(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108714
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】光検出装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/028 20060101AFI20240805BHJP
【FI】
H04N1/028 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023013231
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000104629
【氏名又は名称】キヤノン・コンポーネンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田代 卓
(72)【発明者】
【氏名】吉田 英将
【テーマコード(参考)】
5C051
【Fターム(参考)】
5C051AA01
5C051BA04
5C051DB01
5C051DB04
5C051DB22
5C051DB29
5C051DE13
5C051DE15
(57)【要約】
【課題】光検出装置が有する半導体装置が受けるノイズの影響を低減する。
【解決手段】光を検出可能なセンサユニット140と、長辺及び短辺を有する基板170と、基板170の表面上に取り付けられ、センサユニット140からの信号を処理する半導体装置180と、半導体装置180を覆うように基板170に対して固定された金属カバー190と、を備える。金属カバー190は、少なくとも170基板の長辺方向に離間する2箇所で基板170に対して固定されており、基板170の長辺方向に延びる側面176を覆うように成形されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を検出可能なセンサユニットと、
長辺及び短辺を有する基板と、
前記基板の表面上に取り付けられ、前記センサユニットからの信号を処理する半導体装置と、
前記半導体装置を覆うように前記基板に対して固定された金属カバーと、を備え、
前記金属カバーは、少なくとも前記基板の長辺方向に離間する2箇所で前記基板に対して固定されており、前記基板の長辺方向に延びる側面を覆うように成形されている
ことを特徴とする光検出装置。
【請求項2】
前記金属カバーは、
前記基板に近接する平面部と、
前記平面部に接続し、前記基板の長辺方向に延びる側面を覆うように前記基板の長辺方向に拡がるフランジ部とを有することを特徴とする、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項3】
前記金属カバーは、
前記基板に近接する平面部と、
前記半導体装置を覆うように前記平面部から隆起した隆起部と、
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項4】
平面視において、前記長辺方向における前記隆起部の外縁と前記半導体装置との距離は、前記基板の短辺方向における前記隆起部の外縁と前記半導体装置との距離よりも大きいことを特徴とする、請求項3に記載の光検出装置。
【請求項5】
前記隆起部は、前記長辺方向において前記2箇所の間に位置することを特徴とする、請求項3に記載の光検出装置。
【請求項6】
前記基板の前記表面には接地用電極が設けられており、
前記金属カバーは、前記接地用電極と接触するように前記基板に対して固定されている
ことを特徴とする、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項7】
前記金属カバーは、
前記基板に近接する平面部と、
前記半導体装置を覆うように前記平面部から隆起した隆起部と、
を含み、
前記金属カバーにおける前記接地用電極と接触する部分は、前記長辺方向において、前記2箇所のうちの一方と、前記隆起部との間に位置することを特徴とする、請求項6に記載の光検出装置。
【請求項8】
前記金属カバーにおける前記接地用電極と接触する部分は、平面視において、前記2箇所を結ぶ仮想線上に又は前記仮想線よりも前記基板の前記長辺方向に延びる中心線から離れて位置することを特徴とする、請求項6に記載の光検出装置。
【請求項9】
前記金属カバーにおける前記接地用電極と接触する部分は、前記接地用電極に対して押圧力を加えることを特徴とする、請求項6に記載の光検出装置。
【請求項10】
