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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108742
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】シート、家具、及び家具システム
(51)【国際特許分類】
   A47C 27/12 20060101AFI20240805BHJP
   A47C 31/02 20060101ALI20240805BHJP
   A47C 21/04 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
A47C27/12 Z
A47C31/02 J
A47C21/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023013271
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】390039985
【氏名又は名称】パラマウントベッド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】三ツ木 勇人
【テーマコード(参考)】
3B096
【Fターム(参考)】
3B096AC12
3B096AD04
3B096AD06
(57)【要約】
【課題】薬品で清拭消毒でき、蒸れを抑制できるとともに、隣接するクッション部でのカビの発生を抑制できるシート、家具、及び家具システムを提供する。
【解決手段】防水機能、高透湿機能、及び吸放湿機能を有する、シート。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
防水機能、高透湿機能、及び吸放湿機能を有する、シート。
【請求項2】
前記シートは、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル系繊維セルロース、ナイロン、レーヨン、キュプラ、コットン、リネン、絹、ポリエステル、及び羊毛からなる群より選択される少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシート。
【請求項3】
請求項1に記載のシートを含むカバー部と、
前記カバー部により少なくとも一部が覆われたクッション部と、
を備えた、家具。
【請求項4】
前記カバー部は、
表面において使用者と接する第1層と、
前記第1層の裏面に設けられる第2層と、
を含み、
前記第1層は、前記防水機能及び前記高透湿機能を付与するラミネートまたはコーティングであり、
前記第2層は、前記吸放湿機能を付与する布である、請求項3に記載の家具。
【請求項5】
前記クッション部を換気する換気装置をさらに備えた、請求項4に記載の家具。
【請求項6】
前記換気装置を制御する制御装置をさらに備え、
前記制御装置は、湿度についての湿度情報を取得し、前記湿度情報に基づいて、前記換気装置を作動させる、請求項5に記載の家具。
【請求項7】
前記クッション部を駆動させる駆動装置と、前記駆動装置を制御する制御装置と、をさらに備え、
前記制御装置は、湿度についての湿度情報を取得し、前記湿度情報に基づいて、前記駆動装置を作動させる、請求項5に記載の家具。
【請求項8】
前記換気装置を制御する制御装置をさらに備え、
前記制御装置は、使用者の不快度についての不快度情報を取得し、前記不快度情報に基づいて、前記換気装置を作動させる、請求項5に記載の家具。
【請求項9】
前記クッション部を駆動させる駆動装置と、前記駆動装置を制御する制御装置と、をさらに備え、
前記制御装置は、使用者の不快度についての不快度情報を取得し、前記不快度情報に基づいて、前記駆動装置を作動させる、請求項5に記載の家具。
【請求項10】
請求項3に記載の家具と、
前記家具が使用される空間の湿度を変更可能な空調装置と、
前記空調装置を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、湿度についての湿度情報を取得し、前記湿度情報に基づいて、前記空調装置を作動させる、家具システム。
【請求項11】
請求項3に記載の家具と、
前記家具が使用される空間の湿度を変更可能な空調装置と、
前記空調装置を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、使用者の不快度についての不快度情報を取得し、前記不快度情報に基づいて、前記空調装置を作動させる、家具システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、シート、家具、及び家具システムに関する。
【背景技術】
【0002】
病院などの感染対策を重視する分野では、マットレスのカバーとして、生地の上にウレタンなどでラミネート加工をしたカバーが用いられることがある。このようなカバーは、防水機能を有するため、液体の侵入を防ぐことができるものの、使用者が蒸れによって不快に感じやすいという問題がある。一方で、透湿性の高いカバーは、蒸れを抑えることができるものの、隣接するクッション部の湿度が高くなり、カビが発生しやすくなるという問題がある。また、通気性の高いカバーは、蒸れを抑えることができるものの、カバーの汚れが隣接するクッション部の内部まで入り込みやすいという問題がある。
【0003】
そこで、特許文献1や特許文献2では、防水機能及び吸放湿機能を有し透湿性の低いカバーが提案されている。しかし、このようなカバーは、使用者が動かない場合に使用者からカバーに吸収された湿気がカバーから放出されにくく、カバーの吸放湿機能が低下しやすいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6721343号公報
【特許文献2】特許第6918719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施形態の目的は、液体の侵入を防ぐことができ、蒸れを抑制できるとともに、隣接するクッション部でのカビの発生を抑制できるシート、家具、及び家具システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係るシートは、防水機能、高透湿機能、及び吸放湿機能を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の実施形態は、液体の侵入を防ぐことができ、蒸れを抑制できるとともに、隣接するクッション部でのカビの発生を抑制できるシート、家具、及び家具システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る家具を表す斜視図である。
図2】実施形態に係る家具を表す断面図である。
図3】実施形態に係る家具の一部を表す拡大断面図である。
