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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108692
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】車両用照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 45/60 20180101AFI20240805BHJP
   F21S 41/141 20180101ALI20240805BHJP
   F21S 41/16 20180101ALI20240805BHJP
   F21S 41/20 20180101ALI20240805BHJP
   F21W 102/00 20180101ALN20240805BHJP
【FI】
F21S45/60
F21S41/141
F21S41/16
F21S41/20
F21W102:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023013191
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】古川 寿也
(57)【要約】
【課題】アウターレンズ部200に付着した雪を、効率よく融解させる。
【解決手段】LEDを用いた光源部100と、反射光RLを発生させるリフレクタ部20と、前照光FLを遮光するシェード部と、前照光FLを車両前方側に照射させる投影レンズ部40と、透光部210とスラット部220と、を有するアウターレンズ部200と、を備え、シェード部30は、車両前部上方側に向かう前照光FLを遮光し、さらに、スラット部220の車両下面側に前照光FLを照射させる高さに配設され、スラット部220は、車両前方側に向かって車両下方側に下がる傾斜TIを有し、スラット部220の車両上面側には反射層RFが形成され、車両下面側には吸熱層ETが形成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
LEDを光源として照射光を出射する光源部と、
前記照射光を反射させることによって反射光を発生させるリフレクタ部と、
前記照射光および前記反射光を遮光するシェード部と、
前記照射光および前記反射光を車両前方側に照射させる投影レンズ部と、
前記照射光および前記反射光を車両前方側に透過させる透光部と、車両上下方向を板厚方向とする平板状に形成され車幅方向に延在するスラット部と、を有するアウターレンズ部と、
を備え、
前記シェード部は、車両前部上方側に向かう前記照射光および前記反射光を遮光し、さらに、前記スラット部の車両下方面側に前記照射光および前記反射光を照射させる高さに配設され、
前記スラット部は、車両前方側に向かって車両下方側に下がる傾斜を有し、前記スラット部の車両上方面側には反射層が形成され、車両下方面側には吸熱層が形成されていることを特徴とする車両用照明装置。
【請求項2】
前記アウターレンズ部は、前記透光部と前記スラット部とが、車両上下方向に複数積層されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用照明装置。
【請求項3】
前記吸熱層が、黒色アルマイト処理あるいは黒色塗装によって形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車などの車両における前照灯は、高機能化および低電力化を目的に、光源には発光ダイオード(LED)が広く用いられている。一方で、LEDは、従来の白熱灯と比べ同照度の場合には、照射光に含まれる熱量が少ないという特性がある。そのため、車両用照明装置の光源としてLEDを使用する場合には、降雪時に車両用照明装置の照射方向に付着した雪が融けずに照度が低下してしまう虞がある。
【0003】
そのため、例えば、特許文献1においては、灯室内に、LEDからの出射光をリフレクタによって灯具前方へ向けて反射させる灯具ユニットが配置された構成とする。その上で、リフレクタの前端縁と透光カバー(アウターレンズ)との間に、可視光に対して光吸収性を有する光吸収部材が配置されるとともに、LEDの灯具前方側に、該LEDからの出射光を光吸収部材へ向けて集光させる集光レンズが配置された構成とする。これにより、LEDからの出射光のうち光吸収部材に到達する光の割合を多くする。そして、この光吸収部材に到達した光によって該光吸収部材に蓄えられた熱を灯室内に放出させ、アウターレンズをその内面側から加熱する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-133890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術においては、光吸収部材に到達した光により蓄えられた熱を灯室内に放出させることにより、アウターレンズをその内面側から加熱するため、アウターレンズへの温度伝導効率が低く、アウターレンズに付着した雪あるいは霜を融解させる時間が長くなってしまう虞があるという課題があった。
