(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108764
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】無線通信装置
(51)【国際特許分類】
H04W 28/18 20090101AFI20240805BHJP
【FI】
H04W28/18 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023013313
(22)【出願日】2023-01-31
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和4年度、総務省、電波資源拡大のための研究開発委託事業、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100129115
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133569
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 進
(74)【代理人】
【識別番号】100131473
【弁理士】
【氏名又は名称】覚田 功二
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 拓広
(72)【発明者】
【氏名】浜口 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】中村 理
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067EE02
5K067EE10
(57)【要約】 (修正有)
【課題】アプリケーションの要求条件に応じて無線通信システム全体の伝送効率を向上させるリンクアダプテーションを実施する無線通信装置を提供する。
【解決手段】アプリケーションをカテゴライズし、カテゴライズされたアプリケーションに応じて変調符号化方式(MCS)を更新する方法を切り替えてフレームを送信する無線通信装置であって、上位層部は、アプリケーションが映像伝送である時、ACKフレームを受信した時の受信電力と送信元の送信電力を用いて信号対干渉雑音比(SINR)を計算し、所定の誤り率以下となるように次のフレームで使用するMCSを更新するMCS更新処理部を有する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームを送信する無線通信装置であって、アプリケーションをカテゴライズするアプリケーション判断部と、前記カテゴライズされたアプリケーションに応じてMCSを更新する方法を切り替えるMCS更新処理部と、を備える無線通信装置。
【請求項2】
アプリケーションが映像伝送である時、前記MCS更新処理部は、ACKフレームを受信した時の受信電力と送信元の送信電力を用いてSINRを計算し、所定の誤り率以下となるように次のフレームで使用するMCSを更新する、請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記MCS更新処理部は、フレームで使用するMCSの伝送レートとアプリケーションの要求条件に基づいて計算された所定の伝送レートを比較する、請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記MCS更新処理部は、フレームで使用するMCSの伝送レートとアプリケーションの要求条件に基づいて計算された所定の伝送レートを比較し、アプリケーションの要求条件に基づいて異なる無線周波数帯に前記フレームを割り当てる、請求項1に記載の無線通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信システム分野において、IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers Inc.)は、無線LAN(Local Area Network)通信の速度高速化、周波数利用効率化を実現するために無線LAN標準規格であるIEEE802.11の仕様更新に継続して取り組んでいる。無線LANでは、国・地域からの許可(免許)を必要とせずに使用することが可能なアンライセンスバンド(Unlicensed Band)を用いて、無線通信を行うことができる。家庭などの個人向け用途では、インターネットなどへのWAN(Wide Area Network)回線に接続するための回線終端装置に無線LANアクセスポイント機能を含める、もしくは無線LANアクセスポイント装置を回線終端装置に接続するなどして、住居内からのインターネットアクセスが無線化されてきた。つまり、スマートフォンやPCなどの無線LANステーション装置は無線LANアクセスポイント装置に接続して、インターネットにアクセスできる。現在では、無線LANデバイスの急速な普及に伴い、IEEE802.11axの後継規格であるIEEE802.11beの標準化活動が開始されており、無線LANデバイスの過密配置環境においてユーザあたりの更なるスループット向上の検討が行われている。
【0003】
欧州においてはETSI(European Telecommunications Standards Institute)が、米国においてはFCC(Federal Communications Commission)が6GHz帯(5.935~7.125GHz)をアンライセンスバンドとして使用できるように検討しており、その他の世界各国においても同様の検討が進んでいる。このことは、無線LANが2.4GHz帯、5GHzに追加して6GHz帯も使用可能となる見込みがでてきたということである。対象周波数拡大に対応するために、Wi-Fi AllianceはWi-Fi6の拡張版であるWi-Fi6E(登録商標)を策定し、6GHz帯使用するとしている。
【0004】
セルラや無線LANなどの無線通信システムでは、無線環境に応じて変調符号化方式(Modulation and Coding Scheme:MCS)を切り替えるリンクアダプテーションが導入されている。リンクアダプテーションは、無線通信システム全体の伝送効率を向上させることを目的とした技術であり、適応変調符号化(Adaptive Modulation and Coding:AMC)とも呼ばれている。前記リンクアダプテーションにおいて、物理層フレーム(Physical layer convergence procedure Protocol Data Unit:PPDU)送信時のMCSは、端末からフィードバックされるチャネル状態の情報に基づいて決定される(非特許文献1)。無線環境に応じてMCSが設定されることで、誤り率を改善し、スループットを向上することができる。チャネル状態の情報とは、受信した電波の強度や品質に関する情報であり、基準信号受信電力(Reference Signal Received Power:RSRP)、信号対干渉雑音比(Signal to Interference plus Noise Ratio:SINR)、チャネル品質情報(Channel Quality Indicator:CQI)などがあるが、それらには限られない。例えば、セルラでは、リンクアダプテーションを用いることで、無線基地局がスケジューリングを行う際に、高いMCSの端末から順に無線リソースに割り当てる最大CIR(Carrier to Interference Ratio)法や、ユーザ間の公平性を考慮したPF(Proportional Fairness)法が導入されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】"IEEE Standard for Information Technology--Telecommunications and Information Exchange between Systems - Local and Metropolitan Area Networks--Specific Requirements - Part 11: Wireless LAN Medium Access Control (MAC) and Physical Layer (PHY) Specifications," in IEEE Std 802.11-2020 (Revision of IEEE Std 802.11-2016) 、2021.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
リンクアダプテーションでは、端末からフィードバックされるチャネル状態の情報に基づいてMCSが更新される。すなわち、前記リンクアダプテーションは、物理層の情報に基づいたMCSの更新方法を意味しており、アプリケーションの要求条件に応じてリンクアダプテーションの方法を切り替えることができない。すなわち、アプリケーション毎に適切なタイミングでMCSが更新されないことで、アプリケーションの要求条件を満たすことができず、無線通信システム全体の伝送効率を低下させてしまう課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するための無線通信装置は、次の通りである。
【0008】
(1)すなわち、本発明の一態様に係る無線通信装置は、フレームを送信する無線通信装置であって、アプリケーションをカテゴライズするアプリケーション判断部と、
前記カテゴライズされたアプリケーションに応じてMCSを更新する方法を切り替えるMCS更新処理部と、を備える無線通信装置。
【0009】
(2)また、本発明の一態様に係る無線通信装置は、上記(1)に記載され、アプリケーションが映像伝送である時、前記MCS更新処理部において、ACKフレームを受信した時の受信電力と送信元の送信電力を用いてSINRを計算し、所定の誤り率以下となるように次のフレームで使用するMCSを更新する。
【0010】
(3)また、本発明の一態様に係る無線通信装置は、前記MCS更新処理部において、フレーム送信時に使用するMCSの伝送レートとアプリケーションの要求条件に基づいて計算された所定の伝送レートを比較する。
【0011】