図4】実施形態に係る家具における湿気の動きを模式的に表す断面図である。
図5】実施形態に係る家具及び家具システムを表す側面図である。
図6図6(a)及び図6(b)は、実施形態に係る家具における駆動装置の作動を模式的に表す側面図である。
図7】実施形態の変形例に係る家具及び家具システムを表す側面図である。
図8】実施形態に係る家具または家具システムの動作の一例を表すフローチャートである。
図9】実施形態に係る家具または家具システムにおける判定条件の一例を示す表である。
図10】実施形態に係る家具または家具システムの動作の一例を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、実施形態に係る家具を表す斜視図である。
図2は、実施形態に係る家具を表す断面図である。
図3は、実施形態に係る家具の一部を表す拡大断面図である。
図2は、図1に示したA1-A2線による断面図である。
図3は、図2に示した領域R1の拡大図である。
図1図3に表したように、実施形態に係る家具100は、カバー部10と、クッション部20と、を備えている。家具100は、例えば、マットレス、椅子、ソファ、及びクッションのいずれかを含む。以下では、家具100がマットレスを含む場合を例に挙げて説明する。
【0010】
クッション部20は、例えば、家具100にクッション性を付与する。クッション部20は、例えば、ポリエステル硬綿、軟質ポリウレタンフォーム、ラテックスフォーム、ゲル、ポリエチレンフォーム、ポリプロピレンフォーム、ポケットコイル、スプリング、三次元網状体、及びエアセルの少なくともいずれかを含む。
【0011】
クッション部20は、例えば、自然に換気される換気構造を有する。換気構造は、例えば左右に貫通し空気が流れるような丸形の穴やV字の溝である。つまり、換気構造は、クッション部20の内部と外部が連通するような構造である。クッション部20にこのような換気構造を設けるとともに、該当するカバー部10にも通気孔を設けることで、クッション部20の外部の環境のわずかな気流でクッション部20の内部を自然に換気することができる。換気構造は、必要に応じて設けられ、省略可能である。
【0012】
クッション部20の少なくとも一部は、カバー部10により覆われている。例えば、クッション部20の全部がカバー部10により覆われていてもよいし、クッション部20の一部のみがカバー部10により覆われていてもよい。つまり、クッション部20の一部は、カバー部10により覆われていなくてもよい。クッション部20は、例えば、カバー部10の内部に収納されていてもよい。カバー部10は、家具100と使用者とが接する面であって、クッション部20と使用者との間に設けられることが好ましい。つまり、クッション部20は使用者と直接的に接しないように、カバー部10により覆われることが好ましい。
【0013】
カバー部10は、上面部10aと、側面部10bと、下面部10cと、を含む。上面部10aは、クッション部20の上方を覆っている。側面部10bは、クッション部20の側方を覆っている。下面部10cは、クッション部20の下方を覆っている。カバー部10は、少なくともクッション部20の上方を覆っていればよい。つまり、側面部10b及び下面部10cは、必要に応じて設けられ、省略可能である。
【0014】
カバー部10は、シート1を含む。シート1は、防水機能、高透湿機能、及び吸放湿機能を有する。本願明細書において、「防水機能を有する」とは、例えば、JIS L 1092:2009 B法(高水圧法)による耐水度が10kPa以上であることを意味する。また、本願明細書において、「高透湿機能を有する」とは、例えば、JIS L 1099:2021 A-1法(塩化カルシウム法)による透湿度が56g/(m・h)以上であることを意味する。また、本願明細書において、「吸放湿機能を有する」とは、例えば、ボーケン規格BQE A 034による吸湿量・放湿量が5g/m以上であることを意味する。
【0015】
シート1は、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、及びポリカーボネート樹脂からなる群より選択される少なくとも1つを含む。例えば、このような材料を含むものであれば、上述の防水機能と高透湿機能を実現できる。シート1は、例えば、上記の材料を無孔膜タイプまたは多孔質タイプの透湿性のあるフィルム状にしたものを含んでいてもよい。
【0016】
シート1は、例えば、アクリル系樹脂、アクリル系繊維セルロース、ナイロン、レーヨン、キュプラ、コットン、リネン、絹、及び羊毛などの繊維からなる群より選択される少なくとも1つを含む。例えば、このような材料を含むものであれば、上述の吸放湿機能を実現できる。シート1は、例えば、上記の材料をシート状にしたものを含んでいてもよい。
【0017】
このように、シート1が、防水機能、高透湿機能、及び吸放湿機能を有することで、液体の侵入を防ぐことができ、蒸れを抑制できるとともに、隣接するクッション部20でのカビの発生を抑制できる。
【0018】
そして、クッション部20を覆うカバー部10にこのようなシート1を用いることで、防水機能によって、クッション部20に影響を与えることなく薬品で清拭消毒を行うことができる。また、高透湿機能及び吸放湿機能によって、蒸れを抑制できるとともに、クッション部20でのカビの発生を抑制できる。
【0019】
また、シート1は、1つ以上の付加機能を有していてもよい。付加機能としては、例えば、耐薬品機能、撥水機能、防汚機能、抗菌機能、抗ウイルス機能、防カビ機能、及び難燃機能などが挙げられる。シート1は、表側において、耐薬品機能、撥水機能、防汚機能、抗菌機能、抗ウイルス機能、防カビ機能、及び難燃機能の少なくともいずれかを有することが好ましい。シート1は、裏側において、防カビ機能及び難燃機能の少なくともいずれかを有することが好ましい。例えば、シート1が、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、スチレン・アクリロニトリル共重合体、スチレン・ブタジエン・アクリロニトリル共重合体、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、メタクリル・スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン、テフロン(登録商標)、シリコーン、ポリアミド、及び塩化ポリエーテルからなる群より選択される少なくとも1つを含む場合、耐薬品機能を実現できる。例えば、シート1が、ポリクロロトリフルオロエチレン、フッ素変性ポリマー、シリコーン、イソシアネート化合物、及びパーフルオロポリエーテル鎖含有ポリスチレン系樹脂からなる群より選択される少なくとも1つを含む場合、撥水機能を実現できる。例えば、シート1が、シリコーン樹脂及びフッ素樹脂からなる群より選択される少なくとも1つを含む場合、防汚機能を実現できる。例えば、シート1が、無機系抗菌剤、有機系抗菌剤、天然物系抗菌剤、及び有機無機混合抗菌剤からなる群より選択される少なくとも1つを含む場合、抗菌機能を実現できる。この場合、無機系抗菌剤は、例えば、銀、銅、亜鉛、チタン、及びその化合物の少なくともいずれかを含む。例えば、シート1が、無機系抗菌剤、有機系抗菌剤、天然物系抗菌剤、及び有機無機混合抗菌剤からなる群より選択される少なくとも1つを含む場合、抗ウイルス機能を実現できる。この場合、無機系抗菌剤は、例えば、銀、銅、亜鉛、チタン、及びその化合物の少なくともいずれかを含む。例えば、シート1が、無機防カビ剤、有機防カビ剤、及び有機無機混合防カビ剤からなる群より選択される少なくとも1つを含む場合、防カビ機能を実現できる。例えば、シート1が、ハロゲン系、有機リン、無機リン、水酸化物、シリコーン樹脂、モリブデン化合物、窒素系、アンチモン化合物、及びホウ酸塩の難燃剤からなる群より選択される少なくとも1つを含む場合、難燃機能を実現できる。
