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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108743
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】切り欠き検出装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/68 20060101AFI20240805BHJP
【FI】
H01L21/68 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023013272
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100115749
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 英和
(74)【代理人】
【識別番号】100121223
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 悟道
(72)【発明者】
【氏名】宮本 玲
(72)【発明者】
【氏名】吉松 龍司
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131CA32
5F131DA33
5F131DA42
5F131EA24
5F131FA26
5F131FA32
5F131FA33
5F131GA03
5F131GA13
5F131GA14
5F131KA14
5F131KA49
5F131KA72
5F131KB04
5F131KB05
5F131KB12
5F131KB32
5F131KB54
5F131KB56
(57)【要約】
【課題】ワークの切り欠きの位置を短時間で検出できなかった。
【解決手段】切り欠き検出装置1は、1以上の円形状のワークを、ワーク表面に対して傾斜した角度から撮影した画像を取得する画像取得部102と、画像取得部102が取得した画像について、ワークのエッジを検出するエッジ検出部103と、エッジ検出部103が検出するエッジの画素を用いて、各ワークのエッジの近似曲線を取得するエッジ曲線取得部104と、近似曲線と、画像取得部102が取得した画像とを用いて、各ワークのエッジに設けられた切り欠きを検出する切り欠き検出部105と、切り欠き検出部105が検出する切り欠きの位置を示す切り欠き位置情報を、各ワークについて取得する位置取得部106と、位置取得部106が各ワークについて取得する切り欠き位置情報を出力する出力部107と、を備えるようにした。これにより、ワークの切り欠きの位置を短時間で検出できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の円形状のワークを、当該ワーク表面に対して傾斜した角度から撮影した画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部が取得した画像について、前記ワークのエッジを検出するエッジ検出部と、
前記エッジ検出部が検出したエッジの画素を用いて、前記各ワークのエッジの近似曲線を取得するエッジ曲線取得部と、
前記近似曲線と、前記画像取得部が取得した画像とを用いて、前記各ワークのエッジに設けられた切り欠きを検出する切り欠き検出部と、
前記切り欠き検出部が検出する切り欠きの位置を示す切り欠き位置情報を、前記各ワークについて取得する位置取得部と、
前記位置取得部が前記各ワークについて取得した切り欠き位置情報を出力する出力部と、を備えた切り欠き検出装置。
【請求項2】
前記画像取得部は、エッジの複数の異なる位置にレーザ光が照射された状態の前記1以上のワークを撮影した画像を取得する請求項1記載の切り欠き検出装置。
【請求項3】
前記1以上のワークのエッジに対してレーザ光を照射する照射部と、
前記1以上のワークのエッジの異なる位置にレーザ光が照射されるよう、前記照射部の位置およびレーザ光の照射方向を変更する照射変更部と、
前記1以上のワークを、当該ワークの表面に対して傾斜した角度から撮影する撮影部と、をさらに備え、
前記撮影部は、前記照射変更部が照射部の位置およびレーザ光の照射方向を変更することにより、エッジの複数の異なる位置にレーザ光が照射された状態の前記1以上のワークを撮影し、
前記画像取得部は、前記撮影部が撮影した画像を受け付けて、前記ワークを傾斜した角度から撮影した画像を取得する請求項2記載の切り欠き検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエハ等のワークの切り欠きの位置を検出する装置等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、ウエハ受け面を有するウエハプラットフォームと、軸線回りにウエハプラットフォームを回転させるように構成される駆動装置と、を含む回転ユニットと、ウエハがウエハ受け面上に受けられたときにウエハのノッチを検出するように構成される検出器と、を備えたものが知られていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-044548号公報(第1頁、第1図等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ウエハ等のワークに対して処理を行う場合、カセット等の容器から取り出したワークを、上記のようなアライナ等と呼ばれる専用装置に一旦載せ、ワークのエッジに設けられたノッチ等の切り欠きの位置を検出して、ワークの向き等を検出する必要がある。しかしながら一旦、ワークを移動させてアライナに載せたり、アライナでワークを回転させたりするため、処理時間が長くなる、という課題があった。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解消するためになされたものであり、ワークの切り欠きの位置を短時間で検出することができる切り欠き検出装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の切り欠き検出装置は、1以上の円形状のワークを、ワーク表面に対して傾斜した角度から撮影した画像を取得する画像取得部と、画像取得部が取得した画像について、ワークのエッジを検出するエッジ検出部と、エッジ検出部が検出したエッジの画素を用いて、各ワークのエッジの近似曲線を取得するエッジ曲線取得部と、近似曲線と、画像取得部が取得した画像とを用いて、各ワークのエッジに設けられた切り欠きを検出する切り欠き検出部と、切り欠き検出部が検出した切り欠きの位置を示す切り欠き位置情報を、各ワークについて取得する位置取得部と、位置取得部が各ワークについて取得した切り欠き位置情報を出力する出力部と、を備えた切り欠き検出装置である。
かかる構成により、短時間で切り欠きの位置を検出することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ワークの切り欠きの位置を短時間で検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1における切り欠き検出装置のブロック図
図2】同切り欠き検出装置の動作について説明するフローチャート
図3】同切り欠き検出装置が撮影するウエハを示す図(図3(a))、同切り欠き検出装置が撮影した画像を示す図(図3(b))、エッジ検出の処理を行った画像を示す図(図3(c))、輪郭抽出処理を行った画像を示す図(図3(d))、輪郭上の点を示す図(図3(e))、およびウエハのエッジの上下の輪郭の中間点を示す図(図3(f))
図4】同切り欠き検出装置が撮影した画像に、ウエハのエッジの輪郭上の点をプロットした図(図4(a))、同切り欠き検出装置が撮影した画像にウエハのエッジの上下の輪郭の中間点をプロットした図(図4(b))、および近似曲線を取得する処理を説明するための図(図4(c))
図5】同切り欠き検出装置が取得した実測点を示す図(図5(a))、近似曲線を示す図(図5(b))、近似曲線とエッジの関係を示すグラフ(図5(c))、およびずれ角について説明する図(図5(d))
図6】実施の形態2における切り欠き検出装置のブロック図
図7】同切り欠き検出装置の構成の一例を説明する平面模式図(図7(a))、側面模式図(図7(b))、および同切り欠き検出装置の構成の一例を説明する平面模式図(図7(c))
図8】同切り欠き検出装置が撮影した画像の一例を示す図(図8(a))、切り欠きの位置と、レーザ光を出射する位置および出射する方向との関係を示すグラフ(図8(b))
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、切り欠き検出装置等の実施形態について図面を参照して説明する。なお、実施の形態において同じ符号を付した構成要素は同様の動作を行うので、再度の説明を省略する場合がある。
