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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108703
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】弾球遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20240805BHJP
【FI】
A63F7/02 320
A63F7/02 315A
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023013212
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】390031783
【氏名又は名称】サミー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 友由
(72)【発明者】
【氏名】奥村 和麿
(72)【発明者】
【氏名】林 克佳
【テーマコード(参考)】
2C088
2C333
【Fターム(参考)】
2C088CA13
2C088CA19
2C333AA11
2C333CA09
2C333CA25
2C333CA77
2C333CA78
2C333FA05
2C333FA08
2C333FA17
(57)【要約】
【課題】遊技状態の種類に応じて演出状態を適切に制御して遊技性の向上を図ることができる遊技機を提供する。
【解決手段】ぱちんこ遊技機は、第2始動口への入球容易性に関する状態として、低ベース状態600と高ベース状態624を有する。第1の特定図柄で停止すると高ベース状態624へ移行し、第2の特定図柄で停止すると高ベース状態624より入球容易性が低い特殊ベース状態626に移行する。所定の特殊演出の実行頻度を変更する演出設定変更を実行可能であり、低ベース状態600においては演出設定変更を遊技者の操作入力に応じて実行可能であり、特殊ベース状態626においても演出設定変更を実行可能である。
【選択図】図39
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球の入球が可能な第1始動口と、
遊技球の入球が可能な第2始動口と、
遊技球の入球が可能な作動口と、
前記第2始動口に取り付けられ、拡開したときには前記第2始動口へ遊技球が入球可能または入球容易となる拡開機構と、
開放したときには遊技球が入球可能または入球容易となる大入賞口と、
前記第1始動口への入球を契機として、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定する当否判定を実行する第1当否判定手段と、
前記第2始動口への入球を契機として、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定する当否判定を実行する第2当否判定手段と、
前記第1当否判定手段による当否判定の結果を示すための第1特別図柄が変動表示される第1図柄表示装置と、
前記第2当否判定手段による当否判定の結果を示すための第2特別図柄が変動表示される第2図柄表示装置と、
前記作動口への入球を契機として、前記拡開機構を拡開させることを示すための普通図柄が変動表示される普通図柄表示装置と、
前記第1当否判定手段による当否判定の際に用いられる抽選値を、第1当否判定手段による当否判定が行われるまで第1保留として保留する第1保留制御手段と、
前記第2当否判定手段による当否判定の際に用いられる抽選値を、第2当否判定手段による当否判定が行われるまで第2保留として保留する第2保留制御手段と、
前記第1当否判定手段による当否判定の結果または前記第2当否判定手段による当否判定の結果が所定結果である場合、大入賞口の開放を伴う特別遊技を実行可能とする特別遊技制御手段と、
前記第2始動口への入球容易性に関する状態として、通常の入球容易性の状態である低ベース状態と、前記低ベース状態よりも入球容易性を高めた状態である高ベース状態とを有し、前記低ベース状態の設定または前記高ベース状態の設定が可能な特定遊技制御手段と、
演出内容が表示される演出表示装置と、
前記演出内容を決定する演出決定手段と、
を備え、
前記特別遊技の状態および前記高ベース状態のうち少なくともいずれかである有利状態の終了後に移行する前記低ベース状態においては、前記高ベース状態への移行を伴う前記特別遊技の実行契機となる図柄種類とは異なる複数種類の特定図柄のうちいずれかで停止可能であり、
前記特定図柄で停止した場合であって、停止した前記特定図柄の種類が第1の特定図柄の場合は前記高ベース状態へ移行し、停止した前記特定図柄の種類が前記第1の特定図柄と異なる第2の特定図柄の場合は前記低ベース状態より入球容易性が高く前記高ベース状態より入球容易性が低い状態である特殊ベース状態に移行し、
所定の特殊演出の実行頻度を変更する演出設定変更を遊技者の操作入力に応じて実行可能であり、
前記低ベース状態においては前記演出設定変更を遊技者の操作入力に応じて実行可能であるとともに、前記特殊ベース状態においても前記演出設定変更を遊技者の操作入力に応じて実行可能であり、
現在の演出ステージに対応したステージ背景画像を表示可能であるとともに、所定の高期待度リーチ演出への発展中は前記ステージ背景画像を非表示とし、
前記所定の高期待度リーチ演出への発展前における前記ステージ背景画像が表示されている所定期間においては前記演出設定変更を遊技者の操作入力に応じて実行可能である一方、前記所定の高期待度リーチ演出への発展後における前記ステージ背景画像が表示されている特定期間においては前記演出設定変更の実行を制限することを特徴とする弾球遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
遊技球が発射される遊技領域を備えた弾球遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種の弾球遊技機のうち、いわゆる第1種ぱちんこ遊技機と呼ばれていた遊技機は、遊技盤の略中央に設けられた液晶ディスプレイなどの表示領域に複数の図柄を変動させながら表示する(以下、そうした表示を「図柄変動」または「変動表示」等という)。この遊技機は、複数列の図柄変動を停止させたときの図柄の組合せが特定の態様となった場合に、通常遊技より多くの賞球が得られる、いわゆる大当りと呼ばれる特別遊技へと移行するものとして知られている。表示領域における図柄の変動表示は、単に複数の図柄が変動表示されるだけでなく、いわゆるリーチ画面と呼ばれる状態のように、あと一つ図柄が揃えば大当りとなる状態で変動表示の時間を通常よりも長くする等、遊技者の期待感を高めるための演出が図られている。また、図柄等の画像にキャラクタを用いて変動表示にストーリーを持たせる演出や、特別遊技への移行期待度の高さを予告的に示唆する予告演出によっても遊技者の期待感を高めている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-230714号公報
【特許文献2】特開2010-051489号公報
【特許文献3】特開2006-296598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、複数の時短状態を持つ遊技機が知られている(例えば、特許文献2,3参照)。しかしながら、単純に時短状態を複数にするだけでは、遊技性の向上や斬新な演出の実現を図ることは難しい。
【0005】
本願発明は上記課題に鑑みたもので、遊技状態の種類に応じて演出状態を適切に制御して遊技性の向上を図ることができる遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の弾球遊技機は、遊技球の入球が可能な第1始動口と、遊技球の入球が可能な第2始動口と、遊技球の入球が可能な作動口と、第2始動口に取り付けられ、拡開したときには第2始動口へ遊技球が入球可能または入球容易となる拡開機構と、開放したときには遊技球が入球可能または入球容易となる大入賞口と、第1始動口への入球を契機として、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定する当否判定を実行する第1当否判定手段と、第2始動口への入球を契機として、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定する当否判定を実行する第2当否判定手段と、第1当否判定手段による当否判定の結果を示すための第1特別図柄が変動表示される第1図柄表示装置と、第2当否判定手段による当否判定の結果を示すための第2特別図柄が変動表示される第2図柄表示装置と、作動口への入球を契機として、拡開機構を拡開させることを示すための普通図柄が変動表示される普通図柄表示装置と、第1当否判定手段による当否判定の際に用いられる抽選値を、第1当否判定手段による当否判定が行われるまで第1保留として保留する第1保留制御手段と、第2当否判定手段による当否判定の際に用いられる抽選値を、第2当否判定手段による当否判定が行われるまで第2保留として保留する第2保留制御手段と、第1当否判定手段による当否判定の結果または第2当否判定手段による当否判定の結果が所定結果である場合、大入賞口の開放を伴う特別遊技を実行可能とする特別遊技制御手段と、第2始動口への入球容易性に関する状態として、通常の入球容易性の状態である低ベース状態と、低ベース状態よりも入球容易性を高めた状態である高ベース状態とを有し、低ベース状態の設定または高ベース状態の設定が可能な特定遊技制御手段と、演出内容が表示される演出表示装置と、演出内容を決定する演出決定手段と、を備える。特別遊技の状態および高ベース状態のうち少なくともいずれかである有利状態の終了後に移行する低ベース状態においては、高ベース状態への移行を伴う特別遊技の実行契機となる図柄種類とは異なる複数種類の特定図柄のうちいずれかで停止可能であり、特定図柄で停止した場合であって、停止した特定図柄の種類が第1の特定図柄の場合は高ベース状態へ移行し、停止した特定図柄の種類が第1の特定図柄と異なる第2の特定図柄の場合は低ベース状態より入球容易性が高く高ベース状態より入球容易性が低い状態である特殊ベース状態に移行し、所定の特殊演出の実行頻度を変更する演出設定変更を遊技者の操作入力に応じて実行可能であり、低ベース状態においては演出設定変更を遊技者の操作入力に応じて実行可能であるとともに、特殊ベース状態においても演出設定変更を遊技者の操作入力に応じて実行可能であり、現在の演出ステージに対応したステージ背景画像を表示可能であるとともに、所定の高期待度リーチ演出への発展中はステージ背景画像を非表示とし、所定の高期待度リーチ演出への発展前におけるステージ背景画像が表示されている所定期間においては演出設定変更を遊技者の操作入力に応じて実行可能である一方、所定の高期待度リーチ演出への発展後におけるステージ背景画像が表示されている特定期間においては演出設定変更の実行を制限する。
【0007】
なお、以上の構成要素の任意の組合せや、本発明の構成要素や表現を方法、装置、システム、コンピュータプログラム、コンピュータプログラムを格納した記録媒体、データ構造などの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の弾球遊技機によれば、遊技状態の種類に応じて演出状態を適切に制御して遊技性の向上を図ることができる遊技機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】ぱちんこ遊技機の前面側における基本的な構造を示す図である。
図2】ぱちんこ遊技機の背面側における基本的な構造を示す図である。
図3】ぱちんこ遊技機の機能ブロックを示す図である。
図4】メイン基板の機能構成を示すブロック図である。
図5】当否判定テーブルを模式的に示す図である。
図6】設定値ごとの当否抽選値の範囲設定を模式的に示す図である。
図7】図柄判定テーブルを模式的に示す図である。
図8】変動パターンテーブルを模式的に示す図である。
図9】事前当否判定で参照される事前当否判定テーブルを模式的に示す図である。
図10】遊技設定に対応した事前当否判定テーブルを模式的に示す図である。
図11】サブ基板の構成を示すブロック図である。
図12】携帯連携システムの概略を模式的に示す図である。
図13】メイン基板およびサブ基板のハードウェア構成を概略的に示すブロック図である。
図14】演出制御装置のハードウェア構成を概略的に示すブロック図である。
図15】ぱちんこ遊技機におけるメイン基板の制御開始処理を示すフローチャートである。
図16図15におけるS124の設定変更処理を詳細に示すフローチャートである。
図17図15におけるS126の設定確認処理を詳細に示すフローチャートである。
図18図15におけるS120のメイン処理を詳細に示すフローチャートである。
図19】割込処理の詳細を示すフローチャートである。
図20】ぱちんこ遊技機におけるサブ基板の制御開始処理を示すフローチャートである。
図21図20におけるS518のメイン処理を詳細に示すフローチャートである。
図22】メイン基板からコマンドを受信した場合の割込処理を示すフローチャートである。
図23】演出表示制御のためのタイマ割込が発生した場合の割込処理を示すフローチャートである。
図24】サブCPUが制御CPUからコマンドを受信した場合の割込処理を示すフローチャートである。
図25】各種デバイス制御のためのタイマ割込が発生した場合の割込処理を示すフローチャートである。
図26】特別図柄変動表示の過程を示すフローチャートである。
図27】装飾図柄変動表示の過程を示すフローチャートである。
図28】特別遊技の過程を示すフローチャートである。
図29】小当り遊技の過程を示すフローチャートである。
図30】実施例におけるぱちんこ遊技機の前面側における基本的な構造を示す図である。
図31】大入賞口の構成を概略的に示す外観斜視図である。
図32】大入賞口の内部構成を概略的に示す図であり、特に大入賞口の下部領域の構成を示す図である。
図33】カスタム機能の案内画面例を示す図である。
図34】先読みチャンスモードの変更画面例を示す図である。
図35】入球先読みモードの変更画面例を示す図である。
図36】第1実施形態における遊技状態の遷移を示す図である。
図37】第1実施形態における遊技状態の遷移と図柄変動の関係を示す図である。
図38】第2実施形態における遊技状態の遷移と図柄変動の関係を示す図である。
図39】第3実施形態における遊技状態の遷移と図柄変動の関係を示す図である。
図40】第3実施形態におけるステージ背景画像の表示有無と演出設定変更の可否の関係を示す図である。
図41】第4実施形態における演出期間と先読み演出の可否の関係を示す図である。
図42】第5実施形態における演出期間と先読み演出の可否の関係を示す図である。
図43】第6実施形態における遊技状態の遷移を示す図である。
図44】第6実施形態における遊技状態と演出モードの関係を示す図である。
図45】第7実施形態における遊技状態と演出モードの関係を示す図である。
図46】第8実施形態における遊技状態と演出モードの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(前提技術)
本実施例のぱちんこ遊技機においては、従来にいう第1種ぱちんこ遊技機に相当する遊技が複数混在する。その複数の遊技としての第1の遊技と第2の遊技とが、同時に実行されないよう第2の遊技が優先的に実行される。またこれらの遊技性を両立させるために、複数の始動入賞口、複数の特別図柄表示装置、複数の保留ランプを備える。第1の遊技における大当りの出玉より、第2の遊技における大当りの出玉の方がおおむね多くなるように設計される。例えば、第2の遊技の方が確変を伴う大当りとなる確率が高く、また、第2の遊技の方が大当りした際の特別遊技を構成する単位遊技数が多い(大入賞口の開放時間が長い長開放単位遊技と開放時間が短い短開放単位遊技とが一つの特別遊技中に混在し、同一単位遊技数であっても第2の遊技の方が第1の遊技よりも長開放単位遊技の数が多い場合を含む)など、第2の遊技の方が第1の遊技より相対的に利益が高くなる設計がされている。その上で、最初は第1の遊技にて初当りを狙い、第1の遊技における大当りで時短が付与された後は第2の遊技を繰り返し狙って多くの出玉を得る、という遊技性を実現する。
【0011】
図1は、ぱちんこ遊技機の前面側における基本的な構造を示す。ぱちんこ遊技機100は、主に遊技機枠と遊技盤で構成される。ぱちんこ遊技機100の遊技機枠は、外枠101、前枠102、透明板103、扉104、上球皿105、下球皿106、発射ハンドル107、スピーカー108、演出ボタン109、十字キー110、装飾ランプ111を含む。外枠101は、開口部分を有し、ぱちんこ遊技機100を設置すべき位置に固定するための枠体である。前枠102は、外枠101の開口部分に整合する枠体であり、図示しないヒンジ機構により外枠101へ開閉可能に取り付けられる。前枠102は、遊技球を発射する機構や、遊技盤を着脱可能に収容させるための機構、遊技球を誘導または回収するための機構等を含む。
【0012】
透明板103は、ガラスなどにより形成され、扉104により支持される。扉104は、図示しないヒンジ機構により前枠102へ開閉可能に取り付けられる。上球皿105は、遊技球の貯留、発射レールへの遊技球の送り出し、下球皿106への遊技球の抜き取り等をする機構を有する。下球皿106は、遊技球の貯留、抜き取り等の機構を有する。扉104の上部には左右にスピーカー108が設けられており、演出を制御する手段によって遊技状態や演出などに応じた効果音や楽曲の音声を出力する。扉104の外観を構成する樹脂部材の大部分が半透明であり、その透過する内部に装飾ランプ111が設けられる。装飾ランプ111は、演出を制御する手段によって遊技状態や演出などに応じた様々な色で発光するLEDであり、点滅等することで演出の役割を果たす。
【0013】
遊技盤80は、レール82により区画された遊技領域81上に、第1始動口11、第2始動口12、大入賞口20、第1作動口31、第2作動口32、一般入賞口33、アウト口34、演出表示装置60、センター飾り64を含む。センター飾り64は、遊技領域81の略中央部とその上部および右部にわたって演出表示装置60の画面枠を形成するように設けられる装飾的な樹脂部材であり、遊技球の流路、演出表示装置60の保護、装飾等の機能を有する。センター飾り64の下部には流入した遊技球が転動するステージ65が形成され、その転動の仕方によってステージ65からの落下方向は第1始動口11へ入球する方向と第1始動口11に入球しない側方の方向とに振り分けられる。センター飾り64の上部には、演出内容に沿って駆動されて演出的な動作をする可動役物66が設けられる。遊技領域81には、遊技球の流路を形成するための図示しない複数の遊技釘や風車などの機構が設置される。なお、本明細書において「入球」「入賞」「落入」は相互に同義としてもよい。また、各入賞口や各入球口は、遊技球が通過するタイプの「通過口」(「ゲート」や「スルーチャッカー」等とも呼ぶ)で構成される場合があってもよく、「入球」「入賞」「落入」と「通過」もまた相互に同義としてもよい。
【0014】
第1始動口11は第1の遊技に対応する始動入賞口として設けられ、第2始動口12は第2の遊技に対応する始動入賞口として設けられる。第1始動口11と第2始動口12は、遊技者の意思にしたがった遊技球の発射強弱によって一方への入球を狙うことが可能となるように構成される。第1始動口11は、遊技領域81における略中央下部に設けられ、第2始動口12は、第1始動口11の直下に設けられる。左打ち、すなわちセンター飾り64の左側通路へ流れるように狙って相対的に弱めに打球した場合は第1始動口11および第2始動口12に入球可能ないし入球容易である一方、右打ち、すなわちセンター飾り64の右側通路へ流れるように狙って相対的に強めに打球した場合は第2始動口12には入球可能ないし入球容易であるが第1始動口11には入球不能ないし入球困難となるように遊技釘の配置による流路が形成される。ただし、通常時には第2始動口12の開口部上方が第1始動口11に覆われて遊技球の流入が妨げられることから、第2始動口12の拡開機構が開放されない限り第2始動口12には入球不能ないし入球困難である。当否抽選は、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定する抽選であり、第1始動口11または第2始動口12へ入球があるたびに実行される。
【0015】
なお、第1始動口11および第2始動口12は、遊技球の発射強弱によっていずれかを目標にした打ち分けが可能な程度に互いに離れた位置に設けられてもよい。第1始動口11と第2始動口12は、それぞれ遊技領域81の左側と右側に離して設置され、一方を狙った遊技球が他方へ入球しがたい構成としてもよい。たとえば、第1始動口11は、左打ち、すなわちセンター飾り64の左側通路へ流れるように狙って比較的弱めに発射したときに入球可能ないし入球容易となるような位置に設けられる。第2始動口12は、右打ち、すなわちセンター飾り64の右側通路へ流れるように狙って比較的強めに発射したときに入球可能ないし入球容易となるような位置に設けられる。
【0016】
第1始動口11は、第1始動入賞検出装置16を備える。第1始動入賞検出装置16は、第1始動口11への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す第1始動入賞情報を生成する。第2始動口12は、第2始動入賞検出装置17と、拡開機構である普通電動役物90(いわゆる電動チューリップ)と、普通電動役物90を開閉させるための普通電動役物ソレノイド91を備える。第2始動入賞検出装置17は、第2始動口12への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す第2始動入賞情報を生成する。
【0017】
第1作動口31は、遊技領域81の左側方位置に設けられ、第1通過検出装置36を含む。第1通過検出装置36は、第1作動口31への遊技球の通過を検出するセンサであり、通過時にその通過を示す通過情報を生成する。第2作動口32は、遊技領域81の右側方位置に設けられ、第2通過検出装置37を含む。第2通過検出装置37は、第2作動口32への遊技球の通過を検出するセンサであり、通過時にその通過を示す通過情報を生成する。第1作動口31または第2作動口32への遊技球の通過は普通電動役物90を拡開させるか否かを決定する開放抽選の契機となる。第1作動口31または第2作動口32を遊技球が通過すると、開放抽選の判定結果を示す図柄である普通図柄が普通図柄表示部45に変動表示される。したがって、開放抽選は「普通図柄抽選」とも呼ぶ。変動開始から所定時間の経過後に、普通図柄の変動表示が停止する。普通図柄が当りの図柄で停止すると、普通電動役物ソレノイド91の駆動力により普通電動役物90が拡開され、第2始動口12への入球可能性が高まる。なお、変形例として作動口の個数を1個とし、遊技領域81の左側方位置に設ける構成としてもよい。
【0018】
3つの一般入賞口33は、遊技球の入球を検出するための一般入賞検出装置38をそれぞれ備える。一般入賞検出装置38は、一般入賞口33への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す一般入賞情報を生成する。
【0019】
大入賞口20は、遊技球の入球を検出するための大入賞検出装置25と、大入賞口20を開閉させるための大入賞口ソレノイド92を備える。大入賞検出装置25は、大入賞口20への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す大入賞口入賞情報を生成する。大入賞口20は、第1特別図柄51または第2特別図柄52が所定の態様にて停止したときに「大当り」として開放状態となる横長方形状の入賞口である。大入賞口20はアウト口34の右上方の位置に設けられる。なお、変形例として大入賞口を遊技領域81の中央下部や大入賞口20の上方または下方にさらにもう一つ設け、複数の大入賞口が設けられる構成としてもよい。アウト口34は、各入賞口のいずれにも入球しなかった遊技球が排出される排出口であり、アウト検出装置39を備える。アウト検出装置39は、アウト口34を通過して排出される遊技球を検出するセンサであり、検出時にその検出を示す排出情報を生成する。アウト口34は、各入賞口のいずれにも入球しなかった遊技球がすべて誘導されて通過し得るよう、遊技領域81の中央最下端部に設けられる。アウト口34の球詰まりを防止するために十分な幅の遊技球通路を確保しつつ、アウト検出装置39を複数個並べて設ける仕様としてもよい。
【0020】
遊技盤80における遊技領域81の外側下方に、図柄等表示ユニット120が配置される。図柄等表示ユニット120には、第1特別図柄表示部41、第2特別図柄表示部42、第1特図保留表示部71、第2特図保留表示部72、普通図柄表示部45、普図保留表示部75、遊技状態表示部76、異常報知部77等の各表示部が設けられる。具体的には、第1の遊技に対応する第1特別図柄表示部41と第2の遊技に対応する第2特別図柄表示部42とが左側下位置に左右に並設され、第1特別図柄51および第2特別図柄52の変動が表示される。
【0021】
第1特別図柄51は、第1始動口11への遊技球の入球を契機とする第1当否抽選の判定結果に対応した図柄であり、所定の当り態様にて停止されたときに特別遊技としての大当りが発生する。第2特別図柄52は、第2始動口12への遊技球の入球を契機とする第2当否抽選の判定結果に対応した図柄であり、所定の当り態様にて停止されたときに特別遊技としての大当りが発生する。第1特別図柄表示部41および第2特別図柄表示部42は、例えば「8の字」を形成する7個のセグメントおよび「ドット」を表す1個のセグメントの8個のセグメントからなる8セグメントLEDの表示装置である。8セグメントLEDでは、8個のセグメントを組み合わせることにより8ビット分の数値を表現できる。セグメントの組合せで表される第1特別図柄51および第2特別図柄52は、必ずしも文字や数字の体をなしておらず、各セグメントの組合せで形成される一般に意味を持たない記号であってよい。これらの記号が高速で次々に入れ替わって第1特別図柄表示部41および第2特別図柄表示部42へ表示され、または、所定の表示(例えば「-」)と非表示(例えば全消灯)とが所定時間繰り返された後に判定結果に対応した図柄が表示されることにより、第1特別図柄51および第2特別図柄52の図柄変動表示が実現される。なお、第1特別図柄表示部41および第2特別図柄表示部42を8セグメントLEDではないLEDドットアレーを用いて、その点灯パターンや点灯色の組合せで複数種類の第1特別図柄51および第2特別図柄52を表現してもよい。
【0022】
また、第1特別図柄51および第2特別図柄52は必ずしも演出的な役割をもつことを要しないため、本実施例では遊技領域81の左下方の第1特別図柄表示部41および第2特別図柄表示部42にて目立たない大きさで表示させる。ただし、特別図柄自体に演出的な役割をもたせることで装飾図柄を用いずに表現する手法を採用する場合には、特別図柄を8セグメントLEDではなく、例えば液晶ディスプレイ等の他の表示装置に表示させる構成としてもよい。
【0023】
第1特別図柄表示部41の上方には第1の遊技に対応する特別図柄変動の保留ランプとして第1特図保留表示部71が設けられ、第2特別図柄表示部42の上方には第2の遊技に対応する特別図柄変動の保留ランプとして第2特図保留表示部72が設けられる。第1特図保留表示部71は2個のランプからなり、その点灯個数または点滅個数によって第1の遊技における当否抽選値の保留されている数(以下、当否抽選値の保留されている数を単に「保留数」ともいう)を表示する。第1特図保留表示部71における保留数は、第1特別図柄51の変動中または特別遊技の実行中に第1始動口11へ入賞したことに基づいて抽選値を取得した回数(個数)であり、図柄変動がまだ実行されていない入賞球の数を示す。第2特図保留表示部72も2個のランプからなり、その点灯個数または点滅個数によって第2の遊技における保留数を表示する。第2特図保留表示部72における保留数は、第2特別図柄52の変動中または特別遊技の実行中に第2始動口12へ入賞したことに基づいて抽選値を取得した回数(個数)であり、図柄変動がまだ実行されていない入賞球の数を示す。当否抽選値の保留数は、演出表示装置60の画面下部にも保留ランプ画像の点灯個数で表す形で表示される。
【0024】
図柄等表示ユニット120における右側には、普通図柄表示部45が設けられる。普通図柄表示部45は、便宜上、二つのランプで構成されるとともに、それらの点灯組合せによって普通図柄の表示状態が表現される。まず、第1のランプと第2のランプを同時に点滅表示させることにより普通図柄の変動が表現され、最終的には第1のランプと第2のランプの点灯状態の組合せで普通図柄の停止図柄が表現される。例えば、第1のランプの点灯と第2のランプの消灯で外れの停止図柄が表現され、第1のランプの消灯と第2のランプの点灯で第1の当り態様が表現され、第1のランプと第2のランプの両方の点灯で第2の当り態様が表現される。
【0025】
また、普通図柄表示部45の右側には普通図柄変動の保留ランプとして普図保留表示部75が設けられる。普図保留表示部75もまた2個のランプからなり、その点灯個数または点滅個数によって普通図柄変動の保留数を表示する。普通図柄変動の保留数は、普通図柄の変動中に第1作動口31または第2作動口32を通過した遊技球の個数であり、普通図柄の変動がまだ実行されていない普通図柄抽選の数を示す。
【0026】
なお、図柄等表示ユニット120には遊技状態表示部76、異常報知部77が設けられている。遊技状態表示部76は、後述する特定遊技状態等の遊技状態に対応した表示をする表示部であり、例えば1つのランプと1つの7セグメントLEDで構成される。例えば、確率変動中の場合にランプを点灯表示、入球容易状態中の場合に点滅表示、通常状態の場合に消灯表示することにより各遊技状態を報知し、特別遊技の実行中は7セグメントLEDによりその特別遊技で実行する単位遊技数(ラウンド数)を表示する。異常報知部77は、遊技機の一部の異常を報知する表示部であり、例えば複数のランプで構成され、異常の種類に応じた点灯パターンにより異常を報知する。なお、これらの表示部を図柄等表示ユニット120に集約配置せず、各表示部を個別に構成してもよいし、または、適宜まとめた複数の表示装置に分けて構成してもよい。また、特定遊技状態等の遊技状態の報知は、例えば電源断から復帰した後の一定時間といった所定期間に限りなされるよう構成してもよい。
【0027】
遊技領域81の略中央にはセンター飾り64により形成される画面枠から画面が露出するように演出表示装置60が設けられ、第1特別図柄51または第2特別図柄52に連動する装飾図柄61を含む演出画像の変動を表示する。以下、そうした表示を「図柄変動」または「変動表示」等という。
【0028】
演出表示装置60は、第1特別図柄51または第2特別図柄52の変動表示と連動する形で装飾図柄61を変動表示する液晶ディスプレイで構成される表示装置である。装飾図柄61は、第1特別図柄51および第2特別図柄52で示される抽選の判定結果表示を視覚的に演出するための図柄である。演出表示装置60は、装飾図柄61として、例えばスロットマシンのゲームを模した複数列の図柄を変動させる動画像を画面の中央領域に表示する。本実施例においては、「0」~「9」の数字で構成される図柄を3列に表示して変動させ、最終的に停止表示される3個の図柄組合せによって当りまたは外れを示す。装飾図柄61を構成する複数図柄のそれぞれは、色彩や模様の装飾が施された数字、文字、または記号で構成されるが、これら数字、文字、記号に対して全図柄に共通する絵柄または図柄ごとに異なる絵柄を加えて一体化させる形で構成されてもよい。この絵柄は、ぱちんこ遊技機100の当該機種に設定された装飾または演出のテーマに関連するモチーフが描かれた絵柄であり、例えば人物や動物のキャラクタが描かれた絵柄であってもよい。装飾図柄61は、絵柄が一体的に含まれる図柄が変動表示される場合と、絵柄が分離して数字、文字、記号の部分のみが変動表示される場合とが、演出の展開に沿って切り替えられる構成であってもよい。装飾図柄61の変動表示の背景には、ぱちんこ遊技機100の当該機種に設定された装飾または演出のテーマに関連する演出的効果を有する動画像が図柄変動と連動して表示される。
【0029】
演出表示装置60は、高精細なドットマトリクス型表示装置である液晶ディスプレイで構成されるが、その表示領域の横幅は遊技領域の横幅の半分程度であってもよいし、半分を超える大型サイズであってもよい。大型サイズの場合、演出表示装置の右側の遊技球通路は遊技球1個が通過できる程度の通路幅にて形成され、遊技者はいわゆる「右打ち」として最大強度で打ち出せばほぼ確実に右側通路へ遊技球を通過させることができ、いわゆる「左打ち」との打ち分けができる。演出表示装置60は、単一の表示装置で構成される場合だけでなく、複数の表示装置の組合せで構成されてもよい。複数の場合、メイン液晶とサブ液晶の組合せといった大小異なる大きさのディスプレイを組み合わせてもよく、サブ液晶はメイン液晶に隣接する位置に配置されてもよいし、遊技盤以外の位置、例えば発射ハンドルの近傍(上球皿、右側装飾ランプなど)に設置されてもよい。発射ハンドルの近傍に設置される場合、遊技者が操作入力可能なタッチパネルの形で構成されてもよい。演出表示装置60は、液晶ディスプレイに限らず、有機ELディスプレイなどの表示装置で構成されてもよいし、ドラム回転式などの機械的表示手段やLEDマトリクス式などの表示手段で構成されてもよい。
【0030】
演出ボタン109は、遊技者が演出内容に応じて遊技機へ所定の指示を入力するために押下する操作入力手段であり、その押下態様に応じて演出内容等に変化が加えられる。演出ボタン109は、前枠102に設けられる。演出ボタン109は、通常、前枠102内に格納されているが、演出ボタン109の裏側には棒状の部材が取り付けられており、棒状の部材と演出ボタン109とを盤面に略垂直な方向に突出させることができるように設けられる。棒状の部材と演出ボタン109は、外部に突出した状態において演出レバー112として機能し、遊技者は演出ボタン109を握持して演出レバー112を下方へ引くことができるようになっている。これによっても、遊技者が遊技機へ所定の指示を入力することができる。十字キー110は、遊技者が遊技機へ方向指示を入力する操作入力手段であり、上球皿105の左方の外壁面に設けられる。
【0031】
以上のような構成の遊技機においてなされる遊技の方法および制御の流れを概説する。遊技者が発射ハンドル107を手で回動させると、その回動角度に応じた強度で上球皿105に貯留された遊技球が1球ずつレール82に案内されて遊技領域81へ発射される。遊技者が発射ハンドル107の回動位置を手で固定させると一定の時間間隔で遊技球の発射が繰り返される。遊技領域81の上部へ発射された遊技球は、複数の遊技釘や風車、センター飾り64等に当たりながらその当たり方に応じた方向へ落下する。遊技球が一般入賞口33、第1始動口11、第2始動口12、大入賞口20の各入賞口へ落入すると、その入賞口の種類に応じた賞球が上球皿105または下球皿106に払い出される。一般入賞口33等の各入賞口に落入した遊技球はセーフ球として処理され、アウト口34に落入した遊技球はアウト球として処理される。セーフ球の排出はアウト検出装置39による検出の対象外とする仕様としてもよいし、セーフ球もアウト検出装置39が設けられた領域に誘導してその排出をすべてアウト検出装置39により検出する仕様としてもよい。あるいは、セーフ球の誘導およびアウト検出装置39によるセーフ球の検出はせず、セーフ球の検出球数をアウト球の検出球数に加算した合計を排出球数とする仕様としてもよい。
【0032】
また、第1作動口31または第2作動口32を遊技球が通過すると、普通図柄表示部45において普通図柄が変動表示され、表示に先だって決定された変動表示時間の経過後に停止表示される。普通図柄が第1の当り態様または第2の当り態様で停止表示された場合、停止表示された図柄の当り態様と停止表示された際の遊技状態に基づいて普通電動役物90を拡開する。すなわち、図柄停止時の遊技状態が通常遊技状態で、普通図柄が第1の当り態様で停止表示した場合には、普通電動役物90の開放として0.1秒間の短開放が実行される。また、特定遊技状態(例えば入球容易状態)時に普通図柄が第1の当り態様で停止表示した場合、通常時および特定遊技状態(例えば入球容易状態)時に普通図柄が第2の当り態様で停止表示した場合には、普通電動役物90の開放として6秒間の長開放が実行される。ここで、普通図柄の当選確率と長開放の実行確率は、遊技状態によって異なるように設定される。具体的には、通常状態における開放抽選では、1/100の確率で普通図柄が当りとなり、その場合の短開放の実行確率(第1の当り態様の当り図柄が選択される確率)は1/3、長開放の実行確率(第2の当り態様の当り図柄を選択する確率)は2/3に設定される。また、特定遊技状態(例えば入球容易状態)における開放抽選では、99/100の確率で普通図柄が当りとなり、第1の当り態様と第2の当り態様の選択確率は通常遊技状態と変わらないものの、いずれの態様で当選しても長開放が実行されるように設定される。このように入球容易状態では普通図柄の当り確率の変動機能(1/100から99/100に確率変動)と開放時間の延長機能(第1の当り態様で停止表示した場合の開放時間を0.1秒から6.0秒に延長)により、第2始動口12への入球容易性を高めている。なお、普通電動役物90の作動期間を延長させる機能(長開放)を「開放延長」と呼ぶこともある。
【0033】
なお、上述のように通常状態では長開放となる確率の方が短開放の確率より高い仕様とすることで、普通図柄の当選時には通常状態でも一定の割合で長開放が実行されるようにする。変形例として、通常状態では逆に短開放となる確率の方が長開放の確率より高い仕様としてもよいし、両者の確率を同じにする仕様としてもよいし、必ず短開放となる仕様としてもよい。また、入球容易状態のときには、さらに普通図柄の変動時間の短縮機能を加えた3つの機能を用いて第2始動口12への入球容易性を高める構成としてもよい。その場合の普通図柄の変動時間は、例えば通常状態では10秒間であり、入球容易状態では2秒間である。なお、通常状態における開放抽選の当り確率をゼロ(0/100)に設定し、入球容易状態において開放抽選がなされた場合に限り普通電動役物90が拡開されうる仕様としてもよい。さらに、普通電動役物90が拡開するときはその旨を事前に報知してもよく、普通図柄変動の保留を先読みして普通図柄の変動開始前に報知してもよいし、普通図柄の変動中に報知してもよい。
【0034】
第2始動口12の普通電動役物90を長開放させるときの開放態様の変形例としては、短開放時より長い2秒開放を3回繰り返すことにより総開放時間を6秒程度にまで長くする態様としてもよい。また、開放時間と開放回数の組合せを複数通り用意し、いずれかを選択する構成としてもよい。例えば2秒開放を3回の場合、6秒開放を1回の場合と比較して総開放時間は同じであるが、インターバル期間も含めると前者は後者より長い。そのため、特に第2始動口12を右打ちの方向に配置する変形例の構成では、開放に気がついた遊技者がその時点から打球方向を第2始動口12に合わせたとして前者の方が入球チャンスが長いともいえる。また、普通図柄の当り種類が複数存在するように構成し、その当り種類に応じて拡開機構の開放態様が異なるようにしてもよい。例えば、普通図柄が第1の当りとなった場合、通常状態では0.1秒開放を1回、入球容易状態では1秒開放を3回とし、第2の当りとなった場合、通常状態では6秒開放を1回、入球容易状態では2秒開放を2回としてもよい。
【0035】
一方、第1始動口11または第2始動口12に入球すると、第1特別図柄表示部41、第2特別図柄表示部42および演出表示装置60において第1特別図柄51、第2特別図柄52、および装飾図柄61が変動表示される。第1特別図柄51、第2特別図柄52、および装飾図柄61の変動表示は、表示に先だって決定された変動表示時間の経過後に停止される。第1特別図柄51および第2特別図柄52は、その変動開始から停止までの変動態様が定められた変動パターンにしたがって変動表示される。装飾図柄61は、その変動開始から停止までの変動態様が定められた変動演出パターンにしたがって変動表示される。変動パターンおよび変動演出パターンはそれぞれ複数種ずつ用意され、それぞれが長短様々な変動時間をもつ。変動パターンにしたがって第1特別図柄51および第2特別図柄52が変動表示される間、同じ変動時間をもつ変動演出パターンにしたがって装飾図柄61が変動表示される。変動パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動表示時間が定められており、その変動表示時間の経過時に第1特別図柄51、第2特別図柄52、および装飾図柄61の変動が停止される。以下、変動演出パターンにしたがって表示される装飾図柄61の変動表示を例示するとともに、変動演出パターンについて簡単に説明する。なお、変動パターンおよび変動演出パターンの決定方法等の詳細は別途説明する。
【0036】
装飾図柄61の変動表示の一例としては、まず変動開始とともにスロットマシンのリール回転のように3列とも図柄を変動させ、変動終了タイミングへ近づいたときに一列ずつ停止させることで最終的な停止態様としての図柄組合せを表示する。なお、装飾図柄190の変動停止時の動作として、1列ずつではなく複数列同時に停止させるよう制御して変動表示中に装飾図柄以外の演出表示を注目させてもよいし、より短い変動時間で図柄変動を表示できるようにしてもよい。また、装飾図柄190の変動開始時の動作として当該変動におけるその後の展開(演出パターンの種類等)に応じて一部の列の変動開始を遅延させるように制御して、期待感を演出するようにしてもよい。
【0037】
次に、変動演出パターンについて簡単に説明する。変動演出パターンには、通常外れ演出パターン、リーチ外れ演出パターン、リーチ大当り演出パターンが含まれる。通常外れ演出パターンは、通常の外れの図柄組合せを表示するときの演出パターンである。リーチ外れ演出パターンは、あと一つ図柄が揃えば大当りとなる状態であるリーチ状態を経て外れの図柄組合せを表示するときの演出パターンである。リーチ大当り演出パターンは、リーチ状態を経て大当りの図柄組合せを表示するときの演出パターンである。特に、リーチ状態を経るときのパターンとしては、長短様々な変動時間をもつパターンが含まれ、相対的に変動時間の短いリーチパターンを「ノーマルリーチ」と称し、変動時間の長いリーチパターンを「スーパーリーチ」と称する。通常外れ演出パターン、リーチ外れ演出パターン、リーチ大当り演出パターンは、それぞれ通常状態にて表示する通常のパターンと、時短状態において表示する時短用パターンとがある。ただし、通常状態であっても、第2始動口12への入球に対応する第2図柄変動であった場合は、大当りが確変を伴う確率や特別遊技の単位遊技数が多くなる確率が第1始動口11への入球に対応する第1変動より高いチャンス状態といえるため、相対的に有利な大当りが発生するチャンスであることを表示するチャンス演出用のパターンを用いてもよい。なお、実施例では時短状態において時短用のパターンを用いるが、確変状態では時短を伴うため、確変状態においても時短用パターンが用いられる。ただし、変形例では確変状態において時短用とは異なる確変用のパターンを用いる仕様としてもよい。あるいは、時短用と確変用で共通のパターンを用いる仕様としてもよいし、時短用のパターンは特に用いずに確変状態において確変用のパターンを用いる仕様としてもよい。
【0038】
なお、当否抽選の保留数が所定数(例えば3個)になると、遊技効率を高めるために外れの場合の図柄変動時間が通常より短縮される(以下、「短縮変動」ともいう)。同様に、当否抽選の保留数が4個になると、さらに遊技効率を高めるために外れの場合の図柄変動時間が上記3個の場合よりもさらに短縮される(以下、「超短縮変動」ともいう)。上述の図柄変動を経て、停止時の第1特別図柄51、第2特別図柄52、および装飾図柄61が大当りを示す停止態様となった場合、通常遊技よりも遊技者に有利な遊技状態である特別遊技に移行し、大入賞口20の開閉動作が開始される。大当りを示す装飾図柄61の停止態様は、例えば3つの図柄の種類が一致する組合せの態様である。
【0039】
特別遊技には通常特別遊技と短縮特別遊技の2種類があり、それぞれ獲得賞球による利益に大きな差が生じる。通常特別遊技は、開始デモ時間と呼ばれる演出画面の表示によって開始される。開始デモ時間の画面表示後に大入賞口20が開放され、その開放が約30秒間続いた後、または9球以上の遊技球が落入した後で一旦閉鎖される。このような大入賞口20の開放から閉鎖までが、基本的には単位遊技と呼ばれるが、1回の単位遊技の間に複数回の短時間の開放を繰り返す場合があってもよい。大入賞口20の開閉ないし単位遊技が所定回数、例えば4回または10回繰り返された後、終了デモ時間と呼ばれる演出画面の表示によって通常特別遊技が終了される。通常特別遊技においては、1回の単位遊技あたり9球以上の入球が十分に期待でき、10回分の単位遊技によって十分な賞球(これを「出玉」ともいう)を獲得でき、大きな利益が得られる。10回の単位遊技が繰り返される特別遊技を適宜「10R大当り」とも称し、4回の単位遊技が繰り返される特別遊技を適宜「4R大当り」とも称する。なお、単位遊技は10回繰り返されるものの、一部の単位遊技で大入賞口20を通常よりも短い時間(例えば1.6秒)開放させることで実質的に少数回の単位遊技が繰り返されたものと同様の通常特別遊技(「実質nR大当り」と称する場合もある)を実現することもできる。
【0040】
一方、短縮特別遊技は、開始デモ時間および終了デモ時間が短く、または、ほとんどなく(0.1秒など)、1回の単位遊技で大入賞口20を1.6秒間だけ開放させる。この単位遊技を2回繰り返して短縮特別遊技が終了される。短縮特別遊技では、ごく短時間の大入賞口20の開放を2回繰り返すだけであるため、大入賞口20にはほとんど入球し得ず、実質的に出玉がほぼゼロまたは少数(例えば数球~数10球程度など、1ラウンドに1~2球程度までの入球に応じた払出数)に等しい特別遊技である。2回の単位遊技が繰り返される特別遊技を適宜「2R大当り」とも称する。なお、単位遊技の回数は通常特別遊技と同じものの、全ての単位遊技で大入賞口20を通常よりも短い時間開放させることで短縮特別遊技を実現することもできる。
【0041】
また、上述の図柄変動を経て、停止時の第1特別図柄51または第2特別図柄52および装飾図柄61が所定の小当り態様であった場合、1回の単位遊技で構成される小当り遊技に移行し、大入賞口20の開閉動作が実行される。小当り遊技を構成する1回の単位遊技においては、大入賞口20が約1.6秒間だけ開放され、外観上は2R大当りと近似する動作態様となる。
【0042】
特別遊技が発生した場合であってそのときの当り停止図柄が特定の態様(例えば「777」)であった場合、特別遊技の終了後に特定遊技の一つである確変がさらに開始される。確変中は、通常の確率状態より当りの確率が高い当否抽選が行われ、比較的早期に新たな特別遊技が発生し得る。なお、当否抽選の判定結果が特定大当り、すなわち確変を伴う大当りであったことは外観上明示せず、装飾図柄や演出内容として明示的に報知しない潜伏確変状態としてもよい。その場合、確変中であっても確変であるか非確変であるかが演出表示装置60には明示されない。なお、所定条件が成立した場合に確変であるか非確変であるかを演出表示装置60に明示してもよい。
【0043】
特別遊技が終了した後の通常遊技において特定遊技状態の一つである入球容易状態が開始される。入球容易状態では、開放抽選の当り確率を通常より高めるとともに、普通電動役物90の拡開時間を長開放とする開放延長を実行する。一定時間あたりの普通図柄の当り回数が増加し得る上、第2始動口12への入球容易性も増すため、第2始動口12への入球数が増加する可能性も高い。したがって、第2始動口12への入球による賞球を得られる機会が増加する結果、持ち玉をほとんど減らさないか、あるいは少しずつ持ち玉を増やしながら遊技し続けることが可能となる。
【0044】
入球容易状態においては、特定遊技状態の一つとして、第1特別図柄51、第2特別図柄52、装飾図柄61の変動時間が通常状態よりも短縮される、いわゆる時短がさらに実行される。第1特別図柄51、第2特別図柄52、装飾図柄61の変動時間は、所定の変動回数、例えば100回の変動表示がなされた後で元の変動時間に戻されるが、その変動回数に達する前に大当りが発生すれば時短もいったん終了する。時短において第1特別図柄51、第2特別図柄52、装飾図柄61の変動時間が短縮されるため、通常の変動時間のまま図柄変動がなされる通常状態の場合と比べて、大当りが発生するまでの時間を短縮することができ、大当りの獲得容易性を相対的に高めることができる。変形例では、入球容易状態において特別図柄の時短を実施しない仕様としてもよい。
【0045】
図2は、ぱちんこ遊技機の背面側における基本的な構造を示す。電源スイッチ150は、ぱちんこ遊技機100の電源をオンオフするスイッチである。メイン基板200は、ぱちんこ遊技機100の全体動作を制御し、とくに第1始動口11、第2始動口12へ入賞したときの抽選等、遊技動作全般を処理する。サブ基板300は、液晶ユニット151を備え、演出表示装置60における表示内容を制御し、特にメイン基板200による判定結果に応じて演出的な表示内容を変動させる。裏セット機構152は、賞球タンク153や賞球の流路、賞球を払い出す払出装置154等を含む。払出装置154は、各入賞口への入賞に応じて賞球タンク153から供給される遊技球を上球皿105へ払い出す。払出制御基板155は、払出装置154による払出動作を制御する。発射装置156は、上球皿105の貯留球を遊技領域81へ1球ずつ発射する。発射制御基板157は、発射装置156の発射動作を制御する。電源基板158は、ぱちんこ遊技機100の各部へ電力を供給する。メイン基板200の基板上には、性能表示部159が設けられる。性能表示部159は、セーフ球とアウト球の合計である発射球総数に対する総賞球数の比率を、例えば4桁の数字を表示する4つの7セグメントLEDで構成される。
【0046】
メイン基板200の基板上には、設定変更装置170が設けられる。設定変更装置170は、複数の遊技仕様に対応する複数の設定(遊技設定ともいう)のいずれかに設定を変更するための装置である。遊技設定として例えば6段階の設定(設定1~設定6)が用意され、遊技設定に応じて大当りとなる確率を異ならせることができる。具体的には、設定1から設定6のうち数値が大きいほど遊技者に有利な遊技仕様にでき、設定1から設定6までの大当り確率のそれぞれをM1~M6とした場合、M1≦M2≦M3≦M4≦M5≦M6となるように各設定の大当り確率を定めることができる。異なる遊技設定に対して異なる大当り確率を割り当てることは必須ではなく、異なる遊技設定間で大当り確率が同一となるようにしてもよい。例えば、設定1から設定6までの全ての遊技設定に対して同一の大当り確率を割り当ててもよい。
【0047】
設定変更装置170は、遊技店の従業員が持つ設定キーを挿入する設定キーシリンダ171と、複数の遊技設定のいずれかに設定を変更するための設定変更ボタン172と、設定された設定値を点灯表示する設定表示部173と、設定された設定値を記憶する設定メモリとを含む。設定キーシリンダ171は、設定を変更できる状態(以下「設定変更状態」という)や設定を確認できる状態(以下「設定確認状態」という)へ移行するためのターンキー型のスイッチである。まず、電源スイッチ150をオフにし、設定キーシリンダ171に設定キーを挿入して設定キーを回してオン状態にしてから、電源スイッチ150をオンにすると、設定変更状態または設定確認状態へ移行する。設定変更状態へ移行するためには、RAMクリアスイッチ(「RWMクリアスイッチ」と呼称する場合もある)を押下しながら電源スイッチ150をオンにする。一方、設定確認状態へ移行するには、RAMクリアスイッチを押下せずに電源スイッチ150をオンにする。
【0048】
設定変更状態へ移行した場合、設定表示部173に遊技設定の初期値として設定1を示す「1」の数字が表示され、設定変更ボタン172を押下することで設定を変更できる。設定表示部173は、1桁の数字を表示する7セグメントLEDで構成される。設定変更ボタン172を1回押下するごとに設定表示部173に表示される設定値が1→2→3→4→5→6→1→・・・というように順番に変更される。設定を変更した後に設定キーシリンダ171に挿入した設定キーを元に戻してオフ状態にすると、そのときに設定表示部173に表示されている設定値が設定メモリに記憶されて設定変更が確定し、遊技可能な状態となる。一方、設定確認状態へ移行した場合、設定メモリに記憶された設定値が設定表示部173に表示される。設定確認状態では、設定変更ボタン172を押下しても設定表示部173に表示される設定値は切り替わらず、設定を変更することはできない。その後、設定キーシリンダ171に挿入した設定キーを元に戻してオフ状態にすると、遊技可能な状態となる。なお、設定キーをオフ状態にして遊技可能な状態にすると、設定表示部173が消灯し、現在の設定値を視認できない状態となる。
【0049】
なお、設定変更ボタン172は、RAMクリアスイッチと兼用されてもよい。この場合、設定キーが回されていない状態(設定キーオフ状態)でRAMクリアスイッチが押されたまま電源投入があれば、RAMクリアが実行される。一方、設定キーが回された状態(設定キーオン状態)でRAMクリアスイッチが押されたまま電源投入があれば、RAMクリアの実行とともに設定変更状態へ移行する。また、設定キーオフ状態でRAMクリアスイッチが押されずに電源投入があれば、RAMクリアを伴わない電源復帰となる。一方、設定キーオン状態でRAMクリアスイッチが押されずに電源投入があれば、設定確認状態へ移行する。また、設定表示部173は、性能表示部159と兼用されてもよい。この場合、兼用表示部は、遊技可能状態の場合には性能表示部159として機能し、設定変更状態または設定確認状態の場合には設定表示部173として機能してもよい。その他、設定変更装置170を設けないこととし、遊技設定の変更が不可となるようにしてもよい。
【0050】
<機能ブロック>
図3は、ぱちんこ遊技機100の機能ブロックを示す。以下、各構成を用いて実現される機能を説明するが、本明細書中では、物理構成と機能構成を整合させるため、例えばメイン基板200、払出制御基板155、発射制御基板157等、物理構成として既に説明している部分については便宜上その用語をそのまま使用する場合がある。
【0051】
ぱちんこ遊技機100は、遊技機外部から供給される交流電源(AC24V等)に基づいて遊技機内で使用する電源を生成する電源基板158と、遊技の基本動作や遊技の進行を制御する主制御装置としてのメイン基板200と、賞球払出しを制御する枠制御装置としての払出制御基板155と、遊技領域への遊技球の発射を制御する発射制御基板157と、演出的な動作や処理を制御する副制御装置としてのサブ基板300とに機能を分担させた形態で構成される。
【0052】
メイン基板200は、第1始動口11、第2始動口12、大入賞口20、第1作動口31、第2作動口32、一般入賞口群(第1一般入賞口33a,第2一般入賞口33b)、アウト口34、図柄等表示ユニット120、外部情報出力端子160と電気的に接続されており、各々との間で各種制御信号を送受信する。払出制御基板155は、メイン基板200、発射制御基板157、払出装置154と電気的に接続されている。払出制御基板155は、メイン基板200から送信される賞球払出やメイン基板200の制御状態を示す信号等に基づいて発射の許可信号を発射制御基板157に送信して発射制御基板157を間接的に制御するとともに、払出装置154による賞球の払出を制御する。払出装置154は、払出モータ166と球計数センサ167を含む。発射制御基板157は、払出制御基板155、発射装置156、球送装置164と電気的に接続されており、払出制御基板155から送信される発射の許可信号等に基づいて球送装置164および発射装置156を制御して遊技球を発射させる。サブ基板300は、演出表示装置60、可動役物66(駆動モータ67、位置検出センサ68)、スピーカー108、演出用入力操作装置115(演出ボタン109、十字キー110)、装飾ランプ111と電気的に接続されており、各々との間で各種制御信号を送受信する。
【0053】
メイン基板200とサブ基板300の間におけるデータの送受信はメイン基板200からサブ基板300への一方向となるよう一方向でのデータ送受信にて全体動作を実現するための各構成がメイン基板200とサブ基板300に配置される。メイン基板200からサブ基板300へのデータ送信の一方向性が保たれるため、サブ基板300に含まれる構成からメイン基板200に含まれる構成へはデータを送信することができず、データ送信の要求もできない。したがって、サブ基板300は、メイン基板200で生成された情報が送信されない限りその情報を参照することはできない。また、メイン基板200と払出制御基板155の間、払出制御基板155と発射制御基板157の間は、双方向でデータ送受信がなされる。ただし、メイン基板200とサブ基板300の間と同様、メイン基板200から払出制御基板155への一方向でのデータ送受信とする構成や、払出制御基板155から発射制御基板157への一方向でのデータ送受信とする構成にしてもよい。
