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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108747
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】検出装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20240805BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
G06F3/041 512
G06F3/041 580
G06F3/041 410
G06F3/044 124
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023013277
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 浩司
(57)【要約】
【課題】低コスト化や小型化が可能な検出装置を提供する。
【解決手段】検出装置1は、検出領域に設けられた複数のセンサ電極42と、固定電位である第1基準電位GND1に対して略一定の第1正電源電位VCC及び第1負電源電位VEEに基づき、周期的に変動する第2基準電位GND2を生成すると共に、当該第2基準電位GND2に対して略一定の第2電源電位VCOを生成する電源回路17aと、センサ電極42に駆動信号を供給し、センサ電極42に生じる検出信号を取得すると共に、駆動信号と同期した矩形波信号Txを出力するAFE回路15と、を備える。第2基準電位GND2は、矩形波信号Txと同期して変動する電位であり、AFE回路15は、電源回路17aから第2基準電位GND2が供給され、電源回路17aにより生成された第2電源電位VCOに基づき動作する。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出領域に設けられた複数のセンサ電極と、
固定電位である第1基準電位に対して略一定の第1電源電位に基づき、周期的に変動する第2基準電位を生成すると共に、当該第2基準電位に対して略一定の第2電源電位を生成する電源回路と、
前記センサ電極に駆動信号を供給し、前記センサ電極に生じる検出信号を取得すると共に、前記駆動信号と同期した矩形波信号を出力するAFE回路と、
を備え、
前記第2基準電位は、前記矩形波信号と同期して変動する電位であり、
前記AFE回路は、前記電源回路から前記第2基準電位が供給され、前記電源回路により生成された前記第2電源電位に基づき動作する、
検出装置。
【請求項2】
前記検出領域の周囲に設けられた周辺電極と、
前記複数のセンサ電極及び前記周辺電極と基板を介して設けられたシールド電極と、
をさらに有し、
前記周辺電極及び前記シールド電極に前記第2基準電位が供給されている、
請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記電源回路は、
前記矩形波信号の高周波成分を抑制するローパスフィルタを備える、
請求項2に記載の検出装置。
【請求項4】
前記電源回路は、
前記ローパスフィルタの後段に接続される演算増幅器を有し、
前記演算増幅器の出力電位よりも高電位の前記第2電源電位を生成し、
前記演算増幅器の出力電位よりも低電位の前記第2基準電位を生成する、
請求項3に記載の検出装置。
【請求項5】
前記第2電源電位は、前記演算増幅器の正電源電位であり、
前記第2基準電位は、前記演算増幅器の負電源電位である、
請求項4に記載の検出装置。
【請求項6】
前記電源回路は、
前記演算増幅器の非反転入力端子と出力端子との間に接続された正帰還抵抗と、
前記演算増幅器の反転入力端子と出力端子との間に接続された負帰還抵抗と、
前記演算増幅器の反転入力端子と前記第1基準電位との間に接続された接地抵抗と、
を含む、
請求項5に記載の検出装置。
【請求項7】
前記正帰還抵抗、前記負帰還抵抗、及び前記接地抵抗のうちの何れか1つ以上がデジタルポテンショメータで構成されている、
請求項6に記載の検出装置。
【請求項8】
前記電源回路は、
前記第1基準電位に対して略一定の第1正電源電位及び第1負電源電位が供給され、
前記第1正電源電位と前記演算増幅器の出力電位との分圧電位で駆動されるNPN型エミッタフォロワトランジスタの出力電位が前記演算増幅器の正電源電位として供給され、
前記演算増幅器の出力電位と前記第1負電源電位との分圧電位で駆動されるPNP型エミッタフォロワトランジスタの出力電位が前記演算増幅器の負電源電位として供給される、
請求項4から7の何れか一項に記載の検出装置。
【請求項9】
前記NPN型エミッタフォロワトランジスタのベースは、前記第1正電源電位と前記演算増幅器の出力電位との分圧電位が供給され、
前記NPN型エミッタフォロワトランジスタのコレクタは、前記第1正電源電位が供給され、
前記演算増幅器の正電源電位は、前記NPN型エミッタフォロワトランジスタのエミッタから供給され、
前記PNP型エミッタフォロワトランジスタのベースは、前記演算増幅器の出力電位と前記第1負電源電位との分圧電位が供給され、
前記PNP型エミッタフォロワトランジスタのコレクタは、前記第1負電源電位が供給され、
前記演算増幅器の負電源電位は、前記PNP型エミッタフォロワトランジスタのエミッタから供給される、
請求項8に記載の検出装置。
【請求項10】
前記NPN型エミッタフォロワトランジスタのベースと前記PNP型エミッタフォロワトランジスタのベースとの間にバイパスコンデンサが設けられている、
請求項9に記載の検出装置。
【請求項11】
前記電源回路は、
前記第1基準電位に対して略一定の第1正電源電位及び第1負電源電位が供給され、
前記第1正電源電位と前記演算増幅器の出力電位との分圧電位で駆動されるnチャネルソースフォロワトランジスタの出力電位が前記演算増幅器の正電源電位として供給され、
前記演算増幅器の出力電位と前記第1負電源電位との分圧電位で駆動されるpチャネルソースフォロワトランジスタの出力電位が前記演算増幅器の負電源電位として供給される、
請求項4から7の何れか一項に記載の検出装置。
【請求項12】
前記nチャネルソースフォロワトランジスタのゲートは、前記第1正電源電位と前記演算増幅器の出力電位との分圧電位が供給され、
前記nチャネルソースフォロワトランジスタのドレインは、前記第1正電源電位が供給され、
前記演算増幅器の正電源電位は、前記nチャネルソースフォロワトランジスタのソースから供給され、
前記pチャネルソースフォロワトランジスタのゲートは、前記演算増幅器の出力電位と前記第1負電源電位との分圧電位が供給され、
前記pチャネルソースフォロワトランジスタのドレインは、前記第1負電源電位が供給され、
前記演算増幅器の負電源電位は、前記pチャネルソースフォロワトランジスタのソースから供給される、
請求項11に記載の検出装置。
【請求項13】
前記nチャネルソースフォロワトランジスタのゲートと前記pチャネルソースフォロワトランジスタのゲートとの間にバイパスコンデンサが設けられている、
請求項12に記載の検出装置。
【請求項14】
前記電源回路は、
前記第1基準電位に対して略一定の第1電源電位が供給され、
前記第1電源電位と前記演算増幅器の出力電位との分圧電位で駆動されるNPN型エミッタフォロワトランジスタの出力電位が前記演算増幅器の正電源電位として供給され、
前記演算増幅器の出力電位と前記第1基準電位との分圧電位で駆動されるPNP型エミッタフォロワトランジスタの出力電位が前記演算増幅器の負電源電位として供給される、
請求項4から7の何れか一項に記載の検出装置。
【請求項15】
前記NPN型エミッタフォロワトランジスタのベースは、前記第1電源電位と前記演算増幅器の出力電位との分圧電位が供給され、
前記NPN型エミッタフォロワトランジスタのコレクタは、前記第1電源電位が供給され、
前記演算増幅器の正電源電位は、前記NPN型エミッタフォロワトランジスタのエミッタから供給され、
前記PNP型エミッタフォロワトランジスタのベースは、前記演算増幅器の出力電位と前記第1基準電位との分圧電位が供給され、
