(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108737
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】リニアアクチュエータ、リニアアクチュエータ連結体、ロボット、跳躍支援スーツ、移動装置及び清掃装置
(51)【国際特許分類】
F15B 15/10 20060101AFI20240805BHJP
【FI】
F15B15/10 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023013266
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】599011687
【氏名又は名称】学校法人 中央大学
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100097238
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 治
(74)【代理人】
【識別番号】100149249
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(72)【発明者】
【氏名】中村 太郎
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 文臣
(72)【発明者】
【氏名】石井 優丞
(72)【発明者】
【氏名】大澤 崚
【テーマコード(参考)】
3H081
【Fターム(参考)】
3H081AA18
3H081BB03
(57)【要約】
【課題】人工筋型アクチュエータを利用した圧縮方向の軸力を提供できるリニアアクチュエータ、リニアアクチュエータ連結体、ロボット、跳躍支援スーツ、移動装置及び清掃装置を提供する。
【解決手段】少なくとも圧縮方向の軸力を伝達する軸力部材2と、チャンバ3を内部に形成するチャンバ形成部材4とを有し、流体がチャンバ3に供給されることにより、チャンバ3が軸力に沿う軸力方向に垂直な横断面内で広がるとともに軸力方向に狭まることによって、軸力方向においてチャンバ形成部材4の一端部4aが他端部4bに対して相対的に軸力部材2を伴って近づくことで、軸力部材2がチャンバ3への流体の供給圧力に応じた圧縮方向の軸力を伝達する、リニアアクチュエータ1。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも圧縮方向の軸力を伝達する軸力部材と、
チャンバを内部に形成するチャンバ形成部材とを有し、
流体が前記チャンバに供給されることにより、前記チャンバが前記軸力に沿う軸力方向に垂直な横断面内で広がるとともに前記軸力方向に狭まることによって、前記軸力方向において前記チャンバ形成部材の一端部が他端部に対して相対的に前記軸力部材を伴って近づくことで、前記軸力部材が前記チャンバへの前記流体の供給圧力に応じた前記圧縮方向の前記軸力を伝達する、リニアアクチュエータ。
【請求項2】
前記流体が前記チャンバから排出されることにより、前記チャンバが前記横断面内で狭まるとともに前記軸力方向に広がることによって、前記軸力方向において前記チャンバ形成部材の前記一端部が前記他端部に対して相対的に前記軸力部材を伴って遠ざかる、請求項1に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項3】
前記チャンバ形成部材は、前記横断面内で前記軸力部材を囲繞する、請求項1に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項4】
前記チャンバ形成部材は、前記横断面内で前記軸力部材を囲繞する内筒部と、前記横断面内で前記内筒部を囲繞する外筒部とを有し、前記内筒部と前記外筒部とによって前記チャンバを区画する、請求項1に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項5】
前記軸力部材は、前記チャンバへの前記流体の供給によって前記軸力方向において前記チャンバ形成部材の前記他端部から見て前記一端部の反対側に突出する突出可能部を有する、請求項1に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項6】
前記チャンバ形成部材の前記他端部は、前記軸力部材を相対的に拘束した状態で前記流体が前記チャンバに供給された後に、前記軸力部材を解放する拘束部を有する、請求項1に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項7】