【0054】
なお、以下に説明するメイン基板200、払出制御基板155、発射制御基板157、サブ基板300に含まれる各機能ブロックはあくまで例示にすぎず、変形例として、一部の機能ブロックが他の基板に搭載されてもよい。例えばメイン基板200に含まれる機能ブロックがサブ基板300に搭載される形で構成してもよいし、発射制御基板157に含まれる機能ブロックが払出制御基板155に搭載される形で構成してもよい。また、例えばメイン基板200に含まれる機能ブロックの一部がメイン基板200に搭載される形で構成してもよいし、残りの部分が払出制御基板155に搭載される等、機能ブロックの一部を複数の基板に分割して設け、全体として1つの機能ブロックが構成されるようにしてもよい。
【0055】
<メイン基板200>
図4は、メイン基板200の機能構成を示すブロック図である。メイン基板200は、入球判定手段201、性能表示部159、乱数生成手段202、第1抽選手段211、第2抽選手段212、事前判定手段235、普図抽選手段213、保留制御手段240、メイン表示制御手段250、特別遊技制御手段260、小当り遊技制御手段265、特定遊技制御手段270、開閉制御手段275、特図調整手段276、メイン初期処理実行手段280、メイン電断処理実行手段282、メインエラー検出手段284、設定変更手段286、設定確認手段287、コマンド通信手段205を備える。
【0056】
<入球判定手段201>
入球判定手段201は、各入賞口への遊技球の入球を判定する。入球判定手段201は、第1始動入賞情報を受け取ると遊技球が第1始動口11に入賞したと判断し、第2始動入賞情報を受け取ると遊技球が第2始動口12に入賞したと判断する。入球判定手段201は、大入賞口入賞情報を受け取ると遊技球が大入賞口20に入賞したと判断し、一般入賞情報を受け取ると遊技球が一般入賞口33に入賞したと判断する。入球判定手段201は、通過情報を受け取ると遊技球が第1作動口31または第2作動口32を通過したと判断する。入球判定手段201は、排出情報を受け取ると遊技球がアウト口34を通過したと判断する。入球判定手段201は、セーフ球とアウト球の合計である発射球総数に対する総賞球数の比率を算出して性能表示部159に表示させる。入球判定手段201は、大当りとなる確率が通常確率状態かつ通常入球状態(いわゆる低確率かつ低入球である低低状態)のときの「払出球数」÷「アウト球数」×100の値を性能表示部159に表示させる。したがって、性能表示部159は、低ベース状態でのベースを表示する。
【0057】
<乱数生成手段202>
乱数生成手段202は、第1抽選手段211、第2抽選手段212、普図抽選手段213での各種決定に用いるための乱数を生成する。具体的には、乱数生成手段202は、第1当否判定手段221、第2当否判定手段222による当否抽選で使用する乱数(「当否抽選値」ともいう)として「0」から「65535」までの範囲の乱数を所定手段により生成する。また、乱数生成手段202は、第1図柄決定手段226、第2図柄決定手段227による図柄決定(図柄抽選)で使用する乱数(「図柄決定抽選値」ともいう)として「0」から「255」までの範囲の乱数を所定手段により生成する。また、乱数生成手段202は、第1変動パターン決定手段231、第2変動パターン決定手段232による変動パターンの決定で使用する乱数(「変動パターン決定抽選値」ともいう)として「0」から「255」までの範囲の乱数を所定手段により生成する。また、乱数生成手段202は、普図抽選手段213による当否抽選で使用する乱数として「0」から「99」までの範囲の乱数を所定手段により生成する。また、乱数生成手段202は、普通図柄の決定の際に使用する乱数として「0」~「2」までの範囲の乱数を所定手段により生成する。なお、ここでいう「乱数」は、乱数生成回路で生成する物理乱数や数学的な意味での真正乱数のほか、16ビットカウンタを利用した乱数や乱数生成アルゴリズムを利用したソフトウェア乱数などの疑似乱数でもよい。またはハードウェア乱数とソフトウェア乱数を組み合わせて生成する乱数でもよい。また、第1抽選手段211および第2抽選手段212で取得する乱数は、同じ生成手段により生成された乱数を取得してもよいし、別の生成手段により生成された乱数を取得してもよい。
【0058】
<普図抽選手段213>
普図抽選手段213は、第1作動口31または第2作動口32を遊技球が通過したときに、普通図柄の当否抽選に用いる乱数と普通図柄の停止図柄決定に用いる乱数とを乱数生成手段202から取得して抽選を実行する。普図抽選手段213は、普通図柄の当否判定のために参照する普通図柄当否判定テーブル(不図示)と、普通図柄表示部45に表示させる普通図柄の停止図柄決定のために参照する普通図柄判定テーブルとを保持する。普通図柄当否判定テーブルには当否抽選用の抽選値と当りとの対応関係が、普通図柄判定テーブルには停止図柄決定用の抽選値と普通図柄との対応関係がそれぞれ定められており、前述した当り確率と図柄の選択確率に基づいて普通図柄の当否および停止図柄が決定される。普図抽選手段213は、普通図柄の当否抽選用の抽選値が当りに該当する場合、普通図柄判定テーブルを参照して普通図柄の停止図柄を決定し、普通図柄の当否抽選用の抽選値が外れに該当する場合はつねに1の外れ図柄の態様を決定する。普通図柄の当否判定の結果が当りに該当し、普通図柄が所定の図柄(第1の当り態様または第2の当り態様)で停止すると、後述する開閉制御手段275が停止図柄の態様と遊技状態に応じて第2始動口12の普通電動役物90を拡開する。拡開時間は、短開放時が0.1秒で、長開放時で6秒である。普通図柄の抽選値は、後述する保留制御手段240により一時的に保留される。ただし、保留制御手段240により保留される所定の保留上限数を超えない場合にだけ抽選値が保留される。
【0059】
<第1抽選手段211および第2抽選手段212>
第1抽選手段211は、第1の遊技に係る第1の抽選を実行する機能として、第1抽選値取得手段216、第1当否判定手段221、第1図柄決定手段226、第1変動パターン決定手段231を含み、第1始動口11への入球に対応する当否抽選として第1当否抽選を実行する。第1抽選手段211による各種の抽選結果に基づき、メイン表示制御手段250により第1特別図柄表示部41において第1特別図柄51の変動表示がなされる。また、コマンド通信手段205から送信される情報に基づき、演出表示装置60の表示領域において装飾図柄61の変動表示がなされる。第2抽選手段212は、第2抽選値取得手段217、第2当否判定手段222、第2図柄決定手段227、第2変動パターン決定手段232を含み、第2始動口12への入球に対応する当否抽選として第2当否抽選を実行する。第2抽選手段212による各種の抽選結果に基づき、メイン表示制御手段250により第2特別図柄表示部42において第2特別図柄52の変動表示がなされる。また、コマンド通信手段205から送信される情報に基づき、演出表示装置60の表示領域において装飾図柄61の変動表示がなされる。
【0060】
<第1抽選値取得手段216および第2抽選値取得手段217>
第1抽選値取得手段216は、第1始動口11への入球を契機に、第1抽選手段211による各種の抽選や決定のための乱数を乱数生成手段202から取得する。具体的には、第1当否判定手段221による当否判定用の第1当否抽選値、第1図柄決定手段226による第1特別図柄51の停止態様決定用の第1図柄抽選値、第1変動パターン決定手段231による第1特別図柄51の変動パターン(変動時間)決定用の第1パターン抽選値をそれぞれ対応する乱数生成手段から取得する。第2抽選値取得手段217は、第2始動口12への入球を契機に、第2抽選手段212による各種の抽選や決定のための乱数を乱数生成手段202から取得する。具体的には、第2当否判定手段222による当否判定用の第2当否抽選値、第2図柄決定手段227による第2特別図柄52の停止態様決定用の第2図柄抽選値、第2変動パターン決定手段232による第2特別図柄52の変動パターン(変動時間)決定用の第2パターン抽選値をそれぞれ対応する乱数生成手段から取得する。
【0061】
第1当否判定手段221は、第1当否抽選値に基づき、特別遊技へ移行するか否かを判定する当否判定を実行する。第2当否判定手段222は、第2当否抽選値に基づき、特別遊技へ移行するか否かを判定する当否判定を実行する。当否判定では、より具体的には、特別遊技へ移行することを示す「大当り」、小当り遊技へ移行することを示す「小当り」、特別遊技および小当り遊技には移行しないことを示す「外れ」、のいずれに該当するかが判定される。第1当否判定手段221および第2当否判定手段222は、当否判定で参照する当否判定テーブルを保持する。なお、図柄変動を開始するにあたって実行する当否判定を、後述する事前当否判定と区別するために、適宜「本判定としての当否判定」とも呼ぶ。なお、本明細書において「テーブル」や「選択基準」というときは、厳密に抽選値などの第1のパラメータと、選択肢を示す値などの第2のパラメータとの対応関係をテーブル構造で定めたデータを指すだけでなく、そのような対応関係として第1のパラメータから第2のパラメータを導出するプログラム構造で実現する場合も広く含むものとする。それらを含めて実質的に「テーブル」と同義の概念として適宜「選択基準」と称する。また、テーブル構造を用いる場合、実質的に1種類となる選択基準を構造的に細分化された複数のテーブルの組合せで構成してもよいが、「複数種の選択基準」というときはその細分化されたテーブルの数ではなくテーブルの実質的な種類の数を示す。
【0062】
第1当否判定手段221および第2当否判定手段222は、当否判定で参照する当否判定テーブルとして、それぞれの当否判定に対応するテーブルを保持する。具体的には、第1当否判定手段221による当否判定用の当否判定テーブル(「第1当否判定テーブル」ともいう)と、第2当否判定手段222による当否判定用の当否判定テーブル(「第2当否判定テーブル」ともいう)を保持し、実行する当否判定に応じて参照するテーブルを選択する。複数の当否判定テーブルには、大当り、小当り、外れの判定結果と当否抽選値とが対応付けられており、対応付けられた大当りの範囲設定に応じて当否確率が定まる。また、複数の遊技設定に対応する複数種類の当否判定テーブルが用意され、例えば設定1から設定6までの遊技設定のそれぞれに対し、当否抽選値と当否判定結果との対応関係が異なる当否判定テーブルが用意される。なお、複数の遊技設定間で大当り、小当り、外れの確率が同一である場合には、複数の遊技設定で共通となる当否判定テーブルが用意されてもよい。
【0063】
図5は、当否判定テーブルを模式的に示す図である。本図は、特定の遊技設定に対応する当否判定テーブルを示し、設定6に対応する当否判定テーブルを示す。本図の当否判定テーブルには、大当り、小当り、外れの判定結果と当否抽選値とが対応付けられており、対応付けられたそれぞれの範囲設定に応じて大当り当否確率や小当りの当否確率が定まる。第1当否判定手段221および第2当否判定手段222は、本判定として当否判定において本図の当否判定テーブルを参照する。第1当否判定手段221による第1当否抽選と第2当否判定手段222による第2当否抽選のいずれにおいても、通常時には当否抽選値が0~299の範囲に該当したときのみ大当りとなる。確変時には大当りの範囲が拡大され、当否抽選値が0~299の範囲に該当する場合だけでなく、300~2999の範囲に該当する場合にも大当りとなる。このように、大当りに該当する範囲は遊技状態に応じて変化する。なお、本図では単一の当否判定テーブルによって通常時と確変時の双方の大当り範囲を示したが、当否判定テーブルは通常時用と確変時用とで別個に用意してもよいし、第1当否抽選用と第2当否抽選用とで別個に用意してもよい。
【0064】
本実施例においては、当否抽選値が大当り範囲に該当しない場合であっても、所定の範囲に該当した場合には小当りとなる。本図の例では、第1当否判定手段221が取得する当否抽選値が56500~65535の範囲に該当した場合に小当りとなり、第2当否判定手段222が取得する当否抽選値が64000~65535の範囲に該当した場合に小当りとなる。すなわち、第2当否抽選よりも第1当否抽選の方が小当りに該当する範囲が広く、小当りが発生しやすい。このように、大当りに該当しなかった場合、本来はすべて「外れ」であるが、本図の例では大当りに該当しなかった場合のうち小当りにも該当しなかった場合の当否抽選値範囲を特に「外れ」と表現している。すなわち、「当否」を「大当りか否か」の観点で捉える場合は、「小当り」は「大当りではない」という意味で広義の「外れ」に含めて考えてもよい。また、「当否」を「当りか否か」の観点で捉える場合には、「小当り」は「大当り」とともに広義の「当り」に含めて考えてもよい。なお、本図では大当りか否かの判定テーブルと小当りか否かの判定テーブルとを単一の当否判定テーブルの形で実現する例を示したが、それぞれを別個のテーブルとして実現してもよい。また、「小当り」については、第1の遊技と第2の遊技の一方のみに設けることとしてもよいし、いずれの遊技にも設けないこととしてもよい。その場合、対応する当否判定テーブルに小当りに対応する値が設定されない。
【0065】
図6は、設定値ごとの当否抽選値の範囲設定を模式的に示す。本図(a)は、第1当否判定手段221が取得する第1当否抽選値と当否判定結果の対応関係を示す。本図(b)は、第2当否判定手段222が取得する第2当否抽選値と当否判定結果の対応関係を示す。通常時および確変時に大当りとなる第1当否抽選値および第2当否抽選値の範囲は、設定値「1」であれば0~294、設定値「2」であれば0~295、設定値「3」であれば0~296、設定値「4」であれば0~297、設定値「5」であれば0~298、設定値「6」であれば、0~299である。したがって、設定値が大きくなるほど通常時に大当りとなる当否抽選値の範囲が増え、通常時に大当りとなる確率が高められる。また、確変時にのみ大当り(つまり、通常時は外れ)となる第1当否抽選値および第2当否抽選値の範囲は、設定値「1」であれば295~2949、設定値「2」であれば296~2959、設定値「3」であれば297~2969、設定値「4」であれば298~2979、設定値「5」であれば299~2989、設定値「6」であれば、300~2999である。したがって、設定値が大きくなるほど確変時に大当りとなる当否抽選値の範囲も増え、確変時に大当りとなる確率も高められる。なお、通常時に大当りとなる通常時大当り確率と、確変時に大当りとなる確変時大当り確率との比は、設定値に拘わらず一定となるように当否抽選値の範囲が定められる。本図では、通常時大当り確率に対して確変時大当り確率が10倍となるように当否抽選値の範囲が定められており、全ての設定値「1」~「6」において共通となっている。また、小当りとなる確率も設定値に拘わらず一定となるように当否抽選値の範囲が定められる。全ての設定値「1」~「6」において、第1当否抽選値の範囲が56500~65535に該当した場合に小当りとなり、第2当否抽選値の範囲が64000~65535に該当した場合に小当りとなる。大当りまたは小当りとなる範囲外の当否抽選値の範囲は「外れ」となる。本図では、設定値ごとに大当り確率を異ならせているが、異なる設定値間で大当り確率が同一となるように当否抽選値と当否判定結果の対応関係を定めてもよい。
【0066】
<第1図柄決定手段226および第2図柄決定手段227>
図4に戻り、第1図柄決定手段226および第2図柄決定手段227は、乱数生成手段202から取得する図柄抽選値と当否判定の結果に基づいて、図柄の変動開始にあたってその停止図柄を決定する。第1図柄決定手段226および第2図柄決定手段227は、特別図柄の停止図柄を決定するために参照する複数の図柄判定テーブルを保持する。具体的には、第1図柄決定手段226は第1当否判定手段221による当否判定の結果に応じた複数の図柄判定テーブルを保持し、第2図柄決定手段227は第2当否判定手段222による当否判定の結果に応じた複数の図柄判定テーブルを保持する。第1当否判定手段221は、大当り時に参照する大当り時第1図柄判定テーブル、小当り時に参照する小当り時第1図柄判定テーブル、外れ時に参照する外れ時第1図柄判定テーブルを保持する。第2当否判定手段222は、大当り時に参照する大当り時第2図柄判定テーブル、小当り時に参照する小当り時第2図柄判定テーブル、外れ時に参照する外れ時第2図柄判定テーブルを保持する。第1図柄決定手段226および第2図柄決定手段227は、当否判定の結果に応じて参照する図柄判定テーブルを選択する。なお、図柄変動を開始するにあたって実行する図柄判定を、後述する事前図柄判定と区別するために、適宜「本判定としての図柄判定」とも呼ぶ。
【0067】
図7は、図柄判定テーブルを模式的に示す図である。図7(a)は当否判定結果が大当りであった場合に参照するテーブルであり、図7(b)は当否判定結果が外れであった場合に参照するテーブルであり、図7(c)は当否判定結果が小当りであった場合に参照するテーブルである。第1図柄決定手段226および第2図柄決定手段227は、本判定として図柄判定において本図の図柄判定テーブルを参照する。各図柄判定テーブルには、特別図柄の種類を示す「0」~「10」の番号と第1図柄抽選値または第2図柄抽選値との対応関係が定められている。特別図柄の種類はそれぞれ大当り、小当り、外れの当否判定結果と対応付けられており、「0」~「4」が大当りに対応し、「5」~「9」が小当りに対応し、「10」が外れに対応する。各種類には複数の特別図柄、すなわちセグメントの組合せで形成される一般に意味を持たない記号が複数割り当てられている。
【0068】
図7(a)に示す通り、特別図柄の種類「0」~「4」が大当りおよび大当り後の確率変動の有無に対応付けられている。具体的には、種類「0」は特定大当りとして確変を伴う10R大当りを示し、第1図柄抽選値の場合は「0~99」に対応付けられ、第2図柄抽選値の場合は「0~144」に対応付けられる。種類「1」は特定大当りとして確変を伴う4R大当り(または「実質4R当り」)を示し、第1図柄抽選値の場合は「100~149」に対応付けられ、第2図柄抽選値の場合は「145~149」に対応付けられる。種類「2」は確変を伴う2R大当りを示し、第1図柄抽選値および第2図柄抽選値がともに「150~189」に種類「2」が対応付けられる。種類「3」は通常大当りとして確変を伴わない10R大当りを示し、第1図柄抽選値および第2図柄抽選値がともに「150~189」に種類「3」が対応付けられる。種類「4」は通常大当りとして確変を伴わない4R大当りを示し、第1図柄抽選値および第2図柄抽選値がともに「230~255」に種類「4」が対応付けられる。このように図柄抽選値の範囲の大きさによって大当り種類(すなわち、大当りの内容とその後の確率変動の有無)ごとの選択確率が定まる。
【0069】
なお、特別図柄の種類をより多く設けることも可能であり、その場合には複数の特別図柄の種類に対応して1の大当り種類が定まるように構成することで、図柄種類を増やしつつ大当りの種類を少なく設定することができる。あるいは、増加した図柄種類に対応させてより多くの大当りの種類に細分化することも可能である。さらに、第1の抽選時と第2の抽選時とで異なる図柄種類を設けることも可能である。この場合には、第1の抽選時に選択される特別図柄の種類、第2の抽選時に選択される特別図柄の種類のそれぞれに対応するように1の大当り種類が定まるように構成される。ただし、第1の抽選と第2の抽選とで確率変動の割合が同一となるように設定することが望ましい。
【0070】
図7(b)に示す通り、種類「10」は当否判定結果が外れの場合における全範囲の図柄抽選値に対応付けられている。したがって、外れの場合には必ず同じ特別図柄が停止表示することが決定される。なお、外れの場合に停止表示する特別図柄を複数設けることも可能である。
【0071】
図7(c)に示す通り、特別図柄の種類「5」~「9」が小当りに対応付けられている。種類「5」は図柄抽選値の範囲「0~49」に対応付けられ、種類「6」は図柄抽選値の範囲「50~99」に対応付けられる。種類「7」は図柄抽選値の範囲「100~149」に対応付けられ、種類「8」は図柄抽選値の範囲「150~199」に対応付けられ、種類「9」は図柄抽選値の範囲「200~255」に対応付けられる。
【0072】
なお、本実施例においては、メイン基板200における記憶領域を節約するために、事前図柄判定においても図7のテーブルが事前図柄判定テーブルとして参照される。第1図柄決定手段226および第2図柄決定手段227は、事前図柄判定の結果として特別図柄の種類を示す「0」~「10」の値を第1当否抽選または第2当否抽選であることを示す値や保留の個数とともに演出決定手段303へ送信する。なお、事前図柄判定テーブルとして、さらに細分化し複雑な判定を実施可能としたもの、または同様の特別遊技を実行する大当り図柄の判定範囲をまとめて簡易的にしたものを利用するようにしてもよい。また、本実施例のように外れの際に一律に図柄が定まる場合は、取得した図柄抽選値を参照することなく、また、外れ時用の図柄判定テーブルを用意することなく、特定の図柄を決定してもよい。
【0073】
<第1変動パターン決定手段231および第2変動パターン決定手段232>
図4に戻り、第1変動パターン決定手段231は、第1特別図柄表示部41および演出表示装置60に表示させる図柄変動の表示過程が定められた変動パターンを、乱数生成手段202から取得する第1パターン抽選値に基づいて複数の変動パターンの中から決定する。第2変動パターン決定手段232は、第2特別図柄表示部42および演出表示装置60に表示させる図柄変動の表示過程が定められた変動パターンを、乱数生成手段202から取得する第2パターン抽選値に基づいて複数の変動パターンの中から決定する。第1変動パターン決定手段231および第2変動パターン決定手段232は、それぞれ図柄変動を開始する際に変動パターンテーブルを参照してその図柄変動の変動パターンを決定する。また、第1変動パターン決定手段231および第2変動パターン決定手段232は、パターン抽選値がいずれの変動パターン範囲に該当するかの事前パターン判定を実行する。第1変動パターン決定手段231および第2変動パターン決定手段232、メイン基板200の制御手段は、変動開始条件を満たした際に変動パターンを決定するために参照する変動パターンテーブルと、始動口への入球時に先読み処理の実行判定のための情報生成に使用する事前パターン判定テーブルをそれぞれ保持または共有する。変動パターンには、特別図柄を変動表示させるときの変動開始から停止までの変動時間が定められており、その種類によって長短様々な変動時間をもつ。すなわち、図柄変動の表示過程が定められた各変動パターンには、実質的には、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動表示時間が定められており、その変動表示時間の経過時に特別図柄の変動が停止される。なお、図柄変動を開始するにあたって実行する変動パターン判定を、特に事前パターン判定と区別するために、適宜「本判定としての変動パターン判定」とも呼ぶ。また、後述する装飾図柄の変動演出パターンの選択に資するため、同一の変動時間でありながら異なる種類の変動パターンとして定義する場合もある。
【0074】
図8は、変動パターンテーブルを模式的に示す図である。第1変動パターン決定手段231および第2変動パターン決定手段232は、通常状態においては本図(a)のテーブルを参照し、時短状態においては本図(b)のテーブルを参照する。
【0075】
図8(a)の通り、通常状態において当否判定結果が外れとなった場合、パターン抽選値が0~4であればパターン範囲番号「0」のスーパーリーチである「スーパー1」を選択し、パターン抽選値が5~9であればパターン範囲番号「1」のスーパーリーチである「スーパー2」を選択する。パターン抽選値が10~19であればパターン範囲番号「2」のノーマルリーチである「ノーマル1」を選択し、パターン抽選値が20~29であればパターン範囲番号「3」のノーマルリーチである「ノーマル2」を選択する。パターン抽選値が30~255であればパターン範囲番号「4」の「リーチなし外れ」を選択する。「リーチなし外れ」としては、保留数に応じて異なる変動パターンが選択され、保留数が0~2のときは10秒の変動パターン、保留数が3のときは7秒の変動パターン、保留数が4のときは4秒の変動パターンがそれぞれ選択される。
【0076】
本図では、変動時間別に主に5種類に分類した例を説明するが、サブ基板300においてそれらの変動パターンごとに複数の変動演出パターンが用意されており、全体で数十種類の変動演出パターンがそれぞれの分類の抽選値範囲に対応付けられていることに等しい。
【0077】
「ノーマル1」「ノーマル2」「リーチなし外れ」に割り当てられたパターン抽選値の範囲もまた保留数に応じて異なる。保留数が0,1のときは本図(a)に示す通りであるが、保留数が増えるほど「ノーマル1」「ノーマル2」の抽選値範囲が狭くなり、「リーチなし外れ」の抽選値範囲が広くなる。保留数が少ないほど変動時間が相対的に長い変動パターンの抽選値範囲が広くされており、変動時間の長い変動パターンが選択される確率が高まる。そのため、保留数が少ないほど平均的な変動時間が長くなり、保留数が多いほど平均的な変動時間が短くなる。保留数ごとにパターン抽選値範囲と変動パターンの対応関係が異なる変動パターンテーブルを用いることにより、保留数が少なくなったときに変動時間の長い変動パターンが選択されやすくなる制御を実現できる。
【0078】
通常状態において当否判定結果が4R大当りまたは10R大当りとなった場合、パターン抽選値が0~123であればパターン範囲番号「5」のスーパーリーチである「スーパー1」を選択し、パターン抽選値が124~248であればパターン範囲番号「6」のスーパーリーチである「スーパー2」を選択する。パターン抽選値が249~252であればパターン範囲番号「7」のノーマルリーチである「ノーマル1」を選択し、パターン抽選値が253~255であればパターン範囲番号「8」のノーマルリーチである「ノーマル2」を選択する。
【0079】
通常状態において当否判定結果が2R大当りまたは小当りとなった場合、パターン抽選値が0~122であればパターン範囲番号「9」のスーパーリーチである「スーパー3」を選択し、パターン抽選値が123~255であればパターン範囲番号「10」のノーマルリーチである「ノーマル3」を選択する。
【0080】
第1変動パターン決定手段231および第2変動パターン決定手段232は、いわゆる先読み結果として事前判定結果を演出決定手段303へ送信する場合は、パターン範囲番号の値(0~10)を、第1当否抽選と第2当否抽選のいずれであるかを示す値や保留の個数とともに送信する。なお、図8に示す実施例では、事前パターン判定にて当否判定結果別にテーブルを有するように例示しているが、当否抽選結果にかかわらず1の事前パターン判定テーブルを用いて、乱数値がおよそどの範囲に位置するかに関する情報のみを導き出すようにするとともに、サブ基板300の制御手段側で、事前当否判定結果とともに、いかなる変動が実行されるかを判断するように制御してもよい。
【0081】
時短状態において参照する図8(b)の変動パターンテーブルは、すべて時短用の変動パターンにパターン抽選値が割り当てられている。ただし、パターン抽選値の範囲と変動時間の対応関係は、外れで選択される「リーチなし外れ短縮」以外はすべて図8(a)と同様である。「リーチなし外れ短縮」は、図8(a)における「リーチなし外れ」と同じ抽選値範囲とパターン範囲番号に対応付けられる、相対的に短い変動時間の変動パターンである。「リーチなし外れ短縮」もまた、保留数に応じて異なる変動パターンが選択され、保留数が0,1のときは10秒の変動パターン、保留数が2~4のときは1秒の変動パターンがそれぞれ選択される。なお、第1変動パターン決定手段231と第2変動パターン決定手段232で異なる変動パターンテーブルを参照する仕様としてもよいし、遊技状態に応じて異なる変動パターンテーブルを参照する仕様としてもよい。例えば、第2の抽選を第1の抽選より有利な設定とし、第2の抽選を第1の抽選に優先して処理するような遊技機では、時短に伴う入球容易状態にもかかわらず第2の抽選の保留が枯渇して第1の抽選が連続実行されてしまう状況は遊技者にとって好ましくない。そのため、入球容易状態における第1の抽選における外れ変動では、変動時間を短縮しない長時間(例えば10秒)の変動パターンが保留数に拘らず一律に選択されるような変動パターンテーブルを参照することとしてもよい。
【0082】
<保留制御手段240>
図4に戻り、保留制御手段240は、特図保留手段241、普図保留手段242を含む。特図保留手段241は、新たに第1当否抽選値または第2当否抽選値が取得されるときに、それ以前に取得されていた第1当否抽選値または第2当否抽選値に対応する図柄変動が表示されている場合、新たに取得された第1当否抽選値または第2当否抽選値に対応する図柄変動の開始を保留し、その当否抽選値を対応する図柄の変動表示開始まで記憶する。ここで、第1特別図柄について、それぞれ4個を上限に、第1当否抽選値、第1図柄抽選値、第1パターン抽選値を記憶し、第2特別図柄について、それぞれ4個を上限に、第2当否抽選値、第2図柄抽選値、第2パターン抽選値を記憶する。普図保留手段242は、普図抽選手段213により取得された普図抽選値を保留球として記憶する。これらの保留数がそれぞれ第1特図保留表示部71、第2特図保留表示部72、普図保留表示部75の点灯数または点滅数により表される。特図保留手段241による保留の数は演出表示装置60にも表示される。
【0083】
特図保留手段241に保留された第2当否抽選の抽選値は第1当否抽選の抽選値より優先的に消化されて図柄変動が表示される。そのため、第1当否抽選として大当りの抽選値が保留されていても第2当否抽選として抽選値の保留がある限りは第1当否抽選の大当り抽選値に対応する図柄変動は表示されない。したがって、第1当否抽選として大当りの保留があっても、さらに第2当否抽選として大当りの保留が入るまで打ち続けることで、複数回の連続的な大当りを獲得できる可能性がある。
【0084】
<メイン表示制御手段250>
メイン表示制御手段250は、第1特図制御手段251、第2特図制御手段252、普図制御手段254を含む。第1特図制御手段251は、第1抽選手段211による第1当否抽選の判定結果に対応して決定された変動パターンにしたがい第1特別図柄51の変動を第1特別図柄表示部41に表示させる。第1特図制御手段251は、それ以前になされた第1当否抽選または第2当否抽選に対応する図柄の変動表示が終了していることを新たな図柄変動の開始条件とする。第2特図制御手段252は、第2抽選手段212による第2当否抽選の判定結果に対応して決定された変動パターンにしたがい第2特別図柄52の変動を第2特別図柄表示部42に表示させる。第2特図制御手段252もまた、それ以前になされた第1当否抽選または第2当否抽選に対応する図柄の変動表示が終了していることを新たな図柄変動の開始条件とする。
【0085】
第1特図制御手段251は、特図保留手段241により第2当否抽選の当否抽選値が記憶されている場合は第1当否抽選に対応する図柄変動表示の開始を留保する。一方、第2特図制御手段252は、特図保留手段241により第1当否抽選の当否抽選値が記憶されているか否かにかかわらず第2当否抽選に対応する図柄変動表示を開始する。これにより、第1当否抽選と第2当否抽選の双方に抽選値が保留されていた場合、第2当否抽選で保留された抽選値が優先的に読み出されて図柄変動が表示される。そのような場合、第2当否抽選の保留数が0になるまでは第1当否抽選で保留された抽選値は読み出されずその図柄変動も開始しない。
【0086】
第1特図制御手段251および第2特図制御手段252は、第1特別図柄51および第2特別図柄52の変動表示を開始するタイミングと停止するタイミングにて、後述するコマンド通信手段205により変動開始コマンドと変動停止コマンドを演出決定手段303(サブメイン)へ送信する。変動開始コマンドを送信するとき、本判定として判定ないし決定された当否判定結果、停止図柄、変動パターンのそれぞれを示す値と第1当否抽選と第2当否抽選のいずれであるかを示す値とを変動開始コマンドとともに演出決定手段303へ送信する。変動停止コマンドを送信するとき、あらためて停止図柄を示す値を変動停止コマンドとともに演出決定手段303へ送信する。また、演出決定手段303(サブメイン)は、演出制御手段304(サブサブ)による装飾図柄の変動表示を制御するために、変動開始コマンドや変動停止コマンドなどを演出制御手段304へ送信する。これにより、メイン表示制御手段250および演出制御手段304(サブサブ)による変動表示が同期し、連動が保たれる。普図制御手段254は、普図抽選手段213による抽選の判定結果を普通図柄の変動表示として普通図柄表示部45に表示させる。
【0087】
<特図調整手段276>
特図調整手段276は、第1特別図柄51および第2特別図柄52のうち、一方を変動表示させる間は他方の変動表示の開始を待機させる。特図調整手段276は、第1始動口11および第2始動口12のうちいずれに遊技球が入球したかの順序に関係なく、第2始動口12への入球に基づく第2特別図柄52の変動表示を、第1始動口11への入球に基づく第1特別図柄51の変動表示より優先させる。例えば、第1当否抽選値および第2当否抽選値の双方が保留されているとき、つねに第2当否抽選値を優先的に消化させ、第2特別図柄52を連続的に変動表示させる。
【0088】
なお、変形例における特図調整手段276は、第1特別図柄51の変動表示と第2特別図柄52の変動表示とを、第1始動口11および第2始動口12への入球順序にしたがって選択的に変動表示させてもよい。例えば、第1始動口11、第1始動口11、第2始動口12の順序で入球したときは、第1特別図柄51、第1特別図柄51、第2特別図柄52の順序で変動表示される。この場合、特図調整手段276は保留制御手段240を監視して当否抽選値の保留順序を記憶する。どちらの特別図柄を変動させるべきかが遊技球の入球順、すなわち保留制御手段240における当否抽選値の保留順序にしたがって決定されるので、遊技者は変動の順序を視覚的に把握しやすい。
【0089】
別の変形例における特図調整手段276は、第1特別図柄51の変動表示と第2特別図柄52の変動表示とを、入球順序にかかわらず予め定められた消化順序にて表示させてもよい。例えば、第1特別図柄51の変動表示と第2特別図柄52の変動表示とを交互に表示することを優先してもよい。例えば、第1当否抽選値および第2当否抽選値の双方が保留されているとき、第1特別図柄51と第2特別図柄52とが交互に変動表示される。いずれの特別図柄を変動させるべきかが遊技球の入球順に関係なく単純に交互に入れ替わるので、遊技者は変動の順序を感覚的に把握しやすい。
【0090】
特図調整手段276は、また、第1特別図柄51および第2特別図柄52のうち、一方が当り態様で停止されたときは他方の変動表示の開始を待機させる。この場合、特別遊技を実行する間は特別図柄の変動表示は開始されないので、遊技者は特別遊技に集中することができる。
【0091】
<事前判定手段235>
事前判定手段235は、第1抽選事前判定手段236と第2抽選事前判定手段237を含む。第1抽選事前判定手段236は、第1当否判定手段221、第1図柄決定手段226、第1変動パターン決定手段231による各種判定の実行前に、第1抽選値取得手段216が取得した各種乱数を用いて第1特図制御手段251による第1特別図柄の変動開始前に当該変動に関する情報を事前に判定する。第2抽選事前判定手段237は、第2当否判定手段222、第2図柄決定手段227、第2変動パターン決定手段232による各種判定の実行前に、第2抽選値取得手段217が取得した各種乱数を用いて第2特図制御手段252による第2特別図柄の変動開始前に当該変動に関する情報を事前に判定する。
【0092】
第1抽選事前判定手段236は、第1抽選手段211に係る事前判定用の判定テーブルとして、第1事前当否抽選値判定テーブル、第1事前図柄抽選値判定テーブル、第1事前変動パターン乱数値判定テーブルを保持する。第1抽選事前判定手段236は、第1事前当否抽選値判定テーブルを用いて特図保留手段241に記憶される第1当否抽選値が属する乱数グループを判定する。第1抽選事前判定手段236は、第1事前図柄抽選値判定テーブルを用いて特図保留手段241に記憶される第1図柄抽選値が属する乱数グループを判定する。第1抽選事前判定手段236は、第1事前変動パターン判定テーブルを用いて特図保留手段241に記憶される第1変動パターン抽選値が属する乱数グループを判定する。そしてこれらの判定結果を事前判定結果として一時的に記憶して、後述するコマンド通信手段205(サブ制御コマンド送信手段207)により事前判定結果に関する情報をサブ基板300に送信する。
【0093】
図9は、事前当否判定で参照される事前当否判定テーブルを模式的に示す図である。第1抽選事前判定手段236(第1の遊技に関する事前当否判定)は、第1始動口11への入球時に図9(a)の第1事前当否抽選値判定テーブルを参照し、当否抽選値が「0~299」の場合はその旨を示す「1」の値を事前当否判定結果として設定する。当否抽選値が「300~2999」の場合はその旨を示す「2」の値を事前当否判定結果として設定する。当否抽選値が「3000~56499」の場合はその旨を示す「3」の値を事前当否判定結果として設定する。当否抽選値が「56500~65535」の場合はその旨を示す「4」の値を事前当否判定結果として設定する。次に、第1事前図柄抽選値判定テーブル(図示省略)を参照し、第1図柄抽選値が「0~99」の場合はその旨を示す「0」の値を事前図柄判定結果として設定する。第1図柄抽選値が「100~149」の場合はその旨を示す「1」の値を事前図柄判定結果として設定する。第1図柄抽選値が「150~189」の場合はその旨を示す「2」の値を事前図柄判定結果として設定する。第1図柄抽選値が「190~229」の場合はその旨を示す「3」の値を事前図柄判定結果として設定する。第1図柄抽選値が「230~255」の場合はその旨を示す「4」の値を事前図柄判定結果として設定する。さらに、第1事前変動パターン乱数値判定テーブル(図示省略)を参照し、第1パターン抽選値が「0~9」の場合はその旨を示す「A」の値を事前パターン判定結果として設定する。第1パターン抽選値が「10~29」の場合はその旨を示す「B」の値を事前パターン判定結果として設定する。第1パターン抽選値が「30~255」の場合はその旨を示す「C」の値を事前パターン判定結果として設定する。以上のように第1抽選事前判定手段236(第1の遊技に関する事前当否判定)により設定された事前判定情報は、後述するコマンド通信手段205(サブ制御コマンド送信手段207)により第1始動口11への入球を示す(第1当否抽選であることを示す)情報、保留の個数を示す情報等の送信タイミングにあわせて演出決定手段303に送信される。
【0094】
第2抽選事前判定手段237(第2の遊技に関する事前当否判定)は、第2始動口12への入球時に図9(b)の、第2事前当否抽選値判定テーブルを参照し、当否抽選値が「0~299」の場合はその旨を示す「1」の値を事前当否判定結果として設定する。当否抽選値が「300~2999」の場合はその旨を示す「2」の値を事前当否判定結果として設定する。当否抽選値が「3000~63999」の場合はその旨を示す「3」の値を事前当否判定結果として設定する。当否抽選値が「64000~65535」の場合はその旨を示す「4」の値を事前当否判定結果として設定する。次に、第2事前図柄抽選値判定テーブル(図示省略)を参照し、第2図柄抽選値が「0~144」の場合はその旨を示す「0」の値を事前図柄判定結果として設定する。第2図柄抽選値が「145~149」の場合はその旨を示す「1」の値を事前図柄判定結果として設定する。第2図柄抽選値が「150~189」の場合はその旨を示す「2」の値を事前図柄判定結果として設定する。第2図柄抽選値が「190~229」の場合はその旨を示す「3」の値を事前図柄判定結果として設定する。第2図柄抽選値が「230~255」の場合はその旨を示す「4」の値を事前図柄判定結果として設定する。さらに、第2事前変動パターン乱数値判定テーブル(図示省略)を参照し、第2パターン抽選値が「0~9」の場合はその旨を示す「A」の値を事前パターン判定結果として設定する。第2パターン抽選値が「10~29」の場合はその旨を示す「B」の値を事前パターン判定結果として設定する。第2パターン抽選値が「30~255」の場合はその旨を示す「C」の値を事前パターン判定結果として設定する。以上のように第2抽選事前判定手段237(第2の遊技に関する事前当否判定)により設定された事前判定情報は、後述するコマンド通信手段205(サブ制御コマンド送信手段207)により第2始動口12への入球を示す(第2当否抽選であることを示す)情報、保留の個数を示す情報等の送信タイミングにあわせて演出決定手段303に送信される。
【0095】
なお、事前判定手段235による事前判定結果として一時記憶された各種情報は、保留記憶数と同様に、それぞれ4個を上限に所定の事前判定結果記憶領域に記憶する。なお、事前判定結果を保留制御手段240が記憶する保留記憶領域を用いて記憶してもよい。事前判定手段235による事前判定結果を後述するコマンド通信手段205(サブ制御コマンド送信手段207)により演出決定手段303に送信したことに基づいて当該情報を消去するようにしてもよい。このように、他の領域と共用したり、送信完了に基づいて情報を消去することにより、メイン基板200における記憶領域の効率利用が期待できる。また、事前判定用の判定テーブルとして、事前判定専用のテーブルを設けずに、本判定用の判定テーブルを用いてもよく、第1の遊技に関する事前当否判定と第2の遊技に関する事前判定とで一部または全部が共通の事前判定テーブルを共用してもよい。このように、他の判定テーブルと共用することで、メイン基板200におけるデータ容量の削減が期待できる。なお、事前判定手段235の判定結果として送信する内容は、例えば、当否の判定結果のみを送信するなど、適宜選択することも可能である。また、事前判定手段235により判定することなく、第1抽選値取得手段216、第2抽選値取得手段217で取得した乱数の値を前述のコマンド通信手段205によりサブ基板300に送信し、サブ基板300により事前判定の内容を判断するように構成してもよい。
【0096】
事前判定手段235は、設定変更装置170により設定される設定値に応じて、当否抽選値と事前当否判定結果との対応関係が異なる事前当否抽選値判定テーブルを参照してもよい。上述の当否判定テーブルと同様、複数の遊技設定に対応する複数種類の事前当否抽選値判定テーブルを用意し、遊技設定の設定値に応じて参照する事前当否抽選値判定テーブルを切り替えてもよい。その他、複数の遊技設定間で共通利用できる事前当否抽選値判定テーブルを用いてもよい。この場合、遊技設定の設定値と事前当否判定結果の値の組み合わせにより当否が事前判定されてもよい。
【0097】
図10は、遊技設定に対応した事前当否判定テーブルを模式的に示す図である。本図(a)は、第1抽選事前判定手段236が参照する事前当否判定テーブルであり、本図(b)は、第2抽選事前判定手段237が参照する事前当否判定テーブルである。当否抽選値が「0~294」の場合には事前当否判定結果が「11」となり、全設定1~6において大当りとなることを示す。当否抽選値が「295」の場合には事前当否判定結果が「12」となり、通常時の設定2以上または確変時の全設定において大当りとなることを示す。当否抽選値が「296」の場合には事前当否判定結果が「13」となり、通常時の設定3以上または確変時の全設定にて大当りとなることを示す。当否抽選値が「297」の場合には事前当否判定結果が「14」となり、通常時の設定4以上または確変時の全設定において大当りとなることを示す。当否抽選値が「298」の場合には事前当否判定結果が「15」となり、通常時の設定5以上または確変時の全設定において大当りとなることを示す。当否抽選値が「299」の場合には事前当否判定結果が「16」となり、通常時の設定6または確変時の全設定にて大当りとなることを示す。また、当否抽選値が「300~2949」の場合には事前当否判定結果が「21」となり、確変時の全設定において大当りとなることを示す。当否抽選値が「2950~2959」の場合には事前当否判定結果が「22」となり、確変時の設定2以上において大当りとなることを示す。当否抽選値が「2960~2969」の場合には事前当否判定結果が「23」となり、確変時の設定3以上において大当りとなることを示す。当否抽選値が「2970~2979」の場合には事前当否判定結果が「23」となり、確変時の設定4以上において大当りとなることを示す。当否抽選値が「2980~2989」の場合には事前当否判定結果が「25」となり、確変時の設定5以上において大当りとなることを示す。当否抽選値が「2990~2999」の場合には事前当否判定結果が「26」となり、確変時の設定6において大当りとなることを示す。さらに、(a)に示す第1当否抽選値が「3000~56499」となる場合、および、(b)に示す第2当否抽選値が「3000~63999」となる場合、事前当否判定結果が「30」となり、全設定において小当りとなることを示す。また、(a)に示す第1当否抽選値が「56500~65535」となる場合、および、(b)に示す第2当否抽選値が「64000~65535」となる場合、事前当否判定結果が「40」となり、全設定において外れとなることを示す。このような事前当否判定テーブルを用いることにより、遊技設定の設定値ごとに適切な事前当否判定結果を示すことができる。
【0098】
<特別遊技制御手段260>
特別遊技制御手段260は、第1抽選手段211による第1当否抽選が特別遊技への移行を示す結果となった場合、第1特別図柄51が所定の大当り態様で停止されたときに特別遊技作動条件が成立したと判定し、大入賞口20を開放させることにより特別遊技を実行する。同様に、特別遊技制御手段260は、第2抽選手段212による第2当否抽選が特別遊技への移行を示す結果となった場合、第2特別図柄52が所定の大当り態様で停止されたときに特別遊技作動条件が成立したと判定し、大入賞口20を開放させることにより特別遊技を実行する。
【0099】
特別遊技は、大入賞口20の開閉動作を複数回数連続して継続する遊技であり、複数回の単位遊技で構成される。特別遊技には、単位遊技を10回繰り返す10R大当りと、単位遊技を4回繰り返す4R大当りと、10R大当りおよび4R大当りより開放時間が短い単位遊技を2回だけ繰り返す2R大当りがある。10R大当りは第2当否抽選での大当りであり、4R大当りは第1当否抽選での大当りである。10R大当りおよび4R大当りにおいては、1回の単位遊技において大入賞口20を原則として約30秒間開放させる。2R大当りにおいては、1回の単位遊技において大入賞口20を約1.6秒間だけ開放させる。特別遊技制御手段260は、単位遊技の設定ラウンド数を消化したときに特別遊技を終了させる。なお、2R大当りとなった場合においても、所定の条件を満たした場合には、10R大当りおよび4R大当りと同様の開放態様で大入賞口20を開放させてもよい。
【0100】
<小当り遊技制御手段265>
小当り遊技制御手段265は、第1抽選手段211による第1の抽選が小当りを示す結果となった場合、第1特別図柄51が所定の小当り態様で停止されたときに小当り遊技作動条件が成立したと判定し、開閉制御手段275に大入賞口20を開放させることにより小当り遊技を実行する。同様に、小当り遊技制御手段265は、第2抽選手段212による第2の抽選が小当りを示す結果となった場合、第2特別図柄52が所定の小当り態様で停止されたときに小当り遊技作動条件が成立したと判定し、開閉制御手段275に大入賞口20を開放させることにより小当り遊技を実行する。
【0101】
小当り遊技においては、単位遊技が1回実行され、1回の単位遊技において大入賞口20を2回開閉する。小当り遊技制御手段265は、1回の開閉あたり大入賞口20を約0.8秒間だけ開放させた後、大入賞口20を閉鎖して小当り遊技を終了させる。
【0102】
<特定遊技制御手段270>
特定遊技制御手段270は、確変状態、時短状態、および入球容易状態における通常遊技を制御する。特定遊技制御手段270は、特別図柄が確変への移行を伴う特定大当りの図柄であった場合に、特別遊技の終了後に遊技状態を確変状態、時短状態および入球容易状態へ移行させる。確変状態、時短状態および入球容易状態は、次の大当りが発生するまで継続される。時短状態においては、第1特別図柄51および第2特別図柄52の変動表示時間が概ね短くなるよう、第1変動パターン決定手段231および第2変動パターン決定手段232が変動時間の短い変動パターンを選択する。ただし、通常状態においては、保留制御手段240による当否抽選値の保留数に応じた変動パターンテーブルを参照し、保留制御手段240による保留数が少なくなるほど変動時間の長い変動パターンが出現しやすくなる。入球容易状態においては、普通図柄の確変および普通図柄の時短、並びに第2始動口12の開放延長の3つの機能のうち少なくともいずれかが実施されることにより、第2始動口12への入球頻度(入球容易性)が向上する。確変状態の間は第1当否判定手段221および第2当否判定手段222による当否判定結果が大当りとなる確率が高い値のまま維持される。また、特定遊技制御手段270は、特定大当りとなった場合に第2始動口12を開放延長状態にさせるとともに、その当否抽選が第2当否抽選であった場合に限りさらに開放抽選の当り確率を通常確率状態より高い確変状態へ移行させる。
【0103】
<開閉制御手段275>
開閉制御手段275は、第2始動口12の普通電動役物90や大入賞口20の開閉を制御する。開閉制御手段275は、普通図柄が特定の態様で停止されると、普通電動役物ソレノイド91に開放指示を送り、第2始動口12の普通電動役物90を開放させる。開閉制御手段275は、通常状態においては開放抽選の結果に応じて短開放または長開放の開放時間にて第2始動口12を開放させ、入球容易状態においては長開放の開放時間にて第2始動口12を開放させる。第2始動口12の入球容易性を高め、遊技者が持ち玉を減らさずに遊技を継続できるようにするものである。開閉制御手段275は、特別遊技において、大入賞口ソレノイド92に開放指示を送り、大入賞口20を開放させる。
【0104】
<メイン初期処理実行手段280、メイン電断処理実行手段282、メインエラー検出手段284>
メイン初期処理実行手段280は、ぱちんこ遊技機100の電源投入時または電源断復帰時におけるメイン基板200の制御開始処理を実行する。メイン電断処理実行手段282は、電源断などの電源異常発生時にメイン基板200における電源断処理などの異常時対応処理を実行する。メインエラー検出手段284は、メイン基板200における異常検知処理を実行する。なお、メイン基板200の制御開始処理、異常時対応処理、および異常検知処理については後述する。
【0105】
<設定変更手段286、設定確認手段287>
設定変更手段286は、遊技設定を変更するための「設定変更処理」を実行する。設定変更手段286は、設定キーシリンダ171がオン状態のときにRAMクリアスイッチを押しながら電源スイッチ150がオンにされた場合、上述の設定変更状態へ移行させる。設定変更手段286は、設定変更状態へ移行された場合、設定メモリに記憶される設定値を設定表示部173に表示させる。設定変更手段286は、設定変更ボタン172の押下に応じて設定表示部173に表示される設定値を1→2→3→4→5→6→1→・・・のように順番に変更し、設定メモリに記憶される設定値を設定表示部173の表示と同じ値に更新する。設定変更手段286は、設定キーシリンダ171がオフ状態にされた場合、設定変更状態を終了させ、設定表示部173を消灯させる。
【0106】
設定確認手段287は、遊技設定を確認するための「設定確認処理」を実行する。設定確認手段287は、設定キーシリンダ171がオン状態のときにRAMクリアスイッチが押されずに電源スイッチ150がオンにされた場合、上述の設定確認状態へ移行させる。設定確認手段287は、設定確認状態へ移行された場合、設定メモリに記憶される設定値を設定表示部173に表示させる。設定確認手段287は、上述の設定変更手段286と異なり、設定変更ボタン172が押下されたとしても設定表示部173に表示される設定値を変更せず、設定メモリに記憶される設定値も更新しない。設定確認手段287は、設定キーシリンダ171がオフ状態にされた場合、設定確認状態を終了させ、設定表示部173を消灯させる。
【0107】
なお、設定メモリで管理する設定値データは「1」~「6」の数値ではなく、代わりに「0」~「5」の数値を用いてもよい。この場合、設定値「0」が設定1に対応し、設定値「1」が設定2に対応し、設定値「2」が設定3に対応し、設定値「3」が設定4に対応し、設定値「4」が設定5に対応し、設定値「5」が設定6に対応してもよい。設定値データの正常値として「0」を用いることにより、RAM異常時にRAMクリア処理をして設定値データを初期値「0」にセットしたときに異常判定されなくなるため、異常時のRAMクリア処理を簡易化できる。また、設定値データを利用して何らかの抽選を実行する場合、例えば、先読み処理において設定値毎に異なるテーブルやデータを選択する場合に、その選択のためのオフセット処理を簡略化できるという利点もある。例えば、設定値データとして「1」~「6」を用いる場合、テーブルやデータ選択のオフセットデータとしてこれらの値をそのまま使用する際には開始アドレスを-1する等の追加処理が必要となる。一方、設定値データとして「0」~「5」を用いる場合には、設定値データの数値をそのままオフセットデータとして使用できる。なお、設定変更手段286および設定確認手段287は、設定値データとして「0」~「5」の数値を用いる場合、設定値データの数値をそのまま設定表示部173に表示してもよいし、設定値データの数値に+1を加えた数値を設定表示部173に表示してもよい。後者の場合、「0」~「5」の数値データが遊技設定における設定1~設定6の数値に変換されて表示されるため、遊技機の管理者にとって分かりやすい表示とすることができる。
【0108】
<コマンド送信手段>
コマンド通信手段205は、払出等の実行に必要な制御コマンドを払出制御基板155に送信する払出制御コマンド通信手段206と、演出制御等の実行に必要な制御コマンドをサブ基板300に送信するサブ制御コマンド送信手段207を含む。払出制御コマンド通信手段206は、入球判定手段201による各入賞口への入球の判定に基づいて各入賞口に対応した数の賞球の払出を指示する払出コマンドを送信し、メイン基板200で発生したエラーの状態等を示すコマンドを送信する。サブ制御コマンド送信手段207は、図柄変動を開始するにあたり、その図柄変動に対応する抽選の判定結果を図柄変動の制御コマンドとともに演出決定手段303へ送信する。
【0109】
サブ制御コマンド送信手段207は、第1特図制御手段251および第2特図制御手段252が第1特別図柄51および第2特別図柄52の変動表示を開始するタイミングと停止するタイミングにて、変動開始コマンドと変動停止コマンドを演出決定手段303(サブメイン)へ送信する。変動開始コマンドを送信するとき、本判定として判定ないし決定された当否判定結果、停止図柄、変動パターンのそれぞれを示す値と第1当否抽選と第2当否抽選のいずれであるかを示す値とを変動開始コマンドとともに演出決定手段303へ送信する。変動停止コマンドを送信するとき、あらためて停止図柄を示す値を変動停止コマンドとともに演出決定手段303へ送信する。また、演出決定手段303(サブメイン)は、演出制御手段304(サブサブ)による装飾図柄の変動表示を制御するために、変動開始コマンドや変動停止コマンドなどを演出制御手段304へ送信する。これにより、メイン表示制御手段250および演出制御手段304(サブサブ)による変動表示が同期し、連動が保たれる。また、サブ制御コマンド送信手段207は、事前判定手段235による事前判定結果を演出決定手段303へ送信する。事前判定結果は送信バッファに一時保存された後、その抽選に対応する図柄変動表示が直ちに開始されるか否かにかかわらず事前判定結果に対応する入賞口(第1始動口11、第2始動口12)の種別情報、保留個数の情報、遊技状態等と併せて演出決定手段303へ送信され、送信バッファから消去または後に上書きされる。これにより、サブ基板300の側にとっては受信した事前判定結果により、図柄変動開始の順番が巡ってくる前にあらかじめ当否結果を推測的に認識できる、いわゆる「先読み」と呼ばれる処理が実現される。なお、サブ基板300が行う事前判定情報に基づく処理等については後述する。サブ制御コマンド送信手段207は、特別遊技制御手段260による特別遊技に関する情報、小当り遊技制御手段265による小当り遊技に関する情報、普図抽選手段213による抽選結果の情報、設定変更手段286により設定される遊技設定の設定値情報をサブ基板300に送信する。また、サブ制御コマンド送信手段207は、メイン初期処理実行手段280およびメインエラー検出手段284等による初期処理に関する情報やエラーに関する情報等、メイン基板200での各種制御、または、メイン基板200に送信される各種信号等に関する情報を適宜、サブ基板300に送信する。
【0110】
図11は、サブ基板の構成を示すブロック図である。サブ基板300は、図柄態様決定手段301、パターン記憶手段302、演出決定手段303、演出制御手段304、計時手段307、演出設定手段308、サブ初期処理実行手段360、サブ電断処理実行手段362、サブエラー検出手段364、コマンド受信手段370、サブ側事前判定手段371を備える。
