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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108698
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】噴霧機
(51)【国際特許分類】
   B05B 17/00 20060101AFI20240805BHJP
   B62B 5/00 20060101ALI20240805BHJP
   B62B 5/06 20060101ALI20240805BHJP
   B05B 12/00 20180101ALI20240805BHJP
   A61L 2/18 20060101ALN20240805BHJP
【FI】
B05B17/00 101
B62B5/00 C
B62B5/06 B
B05B12/00 Z
A61L2/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023013199
(22)【出願日】2023-01-31
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 雅己
(74)【代理人】
【識別番号】100189429
【弁理士】
【氏名又は名称】保田 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213849
【弁理士】
【氏名又は名称】澄川 広司
(72)【発明者】
【氏名】井上 健一郎
【テーマコード(参考)】
3D050
4C058
4D074
4F035
【Fターム(参考)】
3D050BB04
3D050DD01
3D050EE04
3D050EE13
3D050GG02
3D050KK02
4C058AA23
4C058BB07
4C058EE03
4C058JJ06
4C058JJ24
4D074AA02
4D074AA05
4D074BB03
4D074BB06
4D074CC03
4D074CC04
4D074CC34
4D074CC39
4D074CC57
4D074CC60
4F035AA01
4F035AA02
4F035BA22
4F035BB02
4F035BB35
4F035BC05
(57)【要約】
【課題】移動体に連結した使用状態と単独での使用状態に切り替え可能な噴霧機を提供すること。
【解決手段】筐体と、筐体にヒンジ部を介して設けられた可倒ハンドルと、車輪と、噴霧ユニットと、連結機構とを備えている噴霧機。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
筐体にヒンジ部を介して設けられた可倒ハンドルと、
車輪と、
噴霧ユニットと、
連結機構とを備えている噴霧機。
【請求項2】
連結機構に、動力により移動可能な移動体が連結可能である請求項1に記載の噴霧機。
【請求項3】
連結機構は、筐体または可倒ハンドルに設けられている請求項1に記載の噴霧機。
【請求項4】
連結機構に、脱着装置が連結可能である請求項1に記載の噴霧機。
【請求項5】
連結機構に、脱着装置を介して、動力により移動可能な移動体が連結可能である請求項1に記載の噴霧機。
【請求項6】
脱着装置は、動力により移動可能な移動体の支柱部を把持可能な前端と連結機構に連結可能な後端とを有するアーム部を備えている請求項4または5に記載の噴霧機。
【請求項7】
連結モード検出器をさらに備え、
連結モード検出器は、可倒ハンドルが筐体に収納されるとき、または、連結機構が連結状態であるとき、連結モードを検出する請求項1から5のいずれか1つに記載の噴霧機。
【請求項8】
連結モード検出器が連結モードを検出するとき、噴霧ユニット中の電動ポンプを回転可能にまたは回転させるように制御する制御部をさらに備えている請求項7に記載の噴霧機。
【請求項9】
筐体の移動状態および停止状態を検出する停止検出器をさらに備え、
停止検出器により筐体の停止状態を検出すると、噴霧ユニット中の電動ポンプを停止させるように制御する制御部をさらに備えている請求項1から5のいずれか1つに記載の噴霧機。
【請求項10】
噴霧機の情報を噴霧機の外部に通信する通信部をさらに備えている請求項1から5のいずれか1つに記載の噴霧機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、噴霧機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の噴霧機として、特許文献1には、下水道管きょ内の硫化水素除去および常在細菌、有機物分解を実施する薬剤噴霧装置が開示されている。この薬剤噴霧装置は、ガスクリーナーマウント部を下水道管きょ内に設置し、ケーブルにてガスクリーナーマウント部を牽引して下水道管きょ内を移動させながら、ガスクリーナーマウント部に設けられた噴霧部から薬剤を噴霧して、下水道管きょ内の硫化水素除去および常在細菌、有機物分解を実施するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-65888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