請求項1~6の何れか1項に記載の第1のリニアアクチュエータと、
請求項1~6の何れか1項に記載の第2のリニアアクチュエータと、
前記第1のリニアアクチュエータにおける前記チャンバ形成部材の前記他端部と前記第2のリニアアクチュエータにおける前記軸力部材とを互いに前記軸方向に拘束されるように連結する連結部材とを有する、リニアアクチュエータ連結体。
【請求項8】
請求項1~6の何れか1項に記載の第1のリニアアクチュエータと、
請求項1~6の何れか1項に記載の第2のリニアアクチュエータとを有し、
前記第1のリニアアクチュエータの前記チャンバ形成部材の前記他端部と前記第2のリニアアクチュエータの前記チャンバ形成部材の前記他端部とが兼用され、
前記第1のリニアアクチュエータの前記軸力部材と前記第2のリニアアクチュエータの前記軸力部材とが兼用される、リニアアクチュエータ連結体。
【請求項9】
請求項1~6の何れか1項に記載のリニアアクチュエータを有し、
前記チャンバ形成部材の前記他端部と前記軸力部材との一方が人体に連結され、他方が前記人体を介さずに跳躍支持面に作用する、跳躍支援スーツ。
【請求項10】
請求項1~6の何れか1項に記載のリニアアクチュエータと、
前記リニアアクチュエータにおける前記チャンバ形成部材の前記他端部に設けられ、管状体の内周面を相対的に拘束可能且つ拘束を解除可能な他端部拘束部とを有する、移動装置。
【請求項11】
前記軸力部材は、前記チャンバの状態に関わらず前記軸力方向において前記チャンバ形成部材の前記他端部から見て前記一端部の反対側に位置する部分と、当該部分に設けられ、前記管状体の内周面を相対的に拘束可能且つ拘束を解除可能な軸力部材拘束部とを有する、請求項10に記載の移動装置。
【請求項12】
前記チャンバ形成部材の前記他端部と前記軸力部材拘束部とを前記軸力方向の間隔を制御可能に連結する伸縮部を有する、請求項11に記載の移動装置。
【請求項13】
前記リニアアクチュエータにおける前記チャンバ形成部材の前記一端部に設けられ、前記管状体の内周面を相対的に拘束可能且つ拘束を解除可能な一端部拘束部を有する、請求項10に記載の移動装置。
【請求項14】
請求項1~6の何れか1項に記載の第1のリニアアクチュエータと、
請求項1~6の何れか1項に記載の第2のリニアアクチュエータとを有し、
前記第1のリニアアクチュエータの前記チャンバ形成部材の前記他端部と前記第2のリニアアクチュエータの前記チャンバ形成部材の前記他端部とは兼用され、
兼用される前記他端部は、管状体の内周面を相対的に拘束可能且つ拘束を解除可能な他端部拘束部を有し、
前記第1のリニアアクチュエータの前記軸力部材と前記第2のリニアアクチュエータの前記軸力部材とは兼用され、
少なくとも一方の前記リニアアクチュエータの前記チャンバ形成部材の前記一端部は清掃部材を有する、清掃装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リニアアクチュエータ、リニアアクチュエータ連結体、ロボット、跳躍支援スーツ、移動装置及び清掃装置に関する。
【背景技術】
【0002】
チャンバを内部に形成するチャンバ形成部材を有し、流体がチャンバに供給されることにより、チャンバが縦方向に垂直な横断面内で広がるとともに縦方向に狭まることによって、縦方向においてチャンバ形成部材の一端部が他端部に対して相対的に近づく、いわゆる人工筋型アクチュエータが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
人工筋型アクチュエータは高いコンプライアンスと出力重量比に特徴があり、種々の用途に好適である。しかし従来の利用は引っ張り方向の軸力の提供に留まっていた。
【0005】
そこで本発明の目的は、人工筋型アクチュエータを利用した圧縮方向の軸力を提供できるリニアアクチュエータ、リニアアクチュエータ連結体、ロボット、跳躍支援スーツ、移動装置及び清掃装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は以下のとおりである。
【0007】
[1]
少なくとも圧縮方向の軸力を伝達する軸力部材と、
チャンバを内部に形成するチャンバ形成部材とを有し、