【0010】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態における切り欠き検出装置1のブロック図である。切り欠き検出装置1は、撮影部101、画像取得部102、エッジ検出部103、エッジ曲線取得部104、切り欠き検出部105、位置取得部106、および出力部107を備える。
【0011】
撮影部101は、1または2以上の円形状のワークを、ワークの表面に対して傾斜した角度から撮影する。ワークは、通常、ウエハである。ワークは、エッジに、オリエンテーションフラットやノッチ等の1以上の切り欠きを有する。撮影部101が撮影する1または2以上のワークは、例えば、ワークを収容する一の容器に収納された状態のワークである。容器は、例えば、FOUP(Front Opening Unify Pod)等の密封型カセットや、開放型カセット等である。撮影部101は、例えば、容器に所望の間隔を隔てて縦方向に平行に並べて収納された複数のワークを撮影する。撮影部101は、例えば、一度に2以上の円形状のワークを撮影する。
【0012】
撮影部101は、例えば、1または2以上のワークのエッジの切り欠きが設けられた部分を含む領域を撮影することが好ましい。例えば、撮影部101は、FOUP等のワークを出し入れする開口部を側面に有する容器に収納された1または2以上のワークのエッジの、少なくとも開口部に露出する切り欠きが設けられた部分を撮影する。
【0013】
撮影部101が撮影する際の、ワークの表面に対する傾斜角度は、1または2以上のワークのエッジの、切り欠きが設けられた部分の近傍を撮影可能な角度であって、ワークの表面に対して平行または垂直以外の方向である。傾斜角度は、撮影した画像において、エッジにおいて切り欠きを他と区別して検出可能な角度であることが好ましい。2以上のワークを同時に撮影する場合、傾斜角度は、上下のワークのエッジ同士が撮影された画像内で接しない角度、好ましくは、エッジ同士を区別して検出可能な角度が好ましい。撮影した画像において、ワークのエッジが円弧状のなるように撮影されることが好適である。また、画像の上下方向が1または2以上のワークの上下方向となるように撮影することが好適である。なお、撮影部101の光軸方向の水平成分を、例えば、ワークの前後方向等と考えてもよい。
【0014】
撮影部101が撮影する画像は、通常は静止画像であるが、動画像でもよい。また、画像は、カラー画像でも、グレースケール画像でもよい。撮影部101は、例えば、デジタルスチルカメラ等のカメラにより実現可能である。
【0015】
画像取得部102は、1以上の円形状のワークを、ワーク表面に対して傾斜した角度から撮影した画像を取得する。例えば、画像取得部102は、撮影部101が上記のように撮影して出力する画像を受け付けて、受け付けた画像を円形状のワークを傾斜した角度から撮影した画像として取得する。ここでは、撮影部101が撮影した画像の受付を、円形状のワークを傾斜した角度から撮影した画像の取得と考えてもよい。画像取得部102は、上記の画像に対してワークが撮影されている領域を切り取るトリミングや、レンズ補正等を行ってもよい。ここでの取得は、記録媒体からの読み出し、他の装置からの受信なども含むと考えてよい。
【0016】
エッジ検出部103は、画像取得部102が取得した画像について、ワークのエッジを検出する。ワークのエッジの検出は、例えば、ワークのエッジの画素(例えば、ワークのエッジの複数の画素)を特定する処理である。ワークのエッジの検出は、ワークのエッジの画素の位置を示す座標を取得する処理と考えてもよい。例えば、エッジ検出部103は、画像取得部102が取得した画像内のエッジを検出する処理を行うことで、ワークのエッジを検出する。画像内のエッジを検出する処理は、例えば、画像内の明るさが不連続に変化している箇所を検出する処理である。例えば、エッジ検出部103は、画像に対するエッジを検出する処理として、例えば、画像処理技術の一つであるエッジ検出と呼ばれる処理を行う。この処理は、例えば、エッジ検出のフィルタ処理である。この処理は、例えば、画像の明るさが不連続に変化している箇所を特定するアルゴリズムである。画像に対するエッジ検出の処理は、例えば、画像内のエッジ部分を際立たせる処理や、画像内のエッジ部分を強調する処理である。なお、通常、ワークを撮影した画像に対してエッジ検出の処理を行っただけでは、ワークのエッジの画素を特定することが難しい場合が多いが、エッジ検出により画像内のエッジの部分が際立たせたることができることから、例えば、後述するように、他の処理を組み合わせることにより、ワークのエッジを特定することが可能となる。エッジ検出のフィルタ処理としては、例えば、一次微分によるエッジ検出や、二次微分によるエッジ検出等が利用可能である。エッジ検出部103は、例えば、エッジ検出のフィルタ処理としてCanny法を用いて、画像取得部102が取得した画像について、エッジ検出を行う。Canny法は、画像についてノイズ処理を行った後、エッジ検出を行う方法である。エッジ検出部103は、エッジ検出の前に、カラー画像をグレースケール画像に変換してもよい。例えば、エッジを検出する処理を画像取得部102が取得した画像に対して行うことで、画像内の1または2以上のワークのエッジを検出することができる。
【0017】
エッジ検出部103は、画像取得部102が取得した画像に対して、エッジを検出する処理を含む2以上の処理を行うことで、ワークのエッジを検出してもよい。例えば、エッジ検出部103は、画像取得部102が取得した画像に対してCanny法等を用いてエッジ検出を行い、さらに、エッジ検出された画像に対して輪郭抽出を行って、エッジを際立たせるとともに切れているワークのエッジの線をつなげる。輪郭抽出は、画像内の輪郭を抽出し、輪郭のデータを取得する処理である。取得される輪郭のデータは、例えば、輪郭を構成する複数の画素の座標のデータである。輪郭抽出は、曲線を含む輪郭が抽出可能であるため、抽出される輪郭のデータは、通常、途中で切れたり、不明瞭になったりすることはない。通常、輪郭抽出により画像は二値化される。例えば、上記のようなエッジ検出を行ったワークを撮影した画像に対して、輪郭抽出を行うことにより、各ワークのエッジの上側と下側とにそれぞれ沿って、エッジの輪郭の線(以下、輪郭線と呼ぶ場合がある)が抽出される。
【0018】
次に、輪郭抽出を行った画像内の横方向の異なる複数の位置において、それぞれ、抽出された各ワークのエッジの上下の輪郭線上の座標を取得し、格納部(図示せず)等に蓄積する。例えば、エッジ検出部103は、輪郭抽出した画像内の複数の画素列(すなわち、縦方向の画素の並び)をそれぞれ走査して、各ワークの上下の輪郭線上の座標を取得する。横方向の異なる複数の位置は、予め決められた間隔を隔てた位置であることが好ましいが、任意の間隔を隔てた位置でもよい。予め決められた間隔は、一定でも、一定でなくてもよい。例えば、エッジ検出部103は、輪郭抽出した画像内の、一定の間隔、または任意の間隔を隔てた複数の画素列(すなわち、縦方向の画素の並び)をそれぞれ走査して、各ワークのエッジの上下の輪郭線上の座標を、横方向の異なる位置においてそれぞれ取得する。
【0019】
そして、ワークごとに取得したエッジの上下の輪郭線上の座標のうちの、横方向の座標が同じである上下の座標の中間点の座標を取得する。エッジ検出部103は、このようにして各ワークについて取得した複数の中間点の座標が示す画素を、各ワークのエッジの画素として検出する。
【0020】
なお、エッジ検出部103は、画像内の、ワークが位置していない可能性が高い部分(例えば、両端の部分等)を除外した領域内において、ワークのエッジの画素を検出してもよい。また、エッジ検出部103は、一のワークの上下の輪郭線を構成する画素から、横方向の座標が同じである上下の画素の座標を取得するごとに、この上下の画素の中間点の画素の座標を取得するようにしてもよい。
【0021】
上記において、画像取得部102が取得した画像が、複数のワークを撮影した画像である場合、例えば、エッジ検出部103は、輪郭抽出した画像内の複数の画素列(すなわち、縦方向の画素の並び)について、それぞれ、縦方向における輪郭抽出された画素の数を検出し、検出した数が、画像に撮影されるワーク数の2倍と同じであるか判断し、同じである場合、エッジ検出部103は、その画素列において各ワークのエッジの上下の端で輪郭抽出された画素の中間に位置する画素を、各ワークのエッジの画素として取得するようにしてもよい。取得した座標は、例えば、格納部(図示せず)に蓄積する。そして、ワーク数と同じでない場合は座標を取得しないようにしてもよい。
【0022】
中間点の画素の座標は、各ワークのエッジの画素の座標であり、通常、横方向の座標が同じである複数の中間点の画素の、縦方向の配列順番は、撮影された複数のワークの縦方向(つまり高さ方向)の配列順番に相当する。例えば、ある画素列において検出された上から2番目の中間点の画素の座標は、通常、上から2番目のワークのエッジ上の座標となる。この配列順番はワークの識別子と考えてもよい。
