(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010867
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】磁気センサ装置および磁気式エンコーダ
(51)【国際特許分類】
G01R 33/09 20060101AFI20240118BHJP
G01R 33/02 20060101ALI20240118BHJP
G01D 5/244 20060101ALI20240118BHJP
G01D 5/245 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
G01R33/09
G01R33/02 Q
G01D5/244 K
G01D5/245 110C
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022112420
(22)【出願日】2022-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】弁理士法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】蔡 永福
【テーマコード(参考)】
2F077
2G017
【Fターム(参考)】
2F077AA48
2F077CC02
2F077NN02
2F077NN04
2F077NN05
2F077NN06
2F077NN17
2F077NN26
2F077PP14
2F077TT11
2F077TT16
2F077VV09
2F077VV33
2F077WW03
2F077WW06
2G017AA02
2G017AD55
2G017BA09
2G017BA15
2G017CB02
2G017CB18
2G017CB21
2G017CB22
(57)【要約】
【課題】一様な外部磁界を用いて磁気センサを検査することができる磁気センサ装置および磁気式エンコーダを実現する。
【解決手段】磁気センサ装置2は、磁気センサ4と、ダイパッド60と、4つのリード61~64とを備えている。磁気センサ4は、4つのアームR1~R4を含むブリッジ回路4Aと、ブリッジ回路4Aに電気的に接続された4つのパッド11~14とを有している。アームR3は、回路構成上、パッド11とパッド14との間に設けられている。アームR4は、回路構成上、パッド12とパッド14との間に設けられている。磁気センサ4は、更に、アームR3の一端と他端との間に電気的に接続され且つダイパッド60に電気的に接続されたサブパッド15を有している。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向の磁界成分を含む対象磁界を検出するように構成された磁気センサと、
前記磁気センサを支持するダイパッドと、
複数のリードとを備えた磁気センサ装置であって、
前記磁気センサは、それぞれ複数の磁気検出素子によって構成されると共に前記磁界成分の強度の変化に応じて抵抗値が変化するように構成された複数のアームを含むブリッジ回路と、前記ブリッジ回路に電気的に接続された複数のパッドとを有し、
前記複数のアームの各々は、前記第1の方向における位置に応じて強度が変化する前記磁界成分に対しては感度を有するが、前記第1の方向における位置によらずに強度および方向が同一の外部磁界に対しては感度を有さないように構成され、
前記複数のパッドの各々は、前記複数のリードのうちの対応する1つのリードに電気的に接続され、
前記複数のパッドは、第1のパッドと、第2のパッドと、第3のパッドとを含み、
前記複数のアームは、回路構成上前記第1のパッドと前記第2のパッドとの間に設けられた第1のアームと、回路構成上前記第2のパッドと前記第3のパッドとの間に設けられた第2のアームとを含み、
前記磁気センサは、更に、前記第1のアームの一端と他端との間に電気的に接続され且つ前記ダイパッドに電気的に接続された第1のサブパッドを有することを特徴とする磁気センサ装置。
【請求項2】
前記第1のパッドと前記第3のパッドの一方は、前記磁気センサの電源ポートを構成し、
前記第1のパッドと前記第3のパッドの他方は、前記磁気センサのグランドポートを構成し、
前記第2のパッドは、前記磁気センサの信号ポートを構成することを特徴とする請求項1記載の磁気センサ装置。
【請求項3】
前記第1のサブパッドは、前記磁気センサ装置が被実装体に実装された状態では、外部の回路に電気的に接続されないことを特徴とする請求項1記載の磁気センサ装置。
【請求項4】
前記第2のアームの一端と他端との間には、いかなるパッドも電気的に接続されていないことを特徴とする請求項1記載の磁気センサ装置。
【請求項5】
前記磁気センサは、更に、前記第2のアームの一端と他端との間に電気的に接続された第2のサブパッドを含むことを特徴とする請求項1記載の磁気センサ装置。
【請求項6】
前記第2のサブパッドは、前記複数のリードおよび前記ダイパッドには電気的に接続されていないことを特徴とする請求項5記載の磁気センサ装置。
【請求項7】
前記複数のパッドは、更に、第4のパッドを含み、
前記複数のアームは、更に、回路構成上前記第3のパッドと前記第4のパッドとの間に設けられた第3のアームと、回路構成上前記第1のパッドと前記第4のパッドとの間に設けられた第4のアームとを含むことを特徴とする請求項1記載の磁気センサ装置。
【請求項8】
前記第2のアームの一端と他端との間、前記第3のアームの一端と他端との間および前記第4のアームの一端と他端との間には、いかなるパッドも電気的に接続されていないことを特徴とする請求項7記載の磁気センサ装置。
【請求項9】
前記磁気センサは、更に、前記第2のアームの一端と他端との間に電気的に接続された第2のサブパッドと、前記第3のアームの一端と他端との間に電気的に接続された第3のサブパッドと、前記第4のアームの一端と他端との間に電気的に接続された第4のサブパッドとを有することを特徴とする請求項7記載の磁気センサ装置。
【請求項10】
前記第2のサブパッド、前記第3のサブパッドおよび前記第4のサブパッドは、前記複数のリードおよび前記ダイパッドには電気的に接続されていないことを特徴とする請求項9記載の磁気センサ装置。
【請求項11】
前記複数のリードの数は4つであることを特徴とする請求項7記載の磁気センサ装置。
【請求項12】
前記複数のアームは、前記磁界成分の強度の周期的な変化に応じて、前記複数のアームの各々の抵抗値が互いに異なる位相で変化するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の磁気センサ装置。
【請求項13】
前記複数のアームの各々は、直列に接続された2つの抵抗体を含み、
前記複数のアームの各々において、前記2つの抵抗体は、前記磁界成分の強度の周期的な変化に応じて、前記2つの抵抗体の各々の抵抗値が同じ位相で変化するように構成されると共に、前記外部磁界の強度または方向の周期的な変化に応じて、前記2つの抵抗体の各々の抵抗値が逆位相で変化するように構成されていることを特徴とする請求項12記載の磁気センサ装置。
【請求項14】
前記第1のサブパッドは、前記第1のアームの前記2つの抵抗体の接続点に電気的に接続されていることを特徴とする請求項13記載の磁気センサ装置。
【請求項15】
前記複数の磁気検出素子は、複数の磁気抵抗効果素子であり、
前記複数の磁気抵抗効果素子の各々は、方向が固定された第1の磁化を有する磁化固定層と、変化可能な第2の磁化を有する自由層と、前記磁化固定層と前記自由層の間に配置されたギャップ層とを含むことを特徴とする請求項1記載の磁気センサ装置。
【請求項16】
前記複数のアームの各々は、直列に接続された2つの抵抗体を含み、
前記2つの抵抗体の一方における前記複数の磁気抵抗効果素子の各々の前記磁化固定層の第1の磁化は、第1の磁化方向の成分を含み、
前記2つの抵抗体の他方における前記複数の磁気抵抗効果素子の各々の前記磁化固定層の第2の磁化は、前記第1の磁化方向とは反対の第2の磁化方向の成分を含むことを特徴とする請求項15記載の磁気センサ装置。
【請求項17】
前記第1のサブパッドは、前記第1のアームの前記2つの抵抗体の接続点に電気的に接続されていることを特徴とする請求項16記載の磁気センサ装置。
【請求項18】
請求項1ないし17のいずれかに記載の磁気センサ装置と、
前記対象磁界を発生する磁界発生器とを備え、
前記磁気センサと前記磁界発生器は、前記磁気センサと前記磁界発生器の少なくとも一方が動作すると、基準位置における前記磁界成分の強度が変化するように構成されていることを特徴とする磁気式エンコーダ。
【請求項19】
前記磁界発生器は、複数組のN極とS極が前記第1の方向に交互に配列された磁気スケールであることを特徴とする請求項18記載の磁気式エンコーダ。
【請求項20】
前記磁界発生器は、複数組のN極とS極が回転軸の周りに交互に配列された磁気スケールであることを特徴とする請求項18記載の磁気式エンコーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気センサ装置および磁気式エンコーダに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気センサを用いた磁気式エンコーダは、所定の方向に位置が変化する可動物体の位置を検出するために用いられている。所定の方向は、直線的な方向または回転方向である。可動物体の位置を検出するために用いられる磁気式エンコーダは、可動物体の位置の変化に対応して、所定の範囲内で、磁気センサに対する磁気スケール等の磁界発生器の相対位置が変化するように構成されている。
【0003】
磁気センサに対する磁界発生器の相対位置が変化すると、磁界発生器によって発生されて磁気センサに印加される対象磁界の一方向の成分の強度が変化する。磁気センサは、例えば、対象磁界の一方向の成分の強度を検出して、この一方向の成分の強度に対応し且つ互いに位相の異なる2つの検出信号を生成する。磁気式エンコーダは、2つの検出信号に基づいて、磁気センサに対する磁界発生器の相対位置と対応関係を有する検出値を生成する。
【0004】