流体が前記チャンバに供給されることにより、前記チャンバが前記軸力に沿う軸力方向に垂直な横断面内で広がるとともに前記軸力方向に狭まることによって、前記軸力方向において前記チャンバ形成部材の一端部が他端部に対して相対的に前記軸力部材を伴って近づくことで、前記軸力部材が前記チャンバへの前記流体の供給圧力に応じた前記圧縮方向の前記軸力を伝達する、リニアアクチュエータ。
【0008】
[2]
前記流体が前記チャンバから排出されることにより、前記チャンバが前記横断面内で狭まるとともに前記軸力方向に広がることによって、前記軸力方向において前記チャンバ形成部材の前記一端部が前記他端部に対して相対的に前記軸力部材を伴って遠ざかる、[1]に記載のリニアアクチュエータ。
【0009】
[3]
前記チャンバ形成部材は、前記横断面内で前記軸力部材を囲繞する、[1]又は[2]に記載のリニアアクチュエータ。
【0010】
[4]
前記チャンバ形成部材は、前記横断面内で前記軸力部材を囲繞する内筒部と、前記横断面内で前記内筒部を囲繞する外筒部とを有し、前記内筒部と前記外筒部とによって前記チャンバを区画する、[1]~[3]の何れか1項に記載のリニアアクチュエータ。
【0011】
[5]
前記軸力部材は、前記チャンバへの前記流体の供給によって前記軸力方向において前記チャンバ形成部材の前記他端部から見て前記一端部の反対側に突出する突出可能部を有する、[1]~[4]の何れか1項に記載のリニアアクチュエータ。
【0012】
[6]
前記チャンバ形成部材の前記他端部は、前記軸力部材を相対的に拘束した状態で前記流体が前記チャンバに供給された後に、前記軸力部材を解放する拘束部を有する、[1]~[5]の何れか1項に記載のリニアアクチュエータ。
【0013】
[7]
[1]~[6]の何れか1項に記載の第1のリニアアクチュエータと、
[1]~[6]の何れか1項に記載の第2のリニアアクチュエータと、
前記第1のリニアアクチュエータにおける前記チャンバ形成部材の前記他端部と前記第2のリニアアクチュエータにおける前記軸力部材とを互いに前記軸方向に拘束されるように連結する連結部材とを有する、リニアアクチュエータ連結体。
【0014】
[8]
[1]~[6]の何れか1項に記載の第1のリニアアクチュエータと、
[1]~[6]の何れか1項に記載の第2のリニアアクチュエータとを有し、
前記第1のリニアアクチュエータの前記チャンバ形成部材の前記他端部と前記第2のリニアアクチュエータの前記チャンバ形成部材の前記他端部とが兼用され、
前記第1のリニアアクチュエータの前記軸力部材と前記第2のリニアアクチュエータの前記軸力部材とが兼用される、リニアアクチュエータ連結体。
【0015】
[9]
[1]~[6]の何れか1項に記載のリニアアクチュエータ、又は、[7]若しくは[8]に記載のリニアアクチュエータ連結体を有し、
前記チャンバ形成部材の前記他端部と前記軸力部材との一方が人体に連結され、他方が前記人体を介さずに跳躍支持面に作用する、跳躍支援スーツ。
【0016】
[10]
[1]~[6]の何れか1項に記載のリニアアクチュエータと、
前記リニアアクチュエータにおける前記チャンバ形成部材の前記他端部に設けられ、管状体の内周面を相対的に拘束可能且つ拘束を解除可能な他端部拘束部とを有する、移動装置。
【0017】
[11]
前記軸力部材は、前記チャンバの状態に関わらず前記軸力方向において前記チャンバ形成部材の前記他端部から見て前記一端部の反対側に位置する部分と、当該部分に設けられ、前記管状体の内周面を相対的に拘束可能且つ拘束を解除可能な軸力部材拘束部とを有する、[10]に記載の移動装置。
【0018】
[12]
前記チャンバ形成部材の前記他端部と前記軸力部材拘束部とを前記軸力方向の間隔を制御可能に連結する伸縮部を有する、[11]に記載の移動装置。
【0019】
[13]
前記リニアアクチュエータにおける前記チャンバ形成部材の前記一端部に設けられ、前記管状体の内周面を相対的に拘束可能且つ拘束を解除可能な一端部拘束部を有する、[10]~[12]の何れか1項に記載の移動装置。
【0020】
[14]
[1]~[6]の何れか1項に記載の第1のリニアアクチュエータと、
[1]~[6]の何れか1項に記載の第2のリニアアクチュエータとを有し、
前記第1のリニアアクチュエータの前記チャンバ形成部材の前記他端部と前記第2のリニアアクチュエータの前記チャンバ形成部材の前記他端部とは兼用され、
兼用される前記他端部は、管状体の内周面を相対的に拘束可能且つ拘束を解除可能な他端部拘束部を有し、
前記第1のリニアアクチュエータの前記軸力部材と前記第2のリニアアクチュエータの前記軸力部材とは兼用され、