前記金属カバーにおける前記接地用電極と接触する部分は自由端と固定端とを有し、前記自由端から前記固定端までの長さAと前記金属カバーの厚みtとがt<A<t×40の関係を満たすことを特徴とする、請求項6に記載の光検出装置。
【請求項11】
前記金属カバーの厚みは0.10mm以上0.50mm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項12】
前記基板を支持する樹脂製のフレームをさらに備え、
前記フレーム、前記基板、及び前記金属カバーが、前記2箇所で互いに固定されていることを特徴とする、請求項1から11のいずれか1項に記載の光検出装置。
【請求項13】
前記フレーム、前記基板、及び前記金属カバーが、前記2箇所でかしめ固定されていることを特徴とする、請求項12に記載の光検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光検出装置に関し、特に光検出装置のノイズ対策に関する。
【背景技術】
【0002】
光を検出する光検出装置が知られている。このような光検出装置は、光の検出に応じて信号を生成することができる。また、このような光検出装置は、信号に対する処理を行い、処理後の信号を出力することができる。例えば特許文献1は、ラインセンサと、信号処理を行う処理部が設けられた回路基板と、を備えるラインセンサ装置を開示している。
【0003】
また、基板上の半導体ダイを保護する技術も知られている。特許文献2及び3は、半導体ダイを樹脂で封止する技術を開示している。特許文献2は、特に、半導体ダイを保護蓋で覆ってから樹脂で封止することを提案している。このような技術により、樹脂封止工程におけるワイヤへの障害が低減される。特許文献3も、ICチップを金属製の蓋で覆ってから樹脂で封止することを提案している。このような技術により、熱ストレスによるICチップの破壊が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-161544号公報
【特許文献2】特開平7-66331号公報
【特許文献3】特開昭62-229860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光検出装置において信号処理を行う構成においては、静電気等のノイズが信号を処理する半導体装置に対する影響を抑制することが望ましい。特許文献1~3に記載の技術には、ノイズ対策の点でさらなる改善の余地を有していた。
【0006】
本発明は、光検出装置が有する半導体装置が受けるノイズの影響を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る光検出装置は、
光を検出可能なセンサユニットと、
長辺及び短辺を有する基板と、
前記基板の表面上に取り付けられ、前記センサユニットからの信号を処理する半導体装置と、
前記半導体装置を覆うように前記基板に対して固定された金属カバーと、を備え、
前記金属カバーは、少なくとも前記基板の長辺方向に離間する2箇所で前記基板に対して固定されており、前記基板の長辺方向に延びる側面を覆うように成形されている。
【発明の効果】
【0008】
光検出装置が有する半導体装置が受けるノイズの影響を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】一実施形態に係る基板及び金属カバーの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
本発明の一実施形態は光検出装置に関する。光検出装置は、光を検出し、検出した光に応じた信号を出力する。光検出装置は、例えばスキャナ装置又はラインセンサ装置であってもよい。光検出装置は、例えば、光検出装置に対して相対的に移動する対象物からの反射光又は透過光を検出することができる。また、光検出装置は、このような光の量又は色を判定することができる。このように、光検出装置は、光を検知することにより、対象物の色、反射率、又は透過率を測定することができる。一例として、光検出装置は、記録媒体(例えば紙)に記録された画像を読み取ることができる。光検出装置は、対象物に対して光を照射する構成をさらに有していてもよい。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係る光検出装置100の概略構成例を示す。
図1に示す光検出装置100はラインセンサ装置である。光検出装置100は、Y軸方向に延びた長尺状の構造を有している。