【0020】
カバー部10(シート1)は、例えば、多層構造を有する。カバー部10(シート1)は、例えば、第1層11と、第2層12と、を含む。第1層11は、表面において使用者と接する。第2層12は、第1層11の裏面に設けられる。つまり、第2層12は、第1層11とクッション部20との間に位置する。
【0021】
第1の例において、第1層11は、例えば、防水機能及び高透湿機能を付与するラミネートまたはコーティングであり、第2層12は、例えば、吸放湿機能を付与する布である。第1の例における第1層11は、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、及びポリカーボネート樹脂からなる群より選択される少なくとも1つを含む。第1の例における第1層11は、例えば、上記の材料を無孔膜タイプまたは多孔質タイプのフィルム状にしたものを含んでいてもよい。第1の例における第2層12は、例えば、アクリル系繊維セルロース、ナイロン、レーヨン、キュプラ、コットン、リネン、絹、及び羊毛などの繊維からなる群より選択される少なくとも1つを含む。第1の例における第2層12は、例えば、上記の材料を生地にしたものを含んでいてもよい。
【0022】
第2の例において、第1層11は、例えば、防水機能、高透湿機能、及び吸放湿機能を付与するラミネートまたはコーティングであり、第2層12は、例えば、吸放湿機能を付与しない布である。第2の例において、第1層11は、例えば、防水機能及び高透湿機能を付与するラミネートまたはコーティングの層と、吸放湿機能を付与するラミネートまたはコーティングの層と、を含む多層構造である。第2の例における防水機能及び高透湿機能を付与するラミネートまたはコーティングの層は、例えば、第1の例における第1層11と同じ材料を含む。第2の例における吸放湿機能を付与するラミネートまたはコーティングの層は、例えば、アクリル系樹脂、硫酸マグネシウム、ゼオライト系調湿材、セラミック系調湿材、ケイ酸カルシウム系調湿材、珪藻土系調湿材、木質系調湿材、粘土系調湿材、及び漆喰系調湿材からなる群より選択される少なくとも1つを含む。第2の例における第2層12は、例えば、ポリエステル樹脂を含む。
【0023】
第3の例において、第1層11は、例えば、防水機能、高透湿機能、及び吸放湿機能を付与するラミネートまたはコーティングであり、第2層12は、例えば、吸放湿機能を付与する布である。第3の例において、第1層11は、例えば、防水機能及び高透湿機能を付与するラミネートまたはコーティングの層と、吸放湿機能を付与するラミネートまたはコーティングの層と、を含む多層構造である。第3の例における防水機能及び高透湿機能を付与するラミネートまたはコーティングの層は、例えば、第1の例における第1層11と同じ材料を含む。第3の例における吸放湿機能を付与するラミネートまたはコーティングの層は、例えば、第2の例における吸放湿機能を付与するラミネートまたはコーティングの層と同じ材料を含む。第3の例における第2層12は、例えば、第1の例における第2層12と同じ材料を含む。
【0024】
第4の例において、第1層11は、例えば、吸放湿機能を付与する布であり、第2層12は、例えば、防水機能及び高透湿機能を付与するラミネートまたはコーティングである。第4の例における第1層11は、例えば、第1の例における第2層12と同じ材料を含む。第4の例における第2層12は、例えば、第2の例における第1層11と同じ材料を含む。
【0025】
第5の例において、第1層11は、例えば、吸放湿機能を付与しない布であり、第2層12は、例えば、防水機能、高透湿機能、及び吸放湿機能を付与するラミネートまたはコーティングである。第5の例において、第2層12は、例えば、防水機能及び高透湿機能を付与するラミネートまたはコーティングの層と、吸放湿機能を付与するラミネートまたはコーティングの層と、を含む多層構造である。第5の例における防水機能及び高透湿機能を付与するラミネートまたはコーティングの層は、例えば、第1の例における第1層11と同じ材料を含む。第5の例における吸放湿機能を付与するラミネートまたはコーティングの層は、例えば、第2の例における吸放湿機能を付与するラミネートまたはコーティングの層と同じ材料を含む。第5の例における第1層11は、例えば、第2の例における第2層12と同じ材料を含む。
【0026】
第6の例において、第1層11は、例えば、吸放湿機能を付与する布であり、第2層12は、例えば、防水機能、高透湿機能、及び吸放湿機能を付与するラミネートまたはコーティングである。第6の例において、第2層12は、例えば、防水機能及び高透湿機能を付与するラミネートまたはコーティングの層と、吸放湿機能を付与するラミネートまたはコーティングの層と、を含む多層構造である。第6の例における防水機能及び高透湿機能を付与するラミネートまたはコーティングの層は、例えば、第1の例における第1層11と同じ材料を含む。第6の例における吸放湿機能を付与するラミネートまたはコーティングの層は、例えば、第2の例における吸放湿機能を付与するラミネートまたはコーティングの層と同じ材料を含む。第6の例における第1層11は、例えば、第1の例における第2層12と同じ材料を含む。
【0027】
ラミネートは、例えば、所望の機能を得るための材料を含むシートを作製し、このシートを他の層に貼り付けることで形成される。コーティングは、例えば、所望の機能を得るための材料を他の層に塗布することで形成される。
【0028】
本願明細書において、「防水機能を付与する」とは、例えば、カバー部10(シート1)を「防水機能を有する」状態にすることを意味する。例えば、JIS L 1092:2009 B法(高水圧法)による耐水度が10kPa以上であれば、カバー部10(シート1)を「防水機能を有する」状態にすることができる。つまり、防水機能を付与する層は、JIS L 1092:2009 B法(高水圧法)による耐水度が10kPa以上であることが好ましい。
【0029】