【0111】
パターン記憶手段302は、装飾図柄61の変動において演出表示装置60に表示させる演出的な画像内容とその表示過程が定められた複数の演出パターンを保持する。演出パターンには、装飾図柄61の変動表示における変動開始から停止までの変動過程と演出過程が定められた複数の変動演出パターンと、装飾図柄の変動表示とは別に表示されて大当りへの期待度の高さを変動表示の停止前に予告的に示唆する複数の予告演出パターンとが含まれる。
【0112】
コマンド受信手段370は、コマンド通信手段205から送信される各種コマンドを受信し、サブ側事前判定手段371は、コマンド通信手段205から送信される事前判定結果を保持する。演出決定手段303は、通常演出決定手段373と先読み演出決定手段374を含む。通常演出決定手段373は、コマンド通信手段205から送信される第1当否抽選の判定結果または第2当否抽選の判定結果の情報に応じて、演出制御手段304によって演出表示装置60へ表示し、スピーカー108、装飾ランプ111等に出力する演出内容を決定する。演出決定手段303は、コマンド通信手段205から送信される遊技設定の設定値に応じて演出内容を決定する。先読み演出決定手段374は、コマンド通信手段205から送信される事前判定結果に応じて、演出制御手段304によって演出表示装置60へ表示し、スピーカー108、装飾ランプ111等に出力する演出内容を決定する。通常演出決定手段373は、第1変動パターン決定手段231または第2変動パターン決定手段232により決定され、コマンド通信手段205から送信された特別図柄の変動パターンに対応する複数の変動演出パターンの中からいずれかを選択してパターン記憶手段302から読み出す。通常演出決定手段373は、読み出した変動演出パターンの情報を演出制御手段304へ送る。通常演出決定手段373は、変動演出パターンを選択するために参照すべきパターンテーブルを保持する。なお、コマンド通信手段205から送信される事前判定結果を参照して通常演出決定手段373により変動演出パターンを決定する場合があってもよく、先読み演出決定手段374による先読み演出の内容と併せて変動演出パターンを決定する場合があってもよい。先読み演出決定手段374は、コマンド通信手段205からの事前判定結果と、サブ基板300に保持する過去の事前判定結果や遊技状態情報等に基づいて本判定の結果をより精度よく特定し、その特定した結果に基づいて本判定前から先読み演出を実行するか否か、および、その実行内容を決定する。具体的には、先読み演出決定手段374は、現在の遊技状態が確率変動遊技中であるかを判定した上で、今回受信した事前判定結果より前の事前判定結果に基づいて通常遊技状態に移行するか否かを判定する。その判定結果を踏まえ、今回受信した事前判定結果に係る本判定の当否結果や選択される変動パターン等を特定し、当該特定結果に基づいて先読み演出の実行可否、先読み演出の実行内容を決定する。なお、演出決定手段303は、通常演出決定手段373と先読み演出決定手段374とが協同している部分が多いため、特に必要な部分を除き、両者を包括した演出決定手段303として説明する。
【0113】
各変動演出パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動時間が定められており、その変動時間の経過時に図柄変動が停止される。演出決定手段303は、特別図柄の変動パターンに応じて、変動時間が等しい演出画像の変動演出パターンを選択する。
【0114】
図柄態様決定手段301は、装飾図柄61の停止図柄の組合せとその配置を、第1抽選手段211または第2抽選手段212による抽選の判定結果、特別図柄の停止図柄、特別図柄の変動パターン、装飾図柄の変動演出パターンに応じて決定する。図柄態様決定手段301は、決定した停止図柄の組合せを示す情報を演出制御手段304へ送信する。図柄態様決定手段301は、装飾図柄の停止図柄を決定するために参照すべき図柄範囲テーブルを保持する。
【0115】
装飾図柄61の停止図柄は、3つの図柄の組合せとして形成され、例えば第1当否判定手段221および第2当否判定手段222による当否判定結果が4R大当りまたは10R大当りの特別遊技への移行を示す場合には特定の組合せ、例えば「777」や「111」のように3つの図柄が揃った組合せが選択される。当否判定結果が2R大当りの場合や小当りの場合もまた特定の組合せ、例えば「357」のような所定の組合せが選択されるが、それらの特定の組合せは必ずしも3つの図柄が揃った組合せでなくてもよい。当否判定結果が大当りでも小当りでもない場合は、「312」や「946」のように3つの図柄が揃っていない組合せであって、2R大当りや小当りのときに選択される特定の組合せに該当しない組合せが選択される。当否判定結果が4R大当りや10R大当りではない場合であって、リーチ付きの外れを示す変動パターンが選択された場合は、「191」や「727」のように一つだけ図柄が揃っていない組合せを選択する。
【0116】
装飾図柄の変動演出パターンには、装飾図柄の変動表示態様、すなわち装飾図柄の変動開始から変動停止までの演出過程が定義される。変動演出パターンには、通常の外れ図柄を表示するときのパターンと、あと一つ図柄が揃えば大当りとなるリーチ状態を経て外れ図柄を表示するときのパターンと、リーチ状態を経て大当り図柄を表示するときのパターンが含まれる。特に、リーチ状態を経るときのパターンとしては、長短様々な変動時間をもつパターンが含まれる。各変動演出パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動時間が定められており、その変動時間の経過時に図柄変動が停止される。演出決定手段303は、特別図柄の変動パターンに応じて、特別図柄と変動時間が等しい装飾図柄の変動演出パターンを選択する。
【0117】
時短状態において、第1変動パターン決定手段231または第2変動パターン決定手段232により選択された変動パターンが時短用のパターンであった場合、演出決定手段303は時短用の演出内容が定められた変動演出パターンを選択する。時短用の演出内容は、時短または確変により遊技者に有利な状態であることを印象づける背景映像や音声が出力される演出である。
【0118】
予告演出パターンは、特定のキャラクタやモチーフの画像、アニメーション、映像などを一時的に画面表示させる演出パターンや、役物を動作させる演出パターン、特定の音声を出力する演出パターンである。予告演出パターンによる演出は、図柄変動と並行して実行され、その図柄変動が大当り態様にて停止する期待度が高いことを予告的に示唆する。例えば、キャラクタの画像を一つだけ画面に表示させるだけの通常予告演出や、多数のキャラクタの群れを画面の一端から他端へ通過させるように表示させる群予告演出がある。また、予告演出の表示過程を複数段階に分け、表示させる段階数を可変にして段階数が多いほど大当りへの期待度が高くなるように設定されるステップアップ予告演出がさらに含まれる。
【0119】
予告演出パターンには、装飾図柄61の表示態様がリーチ状態となった後のタイミングで演出が実行されて図柄の最終的な停止態様を予告するパターン(リーチ後予告)と、装飾図柄61が一つも停止していないタイミングで演出が実行されてリーチ状態となることを同時に予告するパターン(リーチ前予告)とがある。
【0120】
演出決定手段303は、当否抽選の判定結果または事前判定結果に応じて演出表示装置60に予告演出を表示させるか否かを所定の予告抽選により決定して事前演出設定をするとともに、表示させるべき予告演出パターンを決定する。演出決定手段303は、予告演出を表示させるか否かを決定するために参照すべき予告決定テーブルと、予告演出パターンの種類を選択するときに参照すべき予告種類テーブルとを保持する。予告決定テーブルは、当否抽選の判定結果または事前判定結果に応じて異なる欄が参照されるように設定されており、当否抽選が当りの場合は外れの場合よりも高い確率で予告演出を表示させるよう、当否抽選の判定結果と予告演出を表示するか否かの対応関係が定められる。これにより、予告演出が表示されること自体で大当りへの期待度の高さを示唆することができる。
【0121】
演出制御手段304は、選択された変動演出パターンデータにしたがって演出表示装置60へ装飾図柄61を含む演出画像を変動表示させる。演出制御手段304は、装飾図柄61の変動開始コマンドを受け取ったことを新たな装飾図柄の変動表示の開始条件とする。演出制御手段304は、予告演出を表示させる旨が演出決定手段303により決定された場合、選択された予告演出パターンにしたがった予告演出を図柄変動の演出に重畳させる形で演出表示装置60へ表示させる。
【0122】
演出制御手段304は、第2当否抽選の当否抽選値が記憶されている場合は第1当否抽選に対応する図柄変動表示の開始を留保し、第1当否抽選の当否抽選値が記憶されているか否かにかかわらず第2当否抽選に対応する図柄変動表示を開始する。これにより、第1当否抽選と第2当否抽選の双方について抽選値が保留されていた場合は第2当否抽選で保留された抽選値が優先的に読み出されて装飾図柄の変動が表示される。そのような場合、第2当否抽選の保留数が0になるまでは第1当否抽選で保留された抽選値は読み出されずその装飾図柄の変動も開始しない。このように演出制御手段304は、装飾図柄61の変動表示を含む図柄変動演出を演出表示装置60に表示させる。
【0123】
演出制御手段304は、装飾ランプ111の点灯および消灯や、可動役物66の動作をさらに制御する。演出制御手段304は、演出表示制御手段305、音声制御手段306、ランプ制御手段309を有する。演出表示制御手段305は、演出表示装置60への表示を制御し、音声制御手段306は、スピーカー108からの音声出力を制御する。ランプ制御手段309は、装飾ランプ111の点灯および消灯を制御する。
【0124】
第1特別図柄51および第2特別図柄52の変動中、演出表示装置60には図柄変動中であることを示す画像を表示する必要がある。通常、ある程度の大きさを持つ通常サイズの装飾図柄61を変動表示させるが、通常サイズの装飾図柄61の変動表示の視認性を阻害する態様で、装飾図柄61の変動以外を主要な演出内容とする特殊な演出を表示させてもよい。この場合、通常サイズの装飾図柄より小さいサイズの装飾図柄である代替図柄を変動表示させることにより図柄変動中であることを遊技者に提示する。以下、単に装飾図柄と呼ぶ場合は通常サイズの装飾図柄を意味するが、代替図柄と区別する場合、通常サイズの装飾図柄を「通常装飾図柄」や「メイン装飾図柄」とも呼ぶ。
【0125】
代替図柄は、通常装飾図柄の視認性が阻害される間、例えば通常装飾図柄が非表示となる間に表示される。代替図柄は、当否判定結果を演出的に示唆するための装飾図柄の一形態であり、通常装飾図柄よりも簡略化(言い換えれば簡易化、簡素化)された表示形態を有し、通常装飾図柄よりも簡略化された変動過程にて表示される。代替図柄は、通常装飾図柄の図柄種類を示す部分に対応した外観上の表示形態を有し、例えば、図柄種類を示す数字、文字、記号を表す表示形態を有する。また代替図柄は、通常装飾図柄が変動表示される領域よりも狭い領域で変動表示され、典型的には図柄以外の要素によるメイン演出を阻害しにくい位置、例えば演出表示装置60の画面の隅で変動表示される。代替図柄は、通常装飾図柄よりも相対的に小さく表示されるが、少なくとも図柄種類が外観上識別可能となる表示形態を有する。なお代替図柄は、通常装飾図柄をそのまま縮小したものでもよく、サイズ以外は通常装飾図柄と同一であってもよい。
【0126】
複数の通常装飾図柄の代わりに表示される複数の代替図柄は、変動終了時の停止態様の組合せによって当否抽選の結果が遊技者に有利な状態となる期待度の高さを示唆する。例えば、複数の代替図柄は、3つの代替図柄のうち2つの図柄種類が揃ったリーチ状態となることによって当該変動における大当りの期待度が高いことを示唆する。また、リーチ状態となる左右図柄が「3」や「7」などの期待度が相対的に高いことを示唆する特定種類の図柄となることや、「1」や「2」などの期待度が相対的に低いことを示唆する種類の図柄となることによって、そのリーチ状態の期待度の高低を示唆してもよい。なお代替図柄は、外観上、確定的な停止状態になることはなく、微小な揺れが維持される仮停止状態になる。代替図柄の仮停止後に、代替図柄に代えて通常装飾図柄を表示させ、その通常装飾図柄を確定停止の状態で表示させてもよい。また、通常装飾図柄と代替図柄を排他的に表示するのではなく、表示期間の重複があってもよい。さらにまた、通常装飾図柄の視認性が阻害される所定の演出時に、通常装飾図柄の変動表示を継続するとともに代替図柄の変動を表示させてもよい。代替図柄とは異なり、第1特別図柄51および第2特別図柄52の変動中に演出表示装置60の所定の領域において、代替図柄と同程度かそれよりも小さい画像にて特別図柄が変動中であることを示唆する簡易図柄を変動表示してもよい。簡易図柄は、通常装飾図柄と同様に3つの図柄組合せの変動表示で構成してもよいし、一つの図柄の変動表示で構成してもよいし、単なる記号(「○」「×」など)を順次切り替える形で構成してもよい。簡易図柄は通常装飾図柄や代替図柄の変動表示態様とは関連性を持たせず、特別図柄の変動開始から変動終了まで一定の変動を表示し、停止表示時には通常装飾図柄の停止表示態様と関連した表示をしてもよい。なお、簡易図柄は、特別図柄の変動表示中であることの示唆および特別図柄の結果が最低限報知されるものであればよく、2つの図柄組合せで表示するものなど適宜変更可能である。また、簡易図柄を「簡易装飾図柄」「サブ装飾図柄」「サブ装図」「ミニ装飾図柄」「ミニ装図」などと呼んでもよい。演出表示装置60とは別に簡易図柄と同等の表示をLED等の発光態様によって示す第4図柄と呼ばれる装飾図柄の変動表示を用いてもよい。第4図柄は、演出表示装置60に不具合が発生した場合などにおいて、遊技の進行(特別図柄の変動中表示、結果表示)を示すために用いられる。第4図柄の表示態様の一例として、LEDが「白」、「青」、「緑」、「黄」、「橙」、「赤」と順次点灯(消灯を含む点滅としても可)していくことで変動表示してもよいし、特別図柄の種類に応じてある単色で点滅することで変動表示を示唆し、停止表示した際の発光色で外れや大当りの種類を示唆してもよい。
【0127】
計時手段307は、遊技に使用する時間情報を出力する計時回路である。計時手段307は、電源投入時からの時間をカウンタで計測して時間情報として出力するタイマ回路である。ただし、電池を内蔵してぱちんこ遊技機100の電源オフ時や停電時も電池によって日時を計測し続けられるリアルタイムクロック回路でもよい。リアルタイムクロック回路の場合、個体差や時刻ズレによって遊技台ごとの時刻に微差が生じる可能性があるのに対し、タイマ回路の場合、同時に電源投入する限り複数の遊技台の間で時刻の差が生じる可能性は小さい。
【0128】
演出決定手段303は、計時手段307により出力される時間情報が所定の時間を示したことを契機とする所定タイミングに開始する同調演出を実行する。同調演出は、図柄変動の変動期間や遊技状態とは実質的に非同期の期間である同調演出期間にて演出表示装置60に表示させる演出である。同調演出期間は数分間に及び、その長さは1回分の図柄変動時間よりも長く、複数回の図柄変動期間を包含し得る。同調演出の演出パターンはパターン記憶手段302に格納されており、その演出パターンには所定の楽曲と映像の再生が定められている。同調演出の演出パターンは複数種類用意され、月、日付、曜日、時刻などの日時によって異なる種類の演出パターンが選択され得る。
【0129】
同調演出は通常遊技中か特別遊技中かを問わず実行される。ここで「通常遊技中」には、いわゆる待機デモ画面の表示中も含まれる。すなわち「通常遊技中」には、(1)図柄が変動表示されている「変動表示中通常遊技」、(2)図柄の変動表示中ではなく待機デモ画面の表示中でもない「変動停止中通常遊技」、(3)図柄の変動表示中ではなく待機デモ画面の表示中である「待機デモ画面表示中通常遊技」、が含まれる。(1)~(3)のいずれの期間中も同調演出は実行され得るが、(2)および(3)のときは同調演出における音量低減や輝度低減などの制御をする出力態様が(1)のときとは異なり得る。また、待機デモ画面表示中は、遊技者による演出ボタン109や十字キー110の操作によって後述の携帯連携システムに関する情報を入力でき、その操作入力があったときは同調演出の映像および音声の出力が抑制され、携帯連携システムによる演出カスタマイズなどの画面表示が優先される。
【0130】
同調演出は、例えば所定の楽曲の演奏や映像を所定の時間(「同調演出開始時間」と呼ぶ)に再生する演出である。同調演出を再生する契機となる時間は、ぱちんこ遊技機100の電源投入時から所定時間間隔を挟んで到達する時間であってもよいし、標準時を基準とした毎正時または正時半の時刻であってもよい。あるいは、日付または曜日によって異なり得る時刻が設定されてもよく、「1時間ごと」のように一定間隔ではなく、最初は1時間後、次は3時間後、というように間隔が異なったり、その間隔が日付や曜日によって異なったりしてもよい。遊技店ごとに遊技店員によって時間を指定できる可変設定であってもよい。ただし、同じ遊技店に設置される複数台の同一機種間において少なくとも同じ時刻で同じ同調演出が実行されるようあらかじめ設定される。例えば、電源投入時から所定時間間隔を挟んで到達する時間を契機とする仕様の場合、遊技店においては複数台を同時に電源投入する。これにより、所定時間となったことを契機にそれら複数の遊技台において一斉に同じ同調演出が実行される。その結果、あたかも複数台で同期しているように同時に演出が表示され、同時に同じ楽曲や映像が流れることでその場でライブ演奏や映画の上映がなされているかの如く臨場感のある相乗的な演出効果が得られる。
【0131】
同調演出の機能は同じ機種の別の遊技台にも同様に内蔵されており、同じ遊技島における複数の遊技台は毎日遊技店員によって同時に電源投入される。そして、同時に電源投入される複数の遊技台はすべてほぼ同時に同調演出開始時間を迎えることとなり、一斉に同時進行で同調演出を実行し得ることになる。これを複数台同期演出と呼ぶ。その場合、映像の表示が複数台で同調するだけでなく、効果音や背景音楽の出力もまた複数台で同調することとなり、同調する台数が多いほど一斉に演出を実行することによる相乗効果も高まる。
【0132】
演出設定手段308は、遊技者の遊技履歴を記憶する。遊技履歴とは、遊技結果の履歴および演出結果の履歴を含む。遊技結果の履歴は、打球数、賞球数、大当り回数、確変回数、時短回数といった遊技の結果として遊技者が得られる出玉につながる遊技の結果である。演出結果の履歴は、遊技上の利益とは異なり、演出の内容や種類を変更できる権利や特定種類の演出を出現しやすくできる権利が付与されるといった利益を獲得するために記録される演出上の得点等の情報である。例えば、所定の演出の出現回数やミニゲームの結果などを得点化して遊技者に付与するために、その得点や遊技履歴を示す符号化情報、例えば二次元コードを画面に表示する。その二次元コードを遊技者が自分の携帯端末のカメラで読み取って復号すると、復号により得られた得点や遊技履歴の情報が遊技者の携帯端末に蓄積される。二次元コードを介した遊技機と遊技者の携帯端末との連携システムについては後述する。なお、ここでいう得点は、後述の演出カスタマイズの幅を広げるために必要となるもので、得点が所定の累積値に達すること(例えば1000ポイントに到達することや、100ポイント到達ごと、など)を契機として、カスタム可能な項目が増加する仕様である。
【0133】
演出設定手段308は、遊技者の選択指示および遊技履歴に基づき、演出カスタマイズとして複数種類の演出内容の選択肢からいずれを選択するかの設定を記憶する。例えば、特別遊技中に表示させる演出パターンとして、表示されるモチーフやキャラクタや楽曲が異なる複数種類の演出パターンがパターン記憶手段302に用意され、そのうちいずれの演出を表示させるかを遊技者に選択させることとする。または、図柄変動させる装飾図柄に含まれる絵柄のデザインとして複数種類のモチーフまたはキャラクタの絵柄がパターン記憶手段302に用意され、そのうちいずれの絵柄を表示させるかを遊技者に選択させることとする。それらの場合に、待機デモ画面の表示中に遊技者による演出ボタン109や十字キー110の操作を受け付け、その操作を介して演出パターンの選択がなされると、演出設定手段308はその選択内容を記憶する。演出決定手段303は、演出設定手段308により記憶された設定に応じて、特別遊技中の演出パターンの種類を選択する。
【0134】
サブ初期処理実行手段360は、ぱちんこ遊技機100の電源投入時または電源断復帰時におけるサブ基板300の制御開始処理を実行する。サブ電断処理実行手段362は、電源断などの電源異常発生時にサブ基板300における電源断処理などの異常時対応処理を実行する。サブエラー検出手段364は、サブ基板300における異常検知処理を実行する。サブエラー検出手段364が電源断を検出すると、サブ電断処理実行手段362は、電源断処理としてRAMのデータをバックアップ用RAMにバックアップする。
【0135】
図12は、携帯連携システムの概略を模式的に示す図である。携帯連携システムの前提として、遊技者はあらかじめ携帯端末354で専用サイトが設けられた遊技履歴サーバ358にアカウントおよびパスワードを設定することでユーザ登録しておく。遊技開始時において遊技者により演出ボタン109が押下されたとき、演出表示制御手段305が演出表示装置60の画面に遊技履歴サーバ358の専用サイトのアドレスを符号化した二次元コード350を表示させ、それを遊技者に携帯端末のカメラで読み取らせて遊技履歴サーバ358の専用サイトにアクセスさせる。その専用サイトから遊技者の識別情報や演出得点履歴を符号化した文字情報(これを「パスワード情報」とも呼ぶ)が携帯端末に送信され、携帯端末の画面に表示される。そのパスワード情報の入力画面を演出表示制御手段305が演出表示装置60に表示させ、十字キー110等のボタン操作を介して遊技者に入力させる。入力されたパスワード情報を演出設定手段308が復号して遊技者の識別情報や演出得点履歴として登録することにより、その遊技者の前回までの遊技内容や演出得点状態を引き継ぐことができる。このパスワード情報の入力が、その遊技者の遊技履歴の記録開始指示および各種演出要素を選択する演出カスタマイズの開始指示となる。以降、ぱちんこ遊技機100においては遊技や演出の進行に伴い、演出設定手段308がその遊技者に対して演出上の利益として付与する得点を随時加算して演出得点履歴として累積させるとともに、遊技者は随時、演出カスタマイズを実施して、各種演出要素として好みの要素を選択して設定することができる。演出上の得点付与は、図柄変動ごとに加算することを基本とし、特別遊技への移行期待度が高い演出種類ほど高い得点を付与し、特別遊技へ移行したときも高い得点を付与する。
【0136】
演出カスタマイズとして、遊技者は累積的に獲得した得点の一部を利用し、その利用するポイント数に応じて、演出表示装置60に表示される演出内容を構成する色、背景、形状、キャラクタ、楽曲などの演出要素を好みの種類に変更することができる。演出設定手段308は、遊技者によるボタン操作を介した演出要素の変更指示を受け取り、その指示に応じて各種演出要素を変更する。カスタムできる演出要素は、その要素ごとに複数種類の項目が用意され、項目ごとに必要なポイント数として異なる値が設定されている。したがって、累積された得点が所定値に達することを契機にカスタム可能な項目が増え、あるいはカスタム可能項目を増加させるチャンスが付与されることとなる。遊技者が遊技ないし演出カスタマイズの終了指示としてボタン操作をすると、演出設定手段308は、演出上の特典や演出得点履歴などの情報を符号化した二次元コード350を生成し、これを演出表示制御手段305が演出表示装置60に表示する。その二次元コード350を遊技者が自身の携帯端末のカメラで読み取り、その読み取った二次元コード352を復号することにより情報を取得して携帯端末354に蓄積できる。またその情報は携帯端末354から専用サイトのある遊技履歴サーバ358へネットワーク356を経由して送信され、自身のアカウント情報と紐付けられて管理される。このように、演出上の特典や演出得点履歴などの情報が二次元コード350の表示およびその読み取りという伝送手段を介して携帯端末354へ伝達され、遊技履歴サーバ358にて管理されることで、次回の遊技で遊技や演出の内容を引き継ぐことができる。また、長く遊技を続けることで図柄変動回数や演出回数が増える分、得点を得ることができる。
【0137】
図13は、メイン基板200およびサブ基板300のハードウェア構成を概略的に示すブロック図である。メイン基板200は、メインCPU290、メインRAM291、メインROM292などの電子部品を含む。メインROM292には、遊技動作全般を制御するためのメイン制御プログラムおよびデータがあらかじめ格納される。メインROM292からメイン制御プログラムまたはデータがメインRAM291へ読み込まれ、メイン制御プログラムがメインCPU290によって実行される。各電子部品間は図示しないシステムバスやデータバスなどのバスで結ばれる。各入球口からの入球信号や払出制御基板155からの払出信号などは図示しない各種インタフェースを介してメインCPU290により取得される。メインCPU290は、図示しない各種駆動回路により各入賞口ソレノイドや第1特別図柄表示部41、第2特別図柄表示部42などの外部装置を駆動制御する。また、メインCPU290からサブ基板300へは、演出制御に必要な命令が当否抽選の結果や図柄の決定結果、変動パターンの決定結果などの情報とともに送信される。メイン基板200からサブ基板300へは、一方向通信で信号が送信される。
【0138】
メイン基板200からサブ基板300へ送信する命令データは、いわゆるMODEデータと呼ばれる1バイトの命令種別データと、いわゆるEVENTデータと呼ばれる1バイトの命令内容データとの組合せによる2バイト構成である。メイン基板200は、命令種別データおよび命令内容データを対応付けてサブ基板300へ送信することで一命令を送ることができる。命令種別データは、命令の種別を示すビット列であり、あらかじめ命令の種別ごとに開発段階で一意の種別コードを割り当ててある。命令内容データは、命令の内容を示すビット列である。命令種別データおよび命令内容データの最上位ビットは命令種別データと命令内容データのいずれであるかを示す識別ビットであり、最上位ビットが1のときは命令種別データであることを示し、最上位ビットが0のときは命令内容データであることを示す。
【0139】
メイン基板200からサブ基板300への通信は、1回のデータ送信につき1バイトのデータを送信する仕様のため、2バイトの命令データを送信するために1バイトずつ2回の送信が必要となる。1回目の通信で上位バイトであるMODEデータを送信し、2回目の通信で下位バイトであるEVENTデータを送信する。ノイズ等の影響による通信失敗の可能性を考慮し、メイン基板200は同じデータを連続で送信し、サブ基板300により同じデータが2連続で読み込まれた時点でそのデータの送受信の完了を確定する。2連続で読み込まれるまではメイン基板200は同じデータを繰り返し送信し、最大5回まで送信する。
【0140】
サブ基板300は、サブCPU310、サブRAM311、サブROM312、演出制御装置313などの電子部品を含む。サブROM312は、演出過程が定義された演出パターンデータや演出表示過程が定義された表示パターンデータなどを含むサブ制御プログラムを保持するデータ格納手段の一つである。サブROM312から演出パターンデータ、表示パターンデータ、音声パターンデータを含むサブ制御プログラムがサブRAM311へ読み込まれ、そのサブ制御プログラムによる演出制御がサブCPU310によって実行される。各電子部品間は図示しないシステムバスやデータバスなどのバスで結ばれる。演出ボタン109などの外部装置からの信号は図示しない各種インタフェースを介してサブCPU310により取得される。サブCPU310は、演出パターンデータにしたがって、演出制御装置313、図示しない各種駆動回路や制御回路により演出表示装置60、スピーカー108、装飾ランプ111、可動役物66などの外部装置を駆動して表示出力、音声出力、ランプ点灯、役物動作による演出を制御する。サブCPU310は、表示パターンデータおよび音声パターンデータを演出制御装置313へ送信する。なお、本実施例ではサブ基板300が演出制御装置313を内包する例を説明するが、サブ基板300と演出制御装置313とは基板として一体化していることを要さず、分離して互いに接続された別個の基板として形成されてもよい。
【0141】
図14は、演出制御装置313のハードウェア構成を概略的に示すブロック図である。演出制御装置313は、制御CPU320、制御RAM322、データROM324、表示制御回路326、音声制御回路314を含む。データROM324は、演出表示に用いられる演出画像データおよびモーションデータや、音声出力に用いられる音声データなどの素材データをデータ圧縮した状態で保持するデータ格納手段の一つである。演出画像データは、当否抽選の判定結果などを示す演出オブジェクトとして変動表示や演出表示に用いられる画像であり、例えば装飾図柄変動に用いる装飾図柄のスプライト画像、予告演出に用いるスプライト画像、各種演出に用いる動画といった素材画像である。モーションデータは、各種演出に用いる画像に所定タイミングで演出的な動作を加える場合のその動作が定義されたデータである。音声データは、演出中に出力される楽曲、背景音、効果音、キャラクタのセリフといった音声のデータである。
【0142】
サブCPU310から送られた表示パターンデータに基づいて、その表示パターンデータに指定された演出画像データやモーションデータがデータROM324から制御RAM322へ読み出され、その演出画像データやモーションデータを用いた演出表示が制御CPU320によって実行される。その結果、制御CPU320から表示制御回路326へ演出表示に関するコマンド、演出画像データ、モーションデータが送信され、表示制御回路326により表示制御がなされる。同様にして、制御CPU320から音声制御回路314へ音声出力に関するコマンド、音声データが送信され、音声制御回路314により音声出力制御がなされる。
【0143】
表示制御回路326は、デコーダ332、描画メモリ334、描画回路336、フレームバッファ338、表示回路340を含み、それぞれがバス330を介して接続される。本図のバス330は、便宜上、システムバス、データバス、アドレスバスなどのバスを包括的に示したものである。
【0144】
制御CPU320から送られた演出画像データやモーションデータは描画メモリ334に格納され、それらのデータのうち圧縮されたデータはデコーダ332によって復号される。描画メモリ334は、演出画像データやモーションデータをデコーダ332により復号する場合のワークエリアとして用いられたり、描画回路336による描画処理や画像処理を実行する場合のワークエリアとして用いられたりするVRAM(VideoRAM)である。
【0145】
描画回路336は、描画メモリ334に格納されたデータを用い、制御CPU320から送られたコマンドを順に実行して表示用画像を生成し、その生成された表示用画像を動画像のフレームとしてフレームバッファ338に格納する。フレームバッファ338は、演出表示装置60へ出力すべき動画像のフレームを一時的に格納するバッファメモリとしてのVRAMである。
【0146】
表示回路340は、フレームバッファ338に格納された表示用画像を格納された順に映像信号の形で演出表示装置60へ出力する。フレームバッファ338は、例えば2フレーム分のメモリ領域を有し、表示回路340が1フレーム分のメモリ領域から表示用画像を出力する間に、描画回路336が次の表示用画像を生成して、もう1フレーム分のメモリ領域に格納する。
【0147】
なお、データROM324には、表示制御回路326によりなされる表示制御過程が定義された「詳細表示パターンデータ」が保持されている。このとき、サブCPU310から送られる表示パターンデータは、演出表示過程の概要が定義される「概略表示パターンデータ」ということができる。例えば、概略表示パターンデータには、装飾図柄の変動開始および変動停止タイミングや、複数の動画像の再生順序や、再生開始および停止のタイミングなど、一連の演出表示過程の大まかな流れが定義される。一方、詳細表示パターンデータには、装飾図柄の変動表示を実現するためのスプライト画像の表示順序や、モーションデータに基づく動画像を表示するためのフレーム単位での表示処理順序など、細かな表示制御過程が定義される。
【0148】
演出制御装置313は、サブCPU310から送られた「概略表示パターンデータ」に基づく表示制御をする場合、その処理に必要な「詳細表示パターンデータ」をデータROM324から読み出し、双方の表示パターンデータを用いて表示処理を実行する。したがって、演出制御装置313は、「概略表示パターンデータ」および「詳細表示パターンデータ」を含む表示パターデータに基づいて表示制御処理を実行するということができる。そこで、本明細書においては、明示的に言及しない限り、サブROM312に格納される「概略表示パターンデータ」とデータROM324に格納される「詳細表示パターンデータ」を区別せず、単に「表示パターンデータ」という。例えば、演出制御手段が、データ格納手段に保持される表示パターンデータに基づき特定の処理をするという場合、この表示パターンデータには、「概略表示パターンデータ」と「詳細表示パターンデータ」を含むものとする。なお、変形例においては、表示パターンデータが、「概略表示パターンデータ」と「詳細表示パターンデータ」とに分かれておらず、双方を兼ねる表示パターンデータがサブROM312またはデータROM324に保持されていてもよい。
【0149】
本実施例では、演出制御装置313のハードウェア構成として、制御CPU320、制御RAM322、データROM324および表示制御回路326が含まれる構成を示している。変形例においては、制御CPU320、制御RAM322、データROM324および表示制御回路326が、それぞれ別の電子部品として構成されるのではなく、一体化されていてもよい。また、表示制御回路326によって実行されるとした処理が、制御CPU320、制御RAM322またはデータROM324により実行されてもよい。例えば、演出制御装置313に含まれる制御CPU320が、表示制御回路326に含まれるデコーダ332、描画回路336、表示回路340により実行されるとした処理を実行してもよい。また、演出制御装置313に含まれる制御RAM322が描画メモリ334やフレームバッファ338の機能を兼ねてもよい。その他、演出制御装置313に表示制御回路326が含まれないハードウェア構成であってもよく、この場合、表示制御回路326により実行されるとした処理が、制御CPU320、制御RAM322またはデータROM324により実行されてもよい。
【0150】
また、本実施例では、サブ基板300のハードウェア構成として、サブCPU310、サブRAM311およびサブROM312の他に、演出制御装置313が含まれる構成を示している。変形例においては、サブCPU310、サブRAM311、ROM312および演出制御装置313が、それぞれ別の電子部品として構成されるのではなく、一体化されていてもよい。また、演出制御装置313によって実行されるとした処理が、サブCPU310、サブRAM311またはサブROM312により実行されてもよい。例えば、サブCPU310が制御CPU320の処理を実行してもよいし、サブRAM311が制御RAM322の機能を兼ねてもよいし、サブROM312がデータROM324の機能を兼ねてもよい。その他、サブ基板300に演出制御装置313が含まれないハードウェア構成であってもよく、この場合、演出制御装置313により実行されるとした処理が、サブCPU310、サブRAM311またはサブROM312により実行されてもよい。
【0151】
図15は、ぱちんこ遊技機におけるメイン基板200の制御開始処理を示すフローチャートである。この制御開始処理は、メイン初期処理実行手段280により実行されるが、以降、メイン初期処理実行手段280として機能するメインCPU290が実行するものとして説明する。電源スイッチ150が投入されると、メインCPU290は、スタックポインタを設定し(S100)、メインRAM291へのアクセスを許可し(S102)、メインCPU290の内蔵レジスタの設定などのハードウェアに関する初期設定を実行する(S104)。
【0152】
メインCPU290は、設定キーの操作状態を確認し、設定キーがON状態であれば(S105のY)、RAMクリアスイッチの操作状態を確認する。RAMクリアスイッチがONされていれば(S122のY)、設定変更処理を実行する(S124)。一方、RAMクリアがOFFであれば(S122のN)、設定確認処理を実行する(S126)。なお、S105にいて、設定キーがOFF状態であれば(S105のN)、S122~S126の処理をスキップする。
【0153】
つづいて、RAMクリアスイッチの操作状態、電源断情報フラグの値、及びメインRAM291に格納されているデータの状態に応じて、電源断復帰処理又はメインRAM291の初期化処理を実行する。具体的には、RAMクリアスイッチがONされず、かつ、電源断情報フラグの値と、メインRAM291に格納されているデータとの双方が正常であった場合は、電源断復帰時の処理を実行する。それ以外の場合、すなわち、RAMクリアスイッチがONされた場合、又は、RAMクリアスイッチがONされなかった場合でも、電源断情報フラグと、メインRAM291に格納されているデータとのいずれかが正常でなかった場合は、メインRAM291の初期化処理を実行する。
【0154】
メインCPU290は、RAMクリアスイッチの操作状態を確認し、RAMクリアスイッチがONされた場合(S106のY)、メインRAM291を初期化する(S116)。RAMクリアスイッチがONされなかった場合(S106のN)、メインCPU290は、電源断情報フラグの値を確認する(S108)。電源断情報フラグの値が電源断正常データと一致しなければ(S108のN)、メインRAM291を初期化する(S116)。電源断情報フラグの値が電源断正常データと一致すれば(S108のY)、メインRAM291に格納されているデータを検査する(S110)。後述するように、前回の電源断時に処理が正常に終了していれば、メインRAM291に格納されていたデータのチェックサムがメインRAM291に格納されているので、メインCPU290は、チェックサムを用いてメインRAM291のデータを検査する。メインRAM291に格納されているデータが正常でなければ(S112のN)、メインRAM291のデータを初期化する(S116)。メインRAMに格納されているデータが正常であれば(S112のY)、電源断前の状態に復帰するための処理を実行する(S114)。
【0155】
電源断復帰処理(S114)において、電源投入が正常に行われたことを示す電源投入正常データを電源断情報フラグに格納し、各種エラーの初期設定及び払出制御基板155との通信初期設定を実行する。つづいて、電源断前の未送信分のコマンド要求をクリアし、遊技状態を示す各種情報のコマンド送信を要求する。つづいて、第1特別図柄及び第2特別図柄の作動保留球数に対応した演出コマンドを要求する。つづいて、第2始動口12及び大入賞口20の開放/閉鎖状態を電源断前の状態に復帰させる。つづいて、特別図柄の確率変動機能の作動状態を報知するための処理を実行する。
【0156】
RAM初期化処理(S116)において、電源投入正常データを電源断情報フラグに格納し、メインRAM291の全領域を0でクリアし、メインRAM291の初期設定及び演出表示器の初期化を実行する。なお、S116の初期化処理では、設定変更装置170の設定メモリに記憶される設定値はクリアされず、S124の設定変更処理で設定された設定値がそのまま保持される。
【0157】
電源断復帰処理(S114)又はRAM初期化処理(S116)が終了すると、後述する割込処理を起動するためにカウント値をセットし、割込タイマの動作を開始させる(S118)。これにより、以降、所定の時間(例えば4ミリ秒)ごとにタイマ割込が発生し、後述する割込処理が実行される。つづいて、メインCPU290は、遊技機を管理するためのメイン処理を実行する(S120)。
【0158】
図16は、図15におけるS124の設定変更処理を詳細に示すフローチャートである。遊技設定の設定値が記憶されるべき設定メモリの値を確認し、設定メモリ値が正常でなければ(S132のN)、設定値を初期化して初期値にする(S134)。設定値データとして「1」~「6」を用いる場合、初期値として「1」をセットし、設定値データとして「0」~「5」を用いる場合、初期値として「0」をセットする。設定メモリ値が正常であれば(S132のY)、S134の処理をスキップする。つづいて、設定変更状態へ移行し(S136)、設定メモリに記憶された設定値を設定表示部173に表示させる(S138)。設定変更ボタン172による変更操作があれば(S140のY)、設定表示部173に表示される設定値を更新するとともに、設定メモリに記憶される設定値を更新する(S142)。変更操作がなければ(S140のN)、S142の処理をスキップする。設定キーがONのままであれば(S144のN)、S138~S142の処理を繰り返す。設定キーシリンダ171に挿入される設定キーが元に戻されてOFFになれば(S144のY)、設定表示部173を非表示にして設定値が視認できない状態にし(S146)、リターンする。
【0159】
図17は、図15におけるS126の設定確認処理を詳細に示すフローチャートである。遊技設定の設定値が記憶されるべき設定メモリの値を確認し、設定メモリ値が正常でなければ(S152のN)、設定値を初期化して初期値にする(S154)。設定メモリ値が正常であれば(S152のY)、S154の処理をスキップする。設定確認状態へ移行し(S156)、設定メモリに記憶された設定値を設定表示部173に表示させる(S158)。設定キーがONのままであれば(S160のN)、S158の処理を繰り返して設定値の表示を継続し、設定キーがOFFになれば(S160のY)、設定表示部173を非表示にして設定値が視認できない状態にし(S162)、リターンする。
【0160】
図18は、図15におけるS120のメイン処理を詳細に示すフローチャートである。メインCPU290は、タイマ割込をいったん禁止し(S200)、ウォッチドッグタイマの動作を開始させ(S202)、電源断を監視する(S204)。図示しない電源電圧監視回路において電源基板158から供給される電源電圧の低下が検出されると、電源電圧監視回路からメインCPU290に無条件割込要求信号が入力されることにより実行される電源断記憶処理において、電源断確認データが電源断確認フラグに格納される。したがって、メインCPU290は、電源断確認フラグの値を監視し(S204)、電源断確認フラグの値が電源断確認データに一致する場合は(S206のY)、電源断のための処理を実行するために、S212に進む。電源断確認フラグの値が電源断確認データに一致しない場合は(S206のN)、普通図柄当り初期値乱数、特別図柄当り図柄初期値乱数、及び特別図柄当りソフト初期値乱数を更新するため、初期値乱数更新処理を実行し(S208)、タイマ割込を許可して(S210)、S200に戻る。以降、S200~S210が繰り返される。タイマ割込が禁止されている間(S202~S208)にタイマ割込が発生した場合、S210においてタイマ割込が許可された後に、後述する割込処理を実行する。
【0161】
S206において電源断が検知されると(S206のY)、メインCPU290は、ウォッチドッグタイマをリスタートさせ(S212)、電源断情報フラグの内容を確認する(S214)。電源断情報フラグの内容が電源投入正常データと一致しない場合は(S214のN)、電源投入時のデータが正常に保存されていないと判断し、電源断異常データを電源断情報フラグに格納して(S216)、S222に進む。電源断情報フラグの内容が電源投入正常データと一致する場合は(S214のY)、電源投入時のデータが正常に保存されていると判断し、電源断正常データを電源断情報フラグに格納する(S218)。つづいて、次回の電源投入時に、バックアップされたメインRAM291のデータを検査するために、メインRAM291に格納されているデータのチェックサムを算出してメインRAM291に格納する(S220)。つづいて、メインRAM291へのアクセスを禁止して(S222)、電源が落ちるまでループする。なお、上記の電源断時の処理は、メインCPU290により実現されるメイン電断処理実行手段282が実行する。
【0162】
図19は、割込処理の詳細を示すフローチャートである。メイン処理(S120)においてタイマ割込が発生すると、メインCPU290は割込処理を実行する。まず、割込動作条件を設定し(S300)、ウォッチドッグタイマをリスタートさせる(S302)。つづいて、遊技機を管理するため、入力処理(S304)、各種乱数更新処理(S306)、初期値更新型乱数更新処理(S308)、初期値乱数更新処理(S310)、タイマ減算処理(S312)、第2始動口有効期間設定処理(S314)、入賞監視処理(S316)、賞球制御処理(S318)、普通図柄作動ゲート監視処理(S320)、普通図柄制御処理(S322)、普通図柄変動開始監視処理(S324)、始動口監視制御処理(S326)、特別図柄制御処理(S328)、特別電動役物制御処理(S330)、大入賞口有効期間設定処理(S332)、特別図柄変動開始監視制御処理(S334)、異常検知処理(S336)、入球通過時間異常検出処理(S338)、遊技状態表示処理(S340)、ハンドル状態信号検査処理(S342)、LED出力処理(S344)、発射制御信号出力処理(S346)、試験信号出力処理(S348)、ソレノイド出力処理(S350)、演出制御コマンド送信処理(S352)、外部情報出力処理(S354)を順に実行し、次回のタイマ割込を許可して(S356)、リターンする。
【0163】
入力処理(S304)において、遊技盤面に取り付けられているスイッチ、断線短絡電源異常検知信号、扉・枠の開放信号、磁気検知信号、電波検知信号、及びタッチ状態信号の入力ポートのデータを監視し、入力状態を示すデータを作成してメインRAM291に格納する。なお、この入力状態を示すデータは、レベルデータ(今回の割込時における入力ポートのデータ)と、立ち上がりデータまたは立ち下がりデータ(今回の割込時における入力ポートのデータと前回の割込時における入力ポートのデータを排他的論理和で比較して切り替わりが見られたスイッチを示すデータ)である。
【0164】
各種乱数更新処理(S306)において、普通図柄変動パターン乱数及び変動パターン乱数を更新する。普通図柄変動パターン乱数をメインRAM291から読み出し、値が所定の最大値未満である場合は値をインクリメントして格納し、値が所定の最大値以上である場合は0を格納する。また、変動パターン乱数をメインRAM291から読み出し、値から所定値を減算した結果が0以上である場合は減算結果を格納し、0未満である場合は所定の最大値を格納する。これにより、普通図柄変動パターン乱数及び変動パターン乱数は、タイマ割込が発生する時間ごとに更新される。
【0165】
初期値更新型乱数更新処理(S308)において、普通図柄当り乱数、特別図柄当り図柄乱数、及び特別図柄当りソフト乱数を更新する。それぞれの乱数の値、最大値、及び初期値をメインRAM291から読み出し、乱数の値をインクリメントする。インクリメントした結果が、最大値を超えた場合は、乱数の値を0とする。また、インクリメントした結果が、初期値に一致した場合は、初期値乱数をメインRAM291から読み出し、初期値を更新する。これにより、普通図柄当り乱数、特別図柄当り図柄乱数、及び特別図柄当りソフト乱数は、タイマ割込が発生する時間ごとに更新され、乱数の値が初期値に戻ると、すなわち乱数の範囲を一巡すると、新たに初期値を設定し直して乱数が生成される。
【0166】
初期値乱数更新処理(S310)において、普通図柄当り初期値乱数、特別図柄当り図柄初期値乱数、及び特別図柄当りソフト初期値乱数を更新する。メインRAM291の初期値乱数更新テーブルから初期値乱数を読み出し、初期値乱数の値をインクリメントする。インクリメントした結果が、上限値を超えていた場合は、初期値乱数の値を0とする。メイン処理(S120)における初期値乱数更新処理(S208)においても、同様の処理が実行される。
【0167】
タイマ減算処理(S312)において、2バイトタイマを更新する。各種制御用のタイマの値をそれぞれテーブルにしたがってメインRAM291から読み出し、タイマの値が0以外である場合、値を順次デクリメントして格納する。タイマの値が0である場合、タイマの更新は実行しない。
【0168】
第2始動口有効期間設定処理(S314)において、第2始動口12の有効期間を設定する。第2始動口12には、遊技球の入球により賞球の払い出し及び第2特別図柄に係る抽選が実行される有効期間と、遊技球が入球しても賞球の払い出し及び第2特別図柄に係る抽選が実行されない無効期間が設定される。後述するように、始動口監視制御処理(S326)において、第2始動口12の無効期間には、第2始動口入賞の監視処理を実行しないので、第2始動口12に遊技球が入球しても賞球の払い出し及び第2特別図柄に係る抽選は実行されない。第1始動口11、大入賞口20、第1作動口31、第2作動口32、一般入賞口33などに、有効期間及び無効期間が設定される場合についても同様である。普通図柄の状態が「普通電動役物作動中」である場合、第2始動口有効期間フラグに第2始動口12が有効期間であることを示すデータを格納する。普通図柄の状態が「普通電動役物作動中」でない場合、第2始動口有効延長タイマの値が0でなければ、第2始動口有効期間フラグに第2始動口12が有効期間であることを示すデータを格納し、第2始動口有効延長タイマの値が0であれば、第2始動口有効期間フラグに第2始動口が無効期間であることを示すデータを格納する。
【0169】
入賞監視処理(S316)において、遊技球のスイッチ通過を検査し、遊技球がスイッチを通過したとき、そのスイッチに無効期間がない、又は、現在有効期間である場合で、かつ、賞球払い出しがある場合、入賞カウンタを更新する。また、外部情報出力端子160へ出力するセキュリティの出力要求の作成及びコマンドの送信を要求する。
【0170】
賞球制御処理(S318)において、払出制御基板155からのデータ受信の監視、払出制御基板155へのコマンド送信要求、払出制御基板155へのコマンド送信、及び払出制御基板155からの受信データの検査を、順に実行する。
【0171】
普通図柄作動ゲート監視処理(S320)において、遊技球の第1作動口31、第2作動口32の通過を監視し、遊技球が第1作動口31または第2作動口32を通過したと判断したとき、普通図柄変動の保留数が上限値である4未満である場合は、普通図柄の保留数を更新し、普通図柄に係る乱数をメインRAM291に格納する。
【0172】
普通図柄制御処理(S322)において、普通図柄の状態を監視し、普通図柄制御中と判断した場合、普通図柄表示部45又は普通電動役物90に係る処理を実行する。普通図柄の状態が「普通図柄変動中」である場合、普通図柄変動中処理を実行し、「普通図柄停止図柄表示中」である場合、普通図柄停止図柄表示中処理を実行し、「普通電動役物作動中」である場合、普通電動役物作動中処理を実行し、「普通電動役物作動終了デモ中」である場合、普通電動役物作動終了デモ中処理を実行する。普通図柄変動中処理において、普通図柄の変動を行った後、変動時間を監視し、普通図柄の変動時間終了と判断した場合、普通図柄の変動停止設定を実行して、普通図柄の状態を「普通図柄停止図柄表示中」に設定する。普通図柄停止図柄表示中処理において、普通図柄の停止図柄表示時間を監視し、普通図柄の停止図柄表示時間終了と判断した場合、当り判定の結果に対応した普通図柄の作動終了設定を実行する。当りの場合は、普通図柄の状態を「普通電動役物作動中」に設定し、普通電動役物作動開始時の普通電動役物開放延長機能の作動状態を保存し、普通電動役物作動開始時の普通電動役物開放延長機能の作動状態に対応した普通電動役物ソレノイド91の作動設定を実行する。はずれの場合は、普通図柄の状態を「普通図柄変動待機中」に設定する。普通電動役物作動中処理において、遊技球の普通電動役物90に係る入賞口の入賞を監視し、普通電動役物90に係る入賞口の入賞数が最大入賞数に達したと判断した場合は、普通電動役物90の作動終了設定及び第2始動口有効延長時間の設定を実行する。普通電動役物90に係る入賞口の入賞数が最大入賞数に達していないと判断した場合は、普通電動役物90に係る入賞口の入口の開放/閉鎖時間の監視、普通電動役物90に係る入賞口の入口の開放/閉鎖の設定を行い、一連の普通電動役物90の入口の開放が終了したと判断した場合は、普通電動役物90の作動終了設定及び第2始動口有効延長時間の設定を実行する。なお、普通電動役物90に係る入賞口の入口の開放/閉鎖時間の終了でないと判断した場合は、普通電動役物90に係る入賞口の入口の開放/閉鎖の設定は実行しない。普通電動役物作動終了デモ中処理において、普通電動役物90の作動終了デモ時間の監視を行い、普通電動役物90の作動終了デモ時間終了と判断した場合、普通図柄の状態を「普通図柄変動待機中」に設定する。
【0173】
普通図柄変動開始監視処理(S324)において、普通図柄の状態を監視し、「普通図柄変動待機中」であり、かつ、普通図柄作動保留球数の値が0以外である場合、普通図柄の変動を開始させると判断する。普通図柄の変動を開始させると判断した場合、普通図柄作動保留球数をデクリメントし、当り判定、停止図柄の決定、普通図柄の変動パターン番号の設定、及び普通図柄の変動時間の設定を実行する。その後、普通図柄の状態を「普通図柄変動中」に設定し、普通図柄の状態設定、当り判定、及び変動パターン決定に使用したメインRAM291の領域をクリアする。
【0174】
始動口監視制御処理(S326)において、遊技球の第1始動口11入賞及び第2始動口12入賞を監視する。第1特別図柄の作動保留球数が4未満であるときに遊技球の入賞を確認した場合は、内蔵乱数を取得し、取得した内蔵乱数に特別図柄当りソフト乱数の値を加算した値を、大当り判定で使用する特別図柄当り乱数としてバッファに格納する。また、特別図柄に係る乱数として、図柄乱数及び変動パターン乱数を取得して記憶する。第2特別図柄の保留を第1特別図柄の保留に優先して消化する場合は、当該入賞に係る保留の更新のみを実行するが、特別図柄の保留の消化順序が入賞順である場合は、当該入賞に係る保留の更新のほか、合計保留数の更新及び入賞順序の記憶を実行する。つづいて、始動口入賞時に記憶する乱数に対応した予告演出コマンドを要求するため、遊技機の状態を確認し、コマンド送信期間と判断した場合、当り予告演出要求、当り図柄予告演出要求、パターン予告演出要求を順に実行する。ここで、(1)当り待ち中で、かつ、普通図柄の確率変動機能が未作動中に、第1特別図柄に係る乱数を記憶する場合、(2)当り待ち中で、かつ、普通図柄の確率変動機能が未作動中に、第2特別図柄に係る乱数を記憶する場合、(3)大当り中又は小当り中に第2特別図柄に係る乱数を記憶する場合のいずれかに該当する場合に、コマンド送信期間であると判断する。つづいて、特別図柄の作動保留球数に対応した演出コマンドを要求する。これにより、特別図柄の作動保留球数が更新されたことが、サブ基板300に通知される。以上のように、先読みにおいては、事前判定情報(事前当否判定情報、事前図柄判定情報、事前パターン判定情報)、保留球数の4つがセットとしてサブ基板300に送信される。なお、上記の例では、メインCPU290において、事前判定処理のためのコマンドの送信を制御したが、別の例では、始動口への入球がある場合には一様に送信を行い、先読み可能期間であるか否かなどの各種の状況判断は、サブCPU310が行ってもよい。つづいて、第2始動口有効期間フラグの値を検査し、第2始動口有効期間フラグの値が第2始動口12が有効期間であることを示すデータである場合、第1始動口入賞の場合と同様に、第2始動口入賞の監視処理を実行する。第2始動口有効期間フラグの値が第2始動口12が無効期間であることを示すデータである場合、第2始動口入賞の監視処理は実行しない。なお、保留球数が0であったときに遊技球の入賞を確認した場合には、ここでいったん保留球数を0から1にした上で、後述する変動開始に係る制御処理が実行される。
【0175】
