(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108777
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】ウエハ保持台
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20240805BHJP
【FI】
H01L21/68 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023013338
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100147
【弁理士】
【氏名又は名称】山野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116366
【弁理士】
【氏名又は名称】二島 英明
(72)【発明者】
【氏名】北林 桂児
(72)【発明者】
【氏名】木村 功一
(72)【発明者】
【氏名】先田 成伸
(72)【発明者】
【氏名】藤井 亮成
(72)【発明者】
【氏名】板倉 克裕
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131BA39
5F131CA03
5F131EA04
5F131EB78
5F131EB81
5F131EB82
(57)【要約】
【課題】ウエハ保持台における外周領域の均熱性を向上させることができるウエハ保持台を提供する。
【解決手段】円板状の基体と、前記基体の厚さ方向に並ぶ第一冷媒流路と第二冷媒流路とを備え、前記第一冷媒流路は、互いに反対向きに旋回する渦巻き形状を有する第一往路と第一復路とを備え、前記第二冷媒流路は、互いに反対向きに旋回する渦巻き形状を有する第二往路と第二復路とを備え、前記第一冷媒流路における最外周に配置された第一外周路と、前記第二冷媒流路における最外周に配置された第二外周路とが、前記厚さ方向に重複しており、前記第一外周路が前記第一往路の一部であり、前記第二外周路が前記第二復路の一部である、または前記第一外周路が前記第一復路の一部であり、前記第二外周路が前記第二往路の一部である、ウエハ保持台。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円板状の基体と、
前記基体の内部に配置された第一冷媒流路と第二冷媒流路とを備え、
前記第一冷媒流路と前記第二冷媒流路とは、前記基体の厚さ方向の異なる位置に配置されており、
前記第一冷媒流路は、
前記基体の外周から前記基体の中心部に近づくように旋回する渦巻き形状を有する第一往路と、
前記中心部から前記外周に近づくように、前記第一往路と反対向きに旋回する渦巻き形状を有する第一復路と、を備え、
前記第二冷媒流路は、
前記外周から前記中心部に近づくように旋回する渦巻き形状を有する第二往路と、
前記中心部から前記外周に近づくように、前記第二往路と反対向きに旋回する渦巻き形状を有する第二復路と、を備え、
前記第一冷媒流路における最外周に配置された第一外周路と、前記第二冷媒流路における最外周に配置された第二外周路とが、前記厚さ方向に重複しており、
前記第一外周路が前記第一往路の一部であり、前記第二外周路が前記第二復路の一部である、または前記第一外周路が前記第一復路の一部であり、前記第二外周路が前記第二往路の一部である、
ウエハ保持台。
【請求項2】
前記第一往路の旋回方向と前記第二往路の旋回方向とは互いに反対向きである、請求項1に記載のウエハ保持台。
【請求項3】
前記厚さ方向に見た前記第一冷媒流路と前記第二冷媒流路とが互いに上下反転形状を備える、請求項2に記載のウエハ保持台。
【請求項4】
前記第一往路につながる第一インレットと、前記第二往路につながる第二インレットとを備え、
前記第一インレットと前記第二インレットとは、前記厚さ方向に重複する位置にあり、
さらに、前記第一インレットと前記第二インレットとにつながる共通インレットとを備える、請求項2または請求項3に記載のウエハ保持台。
【請求項5】
前記第一復路につながる第一アウトレットと、前記第二復路につながる第二アウトレットとを備え、
前記第一アウトレットと前記第二アウトレットとは、前記厚さ方向に重複する位置にあり、