(4)また、本発明の一態様に係る無線通信装置は、前記MCS更新処理部において、フレーム送信時に使用するMCSの伝送レートとアプリケーションの要求条件に基づいて計算された所定の伝送レートを比較し、アプリケーションの要求条件に基づいて異なる無線周波数帯に前記フレームを割り当てる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の効果は、第一に、アプリケーションに応じてリンクアダプテーションを切り替えることによって、アプリケーション毎に適切なタイミングでMCSを更新できるようになり、一度に送信可能なビット数を向上させる、または、許容遅延時間などのアプリケーションの要求条件を満たすなどの多様な目的に応じ、無線通信システム全体の伝送効率の向上が期待できる点にある。第二に、本発明に係る映像伝送におけるリンクアダプテーションでは、端末からのチャネル状態の情報のフィードバックに基づくリンクアダプテーションと比較すると、アプリケーション層で発生したパケットの発生周期や前記パケットを構成するPPDUフレームの送信間隔が短周期となる場合でも、ACKフレームを受信した時の受信電力と送信元の送信電力を用いてSINRを計算し、所定の誤り率以下となるように次のフレームで使用するMCSを更新することができる点にある。このように、映像伝送のような厳しい要求条件であっても、より高い時間分解能で、チャネル状態の変動に応じ、次のフレームで使用するMCSを更新することができる。第三に、アプリケーションの要求条件に基づく端末の割り当て処理について、アプリケーションの要求条件に基づいて計算された所定の伝送レートまたは所定の条件を満たせない端末を割り当てないとすることで媒体占有率を下げ、前記端末の代わりにアプリケーションの要求条件を満足する別の端末を割り当て、PPDUフレームを送信することで、無線通信システム全体の伝送効率を改善できる点にある。第四に、異なる無線周波数帯への前記端末の割り当て処理について、アプリケーションの要求条件に基づいて計算された所定の伝送レートまたは所定の条件を満たせない端末を、使用している無線周波数帯から異なる無線周波数帯に割り当てPPDUフレームを送信することで、前記無線周波数帯の媒体占有率を下げるだけではなく、アプリケーションの要求条件に応じて無線周波数帯を切り替えることができるようになり、無線通信システム全体の伝送効率の改善が期待できる点にある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一態様に係る無線通信装置の一構成例を示すブロック図である。
【
図2】本発明の一態様に係る無線通信装置の一構成例を示すブロック図である。
【
図3】本発明の一態様に係る無線リソースの分割例を示す概要図である。
【
図4】本発明の一態様に係るフレーム構成の一例を示す図である。
【
図5】本発明の一態様に係る無線通信システムの一構成例を示す図である。
【
図6】本発明の一態様に係る無線通信装置の一構成例を示すブロック図である。
【
図7】本発明の一態様に係る無線通信方法の一例を示すフローチャート図である。
【
図8】本発明の一態様に係る無線通信装置の一構成例を示すブロック図である。
【
図9】本発明の一態様に係る無線通信方法の一例を示す概要図である。
【
図10】本発明の一態様に係る無線通信装置の一構成例を示すブロック図である。
【
図11】本発明の一態様に係る本発明の効果の一例を示す概要図である。
【
図12】本発明の一態様に係る本発明の効果の一例を示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本実施形態における無線通信システムは、アクセスポイント装置(無線通信装置、もしくは、基地局装置とも呼称)、および複数のステーション装置(端末、もしくは、端末装置とも呼称)を備える。また、アクセスポイント装置とステーション装置とで構成される通信システム、ネットワークを基本サービスセット(Basic service set:BSS、管理範囲)と呼ぶ。また、本実施形態に係るステーション装置は、アクセスポイント装置の機能を備えることができる。同様に、本実施形態に係るアクセスポイント装置は、ステーション装置の機能を備えることができる。
【0015】
BSS内の基地局装置および端末装置は、それぞれCSMA/CA(Carrier sense multiple access with collision avoidance)に基づいて、通信を行なうことができる。本実施形態においては、基地局装置が複数の端末装置と通信を行なうインフラストラクチャモードを対象とするが、それに限るものではない。本実施形態の方法は、端末装置同士が通信を直接行なうアドホックモードでも実施可能である。アドホックモードでは、端末装置が、基地局装置の代わりとなりBSSを形成する。アドホックモードにおけるBSSを、IBSS(Independent Basic Service Set)とも呼称する。以下では、アドホックモードにおいてIBSSを形成する端末装置を、基地局装置とみなすこともできる。本実施形態の方法は、例えば、端末装置同士が通信を直接行なうWiFi Direct(登録商標)でも実施可能である。WiFi Directでは、端末装置が、基地局装置の代わりとなりGroupを形成する。以下では、WiFi DirectにおいてGroupを形成するGroup ownerの端末装置を、基地局装置とみなすこともできる。
【0016】
無線通信システムにおいて、IEEE802.11システムの一例では、各無線通信装置は、共通のフレームフォーマットを持った複数のフレームタイプの送信フレームを送信することが可能である。送信フレームは、物理(Physical:PHY)層、媒体アクセス制御(Medium access control:MAC)層、論理リンク制御(Logical Link Control:LLC)層、でそれぞれ定義されている。
【0017】
PHY層の送信フレームは、物理プロトコルデータユニット(PHY protocol data unit:PPDU、物理層フレーム)と呼ばれる。PPDUフレームは、物理層での信号処理を行なうためのヘッダ情報等が含まれる物理層ヘッダ(PHYヘッダ)と、物理層で処理されるデータユニットである物理サービスデータユニット(PHY service data unit:PSDU、MAC層フレーム)等から構成される。PSDUは無線区間における再送単位となるMACプロトコルデータユニット(MAC protocol data unit:MPDU)が複数集約された集約MPDU(Aggregated MPDU:A-MPDU)で構成されることが可能である。
【0018】
例えば、PHYヘッダには、信号の検出・同期等に用いられるショートトレーニングフィールド(Short training field:STF)、データ復調のためのチャネル情報を取得するために用いられるロングトレーニングフィールド(Long training field:LTF)などの参照信号と、データ復調のための制御情報が含まれているシグナル(Signal:SIG)などの制御信号が含まれる。また、STFは、対応する規格に応じて、レガシーSTF(Legacy-STF:L-STF)や、高スループットSTF(High throughput-STF:HT-STF)や、超高スループットSTF(Very high throughput-STF:VHT-STF)や、高効率STF(High efficiency-STF:HE-STF)や、超高スループットSTF(Extremely High Throughput-STF:EHT-STF)等に分類され、LTFやSIGも同様にL-LTF、HT-LTF、VHT-LTF、HE-LTF、L-SIG、HT-SIG、VHT-SIG、HE-SIG、EHT-SIGに分類される。VHT-SIGは更にVHT-SIG-A1とVHT-SIG-A2とVHT-SIG-Bに分類される。同様に、HE-SIGは、HE-SIG-A1~4と、HE-SIG-Bに分類される。また、同一規格における技術更新を想定し、追加の制御情報が含まれているUniversal SIGNAL(U-SIG)フィールドが含まれることができる。
【0019】
さらに、PHYヘッダは当該送信フレームの送信元のBSSを識別する情報(以下、BSS識別情報とも呼称する)を含むことができる。BSSを識別する情報は、例えば、当該BSSのSSID(Service Set Identifier)や当該BSSの基地局装置のMACアドレスであることができる。また、BSSを識別する情報は、SSIDやMACアドレス以外の、BSSに固有な値(例えばBSS Color等)であることができる。
【0020】
PPDUフレームは対応する規格に応じて変調される。例えば、IEEE802.11n規格であれば、直交周波数分割多重(Orthogonal frequency division multiplexing:OFDM)信号に変調される。
【0021】
MPDUは、MAC層での信号処理を行なうためのヘッダ情報等が含まれるMAC層ヘッダ(MAC header)と、MAC層で処理されるデータユニットであるMACサービスデータユニット(MAC service data unit:MSDU)もしくはフレームボディ、ならび誤りがないかをどうかをチェックするフレーム検査部(Frame check sequence:FCS)で構成されている。また、複数のMSDUは集約MSDU(Aggregated MSDU:A-MSDU)として集約されることも可能である。
【0022】
MAC層のフレームタイプは、装置間の接続状態などを管理するマネジメントフレーム、装置間の通信状態を管理するコントロールフレーム、および実際の送信データを含むデータフレームの3つに大きく分類され、それぞれは更に複数種類のサブフレームタイプに分類される。コントロールフレームには、受信完了通知(Acknowledge:ACK)フレーム、送信要求(Request to send:RTS)フレーム、受信準備完了(Clear to send:CTS)フレーム等が含まれる。マネジメントフレームには、ビーコン(Beacon)フレーム、プローブ要求(Probe request)フレーム、プローブ応答(Probe response)フレーム、認証(Authentication)フレーム、接続要求(Association request)フレーム、接続応答(Association response)フレーム等が含まれる。データフレームには、データ(Data)フレーム、ポーリング(CF-poll)フレーム等が含まれる。各装置は、MACヘッダに含まれるフレームコントロールフィールドの内容を読み取ることで、受信したMAC層フレームのタイプおよびサブフレームタイプを把握することができる。