前記PNP型エミッタフォロワトランジスタのコレクタは、前記第1基準電位が供給され、
前記演算増幅器の負電源電位は、前記PNP型エミッタフォロワトランジスタのエミッタから供給される、
請求項14に記載の検出装置。
【請求項16】
前記NPN型エミッタフォロワトランジスタのベースと前記PNP型エミッタフォロワトランジスタのベースとの間にバイパスコンデンサが設けられている、
請求項15に記載の検出装置。
【請求項17】
前記電源回路は、
前記第1基準電位に対して略一定の第1電源電位が供給され、
前記第1電源電位と前記演算増幅器の出力電位との分圧電位で駆動されるnチャネルソースフォロワトランジスタの出力電位が前記演算増幅器の正電源電位として供給され、
前記演算増幅器の出力電位と前記第1基準電位との分圧電位で駆動されるpチャネルソースフォロワトランジスタの出力電位が前記演算増幅器の負電源電位として供給される、
請求項4から7の何れか一項に記載の検出装置。
【請求項18】
前記nチャネルソースフォロワトランジスタのゲートは、前記第1電源電位と前記演算増幅器の出力電位との分圧電位が供給され、
前記nチャネルソースフォロワトランジスタのドレインは、前記第1電源電位が供給され、
前記演算増幅器の正電源電位は、前記nチャネルソースフォロワトランジスタのソースから供給され、
前記pチャネルソースフォロワトランジスタのゲートは、前記演算増幅器の出力電位と前記第1基準電位との分圧電位が供給され、
前記pチャネルソースフォロワトランジスタのドレインは、前記第1基準電位が供給され、
前記演算増幅器の負電源電位は、前記pチャネルソースフォロワトランジスタのソースから供給される、
請求項17に記載の検出装置。
【請求項19】
前記nチャネルソースフォロワトランジスタのゲートと前記pチャネルソースフォロワトランジスタのゲートとの間にバイパスコンデンサが設けられている、
請求項18に記載の検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物体の近接を検出する検出装置が知られている(例えば特許文献1)。このような所謂ホバー検出(近接検出)機能を有する検出装置は、複数の検出電極と、これら複数の検出電極が設けられた検出領域の周囲に配置されるシールド電極と、が設けられ、シールド電極に対して電気信号が与えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第9151792号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ホバー検出精度を向上するために、検出回路を含む検出ブロックの接地電位を、検出用の信号に同期して周期的に変動する電位とし、当該電位を接地電位としてシールド電極に与える構成が考えられる。このような構成において、検出ブロックへの電源供給経路や信号伝送経路を電気的に絶縁するためのコストや大型化を抑制することが課題となる。
【0005】
本開示は、低コスト化や小型化が可能な検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る検出装置は、検出領域に設けられた複数のセンサ電極と、固定電位である第1基準電位に対して略一定の第1電源電位に基づき、周期的に変動する第2基準電位を生成すると共に、当該第2基準電位に対して略一定の第2電源電位を生成する電源回路と、前記センサ電極に駆動信号を供給し、前記センサ電極に生じる検出信号を取得すると共に、前記駆動信号と同期した矩形波信号を出力するAFE回路と、を備え、前記第2基準電位は、前記矩形波信号と同期して変動する電位であり、前記AFE回路は、前記電源回路から前記第2基準電位が供給され、前記電源回路により生成された前記第2電源電位に基づき動作する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係る検出装置の主要構成を示す図である。
図2A図2Aは、実施形態に係る検出装置のセンサ回路と表示パネルとを積層した概略断面構成の一例を示す模式図である。
図2B図2Bは、図2Aに示す概略断面構成の変形例を示す模式図である。
図3図3は、実施形態に係る検出装置のセンサ回路と表示パネルとの第1接続例を示す模式図である。
図4図4は、実施形態に係る検出装置のセンサ回路と表示パネルとの第2接続例を示す模式図である。
図5図5は、実施形態に係る検出装置のブロック構成の一例を示す図である。
図6図6は、センサ回路に対する近接物が位置P1の位置にある場合の周辺電極とセンサ電極から生じる電場における電気の流れを示す模式図である。
図7図7は、センサ回路に対する近接物が位置P2の位置にある場合の周辺電極とセンサ電極から生じる電場における電気の流れを示す模式図である。
図8図8は、センサ電極の各々から得られる検出信号強度の例を示す模式的なグラフである。
図9図9は、実施形態に係る検出装置の機能的な回路ブロック構成の一例を示す図である。
図10図10は、検出装置におけるホバー検出動作の一例を示すフローチャートである。
図11図11は、周波数ホッピングが可能な検出装置の動作の流れの一例を示すタイミングチャートである。
図12図12は、実施形態1に係る検出装置のブロック構成の一例を示す図である。
図13図13は、実施形態1に係る検出装置の機能的な回路ブロック構成の一例を示す図である。
図14図14は、実施形態1に係る電源回路の要部構成の一例を示すブロック図である。
図15図15は、実施形態1に係る電源回路の動作例を示す図である。
図16図16は、実施形態2に係る検出装置のブロック構成の一例を示す図である。
図17図17は、実施形態2に係る検出装置の機能的な回路ブロック構成の一例を示す図である。
図18図18は、実施形態2に係る電源回路の要部構成の一例を示すブロック図である。
図19図19は、実施形態2に係る電源回路の動作例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。また、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
本明細書及び特許請求の範囲において、ある構造体の上に他の構造体を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある構造体に接するように、直上に他の構造体を配置する場合と、ある構造体の上方に、さらに別の構造体を介して他の構造体を配置する場合との両方を含むものとする。
【0010】
図1は、実施形態に係る検出装置1の主要構成を示す図である。図1に示すように、検出装置1は、センサ回路40と、検出回路2と、を備える。
【0011】
センサ回路40は、基板43上に、複数のセンサ電極(第1電極)42と、周辺電極(第2電極)41と、が設けられている。検出装置1は、センサ回路40の検出面に接触していない状態で、指等の被検出体の位置や動きの検出(以下、「ホバー検出」とも称する)を行うホバー検出装置である。本開示において、検出装置1は、自己静電容量方式のホバー検出を行う。
【0012】
センサ回路40は、検出領域SAと、検出領域SAの外側の周辺領域BEとを有する。検出領域SAは、センサ電極42が設けられた領域であり、検出面に近接する被検出体を検出するための領域である。周辺領域BEは、検出領域SAの外側のセンサ電極42が設けられない領域であり、検出領域SAの四辺に沿って周辺電極41が設けられた領域である。
【0013】
なお、以下の説明において、第1方向Dxは、基板43と平行な面内の一方向である。第2方向Dyは、基板43と平行な面内の一方向であり、第1方向Dxと直交する方向である。なお、第2方向Dyは、第1方向Dxと直交しないで交差してもよい。第3方向Dzは、第1方向Dx及び第2方向Dyと直交する方向であり、基板43の主面の法線方向である。また、「平面視」とは、基板43と垂直な方向から見た場合の位置関係をいう。
【0014】
複数のセンサ電極42は、基板43の検出領域SAにマトリクス状に配置される。言い換えると、複数のセンサ電極42は、第1方向Dx及び第2方向Dyに並んで配列される。複数のセンサ電極42は、それぞれ配線(不図示)を介してAFE回路15に電気的に接続される。