さらに、前記第一アウトレットと前記第二アウトレットとにつながる共通アウトレットを備える、請求項2または請求項3に記載のウエハ保持台。
【請求項6】
前記第一往路の旋回方向と前記第二往路の旋回方向とは同じ向きである、請求項1に記載のウエハ保持台。
【請求項7】
前記厚さ方向に見た前記第一冷媒流路と前記第二冷媒流路とが同一形状を有する、請求項6に記載のウエハ保持台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ウエハ保持台に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、基板載置台を開示する。基板載置台は、本開示におけるウエハ保持台に相当する。基板載置台は例えばプローバに用いられる。プローバは、複数の回路が形成されたウエハを個々のチップに切断する前に、各チップの電気性能を測定する検査装置である。特許文献1に開示される基板載置台は、円板形状を有するチャックトップを備える。チャックトップは、ウエハが載せられる上面を有する基体である。基体の内部には複数の冷媒流路が設けられている。冷媒は、円板状の基体の外周から各冷媒流路に導入され、各冷媒流路を流れた後、基体の外周から排出される。特許文献1では、複数の冷媒流路に冷媒を循環させることで、基体の上面全体の温度分布の偏りを小さくできるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成では、基体の外周面に設けられる冷媒の入口近傍において上面の温度が局所的に低くなり易い、あるいは前記外周面に設けられる冷媒の出口近傍において上面の温度が局所的に高くなり易い。その結果、基体の上面の外周領域における温度分布に偏りが生じ易い。外周領域は、円板状の基体の上面のうち、基体の外周縁から所定幅を有する円環状の領域である。基体の外周領域と、外周領域を除く中央領域との温度分布に偏りがあっても、例えばヒータの配置によって温度分布の偏りを小さくすることは可能である。しかし、外周領域に温度分布の偏りがあると、その偏りを小さくすることは難しい。
【0005】
本開示の目的の一つは、ウエハ保持台における外周領域の均熱性を向上させることができるウエハ保持台を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のウエハ保持台は、
円板状の基体と、
前記基体の内部に配置された第一冷媒流路と第二冷媒流路とを備え、
前記第一冷媒流路と前記第二冷媒流路とは、前記基体の厚さ方向の異なる位置に配置されており、
前記第一冷媒流路は、
前記基体の外周から前記基体の中心部に近づくように旋回する渦巻き形状を有する第一往路と、
前記中心部から前記外周に近づくように、前記第一往路と反対向きに旋回する渦巻き形状を有する第一復路と、を備え、
前記第二冷媒流路は、
前記外周から前記中心部に近づくように旋回する渦巻き形状を有する第二往路と、
前記中心部から前記外周に近づくように、前記第二往路と反対向きに旋回する渦巻き形状を有する第二復路と、を備え、
前記第一冷媒流路における最外周に配置された第一外周路と、前記第二冷媒流路における最外周に配置された第二外周路とが、前記厚さ方向に重複しており、
前記第一外周路が前記第一往路の一部であり、前記第二外周路が前記第二復路の一部である、または前記第一外周路が前記第一復路の一部であり、前記第二外周路が前記第二往路の一部である。
【発明の効果】
【0007】
本開示のウエハ保持台は、ウエハ保持台の外周領域の均熱性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態1に記載されるウエハ保持台の断面模式図である。
【
図2】
図2は、実施形態1に記載される第一冷媒流路と第二冷媒流路の概略図である。
【
図3】
図3は、実施形態1に記載される共通インレットの近傍の構成を模式的に示す基材の断面図である。
【
図4】
図4は、実施形態1に記載される共通アウトレットの近傍の構成を模式的に示す基材の断面図である。
【
図5】
図5は、実施形態1に記載されるヒータの概略構成図である。
【
図6】
図6は、実施形態2に記載される第一冷媒流路と第二冷媒流路の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
<1>実施形態に係るウエハ保持台は、
円板状の基体と、