磁気式エンコーダ用の磁気センサとしては、複数の磁気抵抗効果素子を用いた磁気センサが用いられている。例えば、特許文献1には、磁気抵抗効果素子として、磁石および磁気センサの相対移動方向とこの相対移動方向に直交する方向に、複数のGMR(巨大磁気抵抗効果)素子を配置した磁気センサが開示されている。この磁気センサは、相互に逆方向に磁化されたピン層を有する第1の磁気抵抗素子と第2の磁気抵抗素子とが直列に接続された回路を含んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般的に、磁気式エンコーダは、別々に製造された磁気センサと磁界発生器とを組み合わせることによって完成する。磁気式エンコーダの製造時には、磁気式エンコーダに不良の磁気センサが含まれることによる製造歩留まりの低下を防止するために、磁気センサを磁界発生器に組み合わせる組立工程の前に、磁気センサを検査することが望ましい。磁気センサを検査する方法としては、例えば、磁気センサに検査用の磁界を印加して、磁気センサの出力を測定する方法がある。また、磁気センサに検査用の磁界を印加する装置としては、磁気センサの全体に一様な磁界を印加するものがある。
【0007】
特許文献1に開示された磁気センサのように、互いに逆方向の磁化を有する2つの磁気抵抗効果素子が直列に接続された回路を含む磁気センサに対して一様な磁界を印加した場合、回路の抵抗値は変化せず、磁気センサの出力も変化しない。このように、一様な外部磁界に対して感度を有さない回路を含む磁気センサを用いた磁気式エンコーダでは、組立工程の前に、検査用の一様な磁界を用いて磁気センサを検査することができなかった。
【0008】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、一様な外部磁界に対して感度を有さない回路を有する磁気センサであっても、一様な外部磁界を用いて磁気センサを検査することができる磁気センサ装置および磁気式エンコーダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の磁気センサ装置は、第1の方向の磁界成分を含む対象磁界を検出するように構成された磁気センサと、磁気センサを支持するダイパッドと、複数のリードとを備えている。磁気センサは、それぞれ複数の磁気検出素子によって構成されると共に磁界成分の強度の変化に応じて抵抗値が変化するように構成された複数のアームを含むブリッジ回路と、ブリッジ回路に電気的に接続された複数のパッドとを有している。複数のアームの各々は、第1の方向における位置に応じて強度が変化する磁界成分に対しては感度を有するが、第1の方向における位置によらずに強度および方向が同一の外部磁界に対しては感度を有さないように構成されている。
【0010】
複数のパッドの各々は、複数のリードのうちの対応する1つのリードに電気的に接続されている。複数のパッドは、第1のパッドと、第2のパッドと、第3のパッドとを含んでいる。複数のアームは、回路構成上第1のパッドと第2のパッドとの間に設けられた第1のアームと、回路構成上第2のパッドと第3のパッドとの間に設けられた第2のアームとを含んでいる。磁気センサは、更に、第1のアームの一端と他端との間に電気的に接続され且つダイパッドに電気的に接続された第1のサブパッドを有している。
【0011】
本発明の磁気式エンコーダは、本発明の磁気センサ装置と、対象磁界を発生する磁界発生器とを備えている。磁気センサと磁界発生器は、磁気センサと磁界発生器の少なくとも一方が動作すると、基準位置における磁界成分の強度が変化するように構成されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の磁気センサ装置および磁気式エンコーダでは、磁気センサは、第1のアームの一端と他端との間に電気的に接続され且つダイパッドに電気的に接続された第1のサブパッドを有している。これにより、本発明によれば、一様な外部磁界を用いて磁気センサを検査することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係る磁気式エンコーダを示す斜視図である。
【
図2】本発明の第1の実施の形態に係る磁気式エンコーダを示す正面図である。
【
図3】本発明の第1の実施の形態に係る磁気センサ装置を示す斜視図である。
【
図4】本発明の第1の実施の形態に係る磁気センサ装置を示す斜視図である。
【
図5】本発明の第1の実施の形態に係る磁気センサ装置の内部を示す斜視図である。
【
図6】本発明の第1の実施の形態に係る磁気センサ装置の内部を示す平面図である。
【
図7】本発明の第1の実施の形態における磁気センサを示す平面図である。
【
図8】本発明の第1の実施の形態における磁気センサの構成を示す回路図である。
【
図9】本発明の第1の実施の形態における複数の抵抗体の配置を説明するための説明図である。
【
図10】本発明の第1の実施の形態における1つの抵抗体を示す平面図である。
【
図11】本発明の第1の実施の形態における磁気抵抗効果素子の第1の例を示す斜視図である。
【
図12】本発明の第1の実施の形態における磁気抵抗効果素子の第2の例を示す斜視図である。
【
図13】本発明の第1の実施の形態における磁気センサとダイパッドおよび複数のリードとの接続関係を説明するための説明図である。
【
図14】本発明の第1の実施の形態における基礎構造物を示す平面図である。
【
図15】本発明の第1の実施の形態に係る磁気センサ装置の第1の変形例を示す平面図である。
【
図16】本発明の第1の実施の形態に係る磁気センサ装置の第2の変形例を示す斜視図である。
【
図17】本発明の第2の実施の形態における磁気センサを示す平面図である。
【
図18】本発明の第2の実施の形態における磁気センサの構成を示す回路図である。
【
図19】本発明の第2の実施の形態におけるダイパッドおよび複数のリードと磁気センサとの接続関係を説明するための説明図である。
【
図20】本発明の第3の実施の形態に係る磁気式エンコーダを示す斜視図である。
【
図21】本発明の第3の実施の形態に係る磁気式エンコーダを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。始めに、
図1および
図2を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る磁気式エンコーダの概略の構成について説明する。
図1は、磁気式エンコーダ1を示す斜視図である。
図2は、磁気式エンコーダ1を示す正面図である。本実施の形態に係る磁気式エンコーダ1は、本実施の形態に係る磁気センサ装置2と、磁界発生器3とを含んでいる。
【0015】
磁界発生器3は、位置検出用の磁界であって、磁気センサ装置2が検出すべき磁界(検出対象磁界)である対象磁界MFを発生する。対象磁界MFは、仮想の直線に平行な方向の磁界成分を含んでいる。磁気センサ装置2と磁界発生器3は、磁気センサ装置2と磁界発生器3の少なくとも一方が動作すると、基準位置における磁界成分の強度が変化するように構成されている。基準位置は、磁気センサ装置2が配置された位置であってもよい。磁気センサ装置2は、上記の磁界成分を含む対象磁界MFを検出して、磁界成分の強度に対応する少なくとも1つの検出信号を生成する。
【0016】
磁気センサ装置2と磁界発生器3の動作の態様としては、磁気センサ装置2と磁界発生器3の少なくとも一方が移動する第1の態様と、磁気センサ装置2と磁界発生器3の少なくとも一方が回転する第2の態様がある。第1の態様では、磁気センサ装置2に対する磁界発生器3の相対的な位置が変化するが、第2の態様では、磁気センサ装置2に対する磁界発生器3の相対的な位置は変化しなくてもよい。
【0017】
磁界発生器3は、複数組のN極とS極が所定の方向に交互に配列された磁気スケールであってもよい。磁気スケールは、磁気テープ等の磁気媒体に対して複数組のN極とS極を交互に着磁したものであってもよいし、複数の磁石を上記の所定の方向に沿って配置したものであってもよい。所定の方向は、直線的な方向であってもよいし、回転方向であってもよい。所定の方向が直線的な方向である場合、磁気センサ装置2または磁界発生器3は、直線的な方向に沿った所定の範囲内において移動可能であってもよい。所定の方向が回転方向である場合、磁気センサ装置2または磁界発生器3は、回転方向に沿った所定の範囲内において回転可能であってもよい。
【0018】
本実施の形態では、磁界発生器3は、直線的な方向に複数組のN極とS極を着磁したリニアスケールである。磁気センサ装置2または磁界発生器3は、磁界発生器3の長手方向に沿って移動可能である。
図2に示したように、磁界発生器3の長手方向に隣接する2つのN極の間隔、すなわち1つのS極を介して隣接する2つのN極の中心間距離を磁極ピッチと言い、磁極ピッチの大きさを記号Lpで表す。1つのN極を介して隣接する2つのS極の中心間距離は、磁極ピッチLpと等しい。
【0019】
ここで、
図1および
図2に示したように、X方向、Y方向およびZ方向を定義する。本実施の形態では、磁界発生器3の長手方向に平行な一方向をX方向とする。また、X方向に垂直な2方向であって、互いに直交する2つの方向をY方向とZ方向とする。
図2では、Y方向を
図2における手前から奥に向かう方向として表している。また、X方向とは反対の方向を-X方向とし、Y方向とは反対の方向を-Y方向とし、Z方向とは反対の方向を-Z方向とする。また、「Z方向から見たとき」という表現は、Z方向に離れた位置から対象物を見ることを意味する。
【0020】
磁気センサ装置2は、磁界発生器3に対して-Z方向に離れた位置に配置されている。磁気センサ装置2は、対象磁界MFのX方向に平行な方向の磁界成分MFxの強度を検出することができるように構成された磁気センサを含んでいる。なお、磁気センサは、後で説明する
図3、
図5、
図7および
図8に示されている。磁界成分MFxの強度は、例えば、磁界成分MFxの方向がX方向のときに正の値で表され、磁界成分MFxの方向が-X方向のときに負の値で表される。磁界発生器3を所定の位置に固定した場合、磁界成分MFxの強度は、X方向に平行な方向における位置に応じて変化する。そのため、磁気センサ装置2または磁界発生器3がX方向に平行な方向に沿って移動すると、磁気センサ装置2が検出する磁界成分MFxの強度は、周期的に変化する。X方向に平行な方向は、本発明における「第1の方向」に対応する。
【0021】
次に、
図3ないし
図6を参照して、磁気センサ装置2について詳しく説明する。
図3および
図4は、磁気センサ装置2を示す斜視図である。
図5は、磁気センサ装置2の内部を示す斜視図である。
