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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108696
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】液体供給装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20240805BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
B41J2/175 301
B41J2/175 119
B41J2/175 121
B41J2/175 153
B41J2/01 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023013197
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】奥村 祐生
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA16
2C056EB21
2C056EB29
2C056EC20
2C056EC28
2C056KB37
2C056KC02
2C056KC30
(57)【要約】
【課題】タンクの壁面に固着したインクを除去する手段を提供する。
【解決手段】画像記録装置100は、インクカートリッジ34および保存液カートリッジ11と、カートリッジ装着部110と、インクサブタンク181と、ヘッド38と、流路182,183と、コントローラ130と、を備える。コントローラ130は、記録モードにおいて、FULL液面高さとなるようにインクサブタンク181にインクを貯留し、保管モードのコマンドを受け付けたことを条件として、FULL液面高さFより高いHIGH液面高さHとなるように、流路182を通じて保存液カートリッジ11からインクサブタンク181へ保存液を供給する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カートリッジと、
上記カートリッジが装着されるカートリッジ装着部と、
サブタンクと、
上記サブタンクから供給されたインクを吐出するヘッドと、
上記カートリッジ装着部と上記サブタンクとを繋ぐ第1液体供給路と、
上記サブタンクと上記ヘッドとを繋ぐ第2液体供給路と、
コントローラと、を備えており、
上記カートリッジは、インクを貯留する第1カートリッジと、保存液を貯留する第2カートリッジと、を含み、
上記コントローラは、
記録モードにおいて、最高液面高さが第1液面高さとなるように上記サブタンクにインクを貯留し、
保管モードのコマンドを受け付けたことを条件として、上記第1液面高さより高い第2液面高さとなるように、上記第1液体供給路を通じて上記第2カートリッジから上記サブタンクへ保存液を供給する液体供給装置。
【請求項2】
上記サブタンクから液体を排出する排出路を更に備えており、
上記コントローラは、上記保管モードにおいて、上記サブタンク内の圧力を制御して、上記サブタンクと上記排出路との間で保存液の供給および排出を繰り返す給排処理を実行する請求項1に記載の液体供給装置。
【請求項3】
上記サブタンクにおいて上記第1液面高さより低い第3液面高さの液面を検知するセンサと、を更に備えており、
上記コントローラは、上記記録モードにおいて、上記センサが出力する検知信号に応じて、上記第1液体流路を通じて上記第1カートリッジから上記サブタンクへインクを供給する請求項2に記載の液体供給装置。
【請求項4】
上記コントローラは、上記給排処理において、上記第3液面高さより低い第4液面高さとなるまで上記サブタンクから保存液を排出する請求項3に記載の液体供給装置。
【請求項5】
上記コントローラは、
上記保管モードを実行した後に、上記記録モードにおいて上記サブタンクにインクを供給してから再び上記保管モードのコマンドを受け付けるまでの経過時間を取得し、
上記保管モードにおいて、上記経過時間に応じて、上記給排処理において供給および排出を繰り返す回数を決定する請求項4に記載の液体供給装置。
【請求項6】
上記コントローラは、
上記保管モードを実行した後に、上記記録モードにおいて上記サブタンクにインクを供給してから再び上記保管モードのコマンドを受け付けるまでの経過時間を取得し、
上記保管モードにおいて、上記経過時間に応じて、上記給排処理における保存液の流量を決定する請求項4に記載の液体供給装置。
【請求項7】
上記コントローラは、
上記保管モードを実行した後に、上記記録モードにおいて上記サブタンクにインクを供給してから再び上記保管モードのコマンドを受け付けるまでの経過時間を取得し、
上記保管モードにおいて、上記経過時間に応じて、上記第2液面高さおよび上記第4液面高さの少なくとも一方を変更する請求項4に記載の液体供給装置。
【請求項8】
上記コントローラは、保管モードのコマンドを受け付けたことを条件として、上記第1液体供給路を通じて上記第2カートリッジから上記サブタンクへ保存液を供給する前に、上記第1液体流路を通じて上記サブタンクから上記カートリッジ装着部に装着されている上記第1カートリッジへインクを返戻する請求項1に記載の液体供給装置。
【請求項9】
上記インクは、色材、有機溶剤、界面活性剤、および水を含み、
上記保存液は、有機溶剤、界面活性剤、および水を含む請求項1から8のいずれかに記載の液体供給装置。
【請求項10】
上記色材は顔料であり、
上記インクは、さらに樹脂微粒子を含む請求項9に記載の液体供給装置。
【請求項11】
上記保存液は、水溶性ポリマーをさらに含む請求項9に記載の液体供給装置。
【請求項12】
上記樹脂微粒子は、アクリル系樹脂である請求項10に記載の液体供給装置。
【請求項13】
カートリッジ装着部に装着されたインクカートリッジからサブタンクへインクが供給され、サブタンクから供給されたインクをヘッドが吐出する液体供給装置における液体供給方法であって、
記録モードにおいて、最高液面高さが第1液面高さとなるようにインクカートリッジからサブタンクへインクを供給するステップと、
保管モードにおいて、上記第1液面高さより高い第2液面高さとなるように、上記カートリッジ装着部に装着された保存液カートリッジからサブタンクへ保存液を供給するステップと、を含む液体供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクおよび保存液がタンクに貯留される液体供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッドからインクを吐出する液体吐出装置として、例えば、特許文献1に記載されたインクジェット記録装置が知られている。特許文献1の記録装置は、記録ヘッドと、インクタンクと、記録ヘッドとインクタンクとを繋ぐ供給路と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-232447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
顔料が含まれるインクや、非浸透媒体への定着を目的とした樹脂が含まれるインクなどは、溶媒が蒸発すると固化する。インクタンクにおいて固化したインクは、センサの誤作動などを誘発する原因となる。
【0005】
本発明は、前述された事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、タンクの壁面に固着したインクを除去する手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 本発明に係る液体供給装置は、カートリッジと、上記カートリッジが装着されるカートリッジ装着部と、サブタンクと、上記サブタンクから供給されたインクを吐出するヘッドと、上記カートリッジ装着部と上記サブタンクとを繋ぐ第1液体供給路と、上記サブタンクと上記ヘッドとを繋ぐ第2液体供給路と、コントローラと、を備える。上記カートリッジは、インクを貯留する第1カートリッジと、保存液を貯留する第2カートリッジと、を含む。上記コントローラは、記録モードにおいて、最高液面高さが第1液面高さとなるように上記サブタンクにインクを貯留し、保管モードのコマンドを受け付けたことを条件として、上記第1液面高さより高い第2液面高さとなるように、上記第1液体供給路を通じて上記第2カートリッジから上記サブタンクへ保存液を供給する。