少なくとも一方の前記リニアアクチュエータの前記チャンバ形成部材の前記一端部は清掃部材を有する、清掃装置。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、人工筋型アクチュエータを利用した圧縮方向の軸力を提供できるリニアアクチュエータ、リニアアクチュエータ連結体、ロボット、跳躍支援スーツ、移動装置及び清掃装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態のリニアアクチュエータを作動前の状態で示す模式図である。
【
図2】
図1に示すリニアアクチュエータを作動時の状態で示す模式図である。
【
図3】
図1に示すリニアアクチュエータの変形例を示す模式図である。
【
図4】(a)は
図1に示すリニアアクチュエータの変形例における作動前の状態を示す模式図であり、(b)は(a)に示す状態から拘束部によって軸力部材を拘束した時の状態を示す模式図であり、(c)は(b)に示す状態からチャンバに流体を供給しながら軸力部材を解放した時の状態を示す模式図である。
【
図5】(a)は本発明の一実施形態のリニアアクチュエータ連結体を作動前の状態で示す模式図であり、(b)は(a)に示すリニアアクチュエータ連結体を作動時の状態で示す模式図である。
【
図6】(a)は本発明の他の実施形態のリニアアクチュエータ連結体における中立状態を示す模式図であり、(b)は(a)に示す状態から一方側のチャンバに流体を供給した時の状態を示す模式図であり、(c)は(a)に示す状態から他方側のチャンバに流体を供給した時の状態を示す模式図である。
【
図7】(a)は本発明の一実施形態の移動装置における第1移動状態を示す模式図であり、(b)は(a)に示す状態から第2移動状態にした時の状態を示す模式図であり、(c)は(b)に示す状態から第3移動状態にした時の状態を示す模式図であり、(d)は(c)に示す状態から第4移動状態にした時の状態を示す模式図であり、(e)は(d)に示す状態から第5移動状態にした時の状態を示す模式図であり、(f)は(e)に示す状態から第6移動状態にした時の状態を示す模式図であり、(g)は(f)に示す状態から第7移動状態にした時の状態を示す模式図である。
【
図8】(a)は本発明の他の実施形態の移動装置における第1移動状態を示す模式図であり、(b)は(a)に示す状態から第2移動状態にした時の状態を示す模式図であり、(c)は(b)に示す状態から第3移動状態にした時の状態を示す模式図である。
【
図9】(a)は本発明の他の実施形態の移動装置における第1移動状態を示す模式図であり、(b)は(a)に示す状態から第2移動状態にした時の状態を示す模式図である。
【
図10】(a)は本発明の一実施形態の清掃装置における第1状態を示す模式図であり、(b)は(a)に示す状態から第2状態にした時の状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を例示説明する。
【0024】
図1~
図2に示すように、本発明の一実施形態においてリニアアクチュエータ1は、少なくとも圧縮方向の軸力を伝達する軸力部材2と、チャンバ3を内部に形成するチャンバ形成部材4とを有する。また、リニアアクチュエータ1は、
図2に示すように流体がチャンバ3に供給されることにより、チャンバ3が軸力に沿う軸力方向に垂直な横断面内で広がるとともに軸力方向に狭まることによって、軸力方向においてチャンバ形成部材4の一端部4aが他端部4bに対して相対的に軸力部材2を伴って近づくことで、軸力部材2がチャンバ3への流体の供給圧力に応じた圧縮方向の軸力を伝達する。このような構成によれば、高いコンプライアンスと出力重量比に特徴がある人工筋型アクチュエータを利用した圧縮方向の軸力の提供を実現できる。流体は特に限定されないが、気体(空気、二酸化炭素など)であることが好ましい。
【0025】
リニアアクチュエータ1は、流体がチャンバ3から排出されることにより、チャンバ3が横断面内で狭まるとともに軸力方向に広がることによって、軸力方向においてチャンバ形成部材4の一端部4aが他端部4bに対して相対的に軸力部材2を伴って遠ざかる(つまり、
図2に示す状態から、
図1に示す状態になる)。このような構成によれば、チャンバ3に対する流体の供給と排出を制御することで、圧縮方向の軸力の提供を適宜のタイミングで繰り返し行うことを可能にできる。
【0026】
図1~
図2に示すチャンバ形成部材4は、横断面内で軸力部材2を囲繞する。このような構成によれば、スペース効率の良い構造を実現できる。しかし、リニアアクチュエータ1はこのような構成に限らず、例えば、
