(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108690
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】車体フレーム構造
(51)【国際特許分類】
B62D 25/20 20060101AFI20240805BHJP
【FI】
B62D25/20 G
B62D25/20 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023013187
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 貴子
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203BB06
3D203BB12
3D203BB25
(57)【要約】
【課題】床下空間を確保しつつ、車体剛性を向上させる。
【解決手段】サイドシル120と、サイドシル120と結合されたクロスメンバ200と、クロスメンバ200の車両後方側に延設しているフロアパン部210と、を備え、クロスメンバ200の車両後方側の壁面を構成するクロスメンバリア200bは、その車両後部上側端と、フロアパン部210の車両前部下側端と車両上下方向に結合され、クロスメンバリア200bの車両後部上側端を成す車幅方向の辺が、車幅方向内側から車両後部外側に向かう傾斜を有している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車幅方向両側において車両前後方向に延在するサイドシルと、
車両前後方向中央部において車幅方向に延在し、車幅方向両側端において前記サイドシルと結合されたクロスメンバと、
車両下方部において、前記クロスメンバの車両後方側に延設しているフロアパン部と、
を備え、
前記クロスメンバは、その車両前方側の壁面を構成するクロスメンバフロントと、前記クロスメンバの車両後方側の壁面を構成するクロスメンバリアと、が結合されて形成され、
前記クロスメンバリアの車両後部上側端と、前記フロアパン部の車両前部下側端と、が車両上下方向に結合され、
前記クロスメンバリアの車両後部上側端を成す車幅方向の辺が、車幅方向内側から車両後部外側に向かう傾斜を有することを特徴とする車体フレーム構造。
【請求項2】
前記クロスメンバリアの車両後部上側端と、前記フロアパン部の車両前部下側端と、が車両上下方向に結合されている結合部において、さらにクロスメンバフロントの車両後部上側端が結合されていることを特徴とする請求項1に記載の車体フレーム構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体フレーム構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車等の後部下方部には、走行音の抑制および衝突時の影響を減少させるために車体剛性を向上させる車体フレーム構造が設けられている。
【0003】
車体フレーム構造には、車両走行に伴い、車輪、サスペンションあるいはエンジン等の駆動装置等から伝達される振動によって、サイドフレーム等の車体部材に捩れ方向や上下方向の荷重が入力される。また、車体フレーム構造は、衝突が発生した場合には、衝突荷重を分散させる必要もある。そして、車両の操縦安定性、騒音、乗心地等を向上させるために、車体フレーム構造においては、フレームにかかる大きな応力に耐えられる剛性が求められている。
【0004】
例えば、特許文献1においては、後部座席下方部に設けられたキックアップ部と後側クロスメンバとの間に車幅方向に延びる閉断面としてのクロスメンバを形成し、高床部と接合するとともに、そのクロスメンバの車両後方側にレインフォースメントを設けることによって、車体剛性の向上を図る技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方で、車両の航続距離を延ばすためには、燃料タンク容量の大型化、あるいは、電気自動車等においては、バッテリユニットの容量を拡大するために、バッテリユニットを大型化する必要がある。燃料タンクおよびバッテリユニットは、後部座席の車両下方側の床下空間を利用して設置される場合もあり、燃料タンクあるいはバッテリユニットの大型化に対応するためには、床下空間の確保が求められる。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の技術においては、後部座席の車両下方側に設けられるクロスメンバが、車幅方向に略同一幅で延在するとともに、クロスメンバの車両後方側には、レインフォースメントが設けられている。つまり、クロスメンバおよびレインフォースメントが後部座席の車両後方部の床下空間を占有することになってしまい、燃料タンクあるいはバッテリユニットの大型化を制限する虞があるという課題があった。