【0023】
なお、エッジ検出部103は、画像取得部102が取得した画像内のエッジ検出を行い、エッジ検出を行った画像において、閾値等を用いて、画像内の画素の明度や輝度値等を利用してワークのエッジと考えられる画素を特定することにより、ワークのエッジを特定してもよい。例えば、エッジ検出を行った画像において、明度が閾値以上の画素が連続する部分、すなわち明度のピークとなる部分を、画素列ごとに検出し、各画素列について検出した連続する画素列(言い換えればピーク)を代表する画素を、ワークのエッジの画素として検出してもよい。連続する画素列を代表する画素は、例えば、明度値が最も高い画素や、配列順番が中央となる画素等である。
【0024】
また、例えば、画像取得部102が取得した画像が、複数のワークを撮影した画像である場合、エッジ検出部103は、画像取得部102が取得した画像内のエッジ検出を行い、エッジ検出を行った画像において、以下のように、各ワークについてエッジの複数の画素を検出してもよい。例えば、エッジ曲線取得部104は、エッジ検出部103がエッジ検出を行った画像内の、上記と同様の複数の画素列について、それぞれ、縦方向における画素の明度分布を取得し、各画素列について検出した明度分布において、明度のピークの数を検出し、検出した数が、画像に撮影されるワーク数と同じである場合、エッジ検出部103は、各ピークを代表する画素を、各ワークのエッジの画素として検出してもよい。検出したエッジの画素の座標は、例えば、各ピークの縦方向の配列順番と対応付けて、格納部(図示せず)に蓄積してもよい。ワーク数と同じでない場合は座標を取得しない。
【0025】
エッジ検出部103は、画像内のエッジを検出する処理以外の処理によりワークのエッジを検出してもよい。なお、以下においては、画像内のエッジの検出や輪郭抽出により、画像内のエッジや輪郭の画素が、他の画素に対して、明度(輝度)が高い画素に変換される場合を例に挙げて説明する。
【0026】
エッジ曲線取得部104は、エッジ検出部103が検出した各ワークのエッジの画素を用いて、各ワークのエッジの近似曲線を取得する。例えば、エッジ曲線取得部104は、エッジ検出部103が検出した1または2以上のワークのエッジの複数の画素を用いてワークごとにエッジの近似曲線を取得する。
【0027】
以下、ワークのエッジの近似曲線を取得する処理について説明する。ここでは、エッジ検出部103が、上記のように、画像取得部102が取得した画像に対して、画像内のエッジを検出する処理と、輪郭抽出を抽出する処理と、各ワークのエッジの上下の輪郭上の画素の中間に位置する中間点の画素の座標を取得する処理とを行うことにより、各ワークについて検出したワークのエッジの複数の画素を用いて、ワークのエッジの近似曲線を取得する場合について説明する。ただし、ワークのエッジを検出する他の処理で検出されたワークのエッジの複数の画素を用いる場合においても、同様の処理により近似曲線を取得してもよい。なお、ここでは、エッジが検出された画像が、予め決められた数の複数のワークが撮影された画像であるとする。また、画像内の縦方向は、画像内のワークの上下方向に対応した方向であるとする。
【0028】
エッジ曲線取得部104は、エッジ検出部103が、各ワークについて取得した複数のエッジの画素(例えば、上述した中間点の画素)を、エッジの複数の実測点として用いて、各ワークのエッジの近似曲線を取得する。実測点とは、例えば、エッジの画素のうちの、近似曲線を取得する際に標本として利用する画素である。上記でエッジ検出部103が行う各ワークのエッジを検出する処理は、各ワークについて、ワークのエッジの複数の実測点を検出する処理と考えてもよい。エッジ曲線取得部104が、実測点を用いてワークのエッジの近似曲線を取得する処理は、エッジ検出部103が取得したワークのエッジの画素を用いてワークのエッジの近似曲線を取得する処理の一態様と考えてもよい。
【0029】
エッジ曲線取得部104は、例えば、画像取得部102が取得した画像に、一枚のワークのみが撮影されている場合、エッジ曲線取得部104は、上記の処理で取得したエッジの複数の実測点を用いて、ワークのエッジの近似曲線を取得する。また、例えば、画像取得部102が取得した画像に、複数のワークが撮影されている場合、エッジ曲線取得部104は、上記の処理で検出したエッジの実測点のうちの、複数のワークにそれぞれ対応するエッジの複数の実測点を用いて、ワークごとにエッジの近似曲線を取得する。一のワークに対応するエッジの複数の実測点は、例えば、上記の処理で複数の画素列においてそれぞれ検出したエッジの実測点のうちの、対応付けられた高さ方向の配列順序が同じである実測点であり、例えば、上記で同じ配列順序と対応付けられて蓄積された複数の座標が、それぞれ同じワークのエッジの実測点である。
【0030】
エッジ曲線取得部104は、例えば、各ワークのエッジの複数の実測点(具体的には実測点の画素の座標)を用いて、各ワークのエッジの近似曲線を取得する。例えば、この近似曲線は、切り欠き部分を除いたワークのエッジの形状を近似的に表す曲線である。この近似曲線は、例えば、各ワークのエッジの複数の画素のx座標(画像の横方向の座標)とy座標(画像の縦方向の座標)との関係を表す近似曲線である。この近似曲線は、例えば、各ワークのエッジの複数の画素との距離が最小になるようにあてはめられた近似曲線である。近似曲線としては、例えば、指数近似、対数近似、多項式近似、累乗近似等が利用可能である。ここでは特に、多項式近似を用いることが好ましい。また、多項式近似に用いる多項式の次数は5次から9次の範囲が好ましく、6次または7次がより好ましい。エッジ曲線取得部104は、複数のワークについてそれぞれ取得した近似曲線を、例えば、ワークと対応付けて(例えば、高さ方向の配列順番等と対応付けて)取得する。
【0031】
エッジ曲線取得部104は、例えば、エッジ検出部103が検出したワークごとに、各ワークのエッジの複数の実測点(具体的には実測点の画素の座標)から、等間隔に配置された複数の実測点で構成される実測点の2以上の組を、異なる組の1以上の実測点が重複しないように取り、ワークごとに取得した複数の組の実測点をそれぞれ用いて多項式近似を行うことにより、ワークごとに、複数の近似曲線の多項式を取得し、各ワークについて取得した複数の多項式の同じ次数の項の係数の平均を取得して、取得した係数の平均を、それぞれ、対応する次数の項の係数として有する一の近似曲線の多項式を、各ワークの近似曲線を示す多項式として取得してもよい。ここでの等間隔に配置された実測点は、例えば、同じ数の実測点ごとや、同じ数の実測点ごとに配置された実測点と考えてもよい。また、例えば、実測点が、等間隔に位置する複数の画素列を走査して取得されたウエハのエッジの画素である場合等においては、等間隔に配置された実測点は、座標間の距離が等間隔に配置された実測点と考えてもよい。この場合、例えば、等間隔に配置された実測点に欠けがあるときには、欠けた部分の実測点は利用しなくてよい。
【0032】
このようにして、一のワークの実測点を用いて取得した複数の多項式を用いて、一のワークのエッジの形状を近似する一の多項式を取得することにより、実測点の一つにずれや抜けがあっても、ワークのエッジの近似曲線が、実際のエッジの形状から大きく逸脱しないようにすることができる。
【0033】
なお、エッジ曲線取得部104は、上記のように一のワークについて複数の近似曲線を一旦取得することなく、一のワークについて検出した複数の実測点を用いて一の近似曲線を取得するようにしてもよい。
【0034】
切り欠き検出部105は、エッジ曲線取得部104が取得する近似曲線と、画像取得部102が取得した画像を用いて、1以上の各ワークのエッジに設けられた切り欠きを検出する。画像取得部102が取得した画像を用いるということは、この画像を構成する画素や、この画像に画像処理等を行って得られる画像や画素等を利用することも含む概念であり、例えば、エッジ検出部103が検出したワークのエッジの画素を用いることも含む概念である。
【0035】