本願明細書において、「高透湿機能を付与する」とは、例えば、カバー部10(シート1)を「高透湿機能を有する」状態にすることを意味する。例えば、JIS L 1099:2021 A-1法(塩化カルシウム法)による透湿度が56g/(m・h)以上であれば、カバー部10(シート1)を「高透湿機能を有する」状態にすることができる。つまり、高透湿機能を付与する層は、JIS L 1099:2021 A-1法(塩化カルシウム法)による透湿度が56g/(m・h)以上であることが好ましい。
【0030】
本願明細書において、「吸放湿機能を付与する」とは、例えば、カバー部10(シート1)を「吸放湿機能を有する」状態にすることを意味する。例えば、ボーケン規格BQE A 034による吸湿量・放湿量が5g/m以上であれば、カバー部10(シート1)を「吸放湿機能を有する」状態にすることができる。つまり、吸放湿機能を付与する層は、ボーケン規格BQE A 034による吸湿量・放湿量が5g/m以上であることが好ましい。
【0031】
なお、実施形態においては、カバー部10の少なくとも一部が、シート1を含んでいればよく、カバー部10の他の一部は、シート1を含まなくてもよい。つまり、カバー部10は、全体がシート1を含んでいてもよいし、シート1を含む部分とシート1を含まない部分とを有していてもよい。カバー部10のうち、少なくとも上面部10aがシート1を含むことが好ましい。
【0032】
図4は、実施形態に係る家具における湿気の動きを模式的に表す断面図である。
図4に表したように、使用者Uの湿気は、矢印AR1に示すようにカバー部10により吸収(吸湿)され、矢印AR2に示すようにカバー部10からクッション部20に放出(放湿)される。クッション部20に放出された湿気は、矢印AR3に示すようにクッション部20の内部を移動(透過)し、クッション部20の他の場所で矢印AR4に示すようにカバー部10により吸収(吸湿)され、矢印AR5に示すようにカバー部10から空気中(環境中)に放出(放湿)される。
【0033】
例えば、吸放湿機能を有さないカバーでは、矢印AR1に示すようなカバー部10による湿気の吸収が十分になされないため、使用者Uが蒸れによって不快に感じやすい。また、透湿性が高く吸放湿機能を有さないカバーでは、蒸れを抑えることができるものの、矢印AR4や矢印AR5に示すようなカバー部10から空気中への湿気の放出が十分になされないため、クッション部20の湿度が高くなり、カビが発生しやすい。
【0034】
一方、透湿性の低いカバーでは、使用者Uが動かない場合に使用者Uからカバー部10に吸収された湿気がカバー部10から放出されにくく、カバー部10の吸放湿機能が低下しやすい。
【0035】
これに対し、実施形態に係るシート1及びそれをカバー部10に用いた家具100では、使用者Uの湿気は、矢印AR1に示すようにカバー部10により吸収(吸湿)され、矢印AR2に示すようにカバー部10からクッション部20に放出(放湿)され、矢印AR3に示すようにクッション部20の内部を移動(透過)し、クッション部20の他の場所で矢印AR4に示すようにカバー部10により吸収(吸湿)され、矢印AR5に示すようにカバー部10から空気中(環境中)に放出(放湿)される。これにより、蒸れを抑制できるとともに、隣接するクッション部20でのカビの発生を抑制できる。また、カバー部10(シート1)は、防水機能を有するため、液体の侵入を防ぐことができる。
【0036】
また、クッション部20が自然に換気される換気構造を有する場合、クッション部20に放出された湿気の一部は、矢印AR6に示すようにクッション部20から外部に放出される。これにより、クッション部20でのカビの発生をより確実に抑制できる。
【0037】
また、家具100がクッション部20を換気する換気装置(後述の換気装置40)を備える場合、クッション部20に放出された湿気の一部は、矢印AR6に示すようにクッション部20から外部に放出される。これにより、クッション部20でのカビの発生をより確実に抑制できる。
【0038】
また、実施形態に係る家具100では、上述のように、防水機能、高透湿機能、及び吸放湿機能を有するカバー部10を用いているため、換気装置40の出力を小さくしても、クッション部20の湿気が外部に排出されやすい。そのため、換気装置40を用いて換気をする場合であっても、換気装置40の出力を小さくすることができ、換気装置40の作動により使用者が寒く感じることを抑制できる。
【0039】
図5は、実施形態に係る家具及び家具システムを表す側面図である。
図6(a)及び図6(b)は、実施形態に係る家具における駆動装置の作動を模式的に表す側面図である。
図5に表したように、実施形態に係る家具システム500は、家具100と、空調装置200と、を備えている。
【0040】
この例では、家具100は、カバー部10及びクッション部20を含むマットレス25と、換気装置40と、駆動装置50と、表示装置60と、センサ70と、制御装置80と、を含む。カバー部10及びクッション部20は、上述のカバー部10及びクッション部20と同じであるため、説明を省略する。
【0041】
換気装置40は、クッション部20を換気する。換気装置40は、例えば、ポンプやブロワーなどを含む。換気装置40を作動させることで、クッション部20を強制的に換気させることができ、クッション部20の湿気を外部に排出することができる。換気装置40は、制御装置80からの制御信号に基づいて作動する。
【0042】
この例では、換気装置40は、マットレス25(カバー部10)の内部であってクッション部20の外部に設けられている。換気装置40は、例えば、マットレス25(カバー部10)の外部に設けられていてもよいし、クッション部20の内部に設けられていてもよい。換気装置40は、必要に応じて設けられ、省略可能である。
【0043】
駆動装置50は、クッション部20を駆動させる。クッション部20がエアマットレスの場合、駆動装置50は、例えば、エアマットレスのエアセル28への気体(例えば、空気)の供給を制御するポンプを含む。図6(a)及び図6(b)に表したように、駆動装置50を作動させてエアセル28の圧力を変化させることで、マットレス25(カバー部10)の表面の凹凸や傾斜の状態を変化させることができる。これにより、マットレス25(カバー部10)の表面において、使用者Uが接触しなくなる部分を作り換気することで、カバー部10の吸放湿機能を維持させることができる。より具体的には、例えば、使用者Uの背中U1とマットレス25との間に空間を生じさせ、カバー部10のうち背中U1と接触していた部分の吸放湿機能を向上させることができる。したがって、使用者の湿気を効率的に吸収(吸湿)できるとともに、カバー部10やクッション部20の湿気を効率的に放出(放湿)することができる。駆動装置50は、例えば、アクチュエータを含んでもよい。駆動装置50は、制御装置80からの制御信号に基づいて作動する。
【0044】