前記基体の内部に配置された第一冷媒流路と第二冷媒流路とを備え、
前記第一冷媒流路と前記第二冷媒流路とは、前記基体の厚さ方向の異なる位置に配置されており、
前記第一冷媒流路は、
前記基体の外周から前記基体の中心部に近づくように旋回する渦巻き形状を有する第一往路と、
前記中心部から前記外周に近づくように、前記第一往路と反対向きに旋回する渦巻き形状を有する第一復路と、を備え、
前記第二冷媒流路は、
前記外周から前記中心部に近づくように旋回する渦巻き形状を有する第二往路と、
前記中心部から前記外周に近づくように、前記第二往路と反対向きに旋回する渦巻き形状を有する第二復路と、を備え、
前記第一冷媒流路における最外周に配置された第一外周路と、前記第二冷媒流路における最外周に配置された第二外周路とが、前記厚さ方向に重複しており、
前記第一外周路が前記第一往路の一部であり、前記第二外周路が前記第二復路の一部である、または前記第一外周路が前記第一復路の一部であり、前記第二外周路が前記第二往路の一部である。
【0011】
第一冷媒流路の第一往路は冷媒が導入される第一インレットにつながり、第一復路は冷媒が排出される第一アウトレットにつながる。渦巻き形状を有する第一往路は複数の周回路によって構成され、渦巻き形状を有する第一復路も複数の周回路によって構成される。第一往路における第一インレットと反対側の端部は、第一復路における第一アウトレットと反対側の端部とつながっている。第一冷媒流路を流れる冷媒の温度は、第一インレットの位置で最も低く、第一往路から第一復路に向かうに従って上昇する。実施形態に係る構成では、第一往路と第一復路とは互いに反対向きに旋回する渦巻き形状を有する。そのため、基体の中心部から離れる方向に、比較的温度が低い冷媒が流れる第一往路の周回路と、比較的温度が高い冷媒が流れる第一復路の周回路とが交互に並ぶ。従って、第一往路の温度と第一復路の温度とが相殺され易く、基体全体の温度分布の幅が小さくなり易い。
【0012】
第二冷媒流路の第二往路は冷媒が導入される第二インレットにつながり、第二復路は冷媒が排出される第二アウトレットにつながる。渦巻き形状を有する第二往路は複数の周回路によって構成され、渦巻き形状を有する第二復路も複数の周回路によって構成される。第二往路における第二インレットと反対側の端部は、第二復路における第二アウトレットと反対側の端部とつながっている。第二冷媒流路を流れる冷媒の温度は、第二インレットの位置で最も低く、第二往路から第二復路に向かうに従って上昇する。実施形態に係る構成では、第二往路と第二復路とは互いに反対向きに旋回する渦巻き形状を有するため、基体の中心部から離れる方向に、比較的温度が低い冷媒が流れる第二往路の周回路と、比較的温度が高い冷媒が流れる第二復路の周回路とが交互に並ぶ。従って、第二往路の温度と第二復路の温度とが相殺され易い。
【0013】
第一冷媒流路を構成する複数の周回路のうち、最外周に配置される第一外周路の温度は、第一冷媒流路自身によって相殺され難い。なぜなら、第一外周路よりも外側に、第一外周路の温度を相殺する別の周回路が存在しないからである。同様に、第二冷媒流路を構成する複数の周回路のうち、最外周に配置される第二外周路の温度も、第二冷媒流路自身によって相殺され難い。ここで、実施形態に係るウエハ保持台では、第一冷媒流路の第一外周路と第二冷媒流路の第二外周路とが基体の厚さ方向に重複している。しかも、第一外周路と第二外周路との組み合わせは、第一往路の一部と第二復路の一部との組み合わせ、または第一復路と第二往路との組み合わせである。つまり、第一外周路と第二外周路とは、比較的温度が低い冷媒が流れる周回路と、比較的温度が高い冷媒が流れる周回路との組み合わせである。従って、第一外周路の温度と第二外周路の温度とが相殺され易い。
【0014】
<2>上記<1>に記載されるウエハ保持台において、
前記第一往路の旋回方向と前記第二往路の旋回方向とは互いに反対向きであっても良い。
【0015】
上記<1>に規定されるように、第一往路の旋回方向と第一復路の旋回方向とが互いに反対向きであり、第二往路の旋回方向と第二復路の旋回方向とが互いに逆向きである。従って、第一往路の旋回方向と第二往路の旋回方向とが互いに反対向きである上記<2>に記載される構成では、第一復路の旋回方向と第二復路の旋回方向も互いに反対向きになる。
【0016】