例えば、本願発明者が鋭意研究した結果得られた知見によると、撮影した画像においては、切り欠き上の画素近傍の輝度値は、切り欠き部分の反射が均一でない場合が多く、また、切り欠き以外のエッジ上の画素近傍の輝度値よりも高くなる傾向がある。このため、切り欠き検出部105は、ステップS102で受信した画像内の、複数の横方向(左右方向)の座標(例えばx座標)のそれぞれについて、近似曲線上の画素を含む上下合わせて3ピクセル以上、好ましくは8ピクセルの画素の輝度値の平均を算出し、その平均値を、横方向の各座標におけるエッジの画素の輝度値として取得する。そして、取得したエッジの画素の輝度値が他よりも高い横方向の区間を、切り欠きの区間として検出する。例えば、エッジの横方向に隣り合う画素間において、画素の輝度値の変化率を取得して、輝度値の増加率が高い位置と、減少率が低い位置とを、切り欠きの始まりと終わりとして検出する。例えば、輝度値の横方向の変化を示すグラフを微分してグラフの立ち上がりと下がりとを検出し、立ち上がりと下がりの位置を切り欠きの始まりと終わりとして検出してもよい。また、例えば、隣接するエッジの画素との輝度値の差が、閾値以上増加している位置から、閾値以上減少している位置までの区間を、切り欠きの区間として検出してもよい。なお、画素の輝度値の平均算出に利用する画素数は、8ピクセルより多くても、少なくてもよい。また、この平均算出に利用する複数の画素の上下方向における数は、等しくても等しくなくてもよいが、ウエハに対して上方向から撮影する場合、上方向の画素数が、下方向の画素数よりも多い方が好ましい。また、切り欠きの検出は上記の処理に限定されない。そして、切り欠き検出部105は、例えば、上記で検出したワークの切り欠きの横方向の中心の、横方向の座標(例えば、x座標)をワークの切り欠きの位置を示す情報として取得する。
【0036】
なお、切り欠き検出部105は、例えば、エッジ曲線取得部104が各ワークについて取得した近似曲線と、エッジ検出部103が検出した各ワークのエッジの画素とを比較して、近似曲線との距離が最も離れているワークのエッジの画素を、各ワークの切り欠きの位置を示す画素として検出してもよい。ここでの距離は、通常、近似曲線に対する縦方向の距離(例えばy座標の差)であるが、近似曲線の接線に対して垂直な方向の距離でもよい。
【0037】
例えば、切り欠き検出部105は、一のワークについてエッジ曲線取得部104が取得した近似曲線上の各画素と、エッジ検出部103がエッジを検出する処理により検出した画像内のエッジの画素のうちの、各画素とx座標が同じである画素と、のy座標の差(即ち縦方向の距離)を求め、差が最大値となるエッジの画素を、ワークの切り欠きの位置を示す画素として検出する。ただし、近似曲線に対応するワーク以外のワークのエッジの画素との距離を誤って検出しないよう、一のワークに対応する近似曲線との距離が、予め決められた閾値よりも大きいエッジの画素との距離は検出しないことが好ましい。閾値は、例えば、画像内における切り欠きの深さよりも十分に大きく、画像内におけるワークのエッジ間の距離よりも小さい値に設定する。検出される切り欠きの位置を示す画素は、例えば、切り欠きの最もくぼみが大きい部分の画素である。
【0038】
なお、エッジ検出部103がエッジを検出する処理により検出した画像内のエッジの画素が、縦方向(例えばY軸方向)に連続して配列されている箇所については、近似曲線との距離を取得する際に利用する画像内のエッジの画素として、これらを代表する画素(例えば、明度値が最も高い画素や、配列順番が中央となる画素等)を用いてもよい。
【0039】
なお、切り欠き検出部105は、エッジ検出部103が検出した画像内のエッジの画素のそれぞれについて、最も近くに位置する近似曲線との距離(例えば、縦方向の距離)を算出し、各近似曲線について取得された複数の距離のうちの最も長い距離と対応付けられた画像内のエッジの画素の座標を、各近似曲線に対応するワークの切り欠きの位置を示す情報として取得してもよい。
【0040】
切り欠き検出部105は、例えば、上記で検出した切り欠きの画素の座標を取得する。ここでの座標は、少なくとも横方向の座標(例えば、x座標)を含む座標である。例えば、切り欠き検出部105は、一のワークについて取得した切り欠きの座標を、一のワークと対応付けて(例えば、ワークの高さ方向の配列順番と対応付けて)取得する。
【0041】
なお、切り欠き検出部105は、エッジ曲線取得部104が一のワークについて近似曲線を取得するごとに、このワークについて切り欠きを検出してもよく、エッジ曲線取得部104が全てのワークについて近似曲線を取得した後、各ワークについて切り欠きを検出してもよく、その処理の順番等は上記に限定されない。
【0042】
位置取得部106は、切り欠き検出部105が検出した切り欠きの位置を示す切り欠き位置情報を、各ワークについて取得する。切り欠き位置情報は、例えば、切り欠きの位置の各ワークの正面に対するずれ量であり、例えば、ずれ角である。ずれ角とは、例えば、ワークの正面方向(言い換えれば前後方向)に対して、ワークの中心とワークの切り欠き(好ましくは、切り欠きの中心)とを結ぶ直線がなす角度である。ワークの切り欠きの中心は、例えば、切り欠きの左右方向(言い換えればワークの周に沿った方向)における中心である。
【0043】
例えば、位置取得部106は、エッジ曲線取得部104が各ワークについて取得したエッジの近似曲線について、停留点を検出し、停留点の、画像内の横方向の位置情報(例えば、x座標)を取得する。停留点とは、例えば、極大値や極小値等の、エッジの近似曲線の微分が0となる任意の点である。例えば、各ワークの停留点を通って縦方向に伸びる仮想の直線上に各ワークの中心が位置している。ワークの中心から停留点に向かう方向が正面方向である。位置取得部106は、各ワークの停留点と、切り欠き検出部105が各ワークについて検出した切り欠き(好ましくは切り欠きの中央)との間の、横方向の距離(x軸方向の距離)を取得する。例えば、位置取得部106は、画素単位で表される各ワークの停留点のx座標と、各ワークの切り欠きの画素のx座標との差を取得し、取得した画像上の距離を、格納部(図示せず)に予め格納されている1画素当たりの実際の距離を利用して、実際のワーク上での距離(例えば、mm等)に変換する。例えば、サンプルとなる画像を用いてウエハの順番ごとに画素当たりの実際の距離を算出し、この画素当たりの距離をウエハの順番ごとに利用して実際の距離を算出する。
【0044】
位置取得部106は、上記で取得した停留点と切り欠きとの横方向の距離を用いて、各ワークについて、切り欠き位置情報であるずれ角を取得する。例えば、ずれ角は、上記で取得した横方向の距離と、予め格納部(図示せず)に格納されているワークの半径とを用いて算出する。ずれ角は、例えば、以下の式(1)を用いて算出する。
【数1】
【0045】
式(1)において、θはずれ角、Dは停留点と切り欠きとの横方向の距離、Rはワークの半径とする。なお、切り欠きの位置としては、例えば、切り欠きの中心の位置(例えば、切り欠き検出部105が検出する各ワークの切り欠きの区間の左右方向の中心を示すx座標等)を用いてもよい。この式の詳細については後述する。ずれ角を算出する式は上記に限定されない。また、切り欠き位置情報として、ずれ角の代わりに、各ウエハの停留点と切り欠きとの間の横方向の距離を取得してもよい。また、位置取得部106は、複数のワークの停留点を検出した後、各ワークの切り欠き位置情報を取得してもよく、一のワークの停留点を検出するごとに切り欠き位置情報を取得してもよい。
【0046】
出力部107は、位置取得部106が各ワークについて取得した切り欠き位置情報を出力する。例えば、出力部107は、各ワークについて取得された切り欠き位置情報を、各ワークの識別子と対応付けて出力する。ワークの識別子は、例えば、ワークの縦方向の配列順番を示す情報を含む情報である。ここでの出力とは、モニタへの表示、外部の装置への送信、記録媒体への蓄積、ワークを用いた処理等を行う他の処理装置や他のプログラムなどへの処理結果の引渡しなどを含む概念である。
【0047】
次に、切り欠き検出装置1の動作の一例について図2のフローチャートを用いて説明する。撮影部101は、容器等に収納された1以上の円形状のワークを、傾斜した角度から撮影する(ステップS101)。画像取得部102は、ステップS101で撮影された画像を受け付ける(ステップS102)。エッジ検出部103は、ステップS102で取得された画像内のエッジを検出する(ステップS103)この処理は、例えば、画像に対してエッジ検出フィルタを適用する処理である。エッジ検出部103は、エッジを検出した画像に対し、輪郭抽出の処理を行う(ステップS104)。エッジ検出部103は、等間隔で複数の画素列を走査して、輪郭上の画素を検出する(ステップS105)。各ウエハのエッジの上下の輪郭上の画素の中間点の座標を取得する(ステップS106)。この中間点は、各ウエハの実測点に相当する。エッジ曲線取得部104は、カウンターkの値として1を代入する(ステップS107)。エッジ曲線取得部104は、k番目のウエハについて、等間隔で配置された複数の実測点で構成される組であって、重複する実測点を有さない複数の実測点の組を取得する(ステップS108)。ここでの等間隔で配置された実測点とは、例えば、横方向の座標距離が等間隔である実測点であるが、同じ数の実測点ごとに配置された実測点としてもよい。エッジ曲線取得部104は、ステップS108で取得した組ごとの実測点を用いて、組ごとに近似曲線を取得する(ステップS109)。エッジ曲線取得部104は、ステップS109で取得した近似曲線の各係数の平均を同じ次数の項の係数の値として有する近似曲線を、k番目のウエハのエッジの近似曲線として取得する(ステップS110)。エッジ曲線取得部104は、カウンターkの値を1インクリメントする(ステップS111)。エッジ曲線取得部104は、k番目のウエハがあるか判断し、ある場合、ステップS108に戻り、ない場合、ステップS113に進む(ステップS112)。切り欠き検出部105は、ステップS110で取得された近似曲線と、ステップS102で受信した画像とを用いて、各ワークの切り欠きを検出する(ステップS113)。なお、ステップS102で受信した画像として、この画像に対して、グレースケール化等の予め決められた画像処理を行って取得した画像を用いてもよい。位置取得部106は、ステップS113で各ワークにおいて検出された切り欠きについて、切り欠き位置情報を取得する(ステップS114)。出力部107は、ステップS114で各ワークについて取得された切り欠き位置情報を、例えば、各ワークと対応付けて出力する(ステップS115)。そして、処理を終了する。