【0007】
記録モードにおいて、サブタンクの第1液面高さ付近の壁面にインクが固着し得る。保管モードにおいて、第1液面高さより高い第2液面高さまで保存液が供給されるので、サブタンクの壁面に固着したインクが保存液により剥離され得る。
【0008】
(2) 上記液体供給装置は、上記サブタンクから液体を排出する排出路を更に備えており、上記コントローラは、上記保管モードにおいて、上記サブタンク内の圧力を制御して、上記サブタンクと上記排出路との間で保存液の供給および排出を繰り返す給排処理を実行してもよい。
【0009】
サブタンクと排出路との間で保存液の供給と排出とがくり返されるので、サブタンクの壁面に固着したインクに対して保存液が動的に接触する。これにより、サブタンクの壁面に固着したインクが剥離し易い。
【0010】
(3) 上記液体供給装置は、上記サブタンクにおいて上記第1液面高さより低い第3液面高さの液面を検知するセンサと、を更に備えており、上記コントローラは、上記記録モードにおいて、上記センサが出力する検知信号に応じて、上記第1液体流路を通じて上記第1カートリッジから上記サブタンクへインクを供給してもよい。
【0011】
(4) 上記コントローラは、上記給排処理において、上記第3液面高さより低い第4液面高さとなるまで上記サブタンクから保存液を排出してもよい。
【0012】
記録モードにおいて、サブタンクにおいてインクの液面が存在する高さ範囲より広い高さ範囲で保存液の液面が上下動するので、サブタンクの壁面に固着したインクが残り難い。
【0013】
(5) 上記コントローラは、上記保管モードを実行した後に、上記記録モードにおいて上記サブタンクにインクを供給してから再び上記保管モードのコマンドを受け付けるまでの経過時間を取得し、上記保管モードにおいて、上記経過時間に応じて、上記給排処理において供給および排出を繰り返す回数を決定してもよい。
【0014】
経過時間が長くなるにつれて、サブタンクの壁面に固着したインク量が増える傾向にある。経過時間が長くなるにつれて繰り返す回数が多くなると、サブタンクの壁面に固着したインク量に応じて、固着したインクに保存液が動的に接触する回数が増える。
【0015】
(6) 上記コントローラは、上記保管モードを実行した後に、上記記録モードにおいて上記サブタンクにインクを供給してから再び上記保管モードのコマンドを受け付けるまでの経過時間を取得し、上記保管モードにおいて、上記経過時間に応じて、上記給排処理における保存液の流量を決定してもよい。
【0016】
経過時間が長くなるにつれて、サブタンクの壁面に固着したインク量が増える傾向にある。経過時間が長くなるにつれて保存液の流量が大きくなると、サブタンクの壁面に固着したインク量に応じて、固着したインクに保存液が動的に接触する速度が増える。
【0017】
(7) 上記コントローラは、上記保管モードを実行した後に、上記記録モードにおいて上記サブタンクにインクを供給してから再び上記保管モードのコマンドを受け付けるまでの経過時間を取得し、上記保管モードにおいて、上記経過時間に応じて、上記第2液面高さおよび上記第4液面高さの少なくとも一方を変更してもよい。
【0018】
経過時間が長くなるにつれて、サブタンクの壁面に固着したインク量が増える傾向にある。経過時間が長くなるにつれて第2液面高さが高くなったり、第4液面高さが低くなったりすると、サブタンクの壁面に固着したインク量に応じて、固着したインクに保存液が動的に接触する速度が増える。
【0019】
(8) 上記コントローラは、保管モードのコマンドを受け付けたことを条件として、上記第1液体供給路を通じて上記第2カートリッジから上記サブタンクへ保存液を供給する前に、上記第1液体流路を通じて上記サブタンクから上記カートリッジ装着部に装着されている上記第1カートリッジへインクを返戻してもよい。
【0020】
サブタンクから第1カートリッジへインクが返戻されることにより、保管モードにおいて廃棄されるインクが少ない。また、ヘッド、第1液体流路、および第2液体流路の液体を保存液に置換することが容易となる。
【0021】
(9) 上記インクは、色材、有機溶剤、界面活性剤、および水を含み、上記保存液は、有機溶剤、界面活性剤、および水を含んでもよい。
【0022】
(10) 上記色材は顔料であり、上記インクは、さらに樹脂微粒子を含んでもよい。
【0023】
(11) 上記保存液は、水溶性ポリマーをさらに含んでもよい。
【0024】
(12) 上記樹脂微粒子は、アクリル系樹脂であってもよい。
【0025】
(13) 本発明は、カートリッジ装着部に装着されたインクカートリッジからサブタンクへインクが供給され、サブタンクから供給されたインクをヘッドが吐出する液体供給装置における液体供給方法であって、記録モードにおいて、最高液面高さが第1液面高さとなるようにインクカートリッジからサブタンクへインクを供給するステップと、保管モードにおいて、上記第1液面高さより高い第2液面高さとなるように、上記カートリッジ装着部に装着された保存液カートリッジからサブタンクへ保存液を供給するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、タンクの壁面に固着したインクが除去される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、本発明の実施形態に係る画像記録装置100の外観斜視図である。
図2図2は、図1のII-II断面を示す断面図である。
図3図3は、インク回路113を示す模式図である。
図4図4は、コントローラ130を示すブロック図である。
図5図5は、インクカートリッジ34からインクサブタンク181へインクを充填する処理を示すフローチャートである。
図6図6は、インクカートリッジ34からインクサブタンク181へインクを補給する処理を示すフローチャートである。
図7図7は、保管処理を示すフローチャートである。
図8図8は、インクサブタンク181の各液面の位置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の好ましい実施形態を説明する。なお、本実施形態は本発明の一実施態様にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で実施態様を変更できることは言うまでもない。また、以下の説明では、矢印の起点から終点に向かう進みが向きと表現され、矢印の起点と終点とを結ぶ線上の往来が方向と表現される。また、以下の説明においては、画像記録装置100が使用可能に設置された状態(図1の状態)を基準として上下方向7が定義され、排出口33が設けられている側を手前側(前面)として前後方向8が定義され、画像記録装置100を手前側(前面)から見て左右方向9が定義される。
【0029】
[画像記録装置100の外観構成]
図1に示される画像記録装置100(液体供給装置の一例)は、インクジェット記録方式でロール体37(図2参照)をなすシートSに画像を記録する。
【0030】
図1に示されるように、画像記録装置100は、筐体30を備える。筐体30は、全体として概ね直方体形状である。なお、筐体30の内部には、各部材を支持するためのフレームが適宜設けられてもよい。
【0031】
筐体30の前面30Fには、左右方向9に長いスリット状の排出口33が形成されている。排出口33からは、画像記録済みのシートS(図2参照)が排出される。前面30Fには、操作パネル44が設けられている。ユーザは、操作パネル44に、画像記録装置100を動作させたり各種設定を確定したりするための入力を行う。
【0032】
筐体30の右面30Rには、右カバー35Aが位置する。右カバー35Aの開閉により、シート収容空間32Cに位置するホルダ35等(図2参照)が露出したり遮蔽されたりする。
【0033】
