設けられている。フレーム120は、左右一対のフック121が、ハウジング110の側面に係合することによって、ハウジング110に固定される。
【0016】
第1の可動板130は、ハウジング110の内部空間110B内、且つ、フレーム120の下側(Z軸負側)において、ハウジング110の内部空間110Bの左端部(Y軸負側の端部)から中央部にかけて延在して設けられている。
【0017】
第1の可動板130は、基部131と、操作部132と、脚部133とを有する。第1の可動板130は、SPCC鋼板等の1枚の金属板(「磁性体」の一例)が加工されることによって、基部131、操作部132、および脚部133が一体的に形成される。
【0018】
基部131は、ハウジング110の内部空間110Bの左端部(Y軸負側の端部)から中央部にかけて、左右方向(Y軸方向)に延びる平板状の部分である。基部131は、図3に示すように、第1の可動板130の操作部132の非操作時に水平な姿勢となる。
【0019】
操作部132は、基部131の自由端(Y軸正側の端部)側に設けられており、上方(Z軸正方向)に向かって凸状を有する。操作部132は、フレーム120の開口部120Aを貫通して、開口部120Aよりも上方に露出して設けられている。操作部132は、操作者による押圧操作がなされる部分である。
【0020】
脚部133は、基部131の末端部(Y軸負側の端部)から下方(Z軸負方向)に延びる壁状の部分である。脚部133は、その底面部がハウジング110の内部空間110B内に配置されている第1のヨーク171の上面171Aに着地して設けられることによって、基部131が水平な姿勢となるように、基部131の末端部を支持する。脚部133は、図3に示すように、第1の可動板130の操作部132の非操作時に垂直な姿勢となる。第1の可動板130は、脚部133(末端部)を支点として、傾倒可能に設けられている。
【0021】
第1の可動板130は、第1のヨーク171を介して、磁石160の一方の極161に磁気的に接続されている。これにより、第1の可動板130は、磁石160の一方の極161と同極性の磁気を帯びたものとなっている。
【0022】
第2の可動板140は、ハウジング110の内部空間110B内、且つ、第1の可動板130の下側(Z軸負側)において、ハウジング110の内部空間110Bの右端部(Y軸正側の端部)から中央部にかけて延在して設けられている。
【0023】
第2の可動板140は、基部141と、押圧部142と、脚部143とを有する。第2の可動板140は、SPCC鋼板等の1枚の金属板(「磁性体」の一例)が加工されることによって、基部141、押圧部142、および脚部143が一体的に形成される。
【0024】
基部141は、ハウジング110の内部空間110Bの右端部(Y軸正側の端部)から中央部にかけて、左右方向(Y軸方向)に延びる平板状の部分である。基部141は、図3に示すように、第1の可動板130の操作部132の非操作時に水平な姿勢となる。
【0025】
押圧部142は、基部141の自由端(Y軸負側の端部)側に設けられており、下方(Z軸負方向)に向かって凸状を有する。押圧部142は、第1の可動板130の操作部132の下側、且つ、FPC150に設けられている可動接点部材152の上側に設けられている。押圧部142は、第1の可動板130の操作部132の操作時に、FPC150に設けられている可動接点部材152の頂部を押圧する部分である。なお、押圧部142は、可動接点部材152との当接を適正化して操作感触を調整するために、第1の可動板130との磁気吸引が可能に基部141を反らせて形成すること、波型状、V字状等に形成することも可能である。
【0026】
脚部143は、基部141の末端部(Y軸正側の端部)から下方(Z軸負方向)に延びる壁状の部分である。脚部143は、その底面部がハウジング110の内部空間110B内に配置されている第2のヨーク172の上面172Aに着地して設けられることによって、基部141が水平な姿勢となるように、基部141の末端部を支持する。脚部143は、図3に示すように、第1の可動板130の操作部132の非操作時に垂直な姿勢となる。第2の可動板140は、脚部143(末端部)を支点として、傾倒可能に設けられている。
【0027】
第2の可動板140は、第2のヨーク172を介して、磁石160の他方の極162に磁気的に接続されている。これにより、第2の可動板140は、磁石160の他方の極162と同極性の磁気を帯びたものとなっている。