【0015】
周辺電極41は、検出領域SAに設けられた複数のセンサ電極42を囲んで配置される。
【0016】
センサ回路40には、検出回路2が接続される。検出回路2は、センサ回路40の出力に基づきホバー検出を行うAFE回路15、及び、AFE回路15におけるホバー検出動作を制御する制御回路60等を含む。AFE回路15は、例えばアナログフロントエンド回路(AFE:Analog Front End)である。制御回路60は、例えばMCU(Micro Control Unit)等を含む。
【0017】
検出回路2には、処理装置(外部処理装置)110が接続される。処理装置110は、実施形態に係る検出装置1のホストコンピュータ(HOST)として機能する装置である。処理装置110としては、例えばPOS(Point of sale)レジ端末であるが、これに限られるものでなく、検出装置1におけるホバー操作を受付可能な端末であれば良い。
【0018】
図2Aは、実施形態に係る検出装置1のセンサ回路40と表示パネル250とを積層した概略断面構成の一例を示す模式図である。表示パネル250は、画像を表示出力するディスプレイパネルである。図3は、実施形態に係る検出装置1のセンサ回路40と表示パネル250との第1接続例を示す模式図である。図3では、表示パネル250の上に実施形態に係る検出装置1のセンサ回路40を装着した、いわゆるオンセルタイプの装置を例示している。
【0019】
表示パネル250は、アレイ基板SUB1と、対向基板SUB2と、第1偏光板PL1と、第2偏光板PL2と、を備えている。第1偏光板PL1、アレイ基板SUB1、対向基板SUB2及び第2偏光板PL2は、この順で積層される。
【0020】
アレイ基板SUB1は、複数の画素を駆動するための駆動回路基板である。対向基板SUB2は、アレイ基板SUB1と対向して設けられる。表示機能層である液晶層は、アレイ基板SUB1と対向基板SUB2との間に設けられる。
【0021】
センサ回路40は、接着層260を介して表示パネル250の上に貼り合わされる。接着層260は、例えばOCA(Optical Clear Adhesive)が例示される。
【0022】
複数のセンサ電極42及び周辺電極41は、同一の基板43上に設けられる。基板43は、絶縁性を有する素材で形成された膜状又は板状の部材であり、例えば樹脂製フィルム又はガラス基板である。なお、センサ電極42及び周辺電極41は、基板43の同層に設けられる構成に限定されず、基板43のそれぞれ異なる層に設けられていてもよい。センサ電極42は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)などの透光性を有する導電材料によって形成されている。周辺電極41は、センサ電極42と同じ材料で形成されていてもよいし、センサ電極42と異なる金属材料等で形成されていてもよい。
【0023】
センサ回路40の上には、接着層280を介してカバー部材270が設けられる。接着層280は、例えばOCAが例示される。また、基板43のセンサ電極42及び周辺電極41が設けられた面とは反対側の面に、シールド電極44が設けられる。言い換えると、センサ回路40のカバー部材270が設けられた面とは反対側の面と、表示パネル250との間にシールド電極44が設けられる。また、接着層260は、センサ回路40に設けられたシールド電極44に接する。
【0024】
シールド電極44は、例えば、導電性を有するITOやIZOなどの透光性酸化物、あるいは金属を含む。金属は、例えば、モリブデンやタングステン、タンタル、アルミニウム、銅などの金属(0価の金属)が挙げられる。シールド電極44は、単層構造を有してもよく、積層構造を有してもよい。シールド電極44が積層構造を有する場合、シールド電極44は酸化物を含む層と金属を含む層を有してもよい。シールド電極44は、いずれも透過性と導電性を有する層であればよく、透明導電層と呼ぶことができる。
【0025】
シールド電極44には、後述する第2基準電位が供給される。また、シールド電極44には、周辺電極41に与えられる信号と同一の信号が供給される。本実施形態では、センサ回路40と表示パネル250との間にシールド電極44が設けられているため、表示パネル250からセンサ回路40のセンサ電極42に重畳するノイズを遮蔽することができる。
【0026】
カバー部材270は、センサ回路40の上に貼り合わされる。カバー部材270は、例えば、ガラス基板、或いは樹脂基板が用いられる。カバー部材270の上面は、ホバー検出における検出面である。
【0027】
なお、図2Aに示す概略断面構成に代えて、図2Bに示す概略断面構成を採用した態様であっても良い。図2Bは、図2Aに示す概略断面構成の変形例を示す模式図である。
【0028】
表示パネル250は、例えば、液晶表示パネル(LCD:Liquid Crystal Display)である。この場合、表示パネル250を挟んでセンサ回路40の反対側にバックライトが設けられる。表示パネル250はこれに限定されず、例えば、有機ELディスプレイパネル(OLED:Organic Light Emitting Diode)や無機ELディスプレイパネル(マイクロLED、ミニLED)であっても良い。あるいは、表示パネル250は、表示素子として電気泳動素子を用いた電気泳動型表示パネル(EPD:Electrophoretic Display)であっても良い。
【0029】
図3に示すいわゆるオンセルタイプの装置構成において、検出装置1は、FPC(Flexible Printed Circuits)70を備える。FPC70は、PCB(Printed Circuit Board)46と接続されている。PCB46には、検出回路2を構成する各種の回路が実装される。図3では、検出回路2を構成する各種の回路の一例として、回路46a,46bを図示している。回路46a,46bは、例えば、AFE回路15、制御回路60として機能する回路である。
【0030】
表示パネル250は、FPC255を備える。FPC255には、表示パネル250の動作に関する各種の回路が設けられる。PCB46は、ケーブル47を介して、処理装置110と接続されている。ケーブル47は、検出装置1と処理装置110との間で生じる信号を伝送する機能を有している。ケーブル47としては、例えばUSB(Universal Serial Bus)ケーブルが例示される。
【0031】
図4は、実施形態に係る検出装置1のセンサ回路40と表示パネル250との第2接続例を示す模式図である。図4では、表示パネル250に実施形態に係る検出装置1のセンサ回路40を内蔵して一体化した、いわゆるインセルタイプあるいはハイブリッドタイプの装置を例示している。表示パネル250に実施形態に係る検出装置1のセンサ回路40を内蔵して一体化するとは、例えば、表示パネル250として使用される基板や電極などの一部の部材と、実施形態に係る検出装置1のセンサ回路40として使用される基板や電極などの一部の部材とを兼用することを含む。
【0032】
図4に示すいわゆるインセルタイプあるいはハイブリッドタイプの装置構成において、FPC255は、PCB46に接続される。この場合、ケーブル47は、表示パネル250と処理装置110との間で生じる信号を伝送する機能をさらに有している。
【0033】
実施形態1に係る検出装置1の具体的な構成について説明する前に、実施形態に係る検出装置の構成及び動作について説明する。図5は、実施形態に係る検出装置1のブロック構成の一例を示す図である。
【0034】
図5に示すように、検出装置1は、上述したセンサ回路40、AFE回路15、及び制御回路60に加えて、電源回路17、基準電位生成回路20、第1アイソレータ51、及び第2アイソレータ52を備えている。本開示において、センサ回路40及びAFE回路15は、検出ブロック10に含まれる。制御回路60及び基準電位生成回路20は、固定電位である第1基準電位GND1を接地電位として動作する。検出ブロック10内のセンサ回路40及びAFE回路15は、基準電位生成回路20によって生成される第2基準電位GND2を接地電位として動作する。