筐体30の前面30Fには、前カバー35Bが位置する。前カバー35Bは、下端付近において左右方向9に沿って延びる回動軸(不図示)周りに、上端側が前方へ倒れるように開くことができる。前カバー35Bの開閉により、筐体30の内部空間31に位置するカートリッジ装着部110等(図2参照)が露出されたり遮蔽されたりする。
【0034】
[画像記録装置100の内部構成]
図2に示されるように、筐体30の内部空間31には、ホルダ35、テンショナ45、搬送ローラ対36、搬送ローラ対40、ヘッド38、プラテン51、ヒータ39、CIS25、カッターユニット26、カートリッジ装着部110などが配置されている。なお、図2には示されていないが、内部空間31には、メンテナンス機構等が位置してもよい。
【0035】
内部空間31には、隔壁41が設けられている。隔壁41は、内部空間31の後下部を仕切って、シート収容空間32Cを区画する。シート収容空間32Cは、隔壁41、筐体30により包囲され、ヘッド38などから隔離された空間である。
【0036】
テンショナ45は、内部空間31の後部において隔壁41よりも上方に位置する。テンショナ45は、下筐体32の外側を向いている外周面45Aを有している。外周面45Aは、左右方向9においてシートの最大幅以上の大きさであり、通紙中心(シートSの左右方向9における中心)に対して互いに対称な形状を有している。外周面45Aの上端は、上下方向7において搬送ローラ対36のニップ位置と概ね同じ上下位置にある。
【0037】
外周面45Aには、ロール体37から引き出されたシートSが掛けられ当接する。シートSは、外周面45Aに沿って前方に湾曲して、搬送向き8Aに延びて搬送ローラ対36に案内される。搬送向き8Aは、前後方向8に沿う前向きである。テンショナ45は、周知の手法により、シートSにテンションを与える。
【0038】
テンショナ45の前方には、搬送ローラ対36が位置する。搬送ローラ対36は、搬送ローラ36Aとピンチローラ36Bとを有する。搬送ローラ36A、及びピンチローラ36Bは、外周面45Aの上端と概ね同じ上下位置で当接する。
【0039】
搬送ローラ対36の前方には、搬送ローラ対40が位置する。搬送ローラ対40は、搬送ローラ40Aとピンチローラ40Bとを有する。搬送ローラ40A、及びピンチローラ40Bは、外周面45Aの上端と概ね同じ上下位置で当接する。
【0040】
搬送ローラ36A,40Aは、不図示のモータから駆動力が伝達されて回転する。搬送ローラ対36は、テンショナ45から搬送向き8Aに延びるシートSをニップしつつ回転することにより、搬送面43Aに沿う搬送向き8Aに送り出す。搬送ローラ対40は、搬送ローラ対36から送り出されたシートSをニップしつつ回転することにより搬送向き8Aに送り出す。また、搬送ローラ対36,40の回転により、シートSは、シート収容空間32Cから隙間42を通ってテンショナ45に向けて引き出される。
【0041】
図2に示されるように、内部空間31には、外周面45Aの上端から排出口33に至る搬送路43が形成されている。搬送路43は、搬送向き8Aに沿ってほぼ直線的に延びており、シートSが通過可能な空間である。なお、図2では、搬送路43は二点鎖線で示されている。搬送路43は、上下方向7に離れて位置するガイド部材(不図示)や、ヘッド38、プラテン51などによって区画されている。
【0042】
ヘッド38は、搬送路43の上方において搬送ローラ対36よりも搬送向き8Aの下流側に位置する。ヘッド38は、複数のノズル38Aを有する吐出モジュール49を有する。複数のノズル38Aは、インクサブタンク181(サブタンクの一例、図3参照)から供給されたインク(液体の一例)を搬送ベルト101に支持されたシートSへ向かって下方へ吐出する。これにより、シートSに画像が記録される。
【0043】
プラテン51は、搬送路43の下方において搬送ローラ対36よりも搬送向き8Aの下流に位置する。プラテン51は、ヘッド38の下方に、ヘッド38と対向している。プラテン51は、搬送ベルト101と支持部104を有する。搬送ベルト101は、搬送ローラ対36によって搬送向き8Aに搬送されてヘッド38の直下に位置するシートSを支持する。搬送ベルト101は、支持しているシートSを搬送向き8Aに搬送する。
【0044】
ヒータ39は、搬送路43の下方においてヘッド38よりも搬送向き8Aの下流であって搬送ローラ対40よりも搬送向き8Aの上流に位置する。ヒータ39は、搬送路43を搬送されるシートSを加熱する。
【0045】
CIS25は、搬送路43の上方において搬送ローラ対40よりも搬送向き8Aの下流
に位置する。CIS25は、シートの印刷面の画像を読み取る。
【0046】
カッターユニット26は、搬送路43の上方においてCIS25よりも搬送向き8Aの下流に位置する。カッターユニット26は、カッターキャリッジ27にカッター28が搭載されたものである。カッター28の移動によって、搬送路43に位置するシートSが左右方向9に沿って切断される。
【0047】
カートリッジ装着部110は、筐体30の前端および下端付近に位置しており、前方を向いて開口する箱形状である。カートリッジ装着部110には、後向きへインクカートリッジ34が挿入される。カートリッジ装着部110の後向きの終面111には、前方へ向かって延びるインクニードル112が位置する。図3に示されるように、インクニードル112は、流路182を通じてインクサブタンク181と連通している。
【0048】
終面111には、接点114が位置する。接点114は、カートリッジ装着部110にインクカートリッジ34が装着された状態において、インクカートリッジ34が有するIC基板70と電気的に接続される。コントローラ130は、接点114を通じてIC基板70の記憶領域にアクセス可能である。また、接点114は、カートリッジ装着部110に保存液カートリッジ11が装着された状態において、保存液カートリッジ11が有するIC基板12と電気的に接続される。コントローラ130は、接点114を通じてIC基板12の記憶領域にアクセス可能である。
【0049】
インクカートリッジ34(第1カートリッジの一例)は、インクを貯留している。インクカートリッジ34は、インクが消費されるとカートリッジ装着部110から取り外され、インクを貯留している新しいインクカートリッジ34と交換される。インクカートリッジ34の後面には、IC基板70が位置する。IC基板70は、記憶領域にインクカートリッジ34であることを示す識別情報を記憶している。
【0050】
カートリッジ装着部110には、インクカートリッジ34に代えて保存液カートリッジ11(第2カートリッジ)が挿入される。保存液カートリッジ11は、保存液を貯留している。保存液カートリッジ11は、画像記録装置100が使用されずに長期に保管されるときに、インクカートリッジ34に代えてカートリッジ装着部110に装着される。図3に示されるように、保存液カートリッジ11の後面には、IC基板12が位置する。IC基板12は、記憶領域に保存液カートリッジ11であることを示す識別情報を記憶している。
【0051】
[インク回路113]
図3に示されるように、カートリッジ装着部110と吐出モジュール49とはインク回路113によって接続されている。インク回路113は、インクサブタンク181、流路182,183、大気流路185、補給バルブ187、大気開放バルブ190、正圧ポンプ191、および液面センサ192を有する。流路182は、第1液体供給路の一例である。流路183は、第2液体供給路の一例である。液面センサ192は、センサの一例である。
【0052】
インクサブタンク181は、筐体30の内部空間31においてカートリッジ装着部110の上方に位置する。インクサブタンク181は、内部空間にインクを貯留する。インクサブタンク181の内部空間は、流路182によりカートリッジ装着部110のインクニードル112と連通されている。カートリッジ装着部110にインクカートリッジ34が装着された状態において、インクカートリッジ34が貯留するインクが流路182を通じてインクサブタンク181に流入可能である。また、カートリッジ装着部110に保存液カートリッジ11が装着された状態において、保存液カートリッジ11が貯留する保存液が流路182を通じてインクサブタンク181に流入可能である。流路182には、補給バルブ187が位置する。補給バルブ187は、コントローラ130により制御されて、流路182を開閉する。
