(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108740
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】走行支援装置
(51)【国際特許分類】
G01C 21/34 20060101AFI20240805BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20240805BHJP
【FI】
G01C21/34
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023013269
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】千葉 亘
【テーマコード(参考)】
2F129
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB03
2F129CC16
2F129DD40
2F129DD44
2F129DD46
2F129DD47
2F129DD49
2F129DD62
2F129EE02
2F129EE52
2F129EE90
2F129EE92
2F129FF02
2F129FF32
2F129FF60
2F129HH02
2F129HH12
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】ユーザに対して効率的な充電を行わせることを可能とした走行支援装置を提供する。
【解決手段】車両5の駆動源に電力を供給する車載バッテリ8に充電をすることが可能な充電施設10の内、充電を行う候補となる充電施設候補を対象として、充電施設候補の位置と充電施設候補が備える充電器の最大出力とを取得し、車両5が備える車載バッテリ8の現在の残エネルギ量と車両5の現在位置と充電施設候補の位置とに基づいて、車両5が充電施設候補に到着した際の車載バッテリ8の残エネルギ量を推定し、更に充電施設候補に到着した際の車載バッテリ8の残エネルギ量と充電施設候補が備える充電器の最大出力とに基づいて、充電施設候補で車載バッテリ8の充電を行う場合の充電効率を判定するように構成する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の駆動源に電力を供給する車載バッテリに充電をすることが可能な充電施設の内、充電を行う候補となる充電施設候補を対象として、前記充電施設候補の位置と前記充電施設候補が備える充電器の最大出力とを取得する充電施設情報取得手段と、
車両が備える車載バッテリの現在の残エネルギ量を取得する残エネルギ量取得手段と、
前記車載バッテリの現在の残エネルギ量と車両の現在位置と前記充電施設候補の位置とに基づいて、車両が前記充電施設候補に到着した際の車載バッテリの残エネルギ量を推定する残エネルギ量推定手段と、
前記充電施設候補に到着した際の車載バッテリの残エネルギ量と前記充電施設候補が備える充電器の最大出力とに基づいて、前記充電施設候補で前記車載バッテリの充電を行う場合の充電効率を判定する充電効率判定手段と、を有する走行支援装置。
【請求項2】
前記充電効率判定手段は、前記充電施設候補が複数ある場合に複数の前記充電施設候補毎に前記充電効率を判定し、
前記充電効率が高い前記充電施設候補を優先して選択又は案内する情報提供手段を有する請求項1に記載の走行支援装置。
【請求項3】
前記車載バッテリへの充電は、前記車載バッテリの残エネルギ量が閾値未満の状態では前記車載バッテリの残エネルギ量が閾値以上の状態に比べて単位時間当たりの充電可能なエネルギ量が多くなっており、
前記充電効率判定手段は、
前記充電施設候補で前記車載バッテリの充電を行う場合に前記車載バッテリの残エネルギ量が閾値未満の状態で充電可能なエネルギ量を急速充電可能量として算出し、
前記急速充電可能量が多いほど、その充電施設候補の充電効率が高いと判定する請求項1又は請求項2に記載の走行支援装置。
【請求項4】
前記充電施設候補で定められた充電可能な上限時間を取得する上限時間取得手段と、
車両毎に定められた前記車載バッテリの単位時間当たりに充電可能な上限エネルギ量である急速充電許容量を取得する急速充電許容量取得手段と、を有し、
前記充電効率判定手段は、
前記充電施設候補に到着した際の車載バッテリの残エネルギ量と前記閾値との差分のエネルギ量と、
前記充電施設候補が前記上限時間だけ前記急速充電許容量で充電したと仮定した場合に充電可能なエネルギ量と、
前記充電施設候補が前記上限時間だけ前記充電器の最大出力で充電したと仮定した場合に充電可能なエネルギ量と、
を比較して最も小さいエネルギ量を前記急速充電可能量として算出する請求項3に記載の走行支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載バッテリへの充電に関する支援を行う走行支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エンジンを駆動源とするガソリン車以外にもバッテリから供給される電力に基づいて駆動されるモータを駆動源とする電気自動車や、モータとエンジンを併用して駆動源とするハイブリッド車両等が存在する。このような電気自動車やハイブリッド車両が備える車載バッテリの充電を行う方法としては、車両走行中において減速時や降坂路走行中に発生するモータの回生電力で充電を行う方法、エンジンに基づいて駆動される発電機を用いて充電を行う方法に加えて、自宅や専用の充電施設で充電を行う方法がある。
【0003】