【0035】
AFE回路15は、自己静電容量方式のホバー検出用の駆動信号を生成し、複数のセンサ電極42に出力する。
【0036】
本開示において、AFE回路15と制御回路60との間の信号は、クロック同期方式のシリアルインターフェースであるSPI(Serial Peripheral Interface)により伝送される。なお、AFE回路15と制御回路60との間の信号を伝送するシリアルインターフェースはSPIに限定されない。
【0037】
第1アイソレータ51は、制御回路60と検出ブロック10との絶縁と、AFE回路15と制御回路60との間の信号の伝送と、を行う。
【0038】
第1アイソレータ51としては、例えば磁気絶縁方式のデジタルアイソレータが例示される。第1アイソレータ51は、制御回路60側から検出ブロック10側への伝送出力、及び、検出ブロック10側から制御回路60側への伝送出力の双方向の伝送が可能とされる。
【0039】
具体的に、第1基準電位GND1(固定電位)を接地電位とした第1アイソレータ51の制御回路60側の端子から出力される電気信号は、第2基準電位GND2を接地電位とした検出ブロック10から出力される電気信号と同期している。
【0040】
また、第2基準電位GND2を接地電位とした第1アイソレータ51の検出ブロック10側の端子から出力される電気信号は、第1基準電位GND1(固定電位)を接地電位とした制御回路60から出力される電気信号と同期している。
【0041】
AFE回路15は、制御回路60との間で、第1アイソレータ51を介して、センシングデータや各種制御指令等の信号の伝送を行う。具体的に、例えば、AFE回路15は、ホバー検出の検出結果を示すセンシングデータを、第1アイソレータ51を介して制御回路60へ出力する。
【0042】
また、本開示において、AFE回路15は、矩形波信号Txを生成し、第2アイソレータ52を介して基準電位生成回路20に出力する。矩形波信号Txは、複数のセンサ電極42に出力する駆動信号を生成するための基準信号である。自己静電容量方式のホバー検出用の駆動信号の周波数(以下、「駆動周波数」とも称する)は、矩形波信号Txの基本周波数と実質的に同一である。駆動周波数の設定範囲は、例えば140kHzから200kHzとされる。矩形波信号Txは、複数のセンサ電極42に出力する駆動信号の基本周波数成分及び高調波成分を含む。なお、AFE回路15における駆動周波数の設定範囲は一例であって、これに限定されない。
【0043】
第2アイソレータ52は、検出ブロック10と基準電位生成回路20との絶縁と、AFE回路15から出力される矩形波信号Txの伝送と、を行う。
【0044】
第2アイソレータ52における検出ブロック10側と基準電位生成回路20側との間の信号伝送は、例えばフォトカプラを利用した光絶縁方式で行われる。第2アイソレータ52における検出ブロック10側と基準電位生成回路20側との間の信号伝送は、光絶縁方式に限定されず、例えば、第1アイソレータ51と同様の磁気絶縁方式であっても良いし、コンデンサの原理を利用した容量絶縁方式であっても良い。
【0045】
具体的に、第1基準電位GND1(固定電位)を接地電位とした第2アイソレータ52の基準電位生成回路20側の端子から出力される矩形波信号は、第2基準電位GND2を接地電位としたAFE回路15から出力される矩形波信号Txと同期している。図5では、AFE回路15から出力された矩形波信号Txの波形を波形SB1として模式的に示し、第2アイソレータ52を介して基準電位生成回路20へ出力される矩形波信号の波形を波形SB2として模式的に示している。
【0046】
電源回路17は、第1基準電位GND1を接地電位として動作する外部装置(本実施形態では、処理装置110)からの電力供給経路に設けられる。電源回路17は、処理装置110と検出ブロック10との絶縁と、例えば、USBケーブルの電源線VBUSから供給される電力の検出ブロック10への供給と、を行う。電源回路17への電力供給源は、処理装置110に限定されない。電源回路17は、例えばACアダプタや他の外部電源から電力供給される態様であっても良い。
【0047】
電源回路17は、第1電圧変換回路(POW1)11、絶縁型DC-DCコンバータ12、及び第2電圧変換回路(POW2)13を備える。
【0048】
第1電圧変換回路11は、第1基準電位GND1を接地電位として動作する。第1電圧変換回路11は、例えばUSBケーブルの電源線VBUSを介して処理装置110から供給される電力の電位を、第1基準電位GND1に対して略一定の第1電源電位VCCに変換する。
【0049】
絶縁型DC-DCコンバータ12は、第1電圧変換回路11と第2電圧変換回路13との間に設けられる。絶縁型DC-DCコンバータ12における第1電圧変換回路11と第2電圧変換回路13との間の電力伝送は、第1アイソレータ51と同様の磁気絶縁方式で行われる。
【0050】
絶縁型DC-DCコンバータ12は、処理装置110側のコイルへ電力が供給されることで、当該コイルが磁場を発生させる。検出ブロック10側のコイルは、処理装置110側のコイルが発生させる磁場の影響範囲内に設けられる。
【0051】
検出ブロック10側のコイルには、処理装置110側のコイルにより発生した磁場に応じた誘導起電力が生じる。検出ブロック10側のコイルで生じた電力は、第2基準電位GND2に同期して変動する第2電源電位に変換されて、第2電圧変換回路13に出力される。
【0052】
第2電圧変換回路13は、第2基準電位GND2を接地電位として動作する。第2電圧変換回路13は、絶縁型DC-DCコンバータ12から供給される電力をAFE回路15の電源電位VDDに変換する。電源電位VDDは、例えば、AFE回路15のアナログ電源電位やAFE回路15の入出力電源電位を含む。
【0053】
制御回路60は、処理装置110との間で、センシングデータに関する各種情報や制御指令等の信号の伝送を行う。
【0054】
また、制御回路60は、センシングデータのノイズ判定処理及びセンシングデータに基づいた被検出体の位置判定(座標演算処理)を行う。ノイズ判定処理とは、センシングデータに含まれるノイズ成分の量を判定するために行われる処理である。また、座標演算処理とは、センサ回路40に近接する被検出体の位置を判定するために行われる演算処理である。具体的に、座標演算処理では、例えば、センサ回路40に近接する被検出体の第1方向Dxの位置、第2方向Dyの位置、及び第3方向Dz(図1参照)の位置を導出できる。ノイズ判定処理及び座標演算処理の詳細は、周知のものと同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0055】
本開示において、制御回路60と処理装置110との間の信号は、シリアルインターフェースであるUSBにより伝送される。具体的に、制御回路60と処理装置110との間の信号は、USBケーブルの信号線D+,D-を介して伝送される。なお、制御回路60と処理装置110との間の信号を伝送するシリアルインターフェースはUSBに限定されない。
【0056】
上述した構成において、検出ブロック10に含まれる第2電圧変換回路13、AFE回路15、及びセンサ回路40は、絶縁型DC-DCコンバータ12、第1アイソレータ51、第2アイソレータ52を介して接続される他の構成に対して電気的に絶縁されている。
【0057】
また、絶縁型DC-DCコンバータ12の処理装置110側、第1アイソレータ51の制御回路60側、及び第2アイソレータ52の基準電位生成回路20側には、接地電位として第1基準電位GND1が与えられている。第1基準電位GND1は、例えばベタ電極のような大型電極が保持する固定電位である。
【0058】
一方、絶縁型DC-DCコンバータ12の検出ブロック10側、第1アイソレータ51の検出ブロック10側、及び第2アイソレータ52の検出ブロック10側には、接地電位として第2基準電位GND2が与えられている。第2基準電位GND2は、基準電位生成回路20によって生成される周期的変動電位である。
【0059】