図3に示す変形例のように、横断面内で軸力部材2がチャンバ形成部材4の外側に位置する構成としてもよい。
【0027】
図1~
図2に示すチャンバ形成部材4は、横断面内で軸力部材2を囲繞する内筒部5と、横断面内で内筒部5を囲繞する外筒部6とを有し、内筒部5と外筒部6とによってチャンバ3を区画する。このような構成によれば、チャンバ形成部材4を簡単な構造で実現できる。しかし、リニアアクチュエータ1はこのような構成に限らず、例えば、チャンバ形成部材4が横断面内で軸力部材2を囲繞する筒部を有し、チャンバ3が筒部と軸力部材2によってチャンバ3を区画する構成とし、軸力部材2とチャンバ形成部材4の他端部4bとの間にチャンバ3内からの流体の漏出を抑制するシール部を設ける構成としてもよい。
【0028】
図2に示すように、軸力部材2は、チャンバ3への流体の供給によって軸力方向においてチャンバ形成部材4の他端部4bから見て一端部4aの反対側に突出する突出可能部2aを有する。このような構成によれば、圧縮方向の軸力を突出可能部2aを介して簡便に提供することができる。
【0029】
図1~
図2に示すように、外筒部6は、外筒部6の中心軸線を含む縦断面内で外筒部6に沿う長さの伸縮が規制され、径方向の変形が許容される。このような構成によれば、効率の良いチャンバ構造を実現できる。このような構成は、例えば、長手方向に伸長しにくい複数の繊維が外筒部6の中心軸線に沿う軸方向に沿って伸びるように配置され、弾性材料(ゴム、エラストマーなど)に埋め込まれた構造、あるいはマッキベン式人工筋肉型アクチュエータの外筒部6のように筒状の弾性部材とその外周面を覆う筒状の網状体とで構成される構造、を有する外筒部6によって簡便に実現できる。
【0030】
図1~
図2に示すように、内筒部5は、径方向の変形が規制され、内筒部5の中心軸線に沿う軸方向の変形が許容される構造を有する。このような構成によれば、効率の良いチャンバ構造を実現できる。このような構成は、例えば、軸力方向に平行に伸びる中心軸線を規定する圧縮バネと、圧縮バネと同軸に配置され、圧縮バネの少なくとも外周面に接触する可撓性の筒体とを有する内筒部5によって簡便に実現できる。
【0031】
図1~
図2に示すように、チャンバ形成部材4は、横断面内で外筒部6を囲繞し、径方向外側への外筒部6の弾性変形を規制する少なくとも1つの規制リング7を有する。このような構成によれば、チャンバ3の膨張時の外筒部6の最大径を抑制し、良好なスペース効率を実現できる。規制リング7の数や配置、形状等は適宜設定できる。規制リング7を設けない構成としてもよい。
【0032】
図1~
図2に示すように、チャンバ形成部材4の他端部4bは、軸力部材2を囲繞し且つ軸力方向に摺動させる摺動部8を有する。このような構成によれば、摺動部8によって軸力部材2を径方向に支持できるので、圧縮方向の軸力の安定した提供を実現できる。
【0033】
図4(a)~(c)に示す変形例のように、チャンバ形成部材4の他端部4bは、軸力部材2を相対的に拘束した状態(
図4(b)に示す状態)で流体がチャンバ3に供給された後に、
図4(c)に示すように軸力部材2を解放する拘束部9を有する。このような構成によれば、拘束部9によって瞬発力を高めた圧縮方向の軸力を提供できる。
【0034】
軸力部材2は、軸力方向に沿う中心軸線を規定する棒状又は筒状などのロッドで構成される。このような構成によれば、圧縮方向の軸力を安定して提供できる。しかし軸力部材2はこれに限らず、例えば、軸力方向に沿う中心軸線を規定する圧縮バネで構成してもよい。
【0035】
図5(a)~(b)に示すように、本発明の一実施形態においてリニアアクチュエータ連結体10は、第1のリニアアクチュエータ1と、第2のリニアアクチュエータ1と、第1のリニアアクチュエータ1におけるチャンバ形成部材4の他端部4bと第2のリニアアクチュエータ1における軸力部材2とを互いに軸方向に拘束されるように連結する連結部材11とを有する。このような構成によれば、連結部材11によって直列に連結された2つのリニアアクチュエータ1の利用により、所望の変位ストロークを容易に実現できる。
【0036】