特別図柄制御処理(S328)において、当り待ち状態の検査を行い、特別電動役物が作動中、すなわち、大当り中又は小当り中である場合、特別図柄制御処理を終了する。特別電動役物が未作動である場合、特別図柄の状態を検査し、「特別図柄変動待機中」であれば、特別図柄制御汎用処理を終了し、「変動開始」であれば、特別図柄変動開始処理を実行し、「特別図柄変動中」であれば、特別図柄変動中処理を実行し、「特別図柄停止図柄表示中」であれば、特別図柄停止図柄表示中処理を実行する。特別図柄変動開始処理において、変動パターン乱数に基づいて特別図柄変動パターンの選択番号を取得し、特別図柄変動パターン番号に対応した変動時間を決定し、サブ基板300に演出表示を開始させるため、変動付加図柄情報、変動パターン、及びキャラクタの情報のコマンドを要求し、特別図柄の状態を「特別図柄変動中」に設定し、特別図柄変動パターンの決定に使用した変動パターン判定領域を0でクリアする。特別図柄変動中処理において、特別図柄の変動を行った後、変動時間を監視し、特別図柄の変動時間終了と判断した場合、特別図柄の変動停止設定を行って、特別図柄の状態を「特別図柄停止図柄表示中」に設定する。特別図柄停止図柄表示中処理において、特別図柄の停止図柄表示時間を監視し、特別図柄の停止図柄表示時間終了と判断した場合、当り判定の結果に対応した特別図柄の作動終了設定を実行する。大当りの場合は、特別図柄の作動を終了させるため、特別図柄の状態を「特別図柄変動待機中」に設定し、特別電動役物が連続して作動する回数の設定を行い、特別図柄の確率変動機能、特別図柄の変動時間短縮機能、普通図柄の確率変動機能、普通図柄の変動時間短縮機能、及び普通電動役物の開放延長機能を未作動にし、遊技機の状態を大入賞口開放準備中に設定し、当り開始デモ表示時間の設定、当り開始デモ演出のコマンド要求、及び発射位置指定演出のコマンド要求(「右打ち」など推奨発射位置を示唆する演出を実行させるためのコマンド要求)を実行する。当り判定の結果が小当りである場合、特別図柄の変動時間短縮機能及び普通図柄の確率変動機能の作動終了判定を行い、変動パターン選択状態を更新し、遊技状態のコマンド要求を行い、特別図柄の作動を終了させるため、特別図柄の状態を「特別図柄変動待機中」に設定し、遊技機の状態を小当り開始デモ中に設定し、当り開始デモ表示時間の設定、当り開始デモ演出のコマンド要求、及び発射位置指定演出のコマンド要求を実行する。当り判定の結果がはずれである場合、特別図柄の変動時間短縮機能及び普通図柄の確率変動機能の作動終了判定を行い、変動パターン選択状態を更新し、遊技状態のコマンド要求を行い、特別図柄の作動を終了させるため、特別図柄の状態を「特別図柄変動待機中」に設定し、発射位置指定演出のコマンド要求を実行する。
【0176】
特別電動役物制御処理(S330)において、特別電動役物に係る処理を実行するため、条件装置及び特別電動役物の作動状態を検査し、条件装置が作動中又は特別電動役物が作動中と判断した場合、特別電動役物に係る処理を実行する。特別電動役物の作動状態に応じて、大入賞口開放準備中処理、特別電動役物作動中処理、大入賞口閉鎖中処理、大当り終了デモ中処理、小当り開始デモ中処理、小当り特電作動中処理、小当り大入賞口閉鎖中処理、小当り終了デモ中処理を実行する。
【0177】
大入賞口有効期間設定処理(S332)において、大入賞口20の有効期間判定の結果を保存するため、大入賞口有効時間の値が0である場合は、大入賞口有効期間フラグに大入賞口無効期間データを格納し、0以外である場合は、大入賞口有効期間フラグに大入賞口有効期間データを格納する。
【0178】
特別図柄変動開始監視制御処理(S334)において、特別図柄の作動状態を監視し、特別図柄が変動開始できる状態であるか否かを判定する。特別図柄の保留球の消化順序が、第2特別図柄の優先消化である場合、(1)大当り中又は小当り中でないこと、(2)第1特別図柄が変動待機中であること、(3)第2特別図柄が変動待機中であること、(4)当該特別図柄の作動保留球数が0以外であること、の全てが満たされているときに、特別図柄が変動開始できる状態であると判定する。特別図柄の保留球の消化順序が、入賞順である場合、上記(1)~(3)に加えて、(5)特別図柄の保留球数の合計が0以外であること、(6)当該判定が消化順序すなわち入賞順と一致すること、の全てが満たされているときに、特別図柄が変動開始できる状態であると判定する。
【0179】
特別図柄が変動開始できる状態であると判定された場合、当該特別図柄の作動保留球数を減算し、第1特別図柄及び第2特別図柄の保留球数に対応した演出コマンドを要求する。これにより、特別図柄の保留球数が更新されたことがサブ基板300に通知される。
【0180】
つづいて、特別図柄の当り判定を実行する。当り判定において、特別図柄当り乱数により、大当り、小当り、はずれのいずれであるかが判定され、判定結果が、特別図柄判定フラグに格納される。つづいて、図柄を決定する。図柄の決定において、当り判定が大当りであった場合、特別図柄当り図柄乱数に基づいて大当り図柄が決定され、小当りであった場合、小当り図柄が決定され、はずれであった場合、はずれ図柄が決定される。
【0181】
当り判定の結果が大当りであった場合、図柄の決定処理において決定された当り図柄の種別を示す群判定番号の値に基づいて、特別図柄の確率変動機能の作動内容を判定し、特別図柄の変動時間短縮機能の作動内容や、普通図柄の入賞容易状態を設定など、大当り終了後の遊技状態を設定する。つづいて、特別電動役物が連続して作動する回数や、大入賞口の開放時間の内容など、大当り中の設定を実行する。つづいて、当り判定の結果と、普通図柄の確率変動機能の作動状態に基づいて、大当り終了後に参照すべき変動パターンテーブルを選択することにより、変動パターン選択状態の内容を設定する。つづいて、遊技状態及び当り図柄の種別を示す群判定番号の値に基づいて選択されたテーブルを参照して、開始デモ時間及び終了デモ時間を設定する。つづいて、当り判定及び図柄決定に使用したメインRAM291の領域をクリアし、特別図柄の状態を「変動開始」に設定する。
【0182】
当り判定の結果が小当りであった場合、小当り終了後に参照すべき変動パターンテーブルを選択することにより、変動パターン選択状態の内容を設定し、開始デモ時間及び終了デモ時間を設定し、当り判定及び図柄決定に使用したメインRAM291の領域をクリアして、特別図柄の状態を「変動開始」に設定する。当り判定の結果がはずれであった場合、当り判定及び図柄決定に使用したメインRAM291の領域をクリアして、特別図柄の状態を「変動開始」に設定する。
【0183】
異常検知処理(S336)において、メインエラー検出手段284として機能するメインCPU290は、磁気検知信号、断線短絡電源異常検知信号、電波検知信号、扉・枠の開放信号を検査し、エラー状態に変化があった場合は、エラー状態を記憶して、サブ基板300に遊技機のエラー状態演出の表示を要求する。このとき、制御基板に搭載されたLED等の発光手段の発光態様をエラー状態に応じて制御してもよい。エラー状態に変化がなかった場合は、エラー状態の記憶及びエラー状態演出の表示要求は実行しない。
【0184】
入球通過時間異常検出処理(S338)において、メインエラー検出手段284として機能するメインCPU290は、入球通過時間異常を検出するため、各スイッチレベルの連続オン時間の監視を行い、連続オン時間(例えば、スイッチがオンであるとき割込み毎にインクリメントするカウンタの値)が異常値であったと判断した場合、入球通過時間異常の設定、コマンドの送信要求、外部情報出力端子160へ出力するセキュリティの出力要求の作成を順に実行する。このとき、制御基板に搭載されたLED等の発光手段の発光態様を入球通過時間異常に応じて制御してもよい。連続オン時間が異常ではないと判断した場合は、セキュリティの出力要求の作成は実行しない。
【0185】
遊技状態表示処理(S340)において、特別電動役物が連続して作動する回数、エラー状態、普通図柄の作動保留球数、及び特別図柄の作動保留球数の表示を要求するため、それぞれの表示データを作成する。
【0186】
ハンドル状態信号検査処理(S342)において、ハンドルのタッチ状態を監視するため、ハンドル状態の検査を行い、検査の結果、ハンドル状態に変化ありと判断した場合、ハンドル状態監視タイマの減算、ハンドル状態の更新、ハンドル状態監視タイマの設定、及びハンドル状態演出のコマンド送信要求を実行する。検査の結果、ハンドル状態に変化なしと判断した場合、ハンドル状態監視タイマの設定を実行する。ハンドル状態監視タイマの値をデクリメントした結果が0以外の場合、タイマ減算中と判断して、以降の処理は実行しない。
【0187】
LED出力処理(S344)において、特別図柄の表示、普通図柄の表示、特別図柄の作動保留球数の表示、普通図柄の作動保留球数の表示、遊技状態の表示、特別電動役物が連続して作動する回数の表示、役物連続作動装置未作動時の特別電動役物の作動状態の表示、打ち分けの表示、エラーの表示、賞球比率の表示を実行するために、表示の初期化、表示データの取得及び出力を順に実行する。
【0188】
発射制御信号出力処理(S346)において、遊技球の発射の禁止/許可の信号を出力するため、払出制御基板155との通信状態及び断線短絡電源異常に対応した発射の禁止/許可の設定、及び発射の禁止/許可データを取得した後、発射の禁止/許可の信号の出力を実行する。
【0189】
試験信号出力処理(S348)において、試験装置に出力する信号を作成し、対応した出力ポートに出力する。
【0190】
ソレノイド出力処理(S350)において、普通電動役物ソレノイド91及び大入賞口ソレノイド92の出力データを出力するために、普通電動役物ソレノイド91の出力データの取得、大入賞口ソレノイド92の出力データの取得及び出力データの出力を実行する。それぞれのソレノイドの作動フラグ及び作動タイマを取得し、取得したソレノイド作動フラグ及びソレノイド作動タイマに対応した出力データを取得する。つづいて、ソレノイド作動タイマを更新し、出力データをソレノイド出力ポートへ出力する。
【0191】
演出制御コマンド送信処理(S352)において、サブ基板300へ送信するコマンドの送信要求の有無を検査し、送信要求があると判断した場合、要求するコマンドデータを取得し、使用したコマンドバッファを0でクリアし、取得したコマンドデータに対応したMODEデータの取得、MODEデータの出力、MODEデータの保持、取得したコマンドデータに対応したEVENTデータの取得、EVENTデータの出力を順に実行する。
【0192】
外部情報出力処理(S354)において、外部情報出力端子160に出力する信号を作成し、作成した信号を外部情報出力ポートに出力する。
【0193】
上述したメイン基板200の動作過程において使用される乱数について、より詳細に説明する。メイン基板200において使用される乱数には、主に、普通図柄に係る乱数として、普通図柄当り乱数、及び普通図柄変動パターン乱数があり、特別図柄に係る乱数として、特別図柄当り乱数(ハード乱数)、特別図柄当りソフト乱数、特別図柄当り図柄乱数、変動パターン乱数がある。また、初期値更新型乱数である、普通図柄当り乱数、特別図柄当り図柄乱数、及び特別図柄当りソフト乱数の初期値を与えるための乱数として、普通図柄当り初期値乱数、特別図柄当り図柄初期値乱数、及び特別図柄当りソフト初期値乱数がある。
【0194】
普通図柄当り乱数は、割込処理の初期値更新型乱数更新処理(S308)において更新され、メインRAM291の所定位置に格納される。普通図柄当り乱数は、割込処理の普通図柄作動ゲート監視処理(S320)において、遊技球が第1作動口31または第2作動口32を通過したと判断されたとき、普通図柄変動の保留数が上限値である4未満である場合に、メインRAM291の所定位置から取得され、メインRAM291の別の領域に格納される。普通図柄乱数は、普通図柄変動開始監視処理(S324)において、普通図柄の変動を開始させると判断されたときに、当り判定及び停止図柄の決定のために使用される。
【0195】
普通図柄変動パターン乱数は、例えば0~232の値をとり、割込処理の各種乱数更新処理(S306)において更新され、メインRAM291の所定位置に格納される。普通図柄変動パターン乱数は、割込処理の普通図柄作動ゲート監視処理(S320)において、遊技球が第1作動口31または第2作動口32を通過したと判断されたとき、普通図柄変動の保留数が上限値である4未満である場合に、メインRAM291の所定位置から取得され、メインRAM291の別の領域に格納される。普通図柄変動パターン乱数は、普通図柄変動開始監視処理(S324)において、普通図柄の変動を開始させると判断されたときに、普通図柄の変動パターンの決定のために使用される。
【0196】
特別図柄当り乱数は、割込処理の始動口監視制御処理(S326)において、第1特別図柄又は第2特別図柄の作動保留球数が4未満であるときに遊技球の入賞を確認した場合に、内蔵乱数と特別図柄当りソフト乱数の値を取得し、両者を加算することにより生成され、メインRAM291の所定位置に格納される。特別図柄当り乱数は、割込処理の特別図柄変動開始監視制御処理(S334)において、大当り判定及び小当り判定を実行するために使用される。
【0197】
特別図柄当りソフト乱数は、割込処理の初期値更新型乱数更新処理(S308)において更新され、メインRAM291の所定位置に格納される。特別図柄当りソフト乱数は、始動口監視制御処理(S326)において、第1特別図柄又は第2特別図柄の作動保留球数が4未満であるときに遊技球の入賞を確認した場合に、メインRAM291の所定位置から取得され、上述したように、特別図柄当り乱数を生成するために使用される。
【0198】
特別図柄当り図柄乱数は、例えば0~999(図7の例では0~255)の値をとり、割込処理の初期値更新型乱数更新処理(S308)において更新され、メインRAM291の所定位置に格納される。特別図柄当り図柄乱数は、始動口監視制御処理(S326)において、第1特別図柄又は第2特別図柄の作動保留球数が4未満であるときに遊技球の入賞を確認した場合に、メインRAM291の所定位置から取得され、メインRAM291の別の領域に格納される。特別図柄当り図柄乱数は、割込処理の特別図柄変動開始監視制御処理(S334)において、当り判定が大当りであった場合に、大当り図柄を決定するために用いられる。
【0199】
変動パターン乱数は、例えば0~49999(図8の例では0~255)の値をとり、割込処理の各種乱数更新処理(S306)において更新され、メインRAM291の所定位置に格納される。変動パターン乱数は、始動口監視制御処理(S326)において、第1特別図柄又は第2特別図柄の作動保留球数が4未満であるときに遊技球の入賞を確認した場合に、メインRAM291の所定位置から取得され、メインRAM291の別の領域に格納される。変動パターン乱数は、割込処理の特別図柄制御処理(S328)において、特別図柄変動パターンを決定するために用いられる。
【0200】
普通図柄当り初期値乱数、特別図柄当り図柄初期値乱数、及び特別図柄当りソフト初期値乱数は、それぞれ、普通図柄当り乱数、特別図柄当り図柄乱数、及び特別図柄当りソフト乱数と同じ範囲の値をとり、メイン処理(S120)の初期値乱数更新処理(S208)及び割込処理の初期値乱数更新処理(S310)において更新され、メインRAM291の所定位置に格納される。普通図柄当り初期値乱数、特別図柄当り図柄初期値乱数、及び特別図柄当りソフト初期値乱数は、初期値更新型乱数更新処理(S308)において、普通図柄当り乱数、特別図柄当り図柄乱数、及び特別図柄当りソフト乱数を更新するときに、それぞれの乱数の初期値として用いられる。
【0201】
割込処理は、タイマ割込により一定時間ごとに実行されるので、割込処理に含まれる各種乱数更新処理(S306)及び初期値更新型乱数更新処理(S308)も、一定時間ごとに実行される。すなわち、普通図柄当り乱数、普通図柄変動パターン乱数、特別図柄当り乱数、特別図柄当りソフト乱数、特別図柄当り図柄乱数、変動パターン乱数は、一定時間ごとに更新される。これに対して、メイン処理(S120)は、割込処理が終了してから次のタイマ割込が発生するまでの間、すなわち、タイマにより計測される一定時間から割込処理に要した時間を減じた時間だけ繰り返される。割込処理に要する時間は、遊技状態などに応じて異なるので、メイン処理(S120)における初期値乱数更新処理(S208)は、各種乱数更新処理(S306)や初期値更新型乱数更新処理(S308)と異なり、一定時間ごとに実行されるわけではない。これにより、初期値更新型乱数更新処理(S308)において初期値を設定する際に取得される初期値乱数を毎回ランダムにすることができる。
【0202】
図20は、ぱちんこ遊技機におけるサブ基板300の制御開始処理を示すフローチャートである。この制御開始処理は、サブ初期処理実行手段360により実行されるが、以降、サブ初期処理実行手段360として機能するサブCPU310が実行するものとして説明する。サブ基板300の制御を開始すると、サブCPU310はスタックポインタを設定し(S500)、各種の初期設定が完了するまですべての割込を禁止し(S502)、サブCPU310のレジスタ設定やポート初期化といったハードウェアに関する初期設定を実行する(S504)。サブROM312から制御プログラムを読み出してサブRAM311に配置するとともに、制御プログラムにおける各種の変数のうち、初期値のある変数については初期値を設定し、初期値のない変数についてはゼロクリアのデータを設定することにより、サブRAM311を初期化する(S506)。なお、サブ基板300における割込処理は、最優先で実行される割込処理として、電源立ち上げ時の処理と、ウォッチドッグ機能が有効な場合における各種異常発生時のリセット処理とがある。次に実行優先度の高い優先レベル7の割込処理として、メイン基板200から受信するコマンド処理があり、その次に優先度の高い優先レベル3の割込処理として、ウォッチドッグタイマによるCPU暴走検知時のリセット処理がある。次に優先される優先レベル2の割込処理として、制御CPU320との間で送受信されるコマンドに係る処理があり、最も優先度の低い優先レベル1の割込処理として、リアルタイムクロックとの通信処理やランプ、ソレノイド、モータ等の各種デバイス制御処理等がある。以上の各種処理に関する割込が仮に同時に発生した場合には、割込の種類ごとにあらかじめ設定された優先度の高いものから優先して実行される。なお、本図に示す処理は、最優先レベルの割込である電源立ち上げ時の処理および各種異常発生時のリセット処理と、優先レベル3の割込であるCPU暴走検知時のリセット処理とを含む。
【0203】
メイン基板200から受信するコマンド以外の割込(優先レベル7)を禁止し(S510)、あらかじめ記憶された全機種用のすべてのエラー情報から当該機種で使用する各種エラー情報を設定する(S512)。装飾ランプ111などのすべてのランプを消灯し(S514)、ウォッチドッグタイマの動作を開始し(S516)、メイン処理を実行する(S518)。通常はS518のメイン処理から本フローへ戻ることはないが、戻ったときはスリープ(小消費電力モード)へ移行する(S520)。
【0204】
図21は、図20におけるS518のメイン処理を詳細に示すフローチャートである。図20のS506においてサブRAM311に配置された制御プログラムが正確に配置されているかを本図のメイン処理内でチェックするためにそのチェックを開始する先頭アドレスを取得し(S530)、以降の処理においてすべての割込を許可し(S532)、モータやソレノイド等のデバイスの初期化動作を実行する(S534)。
【0205】
ウォッチドッグタイマを使用する設定であればウォッチドッグタイマをクリアし(S536)、装飾図柄の外れの組合せがランダムの組合せになるように装飾図柄のカウンタを更新し(S540)、サブCPU310の入力ポートを監視する(S542)。なお、S540はカウンタを用いて装飾図柄の外れ図柄を決定する方式における処理であるため、外れ図柄となる全ての図柄組合せを組み込んだ抽選シートを用いて装飾図柄の外れ図柄を決定する方式の場合にはS540の処理は実行しない。その抽選シートを用いて装飾図柄の外れ図柄を決定する処理は、S552で後述する通りメイン基板200から特別図柄の停止図柄を示すコマンドを受信したときに実行する。サブエラー検出手段364として機能するサブCPU310は、エラー状態を監視して各種エラーを検知したときはそのエラーを報知し(S544)、演出ボタン109の入力状態に応じた処理を実行し(S546)、予告抽選を実行する(S548)。なお、S548における予告抽選は、特に図柄変動開始直後に出現させる予告演出のコマンドをできる限り早期に演出制御装置313へ送信するため、抽選処理を1回のループで処理するのではなく複数回のループに分け、図柄変動開始直後に出現させる予告演出を先のループで抽選する。リアルタイムクロック、ランプ、モータ、ソレノイド等のデバイスに対する動作要求があればその動作を実行し(S550)、コマンドバッファに保存されたコマンドを解析し(S552)、コマンド解析直後の場合はS536の処理へ戻り(S554のY)、コマンド解析直後でないときは(S554のN)、空き時間で行えばよい低優先度の処理として抽選用ソフト乱数を更新し(S556)、S536の処理に戻る。なお、S552において、解析するコマンドが特別図柄の変動パターンを示す場合は装飾図柄の変動演出パターンをこのS552の処理にて決定し、解析するコマンドが特別図柄の停止図柄を示す場合は抽選シートを用いて装飾図柄の外れ図柄を決定する方式であれば装飾図柄の停止図柄をこのS552の処理にて決定する。
【0206】
図22は、メイン基板200からコマンドを受信した場合の割込処理を示すフローチャートである。メイン基板200から受信するメインコマンドは、リセット割込やエラー割込に次いで優先度の高い優先レベル7の割込命令である。メイン基板200から受信したデータを入力ポートへ読みに行き、2回連続で同じデータが読み込まれたときにそのデータを新たなコマンドとして確定し(S600のY)、その確定したコマンドが第1コマンド(MODEデータ)であれば(S602のY)、その第1コマンドを一時記憶領域に保存する(S604)。ハード乱数を後続の処理のために取得し(S606)、元のルーチンに戻る。このようにメイン基板200からメインコマンドの割込があるたびにハード乱数を取得しておくことにより、乱数の取得タイミングに周期性を生じさせず、値のランダム性を高める。S600において読み込まれたデータが2回連続で一致しなければ(最高5回まで読み込み可能)、S602をスキップして元のルーチンに戻る(S600のN)。
【0207】
S602において、確定したコマンドが第1コマンドではなく第2コマンドの場合は(S602のN)、第1コマンドがすでに適切に受信済みであることが確認できれば(S608のY)、コマンドバッファ(コマンドデータ用のリングバッファ)における読み取り位置であるコマンドライトポインタを取得し(S610)、第1コマンドと第2コマンドとをコマンドバッファに保存する(S612)。コマンドバッファに保存されたコマンドデータは、図21のS552において解析される。コマンドライトポインタを更新し(S614)、一時記憶領域に保存させていた第1コマンドをクリアして(S616)、元のルーチンに戻る。S608において第1コマンドが受信済みでないときはS610以降をスキップして(S608のN)、元のルーチンに戻る。
【0208】
図23は、演出表示制御のためのタイマ割込が発生した場合の割込処理を示すフローチャートである。このタイマ割込は、サブCPU310から制御CPU320へ演出表示に関するコマンドを送信するための優先レベル2の割込であり、500μs周期で発生する。この割込では、バッファをチェックし(S620)、バッファに送信用のコマンドデータがあれば(S622のY)、そのコマンドデータを読み込み(S624)、制御CPU320へ送信する(S626)。なお、制御CPU320へのコマンドデータの送信は、制御CPU320側で正常受信された旨を示すコマンドをサブCPU310が制御CPU320から受信するまで所定時間間隔で最大3回まで送信を試みる。送信後、バッファの読み出しアドレスの設定を更新し(S628)、元のルーチンに戻る。バッファに送信用のデータがなければ(S622のN)、S624以降をスキップして元のルーチンに戻る。
【0209】
図24は、サブCPU310が制御CPU320からコマンドを受信した場合の割込処理を示すフローチャートである。この割込もまた優先レベル2の割込である。サブCPU310が制御CPU320から受信するコマンドは、主にサブCPU310から制御CPU320へ送信したコマンドが正常受信された旨を示すコマンドである。制御CPU320からコマンドを受信した場合、受信したコマンドデータを読み出し(S630)、コマンドを解析し(S632)、コマンドバッファに保存して(S634)、元のルーチンに戻る。
【0210】
図25は、各種デバイス制御のためのタイマ割込が発生した場合の割込処理を示すフローチャートである。このタイマ割込は、装飾ランプ111などのランプ制御、可動役物66を駆動するソレノイドやモータの制御、各種タイマの管理制御のための割込であり、1ms周期で発生する。優先度が最も低い優先レベル1の割込であるため、優先レベル2以上の割込を許可し(S640)、演出ボタン109からの入力を示す信号、エラー検知を示す信号、電断を示す信号、モータやソレノイド等の制御対象デバイスへの駆動信号等を入出力するポートの入出力を処理する(S642)。このとき、電断を示す信号が入力された場合は直ちにバックアップ処理へ移行する。モータやソレノイド等のデバイスの制御パターンに基づくカウント処理やS642でポートにデータを書き込むためのバッファのオンオフ制御など、デバイス制御に係るデータを更新し(S644)、演出のタイミングを計るためのタイマを更新し(S646)、演出ボタン109の入力有効時間を管理するためのタイマを更新し(S648)、装飾ランプ111の点灯切換制御や制御CPU320の暴走監視制御等のためのタスク制御用カウンタを更新して16ms周期を作成する(S650)。
【0211】
なお、装飾ランプ111の点灯切換制御の最小単位は16msである。画像表示制御の1フレームが16msまたは32msであり、その整数倍を装飾ランプ111の点灯切換制御の最小単位としておくことで、ランプ制御と画像表示制御を同期させやすくできる。また、例えば30秒間のエラー報知といった、比較的長時間の期間をカウントする場合に、仮に1割込(1ms)周期のカウントを用いてしまうとカウント値が必要以上に長くなってしまうが、16ms周期のカウント値とすることによってカウント値を短くすることもできる。
【0212】
タスク制御には処理0~15までの16種類のタスクがあり、そのうち1つのタスクが装飾ランプ111の点灯切換制御であり、2つのタスクが制御CPU320の暴走監視制御である。装飾ランプ111の点灯切換制御は、タスク制御用カウンタのカウント値に応じて16割込に1回実行することで16ms周期での切換を実現する。制御CPU320の暴走監視制御は、例えば処理0と処理8に割り当て、タスク制御用カウンタのカウント値が0と8のとき、すなわち8割込に1回、制御CPU320からのトグル信号を監視(S652)することで、8ms周期での監視を実現する。
【0213】
なお、制御CPU320からは1フレームごとにオンオフ反転するトグル信号が出力されており、このトグル信号が1600ms連続して同じ値のまま変化しない場合に制御CPU320が暴走していると判断し、サブCPU310から制御CPU320へリセット信号を送信し、リセット信号を受信した制御CPU320はリセットを実行する。制御CPU320からは1フレーム(16msまたは32ms)周期でトグル信号を受信するため、その周期より短い8ms周期で監視する。最後に、上述のような例えば30秒間のエラー報知といった比較的長時間のエラー報知期間を管理するタイマを減算し(S654)、そのタイムアウト時にエラー報知が終了する。
【0214】
図26は、特別図柄変動表示の過程を示すフローチャートである。第2当否抽選値の保留がなされている場合(S700のY)、第2当否判定手段222が第2当否抽選値を読み出して第2特別図柄52の当否を判定し(S702)、第2当否判定手段222が第2特別図柄52の停止図柄を決定し(S704)、第2変動パターン決定手段232が第2特別図柄52の変動パターンを決定し(S706)、決定した結果とともに変動開始コマンドをサブ基板300へ送信して第2特別図柄52の図柄変動を開始する(S716)。
【0215】
第2当否抽選値の保留がなされていない場合であって(S700のN)、第1当否抽選値の保留がなされている場合(S708のY)、第1当否判定手段221が第1当否抽選値を読み出してあらためて第1特別図柄51の当否を判定し(S710)、第1当否判定手段221が第1特別図柄51の停止図柄を決定し(S712)、第1変動パターン決定手段231が第1特別図柄51の変動パターンを決定し(S714)、決定した結果とともに変動開始コマンドをサブ基板300へ送信して第1特別図柄51の図柄変動を開始する(S716)。第1当否抽選値の保留がなされていない場合はS710からS722までの処理をスキップする(S708のN)。
【0216】
特別図柄の図柄変動表示を処理し(S718)、所定の変動時間が経過して図柄表示の停止タイミングに達するまでS718を繰り返し(S720のN)、所定の変動時間が経過して図柄表示の停止タイミングに達したときは(S720のY)、変動停止コマンドをサブ基板300へ送信して表示中の図柄変動をあらかじめ決定された停止図柄にて停止し(S722)、特別図柄の変動表示を終了する。
【0217】
図27は、装飾図柄変動表示の過程を示すフローチャートである。サブ基板300の演出決定手段303がメイン基板200から変動開始および演出表示内容を示すコマンドを受信し(S750)、受信した特別図柄の停止図柄、変動パターン、当否判定結果に応じて装飾図柄の停止態様を決定し(S752)、変動パターンに対応する変動演出パターンを決定する(S754)。ここで、事前判定により前兆設定がオンになっている場合(S756のY)、すでに決定されている変動演出パターンが、予告演出との重畳表示を回避すべき特定の演出内容が含まれたパターンでない場合であって(S758のN)、前兆設定がオンされた契機である図柄変動でなければ(S760のN)、所定の予告演出を表示すべき設定を実行し(S764)、前兆設定がオンされた契機である図柄変動である場合は(S760のY)、前兆設定をオフする(S762)。前兆設定がオンでない場合や(S756のN)、変動演出パターンに特定の演出内容が含まれる場合は(S758のY)、S760からS764の処理をスキップする。
【0218】
その後、装飾図柄の変動演出表示を開始し(S766)、装飾図柄の変動演出表示処理と(S768)、予告演出の表示処理を実行し(S770)、メイン基板200から変動停止コマンドを受信するまでS768とS770を繰り返し(S772のN)、変動停止コマンドを受信したときに(S772のY)、S752で決定された停止態様にて装飾図柄を停止表示させることで図柄変動表示を停止し(S774)、装飾図柄の変動演出を終了する(S776)。
【0219】
図28は、特別遊技の過程を示すフローチャートである。まず、演出表示制御手段305が特別遊技の演出処理を開始し(S800)、開閉制御手段275が大入賞口20を開放する(S802)。所定の開放時間が経過せず(S804のN)、大入賞口20への入球数も9球以上に達していなければS804に戻り(S806のN)、所定の開放時間が経過したか(S804のY)、開放時間が経過していないものの(S804のN)、大入賞口20への入球数が9球以上に達した場合(S806のY)、開閉制御手段275が大入賞口20を閉鎖させる(S810)。
【0220】
単位遊技が最終ラウンドに達していなければ(S810のN)、ラウンド数に1を加算してS802に戻り(S812)、単位遊技が最終ラウンドに達していた場合は(S810のY)、演出表示制御手段305は特別遊技の演出処理を終了させ(S814)、特別遊技制御手段260は特別遊技を終了させ(S816)、特定遊技、すなわち確変、時短、入球容易状態の実行を開始する(S818)。
【0221】
図29は、小当り遊技の過程を示すフローチャートである。小当り遊技において、1回だけ実行される単位遊技を開始し(S819)、大入賞口20を開放させ(S820)、所定の開放時間を経過するまで開放を継続させ(S822のN)、開放時間を経過した場合(S822のY)、大入賞口20を閉鎖し(S824)、設定回数分の開閉が終了していなければ(S826のN)、開閉回数に1を加算してS820に戻り(S828)、設定回数分の開閉が終了していれば(S826のY)、小当り遊技を終了する。
【0222】
前提技術においては、第1の遊技における大当りの出玉より、第2の遊技における大当りの出玉の方が概ね多い、すなわち、第1の遊技よりも第2の遊技の方が1回の大当りにおける賞球獲得期待値が多くなるように設計されていたが、別の例では、第1の遊技の方が第2の遊技よりも賞球獲得期待値が多くなるように設計されてもよいし、第1の遊技と第2の遊技の賞球獲得期待値が概ね等しくなるように設計されてもよい。後者の場合、第1の遊技において実行される特別遊技と第2の遊技において実行される特別遊技に含まれる単位遊技の数の平均が等しくなるように設計されてもよい。例えば、第1の遊技においては、100%の確率で単位遊技が7回実行される特別遊技が実行され、第2の遊技においては、50%の確率で単位遊技が4回実行される特別遊技が、50%の確率で単位遊技が10回実行される特別遊技が実行されてもよい。また、いずれの場合においても、大入賞口に特定領域が設けられ、大入賞口に入球した遊技球が特定領域に入球または特定領域を通過した場合に、特別遊技終了後の通常遊技において確変状態などの特定遊技が実施されるように構成されてもよい。この場合、第1の遊技において大当りとなった場合に実行される特別遊技よりも、第2の遊技において大当りとなった場合に実行される特別遊技の方が、特定領域への入球容易性が高く、特別遊技の終了後に確変状態の通常遊技が実行される確率が高くなるように構成されてもよい。例えば、特定領域への入球が相対的に困難となる特別遊技が実行される第1当りと、特定領域への入球が相対的に容易となる特別遊技が実行される第2当りとが設けられ、第1の遊技よりも第2の遊技の方が第2当りとなる確率が高いように構成されてもよい。または、第1の遊技において第2当りとなる確率は100%未満であるが、第2の遊技において第2当りとなる確率は100%であるように構成されてもよい。
【0223】
(実施例)
実施例においては、時短中に小当り発展大当りが発生しやすく、特別遊技および時短が連続的に繰り返され得る点で前提技術と相違する。以下、前提技術のぱちんこ遊技機100を構成する要素と同一または対応する要素には同じ符号を付して説明する。また、前提技術で説明済みの内容は適宜省略し、主に、前提技術のぱちんこ遊技機100と異なる内容を説明する。
【0224】
<小当り遊技における出玉獲得性>
図30は、実施例におけるぱちんこ遊技機500の前面側における基本的な構造を示す。第1始動口11は、遊技領域81の中央下部であり、センター飾り64の下位置に設けられる。第1始動口11は、第1の強度(相対的に弱い強度、言い換えれば左打ち)で発射された遊技球が入球可能または入球容易となる位置に設けられる。一方、第2始動口12、大入賞口20、作動口30は、第1の強度とは異なる強度(相対的に強い強度、言い換えれば右打ち)で発射された遊技球が入球可能または入球容易となる位置に設けられる。左打ちされた遊技球は第2始動口12、大入賞口20、作動口30へ入球しないよう、かつ、右打ちされた遊技球は第1始動口11へ入球しないよう、遊技領域81に遊技釘や風車が配置され、また遊技球の流路が設定される。
【0225】
第2始動口12は、遊技球の入球が相対的に困難な状態から相対的に容易な状態に変化するよう変位可能な入球変動機構である普通電動役物90を有する。普通電動役物90は、いわゆる電動チューリップ(電チュー)とも呼ばれ、様々な形状・仕様が適用され得る。普通電動役物90は、スライド式(例えばスライド部材が前方に進出または後方に退避することで入球容易となる仕様)、チューリップ式、ベロ式のいずれであってもよい。
【0226】
大入賞口20の内部には、遊技球が通過することにより小当り発展大当りが発生する特定領域が設けられており、特定領域通過検出装置504は、特定領域を遊技球が通過した場合にそのことを検出する。特定領域開閉ソレノイド506は、特定領域の状態を、遊技球が通過不可能な閉鎖状態と、遊技球が通過可能な開放状態との間で切り替える切替部材を制御する。特定領域開閉ソレノイド506は、開閉制御手段275の制御に応じて、当否判定の結果が小当りの場合、特定領域を開放状態とするよう切替部材を制御する。特定領域への入球を検出すると、特別遊技へ移行する旨の決定がなされる。特定領域への入球が未検出の場合、小当り遊技の終了後に通常遊技に戻る。
【0227】
実施例に係る特別遊技には、停止時の図柄が大当りとなることを契機に実行される第1特別遊技(「図柄大当り」とも呼ぶ)と、停止時の図柄が小当りとなった後に小当りが大当りに発展することを契機として実行される第2特別遊技(「小当り発展大当り」または「小当りV」とも呼ぶ)とがある。第1特別遊技は、前提技術に示した特別遊技と同様であり、すなわち図柄大当りを契機とする。第2特別遊技は、小当り遊技中に遊技球が特定領域を通過したこと(「V入賞」とも呼ぶ。)を契機とした、条件装置の作動と役物連続作動装置の作動に伴う特別遊技である。
【0228】
遊技領域81の外側右下位置には、遊技機500の遊技状態を示すための状態表示ランプ502が設けられる。状態表示ランプ502は、例えば、二つのランプによって構成され、第1のランプは時短状態(本実施例では普通電動役物の入球容易状態を伴う)であるか否かを示し、第2のランプは右打ちをすべき遊技状態(普通電動役物の入球容易状態や、特別電動役物の作動状態)であるか否かを示す。第1のランプは、時短状態の通常遊技である場合に点灯し、通常状態の通常遊技である場合に消灯する。第2のランプは、右打ちをすべき遊技状態である場合、つまり、時短状態、小当り遊技状態または特別遊技状態にある場合に点灯し、通常状態である場合に消灯する。したがって、状態表示ランプ502の第2のランプは、いわゆる右打ち表示灯として機能し、一定の表示態様にて右打ちをすべき遊技状態であるか否かを表示する。
【0229】
第1特別図柄の大当り確率と、第2特別図柄の大当り確率はともに1/390である。ぱちんこ遊技機500では、特別図柄の確率変動機能を備えないため、図柄大当りの確率は変動せず、設定値によって定められた確率毎に常時一定確率で抽選される。また、第1特別図柄の小当り確率は0であり、第2特別図柄の小当り確率は1/10である。変形例として、第1特別図柄の小当り確率は0より大きくてもよい(例えば1/500)が、少なくとも第2特別図柄の小当り確率より小さい値に定められる。なお、変形例においては、特別図柄の確率変動機能を有する仕様としてもよい。
【0230】
小当り遊技において、開閉制御手段275は、大入賞口20を1.8秒以下の所定時間(例えば1.6秒)開放させるとともに、その間、大入賞口20内部の特定領域も開放状態になるよう制御する。
【0231】
特別遊技制御手段260は、特別遊技における各単位遊技の開始時に特別電動役物556を作動させる。特別遊技制御手段260は、開閉制御手段275に特定領域開閉ソレノイド506を制御させ、大入賞口20を所定回数開放させる。小当り遊技制御手段265は、小当り遊技開始時に特別電動役物556を1回作動させる。小当り遊技制御手段265は、開閉制御手段275に特定領域開閉ソレノイド506を制御させ、1回の小当り遊技中に大入賞口20を複数回開放させる。
【0232】
大入賞口20は、大入賞口20の開放状態と閉鎖状態を切り替えるための開閉部材(後述のスライド板540)を備える。大入賞口20が閉鎖状態の場合、遊技球は開閉部材の上を転動する。図31は、大入賞口20の構成を概略的に示す外観斜視図である。スライド板540は、大入賞口20の開閉扉とも言える。スライド板540は、図31(a)で示すように、大入賞口20(箱状部材542)の上を覆う閉鎖状態と、図31(b)で示すように、奥へ引っ込む開放状態との間で変位可能である。スライド板540が閉鎖状態の場合、大入賞口20も閉鎖状態となり、スライド板540が開放状態の場合、大入賞口20も開放状態となる。
【0233】
同図は、大入賞口20のスライド板540の上を転動する遊技球の勢い(転動速度)を低下させるための構成の一例を示している。大入賞口20の上面に設けられるスライド板540は、水平方向を基準として左下がりとなるようわずかに傾斜するように設けられる。その結果、スライド板540の上を転動する遊技球はそのままでは加速傾向となり、スライド板540を閉鎖状態から開放状態に変位させたとしても、箱状部材542の内部に遊技球をうまく誘導できないおそれが生じる。
【0234】
そこで、本実施例では、スライド板540の上を転動する遊技球をジグザグ状に進行させることで、遊技球の移動距離を増やすとともにスライド板540の上を転動する遊技球の勢いを低下させるようにして、スライド板540上における遊技球の滞留時間を増加させている。これにより、大入賞口20が極めて短い時間の短時間開放を繰り返す場合であっても、スライド板540の上に遊技球が滞留する時間を長くし、短時間開放中に遊技球が入球する可能性が高められるようにする。
【0235】
図31(a)は、スライド板540が閉鎖状態である場合の大入賞口20を示す。図示されるように、遊技球がスライド板540の上を転動する範囲内において、遊技盤側に複数の突起部546aが設けられるとともに、遊技盤と対向する透明板側にも複数の突起部546bが設けられる。また、遊技盤側の複数の突起部546aと透明板側の複数の突起部546bは、スライド板540の上の流路に沿って互い違いに配列されている。なお、透明板側の複数の突起部546bは、箱状部材542から上方向に延在する透明の透明板544に取り付けられている。遊技盤80の手前側を覆う透明板103に複数の突起部546bを直接固着させないことで、遊技機のメンテナンス等の目的で透明板103を開放した場合に、突起部516bが外部に対して剥き出しの状態となって損傷しやすくなることを防ぐことができる。また、透明板544を透明部材で構成することで、大入賞口20に入球する遊技球の視認性が損なわれないようにできる。なお、変形例においては、ジグザグ状の流路を形成するための突起部または凹部をスライド板540に形成してもよい。
【0236】
スライド板540の上に複数の突起部546aと546bを互い違いに設けることで、遊技球をジグザグに進行させて遊技球の勢いが減速傾向となるようにできる。例えば、大入賞口20に向けて遊技球が右打ちにより連続発射(例えば0.6秒間隔で1球発射)され、スライド板540の上を転動して大入賞口20の左側に落下するまでに2~3秒の時間を要するように減速される場合、スライド板540の上に常時3~5球程度の遊技球が存在することになる。その結果、スライド板540を短時間開放させる場合であっても、図31(b)に示すように、大入賞口20の内部に複数個の遊技球をまとめて誘導することができる。箱状部材542の内部に落入した遊技球は、1球ずつ通過口548を通過して入賞検出がなされる。
【0237】
スライド板540の上に滞留する遊技球の個数及び滞留時間は、大入賞口20の長さや傾斜角、突起部546a、546bの数や間隔などを変えることにより調整可能である。本実施例では、右打ちの連続発射を継続させた場合に1~3個の遊技球がスライド板540の上に滞留するように設計され、スライド板540を短時間(例えば0.052秒)の開放状態に変位させた場合であっても、1回の短時間の開放中に概ね1~3個の遊技球が箱状部材542の内部に入球するよう調整される。したがって、本実施例の大入賞口20の構成によると、小当り遊技中の適切なタイミング(例えば右打ち報知後)に適切な発射操作(例えば右打ち)をすれば、遊技球を大入賞口20にほぼ確実に入球させることができる。
【0238】
なお、図31に示す大入賞口20の構成は一例にすぎず、図示する例とは異なる構造の大入賞口20が設けられてもよい。例えば、大入賞口20の開閉部材(スライド板540)は、離れた位置に設けられた複数の開閉部材を含んでもよく、それら複数の開閉部材が同時に開閉制御されるものであってもよい。
【0239】
図32は、大入賞口20の内部構成を概略的に示す図であり、特に大入賞口20の下部領域550の構成を示す。スライド板540は、大入賞口ソレノイド92の制御に応じて大入賞口20の入口を開閉する。大入賞口ソレノイド92は、スライド板540を開放状態に制御し、大入賞口20の入口を開くようにスライド板540を動作させることで、大入賞口20の内部に遊技球が流入可能な状態とする。大入賞口ソレノイド92は、スライド板540を閉鎖状態に制御し、大入賞口20の入口を塞ぐようにスライド板540を動作させることで、大入賞口20の内部に遊技球が流入不能な状態とする。大入賞口20に入球した遊技球は、一旦左方向へ流れて、1球ずつ通過可能な通過口548から大入賞口20の下部領域550へ流入する。大入賞検出装置25は、賞球を付与するため大入賞口20への遊技球の入球を検出し、具体的には通過口548を通過して下部領域550へ落入した遊技球を検出する。
【0240】
大入賞口20の下部領域550には、排出経路554が設けられる。排出経路554は、大入賞口20へ入球した遊技球を大入賞口20の外部へ排出するための経路であり、典型的には、ぱちんこ遊技機500の外部へ排出するための経路である。また下部領域550には、通過口548から排出経路554に至る流路の途中に特定領域開閉装置552が設けられる。小当り発展大当りへの移行条件となる特定領域は、特定領域開閉装置552の下の領域に該当し、特定領域開閉装置552が開放される場合に通過可能となり、特定領域開閉装置552が閉鎖される場合には通過不能となる。
【0241】
特定領域開閉装置552は、特定領域への通過を可能とする開状態と、特定領域への通過を不能とする閉状態とを切り替えるように動作する。特定領域開閉装置552は、特定領域開閉ソレノイド506の制御に応じて動作するスライド部材または弁部材を有する。特定領域開閉装置552は、特定領域への流路を開くように動作することで、特定領域への遊技球の通過が可能となる開状態となり、特定領域への流路を塞ぐように動作することで、特定領域への遊技球の通過を不能とする閉状態になる。特定領域開閉装置552は、大入賞口20の開放に伴い開状態へ移行し、大入賞口20が閉状態となったのち、内部の遊技球が特定領域開閉装置552の位置に流下すると見込まれる設計値分だけ待って大入賞口の閉状態移行から遅れて閉状態となるよう動作する。
【0242】
特定領域通過検出装置504は、特定領域開閉装置552の下位置に設けられ、特定領域における遊技球の通過を検出する。特定領域通過検出装置504は、特定領域を遊技球が通過した場合にその通過を示す特定領域通過情報を生成する。メイン基板200の入球判定手段201は、特定領域通過情報を受け取ると、遊技球が特定領域を通過したと判断する。
【0243】
実施例では、特別遊技における単位遊技と、小当り遊技とはともに、大入賞口20への入球数が同じ所定個数(実施例では10個)に達した場合に終了する。言い換えれば、特別遊技の単位遊技における特別電動役物556の作動終了条件と、小当り遊技における特別電動役物556の作動終了条件はともに、大入賞口20への入球数が10個に達することを含む。具体的には、特別遊技制御手段260は、特別遊技の1回の単位遊技を、所定時間が経過した場合、または、大入賞口20への入球数が10個に達した場合に終了条件が満たされたとして終了させる。小当り遊技制御手段265は、小当り遊技を、所定時間が経過した場合、または、大入賞口20への入球数が10個に達した場合に終了条件が満たされたとして終了させる。なお、V入賞は小当り遊技の終了条件ではなく、V入賞後も、終了条件が満たされるまで小当り遊技は継続する。
【0244】
小当り遊技における大入賞口20の1回の開放時間は、スライド板540の上を転動している遊技球が大入賞口20に入球可能な短時間に設定される。また、小当り遊技制御手段265は、1回の小当り遊技において(特別電動役物556の1回の作動中に)、開閉制御手段275を介して、大入賞口20の短時間の開放を所定の上限回数まで繰り返し得る。この上限回数は、特別遊技における1回の単位遊技および小当り遊技の終了条件(言い換えれば特別電動役物556の作動終了条件)である大入賞口20への入球個数(すなわち10個)以上の回数である。実施例では、上記入球個数より多い15回である。小当り遊技制御手段265は、小当り遊技中の大入賞口20への入球個数が10個に達すると、小当り遊技中の大入賞口20の開放回数が上限回数(15回)未満でも、その時点で大入賞口20を閉鎖し、小当り遊技を終了させる。
【0245】
小当り遊技制御手段265は、小当り遊技における1回目から12回目までの大入賞口20の開放について、大入賞口20の短時間開放(開放時間0.052秒)と、大入賞口20の短時間閉鎖(閉鎖時間1秒)のセットを繰り返す。また、小当り遊技制御手段265は、小当り遊技における13回目と14回目の大入賞口20の開放について、大入賞口20の短時間開放(開放時間0.052秒)と、大入賞口20の長時間閉鎖(閉鎖時間4秒)のセットを実行する。また、小当り遊技制御手段265は、小当り遊技における15回目の大入賞口20の開放について、開放時間0.052秒の動作を実行し、15回目の開放が終了した場合、または作動終了条件である規定カウント数の遊技球が入球した場合において3.5秒の閉鎖を実行する。
【0246】
この構成によると、遊技領域81に大入賞口を1つだけ配置し、言い換えれば、V入賞を得るための大入賞口と、出玉を増やすための大入賞口とを共通化することで、演出の表示や役物の作動等を実行する盤面領域を広く確保可能になり、演出の興趣を高めることができる。また、小当り遊技において、特別遊技中と同一の特別電動役物556が作動することになるため、共通の賞球数での払出が行われ、前述の開放態様で小当り遊技が制御されることに基づき、特別電動役物の作動終了条件である所定個数の入球が期待できるため、特別遊技の1回の単位遊技と同等の出玉獲得が可能になり、遊技者に十分な出玉感を与えることができる。
【0247】
図31に関連して説明したように、遊技者が遊技球を発射し続ける場合、大入賞口20のスライド板540上に遊技球が滞留するため、小当り遊技における大入賞口20の1回の開放時間は短くても、少なくとも1球の入球は期待できる。ただし、小当り遊技の開始に遊技者が気づかない等の理由で、遊技球の右打ちが遅れる可能性がある。そのため、小当り遊技における大入賞口20の開放回数を、小当り遊技の終了条件となる大入賞口20への入球個数以上の回数(実施例ではその入球個数より多い回数)とすることで、小当り遊技において、特別遊技の1回の単位遊技と同等の出玉を獲得させやすくなる。
【0248】
さらに、小当り遊技における大入賞口20の13回目と14回目の開放については、その閉鎖時間を相対的に長くすることで、遊技者の気づきを促し、遊技球が発射されずに小当り遊技が終了してしまうこと、すなわち、小当り発展大当りの獲得機会を逃してしまうことや、小当り遊技の発生に基づき時短が終了することで本来高確率で小当りの発生(小当りV)を受けられる第2特別図柄の変動が実行させにくくなることを防止しやすくなる。ただし、長時間閉鎖の回数を増やしすぎると、遊技者が遊技球を連続発射する場合に大入賞口20のスライド板540を通過してしまうアウト球(言わばムダ球)が増加してしまう。そこで、小当り遊技における大入賞口20の長時間閉鎖を2回とすることで、V入賞がないまま小当り遊技が終了することの抑制と、アウト球の増加の抑制とを両立する。
【0249】
なお、実施例では、小当り遊技中の大入賞口20の複数回の開放について、いずれの開放時間も0.052秒であることとしたが、変形例として、少なくとも1回の開放時間が、他の開放時間と異なってもよい。例えば、小当り遊技制御手段265は、小当り遊技中に、大入賞口20の0.052秒の開放を13回行い、大入賞口20の0.104秒の開放を1回行ってもよい。すなわち、大入賞口20のスライド板540上を転動する遊技球の少なくとも1つが大入賞口20へ入球すると想定される時間の開放が、10回以上実行されればよい。
【0250】
<A時短およびC時短>
ここで、入球容易状態としては、特別遊技の実行を契機に入球容易状態へ移行する経路(A時短ともいう)とは別に、当否判定の結果が大当り以外となることを契機に入球容易状態へ移行する経路(B時短またはC時短ともいう)がある。
【0251】
(1)A時短
A時短は、入球容易状態への最も一般的な移行経路であり、当否判定の結果が大当りとなり、または、小当り発展大当りとなり、特別遊技が実行された場合に、特別遊技の終了後に入球容易状態へ移行する経路である。A時短で移行した入球容易状態は、特別遊技終了後の図柄変動回数が所定回数(例えば10回~10000回の範囲であらかじめ設定される所定回数)に達すること、または次の大当りが発生することを終了条件とする入球容易状態である。実施例における終了条件としての図柄変動回数は、例えば10回に設定される。
【0252】
(2)B時短
B時短は、いわゆる天井機能とも呼ばれる移行経路であり、特別遊技終了後から次の大当りが発生しないまま図柄変動の累計回数が所定の天井回数(例えば500回の上限回数)に達したことを契機として大当りを経ずに入球容易状態へ移行する経路である。
【0253】
(3)C時短
C時短は、当否判定の結果が大当り以外となり、当否抽選値または図柄抽選値が特定範囲となることを契機に入球容易状態に移行する経路である。C時短は、A時短ともB時短とも異なる移行経路であり、A時短のような大当りを経た入球容易状態への移行契機となる大当り図柄や小当り図柄とは異なる特定図柄(以下、「C時短図柄」ともいう)で停止したことを契機として入球容易状態へ移行する経路である。C時短図柄の種類は複数種類であってよい。C時短図柄は外れ図柄であってよく、その場合のC時短図柄は、入球容易状態への移行を伴う外れ図柄、あるいは入球容易状態への移行契機となる外れ図柄、ということができ、また、大当りや小当りの発生契機ではないため大当りおよび特別遊技の実行を経ずに入球容易状態へと移行する契機となり得る。C時短によって移行する入球容易状態の詳細は後述するが、A時短によって移行する入球容易状態とは普通電動役物90の開放時間等の条件において相違する場合があってよい。また、図柄停止時における遊技状態の種類に応じてC時短図柄での停止を契機とする入球容易状態への移行有無、または、C時短図柄での停止有無が異なってもよい。
【0254】
なお、変形例において、B時短をさらに採用する仕様としてもよい。B時短における天井回数は、大当りが発生する確率の分母(例えば319)の2.5倍以上3倍以下(例えば798回~957回)である。B時短の天井回数は1種類(例えば900回)のみが設定される。図柄変動の累計回数が規定の天井回数(例えば900回)に到達した場合、天井回数となる図柄変動の終了後に入球容易状態に移行される。つまり、天井回数に到達した図柄変動の次の図柄変動から入球容易状態となる。なお、天井回数に到達した図柄変動の終了後(停止後)に入球容易状態に移行するため、例えば、天井回数に到達した図柄変動の終了後(停止後)に第1の抽選値の保留または第2の抽選値の保留が残存しておらず、天井回数に到達した図柄変動の次の図柄変動が開始しなくても、天井回数に到達した図柄変動の終了後(停止後)における遊技待機中(図柄停止中)において入球容易状態となっている。図柄変動の累計回数は、大当りの発生またはRAMクリア処理によって初期化されるが、B時短への移行を契機としては初期化されない。B時短中に大当りが発生せずにB時短が終了した場合、その後に大当りが発生しなければB時短用の天井回数が初期化されないため、その後に大当りが発生しなければB時短に再度移行されることはない。
【0255】
<入球容易状態の種類>
第2始動口12への入球容易性に関する状態として、通常の入球容易性の状態(非入球容易状態)である低ベース状態(「通常遊技状態」ともいう)と、低ベース状態よりも入球容易性を高めた状態である高ベース状態と、を有する。高ベース状態は、「特定遊技状態」および「入球容易状態」の一態様である。
さらに、低ベース状態より入球容易性が高く、高ベース状態より入球容易性が低い状態である特殊ベース状態(「微時短」ともいう)を有する。特殊ベース状態もまた、低ベース状態よりは入球容易性が高いため、「特定遊技状態」および「入球容易状態」の一態様である。ただし、特殊ベース状態の入球容易性は、実質的には低ベース状態の入球容易性と略同一ないし同等といえる程度であり、ほとんど無視できる程度に低ベース状態よりわずかに高いだけの入球容易性に設定される。
【0256】
特定遊技制御手段270は、遊技状態を低ベース状態、高ベース状態、特殊ベース状態のいずれかに設定可能である。
(1)低ベース状態
非入球容易状態(非時短状態)である低ベース状態では、普通図柄抽選(「開放抽選」ともいう)で当選し、普通図柄が当り態様で停止表示すると、普通電動役物90の開放として0.1秒間の短開放が実行される。変形例として、低ベース状態では普通図柄抽選がすべて外れとなって普通電動役物90が開放されない仕様としてもよい。
(2)高ベース状態
高ベース状態では、普通図柄抽選で当選し、普通図柄が当り態様で停止表示すると、普通電動役物90の開放として5秒間の長開放が実行される。なお、A時短としての高ベース状態とC時短としての高ベース状態とで、入球容易性を同一とせずに差異を持たせても良い。例えば、A時短としての高ベース状態はC時短としての高ベース状態よりも、(1)普通図柄の当選確率が高い、(2)普通図柄の変動時間が短い、(3)普通電動役物90の開放時間が長い、の少なくともいずれかであって良い。もしくは、例えば、C時短としての高ベース状態はA時短としての高ベース状態よりも、(1)普通図柄の当選確率が高い、(2)普通図柄の変動時間が短い、(3)普通電動役物90の開放時間が長い、の少なくともいずれかであって良い。なお、いずれであっても、A時短としての高ベース状態とC時短としての高ベース状態とは、特殊ベース状態よりも入球容易性が高い(普通図柄の当選確率が高く、普通図柄の変動時間が短く、普通電動役物90の開放時間が長い)。