【0028】
FPC150は、フィルム状の配線部材である。FPC150は、ハウジング110の内部空間110B内に配置され、且つ、ベース部材170の上面に固定される、基部150Aを有する。基部150Aの上面における中央部には、導体からなる固定接点151が設けられており、さらにその上側には、導体からなるドーム状の可動接点部材152が設けられている。また、FPC150は、基部150Aからハウジング110の外部に引き出される帯状の引き出し部150Bを有する。さらに、FPC150の上面は、樹脂フィルム153が貼り付けられており、すなわち、樹脂フィルム153によって覆われている。
【0029】
固定接点151および可動接点部材152は、「入力手段」の一例であり、いわゆるスイッチを構成する。なお、「入力手段」は、少なくとも第2の可動板140の傾動によって切替えられる入力を検出できるものであれば、如何なる構成を有するものであってもよい。例えば、「入力手段」は、第2の可動板140の傾動によって摺動子が抵抗体パターン上を摺接する可変抵抗器や、非接触スイッチ(例えば、第2の可動板140の傾動によって生じる、磁石やコイルからの磁力変化を検出する磁気センサ、受光部に到達する受光量の変化を検出する光学センサ、静電容量の変化を検出する静電センサ等)であってもよい。
【0030】
ベース部材170は、ハウジング110の内部空間110Bの下側(Z軸負側)に設けられている。ベース部材170は、直方体形状を有するブロック状の部材である。ベース部材170には、断面形状が矩形状であり、且つ、下側(Z軸負側)が開口した溝部170Aが、左右方向(Y軸方向)に延びて形成されている。溝部170A内には、磁石160およびコイル165が配置されている。また、ベース部材170の上面には、FPC150の基部150Aが固定されている。
【0031】
磁石160は、ベース部材170の溝部170A内に設けられている。磁石160は、左右方向(Y軸方向)に延びる角棒状の部材である。磁石160は、左側(Y軸負側)の半分が、一方の極161に着磁されている。磁石160は、右側(Y軸正側)の半分が、他方の極162に着磁されている。
【0032】
コイル165は、ベース部材170の溝部170A内において、磁石160の外表面(上面、下面、前面、および後面)に対し、Y軸の軸回りに巻き付けられて設けられている。コイル165は、導線が用いられて形成される。コイル165を形成する導線の両端部は、FPC150に接続されている。コイル165は、FPC150を介して供給される電流量に応じて、磁石160の磁力を調整することができる。
【0033】
第1のヨーク171は、磁石160の左側(Y軸負側)に設けられている、垂直な壁状の部材である。第1のヨーク171は、磁性体が用いられて形成されており、磁石160の左側(Y軸負側)の端面に密着して設けられている。これにより、第1のヨーク171は、磁石160の一方の極161に磁気的に接続されている。
【0034】
第2のヨーク172は、磁石160の右側(Y軸正側)に設けられている、垂直な壁状の部材である。第2のヨーク172は、磁性体が用いられて形成されており、磁石160の右側(Y軸正側)の端面に密着して設けられている。これにより、第2のヨーク172は、磁石160の他方の極162に磁気的に接続されている。
【0035】
(入力装置100の動作)
次に、図3および図4を参照して、入力装置100の動作を説明する。図4は、一実施形態に係る入力装置100の操作時の断面図である。
【0036】
一実施形態に係る入力装置100は、図3に示すように、第1の可動板130の操作部132による押圧操作がなされていないとき、第1の可動板130および第2の可動板140が、いずれも水平な状態にある。このとき、第1の可動板130の自由端130A側の部分と、第2の可動板140の自由端140B側の部分とが、互いに重なり合っている。また、第2の可動板140は、第1の可動板130に重なる復帰位置にある。また、第2の可動板140の押圧部142は、FPC150の基部150Aに設けられている可動接点部材152から離間しており、すなわち、可動接点部材152を押圧していない。このため、可動接点部材152は、FPC150の基部150Aに設けられている固定接点151に接続されてなく、よって、入力装置100は、スイッチオフ状態となっている。