ここで、車両が上記充電施設で充電を行う場合において、充電を行うことが可能な充電施設の候補が複数あると、どの充電施設で充電を行うべきかを判断することが難しい。そこで、例えば特開2014-85272号公報には、ユーザの現在位置、充電施設の種別、充電施設の混雑状況等に基づいて充電施設毎の充電を開始するまでの待ち時間を予測し、待ち時間が最も少ないと予想される充電施設を案内する技術について提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-85272号公報(第6-8頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記充電施設ではより短い時間で充電可能なエネルギ量を増加させる為に、近年では出力量をより大きい出力とすることで通常よりも単位時間当たりの充電可能なエネルギ量を増加させた急速充電を行うことが可能な急速充電器を備えた充電施設が存在する。しかしながら、このような急速充電による大出力の充電は車載バッテリが満充電に近い状態で行うと車載バッテリの劣化を招く虞があるので、急速充電器で車載バッテリの充電を行った場合に、満充電に近づくと車載バッテリの保護のために単位時間当たりの充電エネルギ量を意図的に少なくする制御を行うことが知られている。
【0006】
従って、車載バッテリへの充電を行う際の充電効率を上げる(効率の良い充電を行う)ためには上記制御についても考慮して充電を行う充電施設の選択を行う必要があるが、上記特許文献1に記載の技術では、上記制御については考慮していないことから、充電効率の低い充電施設で充電を行うように案内してしまう問題がある。
【0007】
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、車載バッテリの充電を行う候補となる充電施設候補を対象として充電効率の判定を行うことにより、ユーザに対して効率的な充電を行わせることを可能とした走行支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため本発明に係る走行支援装置は、車両の駆動源に電力を供給する車載バッテリに充電をすることが可能な充電施設の内、充電を行う候補となる充電施設候補を対象として、前記充電施設候補の位置と前記充電施設候補が備える充電器の最大出力とを取得する充電施設情報取得手段と、車両が備える車載バッテリの現在の残エネルギ量を取得する残エネルギ量取得手段と、前記車載バッテリの現在の残エネルギ量と車両の現在位置と前記充電施設候補の位置とに基づいて、車両が前記充電施設候補に到着した際の車載バッテリの残エネルギ量を推定する残エネルギ量推定手段と、前記充電施設候補に到着した際の車載バッテリの残エネルギ量と前記充電施設候補が備える充電器の最大出力とに基づいて、前記充電施設候補で前記車載バッテリの充電を行う場合の充電効率を判定する充電効率判定手段と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
前記構成を有する本発明に係る走行支援装置によれば、車載バッテリの充電を行う候補となる充電施設候補を対象として、充電施設候補に到着した際の車載バッテリの残エネルギ量と充電施設候補が備える充電器の最大出力とに基づいて当該充電施設候補で車載バッテリの充電を行う場合の充電効率を判定することが可能となり、ユーザに対して効率的な充電を行わせることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態に係る走行支援システムを示した概略構成図である。
【
図2】本実施形態に係る走行支援システムの構成を示したブロック図である。
【
図3】配信情報DBに記憶される充電施設情報の一例を示した図である。
【
図5】SOC値と充電出力の関係を説明した図である。
【
図6】本実施形態に係る通信端末の制御系を模式的に示すブロック図である。
【
図7】本実施形態に係る情報提供処理プログラムのフローチャートである。
【
図8】充電施設候補の充電効率を判定する方法を説明した図である。
【
図9】ディスプレイに表示される充電施設候補案内画面を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る走行支援装置を通信端末1に具体化した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、本実施形態に係る通信端末1を含む走行支援システム2の概略構成について
図1を用いて説明する。
図1は本実施形態に係る走行支援システム2を示した概略構成図である。
【0012】
図1に示すように、本実施形態に係る走行支援システム2は、情報提供センタ3が備える情報提供サーバ4と、車両5に搭載された車載器であるナビゲーション装置6と、車両5の乗員であるユーザが所持する通信端末1と、を基本的に有する。また、情報提供サーバ4と通信端末1は通信ネットワーク網7を介して互いに電子データを送受信可能に構成されている。更に、ナビゲーション装置6と通信端末1との間についても例えばBluetooth(登録商標)等の無線通信或いはケーブルを接続することによる有線通信によって互いに電子データを送受信可能に構成されている。尚、通信端末1としては例えば携帯電話機、スマートフォン、タブレット型端末、パーソナルコンピュータ等がある。
【0013】
また、車両5は駆動源として少なくともモータを備え、駆動源であるモータに対して電力を供給する手段として車載バッテリ8を備えた車両であって、且つ充電施設において車載バッテリ8を充電することが可能な車両とする。該当する車両としては、モータのみを駆動源とする電気自動車(以下、EV車という)や、モータとエンジンを併用して駆動源とするハイブリッド車両の内、特にプラグインハイブリッド車両(以下、PHV車という)がある。
【0014】
ここで、情報提供サーバ4は、通信端末1(即ち通信端末1を所持するユーザ)に対して提供する情報を管理するサーバ装置である。情報提供サーバ4は、通信端末1に対して提供する対象となる全国各地の情報提供地点に関する情報を配信情報DB9に記憶する。尚、本実施形態では少なくとも情報提供地点として車載バッテリ8に充電を行うことが可能な充電施設10に関する情報を配信情報DB9に記憶するが、充電施設10以外の情報提供地点(例えば商業施設、公共施設、駐車場等)に関する情報についても配信情報DB9に記憶するようにしても良い。そして、情報提供サーバ4は通信ネットワーク網7を介してDBに記憶された情報提供地点に関する情報を通信端末1に対して提供(配信)する。