この例では、駆動装置50は、マットレス25(カバー部10)の内部であってクッション部20の外部に設けられている。駆動装置50は、例えば、マットレス25の外部に設けられていてもよいし、クッション部20の内部に設けられていてもよい。駆動装置50は、必要に応じて設けられ、省略可能である。
【0045】
表示装置60は、情報を表示する。表示装置60は、例えば、文字や画像などを表示可能なモニタを含む。表示装置60は、例えば、家具100や家具100が使用される空間の状態についての情報を表示する。表示装置60は、例えば、家具100が使用される空間の温度や湿度、カバー部10の温度や湿度、及びクッション部20の温度や湿度などの情報を表示する。表示装置60は、例えば、マットレス25の高さ位置や角度などについての情報を表示してもよい。また、表示装置60は、例えば、使用者の状態についての情報を表示する。表示装置60は、例えば、使用者が不快状態であることを表示する。また、表示装置60は、例えば、使用者に伝達するための情報を表示する。表示装置60は、例えば、不快状態を解消するための方法を表示する。
【0046】
この例では、表示装置60は、家具100が使用される空間の壁に取り付けられている。表示装置60は、例えば、ベッド30に取り付けられていてもよい。また、表示装置60は、例えば、ベッド30の操作部(リモコン)の表示画面などであってもよい。表示装置60は、必要に応じて設けられ、省略可能である。
【0047】
センサ70は、例えば、湿度を測定する。この場合、センサ70は、例えば、湿度センサを含む。センサ70は、例えば、家具100が使用される空間の湿度、カバー部10の湿度、及びクッション部20の湿度などを測定する。センサ70は、例えば、温度を測定してもよい。この場合、センサ70は、例えば、温度センサを含む。センサ70は、例えば、家具100が使用される空間の温度、カバー部10の温度、及びクッション部20の温度などを測定する。センサ70は、測定結果を制御装置80に送信する。
【0048】
センサ70によって測定される湿度は、相対湿度であってもよいし、絶対湿度であってもよい。また、センサ70は、例えば、絶対湿度及び温度を測定し、絶対湿度及び温度から相対湿度を算出してもよい。なお、相対湿度の算出は、例えば、センサ70から送信された絶対湿度及び温度に基づいて、制御装置80により行われてもよい。
【0049】
この例では、センサ70は、クッション部20の内部に設けられている。駆動装置50は、例えば、マットレス25(カバー部10)の内部であってクッション部20の外部に設けられていてもよいし、マットレス25の外部に設けられていてもよい。クッション部20の内部にセンサ70を設けることで、例えば、クッション部20の温度や湿度を測定できる。マットレス25(カバー部10)の内部であってクッション部20の外部にセンサ70を設けることで、例えば、カバー部10の温度や湿度を測定できる。マットレス25の外部にセンサ70を設けることで、例えば、家具100が使用される空間の温度や湿度を測定できる。
【0050】
カバー部10がマットレス25のカバーの場合、センサ70は、例えば、使用者の背中が重なる位置に設けられ、背中周辺の温度や湿度を測定する。センサ70は、必要に応じて設けられ、省略可能である。
【0051】
また、センサ70は、使用者の体動や体表面水分量、表情などの身体情報を測定してもよい。この場合、センサ70は、例えば、重量センサ、振動センサ、音センサ、水分センサ(マイクロ波式、近赤外線式、電気容量式、および電気抵抗式の少なくともいずれか)、及び画像センサの少なくともいずれかを含む。センサ70は、例えば、重量センサ、振動センサ、及び音センサなどの測定結果に基づいて、使用者の体動の頻度などを算出し、使用者の不快度を推定してもよい。センサ70は、例えば、マイクロ波などの測定結果に基づいて、使用者の体表面水分量などを算出し、使用者の不快度を推定してもよい。センサ70は、例えば、画像センサにより使用者の表情を測定することで、使用者の不快度を推定してもよい。なお、不快度の推定は、例えば、センサ70から送信された測定結果に基づいて、制御装置80により行われてもよい。
【0052】
制御装置80は、換気装置40、駆動装置50、及び表示装置60を制御する。制御装置80は、換気装置40、駆動装置50、表示装置60、及びセンサ70と電気的に接続されている。制御装置80は、センサ70の測定結果を受信する。制御装置80は、換気装置40、駆動装置50、及び表示装置60に制御信号を送信する。制御装置80と各部(換気装置40、駆動装置50、及び表示装置60)との接続は、有線接続であってもよいし、無線接続であってもよい。制御装置80は、例えば、センサ70から送信された測定結果に基づいて、換気装置40、駆動装置50、及び表示装置60を作動させる。制御装置80は、例えば、所定時間ごとに換気装置40を作動させてもよい。また、制御装置80は、例えば、連続的に(常時)換気装置40を作動させてもよい。
【0053】
この例では、制御装置80は、マットレス25(カバー部10)の内部であってクッション部20の外部に設けられている。制御装置80は、例えば、マットレス25の外部に設けられていてもよいし、クッション部20の内部に設けられていてもよい。また、この例では、1つの制御装置80が、センサ70の測定結果を受信し、換気装置40、駆動装置50、及び表示装置60を制御しているが、例えば、各装置に対して個別の制御装置が設けられていてもよい。この場合、各制御装置は通信可能であってもよい。
【0054】
空調装置200は、家具100が使用される空間の湿度を変更可能である。空調装置200は、例えば、エアコン、除湿器などを含む。空調装置200を作動させることで、例えば、家具100が使用される空間の湿度を変化(低下)させることができる。これにより、カバー部10やクッション部20の湿気を効率的に放出(放湿)することができる。空調装置200は、制御装置80からの制御信号に基づいて作動する。
【0055】
この例では、空調装置200は、家具100が使用される空間の壁に設けられている。空調装置200は、例えば、家具100が使用される空間の天井に設けられていてもよいし、家具100が使用される空間の床に設けられていてもよい。空調装置200は、必要に応じて設けられ、省略可能である。
【0056】
制御装置80は、空調装置200を制御する。制御装置80は、空調装置200と電気的に接続されている。制御装置80と空調装置200との接続は、有線接続であってもよいし、無線接続であってもよい。
【0057】
この例では、1つの制御装置80が、家具100及び空調装置200を制御しているが、例えば、家具100の制御装置と、空調装置200の制御装置と、が別々に設けられていてもよい。この場合、各制御装置は通信可能であってもよい。
【0058】
図7は、実施形態の変形例に係る家具及び家具システムを表す側面図である。
図7に表したように、実施形態の変形例に係る家具システム500Aは、家具100Aと、空調装置200と、を備えている。