空港、大型商業施設、オフィスビル、ホテル、病院、介護施設、学校等は大勢の人々が利用する施設であり、近年、これらの施設において病原性の細菌やウィルス等が蔓延しないように薬剤を噴霧する光景がみられる。これらの施設では、小回りがきかない上述のケーブル牽引式の噴霧装置ではなく、作業者が薬剤タンクおよびポンプ装置を背負い手に持った噴霧ノズルから薬剤を噴霧するタイプの噴霧機が一般に利用される。しかしながら、重い噴霧機を背負って広い施設内を歩きながら噴霧する作業は、作業者にとって負担が大きくかつ作業効率も低いものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、筐体と、筐体にヒンジ部を介して設けられた可倒ハンドルと、車輪と、噴霧ユニットと、連結機構とを備えている噴霧機を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、連結機構を用いて筐体を移動体に連結することにより移動体と共に噴霧機が走行可能であり、噴霧機を単独でも使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る噴霧機の第1実施形態を移動体に連結した状態を示す斜視図である。
図2図1の噴霧機の概略的な構成を示す左側から見た図である。
図3図1の噴霧機の筐体から脱着装置を取り外した状態を示す斜視図である。
図4図1の噴霧機における脱着装置を示す概略平面図である。
図5図1の噴霧機における脱着装置を示す概略左側断面図である。
図6図1の噴霧機の制御系を示すブロック図である。
図7図1の噴霧機を単独で使用可能な状態を示す斜視図である。
図8】第1実施形態の変形例3の脱着装置を左側から見た図である。
図9】第2実施形態の噴霧機の筐体から脱着装置を取り外した状態を示す斜視図である。
図10】第3実施形態の噴霧機の概略的な構成を示す左側から見た図である。
図11図10の噴霧機を単独で使用可能な状態を左側から見た図である。
図12】第4実施形態の噴霧機の概略的な構成を示す左側から見た図である。
図13図12の噴霧機における脱着式噴霧ノズルの第1の噴霧状態を示す縦断面図である。
図14図12の噴霧機における脱着式噴霧ノズルの第2の噴霧状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を用いて本発明をさらに詳述する。なお、以下の説明は、すべての点で例示であって、本発明を限定するものと解されるべきではない。
【0009】
(第1実施形態)
図1は本発明に係る噴霧機の第1実施形態を移動体に連結した状態を示す斜視図である。図1において、移動体および噴霧機を使用する際の前後左右上下方向を矢印にて示しており、これら前後左右上下方向に基づいて移動体および噴霧機の構成が説明される。
【0010】
図1に示すように、第1実施形態の噴霧機11は、バランススクータと称される移動体12に連結され、移動体12に牽引されながら周囲に薬剤(薬液)を噴霧する。
ここで、移動体12とは、地上を動力により転動する移動用の回転体(車輪、クローラ等を含む)を備え、使用者が起立または着座した姿勢で搭乗する小型乗物である。移動体12の具体例としては、バランススクータ、自転車(電動自転車も含む)、電動スクータ、電動キックボードなどが挙げられる。
【0011】
本実施形態では、移動体12として、使用者が起立姿勢で搭乗し、使用者自身の重心移動によって前進、旋回、停止させることが可能なバランススクータを例示している。バランススクータは、走行部13と、走行部13の基台14の上面と連結された下端を有する支柱部15と、支柱部15の上端に設けられたハンドル16および表示部17とを備える。より詳しく説明すると、走行部13は、図示しないバッテリおよび一対の駆動モータを有する基台14と、一対の駆動モータにて独立的に回転するよう基台14の左右端に設けられた左右一対の車輪18とを備える。また、表示部17は、バッテリ残量、速度等を表示可能な表示装置である。移動体12は図1に示されたものに限定されず、回転体がクローラである移動体、複数の車輪が前後に配置された移動体、着座姿勢で搭乗する移動体、3つ以上の回転体を有する移動体等であってもよい。
【0012】
図1に示すように、噴霧機11は、箱型の筐体19と、筐体19の左右の側壁における左右方向の同一軸心上に回転可能に設けられた一対の車輪110と、筐体19の上面側の後端に左右方向に延びるヒンジ部111を介して設けられたハンドル112と、筐体19の上面側の前端であって左右方向の中間位置に設けられた連結機構113と、筐体19の内部に設けられた噴霧ユニット21(図2参照)と、移動体12と連結機構113とを脱着可能に連結する脱着装置114とを備える。
【0013】
図1に示すように、ハンドル112は、ヒンジ部111に連結された基端部と、基端部から前後方向に延びるストレート部と、ストレート部に対して屈曲した先端部とを有してなる。本実施形態の場合、ハンドル112は左右一対設けられている。
【0014】
図2図1の噴霧機の概略的な構成を示す左側から見た図である。図2に示すように、噴霧ユニット21は、電動ポンプ22と、電動ポンプ22を回転可能に制御する制御部23と、制御部23を介して電動ポンプ22に電力を供給するバッテリ24と、電動ポンプ22の吸入口に接続パイプ25を介して接続された液体タンク26と、電動ポンプ22の吐出口に接続パイプ27を介して接続された噴霧ノズル28とを備える。本実施形態の場合、噴霧ノズル28は、細長い楕円柱形または角柱形であり、筐体19の上面の略中央位置で略垂直状に立っており、噴霧ノズル28の左右の側部の複数個所には噴霧孔29が設けられている。この噴霧孔29は、1つの小さい孔であってもよく、あるいは複数の微細孔の群から構成されてもよい。
