(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108689
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】ガスバリア性フィルム
(51)【国際特許分類】
C08J 5/18 20060101AFI20240805BHJP
B32B 27/30 20060101ALI20240805BHJP
B32B 27/32 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
C08J5/18 CEX
B32B27/30 102
B32B27/32 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023013186
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000220099
【氏名又は名称】アールエム東セロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】湊 翔太郎
(72)【発明者】
【氏名】中山 勉伸
(72)【発明者】
【氏名】田中 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】袴田 智宣
【テーマコード(参考)】
4F071
4F100
【Fターム(参考)】
4F071AA29
4F071AA81
4F071AF08Y
4F071AH04
4F071BA02
4F071BB02
4F071BB07
4F071BC01
4F100AK07B
4F100AK21A
4F100AK69A
4F100AT00B
4F100BA01
4F100BA02
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10B
4F100EH46A
4F100EJ37
4F100EJ86A
4F100GB23
4F100GB66
4F100JA07A
4F100JD02
4F100JD03
4F100JD03A
4F100YY00A
(57)【要約】
【課題】良好なガスバリア性、延伸性と美観を保持しつつ、製造コストを削減し、環境面にも配慮することができるガスバリア性フィルム又は多層ガスバリア性フィルムの提供。
【解決手段】α-オレフィン単位を0~6モル%未満含有し、かつ約800~1200の平均重合度を有するポリビニルアルコール系重合体を含んでなる、ガスバリア性フィルム。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
α-オレフィン単位を0~6モル%未満含有し、かつ約800~1200の平均重合度を有するポリビニルアルコール系重合体を含んでなる、ガスバリア性フィルム。
【請求項2】
前記ポリビニルアルコール系重合体が、α-オレフィン単位を含有する少なくとも1種のポリビニルアルコール系重合体(A)と、α-オレフィン単位を含有しない少なくとも1種のポリビニルアルコール系重合体(B)とを含む混合物からなり、重合体(A)の重合度と重合体(B)の重合度との差が500以上である、請求項1に記載のガスバリア性フィルム。
【請求項3】
前記ポリビニルアルコール系重合体の酢酸ナトリウムの残存量が5000ppm以下である、請求項1又は請求項2に記載のガスバリア性フィルム。
【請求項4】
前記ポリビニルアルコール系重合体の平均ケン化度が98.50~99.50モル%である、請求項1~3のいずれか一項に記載のガスバリア性フィルム。
【請求項5】
前記α-オレフィン単位がエチレンである、請求項1~4のいずれか一項に記載のガスバリア性フィルム。
【請求項6】
前記ガスバリア性フィルムの酸素透過度が、250(ml/m2・MPa・day)以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載のガスバリア性フィルム。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載のガスバリア性フィルムの層と基材フィルム層とを有する、多層ガスバリア性フィルム。
【請求項8】
前記基材フィルム層がポリプロピレンからなる、請求項7に記載の多層ガスバリア性フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸素バリア性、延伸性、美観の3要素全てをバランス良く兼ね備えたガスバリア性フィルム又は多層ガスバリア性フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