図6は、磁気センサ装置2の内部を示す平面図である。
【0022】
磁気センサ装置2は、磁気センサ4を備えている。磁気センサ4は、支持体によって支持されていてもよい。この支持体は、導電材料によって形成されていてもよい。本実施の形態では、磁気センサ装置2は、磁気センサ4を支持する支持体として、ダイパッド60を備えている。
【0023】
磁気センサ装置2は、更に、複数のリードを備えている。本実施の形態では、複数のリードの数は4つである。以下、4つのリードを、符号61,62,63,64で表す。後述するように、磁気センサ4は、複数のパッド(電極)を有している。複数のパッドは、複数のボンディングワイヤによって、リード61~64に接続されている。
【0024】
磁気センサ4は、例えば接着剤81によってダイパッド60に接合されている。磁気センサ4は、更に、接着剤81によってリード61~64に接合されていてもよい。
【0025】
磁気センサ装置2は、更に、磁気センサ4を封止する封止樹脂を備えている。封止樹脂は、磁気センサ装置2のパッケージ本体(以下、単に本体と記す。)80の大部分を構成する。
【0026】
本実施の形態では特に、本体80は、ほぼ直方体形状をなしている。本体80は、本体80の外周部を構成する底面80A、上面80Bおよび4つの側面80C~80Fを有している。底面80Aと上面80Bは互いに反対側を向き、側面80C,80Dも互いに反対側を向き、側面80E,80Fも互いに反対側を向いている。側面80C~80Fは、底面80Aおよび上面80Bに対して垂直になっている。
図3は、上面80B側から見た磁気センサ装置2を示している。
図4は、底面80A側から見た磁気センサ装置2を示している。
【0027】
図3および
図4に示したように、底面80Aは、本体80における-Z方向の端に位置する。上面80Bは、本体80におけるZ方向の端に位置する。側面80Cは、本体80における-X方向の端に位置する。側面80Dは、本体80におけるX方向の端に位置する。側面80Eは、本体80における-Y方向の端に位置する。側面80Fは、本体80におけるY方向の端に位置する。
【0028】
リード61,62は、底面80Aと側面80Eとの間の稜線およびその近傍に配置されている。また、リード61,62は、X方向にこの順に並んでいる。リード63,64は、底面80Aと側面80Fとの間の稜線およびその近傍に配置されている。また、リード63,64は、X方向にこの順に並んでいる。
【0029】
ダイパッド60とリード61~64の各々は、封止樹脂によって覆われていない露出面を有している。ダイパッド60とリード61~64の各々の露出面は、図示しないめっき層によって覆われていてもよい。
【0030】
磁気センサ装置2は、更に、ダイパッド60に接続されたサブリード71,72を備えている。
図6では、ダイパッド60とサブリード71との境界およびダイパッド60とサブリード72との境界を、それぞれ点線で示している。サブリード71は、側面80Eに露出している。サブリード72は、側面80Fに露出している。X方向に平行な方向におけるサブリード72の寸法は、X方向に平行な方向におけるサブリード71の寸法よりも大きい。
【0031】
磁気センサ装置2は、更に、それぞれリード61,62,63,64に接続されたサブリード73,74,75,76を備えている。
図6では、1つのリードと1つのサブリードとの境界を点線で示している。サブリード73,75は、側面80Cに露出している。サブリード74,76は、側面80Dに露出している。
【0032】
磁気センサ装置2は、本体80の底面80Aが被実装体に対向する姿勢で、被実装体上に実装される。被実装体は、例えば回路を含む基板であってもよい。ダイパッド60は、磁気センサ装置2が被実装体に実装された状態では、基板の回路等の外部の回路に接続されていなくてもよい。あるいは、ダイパッド60は、磁気センサ4の動作に影響のない外部の回路に接続されていてもよい。
【0033】
図3ないし
図6に示した磁気センサ装置2は、本体80から外側に延出するリード端子が設けられていないDFN(Dual Flatpack No-leaded)パッケージである。
【0034】
次に、
図7および
図8を参照して、磁気センサ4について詳しく説明する。
図7は、磁気センサ4を示す平面図である。
図8は、磁気センサ4の構成を示す回路図である。
図8に示したように、磁気式エンコーダ1は、更に、プロセッサ40を備えている。プロセッサ40は、磁気センサ4が生成する、磁界成分MFxの強度に対応する少なくとも1つの検出信号に基づいて、磁気センサ装置2または磁界発生器3の位置と対応関係を有する検出値Vsを生成する。プロセッサ40は、例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)またはマイクロコンピュータによって実現することができる。
【0035】
磁気センサ4は、ブリッジ回路4Aと、ブリッジ回路4Aに電気的に接続された複数のパッド(電極)を有している。ブリッジ回路4Aは、複数のアームを含んでいる。複数のアームの各々は、複数の磁気検出素子(以下、MR素子と記す。)によって構成されると共に、磁界成分MFxの強度の変化に応じて抵抗値が変化するように構成されている。複数のアームの各々は、磁界成分MFxに対しては感度を有するが、X方向に平行な方向における位置によらずに強度および方向が同一の外部磁界に対しては感度を有さないように構成されている。以下、上記の外部磁界を、一様な外部磁界と言う。
【0036】
複数のパッドの各々は、
図3ないし
図4に示したリード61~64のうちの対応する1つのリードに電気的に接続されている。
【0037】
本実施の形態では、磁気センサ4は、複数のパッドとして、4つのパッド11,12,13,14を有している。また、ブリッジ回路4Aは、複数のアームとして、4つのアームR1,R2,R3,R4を含んでいる。アームR1は、回路構成上、パッド11とパッド13との間に設けられている。アームR2は、回路構成上、パッド12とパッド13との間に設けられている。アームR3は、回路構成上、パッド12とパッド14との間に設けられている。アームR4は、回路構成上、パッド11とパッド14との間に設けられている。なお、本出願において、「回路構成上」という表現は、物理的な構成における配置ではなく、回路図上での配置を指すために用いている。
【0038】
パッド11は、磁気センサ4の電源ポートとして用いられるものであり、電源に接続される。パッド12は、磁気センサ4のグランドポートとして用いられるものであり、グランドに接続される。パッド13,14は、磁気センサ4の信号ポートとして用いられるものであり、プロセッサ40に接続されている。
【0039】
磁気センサ4は、定電圧駆動であってもよいし、定電流駆動であってもよい。磁気センサ4が定電圧駆動である場合、パッド11には、所定の大きさの電圧が印加される。磁気センサ4が定電流駆動である場合、パッド11には、所定の大きさの電流が供給される。
【0040】
磁気センサ4は、パッド13の電位と対応関係を有する信号を、第1の検出信号S1として生成し、パッド14の電位と対応関係を有する信号を、第2の検出信号S2として生成する。プロセッサ40は、第1および第2の検出信号S1,S2に基づいて、検出値Vsを生成する。なお、磁気センサ4およびプロセッサ40の少なくとも一方は、第1および第2の検出信号S1,S2の各々の振幅、位相およびオフセットを補正することができるように構成されていてもよい。
【0041】
アームR1~R4の各々は、直列に接続された2つの抵抗体を含んでいる。2つの抵抗体の各々は、複数のMR素子によって構成されると共に、それぞれ磁界成分MFxの強度に応じて抵抗値が変化するように構成されている。また、アームR1~R4の各々において、2つの抵抗値は、磁界成分MFxの強度の周期的な変化に応じて、2つの抵抗体の各々の抵抗値が同じ位相で変化するように構成されると共に、一様な外部磁界の強度または方向の周期的な変化に応じて、2つの抵抗体の各々の抵抗値が逆位相で変化するように構成されている。
【0042】
以下、アームR1の2つの抵抗体を符号R11,R12で表し、アームR2の2つの抵抗体を符号R21,R22で表し、アームR3の2つの抵抗体を符号R31,R32で表し、アームR4の2つの抵抗体を符号R41,R42で表す。
【0043】
抵抗体R11,R12,R21,R22,R31,R32,R41,R42は、回路構成上の配置に関する以下の要件を満たしている。抵抗体R11,R12は、パッド11とパッド13とを接続する第1の経路5に、パッド11側からこの順に設けられている。抵抗体R21,R22は、パッド12とパッド13とを接続する第2の経路6に、パッド12側からこの順に設けられている。抵抗体R31,R32は、パッド12とパッド14とを接続する第3の経路7に、パッド12側からこの順に設けられている。抵抗体R41,R42は、パッド11とパッド14とを接続する第4の経路8に、パッド11側からこの順に設けられている。
【0044】
磁気センサ4は、更に、サブパッド15を有している。サブパッド15は、アームR3の一端と他端との間に電気的に接続されている。本実施の形態では特に、サブパッド15は、抵抗体R31,R32の接続点に電気的に接続されている。
【0045】
図7に示したように、磁気センサ4は、更に、基板10を有している。パッド11~14、サブパッド15および抵抗体R11,R12,R21,R22,R31,R32,R41,R42は、基板10の上に設けられている。
【0046】
次に、
図9を参照して、抵抗体R11,R12,R21,R22,R31,R32,R41,R42の配置について説明する。
図9は、抵抗体R11,R12,R21,R22,R31,R32,R41,R42の配置を説明するための説明図である。抵抗体R11,R12,R21,R22の各々の抵抗値は、第1の検出信号S1と対応関係を有している。抵抗体R31,R32,R41,R42の各々の抵抗値は、第2の検出信号S2と対応関係を有している。抵抗体R11,R12,R21,R22の組と抵抗体R31,R32,R41,R42の組は、第1の検出信号S1の位相と第2の検出信号S2の位相が互いに異なるように、X方向に平行な方向において互いに異なる位置に配置されている。
【0047】