図6(a)~(c)に示すように、本発明の他の実施形態においてリニアアクチュエータ連結体10は、第1のリニアアクチュエータ1と、第2のリニアアクチュエータ1とを有する。第1のリニアアクチュエータ1のチャンバ形成部材4の他端部4bと第2のリニアアクチュエータ1のチャンバ形成部材4の他端部4bとは兼用される。第1のリニアアクチュエータ1の軸力部材2と第2のリニアアクチュエータ1の軸力部材2とは兼用される。このような構成によれば、第1のリニアアクチュエータ1と第2のリニアアクチュエータ1の両方のチャンバ3に流体を供給することで、チャンバ形成部材4の他端部4bと、例えば何れか一方のチャンバ形成部材4の一端部4aとの間で、相対的な位置を維持するための支持力を提供できる。例えば、リニアアクチュエータ連結体10の軸力方向中間部に位置するチャンバ形成部材4の他端部4bが固定されている場合、リニアアクチュエータ連結体10の軸力方向一方側のリニアアクチュエータ1の一端部に対して軸力方向一方側に向けて入力される外力に対しては、リニアアクチュエータ連結体10の軸力方向一方側のリニアアクチュエータ1の流体圧によって強固に対向できる一方、リニアアクチュエータ連結体10の軸力方向一方側のリニアアクチュエータ1の一端部に対して軸力方向他方側に向けて入力される外力に対しては、リニアアクチュエータ連結体10の軸力方向他方側のリニアアクチュエータ1の流体圧によって強固に対向できる。つまり、2つのリニアアクチュエータ1を軸力方向に拮抗させる動作によって軸力方向の両側への位置保持力を提供できる。また、2つのリニアアクチュエータ1の流体圧を独立して制御することで、そのような位置保持力を発揮しながら、
図6(b)や
図6(c)に示すように、位置の移動を行うこともできる。
【0037】
図5(a)~(b)に示すように、本発明の一実施形態においてロボット12は、少なくとも1つのリンク部13を有する。リンク部13は、リニアアクチュエータ1、又は、リニアアクチュエータ連結体10によって構成され、チャンバ形成部材4の他端部4bと軸力部材2との互いに対する変位によって伸縮する。このような構成によれば、高いコンプライアンスと出力重量比に特徴がある人工筋型アクチュエータを利用した圧縮方向の軸力によって伸縮するリンク部13を有するロボット12を実現できる。
図5(a)~(b)に示す例では、リンク部13はリニアアクチュエータ連結体10によって構成される。ロボット12は、
図5(a)~(b)に示すように並列に配置される複数のリンク部13を有する構成としてもよい。
図5(a)~(b)に示す例では、ロボット12はリンク部13の伸長によって荷重Wを持ち上げる。
【0038】
本発明の一実施形態において跳躍支援スーツ(不図示)は、リニアアクチュエータ1、又は、リニアアクチュエータ連結体10を有し、チャンバ形成部材4の他端部4bと軸力部材2との一方が人体(例えば足)に連結され、他方が人体を介さずに跳躍支持面に作用する。このような構成によれば、高いコンプライアンスと出力重量比に特徴がある人工筋型アクチュエータを利用した圧縮方向の軸力によって効率的に跳躍力を強化できる跳躍支援スーツを実現できる。
【0039】
図7(a)~(g)に示すように、本発明の一実施形態において移動装置18は、リニアアクチュエータ1と、リニアアクチュエータ1におけるチャンバ形成部材4の他端部4bに設けられ、管状体19(配管など)の内周面を相対的に拘束可能且つ拘束を解除可能な他端部拘束部20とを有する。このような構成によれば、他端部拘束部20によって管状体19を拘束した状態(
図7(d)に示す状態)でチャンバ3に流体を供給することで、
図7(e)に示すようにチャンバ形成部材4の他端と軸力部材2との間に圧縮方向の軸力によって相対的な変位を生じさせることができるので、この変位を管状体19と移動装置18との間の相対的な移動に推進力として利用できる。管状体19が固定されている場合、移動装置18は管状体19の内部を管状体19の中心軸に沿う軸方向に移動することができる。逆に移動装置18が固定されている場合、移動装置18は環状体を軸方向に移動することができる。
【0040】
図7(a)~(g)に示すように、軸力部材2は、チャンバ3の状態に関わらず軸力方向においてチャンバ形成部材4の他端部4bから見て一端部4aの反対側に位置する部分と、当該部分に設けられ、管状体19の内周面を相対的に拘束可能且つ拘束を解除可能な軸力部材拘束部21とを有する。このような構成によれば、
図7(e)に示すように上記変位を生じさせた後に、
図7(g)に示すように軸力部材拘束部21によって管状体19を拘束し、その後に他端部拘束部20による管状体19への拘束を解除し、チャンバ3から流体を排出することで、チャンバ形成部材4の他端部4bを軸力部材拘束部21の側へ移動させることができる。
【0041】
移動装置18は、チャンバ形成部材4の他端部4bと軸力部材拘束部21とを軸力方向の間隔を制御可能に連結する伸縮部22を有する。このような構成によれば、