【0059】
この例では、家具100Aは、カバー部10及びクッション部20を含む椅子30と、換気装置40と、駆動装置50と、表示装置60と、センサ70と、制御装置80と、を含む。マットレス25の代わりに椅子30を含む以外は、上述の家具100と同じであるため、換気装置40、駆動装置50、表示装置60、センサ70、及び制御装置80などの説明を省略する。
【0060】
この例では、センサ70は、使用者U1の臀部U2が重なる位置に設けられ、使用者Uの臀部U2周辺の温度や湿度を測定する。
【0061】
なお、カバー部10がクッションのカバーの場合には、センサ70は、例えば、使用者の体に触れる面に設けられ、使用者の体に触れる面の温度や湿度を測定する。
【0062】
以下、実施形態に係る家具100及び家具システム500における制御について説明する。
図8は、実施形態に係る家具または家具システムの動作の一例を表すフローチャートである。
図9は、実施形態に係る家具または家具システムにおける判定条件の一例を示す表である。
図8に表したように、制御装置80は、湿度情報を取得し、湿度情報に基づいて、換気装置40、駆動装置50、及び空調装置200の少なくともいずれかを作動させる。
【0063】
まず、制御装置80は、湿度についての情報である湿度情報を取得する(ステップS101)。湿度情報は、例えば、センサ70における測定結果である。湿度情報は、例えば、家具100が使用される空間の湿度、カバー部10の湿度、及びクッション部20の湿度の少なくともいずれかを含む。
【0064】
次に、制御装置80は、湿度が設定値よりも高いか否かを判定する(ステップS102)。ステップS102において、制御装置80は、例えば、カバー部10の湿度、クッション部20の湿度、家具100が使用される空間の湿度、カバー部10の湿度とクッション部20の湿度との差、カバー部10の湿度と家具100が使用される空間の湿度との差、及びクッション部20の湿度と家具100が使用される空間の湿度との差の少なくともいずれかが設定値よりも高いか否かを判定する。
【0065】
図9に表したように、カバー部10の湿度が設定値よりも高いか否かが判定される場合、設定値は、例えば、相対湿度で85%または絶対湿度で35g/mに設定される。クッション部20の湿度が設定値よりも高いか否かが判定される場合、設定値は、例えば、相対湿度で80%または絶対湿度で27g/mに設定される。家具100が使用される空間の湿度が設定値よりも高いか否かが判定される場合、設定値は、例えば、相対湿度で75%または絶対湿度で20g/mに設定される。このような設定値であれば、カバー部10の吸湿性能の飽和を抑制できる。カバー部10の湿度とクッション部20の湿度との差が設定値よりも高いか否かが判定される場合、設定値は、例えば、相対湿度で5%または絶対湿度で8g/mに設定される。カバー部10の湿度と家具100が使用される空間の湿度との差が設定値よりも高いか否かが判定される場合、設定値は、例えば、相対湿度で10%または絶対湿度で15g/mに設定される。クッション部20の湿度と家具100が使用される空間の湿度との差が設定値よりも高いか否かが判定される場合、設定値は、例えば、相対湿度で75%または絶対湿度で20g/mに設定される。
【0066】
ステップS102において、制御装置80は、上記の項目のいずれか1つが設定値よりも高いときに、湿度が設定値よりも高い(ステップS102:Yes)と判定してもよいし、上記の項目の2つ以上が設定値よりも高いときに、湿度が設定値よりも高い(ステップS102:Yes)と判定してもよい。つまり、ステップS102において、制御装置80は、上記の項目について、ORで判定してもよいし、ANDで判定してもよい。
【0067】
湿度が設定値よりも高いとき(ステップS102:Yes)、制御装置80は、換気装置40、駆動装置50、及び空調装置200の少なくともいずれかに作動開始の制御信号を送信することで、換気装置40、駆動装置50、及び空調装置200の少なくともいずれかの作動を開始させる(ステップS103)。換気装置40は、作動開始の制御信号を受信すると、作動を開始する(ステップS201)。駆動装置50は、作動開始の制御信号を受信すると、作動を開始する(ステップS301)。空調装置200は、作動開始の制御信号を受信すると、作動を開始する(ステップS401)。ステップS103において、制御装置80は、換気装置40、駆動装置50、及び空調装置200のいずれか1つの作動を開始させてもよいし、2つ以上の作動を開始させてもよい。
【0068】
一方、湿度が設定値以下のとき(ステップS102:No)、制御装置80は、ステップS103を行わずに、作動開始の制御信号を送信した装置が作動中か否かを判定する(ステップS104)。
【0069】
作動開始の制御信号を送信した装置が作動中の場合(ステップS104:Yes)、制御装置80は、作動開始の制御信号を送信した装置に作動停止の制御信号を送信することで、作動開始の制御信号を送信した装置の作動を停止させる(ステップS105)。換気装置40は、作動停止の制御信号を受信すると、作動を停止する(ステップS202)。駆動装置50は、作動停止の制御信号を受信すると、作動を停止する(ステップS302)。空調装置200は、作動停止の制御信号を受信すると、作動を停止する(ステップS402)。ステップS105において、制御装置80は、換気装置40、駆動装置50、及び空調装置200のいずれか1つの作動を停止させてもよいし、2つ以上の作動を停止させてもよい。
【0070】
作動開始の制御信号を送信した装置が作動中ではない場合(ステップS104:No)、制御装置80は、ステップS105を行わない。
【0071】
図8のフローは、例えば、所定時間ごとに繰り返し行われる。つまり、例えば、ステップS103またはステップS105を行ってから所定時間が経過すると、制御装置80は、ステップS101を行う。
【0072】
このように、制御装置80は、湿度が設定値を超えると、換気装置40、駆動装置50、及び空調装置200などの作動を開始させ、湿度が設定値以下になると、換気装置40、駆動装置50、及び空調装置200などの作動を停止させる。つまり、制御装置80は、湿度が設定値を超えるときに、換気装置40、駆動装置50、及び空調装置200などを作動させる。
【0073】
湿度が設定値を超えるときに換気装置40を作動させることで、例えば、家具100が使用される空間の湿度、カバー部10の湿度、及びクッション部20の湿度の少なくともいずれかが高くなったときに、クッション部20の湿気を外部に排出させることができる。したがって、蒸れを抑制できるとともに、クッション部20でのカビの発生を抑制できる。
【0074】
湿度が設定値を超えるときに駆動装置50を作動させることで、例えば、家具100が使用される空間の湿度、カバー部10の湿度、及びクッション部20の湿度の少なくともいずれかが高くなったときに、使用者の湿気を効率的に吸収(吸湿)できるとともに、カバー部10やクッション部20の湿気を効率的に放出(放湿)することができる。したがって、蒸れを抑制できるとともに、クッション部20でのカビの発生を抑制できる。