図9において、符号C11は、抵抗体R11内の第1の位置を示し、符号C12は、抵抗体R12内の第2の位置を示し、符号C21は、抵抗体R21内の第3の位置を示し、符号C22は、抵抗体R22内の第4の位置を示している。第1ないし第4の位置C11,C12,C21,C22は、それぞれ抵抗体R11,R12,R21,R22の物理的な位置を特定するための位置である。本実施の形態では特に、第1の位置C11は、Z方向から見たときの抵抗体R11の重心であり、第2の位置C12は、Z方向から見たときの抵抗体R12の重心であり、第3の位置C21は、Z方向から見たときの抵抗体R21の重心であり、第4の位置C22は、Z方向から見たときの抵抗体R22の重心である。
【0048】
また、
図9において、符号C31は、抵抗体R31内の第5の位置を示し、符号C32は、抵抗体R32内の第6の位置を示し、符号C41は、抵抗体R41内の第7の位置を示し、符号C42は、抵抗体R42内の第8の位置を示している。第5ないし第8の位置C31,C32,C41,C42は、それぞれ抵抗体R31,R32,R41,R42の物理的な位置を特定するための位置である。本実施の形態では特に、第5の位置C31は、Z方向から見たときの抵抗体R31の重心であり、第6の位置C32は、Z方向から見たときの抵抗体R32の重心であり、第7の位置C41は、Z方向から見たときの抵抗体R41の重心であり、第8の位置C42は、Z方向から見たときの抵抗体R42の重心である。
【0049】
ここで、設計ピッチλを以下のように定義する。設計ピッチλは、抵抗体R11内における所定の位置と抵抗体R31内における所定の位置の、X方向に平行な方向における間隔の4倍である。本実施の形態では特に、抵抗体R11内における所定の位置は第1の位置C11であり、抵抗体R31内における所定の位置は第5の位置C31である。
【0050】
また、本実施の形態では特に、X方向に平行な方向における第1の位置C11と第5の位置C31との間隔と、X方向に平行な方向における第2の位置C12と第6の位置C32との間隔と、X方向に平行な方向における第3の位置C21と第7の位置C41との間隔と、X方向に平行な方向における第4の位置C22と第8の位置C42との間隔は、互いに等しい。従って、抵抗体R11,R31の組の代わりに、抵抗体R12,R32の組、抵抗体R21,R41の組、または抵抗体R22,R42の組を用いて、設計ピッチλを定義することもできる。
【0051】
ここで、複数組のN極とS極を含み、第1の検出信号S1と第2の検出信号S2の位相差が90°になる特定の磁界発生器を想定する。設計ピッチλは、1つのS極を介して隣接する2つのN極の間隔と実質的に等しくなる。特定の磁界発生器は、
図2に示した磁界発生器3であってもよい。この場合、設計ピッチλは、
図2に示した磁極ピッチLpと等しくなる。あるいは、特定の磁界発生器は、磁極ピッチが磁界発生器3の磁極ピッチLpとは異なる磁界発生器であってもよい。この場合、設計ピッチλは、磁極ピッチLpとは異なる大きさになる。以下、特定の磁界発生器が磁界発生器3である場合、すなわち設計ピッチλが磁極ピッチLpと等しくなる場合を例にとって説明する。
【0052】
抵抗体R11,R12,R21,R22,R31,R32,R41,R42は、物理的な配置に関する以下の要件を満たしている。X方向に平行な方向における第1の位置C11と第2の位置C12との間隔は、設計ピッチλの1/2の奇数倍と等しい。X方向に平行な方向における第3の位置C21と第4の位置C22との間隔は、設計ピッチλの1/2の奇数倍と等しい。X方向に平行な方向における第1の位置C11と第3の位置C21との間隔は、ゼロまたは設計ピッチλの整数倍と等しい。
【0053】
X方向に平行な方向における第5の位置C31と第6の位置C32との間隔は、設計ピッチλの1/2の奇数倍と等しい。X方向に平行な方向における第7の位置C41と第8の位置C42との間隔は、設計ピッチλの1/2の奇数倍と等しい。X方向に平行な方向における第5の位置C31と第7の位置C41との間隔は、ゼロまたは設計ピッチλの整数倍と等しい。X方向に平行な方向における第1の位置C11と第5の位置C31との間隔は、設計ピッチλの(4n-3)/4と等しい。なお、nは1以上の整数である。
【0054】
本実施の形態では、第2の位置C12は、第1の位置C11に対して、X方向にλ/2だけ離れた位置であり、第4の位置C22は、第3の位置C21に対して、X方向にλ/2だけ離れた位置である。また、X方向に平行な方向における第1の位置C11と第3の位置C21との間隔はゼロである。すなわち、X方向に平行な方向における第3の位置C21は、同方向における第1の位置C11と同じである。第3の位置C21は、第1の位置C11に対して-Y方向の先にある。また、X方向に平行な方向における第4の位置C22は、同方向における第2の位置C12と同じである。第4の位置C22は、第2の位置C12に対して-Y方向の先にある。
【0055】
抵抗体R31,R32,R41,R42は、抵抗体R11,R12,R21,R22に対して、Y方向の先に配置されている。抵抗体R31,R32,R41,R42の物理的な配置の規則は、抵抗体R11,R12,R21,R22の物理的な配置の規則と同様である。抵抗体R11,R12,R21,R22の物理的な配置の説明中の抵抗体R11,R12,R21,R22および第1ないし第4の位置C11,C12,C21,C22を、それぞれ抵抗体R31,R32,R41,R42および第5ないし第8の位置C31,C32,C41,C42に置き換えれば、抵抗体R31,R32,R41,R42の物理的な配置の説明になる。
【0056】
また、本実施の形態では、第5の位置C31(第7の位置C41)は、第1の位置C11(第3の位置C21)に対して、λ/4だけX方向の先にある。第6の位置C32(第8の位置C42)は、第2の位置C12(第4の位置C22)に対して、λ/4だけX方向の先にある。
【0057】
次に、抵抗体R11,R12,R21,R22,R31,R32,R41,R42の構成について説明する。第1および第2の検出信号S1,S2の各々は、理想的な正弦曲線(サイン(Sine)波形とコサイン(Cosine)波形を含む)を描くように所定の信号周期で周期的に変化する理想成分を含んでいる。本実施の形態では、第1の検出信号S1の理想成分の位相と第2の検出信号S2の理想成分の位相が、互いに異なるように、抵抗体R11,R12,R21,R22,R31,R32,R41,R42が構成されている。
図2に示した磁極ピッチLpおよび
図9に示した設計ピッチλは、理想成分における1周期すなわち電気角の360°に相当する。
【0058】
また、第1および第2の検出信号S1,S2の各々は、理想成分の他に、それぞれ理想成分の高次の高調波に相当する複数の高調波成分を含んでいる。本実施の形態では、複数の高調波成分が低減されるように、抵抗体R11,R12,R21,R22,R31,R32,R41,R42が構成されている。
【0059】
以下、抵抗体R11,R12,R21,R22,R31,R32,R41,R42の構成について具体的に説明する。始めに、MR素子50の構成について説明する。本実施の形態では、MR素子50は、スピンバルブ型のMR素子である。このスピンバルブ型のMR素子は、磁化固定層と、自由層と、磁化固定層と自由層の間に配置されたギャップ層とを含んでいる。磁化固定層は、方向が固定された第1の磁化を有している。自由層は、X方向に平行な方向およびY方向に平行な方向の両方に平行な平面内(XY平面内)において変化可能な第2の磁化を有している。磁化固定層、自由層およびギャップ層は、Z方向に平行な方向に積層されている。
【0060】
スピンバルブ型のMR素子は、TMR(トンネル磁気抵抗効果)素子でもよいし、GMR(巨大磁気抵抗効果)素子でもよい。本実施の形態では特に、磁気センサ4の寸法を小さくするために、MR素子50は、TMR素子であることが好ましい。TMR素子では、ギャップ層はトンネルバリア層である。GMR素子では、ギャップ層は非磁性導電層である。スピンバルブ型のMR素子では、自由層の磁化の方向が磁化固定層の磁化の方向に対してなす角度に応じて抵抗値が変化し、この角度が0°のときに抵抗値は最小値となり、角度が180°のときに抵抗値は最大値となる。
【0061】
図7および
図8において、抵抗体R11,R12,R21,R22,R31,R32,R41,R42内に描かれた矢印は、その抵抗体に含まれる複数のMR素子50の各々の磁化固定層の第1の磁化の方向を表している。
【0062】
抵抗体R11,R12,R21,R22,R31,R32,R41,R42は、磁化固定層の磁化に関する以下の要件を満たしている。抵抗体R11,R22における磁化固定層の第1の磁化は、前述の第1の方向(X方向に平行な方向)に平行な一方向である第1の磁化方向の成分を含んでいる。抵抗体R12,R21における磁化固定層の第1の磁化は、第1の磁化方向とは反対の第2の磁化方向の成分を含んでいる。抵抗体R31,R42における磁化固定層の第1の磁化は、第2の磁化方向の成分を含んでいる。抵抗体R32,R41における磁化固定層の第1の磁化は、第1の磁化方向を含んでいる。本実施の形態では特に、第1の磁化方向は-X方向であり、第2の磁化方向はX方向である。
【0063】
なお、第1の磁化が特定の磁化方向の成分を含んでいる場合、特定の磁化方向の成分は、第1の磁化の主成分であってもよい。あるいは、第1の磁化は、特定の磁化方向に直交する方向の成分を含んでいなくてもよい。本実施の形態では、第1の磁化が特定の磁化方向の成分を含んでいる場合、第1の磁化の方向は、特定の磁化方向またはほぼ特定の磁化方向になる。
【0064】
複数のMR素子50の各々の自由層の第2の磁化の方向は、磁界成分MFxの強度に応じて、XY平面内で変化する。これにより、パッド13,14(信号ポート)の各々の電位は、磁界成分MFxの強度に応じて変化する。
【0065】
次に、抵抗体R11,R12,R21,R22,R31,R32,R41,R42の各々における複数のMR素子50の配置について説明する。ここで、1つ以上のMR素子50の集合を、素子群という。抵抗体R11,R12,R21,R22,R31,R32,R41,R42の各々は、複数の素子群を含んでいる。複数の素子群は、誤差成分が低減されるように、設計ピッチλに基づいて、所定の間隔を開けて配置されている。なお、以下の説明において、複数の素子群の配置について説明する場合、素子群の所定の位置を基準にして説明するものとする。所定の位置は、例えば、Z方向から見たときの素子群の重心である。