周期的変動電位(第2基準電位GND2)の変動周期は、AFE回路15が生成する駆動信号の矩形波生成周期(矩形波信号Txの矩形波周期)と同一である。言い換えると、周期的変動電位(第2基準電位GND2)は、AFE回路15が生成する駆動信号(矩形波信号Tx)と同期して周期的に変動する電位である。
【0060】
次に、基準電位生成回路20について説明する。
【0061】
基準電位生成回路20は、ローパスフィルタ(LPF:Low Pass Filter)23と、増幅回路(AMP:Amplifier)24と、を備える。
【0062】
ローパスフィルタ23は、AFE回路15から第2アイソレータ52を介して出力された矩形波信号の高周波成分を抑制する。
【0063】
ローパスフィルタ23により矩形波信号の高周波成分を抑制することで、後段の増幅回路24において不要なノイズ成分が増幅されて放射ノイズが増大することを抑制することができる。図5では、ローパスフィルタ23から出力される略矩形波状の出力信号の波形を波形SB3として模式的に示している。
【0064】
増幅回路24は、ローパスフィルタ23から出力された略矩形波状の出力信号を反転増幅及びインピーダンス変換する反転増幅回路である。増幅回路24によって反転増幅された信号は、検出ブロック10内の各回路の接地電位である第2基準電位GND2として与えられる。また、第2基準電位GND2は、センサ回路40の周辺電極411,412及びシールド電極44に与えられる。なお、増幅回路24に入力される信号の極性に応じて増幅回路24で極性反転を行う場合と行わない場合がある。
【0065】
図5に示すブロック構成において、センサ回路40は、複数のセンサ電極421,…,42n(nは自然数)と、周辺電極411,412と、基板43と、シールド電極44と、を備える。周辺電極411,412及びセンサ電極421,…,42nは、基板43上に並んで配置される電極である。シールド電極44は、基板43を挟んでセンサ電極421,…,42nと対向する膜状又は板状の電極である。周辺電極411,412及びシールド電極44は、基準電位生成回路20から与えられた第2基準電位GND2の変化に応じて電位が周期的に変動するアクティブシールドとして機能する。
【0066】
図5に示すように、AFE回路15は、センサ電極421,…,42nと接続されている。センサ電極421,…,42nの自己静電容量は、センサ電極421,…,42nの各々からAFE回路15に対する電気的な信号出力を生じさせる。従って、AFE回路15は、センサ電極421,…,42nの各々の自己静電容量に応じて生じる電気的な信号出力を、センサ回路40の状態を示す検出信号Rxとして取得できる。センサ電極421,…,42nが設けられた領域は、検出領域SAとして機能する(図1参照)。また、検出領域SA内のセンサ電極421,…,42nは、ホバー検出における検出電極として機能する。また、検出領域SAの周囲に配置される周辺電極411,412は、ホバー検出におけるシールド電極として機能する。
【0067】
図6は、センサ回路40に対する近接物が位置P1の位置にある場合の周辺電極41とセンサ電極42から生じる電場における電気の流れを示す模式図である。図7は、センサ回路40に対する近接物が位置P2の位置にある場合の周辺電極41とセンサ電極42から生じる電場における電気の流れを示す模式図である。センサ回路40に対する近接物が位置P1の位置にある場合と、センサ回路40に対する近接物が位置P2の位置にある場合とでは、センサ電極421,422,423の各々から得られる検出信号強度が変わる。
【0068】
図8は、センサ電極421,422,423の各々から得られる検出信号強度の例を示す模式的なグラフである。図6に示す第1例は、被検出体が位置P1の位置にある場合にセンサ電極421,422,423の各々から得られる検出信号強度を示すグラフである。図6に示す第2例は、被検出体が位置P2の位置にある場合にセンサ電極421,422,423の各々から得られる検出信号強度を示すグラフである。
【0069】
AFE回路15は、センサ電極421,…,42n(例えば、センサ電極421,422,423)の各々から得られる検出信号強度と、当該検出信号強度を示す検出信号が得られたタイミングで周辺電極411,412に与えられていた振幅との関係に基づいて、センサ回路40に対する被検出体の近接の度合いを検出する。このように、ホバー検出では、センサ回路40に対する被検出体の近接の度合いを検出できる。
【0070】
本開示では、上述したように、AFE回路15の接地電位として、第2基準電位GND2が与えられている。このため、AFE回路15は、第2基準電位GND2に対する入力に基づいて、センサ電極421,…,42nからの検出信号の取得タイミングにおける周辺電極411,412の電位を示す情報を得られる。これにより、周辺電極411,412とセンサ電極421,…,42nとの間に生じる電場に対する被検出体の進入の有無も検出できる。
【0071】
図9は、実施形態に係る検出装置の機能的な回路ブロック構成の一例を示す図である。
【0072】
図9に示すように、AFE回路15は、読出回路151と、ADC(Analog Digital Converter)回路152と、DSP(Digital Signal Processor)回路153と、を有する。AFE回路15の各回路要素は、基準電位生成回路20によって生成される周期的変動電位である第2基準電位GND2を接地電位として動作する。
【0073】
読出回路151は、センサ電極421,…,42nの各々から検出信号Rxを取得する。
【0074】
ADC回路152は、読出回路151が取得した検出信号Rxをアナログ信号からデジタル信号に変換する。
【0075】
DSP回路153は、ADC回路152がデジタル信号に変換したデジタルデータにデジタルフィルタ処理を行い、検出信号Rxに基づいてセンシングデータを生成する。
【0076】
AFE回路15は、DSP回路153で生成されたセンシングデータを、第1アイソレータ51を介して制御回路60へ出力する。
【0077】
制御回路60は、読出回路61と、ノイズ判定回路62と、座標演算回路63と、を有する。制御回路60の各回路要素は、固定電位である第1基準電位GND1を接地電位として動作する。
【0078】
読出回路61は、AFE回路15から第1アイソレータ51を介して出力されたセンシングデータを取得する。
【0079】
ノイズ判定回路62は、読出回路61が取得したセンシングデータに基づいて、上述したノイズ判定処理を行う。
【0080】
座標演算回路63は、読出回路61が取得したセンシングデータに基づいて、上述した座標演算処理を行う。
【0081】
本開示において、制御回路60は、AFE回路15から出力される矩形波信号Txの基本周波数を変更する機能を有する。本開示では、自己静電容量方式のホバー検出における駆動周波数、すなわち、AFE回路15から出力される矩形波信号Txの基本周波数を変更可能としている。これにより、ノイズによる影響を抑制することができる。以下、矩形波信号Txの基本周波数の変更を、「周波数ホッピング」とも称する。
【0082】
図10は、検出装置1におけるホバー検出動作の一例を示すフローチャートである。電源回路17から電力が供給され、検出装置1によるセンシング動作が開始すると(ステップS1)、検出装置1は、センサ回路40に被検出体が近接していない状態で検出信号Rxを取得するベースラインスキャンを実行する(ステップS2)。
【0083】
ベースラインスキャンの実行後、検出装置1は、通常のホバー検出動作(センシング)を実行する(ステップS3)。制御回路60は、ベースラインスキャン(ステップS2)により取得された検出信号Rxとセンシング(ステップS3)により取得された検出信号Rxとの差分に基づき、上述したノイズ判定処理及び座標演算処理を実行する。より具体的に、ノイズ判定回路62は、ベースラインスキャン(ステップS2)により取得された検出信号Rxとセンシング(ステップS3)により取得された検出信号Rxとの差分に基づき、ノイズ判定処理を実行する(ステップS4)。
【0084】
また、座標演算回路63は、ベースラインスキャン(ステップS2)により取得された検出信号Rxとセンシング(ステップS3)により取得された検出信号Rxとの差分に基づき、座標演算処理を実行する(ステップS5)。