【0053】
インクサブタンク181の内部空間と、吐出モジュール49とは流路183により連通されている。インクサブタンク181の内部空間に貯留されたインクまたは保存液は、流路183を通じて吐出モジュール49に供給可能である。流路183には、正圧ポンプ191が位置する。正圧ポンプ191は、コントローラ130がポンプモータ138(図4参照)の駆動を制御することにより動作する。
【0054】
インクサブタンク181の内部空間と外部とは大気流路185により連通されている。大気流路185には、大気開放バルブ190が位置する。大気開放バルブ190は、コントローラ130により制御されて、大気流路185を開閉する。
【0055】
インクサブタンク181には、液面センサ192が位置する。液面センサ192は、インクサブタンク181の内部空間の補充液面高さE(第3液面高さの一例)においてインクの有無を検知する。液面センサ192は、検知信号をコントローラ130に出力する。液面センサ192は、インクを検知したときに検知信号としてON信号を出力し、インクを検知しないときに検知信号としてOFF信号を出力する。コントローラ130は、液面センサ192が出力する検知信号に基づいて、インクサブタンク181の内部空間において液面が補充液面高さEに到達したかを判定する。
【0056】
インクサブタンク181には、減圧ポンプ193が接続されている。減圧ポンプ193は、インクサブタンク181の内部空間の気体を外部へ排出することにより、インクサブタンク181の内部空間を減圧する。
【0057】
図3に示されるように、各吐出モジュール49の下方にはキャップ62が位置する。なお、図3においては、1つの吐出モジュール49のみが示されている。キャップ62は、ゴムやシリコンなどの弾性体で構成されている。キャップ62は、上方が開放された箱形形状である。キャップ62は、吐出モジュール49に対して相対的に上下方向7へ移動することにより、吐出モジュール49のノズル38Aを覆うキャッピング位置と、吐出モジュール49から離れたアンキャップ位置とに移動する。図3には、キャッピング位置のキャップ62が示されている。キャップ62は、インクなどがキャップ62の内部空間67から流出する排出ポート21を有している。排出ポート21は、流路178を通じて廃液タンク77に接続されている。流路178には、吸引ポンプ74が設けられている。吸引ポンプ74は、吸引ポンプモータ58(図4参照)によって駆動される。
【0058】
インクサブタンク181は、流路184(排出路の一例)を通じて廃液タンク77と連通している。廃液タンク77は、インクサブタンク181よりも下方に位置する。インクサブタンク181に貯留された保存液は、重力により流路184を通じて廃液タンク77へ流出可能である。流路184には、排出バルブ188が位置する。排出バルブ188は、コントローラ130により制御されて、流路183を開閉する。
【0059】
[コントローラ130]
図4に示されるように、コントローラ130は、CPU131、ROM132、RAM133、EEPROM134、及びASIC135を備えており、これらは内部バス137によって接続されている。ROM132には、CPU131の各種動作を制御するためのプログラムなどが格納されている。RAM133は、CPU131が上記プログラムを実行する際に用いるデータや信号等を一時的に記録する記憶領域、或いはデータ処理の作業領域として使用される。EEPROM134には、電源オフ後も保持すべき設定やフラグ、インク供給日時、経過時間に対応した給排回数などが格納される。給排回数は、例えば、経過時間が時間単位で増えるにつれて給排回数が増えるように予め設定されている。
【0060】
ASIC135には、搬送モータ53、吸引ポンプモータ58、ポンプモータ138,139、操作パネル44、表示部44A、接点114、及び液面センサ192が接続されている。また、ASIC135には、補給バルブ187、排出バルブ188、および大気開放バルブ190が接続されている。なお、各バルブは、バルブを駆動するための駆動回路を介してASIC135と接続されている。
【0061】
ASIC135は、各モータを回転させるための駆動信号を生成し、この駆動信号を元に各モータを制御する。各モータは、ASIC135からの駆動信号によって正転又は逆転する。コントローラ130は、搬送モータ53の駆動を制御して、ホルダ35、搬送ローラ36A、搬送ローラ40A、及び駆動ローラ102を回転させる。コントローラ130は、吸引ポンプモータ58の駆動を制御して、吸引ポンプ74を駆動させる。コントローラ130は、ポンプモータ138の駆動を制御して、正圧ポンプ191を駆動させる。コントローラ130は、ポンプモータ139の駆動を制御して、減圧ポンプ193を駆動させる。
【0062】
ASIC35には、操作パネル44、表示部44A、接点114、液面センサ192、および圧電素子(不図示)が接続されている。操作パネル44は、ユーザによる操作に応じた操作信号をコントローラ130に出力する。操作パネル44は、例えば、押ボタンを有していてもよいし、ディスプレイに重畳されたタッチセンサを有していてもよい。表示部44Aは、蓋部材82が支持部材81に装着されていることを表示する。コントローラ130は接点114を通じて、インクカートリッジ34のIC基板70または保存液カートリッジ11のIC基板12の記憶領域に対して読み出しまたは書き込みを行う。コントローラ130は、液面センサ192から検知信号を受信する。圧電素子は、不図示のドライブ回路を介してコントローラ130により給電されることで動作する。コントローラ130は、圧電素子への給電を制御し、複数のノズル38Aから選択的にインク滴を吐出させる。
【0063】
[インク]
以下、インクの詳細が説明される。インクは、樹脂微粒子、色材、有機溶剤、界面活性剤、及び水を有する。インクは、水性インクである。
【0064】
インクは、コート紙、プラスチック、フィルム、OHPシート等の疎水性の記録媒体への濡れ性があるが、これに限定されるものではなく、例えば、普通紙、光沢紙、マット紙等の疎水性の記録媒体以外の画像記録に好適なものであってもよい。「コート紙」とは、例えば、上級印刷紙、中級印刷紙等のパルプを主要な構成要素とした普通紙に、平滑性、白色度、光沢度等の向上を目的として、コート剤を塗布したものを言い、具体的には、上級コート紙、中級コート紙等があげられる。
【0065】
樹脂微粒子としては、例えば、メタクリル酸及びアクリル酸の少なくとも一方をモノマーとして含むものを用いることができ、例えば、市販品を用いてもよい。樹脂微粒子は、例えば、モノマーとして、さらに、スチレン、塩化ビニル等を含んでもよい。樹脂微粒子は、例えば、エマルジョンに含まれるものであってもよい。エマルジョンは、例えば、樹脂微粒子と、分散媒(例えば、水等)とで構成されるものである。樹脂微粒子は、分散媒に対して溶解状態ではなく、特定の粒子径の範囲で分散している。樹脂微粒子としては、例えば、アクリル酸系樹脂、マレイン酸系エステル樹脂、酢酸ビニル系樹脂、カーボネート型樹脂、ポリカーボネート型樹脂、スチレン系樹脂、エチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、プロピレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂及びこれらの共重合体樹脂等が挙げられるが、アクリル系樹脂であることが好ましい。
【0066】
樹脂微粒子としては、例えば、0℃以上200℃以下の範囲内においてガラス転移温度(Tg)を有する樹脂が用いられる。より好ましくは、ガラス転移温度(Tg)は、20℃以上180℃以下であり、さらに好ましくは、30℃以上150℃以下である。
【0067】
エマルジョンとしては、例えば、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、第一工業製薬(株)製の「スーパーフレックス(登録商標)870」(Tg:71℃)、「スーパーフレックス(登録商標)150」(Tg:40℃)、ジャパンコーティングレジン(株)製の「モビニール(登録商標)6760」(Tg:-28℃)、「モビニール(登録商標)DM774」(Tg:33℃)、昭和電工(株)製の「ポリゾール(登録商標)AP-3270N」(Tg:27℃)、星光PMC(株)製の「ハイロース-X(登録商標)KE-1062」(Tg:112℃)、「ハイロース-X(登録商標)QE-1042」(Tg:69℃)等が挙げられる。