図1は、光検出装置100の、Y軸と垂直な断面図である。なお、
図1において、上方は+Z方向、下方は-Z方向、右方は+X方向、左方は-X方向にそれぞれ対応する。X軸、Y軸、及びZ軸は互いに直交している。
【0013】
光検出装置100は、センサユニット140、基板170、半導体装置180、及び金属カバー190を有している。
図1に示すように、光検出装置100はさらに、フレーム110、導光体120、ロッドレンズアレイ130、基板150、及び接続部材160を有していてもよい。
【0014】
フレーム110は、光検出装置100が有する各部材を収容又は保持するケース又は保護部材である。例えば、基板170はフレーム110に固定することができる。フレーム110の具体的な構成及び形状は特に限定されない。一実施形態において、フレーム110はポリカーボネート等の熱可塑性樹脂で構成されている。フレーム110は2つ以上の部材によって構成されていてもよい。
【0015】
導光体120は、光源(不図示)からの光を対象物に照射することができる。
図1の例において、導光体120はY軸方向に延びた長尺状の構造を有している。導光体120は、例えば透明な樹脂部材で構成されている。導光体120のY軸方向の端部には光源(不図示)が設けられていてもよい。この場合、光源(不図示)からの光は、導光体120を通って、光検出装置100の-Z方向に位置する対象部へと入射する。光源(不図示)は、例えばLED等の発光素子であってもよい。
【0016】
センサユニット140は、光検出装置100の-Z方向に位置する対象部からの光を検出する。
図1の例において、センサユニット140はラインセンサであり、Y軸方向に延びた長尺状の構造を有している。センサユニット140は、複数の光電変換素子(例えばフォトダイオード)がY軸方向に配列された構造を有していてもよい。センサユニット140としては、例えばCCD又はCMOSセンサを用いることができる。センサユニット140の構成は特に限定されず、例えばセンサユニット140は行列状又は千鳥状に配列された複数の光電変換素子を備えるエリアセンサであってもよい。また、光電変換素子として、フォトダイオードの代わりに、PINセンサ又はMISセンサ等の他の光検出素子を用いてもよい。
【0017】
センサユニット140には、対象部からの光が結像する。対象物からセンサユニット140へと光を導く光学系の種類は、特に限定されない。
図1の例では、センサユニット140はロッドレンズアレイ130の光路上に固定されている。こうして、センサユニット140は、ロッドレンズアレイ130により集光された光を検知する。ロッドレンズアレイ130はY軸方向に配列された複数のロッドレンズを含む。ロッドレンズは例えば円柱形状を有していてもよい。それぞれのロットレンズの光軸は平行である。また、それぞれのロッドレンズの入光面は-Z方向に向いている。このような構成によれば、センサユニット140は、ロッドレンズアレイ130により集光された光を一度に検出することができる。このため、センサユニット140は、ロッドレンズアレイ130の下方を通過する対象物上の長い線状領域について一度に測定を行うことができる。
【0018】
センサユニット140は、基板150上に設けられている。基板150は、例えばプリント回路基板である。基板150はリジット基板であってもフレキシブル基板であってもよい。例えば、基板150はガラスエポキシ基板であってもよい。
図1の例において、基板150は、Y軸方向に延びた長尺状の構造を有している。
【0019】
半導体装置180は、センサユニット140からの信号を処理する。例えば、半導体装置180は、センサユニット140の出力を示すデジタル信号に対してデジタル信号処理を行うことができる。一実施形態においては、A/Dコンバータ(不図示)がセンサユニット140の出力をデジタル信号に変換する。この場合、半導体装置180は、A/Dコンバータにより生成されたセンサユニット140の出力を示すデジタル信号を受け取ることができる。そして、半導体装置180は、このデジタル信号に対して信号処理を行うことができる。
【0020】
半導体装置180が行う信号処理の種類は特に限定されない。半導体装置180は、例えば、センサユニット140の出力を示す信号を所定の規格に従う形式に変換する変換処理を行うことができる。一例として、半導体装置180は、センサユニット140の出力を、画像データのデータ伝送方式を定めるCameraLink規格やCoaXPress規格に従うデータ形式に変換することができる。また、半導体装置180は、センサユニット140の出力を示す信号に対して補正処理を行ってもよい。