【0023】
なお、Ackには、Block Ackが含まれても良い。Block Ackは、複数のMPDUに対する受信完了通知を実施可能である。
【0024】
ビーコンフレームには、ビーコンが送信される周期(Beacon interval)やSSIDを記載するフィールド(Field)が含まれる。基地局装置は、ビーコンフレームを周期的にBSS内に報知することが可能であり、端末装置はビーコンフレームを受信することで、端末装置周辺の基地局装置を把握することが可能である。端末装置が基地局装置より報知されるビーコンフレームに基づいて基地局装置を把握することを受動的スキャニング(Passive scanning)と呼ぶ。一方、端末装置がプローブ要求フレームをBSS内に報知することで、基地局装置を探査することを能動的スキャニング(Active scanning)と呼ぶ。基地局装置は該プローブ要求フレームへの応答としてプローブ応答フレームを送信することが可能であり、該プローブ応答フレームの記載内容は、ビーコンフレームと同等である。
【0025】
端末装置は、基地局装置を認識したあとに、該基地局装置に対して接続処理を行なう。接続処理は認証(Authentication)手続きと接続(Association)手続きに分類される。端末装置は接続を希望する基地局装置に対して、認証フレーム(認証要求)を送信する。基地局装置は、認証フレームを受信すると、該端末装置に対する認証の可否などを示すステータスコードを含んだ認証フレーム(認証応答)を該端末装置に送信する。端末装置は、該認証フレームに記載されたステータスコードを読み取ることで、自装置が該基地局装置に認証を許可されたか否かを判断することができる。なお、基地局装置と端末装置は認証フレームを複数回やり取りすることが可能である。
【0026】
端末装置は認証手続きに続いて、基地局装置に対して接続手続きを行なうために、接続要求フレームを送信する。基地局装置は接続要求フレームを受信すると、該端末装置の接続を許可するか否かを判断し、その旨を通知するために、接続応答フレームを送信する。接続応答フレームには、接続処理の可否を示すステータスコードに加えて、端末装置を識別するためのアソシエーション識別番号(Association identifier:AID)が記載されている。基地局装置は接続許可を出した端末装置にそれぞれ異なるAIDを設定することで、複数の端末装置を管理することが可能となる。
【0027】
接続処理が行われたのち、基地局装置と端末装置は実際のデータ伝送を行なう。IEEE802.11システムでは、分散制御機構(Distributed Coordination Function:DCF)と集中制御機構(Point Coordination Function:PCF)、およびこれらが拡張された機構(拡張分散チャネルアクセス(Enhanced distributed channel access:EDCA)や、ハイブリッド制御機構(Hybrid coordination function:HCF)等)が定義されている。以下では、基地局装置が端末装置にDCFで信号を送信する場合を例にとって説明する。
【0028】
DCFでは、基地局装置および端末装置は、通信に先立ち、自装置周辺の無線チャネルの使用状況を確認するキャリアセンス(Carrier sense:CS)を行なう。例えば、送信局である基地局装置は予め定められたクリアチャネル評価レベル(Clear channel assessment level:CCAレベル)よりも高い信号を該無線チャネルで受信した場合、該無線チャネルでの送信フレームの送信を延期する。以下では、該無線チャネルにおいて、CCAレベル以上の信号が検出される状態をビジー(Busy)状態、CCAレベル以上の信号が検出されない状態をアイドル(Idle)状態と呼ぶ。このように、各装置が実際に受信した信号の電力(受信電力レベル)に基づいて行なうCSを物理キャリアセンス(物理CS)と呼ぶ。なおCCAレベルをキャリアセンスレベル(CS level)、もしくはCCA閾値(CCA threshold:CCAT)とも呼ぶ。なお、基地局装置および端末装置は、CCAレベル以上の信号を検出した場合は、少なくともPHY層の信号を復調する動作に入る。
【0029】
基地局装置は送信する送信フレームの種類に応じたフレーム間隔(Inter frame space:IFS)だけキャリアセンスを行ない、無線チャネルがビジー状態かアイドル状態かを判断する。基地局装置がキャリアセンスする期間は、これから基地局装置が送信する送信フレームのフレームタイプおよびサブフレームタイプによって異なる。IEEE802.11システムでは、期間の異なる複数のIFSが定義されており、最も高い優先度が与えられた送信フレームに用いられる短フレーム間隔(Short IFS:SIFS)、優先度が比較的高い送信フレームに用いられるポーリング用フレーム間隔(PCF IFS: PIFS)、最も優先度の低い送信フレームに用いられる分散制御用フレーム間隔(DCF IFS: DIFS)などがある。基地局装置がDCFでデータフレームを送信する場合、基地局装置はDIFSを用いる。
【0030】
基地局装置はDIFSだけ待機したあとで、フレームの衝突を防ぐためのランダムバックオフ時間だけ更に待機する。IEEE802.11システムにおいては、コンテンションウィンドウ(Contention window:CW)と呼ばれるランダムバックオフ時間が用いられる。CSMA/CAでは、ある送信局が送信した送信フレームは、他送信局からの干渉が無い状態で受信局に受信されることを前提としている。そのため、送信局同士が同じタイミングで送信フレームを送信してしまうと、フレーム同士が衝突してしまい、受信局は正しく受信することができない。そこで、各送信局が送信開始前に、ランダムに設定される時間だけ待機することで、フレームの衝突が回避される。基地局装置はキャリアセンスによって無線チャネルがアイドル状態であると判断すると、CWのカウントダウンを開始し、CWが0となって初めて送信権を獲得し、端末装置に送信フレームを送信できる。なお、CWのカウントダウン中に基地局装置がキャリアセンスによって無線チャネルをビジー状態と判断した場合は、CWのカウントダウンを停止する。そして、無線チャネルがアイドル状態となった場合、先のIFSに続いて、基地局装置は残留するCWのカウントダウンを再開する。
【0031】
次に、PPDUフレーム受信の詳細について説明する。受信局である端末装置は、前記PPDUフレームを受信し、前記PPDUフレームのPHYヘッダを読み取り、受信した前記フレームを復調する。そして、端末装置は復調した信号のMACヘッダを読み取ることで、前記PPDUフレームが自装置宛てのものか否かを認識することができる。なお、端末装置は、PHYヘッダに記載の情報(例えばVHT-SIG-Aの記載されるグループ識別番号(Group identifier:GID, Group ID))に基づいて、前記PPDUフレームの宛先を判断することも可能である。
【0032】
端末装置は、受信したPPDUフレームが自装置宛てのものと判断し、そして誤りなく前記PPDUフレームを復調できた場合、前記PPDUフレームを正しく受信できたことを示すACKフレームを送信局である基地局装置に送信しなければならない。ACKフレームは、SIFS期間の待機だけ(ランダムバックオフ時間は取られない)で送信される最も優先度の高い送信フレームの一つである。基地局装置は、端末装置から送信されるACKフレームの受信をもって、一連の通信を終了する。なお、端末装置が前記PPDUフレームを正しく受信できなかった場合、端末装置はACKフレームを送信しない。よって基地局装置は、PPDUフレーム送信後、一定期間(SIFS+ACKフレーム長)の間、受信局からのACKフレームを受信しなかった場合、通信は失敗したものとして、通信を終了する。このように、IEEE802.11システムの1回の通信(バーストとも呼ぶ)の終了は、ビーコンフレームなどの報知信号の送信の場合や、送信データを分割するフラグメンテーションが用いられる場合などの特別な場合を除き、必ずACKフレームの受信の有無で判断されることになる。
【0033】
端末装置は、受信したPPDUフレームが自装置宛てのものではないと判断した場合、PHYヘッダ等に記載されている前記PPDUフレームの長さ(Length)に基づいて、ネットワークアロケーションベクタ(Network allocation vector:NAV)を設定する。端末装置は、NAVに設定された期間は通信を試行しない。つまり、端末装置は物理CSによって無線チャネルがビジー状態と判断した場合と同じ動作をNAVに設定された期間行なうことになるから、NAVによる通信制御は仮想キャリアセンス(仮想CS)とも呼ばれる。NAVは、PHYヘッダに記載の情報に基づいて設定される場合に加えて、隠れ端末問題を解消するために導入される送信要求であるRTSフレームや、受信準備完了を示すCTSフレームによっても設定される。
【0034】
無線通信システムが使用する無線媒体は、複数のリソースユニット(Resource unit:RU)に分割されることができる。
図3は、無線媒体の分割状態の一例を示す概要図である。例えば、リソース分割例1では、無線通信装置は無線媒体である周波数リソース(サブキャリア)を9個のRUに分割することができる。同様に、リソース分割例2では、無線通信装置は無線媒体であるサブキャリアを5個のRUに分割することができる。当然ながら、
図3に示すリソース分割例はあくまで一例であり、例えば、複数のRUはそれぞれ異なるサブキャリア数によって構成されることも可能である。また、RUとして分割される無線媒体には周波数リソースだけではなく空間リソースも含まれることができる。無線通信装置、例えばAPは、各RUに異なる端末装置宛てのPPDUフレームを配置することで、複数の端末装置(例えば複数のSTA)に同時にPPDUフレームを送信することができる。前記APは、無線媒体の分割の状態を示す情報(Resource allocation information)を、共通制御情報として、自装置が送信するPPDUフレームのPHYヘッダに記載することができる。更に、APは、各STA宛てのPPDUフレームが配置されたRUを示す情報(resource unit assignment information)を、固有制御情報として、自装置が送信するPPDUフレームのPHYヘッダに記載することができる。