【0008】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであって、床下空間を確保しつつ、車体剛性を向上させる車体フレーム構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
形態1;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、車幅方向両側において車両前後方向に延在するサイドシルと、車両前後方向中央部において車幅方向に延在し、車幅方向両側端において前記サイドシルと結合されたクロスメンバと、車両下方部において前記クロスメンバの車両後方側に延設しているフロアパン部と、を備え、前記クロスメンバは、その車両前方側の壁面を構成するクロスメンバフロントと、前記クロスメンバの車両後方側の壁面を構成するクロスメンバリアと、が結合されて形成され、前記クロスメンバリアの車両後部上側端と、前記フロアパン部の車両前部下側端と、が車両上下方向に結合され、前記クロスメンバリアの車両後部上側端を成す車幅方向の辺が、車幅方向内側から車両後部外側に向かう傾斜を有する車体フレーム構造を提案している。
【0010】
形態2;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記クロスメンバリアの車両後部上側端と、前記フロアパン部の車両前部下側端と、が車両上下方向に結合されている結合部において、さらにクロスメンバフロントの車両後部上側端が結合されている車体フレーム構造を提案している。
【発明の効果】
【0011】
本発明の1またはそれ以上の実施形態によれば、床下空間を確保しつつ、車体剛性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係る車両の車体フレーム構造を下方から見た構成図である。
【
図2】
図1に示されたCM部を拡大し下方から見た構成図である。
【
図3】
図2の矢印A方向から見たA―A線に沿う断面図である。
【
図4】
図2の矢印B方向から見たB―B線に沿う断面図である。
【
図5】
図2の車体フレーム構造に伝達される荷重を示した構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、
図1から
図5を用いて、本実施形態に係る車体フレーム構造Fが適用された車両Vについて説明する。なお、図面に適宜示される矢印FRは、
図1に示す車両Vの前方(正面)を示し、矢印UPは正面視上方を示し、矢印LHは正面視左方を示している。また、以下の説明において、上下、前後、左右の方向を用いて説明するときには、特に断りのない限り、正面視での上下方向、正面視での前後方向、正面視での左右方向を示すものとする。
【0014】
<実施形態>
図1~
図4を用いて、車両Vに備えられた本実施形態に係る車体フレーム構造Fの構成について説明する。
【0015】
<車両Vの構成>
車両Vは、例えば、パワーユニット部20に内燃機関あるいは電気モータを駆動源として配置する自動車である。なお、車両Vは、例えば、エンジンと電気モータとの複数の駆動源を有するハイブリッド電気自動車であってもよい。
【0016】
図1に示すように、車両Vは、車輪10と、パワーユニット部20と、後輪駆動部30と、車体フレーム構造F(
図1のハッチング部)と、を含んで構成されている。
【0017】
パワーユニット部20は、車輪10を駆動する図示しない内燃機関あるいはモータ、変速機、クラッチ、駆動軸、プロペラシャフト等で構成された駆動装置である。パワーユニット部20は、例えば、車両前方部に配置され、車体フレーム構造Fによって支持されている。
【0018】