【0021】
半導体装置180は、基板170の表面上に取り付けられている。基板170は、例えばプリント回路基板である。基板170はリジット基板であってもフレキシブル基板であってもよい。例えば、基板170はガラスエポキシ基板であってもよい。基板170は、長辺及び短辺を有している。
図1の例において、基板170は矩形状である。この矩形の長辺はY軸方向に延びている。また、この矩形の短辺はX軸方向に延びている。基板170が長辺及び短辺を有することは、基板170が一方向(例えばY軸方向)に長く拡がっており、交差する方向(例えばX軸方向)により短く拡がっていることを意味する。これは、後述する金属カバー190についても同様である。
【0022】
基板150及び170は、さらに配線を有している。また、接続部材160は、基板150の配線と基板170の配線とを電気的に接続している。これらの配線及び接続部材160を介して、センサユニット140は半導体装置180に電気的に接続されている。接続部材160は、例えば、コネクタ、配線、又はフレキシブル基板を含んでいてもよい。
【0023】
金属カバー190は、半導体装置180を覆うように基板170に対して固定されている。金属カバー190の材料は特に限定されない。例えば、金属カバー190は、ステンレス、アルミニウム、又は鉄等の導電性材料で構成されていてもよい。金属カバー190には、さらに防さびコーティングが設けられていてもよい。一実施形態において、金属カバー190は、静電気から半導体装置180を保護できるように導電性を有している。このような金属カバー190は、半導体装置180を物理的な衝撃から保護することができる。一実施形態において、金属カバー190は、半導体装置180及びワイヤに接触しないように設けられる。
【0024】
金属カバー190の構造について
図2~
図4を参照して説明する。
図4に示されるように、金属カバー190は長辺及び短辺を有している。平面視において基板170は矩形状であってもよい。この矩形の長辺はY軸方向に延びている。また、この矩形の短辺はX軸方向に延びている。
【0025】
図2は、フレーム110の上部、基板170、及び金属カバー190を示す分解斜視図である。金属カバー190は、基板170の長辺方向に延びる側面176を覆うように成形されている。例えば、金属カバー190は、基板170の側面176の少なくとも一部を覆っている。
図2の例において、金属カバー190は平面部197を有している。この平面部197は、基板170に近接している。例えば、この平面部197は、基板170の、半導体装置180が取り付けられている表面177と接触することができる。
図2において、金属カバー190の平面部197は、基板170の表面177と同一平面上で接触している。金属カバー190の平面部197の長辺方向は、Y軸方向に延びていてもよい。また、平面部197の短辺方向は、X軸方向に延びていてもよい。
【0026】
このように、金属カバー190が基板170の側面176を覆うことにより、側面176からのノイズの流入を抑えることができる。また、このような金属カバー190は、側面176からのノイズの流出も抑えることができる。例えば、基板170と金属カバー190との熱膨張率の差により、基板170の表面177と金属カバー190の平面部197との間に隙間が生じることがある。このような場合でも、金属カバー190が基板170の側面176を覆うことにより、ノイズの流入が抑制される。なお、ノイズの例としては、静電気、電磁波、及び光等が挙げられる。
【0027】
図2に示すように、金属カバー190は、平面部197に接続するフランジ部191を有している。このフランジ部191は、基板170の側面176を覆うように基板170の長辺方向に拡がっている。後述する
図3に示されるように、フランジ部191が基板170の側面176の全体を覆うことは必須ではない。例えば、フランジ部191のZ軸方向の幅は、基板170の厚さより短くてもよい。このようなフランジ部191を有する金属カバー190は、基板170に対してオーバーハングすることができる。したがって、フランジ部191は、基板170と金属カバー190との間から侵入するノイズを低減することができる。
【0028】
図2の例において、フランジ部191は、金属カバー190の長辺方向の全体にわたって設けられている。一方で、フランジ部191を、金属カバー190の長辺方向の全体にわたって設けることは必須ではない。一実施形態において、フランジ部191が延びるY軸方向の範囲は、後述する隆起部192が存在するY軸方向の範囲を包含している。