【0037】
また、このとき、第1の可動板130の自由端130A側の部分と、第2の可動板140の自由端140B側の部分とは、互いに重なり合った状態で、第1の可動板130の磁力(磁石160の一方の極161と同極性の磁力)と、第2の可動板140の磁力(磁石160の他方の極162と同極性の磁力)とによって互いに吸着されている。
【0038】
そして、一実施形態に係る入力装置100は、図4に示すように、第1の可動板130の操作部132による押圧操作がなされたとき、第1の可動板130が右下がりに傾倒することにより、第1の可動板130の自由端130Aが、第2の可動板140の中間部140Aを押し下げる。これにより、第2の可動板140は、中間部140Aが第1の可動板130に接触したまま、自由端140Bが第1の可動板130から離間するように、左下がりに傾倒する。
【0039】
その結果、第2の可動板140の押圧部142が、可動接点部材152の頂部を押圧する。そして、可動接点部材152が弾性変形し、可動接点部材152の頂部の裏側の部分が、固定接点151に接続される。よって、入力装置100は、スイッチオン状態に切り替わる。
【0040】
この際、一実施形態に係る入力装置100は、第1の可動板130の操作部132による押圧操作がなされたとき、第2の可動板140の自由端140B側の部分が磁気吸引力に抗して第1の可動板130の自由端130A側の部分から引き剥がされることによって、第1の可動板130の操作部132による押圧操作の操作荷重が増加から減少に転じることにより、操作部132による押圧操作に対してクリック感を呈示できる。
【0041】
また、この際、図4に示すように、第1の可動板130の自由端130A側の部分と、第2の可動板140の自由端140B側の部分との間には、X軸方向から視て、三角形状の領域A1が形成される。そして、この領域A1においては、第1の可動板130の磁気による引力が生じる。
【0042】
一実施形態に係る入力装置100は、この領域A1における引力により、第1の可動板130の操作部132による押圧操作が解除されたとき、第1の可動板130に対して第2の可動板140が吸引されつつ、第1の可動板130および第2の可動板140の各々が水平状態に復帰し、第1の可動板130および第2の可動板140が、図3に示す互いに重なりあった状態に復帰する。
【0043】
その結果、第2の可動板140の押圧部142による可動接点部材152の押圧は解消され、よって可動接点部材152の固定接点151への接続が解消し、一実施形態に係る入力装置100は、スイッチオフ状態に復帰する。
【0044】
特に、一実施形態に係る入力装置100は、第2の可動板140の傾倒角度によらず、第1の可動板130の自由端130Aが、第2の可動板140の中間部140Aに常に接触しているため、領域A1における引力が確実に生じるようになっている。したがって、一実施形態に係る入力装置100によれば、スプリング等の復帰手段を設けることなく、第1の可動板130の操作部132による押圧操作が解除されたときの、第1の可動板130および第2の可動板140の復帰力を確実に得ることができる。
【0045】
また、一実施形態に係る入力装置100は、第2の可動板140の傾きが変化することによって、領域A1における引力が徐々に変化するため、第1の可動板130および第2の可動板140を互いに平行のまま引き離す構成と比較して、領域A1における引力の急激な変化を抑制することができ、したがって、第1の可動板130の操作部132による押圧操作の良好な操作感を得ることができる。
【0046】
また、一実施形態に係る入力装置100は、磁石160の外表面にコイル165を巻き付けて設けているため、コイル165に供給される電流量を調整することにより、磁石160の磁力を強めたり低めたりすることができ、よって、第1の可動板130と第2の可動板140との間の磁気吸引力を調整することができる。その結果、一実施形態に係る入力装置100は、第1の可動板130の操作部132による押圧操作のクリック感を、強めたり低めたりすることができる。
【0047】