【0068】
樹脂微粒子の平均粒子径は、例えば、30nm以上200nm以下の範囲内である。平均粒子径は、例えば、(株)堀場製作所製の動的光散乱式粒径分布測定装置「LB-550」を用いて、算術平均径として測定可能である。
【0069】
インク全量における樹脂微粒子の含有量(R)は、例えば、0.1wt%以上30wt%以下の範囲内であることが好ましく、更に好ましくは0.5wt%以上20wt%以下の範囲内であり、特に好ましくは1.0wt%以上15.0wt%以下の範囲内である。樹脂微粒子は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0070】
色材は、例えば、顔料分散用樹脂(樹脂分散剤)によって、水に分散可能な顔料である。色材としては、例えば、カーボンブラック、無機顔料及び有機顔料等が挙げられる。カーボンブラックとしては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄系無機顔料及びカーボンブラック系無機顔料等が挙げられる。有機顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料;フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料;塩基性染料型レーキ顔料、酸性染料型レーキ顔料等の染料レーキ顔料;ニトロ顔料;ニトロソ顔料;アニリンブラック昼光蛍光顔料;等が挙げられる。
【0071】
インク全量における色材の固形分含有量は、特に限定されず、例えば、所望の光学濃度又は彩度等により、適宜決定できる。色材の固形分含有量は、例えば、0.1wt%以上20.0wt%以下の範囲内が好ましく、更に好ましくは1.0wt%以上15.0wt%以下の範囲内である。色材の固形分含有量は、顔料のみの重量であり、樹脂微粒子の重量は含まない。色材は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0072】
有機溶剤としては、特に限定はなく、任意のものが使用できる。有機溶剤としては、例えば、プロピレングリコール、エチレングリコール、1,2-ブタンジオール、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール等が挙げられ、プロピレンオキサイド基を有するグリコールエーテルが好ましい。その他の有機溶剤の例としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、tert-ブチルアルコールなどの炭素数1~4のアルキルアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6-ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコールなどのアルキレン基が2~6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類;グリセリン、エチレングリコールモノメチル(またはエチル、プロピル、ブチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(またはエチル、プロピル、ブチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(またはエチル、プロピル、ブチル、ヘキシル)エーテル、テトラエチレングリコールモノメチル(またはエチル、プロピル、ブチル、ヘキシル)エーテル、プロピレングリコールモノメチル(またはエチル、プロピル、ブチル)エーテル、ジプロピレングリコールモノメチル(またはエチル、プロピル、ブチル)エーテル、トリプロピレングリコールモノメチル(またはエチル、プロピル、ブチル)エーテル、テトラプロピレングリコールモノメチル(またはエチル)エーテルなどのアルキレングリコール類の低級アルキルエーテル類;N-メチル-2-ピロリドン、2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンなどが挙げられる。
【0073】
インク全量における有機溶剤の含有量は、25℃において単体で液体として存在する有機溶剤が、インク全量に対して50wt%以下であることが好ましく、更に好ましくは40wt%以下である。
【0074】
水は、イオン交換水又は純水であることが好ましい。インク全量における水の含有量は、例えば、15wt%以上95wt%以下の範囲内であることが好ましく、更に好ましくは25wt%以上85wt%以下の範囲内である。水の含有量は、例えば、他の成分の残部としてもよい。
【0075】
インクは、必要に応じて、さらに、従来公知の添加剤を含んでもよい。添加剤としては、例えば、界面活性剤、pH調整剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、防腐剤、防黴剤、レベリング剤、消泡剤、光安定剤、酸化防止剤、ノズル乾燥防止剤、エマルジョンなどのポリマー成分、染料等が挙げられる。界面活性剤は、さらに、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、またはノニオン性界面活性剤を含んでもよい。これら界面活性剤は、例えば、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、日信化学工業(株)製の「オルフィン(登録商標)E1010」、「オルフィン(登録商標)E1006」、「オルフィン(登録商標)E1004」、「シルフェイスSAG503A」、及び「シルフェイスSAG002」等が挙げられる。インク全量における界面活性剤の含有量は、例えば、5wt%以下、3wt%以下、0.1wt%~2wt%である。粘度調整剤は、例えば、ポリビニルアルコール、セルロース、水溶性樹脂等が挙げられる。
【0076】
インクは、例えば、樹脂微粒子と、色材と、有機溶剤と、水と、必要に応じて他の添加剤とを、従来公知の方法で均一に混合し、フィルタ等で不溶解物を除去することにより調製できる。
【0077】
[保存液]
保存液は、水溶性ポリマーと、水溶性有機溶剤と、界面活性剤と、水と、を含む。
【0078】
水溶性ポリマーとしては、特に限定なく、任意のものが使用できる。水溶性ポリマーとしては、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールなどがあげられる。その他の水溶性ポリマーとしては、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、ポリアクリル酸類、スチレン-アクリル酸共重合体類、アクリル酸-アクリル酸エステル共重合体類などがあげられる。水溶性ポリマーとしては市販品を用いてもよい。市販品としては、BASF社製のジョンクリル(登録商標)、日本触媒社製のアクアリック(登録商標)、東亜合成社製のアロン(登録商標)などがあげられる。水溶性ポリマーとしては、構造中に芳香族アルキル基またはラクタム基を含有することが好ましい。水溶性ポリマーの重量平均分子量は、8500から20000の範囲内であることが好ましい、更に好ましくは、9000から15000の範囲内である。
【0079】