【0029】
フランジ部191は、平面部197と垂直な平面を有していてもよい。また、フランジ部191は、平面部197の短辺方向の端部から延びていてもよい。
図2の例において、フランジ部191は平面部197から-Z方向に延びている。金属カバー190は、基板170の長辺方向に延びる1つの側面176を覆うように1つのフランジ部191を有していてもよい。一方で、金属カバー190は、基板170の長辺方向に延びる2つの側面176をそれぞれ覆う2つのフランジ部191を有していてもよい。このようなフランジ部191は、金属カバー190の端部を折り曲げることにより設けられてもよい。
【0030】
金属カバー190の厚さ、すなわち平面部197の厚さは、堅牢性、耐衝撃性、及び外部ノイズからの遮蔽性を高める観点から、0.10mm以上、又は0.12mm以上であってもよい。また、金属カバー190の厚さは、加工性を高め、
図2に示されるフランジ部191、隆起部192、及び爪部193等を設けることを容易にする観点から、0.50mm以下、又は0.38mm以下であってもよい。例えば、金属カバー190の厚さは、0.10mm以上0.50mm以下であってもよく、0.12mm以上0.38mm以下であってもよい。
【0031】
金属カバー190の短辺方向(X軸方向)の幅は、基板170の短辺方向(X軸方向)の幅と略同一であってもよい。このような構成によれば、基板170の2つの側面176からのノイズの侵入を効果的に抑制できる。一方で、金属カバー190の短辺方向(X軸方向)の幅は、基板170の短辺方向(X軸方向)の幅より短く、又は長くてもよい。
【0032】
金属カバー190の長辺方向(Y軸方向)の長さは、基板170の長辺方向(Y軸方向)の長さより短くてもよい。
図2に示されるように、基板170には、外部装置との接続用のコネクタ171が設けられていてもよい。短い長さを有する金属カバー190を用いることにより、金属カバー190とコネクタ171との干渉を防ぐことができる。一方で、金属カバー190の長辺方向(Y軸方向)の長さは、基板170の長辺方向(Y軸方向)と略同一であってもよく、これより長くてもよい。
【0033】
図2に示すように、金属カバー190は隆起部192を有することができる。この隆起部192は、半導体装置180を覆うことができる。
図2において、隆起部192は平面部197から隆起した構造を有する。
図2の例では、隆起部192は平面部197から+Z方向に隆起している。したがって、金属カバー190が基板170に取り付けられている状態において、隆起部192は基板170の表面177から離れている。そして、隆起部192と表面177との間には空間が存在する。半導体装置180はこの空間に収容することができる。
【0034】
図3は、基板170及び金属カバー190の、長辺(又はY軸方向)に垂直な断面図である。
図4は、金属カバー190の上面図である。
図4は、平面視における金属カバー190を示す。L1及びL2は、長辺方向における隆起部192の外縁と半導体装置180との距離を示す。また、W1及びW2は、短辺方向における隆起部192の外縁と半導体装置180の外縁との間の距離を示す。なお、隆起部192の外縁とは、隆起部192と平面部197との境界部を指す。
【0035】
一実施形態においては、L1及びL2が長くなるように金属カバー190が構成される。例えば、L1及びL2は、W1及びW2よりも長い。ここで、L1及びL2がW1及びW2よりも長いことは、L1及びL2のうち短い方が、W1及びW2のうちより長い方よりも長いことを意味する。このように、W1及びW2が長くなるように金属カバー190を構成することにより、ノイズ又は外部衝撃からの半導体装置180の保護が強化される。
【0036】
また、
図3及び
図4において、L3及びL4は、長辺方向における金属カバー190の端部と半導体装置180との距離を示す。また、W3及びW4は、短辺方向における金属カバー190の端部と半導体装置180との距離を示す。なお、金属カバー190の端部と半導体装置180との距離は、金属カバー190の端部と半導体装置180の外縁との間の距離を表す。
【0037】
一実施形態においては、L3及びL4が長くなるように金属カバー190が構成される。例えば、L3及びL4は、W3及びW4よりも長い。このように、L3及びL4が長くなるように金属カバー190を構成することにより、Y軸方向に沿ったノイズの流入又は流出を抑制することができる。特に、金属カバー190が基板170の短辺方向に延びる側面を覆っていない場合であっても、ノイズからの半導体装置180の保護を向上させることができる。