後輪駆動部30は、パワーユニット部20に含まれるプロペラシャフトの車両後方部に配設され、パワーユニット部20から伝達される駆動力を車両後方側の車輪10に伝達するとともに、左右の車輪10の回転速度差を吸収している。
【0019】
<車体フレーム構造Fの構成>
車体フレーム構造Fは、フロントサイドフレーム100と、リアサイドフレーム110と、サイドシル120と、フロアトンネル部130と、フロアパネル部140と、クロスメンバ200と、フロアパン部210と、リアクロスメンバ220、230と、を含んで構成されている。
【0020】
(フロントサイドフレーム100について)
フロントサイドフレーム100は、車両前部の車幅方向両側に一対となって設けられ、車両Vを駆動するパワーユニット部20の車幅方向外側に位置し、車両前後方向に延在している。フロントサイドフレーム100は、高剛性を有する金属等により形成され略矩形閉断面形状を成している。
車幅方向両側のフロントサイドフレーム100の間には、パワーユニット部20の車両後方側においては、フロアトンネル部130の車両前方端部が結合され、車両前後方向中央部においては、クロスメンバ200の車幅方向両端部が結合されている。
また、フロントサイドフレーム100の車両後方端部には、後述するリアサイドフレーム110の車両前方端部が車両前後方向に結合されている。
【0021】
(リアサイドフレーム110について)
リアサイドフレーム110は、車両後部の車幅方向両側に一対となって設けられ、フロントサイドフレーム100の車両後方部の車両前後方向に延在している。リアサイドフレーム110は、高剛性を有する金属等により形成され略矩形閉断面形状を成している。リアサイドフレーム110の車両前方端部においては、フロントサイドフレーム100の車両後方端部が結合されている。
車幅方向両側のリアサイドフレーム110の間には、リアサイドフレーム110の車両前方端部上面側において、後述するクロスメンバ200の車幅方向両端部が結合され、車両後方側においては、リアクロスメンバ220、230の車幅方向両端部が結合されている。リアサイドフレーム110は、車両前後方向中央部よりも車両後方側において、車体フレーム構造Fの中心となる骨格を構成している。
【0022】
(サイドシル120について)
サイドシル120は、車両車幅方向両側の側方底面に設けられ、車両前後方向に延在された骨格であり、高剛性を有する金属等により形成され略矩形閉断面形状を成している。また、サイドシル120には、車両前後方向中央部において、フロントサイドフレーム100とリアサイドフレーム110とクロスメンバ200とが、溶接等により結合されている。
【0023】
(フロアトンネル部130について)
フロアトンネル部130は、車両底部において、車両上方側の車室内側に張り出し車両下方側が開放された略U字形状を成し、車幅方向中央部の車両前後方向に延設されている。フロアトンネル部130は、車幅方向中央部の骨格であり、高剛性を有する金属等により形成されている。パワーユニット部20の車両後方部は、フロアトンネル部130の車両前方端側において固定されている。
【0024】
(フロアパネル部140について)
フロアパネル部140は、鋼板等で形成され、車両外部と車両内部とを隔てる車両下方部に設けられた床材であり、車両前後方向および車幅方向に配設されている。また、車体フレーム構造Fを構成するそれぞれのフレームに溶着等により固定されている。
【0025】
(クロスメンバ200について)
図2に示すように、クロスメンバ200は、車両前後方向中央部において車幅方向に延在し、その両端部は、車幅方向両側のサイドシル120と溶接等により結合されている。クロスメンバ200の車両下方側には、サイドシル120との結合部としての結合部CP1において、リアサイドフレーム110が配設され、溶着等により結合されている。また、クロスメンバ200は、車幅方向車両中央部からサイドシル120との結合部としての結合部CP1に向かうにつれて車両後部外側に向かう傾斜SL(
図2の太実線)を有している。
クロスメンバ200は、金属等により形成され、車両前方側の壁面を構成するクロスメンバフロント200aと、車両後方側の壁面を構成するクロスメンバリア200bとが結合されることによって、略矩形閉断面形状を形成している。
具体的には、