【0066】
図10は、抵抗体R11を示す平面図である。
図10に示したように、抵抗体R11は、8つの素子群31,32,33,34,35,36,37,38を含んでいる。素子群31~38の各々は、4つの区画に区分けされている。各区画には、1つ以上のMR素子50が配置される。従って、各素子群は、4つ以上のMR素子50を含んでいる。複数のMR素子50は、素子群内において直列に接続されていてもよい。この場合、複数の素子群は、直列に接続されていてもよい。あるいは、複数のMR素子50は、素子群に関わらずに直列に接続されていてもよい。
【0067】
図10では、理想成分の第3高調波(3次の高調波)に相当する高調波成分と、理想成分の第5高調波(5次の高調波)に相当する高調波成分と、理想成分の第7高調波(7次の高調波)に相当する高調波成分が低減されるように、素子群31~38が配置されている。
図10に示したように、素子群31~34は、X方向に沿って配置されている。素子群32は、素子群31に対して、X方向にλ/10だけ離れた位置に配置されている。素子群33は、素子群31に対して、X方向にλ/6だけ離れた位置に配置されている。素子群34は、素子群31に対して、X方向にλ/10+λ/6だけ離れた位置(素子群32に対して、X方向にλ/6だけ離れた位置)に配置されている。
【0068】
また、
図10に示したように、素子群35~38は、素子群31~34の-Y方向の先において、X方向に沿って配置されている。素子群35は、素子群31に対して、X方向にλ/14だけ離れた位置に配置されている。素子群36は、素子群31に対して、X方向にλ/14+λ/10だけ離れた位置(素子群32に対して、X方向にλ/14だけ離れた位置)に配置されている。素子群37は、素子群31に対して、X方向にλ/14+λ/6だけ離れた位置(素子群33に対して、X方向にλ/14だけ離れた位置)に配置されている。素子群38は、素子群31に対して、X方向にλ/14+λ/10+λ/6だけ離れた位置(素子群34に対して、X方向にλ/14だけ離れた位置)に配置されている。
【0069】
複数の高調波成分を低減するための複数の素子群の配置は、
図10に示した例に限られない。ここで、k,mをそれぞれ1以上且つ互いに異なる整数とする。例えば、2k+1次の高調波に相当する高調波成分を低減する場合、第1の素子群を第2の素子群に対してX方向にλ/(4k+2)だけ離れた位置に配置する。更に、2m+1次の高調波に相当する誤差成分を低減する場合、第3の素子群を第1の素子群に対してX方向にλ/(4m+2)だけ離れた位置に配置し、第4の素子群を第2の素子群に対してX方向にλ/(4m+2)だけ離れた位置に配置する。このように、複数の高調波に相当する高調波成分を低減する場合、ある1つの高調波に相当する誤差成分を低減するための複数の素子群の各々は、他の高調波に相当する誤差成分を低減するための複数の素子群の各々に対して、X方向に、設計ピッチλに基づく所定の間隔だけ離れた位置に配置される。
【0070】
本実施の形態では、抵抗体R12,R21,R22,R31,R32,R41,R42の各々における複数の素子群の構成および配置は、抵抗体R11における複数の素子群の構成および配置と同じである。すなわち、抵抗体R12,R21,R22,R31,R32,R41,R42の各々も、
図10に示した構成および位置関係の8つの素子群31~38を含んでいる。なお、抵抗体R21の素子群31は、X方向について抵抗体R11の素子群31と同じ位置に配置されている。抵抗体R22の素子群31は、X方向について抵抗体R12の素子群31と同じ位置に配置されている。抵抗体R12の素子群31は、抵抗体R11の素子群31に対して、X方向にλ/2だけ離れた位置に配置されている。抵抗体R22の素子群31は、抵抗体R21の素子群31に対して、X方向にλ/2だけ離れた位置に配置されている。
【0071】
抵抗体R41の素子群31は、X方向について抵抗体R31の素子群31と同じ位置に配置されている。抵抗体R42の素子群31は、X方向について抵抗体R32の素子群31と同じ位置に配置されている。抵抗体R31の素子群31は、抵抗体R11の素子群31に対して、X方向にλ/4だけ離れた位置に配置されている。抵抗体R32の素子群31は、抵抗体R31の素子群31に対して、X方向にλ/2だけ離れた位置に配置されている。抵抗体R42の素子群31は、抵抗体R41の素子群31に対して、X方向にλ/2だけ離れた位置に配置されている。
【0072】
以上説明した抵抗体R11,R12,R21,R22,R31,R32,R41,R42の構成により、第1の検出信号S1の理想成分に対する第2の検出信号S2の理想成分の位相差が、所定の信号周期(理想成分の信号周期)の1/4の奇数倍になると共に、第1および第2の検出信号S1,S2の各々の複数の高調波成分が低減される。
【0073】
なお、抵抗体R11,R12,R21,R22,R31,R32,R41,R42の位置と、素子群31~38の位置は、MR素子50の作製の精度等の観点から、上述の位置からわずかにずれていてもよい。
【0074】
次に、
図11および
図12を参照して、MR素子50の第1および第2の例について説明する。
図11は、MR素子50の第1の例を示す斜視図である。第1の例では、MR素子50は、Z方向にこの順に積層された磁化固定層51、ギャップ層52および自由層53を含む積層膜50Aを含んでいる。Z方向から見た積層膜50Aの平面形状は、円形であってもよいし、
図11に示したように正方形またはほぼ正方形であってもよい。
【0075】
MR素子50の積層膜50Aの下面は、図示しない下部電極によって、他のMR素子50の積層膜50Aの下面に電気的に接続され、MR素子50の積層膜50Aの上面は、図示しない上部電極によって、更に他のMR素子50の積層膜50Aの上面に電気的に接続されている。これにより、複数のMR素子50は、直列に接続されている。なお、積層膜50Aにおける層51~53の配置は、
図11に示した配置とは上下が反対でもよい。
【0076】
MR素子50は、更に、自由層53に対して印加されるバイアス磁界を発生するバイアス磁界発生器50Bを含んでいる。バイアス磁界の方向は、X方向に平行な方向と交差する方向である。第1の例では、バイアス磁界発生器50Bは、2つの磁石54,55を含んでいる。磁石54は、積層膜50Aに対して、-Y方向の先に配置されている。磁石55は、積層膜50Aに対して、Y方向の先に配置されている。第1の例では特に、積層膜50Aと磁石54,55は、XY平面に平行な1つの仮想の平面と交差する位置に配置されている。また、
図11において、磁石54,55内の矢印は、磁石54,55の磁化の方向を表している。第1の例では、バイアス磁界の方向は、Y方向である。
【0077】
図12は、MR素子50の第2の例を示す斜視図である。MR素子50の第2の例の構成は、積層膜50Aの平面形状および磁石54,55の位置を除いて、MR素子50の第1の例の構成と同じである。第2の例では、磁石54,55は、Z方向について積層膜50Aとは異なる位置に配置されている。
図12に示した例では特に、磁石54,55は、積層膜50Aに対して、Z方向の先に配置されている。また、Z方向から見た積層膜50Aの平面形状は、Y方向に長い長方形である。Z方向から見たときに、磁石54,55は、積層膜50Aと重なる位置に配置されている。
【0078】
なお、バイアス磁界の方向および磁石54,55の配置は、
図11および
図12に示した例に限られない。例えば、バイアス磁界の方向は、X方向に平行な方向およびZ方向に平行な方向と交差する方向であればよく、Y方向に対して傾いた方向であってもよい。また、磁石54,55は、X方向に平行な方向において互いにずれていてもよい。
【0079】
また、バイアス磁界発生器50Bの代わりに、形状磁気異方性や結晶磁気異方性等の一軸磁気異方性によって、自由層53にバイアス磁界を印加してもよい。
【0080】
次に、
図13を参照して、磁気センサ4と、磁気センサ装置2のリード61~64およびダイパッド60との接続関係について説明する。
図13は、上記接続関係を説明するための説明図である。
図13において、符号82は、ボンディングワイヤを示している。
【0081】
磁気センサ4のパッド11(電源ポート)は、ボンディングワイヤ82を介してリード62に電気的に接続されている。磁気センサ4のパッド12(グランドポート)は、ボンディングワイヤ82を介してリード63に電気的に接続されている。磁気センサ4のパッド13(信号ポート)は、ボンディングワイヤ82を介してリード61に電気的に接続されている。磁気センサ4のパッド14(信号ポート)は、ボンディングワイヤ82を介してリード64に電気的に接続されている。
【0082】
サブパッド15は、ダイパッド60に電気的に接続されている。本実施の形態では特に、サブパッド15は、ボンディングワイヤ82およびサブリード72を介してダイパッド60に電気的に接続されている。
【0083】
次に、本実施の形態における検出値Vsの生成方法について説明する。プロセッサ40は、例えば、以下のようにして検出値Vsを生成する。プロセッサ40は、第1の検出信号S1に対する第2の検出信号S2の比のアークタンジェントすなわちatan(S2/S1)を計算することによって、0°以上360°未満の範囲内で初期検出値を求める。初期検出値は、上記のアークタンジェントの値そのものであってもよいし、アークタンジェントの値に所定の角度を加えたものであってもよい。
【0084】
上記のアークタンジェントの値が0°のときには、X方向について、磁界発生器3のS極の位置と、抵抗体R11,R21の各々の素子群31の位置が一致する。また、上記のアークタンジェントの値が180°のときには、X方向について、磁界発生器3のN極の位置と、抵抗体R11,R21の各々の素子群31の位置が一致する。従って、初期検出値は、磁極ピッチLp内での磁気センサ装置2に対する磁界発生器3の相対的な位置(以下、相対位置とも言う。)と対応関係を有している。
【0085】
また、プロセッサ40は、初期検出値の1周期分を電気角の360°とし、基準位置からの電気角の回転数をカウントする。電気角の1回転は、相対位置の磁極ピッチLp分の移動量に相当する。プロセッサ40は、初期検出値と、電気角の回転数に基づいて、相対位置と対応関係を有する検出値Vsを生成する。