【0015】
ここで、充電施設10とは、車両5が備える車載バッテリ8に対して充電を行うことが可能な施設であり、車両を停車する為の停車スペースを備え、更に停車スペースの周辺に操作パネルや車両に接続するケーブル等からなる充電設備が設置されているのが一般的である。また、上記充電施設10は車両への充電を行う為の専用の施設以外に、ショッピングモールやサービスエリア等の商業施設の駐車場の一部、自動車の販売店、コインパーキング等に設けられている場合もある。
【0016】
また、情報提供サーバ4は、全国各地の充電施設10を管理する充電施設管理サーバとも通信可能に接続されている。そして、充電施設管理サーバを介して充電施設10が備える充電器の現在の空き状態やその他の充電施設10に関する情報(例えば充電器の数、充電器の最大出力、充電上限時間、利用可能時間帯、利用料金、混雑状況、対応車種等)等を取得可能となっている。
【0017】
また、ナビゲーション装置6は、車両5に搭載され、ナビゲーション装置6が有する地図データ或いは外部から取得した地図データに基づいて自車位置周辺の地図を表示したり、地図画像上において車両の現在位置を表示したり、設定された案内経路に沿った移動案内を行う車載機である。また、ナビゲーション装置6はCAN等の車載ネットワークを介して、車両5に搭載された車両制御ECUやバッテリ残量計と接続されており、車載バッテリ8に関する情報(例えば現在の残エネルギ量、車両毎に定められた車載バッテリの単位時間当たりに充電可能な上限エネルギ量等)を取得可能となるとともに、Bluetooth等の無線通信或いはケーブルを接続することによる有線通信を用いてそれらの情報を通信端末1に送信することが可能となっている。
【0018】
一方、通信端末1は、車両の乗員であるユーザが所持し、通信機能やナビ機能等を備えた情報端末が用いられ、例えば携帯電話機、スマートフォン、タブレット型端末、パーソナルコンピュータ等が該当する。特に通信端末1がスマートフォン等のアプリケーションを実行可能な端末である場合には、アプリケーションの一つとして目的地を入力することによってユーザが目的地までの移動の道程において充電を行うのが推奨される充電施設を案内するアプリケーションプログラムがインストールされている。尚、これらの充電施設の案内を行う機能は、目的地までの移動案内を行うナビ機能の一部としても良いし、ナビ機能とは異なるアプリケーションプログラムにより実行されても良い。
【0019】
また、通信ネットワーク網7は全国各地に配置された多数の基地局と、各基地局を管理及び制御する通信会社とを含み、基地局及び通信会社を有線(光ファイバー、ISDN等)又は無線で互いに接続することにより構成されている。ここで、基地局は通信端末1との通信をするトランシーバー(送受信機)とアンテナを有する。そして、基地局は通信会社の間で無線通信を行う一方、通信ネットワーク網7の末端となり、基地局の電波が届く範囲(セル)にある通信端末1の通信を情報提供サーバ4との間で中継する役割を持つ。
【0020】
続いて、走行支援システム2における情報提供サーバ4の構成について
図2を用いてより詳細に説明する。情報提供サーバ4は、
図2に示すようにサーバ制御部11と、サーバ制御部11に接続された情報記録手段としての配信情報DB9と、地図情報DB14と、サーバ側通信装置15とを備える。
【0021】
サーバ制御部11は、情報提供サーバ4の全体の制御を行う制御ユニット(MCU、MPU等)であり、演算装置及び制御装置としてのCPU21、並びにCPU21が各種の演算処理を行うにあたってワーキングメモリとして使用されるRAM22、制御用のプログラム等が記録されたROM23、ROM23から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ24等の内部記憶装置を備えている。
【0022】
また、配信情報DB9は、前述したように全国各地の情報提供の対象となる地点として、特に全国各地にある充電施設に関する各種情報が記憶される記憶手段である。ここで、『充電施設』とは車両5が備える車載バッテリ8に対して充電を行うことが可能な施設であり、車両を停車する為の停車スペースを備え、更に停車スペースの周辺に操作パネルや車両に接続するケーブル等からなる充電器が設置されているのが一般的である。また、上記充電器は車両への充電を行う為の専用の施設以外に、ショッピングモール等の商業施設の駐車場の一部、自動車の販売店、コインパーキング等に設けられている場合もある。
【0023】
ここで、
図3は配信情報DB9に格納される情報の一例を示した図である。
図3に示すように全国各地にある充電施設について、施設ID、施設名称(他の施設の一部に設けられている場合には、該他の施設の名称)、充電施設の位置、設置されている充電器の最大出力(kW)と設置数、充電上限時間、現在の空き状況に関する情報が格納される。ここで、“充電器の最大出力”はW、即ち仕事率で示されており、その充電器で充電可能な単位時間当たりのエネルギ量に相当する。最大出力が大きい充電器ほど同じ充電時間であればより多くのエネルギ量を充電できることとなる。但し、あくまで最大出力であるので状況によってはその値以下の出力になる場合もある。具体的には、車両には車載バッテリの単位時間当たりに充電可能な上限エネルギ量である急速充電許容量が存在し(車載バッテリ8の電池電圧等で決まる)、
図4に示すように例えば80kWの充電器で充電したとしても車両側の急速充電許容量が50kWであれば最大50kWでしか入力できない。また、車載バッテリ8の充電では基本的に車載バッテリ8が満充電に近づくのに従って単位時間あたりに入力できるエネルギ量(W)が徐々に低下することとなるが、特に車載バッテリ8が満充電に近くなったある閾値を境に車載バッテリ8の劣化を防止するために単位時間あたりに入力できるエネルギ量(W)を大きく低下する制御が行われる。その結果、例えば閾値を80%とすると