水溶性有機溶剤としては、特に限定はなく、任意のものが使用できる。水溶性有機溶剤としては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレングリコール、エチレングリコール、1,2-ブタンジオール、プロピレングリコールプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、1,6-ヘキサンジオール等が挙げられ、エチレンオキサイド基を有するグリコールエーテルが好ましい。その他の有機溶剤の例としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、tert-ブチルアルコールなどの炭素数1~4のアルキルアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6-ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコールなどのアルキレン基が2~6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類;グリセリン、エチレングリコールモノメチル(またはエチル、プロピル、ブチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(またはエチル、プロピル、ブチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(またはエチル、プロピル、ブチル、ヘキシル)エーテル、テトラエチレングリコールモノメチル(またはエチル、プロピル、ブチル、ヘキシル)エーテル、プロピレングリコールモノメチル(またはエチル、プロピル、ブチル)エーテル、ジプロピレングリコールモノメチル(またはエチル、プロピル、ブチル)エーテル、トリプロピレングリコールモノメチル(またはエチル、プロピル、ブチル)エーテル、テトラプロピレングリコールモノメチル(またはエチル)エーテルなどのアルキレングリコール類の低級アルキルエーテル類;N-メチル-2-ピロリドン、2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンなどが挙げられる。
【0080】
水溶性有機溶剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。メンテナンス液全量における水溶性有機溶剤の含有量は、例えば5wt%以上50wt%以下の範囲内であることが好ましく、更に好ましくは25wt%以上35wt%以下の範囲内である。
【0081】
界面活性剤としては、例えば、市販品を用いてもよい。市販品のアニオン性界面活性剤としては、例えば、ライオン社製のサンノール(登録商標)、花王社製のエマール(登録商標)、三洋化成社製のサンデット(登録商標)、ビューライト(登録商標)などがあげられる。アニオン性界面活性剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。保存液全量におけるアニオン性界面活性剤の含有量は、例えば0.01wt%以上10wt%以下の範囲内であることが好ましく、更に好ましくは0.1wt%以上10wt%以下の範囲内である。
【0082】
保存液に含まれる界面活性剤は、アニオン性界面活性剤のみであってもよいし、アニオン性界面活性剤に加え、さらに、カチオン性界面活性剤やノニオン性界面活性剤を含んでもよい。
【0083】
水は、イオン交換水又は純水であることが好ましい。保存液全量における水の含有量は、例えば、10質量%~90質量%、20質量%~80質量%である。水の含有量は、例えば、他の成分の残部としてもよい。
【0084】
保存液は、着色剤を含まないことが好ましいが、着色剤を含んでもよい。メンテナンス液が着色剤を含む場合には、記録画像に影響を与えない程度の量であることが好ましい。
【0085】
保存液は、必要に応じて、さらに、従来公知の添加剤を含んでもよい。添加剤としては、例えば、湿潤剤、pH調整剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、防黴剤等があげられる。粘度調整剤は、例えば、ポリビニルアルコール、セルロール、水溶性樹脂等があげられる。
【0086】
保存液は、例えば、水溶性ポリマーと、水溶性有機溶剤と、界面活性剤と、水とを、従来公知の方法で均一に混合することにより調製できる。
【0087】
保存液の粘度は、インクの粘度より小さいことが好ましい。インクおよび保存液の粘度は、例えばコーンプレート型回転式粘度計により測定できる。
【0088】
[画像記録処理]
以下に、シートSに画像が記録されるときの処理(画像記録処理)が説明される。画像記録や、パージおよびフラッシングなどのメンテナンス処理は、記録モードにおいて実行される。換言すれば、本実施形態では、記録モードは、保管モードでない状態である。
【0089】
画像記録処理に先だって、カートリッジ装着部110にインクカートリッジ34が装着されて、インクカートリッジ34からインクサブタンク181へインクが供給される。
【0090】
図5に示されるように、コントローラ130は、カートリッジ装着部110にインクカートリッジ34が装着されているかを判定する(S11)。具体的には、接点114を通じてIC基板70の記憶領域に記憶された識別情報を読み出すことによって、カートリッジ装着部110にインクカートリッジ34が装着されているかを判定する。コントローラ130は、カートリッジ装着部110にインクカートリッジ34が装着されていないと判定したことに応じて(S11:No)、表示部44Aにインクカートリッジ34を装着する旨の表示を行い、インクカートリッジ34が装着されるまで待機する。
【0091】
コントローラ130は、カートリッジ装着部110にインクカートリッジ34が装着されていると判定したことに応じて(S11:Yes)、大気開放バルブ190を閉状態とし、補給バルブ187を開状態にする(S12)。その後、コントローラ130は、減圧ポンプ193を駆動する(S13)。
【0092】
減圧ポンプ193が駆動されると、インクサブタンク181の内部空間が負圧となることにより、インクカートリッジ34に貯留されているインクが、流路182を通じてインクサブタンク181へ供給される。
【0093】
コントローラ130は、インクサブタンク181の液面センサ192の検知信号がOFF信号であると(S14:No)、減圧ポンプ193の駆動を継続する(S13)。コントローラ130は、液面センサ192の検知信号がON信号であると(S14:Yes)、減圧ポンプ193を所定時間だけ駆動した後に停止する(S15)。液面センサ192がON信号となった後に減圧ポンプ193が所定時間だけ駆動されることにより、インクサブタンク181のFULL液面高さF(第1液面高さの一例)までインクが貯留された状態となる。
【0094】
コントローラ130は、補給バルブ187を閉状態とし(S16)、正圧ポンプ191を一定時間だけ駆動する(S17)。正圧ポンプ191が駆動されると、流路183を通じて、インクサブタンク181から吐出モジュール49へインクが供給される。
【0095】
コントローラ130は、正圧ポンプ191を停止した後、吸引ポンプ74を一定時間だけ駆動する(S18)。吸引ポンプ74が駆動されると、キャップ62の内部空間67が負圧となり、ノズル38Aを通じて吐出モジュール49からインクがキャップ62の内部空間67へ排出され、流路178を通じて、インクが廃液タンク77に排出される。その後、コントローラ130は、現在の日時をインク供給日時としてEEPROM134に記憶させて待機状態となる(S19)。
【0096】
コントローラ130は、操作パネル44や、画像記録装置100とLANなどによって接続された情報処理装置などの外部から、シートSに画像を記録する旨の命令を受け取ると、キャップ62を吐出モジュール49から離す。各図には示されていないが、コントローラ130は、キャップ62を吐出モジュール49から離した後、ワイピングやフラッシングなどの処理を実行してもよい。
【0097】
次に、コントローラ130は、シートSの搬送を開始して、シートSがヘッド38の直下に位置する状態でノズル38Aからインクを吐出する。これによりシートSに画像が記録される。シートS上に付着したインクは、ヒータ39を通過する際に加熱されることによってシートSに定着する。更に搬送されたシートSは、CIS25によって記録された画像をチェックされた後、カッターユニット26によって所定のサイズに切断されて排出される。
【0098】
シートSへの画像記録処理の後、コントローラ130は、キャップ62を吐出モジュール49に当接してキャッピングを行って、待機状態となる。
【0099】