【0048】
なお、ステップS108においては、エッジ曲線取得部104が、等間隔で配置された複数の実測点で構成される組を取得するようにしたが、エッジ曲線取得部104は、予め決められた間隔で配置された複数の実測点で構成される組を取得すればよく、この予め決められた間隔は、一定の間隔でなくてもよい。例えば、この予め決められた間隔は、画像の中心側では狭く、外側では広い間隔のように、画像内の場所等によって異なる間隔であってもよい。
【0049】
以下、本実施の形態における切り欠き検出装置1の具体的な動作について説明する。この具体例においては、画像内のエッジ検出と、輪郭抽出とを用いて、ウエハのエッジの近似曲線を取得する場合を例に挙げて説明する。ここでは、撮影対象が、FOUP内に収納された25枚のワークである場合について説明する。ワークは直径300mm、厚さ0.775mmのウエハであり、ウエハは10mm間隔でFOUP内に縦に平行に配列されて収納されるものとする。
【0050】
図3(a)は、25枚のウエハが収納されたFOUPを、FOUPの開口部側、即ち正面側から示す図である。
【0051】
撮影部101は、図3(a)に示したFOUP内に収納された25枚のウエハを、FOUPの開口部が設けられている側面に対向する位置であって、ウエハ表面に対して上方に傾斜した角度となる位置から撮影して、静止画像を取得する。ここでは、FOUPの上下に位置する段差等の、25枚のウエハ以外の、エッジが検出されうる部分が映り込まないように、図3(a)の点線で示した領域29を撮影している。
【0052】
図3(b)は、撮影部101が撮影した画像を示す図である。撮影された画像は、ここではカラー画像であるとする。また、各ウエハの切り欠きであるノッチがFOUPの開口部側、即ち正面側に位置しているものとする。
【0053】
エッジ検出部103は、図3(b)の画像に対してグレースケール化を行った後、Canny法によるエッジ検出処理を行う。
【0054】
図3(c)は、エッジ検出部103がCanny法によるエッジ検出の処理を行って取得した画像である。図において、白に近い色の画素(言い換えれば、明度値が大きい画素)が、検出された画像内のエッジの画素であるとする。
【0055】
エッジ検出部103は、図3(c)に示した画像について、輪郭抽出の処理を行う。
【0056】
図3(d)は、エッジ検出部103が輪郭抽出の処理を行って取得した画像を示す図である。画像は輪郭抽出処理により白黒化されている。各ウエハのエッジの上下の端に沿って位置する白に近い色の画素が、各ウエハのエッジの上下の輪郭の線である。
【0057】
次に、エッジ検出部103は、図3(d)に示した画像内の、幅が画像全体の幅の60%となる中央側の領域であって、上部を予め決められた距離である1830ピクセルだけ除外した領域30において、縦方向に等間隔で走査を行って、輪郭抽出で抽出された各ウエハのエッジの上下の輪郭の画素を検出して、検出した画素のXY座標を取得し、格納部(図示せず)に蓄積する。縦方向に走査を行う間隔(言い換えれば走査を行う画素列間の間隔)を、ここでは、間隔Wとする。例えば、エッジ検出部103は、まず、図3(d)に示した画像の、左端に対して全体の横幅の20%だけ右側に位置する画素列(即ち縦方向の画素の並び)の上部を走査して、エッジ検出によりエッジと判断された複数の画素を検出する。この走査は、画素列上部の1830ピクセルだけ除いた領域に対して行われる。そして、検出した各画素の座標を格納部(図示せず)に蓄積する。同様の処理を、上記の画素列から、予め決められた間隔Wを隔てた画素列ごとに行って、それぞれの画素列について検出したエッジと判断された画素の座標を格納部に蓄積する。この処理は、画像の右端に対して全体の横幅の20%だけ左側に位置する画素列に達するまで行う。
【0058】
なお、縦方向に走査する間隔W(走査する画素列間のx座標の差)は、1ピクセル以上であればよい。この具体例においては、例えば、縦方向に走査する間隔Wを2ピクセル以上としている。走査方向は、上から下でも、下から上でもよく、その方向は問わない。また、ここでは、走査時間を短縮するために、縦方向に走査を行う範囲を、画像全体の60%となる領域としているが、この範囲は60%に限定されない。同様に、各画素列の上部の1830ピクセルを走査の対象から除外しているが、この距離は、一番上のウエハの輪郭の画素を除外しない範囲であれば、上記の範囲に限定されない。この距離は、例えば、画像内のウエハが含まれない部分を除外することが可能となる距離に設定する。例えば、FOUP等の容器が同じ容器であり、この容器が配置される位置と、ウエハを撮影するカメラ等の位置が一定の場合には、画像内におけるウエハが写っていない領域等は通常は一定の位置となるため、この距離としては、予め設定された固定値を用いるようにしてもよい。また、各画素列の上部を走査の対象から除外しないようにしてもよい。また、画素列の下部のウエハが写っていない領域を走査対象から除外するようにしてもよい。また、走査を行う画素列の順番等は上記に限定されない。
【0059】
図3(e)は、エッジ検出部103が検出した輪郭の画素を示す模式図であり、図3(d)の領域30内の一部の領域31内で検出された輪郭の画素のそれぞれを丸32で囲って示している。
【0060】
エッジ検出部103は、上記で検出した各ウエハのエッジの上下の輪郭の画素のうちの、横方向の位置が同じ(即ちx座標が同じ位置)である画素について、それぞれ、中間点の画素を検出し、検出した中間点の画素の座標を取得する。
【0061】
具体的には、上記で領域30から取得して蓄積した複数の画素の座標うちの、x座標が同じである座標について、それぞれ、y座標が示す値が、下から2n-1番目と2n番目の位置であることを示す座標を、nの値として1から25までの整数をそれぞれ代入して読み出し、読み出した2つの座標の中間点となる座標を取得し、取得した座標を、下からn番目のウエハの実測点の座標として、格納部(図示せず)に蓄積する。x座標が同じである座標は、同じ画素列を走査して取得された複数のウエハのエッジの上下の輪郭の画素である。例えば、下から1番目と2番目の位置となる座標を読み出し、その中間点となる座標を取得し、その座標を、下から1番目のウエハの実測点の座標として蓄積する。また、例えば、下から7番目と8番目の位置となる座標を読み出し、その中間点となる座標を取得し、その座標を、下から4番目のウエハの実測点の座標として蓄積する。例えば、中間点の画素のx座標は、上下の画素のx座標と同じ値であり、y座標は、上下の画素のy座標の平均値である。なお、エッジ検出部103は、x座標が同じである座標であって、y座標の距離が閾値以下である2つの座標の中間点の座標を、各ウエハのエッジの座標として取得してもよい。この閾値は、ウエハ間の距離よりも十分に短い値であって、ウエハの厚さ以上の距離であることが好ましい。
【0062】
ここでは、一例として、実測点の座標を、nの値と対応付けて、格納部(図示せず)に蓄積する。実測点と対応付けられたnの値は、実測点に対応するFOUP内のウエハを、下からの順番で特定する値として用いられる。なお、ここでは、FOUP内の各ウエハの実測点の座標を、下のウエハから上のウエハに向かって順番に取得する場合について説明したが、実測点を取得するウエハの順番は上記に限定されない。例えば、上のウエハから下のウエハに向かって順番に、各ウエハの実測点の座標を取得するようにしてもよい。
【0063】
図3(f)は、エッジ検出部103が検出した一のウエハのエッジの上下の輪郭の画素と、上下の輪郭の画素のうちの、横方向の位置が同じである上下の画素についてそれぞれ検出した中間点の画素とを示す図である。図において、ウエハのエッジの上下の輪郭を線34で示しており、画素列を走査して検出された輪郭の画素は、丸32で囲って示しており、中間点の画素は、点線の丸33で示されている。
【0064】
図4(a)は、エッジ検出部103が画素列を走査して検出したウエハのエッジの上下の輪郭の画素を、図3(b)に示した画像の一部にプロットした図である。点42は、ウエハのエッジの上下の輪郭の画素である。