【0085】
なお、図10では、ノイズ判定処理(ステップS4)の後に座標演算処理(ステップS5)を実行する例を示したが、座標演算処理(ステップS5)の後にノイズ判定処理(ステップS4)を実行する態様であっても良いし、ノイズ判定処理(ステップS4)と座標演算処理(ステップS5)とを並列実行する態様であっても良い。
【0086】
続いて、制御回路60は、上述した周波数ホッピングを行う条件(以下、単に「周波数ホッピング条件」とも称する)が成立したか否かを判定する(ステップS6)。具体的に、制御回路60は、図13に示すFPC255を介して接続された処理装置110から、検出装置1に対して周波数ホッピングを行うように指示する周波数ホッピング指令を含む信号が入力されたか否かを判定する。
【0087】
なお、周波数ホッピング条件は上記に限定されない。例えば、処理装置110が検出装置1の駆動周波数及びタッチパネル210の駆動周波数を取得し、双方が同一である場合に、周波数ホッピング条件が成立したと判定する態様であっても良いし、検出装置1の制御回路60がタッチパネル210の駆動周波数を取得し、矩形波信号Txの周波数と同一である場合に、周波数ホッピング条件が成立したと判定する態様であっても良い。あるいは、制御回路60が周波数ホッピング条件の成立可否を判定する態様であっても良い。
【0088】
周波数ホッピング条件が成立していない場合(ステップS6;No)、ステップS8の処理へ移行する。
【0089】
周波数ホッピング条件が成立した場合(ステップS6;Yes)、制御回路60は、ホバー検出における駆動周波数、すなわち、AFE回路15から出力される矩形波信号Txの基本周波数を、周波数ホッピング後の周波数に設定する(ステップS7)。
【0090】
ステップS6で周波数ホッピング条件が成立していない場合(ステップS6;No)あるいはステップS7で駆動周波数の変更後、検出装置1は、センシング動作が終了したか否かを判定し(ステップS8)、センシング動作が終了した場合(ステップS8;Yes)、ホバー検出動作を終了する。センシング動作が終了する場合としては、例えば、電源回路17から電力が供給されなくなった場合や、処理装置110からセンシング動作を終了する指令が検出装置1へ出力された場合等が例示される。検出装置1のセンシング動作が終了していない場合(ステップS8;No)、ステップS3以降の動作を繰り返し実行する。
【0091】
図11は、周波数ホッピングが可能な検出装置1の動作の流れの一例を示すタイミングチャートである。検出装置1におけるホバー検出動作は、繰り返し期間Cy単位で処理の流れが定められている。まず、繰り返し期間Cyの開始を示すクロック信号(V-Sync)が所定周期で出力される。図11では、タイミングT1,T2に当該クロック信号が出力されている。以下、タイミングT1を起点とした繰り返し期間Cy内の動作の流れについて説明する。
【0092】
タイミングT1を起点として、上述したステップS3に対応するセンシング動作(Sensing)が行われる。当該センシング動作は、タイミングT1から、センシング動作の終了を示す割り込み信号(IRQ)が生じる期間Pe2の開始時点までの期間Pe1に行われる。
【0093】
期間Pe2の終了時点から、タイミングT2までの間に、期間Pe3,Pe4,Pe5,Pe6が順次生じる。
【0094】
期間Pe3は、AFE回路15から第1アイソレータ51を介して出力されたセンシングデータの読み込み(AFE Read)が行われる期間である。
【0095】
期間Pe4は、上述したステップS4に対応するノイズ判定処理と上述したステップS5に対応する座標演算処理が並行して実行される期間である。
【0096】
期間Pe5は、周波数ホッピングが行われる場合に、矩形波信号Txの基本周波数を周波数ホッピング後の周波数に設定するためのAFE回路15に対する指令出力(情報の書き込み)が行われる期間である。
【0097】
期間Pe6は、期間Pe5の終了からタイミングT2までのブランク期間である。
【0098】
タイミングT2を起点として、上述した期間Pe1,…,Pe6が再度繰り返される。以降、繰り返し期間Cyの開始を示すクロック信号(V-Sync)が所定周期で出力される度に、上述した期間Pe1,…,Pe6が再度繰り返される。
【0099】
上述したように、本開示において、第1電圧変換回路11を介して供給される電力は、第2基準電位GND2に同期して変動する第2電源電位に変換される。
【0100】
実施形態の構成は、図5に示すように、第1電圧変換回路11と第2電圧変換回路13との間の電力供給経路上に絶縁型DC-DCコンバータ12を設けた態様である。絶縁型DC-DCコンバータ12は、第1基準電位GND1を接地電位とする略一定の第1電源電位に基づき、周期的に変動する第2基準電位GND2に対して略一定の第2電源電位を生成する。AFE回路15は、絶縁型DC-DCコンバータ12から供給される第2電源電位に基づき、第2電圧変換回路13によって変換された電源電位VDDが供給されて動作する。このような実施形態の構成に用いられる絶縁型DC-DCコンバータは、一般に品種が少なく、高価かつパッケージサイズが大型化する傾向にある。以下、実施形態の構成よりも低コスト化や小型化が可能な構成について説明する。
【0101】
(実施形態1)
以下、実施形態1に係る構成について、図12図13図14、及び図15を参照して説明する。図12は、実施形態1に係る検出装置1のブロック構成の一例を示す図である。図13は、実施形態1に係る検出装置1の機能的な回路ブロック構成の一例を示す図である。図14は、実施形態1に係る電源回路の要部構成の一例を示すブロック図である。図15は、実施形態1に係る電源回路の動作例を示す図である。なお、図5及び図9に示す実施形態と同じ構成部には同一の符号を付して、詳細な説明を省略する場合がある。
【0102】
実施形態1に係る構成において、電源回路17aは、第1電圧変換回路(POW1)11a、第2電圧変換回路(POW2)13、ローパスフィルタ(LPF)18、及び増幅回路19を備える。
【0103】
第1電圧変換回路11aは、第1基準電位GND1を接地電位として動作する。第1電圧変換回路11aは、例えばUSBケーブルの電源線VBUSを介して処理装置110から供給される電力の電位を、第1基準電位GND1を接地電位とする略一定の第1正電源電位VCC及び第1負電源電位VEEに変換する。
【0104】
第2電圧変換回路13は、第2基準電位GND2を接地電位として動作する。第2電圧変換回路13は、増幅回路19から供給される電力をAFE回路15の電源電位VDDに変換する。電源電位VDDは、例えば、AFE回路15のアナログ電源電位やAFE回路15の入出力電源電位を含む。
【0105】
ローパスフィルタ18は、AFE回路15から第2アイソレータ52を介して出力された矩形波信号の高周波成分を抑制する。図14では、1次のRC回路(入力抵抗RIN、コンデンサCIN)で構成されたローパスフィルタ18を例示し、ローパスフィルタ18の入力電位をVINとしている。
【0106】
ローパスフィルタ18は、実施形態の構成における基準電位生成回路20のローパスフィルタ(LPF)23と実質的に同一の構成である。ローパスフィルタ18により矩形波信号の高周波成分を抑制することで、後段の増幅回路19において不要なノイズ成分が増幅されて放射ノイズが増大することを抑制することができる。図12では、ローパスフィルタ18から出力される略矩形波状の出力信号の波形を波形SB3として模式的に示している。
【0107】
増幅回路19は、オペアンプ(演算増幅器)OPを有する非反転増幅回路である。増幅回路19は、オペアンプOPの非反転入力端子と出力端子との間に接続された正帰還抵抗Rと、オペアンプOPの反転入力端子と出力端子との間に接続された負帰還抵抗Rと、オペアンプOPの反転入力端子と第1基準電位GND1との間に接続された接地抵抗Rとを含む。なお、極性反転が必要な場合、例えばローパスフィルタ18の前段に、インバータ回路やEXORゲート回路等を挿入した構成であっても良い。
【0108】