【0006】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであって、アウターレンズに付着した雪を、効率よく融解させる車両用照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
形態1;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、光源にLEDを用いて照射光を出射する光源部と、前記照射光を反射させることによって反射光を発生させるリフレクタ部と、前記照射光および前記反射光を遮光するシェード部と、前記照射光および前記反射光を車両前方側に照射させる投影レンズ部と、前記照射光および前記反射光を車両前方側に透過させる透光部と、車両上下方向を板厚方向とする平板状に形成され車幅方向に延在するスラット部と、を有するアウターレンズ部と、を備え、前記シェード部は、車両前部上方側に向かう前記照射光および前記反射光を遮光し、さらに、前記スラット部の車両下方面側に前記照射光および前記反射光を照射させる高さに配設され、前記スラット部は、車両前方側に向かって車両下方側に下がる傾斜を有し、前記スラット部の車両上方面側には反射層が形成され、車両下方面側には吸熱層が形成されている車両用照明装置を提案している。
【発明の効果】
【0008】
本発明の1またはそれ以上の実施形態によれば、アウターレンズに付着した雪を、効率よく融解させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る車両用照明装置を車両Vの上方側から見た概要図である。
図2図1に示された車両用照明装置を矢印A方向から見たA―A線に沿う断面図である。
図3図2に示されたMS部を拡大し側方側から見た断面図である。
図4図3に示されたアウターレンズ部を車両後方側から見た背面図である。
図5図2に示された車両用照明装置に照射光および反射光を示した断面図である。
図6図3に示されたMS部における熱の移動を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図1から図6を用いて、車両Vに適用された本実施形態に係る車両用照明装置1について説明する。なお、図面に適宜示される矢印FRは、車両Vの車両前方(正面)を示し、矢印UPは正面視上方を示し、矢印LHは正面視左方を示している。また、以下の説明において、上下、前後、左右の方向を用いて説明するときには、特に断りのない限り、正面視での上下方向、正面視での前後方向、正面視での左右方向を示すものとする。
【0011】
<実施形態>
図1から図4を用いて、本実施形態に係る車両用照明装置1の構成について説明する。
【0012】
<車両Vの構成>
車両Vは、例えば、内燃エンジンあるいはモータを駆動源とした自動車である。なお、車両Vは、例えば、内燃エンジンとモータとの複数の駆動源を有するハイブリッド自動車であってもよい。
【0013】
<車両用照明装置1の構成>
図1に示すように、車両用照明装置1は、車両Vの車両前方部に備えられた車両前方側を照らす照明装置である。なお、以下では、車両Vの正面視において左方側に装着されるすれ違い用配光(ロービーム)用の車両用照明装置1を例示して説明する。
【0014】
車両用照明装置1は、図2に示すように、カバー部10と、リフレクタ部20と、シェード部30と、投影レンズ部40と、ブラケット部50と、光源部100と、アウターレンズ部200と、を含んで構成されている。車両用照明装置1は、カバー部10とアウターレンズ部200とによって外殻が形成され、内部に空間Sが形成されている。空間Sには、リフレクタ部20と、シェード部30と、投影レンズ部40と、ブラケット部50と、光源部100と、が設けられている。
【0015】