【0065】
また、図4(b)は、エッジ検出部103が取得した上下の輪郭の画素の中間点である実測点の画素を、図3(b)に示した画像の一部にプロットした図である。点43は、実測点の画素である。
【0066】
図4(c)は、実測点を用いて近似曲線を取得する処理を説明するための図である。図において、線41がウエハのエッジを示し、丸A1~A6、丸B1~B6、丸C1~C6等の丸は、ウエハのエッジの実測点であるとする。
【0067】
次に、エッジ曲線取得部104は、上記で取得した実測点において、下から1番目のウエハについて取得した複数の実測点、即ち、n=1と対応付けられた複数の実測点を用いて、以下のように、下から1番目のウエハのエッジの近似曲線(ここでは、一例として、次数が6次である多項式)を取得する。
【0068】
まず、エッジ曲線取得部104は、下から1番目のウエハの複数の実測点のうちの、左から1番目の実測点から、右に向かって順番に、横方向の座標間隔が、予め決められた一定の間隔で配置されている複数の実測点を検出する。横方向の座標間隔は、ここでは、x座標の間隔であり、例えば、x軸方向の距離と考えてもよい。例えば、一のウエハについて取得する実測点の組の数をqとした場合、ここでの一定の間隔は、エッジ検出部103が縦方向に走査を行った間隔W(言い換えれば、走査を行った画素列間の間隔)に、qを乗算した値W×qである。ただし、一定の間隔は、W×q以上の間隔であってもよい。
【0069】
なお、この具体例においては、エッジ検出部103が、上記のような間隔W毎の縦方向の走査に加えて、さらに、間隔Wの間の1以上の位置において(言い換えれば、間隔Wで走査された画素列間に位置する1以上の画素列において)、上記と同様に縦方向に画素を走査して、輪郭抽出で抽出された各ウエハのエッジの上下の輪郭の画素を検出して、検出した画素のXY座標を取得して、格納部(図示せず)に蓄積するようにし、ここで各画素列について取得した各ウエハのエッジの上下の輪郭の画素についても、上記と同様に中間点の画素を検出し、検出した中間点の画素の座標を、予備の実測点の座標として、各ウエハと対応付けて(例えば、ウエハの配列順番と対応付けて)取得するようにしている。ここでの間隔Wの間の1以上の位置は、間隔Wを等間隔で分割する1または2以上の位置であることが好ましいが、これに限定されない。
【0070】
そして、エッジ曲線取得部104は、上記のようにn番目のウエハについて実測点の組を検出するために、一の実測点に対して、x座標が一定の間隔W×qを隔てて右側に配置されている実測点の座標を検出する際に、一定の間隔W×qを隔てて配置された実測点のy座標と、一の実測点のy座標との差(即ち高さ方向の距離)が、予め決められた規定量以内であるか判断し、規定量以内であれば、検出された実測点の座標を取得し、規定量以内でない場合には、例えば、上記で検出した一定の間隔W×qを隔てて配置された実測点の座標を破棄し、n番目のウエハについて取得された予備の実測点の座標の中から、一の実測点とのy座標の差(即ち高さ方向の距離)が、予め決められた規定量以内となる予備の実測点の座標であって、横方向の位置が、一の実測点から右側に一定の間隔W×qを隔てた位置に最も近い予備の実測点の座標を検出し、この予備の実測点の座標を、一の実測点に対して、x座標が一定の間隔W×qを隔てて右側に配置されている実測点の座標の代わりに採用する。ここで採用する予備の実測点は、一の実測点から一定の間隔W×qを隔てた位置よりも、右側に位置する予備の実測点としてもよく、左側に位置する予備の実測点としてもよく、いずれの側の予備の実測点を採用するかは問わない。
【0071】
これにより、撮影された画像の状態等により、ウエハのエッジ上の画素ではないにもかかわらず、誤って検出されてしまった実測点のような、不適切な実測点を誤って採用しないようにすることができる。ここでの規定量は、異なるウエハの実測点を採用しないような値とすることが好ましい。例えば、ここでの規定量としては、画像内の同じウエハのエッジ上の、横方向の座標間隔が上述した一定の間隔である座標間のy座標の間隔がとりうる値(例えば、最大値)等である。
【0072】
一の実測点に対して、一定の間隔W×qを隔てて配置されている実測点の代わりに、上述した予備の実測点の座標を採用した場合には、次の一定の間隔を隔てた実測点としては、一の実測点から横方向に一定の間隔W×qを隔てた位置に対して、一定の間隔を隔てた実測点を検出するようにしてもよく、採用した予備の実測点の座標に対して、一定の間隔を隔てた実測点を検出するようにしてもよい。
【0073】
なお、エッジ曲線取得部104は、一の実測点に対して、x座標が一定の間隔W×qを隔てて右側に配置されている実測点の座標を、y座標との差が予め決められた規定量以内であるか判断せずに採用するようにしてもよく、この場合、エッジ検出部103が、予備の実測点の座標を取得するための処理は行わなくてよい。
【0074】
また、エッジ検出部103が、間隔W毎に縦方向に走査を行った場合において、1以上の位置において、ワークのエッジの輪郭の画素を2×FOUP内のウエハの枚数、ここでは、2×25=50個検出できなかった場合、その画素列については、上記のようにワークごとの実測点を取得しないようにしてもよい。この場合において、q組の実測点の組を取得する際に、一のワークについて取得した実測点の中に、一の実測点から一定の間隔W×qを隔てて配置されている実測点がない場合、エッジ曲線取得部104は、上記のように、この一の実測点から一定の間隔W×qを隔てた位置に最も近い予備の実測点であって、同じワークについて取得された予備の実測点を、一の画素から一定の間隔W×qを隔てて配置されている実測点の代わりに取得するようにしてもよい。
【0075】
エッジ曲線取得部104は、検出した実測点の座標を用いて、1番目の近似曲線を示す多項式を取得する。同様に、左から2番目からq番目(2≦q)までの実測点のそれぞれについても、横方向の座標間隔が、上記と同じ座標間隔ごとに配置されている複数の実測点を検出し、検出した実測点をそれぞれ用いて2からq番目までの近似曲線を示す多項式を取得する。そして、取得した1~q番目までの多項式の、同じ次数の項の係数の平均値を算出し、算出した係数の平均値を、それぞれに対応する次数の項の係数として有する多項式を、各ウエハのエッジの近似曲線として取得する。
【0076】
例えば、上記において、q=5である場合を考えると、図4(c)において、下から1番目のウエハ41の、左から1番目の実測点A1から、x座標の間隔がW×qごとに実測点A2~A6を取得し、取得した実測点A1~A6を用いて、以下の式(2)の1番目に示すような、近似曲線を示す多項式Aを取得する。また、下から1番目のウエハ41の、左から2番目の実測点B1から、x座標の間隔がW×qごとに実測点B2~B6を取得し、取得した実測点B1~B6を用いて、以下の式(2)に示すような、近似曲線を示す2番目の多項式Bを取得し、左から3番目の実測点C1から、x座標の間隔がW×qごとに実測点C2~C6を取得し、取得した実測点C1~C6を用いて、以下の式(2)に示すような、近似曲線である3番目の多項式Cを取得する。同様にして、左から4番目の実測点および5番目の実測点についても、多項式A~Cと同様に、4番目および5番目の多項式を取得する。取得する多項式は、通常、次数が同じ多項式である。
【0077】
【数2】
【0078】
なお、式(2)において、PからP、QからQ、RからR、SからS、TからT、UからUは、近似曲線の係数であるとする。
【0079】
そして、エッジ曲線取得部104は、上記で下から1番目のウエハについて取得した複数の多項式について、同じ次数の項の係数についての平均値を取得し、それぞれの次数の項について取得した係数の平均値を、同じ次数の項の係数として有する多項式を、1番目のウエハのエッジの近似曲線を示す多項式として取得する。例えば、上記の式(2)に示す複数の多項式の、xの係数P-P等の平均値P、xの係数Q-Q等の平均値Q、xの係数R-R等の平均値R、xの係数S-S等の平均値S、xの係数T-T等の平均値T、xの係数U-U等の平均値Uを算出し、算出した係数を有する多項式y=PX+QX+Rx+Sx+Tx+Uを、下から1番目のウエハのエッジの近似曲線を示す多項式yとして取得する。
【0080】
同様にして、下から2番目以降のウエハについて取得した実測点をそれぞれ用いて、下から2番目以降の各ウエハについても、ウエハのエッジの近似曲線を示す多項式を取得する。
【0081】
なお、ここで用いたqの値は一例であり、上記の値に限定されない。また、ここでは、ウエハごとに、左側の実測点から右方向に向かって横方向の間隔が一定の間隔となるよう配置された複数の実測点の組を検出するようにしたが、ウエハごとに複数の実測点の組を検出する方向は、右方向に限定されない。例えば、エッジ曲線取得部104は、右側の実測点から左方向に向かって、横方向の間隔が一定の間隔を隔てた実測点を検出してもよく、任意の位置の実測点から、左右方向に向かってそれぞれ、横方向の間隔が一定の間隔を隔てた実測点を検出してもよい。