コントローラ130は、画像記録処理の後、インク補充処理を実行する。図6に示されるように、コントローラ130は、液面センサ192の検知信号がOFF信号でなければ(S21:No)、インク補充処理を終了する。
【0100】
コントローラ130は、液面センサ192の検知信号がOFF信号であれば(S21:Yes)、大気開放バルブ190を閉状態とし、補給バルブ187を開状態とする(S22)。その後、コントローラ130は、減圧ポンプ193を駆動する(S23)。
【0101】
減圧ポンプ193が駆動されると、インクサブタンク181の内部空間が負圧となることにより、インクカートリッジ34に貯留されているインクが、流路182を通じてインクサブタンク181へ供給される。
【0102】
コントローラ130は、インクサブタンク181の液面センサ192の検知信号がON信号でなければ(S24:No)、減圧ポンプ193の駆動を継続する(S23)。コントローラ130は、液面センサ192の検知信号がON信号であると(S24:Yes)、減圧ポンプ193を所定時間だけ駆動した後に停止する(S25)。液面センサ192がON信号となった後に減圧ポンプ193が所定時間だけ駆動されることにより、インクサブタンク181のFULL液面高さFまでインクが貯留された状態となる。そして、コントローラ130は、インク補充処理を終了する。
【0103】
[保管処理]
以下に保管処理が説明される。保管処理は、ユーザにより保管処理の実行が指示された際に画像記録装置100において実行される。ユーザが保管処理の実行を指示する場合として、長期にわたって画像記録装置100を使用しないときなどがあげられる。長期とは、例えば1ヶ月間以上であるが、これに限定されない。
【0104】
画像記録装置100は待機状態である。待機状態において、コントローラ130は、操作パネル44の入力に基づく保管指示コマンドを受け取ったときに記録モードから保管モードに移行して保管処理を実行する。コントローラ130は、保管指示コマンドを受け取ると、操作パネル44の表示部44Aに、保管モードである旨、およびインクカートリッジ34を取り外さない旨の表示を行う。
【0105】
コントローラ130は、EEPROM134から移行前の記録モードにおいて最後にインクカートリッジ34からインクサブタンク181へインクを供給した日時を読み出す。そして、コントローラ130は、読み出した日時および保管指示コマンドを受け取った日時から経過時間を算出し、算出した日時に応じて給排回数Kを決定する(S31)。給排回数Kとは、保存液カートリッジ11からインクサブタンク181へ保存液を供給する回数を意味する。給排回数Kが2であれば、保存液カートリッジ11からインクサブタンク181へ保存液を供給した後、インクサブタンク181から保存液を排出し、再び保存液カートリッジ11からインクサブタンク181へ保存液を供給することとなる。
【0106】
コントローラ130は、搬送モータ53を一定期間だけ逆向きに駆動して、駆動ローラ102、ホルダ35、搬送ローラ36A、40Aを搬送向き8Aと逆向きに回転する(S32)。これにより、搬送路43に位置するシートSが搬送向き8Aと逆向きに移動してロール体37に巻き取られる。
【0107】
コントローラ130は、搬送モータ53を停止した後、カートリッジ装着部110にインクカートリッジ34が装着されているかを判定する(S33)。具体的には、接点114を通じてIC基板70の記憶領域に記憶された識別情報を読み出すことによって、カートリッジ装着部110にインクカートリッジ34が装着されているかを判定する。コントローラ130は、カートリッジ装着部110にインクカートリッジ34が装着されていないと判定したことに応じて(S33:No)、表示部44Aにインクカートリッジ34を装着する旨の表示を行い、インクカートリッジ34が装着されるまで待機する。
【0108】
コントローラ130は、カートリッジ装着部110にインクカートリッジ34が装着されていると判定したことに応じて(S33:Yes)、補給バルブ187および大気開放バルブ190を開状態にする(S34)。これにより、重力に伴ってインクサブタンク181に貯留されているインクが流路182を通じてインクカートリッジ34に返戻され、インクサブタンク181にインクが貯留されていない状態となる。なお、インクサブタンク181においては、インクが完全に無くなっていなくてもよい。例えば、インクサブタンク181の内部空間に開口する流路182の位置より下方のインクは、重力によってインクカートリッジ34に戻らないが、このようにインクサブタンク181の内部空間に若干のインクが残っていてもよい。
【0109】
コントローラ130は、インクサブタンク181の液面センサ192の検知信号がOFF信号であると(S35:Yes)、表示部44Aにインクカートリッジ34に代えて保存液カートリッジ11を装着する旨の表示を行い、カートリッジ装着部110に保存液カートリッジ11が装着されているかを判定する(S36)。具体的には、接点114を通じてIC基板12の記憶領域に記憶された識別情報を読み出すことによって、カートリッジ装着部110に保存液カートリッジ11が装着されているかを判定する。コントローラ130は、カートリッジ装着部110に保存液カートリッジ11が装着されていないと判定したことに応じて(S36:No)、表示部44Aに保存液カートリッジ11を装着する旨の表示を行い、保存液カートリッジ11が装着されるまで待機する。
【0110】
コントローラ130は、カートリッジ装着部110に保存液カートリッジ11が装着されていると判定したことに応じて(S36:Yes)、大気開放バルブ190を閉状態にする(S37)。その後、コントローラ130は、減圧ポンプ193を駆動する(S38)。
【0111】
減圧ポンプ193が駆動されると、インクサブタンク181の内部空間が負圧となることにより、保存液カートリッジ11に貯留されている保存液が、流路182を通じてインクサブタンク181へ供給される。
【0112】
コントローラ130は、インクサブタンク181の液面センサ192の検知信号がON信号でなければ(S39:No)、減圧ポンプ193の駆動を継続する(S38)。コントローラ130は、液面センサ192の検知信号がON信号であると(S39:Yes)、減圧ポンプ193を所定時間だけ駆動して停止する(S40)。これにより、インクサブタンク181のHIGH液面高さH(第2液面高さの一例)まで保存液が貯留された状態となっている。
【0113】
図8に示されるように、インクサブタンク181におけるHIGH液面高さHは、FULL液面高さFより高い位置にある。これにより、記録モードにおいて、インクサブタンク181の内面であってインクが接触していた領域のすべてに保存液が接触する。
【0114】
コントローラ130は、正圧ポンプ191を一定期間だけ駆動する(S41)。正圧ポンプ191が駆動されると、流路183を通じて、インクサブタンク181から吐出モジュール49へ保存液が供給される。
【0115】
コントローラ130は、正圧ポンプ191を停止した後、吸引ポンプ74を所定時間だけ駆動する(S42)。吸引ポンプ74が駆動されると、キャップ62の内部空間67が負圧となり、ノズル38Aを通じて吐出モジュール49から保存液がキャップ62の内部空間67へ排出され、流路178を通じて、保存液が廃液タンク77に排出される。これに伴い、流路183を通じてインクサブタンク181から吐出モジュール49へ保存液が供給される。また、保存液カートリッジ11に貯留されている保存液が、流路182を通じてインクサブタンク181へ供給される。
【0116】
コントローラ130は、吸引ポンプ74を停止した後、給排回数Nを1だけカウントアップし(N=N+1、S43)、カウントアップした給排回数Nが決定した給排回数Kであるかを判定する(S44)。
【0117】
コントローラ130は、給排回数Nが給排回数Kでないと判定したことに応じて(S44:No)、大気開放バルブ190および排出バルブ188を開状態とする(S45)。これにより、重力に伴ってインクサブタンク181に貯留されている保存液が流路184を通じて廃液タンク77へ流出する。
【0118】