【0086】
次に、本実施の形態に係る磁気センサ装置2の製造方法について説明する。磁気センサ装置2の製造方法は、複数の磁気センサ4を作製する工程と、複数の磁気センサ4を用いて複数の磁気センサ装置2を作成する工程とを含んでる。
【0087】
始めに、複数の磁気センサ4を作製する工程について説明する。複数の磁気センサ4を作製する工程では、まず、複数の磁気センサ4の基板10となる部分を含むウェハ上に、複数の磁気センサ4の基板10以外の構成要素を形成して、それぞれ後に磁気センサ4となる初期磁気センサ4Pが複数列に配列された基礎構造物100を作製する。
図14は、基礎構造物100を作製する工程における積層体の上面の一部を示す平面図である。
【0088】
次に、この基礎構造物100を切断することによって複数の初期磁気センサ4Pを互いに分離する。このようにして、複数の磁気センサ4が作製される。
【0089】
ここで、1つの初期磁気センサ4Pに注目して、基礎構造物100を作製する工程について更に詳しく説明する。基礎構造物100を作製する工程は、基板10の上に複数のMR素子50を形成する工程と、基板10の上にパッド11~14およびサブパッド15を形成する工程と、複数のMR素子50、パッド11~14およびサブパッド15に接続される複数の配線を形成する工程とを含んでいる。
【0090】
複数のMR素子50を形成する工程では、まず、後に複数のMR素子50となる複数の初期MR素子を形成する。複数の初期MR素子の各々は、後に磁化固定層51となる初期磁化固定層と、自由層53と、ギャップ層52とを含んでいる。
【0091】
次に、レーザ光と、所定の方向の外部磁界とを用いて、初期磁化固定層の磁化の方向を、上記の所定の方向に固定する。例えば、後に抵抗体R11,R22,R32,R41を構成する複数のMR素子50になる複数の初期MR素子では、第1の磁化方向(-X方向)の外部磁界を印加しながら、複数の初期MR素子に対してレーザ光を照射する。レーザ光の照射が完了すると、初期磁化固定層の磁化の方向は、第1の磁化方向に固定される。これにより、初期磁化固定層は磁化固定層51になり、複数の初期MR素子は、抵抗体R11,R22,R32,R41を構成する複数のMR素子50になる。
【0092】
また、後に抵抗体R12,R21,R31,R42を構成する複数のMR素子50になる他の複数の初期MR素子では、外部磁界の方向を第2の磁化方向(X方向)とすることにより、他の複数の初期MR素子の各々の初期磁化固定層の磁化の方向を、第2の磁化方向に固定することができる。このようにして、複数のMR素子50が形成される。
【0093】
次に、複数の磁気センサ装置2を作成する工程について説明する。複数の磁気センサ装置2を作成する工程では、複数のリードフレームが格子状に配列されたリードフレーム構造体が用いられる。複数のリードフレームの各々は、1つの磁気センサ4に用いられるダイパッド60、リード61~64およびサブリード71~76を含んでいる。リード61~64およびサブリード71~76は、リードフレーム構造体の枠部材に接続されている。
【0094】
ここで、1つのリードフレームに注目する。複数の磁気センサ装置2を作成する工程では、まず、リードフレームのダイパッド60の上に、磁気センサ4を搭載する。次に、ボンディングワイヤ82によって、磁気センサ4のパッド11~14とリード61~64とを接続すると共に、磁気センサ4のサブパッド15とサブリード72とを接続する。次に、封止樹脂によって、磁気センサ4を封止する。
【0095】
複数の磁気センサ装置2を作成する工程では、複数の磁気センサ4が封止樹脂によって封止された構造物が作製される。この構造物を切断することによって、複数の磁気センサ装置2が作製される。リードフレーム構造体の枠部材は、構造物を切断する工程において除去される。
【0096】
次に、本実施の形態に係る磁気式エンコーダ1および磁気センサ装置2の作用および効果について説明する。本実施の形態では、磁気センサ4は、磁界発生器3によって発生される対象磁界MFの磁界成分MFxを検出するように構成されている。磁界成分MFxの強度は、X方向に平行な方向における位置に応じて変化する。本実施の形態では特に、磁気センサ4のブリッジ回路4AのアームR1~R4の各々は、磁界成分MFxに対して感度を有するように構成されている。具体的には、アームR1~R4の各々に含まれる2つの抵抗体が、前述の複数の要件を満足するように構成されている。
【0097】
一方、アームR1~R4の各々に含まれる2つの抵抗体を、前述の複数の要件を満足するように構成した場合、アームR1~R4の各々は、一様な外部磁界に対して感度を有さなくなる。例えば、一様な外部磁界の方向が、X方向からY方向に向かって0°よりも大きく90°未満の角度だけ回転した方向である場合、アームR3の抵抗体R31の抵抗値は減少し、アームR3の抵抗体R32の抵抗値は増加する。その結果、アームR3の抵抗値は、変化しないか、ほとんど変化しない。同様に、アームR1,R2,R4の各々の抵抗値も、変化しないか、ほとんど変化しない。
【0098】
このように、磁気センサ4に一様な外部磁界を印加しても、アームR1~R4の各々の抵抗値は、変化しないか、ほとんど変化しない。そのため、磁気センサ4に一様な外部磁界を印加しても、パッド11(電源ポート)とパッド13(信号ポート)との間の抵抗値、パッド12(グランドポート)とパッド13(信号ポート)との間の抵抗値、パッド11(電源ポート)とパッド14(信号ポート)との間の抵抗値、ならびにパッド12(グランドポート)とパッド14(信号ポート)との間の抵抗値も、変化しないか、ほとんど変化しない。また、磁気センサ4に一様な外部磁界を印加した状態でパッド11(電源ポート)を電源に接続しても、パッド13,14(信号ポート)の電位は、変化しないか、ほとんど変化しない。
【0099】
このように、アームR1~R4の各々が一様な外部磁界に対して感度を有していないため、検査用の磁界として一様な外部磁界を用いた場合には、2つのパッド間の抵抗値を測定する方法や、パッド13,14の電位を測定する方法によって、磁気センサ4を検査することはできない。
【0100】
これに対し、本実施の形態では、磁気センサ4は、サブパッド15を有している。サブパッド15は、アームR3の一端と他端との間に電気的に接続されている。本実施の形態では特に、サブパッド15は、抵抗体R31,R32の接続点に接続されている。抵抗体R31の抵抗値は、一様な外部磁界の強度および方向に応じて変化する。そのため、パッド11とサブパッド15との間の抵抗値も、一様な外部磁界の強度および方向に応じて変化する。また、抵抗体R32の抵抗値も、一様な外部磁界の強度および方向に応じて変化する。そのため、パッド12とサブパッド15との間の抵抗値と、パッド14とサブパッド15との間の抵抗値も、一様な外部磁界の強度および方向に応じて変化する。また、パッド11(電源ポート)を電源に接続すると、サブパッド15の電位は、一様な外部磁界の強度および方向に応じて変化する。従って、本実施の形態によれば、検査用の磁界として一様な外部磁界を用いた場合であっても、サブパッド15を利用して抵抗値を測定する方法や、サブパッド15の電位を測定する方法によって、磁気センサ4を検査することができる。
【0101】
また、本実施の形態では、サブパッド15は、ダイパッド60に電気的に接続されている。従って、本実施の形態によれば、ダイパッド60に検査用プローブを接触させることによって、磁気センサ4を検査することができる。
【0102】
なお、本実施の形態では、サブパッド15に検査用プローブを直接接触させることによっても、磁気センサ4を検査することができる。従って、本実施の形態によれば、
図14に示した基礎構造物100に一様な外部磁界を印加することによっても、磁気センサ4(初期磁気センサ4P)を検査することができる。
【0103】
また、本実施の形態では、サブパッド15に接続するためのリードを追加する必要がない。これにより、本実施の形態によれば、磁気センサ装置2を小型化することができる。
【0104】
なお、本実施の形態では、アームR1の一端と他端との間、アームR2の一端と他端との間およびアームR4の一端と他端との間には、いかなるパッドも電気的に接続されていない。
【0105】
[変形例]
次に、本実施の形態に係る磁気センサ装置2の第1および第2の変形例について説明する。始めに、
図15を参照して、第1の変形例について説明する。
図15は、磁気センサ装置2の第1の変形例を示す平面図である。第1の変形例では、磁気センサ装置2は、
図3ないし
図6に示したサブリード71の代わりに、ダイパッド60に接続されたサブリード77を備えている。
図15では、ダイパッド60とサブリード77との境界を点線で示している。サブリード77は、側面80Eに露出している。X方向に平行な方向におけるサブリード77の寸法は、X方向に平行な方向におけるサブリード72の寸法と同じか、ほぼ同じである。
【0106】
次に、
図16を参照して、第2の変形例について説明する。
図16は、磁気センサ装置2の第2の変形例を示す斜視図である。第2の変形例は、以下の点で第1の変形例と異なっている。第2の変形例では、磁気センサ装置2の本体80の底面80Aに、サブリード72,77が露出している。
【0107】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態に係る磁気センサ装置2は、第1の実施の形態における磁気センサ4の代わりに、磁気センサ104を備えている。
【0108】
図17は、本実施の形態における磁気センサ104を示す平面図である。
図18は、本実施の形態における磁気センサ104の構成を示す回路図である。磁気センサ104の構成は、基本的には、第1の実施の形態における磁気センサ4の構成と同じである。すなわち、磁気センサ104は、アームR1~R4を含むブリッジ回路4Aと、パッド11~14と、サブパッド15とを有している。
【0109】
磁気センサ104は、更に、3つのサブパッド16,17,18を有している。サブパッド16は、アームR1の一端と他端との間に電気的に接続されている。サブパッド17は、アームR2の一端と他端との間に電気的に接続されている。サブパッド18は、アームR4の一端と他端との間に電気的に接続されている。
【0110】