【0035】
また、複数の端末装置、例えば複数のSTAは、それぞれ割り当てられたRUにフレームを配置して送信することで、同時にPPDUフレームを送信することができる。複数のSTAは、APから送信されるトリガ情報を含んだフレーム(Trigger frame:TF)を受信した後、所定の期間待機したのち、前記PPDUフレームの送信を行なうことができる。各STAは、該TFに記載の情報に基づいて自装置に割り当てられたRUを把握することができる。また、各STAは、該TFを基準としたランダムアクセスによりRUを獲得することができる。
【0036】
無線通信装置、例えばAPは、1つのSTAに複数のRUを同時に割り当てることができる。該複数のRUは、連続するサブキャリアで構成されることも出来るし、不連続のサブキャリアで構成されることも出来る。APは、1つのSTAに割り当てた複数のRUを用いて、1つのPPDUフレームを送信することが出来るし、複数のPPDUフレームをそれぞれ異なるRUに割り当てて送信することができる。該複数のPPDUフレームの少なくとも1つは、Resource allocation informationを送信する複数の端末装置に対する共通の制御情報を含むPPDUフレームであることができる。
【0037】
1つの端末装置、例えばSTAは、APより複数のRUを割り当てられることができる。STAは、割り当てられた複数のRUを用いて、1つのPPDUフレームを送信することができる。また、STAは割り当てられた複数のRUを用いて、複数のPPDUフレームをそれぞれ異なるRUに割り当てて送信することができる。該複数のPPDUフレームは、それぞれ異なるフレームタイプのPPDUフレームであることができる。
【0038】
APは、1つのSTAに複数のAIDを割り当てることができる。APは、1つのSTAに割り当てた複数のAIDに対して、それぞれRUを割り当てることができる。APは、1つのSTAに割り当てた複数のAIDに対して、それぞれ割り当てたRUを用いて、それぞれ異なるPPDUフレームを送信することができる。該異なるPPDUフレームは、それぞれ異なるフレームタイプのPPDUフレームであることができる。
【0039】
1つのSTAは、APより複数のAIDを割り当てられることができる。1つのSTAは割り当てられた複数のAIDに対して、それぞれRUを割り当てられることができる。1つのSTAは、自装置に割り当てられた複数のAIDにそれぞれ割り当てられたRUは、全て自装置に割り当てられたRUと認識し、該割り当てられた複数のRUを用いて、1つのPPDUフレームを送信することができる。また、1つのSTAは、該割り当てられた複数のRUを用いて、複数のPPDUフレームを送信することができる。このとき、該複数のPPDUフレームには、それぞれ割り当てられたRUに関連付けられたAIDを示す情報を記載して送信することができる。APは、1つのSTAに割り当てた複数のAIDに対して、それぞれ割り当てたRUを用いて、それぞれ異なるPPDUフレームを送信することができる。該異なるPPDUフレームは、異なるフレームタイプのPPDUフレームであることができる。
【0040】
無線通信装置は、PPDUフレームを送信する機能と受信する機能のいずれか、または両方を備える。無線通信装置、例えば、APが送信するPPDUフレーム構成の一例を
図4に示すが、それらに限られるものではない。IEEE802.11a/b/g規格に対応するPPDUフレームは、L-STF、L-LTF、L-SIG及びDataフレーム(MAC Frame、MACフレーム、ペイロード、データ部、データ、情報ビット等)を含んだ構成である。IEEE802.11n規格に対応するPPDUフレームはL-STF、L-LTF、L-SIG、HT-SIG、HT-STF、HT-LTF及びDataフレームを含んだ構成である。IEEE802.11ac規格に対応するPPDUフレームはL-STF、L-LTF、L-SIG、VHT-SIG-A、VHT-STF、VHT-LTF、VHT-SIG-B及びMACフレームの一部あるいは全てを含んだ構成である。IEEE802.11ax標準で検討されているPPDUフレームは、L-STF、L-LTF、L-SIG、L-SIGが時間的に繰り返されたRL-SIG、HE-SIG-A、HE-STF、HE-LTF、HE-SIG-B及びDataフレームの一部あるいは全てを含んだ構成である。IEEE802.11be標準で検討されているPPDUフレームは、L-STF、L-LTF、L-SIG、RL-SIG、U-SIG、EHT-SIG、EHT-STF、HET-LTF及びDataフレームの一部あるいは全てを含んだ構成である。
【0041】
図4中の点線で囲まれているL-STF、L-LTF及びL-SIGはIEEE802.11規格において共通に用いられる構成である(以下では、L-STF、L-LTF及びL-SIGをまとめてL-ヘッダとも呼称する)。例えばIEEE 802.11a/b/g規格に対応する無線通信装置は、IEEE802.11n/ac規格に対応するPPDUフレーム内のL-ヘッダを適切に受信することが可能である。IEEE 802.11a/b/g規格に対応する無線通信装置は、IEEE802.11n/ac規格に対応するPPDUフレームを、IEEE 802.11a/b/g規格に対応するPPDUフレームとみなして受信することができる。ただし、IEEE 802.11a/b/g規格に対応する無線通信装置はL-ヘッダの後に続く、IEEE802.11n/ac規格に対応するPPDUフレームを復調することができないため、送信アドレス(TA:Transmitter Address)や受信アドレス(RA:Receiver Address)やNAVの設定に用いられるDuration/IDフィールドに関する情報を復調することができない。
【0042】
無線通信装置は、PPDUフレームの受信動作中も、当該PPDUフレーム以外のPPDUフレームの一部、例えば、IEEE802.11により規定されるプリアンブル、L-STF、L-LTF、PLCPヘッダ等の受信動作を行うことができる。無線通信装置は、PPDUフレームの受信動作中に、当該PPDUフレーム以外のPPDUフレームの一部を検出した場合に、宛先アドレス、送信元アドレス、PPDUフレーム等に関する情報の一部または全部を更新することができる。
【0043】
以降、本発明に係る実施形態を説明する上では、限定されない限り、フレームは送信フレームであって、PPDUフレームを示すものとして定義する。
図5は、本実施形態に係る無線通信システムの一例を示した図であるが、それらに限られない。無線通信システム3-1は、無線通信装置1-1及び無線通信装置2-1~2-3を備えている。なお、無線通信装置1-1を基地局装置1-1とも呼称し、無線通信装置2-1~2-3を端末装置2-1~3とも呼称する。また、無線通信装置2-1~2-3および端末装置2-1~2-3を、無線通信装置1-1に接続されている装置として、無線通信装置2Aおよび端末装置2Aとも呼称する。無線通信装置1-1及び無線通信装置2Aは、無線接続されており、お互いにPPDUフレームの送受信を行うことができる状態にある。また、本実施形態に係る無線通信システムは、無線通信システム3-1の他に無線通信システム3-2を備えてもよい。無線通信システム3-2は、無線通信装置1-2及び無線通信装置2-4~6を備えている。なお、無線通信装置1-2を基地局装置1-2とも呼称し、無線通信装置2-4~6を端末装置2-4~6とも呼称する。また、また、無線通信装置2-4~6および端末装置2-4~6を、無線通信装置1-2に接続されている装置として、無線通信装置2Bおよび端末装置2Bとも呼称する。無線通信システム3-1、無線通信システム3-2は異なるBSSを形成するが、これはESS(Extended Service Set)が異なることを必ずしも意味していない。ESSは、LAN(Local Area Network)を形成するサービスセットを示している。つまり、同じESSに属する無線通信装置は、上位層から同一のネットワークに属しているとみなされることができる。また、BSSはDS(Distribution System)を介して結合されてESSを形成する。なお、無線通信システム3-1、3-2のそれぞれは、さらに複数の無線通信装置を備えることも可能である。
【0044】
無線通信システムにおけるリンクアダプテーションの一例を
図1と
図2を用いて説明する。
図1に無線通信装置(10-1)、
図2に自律分散制御部(10002-1)の一例を示す。前記無線通信装置は、上位層部(10001-1)、MAC層部(10001a-1)、MCS更新処理部(10001b-1)、自律分散制御部、送信部(10003-1)、物理層フレーム生成部(10003a-1)、無線送信部(10003b-1)、受信部(10004-1)、無線受信部(10004a-1)、信号復調部(10004b-1)、アンテナ部(10005-1)を含み、前記自律分散制御部は、
図2中に示すCCA部(10002a-1)、バックオフ部(10002b-1)、送信判断部(10002c-1)を含む。
【0045】
前記無線通信装置の受信部は、端末からフィードバックされたチャネル状態の情報を含む無線周波数帯の信号をアンテナ部で受信し、無線受信部で、前記無線周波数帯の信号から物理層信号を生成する。前記無線受信部は、前記物理層信号の受信電力とプリアンブルの復調結果を自律分散制御部のCCA部に通知するとともに、前記物理層信号を受信したことを送信判断部へ通知する。信号復調部は、誤り訂正復号化等を実施し、前記物理層信号からPPDUフレームを復調することで、物理層ヘッダ、MACヘッダ、データ部のいずれかまたは全てを取り出し、上位層部に伝達する。前記チャネル状態の情報は、SINR等を用いることができるが、それには限られない。
【0046】
前記無線通信装置の上位層部は、端末宛に発生したパケットをMAC層に伝達し、MPDUまたはMPDUを集約したA-MPDU(Aggregated MAC Protocol Data Unit)を生成する。前記MAC層部は、前記MPDUを送信部の物理層フレーム生成部に伝達すると共に、MCS更新処理部にてPPDUフレームの送信を開始する旨を自律分散制御部の送信判断部に通知する。前記MCS更新処理部は、チャネル状態の情報、例えば、SINR等に基づいて所定の誤り率以下となるように、次のフレームで使用するMCSを更新でき、MCS更新処理部#1, …,#Nのように端末数Nだけ処理する。