カバー部10は、車両用照明装置1の車両後方側の外殻を形成している。カバー部10は、金属あるいは高耐熱樹脂等の部材により形成され、車両前方側には、開口部OPを有している。開口部OPには、後述するアウターレンズ部200が、開口部OPを塞ぐように嵌合されている。
カバー部10は、空間Sに設けられた部材等をカバー部10に固定し、車両用照明装置1を車両Vに固定するリブおよびボルト孔等が形成されている。車両用照明装置1は、カバー部10に設けられたボルト孔等を介して、ボルト等によって車両Vに固定されている。
【0016】
リフレクタ部20は、光源110からの照射光DLを反射させることによって反射光RLを発生させる。リフレクタ部20は、その内部側がアルミ蒸着等により鏡面加工が施されている。また、リフレクタ部20は、反射光RLを車両前方側に向けて光の進行方向を修正する反射角度が複数個所に設けられている。リフレクタ部20の各箇所の反射角度は、反射光RLの焦点部FCが、後述するシェード部30の車両上方側となるようにそれぞれ設定されている。
そして、照射光DLと反射光RLとによって、車両前方側を照射する前照光FLが出射される。
【0017】
シェード部30は、照射光DLおよび反射光RLとしての前照光FLを遮光する。シェード部30は、リフレクタ部20の車両前方側、かつ投影レンズ部40の車両後方側に配設されている。シェード部30は、グレア光を遮光し、さらに、後述するアウターレンズ部200におけるスラット部220の車両下面側に前照光FLを照射させる高さに配設されている。具体的には、シェード部30は、グレア光を含む前照光FLを、スラット部220の車両下面側に照射させ、スラット部220よりも車両上方側は遮光するような高さに配設されている。
【0018】
投影レンズ部40は、前照光FLを車両前方側に照射させる。具体的には、投影レンズ部40は、光源部100からの照射光DLおよびリフレクタ部20によって反射された光源部100からの反射光RLを、車両前方側に照射させるものであり、例えば、アクリル、ポリカーボネート等の樹脂あるいはガラス等の透明な部材によって形成されている。投影レンズ部40は、車両前方側に突出した凸レンズであり、例えば、車両前方側に突出した曲面が形成され、車両後方側は、略平面が形成された非球面レンズであることを例示することができる。
【0019】
ブラケット部50は、カバー部10に形成されたリブあるいはボルト孔とともに、内部空間Sに構成されているリフレクタ部20、シェード部30、投影レンズ部40および後述する光源部100をカバー部10に固定する。ブラケット部50は、金属あるいは樹脂によって形成されている。
【0020】
(光源部100について)
光源部100は、LEDを光源110として照射光DLを出射する。光源部100は、光源110と、光源駆動部120と、を含んで構成されている。光源110は、光源部100の車両上方部先端側に単数あるいは複数配設され、光源駆動部120から電力が供給されることによって、照射光DLを出射する。
光源110は、例えば、白色光を発するLEDを用いることが例示できる。光源部100には、LED(Light Emitting Diode)、LD(Lase r Diode)、EL(Electro Luminescence)素子などの半導体発光素子等を用いることができる。
光源駆動部120は、光源110に光源110を駆動する電力を供給する。光源駆動部120には、光源110を駆動する際に発生する熱を放熱させる図示しないヒートシンクが、車両後方側に設けられている。
【0021】
(アウターレンズ部200について)
アウターレンズ部200には、前照光FLを車両前方側に透過させる透光部210と、車両上下方向を板厚方向とする平板状に形成され、車幅方向に延在するスラット部220と、が車両上下方向に複数積層されている。アウターレンズ部200は、透光性を有するポリカーボネート等の樹脂部材によって形成され、カバー部10の開口部OPを塞ぐようにカバー部10の車両前方側に嵌合され、ボルト等によってカバー部10に固定されている。
図3に示すように、アウターレンズ部200には、アウターレンズ部200を形成させる樹脂の内部に、透光部210の車両上下方向にスラット部220が設けられ、透光部210とスラット部220とが、交互に車両上下方向に積層されている。
【0022】
透光部210は、透光性を有するポリカーボネート等の樹脂部材によって形成され、前照光FLを車両前方側に透過させる。透光部210の車両上下方向の幅は、スラット部220における車両上下方向の幅よりも広く設けられている。透光部210は、スラット部220が設けられていない箇所を、アウターレンズ部200を形成させる樹脂と一体に形成させることによって、透光部210として形成させてもよい。