図5に示すようにSOC値が満充電の80%以上である場合において特に単位時間あたりに入力できるエネルギ量(W)が顕著に低下することとなる。尚、80%はあくまで一例であり、車種によってその値は様々に設定される。充電時の環境によって変わることもある。一方、“充電上限時間”は充電施設で予め定められた1回の充電で充電可能な上限時間を示し、車載バッテリ8が満充電にならなかったとしても基本的に上限時間以上の充電を継続して行うことはできない。
【0024】
例えば、
図3に示す配信情報DB9では位置座標(x1,y1)にある“○○サービスエリア”の駐車場内に最大出力が80kWの充電器が4機あって、充電上限時間は30分であり、現在の充電器の利用状況が混雑していることを示している。また、位置座標(x2,y2)にある“××パーキング”の駐車場内に最大出力が40kWの充電器が2機あって、充電上限時間は30分であり、現在の充電器の利用状況は空いていることを示している。また、位置座標(x3,y3)にある専用の充電スタンドである“〇×スタンド”に最大出力が60kWの充電器が4機あって、充電上限時間は30分であり、現在の充電器の利用状況は空いていることを示している。尚、情報提供サーバ4は、充電施設の利用状況などについては全国各地の充電施設10を管理する充電施設管理サーバから取得可能となっている。また、配信情報DB9には上記情報以外の充電施設に関する情報(例えば、利用料金、利用可能時間帯、対応車種等)についても格納しても良い。
【0025】
また、地図情報DB14は、地図情報が記憶される記憶手段である。地図情報は、道路網を始めとして経路探索、経路案内及び地図表示に必要な各種情報から構成されている。例えば、道路(リンク)に関するリンクデータ、ノード点に関するノードデータ、各交差点に関する交差点データ、施設等の地点に関する地点データ、地図を表示するための地図表示データ、経路を探索するための探索データ、地点を検索するための検索データ等からなる。
【0026】
そして、サーバ制御部11は、通信端末1から経路探索要求を受信した場合には、上記地図情報DB14に格納された地図情報を用いて出発地から目的地までの経路探索を行うことも可能である。具体的には、通信端末1において目的地が設定された場合に、通信端末1から情報提供サーバ4へと出発地や目的地等の経路探索に必要な情報が経路探索要求とともに送信される。そして経路探索要求を受信した情報提供サーバ4は、情報提供サーバ4の有する地図情報を用いて経路探索を行い、出発地から目的地までの推奨経路を特定する。その後、特定された推奨経路を要求元の通信端末1へと送信する。そして、通信端末1は受信した推奨経路を案内経路に設定し、案内経路に従って移動案内を行う。それによって、経路探索時点において通信端末1が有する地図情報が古いバージョンの地図情報であったり、通信端末1が地図情報自体を有さない場合であっても、情報提供サーバ4が有する最新バージョンの地図情報に基づいて適切な案内経路を設定することが可能となる。
【0027】
但し、通信端末1が地図情報を有する場合には上記経路探索処理を情報提供サーバ4でなく通信端末1で行うことも可能である。また、上記経路探索処理は情報提供サーバ4ではなく、地図情報を備える他のサーバで行うようにしても良い。その場合には情報提供サーバ4において地図情報DB14は必ずしも必要でない。
【0028】
一方、サーバ側通信装置15は情報の送受信対象となる通信端末1と通信ネットワーク網7を介して通信を行う為の通信装置である。また、通信端末1以外にインターネット網や、交通情報センタ、例えば、VICS(登録商標:Vehicle Information and Communication System)センタ等から送信された渋滞情報、規制情報、交通事故情報等の各情報から成る交通情報の受信についても可能である。
【0029】
次に、ユーザが所有する通信端末1の概略構成について
図6を用いて説明する。
図6は本実施形態に係る通信端末1の制御系を模式的に示すブロック図である。尚、以下では特に通信端末1がスマートフォンである場合を例に挙げて説明する。
【0030】
図6に示すように通信端末1はデータバスBUSに、CPU31と、通信端末1を所持するユーザに関するユーザ情報(ユーザID、氏名等)やアプリケーションプログラム等が記憶されたメモリ32と、マイクロホン33やスピーカ34等のインターフェイスである入出力部35と、液晶表示パネル等で構成されたディスプレイ36と、タッチパネルやキーボード等から構成される入力操作部37と、GPS38と、通信ネットワーク網7の基地局との間で信号の送受信を行う送受信回路部(RF)39と、Bluetoothによる通信を行う為のBT通信機器40と、が接続されることにより構成されている。
【0031】
ここで、通信端末1に内蔵されるCPU31は、メモリ32に格納されている動作プログラムに従って種々の動作を実行する通信端末1の制御手段であり、メモリ32とともに通信端末制御部41を構成する。また、通信端末制御部41の各種処理内容は必要に応じてディスプレイ36に表示される。尚、通信端末制御部41は、処理アルゴリズムとしての各種手段を構成する。例えば、充電施設情報取得手段は、車両の駆動源に電力を供給する車載バッテリに充電をすることが可能な充電施設の内、充電を行う候補となる充電施設候補を対象として、充電施設候補の位置と充電施設候補が備える充電器の最大出力とを取得する。残エネルギ量取得手段は、車両が備える車載バッテリの現在の残エネルギ量を取得する。残エネルギ量推定手段は、車載バッテリの現在の残エネルギ量と車両の現在位置と充電施設候補の位置とに基づいて、車両が充電施設候補に到着した際の車載バッテリの残エネルギ量を推定する。充電効率判定手段は、充電施設候補に到着した際の車載バッテリの残エネルギ量と充電施設候補が備える充電器の最大出力とに基づいて、充電施設候補で車載バッテリの充電を行う場合の充電効率を判定する。
【0032】