図3に示すように、クロスメンバフロント200aは、クロスメンバ200の車両前方側壁面および車両前方側天面を形成している。クロスメンバフロント200aは、その車両下方側がフロアパネル部140に結合されている。クロスメンバフロント200aは、その車両前部上側の辺によって、稜線FDを形成している。
クロスメンバリア200bは、その車両下方側がクロスメンバフロント200aとともに、フロアパネル部140に結合されている。また、クロスメンバリア200bは、その車両後部上側の辺によって、傾斜SLを有する稜線RDを形成している。稜線RDは、クロスメンバ200が結合される車幅方向両側のサイドシル120の間を車幅方向に延在している。そして、クロスメンバリア200bには、車幅方向中央部において、稜線RDの傾斜SLによって、車両後方側が車両前方側に凹む凹部DTが形成されている。また、クロスメンバリア200bの車両後部上側端は、その車両上方側の結合部CP2において、フロアパン部210の車両前部下側端と車両上下方向に結合されている。そして、結合部CP2において、さらに、クロスメンバフロント200aの車両後部上側端およびクロスメンバリア200bの車両後部上側端は、後述するフロアパン部210の車両前部下側端に3つ重ね合されて結合されている。
また、
図4に示すように、クロスメンバ200は、車幅方向中央部が車両上方側に最も高くなるようなアーチ形状を成している。
クロスメンバ200は、車両前後方向中央部において、車幅方向に延在する骨格を形成している。クロスメンバ200には、クロスメンバ補剛部CMが設けられている。なお、クロスメンバ補剛部CMについては後述する。
【0026】
(フロアパン部210について)
図1に示すように、フロアパン部210は、乗員等が着座する図示しないキャビンと車体フレーム構造Fを含む車両外部とを隔てる鋼板等で形成された床材であり、車両下方部の車幅方向およびクロスメンバ200の車両後方向側に延設されている。フロアパン部210は、周囲を強固な骨格に囲まれている。具体的には、フロアパン部210の車両前方側は、クロスメンバ200と結合され、その車両後方側は、リアクロスメンバ220と結合され、その車幅方向両側は、リアサイドフレーム110と結合されている。また、フロアパン部210の車両上方側には、キャビンが設けられ、その車両下方側には、床下空間FSが形成され、図示しない燃料タンクあるいはバッテリユニット等が収容されている。床下空間FSは、その車両前方側をクロスメンバ200に囲われ、その車両上方側をフロアパン部210に囲われ、その車幅方向両側をリアサイドフレーム110に囲われ、その車両後方部をリアクロスメンバ220に囲われた空間である。
【0027】
(リアクロスメンバ220、230について)
リアクロスメンバ220、230は、車両後方側において車幅方向に延在し、その両端部は、車幅方向両側のリアサイドフレーム110と溶接等により結合されている。リアクロスメンバ220、230は、金属等により形成され、略矩形閉断面形状を成している。
【0028】
(クロスメンバ補剛部CMについて)
車両前後方向中央部に設けられたクロスメンバ200の周辺には、クロスメンバ200の剛性を強化することにより、車体フレーム構造Fの剛性を強化するクロスメンバ補剛部CMが設けられている。
【0029】
図2に示すように、クロスメンバ200において、クロスメンバフロント200aは、その車両前方部上方側の辺に稜線FDを形成し、クロスメンバリア200bは、その車両後方部上方側の辺に稜線RDを有している。具体的には、クロスメンバフロント200aは、車両前方側上方部の辺が車幅方向に略直線状の稜線FDを形成している。クロスメンバリア200bは、その車両上方側の辺が、傾斜SLを有する稜線RDを形成している。クロスメンバ200は、稜線FDおよび稜線RDに挟まれ車両前後方側に幅を有しており、クロスメンバ200の車幅方向両端部は、車両前後方向中央部における車両前後方側の幅よりも広い。
また、
図3に示すように、クロスメンバリア200bは、その車両上方側の結合部CP2において、フロアパン部210の車両前方端部と車両上下方向に結合されることによって、クロスメンバ200の車両後方側には、車両上下方向に延設する縦壁VWが形成されている。そして、結合部CP2において、クロスメンバフロント200aおよびクロスメンバリア200bの車両上方端部と、後述するフロアパン部210の車両前方端部とが、3つ重ね合されて結合されている。
また、