また、一実施形態に係る入力装置100は、磁石160として永久磁石を用いているため、コイル165に電流を供給しない状態であっても、第1の可動板130と第2の可動板140との間に磁気吸引力を生じさせることができ、よって、第1の可動板130の操作部132による押圧操作のクリック感を呈示することができる。なお、押圧操作のクリック感を調整する必要がない場合は、コイル165を用いずに、磁石160として永久磁石を用いて第1の可動板130と第2の可動板140との間に一定の磁気吸引力を付与するようにしても良い。
【0048】
また、一実施形態に係る入力装置100は、第1の可動板130と第2の可動板140との間の磁気吸引力を用いて、第1の可動板130の操作部132による押圧操作のクリック感を発生させるため、当該クリック感を発生させるための、第1の可動板130および第2の可動板140の摩耗および劣化を生じ難くすることができる。
【0049】
また、一実施形態に係る入力装置100は、第1の可動板130と磁石160との間に設けられた第1のヨーク171と、第2の可動板140と磁石160との間に設けられた第2のヨーク172とを備える。これにより、一実施形態に係る入力装置100は、第1の可動板130と第2の可動板140との間の磁気吸引力を高めることができる。
【0050】
また、一実施形態に係る入力装置100において、第1の可動板130は、末端部にて磁石160の一方の極161に接続され、且つ、末端部から磁石160の他方の極162側に向かって延びて設けられ、第2の可動板140は、末端部にて磁石160の他方の極162に接続され、且つ、末端部から磁石160の一方の極161側に向かって延びて設けられ、第1の可動板130の非操作時には、第1の可動板130の自由端130A側の部分と、第2の可動板の自由端140B側の部分とが、互いに重なりあっている。これにより、一実施形態に係る入力装置100は、磁石160の投影面上に第1の可動板130および第2の可動板140を配置することができ、設置スペースを効率的に利用することができ、且つ、入力装置100全体の小型化を実現することができる。
【0051】
さらに、一実施形態に係る入力装置100は、ハウジング110の内部空間110Bに対し、ハウジング110の上部開口110Aから、第1のヨーク171および第2のヨーク172、ベース部材170(磁石160、コイル165、およびFPC150が組付けられた状態のもの)、第2の可動板140、および、第1の可動板130を積み重ねて配置し、さらにハウジング110にフレーム120を取り付けることによって、容易に組み立てることが可能である。
【0052】
(第1の隙間D1および第2の隙間D2の好適な寸法例)
図5は、一実施形態に係る入力装置100が有する第1の隙間D1および第2の隙間D2を示す図である。図6は、一実施形態に係る入力装置100における第1の隙間D1と作動力[N]およびクリック率[%]との関係を示すグラフである。図7は、一実施形態に係る入力装置100における第2の隙間D2と作動力[N]およびクリック率[%]との関係を示すグラフである。ここで、作動力は入力装置100をオフからオン(或いはオンからオフ)に切り替えるのに必要な荷重であり、クリック率は入力装置100を押圧操作したときに操作者が受ける(感じる)感触を数値化したものである。
【0053】
図5に示すように、一実施形態に係る入力装置100は、第1の可動板130と第2の可動板140とが重なる平面上において、第1の可動板130の自由端130Aと第2の可動板140の末端部との間に、第1の隙間D1を有する。なお、第2の可動板140の末端部は、第2の可動板140のY軸正側の端部であり、第2の可動板140が傾倒する際の支点となる脚部143が設けられている部分である。
【0054】
これにより、一実施形態に係る入力装置100は、第1の可動板130の自由端130Aを第2の可動板140の末端部から適度に離間させることができ、よって、良好な作動力で第2の可動板140を傾動させることができる。
【0055】
また、図5に示すように、一実施形態に係る入力装置100は、第1の可動板130と第2の可動板140とが重なる平面上において、第2の可動板140の自由端140Bと第1の可動板130の末端部との間に、第2の隙間D2を有する。なお、第1の可動板130の末端部は、第1の可動板130のY軸負側の端部であり、第1の可動板130が傾倒する際の支点となる脚部133が設けられている部分である。
【0056】
これにより、一実施形態に係る入力装置100は、第2の可動板140の自由端140Bを第1の可動板130の末端部から適度に離間させることで、第2の可動板140が第1の可動板130から受ける磁気吸引力を適正にでき、よって、良好な作動力で第2の可動板140を傾動させることができる。