【0015】
筐体19は、その上面における噴霧ノズル28よりも後方位置に、液体タンク26を収納する上方開口状の収納凹部210を有すると共に、収納凹部210の底には接続パイプ25の上流側端部と接続する凸形接続部211が設けられている。一方、液体タンク26は、上面に取っ手212を有すると共に、底面には凸形接続部211が挿入可能な弁213付きの接続口214が設けられている。薬液を収容した液体タンク26は、筐体19の収納凹部210に収納されていない状態では、弁213によって接続口214が閉じているため薬液が漏出しない。薬液を収容した液体タンク26を筐体19の収納凹部210に収納すると、凸形接続部211が接続口214に挿入されて接続し、凸形接続部211によって弁213が押し上げられて接続口214が開き、液体タンク26と接続パイプ25とが連通する。
【0016】
液体タンク26には、目的に応じた液体が収容される。例えば、空港、大型商業施設、オフィスビル、ホテル、病院、介護施設、学校等の施設内での病原性の細菌またはウィルス等の蔓延を抑制しようとする場合には、病原性の細菌またはウィルス等の増殖を抑える薬液が液体タンク26内に収容される。あるいは、液体タンク26内に芳香液を収容し、噴霧機11にて芳香液を噴霧して周囲の人々が安堵感や爽快感等を得られるようにしてもよい。あるいは、液体タンク26内に水を収容し、噴霧機11にて水を噴霧して、周囲の乾燥した空気の湿度を高めたり、霧が気化することによって周囲の気温が下がるようにしてもよい。噴霧機11にて水を噴霧する場合、例えば、気温が高いときにテーマパークの屋外を歩行したり乗り物の順番待ちをしている人々に噴霧して暑さを和らげたり、庭園の植木や販売用の盆栽等の水やりのために噴霧するといった使用も可能である。液体タンク26の上面には図示しない開閉蓋が設けられており、開閉蓋を開いて液体タンク26内に液体を補充することができる。薬液残量が少なくなった液体タンク26を収納凹部210から取り外し、薬液を満杯に収容した液体タンク26と交換することもできる。
【0017】
バッテリ24は、筐体19の内部における収納凹部210の下方位置に設けられており、筐体19に着脱可能であっても筐体19内に固定されていてもよく、充電ケーブルを介して外部の商用電源から充電可能である。本実施形態では、バッテリ24は筐体19に内蔵されているが、外部に露出していてもよい。また、バッテリ24が筐体19に対し着脱可能である場合、バッテリ24を取り外し、充電台にバッテリ24を載置して充電できる構成にしてもよい。
【0018】
本実施形態の場合、薬液を満杯に収容した液体タンク26およびバッテリ24が重量物として筐体19の後部寄りに配置されるため、薬液をほぼ満杯に収容した液体タンク26を筐体19内に設置したときの筐体19の重心の前後方向位置215は筐体19の前後方向中間位置よりも後方にある。そのため、移動時の筐体19における前後方向の重量バランス(水平バランス)をとりやすくするために、左右一対の車輪110の軸216が前記重心の前後方向位置215と概ね一致する位置に配置されている。
【0019】
図2に示すように、筐体19の上壁には、連結モード検出器217が設けられている。連結モード検出器217は、ハンドル112が筐体19の上壁に沿って倒れたハンドル収納状態のときのハンドル112を検出する。言い換えれば、連結モード検出器217は、ハンドル112を検出できない場合、ハンドル112が収納されていない状態であることを検出しているともいえる。あるいは、ヒンジ部111の可動部に突片を設け、ハンドル収納状態のときのヒンジ部111の突片を検出してもよい。連結モード検出器217は、これらのハンドル収納状態を検出することで連結モードを検出する。本実施形態の場合、連結モードとは、噴霧機11を移動体12(図1参照)に連結し走行させても問題ない方式を意味する。
【0020】
図2に示すように、ハンドル112は、実線で示されるハンドル収納状態と、点線で示されるハンドル展開状態とを切り替えることができる。ハンドル展開状態のとき、ハンドル112は筐体19の後方へ突出しているため、このときに噴霧機11を移動体12(図1参照)に連結し走行させると、ハンドル112が何らかの物体に引っ掛かってします可能性がある。そのため、本実施形態では、連結モード検出器217によってハンドル収納状態を検出することにより連結モードを検出し、移動体12にて安全に噴霧機11を牽引できるようにしている。つまり、制御部23が連結モードを検出していないときに移動体12にて噴霧機11が牽引された状況のときには、制御部23がユーザにハンドルが収納されていない状態であることを知らせるようにしている。これについて詳しくは後述する。
【0021】
ハンドル112が概ね収納された状態(完全な収納状態でない状態)では連結モード検出器217が連結モードを検出していないことがある。この場合、筐体19が走行するとハンドル112がぐらついて安定しないことが想定されるため、連結モード検出器217によって連結モードが検出されないようになっている。連結モード検出器217としては、例えば、リミットスイッチ、マイクロスイッチ等の機械式スイッチ(接触式)または近接センサ(非接触式)を用いることができる。本実施形態では、機械式スイッチを用いて左側のハンドル112を検出するように構成した場合を例示している。
【0022】