食品、医薬品等の包装用として用いられる包装用フィルムは、内容物の視認性や美観などから透明性が必要とされると共に、内容物の酸化などを防止するため、ガスバリア性が必要とされる。
従来のポリビニルアルコール系重合体(以下PVAと略記することがある)を用いたフィルムは、吸湿性が少ない場合には酸素ガスバリア性が良いが、吸湿性が激しく、相対湿度が70%程度以上になると酸素ガスバリア性が急激に低下する。このポリビニルアルコールの吸湿性を改善するため、エチレンを共重合させたエチレン・ビニルアルコール共重合体が用いられている(特許文献1)。
しかしながら、上記従来技術では、エチレンを共重合しない場合は、酸素バリア性、延伸性、美観の3要素全てをバランス良く兼ね備えたガスバリア性フィルム又は多層ガスバリア性フィルムの実現には至っていなかった。また高濃度のエチレンを共重合した場合は、コストがかさみ、また有機溶媒を用いて塗装溶液とする必要があることから作業環境上の問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の従来技術の限界に鑑み、酸素バリア性、延伸性、美観の3要素全てをバランス良く兼ね備えたガスバリア性フィルム又は多層ガスバリア性フィルムを提供することを課題とする。また、コストを抑え水塗装で製造可能な、優れたガスバリア性、延伸性、外観を有するガスバリア性フィルム又は多層ガスバリア性フィルムを提供することも課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、α-オレフィン単位を0~6モル%未満含有し、かつ約800~1200の平均重合度を有するポリビニルアルコール系重合体を用いることにより、エチレン量を抑制しながら、従来技術のポリビニルアルコール系重合体を用いたフィルムより、ガスバリア性、延伸性、外観の全てをバランス良く向上できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち本発明、並びにその好適な態様及び実施形態は、下記のとおりである。
[1]α-オレフィン単位を0~6モル%未満含有し、かつ約800~1200の平均重合度を有するポリビニルアルコール系重合体を含んでなる、ガスバリア性フィルム。
[2]前記ポリビニルアルコール系重合体が、α-オレフィン単位を含有する少なくとも1種のポリビニルアルコール系重合体(A)と、α-オレフィン単位を含有しない少なくとも1種のポリビニルアルコール系重合体(B)とを含む混合物からなり、重合体(A)の重合度と重合体(B)の重合度との差が500以上である、[1]に記載のガスバリア性フィルム。
[3]前記ポリビニルアルコール系重合体の酢酸ナトリウムの残存量が5000ppm以下である、[1]又は[2]に記載のガスバリア性フィルム。
[4]前記ポリビニルアルコール系重合体の平均ケン化度が98.50~99.50モル%である、[1]~[3]のいずれかに記載のガスバリア性フィルム。
[5]前記α-オレフィン単位がエチレンである、[1]~[4]のいずれかに記載のガスバリア性フィルム。
[6]前記ガスバリア性フィルムの酸素透過度が、250(ml/m2・MPa・day)以下である、[1]~[5]のいずれかに記載のガスバリア性フィルム。
[7][1]~[6]のいずれかに記載のガスバリア性フィルムの層と基材フィルム層とを有する、多層ガスバリア性フィルム。
[8]前記基材フィルム層がポリプロピレンからなる、[7]に記載の多層ガスバリア性フィルム。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ガスバリア性フィルム又は多層ガスバリア性フィルムの良好なガスバリア性、延伸性と外観を保持しつつ、製造コストを削減し、環境面にも配慮することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<ガスバリア性フィルム>
本発明は、α-オレフィン単位を0~6モル%未満含有し、かつ約800~1200の平均重合度を有するポリビニルアルコール系重合体を含んでなる、ガスバリア性フィルムである。
【0009】
<ポリビニルアルコール系重合体>
本発明のガスバリア性フィルムを構成するポリビニルアルコール系重合体は、α-オレフィン単位を0~6モル%未満含有し、かつ約800~1200の平均重合度を有する。ポリビニルアルコール系重合体のα-オレフィン単位の含有量が0~6モル%未満の範囲にあると、延伸性に優れ、かつ耐吸湿性で酸素透過性に優れたガスバリア性フィルムとなる。さらに、α-オレフィン単位の含有量が上記範囲にあると、有機溶媒を使用せずに水のみで塗装溶液を調製することが可能となり、作業環境を改善することができる。また、ポリビニルアルコール系重合体の平均重合度が約800~1200の範囲にあると、ポリビニルアルコール共重合体を延伸した場合に膜割れが発生しにくくなり、延伸性に優れ、かつ酸素透過性に優れたガスバリア性フィルムとなる。