【0023】
スラット部220は、車両前方側に向かって車両下方側に下がる傾斜TIを有し、前記スラット部の車両上方面側には反射層が形成され、車両下方面側には吸熱層が形成されている。
具体的には、スラット部220は、透光性を有するポリカーボネート等の樹脂部材によって、車両上下方向を板厚方向とする平板状に形成され、その平板の車両上方側面に、前照光FLを反射させる反射層RFが形成されている。また、その平板の車両下方側面には、前照光FLからの熱を吸収させる吸熱層ETが形成されている。そして、反射層RFおよび吸熱層ETの車両上下方向には、透光部210が密接し、スラット部220の車両前後方向には、アウターレンズ部200を形成する樹脂が密接している。
反射層RFは、例えば、スラット部220の車両上方側面にアルミ蒸着処理を施すことによって設けられることを例示できる。また、吸熱層ETは、例えば、黒色アルマイト処理がなされたアルミ層の形成あるいは黒色塗装を施すことによって設けられることを例示できる。黒色アルマイト処理あるいは黒色塗装は、前照光FLに含まれる赤外線および熱源からの輻射熱を効率よく吸収し、吸収された赤外線および輻射熱を効率よく熱に変換することが知られている。
また、スラット部220が有する傾斜TIは、車両前方側に向かって車両下方側に下がり、水平線HLに対して角度ALをなしている。図4に示すように、傾斜TIは、車両後方側から見た場合に、前照光FLが、吸熱層ETに照射可能となる角度ALをなしている。
【0024】
<作用・効果>
以下、図5および図6を用いて、車両用照明装置1の作用について説明する。
なお、以下説明においては、融解させる対象を雪SNとして説明しているが、霜および氷も融解させる対象に含まれる。
【0025】
図5に示すように、光源110が点灯されると、光源110の出射面側から、実線矢印で示す照射光DLが出射される。出射された照射光DLは、光源110の周囲を囲んで配設されているリフレクタ部20によって反射され、2点鎖線で示す反射光RLが発生する。照射光DLおよび反射光RLは、光源110からの前照光FLとして車両前方側に出射される。
【0026】
光源110から出射された前照光FLは、リフレクタ部20を介して、シェード部30の車両上方側に設定されている焦点部FCを透過し、投影レンズ部40に到達する。このとき、シェード部30は、グレア光を含む前照光FLを、スラット部220の車両下面側には照射させ、スラット部220よりも車両前部上方側を向く前照光FLは遮光するような高さに配設されている。そのため、矢印AR1に示すように、リフレクタ部20の車両下方側において反射した前照光FLにおいて、スラット部220よりも車両前部上方側を向いた前照光FLは、シェード部30によって遮光される。また、例えば、矢印AR2~AR5に示すように、シェード部30によって遮光されない車両前部上方側を向いた前照光FLは、スラット部220の車両下方側面に設けられた吸熱層ETに照射される。吸熱層ETに照射された前照光FLは、吸熱層ETに吸収されるとともに、スラット部220によって遮光される。そして、例えば、矢印AR6~AR8に示すように、車両前方側を向いた前照光FLは、透光部210を透過し車両Vの前方に照射される。
【0027】
また、アウターレンズ部200の車両前方側が雪SNによって塞がれている場合には、例えば、矢印AR6~AR8に示すように、透光部210を透過した前照光FLは、雪SNに反射し、さらにスラット部220の車両上方側面に設けられた反射層RFによって車両上方側に反射する。そして、反射層RFから吸熱層ETに照射された前照光FLは、吸熱層ETに吸収される。
【0028】
一方、光源110には、白色光が用いられているため、前照光FLには、赤外線が含まれている。そのため、赤外線を含む前照光FLが、吸熱層ETに照射されることによって、吸熱層ETは熱を発生させる。
図6の矢印BR1に示すように、吸熱層ETによって発生した熱は、スラット部220の周囲に密接している、アウターレンズ部200を構成する樹脂に伝導される。このとき、吸熱層ETが黒色アルマイト処理あるいは黒色塗装によって形成されている場合には、吸熱層ETは、前照光FLによる照射熱の吸収効率が向上する。また、さらに輻射熱の吸収効率が向上することによって、吸熱層ETは、車両後方側に設けられたヒートシンクによる輻射熱を吸収し、吸収した熱を効率よく周囲の樹脂に伝導させる。