また、通信端末1は、送受信回路部39を介して通信を行うことにより、通話以外に、インターネット通信や、情報提供サーバ4からの充電施設に関する情報の受信、交通情報センタ、例えば、VICS(登録商標)センタやプローブセンタ等から送信された渋滞情報、規制情報、交通事故情報等の各情報から成る交通情報の受信についても可能である。
【0033】
また、メモリ32は、通信端末1を所持するユーザに関するユーザ情報(ユーザID、氏名等)や地図情報の他、ユーザによるウェブの閲覧履歴、GPS38やその他のセンサに基づいて検出された位置情報の履歴であるユーザの移動履歴、スケジュール情報等が記憶された記憶媒体である。また、後述の情報提供処理プログラム(
図7)を含む各種アプリケーションプログラムについても記憶される。また、メモリ32は、ハードディスク、メモリーカード等により構成しても良い。
【0034】
また、メモリ32には、Bluetoothにより通信を行う際に必要な識別情報(例えばBTアドレス等)についても記憶される。
【0035】
また、スピーカ34は、通話の音声出力以外に、ナビ機能の実行時においては通信端末制御部41からの指示に基づいて案内経路(ユーザの移動予定経路)に沿った走行を案内する音声ガイダンスを出力する。
【0036】
また、ディスプレイ36は、筐体の一面に配設されており、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等が用いられる。そして、通信端末1にインストールされている各種アプリケーションを実行する為のトップ画面や、実行されたアプリケーションに係る画面(インターネット画面、メール画面、ナビ画面等)や、画像、動画等の各種情報が表示される。特に本実施形態では充電を行う候補となる充電施設を案内する画面についても表示される。
【0037】
また、入力操作部37は、ディスプレイ36の前面に設けられたタッチパネルや筐体に配置されたハードボタン等によって構成されている。そして、通信端末制御部41は、タッチパネルやハードボタンの押下等により出力される電気信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。尚、入力操作部37は、番号/文字入力キー、表示された内容を選択するためのカーソルを動かすカーソルキー、選択を確定する決定キー等の各種キー等により構成することもできる。
【0038】
また、GPS38は、人工衛星によって発生させられた電波を受信することにより、通信端末1(即ちユーザ)の現在位置及び現在時刻を検出可能とする。また、GPS38以外にも通信端末1の現在位置や方位を検出する為の他の装置(例えばジャイロセンサ等)を備える構成としても良い。
【0039】
また、送受信回路部39は、3G、4G、LTE等の通信規格により通信ネットワーク網7の基地局との間で信号の送受信を行う為の回路部である。
【0040】
また、BT通信機器40は、Bluetoothによる無線通信を行う為のモジュールである。そして、通信端末1は、BT通信機器40を介してBluetoothによる無線通信により通信可能距離内にあるナビゲーション装置6やその他の機器との間で通信を行う。
【0041】
続いて、前記構成を有する通信端末1において実行する情報提供処理プログラムについて
図7に基づき説明する。
図7は本実施形態に係る情報提供処理プログラムのフローチャートである。ここで、情報提供処理プログラムは、通信端末1において充電施設に関する情報の提供を行う為の所定のアプリケーションプログラムが起動された後に実行され、ユーザが目的地まで移動するに際して充電を行うのが推奨される充電施設を案内するプログラムである。尚、以下の
図7にフローチャートで示されるプログラムは、通信端末1が備えているメモリ32に記憶されており、CPU31により実行される。
【0042】
先ず、ステップ(以下、Sと略記する)1においてCPU31は、充電施設に関する情報の提供を行う為の所定のアプリケーションプログラム(以下、充電アプリという)を起動する。尚、充電アプリの起動についてはユーザが通信端末1で所定の操作を行う以外に、ナビゲーション装置6との接続に伴って自動で起動させても良い。また、充電施設に関する情報の提供をナビゲーションアプリの一機能とする場合には、ナビゲーションアプリの起動を充電アプリの起動とみなす。また、充電アプリを起動するタイミングはユーザが目的地への移動を開始する前でも可能であるし、目的地への移動を開始した後でも可能である。充電アプリは予めウェブサーバ等からダウンロードされて通信端末1にインストールされていることを前提とする。
【0043】
続いて、S2においてCPU31は、起動された充電アプリ内においてユーザの入力操作部37の操作に基づいてユーザが移動する目的地の入力を行う。尚、ナビゲーション装置6で目的地が既に設定されている場合については、Bluetoothによる無線通信等を介してナビゲーション装置6から目的地を取得しても良い。
【0044】
次に、S3においてCPU31は、前記S2で目的地の入力が行われると並行してユーザの現在位置(出発地)から目的地までの推奨経路(目的地までの走行予定経路)の探索についても行われる。推奨経路の探索は通信端末1で行っても良いし、情報提供サーバ4等の外部のサーバで行っても良い。例えば情報提供サーバ4にて行う場合には、通信端末1において目的地が入力されると、通信端末1から情報提供サーバ4へと出発地や目的地等の経路探索に必要な情報が経路探索要求とともに送信される。そして経路探索要求を受信した情報提供サーバ4は、情報提供サーバ4の有する地図情報を用いて経路探索を行い、出発地から目的地までの推奨経路を特定する。その後、特定された推奨経路を要求元の通信端末1へと送信する。尚、ナビゲーション装置6で目的地までの案内経路が既に設定されている場合については、Bluetoothによる無線通信等を介してナビゲーション装置6から案内経路を取得して目的地までの推奨経路としても良い。
【0045】