α-オレフィン単位は、好ましくは、0~5モル%未満、より好ましくは3~5モル%未満であり、平均重合度は、好ましくは、800~1100、より好ましくは900~1000である。
ここで重合度は、JISK6726に準じて測定されたものであり、PVAを再ケン化し、精製したものを用いて30±0.1℃の水中で測定した極限粘度から求められる。
【0010】
前記ポリビニルアルコール系重合体は、α-オレフィン単位を含有する少なくとも1種のポリビニルアルコール系重合体(A)と、α-オレフィン単位を含有しない少なくとも1種のポリビニルアルコール系重合体(B)とを含む混合物からなるものであってもよく、上記重合体(A)の重合度と上記重合体(B)の重合度との差は、好ましくは500以上、より好ましくは700以上である。α-オレフィン単位を含有する少なくとも1種のポリビニルアルコール系重合体(A)は、α-オレフィン単位を好ましくは4~10モル%、より好ましくは4~8モル%、最も好ましくは4~6モル%含有する。
α-オレフィン単位を含有する少なくとも1種の重合体(A)とα-オレフィン単位を含有しない少なくとも1種のポリビニルアルコール系重合体(B)の質量比は、ポリビニルアルコール系重合体(A)と(B)の混合物全体のα-オレフィン単位が0~6モル%未満となるように調整すればよく、好ましくは当該質量比は30:70~70:30、より好ましくは40:60~60:40、最も好ましくは50:50である。このように配合することにより、ポリビニルアルコール系重合体の混合物が水性溶媒に溶解しやくすくなり、結果として有機溶媒の使用量を低減でき、作業性の改善、製造コスト削減を実現し、環境面にも配慮することが可能となる。
【0011】
α-オレフィンとしては、炭素数2以上のものが好ましく、エチレン、プロピレン、1-ブテン、イソブテン等が挙げられるが、耐水性・耐吸湿性の点でエチレンが最も好ましい。
【0012】
本発明におけるポリビニルアルコール系重合体の酢酸ナトリウムの残存量(残存酢曹度)は、好ましくは5000ppm以下、より好ましくは3000ppm以下、さらに好ましくは2000ppm以下、最も好ましくは1000ppm以下であり、ポリビニルアルコール系重合体の平均ケン化度は、好ましくは98.50~99.50モル%、より好ましくは98.60~99.00モル%の範囲である。ポリビニルアルコール共重合体の酢酸ナトリウムの残存量が5000ppm以下にあると、高湿度下での酸素透過性に優れたガスバリア性フィルムとなる。また、ポリビニルアルコール系重合体のケン化度が98.50~99.50モル%の範囲にあると、ポリビニルアルコール系重合体を延伸した場合に膜割れが発生しにくくなり、延伸性に優れ、かつ高湿度下での酸素透過性に優れたガスバリア性フィルムとなる。ここで酢酸ナトリウムの残存量とは、JISK6726に準じて測定されたものであり、ケン化度とは、JISK6726に準じて測定されたものである。
【0013】
<ガスバリア性フィルムの製造方法>
α-オレフィン単位を0~6モル%未満含有し、かつ約800~1200の平均重合度を有するポリビニルアルコール系重合体を、165℃~180℃の範囲で予熱した後、155~170℃未満の範囲で横方向に延伸して製造する。
【0014】
<多層ガスバリア性フィルム>
本発明の多層ガスバリア性フィルムは、ガスバリア性フィルムの層と基材フィルム層とを有する。
【0015】
<多層ガスバリア性フィルムの製造方法>
本発明の多層ガスバリア性フィルムの製造方法は、基材フィルム層のプロピレン重合体と接着剤樹脂とを共押出し成形してなる積層フィルムを縦方向に延伸した後、接着剤樹脂面にポリビニルアルコール系重合体の溶液を塗布した後、横方向に延伸するものである。
延伸倍率は、通常、縦方向の延伸倍率が3~8倍、好ましくは4.5~6倍の範囲、横方向の延伸倍率が7~14倍、好ましくは9~11倍の範囲にある。また、延伸温度は二軸延伸フィルムの成形温度、押出しフィルムの厚さ、横延伸装置の容量等にもよるが、通常、縦方向の延伸温度が125℃~145℃、横方向の延伸温度が155~165℃未満の範囲にある。縦方向の延伸温度はプロピレン重合体と接着性樹脂が均一に延伸され得る温度であれば特に制限はないが、横方向の延伸温度は、二軸延伸フィルムの成形速度、縦延伸シートの厚さ、横延伸装置の容量等にもよるが、155℃~165℃未満である。横方向の延伸温度が165℃以上になるとビニルアルコール共重合体に微小クラックの発生が多くなる虞がある。