図3図1の噴霧機の筐体から脱着装置を取り外した状態を示す斜視図である。図3に示すように、本実施形態の場合、連結機構113は、脱着装置114のアーム部31が差し込まれる孔部と、ロック機構32とを有する。ロック機構32は、例えば、脱着装置114のアーム部31の後端に設けられた凹部33と係合可能な係合爪と、係合爪を凹部33と係合する方向に付勢する付勢部材(例えば、圧縮コイルバネ)と、付勢部材の付勢力に抗して係合爪を凹部33から離脱させる方向に操作する押しボタンとを備える。図1図3ではロック機構32の押しボタンが図示されている。
【0023】
図4図1の噴霧機における脱着装置を示す概略平面図である。図5図1の噴霧機における脱着装置を示す概略左側断面図である。図4図5に示すように、脱着装置114は、移動体12の支柱部15を把持可能な前端と連結機構113(図1参照)に連結可能な後端とを有するアーム部31を備えている。さらに詳しく説明すると、本実施形態の場合、ストレート状のアーム部31の前端側には、移動体12の支柱部15を着脱可能に把持する把持部41と、アーム部31の前端と把持部41とを連結する水平調整部51とを有する(図5参照)。
【0024】
把持部41は、上下方向の軸部52(図5参照)と、軸部52の上端に設けられたブロック部42と、ブロック部42を左右方向に貫通するシャフト部43と、シャフト部43の左右両端に取り付けられた一対の挟持片44とを有する。シャフト部43は、ブロック部42にて回転可能に保持される中間部と、中間部の左右両側に互いに逆向きに形成された一対の雄ネジ部とを有する。一対の挟持片44はそれらの後端に、シャフト部43の一対の雄ネジ部と螺合するネジ孔を有している。シャフト部43を一方向に回すと一対の挟持片44が互いに略平行を維持しながら接近し、シャフト部43を他方向に回すと一対の挟持片44が互いに略平行を維持しながら離間する。これにより、一対の挟持片44にて支柱部15を把持したり、把持を解除したりすることができる。一対の挟持片44の前端における支柱部15と接する内面には滑り止めパッドが設けられていてもよい。
【0025】
アーム部31の前端には上下方向の孔部53が設けられており、アーム部31の前端の下面に水平調整部51が設けられている。水平調整部51は、アーム部31の前端の孔部53を上方から挿通した把持部41の軸部52の下部と連結している。この水平調整部51は、例えば、アーム部31の前端に固定される外側部材と、軸部52の下部と連結するよう外側部材の内部に回動可能に設けられた球体形の内側部材とを有し、外側部材および内側部材には軸部52を挿通させる挿通孔が設けられている。また、外側部材に対して内側部材は全方向に回動できるようになっている。移動体12が段差や凸凹した地面を走行する際、水平調整部51の働きによって移動体12の上下左右方向の振動が筐体19へ伝わりにくくなる。
【0026】
図6図1の噴霧機の制御系を示すブロック図である。図6に示すように、連結モード検出器217が連結モードを検出したときの検出信号は制御部23へ入力される。噴霧機11は、筐体19の移動状態および停止状態を検出する移動停止検出器61と、噴霧機11の情報を噴霧機11の外部に通信する通信部62と、電動ポンプ22の駆動と停止の切り替えを手動で行う操作部63とをさらに備えている。移動停止検出器61としては、例えば、車輪110の軸に設けたロータリエンコーダを用いることができる。移動停止検出器61が筐体19の停止状態を検出したときの検出信号は制御部23へ入力される。
【0027】
通信部62は、制御部23から送信された噴霧機11の情報(例えば、バッテリ残量、液体残量、液詰まり検知等)を外部通信手段64へ無線(例えば、Bluetooth)を用いて送信することができる。外部通信手段64としては、移動体12の表示部17付近に設けられた通信部(図1参照)またはユーザが携帯する携帯情報通信端末(例えば、スマートフォン、タブレット端末等)を用いることができる。通信部62は、外部通信手段64からの指令信号を受信し、指令信号に基づいて必要な噴霧機11の情報(例えば、バッテリ残量)を外部通信手段64へ送信し、それによって外部通信手段64の表示部に噴霧機11の情報が表示される。
【0028】
バッテリ残量は、電池残量計ICによって検知可能である。液体残量を噴霧機11の情報として含める場合、筐体19の収納凹部210の液体タンク26と対向する内面(図2参照)に静電容量式の液体残量センサを設け、液体残量センサにて液体タンク26内の液体量を検出し、その検出信号が制御部23へ入力される。バッテリ残量および液体残量がそれぞれある一定レベルよりも少なくなると、制御部23が外部通信手段64の表示部に警告文を表示させるようにしてもよい。
【0029】
操作部63は、電動ポンプ22の駆動と停止の切り替えを手動で行う機構部であり、例えば、右のハンドル112(図1参照)の先端側に設けられた駆動停止スイッチ115を有する。駆動停止スイッチ115は、電動ポンプ22(図2参照)の駆動と停止を切り替えるスイッチである。駆動停止スイッチ115としては、例えば、オルタネイト動作方式のスイッチを用いることができる。駆動停止スイッチ115は左のハンドルの先端側に設けてもよい。
【0030】
図7図1の噴霧機を単独で使用可能な状態を示す斜視図である。移動体12と連結された噴霧機11(図1参照)は、連結機構113のロック機構32(図3参照)によるロックを解除して脱着装置114から筐体19を切り離すことによって、図7に示すように噴霧機11を単独で使用することが可能となる。脱着装置114が連結機構113に装着されているか否かを検出する脱着装置装着検出器を連結機構113に設けることが好ましい。このとき、一対のハンドル112を筐体19の後方へ傾斜させたハンドル展開状態に切り替え、ユーザが一対のハンドル112の先端を掴んで操縦できる状態とすることにより、駆動停止スイッチ115を1回押して停止中の電動ポンプ22を駆動させ、駆動停止スイッチ115をもう1回押すと電動ポンプ22を停止させることができる。