また、通信端末1では後述のように前記S2の目的地の入力に応じて目的地までの移動において充電を行うのが推奨される充電施設の案内が行われる(S9)が、それとは別に前記S3で探索された推奨経路を案内経路に設定し、目的地に到着するまで案内経路に従った移動案内を行うこと(通常のナビ機能による移動案内)も可能である。
【0046】
次に、S4においてCPU31は、ユーザが乗車する車両5について現在のSOC値(車載バッテリ8の満充電に対する残エネルギ量の割合)を取得する。同じくユーザが乗車する車両5について車両毎に定められた車載バッテリ8の単位時間当たりに充電可能な上限エネルギ量(以下、急速充電許容量という)についても取得する。ここで、急速充電許容量は前述したように車載バッテリ8の電池電圧等に基づいて決まる値であり、仮に充電器の出力が急速充電許容量を上回っていたとしても急速充電許容量以上の出力では入力することができない(
図4)。尚、SOC値や急速充電許容量についてはBluetoothによる無線通信等を介してナビゲーション装置6から取得する。一方、ナビゲーション装置6はCAN等の車載ネットワークを介して、車両5に搭載された車両制御ECUやバッテリ残量計からそれらの情報を取得可能となっている。
【0047】
続いて、S5においてCPU31は、目的地までの途中で車載バッテリ8の充電を行う候補となる充電施設である充電施設候補を検索する。基本的には、前記S3で取得された目的地までの推奨経路沿いにある充電施設を充電施設候補とするが、推奨経路沿いにある充電施設が無い或いは少ない場合については推奨経路から所定距離以内にある充電施設についても充電施設候補に含める。また、車両の現在の残エネルギ量で到達可能な充電施設であることも条件とする。尚、充電施設候補を検索する為に必要な地図情報や充電施設の位置については情報提供サーバ4から取得することが可能である。また、前記S5の充電施設候補の検索については通信端末1ではなく情報提供サーバ4が行い、通信端末1は検索結果を情報提供サーバ4から取得するようにしても良い。
【0048】
以降のS6~S8の処理は前記S5で抽出された充電施設候補毎に実行する。そして、前記S5で抽出された全ての充電施設候補に対してS6~S8の処理を実行した後に、S9へと移行する。
【0049】
先ずS6においてCPU31は、情報提供サーバ4から処理対象の充電施設候補に関する情報を取得する。具体的には、充電施設候補に関する情報として、充電施設候補の施設ID、充電施設候補の名称、充電施設候補の位置、充電施設候補の営業時間、充電施設候補が備える充電器の最大出力と数、充電上限時間、現在の充電器の空き状況等を受信する。
【0050】
その後、S7においてCPU31は、目的地までの移動の途中で処理対象の充電施設候補に立ち寄ると仮定した場合に、処理対象の充電施設候補までの移動に消費されるエネルギ量(消費電力量)を予測し、更に現在のSOC値を用いて処理対象の充電施設候補に到着時点のSOC値を予測する。尚、推奨経路に従って充電施設候補まで走行したと仮定した場合に消費されるエネルギ量は、車両の現在位置から充電施設候補までの経路長に加えて、経路の勾配、交通情報、車両の走行履歴などについても考慮して算出するのが望ましい。また、処理対象の充電施設候補が推奨経路沿いにない場合については、充電施設候補を経由地として再度推奨経路の探索を行い、探索された推奨経路に基づいてSOC値を予測する。
【0051】
続いて、S8においてCPU31は、前記S7で予測されたSOC値と、処理対象の充電施設候補が備える充電器の最大出力とに基づいて、処理対象の充電施設候補で車載バッテリ8の充電を行う場合の充電効率を算出する。具体的には以下の処理を行うことにより充電効率を算出する。
【0052】
先ず、CPU31は、前記S7で算出した処理対象の充電施設候補に到着した際の車載バッテリ8のSOC値と閾値との差分(%)に対応するエネルギ量(以下、X(kWh)とする)を算出する。例えばSOC値と閾値との差分が20%で車載バッテリ8の最大容量が20kWhであればX=4kWhとなる。ここで、“閾値”は
図5に示すように単位時間当たりの充電可能なエネルギ量(W)がその値を境に顕著に低下する車載バッテリ8のSOC値であり、例えば80%とする。即ち、車載バッテリ8のSOC値が閾値未満であれば充電器の最大出力(充電器の最大出力よりも車両の急速充電許容量車両が少ない場合には急速充電許容量)に近い出力での入力が可能である一方、車載バッテリ8のSOC値が閾値以上であれば充電器の最大出力に比べて著しく低い出力でしか入力できない状態となる。閾値は例えば満充電の80%とするが、車種によってその値は様々に設定される。充電時の環境によって変わることもある。尚、前記S8で算出した処理対象の充電施設候補に到着した際の車載バッテリ8のSOC値が閾値よりも大きい場合にはX=0とする。
更に、CPU31は、処理対象の充電施設候補がその施設の充電上限時間(例えば30分)だけ車両の急速充電許容量(Y)で充電したと仮定した場合に充電可能なエネルギ量(Y×充電上限時間(kWh))と、処理対象の充電施設候補がその施設の充電上限時間だけ充電器の最大出力(Z)で充電したと仮定した場合に充電可能なエネルギ量(Z×充電上限時間(kWh))についても算出する。尚、“Y×充電上限時間”と“Z×充電上限時間”については実際にはその充電施設候補で車載バッテリ8の最大容量まで充電可能なエネルギ量が上限となる(バッテリの最大容量を超えて充電できない)が、Xが車載バッテリ8の最大容量まで充電可能なエネルギ量よりも必ず小さくなるので、“Y×充電上限時間”と“Z×充電上限時間”については最大容量を考慮せずに算出しても良い。
その後、Xと“Y×充電上限時間”と“Z×充電上限時間”を比較して最も小さいエネルギ量を急速充電可能量として算出する。この急速充電可能量は、処理対象の充電施設候補で車載バッテリ8の充電を行う場合に車載バッテリ8のSOC値が閾値未満の状態、即ち充電器の最大出力或いは車両の急速充電許容量に近い出力で充電可能なエネルギ量であり、急速充電可能量が多いほど、その充電施設候補の充電効率が高いと判定できる。即ち、前記S8では上記急速充電可能量を充電効率として算出する。