【0082】
切り欠き検出部105は、図3(b)等に示した画像取得部102が取得した画像内の、1番目のウエハについて取得した多項式yが示す近似曲線上の各画素について、それぞれ、その画素と、その画素から、上5ピクセル、下2ピクセルの画素の輝度値を取得して、取得した輝度値の平均を、1番目のウエハのエッジの各画素の輝度値として取得する。そして、取得したエッジの画素の輝度値の、x軸方向において隣り合う画素間の変化率を算出し、輝度値の増加率が最も高い位置のx座標と、輝度値の減少率が最も低い位置のx座標とを、ノッチの両端のx座標として取得する。そして、その両端のx座標の左右方向の中心のx座標を、ノッチの中心を示すx座標として取得し、1番目のウエハと対応付けて、格納部(図示せず)に蓄積する。切り欠き検出部105は、同様の処理を、残りの24枚のウエハについても行う。
【0083】
図5(a)は、上から3番目のウエハについて取得した複数の実測点45を、図3(c)に示すような、実測点45を取得した画像に対してエッジの検出を行って得られた画像にプロットした図であり、図5(b)は、この実測点を用いて取得された近似曲線46を示す図である。
【0084】
位置取得部106は、1番目のウエハについてエッジ曲線取得部104が取得した近似曲線において停留点を検出し、停留点のx座標を取得する。そして、上記で切り欠き検出部105が1番目のウエハについて取得したノッチの中心のx座標と、停留点のx座標との間の距離を算出する。距離は、画素単位の距離から、ウエハ上の実際の距離に換算する。そして、算出した距離と、ウエハの半径である150mmとを、上述した式(1)に代入して、切り欠き位置情報であるノッチのずれ角を算出する。位置取得部106は、同様の処理を、残りの24枚のウエハについても行う。
【0085】
図5(c)は、図3(c)に示したようなエッジの検出を行って得られた画像における上から3番目のウエハのエッジの画素の座標と、この3番目のウエハについて取得された近似曲線との関係を示すグラフである。図において、実線50は、ウエハのエッジの画素であり、点線51は、ウエハについて取得された近似曲線を示す。また、距離Dは、近似曲線の停留点52とノッチの中心53とのx軸方向の距離を示す。
【0086】
図5(d)は、ノッチのずれ角θと、ウエハの半径Rと、ウエハの停留点とノッチの中心との距離Dとの関係を示す模式図である。ウエハの停留点を通るx軸に垂直な直線上に、ウエハの中心Oが存在すると考えられることから、一般的なウエハのように、ノッチの深さがウエハの半径よりも十分に小さい値である場合(例えば、ノッチの深さが規格値である1mm等である場合)、ノッチのずれ角θと、ウエハの半径Rと、ウエハの停留点とノッチの中心との距離Dとの関係は、図5(d)に示すようになり、式(1)により、ノッチのずれ角を算出することができる。
【0087】
出力部107は、位置取得部106が各ウエハについて取得した切り欠き位置情報であるノッチのずれ角を、ウエハと対応付けて(例えば、ウエハの上からの配列順番と対応付けて)、ウエハに対して処理を行う処理装置(図示せず)等に出力する。処理装置は、例えば、切り欠き位置情報から、FOUPに収納されている各ウエハのノッチのずれ角がわかるため、搬送装置(図示せず)等がFOUPからウエハを取り出して処理装置に渡す際に、ウエハごとにウエハアライナ等を別途用いて、ウエハの方向検出を行う処理等が不要となる。
【0088】
以上、本実施の形態によれば、ワークを撮影した画像によりワークの切り欠きの位置を示す情報を取得でき、例えば、アライナを用いずに、ワークを移動させることなく、ワークの切り欠きの位置を短時間で容易に検出できる。また、複数のワークを撮影した画像を用いて複数のワークの切り欠きの位置を一度に検出できる。
【0089】
(実施の形態2)
本実施の形態は、上記の切り欠き検出装置において、ワークのエッジに対してレーザ光を照射して撮影した画像を用いて、切り欠き位置情報を取得するようにしたものである。
【0090】
図6は、本実施の形態の切り欠き検出装置2のブロック図である。切り欠き検出装置2は、上記実施の形態の切り欠き検出装置1において、撮影部101、画像取得部102、およびエッジ検出部103に代えて、撮影部201、画像取得部202、およびエッジ検出部203を備え、さらに、照射部301および照射変更部302を備えたものである。照射変更部302は、方向変更部3021と位置変更部3022とを備えている。
【0091】
図7(a)は、切り欠き検出装置2の構成の一例を説明するための平面模式図であり、図7(b)は、側面模式図である。図7(a)の右方向が、ここでは正面方向であるとする。撮影部201は、ここでは一例として、FOUP等の容器(図示せず)に収納された1または2以上のワーク60の表面に対し垂直な、ワーク60の中心Oが位置する仮想平面上に、光軸201aが位置し、左右方向が水平となるように配置されている。撮影部201は、ワーク60の正面(例えば、容器側面の開口部に露出する部分)を、ワーク60表面に対して傾斜した角度から撮影可能となるよう、光軸201aがワーク60表面に傾斜して配置されている。
【0092】
照射部301は、1または2以上の円形状のワーク60のエッジ(好ましくは、ワークの正面側のエッジ)に対してレーザ光を照射する。例えば、照射部301は、レーザ光の照射領域が鉛直方向に伸びる帯状であるレーザ光を、ワーク60の側面側から照射して2以上のワーク60のエッジに、同時にレーザ光を照射する。帯状であるレーザ光を照射する照射部301は、例えば、レーザ墨出し器により実現可能である。レーザ墨出し器は、点光源から出射されるレーザ光を、ロッドレンズを用いて帯状のレーザ光にするものである。なお、点光源のレーザ光を縦に走査することで、帯状にレーザ光を照射してもよい。
【0093】
照射変更部302は、1または2以上のワーク60のエッジの異なる位置にレーザ光が照射されるよう、照射部301の位置およびレーザ光の照射方向(以下、単に照射方向と呼ぶ場合がある)を変更する。例えば、照射変更部302は、ワーク60の正面側(撮影部201に近い側)のエッジの異なる位置にレーザ光が照射されるように照射方向を変更する。照射部301の位置はレーザ光の出射位置と考えてもよい。照射部301は、例えば、照射変更部302に取り付けられ位置および照射方向が変更される。
【0094】
照射変更部302は、照射部301からワーク60のエッジに照射されたレーザ光が撮影部201により撮影可能となるよう(例えば、反射光が撮影可能となるよう)、照射部301の位置と照射方向とを変更することが好ましい。例えば、照射変更部302は、ワーク60のエッジで反射されたレーザ光が撮影部201の光学系(例えば、レンズ等)に入射されるよう、照射部301の位置と照射方向とを変更することが好ましい。
【0095】
照射変更部302は、例えば、1または2以上のワーク60のエッジに対して隙間なくレーザ光が照射されるよう、照射部301の位置およびレーザ光の照射方向を変更することが好ましい。照射変更部302は、例えば、ワーク60のエッジに対して連続的にレーザ光が照射されるよう、照射部301の位置およびレーザ光の照射方向を変更してもよい。照射変更部302は、複数のワーク60のエッジに対して同時に、レーザ光が照射可能となるよう、照射部301の位置および照射方向を変更することが好ましい。
【0096】
方向変更部3021は、照射部301が照射する帯状のレーザ光の長手方向が鉛直方向となるよう照射部301に取り付けられ、照射部301を水平方向に回転させてレーザ光の照射方向を水平方向において変更する。ここでは、方向変更部3021が、上部に取り付けられた照射部301を水平方向に回転可能であり、その回転角度を制御可能な回転台である例について説明する。
【0097】
位置変更部3022は、方向変更部3021に取り付けられ、容器に収納された1以上のワーク60の正面に対向する位置において、左右方向に移動する。ここでは、位置変更部3022が、ワーク60の正面方向に対して垂直となるよう、水平かつ左右に直線状に伸びているレール3022aを移動する移動体である例について説明する。
【0098】
方向変更部3021の回転の制御、および照射部の移動の制御は、例えば、切り欠き検出装置2が有する制御部(図示せず)が行う。方向変更部3021の回転の制御と、位置変更部3022の移動の制御との組み合わせにより、照射部301の位置と、レーザ光の照射方向とを制御することが可能である。
【0099】
なお、照射変更部302は、上記のような構成に限定されない。例えば、照射変更部302は、上記の方向変更部3021と位置変更部3022とを備えていなくてもよい。例えば、照射変更部302は、照射部301が取り付けられ、照射部301の位置および方向を変更可能な多関節のロボットアームであってもよい。また、方向変更部3021は、照射部301が取り付けられ、左右方向にスイングするアームでもよい。また、自動墨出し器が照射方向を変更する手段(図示せず)を有する場合、これを方向変更部3021としてもよい。