図7(b)に示すように軸力部材拘束部21によって管状体19を拘束した状態で、
図7(c)に示すように伸縮部22によってチャンバ形成部材4の他端部4bと軸力部材拘束部21との間の軸力方向の間隔を縮め、その後に他端部拘束部20によって管状体19を拘束し、その後に軸力部材拘束部21による管状体19への拘束を解除することにより、移動を促進できる。
【0042】
図7(a)~(g)に示すように、移動装置18は、第1のリニアアクチュエータ1と、伸縮部22としての第2のリニアアクチュエータ1とを有する。第1のリニアアクチュエータ1のチャンバ形成部材4の他端部4bと第2のリニアアクチュエータ1のチャンバ形成部材4の他端部4bとは兼用される。第1のリニアアクチュエータ1の軸力部材2と第2のリニアアクチュエータ1の軸力部材2とは兼用される。このような構成によれば、伸縮部22を簡便に構成でき、また、人工筋型アクチュエータの利用による移動の効率性を向上できる。
【0043】
移動装置18は、リニアアクチュエータ1におけるチャンバ形成部材4の一端部4aに設けられ、管状体19の内周面を相対的に拘束可能且つ拘束を解除可能な一端部拘束部23を有する。このような構成によれば、
図7(e)に示すように上記変位を生じさせた後に、
図7(f)に示すように一端部拘束部23によって管状体19を拘束し、その後に他端部拘束部20による管状体19への拘束を解除し、チャンバ3から流体を排出することで、移動を促進できる。
【0044】
軸力部材2は、軸力方向に沿う中心軸線を規定する圧縮バネで構成される。このような構成によれば、
図7(b)~
図7(c)に示すようにバネ部が隙間なく圧縮されるまでのバネ変形時に軸力部材2が軸力方向に容易に縮むことを許容でき、
図7(d)~
図7(e)に示すようにバネ変形完了後に軸力部材2によって圧縮方向の軸力をしっかりと伝達できる。
【0045】
図7(a)に示す第1移動状態では、軸力部材拘束部21は拘束解除状態、伸縮部22は伸長状態、他端部拘束部20は拘束解除状態、リニアアクチュエータ1は流体排出状態、一端部拘束部23は拘束解除状態である。
図7(b)に示す第2移動状態では、軸力部材拘束部21は拘束状態、伸縮部22は伸長状態、他端部拘束部20は拘束解除状態、リニアアクチュエータ1は流体排出状態、一端部拘束部23は拘束解除状態である。
図7(c)に示す第3移動状態では、軸力部材拘束部21は拘束状態、伸縮部22は収縮状態、他端部拘束部20は拘束解除状態、リニアアクチュエータ1は流体排出状態、一端部拘束部23は拘束解除状態である。
図7(d)に示す第4移動状態では、軸力部材拘束部21は拘束状態、伸縮部22は収縮状態、他端部拘束部20は拘束状態、リニアアクチュエータ1は流体排出状態、一端部拘束部23は拘束解除状態である。
図7(e)に示す第5移動状態では、軸力部材拘束部21は拘束解除状態、伸縮部22は伸長状態、他端部拘束部20は拘束状態、リニアアクチュエータ1は流体供給状態、一端部拘束部23は拘束解除状態である。
図7(f)に示す第6移動状態では、軸力部材拘束部21は拘束解除状態、伸縮部22は伸長状態、他端部拘束部20は拘束状態、リニアアクチュエータ1は流体供給状態、一端部拘束部23は拘束状態である。
図7(g)に示す第7移動状態では、軸力部材拘束部21は拘束状態、伸縮部22は伸長状態、他端部拘束部20は拘束状態、リニアアクチュエータ1は流体供給状態、一端部拘束部23は拘束状態である。
【0046】
図8(a)~
図9に示すように、移動装置18は、管状体19の内周面を清掃可能な清掃部材24(例えばブラシ部材)を有する構成としてもよい。このような構成によれば、移動装置18と管状体19とを互いに相対的に移動させることで、管状体19の内周面を清掃部材24によって清掃することができる。
【0047】
図8(a)~
図9に示すように、軸力部材2が清掃部材24を有する構成としてもよい。このような構成によれば、例えば
図8(b)~
図8(c)に示すように、軸力部材2による圧縮方向の軸力を利用して、清掃部材24を管状体19の奥側(特に、湾曲部などの入りにくい箇所)に押し込むことができるので、移動装置18の奥側への移動を促進することができる。
図8(a)~
図8(c)に示す移動装置18は、リニアアクチュエータ1、一端部拘束部23、清掃部材24を有する。また、
図9に示すように、リニアアクチュエータ1への流体の供給、排出を繰り返すことで清掃部材24を管状体19の内周面上を往復させることができるので、効率的な清掃を実現できる。