図4に示すように、クロスメンバ200は、車幅方向中央部が車両上方側に最も高くなるようなアーチ形状を成している。また、クロスメンバ200の車幅方向両端部は、結合部CP1においてサイドシル120に結合している。また、クロスメンバ200は、その車幅方向両端部においては、リアサイドフレーム110に結合している。
【0030】
<作用・効果>
上記のように構成された本実施形態に係る車体フレーム構造Fは、車両前後方向中央部において、骨格を強固に補剛している。以下、
図2~
図5を用いて、クロスメンバ補剛部CMの作用について説明する。
【0031】
車体フレーム構造Fには、車両走行に伴い、車輪10、図示しないサスペンション、パワーユニット部20等から伝達される振動によって、フロントサイドフレーム100等の構造部材に、捩れ、車両上下方向の振動等の荷重が伝達される。
図5に示すように、例えば、車両前方側の車輪10から伝達される振動等による荷重は、矢印AO1~AO6に示すように、フロントサイドフレーム100を介して、フロアトンネル部130の車両前方部、サイドシル120等に分散されて伝達される。また、パワーユニット部20から伝達される捩れ、振動等による荷重は、矢印AO7、AO8に示すように、フロアトンネル部130に分散されて伝達される。そして、フロントサイドフレーム100およびサイドシル120から伝達される荷重は、矢印AO9~AO12に示すように、リアサイドフレーム110およびサイドシル120の車両後方側に伝達される。
【0032】
一方、
図2に示すように、結合部CP1において、クロスメンバ200は、サイドシル120とリアサイドフレーム110とに結合されている。また、クロスメンバ200の車幅方向両端部における車両前後方側の幅は、車両前後方向中央部における車両前後方側の幅よりも広く、また、
図4に示すように、クロスメンバ200の車幅方向中央部が車両上方側に最も高くなるようなアーチ形状を成している。そのため、クロスメンバ200は、剛性を向上させる形状を成すとともに、結合部CP1において、サイドシル120とリアサイドフレーム110と結合されていることによって補剛され、強固な骨格を構成している。
また、
図3に示すように、クロスメンバ200を構成するクロスメンバリア200bは、その車両上方側の結合部CP2において、フロアパン部210の車両前部下側端と車両上下方向に結合され、車両上下方向に延設する縦壁VWが形成されている。そして、結合部CP2において、クロスメンバフロント200aとクロスメンバリア200bとフロアパン部210とが、3つ重ね合されて結合されている。そのため、クロスメンバ200は、結合部CP2においてフロアパン部210と結合されていることによって補剛され、クロスメンバ200は、強固な骨格を構成している。
そして、フロントサイドフレーム100およびサイドシル120から伝達される荷重は、矢印AO13およびAO14に示すように、補剛されたクロスメンバ200に効率よく伝達される。また、クロスメンバ200に伝達された荷重は、矢印AO15およびAO16に示すように、フロアパン部210を介して周囲に結合された骨格に分散される。また、リアサイドフレーム110に伝達された荷重は、矢印AO17~矢印AO20に示すように、リアクロスメンバ220、230に分散される。
【0033】
一方、車体フレーム構造Fは、主に床下空間を利用して構成されているが、例えば、電気自動車に利用されるバッテリユニットは、クロスメンバ200の車両後方側に形成された床下空間FSに収容される場合がある。そのため、車両の剛性を確保しつつ床下空間FSが広い車体フレーム構造Fが必要となる。
【0034】
図2に示すように、クロスメンバ200の車両後方側には、床下空間FSが形成されている。床下空間FSは、車両前方部をクロスメンバ200に囲われ、車両上方側をフロアパン部210に囲われ、車幅方向両側をリアサイドフレーム110に囲われ、車両後方部をリアクロスメンバ220に囲われた空間である。
クロスメンバ200の車幅方向中央部の車両後方側には、傾斜SLを有する稜線RDに沿った凹部DTが形成されている。この凹部DTは、床下空間FSを車両前方側に拡張させる空間を形成している。また、