【0057】
ここで、図5に示すように、第1のヨーク171から第2のヨーク172までの距離を全体の幅Wと定義する。
【0058】
この場合、図6に示すように、全体の幅Wに対する第1の隙間D1の割合は、15~35[%]であることが好ましく、15~20[%]がより好ましい。これにより、一実施形態に係る入力装置100は、良好な作動力[N]と良好なクリック率[%]とを得ることができ、したがって、良好な操作感を得ることができる。
【0059】
また、図7に示すように、全体の幅Wに対する第2の隙間D2の割合は、20~40[%]であることが好ましい。これにより、一実施形態に係る入力装置100は、良好な作動力[N]と良好なクリック率[%]とを得ることができ、したがって、良好な操作感を得ることができる。
【0060】
(入力装置100の操作荷重特性)
図8は、一実施形態に係る入力装置100の操作荷重特性を示すグラフである。図8に示す各グラフにおいて、縦軸は操作荷重[N]を示し、横軸は押圧操作のストローク量[mm]を示す。
【0061】
図8に示すように、第1の可動板130の操作部132の押圧操作のストローク量[mm]が所定量S1となるまでの間は、操作荷重[N]は単調増加する。
【0062】
そして、第1の可動板130の操作部132の押圧操作のストローク量[mm]が所定量S1を超えると、第1の可動板130から第2の可動板140が引き剥がされる。
【0063】
このため、図8に示すように、ストローク量[mm]が、所定量S1を超えてから、スイッチオン状態となる所定量S2に達するまでの間、操作荷重[N]は減少する。
【0064】
このように、一実施形態に係る入力装置100は、ストローク量[mm]が所定量S1を超えたときに、操作荷重[N]が増加から減少に転じることによって、第1の可動板130の操作部132の押圧操作に対して、クリック感を呈示することができる。
【0065】
さらに、一実施形態に係る入力装置100は、図8に示すように、ストローク量[mm]が所定量S2に達してスイッチオン状態に切り替わった後も、第1の可動板130の操作部132をさらに押し込む操作(いわゆる、オーバーストローク操作)がなされることによって、操作荷重[N]を増加させつつ、操作部132のストローク量[mm]を増加させることができる。
【0066】
〔第1変形例〕
(入力装置100-2の構成)
図9は、一実施形態の第1変形例に係る入力装置100-2の非操作時の断面図である。以下、入力装置100-2に関し、入力装置100からの変更点を説明する。なお、入力装置100-2において、入力装置100と共通の部分は、入力装置100と同一の符号を付して、ここでの説明を省略する。
【0067】
図9に示すように、入力装置100-2は、ハウジング110の上部開口110A、且つ、第1の可動板130の上側(Z軸正側)に、ステム180をさらに備え、当該ステム180の操作部181が、フレーム120の開口部120Aから露出している点で、入力装置100と異なる。
【0068】
ステム180は、「操作部材」の一例である。ステム180は、弾性素材(例えば、ゴム、シリコン等)が用いられて形成されている。ステム180は、中央部に上方に突出した操作部181を有する。操作部181は、当該操作部181の周囲に設けられている、比較的薄い平板状のフランジ部182によって支持されている。操作部181は、フランジ部182が弾性変形することによって、上下方向(Z軸方向)に移動可能に設けられている。
【0069】
また、ステム180は、操作部181の下側に、フランジ部182よりも下方(Z軸負方向)に向かって突出した、押圧部183を有する。押圧部183は、第1の可動板130の操作部132の上側に設けられている。押圧部183は、ステム180の操作部181の操作時に、第1の可動板130の操作部132を押圧する部分である。
【0070】
なお、図9に示すように、入力装置100-2では、第1の可動板130の操作部132は、平面状を有するものに変更されている。
【0071】
(入力装置100-2の動作)
次に、図9および図10を参照して、入力装置100-2の動作を説明する。図10は、一実施形態の第1変形例に係る入力装置100-2の操作時の断面図である。
【0072】