本実施の形態では特に、サブパッド16は、アームR1の抵抗体R11,R12の接続点に接続されている。サブパッド17は、アームR2の抵抗体R21,R22の接続点に接続されている。サブパッド18は、アームR4の抵抗体R41,R42の接続点に接続されている。
【0111】
次に、
図19を参照して、磁気センサ104と、磁気センサ装置2のリード61~64およびダイパッド60との接続関係について説明する。
図19は、上記接続関係を説明するための説明図である。磁気センサ104のパッド11~14とリード61~64との接続関係は、第1の実施の形態と同じである。
【0112】
本実施の形態では、サブパッド15~18のうちの1つのパッドが、ダイパッド60に電気的に接続されている。
図19に示した例では、サブパッド15が、ボンディングワイヤ82およびサブリード72を介してダイパッド60に電気的に接続されている。しかし、サブパッド15の代わりに、サブパッド16~18のうちの1つのパッドが、ダイパッド60に電気的に接続されていてもよい。
【0113】
本実施の形態によれば、検査用の磁界として一様な外部磁界を用いた場合であっても、サブパッド15~18を利用して抵抗値を測定する方法や、サブパッド15~18の電位を測定する方法によって、磁気センサ104を検査することができる。なお、磁気センサ装置2の製造過程において、封止樹脂によって磁気センサ104を封止する前の状態であれば、ダイパッド60に接続されたサブパッド以外のサブパッドを利用して、磁気センサ104を検査することができる。磁気センサ装置2が完成した後は、ダイパッド60を利用して、磁気センサ104を検査することができる。
【0114】
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0115】
[第3の実施の形態]
次に、
図20および
図21を参照して、本実施の形態に係る磁気式エンコーダについて説明する。
図20は、本実施の形態に係る磁気式エンコーダを示す斜視図である。
図21は、本実施の形態に係る磁気式エンコーダを示す平面図である。
【0116】
本実施の形態に係る磁気式エンコーダ201は、第1の実施の形態で説明した磁気センサ装置2と、磁界発生器203とを備えている。磁界発生器203は、所定の回転軸Cを中心として回転するように構成されている。
【0117】
磁界発生器203は、複数組のN極とS極が回転軸Cの周りに交互に配列された磁気スケール(回転スケール)である。磁界発生器203は、回転軸Cに平行な一方向の端に位置する端面203aを有している。複数組のN極とS極は、端面203aに設けられている。
図20および
図21では、理解を容易にするために、N極にハッチングを付している。磁気センサ装置2は、端面203aに対向するように配置されている。基準位置、例えば磁気センサ装置2が配置された位置における磁界成分MFx(
図2参照)の強度は、磁界発生器203の回転に伴って変化する。
【0118】
本実施の形態では、回転軸Cに直交する2つの方向をX方向およびY方向とし、回転軸Cに平行な方向であって、磁気センサ装置2から磁界発生器203に向かう方向をZ方向としてもよい。Y方向は、回転軸Cから磁気センサ装置2に向かう方向であってもよい。
【0119】
磁気式エンコーダ201は、更に、第1の実施の形態で説明したプロセッサ40(
図8参照)を備えている。磁気式エンコーダ201では、磁気センサ装置2の磁気センサ4(
図8参照)が生成する第1および第2の検出信号S1,S2に基づいて、磁界発生器203の回転位置と対応関係を有する検出値Vsを生成する。
【0120】
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0121】
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、請求の範囲の要件を満たす限り、MR素子50の数および配置は、各実施の形態に示した例に限られず、任意である。
【0122】
また、サブパッド15のアームR3に対する接続箇所は、抵抗体R31,R32の接続点に限られない。例えば、抵抗体R31または抵抗体R32を直列に接続された2つの抵抗体部分に分割することを考える。この場合、サブパッド15は、2つの抵抗体部分の接続点に電気的に接続されてもよい。
【0123】
また、第1の実施の形態における磁気センサ4は、サブパッド15の代わりに、第2の実施の形態におけるサブパッド16~18のうちのいずれかを有していてもよい。
【0124】
また、磁気センサ装置2は、ダイパッド60の代わりに、あるいはダイパッド60に加えて、磁気センサ4または104を支持する任意の支持体を備えていてもよい。支持体は、導電材料によって形成されていてもよいし、絶縁材料によって形成されていてもよい。
【0125】
以上説明したように、本発明の磁気センサ装置は、第1の方向の磁界成分を含む対象磁界を検出するように構成された磁気センサと、磁気センサを支持するダイパッドと、複数のリードとを備えている。磁気センサは、それぞれ複数の磁気検出素子によって構成されると共に磁界成分の強度の変化に応じて抵抗値が変化するように構成された複数のアームを含むブリッジ回路と、ブリッジ回路に電気的に接続された複数のパッドとを有している。複数のアームの各々は、第1の方向における位置に応じて強度が変化する磁界成分に対しては感度を有するが、第1の方向における位置によらずに強度および方向が同一の外部磁界に対しては感度を有さないように構成されている。
【0126】
複数のパッドの各々は、複数のリードのうちの対応する1つのリードに電気的に接続されている。複数のパッドは、第1のパッドと、第2のパッドと、第3のパッドとを含んでいる。複数のアームは、回路構成上第1のパッドと第2のパッドとの間に設けられた第1のアームと、回路構成上第2のパッドと第3のパッドとの間に設けられた第2のアームとを含んでいる。磁気センサは、更に、第1のアームの一端と他端との間に電気的に接続され且つダイパッドに電気的に接続された第1のサブパッドを有している。
【0127】
本発明の磁気センサ装置において、第1のパッドと第3のパッドの一方は、磁気センサの電源ポートを構成してもよい。第1のパッドと第3のパッドの他方は、磁気センサのグランドポートを構成してもよい。第2のパッドは、磁気センサの信号ポートを構成してもよい。
【0128】
また、本発明の磁気センサ装置において、第1のサブパッドは、磁気センサ装置が被実装体に実装された状態では、外部の回路に電気的に接続されなくてもよい。
【0129】
また、本発明の磁気センサ装置において、第2のアームの一端と他端との間には、いかなるパッドも電気的に接続されていなくてもよい。あるいは、磁気センサは、更に、第2のアームの一端と他端との間に電気的に接続された第2のサブパッドを含んでいてもよい。第2のサブパッドは、複数のリードおよびダイパッドには電気的に接続されていなくてもよい。
【0130】
また、本発明の磁気センサ装置において、複数のパッドは、更に、第4のパッドを含んでいてもよい。複数のアームは、更に、回路構成上第3のパッドと第4のパッドとの間に設けられた第3のアームと、回路構成上第1のパッドと第4のパッドとの間に設けられた第4のアームとを含んでいてもよい。第2のアームの一端と他端との間、第3のアームの一端と他端との間および第4のアームの一端と他端との間には、いかなるパッドも電気的に接続されていなくてもよい。あるいは、磁気センサは、更に、第2のアームの一端と他端との間に電気的に接続された第2のサブパッドと、第3のアームの一端と他端との間に電気的に接続された第3のサブパッドと、第4のアームの一端と他端との間に電気的に接続された第4のサブパッドとを有していてもよい。第2のサブパッド、第3のサブパッドおよび第4のサブパッドは、複数のリードおよびダイパッドには電気的に接続されていなくてもよい。複数のリードの数は4つであってもよい。
【0131】
また、本発明の磁気センサ装置において、複数のアームは、磁界成分の強度の周期的な変化に応じて、複数のアームの各々の抵抗値が互いに異なる位相で変化するように構成されていてもよい。この場合、複数のアームの各々は、直列に接続された2つの抵抗体を含んでいてもよい。複数のアームの各々において、2つの抵抗体は、磁界成分の強度の周期的な変化に応じて、2つの抵抗体の各々の抵抗値が同じ位相で変化するように構成されると共に、外部磁界の強度または方向の周期的な変化に応じて、2つの抵抗体の各々の抵抗値が逆位相で変化するように構成されていてもよい。第1のサブパッドは、第1のアームの2つの抵抗体の接続点に電気的に接続されていてもよい。
【0132】
また、本発明の磁気センサ装置において、複数の磁気検出素子は、複数の磁気抵抗効果素子であってもよい。複数の磁気抵抗効果素子の各々は、方向が固定された第1の磁化を有する磁化固定層と、変化可能な第2の磁化を有する自由層と、磁化固定層と自由層の間に配置されたギャップ層とを含んでいてもよい。この場合、複数のアームの各々は、直列に接続された2つの抵抗体を含んでいてもよい。2つの抵抗体の一方における複数の磁気抵抗効果素子の各々の磁化固定層の第1の磁化は、第1の磁化方向の成分を含んでいてもよい。2つの抵抗体の他方における複数の磁気抵抗効果素子の各々の磁化固定層の第2の磁化は、第1の磁化方向とは反対の第2の磁化方向の成分を含んでいてもよい。第1のサブパッドは、第1のアームの2つの抵抗体の接続点に電気的に接続されていてもよい。
【0133】
本発明の磁気式エンコーダは、本発明の磁気センサ装置と、対象磁界を発生する磁界発生器とを備えている。磁気センサと磁界発生器は、磁気センサと磁界発生器の少なくとも一方が動作すると、基準位置における磁界成分の強度が変化するように構成されている。
【0134】
本発明の磁気式エンコーダにおいて、磁界発生器は、複数組のN極とS極が第1の方向に交互に配列された磁気スケールであってもよい。あるいは、磁界発生器は、複数組のN極とS極が回転軸の周りに交互に配列された磁気スケールであってもよい。
【符号の説明】
【0135】