コントローラ130は、液面センサ192の検知信号がOFF信号でなければ(S46:No)、待機する。コントローラ130は、液面センサ192の検知信号がOFF信号であれば(S46:Yes)、所定時間経過後に排出バルブを閉状態とする(S47)。これにより、インクサブタンク181から廃液タンク77への保存液の流出が停止する。液面センサ192の検知信号がOFF信号となることにより、インクサブタンク181において保存液の液面が補充液面高さEより低くなる。さらに所定時間が経過することにより、インクサブタンク181において保存液の液面が補充液面高さEより低いLOW液面高さL(第4液面高さの一例)となり、インクサブタンク181に貯留されている保存液が殆ど廃液タンク77に排出された状態となる。その後、コントローラ130は、ステップS37からステップS44を実行する。ステップS37からステップS47までの処理が、給排処理の一例である。
【0119】
コントローラ130は、給排回数Nが給排回数Kであると判定したことに応じて(S44:Yes)、給排回数Nをゼロにリセットし、EEPROM134に記憶されている保管フラグをONに更新して(S48)、画像記録装置100の電源をOFFにする(S49)。これにより保管処理が終了する。
【0120】
[実施形態の作用効果]
記録モードにおいてインクサブタンク181にインクが貯留されることにより、インクサブタンクのFULL液面高さF付近の壁面にインクが固着し得る。保管モードにおいて、FULL液面高さFより高いHIGH液面高さHまで保存液が供給されるので、インクサブタンク181の壁面に固着したインクが保存液により剥離され得る。
【0121】
また、インクサブタンク181において保存液の供給と排出とが繰り返されるので、インクサブタンク181の壁面に固着したインクに対して保存液が動的に接触する。これにより、インクサブタンク181の壁面に固着したインクが剥離し易い。
【0122】
また、ステップS47において、補充液面高さEより低いLOW液面高さLとなるまでインクサブタンク181から保存液が排出されるので、記録モードにおいて、インクサブタンク181においてインクの液面が存在する高さ範囲、すなわち補充液面高さEとFULL液面高さFより広い高さ範囲で保存液の液面が上下動するので、インクサブタンク181の壁面に固着したインクが残り難い。
【0123】
また、保管モードへ移行前の記録モードにおいて最後にインクカートリッジ34からインクサブタンク181へインクを供給した日時からの経過時間が長くなるにつれて、インクサブタンク181の壁面に固着したインク量が増える傾向にある。ステップS31において、最後にインクカートリッジ34からインクサブタンク181へインクを供給した日時および保管指示コマンドを受け取った日時から経過時間を算出し、算出した経過時間が長くなるにつれて給排回数Kが多くなるように決定するので、インクサブタンク181の壁面に固着したインク量に応じて、固着したインクに保存液が動的に接触する回数が増える。
【0124】
[変形例]
前述された実施形態では、ステップS31において、最後にインクカートリッジ34からインクサブタンク181へインクを供給した日時および保管指示コマンドを受け取った日時から経過時間を算出し、算出した経過時間が長くなるにつれて給排回数Kが多くなるように決定したが、これに限らない。
【0125】
例えば、コントローラ130は給排回数Kを決定することに代えて、記録モードにおいてインクサブタンク181に最後にインクを供給してから再び保管モードのコマンドを受け付けるまでの経過時間に応じて、ステップS38において減圧ポンプ193の駆動による減圧値を変更してもよい。
【0126】
減圧ポンプ193の駆動による減圧値が変化すると、保存液カートリッジ11からインクサブタンク181に流入する保存液の流量が変化する。前述された経過時間が長くなるにつれて、インクサブタンク181の壁面に固着したインク量が増える傾向にある。経過時間が長くなるにつれて保存液の流量が大きくなると、インクサブタンク181の壁面に固着したインク量に応じて、固着したインクに保存液が動的に接触する速度が増える。
【0127】
また、コントローラ130は給排回数Kを決定することに代えて、記録モードにおいてインクサブタンク181に最後にインクを供給してから再び保管モードのコマンドを受け付けるまでの経過時間に応じて、ステップS40において保存液をインクサブタンク181に供給するときのHIGH液面高さHを変更したり、あるいは、ステップS47において保存液をインクサブタンク181から排出した後のLOW液面高さLを変更したりしてもよい。
【0128】
前述された経過時間が長くなるにつれてHIGH液面高さHが高くなったり、LOW液面高さLが低くなったりすると、インクサブタンク181の壁面に固着したインク量に応じて、固着したインクに保存液が動的に接触する速度が増える。
【0129】
また、前述された実施形態では、ステップS46,S47においてLOW液面高さLとなるまで保存液がインクサブタンク181から排出されたが、FULL液面高さFより低く且つ補充液面高さEよりも高い液面位置まで、インクサブタンク181から保存液が排出されてもよい。その場合、流路184において、排出バルブ188に代えてポンプが設けられてもよい。ポンプが駆動されることにより、インクサブタンク181から廃液タンク77へ保存液が排出されるが、給排回数Kだけ繰り返し行われる給排処理において、2回目に保存液カートリッジ11からインクサブタンク181へ新たな保存液が供給されることなく、ポンプが逆流向きに駆動されることにより、流路184からインクサブタンク181へ保存液が戻されてもよい。
【0130】
また、前述された実施形態では、減圧ポンプ193の駆動により、インクカートリッジ34または保存液カートリッジ11からインクサブタンク181へインクまたは保存液が供給されて液面センサ192がON信号を出力した後、さらに所定時間だけ減圧ポンプ193が駆動されることにより、インクサブタンク181において、インクがFULL液面高さFまで供給されたり、保存液がHIGH液面高さHまで供給されたりしたが、これに限らない。例えば、インクサブタンク181において、FULL液面高さF、HIGH液面高さH、LOW液面高さLのそれぞれに液面センサが設けられて、各液面センサの検知信号に基づいて、インクサブタンク181におけるインクまたは保存液の液面が判定されて、減圧ポンプ193の駆動が制御されてもよい。
【0131】
また、画像記録装置100では、インクカートリッジ34と保存液カートリッジ11とが別であり、カートリッジ装着部110に対して交換されていたが、インクカートリッジ34と保存液カートリッジ11とが一体に構成されてカートリッジ装着部110に装着されてもよい。この場合、特に、コントローラ130は、一定期間印刷していない場合などに適宜保管処理を行ってもよい。
【0132】
なお、保管処理は、ユーザの指示により実行される他、画像記録装置100に対する入力などが一定期間されていないことを条件として実行されてもよい。ただし、画像記録装置100が長期にわたって使用されないときには、電源プラグが抜かれるなどにより画像記録装置100に給電されないことが想定され、給電されないことによりコントローラ130も機能しないことが想定されるので、ユーザの都合により保管処理が実行できると利便性がよい。
【0133】
また、前述された実施形態では、インクが液体の一例として説明されているが、例えば、インクに代えて、印刷時にインクに先立って用紙などに吐出される前処理液や用紙に付着したインクをオーバコートする後処理液であってもよい。また、保存液は、ヘッド38を洗浄するための洗浄液として用いられてもよい。
【符号の説明】
【0134】
11・・・保存液カートリッジ(第2カートリッジ)
34・・・インクカートリッジ(第1カートリッジ)
38・・・ヘッド
100・・・画像記録装置(液体供給装置)
110・・・カートリッジ装着部
130・・・コントローラ
181・・・インクサブタンク(サブタンク)
182・・・流路(第1液体流路)
183・・・流路(第2液体流路)
184・・・流路(排出路)
192・・・液面センサ(センサ)
図1
図2
図3
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図8