【0047】
自律分散制御部のCCA部は、キャリアセンスを行い、チャネルの状態(idle/busy)を判断し、その結果をバックオフ部に通知する。送信判断部は、物理層信号を受信している場合に、フレーム間隔(Inter frame space:IFS)だけ待機する。前記送信判断部は、フレーム間隔としてDIFSを用いることができ、PPDUフレームの送信を開始する旨が通知されている場合、DIFS経過後、バックオフ部にバックオフカウンタのカウントダウン開始を要求する。なお、前記バックオフ部は、前記チャネルの状態がidleであり、前記送信判断部においてバックオフカウンタのカウントダウン開始を要求されている場合に、バックオフカウンタのカウントダウンを開始することができる。一方、前記チャネルの状態がbusyである場合は、バックオフカウンタのカウントダウンを中断することができる。前記バックオフ部は、バックオフカウンタの値を前記送信判断部へと通知する。そして、前記送信判断部は、バックオフカウンタの値が0であるとき送信部の物理層フレーム生成部で、前記物理層信号からPPDUフレームを生成する。前記PPDUフレームには、変調・符号化が実施され、無線送信部へ伝達される。前記無線送信部は、前記PPDUフレームを、無線周波数帯の信号に変換した後、物理層信号を生成し、アンテナ部を介して前記物理層信号を送信する。なお、前記PPDUフレームに使用するMCSは、受信したチャネル状態の情報に基づいて更新されたMCSを用いることができる。
[第1の実施形態]
【0048】
本発明は、アプリケーションに応じてリンクアダプテーションの方法を切り替える無線通信装置に係るものである。以降、本発明に係る実施形態の一例とその概要を説明する。現存のアプリケーションには、大きく分けてアプリケーション層で発生するデータが一定周期または非周期的に発生するものがある。したがって、アプリケーションの実現には、各々のアプリケーションの要求条件が満たされるように、MCSを更新し、無線通信システム全体の伝送効率の向上が求められる。以降、本発明に係る無線通信装置は、例えば、APに限られるものではなく、端末においても有効である。
【0049】
アプリケーションとして、一定周期でデータが発生する映像伝送では、短い周期で映像パケットが発生するため、前記映像パケットを構成するPPDUフレームの送信間隔は短くなる。したがって、許容遅延時間等の映像伝送の要求条件が満たされるように、前記PPDUフレームの送信毎に、次のPPDUフレームで使用するMCSが更新されていかなければならない。しかし、端末からチャネル状態の情報をフィードバックするリンクアダプテーションでは、前記フィードバック間隔がPPDUフレームの送信間隔よりも長周期となることで、PPDUフレームの送信毎に次のPPDUフレームで使用するMCSを更新することができない。前記フィードバックが長周期となる理由は、PPDUフレームを伝送する上でのオーバーヘッドを抑えるためである。なお、本発明に係るチャネル状態の情報とは、受信した電波の強度や品質に関する情報であって、RSRP、SINR、CQI等のいずれかまたは複数を示すが、それらに限られない。そこで、アプリケーションが映像伝送である場合に、映像パケットを構成するPPDUフレームに対するACK (acknowledgement)フレームを受信したタイミングでMCSを更新する。なお、前記ACKフレームは、厳密にはMACフレームであるが、ここではPPDUフレームとして伝送される物理層フレームを示す。これより、映像パケットの発生周期やPPDUフレームの送信間隔が短周期であり、尚且つ、PPDUフレーム送信間隔の中でチャネル状態が変動したとしても、ACKフレームを受信した時の受信電力と送信元の送信電力を用いてSINRを計算し、所定の誤り率以下となるように次のフレームで使用するMCSを更新することができるようになるため、チャネル状態の情報のフィードバックに基づくリンクアダプテーションと比較すると、より高い時間分解能でMCSの更新が実現できるようになる。
【0050】
また、アプリケーションとしてセンシングでは、IoTデバイス等によるセンシングの結果であるセンサ情報を定期的に伝送する必要がある。前記センシングデバイスが前記センサ情報を一度に誤りなく伝送するためには、前記センサ情報の送信周期よりも短周期にMCSを更新しなければならない。そこで、アプリケーションがセンシングである場合、端末がチャネル状態の情報をフィードバックする周期は、前記センサ情報の送信間隔よりも短周期となる所定のフィードバック周期に設定し、MCSを更新する。これより、前記センシングデバイスは、前記センサ情報の送信間隔内にチャネル状態が変動したとしても、前記センサ情報を含むPPDUフレームの送信前にMCSを更新することができるため、前記PPDUフレームの再送等による遅延の影響を抑えた、センシングが期待できる。
【0051】
一方、アプリケーションとしてブラウジングでは、ユーザ要求が発生した非周期的なタイミングでパケットが発生する。ユーザ要求を受信した無線通信装置では、前記ユーザ要求に含まれる要求条件を満たすように、端末に前記パケットを構成するPPDUフレームを伝送することで、ブラウザ、ページ、メディア等の表示・更新処理が実現される。前記ユーザ要求に対する処理が完了するまでには、上位層部におけるファイル読込やレンダリングの時間といったオーバーヘッドが含まれるものの、スムーズなブラウジングの実現には、アプリケーション層で発生したパケットはできる限り早く送り切る必要があるため、前記パケットを構成するPPDUフレームについても一度に誤りなく伝送し切らなければならない。したがって、本発明に係る無線通信装置は、PPDUフレームに応じたACKフレーム受信時において、前記ACKフレームに含まれるACK/NACKの数に基づいてSINRを調整し、所定の誤り率以下となるように、次のPPDUフレームで使用するMCSを更新する。端末からチャネル状態の情報をフィードバックさせるMCSの更新方法と比較して、ブラウジングにおける前記ACK/NACKの数に基づいたSINRの調整は、送信できたビット数に着目したMCSの更新方法であることから、一度に送信可能なビット数の向上が期待できる。
【0052】
以上より、アプリケーションに応じてリンクアダプテーションを切り替えることができれば、アプリケーション毎に適切なタイミングでMCSを更新できるようになり、一度に送信可能なビット数を向上させる、または、許容遅延時間などの要求条件を満たすなどの多様な目的に応じ、無線通信システム全体の伝送効率の向上が期待できる。
【0053】
本実施形態に係るアプリケーションに応じたリンクアダプテーションを実施する無線通信装置を説明する。
図6に、本発明に係るアプリケーションに応じてリンクアダプテーションを実施する無線通信装置(10-2a)の一例を示しているが、アプリケーションが映像伝送である場合のリンクアダプテーションを実施する無線通信装置(10-2b)の一例は
図8で説明する。本発明に係る実施形態においては、
図1と
図2に記載したブロック図と同じ部分の説明を省略する。前記無線通装置の上位層部は、アプリケーション層で発生した端末宛のパケットをMAC層部へ伝達すると共に、前記パケットに紐づけられたアプリケーションの要求条件をアプリケーション判断部(10001c-1)に伝達する。前記アプリケーション判断部は、前記要求条件に基づいてアプリケーションをカテゴライズし、その結果をMCS更新処理部に通知する。前記MCS更新処理部は、カテゴライズされたアプリケーションの要求条件に基づいて、PPDUフレームの送信を開始する旨を送信判断部に通知する、または、通知しないとすることができる。
【0054】
前記アプリケーション判断部において、前記カテゴライズされたアプリケーションが映像伝送である場合、映像伝送の要求条件をMCS更新処理部に伝達する。
図8の無線受信部では、受信部で受信した物理層信号の受信電力を上位層部の前記MCS更新処理部にも伝達する。前記MCS更新処理部は、ACKフレームを受信した時の物理層信号の受信電力と送信元の送信電力を用いてSINRを計算し、所定の誤り率以下となるように次のPPDUフレームで使用するMCSを更新することができる。なお、前記送信電力は、ACKフレームの送信元の端末が定める値を予め前記無線通信装置に伝達することができる。また、前記無線通信装置は、無線通信システム内で決定される値を予め取得する等の方法を用いて送信元の送信電力を把握することができる。
【0055】
前記アプリケーション判断部において、前記カテゴライズされたアプリケーションがセンシングである場合、前記センシングの要求条件をMCS更新処理部に伝達するとともに、チャネル状態の情報のフィードバック周期を示す所定のフィードバック周期を端末へ伝達する必要があるため前記所定のフィードバック周期に関する情報をMAC層部へと通知する。なお、本発明に係るチャネル状態の情報とは、受信した電波の強度や品質に関する情報であって、RSRP、SINR、CQI等のいずれかまたは複数を示すものであるが、それらには限られない。前記MCS更新処理部は、前記フィードバックされたチャネル状態の情報を用い、次のPPDUフレームで使用するMCSを更新する。
【0056】
前記アプリケーション判断部において、前記カテゴライズされたアプリケーションがブラウジングである場合、端末から受信したユーザ要求には、ブラウジングに対する要求条件が含まれる。ブラウジングにおけるユーザ要求は非周期的に発生するものであって、その要求条件は映像伝送のように短周期でフレーム送信が必要となるような許容遅延時間等の厳しい要求条件とはならないが、前記要求に対するPPDUフレームは誤りなく送信せねばならない。そこで、前記アプリケーション判断部は、前記ブラウジングの要求条件をMCS更新処理部に伝達し、PPDUフレームに対するACKフレームを受信したタイミングで、ACK/NACKの数に基づいてSINRを調整し、所定の誤り率以下となるように次のPPDUフレームで使用するMCSを更新する。前記ACK/NACKの数は、一度に誤りなく送信できたビット数の一つの指標とすることができる。
【0057】