【0053】
例えば
図8に示す例は、目的地までの推奨経路沿いに充電施設候補a~eが存在する場合を例に挙げて説明する。例えば
図8に示す例において充電施設候補aは充電器の最大出力が80kWで充電上限時間は30分、充電施設候補bは充電器の最大出力が60kWで充電上限時間は30分、充電施設候補cは充電器の最大出力が40kWで充電上限時間は30分、充電施設候補dは充電器の最大出力が20kWで充電上限時間は30分、充電施設候補eは充電器の最大出力が10kWで充電上限時間は30分とし、更に車両の急速充電許容量は30kWで、車載バッテリ8の最大容量は20kWhとする。また、充電施設候補aに到着した際の車載バッテリ8のSOC値が13/20、充電施設候補bに到着した際の車載バッテリ8のSOC値が10/20、充電施設候補cに到着した際の車載バッテリ8のSOC値が7/20、充電施設候補dに到着した際の車載バッテリ8のSOC値が4/20、充電施設候補eに到着した際の車載バッテリ8のSOC値が1/20と予測された場合について説明する。
【0054】
図8に示すように上記条件において各充電施設候補a~eのXと“Y×充電上限時間”と“Z×充電上限時間”の各値を比較すると、充電施設候補aではX=20×0.8-13=3kWh、Y×充電上限時間=30×0.5=15kWh(最大容量を考慮すれば7kWh)、Z×充電上限時間=80×0.5=40kWh(最大容量を考慮すれば7kWh)となるので、急速充電可能量は3kWhとなる。同じく充電施設候補bではX=20×0.8-10=6kWh、Y×充電上限時間=30×0.5=15kWh(最大容量を考慮すれば10kWh)、Z×充電上限時間=60×0.5=30kWh(最大容量を考慮すれば10kWh)となるので、急速充電可能量は6kWhとなる。同じく充電施設候補cではX=20×0.8-7=9kWh、Y×充電上限時間=30×0.5=15kWh(最大容量を考慮すれば13kWh)、Z×充電上限時間=40×0.5=20kWh(最大容量を考慮すれば13kWh)となるので、急速充電可能量は9kWhとなる。同じく充電施設候補dではX=20×0.8-4=12kWh、Y×充電上限時間=30×0.5=15kWh、Z×充電上限時間=20×0.5=10kWhとなるので、急速充電可能量は10kWhとなる。同じく充電施設候補eではX=20×0.8-1=15kWh、Y×充電上限時間=30×0.5=15kWh、Z×充電上限時間=10×0.5=5kWhとなるので、急速充電可能量は5kWhとなる。
従って、
図8に示す例では充電効率の高い順に充電施設候補d、充電施設候補c、充電施設候補b、充電施設候補e、充電施設候補aとなる。
【0055】
その後、前記S5で抽出された全ての充電施設候補に対してS6~S8の処理を実行し、充電効率を判定した後にS9へと移行する。
【0056】
S9においてCPU31は、前記S5で抽出された各充電施設候補に関する情報について情報提供サーバ4から取得してユーザに案内する。具体的には、ディスプレイ36に対して充電施設候補の一覧を充電施設候補に関する情報(例えば施設名称、現在位置からの距離、充電器の数、充電器の最大出力、充電上限時間、利用可能時間帯、利用料金、混雑状況、対応車種等)とともに表示する。特に、充電施設候補が複数ある場合には、充電施設候補を前記S9で判定された充電効率の高い順にソートし、充電効率の高い充電施設候補を優先して表示する。尚、“優先して表示する”とは充電効率が高い(急速充電可能量が閾値以上)の充電施設候補のみを表示対象としても良いし、充電効率が低い充電施設候補よりも充電効率の高い充電施設候補がユーザにより視認しやすいように表示しても良い。
図9はディスプレイに表示される充電施設候補案内画面51の一例を示した図である。
【0057】
図9に示すように、充電施設候補案内画面51は、充電施設候補の名称、充電施設候補の位置(車両現在位置からの距離)、充電施設の営業時間、充電器の最大出力、現在の充電器の空き状況をそれぞれ表示する。また、充電施設候補の位置をマーキングした車両周辺の地図画像を表示しても良い。更に、充電施設候補までの経路についても表示するようにしても良い。
【0058】
図9に示す例では、『○○サービスエリア駐車場』が最も充電効率が高いと判定された充電施設候補であり、最も上位に表示する。『○×充電スタンド』が次に充電効率が高いと判定された充電施設候補であり、2番目に表示する。『××パーキング』が3番目に充電効率が高いと判定された充電施設候補であり、3番目に表示する。そして、ユーザは
図9に示す充電施設候補案内画面51を視認することによって、目的地前の途中で立ち寄るのが推奨される充電施設の候補を把握することが可能となる。
【0059】
また、充電施設候補案内画面51には経由地設定ボタン52と詳細ボタン53についても配置されており、ユーザが経由地設定ボタン52を操作すると、操作された経由地設定ボタン52に対応する充電施設候補を車載バッテリ8の充電を行う充電施設、即ち目的地までの移動中に立ち寄る対象となる充電施設に設定することが可能となる。そして、通信端末1はBluetoothによる無線通信等を介してナビゲーション装置6へと選択された充電施設候補に関する情報を送信し、ナビゲーション装置6は現在の目的地までの案内経路を選択された充電施設候補を経由地にした案内経路に修正し、選択された充電施設候補までの移動案内を行う。尚、通信端末1のナビ機能を用いて充電施設候補までの移動案内を行っても良い。一方、ユーザが詳細ボタン53を操作すると、操作された詳細ボタン53に対応する充電施設候補に関するより詳細な情報を情報提供サーバ4から取得してディスプレイ36に表示する。
【0060】
また、目的地が遠方にあり、目的地までの移動の途中で複数回の充電が必要となる場合については、1回目の充電が完了した後に