図3に示すように、クロスメンバリア200bとフロアパン部210とが結合された車両後方側には、床下空間FSが形成されている。このとき、クロスメンバリア200bとフロアパン部210とは、車両上下方向に縦壁VWが形成されるように結合していることによって、クロスメンバリア200bとフロアパン部210との結合部CP2が、FS側に突出した形状とはならない。換言すると、クロスメンバリア200bとフロアパン部210とが結合された車両後方側には、床下空間FSを車両前方側に拡張させる空間が形成されている。
【0035】
以上、本実施形態に係る車体フレーム構造Fは、車幅方向両側において車両前後方向に延在するサイドシル120と、車両前後方向中央部において車幅方向に延在し、車幅方向両側端においてサイドシル120と結合されたクロスメンバ200と、車両下方部においてクロスメンバ200の車両後方側に延設しているフロアパン部210と、を備え、クロスメンバ200は、その車両前方側の壁面を構成するクロスメンバフロント200aと、クロスメンバ200の車両後方側の壁面を構成するクロスメンバリア200bと、が結合されて形成され、クロスメンバリア200bの車両後部上側端と、フロアパン部210の車両前部下側端と、が車両上下方向に結合され、クロスメンバリア200bは、の車両後部上側端を成す車幅方向の辺が、車幅方向内側から車両後部外側に向かう傾斜SLを有している。
つまり、クロスメンバ200は、車幅方向中央部の車両前後方向の幅よりも車幅方向外側における車両前後方向の幅が広く形成されているとともに、結合部CP1において、サイドシル120とリアサイドフレーム110とが結合されていることによって補剛され、クロスメンバ200は、強固な骨格を形成している。そのため、フロントサイドフレーム100あるいはサイドシル120から伝達された荷重は、クロスメンバ200に効率よく伝達され、フロアパン部210を介してリアサイドフレーム110およびリアクロスメンバ220,230に効率よく分散させることができる。
また、クロスメンバ200の車幅方向中央部の車両後方側には、傾斜SLを有する稜線RDに沿った凹部DTが形成されている。この凹部DTは、床下空間FSを車両前方側に拡張させる空間が形成されているため、床下空間を確保することができる。
そのため、床下空間を確保しつつ、車体剛性を向上させることができる。
【0036】
また、本実施形態に係る車体フレーム構造Fは、クロスメンバリア200bの車両後部上側端と、フロアパン部210の車両前部下側端と、が車両上下方向に結合されている結合部としての結合部CP2において、さらにクロスメンバフロント200aの車両後部上側端が結合されている。
つまり、結合部CP2においては、クロスメンバフロント200aとクロスメンバリア200bとフロアパン部210とが3枚重ね合されて結合されている。そして、クロスメンバリア200bとフロアパン部210とがクロスメンバリア200bの車両上方側において結合されることにより、クロスメンバ200の車両後方側上下方向に形成される縦壁VWが補剛される。したがって、クロスメンバ200に伝達される荷重を補剛された縦壁VWに効率よく分散させることができる。また、3枚重ね合されて結合させることによって、結合箇所を減少させることが可能となり、床下空間FS側に構成部材が突出することなく結合させることができる。
そのため、床下空間を確保しつつ、車体剛性を向上させることができる。
【0037】
なお、本発明の実施形態として、クロスメンバリア200bの車両後部上側端は、その車両上方側の結合部CP2において、フロアパン部210の車両前部下側端およびクロスメンバフロント200aと、3つ重ね合されて結合されていることを例示したが、クロスメンバリア200bと、フロアパン部210と、クロスメンバフロント200aとは、異なる厚さを有する鋼板等で形成され、3つ重ね合されて結合されていることによって、結合部CP2において、縦壁VWを補剛してもよい。
【0038】
以上、この発明の実施形態につき、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0039】
10;車輪
20;パワーユニット部
30;後輪駆動部
100;フロントサイドフレーム
110;リアサイドフレーム
120;サイドシル
130;フロアトンネル部
140;フロアパネル部
200;クロスメンバ部
210;フロアパン部
220;リアクロスメンバ
230;リアクロスメンバ
CM;クロスメンバ補剛部
CP1;結合部
CP2;結合部
F;車体フレーム構造
FS;床下空間
V;車両
VW;縦壁