実施形態1に係る構成において、増幅回路19は、図14に示すように、オペアンプOPの電源として、プッシュプル型エミッタフォロワ回路で構成されたブートストラップ回路を適用した構成である。
【0109】
より具体的には、第1正電源電位VCCとオペアンプOPの出力電位VOUTとの分圧電位で駆動されるNPN型エミッタフォロワトランジスタnTrの出力電位VCOがオペアンプOPの正電源電位として供給される。NPN型エミッタフォロワトランジスタnTrのベース電位は、抵抗R1とダイオードD1及び抵抗R2との分圧比でバイアスされる。
【0110】
NPN型エミッタフォロワトランジスタnTrの出力電位VCOは、ダイオードD1による電圧降下及びNPN型エミッタフォロワトランジスタnTrのベース-エミッタ間電圧(VBE)を0.6Vとしたとき、下記(1)式により表される。すなわち、NPN型エミッタフォロワトランジスタnTrの出力電位VCOは、ダイオードD1のカソード電圧と略等しい電位となる。
【0111】
【数1】
【0112】
NPN型エミッタフォロワトランジスタnTrの出力電位VCOは、第2電源電位として第2電圧変換回路13に出力される。図12では、増幅回路19から出力される略矩形波状の第2電源電位(出力電位VCO)の波形を波形SB4として模式的に示している。
【0113】
また、オペアンプOPの出力電位VOUTと第1負電源電位VEEとの分圧電位で駆動されるPNP型エミッタフォロワトランジスタpTrの出力電位VEOがオペアンプOPの負電源電位として供給される。PNP型エミッタフォロワトランジスタpTrのベース電位は、抵抗R3及びダイオードD2と抵抗R4との分圧比でバイアスされる。
【0114】
PNP型エミッタフォロワトランジスタpTrの出力電位VEOは、ダイオードD2による電圧降下及びPNP型エミッタフォロワトランジスタpTrのベース-エミッタ間電圧(VBE)を0.6Vとしたとき、下記(2)式により表される。すなわち、PNP型エミッタフォロワトランジスタpTrの出力電位VCOは、ダイオードD2のカソード電圧と略等しい電位となる。
【0115】
【数2】
【0116】
PNP型エミッタフォロワトランジスタpTrの出力電位VEOは、第2基準電位GND2として検出ブロック10aに出力される。図12では、増幅回路19から出力される略矩形波状の第2基準電位GND2(出力電位VEO)の波形を波形SB5として模式的に示している。
【0117】
オペアンプOPの増幅率Gainは、入力抵抗RIN、正帰還抵抗R、負帰還抵抗R、及び接地抵抗Rを用いて、下記(3)式で表せる。
【0118】
【数3】
【0119】
上記(3)式の導出手法について説明する。オペアンプOPの反転入力電位VIN-は、下記(4)式で表せる。
【0120】
【数4】
【0121】
下記(5)式において、左辺は入力抵抗RINに流れる電流を示し、右辺は正帰還抵抗Rに流れる電流を示している。オペアンプOPの非反転入力電位VIN+は、下記(5)式を変形した下記(6)式で表せる。
【0122】
【数5】
【0123】
【数6】
【0124】
オペアンプOPの反転入力電位VIN-と非反転入力電位VIN+とはイマジナリショートであるため、下記(7)式が成立する。
【0125】
【数7】
【0126】
上記(7)式を変形することにより、上記(3)式に示すオペアンプOPの増幅率Gainが得られる。
【0127】
オペアンプOPは、NPN型エミッタフォロワトランジスタnTrの出力電位(正電源電位)VCOとPNP型エミッタフォロワトランジスタpTrの出力電位(負電源電位)VEOとの電位差VCO-VEO(以下、「駆動電圧」とも称する)により動作する。オペアンプOPの駆動電圧VCO-VEOは、R1=R4、R2=R3としたとき、下記(8)式で表せる。
【0128】
【数8】
【0129】
なお、抵抗R1,R2,R3,R4に流れる電流と抵抗サイズを考慮すると、例えばR1=R4=2.7kΩ、R2=R3=1kΩ程度とすることが好ましい。
【0130】
図15では、ローパスフィルタ18の入力電位VINを200kHzの正弦波信号とし、当該正弦波信号の振幅を3.3Vとした場合の動作を例示している。また、図15では、オペアンプOPの駆動電圧VCO-VEOが約3.7V、負荷電流が37mA、出力電位VOUTの振幅が約7Vとなるように各抵抗値を調整している。
【0131】
図15に示すように、オペアンプOPの出力電位VOUTは、第2電源電位として第2電圧変換回路13に出力されるオペアンプOPの正電源電位(NPN型エミッタフォロワトランジスタnTrの出力電位VCO)よりも低電位であり、且つ、第2基準電位GND2として検出ブロック10aに出力されるオペアンプOPの負電源電位(PNP型エミッタフォロワトランジスタpTrの出力電位VEO)よりも高電位である。言い換えると、第2電源電位として第2電圧変換回路13に出力されるオペアンプOPの正電源電位(NPN型エミッタフォロワトランジスタnTrの出力電位VCO)は、オペアンプOPの出力電位VOUTよりも高電位であり、且つ、第2基準電位GND2として検出ブロック10aに出力されるオペアンプOPの負電源電位(PNP型エミッタフォロワトランジスタpTrの出力電位VEO)は、オペアンプOPの出力電位VOUTよりも低電位である。
【0132】
また、第2電圧変換回路13に出力される第2電源電位(出力電位VCO)は、検出ブロック10aに出力される第2基準電位GND2(出力電位VEO)に対し、オペアンプOPの略一定の駆動電圧VCO-VEO図15では、約3.7V)が重畳した電位となる。これにより、実施形態の構成と同様に、第1電圧変換回路11aを介して供給される電力は、第2基準電位GND2(出力電位VEO)に同期して変動する電源電位(第2電源電位VCO)に変換される。
【0133】
実施形態1の構成では、実施形態の構成における絶縁型DC-DCコンバータ12に代えて、第1電圧変換回路11aと第2電圧変換回路13との間の電力供給経路上に、汎用型のオペアンプ(演算増幅器)OPを用いて構成される増幅回路(BST)19を設けている。AFE回路15は、増幅回路(BST)19から第2基準電位GND2(出力電位VEO)が供給され、当該第2基準電位GND2に対して略一定の第2電源電位VCOに基づき動作する。これにより、実施形態の構成よりも検出装置1の低コスト化や小型化が可能となる。
【0134】
(実施形態2)
図16は、実施形態2に係る検出装置のブロック構成の一例を示す図である。図17は、実施形態2に係る検出装置の機能的な回路ブロック構成の一例を示す図である。図18は、実施形態2に係る電源回路の要部構成の一例を示すブロック図である。図19は、実施形態2に係る電源回路の動作例を示す図である。なお、実施形態1と同じ構成部には同一の符号を付して、詳細な説明を省略する場合がある。
【0135】
実施形態2に係る構成において、電源回路17bは、第1電圧変換回路(POW1)11、第2電圧変換回路(POW2)13、ローパスフィルタ(LPF)18、及び増幅回路19aを備える。
【0136】
第1電圧変換回路11は、第1基準電位GND1を接地電位として動作する。第1電圧変換回路11は、例えばUSBケーブルの電源線VBUSを介して処理装置110から供給される電力の電位を、第1基準電位GND1を接地電位とする略一定の第1電源電位VCCに変換する。
【0137】
増幅回路19aは、実施形態1に係る構成と同様に、オペアンプ(演算増幅器)OPで構成される非反転増幅回路である。増幅回路19aは、オペアンプOPの非反転入力端子と出力端子との間に接続された正帰還抵抗Rと、オペアンプOPの反転入力端子と出力端子との間に接続された負帰還抵抗Rと、オペアンプOPの反転入力端子と中間電位VCC/2との間に接続された接地抵抗Rとを含む。実施形態2では、増幅回路19aを第1電源電位VCCにより単電源駆動している点で、実施形態1の構成とは異なっている。
【0138】
また、実施形態2に係る構成において、増幅回路19aは、実施形態1に係る構成と同様に、オペアンプOPの電源として、プッシュプル型エミッタフォロワ回路で構成されたブートストラップ回路を適用した構成である。
【0139】