【0031】
次に、このように構成された第1実施形態の噴霧機11の使用時における動作について説明する。図1に示すように、ハンドル収納状態の噴霧機11が移動体12と連結した連結モードでは、図6に示す制御部23は、連結モード検出器217からの検出信号によって連結モードであると判断している。この連結モードにおいて、移動体12に乗ったユーザが後方近傍位置にある駆動停止スイッチ115を1回押すと電動ポンプ22(図2参照)が駆動可能な状態(駆動待機状態)となり噴霧ノズル28の各噴霧孔から液体が噴霧可能な状態となるが、この段階では未だ噴霧されない。また、電動ポンプ22が駆動可能な状態にあるときに、駆動停止スイッチ115をもう1回押すと電動ポンプ22が駆動しない状態となり噴霧ノズル28が噴霧しない状態となる。電動ポンプが駆動可能な状態にあるときに、ユーザが移動体12を走行させて筐体19を牽引すると、移動停止検出器61からの検出信号にて制御部23は筐体19が走行していると判断し、制御部23は電動ポンプ22の駆動を開始させて噴霧ノズル28から液体を周囲に噴霧させる。筐体19の走行中、移動停止検出器61が車輪110の回転運動を検知しており、その検知信号によって制御部23は筐体19が走行中であると判断して電動ポンプ22の駆動状態を維持する。
【0032】
走行中の移動体12が停止すると、筐体19も停止する。筐体19が停止すると、移動停止検出器61は車輪110の回転が停止したことを検知し、その検知信号によって制御部23は筐体19が停止したと判断して電動ポンプ22の駆動を停止させる。このように筐体19が停止すると自動的に電動ポンプ22の駆動を停止させることにより、バッテリ24の電力および噴霧する液体を節約することができると共に、同じ位置での過度な噴霧を避けることができる。さらに、ユーザが駆動停止スイッチ115を押して電動ポンプ22を停止させる手間や駆動停止スイッチ115の切り忘れをなくすことができる。
【0033】
移動体12の停止時に、移動体12に乗ったユーザが後方近傍位置にある駆動停止スイッチ115を1回押すと電動ポンプ22(図2参照)が直ちに駆動して噴霧が開始し、ユーザが移動体12を走行させて筐体19を牽引し、その後、移動体12が停止すると電動ポンプ22の駆動を停止させるように制御部23が制御を行ってもよい。このようにすることで、ユーザが噴霧を開始するために駆動停止スイッチ115を1回押した際に電動ポンプ22が駆動待機中となる場合に比して、電動ポンプ22が直ちに駆動することで、噴霧が行える状態であることをユーザが認識しやすくなる。
【0034】
噴霧機11が移動体12と連結しているが、ハンドル112が筐体19の後方へ傾斜したハンドル展開状態であるとき(制御部23が非連結モードを検出しているとき)、ハンドル展開状態のままで移動体12にて噴霧機11を牽引するとハンドル112に何らかの物体が引っ掛かってしまう可能性がある。例えば、噴霧機11を保管している場所から噴霧する屋外の場所まで移動体12にて噴霧機11を牽引する間に木の枝などに引っ掛かったりすることが想定される。移動停止検出器61にて車輪110が回転していることが検出され、その検出信号が制御部23に入力され、非連結モードで筐体19が走行した場合、制御部23は、通信部62を通じて外部通信手段64の表示部に警告文(不適切な使用状態であることの説明)を表示する。あるいは、外部通信手段64の表示部近傍に設けられたスピーカから音や音声にて不適切な使用状態であることを知らせるようにしてもよく、それに加えて表示部に警告文を表示してもよい。あるいは、筐体19の上面(収納状態のハンドル112と干渉しない位置)にランプおよびスピーカを設けて光と音でユーザに不適切な使用状態であることを知らせるようにしてもよい。あるいは、噴霧機11の車輪110の回転を規制する制動装置を設け、制動装置にて車輪110を回転させない(ブレーキをかける)ことで、移動体12に大きな負荷を加えたり、車輪110が地面に擦れる異音によってユーザに不適切な使用状態であることを知らせるようにしてもよい。
【0035】
噴霧機11の脱着装置114を移動体12の支柱部15から切り離し、さらに脱着装置114を筐体19の連結機構113から切り離し、ハンドル112を収納状態(図1参照)から展開状態に切り替えて噴霧機11を単独で使用する場合(図7参照)、連結モード検出器217は連結モードを検出していない(非連結モードを検出している)。したがって、ユーザがハンドル112を掴んで筐体19を移動させた場合、制御部23によって上述のようにユーザに不適切な使用状態であることを知らせる機構が働くこととなる。これを回避するため、操作部63(図6参照)として、例えば、左のハンドル112の先端側に警告解除スイッチ71が設けられる。警告解除スイッチ71を押すことにより、筐体19を移動させてもユーザに不適切な使用状態であることを知らせる機構は働かないように制御部23が制御する。さらに、警告解除スイッチ71を押すことにより、駆動停止スイッチ115が機能するように制御部23が制御する。したがって、警告解除スイッチ71を押す前に筐体19を移動させるとユーザに不適切な使用状態であることを知らせる機構が働く。また、警告解除スイッチ71を押す前に駆動停止スイッチ115を押しても電動ポンプ22は駆動しない。