第1変形例に係る入力装置100-2は、図9に示すように、ステム180の操作部181による押圧操作がなされていないとき、第1の可動板130および第2の可動板140が、いずれも水平な状態にある。このとき、第2の可動板140の押圧部142は、FPC150の基部150Aに設けられている可動接点部材152から離間しており、すなわち、可動接点部材152を押圧していない。このため、可動接点部材152は、FPC150の基部150Aに設けられている固定接点151に接続されてなく、よって、入力装置100-2は、スイッチオフ状態となっている。
【0073】
そして、第1変形例に係る入力装置100-2は、図10に示すように、操作者からステム180の操作部181による押圧操作がなされたとき、ステム180のフランジ部182が弾性変形しつつ、ステム180の操作部181および押圧部183が下方へ移動する。その際、ステム180の押圧部183が、第1の可動板130の操作部132を押圧することにより、第1の可動板130が右下がりに傾倒する。
【0074】
そして、第1の可動板130の自由端130Aが、第2の可動板140の中間部140Aを押し下げる。これにより、第2の可動板140は、中間部140Aが第1の可動板130に接触したまま、自由端140Bが第1の可動板130から離間するように、左下がりに傾倒する。
【0075】
その結果、第2の可動板140の押圧部142が、可動接点部材152の頂部を押圧する。そして、可動接点部材152が弾性変形し、可動接点部材152の頂部の裏側の部分が、固定接点151に接続される。よって、入力装置100-2は、スイッチオン状態に切り替わる。
【0076】
第1変形例に係る入力装置100-2は、上述した入力装置100からの変更点を除き、入力装置100と同様の構成を有するため、入力装置100と同様の効果を奏することができる。加えて、第1変形例に係る入力装置100-2は、ステム180をさらに設けたことにより、ステム180の操作部181による押圧操作時に、ステム180が弾性変形することによって、押圧操作の操作荷重の一部を吸収することができる。したがって、第1変形例に係る入力装置100-2は、入力装置100と比較して、押圧操作の操作荷重の変化を、緩やかにすることができる。
【0077】
また、第1変形例に係る入力装置100-2は、ステム180の素材の弾性率(すなわち、弾性変形のし難さ)を調整することによって、押圧操作の操作荷重の変化度合いを調整することができる。
【0078】
(入力装置100-2の作動力特性)
図11は、一実施形態の第1変形例に係る入力装置100-2の作動力特性を示すグラフである。
【0079】
図11(a)は、ステム180の操作部181の移動量[mm]と、磁石160による磁力[N]との関係を示すグラフである。
【0080】
図11(b)は、ステム180の操作部181の潰し量[mm]と、ステム180による反力[N]との関係を示すグラフである。
【0081】
図11(c)は、ステム180の操作部181の移動量[mm]と、作動力[N]との関係を示すグラフである。
【0082】
図11に示すように、第1変形例に係る入力装置100-2は、ステム180をさらに設けたことによって、図11(c)に示すステム180の操作部181の作動力特性が、図11(a)に示す磁石160による磁力の特性と、図11(b)に示すステム180による反力の特性とを足し合わせたものとなる。
【0083】
これにより、第1変形例に係る入力装置100-2は、図11(c)に示すステム180の操作部181の作動力特性を、図8に示す入力装置100に操作荷重特性と比較して、押圧操作の操作荷重の変化が緩やかなものにすることができる。
【0084】
〔第2変形例〕
(入力装置100-3の構成)
図12および図13は、一実施形態の第2変形例に係る入力装置100-3の非操作時の断面図である。図12は、入力装置100-3のYZ平面による断面図である。図13は、入力装置100-3のXZ平面による断面図である。
【0085】
以下、入力装置100-3に関し、入力装置100からの変更点を説明する。なお、入力装置100-3において、入力装置100と共通の部分は、入力装置100と同一の符号を付して、ここでの説明を省略する。
【0086】