図7に示す情報提供処理プログラムを再度実行することにより、2回目以降において充電を行うのが推奨される充電施設候補について案内することが可能となる。
【0061】
また、上記情報提供処理プログラムによる充電施設候補の案内は、現在のSOC値が前記S2で入力された目的地までの走行に必要なエネルギに対して不足する場合に限定して行っても良いが、現在のSOC値が前記S2で入力された目的地までの走行に必要なエネルギに対して不足しない場合であっても行うのが望ましい。今回の目的地までの走行では充電が不要であったとしても、次回以降の走行に備えて充電を行っておきたいユーザの要望に対応する為である。
【0062】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係る通信端末1及び通信端末1で実行されるコンピュータプログラムでは、車両5の駆動源に電力を供給する車載バッテリ8に充電をすることが可能な充電施設10の内、充電を行う候補となる充電施設候補を対象として、充電施設候補の位置と充電施設候補が備える充電器の最大出力とを取得し(S6)、車両5が備える車載バッテリ8の現在の残エネルギ量と車両5の現在位置と充電施設候補の位置とに基づいて、車両5が充電施設候補に到着した際の車載バッテリ8の残エネルギ量を推定し(S7)、更に充電施設候補に到着した際の車載バッテリ8の残エネルギ量と充電施設候補が備える充電器の最大出力とに基づいて、充電施設候補で車載バッテリ8の充電を行う場合の充電効率を判定する(S8)ので、車載バッテリ8の充電を行う候補となる充電施設候補を対象として、当該充電施設候補で車載バッテリ8の充電を行う場合の充電効率を判定することが可能となり、ユーザに対して効率的な充電を行わせることが可能となる。
また、充電施設候補が複数ある場合には複数の充電施設候補毎に充電効率を判定し(S8)、充電効率が高い充電施設候補を優先して選択又は案内する(S9)ので、ユーザに対して複数ある充電施設候補に関する情報を案内しつつ、それらの複数の充電施設候補の内から効率的な充電を行うための充電施設候補の選択が可能となる。
また、車載バッテリ8への充電は、車載バッテリ8の残エネルギ量が閾値未満の状態では車載バッテリ8の残エネルギ量が閾値以上の状態に比べて単位時間当たりの充電可能なエネルギ量が多くなっており、充電施設候補で車載バッテリ8の充電を行う場合に車載バッテリ8の残エネルギ量が閾値未満の状態で充電可能なエネルギ量を急速充電可能量として算出し(S8)、急速充電可能量が多いほど、その充電施設候補の充電効率が高いと判定するので、単位時間当たりにより多くのエネルギ量を充電可能な充電施設候補について効率的な充電を行うための充電施設候補と判定することが可能となる。
また、充電施設候補で定められた充電可能な上限時間を取得し(S6)、車両毎に定められた車載バッテリ8の単位時間当たりに充電可能な上限エネルギ量である急速充電許容量を取得し(S4)、充電施設候補に到着した際の車載バッテリ8の残エネルギ量と閾値との差分のエネルギ量と、充電施設候補が上限時間だけ急速充電許容量で充電したと仮定した場合に充電可能なエネルギ量と、充電施設候補が上限時間だけ充電器の最大出力で充電したと仮定した場合に充電可能なエネルギ量と、を比較して最も小さいエネルギ量を急速充電可能量として算出する(S8)ので、充電器や車両の条件を考慮して急速充電可能量を正確に算出することが可能となる。
また、車両の走行予定経路を取得し(S3)、充電施設候補は、車両の現在位置から所定距離以内にある充電施設又は走行予定経路沿いにある充電施設とするので、目的地までの移動の途中に充電することが可能な充電施設候補を対象にして、当該充電施設候補で車載バッテリ8の充電を行う場合の充電効率を判定することが可能となり、ユーザに対して効率的な充電を行わせることが可能となる。
【0063】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、本実施形態では、充電施設候補について充電効率を算出し、充電効率が高い充電施設候補を優先的に案内する(S8、S9)構成としているが、案内を行わずに充電効率が高い充電施設候補を優先して目的地までの移動の経由地に選択するようにしても良い。例えば、最も充電効率が高い充電施設候補を目的地までの移動の経由地に自動で選択することが可能である。
【0064】
また、本実施形態では目的地までの推奨経路(車両の走行予定経路)沿いにある充電施設について充電を行う候補となる充電施設候補としているが、例えば目的地が設定されていない場合については車両の現在位置から所定距離以内にある充電施設を充電施設候補として検索し、検索された充電施設候補を対象としてS6以降の処理を行うことも可能である。即ち、本発明は必ずしも目的地への移動を前提とせず、車載バッテリ8の低下に伴ってユーザが周囲の充電を行う充電施設を探す場合(充電施設を目的地とする場合)に適用することも可能である。
【0065】
また、本実施形態では、通信端末1をスマートフォンに適用した例について説明したが、車両側や情報提供サーバ4との通信機能を有していれば他の種類の通信端末に対して適用することも可能である。例えば携帯電話機、タブレット型端末、パーソナルコンピュータ等に適用することが可能である。また、車載機であるナビゲーション装置6が通信端末1を兼ねていても良いし、ナビゲーション装置6以外の車載器や車両制御ECUが通信端末1の代わりに処理を実行しても良い。
【0066】
また、本実施形態では
図7に示す情報提供処理プログラムにおいて、充電施設候補の探索や充電効率の算出に係る処理(S3~S8)の実行主体は通信端末1であったが、情報提供サーバ4が一部または全部を実行する構成としても良い。即ち通信端末1と情報提供サーバ4を含むシステムに本発明を適用することも可能である。
【符号の説明】
【0067】
1…通信端末、2…情報提供システム、4…情報提供サーバ、5…車両、6…ナビゲーション装置、8…車載バッテリ、9…配信情報DB、10…充電施設、31…CPU、32…メモリ、41…通信端末制御部、51…充電施設候補案内画面