(3)特殊ベース状態
これに対して特殊ベース状態では、普通図柄抽選で当選し、普通図柄が当り態様で停止表示すると、普通電動役物90の開放として0.11秒間といったように、低ベース状態での短開放よりはわずかに(0.01秒だけ)長く、高ベース状態の長開放より圧倒的に短い期間の開放が実行される。したがって、特殊ベース状態における入球容易性は低ベース状態における入球容易性よりはごく僅かに高いものの、高ベース状態における入球容易性に比べて圧倒的に低い。
【0257】
ここで、非入球容易状態(非時短状態)においては第1特別図柄が大当りまたは小当り発展大当りとなった場合に50%の確率でA時短として入球容易状態へ移行する一方、入球容易状態においては第2特別図柄が大当りまたは小当り発展大当りとなった場合に100%の確率でA時短として入球容易状態へ移行する仕様を前提とする。
高ベース状態だけでなく特殊ベース状態も入球容易状態の一態様であるため、特殊ベース状態で第1特別図柄が大当りまたは小当り発展大当りとなった場合も100%の確率でA時短として入球容易状態へ移行することとなる。
特殊ベース状態では、仮に右打ちしても普通電動役物90の開放時間がきわめて短く第2始動口12に入賞する見込みがほとんどないため、左打ちして第1始動口11を狙うこととなり、実質的には低ベース状態と同じ遊技方法となる。したがって、特殊ベース状態では、通常の左打ちと同様のペースで遊技球が減っていくが、大当りが発生すれば100%の確率でA時短へ移行できる点で優遇された状態といえる。なお、高ベース状態では右打ち報知画像(特別遊技中に表示される画像とは異なり、高ベース状態中に表示される高ベース状態専用の右打ち報知画像、但し、特別遊技中の画像と共通する画像でもよい)が表示されるが、特殊ベース状態では右打ち報知画像が表示されない。
【0258】
<残存保留>
本実施例では、特図保留手段241に保留された第1当否抽選値を「第1保留」といい、特図保留手段241に保留された第2当否抽選値を「第2保留」という。特別遊技の状態および高ベース状態のうち少なくともいずれかである有利状態の終了後に低ベース状態へ移行した時点で特図保留手段241に残存していた第2保留を第2保留の残存保留といい、第2保留が消化された時点で特図保留手段241に残存していた第1保留を第1保留の残存保留という。
【0259】
<演出設定変更(先読み演出の実行頻度に関するカスタム機能)>
所定の先読み演出の実行頻度を変更する演出設定変更を、遊技者による演出ボタン109または十字キー110の操作入力に応じて実行可能である。この演出設定変更は、遊技者の好みで様々な演出の設定を自由に変更できる、いわゆるカスタム機能である。
例えば、遊技者が先読み演出の実行頻度を相対的に低くする設定に変更した場合、事前判定結果が大当りまたは小当りでない場合における先読み演出の出現率は低下する。この場合、事前判定結果が大当りまたは小当りであった場合における先読み演出の出現率は必ずしも低下させられないため、限られた先読み演出実行機会のうち大当りまたは小当りに該当する割合は結果的に高くなり、先読み演出の特別遊技期待度が高まる。このような先読み演出の頻度を低くすることで期待度を高める設定の演出モードを、以下「先読みチャンスモード」と呼ぶ。
【0260】
図33は、カスタム機能の案内画面例を示す。図33(a)が第1カスタム案内の画面例であり、図33(b)が第2カスタム案内の画面例であり、図33(c)が待機デモの画面例である。図柄変動の停止から、非遊技中状態にて5秒経過した場合に、第1カスタム案内が表示される。第1カスタム案内において、演出ボタン109を押下すれば演出設定変更が可能となる旨が表示されるが、音量・光量の調節方法については表示されない。なお、第1カスタム案内の表示は半透明となっており、第1カスタム案内の表示と装飾図柄とが重なって表示されていても装飾図柄を視認できる。また、第1カスタム案内の表示中に演出ボタン109を押下することにより、実機カスタム機能(演出設定変更)の実行が可能となる。
【0261】
第1カスタム案内の表示後、さらに非遊技中状態にて70秒、すなわち非遊技期間となってから75秒が経過した場合に第2カスタム案内が表示される。第2カスタム案内では、第1カスタム案内の表示態様に加えて、表示領域の下部に、すなわち第1カスタム案内の下方に、音量調節の案内画像と光量調節の案内画像が表示される。第2カスタム案内は、第1カスタム案内と同様に半透明である。
【0262】
第2カスタム案内の表示後、さらに非遊技中状態にて165秒、すなわち非遊技期間となってから240秒が経過した場合、待機デモ画面が表示される。待機デモ画面では、第1カスタム案内及び第2カスタム案内の表示は消去され、ストーリー表示等が表示されるように構成されている。なお、待機デモ画面は、半透明とはなっておらず、待機デモ画面の表示と装飾図柄とが重なって表示された場合には、装飾図柄が視認不可能又は視認困難(装飾図柄の表示の方が待機デモ画面の表示よりも表示領域が小さい、装飾図柄の表示の方が待機デモ画面の表示よりも後面レイヤーに表示される、等)となるよう構成されている。なお、音量調節禁止フラグがオンである場合には、第2カスタム案内にてオン調節に係る表示はされないよう構成されている。
【0263】
図34は、先読みチャンスモードの変更画面例を示す。図34(a)は演出設定変更で設定を変更する対象を選択する画面例である。遊技者が十字キー110の上下ボタンを押下することで、設定を変更する対象を切り替えることができる。図の例では、設定変更の対象として「先読みチャンスモード」を表示している状態を示す。この状態で遊技者が演出ボタン109を押下すると、「先読みチャンスモード」の選択が確定する。
【0264】
図34(b)は「先読みチャンスモード」のオンオフを設定する画面例である。遊技者が十字キー110の左右ボタンを押下することで、「先読みチャンスモード」のオンオフを切り替えることができる。この状態で遊技者が演出ボタン109を押下すると、「先読みチャンスモード」のオンオフの設定が確定する。なお、変動停止中(遊技待機中)のみならず、変動中であっても先読みチャンスモードの変更画面を表示可能であり、遊技者が十字キー110の上下ボタンを押下することで、設定を変更する対象を切り替えることができ、十字キー110の左右ボタンを押下することで「先読みチャンスモード」のオンオフを切り替えることができる。なお、変動中であれば、演出ボタン109の押下を必要とせず、十字キー110の左右ボタンを押下して「先読みチャンスモード」のオンオフを切り替えた時点でオンオフの設定が確定するよう構成してもよい。なお、音量及び光量の調節を行うための十字キーとは異なる演出カスタム専用の十字キーを備えてよく、そのように構成した場合は音量及び光量の調節をしながら「先読みチャンスモード」のオンオフを切り替え可能となる。
【0265】
なお、先読み演出の実行頻度を低くする設定にしても演出ステージや背景映像が変更されるわけではない。先読み演出の実行頻度を高くする設定との外観上の違いは、例えば画面端にカスタム名が表示されるかどうか程度の違いである。演出設定変更は、遊技待機中だけでなく、図柄変動中(ただし、スーパーリーチ等のリーチ演出中を除く)にも実行可能である。
【0266】
ここで、保留変化演出のような先読み演出の実行中は、先読み演出を実行中であることを示す先読み演出中フラグをオンにする。保留変化演出は、新たな入球の事前判定結果が高期待度演出に該当したことをその保留ランプ画像の変化で示唆する演出である。オンされた先読み演出中フラグは、保留変化演出の対象となった保留に対応する図柄変動の終了までオンのまま維持される。
【0267】
先読み演出中フラグがオンになっている間は、第1始動口11または第2始動口12への新たな入球があった場合でも、その新たな入球に係る事前情報に基づく通常の先読み演出の実行が制限される。例えば、先読み演出中フラグがオンになっている間は第1始動口11または第2始動口12への新たな入球に係る事前情報を読み出さないように制御してもよいし、事前情報は読み出すがその事前情報に基づく高期待演出の実行可否の判定をしない制御をしてもよいし、新たな入球に係る高期待演出の実行可否の判定は実行するもののその判定結果に基づく新たな先読み演出の実行を制限するようにしてもよい。先読み演出が同時に複数実行されてしまうと、先に表示される先読み演出の信頼性が損なわれる場合があり、または、後から実行された先読み演出の方が期待度が高くなってしまう場合があるためである。この場合、先に実行された先読み演出を無視して後から実行される先読み演出の方を期待し、遊技者があえて遊技を中断してしまうような事態も想定されるからである。
【0268】
<入球時特殊先読み演出>
入球時特殊先読み演出は、第1始動口11または第2始動口12への新たな入球時にその入球に係る事前情報が所定結果(大当りまたは小当り)に対応する情報である場合に特別遊技実行期待度が高いことを入球の直後に示唆する先読み演出である。入球時特殊先読み演出は、第1始動口11または第2始動口12への新たな入球時に激しい告知音を出力するとともに、装飾ランプ111を激しく発光させる発光演出が実行される。入球時特殊先読み演出は、図柄変動演出の開始を基準とした所定タイミングで実行される通常の先読み演出と異なり、第1始動口11または第2始動口12へ新たに入球したタイミングで実行されるため、実行中の図柄変動演出とは無関係なタイミングで不意を突くような形で実現される。
【0269】
実施例では、入球時特殊先読み演出を実行し得る特殊先読み演出モードのオンオフ、すなわち入球時特殊先読み演出の実行有無を、演出設定変更により遊技者の好みで設定できる。遊技者は、演出ボタン109または十字キー110の操作入力により特殊先読み演出モードをオンオフする演出設定変更を実行可能である。このような入球時特殊先読み演出を実行可能とする設定の演出モードを、以下「入球先読みモード」と呼ぶ。
【0270】
図35は、入球先読みモードの変更画面例を示す。図35(a)は演出設定変更で設定を変更する対象を選択する画面例である。遊技者が十字キー110の上下ボタンを押下することで、設定を変更する対象を切り替えることができる。図の例では、設定変更の対象として「入球先読みモード」を表示している状態を示す。この状態で遊技者が演出ボタン109を押下すると、「入球先読みモード」の選択が確定する。
【0271】
図35(b)は「入球先読みモード」のオンオフを設定する画面例である。遊技者が十字キー110の左右ボタンを押下することで、「入球先読みモード」のオンオフを切り替えることができる。この状態で遊技者が演出ボタン109を押下すると、「入球先読みモード」のオンオフの設定が確定する。なお、変動停止中(遊技待機中)のみならず、変動中であっても入球先読みモードの変更画面を表示可能であり、遊技者が十字キー110の上下ボタンを押下することで、設定を変更する対象を切り替えることができ、十字キー110の左右ボタンを押下することで「入球先読みモード」のオンオフを切り替えることができる。なお、変動中であれば、演出ボタン109の押下を必要とせず、十字キー110の左右ボタンを押下して「入球先読みモード」のオンオフを切り替えた時点でオンオフの設定が確定するよう構成してもよい。なお、音量及び光量の調節を行うための十字キーとは異なる演出カスタム専用の十字キーを備えてよく、そのように構成した場合は音量及び光量の調節をしながら「入球先読みモード」のオンオフを切り替え可能となる。
【0272】
入球時特殊先読み演出が実行された場合における大当りまたは小当りの発生確率は100%に設定されてもよいし、100%未満に設定されてもよい。100%未満に設定される場合、実際には大当りまたは小当りに該当しない入球時にも実行される場合があってよい。また、特殊先読み演出モードがオンに設定されているにもかかわらず、大当りまたは小当りに該当する入球があっても入球時特殊先読み演出が実行されない場合がある仕様でもよい。
【0273】
(第1実施形態)
第1実施形態においては、有利状態終了時に残存する第2保留に係る図柄変動演出と、その消化後の第1保留に係る図柄変動演出とで演出態様を同一または類似の演出態様にする点を主な特徴とする。これにより、有利状態から期待度の高い状態が続く期間を継ぎ目無く演出的に連続させ、違和感のない演出期間を実現できる。
【0274】
特別遊技の状態および高ベース状態のうち少なくともいずれかである有利状態の終了後に移行する低ベース状態においては、高ベース状態への移行を伴う特別遊技の実行契機となる図柄種類とは異なる複数種類のC時短図柄のうちいずれかで停止可能である。
特別図柄がC時短図柄で停止した場合であって、停止したC時短図柄の種類が第1の特定図柄(以下「第1C時短図柄」という)の場合は高ベース状態へ移行し、停止したC時短図柄の種類が第1C時短図柄と異なる第2の特定図柄(以下「第2C時短図柄」という)の場合は特殊ベース状態に移行する。補足すると、本実施例では、ベース状態が何れであるかに限らずC時短図柄が停止可能であるが、低ベース状態にてC時短図柄が停止した場合にのみ、高ベース状態もしくは特殊ベース状態に移行可能に構成されている。換言すれば、高ベース状態と特殊ベース状態ではC時短図柄が停止しても高ベース状態もしくは特殊ベース状態に移行(再移行、再設定)することがないよう構成されている。
【0275】
第1実施形態における低ベース状態では、第1当否抽選値が大当りに該当しなかった場合、停止図柄はすべて外れ図柄になるとともに、その外れ図柄はすべてC時短図柄に該当することとなる。すなわち、第1C時短図柄と第2C時短図柄のいずれかに該当し、高ベース状態と特殊ベース状態のいずれかに移行するため、結果として低ベース状態は図柄変動1回分で終了することとなる。C時短図柄は低ベース状態における第1特別図柄のみが停止図柄として該当し得る図柄種類である。低ベース状態において、約1/5の確率で第1C時短図柄に該当し、約4/5の確率で第2C時短図柄に該当するよう設定される。
【0276】
なお、変形例としては、低ベース状態における第1当否抽選値が大当りに該当しなかった場合の外れ図柄の100%ではなく、50%以下の確率でC時短図柄に該当する仕様としてもよい。その場合、第1C時短図柄に該当して高ベース状態へ移行するのは低ベース状態における1回目の図柄変動に限られず、2回目以降の図柄変動でも第1C時短図柄に該当して高ベース状態へ移行する可能性がある遊技性とすることができる。
【0277】
図36は、第1実施形態における遊技状態の遷移を示す。低ベース状態600において第1特別図柄が高ベース状態への移行を伴う大当り図柄602で停止した場合、特別遊技622へ移行する(矢印614)。この場合の高ベース状態への移行経路は「A時短」に相当する。特別遊技622の終了後、高ベース状態624へ移行する(矢印630)。
【0278】
低ベース状態600において第1特別図柄が高ベース状態への移行を伴わない大当り図柄604で停止した場合、低ベース状態600は1回の図柄変動でいったん終了して特別遊技620へ移行し(矢印610)、特別遊技620の終了後に再び低ベース状態600となる(矢印612)。
【0279】
低ベース状態600において第1特別図柄が外れ図柄の一つである第1C時短図柄606で停止した場合、大当りを経ずに高ベース状態624へ移行する(矢印616)。低ベース状態600において第1特別図柄が外れ図柄の一つである第2C時短図柄608で停止した場合、大当りを経ずに特殊ベース状態626へ移行する(矢印618)。
【0280】
高ベース状態624において、大当り640または小当り発展大当り642が発生した場合、特別遊技622へ移行する(矢印632)。特殊ベース状態626において、大当り650または小当り発展大当り652が発生した場合も、特別遊技622へ移行する(矢印636)。なお、特殊ベース状態626においては第2始動口12への入球容易性が実質的に低く、ほとんど入球が期待できないため遊技者は左打ちをすることとなり、第2始動口12への入球を契機とした小当り発展大当り652の発生可能性はほとんどない。
【0281】
高ベース状態624においては、高ベース状態624における図柄変動の累積回数が例えば10回に達することや、大当りまたは小当り発展大当りが発生することを終了条件とする。終了条件が成立、例えば図柄変動の累積回数が10回に到達した場合は(符号644)、低ベース状態600に戻る(矢印634)。特殊ベース状態626においては、特殊ベース状態626における図柄変動の累積回数が10000回に達することや、大当りまたは小当り発展大当りが発生することを終了条件とすることが適しているが、特殊ベース状態626における図柄変動の累積回数が例えば10回に達することや、大当りまたは小当り発展大当りが発生することを終了条件としてもよい。終了条件が成立、例えば図柄変動の累積回数が10回に到達した場合(符号654)、低ベース状態600に戻る(矢印634)。
【0282】
高ベース状態624または特殊ベース状態626から低ベース状態600に戻った後も、低ベース状態600に戻った時点で第2保留として最大4個の残存保留があった場合、その残存保留の分だけ小当りの可能性がある当否抽選が実行される。最大4個の残存保留が消化した後は、低ベース状態600の1回分の図柄変動において第1C時短図柄で停止することにより高ベース状態624へ復帰する可能性が高い状態となる。このように最大5回分の図柄変動において有利状態へ復帰する期待が持てる状況が続き、この期間にわたって同一のまたは類似する演出により有利状態への期待を煽る演出をすることができる。例えば、外観上の時短期間が終了するか継続(内部的には入球容易状態を復活させるための引き戻し)するかを煽る演出が実行される。最大5回の図柄変動のそれぞれにおいて、金色の背景表示とともに「引き戻しチャンス!」との文字が表示され、遊技者に1回ずつ演出ボタン109を押下させるようなチャンス演出を実行してもよい。
【0283】
図37は、第1実施形態における遊技状態の遷移と図柄変動の関係を示す。図37(a)~(c)の各上段は遊技状態を示し、各下段は図柄変動期間を示す。図37(a)の例では、特別遊技の状態および高ベース状態のうち少なくともいずれかである有利状態(例えば高ベース状態624)の終了後は、高ベース状態624の終了時点t1における第2保留の残存保留の数だけ第2特別図柄が変動し得るため、高ベース状態624が終了して低ベース状態600になった場合でも第2特別図柄の当りを引き戻せる可能性が最大4回分残される。図37(a)の例では、4つの第2保留d1~d4のうち最後の第2保留d4が小当り発展大当りとなり、タイミングt2において遊技状態が低ベース状態600から高ベース状態624へ移行したことを示す。
【0284】
第2保留d1~d4のように残り4回の引き戻し可能期間において小当り発展大当りまたは大当りが発生すれば、再びその特別遊技終了後にA時短として50%の確率で高ベース状態へ移行し得る(小当りが発生する確率は1/10であり、図柄変動4回分の引き戻し可能期間で小当りまたは大当りが発生する確率は約40%である)。残存保留としての第2保留に係る図柄変動d1~d4のそれぞれにおいては特別遊技実行期待度が相対的に高い高期待度演出を実行する。
【0285】
図37(b)の例では、特別遊技の状態および高ベース状態のうち少なくともいずれかである有利状態(例えば高ベース状態624)の終了から第2保留の3個目d3までは図37(a)の例と同様である。第2保留の4個目d4も外れとなり、第1保留が第1C時短図柄となり、遊技状態が低ベース状態600から高ベース状態624へ移行したことを示す。有利状態中は第2始動口12への入球可能性が高く、有利状態の終了時において第2特別図柄の残存保留数が最大数である4となっている可能性も高いため、有利状態の終了後は実質的には残存保留による図柄変動回数4回と、約1/5の確率で第1C時短図柄により高ベース状態へ移行しやすい変動回数1回との合計5回の小当り発展大当りまたは第1C時短図柄による高ベース状態への移行のチャンス(小当り発展大当りのチャンス4回+第1C時短図柄による高ベース状態への移行のチャンス1回)がある。その5回のうちに小当りが発生するか高ベース状態へ移行する確率は約60%である。
【0286】
残存保留としての第2保留に係る図柄変動においては特別遊技実行期待度が相対的に高い高期待度演出を実行するとともに、第2保留が消化された時点で第1保留が残存していた場合におけるその第1保留に係る1回目の図柄変動においても第2保留での高期待度演出と同一のまたは類似する演出を実行可能である。図37(b)の例では、4個の第2保留d1~d4の図柄変動期間と1個の第1保留d5の図柄変動期間にわたり、同一または類似の高期待度演出を実行する。このように、有利状態から残存保留としての第1保留の1回目の図柄変動まで継続的に同一または類似の演出(例えば、金色の背景表示とともに「引き戻しチャンス!」との文字が表示され、遊技者に1回ずつ演出ボタン109を押下させるようなチャンス演出)を実行する。これにより、有利状態から残存保留の1回目の図柄変動までの演出上の流れに一貫性を持たせ、違和感がない演出を実現できる。
【0287】
第1保留である図柄変動d5における第1C時短図柄での停止を契機としてタイミングt2において高ベース状態624へ移行する場合の特殊演出における演出態様は、残存保留としての第2保留に係る当否判定で大当りまたは小当りとなる場合(図37(a)における4個目の第2保留d4)の特殊演出における演出態様と同一のまたは類似する演出態様である。具体的には、残存保留としての第2保留に係る当否判定で大当りまたは小当りとなる場合は、大当りまたは小当りを契機として実行される特別遊技の実行中(特に終了デモ中)に「高ベース状態突入!」や「RUSH突入!」といった虹色文字が表示され、低ベース状態での第1保留である図柄変動d5における第1C時短図柄での停止中も「高ベース状態突入!」や「RUSH突入!」といった虹色文字が表示される。第1保留が第1C時短図柄により高ベース状態624へ移行する場合も、第2保留で大当りまたは小当り発展大当りが発生して高ベース状態624へ移行する場合と同様に獲得できる利益が大きいことに変わりはないためである。また、第1保留である図柄変動d5にて第1C時短図柄が停止する場合、その変動にて演出ボタン109を押下して「大成功!」との虹色文字が表示されるが、この演出は残存保留としての第2保留に係る当否判定で大当りまたは小当りとなる場合の変動でも実行される。なお、第1保留である図柄変動d5にて第2C時短図柄が停止する場合は「失敗・・・」の文字が表示される。また、第1保留である図柄変動d5にて大当りとなる場合は「成功!」との赤色文字が表示される(高ベース状態への移行が確定しないため、虹色文字の「大成功!」ではなく赤色文字の「成功!」である)。
【0288】
なお、変形例としては、上記状況で第1保留に残存保留が存在しない場合、その後に実行される有利状態終了後の最初の第1特別図柄の変動演出態様について、上記のような同一または類似の演出とせず、特定演出(残存保留1回目の図柄変動にのみ用いる専用演出)を実行する仕様としてもよい。
【0289】
図37(c)の例では、特別遊技の状態および高ベース状態のうち少なくともいずれかである有利状態(例えば高ベース状態624)の終了から第2保留の4個目d4までは図37(b)の例と同様である。第2保留の4個目d4も外れとなり、第1保留が第2C時短図柄となり、タイミングt2において遊技状態が低ベース状態600から特殊ベース状態626へ移行したことを示す。この場合もまた図37(b)の例と同様に、4個の第2保留d1~d4の図柄変動期間と1個の第1保留d5の図柄変動期間にわたり、同一または類似の高期待度演出を実行する。
【0290】
(第2実施形態)
第2実施形態においては、高ベース状態から低ベース状態に移行後の第1保留の初回の図柄変動において第1C時短図柄に該当した場合は大当りの場合と異なる高期待度演出を実行し得る点を主な特徴とし、この点で第1実施形態と異なる。その他の特徴は第1実施形態と共通するため、説明を省略する。これにより、第1保留の初回の図柄変動から2回目以降の図柄変動にわたる期間を継ぎ目無く演出的に連続させて違和感のない演出期間を実現しつつ、第1保留の初回に限り期待度が高いことを示唆することもできる。
【0291】
特別遊技および高ベース状態のうち少なくともいずれかである有利状態の終了後に低ベース状態へ移行した時点で残存していた第1保留に係る図柄判定で第1C時短図柄に該当した場合は、残存していた第1保留に係る当否判定で大当りとなる場合とは異なる高期待度演出を実行可能である。この場合、第1保留で第1C時短図柄に該当した場合に実行する高期待度演出は、第1特別図柄で大当りとなった場合の演出より遊技者に対して有利度が高いことを示す演出であってよい。第1C時短図柄によって高ベース状態に移行すればその後の大当りまたは小当り発展大当りを獲得できる可能性が高く、その大当りまたは小当り発展大当りの後に100%の確率で高ベース状態へ移行し得る。そのため、単発の大当りと異なり、大当りと高ベース状態への移行が繰り返される連鎖状態である、いわゆる連チャン状態が期待できる。これに対し、第1保留で大当りとなった場合は、低ベース状態での大当りであるために高ベース状態への移行を伴うか否かは50%の確率でしかなく、連チャン状態を実現し得るかどうかの確実性に乏しいためである。
【0292】
残存していた第1保留に係る1回目の図柄変動と、1回目の図柄変動の次以降の図柄変動とで同一態様または類似態様の図柄変動演出が実行され得る。例えば、残存していた第1保留に係る1回目の図柄変動と、1回目の図柄変動の次以降の図柄変動とで、戦場で敵を捜索する演出を実行する。その一方、残存していた第1保留に係る1回目の図柄変動においては、次以降の図柄変動では実行されない特殊演出を実行可能である。例えば、残存していた第1保留に係る1回目の図柄変動においてのみ画面右上に「敵接近中!遭遇率UP!」とも文字演出が表示される。ここでいう演出態様は、例えば、複数回の図柄変動にわたって表示するキャラクタや背景映像等に特定のコンセプト、テーマ、モチーフを用いた一連の演出である演出ステージであってよい。例えば、有利状態の終了後に低ベース状態へ移行しても、20回程度の図柄変動にわたって希少性のある特殊な演出ステージ(例えば、戦場ステージ)へ移行することで遊技の興趣を維持して遊技者の遊技意思を継続させる仕様であってもよい。例えば演出ステージにおいて特定の演出上の目標を設定し、その目標に向けて複数回の図柄変動にわたって演出を展開し、最終的に目標を達成した場合に大当りまたは小当り発展大当りが発生するような演出としてもよい。
【0293】
図38は、第2実施形態における遊技状態の遷移と図柄変動の関係を示す。図38(a)、(b)の各上段は遊技状態を示し、各下段は図柄変動期間を示す。図38(a)の例では、特別遊技の状態および高ベース状態のうち少なくともいずれかである有利状態(例えば高ベース状態624)の終了後、高ベース状態624の終了時点t1における第2保留の残存保留の数だけ第2特別図柄が変動し得る。図38(a)の例では、4つの第2保留d1~d4が残存し、すべて外れとなった状態を示す。
【0294】
4つの第2保留d1~d4が消化した後、第1保留d5から演出ステージs1が開始される。残存保留としての第1保留に係る1回目の図柄変動d5と次の図柄変動d6以降とで一連の同じ演出ステージs1での図柄変動演出を実行しつつ、残存保留としての第1保留の1回目d5の図柄判定で第1C時短図柄となった場合は高ベース状態への移行が確定し、2回目の図柄変動d6以降(第2特別図柄)では小当り発展大当りの発生可能性が高くなる。
【0295】
このように、残存保留としての第1保留の1回目の図柄変動d5と、2回目の図柄変動d6以降で、同じ演出ステージにより継続的に同一または類似の演出を実行する。これにより、残存保留の1回目の図柄変動d5と次変動d6以降で演出上の流れに一貫性を持たせ、違和感がない演出を実現できる。一方、1回目の図柄変動d5においてのみ演出上の目標を達成する可能性が高いことを示唆する特殊演出を実行する。この特殊演出は、低ベース状態における1回の図柄変動d5に対応する演出であって、次変動d6以降の図柄変動では実行されない。次変動d6以降の図柄変動では通常の演出が実行される。次変動d6で仮に大当りまたは小当りが発生した場合であっても、1回目の図柄変動d5で実行される特殊演出とは異なる図柄変動演出が実行される。これにより、残存保留の1回目と次変動以降とで演出の一貫性を保ちつつも、高ベース状態への移行期待度を適切に反映した抑揚のある演出を実現できる。なお、変形例としては、残存保留としての第1保留の1回目の図柄変動d5と、2回目の図柄変動d6以降で、同じ演出ステージにより継続的に同一または類似の演出を実行するものの、残存保留としての第1保留の1回目の図柄変動d5で第1C時短図柄が停止した場合、2回目の図柄変動d6以降は高ベース状態となるため、高ベース状態に対応した演出ステージ(例えば、敵を撃破すれば大当りとなる演出を主体としたラッシュモードと称するステージ)に移行してもよい。
【0296】
図38(b)の例では、特別遊技の状態および高ベース状態のうち少なくともいずれかである有利状態(例えば高ベース状態624)の終了から第2保留の4個目d4までは図38(a)の例と同様である。第2保留の4個目d4も外れとなり、第1保留が第2C時短図柄となり、タイミングt2において遊技状態が低ベース状態600から特殊ベース状態626へ移行したことを示す。特殊ベース状態626へ移行した2回目以降の図柄変動(第1特別図柄)では大当りまたは小当り発展の発生可能性が低くなる。
【0297】
この場合もまた図38(a)の例と同様に、第1保留の初回の図柄変動d5から次変動d6以降の図柄変動にわたって同じ演出ステージs1により継続的に同一または類似の演出を実行するとともに、1回目の図柄変動d5においてのみ演出上の目標を達成する可能性が高いことを示唆する特殊演出を実行する。2回目の図柄変動d6以降も演出ステージs1は継続されるが、第2C時短図柄で特殊ベース状態626に移行している場合には、外観上は演出ステージs1が継続しているにもかかわらず、実際の特別遊技期待度は低い状態であり、左打ちを主体とする遊技となる。
【0298】
(第3実施形態)
第3実施形態においては、高ベース状態やスーパーリーチ演出中において演出設定変更の実行を制限する一方で、特殊ベース状態では演出設定変更を可能とする点を主な特徴とする。その他の特徴は第1,2実施形態と共通するため、説明を省略する。これにより、低ベース状態から高ベース状態への移行に失敗した特殊ベース状態でも低ベース状態と同様の先読み演出の設定に変更することが可能となる。なお、低ベース状態および特殊ベース状態においては、第1特別図柄に係る先読み演出を実行可能である、先読み演出の実行中(先読み演出の実行契機となった保留に係る変動よりも前に実行され、先読み演出を実行する変動中)であっても、演出設定変更を可能とすることが好適である。
【0299】
図39は、第3実施形態における遊技状態の遷移と図柄変動の関係を示す。図39(a)、(b)の各上段は遊技状態を示し、各下段は図柄変動期間を示す。図39(a)の例では、特別遊技の状態および高ベース状態のうち少なくともいずれかである有利状態(例えば高ベース状態624)の終了後、高ベース状態624の終了時点t1における第2保留の残存保留の数だけ第2特別図柄が変動し得る。図39(a)の例では、4つの第2保留d1~d4が残存し、すべて外れとなった後、第1保留の1回目の図柄変動d5で第1C時短図柄となって高ベース状態624へ移行した状態を示す。
【0300】
低ベース状態600においては演出設定変更を遊技者の操作入力に応じて実行可能であるが、高ベース状態624においては演出設定変更を実行できない。なお、変形例として、高ベース状態624から低ベース状態600へ移行した時点での第2保留の最大4個の図柄変動d1~d4においては、低ベース状態600ではあるものの高ベース状態624と同様に演出設定変更を不可とする仕様としてもよい。更に、低ベース状態600へ移行した後の第1保留の1回目の図柄変動d5も演出設定変更を不可とする仕様としてもよい。
【0301】
図39(b)の例では、特別遊技の状態および高ベース状態のうち少なくともいずれかである有利状態(例えば高ベース状態624)の終了から第2保留の4個目d4までは図39(a)の例と同様である。第2保留の4個目d4も外れとなり、第1保留が第2C時短図柄となり、タイミングt2において遊技状態が低ベース状態600から特殊ベース状態626へ移行したことを示す。特殊ベース状態626へ移行した2回目以降の図柄変動(第1特別図柄)では大当りまたは小当り発展の発生可能性が低くなる。
【0302】
特殊ベース状態626においては演出設定変更を遊技者の操作入力に応じて実行可能である。特殊ベース状態626は、低ベース状態600よりも普通電動役物90の開放時間がわずかに延長されて入球容易性がわずかに高められているため入球容易状態の一つとされるが、左打ちを要する状態であるため、性格としては実質的に低ベース状態600に近いことから、低ベース状態600と同様に演出設定変更を実行できるように設定されている。
【0303】
図40は、第3実施形態におけるステージ背景画像の表示有無と演出設定変更の可否の関係を示す。低ベース状態600および特殊ベース状態626においては、通常のリーチ演出中(通常リーチ期間670)も含め、現在の演出ステージに対応したステージ背景画像を表示可能である。所定の高期待度リーチ演出(例えば、いわゆるスーパーリーチ演出)への発展前における現在の演出ステージに対応したステージ背景画像が表示されている通常リーチ期間670においては、演出設定変更を遊技者の操作入力に応じて実行可能である。
【0304】
一方、所定の高期待度リーチ演出へ発展した場合は、その発展した高期待度リーチ演出中(スーパーリーチ期間672)はステージ背景画像を非表示とする。所定の高期待度リーチ演出へ発展した後のステージ背景画像が非表示とされる間は、演出設定変更を不可とする。スーパーリーチ演出等の実行中は、現在の演出ステージに対応したステージ背景画像に代えてスーパーリーチ演出の映像が優先的に画面全面に表示されており、スーパーリーチ演出を阻害しないように演出設定変更は実行されない。
【0305】
また、所定の高期待度リーチ演出への発展後におけるステージ背景画像が表示されている特定期間(停止表示期間674)においては、演出設定変更の実行が制限される。停止表示期間674は、スーパーリーチ演出が外れで終了する場合に、画面がブラックアウトされた後に通常のステージ背景画像に戻ってから特別図柄が停止表示される期間である。停止表示期間674は、スーパーリーチ終了から特別図柄停止までのステージ背景画像の表示期間であるが、演出設定変更は実行されず、たとえこの期間に遊技者が十字キー110を操作して演出設定変更を指示したとしても、その演出設定変更は次変動まで演出に反映されない。
【0306】
なお、演出設定変更が不可とされる期間であっても、遊技者が十字キー110を押下すれば演出設定変更画面を表示させることはでき、演出設定変更の指示も可能であるが、実際に演出設定変更が反映されるのは次変動からとなる。なお、演出設定変更が不可とされる期間では、遊技者が十字キー110を押下しても演出設定変更画面は表示されず、演出設定変更の指示も不可能であるよう構成してもよい。
【0307】
変形例においては、特別遊技の実行中(単位遊技の実行中)も演出設定変更を実行可能である。ただし、10回や20回といった連続的な大当り(連チャン)を達成したような場合は、その達成を祝福するための映像が表示される仕様が考えられる。その場合、祝福の映像に注視させたいため、祝福映像の表示中は演出設定変更の無効期間として実行不可とする。また、演出設定変更の無効期間を迎えた際にすでに演出設定変更を実行中であった場合は、演出設定変更画面を非表示にしつつ、強制的に演出設定変更を実行することとしてもよい。例えば、「演出設定変更を実行しますか?」と表示する画面において「はい」を入力する位置にカーソルを合わせている瞬間にスーパーリーチ演出に発展してしまったような場合、強制的に「はい」が選択されて演出設定変更が反映されるようにしてもよい。
【0308】
(第4実施形態)
第4実施形態においては、所定の高期待度リーチ演出の実行中はさらに高期待度の保留が生起してもその高期待度保留に対する先読み演出を制限するが、そのような状況であっても入球時特殊先読み演出は例外的に実行する点を主な特徴の一つとする。また、複数の装飾図柄がゾロ目で揃った状態の表示中はさらに高期待度の保留が生起してもその高期待度保留に対する先読み演出を制限するが、そのような状況であっても入球時特殊先読み演出は例外的に実行する点を主な特徴の一つとする。その他の特徴は第1~3実施形態と共通するため、説明を省略する。これらにより、先読み演出の制限がかかった状況であっても期待度の高い保留の存在を遊技者に認知させることができる。なお、変形例としては、所定の高期待度リーチ演出が実行される変動中(変動開始から変動終了まで)はさらに高期待度の保留が生起してもその高期待度保留に対する先読み演出を制限したり、複数の装飾図柄がゾロ目で揃った状態の表示が実行される変動中(変動開始から変動終了まで)はさらに高期待度の保留が生起してもその高期待度保留に対する先読み演出を制限したりしてもよい。そのように構成した場合、所定の高期待度リーチ演出が実行されない所定の変動(例えば、リーチが実行されないはずれ変動である非リーチはずれ変動)では高期待度の保留が生起するとその高期待度保留に対する先読み演出を制限せずに実行可能とすることが好適であり、所定の高期待度リーチ演出が実行される変動中(変動開始から変動終了まで)、複数の装飾図柄がゾロ目で揃った状態の表示が実行される変動中(変動開始から変動終了まで)であっても入球時特殊先読み演出は例外的に実行することが好適である。
【0309】
図41は、第4実施形態における演出期間と先読み演出の可否の関係を示す。図41(a)は高期待度リーチ演出と先読み演出の可否の関係を示す。所定の高期待度リーチ演出の実行中に第1始動口11または第2始動口12への新たな入球があった場合には、その新たな入球に係る事前情報に基づく新たな通常の先読み演出の実行を制限する。スーパーリーチ演出などの所定の高期待度リーチ演出の実行中(スーパーリーチ期間672)は、高期待度演出を実行中であることを示す高期待度演出中フラグをオンにする。スーパーリーチ演出への発展前である通常リーチ期間670では高期待度演出中フラグはオフにされている。スーパーリーチ期間672でオンされた高期待度演出中フラグは、その高期待度リーチ演出の図柄変動の終了まで(停止表示期間674の終了まで)オンのまま維持される。
【0310】
高期待度演出中フラグがオンになっているスーパーリーチ期間672は、第1始動口11または第2始動口12への新たな入球があった場合でも、その新たな入球に係る事前情報に基づく通常の先読み演出の実行が制限される。例えば、通常リーチ期間670におけるタイミングt1の新たな入球に対しては先読み演出が可能であるが、高期待度演出中フラグがオンになっているスーパーリーチ期間672におけるタイミングt2に第1始動口11または第2始動口12へ新たな入球があってもその入球に係る事前情報に基づく通常の先読み演出の実行はされない。この場合、新たな入球に係る事前情報を読み出さないように制御してもよいし、事前情報は読み出すがその事前情報に基づく先読み演出の実行可否の判定をしない制御をしてもよいし、先読み演出の実行可否の判定は実行するもののその判定結果に基づく先読み演出の実行を制限するようにしてもよい。高期待度リーチ演出に重なるように先読み演出が実行されてしまうと、先に表示される高期待度演出の信頼性が損なわれる場合があり、または、後から実行された先読み演出の方が期待度が高くなってしまう場合があるためである。この場合、先に実行された高期待度演出を無視して後から実行される先読み演出の方を期待し、遊技者があえて遊技を中断してしまうような事態も想定されるからである。
【0311】
一方、入球時特殊先読み演出モードに設定されている場合は、高期待度演出中フラグがオンになっているスーパーリーチ期間672におけるタイミングt2に、入球時特殊先読み演出以外の通常の先読み演出の実行が制限されている状況下であっても、新たな入球に係る事前情報に基づく入球時特殊先読み演出を例外的に実行可能とする。これにより、先読み演出の制限がかかった状況であっても期待度の高い保留の存在を遊技者に認知させることができる。
【0312】
図41(b)は通常のリーチ演出と先読み演出の可否の関係を示す。原則として通常のリーチ演出期間は、図41(a)で示した通り通常の先読み演出の実行が可能であるが、リーチ演出の結果として複数の装飾図柄が大当りを示す図柄で揃った状態(いわゆるゾロ目の状態)の表示中(ゾロ目期間676)は、新たな入球に係る事前情報に基づく新たな通常の先読み演出の実行を制限する。複数の装飾図柄が大当りを示す図柄で揃った状態での表示中は、ゾロ目表示中であることを示すゾロ目表示中フラグをオンにする。オンされたゾロ目表示中フラグは、その図柄変動の終了までオンのまま維持される。ゾロ目表示中フラグがオンになっているゾロ目期間676は、第1始動口11または第2始動口12への新たな入球があった場合でも、その新たな入球に係る事前情報に基づく通常の先読み演出の実行が制限される。例えば、ゾロ目表示中フラグがオンになっている間は第1始動口11または第2始動口12への新たな入球に係る事前情報を読み出さないように制御してもよいし、事前情報は読み出すがその事前情報に基づく先読み演出の実行可否の判定をしない制御をしてもよいし、先読み演出の実行可否の判定は実行するもののその判定結果に基づく先読み演出の実行を制限するようにしてもよい。ゾロ目表示から装飾図柄の最終的な大当り図柄組合せでの停止までの間に重なるように先読み演出が実行されてしまうと、大当り図柄組合せ表示の演出が損なわれる場合があり、または、後から実行された先読み演出の方が期待度が高くなってしまう場合があるためである。
【0313】
一方、入球時特殊先読み演出モードに設定されている場合は、ゾロ目表示中フラグがオンになっているゾロ目期間676に、入球時特殊先読み演出以外の通常の先読み演出の実行が制限されている状況下であっても、新たな入球に係る事前情報に基づく入球時特殊先読み演出を例外的に実行可能とする。これにより、先読み演出の制限がかかった状況であっても期待度の高い保留の存在を遊技者に認知させることができる。
【0314】
(第5実施形態)
第5実施形態においては、第1の高期待度リーチ演出へ発展する予定の場合は入球時特殊先読み演出を実行可能であるが、第2の高期待度リーチ演出へ発展する予定の場合は入球時先読み演出の実行を制限する点を主な特徴とする。その他の特徴は第1~4実施形態と共通するため、説明を省略する。これにより、一部の特殊演出については入球時特殊先読み演出の対象外とすることで、その特殊演出の意義を失わせることを回避することができる。
【0315】
図42は、第5実施形態における演出期間と先読み演出の可否の関係を示す。入球時特殊先読み演出モードに設定されている場合は、高期待度演出中フラグがオンになっているスーパーリーチ期間672に、入球時特殊先読み演出以外の通常の先読み演出の実行が制限されている状況下であっても、新たな入球に係る事前情報に基づく入球時特殊先読み演出を例外的に実行可能とする。
【0316】
ここで、入球時特殊先読み演出モードに設定されている場合において、事前情報が複数種類の高期待度リーチ演出のうち第1の高期待度リーチ演出へ発展する図柄変動に対応する情報である場合は入球時特殊先読み演出を実行可能である。例えば、タイミングt1での入球に係る事前情報が第1の高期待度リーチ演出である「第1スーパーリーチ」に対応する情報である場合は、入球時特殊先読み演出を実行可能である。第1の高期待度リーチ演出は、通常のリーチ演出から発展する演出態様であって、大当りとなる場合の多くがこの第1の高期待度リーチ演出を経由する。したがって、入球時特殊先読み演出が実行された場合は第1の高期待度リーチ演出の発生がほぼ確定したことを意味する。
【0317】
一方、事前情報が第1の高期待度リーチ演出と異なる第2の高期待度リーチ演出へ発展する図柄変動に対応する情報である場合は入球時特殊先読み演出の実行を制限する。例えば、タイミングt2での入球に係る事前情報が第2の高期待度リーチ演出である「第2スーパーリーチ」に対応する情報である場合は、入球時特殊先読み演出の実行はされない。第2の高期待度リーチ演出は、通常のリーチ演出から高期待度リーチ演出への発展に一度失敗したように見せてから、逆転で発展し直すことを示唆した結果として発展する演出である。したがって、実際に発展するかどうかを煽るリーチ演出より前、すなわち入球時点で入球時特殊先読み演出を実行してしまっては、後から高期待度演出に発展するかどうかを煽る意味が失われてしまう。そのため、第2の高期待度リーチ演出を予定する場合に限り入球時特殊先読み演出の実行を制限する。例えば、第2の高期待度リーチ演出を予定する場合は入球時特殊先読み演出の実行を一切禁止してもよいし、入球時特殊先読み演出の発生頻度を低くする仕様としてもよい。これにより、第2の高期待度リーチ演出の意義が失われることを回避することができる。
【0318】
なお、変形例においては、入球時特殊先読み演出の実行後に演出設定変更によって予告演出の発生率に関するモード設定(例えば、大当り変動時に実行可能な大当り確定演出であるプレミア演出の出現率を低確率とするか高確率とするかのモード設定)を変更可能であってよい。また、入球時特殊先読み演出が発生した図柄変動で電断復帰が起こった場合、少なくとも2回分の図柄変動にわたって入球時特殊先読み演出の演出設定変更を実行不可とする仕様としてもよい。
【0319】
(第6実施形態)
第6実施形態においては、高ベース状態の終期が複数種類あり、高ベース状態へ移行する契機となる停止図柄が複数種類ある点を主な特徴とする。その他の特徴は第1~5実施形態と共通するため、説明を省略する。これにより、高ベース状態の種類に応じた演出モードを設定するとともに、連チャンによる獲得利益の倍増を強く感じさせることのできる演出を実現できる。
【0320】
図43は、第6実施形態における遊技状態の遷移を示す。低ベース状態600において第1特別図柄が高ベース状態への移行を伴う大当り図柄602で停止した場合、特別遊技622へ移行する(矢印614)。特別遊技622の終了後、高ベース状態624へ移行する(矢印630)。
【0321】
低ベース状態600において第1特別図柄が高ベース状態への移行を伴わない大当り図柄604で停止した場合、特別遊技620へ移行し(矢印610)、特別遊技620の終了後に再び低ベース状態600となる(矢印612)。低ベース状態600において第1特別図柄が外れ図柄の一つであるC時短図柄609で停止した場合、大当りを経ずに高ベース状態624へ移行する(矢印616)。このように、低ベース状態600は1回の図柄変動でいったん終了する。
【0322】
本実施形態における高ベース状態624は、終期として定められる図柄変動回数が相対的に少ない短期高ベース状態680と、終期として定められる図柄変動回数が相対的に多い長期高ベース状態682と、を含む。短期高ベース状態680の終期として定められる図柄変動回数は、例えば10回である。長期高ベース状態682の終期として定められる図柄変動回数は、例えば1000回である。低ベース状態600において高ベース状態624への移行を伴う大当り図柄602で停止した場合、特別遊技622の終了後に短期高ベース状態680へ移行する(矢印630)。また、低ベース状態600においてC時短図柄で停止した場合も短期高ベース状態680へ移行する(矢印616)。
【0323】
高ベース状態624は、短期高ベース状態680における図柄変動の累積回数が10回に達すること、長期高ベース状態682における図柄変動の累積回数が1000回に達すること、大当りまたは小当り発展大当りが発生すること、を含むいずれかの条件が成立することを終了条件とする。図柄変動の累積回数が10回に到達(符号625)または1000回に到達(符号627)して終了条件が成立した場合は、低ベース状態600に戻る(矢印634)。
【0324】
高ベース状態624へ移行する契機となる停止図柄(小当り図柄)の種類には、その図柄停止を契機として獲得し得る利益が相対的に大きい高利益図柄と、その図柄停止を契機として獲得し得る利益が高利益図柄より小さい中利益図柄と、が含まれる。また、高ベース状態624へ移行する契機となる停止図柄の種類には、その図柄停止を契機として獲得し得る利益が中利益図柄より小さい低利益図柄がさらに含まれてもよい。高利益図柄は、その小当り発展大当りが10R特別遊技に対応する小当り図柄Aである。中利益図柄は、その小当り発展大当りが10R特別遊技に対応する小当り図柄Bである。低利益図柄は、その小当り発展大当りが2R短開放の特別遊技に対応する小当り図柄である。
【0325】
高ベース状態624において大当りまたは小当り発展大当りが発生した場合、特別遊技622または特別遊技628のいずれかに移行し、その特別遊技の終了後に短期高ベース状態680または長期高ベース状態682のいずれかに移行する。短期高ベース状態680において大当り図柄684で停止した場合、特別遊技628に移行し(矢印696)、特別遊技628の終了後に長期高ベース状態682へ移行する(矢印698)。また、長期高ベース状態682において大当り図柄686で停止した場合、特別遊技628に移行し(矢印697)、特別遊技628の終了後に長期高ベース状態682へ移行する(矢印698)。
【0326】
高ベース状態624において小当り図柄で停止した場合、小当り発展大当りの特別遊技終了後に短期高ベース状態680および長期高ベース状態682のうちいずれに移行するかは、停止した小当り図柄の種類および小当り図柄で停止したときの遊技状態が短期高ベース状態680と長期高ベース状態682のいずれであったかに応じて決定される。より具体的には、短期高ベース状態680および長期高ベース状態682のうちいずれに移行するかは停止した図柄の種類が高利益図柄および中利益図柄のうちいずれであったかに応じて決定される。高ベース状態へ移行する契機となる停止図柄の種類に低利益図柄が含まれる場合は、短期高ベース状態680および長期高ベース状態682のうちいずれに移行するかは停止した図柄の種類が高利益図柄、中利益図柄、低利益図柄のうちいずれであったかに応じて決定される。
【0327】
短期高ベース状態680において、高利益図柄690で停止した場合、特別遊技628に移行し(矢印699)、特別遊技628の終了後に長期高ベース状態682へ移行する(矢印698)。短期高ベース状態680において、低利益図柄691または中利益図柄692で停止した場合、特別遊技622に移行し(矢印701,702)、特別遊技622の終了後に短期高ベース状態680に戻る(矢印630)。
【0328】
長期高ベース状態682において、低利益図柄693で停止した場合、特別遊技628に移行し(矢印700)、特別遊技628の終了後に長期高ベース状態682に戻る(矢印698)。長期高ベース状態682において、中利益図柄694または高利益図柄695で停止した場合、特別遊技622に移行し(矢印703,704)、特別遊技622の終了後に短期高ベース状態680へ移行する(矢印630)。
【0329】
以上のように、基本的には低ベース状態600における大当りまたは小当り発展大当りが発生すると、特別遊技622の終了後に短期高ベース状態680へ移行し、高ベース状態624における大当りまたは小当り発展大当りが発生すると、特別遊技628の終了後に長期高ベース状態682に移行することを原則とする。ただし、短期高ベース状態680において低利益図柄691または中利益図柄692で停止すると再び短期高ベース状態680に移行してしまい、残り10回の図柄変動で短期高ベース状態680が終了して低ベース状態600へ移行してしまう可能性がある。
【0330】
一方、短期高ベース状態680で大当り図柄684または高利益図柄690で停止すると特別遊技628の終了後に長期高ベース状態682へ移行し、長期高ベース状態682の終了条件が図柄変動1000回となるため、事実上、再び大当りまたは小当り発展大当りの発生がほぼ確実となり、2回以上の特別遊技の利益を獲得できることとなる。1回の特別遊技(10R大当り)の出玉が約1500個の仕様である場合、2回の特別遊技(10R大当り)で約3000個の出玉を獲得することができる。このように、短期高ベース状態680において大当り図柄684または高利益図柄690で停止して長期高ベース状態682へ移行すれば2回以上の特別遊技の出玉利益を獲得できる可能性が高い。したがって、短期高ベース状態680から長期高ベース状態682へ移行した場合に一連の演出モードで見せることで2回分の大当りおよび特別遊技の演出を繋げて2倍の利益を獲得したように遊技者に見せることができる。
【0331】
図44は、第6実施形態における遊技状態と演出モードの関係を示す。図44(a)、(b)の各上段は遊技状態を示し、各下段は図柄変動期間を示す。なお、本図上段では遊技状態として短期高ベース状態680と長期高ベース状態682の順序のみを示し、低ベース状態600を便宜上省略している。また、本図下段では図柄変動期間のみを示し、小当り遊技や特別遊技の期間を便宜上省略している。
【0332】
短期高ベース状態680における演出状態は原則として第2の演出モードであり、長期高ベース状態682における演出状態は第1の演出モードである。第1の演出モードは、長期高ベース状態682においてほぼ確実に利益を獲得できる状況のため遊技者を必要以上に煽らず演出を円滑に流す演出モードである(例えば、主人公が馬に乗って疾走している演出モードであり、大当りまたは小当りとなるときはリーチ演出を経由せずに通常装飾図柄がゾロ目で表示される演出モード)。また、第1の演出モードでは、上述の通り長期高ベース状態682の前後で2回以上の大当りおよび特別遊技の演出を繋げて2倍の利益を獲得したように見せるための演出モードであってもよい。長期高ベース状態682における演出状態は第1の演出モードとされるが第1の演出モードと異なる第2の演出モードとはされることがない。第2の演出モードは、短期高ベース状態680における演出状態で実行される演出モードであり、大きな利益獲得のためにキャラクターが格闘するシーンを含んだ、遊技者に大当り獲得を煽るような演出モード(例えば、主人公に敵に襲撃されるとリーチ演出が実行され、はずれの場合は敗北して大当りまたは小当りの場合は勝利する演出モード)であってよい。
【0333】
図44(a)の例では、長期高ベース状態682から短期高ベース状態680へ移行した時点で最大4個の第2保留の残存保留d1~d4に大当り図柄または小当り図柄に該当する保留が含まれていなかった場合を示す。この場合、短期高ベース状態680における演出状態は第2の演出モードである。
【0334】
一方、短期高ベース状態680における演出状態は第2の演出モードとされるだけでなく所定の例外期間において第1の演出モードとされる場合もある。ここでいう所定の例外期間は、長期高ベース状態682において中利益図柄694または高利益図柄695で停止したことを契機に中利益図柄694に係る特別遊技622または高利益図柄695に係る特別遊技622の実行終了後に短期高ベース状態680へ移行した場合であってその移行時点で残存していた第2保留に中利益図柄694または高利益図柄695に対応する保留が含まれる場合の短期高ベース状態680の期間である。この場合、第2保留の残存保留によって小当り発展大当りの発生が先読みにより判明していることから、長期高ベース状態682と同様に第1の演出モードを例外的に実行する。図44(b)の例では、長期高ベース状態682から短期高ベース状態680へ移行した時点で最大4個の第2保留の残存保留d1~d4のうちd2に中利益図柄694または高利益図柄695に対応する保留が含まれていた場合を示す。この場合、長期高ベース状態682から短期高ベース状態680に移行しても引き続き演出状態は第1の演出モードが維持され、その後、第2保留d2が高利益図柄695で停止して長期高ベース状態682に移行しても、演出状態が第1の演出モードのまま維持される。
【0335】
以上のように、遊技状態が長期高ベース状態682であるか否かにかかわらず、実際の利益獲得の可能性に応じた演出モードを設定することで、連チャンによる獲得利益の倍増を強く感じさせる演出を実現でき、最も高揚する演出モードの継続期待値を高めることが可能となる。
【0336】
なお、短期高ベース状態680は、次の4つの条件のいずれかを満たすことを終了条件とすることができる。(1)第2特別図柄が10回変動する、(2)低利益図柄691で1回停止する、(3)中利益図柄692で1回停止する、(4)高利益図柄690で255回停止する、の4条件である。なお、各図柄の停止回数がそれぞれの規定回数に達したことを終了条件としたが、各図柄に係る小当り遊技の実行回数がそれぞれの規定回数に達したこと(低利益図柄691に係る小当り遊技が1回実行されたこと、中利益図柄692に係る小当り遊技が1回実行されたこと、高利益図柄690に係る小当り遊技が255回実行されたこと)を終了条件としてもよく、その場合は規定回数目の小当り遊技開始時に終了することが好適である。(1)の条件を満たせば短期高ベース状態680が終了して低ベース状態600へ移行する(矢印634)。(2)(3)の条件を満たせば短期高ベース状態680が終了して(1)の「10回」を上限とする図柄変動回数がリセットされ、低ベース状態600に移行した状態における小当り発展大当りとして特別遊技622が実行され、特別遊技622の終了後に再び短期高ベース状態680へ移行する(矢印630)。一方、高利益図柄690が1回停止するだけでは(4)の条件は満たされないため、高ベース状態624における小当り発展大当りとなって特別遊技628の終了後に長期高ベース状態682へ移行する。つまり、V入賞時のベース状態が低ベース状態であれば小当り発展大当りに係る特別遊技の実行終了後に短期高ベース状態680に移行し、V入賞時のベース状態が高ベース状態であれば小当り発展大当りに係る特別遊技の実行終了後に長期高ベース状態682に移行する。同様に、大当り図柄684で停止するだけでは終了条件は満たされないため、高ベース状態624における大当りとなって特別遊技628の終了後に長期高ベース状態682へ移行する。