また、アウターレンズ部200の車両前方側が雪SNによって塞がれている場合には、透光部210を透過した前照光FLは、雪SNに向けて直進するとともに、雪SNにより反射される。雪SNにより反射された前照光FLは、スラット部220の反射層RFにおいて反射し吸熱層ETに照射され、さらに熱に変換される。
そして、アウターレンズ部200の車両前方側における雪SNは、アウターレンズ部200に伝導された熱によって、アウターレンズ部200と接触している雪SNが融解し、自重により車両下方側に落下する。
【0029】
以上、説明したように、本実施形態に係る車両用照明装置1は、光源110にLEDを用いて照射光DLを出射する光源部100と、照射光DLを反射させることによって反射光RLを発生させるリフレクタ部20と、前照光FLとしての照射光DLおよび反射光RLを遮光するシェード部30と、前照光FLを車両前方側に照射させる投影レンズ部40と、前照光FLを車両前方側に透過させる透光部210と、車両上下方向を板厚方向とする平板状に形成され車幅方向に延在するスラット部220を有するアウターレンズ部200と、を備え、シェード部30は、車両前部上方側に向かう前照光FLを遮光し、さらに、スラット部220の車両下面側に前照光FLを照射させる高さに配設され、スラット部220は、車両前方側に向かって車両下方側に下がる傾斜TIを有し、スラット部220の車両上面側には反射層RFが形成され、車両下面側には吸熱層ETが形成されている。
つまり、前照光FLをアウターレンズ部200に設けられたスラット部220の車両下方側に照射させることによって、前照光FLは、スラット部220の車両下方側に設けられた吸熱層ETを発熱させる。そして、吸熱層ETが発生する熱をアウターレンズ部200に伝導させることによって、前照光FLは、アウターレンズ部200に付着している雪SNを融解させ、雪SNの自重によって車両下方側に落下させることができる。そして、シェード部30の高さが、車両前部上方側を向いた前照光FLを吸熱層ETに照射させるように配設されていることによって、車両前方に向かって照射させる前照光FLの照度は減少しない。
また、アウターレンズ部200の車両前方側に雪SNが付着している場合には、前照光FLは、アウターレンズ部200の透光部210を透過した前照光FLが付着している雪SNによって反射する。前照光FLは、スラット部220の反射層RFによる反射によって吸熱層ETに照射され、さらに熱に変換される。そして、吸熱層ETが発生させる熱をアウターレンズ部200に伝導させることによって、さらにアウターレンズ部200に付着している雪SNを融解させることができる。
そのため、アウターレンズ部200に付着した雪SNを、効率よく融解させることができる。
【0030】
また、本実施形態に係る車両用照明装置1は、アウターレンズ部200が、透光部210とスラット部220とが、車両上下方向に複数積層されている。
つまり、スラット部220を複数設け、前照光FLからの吸熱層ETが増やされることによって、前照光FLに含まれる熱源を効率よく熱に変換させることができる。また、透光部210が複数設けられることによって、車両前方に向かって照射させる前照光FLの照度は減少しない。
そのため、アウターレンズ部200に付着した雪SNを、効率よく融解させることができる。
【0031】
また、本実施形態に係る車両用照明装置1は、吸熱層ETが、黒色アルマイト処理あるいは黒色塗装によって形成されている。
つまり、吸熱層ETが黒色アルマイト処理あるいは黒色塗装によって形成されている場合には、黒色アルマイト処理あるいは黒色塗装が、赤外線を効率的に吸収し熱に変換することができることによって、吸熱層ETは、前照光FLによる照射熱の吸収効率を向上させることができる。また、さらに、輻射熱の吸収効率が向上することによって、車両後方側に設けられたヒートシンクによる輻射熱を吸収し、吸収した熱を効率よく周囲の樹脂に伝導させることができる。
そのため、アウターレンズ部200に付着した雪SNを、効率よく融解させることができる。
【0032】
以上、この発明の実施形態につき、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0033】
1;車両用照明装置
10;カバー部
20;リフレクタ部
30;シェード部
40;投影レンズ部
100;光源部
110;光源
200;アウターレンズ部
210;透光部
220;スラット部
DL;照射光
ET;吸熱層
FL;前照光
RF;反射層
RL;反射光
S;内部空間
V;車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6