1…磁気式エンコーダ、2…磁気センサ装置、3…磁界発生器、4…磁気センサ、4A…ブリッジ回路、5…第1の経路、6…第2の経路、7…第3の経路、8…第4の経路、10…基板、11~14…パッド、15…サブパッド、31~38…素子群、40…プロセッサ、50…MR素子、50A…積層膜、50B…バイアス磁界発生器、51…磁化固定層、52…ギャップ層、53…自由層、54,55…磁石、60…ダイパッド、61~64…リード、71~76…サブリード、80…本体、80A…底面、80B…上面、80C~80F…側面、81…接着剤、82…ボンディングワイヤ、100…基礎構造物、R1~R4…アーム、R11,R12,R21,R22,R31,R32,R41,R42…抵抗体、S1…第1の検出信号、S2…第2の検出信号、Vs…検出値。
【手続補正書】
【提出日】2023-07-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0059
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0059】
以下、抵抗体R11,R12,R21,R22,R31,R32,R41,R42の構成について具体的に説明する。始めに、MR素子50の構成について説明する。本実施の形態では、MR素子50は、スピンバルブ型のMR素子である。このスピンバルブ型のMR素子は、磁化固定層と、自由層と、磁化固定層と自由層の間に配置されたギャップ層とを含んでいる。磁化固定層は、方向が固定された第1の磁化を有している。自由層は、X方向に平行な方向およびY方向に平行な方向の両方に平行な平面内(XY平面内)において方向が変化可能な第2の磁化を有している。磁化固定層、自由層およびギャップ層は、Z方向に平行な方向に積層されている。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0062
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0062】
抵抗体R11,R12,R21,R22,R31,R32,R41,R42は、磁化固定層の磁化に関する以下の要件を満たしている。抵抗体R11,R22における磁化固定層の第1の磁化は、前述の第1の方向(X方向に平行な方向)に平行な一方向である第1の磁化方向の成分を含んでいる。抵抗体R12,R21における磁化固定層の第1の磁化は、第1の磁化方向とは反対の第2の磁化方向の成分を含んでいる。抵抗体R31,R42における磁化固定層の第1の磁化は、第2の磁化方向の成分を含んでいる。抵抗体R32,R41における磁化固定層の第1の磁化は、第1の磁化方向の成分を含んでいる。本実施の形態では特に、第1の磁化方向は-X方向であり、第2の磁化方向はX方向である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0086
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0086】
次に、本実施の形態に係る磁気センサ装置2の製造方法について説明する。磁気センサ装置2の製造方法は、複数の磁気センサ4を作製する工程と、複数の磁気センサ4を用いて複数の磁気センサ装置2を作成する工程とを含んでいる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0132
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0132】
また、本発明の磁気センサ装置において、複数の磁気検出素子は、複数の磁気抵抗効果素子であってもよい。複数の磁気抵抗効果素子の各々は、方向が固定された第1の磁化を有する磁化固定層と、方向が変化可能な第2の磁化を有する自由層と、磁化固定層と自由層の間に配置されたギャップ層とを含んでいてもよい。この場合、複数のアームの各々は、直列に接続された2つの抵抗体を含んでいてもよい。2つの抵抗体の一方における複数の磁気抵抗効果素子の各々の磁化固定層の第1の磁化は、第1の磁化方向の成分を含んでいてもよい。2つの抵抗体の他方における複数の磁気抵抗効果素子の各々の磁化固定層の第2の磁化は、第1の磁化方向とは反対の第2の磁化方向の成分を含んでいてもよい。第1のサブパッドは、第1のアームの2つの抵抗体の接続点に電気的に接続されていてもよい。
【手続補正5】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向の磁界成分を含む対象磁界を検出するように構成された磁気センサと、
前記磁気センサを支持するダイパッドと、
複数のリードとを備えた磁気センサ装置であって、
前記磁気センサは、それぞれ複数の磁気検出素子によって構成されると共に前記磁界成分の強度の変化に応じて抵抗値が変化するように構成された複数のアームを含むブリッジ回路と、前記ブリッジ回路に電気的に接続された複数のパッドとを有し、
前記複数のアームの各々は、前記第1の方向における位置に応じて強度が変化する前記磁界成分に対しては感度を有するが、前記第1の方向における位置によらずに強度および方向が同一の外部磁界に対しては感度を有さないように構成され、
前記複数のパッドの各々は、前記複数のリードのうちの対応する1つのリードに電気的に接続され、
前記複数のパッドは、第1のパッドと、第2のパッドと、第3のパッドとを含み、
前記複数のアームは、回路構成上前記第1のパッドと前記第2のパッドとの間に設けられた第1のアームと、回路構成上前記第2のパッドと前記第3のパッドとの間に設けられた第2のアームとを含み、
前記磁気センサは、更に、前記第1のアームの一端と他端との間に電気的に接続され且つ前記ダイパッドに電気的に接続された第1のサブパッドを有することを特徴とする磁気センサ装置。
【請求項2】
前記第1のパッドと前記第3のパッドの一方は、前記磁気センサの電源ポートを構成し、
前記第1のパッドと前記第3のパッドの他方は、前記磁気センサのグランドポートを構成し、
前記第2のパッドは、前記磁気センサの信号ポートを構成することを特徴とする請求項1記載の磁気センサ装置。
【請求項3】
前記第1のサブパッドは、前記磁気センサ装置が被実装体に実装された状態では、外部の回路に電気的に接続されないことを特徴とする請求項1記載の磁気センサ装置。
【請求項4】
前記第2のアームの一端と他端との間には、いかなるパッドも電気的に接続されていないことを特徴とする請求項1記載の磁気センサ装置。
【請求項5】
前記磁気センサは、更に、前記第2のアームの一端と他端との間に電気的に接続された第2のサブパッドを含むことを特徴とする請求項1記載の磁気センサ装置。
【請求項6】
前記第2のサブパッドは、前記複数のリードおよび前記ダイパッドには電気的に接続されていないことを特徴とする請求項5記載の磁気センサ装置。
【請求項7】
前記複数のパッドは、更に、第4のパッドを含み、
前記複数のアームは、更に、回路構成上前記第3のパッドと前記第4のパッドとの間に設けられた第3のアームと、回路構成上前記第1のパッドと前記第4のパッドとの間に設けられた第4のアームとを含むことを特徴とする請求項1記載の磁気センサ装置。
【請求項8】
前記第2のアームの一端と他端との間、前記第3のアームの一端と他端との間および前記第4のアームの一端と他端との間には、いかなるパッドも電気的に接続されていないことを特徴とする請求項7記載の磁気センサ装置。
【請求項9】
前記磁気センサは、更に、前記第2のアームの一端と他端との間に電気的に接続された第2のサブパッドと、前記第3のアームの一端と他端との間に電気的に接続された第3のサブパッドと、前記第4のアームの一端と他端との間に電気的に接続された第4のサブパッドとを有することを特徴とする請求項7記載の磁気センサ装置。
【請求項10】
前記第2のサブパッド、前記第3のサブパッドおよび前記第4のサブパッドは、前記複数のリードおよび前記ダイパッドには電気的に接続されていないことを特徴とする請求項9記載の磁気センサ装置。
【請求項11】
前記複数のリードの数は4つであることを特徴とする請求項7記載の磁気センサ装置。
【請求項12】
前記複数のアームは、前記磁界成分の強度の周期的な変化に応じて、前記複数のアームの各々の抵抗値が互いに異なる位相で変化するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の磁気センサ装置。
【請求項13】
前記複数のアームの各々は、直列に接続された2つの抵抗体を含み、
前記複数のアームの各々において、前記2つの抵抗体は、前記磁界成分の強度の周期的な変化に応じて、前記2つの抵抗体の各々の抵抗値が同じ位相で変化するように構成されると共に、前記外部磁界の強度または方向の周期的な変化に応じて、前記2つの抵抗体の各々の抵抗値が逆位相で変化するように構成されていることを特徴とする請求項12記載の磁気センサ装置。
【請求項14】
前記第1のサブパッドは、前記第1のアームの前記2つの抵抗体の接続点に電気的に接続されていることを特徴とする請求項13記載の磁気センサ装置。
【請求項15】
前記複数の磁気検出素子は、複数の磁気抵抗効果素子であり、
前記複数の磁気抵抗効果素子の各々は、方向が固定された第1の磁化を有する磁化固定層と、方向が変化可能な第2の磁化を有する自由層と、前記磁化固定層と前記自由層の間に配置されたギャップ層とを含むことを特徴とする請求項1記載の磁気センサ装置。
【請求項16】
前記複数のアームの各々は、直列に接続された2つの抵抗体を含み、
前記2つの抵抗体の一方における前記複数の磁気抵抗効果素子の各々の前記磁化固定層の第1の磁化は、第1の磁化方向の成分を含み、
前記2つの抵抗体の他方における前記複数の磁気抵抗効果素子の各々の前記磁化固定層の第2の磁化は、前記第1の磁化方向とは反対の第2の磁化方向の成分を含むことを特徴とする請求項15記載の磁気センサ装置。
【請求項17】
前記第1のサブパッドは、前記第1のアームの前記2つの抵抗体の接続点に電気的に接続されていることを特徴とする請求項16記載の磁気センサ装置。
【請求項18】
請求項1ないし17のいずれかに記載の磁気センサ装置と、
前記対象磁界を発生する磁界発生器とを備え、
前記磁気センサと前記磁界発生器は、前記磁気センサと前記磁界発生器の少なくとも一方が動作すると、基準位置における前記磁界成分の強度が変化するように構成されていることを特徴とする磁気式エンコーダ。
【請求項19】
前記磁界発生器は、複数組のN極とS極が前記第1の方向に交互に配列された磁気スケールであることを特徴とする請求項18記載の磁気式エンコーダ。
【請求項20】
前記磁界発生器は、複数組のN極とS極が回転軸の周りに交互に配列された磁気スケールであることを特徴とする請求項18記載の磁気式エンコーダ。