【0337】
長期高ベース状態682は、次の4つの条件のいずれかを満たすことを終了条件とすることができる。(1)第2特別図柄が1000回変動する、(2)低利益図柄691で255回停止する、(3)中利益図柄692で1回停止する、(4)高利益図柄690で1回停止する、の4条件である。なお、各図柄の停止回数がそれぞれの規定回数に達したことを終了条件としたが、各図柄に係る小当り遊技の実行回数がそれぞれの規定回数に達したこと(低利益図柄691に係る小当り遊技が255回実行されたこと、中利益図柄692に係る小当り遊技が1回実行されたこと、高利益図柄690に係る小当り遊技が1回実行されたこと)を終了条件としてもよく、その場合は規定回数目の小当り遊技開始時に終了することが好適である。(1)の条件を満たせば長期高ベース状態682が終了して低ベース状態600へ移行する(矢印634)。(3)(4)の条件を満たせば長期高ベース状態682が終了して(1)の「1000回」を上限とする図柄変動回数がリセットされ、低ベース状態600に移行した状態における小当り発展大当りとして特別遊技622が実行され、特別遊技622の終了後に再び短期高ベース状態680へ移行する(矢印630)。一方、低利益図柄693が1回停止するだけでは(2)の条件は満たされないため、高ベース状態624における小当り発展大当りとなって特別遊技628の終了後に長期高ベース状態682へ移行する。つまり、V入賞時のベース状態が低ベース状態であれば小当り発展大当りに係る特別遊技の実行終了後に短期高ベース状態680に移行し、V入賞時のベース状態が高ベース状態であれば小当り発展大当りに係る特別遊技の実行終了後に長期高ベース状態682に移行する。同様に、大当り図柄686で停止するだけでは終了条件は満たされないため、高ベース状態624における大当りとなって特別遊技628の終了後に長期高ベース状態682へ移行する。
【0338】
(第7実施形態)
第7実施形態においては、高ベース状態の終期が複数種類あり、低利益図柄で停止する予定となっていてもその停止時の遊技状態(V入賞時のベース状態)の種類やさらに先の保留状態に応じて演出モードを設定する点を主な特徴とする。その他の特徴は第1~6実施形態と共通するため、説明を省略する。これにより、高ベース状態の種類に応じた演出モードを設定するとともに、保留状態に応じて適切な演出モードを設定することで、連チャンによる獲得利益の倍増を強く感じさせることのできる演出を実現できる。
【0339】
低利益図柄での停止を契機として発生し得る特別遊技中に実行される特別遊技演出(小当り発展大当りの演出)は、その低利益図柄での停止時における遊技状態(V入賞時のベース状態)が短期高ベース状態680および長期高ベース状態682のうちいずれであるかに応じて異なる。また、低利益図柄が停止予定の変動における変動演出も、その低利益図柄での停止時における遊技状態(V入賞時のベース状態)が短期高ベース状態680および長期高ベース状態682のうちいずれであるかに応じて異なる。例えば短期高ベース状態680において低利益図柄691で停止した場合は低利益図柄691に係る特別遊技622の終了後に再び短期高ベース状態680に移行する。短期高ベース状態680における低利益図柄691の位置づけとしては、短期高ベース状態680の図柄変動回数が終了条件の10回に到達しそうなタイミングで低利益図柄691で停止すれば再び短期高ベース状態680が10回付与されるため、実質的に短期高ベース状態680を回復させるような役割を果たす。
【0340】
そこで、短期高ベース状態680において低利益図柄691での停止を契機とする小当り発展大当りの特別遊技622(2R大当り)では、短期高ベース状態680が実質的に回復することを示唆するような演出が実行される。例えば、短期高ベース状態680においては残りの図柄変動回数を「残り10回」「残り9回」・・・「残り3回」「残り2回」のように図柄変動の進行とともにカウントダウン表示した上で、低利益図柄691での停止および小当り発展大当りを契機に、特別遊技演出において「残り2回」「残り3回」・・・「残り9回」「残り10回」のように高速カウントアップ表示することで残りの図柄変動回数が10回に回復したことを示唆してもよく、その場合は大入賞口20の短開放中における入球により賞球を獲得しても後述する賞球カウントアップ演出は実行されない。この場合、低利益図柄が停止予定の変動における変動演出としては、「回復発生!」との文字が表示される演出が実行されてもよい。
【0341】
一方、長期高ベース状態682において低利益図柄691での停止を契機とする小当り発展大当りの特別遊技628(2R大当り)では、短期高ベース状態680と同様の図柄変動回数が回復する演出をするのではなく、10R大当りほど大きな利益ではないが2R分の小利益を次の大当りまでの繋ぎとして上乗せしたことを示すような演出が実行される。例えば、「チャージ中」と表示され、大入賞口20の短開放中における入球により賞球を獲得すると獲得した賞球数をカウントアップ表示する賞球カウントアップ演出を実行する。この場合、低利益図柄が停止予定の変動における変動演出としては、「チャージ発生!」との文字が表示される演出が実行されてもよい。
【0342】
図45は、第7実施形態における遊技状態と演出モードの関係を示す。図45(a)、(b)の各上段は遊技状態を示し、各下段は図柄変動期間を示す。なお、本図上段では遊技状態として短期高ベース状態680と長期高ベース状態682の順序のみを示し、低ベース状態600を便宜上省略している。また、本図下段では図柄変動期間のみを示し、小当り遊技や特別遊技の期間を便宜上省略している。
【0343】
図45(a)に示すように、低利益図柄での停止が予定される変動表示にて実行される演出は、その変動表示における遊技状態が短期高ベース状態680および長期高ベース状態682のうちいずれであるかに応じて異なる。例えば、長期高ベース状態682において高利益図柄695または中利益図柄694での停止(図柄変動d1)を契機として特別遊技622の実行終了後に短期高ベース状態680へ移行する状況下で、第2保留に低利益図柄691または中利益図柄692に対応する保留を含む場合には、再び短期高ベース状態680に移行することを想定して演出状態が第2の演出モードとされる。
【0344】
一方、図45(b)に示すように、長期高ベース状態682において高利益図柄695または中利益図柄694での停止(図柄変動d1)を契機として特別遊技622の実行終了後に短期高ベース状態680へ移行する状況下で、第2保留に低利益図柄691に対応する保留d2を含む場合であってもその保留の後続として高利益図柄690に該当する保留d3をさらに含む場合には、その特別遊技622の実行終了後に移行する短期高ベース状態680であっても第1の演出モードとされ、高利益図柄695の停止を契機として実行される特別遊技の実行終了後も第1の演出モードとされる。なお、長期高ベース状態682において高利益図柄695または中利益図柄694での停止(図柄変動d1)を契機として特別遊技622の実行終了後に短期高ベース状態680へ移行する状況下で、第2保留に低利益図柄691に対応する保留d2を含む場合であってその保留の後続として中利益図柄694に該当する保留d3をさらに含む場合には、その特別遊技622の実行終了後に移行する短期高ベース状態680は第1の演出モードとされるが、中利益図柄694の停止を契機として実行される特別遊技の実行終了後は第2の演出モードとされる。
【0345】
以上により、高ベース状態の種類に応じた演出モードを設定するとともに、保留状態に応じて適切な演出モードを設定することで、連チャンによる獲得利益の倍増を強く感じさせることのできる演出を実現できる。
【0346】
(第8実施形態)
第8実施形態においては、初回の高ベース状態と2回目以降の高ベース状態とで図柄変動パターンや演出の選択傾向が異なる点を主な特徴とする。その他の特徴は第1~7実施形態と共通するため、説明を省略する。これにより、遊技状態や保留状態に応じて適切な演出を設定することで、遊技興趣の減退を回避することができる。
【0347】
図46は、第8実施形態における遊技状態と演出モードの関係を示す。図46(a)、(b)の各上段は遊技状態を示し、各下段は図柄変動期間を示す。なお、本図上段では遊技状態として低ベース状態600と高ベース状態624の順序のみを示している。また、本図下段では図柄変動期間のみを示し、小当り遊技や特別遊技の期間を便宜上省略している。
【0348】
図46(a)に示す通り、低ベース状態600において第1当否判定手段221による当否判定の結果が所定結果(大当りまたは小当り)であることを示す図柄が停止したことを契機として実行される特別遊技622の実行終了後に移行する初回の高ベース状態624Aと、高ベース状態624において第2当否判定手段222による当否判定の結果が所定結果(大当りまたは小当り)であることを示す図柄が停止したことを契機として実行される特別遊技628の実行終了後に移行する2回目以降の高ベース状態624Bとで、図柄変動パターンの選択で参照する選択基準を異ならせることで図柄変動パターンの選択傾向および特定演出の選択頻度を異ならせることが可能である。ここでいう特定演出は、例えばリーチ演出であってもよいし、リーチ演出を経ずに短時間の図柄変動の後に大当りを表示させるような演出である即当り演出であってもよい。
【0349】
例えば、高ベース状態624Aでは10回しかない図柄変動期間に一度もリーチ演出が発生せずに何の盛り上がりもなく終了してしまうことを防ぐために、リーチ演出が発生する頻度が上がるような変動パターン選択基準を参照して図柄変動パターンを選択してよい。例えば、1回目~9回目の図柄変動d1~d9ではリーチ演出の発生頻度が高くなるような第1選択基準を参照し、10回目の図柄変動d10では必ずリーチ演出が発生するような第2選択基準を参照する。一方。2回目以降の高ベース状態である高ベース状態624Bでは、第2保留に大当りまたは小当りに対応する保留が含まれていたような場合に、連チャンによる獲得利益の倍増を強く感じさせるために、できる限り早く大当りを見せる演出が好ましい。そこで、高ベース状態624Bにおいては1回目~4回目の図柄変動d11~d14においてリーチ演出を経ずに短時間の図柄変動後に大当りを表示させる即当り演出を実行するための第3選択基準を参照して図柄変動パターンを選択する。5回目~9回目の図柄変動d15~d19では高ベース状態624Aの5回目~9回目の図柄変動d5~d9と同様に第1選択基準を参照して図柄変動パターンを選択する。10回目の図柄変動d20では高ベース状態624Aの10回目の図柄変動d10と同様に必ずリーチ演出が発生するような第2選択基準を参照して図柄変動パターンを選択する。
【0350】
図46(b)に示す通り、高ベース状態624(例えば初回の高ベース状態624A)において第2当否判定手段222による当否判定の結果が所定結果(大当りまたは小当り発展大当り)となったことを契機として実行される特別遊技の実行終了後に再び高ベース状態624(2回目以降の高ベース状態624B)へ移行する場合であっても、所定結果(小当り)を示す図柄が特定種類の図柄である場合は、初回の高ベース状態624Aと同じ図柄変動パターンの選択基準を参照可能である。特定種類の図柄の停止を契機として実行される特別遊技の実行中は、第1保留または第2保留に係る事前情報に基づく先読み演出の決定を制限する。
【0351】
まず前提として、中利益図柄および高利益図柄として、第1~10中利益図柄と第1~10高利益図柄のように、それぞれ10種類ずつの図柄種類が設けられる。第1~10中利益図柄と第1~10高利益図柄のうち、いずれの図柄種類で停止したかに応じて、その後に移行する高ベース状態624Bにおける図柄変動パターンの選択基準が異なる。上述の「特定種類の図柄」は、例えば第1~10中利益図柄と第1~10高利益図柄のうちの第10中利益図柄である。第10中利益図柄での停止を契機として実行される特別遊技の実行中は、第1保留または第2保留に係る事前情報に基づく先読み演出の決定が制限される。このような図柄種類を設けておくことにより、中利益図柄のうち1/10の確率で先読みによる保留内連チャン(特別遊技中の保留内に大当りまたは小当りに係る保留が含まれていること)を示唆する演出(保留連演出とも称する)が特別遊技演出として実行されないこととなる。換言すれば、第1~9中利益図柄と第1~10高利益図柄での停止を契機として実行される特別遊技中の保留内に大当りまたは小当りに係る保留が含まれている場合は保留連演出を特別遊技演出として実行可能である。逆にこのような図柄種類を設けておくことによる先読み演出(保留連演出)の制限がない場合、保留内連チャンを示唆する演出が実行されない場合は100%の確率で保留内連チャンの可能性がないことが事前に遊技者に認識されてしまうおそれがある。特に高ベース状態624の図柄変動が10回しかない中でそのうち最大4回の残存保留の図柄変動に大当りまたは小当りのチャンスがないことが判明してしまうと遊技の興趣を減退させかねないため、保留内連チャンを示唆する演出が実行されない場合でも保留内連チャンが発生する可能性を残すことで遊技の興趣減退を回避する。なお、第1の演出モードにて中利益図柄または高利益図柄が停止したことを契機として実行される特別遊技中に保留連演出が実行された場合、当該特別遊技終了後の高ベース状態においては、高ベース状態の種類(短期高ベース状態であるか長期高ベース状態であるか)にかかわらず第1の演出モードが設定され、第1の演出モードにて中利益図柄または高利益図柄が停止したことを契機として実行される特別遊技中に保留連演出が実行されなかった場合、当該特別遊技終了後の高ベース状態においては、高ベース状態の種類が長期高ベース状態である場合には第1の演出モードが設定されるが短期高ベース状態である場合には第2の演出モードが設定される(換言すれば、当該特別遊技が中利益図柄の停止を契機として実行される特別遊技であれば必ず第2の演出モードが設定されるが、当該特別遊技が高利益図柄の停止を契機として実行される特別遊技であれば第1の演出モードまたは第2の演出モードのいずれも設定される場合がある)。
【0352】
図46(b)に示す通り、初回の高ベース状態624Aにおける10回目の図柄変動で第10中利益図柄で停止したことを契機として高ベース状態624Bへ移行した場合、1回目~4回目の図柄変動d11~d14において即当り演出を実行するための第3選択基準を参照する図46(a)の例とは異なり、初回の高ベース状態624Aと同様に1回目~4回目の図柄変動d11~d14でもリーチ演出の発生頻度が高くなる第1選択基準を参照する。これにより、中利益図柄のうち1/10の確率で保留内連チャンが発生しない代わりにリーチ演出の頻度が増加するような演出選択傾向を実現することができる。
【0353】
なお、装飾図柄には、少なくとも特別図柄の停止時において演出表示装置60へ主要な図柄として表示される通常装飾図柄と、少なくとも通常装飾図柄が視認困難なときに通常装飾図柄より簡略化された表示形態にて表示される簡易装飾図柄とが含まれる。通常装飾図柄は、簡易装飾図柄より大きなサイズで表示される図柄である。通常装飾図柄は、3個の図柄で構成され、変動表示後に原則として1個ずつ順に停止される。簡易装飾図柄もまた3個の図柄で構成されるが、変動表示後に3個が同時に停止される。簡易装飾図柄の停止図柄の組合せとしては、通常装飾図柄の停止図柄の組合せと同じ組合せが表示される。
なお、スーパーリーチ演出の実行中は、少なくとも一部の期間において通常装飾図柄を小さく表示する(代替図柄を表示する)よう構成してもよいし、通常装飾図柄を非表示としてもよい(代替図柄も表示しないよう構成してもよい)が、そのような状況において、簡易装飾図柄は常に変動表示している。この簡易装飾図柄は、演出表示装置60の右上に小さく表示され、特別図柄が変動している最中は変動表示を行い、特別図柄が停止している最中は停止表示を行うものであり、通常装飾図柄と同じく、3つの図柄が変動表示および停止表示するものである。この簡易装飾図柄を設けることで、通常装飾図柄を小さくしたい又は非表示としたいような状況(例えば、スーパーリーチ演出を実行する場合、可動役物による演出を行って演出表示装置60の中央が隠れる場合など)であっても、変動中であること(換言すれば、当否結果が確定していないこと)を報知することができる。つまり、この簡易装飾図柄は、表示担保用の(通常装飾図柄の表示状態を補償するための)図柄であると言える。なお、この簡易装飾図柄が変動表示する場合、特別図柄の変動開始から停止表示を行うまで、常に変動表示を継続することが好適である、つまり、通常装飾図柄が途中で仮停止を行う場合(例えば擬似連演出を実行するに際し、「NEXT」などの文字を表示する特殊な通常装飾図柄を仮停止する場合)であっても簡易装飾図柄は途中で仮停止を行うことがないように構成することが好適であり(そのため、簡易装飾図柄については、「NEXT」などの文字を表示する特殊な図柄を設けておらず、簡易装飾図柄は確定停止しか行わない)、更に、はずれ変動である場合は大当りであるとの誤認を防ぐよう、大当り変動である場合は事前に大当りであることを察知されないよう、はずれ変動であっても大当り変動であっても、遊技者に対してはずれを示す図柄組み合わせを維持した状態で変動表示する(例えば、簡易装飾図柄の種類が「1」~「7」である場合、「123」→「234」→「345」→「456」→「567」→「671」→「712」→「123」→・・・のように変動表示する)ことが好適である。更に、通常装飾図柄および簡易装飾図柄が確定停止している状況から変動開始する場合、その起点となる図柄組合せ(変動開始直後の最初の図柄組合せ)は、確定停止時の図柄組合せから1つ進行した図柄組合せであるが、簡易装飾図柄が確定停止している状況から変動開始する場合、その起点となる図柄組合せは、確定停止時の組合せにかかわらず、あらかじめ決まった図柄組合せとなる。例えば、通常装飾図柄および簡易装飾図柄に係る数字組合せのいずれも「243」で確定停止している状況にて、通常装飾図柄および簡易装飾図柄が変動開始する場合、通常装飾図柄の起点となる図柄組合せは「354」となるが、簡易装飾図柄の起点となる図柄組合せは「123」固定であり、通常装飾図柄および簡易装飾図柄に係る数字組合せのいずれも「333」で確定停止している状況にて、通常装飾図柄および簡易装飾図柄が変動開始する場合、通常装飾図柄の起点となる図柄組合せは「444」となるが、簡易装飾図柄の起点となる図柄組合せは「123」固定である。これ以外にも、簡易装飾図柄については、以下のような特徴を有することで、通常装飾図柄と明確に役割を差別化することができる。
【0354】
(1)遊技者が認識しやすい通常装飾図柄の表示領域のほうが、表示担保用の(通常装飾図柄の表示状態を補償するための)簡易装飾図柄の表示領域よりも大きい。これは、通常装飾図柄および簡易装飾図柄が確定停止している状況、通常装飾図柄はリーチ状態を形成した直後(スーパーリーチ演出へ発展していない状態でのリーチ状態)であり簡易装飾図柄は変動表示中である状況に限らず、スーパーリーチ演出中などで通常装飾図柄が小図柄となっている状況であり簡易装飾図柄は変動表示中である状況であっても、このように構成することが好適である。
【0355】
(2)通常装飾図柄の表示位置は第1演出モード(例えば、通常モード、もしくは通常モードにおけるステージA)であるか第2演出モードで(例えば、ラッシュモード、もしくは通常モードにおけるステージB)あるかに応じて異なる表示位置にすることで、演出モードに応じて通常装飾図柄での演出の多様性を実現できる。一方で、簡易装飾図柄は通常装飾図柄の表示状態を補償する役割さえ果たせればよいので、第1演出モードであるか第2演出モードであるかにかかわらず、同一の表示位置として余計な開発設計を行わずに済ませることが好適である。なお、演出モードの詳細については後述する。
【0356】
(3)通常装飾図柄の表示態様は第1演出モード(例えば、通常モード、もしくは通常モードにおけるステージA)であるか第2演出モード(例えば、ラッシュモード、もしくは通常モードにおけるステージB)であるかに応じて異なる表示態様にすることで、演出モードに応じて通常装飾図柄での演出の多様性を実現できる。例えば、第1演出モードでは数字の通常装飾図柄のみで通常装飾図柄が構成され(「1」、「2」、・・・、「7」といった通常装飾図柄)、第2演出モードでは数字の通常装飾図柄と味方キャラクタの通常装飾図柄とを組み合わせて通常装飾図柄が構成される(「1」+「キャラクタa」、「2」+「キャラクタb」、・・・、「7」+「キャラクタg」といった通常装飾図柄)。一方で、簡易装飾図柄は通常装飾図柄の表示状態を補償する役割さえ果たせれば良いので、第1演出モードであるか第2演出モードであるかにかかわらず、同一の表示態様のみ、例えば数字の通常装飾図柄のみで簡易装飾図柄を構成し余計な開発設計を行わずに済ませることが好適である。
【0357】
(4)通常装飾図柄の表示領域は変動状況(例えば、ノーマルリーチ中であるか否か、スーパーリーチ演出中であるか否か、など)に応じて可変する(移動する、小図柄とする)ことで、通常装飾図柄の演出に多様性を持たせることができる。一方で、簡易装飾図柄は通常装飾図柄の表示状態を補償する役割さえ果たせれば良いので、簡易装飾図柄の表示領域は可変しない(移動しない、小図柄としない)ようにして余計な開発設計を行わずに済ませることが好適である。
【0358】
(5)通常装飾図柄は変動状況(例えば、変動開始時点なのか、変動途中なのか、変動終了間際なのか、など)に応じて変動速度が低速、中速、高速、超高速などに可変とすることで、通常装飾図柄の演出に多様性を持たせることができる。一方で、簡易装飾図柄は通常装飾図柄の表示状態を補償する役割さえ果たせればよいので、簡易装飾図柄の変動速度は可変としない、もしくは可変とする段階を少なくする(例えば、低速と高速のみにする)ことで余計な開発設計を行わずに済ませることが好適である。また、変動方向についても、通常装飾図柄は、上から下への変動のみならず下から上への変動を可能とする(複数方向の変動を可能とする)一方で、簡易装飾図柄は、上から下への変動のみとすることが好適である。
【0359】
(6)通常装飾図柄は確定停止(特別図柄が停止するタイミングでの停止)するよりも前に仮停止(特別図柄の変動途中における仮停止であり、微小な揺れ変動を伴いながらの暫定的な停止)を行い、その際に数字以外の通常装飾図柄である特定図柄(例えば、スーパーリーチ演出への発展を予告する「スーパー」という文字が書かれた通常装飾図柄)を仮停止させることで、通常装飾図柄の演出とその他演出とに関連性を持たせることができる。一方で、簡易装飾図柄は通常装飾図柄の表示状態を補償する役割さえ果たせればよいので、簡易装飾図柄は仮停止もしなければ、特定図柄を仮停止させることもしないようにして余計な開発設計を行わずに済ませることが好適である。
【0360】
(7)通常装飾図柄はその他の予告演出(例えば、コメント予告演出、ステップアップ予告演出など)の表示領域と重複する、つまり重畳表示がなされる。演出表示装置60上の領域をできる限り用いて迫力ある演出を行うため、このような重畳表示を許容しているが、簡易装飾図柄については、通常装飾図柄の表示状態を補償する役割を果たすため、簡易装飾図柄の表示領域は当該その他予告演出の表示領域とは重複しない(重畳表示しない)よう設計することが望ましい。但し、どうしても重複してしまう特殊な予告演出(例えば、演出表示装置60全体に表示される群予告演出、背景予告演出など)との関係性については、簡易装飾図柄の表示優先度を、当該特殊な予告演出の表示優先度よりも高く設定する(簡易装飾図柄のほうが当該特殊な予告演出よりも前面に表示されるよう設定する)ことが好適である。また、右打ち報知画像(特別遊技中に表示される画像とは異なり、高ベース状態中に表示される高ベース状態専用の右打ち報知画像、但し、特別遊技中の画像と共通する画像でもよい)についても、遊技者に対して必ず視認できるようにすることが望ましいため、簡易装飾図柄の表示領域と右打ち報知画像の表示領域とは重複しない(重畳表示しない)よう設計することが望ましい。但し、通常装飾図柄の表示領域が移動したり拡大されたりした場合など、通常装飾図柄の表示領域と右打ち報知画像の表示領域とは重複する(重畳表示する)ようにしても良く、その場合は、通常装飾図柄の表示優先度を、右打ち報知画像の表示優先度よりも低く設定する(通常装飾図柄のほうが右打ち報知画像よりも後面に表示されるよう設定する)ことが好適である。
【0361】
(8)特別遊技中においては、通常装飾図柄は組み合わせ表示ではなく、1つのみの表示としてよい。例えば、「777」が確定停止したうえで特別遊技が実行された場合は、特別遊技中には「7」が表示され、「222」が確定停止したうえで特別遊技が実行された場合は、特別遊技中には「2」が表示される。これにより、どの通常装飾図柄で大当りしたかを特別遊技中に認識することができる。変形例として、有利度が高い大当りに対応した通常装飾図柄(例えば、7R以上の大当りまたは10Rの大当りであることを示す「333」、「555」、「777」など)のみ、特別遊技中に表示してもよい。このように特別遊技中に表示される1つの通常装飾図柄を表示する表示領域は、特別遊技中の他の表示領域であるラウンド表示領域、右打ち表示領域、賞球獲得表示領域、累積賞球数表示領域とは重複しない、つまり重畳表示しないよう構成することが望ましい(但し、強調表示とは重畳表示してもよく、その場合、強調表示の方が表示優先度は高い)。また、簡易装飾図柄については、特別遊技中には非表示とすることが好適であるが(特別遊技中は変動表示が行われないため)、特別遊技中に表示してもよく、そのように構成する場合、特別遊技中の他の表示領域であるラウンド表示領域、右打ち表示領域、賞球獲得表示領域、累積賞球数表示領域とは重複しない、つまり重畳表示しないよう構成することが望ましく、強調表示とも重畳表示しないことが望ましい。
【0362】
(9)通常装飾図柄においては、変動(例えば、上から下への移動)を行う以外にも、変動開始時、仮停止直後、リーチ成立後、仮停止中などにおいては、所定の動作を伴った表示を行ってもよい(それぞれの状況における動作を、変動開始時動作、仮停止時動作、リーチ成立時動作、揺れ動作と称してもよい)。例えば、非リーチとなる場合(確定停止時において、通常装飾図柄および簡易装飾図柄が「624」と表示される場合)、変動開始時は、通常装飾図柄における左図柄、中図柄、右図柄の全てが拡大するような動作を行ったうえで変動を開始し、その後、左図柄が仮停止する際に、跳ねるような動作を行ったうえで「6」が仮停止してから揺れ動作を継続し、その後、右図柄が仮停止する際に、跳ねるような動作を行ったうえで「4」が仮停止してから揺れ動作を継続し、その後、中図柄が仮停止する際に、跳ねるような動作を行ったうえで「2」が仮停止し揺れ動作を少しだけ行い、その後、確定停止タイミングにて、左図柄、中図柄、右図柄の全ての動作を終了させる。この場合においては、簡易装飾図柄は、各動作を一切行わない。また、ノーマルリーチとなる場合(確定停止時において、通常装飾図柄および簡易装飾図柄が「212」と表示される場合)、変動開始時は、通常装飾図柄における左図柄、中図柄、右図柄の全てが拡大するような動作を行ったうえで変動を開始し、その後、左図柄が仮停止する際に、跳ねるような動作を行ったうえで「2」が仮停止してから揺れ動作を継続し、その後、右図柄が仮停止する際に、跳ねるような動作を行ったうえで「2」が仮停止してから揺れ動作を継続し、その後、リーチであることを報知するために左図柄と右図柄が回転動作を行ったうえで再度揺れ動作を継続し、その後、中図柄が仮停止する際に、跳ねるような動作を行ったうえで「1」が仮停止し揺れ動作を少しだけ行い、その後、確定停止タイミングにて、左図柄、中図柄、右図柄の全ての動作を終了させる(中図柄は回転動作を行わない)。この場合においては、簡易装飾図柄は、各動作を一切行わない。
【0363】
また、スーパーリーチ演出に発展する場合(確定停止時において、通常装飾図柄および簡易装飾図柄が「232」と表示される場合)、変動開始時は、通常装飾図柄における左図柄、中図柄、右図柄の全てが拡大するような動作を行ったうえで変動を開始し、その後、左図柄が仮停止する際に、跳ねるような動作を行ったうえで「2」が仮停止してから揺れ動作を継続し、その後、右図柄が仮停止する際に、跳ねるような動作を行ったうえで「2」が仮停止してから揺れ動作を継続し、その後、リーチであることを報知するために左図柄と右図柄が回転動作を行ったうえで再度揺れ動作を継続し、その後、左図柄と右図柄とが揺れ動作を行っている最中に中図柄が変動し(この際、中図柄が拡大した状態で上から下へ変動しており、それまでは重複していなかったまたは重複割合が少なかった左右の図柄に対して、重複しているまたは重複割合が高くなっている)、その後、スーパーリーチ演出を実行するために通常背景からリーチ背景へと移行し、はずれの結果であることがスーパーリーチ演出にて報知されるとリーチ背景から通常背景へと移行し、移行後、左図柄、中図柄、右図柄が所定時間揺れ動作を継続し、その後、確定停止タイミングにて、左図柄、中図柄、右図柄の全ての動作を終了させる(中図柄は跳ねる動作も回転動作も行わない)。この場合においては、簡易装飾図柄は、各動作を一切行わない。このように構成することで、通常装飾図柄の演出に多様性を持たせることができる一方で、簡易装飾図柄は通常装飾図柄の表示状態を補償する役割さえ果たせれば良いので、簡易装飾図柄については、特に動作を行わないよう構成し、余計な開発設計を行わずに済ませることが好適である。また、変動停止してから待機デモ演出が表示されるまでの間であっても、変動停止してから所定時間経過後(例えば、10秒後)には通常装飾図柄が揺れ動作を行ってもよいが、この状況においても、簡易装飾図柄は一切動作を行わないことが好適である。このように構成することで、遊技待機中(図柄停止中)であっても、遊技意欲をかきたてることができるとともに、簡易装飾図柄は揺れ動作を行わないことで、遊技待機中であることの報知を担保できる。その他、待機デモ演出が表示された場合、通常装飾図柄は非表示となるが、簡易装飾図柄は表示が継続されることが好適である。こうすることで、待機デモ演出画面の表示を強調しつつも、どのような図柄が停止しているかの表示を担保することができる。但し、待機デモ演出中であれば、遊技が行われていないため、簡易装飾図柄についても非表示としてもよい。
【0364】
また、通常装飾図柄の中でも特定の図柄(例えば、中図柄の「7」)については、その他図柄と比べて、所定の動作を行わないまたは行う確率が低くなるよう構成してもよい。この所定の動作は、例えば前述した仮停止時動作(跳ねるような動作)であってよい(特に、リーチ成立後の中図柄の「7」について)。このように構成することで、特定の図柄における動作の希少性を高めることができる。なお、数字の通常装飾図柄と味方キャラクタの通常装飾図柄とを組み合わせて通常装飾図柄が構成される(「1」+「キャラクタa」、「2」+「キャラクタb」、・・・、「7」+「キャラクタg」といった通常装飾図柄)場合、通常装飾図柄の揺れ動作については、数字の通常装飾図柄も、味方キャラクタの通常装飾図柄も、いずれも揺れ動作を行うが、その揺れ幅(揺動距離であり、例えば、上下に揺れるのであれば、揺れ動作中の通常装飾図柄が最も上に表示されている状態と最も下に表示されている状態との距離幅)を異ならせることで、躍動感のある揺れ動作を実現しても良く、そのように構成した場合、数字の通常装飾図柄の揺れ幅を、味方キャラクタの通常装飾図柄の揺れ幅よりも小さくする、もしくは、数字の通常装飾図柄は揺れ動作を行わず、味方キャラクタの通常装飾図柄のみ揺れ動作を行うよう構成しても良い。
【0365】
また、本実施例では、複数種類の演出モードがあり、演出モードごとに図柄変動演出や予告演出などの演出のうちいずれの種類の演出が実行され得るかが定められている。
演出モードおよび演出モードにて実行される演出内容について具体的に説明すると、例えば、複数種類の演出モードとして、「通常モード」、「チャンスモード」、「ラッシュモード」が設定されており、遊技状態(又は変動パターン選択状態)や特別図柄の変動表示回数などに応じて、複数種類の演出モードのうちのいずれかが択一的に設定され、該設定された演出モードに応じた変動演出が実行される。基本的には、遊技状態が通常状態であるときは「通常モード」が設定され、遊技状態が時短状態であるときは「チャンスモード」が設定され、遊技状態が確変状態であるときは「ラッシュモード」が設定される。いずれかの演出モードが設定されると、当該演出モードに滞在中であることを示唆する演出(変動演出)として、画面上において当該演出モード専用の背景画像(装飾図柄61の背面表示となる背景画像)が表示され、また、当該演出モード専用のBGMがスピーカー108から出力される。このように背景画像およびBGMは演出モード毎に互いに異なるよう設定されているため、背景画像又はBGMの種類から、現在滞在中の演出モードがいずれであるかを遊技者が認識し得るようになっている。具体的には、「通常モード」については「ステージA」、「ステージB」、「ステージC」、「先読みステージ」の4つのステージを備え、20変動以上の経過又はスーパーリーチ演出がはずれることを契機に、「ステージA」から「ステージB」へ移行、「ステージB」から「ステージC」へ移行、「ステージC」から「ステージA」へ移行し、先読み予告演出判定にて「先読みステージ」の実行(移行)に当選した場合は、現在滞在しているステージから「先読みステージ」へ移行する(「先読みステージ」に移行した時点でスーパーリーチ演出の実行が確定し、大当りする場合は「先読みステージ」にてゾロ目が表示され、はずれる場合は「先読みステージ」にてゾロ目以外が表示され、次の変動で「先読みステージ」移行前のステージに復帰する)。「ステージA」、「ステージB」、「ステージC」、「先読みステージ」のそれぞれについてBGM(ステージBGM)が異なる(「チャンスモード」のステージBGMとも、「ラッシュモード」のステージBGMとも異なる)が、「ステージA」においては、非リーチはずれ(リーチ状態を形成せずのはずれであり、例えば「351」などのばらけ目)の変動停止(確定停止)を契機にステージBGMが途切れ(終了し)、次変動開始を契機にステージBGMが最初から開始され、「ステージB」、「ステージC」、「先読みステージ」においては、非リーチはずれの変動停止(確定停止)となってもステージBGMが途切れることはなく(終了することはなく)、次変動に継続してステージBGMが出力される(「チャンスモード」および「ラッシュモード」についても、同様に継続出力する構成である)。
【0366】
ここで、「ステージA」、「ステージB」、「ステージC」、「先読みステージ」のいずれにおいても、擬似連演出を実行可能であるが、いずれのステージにおいても、擬似連演出における仮停止時(中図柄として所定の擬似連図柄(例えば「NEXT」という文字の図柄)が所定の仮停止位置の近傍に変動表示されたうえで仮停止表示される際)には、ステージBGMが出力されず(途切れ)、再変動表示(仮停止後の再度の変動)を契機にステージBGMが最初から開始される、もしくは、再変動表示前とは異なる特定のBGMへと切り替わる。その後、「ステージA」、「ステージB」、「ステージC」、「先読みステージ」においてスーパーリーチ演出へ発展する場合、各ステージ(滞在していたステージ)の背景画像からスーパーリーチ演出の背景画像へと切り替わり(それとともにスーパーリーチ演出専用のBGMへと切り替わり)、スーパーリーチ演出実行中はステージBGMが出力されず、スーパーリーチ演出にてはずれを示す演出が表示されることで、スーパーリーチ演出が実行された変動表示内で再度各ステージの背景画像(スーパーリーチ演出発展前に表示していたステージの背景画像)へと切り替わるが、その状況においては、次の変動表示が開始するまで、ステージの背景画像が表示されていても、ステージBGMは出力されず、スーパーリーチ演出専用のBGMも出力されない(無音である、もしくは、ステージBGMともスーパーリーチ演出専用BGMとも異なる特定のBGMが出力される)。よって、非リーチはずれの変動停止(確定停止)となってもステージBGMが途切れることはなく(終了することはなく)、次変動に継続してステージBGMが出力される「ステージB」、「ステージC」、「先読みステージ」であっても(そうではない「ステージA」であっても)、スーパーリーチ演出を経由してはずれとなった場合は、変動停止(確定停止)よりも前にステージBGMが途切れることなり、次変動開始を契機にステージBGMが最初から開始される。
【0367】
なお、「チャンスモード」および「ラッシュモード」においては擬似連演出が実行されない。ここで、擬似連演出が実行されることを示唆する特殊演出(例えば、継続セリフ予告であり、以降の擬似連演出の実行が確定する「継続するよ!」、以降の擬似連演出の実行が確定しない「継続するかも?」などの演出)が実行されることで、以降に擬似連演出(再変動表示)が行われることが示唆されるが、この特殊演出は、「ステージA」および「ステージC」でのみ表示され、「ステージB」および「先読みステージ」では表示されない。つまり、事前に擬似連演出が実行される可能性を察知できるステージと察知できないステージの両方を用意し、そのステージ間でステージ遷移を繰り返すことで、遊技者に対して飽きさせないような演出を実現している。なお、「ステージA」では、キャラクタAをモチーフとした特殊演出を実行するが、「ステージC」では、キャラクタBをモチーフとした特殊演出を実行する。また、特殊演出とは異なる演出であり、発生するだけで以降に擬似連演出が実行されることが確定する擬似連確定演出(例えば、キャラクタCが出現すると必ず「継続確定!」とのセリフが表示される演出)も設けられ、更に、特殊演出とも擬似連確定演出とも異なる演出であり、発生するだけで以降に擬似連演出が実行されずスーパーリーチ演出に発展することが確定する発展確定演出(例えば、キャラクタDが出現すると必ず「発展確定!」とのセリフが表示される演出)も設けられる。この擬似連確定演出および発展確定演出は、「ステージA」、「ステージB」、「ステージC」、「先読みステージ」のいずれにおいても実行可能である。このように、擬似連演出が行われる場合および擬似連演出が行われない場合、特殊演出、擬似連確定演出、発展確定演出を1以上組み合わせて表示させることで、擬似連演出の実行期待度、スーパーリーチ演出への発展期待度を多様化させることができる。なお、1回の変動表示中において、特殊演出、擬似連確定演出、発展確定演出の全てが実行されてもよく、その場合、ある再変動表示中(例えば、再変動表示の1回目や2回目)においては、特殊演出が実行されるパターン、擬似連確定演出が実行されるパターン、発展確定演出が実行されるパターンを備えてもよく、ここで、ある再変動表示中(例えば、再変動表示の1回目や2回目)において特殊演出が実行されるパターンでは、当該ある再変動表示中において特殊演出が実行された後に当該ある再変動表示中に擬似連確定演出が更に実行されてもよい。
【0368】
また、演出ボタン109を模したボタン画像を表示可能であり、このボタン画像はリーチ状態となる前のボタン画像や、スーパーリーチ演出中のボタン画像として表示され、このボタン画像が表示されている最中に遊技者が実際に演出ボタン109を操作することを契機として、ボタン画像以外の演出が表示される。例えば、リーチ状態となる前にボタン画像が表示されて且つ演出ボタン109を操作するとセリフ予告演出(セリフ内容や吹き出しの色で大当り期待度が異なる演出)が表示され、スーパーリーチ演出中(後半部の終盤)にボタン画像が表示されて且つ演出ボタン109を操作するとカットイン演出(味方キャラクタのカットイン画面が表示される演出であり、カットインに表示されるキャラクタの種類やカットインの色で大当り期待度が異なる演出)を実行する。ここで、通常色のボタン画像よりも、通常色ではないボタン画像が表示される方が、大当り期待度が高い種類の演出(セリフ予告演出であれば青色よりも赤色のセリフ予告演出、カットイン演出であれば青色よりも赤色のカットイン演出)が演出ボタン109の操作を契機に表示されやすい。なお、ボタン画像が表示されることで遊技者の操作を指示する(促す)演出を操作指示演出(ボタン演出)と称する。
【0369】
更に、本実施例においては、操作指示演出(ボタン演出)が開始されるか否かを煽る演出であるボタン出現煽り演出を有する。このボタン出現煽り演出では、画面上に演出ボタン109のシルエットを表すシルエット画像を事前に表示することで、その後に演出ボタン109を模したボタン画像が出現すること(すなわち、操作指示演出が開始されること)を期待させる演出となる。このボタン出現煽り演出にて、演出ボタン109のシルエット画像がボタン画像へと徐々に変化すると煽り成功演出となる。一方、このボタン出現煽り演出にて、演出ボタン109のシルエット画像が画面からフェードアウトすると煽り失敗となる。なお、ボタン画像を表示する場合、このようなボタン出現煽り演出を必ず実行する必要はなく、ボタン出現煽り演出を経由せずにいきなりボタン画像を表示させてもよい。ここで、このボタン出現煽り演出については、表示態様を複数種類備えてもよく、そのように構成した場合、例えば、青いエフェクトを伴うボタン出現煽り演出よりも、赤いエフェクトを伴うボタン出現煽り演出のほうが、ボタン画像へと変化する可能性が高くなるよう構成してもよい。また、その他変形例として、ボタン出現煽り演出が実行されると、必ずボタン画像へと変化するようにしてもよく、そのように構成した場合、青いエフェクトを伴うボタン出現煽り演出よりも、赤いエフェクトを伴うボタン出現煽り演出のほうが、大当り期待度が高くなるよう構成してもよいし、ボタン画像を複数種類備え(青色ボタン画像と赤色ボタン画像などを備え、青色ボタン画像よりも赤色ボタン画像のほうが高期待度の予告演出が実行されやすく、例えば、青色のセリフ予告演出よりも赤色のセリフ予告演出が実行されやすい)、青いエフェクトを伴うボタン出現煽り演出よりも、赤いエフェクトを伴うボタン出現煽り演出のほうが、特定のボタン画像(例えば、赤色ボタン画像)となるよう構成してもよい。ボタン出現煽り演出が実行されると、必ずボタン画像へと変化するようにした場合、上記以外にも、短時間(例えば、2秒)のボタン出現煽り演出よりも、長時間(例えば、4秒)のボタン出現煽り演出のほうが、大当り期待度が高くなるよう構成してもよいし、短時間(例えば、2秒)のボタン出現煽り演出よりも、長時間(例えば、4秒)のボタン出現煽り演出のほうが、特定のボタン画像(例えば、赤色ボタン画像)となるよう構成してもよい。また、ボタン出現煽り演出の表示態様を複数種類備えるよう構成する場合、変動表示中の前半部(リーチ前の所定タイミング)よりも、変動表示中の後半部(リーチ後の特定タイミング)のほうが、期待度の高いボタン出現煽り演出が実行されやすくなるよう構成してもよい、もしくは、変動表示中の前半部(リーチ前の所定タイミング)ではボタン出現煽り演出を実行させず、変動表示中の後半部(リーチ後の特定タイミング)のみボタン出現煽り演出を実行可能なよう構成してもよい。
【0370】
操作指示演出の実行中は、演出ボタン109の操作が有効となる操作有効期間(入力有効時間)が設定される。操作有効期間とは、演出ボタン109が操作された場合に、該操作を有効に受け付ける期間である。「演出ボタン109の操作を有効に受け付ける」とは、演出ボタン109が操作された場合に、サブ基板300により演出ボタン109の操作が有効に受け付けられて、その有効な操作に基づき所定の処理が行われることを意味する。なお、所定の処理とは、演出ボタン109が操作されたことを契機としてセリフ予告演出を進行する処理が該当する。この操作有効期間中は、演出ボタン109(該演出ボタン109に内蔵されたLED素子)を発光表示するとともに、画面上に演出ボタン109を模したボタン画像や操作有効期間の残余期間を視覚的に示すインジケータ画像を表示して、該演出ボタン109の操作が有効であること又は操作入力を促すための報知が行われる。また、画面上には、ボタン画像の周囲に、火花を発する円環形のエフェクト画像(「特定画像」と呼称する)が表示される。この特定画像は、操作有効期間が経過するとともに徐々に拡大していく。そして、操作有効期間中に演出ボタン109が操作されると、セリフ予告演出へと進展する。なお、演出ボタン109が操作されると、特定画像の表示態様が最終表示態様へと強制的に変化する。特定画像の最終表示態様とは、特定画像が最大限に拡大表示されたときの表示態様である。なお、この操作指示演出(ボタン演出)は、ボタン画像およびインジケータ画像の表示中(操作有効期間中)に特定画像が表示される演出(ボタン演出パターンA)であるが、本実施例のその他のボタン演出(該操作指示演出以外のボタン演出)は、ボタン画像およびインジケータ画像の表示中(操作有効期間中)に特定画像が表示されない演出(ボタン演出パターンB)である。
【0371】
セリフ予告演出は、複数のキャラクタ(前述の味方キャラクタおよび敵キャラクタ)のうちのいずれかのキャラクタが登場して、所定のセリフを発する演出とした場合、このキャラクタの周囲には、特定画像が最終表示態様にて継続表示される。このセリフ予告演出では、キャラクタが発するセリフの表示態様(表示色)に応じて、大当り期待度が示唆される。本実施形態では、セリフの表示色として、「青」、「赤」、「キリン柄」の3種類が設定されており、「青」<「赤」<「キリン柄」の順に、大当り期待度が1段階ずつ高くなる。なお、セリフ予告演出が開始されると(演出ボタン109が操作されると)、ボタン画像およびインジケータ画像は非表示となるが、特定画像は継続的に表示される。なお、本実施形態の変形例として、セリフ予告演出をステップアップ形式の演出として構成してもよい。このステップアップ演出は、予告演出の表示過程を複数段階に分け、表示させる段階数を可変にして段階数が多いほど大当りへの期待度が高くなるように設定されるものであり、本実施例においては、予め定められた順番に従って演出態様(キャラクタとセリフ)を段階的に変化させる発展型の演出であり、その発展する段階数に応じて大当り期待度の高さを示唆又は報知する。例えば、ステップアップ演出を、2段階の演出ステップ(ステップアップ1,ステップアップ2)にて構成して、1段階目の演出ステップであるステップアップ1にて表示される演出態様(キャラクタとセリフ)と、2段階目の演出ステップであるステップアップ2にて表示される演出態様(キャラクタとセリフ)とを異ならせてもよい。
【0372】
演出の流れとしては、以下のとおりである。
(A)ボタン出現煽り演出が開始されると、画面上に演出ボタン109のシルエットを表すシルエット画像が表示される。このシルエット画像がボタン画像へと徐々に変化して煽り成功となると、操作指示演出が開始される。
(B)操作指示演出が開始されると、演出ボタン109の操作有効期間が設定され、演出ボタン109が発光表示されるとともに、演出ボタン109を模したボタン画像と、該操作有効期間の残期間を視覚的に示すインジケータ画像とが画面に表示される。また、ボタン画像の周囲には、火花を発する円環状の特定画像(エフェクト画像)が表示される。そして、そのような表示によって、ボタン操作有効期間内に演出ボタン109を操作することが促される。
(C)ボタン操作有効期間の経過とともに、インジケータ画像の表示態様(残期間)が変化するとともに、ボタン画像の周囲において特定画像が拡大表示されていく。このとき、操作有効期間内に演出ボタン109が操作されると、操作指示演出からセリフ予告演出に切り替わる。このとき、ボタン画像とインジケータ画像とは非表示となる。一方、エフェクト画像は、強制的に最終表示態様に変化して、そのまま継続して表示される。
(D)セリフ予告演出が開始されると、画面上にキャラクタと「大チャンスだよ」というセリフが表示され、該セリフの表示色により大当り期待度が示唆される。キャラクタおよびセリフの周囲には、特定画像が最終表示態様で継続表示される。このように特定画像を操作指示演出とセリフ予告演出とに跨って表示することで、演出ボタン109を操作することを契機にセリフ予告演出が発生することを遊技者に示唆することができる(今回のボタン演出がセリフ予告演出であることが示唆される)。
【0373】
また、上述の実施形態の変形例として、ボタン出現煽り演出の実行可否を抽選で決定して、ボタン出現煽り演出が実行されない場合よりも、ボタン出現煽り演出が実行される場合の方が、当該変動表示における大当り期待度が相対的に高くなるように構成してもよい。また、ボタン出現煽り演出の実行時間(上記シルエット画像の表示時間)が長いほど、当該変動表示における大当り期待度が相対的に高くなる、或いは、ボタン操作を契機として大当りか否かを示す確度の高い演出が発生するように構成してもよい。そのとき、セリフ予告演出(ボタン出現煽り演出)を当落分岐のタイミング(前述した変動表示中の後半部であるリーチ後の特定タイミング)にて実行する場合には、ボタン出現煽り演出の演出時間(上記シルエット画像の表示時間)は、演出ボタン109の操作有効期間よりも長時間に設定されていることが好適である。なお、その構成とは逆に、ボタン出現煽り演出の演出時間(上記シルエット画像の表示時間)を、演出ボタン109の操作有効期間よりも短時間に設定してもよい。また、その他の変形例として、ボタン画像の表示態様として、複数種の表示態様(例えば、青色ボタン画像、赤色ボタン画像、虹色ボタン画像、大型ボタン画像、小型ボタン画像など)を用意してもよい。その場合には、ボタン出現煽り演出の実行可否および実行された場合の演出時間を、その後に実行予定のボタン画像の表示態様に応じて異ならせてもよい。
【0374】
また、更なる変形例として、先読み対象の作動保留球が消化される以前の一又は複数回の変動表示(ターゲット前の変動である先読み変動表示)の実行中においてもセリフ予告演出を実行可能且つ(ボタン画像を表示可能)とし、該先読み変動表示の実行中の方が、この先読み対象の作動保留球が消化されたときの変動表示(当該変動表示)の実行中よりも、ボタン出現煽り演出が実行される可能性を低くしてもよいし、該先読み変動表示の実行中の方が、この先読み対象の作動保留球が消化されたときの変動表示(当該変動表示)の実行中よりも、高期待度のボタン出現煽り演出(前述したような赤いエフェクトを伴うボタン出現煽り演出や長時間(例えば、4秒)のボタン出現煽り演出など)が実行される可能性を低くしてもよい。その他変形例として、変動表示中の前半部(リーチ前の所定タイミング)でボタン出現煽り演出を実行させず(もしくは、高期待度のボタン出現煽り演出を実行させず低期待度のボタン出現煽り演出を実行させ)、変動表示中の後半部(リーチ後の特定タイミング)でボタン出現煽り演出を実行させる(もしくは、低期待度のボタン出現煽り演出ではなく高期待度のボタン出現煽り演出を実行させる)場合、変動表示中の前半部であるリーチ前の所定タイミングと、変動表示中の後半部であるリーチ後の特定タイミングとの期間が長いほど(例えば、60秒よりも90秒であるほうが)、大当り期待度が高くなるよう構成してもよいし、変動表示中の後半部であるリーチ後の特定タイミングにおけるボタン画像が高期待度の画像となりやすく(例えば、青色ボタン画像ではなく赤色ボタン画像となりやすく)なるよう構成してもよい。また、変動表示中の前半部(リーチ前の所定タイミング)においては、ボタン演出パターンAとし、変動表示中の後半部(リーチ後の特定タイミング)においては、ボタン演出パターンBとするよう構成してもよい。また、詳細は後述するが、変動表示中の前半部であるリーチ前の所定タイミングにおけるボタン画像を表示するための計時は、変動表示の開始時を起点として開始され、変動表示中の後半部であるリーチ後の特定タイミングにおけるボタン画像を表示するための計時は、特定演出(ノーマルリーチ演出やスーパーリーチ演出)の開始時を起点として開始され、変動表示中の前半部であるリーチ前の所定タイミングにおけるボタン画像を表示するための計時時間よりも、変動表示中の後半部であるリーチ後の特定タイミングにおけるボタン画像を表示するための計時時間のほうが長時間となるよう構成してもよい。
【0375】
また、本実施例における特別遊技の実行中には、特別遊技における大入賞口への入球検知に基づき、演出表示装置60の画面に賞球数の合計をカウントアップするカウントアップ演出(例えば、現在獲得済みの賞球数が「2000」で、15賞球があった場合、2000→2001→2002→・・・2015のように1ずつカウントアップする演出)を実行可能であるとともに、カウントアップ表示されている表示上の賞球数が特定数に到達することを契機として、特定数に到達したことを強調する強調表示を実行可能(例えば、カウントアップ表示されている表示上の賞球数が2500に到達すると、カウントアップ演出における表示とは別に「2500」との表示を、カウントアップ表示されている表示上の賞球数よりも大きく表示する演出)である。これら演出および表示については、以下に記載する仕様を採用してもよい。なお、1の単位遊技において大入賞口20が開放した場合、遊技球が9球入球することで閉鎖される(なお、1球の入球に対する賞球は「15」とする)。このように、単位遊技の終了条件(大入賞口20の閉鎖条件)である遊技球数を規定カウント数と称する。
【0376】
(1)規定カウント数以内の遊技球の入球に対応したカウントアップ演出(特に、規定カウント数目である9カウント目に対応したカウントアップ演出)が行われている最中であり未だ15球分のカウント分のカウントアップが完了していないときに、オーバー入賞(規定カウント数を超過した入球)が発生すると、未だ15球分のカウントアップが完了していないカウントアップ演出のカウントアップが全て完了してから(15球分のカウントが行われてから)、該オーバー入賞に対応したカウントアップ演出が開始されるよう構成されることが望ましい。ここで、該オーバー入賞がインターバル期間(各単位遊技の終了が設定されてから次の単位遊技又は終了デモの設定が開始されるまでの休止時間)の終了間際で検知された場合は、該オーバー入賞に対応したカウントアップ演出自体は次のラウンド(インターバル期間経過後に開始される次のラウンド)の実行期間と重複することになるが、該次のラウンド(インターバル期間経過後に開始される次のラウンド)の実行中に行われる該オーバー入賞に対応したカウントアップ演出の実行中に大入賞口20に入球があっても、その入球タイミングが該オーバー入賞に対応したカウントアップ演出が行われている最中であり未だ15球分のカウントアップが完了していないときには、未だ15球分のカウントアップが完了していないカウントアップ演出のカウントアップが全て完了してから(15球分のカウントが行われてから)、次のラウンドにおける大入賞口20の入球に対応したカウントアップ演出が開始されるよう構成されることが好適である。
【0377】
(2)賞球1個分のカウントアップの時間(「N」から「N+1」へのカウントアップに要する時間)は、「0.03秒」に設定する、つまり、「0.03秒」刻みでカウントアップされる。カウントアップ演出の実行時間は、賞球1個分のカウントアップに要する時間値に、大入賞口20に遊技球が1個入球することで付与される賞球数(単位賞球数)の値を乗算することで導出され、カウントアップ演出の実行時間は、「15(単位賞球数)×0.03秒(カウントアップの間隔)=0.45秒」となる。但し、特別遊技の実行中であっても、開始デモの実行中および終了デモの実行中には、カウントアップ演出は実行しないよう構成されている。また、カウントアップ演出の実行時間は、各単位遊技の終了後に設定されたインターバル時間(「インターバル期間」とも呼称する)よりも短く設定されている。インターバル時間とは、各単位遊技の間又は最終回の単位遊技と終了デモとの間に設定される待機時間であり大入賞口20の閉鎖動作開始から閉鎖が維持されている期間である単位遊技待ち時間又は終了デモ待ち時間であり、全てのラウンド遊技に共通して、「2秒」に設定されている。また、カウントアップ演出時間(0.45秒)がインターバル時間(2秒)よりも短くなるように構成したことで、或る単位遊技の終了間際に遊技球が大入賞口20に入球することに基づきカウントアップ演出が行われる場合であっても、該単位遊技の終了後のインターバル時間内にカウントアップ演出が完結することになる。そのため、カウントアップ演出がインターバル期間を越えて次回の単位遊技又は終了デモまでに跨って行われる可能性を低くすることができ(オーバー入賞した場合は、インターバル期間を超えてしまう可能性がある)、各単位遊技の間の区切り又は最終回の単位遊技と終了デモとの間の区切りを明確にすることができる。
【0378】