より具体的には、第1電源電位VCCとオペアンプOPの出力電位VOUTとの分圧電位で駆動されるNPN型エミッタフォロワトランジスタnTrの出力電位VCOがオペアンプOPの正電源電位として供給される。NPN型エミッタフォロワトランジスタnTrのベース電位は、抵抗R1とダイオードD1及び抵抗R2との分圧比でバイアスされる。
【0140】
NPN型エミッタフォロワトランジスタnTrの出力電位VCOは、実施形態1と同様に、ダイオードD1による電圧降下及びNPN型エミッタフォロワトランジスタnTrのベース-エミッタ間電圧(VBE)を0.6Vとしたとき、上記(1)式により表される。すなわち、NPN型エミッタフォロワトランジスタnTrの出力電位VCOは、ダイオードD1のカソード電圧と略等しい電位となる。
【0141】
NPN型エミッタフォロワトランジスタnTrの出力電位VCOは、第2電源電位として第2電圧変換回路13に出力される。図16では、増幅回路19aから出力される略矩形波状の第2電源電位(出力電位VCO)の波形を波形SB4として模式的に示している。
【0142】
また、オペアンプOPの出力電位VOUTと第1基準電位GND1との分圧電位で駆動されるPNP型エミッタフォロワトランジスタpTrの出力電位VEOがオペアンプOPの負電源電位として供給される。PNP型エミッタフォロワトランジスタpTrのベース電位は、抵抗R3及びダイオードD2と抵抗R4との分圧比でバイアスされる。
【0143】
PNP型エミッタフォロワトランジスタpTrの出力電位VEOは、実施形態1と同様に、ダイオードD2による電圧降下及びPNP型エミッタフォロワトランジスタpTrのベース-エミッタ間電圧(VBE)を0.6Vとしたとき、上記(2)式により表される。すなわち、PNP型エミッタフォロワトランジスタpTrの出力電位VCOは、ダイオードD2のカソード電圧と略等しい電位となる。
【0144】
PNP型エミッタフォロワトランジスタpTrの出力電位VEOは、第2基準電位GND2として検出ブロック10aに出力される。図16では、増幅回路19aから出力される略矩形波状の第2基準電位GND2(出力電位VEO)の波形を波形SB5として模式的に示している。
【0145】
オペアンプOPの増幅率Gainは、実施形態1と同様に、入力抵抗RIN、正帰還抵抗R、負帰還抵抗R、及び接地抵抗Rを用いて、上記(3)式で表せる。
【0146】
オペアンプOPの駆動電圧VCO-VEOは、R1=R4、R2=R3としたとき、下記(9)式で表せる。下記(9)式の導出手法については省略する。
【0147】
【数9】
【0148】
図19では、ローパスフィルタ18の入力電位VINを200kHzの正弦波信号とし、当該正弦波信号の振幅を3.3Vとした場合の動作を例示している。また、図19では、オペアンプOPの駆動電圧VCO-VEOが約3.7V、負荷電流が37mA、出力電位VOUTの振幅が約7Vとなるように各抵抗値を調整している。なお、実施形態2では、増幅回路19aを単電源駆動しているため、オペアンプOPの入出力電位が第1基準電位GND1に対してオフセットしている。具体的に、図19では、第1基準電位GND1に対するオペアンプOPの入出力電位のオフセット電位が約7Vである例を示している。
【0149】
図19に示すように、オペアンプOPの出力電位VOUTは、実施形態1と同様に、第2電源電位として第2電圧変換回路13に出力されるオペアンプOPの正電源電位(NPN型エミッタフォロワトランジスタnTrの出力電位VCO)よりも低電位であり、且つ、第2基準電位GND2として検出ブロック10bに出力されるオペアンプOPの負電源電位(PNP型エミッタフォロワトランジスタpTrの出力電位VEO)よりも高電位である。言い換えると、第2電源電位として第2電圧変換回路13に出力されるオペアンプOPの正電源電位(NPN型エミッタフォロワトランジスタnTrの出力電位VCO)は、オペアンプOPの出力電位VOUTよりも高電位であり、且つ、第2基準電位GND2として検出ブロック10bに出力されるオペアンプOPの負電源電位(PNP型エミッタフォロワトランジスタpTrの出力電位VEO)は、オペアンプOPの出力電位VOUTよりも低電位である。
【0150】
また、第2電圧変換回路13に出力される第2電源電位(出力電位VCO)は、実施形態1と同様に、検出ブロック10bに出力される第2基準電位GND2(出力電位VEO)に対し、オペアンプOPの略一定の駆動電圧VCO-VEO図19では、約3.7V)が重畳した電位となる。これにより、実施形態1の構成と同様に、第1電圧変換回路11aを介して供給される電力は、第2基準電位GND2(出力電位VEO)に同期して変動する電源電位(第2電源電位VCO)に変換される。
【0151】
実施形態2の構成では、上述したように、増幅回路(BST)19aを単電源駆動している。AFE回路15は、増幅回路(BST)19aから第2基準電位GND2が供給され、当該第2基準電位GND2に対して略一定の第2電源電位VCOに基づき動作する。これにより、第1電圧変換回路11の構成を簡素化することができ、実施形態1の構成よりも検出装置1の低コスト化や小型化が可能となる。
【0152】
また、上述した各実施形態において、NPN型エミッタフォロワトランジスタnTrのバイアス点(ベース)とPNP型エミッタフォロワトランジスタpTrのバイアス点(ベース)との間にバイパスコンデンサC1を設けている。これにより、増幅回路19(19a)の動作を安定化することができる。
【0153】
さらに、上述した各実施形態において、正帰還抵抗R、負帰還抵抗R、及び接地抵抗Rのうちの何れか1つ以上をデジタルポテンショメータで構成した態様であっても良い。これにより、オペアンプOPの増幅率Gainを調整することができる。
【0154】
なお、上述した各実施形態では、NPN型エミッタフォロワトランジスタnTr及びPNP型エミッタフォロワトランジスタpTrとしてバイポーラトランジスタを例示したが、NPN型エミッタフォロワトランジスタnTrに代えて、nチャネルのMOS(Metal Oxide Semiconductor)型のTFT(Thin Film Transistor)により構成されたnチャネルソースフォロワトランジスタを採用し、PNP型エミッタフォロワトランジスタpTrに代えて、pチャネルのMOS型のTFTにより構成されたpチャネルソースフォロワトランジスタを採用した構成であっても良い。
【0155】
以上、本発明の好適な実施の形態を説明したが、本発明はこのような実施の形態に限定されるものではない。実施の形態で開示された内容はあくまで一例にすぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で行われた適宜の変更についても、当然に本発明の技術的範囲に属する。上述した各実施形態及び各変形例の要旨を逸脱しない範囲で、構成要素の種々の省略、置換及び変更のうち少なくとも1つを行うことができる。
【符号の説明】
【0156】
1 検出装置
10,10a,10b 検出ブロック
11,11a 第1電圧変換回路(POW1)
12 絶縁型DC-DCコンバータ
13 第2電圧変換回路(POW2)
15 AFE回路
17,17a,17b 電源回路
18 ローパスフィルタ(LPF)
19,19a 増幅回路(BST)
20 基準電位生成回路
23 ローパスフィルタ(LPF)
24 増幅回路(AMP)
40 センサ回路
41 周辺電極(第2電極)
42 センサ電極(第1電極)
43 基板
44 シールド電極
51 第1アイソレータ
52 第2アイソレータ
60 制御回路(MCU)
61 読出回路
62 ノイズ判定回路
63 座標演算回路
110 処理装置(外部処理装置、HOST)
151 読出回路
152 ADC回路
153 DSP回路
210 タッチパネル
250 表示パネル
260 接着層
270 カバー部材
280 接着層
BE 周辺領域
D+,D- 信号線
GND1 第1基準電位
GND2 第2基準電位
Rx 検出信号
SA 検出領域
Tx 矩形波信号
VBUS 電源線
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19