図12および図13に示すように、入力装置100-3は、ハウジング110の内部空間110Bにおいて、第1のヨーク171、第2のヨーク172、およびベース部材170(磁石160、コイル165、およびFPC150が組付けられた状態のもの)の下側(Z軸負側)に、第1の可動板130および第2の可動板140が設けられている点で、入力装置100と異なる。
【0087】
また、図12および図13に示すように、入力装置100-3は、ハウジング110の内部空間110Bにおいて、第1の可動板130および第2の可動板140が、上下方向(Z軸方向)に反転して設けられている点で、入力装置100と異なる。
【0088】
また、図12および図13に示すように、入力装置100-3は、ハウジング110の内部空間110Bにおいて、第1の可動板130と第2の可動板140とが左右方向(Y軸方向)に入れ替えて設けられている点で、入力装置100と異なる。
【0089】
したがって、入力装置100-3において、第1の可動板130の脚部133は、基部131の末端部(Y軸正側の端部)から上方に(Z軸正方向)に延びるように設けられており、且つ、その上面部が第2のヨーク172の底面に着地することによって、基部131が水平な姿勢となるように、基部131の末端部を支持する。
【0090】
同様に、入力装置100-3において、第2の可動板140の脚部143は、基部141の末端部(Y軸負側の端部)から上方に(Z軸正方向)に延びるように設けられており、且つ、その上面部が第1のヨーク171の底面に着地することによって、基部141が水平な姿勢となるように、基部141の末端部を支持する。
【0091】
なお、図12および図13に示すように、入力装置100-3では、第1の可動板130の基部131は、自由端130A側の部分が、平面状を有するものに変更されている。また、入力装置100-3では、第2の可動板140の基部141は、自由端140B側の部分が、平面状を有するものに変更されている。
【0092】
また、入力装置100-3は、ハウジング110の上部開口110A、且つ、介在部材190の天板部191の上側(Z軸正側)に、ステム180をさらに備え、当該ステム180の操作部181が、フレーム120の開口部120Aから露出している点で、入力装置100と異なる。
【0093】
ステム180は、「操作部材」の一例である。ステム180は、比較的硬質な素材(例えば、樹脂、金属等)が用いられて形成されている。ステム180は、水平な平板状の基部184と、基部184の中央部から上方に突出した操作部181とを有する。操作部181は、フレーム120の開口部120A内を、上下方向(Z軸方向)に移動可能に設けられている。基部184は、ハウジング110の内部空間110B内を、上下方向(Z軸方向)に移動可能に設けられている。
【0094】
また、入力装置100-3は、ハウジング110の内部空間110Bに、介在部材190をさらに備える点で、入力装置100と異なる。介在部材190は、ステム180と第1の可動板130との間に介在して設けられ、ステム180の押圧操作がなされたときに、ステム180と連動して下方(Z軸負方向)に移動することにより、第1の可動板130を押圧する。
【0095】
介在部材190は、水平な平板状の天板部191と、天板部191の前後方向(X軸方向)における両端部から下方(Z軸負方向)に垂下して設けられた、一対の壁部192とを有して構成されている。
【0096】
天板部191は、ステム180の下側に設けられている。天板部191の上面は、ステム180の底面に接触している。これにより、介在部材190は、ステム180の押圧操作がなされたときに、ステム180と連動して下方(Z軸負方向)に移動できるようになっている。
【0097】
天板部191は、その中央部に、下方(Z軸負方向)に向かって突出した、押圧部191Aを有する。押圧部191Aは、可動接点部材152の頂部の上側に設けられている。押圧部191Aは、ステム180の操作部181の押圧操作時に、可動接点部材152の頂部を押圧する部分である。
【0098】
一対の壁部192は、いずれも垂直な壁状を有し、ベース部材170の側壁(X軸正方向およびX軸負方向の両側面)に形成されたガイド溝を間に挟んで互いに対向して設けられ、ベース部材170に対して介在部材190が上下方向(Z軸方向)に昇降可能に保持されている。そして、一対の壁部192の各々は、第1の可動板130の自由端130A側の部分に当接するまで、下方(Z軸負方向)に延びて設けられている。これにより、一対の壁部192の各々は、ステム180の押圧操作がなされて、介在部材190が下方(Z軸負方向)に移動したときに、第1の可動板130の自由端130A側の部分を押圧することができる。