【0075】
湿度が設定値を超えるときに空調装置200を作動させることで、例えば、家具100が使用される空間の湿度、カバー部10の湿度、及びクッション部20の湿度の少なくともいずれかが高くなったときに、家具100が使用される空間の湿度を変化(低下)させることができ、カバー部10やクッション部20の湿気を効率的に放出(放湿)することができる。したがって、蒸れを抑制できるとともに、クッション部20でのカビの発生を抑制できる。
【0076】
図10は、実施形態に係る家具または家具システムの動作の一例を表すフローチャートである。
図10に表したように、制御装置80は、不快度情報を取得し、不快度情報に基づいて、換気装置40、駆動装置50、空調装置200、及び表示装置60の少なくともいずれかを作動させる。
【0077】
まず、制御装置80は、使用者の不快度についての情報である不快度情報を取得する(ステップS501)。不快度情報は、例えば、センサ70における測定結果である。不快度情報は、例えば、使用者の体動、使用者の体表面水分量、及び使用者の表情の少なくともいずれかを含む。
【0078】
次に、制御装置80は、不快度が設定値よりも高いか否かを判定する(ステップS502)。不快度は、例えば、使用者の体動の頻度、使用者の体表面水分量、及び使用者の表情などから推定される。例えば、使用者の体動の頻度が所定値よりも高い場合には、不快度が設定値よりも高いと推定される。この場合、所定値は、例えば、5回/時間に設定される。例えば、使用者の体表面の水分量が所定値よりも高い場合には、不快度が設定値よりも高いと推定される。この場合、所定値は、例えば、0.4mg/(cm・min)に設定される。例えば、使用者の表情を看護の痛みを測定するフェイススケールを使って数値化し、この数値が所定値よりも高い場合には、不快度が設定値よりも高いと推定される。この場合、所定値は、例えば、0~5までの6段階の中で3に設定される。フェイススケールについては、例えば、「[痛みの評価スケール]VAS、NRS、フェイススケール(https://knowledge.nurse-senka.jp/226068/)」などに記載のフェイススケールを適用できる。
【0079】
ステップS502において、制御装置80は、上記の項目のいずれか1つが設定値よりも高いときに、不快度が設定値よりも高い(ステップS502:Yes)と判定してもよいし、上記の項目の2つ以上が設定値よりも高いときに、不快度が設定値よりも高い(ステップS502:Yes)と判定してもよい。つまり、ステップS502において、制御装置80は、上記の項目について、ORで判定してもよいし、ANDで判定してもよい。
【0080】
不快度が設定値よりも高いとき(ステップS502:Yes)、制御装置80は、換気装置40、駆動装置50、空調装置200、及び表示装置60の少なくともいずれかに作動開始の制御信号を送信することで、換気装置40、駆動装置50、空調装置200、及び表示装置60の少なくともいずれかの作動を開始させる(ステップS503)。換気装置40は、作動開始の制御信号を受信すると、作動を開始する(ステップS601)。駆動装置50は、作動開始の制御信号を受信すると、作動を開始する(ステップS701)。空調装置200は、作動開始の制御信号を受信すると、作動を開始する(ステップS801)。表示装置60は、作動開始の制御信号を受信すると、作動を開始する(ステップS901)。ステップS503において、制御装置80は、換気装置40、駆動装置50、空調装置200、及び表示装置60のいずれか1つを作動させてもよいし、2つ以上を作動させてもよい。
【0081】
一方、不快度が設定値以下のとき(ステップS502:No)、制御装置80は、ステップS503を行わずに、作動開始の制御信号を送信した装置が作動中か否かを判定する(ステップS504)。
【0082】
作動開始の制御信号を送信した装置が作動中の場合(ステップS504:Yes)、制御装置80は、作動開始の制御信号を送信した装置に作動停止の制御信号を送信することで、作動開始の制御信号を送信した装置の作動を停止させる(ステップS505)。換気装置40は、作動停止の制御信号を受信すると、作動を停止する(ステップS602)。駆動装置50は、作動停止の制御信号を受信すると、作動を停止する(ステップS702)。空調装置200は、作動停止の制御信号を受信すると、作動を停止する(ステップS802)。表示装置60は、作動停止の制御信号を受信すると、作動を停止する(ステップS902)。ステップS505において、制御装置80は、換気装置40、駆動装置50、及び空調装置200のいずれか1つの作動を停止させてもよいし、2つ以上の作動を停止させてもよい。
【0083】
作動開始の制御信号を送信した装置が作動中ではない場合(ステップS504:No)、制御装置80は、ステップS505を行わない。
【0084】
図10のフローは、例えば、所定時間ごとに繰り返し行われる。つまり、例えば、ステップS503またはステップS505を行ってから所定時間が経過すると、制御装置80は、ステップS501を行う。
【0085】
このように、制御装置80は、不快度が設定値を超えると、換気装置40、駆動装置50、空調装置200、及び表示装置60などの作動を開始させ、不快度が設定値以下になると、換気装置40、駆動装置50、空調装置200、及び表示装置60などの作動を停止させる。つまり、制御装置80は、不快度が設定値を超えるときに、換気装置40、駆動装置50、空調装置200、及び表示装置60などを作動させる。
【0086】
設定値は、個人に合わせて設定されてもよい。例えば、暑がりの人の設定値は、暑がりではない人の設定値よりも低く設定されてもよい。また、設定値は、時間の経過とともに変更されてもよい。例えば、睡眠リズムに合わせて入眠時は深部体温を下げるために設定値を低くして換気を増やし、入眠から1時間後には通常に戻すなどの設定値の変更を行ってもよい。
【0087】
不快度が設定値を超えるときに換気装置40を作動させることで、例えば、使用者が蒸れなどによって不快に感じているときに、クッション部20の湿気を外部に排出させることができる。したがって、蒸れを抑制できるとともに、クッション部20でのカビの発生を抑制できる。
【0088】
不快度が設定値を超えるときに駆動装置50を作動させることで、例えば、使用者が蒸れなどによって不快に感じているときに、使用者の湿気を効率的に吸収(吸湿)できるとともに、カバー部10やクッション部20の湿気を効率的に放出(放湿)することができる。したがって、蒸れを抑制できるとともに、クッション部20でのカビの発生を抑制できる。
【0089】