アプリケーション毎のリンクアダプテーションについて、
図6と
図8の無線通信装置と
図9を用いて説明する。
図9において、(a)は映像伝送、(b)はセンシング、(c)はブラウジングに応じたリンクアダプテーションの一例を示す。当図中の長方形はPPDUフレーム、ACKフレーム等を示す。第一に、アプリケーションが映像伝送である時のリンクアダプテーションを説明する。
図8の無線通信装置において、上位層部は、アプリケーション層で発生した端末宛の映像パケットをMAC層部へ伝達し、前記映像パケットに対応する映像伝送の要求条件をアプリケーション判断部へ伝達する。映像伝送におけるリンクアダプテーションにおいて、
図8の無線受信部は、ACKフレームを受信した時の物理層信号の受信電力を上位層部のMCS更新処理部にも伝達する。
図9(a)に、PPDUフレームに対するACKフレームを受信したタイミングでMCSを更新する一例を示す。当図中では、映像パケット#1は許容遅延時間内に送り切れている一例であり、上矢印は残りのファイルサイズ、破線は残りファイルサイズの減少の様子を示す。前記MCS更新処理部は、受信部から上位層部に伝達された物理層フレームがACKフレームである場合、ACKフレームを受信した時の物理層信号の受信電力と送信元の送信電力を用いてSINRを計算し、所定の誤り率以下となるように次のPPDUフレームで使用するMCSを更新する。なお、前記送信電力は、ACKフレームの送信元の端末が定める値を予め前記無線通信装置に伝達することができる。また、前記無線通信装置は、無線通信システム内で決定される値を予め取得する等の方法を用いて送信元の送信電力を把握することができる。
【0058】
第二に、アプリケーションがセンシングである時のリンクアダプテーションを説明する。
図6の無線通信装置において、上位層部は、前記センシングの要求条件をMCS更新処理部に伝達するとともに、チャネル状態の情報のフィードバック周期を示す所定のフィードバック周期を端末に対して通知するため、前記所定のフィードバック周期に関する情報をMAC層部へと通知する。また、上位層部は、アプリケーション層で発生したパケットであるセンサ情報をMAC層部に伝達する。
図9(b)は、無線通信装置が、端末からの前記フィードバックを受信したタイミングで、次のPPDUフレームで使用するMCSを更新する一例を示す。当図中では、アプリケーション層で発生したセンシングの結果を表すセンサ情報はパケット#1等として示されており、センシングの周期は次のパケット#2が発生する間隔を示す。当図中のFBは、端末からのチャネル状態の情報のフィードバックを示す。つまり、前記所定のフィードバック周期が、前記センサ情報の送信間隔よりも短周期であるときのリンクアダプテーションとなっており、前記MCS更新処理部は、端末からフィードバックされたチャネル状態の情報を用い、例えば、SINRに基づいて、所定の誤り率以下となるように次のPPDUフレームで使用するMCSを更新することができる。
【0059】
第三に、アプリケーションがブラウジングである時のリンクアダプテーションを説明する。
図6において、ユーザ要求を受信した無線通信装置は、前記ユーザ要求に含まれる要求条件を満たすようにPPDUフレームを伝送することで、端末側でのブラウザ、ページ、メディア等の表示・更新処理が実現される。前記ユーザ要求を受信した受信部は、前記ユーザ要求に含まれるブラウジングの要求条件をアプリケーション判断部に伝達する。前記ユーザ要求を受信した後、アプリケーション層で発生したパケットをMAC層部へ伝達する。MCS更新処理部は、PPDUフレームに対するACKフレームを受信したタイミングで、ACK/NACKの数をカウントし、前記カウント結果をMCS更新処理部に伝達する。
図9(c)は、ブラウジングにおけるリンクアダプテーションの一例であって、要求はユーザ要求を示し、前記ユーザ要求を受信した無線通信装置はアプリケーション層においてパケット#1等が発生している。PPDUフレームに応じたACKフレーム受信時において、ACK/NACKの数に基づいてSINRを調整し、所定の誤り率以下となるように、次のPPDUフレーム(当図中では、次のユーザ要求を受信した時にアプリケーション層で発生するパケット#2)で使用するMCSを更新することができる。
【0060】
図11に、アプリケーションに応じてリンクアダプテーションを切り替えることによる本発明の効果の一例を説明する。当図中の長方形はPPDUフレーム、ACKフレーム等を示す。
図11において、アプリケーションは映像伝送であって、アプリケーション層で発生したパケット#1等は映像パケットを表す。前記映像伝送の要求条件としては、許容遅延時間が設定されているため、パケット#1はパケット#2発生前(許容遅延時間内)に伝送し切る必要がある。すなわち、当図では、アプリケーションに対するリンクアダプテーションとして、ACKフレームを受信した時の物理層信号の受信電力と送信元の送信電力を用いてSINRを計算し、所定の誤り率以下となるように次のフレームで使用するMCSを更新する方法が好ましい。当図中の上矢印は、各々のパケットに対する残りのファイルサイズ、前記上矢印に沿った破線部はその変化、FBは端末からのチャネル状態の情報のフィードバックを示す。また、当図において、黒色は許容遅延時間内で送信できたビット数、白色は許容遅延時間内に送信できなかったビット数を表している。すなわち、前記白色は、前記パケットを構成するPPDUフレームを許容遅延時間内に送信し切れず、アプリケーションの要求条件が満たされていない状態を示すものである。
【0061】
図11上部と中央は、前記アプリケーションに対して適切なリンクアダプテーションが切り替えられていない場合の一例を示すものであって、端末からチャネル状態がフィードバックされたタイミングでMCSを更新する。
図11上部では、前記フィードバック周期がPPDUフレームの送信周期よりも長周期となっており、パケット#1送信終了時刻までMCSの更新は実施されることはなく、許容遅延時間内に伝送を完了することができない。
図11中央では、前記フィードバック周期がPPDUフレームの送信周期よりも短周期であるため、次のPPDUフレームで使用するMCSを更新することができているが、前記フィードバック自体がオーバーヘッドとなり、許容遅延時間内にPPDUフレームを伝送することができない。このようにアプリケーションに応じて適切にリンクアダプテーションが設定されない場合、アプリケーションの要求条件は満たされず、無線システム全体の伝送効率を低下させてしまう可能性がある。
【0062】
図11下部のリンクアダプテーションは、ACKフレームを受信した時の物理層信号の受信電力と送信元の送信電力を用いてSINRを計算し、所定の誤り率以下となるように次のPPDUフレームで使用するMCSを更新するリンクアダプテーションに切り替わっており、PPDUフレーム送信の間隔内でMCSの更新が可能となっている。このように、パケットの発生周期やPPDUフレームの送信間隔が短周期であったとしても、ACKフレーム受信したタイミングで次のPPDUフレームで使用するMCSを更新することができるため、前記フィードバックに基づくリンクアダプテーションと比較すると、より高い時間分解能でチャネル状態の変動に応じたMCSの更新が実施され、アプリケーションの要求条件を満たしつつPPDUフレームの送信が期待できる。すなわち、アプリケーションに応じて適切にリンクアダプテーションが設定された場合は、アプリケーションの要求条件を満たすことができ、無線通信システム全体の伝送効率が向上することが期待できる。
【0063】
本発明に係る実施形態として、アプリケーションの要求条件に応じた端末の割り当て処理の一例を
図6および
図8に示した無線通信装置(10-2a、10-2b)と
図7の無線通信方法に関するフローチャートを用いて説明する。第一に、本発明に係るアプリケーションの要求条件に基づく端末の割り当て処理について、
図6および
図8に示した無線通信装置を用いて説明する。前記無線通信装置のMCS更新処理部は、アプリケーション判断部が通知するアプリケーションの要求条件に基づいて所定の伝送レートを計算し、前記MCS更新処理部で計算されたMCSの伝送レートが前記所定の伝送レート以上となる場合に、端末を割り当て、PPDUフレームの送信を開始する旨を送信判断部に通知する。一方、前記MCSの伝送レートが、前記所定の伝送レートよりも低くなる場合、PPDUフレームの送信を実施する旨を送信判断部に通知しないとすることができる。
【0064】
第二に、本発明に係るアプリケーションの要求条件に基づく端末の割り当て処理を
図7のフローチャートを用いて説明する。まず、スケジューリング処理(S1)は、端末の割当順序を決定し、前記端末順序でMCSの更新処理(S2)以降のステップを実施する。前記S2は、例えば、映像伝送である場合に、ACKフレーム受信時の物理層信号の受信電力と送信元の送信電力に基づいてSINRを計算し、所定の誤り率以下となるように次のPPDUフレームのMCSを更新する。前記フローチャートは、前記端末順序として最初の端末をi(端末を識別するためのインデックス)として説明するものであり、待機処理(S14)とPPDUフレーム送信処理(S18)後には、前記S1処理が実施されるものである。前記S18では、前記MCS更新処理部にてPPDUフレームの送信を開始する旨を自律分散制御部の送信判断部に通知することで、PPDUフレームの送信を実施するものである。次に、伝送レートの計算処理(S3)は、前記端末iについて、前記MCS更新処理で更新された次のPPDUフレームで使用するMCSに基づき伝送レートを計算する。そして、端末iを除く全端末Nについて、所要の伝送レートの計算処理部(S4、S5、S6)は、前記S1の端末順序で、アプリケーションの要求条件に基づいて所要の伝送レートを計算する。なお、端末 j は、ループ処理内部で用いられる端末のインデックスを示す。その後、前記端末iについて、伝送レートと所要の伝送レートの判定処理(S7)を実施する。前記S7を満足しない場合、つまり前記端末iの伝送レートが前記所要の伝送レート以上と判定された時、前記端末iの割り当て処理(S16)を実施し、PPDUフレームの送信処理(S18)を実施する。以下、割り当て処理は、無線リソースにPPDUフレームを割り当てるものである。
【0065】