【0038】
金属カバー190は、少なくとも基板170の長辺方向に離間する2箇所で基板170に対して固定されている。例えば、金属カバー190は孔194,195を有していてもよい。このような金属カバー190の孔194,195を介して、金属カバー190を基板170に固定することができる。また、基板170も、孔174,175を有していてもよい。
図2の例では、金属カバー190の孔194と基板170の孔174とが互いに固定される。また、金属カバー190の孔195と基板170の孔175とが互いに固定される。金属カバー190は、3箇所以上で基板170に対して固定されていてもよい。一方で、一実施形態において、金属カバー190は、2箇所のみで基板170に対して固定される。
【0039】
基板170と金属カバー190との間の固定方法は特に限定されない。例えば、孔194と孔174とを貫通する接続部材を用いて、孔194と孔174とを互いに固定することができる。また、孔195と孔175とを貫通する接続部材を用いて、孔195と孔175とを互いに固定することができる。この接続部材は、フレーム110に設けられた突出部(不図示)であってもよい。このような固定方法によれば、樹脂により金属カバー190を封止する方法と比較して、組み立てを容易にする又は組み立て時間を減らすことが可能となる。
【0040】
一実施形態において、基板170を支持する樹脂製のフレーム110、基板170、及び金属カバー190は、2箇所で互いに固定されている。さらなる実施形態において、フレーム110、基板170、及び金属カバー190は、2箇所でかしめ固定されている。例えば、フレーム110は、孔174及び孔194を通る突出部と、孔175及び孔195を通る突出部と、を有していてもよい。この場合、それぞれの突出部が孔174及び孔194並びに孔175及び孔195を貫通している状態で、それぞれの突出部を熱かしめすることができる。こうして、フレーム110、基板170、及び金属カバー190を互いにかしめ固定することができる。このような手法によれば、基板170及び金属カバー190を同時にフレーム110に対して固定することができる。
【0041】
フレーム110が有する上記の突出部は、フレーム110の一部であってもよい。また、フレーム110が有する上記の突出部は、フレーム110とは異なる材料で構成され、フレーム110に結合されたピンであってもよい。一実施形態において、孔194及び孔195の双方は、金属カバー190のX軸方向の一方の端部に沿って配置されている。例えば、孔194及び孔195の双方は、金属カバー190のX軸方向の他方の端部よりも、この一方の端部に近い位置に設けられている。
【0042】
ここで、隆起部192は、長辺方向において2箇所の固定箇所の間に位置していてもよい。このように、隆起部192の両側で基板170と金属カバー190とを固定することにより、隆起部192の近傍における基板170と金属カバー190の密着性を高めることができる。このため、ノイズからの半導体装置180の保護が強化される。
【0043】
一実施形態において、金属カバー190は接地される。このような構成によれば、静電気を金属カバー190から逃がすことができる。また、このような構成によれば、ノイズからの半導体装置180の保護が強化される。金属カバー190の接地方法は特に限定されない。例えば、基板170の表面177に接地用電極(不図示)が設けられていてもよい。この場合、金属カバー190を、接地用電極と接触するように基板170に対して固定することができる。
【0044】
図2の例において、金属カバー190は爪部193を有している。爪部193は、金属カバー190を基板170に固定した際に接地用電極と接触する部分に設けられている。このような構成において、金属カバー190は、接地用電極と接触する部分(この例では爪部193)及び接地用電極を介して接地される。金属カバー190には穴196が設けられていてもよく、爪部193は穴196に向かって突出していてもよい。爪部193の形状は特に限定されない。例えば、爪部193は矩形状、三角形状、半円形状、又は凹凸形状を有することができる。
【0045】
金属カバー190における接地用電極と接触する部分(この例では爪部193)は、接地用電極に対して押圧力を加えてもよい。このような構成によれば、金属カバー190と接地用電極との間の電気的接続が切れにくくなる。