(3)カウントアップ演出時間は、終了デモの実行時間よりも短く設定されている。前述したとおり、カウントアップ演出時間は、「0.45秒」に設定されている。そして、終了デモの実行時間は、全ての大当り種別(大当り中演出)に共通して、「20秒」に設定されている。終了デモの実行時間とは、特別遊技における最終回の単位遊技の終了後のインターバル時間が経過したときから、特別遊技が終了するまでの待機時間である。つまり、終了デモの実行時間には、最終回の単位遊技の終了後に設定されたインターバル時間は含まれない。すなわち、最終回の単位遊技の終了後のインターバル時間は、その時間内に大入賞口20への遊技球の入球が有効に検出(つまり、入賞球払出の対象として検出、不正入球と判定されない検出)される可能性のある該単位遊技の残余時間(猶予時間)として設定されているが、終了デモの実行時間は、その時間内に大入賞口20への遊技球の入球が有効に検出される可能性の無い、該単位遊技と区切られた特別遊技終了後の遊技(演出モード)への準備時間として設定されている。カウントアップ演出時間(0.45秒)が、終了デモの実行時間(20秒)よりも短くなるように構成したことで、最終回の単位遊技の終了間際に遊技球が大入賞口20に入球することに基づきカウントアップ演出が行われる場合であっても、更に言えば、最終回の単位遊技にてオーバー入賞が発生しても、最終回の単位遊技後である大入賞口20の閉鎖後であっても(終了デモ期間であっても)カウントアップ演出を行う仕様とした場合には、終了デモ期間内にカウントアップ演出が完結することになる。そのため、カウントアップ演出が終了デモ期間を越えて特別遊技終了後の変動表示までに跨って行われることがなく、特別遊技の終了時と1回転目の変動表示の開始時との区切りを明確にすることができる。
【0379】
(4)1回の単位遊技において大入賞口20へ規定カウント数の遊技球が入球する場合、この1回の単位遊技における規定カウント数分のカウントアップ演出時間の合計時間(1回の単位遊技にて獲得可能な賞球数分のカウントアップ演出)は、大当り終了デモの実行時間よりも短くなるように構成されている。具体的には、規定カウント数分のカウントアップ演出時間の合計時間は、「0.45秒(カウントアップ演出時間)×10球(規定カウント数)=4.5秒」となる。一方、大当り終了デモの実行時間は、前述したとおり、全ての大当り種別(大当り中演出)に共通して、「20秒」に設定されている。本実施形態では、規定カウント数分のカウントアップ演出時間の合計時間(4.5秒)が、大当り終了デモの実行時間(20秒)よりも短くなるように構成したことで、最終回の単位遊技の終了間際に複数個の遊技球が大入賞口20に連続して入球することに基づき複数回のカウントアップ演出が連続的に行われる場合であっても、最終回の単位遊技後である大入賞口20の閉鎖後であっても(大当り終了デモ期間であっても)カウントアップ演出を行う仕様とした場合には、大当り終了デモ期間内にカウントアップ演出が完結することになる。そのため、カウントアップ演出が大当り終了デモ期間を越えて特別遊技終了後の変動表示までに跨って行われることがなく、特別遊技の終了時と1回転目の変動表示の開始時との区切りを明確にすることができる。
【0380】
なお、本実施例においては、遊技機の抑制機能を搭載している。詳細は後述するが、所定の計数値「MY」が予め定められた規定値に達した場合に、遊技を停止且つ報知する機能をいう。MYカウンタは、MYを計数するためのカウンタである。「MY」は、MY=セーフ数(賞球予定数)-アウト数(遊技済み球数)、であり、セーフ数とアウト数との差球数に基づく計数値であり、遊技者に付与される遊技価値数(遊技者の持ち球または遊技機の出玉)を示す指標である。
【0381】
MYカウンタのカウント値が所定の閾値(後述の規定値=「95000」)に達したこと、すなわち、後述の抑制機能作動条件を充足したこと示すフラグとして、抑制機能作動フラグを備えている。抑制機能作動フラグは、抑制機能作動条件を充足したときにONとなる。また、抑制機能作動フラグは、RAMクリア(RAMクリアスイッチの操作)を伴う電源投入が行われたときにOFFとなる。なお、遊技球が各入賞口又はアウト口に入球した場合にMYカウンタの更新(加減算)が行われる。具体的には、MYカウンタのカウント値にセーフ数を加算する。「セーフ数」とは、各入賞口への遊技球の入球に基づき、賞球として払い出されることが予定される遊技球(セーフ球)の個数、つまり賞球予定数を意味する。つまり、セーフ数は、払出装置から実際に払い出された実賞球数ではなく、払い出しを行わせることを決定した賞球予定数である。MYカウンタは、第1始動口に遊技球が1個入球した場合、第1始動口に遊技球が1個入球したときに払い出される予定のセーフ数(賞球予定数)として「3」を加算する。また、MYカウンタは、第2始動口に遊技球が1個入球した場合、第2始動口に遊技球が入球したときに払い出される予定のセーフ数(賞球予定数)として「1」を加算する。また、MYカウンタは、一般入賞口に遊技球が1個入球した場合、一般入賞口に遊技球が入球したときに払い出される予定のセーフ数(賞球予定数)として「3」を加算する。また、MYカウンタは、大入賞口に遊技球が1個入球した場合、大入賞口に遊技球が入球したときに払い出される予定のセーフ数(賞球予定数)として「15」を加算する。また、MYカウンタのカウント値からアウト数を減算する。「アウト数」とは、遊技領域に打ち出されて遊技に使用された遊技球(アウト球)の個数、つまり、遊技領域の各入賞口(第1始動口、第2始動口、一般入賞口、大入賞口など)またはアウト口に入球して遊技盤の裏面側に排出された遊技球(アウト球)の個数である。MYカウンタは、アウト口に遊技球が1球入球(アウト球、遊技済み球と称する)する毎に、アウト数として「1」を減算する。但し、MYカウンタが「0」である場合には、アウト球(遊技済み球)が検出されたとしても、MYカウンタは減算されない。つまり、MYカウンタのカウント値は「0」未満の数値(マイナスの数値)にはならず、MYカウンタのカウント値が「0」である状況においてアウト球(遊技済み球)が発生したとしても、そのアウト数に応じた数値は減算されず、MYカウンタのカウント値は「0」を維持する。なお、MYカウンタを更新する毎に、MYカウンタのカウント値を特定するための演出コマンド(「差球数信号」と称する)を生成・出力する。この差球数信号に基づき、後述の抑制機能関連演出(事前報知演出、抑制報知演出)を実行する。
【0382】
MYカウンタのカウント値が予め定められた所定の閾値(「規定値」と称する)に到達することを契機に抑制機能が作動する。すなわち、抑制機能の作動条件(「抑制機能作動条件」と称する)は、MYカウンタのカウント値が規定値に到達することである。規定値として「95000」が設定されており、MYカウンタのカウント値が規定値「95000」に到達することを契機に抑制機能作動条件が成立する。なお、前述したように、抑制機能作動条件を充足した場合には、抑制機能作動フラグがONとなる。また、MYカウンタのカウント値が規定値「95000」に到達して抑制機能作動条件を充足した場合には、抑制機能が解除されるまでの間に(抑制機能作動フラグがOFFとなるまでの間に)、セーフ球およびアウト球が発生したとしても、MYカウンタのカウント値は更新(加減算)されず、MYカウンタのカウント値は規定値「95000」を維持する。つまり、MYカウンタとしての上限値は「95000」であり、MYが「95000」を超過したとしてもMYカウンタの値は「95000」から更新されることはない。補足するならば、MYが「95000」に到達または超過した後にMYが「95000」を下回ったとしても、MYカウンタの値は「95000」から更新されることはない。換言すれば、MYが「95000」に到達する前であれば、MYの更新に連動してMYカウンタが更新することになる。なお、変形例としては、MYが「95000」を超過した場合でも、MYカウンタの値も連動して更新される、つまり「95000」を超過して更新されても良く、MYが「95000」に到達または超過した後にMYが「95000」を下回った場合でも、MYカウンタの値も連動して更新される、つまり「95000」を下回って更新されても良い。そのように構成した場合でも、MYカウンタが「95000」に到達することを契機に抑制機能作動フラグがONとなるため、抑制機能は確実に作動可能となる。別の変形例としては、MYが「95000」を超過した場合、MYカウンタの値を「95000」とした後で「0」へと切り替える(初期化(クリア)する)、且つ、MYカウンタを更新しない(「0」で固定する)よう構成しても良い。そのように構成した場合でも、MYカウンタが「95000」に到達することを契機に抑制機能作動フラグがONとなるため、抑制機能は確実に作動可能となる。
【0383】
抑制機能が作動した場合、遊技停止状態に移行して、遊技の進行が停止される。一例として、抑制機能が作動した場合、特別図柄の当否判定、図柄判定、変動パターン判定などが実行されず、高ベース状態や特別遊技なども実行されなくなる。また、抑制機能が作動した場合には、発射装置の作動が規制され、発射装置の操作の如何を問わず、遊技球の発射が停止される。但し、抑制機能が作動した場合であっても、払い出すべき遊技球(抑制機能が作動する前の入賞に基づく賞球)がある場合には、払出動作は許容され、当該遊技球の払い出しは遅滞なく実行される。すなわち、MYカウンタの加算は、実際に払い出された実賞球数ではなく、これから払い出されることが予定される賞球予定数に基づき行われるため、当該賞球予定数に対応する賞球が全て払い出されていない状況下でも、当該賞球予定数の加算によりMYカウンタのカウント値が規定値「95000」に到達している場合には、(当然に抑制機能作動条件を充足しているので)抑制機能が作動するのであるが、その場合でも当該賞球予定数のうちの残りの部分(抑制機能の作動開始時に払い出されていない残りの賞球数)の払い出しは最後までしっかり行われるようになっている。そのため、詳細は後述するが、抑制機能の作動中であっても、当該抑制機能の作動中の遊技球の払い出しを起因として、遊技機に賞球エラー(払出エラー)が発生する場合があり、そのときには賞球エラーに対応するエラー報知が実行されることになる。なお、特別遊技の実行中でなくても、MYカウンタのカウント値が規定値「95000」に到達する契機となった賞球(例えば、MYカウンタのカウント値が「94998」である場合に一般入賞口への遊技球の入球により「3個」の賞球数が払いされるとき)については、MYカウンタのカウント値が規定値「95000」を超える分の賞球(上記の例では残りの1個の賞球)の払い出しについても最後までしっかり行われるようになっている(但し、当然ながらそれ以降の入賞に基づいて賞球は払い出されない)。抑制機能が作動した場合に、遊技停止状態および発射停止状態に移行するが、この構成に限定されるものではなく、抑制機能が作動した場合に、遊技停止状態には移行するが、発射停止状態には移行しないように構成してもよい。
【0384】
また、特別遊技の非実行中にMYカウンタのカウント値が規定値「95000」に到達した場合(抑制機能作動条件を充足した場合)と、特別遊技の実行中にMYカウンタのカウント値が規定値「95000」に到達した場合(抑制機能作動条件を充足した場合)とで、抑制機能の作動タイミングが相違する。特別遊技の非実行中に抑制機能作動条件を充足した場合は、この抑制機能作動条件の充足と同時又は略同時に、抑制機能が作動する。つまり、特別遊技の非実行中に抑制機能作動条件を充足した場合は、この抑制機能作動条件の充足時と抑制機能の作動時とが実質的に同一のタイミングとなる。特別遊技の非実行中の状況として、図柄の変動表示中に抑制機能作動条件を充足した場合には、当該変動表示がはずれの変動表示であるか大当りの変動表示であるかに関らず、抑制機能作動条件を充足した時点(MYカウンタのカウント値が規定値「95000」に到達した時点)で抑制機能が作動する。そのため、図柄の変動表示中に抑制機能作動条件を充足した場合は、当該変動表示が停止表示されることを待たずに(当該変動表示が停止表示される前であっても)、当該抑制機能作動条件を充足した時点で抑制機能が作動して、当該変動表示が中途段階で強制的に終了する。そのため、大当りの変動表示の実行中に抑制機能作動条件を充足した場合には、本来であれば当該変動表示の終了後に行われる予定の特別遊技を享受できず、特別遊技において得られる利益(賞球)を獲得することはできない。その理由としては、大当りの変動表示の途中で遊技を強制停止させたとしても、この時点で遊技者は遊技の結果(大当りに当選していること)を知り得ないため、当該変動表示の途中でいきなり遊技が停止したとしても、遊技者が不満感や不信感を抱くおそれが低いからである。なお、高ベース状態において第2始動口が5秒×1回の開放している最中に、該開放状態の第2始動口への遊技球の入球に基づく賞球によりMYカウンタのカウント値が規定値「95000」に到達した場合でも、他の一般入賞口などへの遊技球の入球に基づく賞球によりMYカウンタのカウント値が規定値「95000」に到達した場合でも、当該規定値到達時に第2始動口を強制的に閉鎖させる(開放時間が残っていても閉鎖させる)ことが好適である。一方、特別遊技の実行中に抑制機能作動条件を充足した場合は、特別遊技(大当り終了デモ)が終了するまでの間は抑制機能が作動せず、特別遊技(大当り終了デモ)の終了後に抑制機能が作動することになる。つまり、特別遊技の実行中に抑制機能作動条件を充足した場合には、抑制機能作動条件の充足時から特別遊技の終了時までの間、遊技を継続することが可能となり、抑制機能作動条件の充足時と抑制機能の作動時とは実質的に異なるタイミングとなる。その理由としては、特別遊技の実行中に抑制機能作動条件を充足した場合には、当該特別遊技を即停止させず遊技を継続させたとしても、遊技者は残りのラウンド遊技(単位遊技)において限られた個数の賞球を獲得するだけであり、遊技者が過剰な利益を獲得することにはならず(他の遊技者との不公平感が生じることはなく)、また、特別遊技の実行中にいきなり抑制機能が作動して遊技停止となると、遊技者に対して不信感や不満感を与えるおそれがあるからである。なお、変形例として、特別遊技の実行中に抑制機能作動条件を充足した場合は、当該特別遊技の最終ラウンドの終了時までは抑制機能が作動せず、その最終ラウンドの終了後に抑制機能が作動するように構成してもよい。また、特別遊技の実行中に抑制機能作動条件を充足した場合は、当該特別遊技の大当り終了デモの開始時までは抑制機能が作動せず、その大当り終了デモの開始後に抑制機能が作動するように構成してもよい。また、更なる変形例として、特別遊技の実行中にMYカウンタのカウント値が規定値「95000」に達したとしても(抑制機能作動条件を充足したとしても)、特別遊技が終了するまでの間(抑制機能が作動するまでの間)に、セーフ球およびアウト球が発生した場合には、MYカウンタのカウント値を更新可能に構成してもよい。その場合には、抑制機能作動条件を充足した後に、MYカウンタのカウント値が規定値「95000」を下回ることになったとしても(抑制機能作動条件を充足する前の状態に戻ったとしても)、当該特別遊技の終了後に抑制機能が作動する構成を適用することができる。つまり、特別遊技の実行中に抑制機能作動条件を一旦充足すれば、当該特別遊技が終了するまでの間にMYカウンタのカウント値が規定値「95000」から増加または減少したとしても、当該特別遊技が終了したときに抑制機能の作動が確約される構成としてもよい。なお、本変形例においても、特別遊技の実行中に抑制機能作動条件を充足した後、当該特別遊技が終了するまでは、大入賞口への遊技球の入球等に基づく賞球払出は可能である。
【0385】
続いて、抑制機能の解除方法について説明する。抑制機能が作動した場合は、電源投入時のRAMクリア処理により、当該抑制機能の作動を解除可能である。すなわち、抑制機能が作動した場合には、遊技機を電源断した後、RAMクリア(RAMクリアスイッチの操作)を伴う電源復帰を行うことで、抑制機能作動フラグをONからOFFに切り換えて、抑制機能の作動を解除することができる。ここで、RAMクリア(RAMクリアスイッチの操作)を伴う電源復帰とは、遊技機の電源投入時(電源復帰時)の移行モードとして、「RAMクリアモード」に移行する場合の電源復帰である。また、RAMクリアを伴わない電源復帰とは、遊技機の電源投入時(電源復帰時)の移行モードとして、「遊技モード」に移行する場合の電源復帰である。なお、抑制機能が作動した場合に、遊技機を電源断した後、RAMクリア(RAMクリアスイッチの操作)を伴わずに電源復帰した場合には、抑制機能作動フラグがONからOFFに切り換らず、抑制機能は解除されない。その場合には、電源復帰後においても抑制機能が作動して、遊技停止状態および発射停止状態が継続することになる。また、特別遊技の実行中に抑制機能作動条件を充足した場合(抑制機能作動フラグがONとなった場合)に、この特別遊技が終了する前に電源断して、RAMクリア(RAMクリアスイッチの操作)を伴う電源復帰を行った場合には、当該電源復帰時に抑制機能作動フラグがONからOFFに切り換ることで、当該電源復帰後に再開された特別遊技が終了したとしても抑制機能は作動しない。一方、特別遊技の実行中に抑制機能作動条件を充足した場合(抑制機能作動フラグがONとなった場合)に、この特別遊技が終了する前に電源断して、RAMクリア(RAMクリアスイッチの操作)を伴わずに電源復帰した場合には、当該電源復帰時に抑制機能作動フラグがONからOFFに切り換らないため、当該電源復帰後に再開された特別遊技が終了したときに抑制機能が作動する。
【0386】
次に、MYカウンタの初期化の方法について説明する。抑制機能作動条件を充足する前(抑制機能作動フラグがOFFのとき)に、遊技機を電源断および電源復帰した場合は、当該電源復帰がRAMクリア(RAMクリアスイッチの操作)を伴う電源復帰であっても、RAMクリア(RAMクリアスイッチの操作)を伴わない電源復帰であっても、当該電源復帰時にMYカウンタがクリアされる(MYカウンタが「0」になる)。つまり、抑制機能作動条件の充足前であれば、電源投入時のRAMクリアスイッチの操作の如何を問わず、遊技機の電源投入を契機に、MYカウンタはクリアされる(電断前のカウント値が消去される)。そのため、抑制機能作動条件の充足前であれば、遊技機の電源復帰時(電源投入時)の移行モードが、前述のRAMクリアモード、遊技モードのいずれであっても、当該電源復帰時にMYカウンタはクリアされることになる。一方、抑制機能作動条件を充足した後(抑制機能作動フラグがONのとき)に、遊技機を電源断および電源復帰した場合は、当該電源復帰がRAMクリア(RAMクリアスイッチの操作)を伴わない電源復帰であれば、当該電源復帰時にMYカウンタはクリアされず、電断前のカウント値(95000)を引き継ぐ。また、抑制機能作動条件を充足した後(抑制機能作動フラグがONのとき)に、遊技機を電源断および電源復帰した場合に、当該電源復帰がRAMクリア(RAMクリアスイッチの操作)を伴う電源復帰であれば、当該電源復帰時にMYカウンタがクリアされる(電断前のカウント値は消去される)。変形例として、MYカウンタは、当該MYカウンタのカウント値が規定値「95000」に到達したとき、すなわち、抑制機能作動条件を充足したときに、初期化(クリア)されるように構成してもよい。また、更なる変形例として、MYカウンタの初期化を禁止するための操作手段(「カウント継続スイッチ」と称する)を搭載してもよい。例えば、後述する事前報知演出の実行中において抑制機能作動条件を充足する前に電源断し且つRAMクリアを伴わずに電源復帰した場合であっても、カウント継続スイッチを操作しながら電源復帰(RAMクリアを伴わずに電源復帰)した場合には、当該電源復帰時にMYカウンタは初期化(クリア)されず、電源断前のカウント値を継続するものとなる。
【0387】
次に、抑制機能に関連する外部情報信号について説明する。外部情報信号のうち、抑制機能に関連する外部情報信号(外部信号、外部情報とも称する)として、抑制機能作動前信号と、抑制機能作動信号とがある。抑制機能作動前信号は、間もなく抑制機能が作動する予定であることを示す外部情報信号である。抑制機能作動前信号は、MYカウンタのカウント値が規定値「95000」に到達する前の所定の契機において、一定時間(例えば3秒間)だけ継続して出力される。所定の契機とは、MYカウンタのカウント値が特定の値(例えば90000以上且つ95000未満の任意の数値を適用可能である)に達したときである。特定の値として、例えば規定値「95000」の500個手前の値である「94500」を採用する。そのため、抑制機能作動前信号の出力開始タイミングは、後述の事前報知演出の実行開始タイミングと同一又は略同一のタイミングとはならない(実質的に同一のタイミングではない)。変形例として、MYカウンタのカウント値が所定値「90000」に到達したときに、抑制機能作動前信号を出力して、抑制機能作動前信号の出力タイミングと、後述の事前報知演出の実行タイミングとが同一又は略同一のタイミングとなるように構成してもよい(実質的に同一のタイミングとしてもよい)。抑制機能作動信号は、抑制機能が作動していることを示す外部情報信号である。抑制機能作動信号は、抑制機能が作動してから当該抑制機能の作動が解除されるまでの間、継続して出力される。つまり、この抑制機能作動信号は、抑制機能が作動したときに出力を開始し、RAMクリア(RAMクリアスイッチの操作)を伴う電源復帰が行われたときに出力を停止する。そのため、抑制機能作動信号の出力開始タイミングは、抑制機能の作動開始タイミングと同一又は略同一のタイミングである(実質的に同一のタイミングである)。
【0388】
次に、抑制機能関連演出の内容について説明する。抑制機能関連演出は、事前報知演出(抑制機能作動前報知演出)と、抑制報知演出(抑制機能作動時報知演出)とを含む。事前報知演出は、抑制機能が作動する前に実行されて、間もなく抑制機能が作動する予定であることを示唆又は報知する演出である。事前報知演出は、MYカウンタのカウント値が所定値に到達することを契機に実行される。すなわち、事前報知演出の実行条件(「事前報知条件」と称する)は、MYカウンタのカウント値が所定値に到達したときに成立する。所定値として「90000」が設定されている。抑制報知の実行条件となるMYカウンタのカウント値(「95000」)である規定値は、第1規定値と称し、事前報知条件となるMYカウンタのカウント値(ここでは「90000」)である所定値は、第2規定値と称しても良い。なお、所定値は「90000」に限定されるものではなく、管理者が任意に設定可能である(但し、所定値は「90000」以下であることが好ましい)。すなわち、事前報知演出の実行条件(事前報知条件)は、管理者が任意に設定することのできる変動的な条件(流動的な条件)として設定されている。一方、規定値は「95000」に限定されており、管理者が任意に設定することはできない。すなわち、抑制機能の作動条件(抑制機能作動条件)は、遊技者が任意に設定することのできない固定的な条件として設定されている。なお、「管理者」とは、遊技機を管理する者であり、典型的には、遊技店の店員や、遊技機製造メーカの社員などが該当する。事前報知演出は、事前報知表示演出と、事前報知音出力演出とを含む。なお、以降は特に断りがない限り、「事前報知演出」との記載は「事前報知表示演出のみ」又は「事前報知演出及び事前報知音出力演出」を指すことを補足しておく。
【0389】
事前報知表示演出は、画像表示として、「本日の出玉が95000発に到達すると抑制機能が作動します、作動後は遊技が終了となり、発射が停止します」という第1文言表示と、「作動まで残り約****発」という第2文言表示とを含む。なお、「****」は、抑制機能が作動するまでの残りのMYの数値を示している。この「****」の数値は、差球数信号に基づき更新される。第1文言表示および第2文言表示は、事前報知条件を充足してから抑制機能が作動するまでの間、継続して表示される(但し、MYカウンタのカウント値が後述の所定の下限値「89000」まで低下した場合を除く)。第1文言表示は、MYカウンタの増減等に依存することなく、この事前報知演出(事前報知表示演出)の実行中は常に固定的な文言表示となる(第1文言表示は変化しない)。一方、第2文言表示は、事前報知条件を充足したとき(MYカウンタのカウント値が規定値「90000」に達したとき)から起算して、MYカウンタのカウント値が「500」増加するごとに更新表示される。すなわち、第2文言表示は、MYカウンタのカウント値に依存する文言表示であり、所定値「90000」から「500」加算されるごとに「****」の部分が更新表示される。具体的には、まず、MYカウンタのカウント値が所定値「90000」に達したとき、第2文言表示として「作動まで残り約5000発」という文言が表示され、MYカウンタのカウント値が「90500」に達すると、第2文言表示が「作動まで残り約4500発」に切り替わり、MYカウンタのカウント値が「91000」に達すると、第2文言表示が「作動まで残り約4000発」に切り替わり、MYカウンタのカウント値が「91500」に達すると、第2文言表示が「作動まで残り約3500発」に切り替わり、以下同様にMYカウンタのカウント値が「500」加算される毎に第2文言表示が切り替わり、最終的に、MYカウンタのカウント値が「94500」に達すると、第2文言表示が「作動まで残り約500発」に切り替わる。なお、第2文言表示を500個単位で更新表示しているが、この構成に限定されるものではなく、これとは異なる個数単位(例えば、1個単位、10個単位、100個単位、1000個単位など)で更新表示してもよい。また、事前報知表示演出は、専用の背景画像を備えておらず、第1文言表示および第2文言表示の背景には、現在の遊技状況に応じた背景画像(ステージ背景画像、リーチ背景画像、大当り中背景画像)が表示される。
【0390】
なお、この事前報知表示演出の表示の優先度(レイヤーの優先度であり、その他画像と比して前面後面のいずれに表示するかの優先度)は、背景画像および通常装飾図柄の表示の優先度よりも高く、右打ち報知画像(「右打ち」など推奨発射位置を示唆する文字演出)、簡易装飾図柄、変動権利表示(保留を示すアイコン表示であり最大4個の保留に対応して最大4個まで表示可能な保留アイコンや、保留が消化されて1個目の保留アイコンが移動することで表示されるアイコン表示であり変動中であることを示す1個のみ表示可能なアイコン表示である変動アイコン)の優先度(レイヤーの優先度)よりも低く設定されている。また、遊技者により音量調整操作又は光量調整操作が行われるとき、事前報知表示演出の表示の優先度(レイヤーの優先度)は、音量調整画面(現在の音量レベルを示す画面であり音量調整操作により音量レベルを示す画像の表示態様が変化する画面、例えば音符マーク画像に現在の音量レベルを示す1~5の数字画像のいずれかを付帯させた画面であり音量調整操作により数字画像における数字が変化)および光量調整画面(現在の光量レベルを示す画面であり光量調整操作により光量レベルを示す画像の表示態様が変化する画面、例えば電球マーク画像に現在の光量レベルを示す1~5の数字画像のいずれかを付帯させた画面であり光量調整操作により数字画像における数字が変化)の表示の優先度(レイヤーの優先度)よりも低く設定されている。また、遊技機に所定のエラーが発生したとき、事前報知表示演出の表示の優先度(レイヤーの優先度)は、エラー報知画像(エラーが発生していることを報知する画像であり且つ現在発生しているエラーの種別を判別可能な表示態様にて表示される画像、例えば磁気を検知した場合は「磁気エラー」の文字画像を表示し、扉開放を検知した場合は「扉開放エラー」の文字画像を表示し、賞球払出が停止した場合は「賞球エラー」の文字画像を表示する)の表示の優先度(レイヤーの優先度)よりも低く設定されている。なお、通常装飾図柄は事前報知表示演出と重畳表示可能であるが、表示の優先度(レイヤーの優先度)は事前報知表示演出のほうが高く設定されることが好適である。そのため、通常装飾図柄の変動開始時動作、仮停止時動作、リーチ成立時動作、揺れ動作が実行されている最中に事前報知表示演出が実行される場合、各動作の表示と事前報知表示演出の表示とが重畳表示する一方で、事前報知表示演出のほうが表示の優先度(レイヤーの優先度)が高いため、事前報知表示演出が前面に表示されることになる。但し、簡易装飾図柄は事前報知表示演出と重畳表示しないことが好適である。また、待機デモ演出(変動が停止しており且つ保留が存在しない状況が255秒などの所定時間継続した場合に表示される画面であり遊技待機中であることを示す待機デモ画面)は事前報知表示演出と重畳表示可能であるが、表示の優先度(レイヤーの優先度)は事前報知表示演出のほうが高く設定されることが好適である。なお、音量調整画面および光量調整画面、右打ち報知画像については、事前報知表示演出と重畳表示しないことが好適である。
【0391】
事前報知音出力演出は、所定の事前報知音をスピーカから出力する演出である。事前報知音は、例えば、「残り****発で抑制機能が作動します」などの音声が該当する。なお、「****」は、抑制機能が作動するまでの残りのMY(差球数)の値であり、第2文言表示の「****」と一致する値である。この事前報知音は、MYカウンタのカウント値が「90000」、「90500」、「91000」、「91500」、「92000」、「92500」、「93000」、「93500」、「94000」、「94500」に達したとき、すなわち、第2文言表示が更新表示されるときに、スピーカから1回又は複数回出力される。この事前報知音の出力中、すなわち、第1文言表示および第2文言表示の表示中且つ事前報知音の出力中は、その他の演出音声(BGMや効果音など)が無音となる。そして、事前報知音の出力後、すなわち、第1文言表示および第2文言表示の表示中且つ事前報知音の非出力中は、元の演出音声(BGMや効果音など)に復帰する。変形例として、第1文言表示および第2文言表示の表示中且つ事前報知音の出力中は、その他の演出音声(BGMや効果音など)も同時に実行可能に構成されても良く、そのように構成した場合、第1文言表示および第2文言表示の表示中且つ事前報知音の出力中は、その他の演出音声(BGMや効果音など)の音量を低減させて出力することで事前報知音を聞きとりやすくしても良い(事前報知音の出力後、すなわち、第1文言表示および第2文言表示の表示中且つ事前報知音の非出力中は、元の音量に戻る)。
【0392】
この事前報知演出は、MYカウンタのカウント値が規定値「95000」に達したとき(抑制機能作動条件を充足したとき)に終了する。つまり、抑制機能作動条件を充足したときに、事前報知演出から抑制報知演出に切り替わる。但し、特別遊技の実行中にMYカウンタのカウント値が規定値「95000」に達した場合(抑制機能作動条件を充足した場合)には、特別遊技の終了時まで事前報知演出が継続実行され、特別遊技の終了時に事前報知演出が終了して、抑制報知演出が開始される。なお、変形例として、特別遊技の実行中にMYカウンタのカウント値が規定値「95000」に達した場合(抑制機能作動条件を充足した場合)には、MYカウンタのカウント値が規定値「95000」に達したことを契機に、事前報知表示演出から「本日の出玉が95000発に到達したため、特別遊技の終了後に遊技が終了となり、発射が停止します」との特殊な文言へと切り替わり、この特殊な文言が特別遊技の終了まで継続して表示されるよう構成しても良い。この特殊な文言も事前報知演出の一種であり、特殊事前報知演出(特殊事前報知表示演出)と称しても良い。また、更なる変形例としては、特別遊技の実行中は、事前報知演出が実行されないように構成してもよい。つまり、事前報知演出の実行中に特別遊技が開始された場合には、当該特別遊技が開始されたときに実行中の事前報知演出を中断し、当該特別遊技が終了したときに中断中の事前報知演出を再開するようにしてもよい。そのように構成した場合、特別遊技の終了後のMYカウンタのカウンタ値に基づく表示態様にて事前報知演出を再開することが好適である。また、特別遊技の実行中に事前報知条件を充足した場合には、当該特別遊技の実行中には事前報知演出を開始せず(当該特別遊技の終了時まで事前演出の実行を待機して)、当該特別遊技の終了後に事前報知演出を開始するように構成してもよい。そのように構成した場合、特別遊技の終了後のMYカウンタのカウンタ値に基づく表示態様にて事前報知演出を開始することが好適である。
【0393】
また、事前報知演出は、MYカウンタのカウント値が所定の下限値(例えば「89000」)まで低下した場合でも終了する。つまり、MYカウンタのカウント値が所定値「90000」に到達して事前報知演出が開始された場合でも、MYカウンタのカウント値が規定値「95000」に到達することなく、所定の下限値「89000」以下となった場合には、事前報知演出は抑制報知演出へと進展することなく終了する。ここで、事前報知演出が開始された場合に、MYカウンタのカウント値が規定値「95000」に到達することなく所定値「90000」未満まで低下した場合であっても、所定の下限値「89000」以下となるまでは、事前報知演出が継続実行される。なお、MYカウンタのカウント値が所定の下限値「89000」まで低下した場合には、MYカウンタのカウント値が再び所定値「90000」に到達したとしても、再度の事前報知演出を実行しないようになっている。但し、MYカウンタのカウント値が所定の下限値「89000」まで低下した後、MYカウンタのカウント値が再び所定値「90000」に到達するまでの間に、特殊条件を充足した場合には、MYカウンタのカウント値が再び所定値「90000」に到達することを契機に、再度の事前報知演出を実行するように構成してもよい。例えば、MYカウンタのカウント値が所定の下限値「89000」まで低下した場合には、その後にMYカウンタのカウント値が所定の下限値「89000」よりも更に小さい数値の「80000」まで低下したことを契機に特殊条件を充足して、そこからMYカウンタのカウント値が再び所定値「90000」に到達したときに、再度の事前報知演出を実行するようにしてもよい。また別の変形例として、MYカウンタのカウント値が所定の下限値「89000」まで低下した場合には、その後にMYカウンタのカウント値が初期値「0」まで低下したこと(アウト球があってもMYを減算しない底値になったこと、もしくはクリアされた場合)を契機に特殊条件を充足して、そこからMYカウンタのカウント値が再び所定値「90000」に到達したときに、再度の事前報知演出を実行するようにしてもよい。また、MYカウンタのカウント値が所定値「90000」を下回ってから、所定の下限値「89000」まで低下する前に、いわゆる連荘抜けをした場合(連荘状態が終了した場合)には、MYカウンタのカウント値が所定の下限値「89000」まで低下していなくても、事前報知演出の実行を解除するように構成してもよい。
【0394】
なお、更なる変形例としては、特殊条件を必要とせず、MYカウンタのカウント値が所定の下限値「89000」まで低下した場合に、MYカウンタのカウント値が再び所定値「90000」に到達すると、再度の事前報知演出を実行するよう構成しても良い。また、第2文言表示に関しては、前述したように、MYカウンタのカウント値が事前報知演出の更新の契機となる各閾値(90000、90500、91000、91500、92000、92500、93000、93500、94000、94500)に到達する毎に更新表示(当該閾値の差分の「500」だけ加算表示)されるが、その逆の事象として、MYカウンタのカウント値が事前報知演出の更新の契機となる各閾値(90000、90500、91000、91500、92000、92500、93000、93500、94000、94500)を下回ったときでも更新表示(当該閾値の差分の「500」だけ減算表示)される。例えば、MYカウンタが「91000」から「90999」に減算された場合には、第2文言表示が「作動まで残り約3500発」から「作動まで残り約4000発」に更新表示(減算表示)される。但し、MYカウンタのカウント値が規定値「90000」を下回ったときでも、所定の下限値「89000」に低下するまでは、第2文言表示は更新表示されず、「作動まで残り約5000発」の表示を継続する。つまり、MYカウンタのカウント値が「90000」から「89999」に減算されたとしても、第2文言表示は「作動まで残り約5000発」の表示を継続する(所定の下限値「89000」以下となるまで継続する)。
【0395】
なお、変形例として、MYカウンタのカウント値が事前報知演出の更新の契機となる各閾値(90000、90500、91000、91500、92000、92500、93000、93500、94000、94500)を下回ったときには、敢えて第2文言表示を更新表示せず、現在の表示(元の表示)を継続させてもよい。なお、以下の説明においては、便宜上、第2文言表示の更新周期となるMY500個を一単位として、一連の事前報知演出のうち、MYカウンタのカウント値が「90000」~「90499」であるときに行われる事前報知演出(「作動まで残り約5000発」が表示されるときの事前報知演出)を「第1単位報知演出」と称する場合がある。また、MYカウンタのカウント値が「90500」~「90999」であるときに行われる事前報知演出(「作動まで残り約4500発」が表示されるときの事前報知演出)を「第2単位報知演出」と称する場合がある。また、MYカウンタのカウント値が「91000」~「91499」であるときに行われる事前報知演出(「作動まで残り約4000発」が表示されるときの事前報知演出)を「第3単位報知演出」と称する場合がある。また、MYカウンタのカウント値が「91500」~「91999」であるときに行われる事前報知演出(「作動まで残り約3500発」が表示されるときの事前報知演出)を「第4単位報知演出」と称する場合がある。また、MYカウンタのカウント値が「92000」~「92499」であるときに行われる事前報知演出(「作動まで残り約3000発」が表示されるときの事前報知演出)を「第5単位報知演出」と称する場合がある。また、MYカウンタのカウント値が「92500」~「92999」であるときに行われる事前報知演出(「作動まで残り約2500発」が表示されるときの事前報知演出)を「第6単位報知演出」と称する場合がある。また、MYカウンタのカウント値が「93000」~「93499」であるときに行われる事前報知演出(「作動まで残り約2000発」が表示されるときの事前報知演出)を「第7単位報知演出」と称する場合がある。また、MYカウンタのカウント値が「93500」~「93999」であるときに行われる事前報知演出(「作動まで残り約1500発」が表示されるときの事前報知演出)を「第8単位報知演出」と称する場合がある。また、MYカウンタのカウント値が「94000」~「94499」であるときに行われる事前報知演出(「作動まで残り約1000発」が表示されるときの事前報知演出)を「第9単位報知演出」と称する場合がある。また、MYカウンタのカウント値が「94500」~「94999」であるときに行われる事前報知演出(「作動まで残り約500発」が表示されるときの事前報知演出)を「第10単位報知演出」と称する場合がある。
【0396】
抑制報知演出は、MYカウンタのカウント値が規定値「95000」に達したこと、すなわち、抑制機能が作動して遊技停止状態に移行したことを示唆又は報知する演出である。この抑制報知演出は、抑制機能が作動することを契機に実行される。具体的には、特別遊技の非実行中にMYカウンタのカウント値が規定値「95000」に達した場合には、当該MYカウンタのカウント値が規定値「95000」に達したときに抑制報知演出が実行され、特別遊技の実行中にMYカウンタのカウント値が規定値「95000」に達した場合には、当該特別遊技の終了後に抑制報知演出が実行される。抑制報知演出は、抑制報知画像表示演出と、抑制報知音出力演出とを含む。なお、抑制報知演出の実行中は、図示省略するが、枠ランプ(枠に配置されたランプ)が赤色で全点灯表示(又は全点滅表示)されるとともに、盤ランプ(遊技盤に配置されたランプ)が消灯される。抑制報知表示演出は、抑制機能が作動したことを報知する専用画面(抑制画面)を表示する演出である。この抑制画面には、特殊文言表示と、特殊背景画像とが含まれる。特殊文言表示には、「本日の出玉95000発到達、抑制機能が作動しました、本日の遊技は終了となります、カードの取り忘れにご注意ください」という文言表示が含まれる。特殊背景画像は、特殊文言表示の背面に表示される特殊の背景画像であり、例えば暗転画像(ブラックアウト画像)により構成されている。この抑制画面の表示の優先度は、他のいかなる演出画像の表示の優先度よりも高く設定されており(すなわち、最優先のレイヤーとして設定されており)、この抑制画面が表示されると、他のいかなる演出画像(通常の遊技画面)も視認不能又は視認困難となる。なお、所定のエラー(例えば優先度または重要度の高いエラー)が発生した場合には、この所定のエラーに対応するエラー報知画像を抑制画面の前面に表示してもよい。抑制報知音出力演出は、抑制報知音をスピーカから出力する演出である。抑制報知音は、例えば「抑制機能が作動しました」という音声である。この抑制報知音出力演出は、抑制機能の作動中において、抑制報知音を繰り返し出力する。なお、抑制報知音出力演出は、特定のエラー音を短時間だけ出力した後に、抑制報知音を繰り返し出力する構成としてもよい。抑制報知演出は、抑制機能が解除されたときに終了する。すなわち、電源投入時にRAMクリア操作が行われることで、抑制機能が解除されるとともに、抑制報知演出が終了する。なお、抑制報知表示演出は、抑制機能が解除されるまで継続する一方で、抑制報知音出力演出は、抑制機能が作動してから所定時間(例えば10秒間)を限度として継続するものであってもよい。なお、その場合に、抑制報知演出が実行されてから所定時間(例えば10秒間)を経過する前に電源断が発生し、RAMクリア(RAMクリアスイッチの操作)を伴わずに電源復帰した場合には、当該電源復帰後においては、抑制報知表示演出は継続して実行される一方で、抑制報知音出力演出は実行されない(上記所定時間の残りの時間があっても実行されない)ことが好適である。
【0397】
なお、特別遊技の非実行中(図柄の変動表示中)において、MYカウンタのカウント値が規定値「95000」に到達する(例えば、一般入賞口への入賞を契機に規定値「95000」に到達する)ことで、抑制報知演出が実行され、抑制機能が作動したことが遊技者に対して示唆又は報知される。なお、この抑制機能が作動する直前の遊技状態は高ベース状態であり、当該抑制機能が作動することを契機に当該高ベース状態が終了する。そのため、当該抑制機能の作動時に、高ベース状態を示すフラグがOFFとなり、第2始動口が開放中であればその途中で強制的に閉鎖し、当該高ベース状態での変動表示(現在実行中の変動表示)を強制的に終了する。また、特別遊技中のラウンド遊技中にMYカウンタのカウント値が規定値「95000」に到達しても、当該特別遊技(大当り終了デモ)が終了するまでは抑制機能は作動せず、当該特別遊技(大当り終了デモ)の終了時まで事前報知演出(第10単位報知演出)が継続実行される。なお、特別遊技の実行中にMYカウンタのカウント値が規定値「95000」に到達した場合には、当該特別遊技が終了するまでの間にセーフ球(賞球予定数)およびアウト球(遊技済み球)が発生したとしても、MYカウンタのカウント値は更新されない(MYカウンタのカウント値は規定値「95000」を保持する)。また、特別遊技の実行中に抑制機能作動条件を充足した場合(MYカウンタのカウント値が規定値「95000」に到達した場合)は、当該特別遊技の終了時まで、直近の事前報知演出(第10単位報知演出:作動まで残り約500発)を継続表示するが、この構成に限定されるものではなく、例えば「大当り終了後に抑制機能が作動します」という文言表示を行ってもよいし、前述したように事前報知表示演出から「本日の出玉が95000発に到達したため、特別遊技の終了後に遊技が終了となり、発射が停止します」との特殊な文言へと切り替わり、この特殊な文言が特別遊技の終了まで継続して表示されるよう構成しても良い。このように構成した場合、10ラウンド目(最終ラウンド)においても、事前報知演出(第10単位報知演出)が継続実行されるが、事前報知演出(第10単位報知演出)が継続実行される構成に限定されず、例えば「大当り終了後に抑制機能が作動します」という文言表示を行ってもよいし、前述したように事前報知表示演出から「本日の出玉が95000発に到達したため、特別遊技の終了後に遊技が終了となり、発射が停止します」との特殊な文言へと切り替わり、この特殊な文言が特別遊技の終了まで継続して表示されるよう構成しても良い。その後、特別遊技が終了することを契機に、抑制報知演出が実行され、抑制機能が作動したことが遊技者に対して示唆又は報知される。
【0398】
ここで、累積賞球数表示領域には、連荘中の特別遊技において遊技球が大入賞口に入球したことに基づき現時点までに獲得した賞球数の累積値(累積賞球数)の表示が行われるのだが、この累積賞球数の値(累積賞球数表示)は、賞球カウントアップ演出(単にカウントアップ演出とも称する)の実行により更新表示される。ここで、賞球カウントアップ演出は、連荘中の特別遊技の実行中において遊技球が大入賞口に入球した場合に、累積賞球数表示領域に表示された累積賞球数の値に、大入賞口への遊技球の入球に基づき払い出される賞球数の値を加算表示する演出である。遊技球が大入賞口に1個入球することで「10個」の賞球が払い出される仕様(大入賞口の単位賞球数が10個)であるため、遊技球が大入賞口に入球した場合には、累積賞球数表示領域に表示された累積賞球数の値は「10個」単位でカウントアップ表示される(累積賞球数の値に「10」が加算表示される賞球カウントアップ演出が行われる)。ここで、累積賞球数表示領域は、5桁の数値を表示可能であり、より詳細には、累積賞球数表示として「0」~「99999」までの10万通りの数値を表示可能である。そのため、累積賞球数表示の上限値は、「99999」となる。このとき、累積賞球数表示が上限値の「99999」に達している場合には、遊技球が大入賞口に入球したとしても、累積賞球数表示は変化せず、上限値の「99999」を維持する。このように、累積賞球数表示の上限値「99999」は、MYの上限値となる規定値「95000」よりも大きな数値として設定されている。つまり、事前報知演出にて事前報知されるMYの規定値「95000」よりも、上限値「99999」に達したときの累積賞球数表示の方が大きな値を取り得ることで、遊技者の獲得賞球数がMYの規定値「95000」を超えたことを的確に報知することができ、遊技者に満足感や達成感を与えることが可能となる。また、累積賞球数表示はアウト球を考慮しない数値であり、MYの規定値「95000」を超過する数値を取り得るため、上限値「99999」まで表示可能に構成することが好適である。変形例として、累積賞球数表示が上限値の「99999」に達した場合でも、遊技球が大入賞口に入球した場合には、擬似的な賞球カウントアップ演出(累積賞球数表示の可変表示)を実行してもよい。擬似的な賞球数カウントアップ演出としては、例えば、99999→91111→92222→93333→・・・→98888→99999、といったように、最初の値(99999)と最後の値(99999)とを同一としながらも、その間の数値をランダムに可変表示することで、あたかも累積賞球数がカウントアップ表示されているように見せてもよい。更なる変形例として、累積賞球数表示が上限値「99999」に達した場合に、新たな賞球払出が発生したときは(遊技球が大入賞に入球したときは)、累積賞球数表示として「FFFFF」を表示して、当該累積賞球数表示が表示の限界を超えていること(オーバフローした状態であること)を示唆又は報知してもよい。更なる変形例としては、累積賞球数表示が上限値「99999」に達した場合、又は、累積賞球数表示が上限値「99999」に達した以降に新たな賞球払出が発生したときは、「FFFFF」の表示へと切り替え(以降は「99999」の表示を行わず)、その後に新たな賞球払出があっても無くても「FFFFF」の表示を常に維持するよう構成しても良い。更なる変形例として、累積賞球数表示の上限値をMYの規定値「95000」の1個手前の数値である「94999」に設定し、その数値を超えた場合には「限界達成」の文字画像を表示して、それ以降は累積賞球数表示を更新表示せず、「限界突破」の文字画像を継続して表示するように構成してもよい。変形例としては、その数値を超えた場合には、累積賞球数表示を非表示として、その代わりに累積賞球数表示が表示されていた表示領域に「限界突破」の文字画像を表示するように構成してもよい。また、同様に、累積賞球数表示の上限値をMYの規定値「95000」と同数の数値である「95000」に設定し、その数値を超えた場合には「限界達成」の文字画像を表示して、それ以降は累積賞球数表示を更新表示せず、「限界突破」の文字画像を継続して表示するように構成してもよく、そのように構成した場合も、その数値を超えた場合には、累積賞球数表示を非表示として、その代わりに累積賞球数表示が表示されていた表示領域に「限界突破」の文字画像を表示するように構成してもよい。更なる変形例として、遊技者に過度の射幸心を煽るのを防止すべく、累積賞球数表示の上限値を規定値「95000」よりも十分に小さい数値(例えば「50000」)に設定し、その数値を超えた場合には「限界達成」の文字画像を表示して、それ以降は累積賞球数表示を更新表示せず、「限界突破」の文字画像を継続して表示するように構成してもよい。そのように構成した場合も、その数値を超えた場合には、累積賞球数表示を非表示として、その代わりに累積賞球数表示が表示されていた表示領域に「限界突破」の文字画像を表示するように構成してもよい。このように「限界突破」の表示条件については適宜設定可能であるが、「限界突破」が表示されている最中は、累積賞球数の値が特定値であったとしても強調表示(特別遊技の実行中に大入賞口へ遊技球が入球することを契機に、累積賞球数の値が予め定められた特定値に到達したことを報知する演出)を実行しないことが好適である。
【0399】
強調演出は、特別遊技の実行中に大入賞口へ遊技球が入球することを契機に、累積賞球数の値が予め定められた特定値に到達したことを報知する演出であり、特定値とは、所定賞球数(2500個)の倍数値に対応する数値であり、「2500」、「5000」、「7500」、「10000」、「12500」・・・といった具合に、2500個単位で設定されている。所定賞球数の値「2500」は、MYの規定値「95000」から所定値「90000」を減算した差分値「5000」よりも小さい数値に設定されている。それにより、MYカウンタのカウント値が予定値「90000」に到達してから規定値「95000」に到達するまでの間、すなわち、事前報知演出が開始されてから抑制機能が作動するまでの間に、累積賞球数の値が少なくとも1回は特定値(所定賞球数の倍数値)に到達して、強調演出が必ず1回は実行されることになる。それにより、抑制機能が作動する直前の状況であっても、少なくとも1回の強調演出の実行を確実に担保することができるとともに、遊技者に満足感や達成感を与えることができる。
【0400】
特別遊技の実行中における賞球カウントアップ演出の実行中に、MYカウンタのカウント値が規定値「95000」に到達して抑制機能作動条件を充足したとしても、実行中の賞球カウントアップ演出を中断することなく、当該実行中の賞球カウントアップ演出を継続する。すなわち、賞球カウントアップ演出の実行中に抑制機能作動条件を充足した場合(抑制機能作動フラグがONになった場合)でも、特別遊技の終了時までは抑制機能を作動させず(抑制画面を表示させず)、そのまま特別遊技を継続させるため、実行中の賞球カウントアップ演出を途中で打ち切ることはせず、実行中の賞球カウンタアップ演出を完結させる(最後まで実行する)。なお、詳細は後述するが、1個目の大入賞口への遊技球の入球に基づく先の賞球カウントアップ演出の実行中に、2個目の大入賞口への遊技球の入球(MYカウンタのカウント値が規定値「95000」に到達する契機となる入賞)に基づく後の賞球カウントアップ演出が実行される場合には、先の賞球カウントアップ演出と後の賞球カウントアップ演出とはシームレスに繋がり、これら先後の賞球カウントアップ演出は連続的且つ一体的なカウントアップ演出として構成されているため、賞球カウントアップ演出の実行中に抑制機能作動条件を充足したとしても、実行中の賞球カウントアップ演出を中断することなく、当該実行中の賞球カウントアップ演出を継続可能となる。それにより、賞球カウントアップ演出を中断させることなく最後まで遊技者に見せることができるため、MYカウンタのカウント値が規定値「95000」に達した後においても、遊技者の遊技意欲を持続させることができる。つまり、特別遊技の実行中にMYカウンタのカウント値が規定値「95000」に到達した場合は、遊技を即停止させるわけではなく(抑制機能を即作動させるわけではなく)、そのまま特別遊技を継続させることになるため、賞球カウントアップ演出の実行を許容したとしても特に実害が生じることはなく、却って賞球カウントアップ演出の実行が阻害されると、遊技者の遊技意欲が減殺されるおそれがあるからである。なお、MYカウンタのカウント値が規定値「95000」に到達する契機となる入賞が「大入賞口への遊技球の入球」となっているが、この構成に限定されるものではなく、MYカウンタのカウント値が規定値「95000」に到達する契機となる入賞が「一般入賞口への遊技球の入球」であってもよい。
【0401】
特別遊技の実行中において、賞球カウントアップ演出の実行中にMYカウンタのカウント値が所定値「90000」に到達して事前報知条件を充足したとしても、実行中の賞球カウントアップ演出を中断することなく、当該実行中の賞球カウントアップ演出を継続するように構成されている。すなわち、賞球カウントアップ演出の実行中に事前報知条件を充足した場合(事前報知演出の実行が開始された場合)でも、特別遊技の終了時までは抑制機能を作動させず(抑制画面を表示させず)、そのまま特別遊技を継続させるため、実行中の賞球カウントアップ演出を途中で打ち切ることはせず、実行中の賞球カウンタアップ演出を完結させる(最後まで実行する)。なお、詳細は後述するが、1個目の大入賞口への遊技球の入球に基づく先の賞球カウントアップ演出の実行中に、2個目の大入賞口への遊技球の入球(MYカウンタのカウント値が所定値「90000」に到達する契機となる入賞)に基づく後の賞球カウントアップ演出が実行される場合には、先の賞球カウントアップ演出と後の賞球カウントアップ演出とはシームレスに繋がり、これら先後の賞球カウントアップ演出は連続的且つ一体的なカウントアップ演出として構成されているため、賞球カウントアップ演出の実行中に事前報知条件を充足したとしても、実行中の賞球カウントアップ演出を中断することなく、当該実行中の賞球カウントアップ演出を継続可能となる。それにより、賞球カウントアップ演出を中断させることなく最後まで遊技者に見せることができるため、MYカウンタのカウント値が所定値「90000」に達した後においても、遊技者の遊技意欲を持続させることができる。つまり、特別遊技の実行中にMYカウンタのカウント値が所定値「90000」に到達した場合でも、抑制機能が作動するまでの間は、そのまま特別遊技を継続させることになるため、賞球カウントアップ演出の実行を許容したとしても特に実害が生じることはなく、却って賞球カウントアップ演出の実行が阻害されると、遊技者の遊技意欲が減殺されるおそれがあるからである。なお、賞球カウントアップ演出と事前報知演出とが重畳表示される場合には、賞球カウントアップ演出の表示の優先度(レイヤーの優先度)よりも事前報知演出の表示の優先度(レイヤーの優先度)の方が高く、賞球カウントアップ演出よりも事前報知演出の方が前面側に表示される。なお、MYカウンタのカウント値が所定値「90000」に到達する契機となる入賞が「大入賞口への遊技球の入球」となっているが、この構成に限定されるものではなく、MYカウンタのカウント値が所定値「90000」に到達する契機となる入賞が「一般入賞口への遊技球の入球」であってもよい。
【0402】
特別遊技の実行中における強調演出の実行中に、MYカウンタのカウント値が規定値「95000」に到達して抑制機能作動条件を充足したとしても、実行中の強調演出を中断することなく、当該実行中の強調演出を継続する。すなわち、強調演出の実行中に抑制機能作動条件を充足した場合(抑制機能作動フラグがONになった場合)でも、特別遊技の終了時までは抑制機能を作動させず(抑制画面を表示させず)、そのまま特別遊技を継続させるため、実行中の強調演出を途中で打ち切ることはせず、実行中の強調演出を完結させる(最後まで実行する)。それにより、強調演出を中断させることなく最後まで遊技者に見せることができるため、MYカウンタのカウント値が規定値「95000」に達した後においても、遊技者の遊技意欲を持続させることができる。つまり、特別遊技の実行中にMYカウンタのカウント値が規定値「95000」に到達した場合は、遊技を即停止させるわけではなく(抑制機能を即作動させるわけではなく)、そのまま特別遊技を継続させることになるため、強調演出の実行を許容したとしても特に実害が生じることはなく、却って強調演出の実行が阻害されると、遊技者の遊技意欲が減殺されるおそれがあるからである。
【0403】