また、延伸前の予熱温度についてはプロピレン重合体を横延伸する前に、二軸延伸フィルムの成形速度、縦延伸フィルムの厚さ、横延伸装置の容量等にもよるが、170~180℃の範囲で予熱することができる。この際、予熱温度を175℃未満にすることで、よりビニルアルコール共重合体の微小クラックの発生をより効果的に抑制することが可能となるため、美麗な外観とする観点から予熱温度を175℃未満にすることが好ましい。
【0016】
本発明の製造方法により得られたガスバリア性フィルム又は多層ガスバリア性フィルムは、JISK7126に準じて、20℃、90%RH下で測定した酸素透過度が、250ml/m2・MPa・day以下、好ましくは、230ml/m2・MPa・day以下、より好ましくは、200ml/m2・MPa・day以下の酸素透過性を示す。
【0017】
本発明の多層ガスバリア性フィルムを構成する基材フィルム層としては、ポリオレフィンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルムなどが挙げられ、好ましくはポリプロピレンからなる。
【0018】
基材フィルムの厚み(延伸する場合には最終的な厚み)としては、15~30μmが好ましい。
【0019】
本発明の多層ガスバリア性フィルムを構成するガスバリア性フィルム層と基材フィルム層との間には、接着性を向上させる目的で、接着性成分層を形成せしめてもよい。接着成分としては、接着性ポリオレフィンが好適に用いられる。
【0020】
ガスバリア性フィルム層を基材フィルム層上に塗工する際の塗工液の溶媒としては、水単独または水/アルコール混合溶媒が用いられる。ここで用いられるアルコールとしては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-プロパノールなどの低級脂肪族アルコールが挙げられ、特にエタノール、イソプロパノールが好んで用いられる。塗工液の濃度について特に制限はないが、塗工時の作業性を考慮して通常5~50重量%の範囲で決定される。塗工液には、該組成物および溶媒としての水または水/アルコール混合溶媒以外に、必要に応じて、界面活性剤、レベリング剤、防黴剤、防腐剤などが適宜添加されることは何ら問題がない。
【0021】
上記塗工液を基材フィルム上に塗工する際の塗工液の温度は通常20~80℃である。塗工方法としてはグラビアロールコーティング法、リバースグラビアコーティング法、リバースロールコーティング法、マイヤーバーコーティング法、エアーナイフ法、ドクターナイフ法、ブレード法、バーコート法等従来公知のいかなる方法も用いることができる。
【0022】
上述の方法により基材フィルム層上にガスバリア性フィルム層を形成した後、更に熱処理や延伸処理を施すことは何ら問題がない。熱処理温度は基材フィルム層の種類によって異なり、ポリオレフィンフィルムの場合は140~170℃、ポリエステルフィルムおよびポリアミドフィルムの場合は140~240℃の範囲から適宜選択される。
【実施例0023】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これにより何ら限定されるものではない。
【0024】
以下の実施例/比較例において、物性/特性の評価は下記の方法で行った。
(1)ガスバリア性(OTR)
モコン社製 OX-TRAN2/20を用い、JISK7126に準じて、条件20℃、90%RHで測定した。評価は以下の基準に従った。
250ml/m2・MPa・day以下の酸素透過度:良(〇)
250ml/m2・MPa・dayを超える酸素透過度:不良(×)
(2)外観(延伸性)
延伸ガスバリア性フィルムから、100mm×100mmの試験サンプルを採取し、目視により膜割れ発生数と干渉模様(虹色)を観察した。評価は以下の基準に従った。
100mm×100mmに1.5mm以上のPVA膜割れが0~3個、かつフィルムを光に反射した際に干渉模様(虹色)が見えない:良(〇)
100mm×100mmに1.5mm以上のPVA膜割れが4個以上、又はPVA膜割れが0~3個かつフィルムを光に反射した際に干渉模様(虹色)が見える:不良(×)
【0025】
実施例及び比較例においては以下の材料を用いた。
(1)ポリビニルアルコール系重合体(A)
(A-1)ポリビニルアルコール系重合体(重合度400、鹸化度98.7モル%、残存酢曹度100ppm、エチレン変性率7.2モル%)
(A-2)ポリビニルアルコール系重合体(重合度1700、鹸化度98.4モル%、残存酢曹度9800ppm、エチレン変性率4.1モル%)
(2)ポリビニルアルコール系重合体(B)
(B-1)ポリビニルアルコール系重合体(重合度1700、鹸化度98.6モル%、残存酢曹度1600ppm、エチレン変性率0モル%)