図5は、金属カバー190を基板170に固定する前における、爪部193を通るY軸に垂直な断面図を示す。
図5に示すように、接地用電極と接触する部分である爪部193は、自由端501と固定端502とを有することができる。この固定端502は、平面部197に接続されている。そして、爪部193は、平面部197よりも-Z方向(すなわち隆起部192と反対の方向)に突出していてもよい。具体例として、爪部193は、平面部197に対して斜めに延びていてもよい。また、爪部193は、平面部197に対して斜めに延びる第1の部分と、第1の部分に接続し、平面部197と平行に延びる第2の部分とを有していてもよい。
【0046】
一実施形態において、自由端501から固定端502までの長さAと、金属カバー190の厚みtとは、t<A<t×40の関係、又はt×2<A<t×20の関係を満たす。長さAがt又はt×2を超えることにより、爪部193と接地用電極との接触面積が大きくなり、これらの間の接触を保ちやすくなる。また、長さAがt×40又はt×20を下回ることにより、爪部193の接地用電極への押圧力が強くなり、これらの間の接触を保ちやすくなる。
【0047】
一実施形態において、金属カバー190における接地用電極と接触する部分(例えば爪部193)は、長辺方向において、基板170と金属カバー190との間の2箇所の固定箇所(例えば孔194,195)のうちの一方と、隆起部192との間に位置する。また、一実施形態において、金属カバー190における接地用電極と接触する部分は、基板170と金属カバー190との間の固定箇所からは離れている。このような構成によれば、固定箇所において基板170と金属カバー190とを密着させることがより容易となる。例えば、孔195は直径φ1を有していてもよい。この場合、
図4に示される孔195と接地用電極と接触する部分(例えば爪部193)との間の距離D1が、3×φ1より長くなるように、金属カバー190を構成することができる。距離D1は、5×φ1、又は10×φ1より長くてもよい。同様に、孔194は直径φ2を有していてもよい。この場合、
図4に示される孔194と接地用電極と接触する部分(例えば爪部193)との間の距離D2が、3×φ2より長くなるように、金属カバー190を構成することができる。距離D1は、5×φ2、又は10×φ2より長くてもよい。なお、孔194,195の直径は、孔194,195の外接円の直径により表すことができる。
【0048】
一実施形態において、金属カバー190における接地用電極と接触する部分(例えば爪部193)は、平面視において、基板170と金属カバー190との間の2箇所の固定箇所(例えば孔194,195の中心)を結ぶ仮想線上に位置する。このような構成によれば、接地用電極と接触する部分において基板170と金属カバー190とが離れることを抑制できる。また、別の一実施形態において、金属カバー190における接地用電極と接触する部分は、平面視において、上記の仮想線よりも、基板170の長辺方向に延びる中心線から離れた位置に設けられる。このような構成によれば、基板170と金属カバー190との間が2箇所で固定された状態で、接地用電極と接触する部分が、金属カバー190に基板170から離れる向きの力を及ぼすことができる。この力は、上記の仮想線よりも上記の中心線に近い部分において、金属カバー190を基板170に押しつけることができる。
【0049】
一実施形態において、金属カバー190における接地用電極と接触する部分(例えば爪部193)は、隆起部192から離れている。このような構成によれば、接地用電極と接触する部分において金属カバー190がしなる(Z軸方向に変形する)ことが容易になる。このため、金属カバー190における接地用電極と接触する部分に爪部193のような接点を設けても、固定箇所において基板170と金属カバー190とを互いに密着するように固定することが容易となる。一実施形態において、金属カバー190の隆起部192はZ軸方向の高さHを有している。ここで、金属カバー190における接地用電極と接触する部分(例えば爪部193)と隆起部192との間の距離は、2×H以上であってもよい。この距離は、3×H、又は5×H以上であってもよい。接地用電極と接触する部分と隆起部192との間の距離は、X-Y平面に沿った接地用電極と接触する部分と隆起部192の外縁との間の最短距離を意味する。
【0050】