【0036】
警告解除スイッチ71を押して警告を解除し、駆動停止スイッチ115を1回押して電動ポンプ22を駆動させ、その後、駆動停止スイッチ115をもう1回押して電動ポンプ22を停止させると、警告が解除されていない状態に戻るようにしてもよい。このようにすることで、非連結モードで噴霧を行った後、連結モードで噴霧を継続する際、警告が解除されかつハンドルが展開状態である状況で噴霧が行われてしまう可能性を低減することができる。また、脱着装置114が連結機構113に装着されているか否かを検出する脱着装置装着検出器を設け、脱着装置114が連結機構113に装着されている状態でかつハンドル展開状態で駆動停止スイッチ115を1回押して電動ポンプ22を駆動させようとすると、制御部23によって上述のようにユーザに不適切な使用状態であることを知らせる機構が働くようにしてもよい。
【0037】
このように、本実施形態によれば、移動体12によって噴霧機11を走行させる連結モードでの使用と、移動体12から分離した噴霧機11の非連結モードでの単独使用との両方が可能である。連結モードでは、従来のように重い液体タンクやポンプ装置をユーザが背負った噴霧作業ではなく、走行する移動体12にユーザが乗りながら噴霧機11を牽引しての噴霧作業であるため、ユーザの肉体的な負担を軽減できる。噴霧機11の単独使用では小回りの利く噴霧が可能である。移動体12はそれ本来の目的での使用も可能である。噴霧機11の保管時には、ハンドル112を収納状態とすることができる。
【0038】
(第1実施形態の変形例1)
第1実施形態における制御部23は、連結モード検出器217が連結モードを検出するときに、電動ポンプ22を駆動させて噴霧を開始してもよい。この場合、例えば、展開状態のハンドル112を筐体19の方へ倒して収納状態に切り替えると、連結モード検出器217が連結モードを検出して電動ポンプ22が自動的に駆動する。
【0039】
(第1実施形態の変形例2)
第1実施形態における連結モード検出器217は、連結機構113が脱着装置114と連結状態にあるときに、あるいは、連結機構113と連結した脱着装置114が移動体12の支柱部15と連結状態にあるときに、連結モードを検出してもよい。この場合、連結モード検出器217は、連結機構113あるいは脱着装置114の把持部41に設けられる。
【0040】
(第1実施形態の変形例3)
図8は第1実施形態の変形例3の脱着装置を左側から見た図である。図8において、図5中の要素と同様の要素には同一の符号を付している。第1実施形態では、噴霧機11における電動ポンプ22、連結モード検出器217、移動停止検出器61、通信部62、操作部63等の電気部品はバッテリ24を電源とする場合を例示したが、移動体12からの電力を噴霧機11に供給するようにしてもよい。この場合、図8に示すように、噴霧機には、筐体19内の制御部23(図6参照)と電気的に接続された一端を有する電気ケーブル81と、脱着装置114に沿って配線された電気ケーブル81の他端に設けられたコネクタ82とを有する送電部83が備えられる。一方、送電部83のコネクタ82と着脱可能に電気的に接続する移動体側コネクタ84が移動体12の支柱部15に設けられており、移動体12のバッテリからの電力によって噴霧機が駆動する。それに加えて、制御部23から出力された噴霧機情報が通信部62、送電部83および移動体側コネクタ84等を介して移動体12の表示部である外部通信手段64に送信されて表示される。この場合、移動体12の表示部を操作して噴霧機11への電力供給を任意に停止できるようにしてもよい。
【0041】
(第2実施形態)
図9は第2実施形態の噴霧機の筐体から脱着装置を取り外した状態を示す斜視図である。図9において、図3中の要素と同様の要素には同一の符号を付している。第1実施形態(図3参照)の場合、連結機構113が筐体19の前端上部に設けられた場合を例示したが、図9に示すように、第2実施形態の噴霧機91の場合、連結機構113はハンドル92に設けられている。具体的には、左右のハンドル92の一部として設けられてこれらを連結する連結プレート93の左右中間位置に連結機構113が配置されている。この場合、一対のハンドル92は全体がストレート形状であり、収納状態の各ハンドル92の先端が筐体19の前端よりも前方へ突出しており、各ハンドル92の先端を連結プレートにて連結している。これにより、ハンドル92の収納状態のときに、連結機構113が筐体19の上面に載らないようになっている。さらに、一対のハンドル92を展開させるときに連結プレート93が噴霧ノズル28の上を超えるようになっている。第2実施形態において、その他の構成は第1実施形態と同様であり、第1実施形態の変形例1~4の構成を適用してもよい。
【0042】
(第3実施形態)
図10は第3実施形態の噴霧機の概略的な構成を示す左側から見た図である。図11図10の噴霧機を単独で使用可能な状態を左側から見た図である。図10図11において、図2中の要素と同様の要素には同一の符号を付している。第1実施形態の噴霧機11(図3参照)および第2実施形態の噴霧機91(図9参照)の場合、連結機構113は脱着装置114を介して移動体12(図1参照)と脱着可能であるが、図10に示すように第3実施形態の噴霧機101の連結機構102はそれ自体が移動体12との脱着機能を備えている。具体的には、連結機構102は、第1実施形態および第2実施形態における脱着装置のアーム部31の基端がヒンジ部103を介して筐体19の前端上部の左右中間位置に連結した構成を備えている。第3実施形態において、その他の構成は第1および第2実施形態と概ね同様であり、第1実施形態の変形例1~3の構成を適用してもよい。