(B-2)ポリビニルアルコール系重合体(重合度1700、鹸化度99.6モル%、残存酢曹度1800ppm、エチレン変性率0モル%)
(B-3)ポリビニルアルコール系重合体(重合度1000、鹸化度99.6モル%、残存酢曹度2400ppm、エチレン変性率0モル%)
【0026】
<実施例1>
重合度400、ケン化度98.7モル%、残存酢酸ナトリウム100ppm、エチレン変性率7.2モル%のポリビニルアルコール系重合体(A-1)40質量部と、重合度1700、ケン化度98.6モル%、残存酢酸ナトリウム1600ppm、エチレン変性率0モル%のポリビニルアルコール系重合体(B-1)30質量部と、重合度1700、ケン化度99.6モル%、残存酢酸ナトリウム1800ppm、エチレン変性率0モル%のポリビニルアルコール系重合体(B-2)30質量部とを混合し、混合物をポリプロピレンからなる基材フィルム層に塗布して乾燥した。引続き、テンター横延伸機に連続的に塗布したフィルムを導入し、フィルムの流れ方向と直角の方向(横方向)に10倍延伸して、多層ガスバリア性フィルムを得た。
【0027】
<実施例2>
ポリビニルアルコール系重合体重合体(A-1)、ポリビニルアルコール系重合体(B-1)を用い、(A-1):(B-1)の質量比が40:60となるように混合した以外は、実施例1と同様に行い、多層ガスバリア性フィルムを得た。
【0028】
<実施例3>
ポリビニルアルコール系重合体(A-1)、ポリビニルアルコール系重合体(B-1)を用い、(A-1):(B-1)の質量比が50:50となるように混合した以外は、実施例1と同様に行い、多層ガスバリア性フィルムを得た。
【0029】
<実施例4>
ポリビニルアルコール系重合体(A-1)、ポリビニルアルコール系重合体(B-1)を用い、(A-1):(B-1)の質量比が60:40となるように混合した以外は、実施例1と同様に行い、多層ガスバリア性フィルムを得た。
【0030】
<実施例5>
ポリビニルアルコール系重合体(A-1)、ポリビニルアルコール系重合体(B-2)を用い、(A-1):(B-2)の質量比が40:60となるように混合した以外は、実施例1と同様に行い、多層ガスバリア性フィルムを得た。
【0031】
<実施例6>
ポリビニルアルコール系重合体(A-1)、ポリビニルアルコール系重合体(B-2)を用い、(A-1):(B-2)の質量比が50:50となるように混合した以外は、実施例1と同様に行い、多層ガスバリア性フィルムを得た。
【0032】
<実施例7>
ポリビニルアルコール系重合体(A-1)、ポリビニルアルコール系重合体(B-2)を用い、(A-1):(B-2)の質量比が60:40となるように混合した以外は、実施例1と同様に行い、多層ガスバリア性フィルムを得た。
【0033】
<実施例8>
ポリビニルアルコール系重合体(B-1)15質量部と、重合度1000、ケン化度99.6モル%、残存酢酸ナトリウム2400ppm、エチレン変性率0モル%のポリビニルアルコール系重合体ポリビニルアルコール系重合体(B-3)85質量部を使用した以外は、実施例1と同様に行い、多層ガスバリア性フィルムを得た。
【0034】
<比較例1>
ポリビニルアルコール系重合体(A-1)100質量部を用いた以外は、実施例1と同様に行い、多層ガスバリア性フィルムを得た。
【0035】
<比較例2>
ポリビニルアルコール系重合体(B-2)100質量部を用いた以外は、実施例1と同様に行い、多層ガスバリア性フィルムを得た。
【0036】
<比較例3>
重合度1700、ケン化度98.4モル%、残存酢酸ナトリウム9800ppm、エチレン変性率4.1モル%のポリビニルアルコール系重合体(A-2)100質量部を用いた以外は、実施例1と同様に行い、ガスバリア性フィルムを得た。
【0037】
実施例1-8、比較例1-3の各ガスバリア性フィルムの配合割合を表1に、結果を表2に示す。
【表1】
【0038】
【0039】
本発明の多層ガスバリア性フィルムは、酸素バリア性、延伸性、美観の3要素全てをバランス良く兼ね備えていた。一方、比較例1-3の多層ガスバリア性フィルムは外観及び/又は酸素透過度が悪化していた。
本発明のガスバリア性フィルム又は多層ガスバリア性フィルムは、酸素バリア性、延伸性、美観の3要素全てをバランス良く兼ね備えているので、海苔類、米菓類等の乾燥食品、たばこ等の嗜好品等の包装用フィルムを始め、あらゆる被包装物の包装用フィルムに使用し得る。特に食品包装材料としてスナック菓子、米菓、ビスケット、ピーナッツ等の乾燥食品に使用し得るし、乾燥菓子はもちろんのこと含水率の多い饅頭やカステラ、切り餅、鰹節、各種珍味等の広範囲な用途で使用し得る。