前記S7を満足する場合、つまり端末i以外の伝送レートが所要の伝送レートよりも低くなる場合であって、尚且つ、判定処理(S8)で全端末数が1台以下であると判定された時、割り当て処理(S15)にて前記端末iを割り当てず、次のパケット発生時刻まで待機処理(S14)を実施する。前記S7を満足する場合であり、判定処理(S8)で全端末数が1台よりも多い場合は、前記端末iを除く全端末Nについて、前記S1の端末順序で、伝送レートと所要の伝送レートの比較処理(S9、S10)を実施する。前記S10を満足しない場合、つまり端末i以外の端末の伝送レートが前記所要の伝送レート以上となる時、割り当て処理(S17)にて前記端末i以外の端末 j の割り当てを実施し、PPDUフレームの送信処理(S18)を実施する。
前記S10を満足する場合、つまり端末i以外の伝送レートが所要の伝送レートよりも低くなる場合、割り当て処理(S11)にて前記端末i以外の端末jを割り当てず、スケジューリング処理(S12)を実施する。前記S12では、前記端末i以外の端末と前記S11で割り当てられなかった端末jを除く全端末で端末順序を決定し、前記全端末で前記S10の判定処理が終了するまで繰り返す(S13)。前記S10で、前記端末iを除く全ての端末が割り当てられないとなる場合は、次のパケットが発生するまで、PPDUフレームの送信は実施しないとする待機処理(S14)を実施する。
【0066】
本発明に係るアプリケーションの要求条件に基づいた所定の伝送レートの計算方法について、アプリケーション判断部が通知するアプリケーションが映像伝送である場合、前記所定の伝送レートは、映像伝送の要求条件として残りの許容遅延時間内で残り映像パケットのファイルサイズを伝送する上で必要となる最低の伝送レートであるか、また、ファイルサイズ、許容遅延時間、ジッタ、バッファサイズなどのいずかをまたはその複数を考慮して計算することができる。前記アプリケーション判断部が通知するアプリケーションがセンシングである場合、前記所定の伝送レートは、センシングの要求条件としてファイルサイズ、センサ情報の送信間隔、センサ情報の発生周期などのいずれかまたはその複数を考慮して計算することができる。また、前記アプリケーション判断部が通知するアプリケーションがブラウジングである場合、前記所定の伝送レートは、ブラウジングの要求条件としてページ等の表示・更新に関わるファイルサイズ、イベントの発生タイミング、テキストやメディアなどのリソースを読み込むタイミングなどのいずれかまたはその複数を考慮して計算することができる。
【0067】
本発明に係る実施形態では、アプリケーションの要求条件に基づいて計算された所定の伝送レートに応じて、端末の割り当て処理を実施しているが、前記一例に本発明の実施形態の範囲は限定されない。前記無線通信装置のMCS更新処理部は、前記所定の伝送レートに加えて、無線環境、物理層またはMAC層で取得可能な情報を用いることができ、前記情報に含まれる値が所定の条件を満たす場合に、端末を割り当て、PPDUフレームの送信を開始する旨を送信判断部に通知することができる。前記無線環境の情報の一例として、前記MCS更新処理部は、無線周波数帯の媒体占有率が、所定の閾値以下となる場合に、端末を割り当て、PPDUフレームで送信することができる。前記物理層の情報の一例として、前記MCS更新処理部は、チャネル状態の情報として、例えばSINRが所定の閾値を満たす場合に、端末を割り当てることができる。前記MAC層の情報の一例として、前記MCS更新処理部はバックオフカウンタなどが所定の閾値以下となる場合に、端末を割り当てることができるなどである。
【0068】
このように、本発明に係る実施形態は、アプリケーションの要求条件に基づいて所定の伝送レートまたは所定の条件を柔軟に設定することができる。
図12に、アプリケーションの要求条件を満たせない場合に、端末の割当の有無を判断することの効果を示す。当図において、パケット#1とは異なるパケット#1’が別の端末で発生しており、前記各々の端末宛のPPDUフレームが示されており、前記PPDUフレームは許容遅延時間内に送信できたビット数を表す。なお、上矢印は、アプリケーション層で発生したパケットの残りファイルサイズを示す。
図12では、パケット#1が発生している端末宛のPPDUフレームに対してACKフレームを受信し、次のPPDUフレームで使用するMCSを更新しているが、前記MCSの伝送レートが、アプリケーションの要求条件に基づいて計算された所要の伝送レートよりも低くなることで、アプリケーションの要求条件が満足できなくなる一例を示している。当一例において、前記端末の割り当てを行わず、アプリケーションの要求条件を満たす別の端末宛のパケット#1'のPPDUフレームを割り当てることで、無線通信システム全体の伝送効率を向上させることができる効果が示されている。以上より、前記所要の伝送レートまたは前記所定の条件を満足しない端末は、PPDUフレームを送信したとしてもアプリケーションの要求条件が満たされないため、無駄に媒体を占有してしまう可能性がある。このため、前記所定の伝送レートまたは前記所定の条件を満たせない時点で、端末を割り当てないとすることで媒体占有率を下げることができる。そして、前記端末の代わりにアプリケーションの要求条件を満足する別の端末を割り当て、PPDUフレームを送信することで、無線通信システム全体の伝送効率の向上が期待できる。
[第2の実施形態]
【0069】
本発明に係る
図6および
図8に示した無線通信装置(10-2a、10-2b)は、複数の無線周波数帯を備えている場合においても有効である。
図10に2つ以上の無線周波数帯を有する無線通信装置(10-2c)の一例を示す。なお、本発明は、前記
図1と
図2に係るブロックに含まれることから、
図6および
図8の無線通信装置に記載したブロック図と同じ部分についても説明を省略する。前記無線通信装置は、無線周波数帯の異なる無線周波数帯Aおよび無線周波数帯Zを備え、それぞれで独立した送信部と受信部から構成されており、上位層部のMAC層部に無線周波数帯選択部(10001c-1)を備える。前記無線周波数帯選択部は、前記MCS更新部から通知されるアプリケーションの要求条件に基づいて計算された所定の伝送レートに加えて、無線環境、物理層またはMAC層で取得可能な情報を用いて、アプリケーション毎に同一または異なる無線周波数帯を選択することができる。例えば、許容遅延時間などの厳しい要求条件を含むアプリケーションを媒体占有率の低い無線周波数帯に割り当ててもよい。
【0070】
前記MCS更新処理部は、前記所定の伝送レートまたは前記所定の条件を満足できない場合、PPDUフレームを異なる無線周波数帯に割り当て、前記PPDUフレームの送信を開始する旨を送信判断部に通知してもよい。また、前記MCS更新処理部は、前記所定の伝送レートまたは前記所定の条件を満足できない場合、別の端末宛のPPDUフレームを異なる無線周波数帯に割り当て、前記別の端末宛のPPDUフレームの送信を開始する旨を送信判断部に通知してもよい。なお、前記無線周波数帯において前記MCS更新処理部で、前記所定の伝送レートまたは前記所定の条件を満足していなければならない。本発明に係る実施形態では、アプリケーションの要求条件に基づいた所定の伝送レートまたは所定の条件に基づいて、無線周波数帯を柔軟に設定することができるため、複数の無線周波数帯を備える場合においても効果は同様に期待できる。前記無線周波数帯において、前記所要の伝送レートまたは前記所定の条件を満足しない端末はPPDUフレームを送信したとしても、無駄に媒体を占有してしまう可能性がある。そこで、前記所定の伝送レートまたは前記所定の条件を満足できないと判断した時点で、アプリケーションの要求条件を満足する別の無線周波数帯に割り当てることで、無線通信システム全体の伝送効率の向上が期待できる。
[第3の実施形態]
【0071】
本発明に係る実施形態は、アプリケーションに応じたリンクアダプテーションの方法であり、アプリケーションとして映像伝送、センシング、ブラウジングを説明してきたが、本発明の効用は前記アプリケーションに限られるものではない。本発明に係る無線通信装置10-2a、10-2b、10-2cのアプリケーション判断部は、複数あるアプリケーションをカテゴライズし、前記カテゴライズされたアプリケーション毎に周波数帯を選択することもできる。例えば、音声伝送は映像伝送に近しい要求条件を有するように、前記カテゴライズされたアプリケーションとは、複数のアプリケーションの内、性質の近しい要求条件のものを一つアプリケーションとしてカテゴライズすることができる。既存のアプリケーションの要求条件は、アプリケーション毎に多種多様であり、一つ一つのアプリケーションに適したリンクアダプテーションを実装することは回路規模などの観点から現実的ではない。そこで、前記カテゴライズされたアプリケーションに応じた所定の伝送レートまたは所定の条件を設定することで、近似的に幅広いアプリケーションに対してリンクアダプテーションを実施できるようになる他、前記カテゴライズされたアプリケーション毎に無線周波数帯を設定するなど柔軟な対応が可能となる。前記カテゴライズされたアプリケーションの所要の伝送レートまたは所定の条件を満足しない端末はPPDUフレームを送信したとしてもアプリケーションの要求条件は満たされないため、無駄に媒体を占有してしまう可能性がある。そこで、前記所定の伝送レートまたは前記所定の条件を満足できないと判断した時点で、前記カテゴライズされたアプリケーションの要求条件を満足する別の端末のPPDUフレームを割り当てる、もしくは、前記要求条件を満足する無線周波数帯に割り当てることで、無線通信システム全体の伝送効率の向上が期待できる。
[第4の実施形態]
【0072】
本発明に係る実施形態においては、2つ以上のリンクを備えるマルチリンクデバイス(Multi-link device:MLD)においても有効である。前記MLDは、複数のアクセスポイントを1つのAPとして構成するAP-MLDと、複数の端末(Station:STA)を1つのSTAとして構成するSTA-MLDであって、前記AP-MLDと前記STA-MLDでリンクを確立することができる。前記リンクは、それぞれ同一または複数の無線周波数帯を使用することができる。前記MLDのMAC層部は、複数のリンクのMAC層部を管理するものであって、上位層部で発生したアプリケーションの要求条件に基づいて、それぞれ1つのリンクまたは2つ以上のリンクに割り当てることができる。そして、各リンクで前記要求条件に応じたリンクアダプテーションを設定することができる。前記MLDのMAC層部は、トラフィックを指定のリンクに割り当てる機能であるTID-to-Link Mappingを用いて、リンク毎にアプリケーションを割り当てることができる。また、前記MLDのMAC層部がTID-to-Link Mappingを設定するタイミングで、前記割り当ての設定を切り替えることができる。