【0043】
図10に示すように、連結機構102が前方へ突出した展開状態において、ヒンジ部103の上部に小片104がやや前方へ傾くように設けられている。また、筐体19の上面におけるヒンジ部103の近傍位置には、小片104と係止可能な係止部材105が上下方向の軸106を中心として回動可能に設けられている。係止部材105は、その外周面の上端に軸と106と直交する方向に突出した係止爪107を有している。
【0044】
第3実施形態の噴霧機101では、収納状態のハンドル112を点線で示す展開状態に切り替えた後、図10に示す連結機構102の展開状態から、図11に示す連結機構102の収納状態に切り替えることにより、噴霧機101を単独で使用することができる。この際、連結機構102のヒンジ部103に設けた小片104が筐体19の上面に当接することにより、把持部41が噴霧ノズル28へ近接した位置までアーム部31が傾斜した状態に保たれる。この状態を固定するために、軸106を中心に係止部材105を回動させて係止爪107にて小片104を押さえる。
【0045】
(第4実施形態)
図12は第4実施形態の噴霧機の概略的な構成を示す左側から見た図である。図12において、図2中の要素と同様の要素には同一の符号を付している。図12に示すように、第4実施形態の噴霧機121は、噴霧ユニット122の構成が異なる以外は、第1実施形態と概ね同様である。第4実施形態の噴霧ユニット122は、筐体19の上面に設けられた収納筒部123に着脱可能な噴霧ノズル124を有している。本実施形態では、収納筒部123に先端を収納された噴霧ノズル124が前方に傾斜するように、収納筒部123の上方開口部はやや前方に向けられている。収納筒部123に先端を収納された噴霧ノズル124が略垂直となるように、収納筒部123の上方開口部を真上に向けてもよい。
【0046】
より詳しく説明すると、図12に示すように、噴霧ユニット122は、筐体19の上面に固定されかつ接続パイプ27と接続した下端を有する垂直状の固定パイプ部125と、噴霧ノズル124と固定パイプ部125とを接続する可撓性パイプ部126とをさらに有する。
【0047】
図13図12の噴霧機における脱着式噴霧ノズルの第1の噴霧状態を示す縦断面図である。図14図12の噴霧機における脱着式噴霧ノズルの第2の噴霧状態を示す縦断面図である。図13図14において、矢印Aは液体の流れを示している。図13に示すように、噴霧ノズル124は、可撓性パイプ部126と接続する筒状の第1部材部131と、第1部材131と液密に接続する筒状の第2部材132とを有してなる。左右方向から見て、第1部材131は略F字形に形成され、第2部材132はペン形に形成されている。第2部材132は、第1部材131との接続部分に対して回動するようになっている。第1部材131は、可撓性パイプ部126と接続した上流側接続口部133と、第2部材132と接続した下流側接続口部134とを有する。第1部材131の上流側接続口部133から下流側接続口部134までの間は噴霧すべき液体の流路となっている。
【0048】
第1部材131において、上流側接続口部133と下流側接続口部134との間に屈曲部135が設けられると共に、屈曲部135に連設してL字形のハンドル部136(図12参照)が設けられている。第2部材132は、第1部材131の下流側接続口部134と接続した上流側接続口部137と、上流側接続口部137とは反対側の先細りの端部に設けられた先端噴霧孔138と、上流側接続口部137と先端噴霧孔138との間の外周部に設けられた複数の噴霧孔139と有する。複数の噴霧孔139は、図12に示すように噴霧ノズル124の左側面に設けられているが、右側面にも複数の噴霧孔が設けられてもよい。
【0049】
さらに、第2部材132の内部には、全ての噴霧孔139と連通する第1流路140と、先端噴霧孔138と連通する第2流路141と、第1流路140と第2流路141とを区画する仕切り壁142とが設けられている。さらに、第1部材131の下流側接続口部134の内部には、第2部材132の上流側接続口部137の第1流路140および第2流路141のうちの一方と連通可能な導入流路143と、第1流路140および第2流路141のうちの一方と導入流路143との間を遮断する遮断壁144とが設けられている。
【0050】
このように構成された噴霧ノズル124では、第1部材131に対して第2部材132をその軸心を中心として回動可能である。図13では、第2部材132の第1流路140が第1部材131の導入流路143と連通した第1の切替状態を図示している。このとき、第2部材132の第2流路141は、第1部材131の遮断壁144によって導入流路143と遮断されている。第1の切替状態のときに電動ポンプ22(図12参照)が駆動すると、液体タンク26内の液体が噴霧ノズル124内に流入し、第1流路140を通って複数の噴霧孔139から液体145が霧状に噴射拡散される。このときの状態を第1の噴霧状態という。
【0051】