【0100】
撮影部201は、照射変更部302が照射部301の位置およびレーザ光の照射方向を変更することにより、エッジの複数の異なる位置にレーザ光が照射された状態の1または2以上のワークを、ワークの表面に対して傾斜した角度から撮影する。例えば、撮影部201は、ワークのエッジによるレーザ光の反射光を撮影する。例えば、撮影部201は、照射変更部302により位置および照射方向が変更されるごとに照射部301によりレーザ光が照射されたワークを撮影して、エッジの異なる位置に(好ましくは、隙間が生じないよう)レーザ光が照射された複数の画像を取得してもよく、照射変更部302により位置および照射方向が変更されて、照射部301によりエッジの異なる位置に(好ましくは、隙間が生じないよう)レーザ光が照射されたワークを、長時間露光により撮影して、エッジの異なる位置にレーザ光が照射された一の画像を取得してもよい。例えば、照射変更部302により照射部301の位置および照射方向を連続的に変更して、レーザ光を照射する位置をワークのエッジ上において連続的に移動させながら、撮影部201がワークを長時間露光により撮影して、ワークのエッジに沿って隙間なく連続的にレーザ光が照射された一の画像を取得してもよい。これ以外の撮影部201の構成については、撮影部101と同様である。
【0101】
画像取得部202は、撮影部201が撮影した画像を受け付け、1または2以上の円形状のワークを、ワークの表面に対して傾斜した角度から撮影した画像を取得する。撮影部201が撮影した画像は、例えば、レーザ光がエッジの異なる位置に照射された状態の1または2以上のワークを撮影した画像である。例えば、撮影部201が撮影した画像が、長時間露光により撮影したエッジの異なる位置にレーザ光が照射された画像である場合、画像取得部102は、撮影部201が撮影した画像をそのまま上記の画像として取得する。また、撮影部201が撮影した画像が、照射部301の位置および照射方向を変更したごとに撮影された複数の画像である場合、撮影部201が撮影した複数の画像を受け付け、これらの画像を合成して、上記の画像を取得してもよい。これ以外の画像取得部202の構成については、画像取得部102と同様である。
【0102】
エッジ検出部203は、画像取得部202が取得した画像においてワークのエッジを検出する。エッジ検出部203は、例えば、上記実施の形態1のエッジ検出部103と同様の処理を行うことにより、ワークのエッジを検出する。例えば、エッジ検出部203は、各ワークについて複数の実測点を取得する。例えば、エッジ検出部203は、画像内のエッジを検出する処理や、画像内のエッジを検出する処理と、輪郭抽出等の処理との組み合わせや、ワークのエッジの上下に抽出される輪郭上の中間点の座標を取得すること等により、ワークのエッジを検出する。なお、エッジ検出部203は、例えば、明度が閾値よりも高い画素をワークのエッジとして検出してもよい。この閾値は、レーザ光の反射光の画素を検出するための閾値である。エッジ検出部203は、上述したエッジ検出のフィルタ処理等を行ってワークのエッジを検出してもよい。これ以外のエッジ検出部203の構成は、エッジ検出部103と同様である。
【0103】
図8(a)は、照射部301から、エッジにレーザ光を照射した状態の複数のワークを撮影部201が撮影した画像の一例を示す図である。図に示すように、ワークのエッジのレーザ光が照射された位置70は、画像内の他の部分よりも十分に高い明度となっていることから、例えば、エッジ検出フィルタ等を用いることで、ワークのエッジの画素を検出できる。ただし、明度が閾値よりも高い画素を検出することで、エッジの画素を検出することも可能である。
【0104】
なお、エッジ曲線取得部104や切り欠き検出部105、位置取得部106等は、画像取得部202が取得した画像を、画像取得部102が取得した画像の代わりに用い、エッジ検出部203が検出したワークのエッジを、エッジ検出部103が検出したワークのエッジの代わりに利用して上記実施の形態1と同様の処理を行う。例えば、エッジ曲線取得部104や位置取得部106等は、エッジ検出部103が検出したワークのエッジの画素の代わりに、エッジ検出部203が検出したワークのエッジの画素を実測点として利用して上記実施の形態1と同様の処理を行う。
【0105】
切り欠き検出装置2の動作については、照射部301の位置および照射方向を照射変更部302で変更して、正面側のエッジの異なる位置にレーザ光を照射した1または2以上のワークを撮影部201が撮影し、画像取得部202が撮影された画像を用いて取得した画像から、エッジ検出部203がレーザ光の反射光をワークのエッジとして検出する点を除けば、上記実施の形態の切り欠き検出装置1の動作と同様である。
【0106】
ここで、図7(a)を用いて、照射部301からワーク60のエッジに照射されたレーザ光が撮影部201により撮影可能な位置に反射されるようにするための、照射部301の位置と、レーザ光の照射方向との組み合わせについて説明する。
【0107】
図7(a)に示すように、照射部301がレーザ光を出射する位置と撮影部201の光軸との水平方向の距離をp、ワーク60のエッジの、レーザ光が当たる位置の角度をθ、レーザ光の、ワーク60のエッジに対する入射角および反射角をθ1、照射部301がレーザ光を照射する角度をθ2、ワーク60の半径をR,撮影部201と、ワーク60の中心Oとの水平方向の距離をLとする。ここでは、角度θは、撮影部201の光軸をワーク60表面に垂直に投影した仮想線に対する角度とする。また、照射部301がレーザ光を出射する位置は、この仮想線に垂直かつ水平な直線上を移動し、この直線とワーク60の中心Oとの距離もLであるとし、角度θ2はこの直線に対する角度とする。
【0108】
ワーク60のエッジの、角度θとなる位置にレーザ光を照射して、このレーザ光のエッジでの反射光を撮影部201で撮影する場合、以下の式(3)を満たすθ2と、pとを求め、照射変更部302がこの位置pに照射部301を移動させ、照射方向を角度θ2に変更した状態で、照射部301からレーザ光を照射して撮影部101により撮影すればよい。
【数3】
【0109】
例えば、ワーク60の半径Rが150mm、撮影部201と距離Lが300mmである場合、角度θ=15度となる位置にレーザ光を照射して、その反射光を撮影部201で撮影するためには、図7(c)のように、照射部301のレーザ光の出射位置pを190.4mmとし、レーザ光の照射角度θ2を45.6度に設定すればよい。
【0110】
また、θの異なる複数の位置に(好ましくは隙間なく)それぞれレーザ光を照射し、それぞれの反射光を撮影するためには、異なる複数のθについて、それぞれ、上記の式(3)を満たす関係となるように照射変更部302により照射部301の位置とレーザ光の照射方向とを変更して、照射部301が照射するレーザ光を撮影すればよい。
【0111】
図8(b)は、式(3)を用いて求めたワーク60のエッジに対して隙間なくレーザ光を照射し、その反射光を撮影するための、位置pと、角度θ2との関係を表すグラフである。ワーク60のエッジに対し、隙間なく連続的にレーザ光を照射しながら、その反射光を撮影する場合、図7(b)に示す関係となるよう、照射変更部302により照射部301の位置と照射方向とを変更しながら、照射部301からレーザ光を照射して撮影すればよい。
【0112】
なお、撮影部201と照射部301とワーク60等との位置関係は、撮影部201が、ワーク60の表面に対し傾斜した角度から撮影できるとともに、照射部301によりワーク60のエッジに照射されたレーザ光を撮影できれば、上記以外の位置関係でもよい。照射部301の位置と照射角度との関係は、これらの位置関係に応じ適宜変更すればよい。
【0113】
以上、本実施の形態によれば、エッジの異なる位置にレーザ光を照射した1以上のワークを撮影した画像を用いることにより、ワークを撮影した画像において、より確実にワークのエッジを検出することができ、精度よく短時間で切り欠きの位置を検出できる。
【0114】
なお、上記各実施の形態において、各構成要素は専用のハードウェアにより構成してもよく、ソフトウェアにより実現可能な構成要素は、ソフトウェアにより実現してもよい。
【0115】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0116】
1、2 切り欠き検出装置、101、201 撮影部、102、202 画像取得部、103、203 エッジ検出部、104 エッジ曲線取得部、105 切り欠き検出部、106 位置取得部、107 出力部、301 照射部、302 照射変更部、3021 方向変更部、3022 位置変更部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8