【0099】
(入力装置100-3の動作)
次に、図12図14を参照して、入力装置100-3の動作を説明する。図14は、一実施形態の第2変形例に係る入力装置100-3の操作時の断面図である。
【0100】
第2変形例に係る入力装置100-3は、図12および図13に示すように、ステム180の操作部181による押圧操作がなされていないとき、第1の可動板130および第2の可動板140は、いずれも水平な状態にある。このとき、第1の可動板130の自由端130A側の部分と、第2の可動板140の自由端140B側の部分とが、互いに重なり合っている。また、このとき、介在部材190の天板部191に設けられている押圧部191Aは、FPC150の基部150Aに設けられている可動接点部材152から離間しており、すなわち、可動接点部材152を押圧していない。このため、可動接点部材152は、FPC150の基部150Aに設けられている固定接点151に接続されてなく、よって、入力装置100-3は、スイッチオフ状態となっている。
【0101】
そして、第2変形例に係る入力装置100-3は、図14に示すように、操作者からステム180の操作部181による押圧操作がなされたとき、ステム180と連動して介在部材190が下方(Z軸負方向)へ移動する。
【0102】
その際、介在部材190の一対の壁部192が、第1の可動板130の自由端130A側の部分を押圧することにより、第1の可動板130が左下がりに傾倒する。
【0103】
そして、第1の可動板130の自由端130Aが、第2の可動板140の中間部140Aを押し下げる。これにより、第2の可動板140は、中間部140Aが第1の可動板130に接触したまま、自由端140Bが第1の可動板130から離間するように、右下がりに傾倒する。
【0104】
また、介在部材190が下方(Z軸負方向)へ移動することにより、介在部材190の天板部191に設けられている押圧部191Aが、可動接点部材152の頂部を押圧する。そして、可動接点部材152が弾性変形し、可動接点部材152の頂部の裏側の部分が、固定接点151に接続される。よって、入力装置100-3は、スイッチオン状態に切り替わる。
【0105】
第2変形例に係る入力装置100-3は、上述した入力装置100からの変更点を除き、入力装置100と同様の構成を有するため、入力装置100と同様の効果を奏することができる。加えて、第2変形例に係る入力装置100-3は、介在部材190によって直接的に(すなわち、第1の可動板130および第2の可動板140を介さずに)可動接点部材152の頂部を押圧する構成を採用したことにより、第1の可動板130および第2の可動板140の部品精度のばらつきの影響を受けることなく、高精度に可動接点部材152の頂部を押圧することができる。
【0106】
なお、入力装置100-3は、入力装置100と同様に弾性部材を介さずに第1の可動板130を押圧するため、入力装置100-3の操作荷重特性は、図8に示す入力装置100の操作荷重特性と同様である。
【0107】
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形又は変更が可能である。
【符号の説明】
【0108】
100,100-2,100-3 入力装置
110 ハウジング
110A 上部開口
110B 内部空間
120 フレーム
120A 開口部
121 フック
130 第1の可動板
130A 自由端
131 基部
132 操作部
133 脚部(末端部)
140 第2の可動板
140A 中間部
140B 自由端
141 基部
142 押圧部
143 脚部(末端部)
150 FPC
150A 基部
150B 引き出し部
151 固定接点
152 可動接点部材
153 樹脂フィルム
160 磁石
165 コイル
170 ベース部材
170A 溝部
171 第1のヨーク
171A 上面
172 第2のヨーク
172A 上面
180 ステム
181 操作部
182 フランジ部
183 押圧部
184 基部
190 介在部材
191 天板部
191A 押圧部
192 壁部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14