噴霧ノズル124は、図13に示す第1の切替状態の第2部材132を第1部材131に対して軸心を中心として回動させる(例えば、180°回動させる)ことにより、図14に示す第2の切替状態に切り替えることができる。第2の切替状態では、第2部材132の第2流路141が第1部材131の導入流路143と連通する。このとき、第2部材132の第1流路140は、第1部材131の遮断壁144によって導入流路143と遮断されている。第2の切替状態のときに電動ポンプ22(図12参照)が駆動すると、液体タンク26内の液体が噴霧ノズル124内に流入し、第2流路141を通って先端噴霧孔138から液体145が霧状に噴射拡散される。このときの状態を第2の噴霧状態という。
【0052】
第4実施形態の噴霧機121は、図12に示す連結モードにおいては噴霧ノズル124の先端が収納筒部123内に差し込まれて保持されており、このとき、複数の噴霧孔139が左右方向に向けられている。また、連結モードにおいて、噴霧ノズル124は第1の切替状態に切り替えられている(図13参照)。連結モードでは、ユーザが駆動停止スイッチ115(図1参照)を1回押すと、電動ポンプ22が駆動可能な状態(駆動待機状態)となるまたは駆動する。電動ポンプ22が駆動待機状態となる場合、ユーザが移動体12(図1参照)を走行させて筐体19が移動すると、電動ポンプ22が駆動する。電動ポンプ22が駆動することにより、噴霧ノズル124は第1の噴霧状態(図12参照)を生じさせ、移動する筐体19の周囲に液体145を噴霧拡散する。
【0053】
連結モードでの噴霧作業中に、例えば、道のコーナー部を集中的に噴霧したいような場合は、コーナー部で移動体12(図1参照)を停止させる。すると、制御部23が電動ポンプ22を停止させる。その後、ユーザは、噴霧ノズル124を収納筒部123から取り外し、噴霧ノズル124を第2の切替状態(図14参照)に切り替える。第4実施形態では、噴霧ノズル124を持った状態で簡単に電動ポンプ22を駆動させることができるように、噴霧ノズル124のハンドル部136に手元スイッチ127(図12参照)が設けられている。手元スイッチ127としては、オルタネイト動作方式のスイッチを用いることができる。
【0054】
電動ポンプ22の停止時に手元スイッチ127を1回押すと、電動ポンプ22が駆動し、噴霧ノズル124の先端噴霧孔138(図13参照)から液体145が噴霧され(第2の噴霧状態)、手元スイッチ127をもう1回押すと電動ポンプ22が停止し噴霧が停止する。第2の噴霧状態の液体145の噴射範囲は、第1の噴霧状態の液体145の噴射範囲よりも狭くなるようにしてもよい。噴霧ノズル124によって第2の噴霧状態を生じさせることにより、狭い範囲に集中的に液体145を噴霧することができる。この際、手元スイッチ127の操作により、液体145の噴霧量を簡単に調整することができる。なお、噴霧ノズル124を第1の切替状態に切り替えることにより、噴霧ノズル124を持ちながら第1の噴霧状態(図13参照)で噴霧することが可能である。
【0055】
第4実施形態の場合、脱着装置114を連結機構113から取り外し、ハンドル112を点線で示すように後方へ倒して噴霧機11を単独で使用する場合、第1実施形態と同様に、警告解除スイッチ71および駆動停止スイッチ115を操作して電動ポンプ22を駆動し、噴霧ノズル124から液体を噴霧することができる。この単独使用の場合も、噴霧ノズル124を筐体19の収納筒部123に収納した状態での噴霧と、噴霧ノズル124を手で持った状態での噴霧との両方が可能である。単独使用の場合、小回りが利くため、より狭まった箇所への集中的な噴霧を行うことができる。なお、第1の噴霧状態と第2の噴霧状態に加えて、第1部材131の導入流路143に、第2部材132の第1流路140と第2流路141とが同時に連通する第3の噴霧状態を設けてもよい。この場合、電動ポンプ22(図12参照)が駆動すると、液体タンク26内の液体が噴霧ノズル124内に流入し、第1流路140を通って複数の噴霧孔139から液体145が霧状に噴射拡散され、同時に第2流路141を通って先端噴霧孔138から液体145が霧状に噴射拡散される。
【0056】
(他の実施形態)
上述の実施形態および変形例において、連結モードでは、噴霧機を移動体に前方から連結し、移動体にて噴霧機を押しながら噴霧するようにしてもよい。
【0057】
この発明の好ましい態様には、上述した複数の態様のうちの何れかを組み合わせたものも含まれる。
前述した実施の形態の他にも、この発明について種々の変形例があり得る。それらの変形例は、この発明の範囲に属さないと解されるべきものではない。この発明には、特許請求の範囲と均等の意味および前記範囲内でのすべての変形とが含まれるべきである。
【符号の説明】
【0058】
11,91,101,121:噴霧機、 12:移動体、15:支柱部、 16,92:ハンドル、 17:表示部、 18:車輪、 19:筐体、 21,122:噴霧ユニット、 22:電動ポンプ、 23制御部、 24:バッテリ、 26:液体タンク、 28,124:噴霧ノズル、 31:アーム部、 41:把持部、 51:水平調整部、 61:移動停止検出器、 62:通信部、 63:操作部、 64:外部通信手段、 71:警告解除スイッチ、 81:電気ケーブル、 82:コネクタ、 83:送電部、 84:移動体側コネクタ、 93:連結プレート、 110:車輪、 103,111:ヒンジ部、 112:ハンドル、 102,113:連結機構、 114:脱着装置、 115:駆動停止スイッチ、 145:液体、 215:重心の前後方向位置、 216:軸、 217:連結モード検出器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14