特別遊技の実行中において、強調演出の実行中にMYカウンタのカウント値が所定値「90000」に到達して事前報知条件を充足したとしても、実行中の強調演出を中断することなく、当該実行中の強調演出を継続するように構成されている。すなわち、強調演出の実行中に事前報知条件を充足した場合(事前報知演出の実行が開始された場合)でも、特別遊技の終了時までは抑制機能を作動させず(抑制画面を表示させず)、そのまま特別遊技を継続させるため、実行中の強調演出を途中で打ち切ることはせず、実行中の強調演出を完結させる(最後まで実行する)。それにより、強調演出を中断させることなく最後まで遊技者に見せることができるため、MYカウンタのカウント値が所定値「90000」に達した後においても、遊技者の遊技意欲を持続させることができる。つまり、特別遊技の実行中にMYカウンタのカウント値が所定値「90000」に到達した場合でも、抑制機能が作動するまでの間は、そのまま特別遊技を継続させることになるため、強調演出の実行を許容したとしても特に実害が生じることはなく、却って強調演出の実行が阻害されると、遊技者の遊技意欲が減殺されるおそれがあるからである。なお、強調演出と事前報知演出とが重畳表示される場合には、強調演出の表示の優先度(レイヤーの優先度)よりも事前報知演出の表示の優先度(レイヤーの優先度)の方が高く、強調演出よりも事前報知演出の方が前面側に表示される。
【0404】
賞球1個分のカウントアップ表示の時間(「N」から「N+1」へのカウントアップ表示に要する時間)は、「0.03秒」に設定されている。つまり、累積賞球数表示領域に表示された累計賞球数の値は、「0.03秒」刻みでカウントアップ表示される。そのため、大入賞口へ遊技球が1個入球することで行われる賞球カウントアップ演出の実行時間は、賞球1個分のカウントアップに要する時間値に、大入賞口へ遊技球が1個入球することで付与される賞球数(単位賞球数)の値を乗算することで導出される。つまり、この賞球カウントアップ演出の実行時間(1回の賞球カウントアップ演出を開始してから終了するまでの時間値)は、「15(単位賞球数)×0.03秒(カウントアップの間隔)=0.45秒」となる。強調演出の実行時間は、累積賞球数の強調表示画像(拡大表示画像)の表示が開始されてから終了するまでの時間値であり、累積賞球数の値がいずれの特定値(2500、5000、7500、10000…)に到達した場合でも、強調演出の実行時間は「3秒」に設定されている。この強調演出の実行時間(3秒)は、大入賞口への遊技球1個の入球に対応する賞球カウントアップ演出の実行時間(0.45秒)よりも長時間に設定されている。そのため、大入賞口へ遊技球が1個入球することを契機に累積賞球数の値が特定値に到達する場合、賞球カウントアップ演出と強調演出とが同時又は略同時に実行されることになるが、強調演出の実行時間を大入賞口への遊技球1個の入球に対応して行われる賞球カウントアップ演出の実行時間よりも長時間に設定することで、強調演出と賞球カウントアップ演出とが同時又は略同時に実行された場合でも、希少性の高い強調演出を目立たせることができ、強調演出が発生したときの遊技者の満足感や達成感を一層向上させることができる。なお、強調演出と賞球カウントアップ演出とが重畳表示される場合には、賞球カウントアップ演出の表示の優先度(レイヤーの優先度)よりも強調演出の表示の優先度(レイヤーの優先度)の方が高く、賞球カウントアップ演出よりも強調演出の方が前面側に表示される。また、ラウンド間時間(N回目のラウンド遊技が終了することで大入賞口が閉鎖し、その閉鎖状態をN+1回目のラウンド遊技が開始するまでに維持する時間)は、大入賞口への遊技球1個の入球に対応する賞球カウントアップ演出の実行時間(0.45秒)よりも長く、強調演出の実行時間(3秒)よりも短い時間(例えば、1.5秒)に設定してもよい。
【0405】
事前報知演出の実行時間は、1回の事前報知演出が開始されてから終了するまでの時間値であり、MYカウンタのカウント値が所定値「90000」に達したときから規定値「95000」に達するまでの時間値となる。但し、この事前報知演出の実行時間には、MYカウンタが所定値「90000」に達した後に、規定値「95000」に到達することなく、所定の下限値「89000」以下となった場合の事前報知演出の実行時間は含めない。つまり、ここでの事前報知演出の実行時間とは、事前報知演出が規定値到達により完結する場合の実行時間である。この事前報知演出の実行時間は、MYカウンタのカウント値が所定値「90000」から「5000(95000-90000=5000)」個増加するまでの時間値であり、この5000個分の増加には、複数回分の特別遊技にて得られる賞球数(例えば10R大当りの場合には約1500個×3回以上)を必要とするため、基本的には、1回の事前報知演出が開始されてから終了するまでには複数回分の特別遊技の実行時間を要することになる。そのため、事前報知演出の実行時間は、強調演出の実行時間(3秒間)よりも著しく長時間となる。従って、事前報知演出と強調演出とが重複実行されたとしても、一時的な表示である強調演出よりも継続的な表示である事前報知演出を優先的に目立たせて、事前演出への遊技者の注目度を向上させることができるため、現在の遊技状況(抑制機能が間もなく作動する予定であること)を確実に遊技者に把握させることが可能となる。ここで説明した事前報知演出は事前報知表示演出であるが、事前報知音出力演出の実行時間(例えば、5秒間の音声出力)と比較しても同様の関係となる。また、事前報知演出は、前述したように、MYカウンタのカウント値が所定値「90000」から「500」加算される毎に更新表示され、第1単位報知演出→第2単位報知演出→第3単位報知演出→・・・→第10単位報知演出という順に進展するが、この事前報知演出を構成する第1単位報知演出から第10単位報知演出のうちのいずれの単位報知演出の実行時間についても、強調演出の実行時間(3秒)よりも長時間となる。つまり、各単位報知演出の実行時間は、MYカウンタのカウント値が「500」個増加するまでの時間値であり、この500個分の増加には、複数回分のラウンド遊技にて得られる賞球数(例えば約150個×3ラウンド以上)を必要とするため、基本的には、1回の単位報知演出が開始されてから終了するまでには複数回分のラウンド遊技の実行時間を要することになる。そのため、単位報知演出の実行時間は、強調演出の実行時間(3秒間)よりも長時間となる。従って、単位報知演出と強調演出とが重複実行されたとしても、一時的な表示である強調演出よりも継続的な表示である単位報知演出を優先的に目立たせて、単位報知演出への遊技者の注目度を向上させることができるため、単位報知演出(第2文言表示)が切り替わるごとにあと何発で抑制機能が作動するのかを確実に遊技者に把握させることが可能となる。なお、強調演出は獲得賞球数「2500個」単位で実行されるため、1回の特別遊技の実行中(例えば10R特別遊技:獲得可能賞球数=約1500個)において強調演出は多くても1回しか行われないが(1回の特別遊技で多くても1種類の強調演出しか表示されないが)、単位報知演出はMY「500個」単位で実行されるため、1回の特別遊技の実行中(例えば10R特別遊技:獲得可能賞球数=約1500個)において単位報知演出は複数回行われ得る(1回の特別遊技で複数種類の単位報知演出が表示され得る)。それにより、1回の特別遊技の実行中に遊技者は複数種類の単位報知演出を見ることができ、事前報知演出に対する遊技者の注目度を一層向上させることが可能となる。
【0406】
1個目の遊技球が大入賞口へ入球して、大入賞口スイッチ(大入賞検出装置とも称する)が1個目の遊技球の入球を検出すると、この1個目の入球に基づく賞球カウントアップ演出(「先の賞球カウントアップ演出」と称する)が開始される。先の賞球カウントアップ演出の実行中に、2個目の遊技球(新たな遊技球)が大入賞口に入球して、大入賞口スイッチが2個目の遊技球の入球を検出すると、先の賞球カウントアップ演出が中断されて、2個目の入球に基づく賞球カウントアップ演出(「後の賞球カウントアップ演出」と称する)が開始される。具体的には、先の賞球カウントアップ演出において、本来であれば「1000」~「1015」までのカウントアップ表示が予定されている場合に、先の賞球カウントアップ演出の実行中に大入賞口への新たな遊技球の入球が発生して大入賞口スイッチにて検出された場合には、実行中の先の賞球カウントアップ演出が途中で打ち切られて(例えばカウントアップ表示が「1010」で中断されて)、後の賞球カウントアップ演出が開始されることになる。そして、後の賞球カウントアップ演出では、先の賞球カウントアップ演出の残りの部分(「1011」~「1015」までのカウントアップ表示)が省略されたかたちで、その最終値「1015」の続きとなる「1016」~「1030」までのカウントアップ表示が行われることになる。なお、先の賞球カウントアップ演出の一部のカウントアップ表示(「1011」~「1015」までのカウントアップ表示)は省略されるが、先の賞球カウントアップ演出の終了時(中断時)と後の賞球カウントアップ演出の開始時とはシームレスに繋がり、これら先後の賞球カウントアップ演出は連続的且つ一体的なカウントアップ表示として構成される。このように、先後2回の賞球カウントアップ演出のうち、先の賞球カウントアップ演出の優先度よりも、後の賞球カウントアップ演出の優先度の方が高く設定されており、先の賞球カウントアップ演出の終了時と後の賞球カウントアップ演出の開始時とが時間的にオーバーラップする場合には、先の賞球カウントアップ演出の実行を中断させて、後の賞球カウントアップ演出を優先的に実行開始させるように構成されている。従って、大入賞口に遊技球が連続的に入球して先後二回の賞球カウントアップ演出が連続的に実行される場合であっても、先後の賞球カウントアップ演出を滞りなく円滑に進めることができるため、大入賞口への遊技球の入球時と賞球カウントアップ演出の実行時との間でタイミングのずれが生じること(それにより遊技者に違和感を与えること)を防止することできるとともに、特別遊技(ラウンド遊技)の実行中に賞球カウントアップ演出を適切に完結させることが可能となる。なお、変形例として、先の賞球カウントアップ演出の実行が中断した時点で、そのカウントアップ表示を強制的に最終値「1015」に切り替えて(つまり、「1010」で中断した場合には、「1010」から最終値の「1015」に一気に切り替えて)、この最終値から、後の賞球カウントアップ演出のカウントアップ表示(「1016」~「1030」までのカウントアップ表示)を開始させるように構成してもよい。
【0407】
特別遊技の実行中において、大入賞口へ遊技球があと1個入球した場合には、累積賞球数の値が特定値(2500の倍数値)に到達することとなる一方で、大入賞口へ遊技球があと1個入球する前に一般入賞口へ遊技球が1個入球した場合には、当該累積賞球数の値が特定値に到達せずに、MYカウンタのカウント値が規定値「95000」に到達することとなる状況(「特定の状況」と称する)がある。具体的には、特定の状況として、特別遊技の実行中に累積賞球数の値が「97485」であり、且つ、MYカウンタのカウント値が「94998」である状況においては、大入賞口へ遊技球があと1個入球した場合(15個の賞球払出が行われる場合)には、累積賞球数の値が特定値「97500」に到達して強調演出が実行されることとなる一方で、大入賞口へ遊技球があと1個入球する前に一般入賞口へ遊技球が1個入球した場合(3個の賞球払出が行われる場合)には、累積賞球数の値が特定値「97500」に到達せず、MYカウンタのカウント値が規定値「95000」に到達して(セーフ数=3、アウト数=1、差球数=3-1=2、MY=94998+2=95000)、抑制機能作動条件を充足することになる(抑制機能作動フラグがONとなる)。この特定の状況において、遊技機に電源断が発生して電源復帰した場合に、この電源復帰がRAMクリア(RAMクリアスイッチの操作)を伴わない電源復帰であれば、この電源復帰後において、当該電源断時に実行されていた特別遊技が再開されることになる。特別遊技が再開された場合には、大入賞口へあと1個の遊技球の入球があったとしても、電源断前に実行が予定されていた強調演出(累積賞球数が「97500」に達することで行われる予定であった強調演出)は実行されない。すなわち、この電源復帰時においては、直近の電源断の発生時に保持していた累積賞球値に関する演出情報が消去された状態(例えば、累積賞球数カウンタがゼロクリアされた状態)となるため、当該電源復帰後に特別遊技(大当り中演出)が再開された場合でも、累積賞球数表示が再び初期値「0」から表示されるとともに、強調演出の実行条件(特定値に到達するまでの条件)についてもはじめから再設定されることになる。そのため、電源断時の累積賞球数の値が大入賞口へのあと1個の遊技球の入球で特定値に到達する状況であったとしても、この電源復帰後に再開された特別遊技においては、累積賞球数表示が初期値「0」から再スタートされることになるため、大入賞口へのあと1個の遊技球の入球があったとしても、電源断前に実行が予定されていた強調演出(累積賞球数が「97500」に達することで行われる予定であった強調演出)は実行されないことになる。但し、累積賞球数の値が初期値「0」に戻ったとしても、この電源復帰後において遊技を継続することで、累積賞球数の値が特定値(「2500」の倍数値)に達した場合には、累積賞球数の値が特定値(「2500」の倍数値)に達する毎に、強調演出が実行されることになる。また、抑制機能作動条件を充足する前に電源断および電源復帰(RAMクリアせずに電源復帰)した場合には、当該電源復帰時(電源投入時)にMYカウンタが初期化されるため、この電源復帰後は、MYカウンタが初期値「0」から再び計数を開始することになる。従って、電源断時のMYカウンタのカウント値があと1個の大入賞口への遊技球の入球で規定値「95000」に到達する状況であっても、この電源復帰後に再開された特別遊技においては、MYカウンタが初期値「0」から再スタートすることになるため、大入賞口へあと1個の遊技球の入球があったとしても、MYカウンタのカウント値は規定値「95000」に到達せず、抑制機能作動条件を充足しない(抑制機能作動フラグはONしない)。但し、MYカウンタが初期値「0」に戻ったとしても、この電源復帰後において遊技を継続することで、MYカウンタのカウント値が規定値「95000」まで達した場合には、抑制機能作動条件を充足することになる(抑制機能作動フラグがONとなる)。
【0408】
特別遊技の実行中において、大入賞口へ遊技球があと1個入球した場合には、累積賞球数の値が特定値(2500の倍数値)に到達することとなる一方で、大入賞口へ遊技球があと1個入球する前に一般入賞口へ遊技球が1個入球した場合には、当該累積賞球数の値が特定値に到達せずに、MYカウンタのカウント値が所定値「90000」に到達することとなる状況(「所定の状況」と称する)がある。具体的には、所定の状況として、特別遊技の実行中に累積賞球数の値が「97485」であり、且つ、MYカウンタのカウント値が「89998」である状況においては、大入賞口へ遊技球があと1個入球した場合(15個の賞球払出が行われる場合)には、累積賞球数の値が特定値「97500」に到達して強調演出が実行されることとなる一方で、大入賞口へ遊技球があと1個入球する前に一般入賞口へ遊技球が1個入球した場合(3個の賞球払出が行われる場合)には、累積賞球数の値が特定値「97500」に到達せず、MYカウンタのカウント値が規定値「90000」に到達して(セーフ数=3、アウト数=1、差球数=3-1=2、MY=89998+2=90000)、事前報知条件を充足することになる。この所定の状況において、遊技機に電源断が発生して電源復帰した場合に、この電源復帰がRAMクリア(RAMクリアスイッチの操作)を伴わない電源復帰であれば、この電源復帰後において、当該電源断時に実行されていた特別遊技が再開されることになる。特別遊技が再開された場合には、大入賞口へあと1個の遊技球の入球があったとしても、電源断前に実行が予定されていた強調演出(累積賞球数が「97500」に達することで行われる予定であった強調演出)は実行されない。すなわち、この電源復帰時においては、直近の電源断の発生時に保持していた累積賞球値に関する演出情報が消去された状態(例えば、累積賞球数カウンタがゼロクリアされた状態)となるため、当該電源復帰後に特別遊技(大当り中演出)が再開された場合でも、累積賞球数表示が再び初期値「0」から表示されるとともに、強調演出の実行条件(特定値に到達するまでの条件)についてもはじめから再設定されることになる。そのため、電源断時の累積賞球数の値が大入賞口へのあと1個の遊技球の入球で特定値に到達する状況であったとしても、この電源復帰後に再開された特別遊技においては、累積賞球数表示が初期値「0」から再スタートされることになるため、大入賞口へのあと1個の遊技球の入球があったとしても、電源断前に実行が予定されていた強調演出(累積賞球数が「97500」に達することで行われる予定であった強調演出)は実行されないことになる。但し、累積賞球数の値が初期値「0」に戻ったとしても、この電源復帰後において遊技を継続することで、累積賞球数の値が特定値(「2500」の倍数値)に達した場合には、累積賞球数の値が特定値(「2500」の倍数値)に達する毎に、強調演出が実行されることになる。また、抑制機能作動条件を充足する前に電源断および電源復帰(RAMクリアせずに電源復帰)した場合には、当該電源復帰時(電源投入時)にMYカウンタが初期化されるため、この電源復帰後は、MYカウンタが初期値「0」から再び計数を開始することになる。従って、電源断時のMYカウンタのカウント値があと1個の大入賞口への遊技球の入球で所定値「90000」に到達する状況であっても、この電源復帰後に再開された特別遊技においては、MYカウンタが初期値「0」から再スタートすることになるため、大入賞口へあと1個の遊技球の入球があったとしても、MYカウンタのカウント値は所定値「90000」に到達せず、事前報知条件を充足しない。但し、MYカウンタが初期値「0」に戻ったとしても、この電源復帰後において遊技を継続することで、MYカウンタのカウント値が所定値「90000」まで達した場合には、事前報知条件を充足することになる。なお、変形例として、前述の「カウント継続スイッチ」を搭載した場合において、抑制機能作動条件を充足する前に電源断し、カウント継続スイッチを操作しながら電源復帰(RAMクリアを伴わずに電源復帰)をした場合には、当該電源復帰時にMYカウンタは初期化(クリア)されないが、当該電源復帰の直後に事前報知演出を再開しないように構成してもよい。例えば、第2単位報知演出(作動まで残り約4500発)の実行中に電源断し(MYカウンタのカウント値が「90500」~「90999」であるときに電断し)、カウント継続スイッチを操作して電源復帰(RAMクリアを伴わずに電源復帰)をした場合に、当該電源復帰時にMYカウンタは初期化(クリア)されないが、当該電源復帰の直後に第2単位報知演出(作動まで残り約4500発)は再開させず、その後、MYカウンタのカウント値が「91000」に達したときに事前報知演出を第3単位報知演出(作動まで残り約4000発)から再開させてもよい。更なる変形例としては、前述の「カウント継続スイッチ」を搭載した場合において、抑制機能作動条件を充足する前に電源断し、カウント継続スイッチを操作しながら電源復帰(RAMクリアを伴わずに電源復帰)をした場合には、当該電源復帰時にMYカウンタは初期化(クリア)されないが、当該電源復帰の直後に事前報知演出を再開しないように構成し、例えば、第2単位報知演出(作動まで残り約4500発)の実行中に電源断し(MYカウンタのカウント値が「90500」~「90999」であるときに電断し)、カウント継続スイッチを操作して電源復帰(RAMクリアを伴わずに電源復帰)をした場合に、当該電源復帰時にMYカウンタは初期化(クリア)されず、当該電源復帰の直後に第2単位報知演出(作動まで残り約4500発)を再開させても良い。
【0409】
特別遊技の実行中において、抑制機能作動条件を充足した後(抑制機能作動フラグがONになった後)に、大入賞口へ遊技球があと1個入球することで、累積賞球数の値が特定値(2500の倍数値)に到達することとなる状況(「状況A」と称する)がある。具体的には、状況Aとして、特別遊技の実行中において、MYカウンタのカウント値が既に規定値「95000」に到達しており、且つ、累積賞球数の値が所定の特定値「97500」よりも15個少ない「97485」である状況においては、大入賞口へ遊技球があと1個入球することで(15個の賞球払出が行われることで)、累積賞球数の値が特定値「97500」に到達して強調演出が実行されることとなる。この状況Aにおいて、遊技機に電源断が発生し、RAMクリア(RAMクリアスイッチの操作)を伴わずに電源復帰した場合には、当該電源断前に実行されていた特別遊技が再開されることになるが、この特別遊技が再開された後においては、大入賞口へあと1個の遊技球の入球があったとしても、累積賞球数の値が所定の特定値「97500」に到達せず、電源断前に予定されていた強調演出(累積賞球数が「97500」に達することで行われる予定であった強調演出)は実行されない。すなわち、この電源復帰時においては、直近の電源断の発生時に保持していた累積賞球値に関する演出情報が消去された状態(例えば、累積賞球数カウンタがゼロクリアされた状態)となるため、当該電源復帰後に特別遊技(大当り中演出)が再開された場合でも、累積賞球数表示が再び初期値「0」から表示されるとともに、強調演出の実行条件(特定値に到達するまでの条件)についてもはじめから再設定されることになる。そのため、電源断時の累積賞球数の値が大入賞口へのあと1個の遊技球の入球で特定値に到達する状況であったとしても、この電源復帰後に再開された特別遊技においては、累積賞球数表示が初期値「0」から再スタートされることになるため、大入賞口へのあと1個の遊技球の入球があったとしても、電源断前に実行が予定されていた強調演出(累積賞球数が「97500」に達することで行われる予定であった強調演出)は実行されないことになる。但し、累積賞球数の値が初期値「0」に戻ったとしても、この電源復帰後において遊技を継続することで、累積賞球数の値が特定値(「2500」の倍数値)に達した場合には、累積賞球数の値が特定値(「2500」の倍数値)に達する毎に、強調演出が実行されることになる。また、この状況Aにおいて、RAMクリアを伴わずに電源復帰した場合(抑制機能作動条件を充足した後にRAMクリアを伴わずに電源復帰した場合)には、当該電源復帰時にMYカウンタは初期化されず(MYカウンタのカウント値「95000」はクリアされず)、抑制機能作動フラグがONを維持することになる。そのため、当該電源復帰後に再開された特別遊技(大当り終了デモ)が終了したときに抑制機能が作動し、それと同時または略同時に抑制報知演出が実行される。
【0410】
特別遊技の実行中において、事前報知条件を充足した後、すなわち、事前報知演出が開始された後に、大入賞口へ遊技球があと1個入球することで、累積賞球数の値が特定値(2500の倍数値)に到達することとなる状況(「状況B」と称する)がある。具体的には、状況Bとして、特別遊技の実行中において、MYカウンタのカウント値が既に所定値「90000」に到達しており(但し、MYカウンタのカウント値が「90000」や「90500」など、規定値「95000」到達まで余裕があることが好適である)、且つ、累積賞球数の値が所定の特定値「97500」よりも15個少ない「97485」である状況においては、大入賞口へ遊技球があと1個入球することで(15個の賞球払出が行われることで)、累積賞球数の値が特定値「97500」に到達して強調演出が実行されることとなる。この状況Bにおいて、遊技機に電源断が発生し、RAMクリア(RAMクリアスイッチの操作)を伴わずに電源復帰した場合には、当該電源断前に実行されていた特別遊技が再開されることになるが、この特別遊技が再開された後においては、大入賞口へあと1個の遊技球の入球があったとしても、累積賞球数の値が所定の特定値「97500」に到達せず、電源断前に予定されていた強調演出(累積賞球数が「97500」に達することで行われる予定であった強調演出)は実行されない。すなわち、この電源復帰時においては、直近の電源断の発生時に保持していた累積賞球値に関する演出情報が消去された状態(例えば、累積賞球数カウンタがゼロクリアされた状態)となるため、当該電源復帰後に特別遊技(大当り中演出)が再開された場合でも、累積賞球数表示が再び初期値「0」から表示されるとともに、強調演出の実行条件(特定値に到達するまでの条件)についてもはじめから再設定されることになる。そのため、電源断時の累積賞球数の値が大入賞口へのあと1個の遊技球の入球で特定値に到達する状況であったとしても、この電源復帰後に再開された特別遊技においては、累積賞球数表示が初期値「0」から再スタートされることになるため、大入賞口へのあと1個の遊技球の入球があったとしても、電源断前に実行が予定されていた強調演出(累積賞球数が「97500」に達することで行われる予定であった強調演出)は実行されないことになる。但し、累積賞球数の値が初期値「0」に戻ったとしても、この電源復帰後において遊技を継続することで、累積賞球数の値が特定値(「2500」の倍数値)に達した場合には、累積賞球数の値が特定値(「2500」の倍数値)に達する毎に、強調演出が実行されることになる。また、事前報知条件を充足した後であっても抑制機能作動条件を充足する前に電源断および電源復帰(RAMクリアせずに電源復帰)した場合には、当該電源復帰時(電源投入時)にMYカウンタが初期化されるため、この電源復帰後に特別遊技が再開されたときは、MYカウンタは初期値「0」から再び計数を開始することになる。従って、この電源復帰後においては事前報知条件を充足していない状態に戻り、当該電源復帰後(当該電源復帰後に再開された特別遊技)においては直近の電源断時に実行されていた事前報知演出は再開されないことになる(事前報知演出は実行されない)。但し、MYカウンタが初期値「0」に戻ったとしても、この電源復帰後において遊技を継続することで、MYカウンタのカウント値が所定値「90000」に達した場合(事前報知条件を充足した場合)には、事前報知演出が実行されることになる。
【0411】
抑制機能の作動中(抑制報知演出の実行中)は、音量調整および光量調整が不能となるように構成されている。すなわち、抑制機能が作動して遊技停止状態に移行した場合には、音量調整操作がされたとしても、音量レベルが変化しない(音量操作が無効となる)ようになっている。そのため、抑制報知演出の実行中に、音量調整操作がされたとしても、抑制報知音(「抑制機能が作動しました」という音声)の音量レベルは変化せず、当該抑制報知音は常に一定の音量(予め定められた一定の音量)で出力される。変形例としては、設定された音量レベルに応じた出力態様で抑制報知音を出力するよう構成しても良い。また、同様に、抑制機能が作動して遊技停止状態に移行した場合には、光量調整操作がされたとしても、光量レベルが変化しない(光量操作が無効となる)ようになっている。そのため、抑制報知演出の実行中に、光量調整操作がされたとしても、抑制報知に係る枠ランプの全点灯時の光量は変化しない。但し、抑制機能作動条件を充足していたとしても特別遊技の実行中であれば、抑制機能は作動していないため(抑制報知演出は実行されていないため)、当該特別遊技の実行中において音量調整および光量調整は可能である。なお、事前報知演出の実行中であれば、変動中であっても特別遊技中であっても、音量調整操作がされることで音量レベルが変化し(音量操作が有効となり)、光量調整操作がされることで光量レベルが変化する(光量操作が有効となる)。ここで、事前報知音出力演出については、設定された音量レベルに応じた出力態様ではなく、常に一定の音量(予め定められた一定の音量)で出力されるよう構成されても良いし、設定された音量レベルに応じた出力態様となるよう構成しても良い。
【0412】
各種の演出(待機デモ演出、演出ボタン動作、通常装飾図柄の所定の動作)と抑制機能との関係性は以下のとおりである。事前報知演出の実行中であっても待機デモ演出は実行可能(開始可能)であるが、抑制報知演出の実行中では待機デモ演出が実行(開始)されない。なお、待機デモ演出の実行中であっても事前報知演出が実行可能(開始可能)であり且つ並行して実行可能であるが、待機デモ演出の実行中であっても抑制報知演出を実行可能(開始可能)である一方で待機デモ演出は強制的に終了する。また、事前報知演出の実行中であっても演出ボタン動作は実行可能(開始可能)であるが、抑制報知演出の実行中では演出ボタン動作が実行(開始)されない。なお、演出ボタン動作の実行中であっても事前報知演出が実行可能(開始可能)であり且つ並行して実行可能であるが、演出ボタン動作の実行中であっても抑制報知演出を実行可能(開始可能)である一方で演出ボタン動作は強制的に終了する。また、事前報知演出の実行中であっても通常装飾図柄の所定の動作(変動開始時動作、仮停止時動作、リーチ成立時動作、揺れ動作)は実行可能(開始可能)であるが、抑制報知演出の実行中では通常装飾図柄の所定の動作が実行(開始)されない。なお、通常装飾図柄の所定の動作の実行中であっても事前報知演出が実行可能(開始可能)であり且つ並行して実行可能であるが、通常装飾図柄の所定の動作の実行中であっても抑制報知演出を実行可能(開始可能)である一方で通常装飾図柄の所定の動作は強制的に終了する。
【0413】
なお、実施例および変形例に記載の技術は、以下の態様によって特定されてもよい。
【0414】
[第1態様]
遊技球の入球が可能な第1始動口と、
遊技球の入球が可能な第2始動口と、
遊技球の入球が可能な作動口と、
前記第2始動口に取り付けられ、拡開したときには前記第2始動口へ遊技球が入球可能または入球容易となる拡開機構と、
開放したときには遊技球が入球可能または入球容易となる大入賞口と、
前記第1始動口への入球を契機として、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定する当否判定を実行する第1当否判定手段と、
前記第2始動口への入球を契機として、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定する当否判定を実行する第2当否判定手段と、
前記第1当否判定手段による当否判定の結果を示すための第1特別図柄が変動表示される第1図柄表示装置と、
前記第2当否判定手段による当否判定の結果を示すための第2特別図柄が変動表示される第2図柄表示装置と、
前記作動口への入球を契機として、前記拡開機構を拡開させることを示すための普通図柄が変動表示される普通図柄表示装置と、
前記第1当否判定手段による当否判定の際に用いられる抽選値を、第1当否判定手段による当否判定が行われるまで第1保留として保留する第1保留制御手段と、
前記第2当否判定手段による当否判定の際に用いられる抽選値を、第2当否判定手段による当否判定が行われるまで第2保留として保留する第2保留制御手段と、
前記第1当否判定手段による当否判定の結果または前記第2当否判定手段による当否判定の結果が所定結果である場合、大入賞口の開放を伴う特別遊技を実行可能とする特別遊技制御手段と、
前記第2始動口への入球容易性に関する状態として、通常の入球容易性の状態である低ベース状態と、前記低ベース状態よりも入球容易性を高めた状態である高ベース状態とを有し、前記低ベース状態の設定または前記高ベース状態の設定が可能な特定遊技制御手段と、
演出内容が表示される演出表示装置と、
前記演出内容を決定する演出決定手段と、
を備え、
前記特別遊技の状態および前記高ベース状態のうち少なくともいずれかである有利状態の終了後に前記低ベース状態へ移行した時点で残存していた前記第2保留に係る図柄変動においては特別遊技実行期待度が相対的に高い特殊演出を実行するとともに、前記第2保留が消化された時点で前記第1保留が残存していた場合におけるその第1保留に係る1回目の図柄変動においても前記特殊演出と同一のまたは類似する演出を実行可能であり、
前記有利状態の終了後に移行する前記低ベース状態においては、前記高ベース状態への移行を伴う前記特別遊技の実行契機となる図柄種類とは異なる複数種類の特定図柄のうちいずれかで停止可能であり、
前記特定図柄で停止した場合であって、停止した前記特定図柄の種類が第1の特定図柄の場合は前記高ベース状態へ移行し、停止した前記特定図柄の種類が前記第1の特定図柄と異なる第2の特定図柄の場合は前記低ベース状態より入球容易性が高く前記高ベース状態より入球容易性が低い状態である特殊ベース状態に移行し、
前記第1の特定図柄での停止を契機として前記高ベース状態へ移行する場合の前記特殊演出における演出態様は、前記残存していた第2保留に係る当否判定で前記所定結果となる場合の前記特殊演出における演出態様と同一のまたは類似する演出態様であることを特徴とする弾球遊技機。
【0415】
[第2態様]
遊技球の入球が可能な第1始動口と、
遊技球の入球が可能な第2始動口と、
遊技球の入球が可能な作動口と、
前記第2始動口に取り付けられ、拡開したときには前記第2始動口へ遊技球が入球可能または入球容易となる拡開機構と、
開放したときには遊技球が入球可能または入球容易となる大入賞口と、
前記第1始動口への入球を契機として、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定する当否判定を実行する第1当否判定手段と、
前記第2始動口への入球を契機として、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定する当否判定を実行する第2当否判定手段と、
前記第1当否判定手段による当否判定の結果を示すための第1特別図柄が変動表示される第1図柄表示装置と、
前記第2当否判定手段による当否判定の結果を示すための第2特別図柄が変動表示される第2図柄表示装置と、
前記作動口への入球を契機として、前記拡開機構を拡開させることを示すための普通図柄が変動表示される普通図柄表示装置と、
前記第1当否判定手段による当否判定の際に用いられる抽選値を、第1当否判定手段による当否判定が行われるまで第1保留として保留する第1保留制御手段と、
前記第2当否判定手段による当否判定の際に用いられる抽選値を、第2当否判定手段による当否判定が行われるまで第2保留として保留する第2保留制御手段と、
前記第1当否判定手段による当否判定の結果または前記第2当否判定手段による当否判定の結果が所定結果である場合、大入賞口の開放を伴う特別遊技を実行可能とする特別遊技制御手段と、
前記第2始動口への入球容易性に関する状態として、通常の入球容易性の状態である低ベース状態と、前記低ベース状態よりも入球容易性を高めた状態である高ベース状態とを有し、前記低ベース状態の設定または前記高ベース状態の設定が可能な特定遊技制御手段と、
演出内容が表示される演出表示装置と、
前記演出内容を決定する演出決定手段と、
を備え、
前記特別遊技の状態および前記高ベース状態のうち少なくともいずれかである有利状態の終了後に移行する前記低ベース状態においては、前記高ベース状態への移行を伴う前記特別遊技の実行契機となる図柄種類とは異なる複数種類の特定図柄のうちいずれかで停止可能であり、
前記特定図柄で停止した場合であって、停止した前記特定図柄の種類が第1の特定図柄の場合は前記高ベース状態へ移行し、停止した前記特定図柄の種類が前記第1の特定図柄と異なる第2の特定図柄の場合は前記低ベース状態より入球容易性が高く前記高ベース状態より入球容易性が低い状態である特殊ベース状態に移行し、
前記有利状態の終了後に前記低ベース状態へ移行した時点で残存していた前記第1保留に係る図柄判定で前記第1の特定図柄に該当した場合は、前記残存していた第1保留に係る当否判定で前記所定結果となる場合とは異なる高期待度演出を実行可能であり、
前記残存していた第1保留に係る1回目の図柄変動と、前記1回目の図柄変動の次以降の図柄変動とで同一態様または類似態様の図柄変動演出が実行され得る一方、前記残存していた第1保留に係る1回目の図柄変動においては、前記次以降の図柄変動では実行されない特殊演出を実行可能であることを特徴とする弾球遊技機。
【0416】
[第3態様]
遊技球の入球が可能な第1始動口と、
遊技球の入球が可能な第2始動口と、
遊技球の入球が可能な作動口と、
前記第2始動口に取り付けられ、拡開したときには前記第2始動口へ遊技球が入球可能または入球容易となる拡開機構と、
開放したときには遊技球が入球可能または入球容易となる大入賞口と、
前記第1始動口への入球を契機として、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定する当否判定を実行する第1当否判定手段と、
前記第2始動口への入球を契機として、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定する当否判定を実行する第2当否判定手段と、
前記第1当否判定手段による当否判定の結果を示すための第1特別図柄が変動表示される第1図柄表示装置と、
前記第2当否判定手段による当否判定の結果を示すための第2特別図柄が変動表示される第2図柄表示装置と、
前記作動口への入球を契機として、前記拡開機構を拡開させることを示すための普通図柄が変動表示される普通図柄表示装置と、
前記第1当否判定手段による当否判定の際に用いられる抽選値を、第1当否判定手段による当否判定が行われるまで第1保留として保留する第1保留制御手段と、
前記第2当否判定手段による当否判定の際に用いられる抽選値を、第2当否判定手段による当否判定が行われるまで第2保留として保留する第2保留制御手段と、
前記第1当否判定手段による当否判定の結果または前記第2当否判定手段による当否判定の結果が所定結果である場合、大入賞口の開放を伴う特別遊技を実行可能とする特別遊技制御手段と、
前記第2始動口への入球容易性に関する状態として、通常の入球容易性の状態である低ベース状態と、前記低ベース状態よりも入球容易性を高めた状態である高ベース状態とを有し、前記低ベース状態の設定または前記高ベース状態の設定が可能な特定遊技制御手段と、
演出内容が表示される演出表示装置と、
前記演出内容を決定する演出決定手段と、
を備え、
前記特別遊技の状態および前記高ベース状態のうち少なくともいずれかである有利状態の終了後に移行する前記低ベース状態においては、前記高ベース状態への移行を伴う前記特別遊技の実行契機となる図柄種類とは異なる複数種類の特定図柄のうちいずれかで停止可能であり、
前記特定図柄で停止した場合であって、停止した前記特定図柄の種類が第1の特定図柄の場合は前記高ベース状態へ移行し、停止した前記特定図柄の種類が前記第1の特定図柄と異なる第2の特定図柄の場合は前記低ベース状態より入球容易性が高く前記高ベース状態より入球容易性が低い状態である特殊ベース状態に移行し、
所定の特殊演出の実行頻度を変更する演出設定変更を遊技者の操作入力に応じて実行可能であり、
前記低ベース状態においては前記演出設定変更を遊技者の操作入力に応じて実行可能であるとともに、前記特殊ベース状態においても前記演出設定変更を遊技者の操作入力に応じて実行可能であり、
現在の演出ステージに対応したステージ背景画像を表示可能であるとともに、所定の高期待度リーチ演出への発展中は前記ステージ背景画像を非表示とし、
前記所定の高期待度リーチ演出への発展前における前記ステージ背景画像が表示されている所定期間においては前記演出設定変更を遊技者の操作入力に応じて実行可能である一方、前記所定の高期待度リーチ演出への発展後における前記ステージ背景画像が表示されている特定期間においては前記演出設定変更の実行を制限することを特徴とする弾球遊技機。
【0417】
[第4態様]
遊技球の入球が可能な第1始動口と、
遊技球の入球が可能な第2始動口と、
遊技球の入球が可能な作動口と、
前記第2始動口に取り付けられ、拡開したときには前記第2始動口へ遊技球が入球可能または入球容易となる拡開機構と、
開放したときには遊技球が入球可能または入球容易となる大入賞口と、
前記第1始動口への入球を契機として、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定する当否判定を実行する第1当否判定手段と、
前記第2始動口への入球を契機として、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定する当否判定を実行する第2当否判定手段と、
前記第1当否判定手段による当否判定の結果を示すための第1特別図柄が変動表示される第1図柄表示装置と、
前記第2当否判定手段による当否判定の結果を示すための第2特別図柄が変動表示される第2図柄表示装置と、
前記作動口への入球を契機として、前記拡開機構を拡開させることを示すための普通図柄が変動表示される普通図柄表示装置と、
前記第1当否判定手段による当否判定の際に用いられる抽選値を、第1当否判定手段による当否判定が行われるまで第1保留として保留する第1保留制御手段と、
前記第2当否判定手段による当否判定の際に用いられる抽選値を、第2当否判定手段による当否判定が行われるまで第2保留として保留する第2保留制御手段と、
前記第1当否判定手段による当否判定の結果または前記第2当否判定手段による当否判定の結果が所定結果である場合、大入賞口の開放を伴う特別遊技を実行可能とする特別遊技制御手段と、
前記第2始動口への入球容易性に関する状態として、通常の入球容易性の状態である低ベース状態と、前記低ベース状態よりも入球容易性を高めた状態である高ベース状態とを有し、前記低ベース状態の設定または前記高ベース状態の設定が可能な特定遊技制御手段と、
演出内容が表示される演出表示装置と、
前記演出内容を決定する演出決定手段と、
を備え、
前記第1始動口または前記第2始動口への新たな入球があった場合にその入球に対応する抽選値に関する事前情報を前記演出決定手段へ送信し、
前記第1始動口または前記第2始動口への新たな入球時にその入球に係る前記事前情報が前記所定結果に対応する情報である場合に特別遊技実行期待度が高いことを前記入球の直後に示唆する特殊先読み演出を実行可能とする特殊先読み演出モードへの演出設定変更を遊技者の操作入力に応じて実行可能であり、
所定の高期待度リーチ演出の実行中に前記第1始動口または前記第2始動口への新たな入球があった場合には、その新たな入球に係る前記事前情報に基づく前記通常の先読み演出の実行を制限する一方、前記特殊先読み演出モードに設定されている場合はその新たな入球に係る前記事前情報に基づく前記特殊先読み演出を実行可能であることを特徴とする弾球遊技機。
【0418】
[第5態様]
遊技球の入球が可能な第1始動口と、
遊技球の入球が可能な第2始動口と、
遊技球の入球が可能な作動口と、
前記第2始動口に取り付けられ、拡開したときには前記第2始動口へ遊技球が入球可能または入球容易となる拡開機構と、
開放したときには遊技球が入球可能または入球容易となる大入賞口と、
前記第1始動口への入球を契機として、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定する当否判定を実行する第1当否判定手段と、
前記第2始動口への入球を契機として、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定する当否判定を実行する第2当否判定手段と、
前記第1当否判定手段による当否判定の結果を示すための第1特別図柄が変動表示される第1図柄表示装置と、
前記第2当否判定手段による当否判定の結果を示すための第2特別図柄が変動表示される第2図柄表示装置と、
前記作動口への入球を契機として、前記拡開機構を拡開させることを示すための普通図柄が変動表示される普通図柄表示装置と、
前記第1当否判定手段による当否判定の際に用いられる抽選値を、第1当否判定手段による当否判定が行われるまで第1保留として保留する第1保留制御手段と、
前記第2当否判定手段による当否判定の際に用いられる抽選値を、第2当否判定手段による当否判定が行われるまで第2保留として保留する第2保留制御手段と、
前記第1当否判定手段による当否判定の結果または前記第2当否判定手段による当否判定の結果が所定結果である場合、大入賞口の開放を伴う特別遊技を実行可能とする特別遊技制御手段と、
前記第2始動口への入球容易性に関する状態として、通常の入球容易性の状態である低ベース状態と、前記低ベース状態よりも入球容易性を高めた状態である高ベース状態とを有し、前記低ベース状態の設定または前記高ベース状態の設定が可能な特定遊技制御手段と、
演出内容が表示される演出表示装置と、
前記演出内容を決定する演出決定手段と、
を備え、
前記第1始動口または前記第2始動口への新たな入球があった場合にその入球に対応する抽選値に関する事前情報を前記演出決定手段へ送信し、
前記第1始動口または前記第2始動口への新たな入球時にその入球に係る前記事前情報が前記所定結果に対応する情報である場合に特別遊技実行期待度が高いことを前記入球の直後に示唆する特殊先読み演出を実行可能とする特殊先読み演出モードへの演出設定変更を遊技者の操作入力に応じて実行可能であり、
前記特殊先読み演出モードに設定されている場合において、前記事前情報が複数種類の高期待度リーチ演出のうち第1の高期待度リーチ演出へ発展する図柄変動に対応する情報である場合は前記特殊先読み演出を実行可能である一方、前記事前情報が前記第1の高期待度リーチ演出と異なる第2の高期待度リーチ演出へ発展する図柄変動に対応する情報である場合は前記特殊先読み演出の実行を制限することを特徴とする弾球遊技機。
【0419】
[第6態様]
遊技球の入球が可能な第1始動口と、
遊技球の入球が可能な第2始動口と、
遊技球の入球が可能な作動口と、
前記第2始動口に取り付けられ、拡開したときには前記第2始動口へ遊技球が入球可能または入球容易となる拡開機構と、
開放したときには遊技球が入球可能または入球容易となる大入賞口と、
前記第1始動口への入球を契機として、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定する当否判定を実行する第1当否判定手段と、
前記第2始動口への入球を契機として、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定する当否判定を実行する第2当否判定手段と、
前記第1当否判定手段による当否判定の結果を示すための第1特別図柄が変動表示される第1図柄表示装置と、
前記第2当否判定手段による当否判定の結果を示すための第2特別図柄が変動表示される第2図柄表示装置と、
前記作動口への入球を契機として、前記拡開機構を拡開させることを示すための普通図柄が変動表示される普通図柄表示装置と、
前記第1当否判定手段による当否判定の際に用いられる抽選値を、第1当否判定手段による当否判定が行われるまで第1保留として保留する第1保留制御手段と、
前記第2当否判定手段による当否判定の際に用いられる抽選値を、第2当否判定手段による当否判定が行われるまで第2保留として保留する第2保留制御手段と、
前記第1当否判定手段による当否判定の結果または前記第2当否判定手段による当否判定の結果が所定結果である場合、大入賞口の開放を伴う特別遊技を実行可能とする特別遊技制御手段と、
前記第2始動口への入球容易性に関する状態として、通常の入球容易性の状態である低ベース状態と、前記低ベース状態よりも入球容易性を高めた状態である高ベース状態とを有し、前記低ベース状態の設定または前記高ベース状態の設定が可能な特定遊技制御手段と、
演出内容が表示される演出表示装置と、
前記演出内容を決定する演出決定手段と、
を備え、
前記高ベース状態は、終期として定められる図柄変動回数が相対的に少ない短期高ベース状態と、終期として定められる図柄変動回数が相対的に多い長期高ベース状態と、を含み、
前記高ベース状態へ移行する契機となる停止図柄の種類には、その図柄停止を契機として獲得し得る利益が相対的に大きい高利益図柄と、その図柄停止を契機として獲得し得る利益が前記高利益図柄より小さい中利益図柄と、が含まれ、
前記短期高ベース状態および前記長期高ベース状態のうちいずれに移行するかは停止した図柄の種類が前記高利益図柄および前記中利益図柄のうちいずれであったかに応じて決定されるとともに、前記短期高ベース状態において前記中利益図柄で停止した場合は前記中利益図柄に係る特別遊技の実行終了後に前記短期高ベース状態へ移行し、前記短期高ベース状態において前記高利益図柄で停止した場合は前記高利益図柄に係る特別遊技の実行終了後に前記長期高ベース状態へ移行し、前記長期高ベース状態において前記中利益図柄または前記高利益図柄で停止した場合は前記中利益図柄に係る特別遊技または前記高利益図柄に係る特別遊技の実行終了後に前記短期高ベース状態へ移行するよう決定され、
前記長期高ベース状態における演出状態は第1の演出モードとされるが前記第1の演出モードと異なる第2の演出モードとはされることがない一方、前記短期高ベース状態における演出状態は前記第2の演出モードとされるだけでなく所定の例外期間において前記第1の演出モードとされる場合もあり、
前記所定の例外期間は、前記長期高ベース状態において前記中利益図柄または前記高利益図柄で停止したことを契機に前記中利益図柄に係る特別遊技または前記高利益図柄に係る特別遊技の実行終了後に前記短期高ベース状態へ移行した場合であってその移行時点で残存していた前記第2保留に前記中利益図柄または前記高利益図柄に対応する保留が含まれる場合の前記短期高ベース状態の期間であることを特徴とする弾球遊技機。
【0420】
[第7態様]
遊技球の入球が可能な第1始動口と、
遊技球の入球が可能な第2始動口と、
遊技球の入球が可能な作動口と、
前記第2始動口に取り付けられ、拡開したときには前記第2始動口へ遊技球が入球可能または入球容易となる拡開機構と、
開放したときには遊技球が入球可能または入球容易となる大入賞口と、
前記第1始動口への入球を契機として、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定する当否判定を実行する第1当否判定手段と、
前記第2始動口への入球を契機として、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定する当否判定を実行する第2当否判定手段と、
前記第1当否判定手段による当否判定の結果を示すための第1特別図柄が変動表示される第1図柄表示装置と、
前記第2当否判定手段による当否判定の結果を示すための第2特別図柄が変動表示される第2図柄表示装置と、
前記作動口への入球を契機として、前記拡開機構を拡開させることを示すための普通図柄が変動表示される普通図柄表示装置と、
前記第1当否判定手段による当否判定の際に用いられる抽選値を、第1当否判定手段による当否判定が行われるまで第1保留として保留する第1保留制御手段と、
前記第2当否判定手段による当否判定の際に用いられる抽選値を、第2当否判定手段による当否判定が行われるまで第2保留として保留する第2保留制御手段と、
前記第1当否判定手段による当否判定の結果または前記第2当否判定手段による当否判定の結果が所定結果である場合、大入賞口の開放を伴う特別遊技を実行可能とする特別遊技制御手段と、
前記第2始動口への入球容易性に関する状態として、通常の入球容易性の状態である低ベース状態と、前記低ベース状態よりも入球容易性を高めた状態である高ベース状態とを有し、前記低ベース状態の設定または前記高ベース状態の設定が可能な特定遊技制御手段と、
演出内容が表示される演出表示装置と、
前記演出内容を決定する演出決定手段と、
を備え、
前記高ベース状態は、終期として定められる図柄変動回数が相対的に少ない短期高ベース状態と、終期として定められる図柄変動回数が相対的に多い長期高ベース状態と、を含み、
前記高ベース状態へ移行する契機となる停止図柄の種類には、その図柄停止を契機として獲得し得る特別遊技に係る利益が相対的に小さい低利益図柄と、その図柄停止を契機として獲得し得る特別遊技に係る利益が相対的に大きい高利益図柄と、が含まれ、
前記短期高ベース状態および前記長期高ベース状態のうちいずれに移行するかは停止した図柄の種類が前記高利益図柄および前記低利益図柄のうちいずれであったかに応じて決定されるとともに、前記短期高ベース状態において前記高利益図柄で停止した場合は前記高利益図柄に係る特別遊技の実行終了後に前記長期高ベース状態へ移行し、前記長期高ベース状態において前記高利益図柄で停止した場合は前記高利益図柄に係る特別遊技の実行終了後に前記短期高ベース状態へ移行するよう決定され、
前記長期高ベース状態における演出状態は第1の演出モードとされるが前記第1の演出モードと異なる第2の演出モードとはされることがない一方、前記短期高ベース状態における演出状態は前記第2の演出モードとされるだけでなく所定の例外期間において前記第1の演出モードとされる場合もあり、
前記所定の例外期間は、前記長期高ベース状態において前記高利益図柄で停止したことを契機に前記高利益図柄に係る特別遊技の実行終了後に前記短期高ベース状態へ移行した場合であってその移行時点で残存していた前記第2保留に前記高利益図柄に対応する保留が含まれる場合の前記短期高ベース状態の期間であり、
前記短期高ベース状態において前記低利益図柄で停止した場合は前記低利益図柄に係る特別遊技の実行終了後に前記短期高ベース状態へ移行し、前記長期高ベース状態において前記低利益図柄で停止した場合は前記低利益図柄に係る特別遊技の実行終了後に前記長期高ベース状態へ移行するよう決定され、
前記低利益図柄での停止が予定される変動表示にて実行される演出は、その変動表示における遊技状態が前記短期高ベース状態および前記長期高ベース状態のうちいずれであるかに応じて異なり、
前記長期高ベース状態において前記高利益図柄での停止を契機として前記高利益図柄に係る特別遊技の実行終了後に前記短期高ベース状態へ移行する状況下で、前記第2保留に前記低利益図柄に対応する保留を含む場合であってもその保留の後続として前記高利益図柄に該当する保留をさらに含む場合には、その特別遊技の実行終了後に移行する前記短期高ベース状態であっても前記第1の演出モードとされることを特徴とする弾球遊技機。
【0421】
[第8態様]
遊技球の入球が可能な第1始動口と、
遊技球の入球が可能な第2始動口と、
遊技球の入球が可能な作動口と、
前記第2始動口に取り付けられ、拡開したときには前記第2始動口へ遊技球が入球可能または入球容易となる拡開機構と、
開放したときには遊技球が入球可能または入球容易となる大入賞口と、
前記第1始動口への入球を契機として、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定する当否判定を実行する第1当否判定手段と、
前記第2始動口への入球を契機として、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定する当否判定を実行する第2当否判定手段と、
前記第1当否判定手段による当否判定の結果を示すための第1特別図柄が変動表示される第1図柄表示装置と、
前記第2当否判定手段による当否判定の結果を示すための第2特別図柄が変動表示される第2図柄表示装置と、
前記作動口への入球を契機として、前記拡開機構を拡開させることを示すための普通図柄が変動表示される普通図柄表示装置と、
前記第1当否判定手段による当否判定の際に用いられる抽選値を、第1当否判定手段による当否判定が行われるまで第1保留として保留する第1保留制御手段と、
前記第2当否判定手段による当否判定の際に用いられる抽選値を、第2当否判定手段による当否判定が行われるまで第2保留として保留する第2保留制御手段と、
前記第1当否判定手段による当否判定の結果または前記第2当否判定手段による当否判定の結果が所定結果である場合、大入賞口の開放を伴う特別遊技を実行可能とする特別遊技制御手段と、
前記第2始動口への入球容易性に関する状態として、通常の入球容易性の状態である低ベース状態と、前記低ベース状態よりも入球容易性を高めた状態である高ベース状態とを有し、前記低ベース状態の設定または前記高ベース状態の設定が可能な特定遊技制御手段と、
演出内容が表示される演出表示装置と、
前記演出内容を決定する演出決定手段と、
を備え、
前記第1始動口または前記第2始動口への新たな入球があった場合にその入球に対応する抽選値に関する事前情報を前記演出決定手段へ送信し、
前記低ベース状態において前記第1当否判定手段による当否判定の結果が前記所定結果であることを示す図柄が停止したことを契機として実行される特別遊技の実行終了後に移行する初回の高ベース状態と、前記高ベース状態において前記第2当否判定手段による当否判定の結果が前記所定結果であることを示す図柄が停止したことを契機として実行される特別遊技の実行終了後に移行する2回目以降の高ベース状態とで、図柄変動パターンの選択で参照する選択基準を異ならせることで図柄変動パターンの選択傾向および特定演出の選択頻度を異ならせることが可能であり、
前記高ベース状態において前記第2当否判定手段による当否判定の結果が前記所定結果となったことを契機として実行される特別遊技の実行終了後に前記高ベース状態へ移行する場合であっても、前記所定結果を示す図柄が特定種類の図柄である場合は、前記初回の高ベース状態と同じ図柄変動パターンの選択基準を参照可能であり、
前記特定種類の図柄の停止を契機として実行される特別遊技の実行中は、前記第1保留または前記第2保留に係る事前情報に基づく演出決定を制限することを特徴とする弾球遊技機。
【符号の説明】
【0422】
11 第1始動口、 12 第2始動口、 20 大入賞口、 30 作動口、 50 特別図柄、 51 第1特別図柄、 52 第2特別図柄、 60 演出表示装置、 220 当否判定手段、 221 第1当否判定手段、 222 第2当否判定手段、 240 保留制御手段、 260 特別遊技制御手段、 270 特定遊技制御手段、 303 演出決定手段、 402 特別遊技、 600 低ベース状態、 620,622 特別遊技、 624 高ベース状態、 626 特殊ベース状態、 660 有利状態、 628 特別遊技。
図1
図2
図3
図4
図5
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