【0048】
図10に示すように、本発明の一実施形態において清掃装置25は、第1のリニアアクチュエータ1と、第2のリニアアクチュエータ1とを有し、第1のリニアアクチュエータ1のチャンバ形成部材4の他端部4bと第2のリニアアクチュエータ1のチャンバ形成部材4の他端部4bとは兼用され、兼用される他端部4bは、管状体19の内周面を相対的に拘束可能且つ拘束を解除可能な他端部拘束部20を有し、第1のリニアアクチュエータ1の軸力部材2と第2のリニアアクチュエータ1の軸力部材2とは兼用され、少なくとも一方のリニアアクチュエータ1のチャンバ形成部材4の一端部4aは清掃部材24(例えばブラシ部材)を有する構成としてもよい。このような構成によれば、他端部拘束部20によって管状体19を拘束した状態で、2つのチャンバ形成部材4の一方では流体を供給し他方では流体を排出する第1状態と、その供給と排出を逆転させた第2状態との間で状態を繰り返す動作をさせることで、管状体19の内周面を清掃部材24によって効率的に清掃できる。また、2つのリニアアクチュエータ1を拮抗させる動作を利用することで、清掃効率を向上できる。
【0049】
本発明は前述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0050】
したがって、前述した実施形態のリニアアクチュエータ1は、少なくとも圧縮方向の軸力を伝達する軸力部材2と、チャンバ3を内部に形成するチャンバ形成部材4とを有し、流体がチャンバ3に供給されることにより、チャンバ3が軸力に沿う軸力方向に垂直な横断面内で広がるとともに軸力方向に狭まることによって、軸力方向においてチャンバ形成部材4の一端部4aが他端部4bに対して相対的に軸力部材2を伴って近づくことで、軸力部材2がチャンバ3への流体の供給圧力に応じた圧縮方向の軸力を伝達する、リニアアクチュエータ1である限り変更可能である。
【0051】
前述した実施形態のリニアアクチュエータ連結体10は、第1のリニアアクチュエータ1と、第2のリニアアクチュエータ1と、第1のリニアアクチュエータ1におけるチャンバ形成部材4の他端部4bと第2のリニアアクチュエータ1における軸力部材2とを互いに軸方向に拘束されるように連結する連結部材11とを有する、リニアアクチュエータ連結体10、あるいは、第1のリニアアクチュエータ1と、第2のリニアアクチュエータ1とを有し、第1のリニアアクチュエータ1のチャンバ形成部材4の他端部4bと第2のリニアアクチュエータ1のチャンバ形成部材4の他端部4bとが兼用され、第1のリニアアクチュエータ1の軸力部材2と第2のリニアアクチュエータ1の軸力部材2とが兼用される、リニアアクチュエータ連結体10である限り変更可能である。
【0052】
前述した実施形態の跳躍支援スーツは、リニアアクチュエータ1、又は、リニアアクチュエータ連結体10を有し、チャンバ形成部材4の他端部4bと軸力部材2との一方が人体に連結され、他方が人体を介さずに跳躍支持面に作用する、跳躍支援スーツ16である限り変更可能である。
【0053】
前述した実施形態の移動装置18は、リニアアクチュエータ1と、リニアアクチュエータ1におけるチャンバ形成部材4の他端部4bに設けられ、管状体19の内周面を相対的に拘束可能且つ拘束を解除可能な他端部拘束部20とを有する、移動装置18である限り変更可能である。
【0054】
前述した実施形態の清掃装置25は、第1のリニアアクチュエータ1と、第2のリニアアクチュエータ1とを有し、第1のリニアアクチュエータ1のチャンバ形成部材4の他端部4bと第2のリニアアクチュエータ1のチャンバ形成部材4の他端部4bとは兼用され、兼用される他端部4bは、管状体19の内周面を相対的に拘束可能且つ拘束を解除可能な他端部拘束部20を有し、第1のリニアアクチュエータ1の軸力部材2と第2のリニアアクチュエータ1の軸力部材2とは兼用され、少なくとも一方のリニアアクチュエータ1のチャンバ形成部材4の一端部4aは清掃部材24を有する、清掃装置25である限り変更可能である。
【符号の説明】
【0055】
1 リニアアクチュエータ
2 軸力部材
2a 突出可能部
3 チャンバ
4 チャンバ形成部材
4a 一端部
4b 他端部
5 内筒部
6 外筒部
7 規制リング
8 摺動部
9 拘束部
10 リニアアクチュエータ連結体
11 連結部材
12 ロボット
13 リンク部
18 移動装置
19 管状体
20 他端部拘束部
21 軸力部材拘束部
22 伸縮部
23 一端部拘束部
24 清掃部材
25 清掃装置
W 荷重