図6は、本発明の一実施形態に係る光検出装置100が適用された撮像装置90の構成の一例を示す。撮像装置90は、光検出装置100の他、例えばキャリッジ91およびプロセッサ92を備える。キャリッジ91は、光検出装置100を所定方向に搬送可能であり、光検出装置100は原稿に対して相対移動されることにより原稿の画像を読み取る。なお、キャリッジ91の代わりに、原稿を搬送する搬送機構が設けられていてもよい。プロセッサ92は、光検出装置100からの信号に基づいて信号処理を行う。プロセッサ92は、原稿の読み取り結果を示す画像データを生成してよい。
【0051】
なお、撮像装置の概念には、撮像機能を主機能として備えるデバイスの他、撮像機能を副機能として備える他のデバイスも含まれるものとする。その例としては、撮像機能により得られた画像データに基づいて印刷を実行可能な印刷装置、及び画像データを通信により送信可能な通信装置などが挙げられる。
【0052】
(その他の実施例)
本明細書の開示は、以下の光検出装置を含む。
(項目1)
光を検出可能なセンサユニットと、
長辺及び短辺を有する基板と、
前記基板の表面上に取り付けられ、前記センサユニットからの信号を処理する半導体装置と、
前記半導体装置を覆うように前記基板に対して固定された金属カバーと、を備え、
前記金属カバーは、少なくとも前記基板の長辺方向に離間する2箇所で前記基板に対して固定されており、前記基板の長辺方向に延びる側面を覆うように成形されている
ことを特徴とする光検出装置。
(項目2)
前記金属カバーは、
前記基板に近接する平面部と、
前記平面部に接続し、前記基板の長辺方向に延びる側面を覆うように前記基板の長辺方向に拡がるフランジ部とを有することを特徴とする、項目1に記載の光検出装置。
(項目3)
前記金属カバーは、
前記基板に近接する平面部と、
前記半導体装置を覆うように前記平面部から隆起した隆起部と、
を含むことを特徴とする、項目1又は2に記載の光検出装置。
(項目4)
平面視において、前記長辺方向における前記隆起部の外縁と前記半導体装置との距離は、前記基板の短辺方向における前記隆起部の外縁と前記半導体装置との距離よりも大きいことを特徴とする、項目3に記載の光検出装置。
(項目5)
前記隆起部は、前記長辺方向において前記2箇所の間に位置することを特徴とする、項目3又は4に記載の光検出装置。
(項目6)
前記基板の前記表面には接地用電極が設けられており、
前記金属カバーは、前記接地用電極と接触するように前記基板に対して固定されている
ことを特徴とする、項目1から5のいずれか1項目に記載の光検出装置。
(項目7)
前記金属カバーは、
前記基板に近接する平面部と、
前記半導体装置を覆うように前記平面部から隆起した隆起部と、
を含み、
前記金属カバーにおける前記接地用電極と接触する部分は、前記長辺方向において、前記2箇所のうちの一方と、前記隆起部との間に位置することを特徴とする、項目6に記載の光検出装置。
(項目8)
前記金属カバーにおける前記接地用電極と接触する部分は、平面視において、前記2箇所を結ぶ仮想線上に又は前記仮想線よりも前記基板の前記長辺方向に延びる中心線から離れて位置することを特徴とする、項目6又は7に記載の光検出装置。
(項目9)
前記金属カバーにおける前記接地用電極と接触する部分は、前記接地用電極に対して押圧力を加えることを特徴とする、項目6から8のいずれか1項目に記載の光検出装置。
(項目10)
前記金属カバーにおける前記接地用電極と接触する部分は自由端と固定端とを有し、前記自由端から前記固定端までの長さAと前記金属カバーの厚みtとがt<A<t×40の関係を満たすことを特徴とする、項目6から9のいずれか1項目に記載の光検出装置。
(項目11)
前記金属カバーの厚みは0.10mm以上0.50mm以下であることを特徴とする、項目1から10のいずれか1項目に記載の光検出装置。
(項目12)
前記基板を支持する樹脂製のフレームをさらに備え、
前記フレーム、前記基板、及び前記金属カバーが、前記2箇所で互いに固定されていることを特徴とする、項目1から11のいずれか1項目に記載の光検出装置。
(項目13)
前記フレーム、前記基板、及び前記金属カバーが、前記2箇所でかしめ固定されていることを特徴とする、項目12に記載の光検出装置。
【0053】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0054】
100:光検出装置、110:フレーム、140:センサユニット、150:基板、170:基板、180:半導体装置、190:金属カバー、191:フランジ部、192:隆起部、193:爪部