不快度が設定値を超えるときに空調装置200を作動させることで、例えば、使用者が蒸れなどによって不快に感じているときに、家具100が使用される空間の湿度を変化(低下)させることができ、カバー部10やクッション部20の湿気を効率的に放出(放湿)することができる。したがって、蒸れを抑制できるとともに、クッション部20でのカビの発生を抑制できる。
【0090】
制御装置80は、ステップS503において、不快度が設定値を超えるときに、表示装置60を作動させる。より具体的には、制御装置80は、例えば、不快度が設定値を超えるときに、表示装置60に不快状態であることを表示させる。これにより、例えば、使用者が蒸れなどによって不快に感じているときに、使用者が不快に感じていることを観察者(看護師など)が容易に把握することができ、観察者が使用者の不快感を低減するための適切な処置(例えば、空間の温度や湿度を下げることやクッション部20の換気など)を行うことができる。また、表示装置60に不快状態であることを表示させることで、使用者自身が不快感を我慢していることを自覚でき、使用者自身が不快感を低減するための適切な処置(例えば、空間の温度や湿度を下げることやクッション部20の換気など)を行うきっかけを作ることができる。したがって、蒸れを抑制できるとともに、クッション部20でのカビの発生を抑制できる。
【0091】
また、制御装置80は、不快度が設定値を超えるときに、表示装置60に不快状態を解消するための方法を表示させてもよい。これにより、例えば、使用者が蒸れなどによって不快に感じているときに、使用者が自分で不快な状態を解消させることができ、使用者が不快感を低減するための適切な処置(例えば、空間の温度や湿度を下げることやクッション部20の換気など)を行うことができる。したがって、蒸れを抑制できるとともに、クッション部20でのカビの発生を抑制できる。
【0092】
実施形態は、以下の構成を含んでもよい。
【0093】
(構成1)
防水機能、高透湿機能、及び吸放湿機能を有する、シート。
【0094】
(構成2)
前記シートは、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル系繊維セルロース、ナイロン、レーヨン、キュプラ、コットン、リネン、絹、ポリエステル、及び羊毛からなる群より選択される少なくとも1つを含む、構成1記載のシート。
【0095】
(構成3)
構成1または2に記載のシートを含むカバー部と、
前記カバー部により少なくとも一部が覆われたクッション部と、
を備えた、家具。
【0096】
(構成4)
前記カバー部は、
表面において使用者と接する第1層と、
前記第1層の裏面に設けられる第2層と、
を含み、
前記第1層は、前記防水機能及び前記高透湿機能を付与するラミネートまたはコーティングであり、
前記第2層は、前記吸放湿機能を付与する布である、構成3記載の家具。
【0097】
(構成5)
前記クッション部は、自然に換気される換気構造を有する、構成3または4に記載の家具。
【0098】
(構成6)
前記クッション部を換気する換気装置をさらに備えた、構成3~5のいずれか1つに記載の家具。
【0099】
(構成7)
前記制御装置は、所定時間ごとに前記換気装置を作動させる、構成6に記載の家具。
【0100】
(構成8)
前記換気装置を制御する制御装置をさらに備え、
前記制御装置は、湿度についての湿度情報を取得し、前記湿度情報に基づいて、前記換気装置を作動させる、構成6記載の家具。
【0101】
(構成9)
前記クッション部を駆動させる駆動装置と、前記駆動装置を制御する制御装置と、をさらに備え、
前記制御装置は、湿度についての湿度情報を取得し、前記湿度情報に基づいて、前記駆動装置を作動させる、構成3~8のいずれか1つに記載の家具。
【0102】
(構成10)
前記湿度情報は、前記家具が使用される空間の湿度、前記カバー部の湿度、及び前記クッション部の湿度の少なくともいずれかを含む、構成8または9に記載の家具。
【0103】
(構成11)
前記換気装置を制御する制御装置をさらに備え、
前記制御装置は、使用者の不快度についての不快度情報を取得し、前記不快度情報に基づいて、前記換気装置を作動させる、構成6記載の家具。
【0104】
(構成12)
前記クッション部を駆動させる駆動装置と、前記駆動装置を制御する制御装置と、をさらに備え、
前記制御装置は、使用者の不快度についての不快度情報を取得し、前記不快度情報に基づいて、前記駆動装置を作動させる、構成3~11のいずれか1つに記載の家具。
【0105】
(構成13)
表示装置と、前記表示装置を制御する制御装置と、をさらに備え、
前記制御装置は、使用者の不快度についての不快度情報を取得し、前記不快度情報に基づいて、前記表示装置に不快状態であることまたは不快状態を解消するための方法を表示させる、構成3~12のいずれか1つに記載の家具。
【0106】
(構成14)
前記不快度情報は、使用者の体動、使用者の体表面の水分量、及び使用者の表情の少なくともいずれかを含む、構成11~13のいずれか1つに記載の家具。
【0107】
(構成15)
構成3~14のいずれか1つに記載の家具と、
前記家具が使用される空間の湿度を変更可能な空調装置と、
前記空調装置を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、湿度についての湿度情報を取得し、前記湿度情報に基づいて、前記空調装置を作動させる、家具システム。
【0108】
(構成16)
前記湿度情報は、前記空間の湿度、前記カバー部の湿度、及び前記クッション部の湿度の少なくともいずれかを含む、構成15に記載の家具システム。
【0109】
(構成17)
構成3~14に記載の家具と、
前記家具が使用される空間の湿度を変更可能な空調装置と、
前記空調装置を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、使用者の不快度についての不快度情報を取得し、前記不快度情報に基づいて、前記空調装置を作動させる、家具システム。
【0110】
(構成18)
前記不快度情報は、使用者の体動、使用者の体表面の水分量、及び使用者の表情の少なくともいずれかを含む、構成16に記載の家具システム。
【0111】
以上のように、実施形態によれば、薬品で清拭消毒でき、蒸れを抑制できるとともに、隣接するクッション部でのカビの発生を抑制できるシート、家具、及び家具システムが提供できる。
【0112】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0113】
1:シート
10:カバー部
10a:上面部
10b:側面部
10c:下面部
11:第1層
12:第2層
20:クッション部
25:マットレス
30:椅子
40:換気装置
50:駆動装置
60:表示装置
70:センサ
80:制御装置
100、100A:家具
200:空調装置
500、500A:家具システム
U:使用者
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10