【0073】
前記MLDのMCS更新処理部は、前記リンク毎に設定されるものであって、アプリケーションの要求条件に対応する情報に加えて、無線環境、物理層またはMAC層で取得可能な情報を用いて、前記情報に含まれる値が所定の条件を満たす場合に、端末をリンクに割り当て、PPDUフレームの送信を開始する旨を送信判断部に通知することができる。前記無線環境の情報の一例として、前記MCS更新処理部は、リンクが使用する無線周波数帯の媒体占有率が、所定の閾値以下となる場合に、前記リンクにPPDUフレームを割り当てることができる。前記物理層の情報の一例として、前記MCS更新処理部は、チャネル状態の情報として、例えばSINRが所定の閾値以上となる場合に、前記リンクにPPDUフレームを割り当てることができる。前記MAC層の情報の一例として、前記MCS更新処理部はバックオフカウンタなどが所定の閾値以下となるリンクにPPDUフレームを割り当てることができる。
【0074】
このように、前記MLDを用いた実施形態においても、アプリケーションに応じて所定の伝送レートまたは所定の条件を柔軟に設定することができる。前記所要の伝送レートまたは前記所定の条件を満足しないリンクはPPDUフレームを送信したとしてもアプリケーションの要求条件は満たされないため、無駄に媒体を占有してしまう。前記所定の伝送レートまたは前記所定の条件を満足できないと判断した時点で、前記リンクにPPDUフレームを割り当てないとすることで媒体占有率を下げることができる。そして、前記リンク宛のPPDUフレームの代わりにアプリケーションの要求条件を満足する別リンクのPPDUフレームを割り当てることで、無線通信システム全体の伝送効率の向上が期待できる。また、前記MLDによる効果は、マルチリンクによる効果を合わせ、伝送効率の向上が期待できる。例えば、混雑している無線チャネルを避けつつ、空いているリンクを適宜選択し、PPDUフレーム送信することで、PPDUフレーム送信時に生じる遅延を小さくして、低遅延(Low Latency)通信を実現できる。マルチリンクによる大容量通信、低遅延通信の特徴は、当該各々のリンクの品質(無線通信装置間での電波干渉が少ない、受信信号強度が大きい、またはPPDUフレームの誤りが小さいなど)が高まるほどマルチリンクの性能が向上する。そこで、前記MLDにおいてリンク毎にアプリケーションを割り当て、リンクアダプテーションを切り替えることで、無線通信システム全体としての伝送効率の向上が期待できる。
[第5の実施形態]
【0075】
本発明に係る無線通信装置は、トリガーフレームを用いた端末からアクセスポイントへのアップリンクまたは端末同士のP2P通信でも適用可能である。トリガーフレームを用いたアップリンクの場合、アクセスポイントは、前記トリガーフレームを送信することで、前記トリガーフレームを受信した端末に対してPPDUフレーム送信を指示することができる。前記トリガーフレームには、前記端末のPPDUフレームをどの周波数帯のどの無線リソースに割り当てるかなどの情報が含まれている。そこで、前記アクセスポイントは、前記端末のアプリケーションを種別し、前記アプリケーションの要求条件に基づいて利用可能な無線リソースの情報を計算することができる。そして、前記トリガーフレームに前記無線リソースの情報を含め、前記端末に通知することができる。前記端末は、前記無線リソースの情報に基づいて、前記アクセスポイント宛のPPDUフレームの送信を開始する旨を送信判断部に通知することができる。前記無線リソースの情報とは、周波数リソース(サブキャリア)またはサブキャリアを複数に分割したリソースユニット(Resource unit:RU)などであって、PPDUフレーム送信時に使用可能な無線リソース、または、無線リソースのSINRに関する情報などを含む。例えば、前記トリガーフレームに含まれる無線リソースの情報が所定の値以上となる場合、無線リソースはひっ迫しているとして、前記アクセスポイント宛のPPDUフレームの送信を行わない旨を送信判断部に通知することができる。
【0076】
また、前記無線通信装置の自律分散制御部は、集中制御機構(Point Coordination Function:PCF)、およびこれらが拡張された機構(拡張分散チャネルアクセス(Enhanced distributed channel access:EDCA)やハイブリッド制御機構(Hybrid coordination function:HCF)等)を用いて、アップリンクを実施してもよい。例えば、PCFを実施する場合、前記無線通信装置はポイントコーディネータ(Point coordinator:PC)と呼ばれる制御局となり、周期的にポーリング(Polling)フレームを送信し、前記ポーリングフレームを受信した端末はPPDUフレーム送信を開始する。前記ポーリングフレームには、前記トリガーフレームと同様の情報を含めることができ、前記無線リソースの情報に基づいて、前記アクセスポイント宛のPPDUフレームの送信を開始する旨を送信判断部に通知することができる。
このように、前記無線リソースにおいてアプリケーションの要求条件を満たせない端末からのPPDUフレーム送信を許可しないことで、無駄に媒体を占有してしまう問題を回避し、無線通信システム全体としての伝送効率の向上が期待できる。
【0077】
本発明に係る無線通信装置は、国や地域からの使用許可を必要としない、いわゆるアンライセンスバンド(unlicensed band)と呼ばれる周波数バンド(周波数スペクトラム)において通信を行うことができるが、使用可能な周波数バンドはこれに限定されない。本発明に係る無線通信装置は、例えば、国や地域から特定サービスへの使用許可が与えられているにも関わらず、周波数間の混信を防ぐ等の目的により、実際には使われていないホワイトバンドと呼ばれる周波数バンド(例えば、テレビ放送用として割り当てられたものの、地域によっては使われていない周波数バンド)や、複数の事業者で共用することが見込まれる共用スペクトラム(共用周波数バンド)においても、その効果を発揮することが可能である。
【0078】
本発明に係る無線通信装置で動作するプログラムは、本発明に関わる上記実施形態の機能を実現するように、CPU等を制御するプログラム(コンピュータを機能させるプログラム)である。そして、これら装置で取り扱われる情報は、その処理時に一時的にRAMに蓄積され、その後、各種ROMやHDDに格納され、必要に応じてCPUによって読み出し、修正・書き込みが行なわれる。プログラムを格納する記録媒体としては、半導体媒体(例えば、ROM、不揮発性メモリカード等)、光記録媒体(例えば、DVD、MO、MD、CD、BD等)、磁気記録媒体(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスク等)等のいずれであってもよい。また、ロードしたプログラムを実行することにより、上述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムの指示に基づき、オペレーティングシステムあるいは他のアプリケーションプログラム等と共同して処理することにより、本発明の機能が実現される場合もある。
【0079】
また市場に流通させる場合には、可搬型の記録媒体にプログラムを格納して流通させたり、インターネット等のネットワークを介して接続されたサーバコンピュータに転送したりすることができる。この場合、サーバコンピュータの記憶装置も本発明に含まれる。また、上述した実施形態における通信装置の一部、または全部を典型的には集積回路であるLSIとして実現してもよい。通信装置の各機能ブロックは個別にチップ化してもよいし、一部、または全部を集積してチップ化してもよい。各機能ブロックを集積回路化した場合に、それらを制御する集積回路制御部が付加される。
【0080】
また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現しても良い。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いることも可能である。
【0081】
なお、本願発明は上述の実施形態に限定されるものではない。本願発明の無線通信装置は、移動局装置への適用に限定されるものではなく、屋内外に設置される据え置き型、または非可動型の電子機器、たとえば、AV機器、キッチン機器、掃除・洗濯機器、空調機器、オフィス機器、自動販売機、その他生活機器などに適用出来ることは言うまでもない。
【0082】
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も特許請求の範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、無線通信装置に用いて好適である。
【符号の説明】
【0084】
1-1、1-2 アクセスポイント装置
2-1~2-6 ステーション装置
3-1、3-2 無線通信システム
10-1、10-2a、10-2b、10-2c 無線通信装置
10001-1 上位層部
10001a-1 MAC層部
10001b-1 MCS更新処理部
10001c-1 アプリケーション判断部
10001d-1 無線周波数帯選択部
10002-1 自律分散制御部
10002a-1 CCA部
10002b-1 バックオフ部
10002c-1、10002c-1 送信判断部
10003-1 送信部
10003a-1、10003c-1 物理層フレーム生成部
10003b-1、10003d-1 無線送信部
10004-1 受信部
10004a-1、10004c-1 無線受信部
10004b-1、10004d-1 信号復調部
10005-1 アンテナ部
S1、S12 スケジューリング処理
S2 MCSの更新処理
S3 伝送レートの計算処理
S4、S9 ループ処理
S6、S13 ループ終了処理
S5 所定の伝送レートの計算処理
S7、S8、S10 判定処理
S11、S15、S16、S17 割り当て処理
S14 待機処理
S18 PPDUフレームの送信処理