上記<2>に記載される構成では、厚さ方向に、比較的温度が高い冷媒が流れる周回路と、比較的温度が低い冷媒が流れる周回路とを重複させ易い。つまり、第一冷媒流路の温度と、第二冷媒流路の温度とが相殺され易い。
【0017】
上記<2>の構成では、下記<4>および<5>の構成を適用し易い。
【0018】
<3>上記<2>に記載されるウエハ保持台において、
前記厚さ方向に見た前記第一冷媒流路と前記第二冷媒流路とが互いに上下反転形状を備えていても良い。
【0019】
『第一冷媒流路と第二冷媒流路とが互いに上下反転形状を備える』とは、厚さ方向に見た第一冷媒流路形状と、厚さ方向と反対方向に見た第二冷媒流路の形状とが同一形状であることを意味する。ここで、上記<3>および下記<7>における『同一形状』とは、全体の90%以上の形状が同一であることを意味する。例えば、『同一形状』は、各冷媒流路におけるインレットにつながる部分とアウトレットにつながる部分とを除く形状が同一であることを意味する。
【0020】
上下反転形状を備える第一冷媒流路と第二冷媒流路とは、厚さ方向に重複する部分が多くなり易い。従って、第一冷媒流路の温度と第二冷媒流路の温度とが相殺され易い。
【0021】
<4>上記<2>または<3>に記載されるウエハ保持台において、
前記第一往路につながる第一インレットと、前記第二往路につながる第二インレットとを備え、
前記第一インレットと前記第二インレットとは、前記厚さ方向に重複する位置にあり、
さらに、前記第一インレットと前記第二インレットとにつながる共通インレットとを備えていても良い。
【0022】
共通インレットから第一インレットと第二インレットとに冷媒が供給される構成では、ウエハ保持台に一つの冷媒供給管をつなぐことによって、第一冷媒流路と第二冷媒流路とに一括して冷媒を供給することができる。冷媒供給管が一つであれば、ウエハ保持台を含む装置が簡素化する。上記<4>に記載される構成とは異なり、第一インレットと第二インレットとが独立してれば、第一冷媒流路と第二冷媒流路とで冷媒の温度および流量を個別に調整可能である。
【0023】
<5>上記<2>から<4>のいずれかに記載されるウエハ保持台において、
前記第一復路につながる第一アウトレットと、前記第二復路につながる第二アウトレットとを備え、
前記第一アウトレットと前記第二アウトレットとは、前記厚さ方向に重複する位置にあり、
さらに、前記第一アウトレットと前記第二アウトレットとにつながる共通アウトレットを備えていても良い。
【0024】
第一アウトレットと第二アウトレットから共通アウトレットに冷媒が排出される構成では、ウエハ保持台に一つの冷媒回収管をつなぐことによって、第一冷媒流路と第二冷媒流路から一括して冷媒を回収できる。冷媒回収管が一つであれば、ウエハ保持台を含む装置が簡素化する。
【0025】
<6>上記<1>に記載されるウエハ保持台において、
前記第一往路の旋回方向と前記第二往路の旋回方向とは同じ向きであっても良い。
【0026】
第一往路の旋回方向と第二往路の旋回方向とが同じ向きである上記<6>に記載される構成では、第一復路の旋回方向と第二復路の旋回方向も同じ向きになる。上記<6>に記載される構成では、厚さ方向に、比較的温度が高い冷媒が流れる周回路と、比較的温度が低い冷媒が流れる周回路とを重複させ易い。つまり、第一冷媒流路の温度と、第二冷媒流路の温度とが相殺され易い。
【0027】
<7>上記<6>に記載されるウエハ保持台において、
前記厚さ方向に前記第一冷媒流路と前記第二冷媒流路とが同一形状を有していても良い。
【0028】
基体の厚さ方向に見て同一形状を有する第一冷媒流路と第二冷媒流路では、第一冷媒流路における冷媒の流通方向と、第二冷媒流路における冷媒の流通方向とが互いに逆向きである。このような第一冷媒流路と第二冷媒流路によっても、第一冷媒流路の温度と第二冷媒流路の温度とが相殺され易い。
【0029】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態のウエハ保持台を、図面に基づいて説明する。図中の同一符号は同一または相当部分を示す。各図面が示す部材の大きさは、説明を明確にする目的で表現されており、必ずしも実際の寸法を表すものではない。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0030】
本開示のウエハ保持台は半導体製造装置の一部として用いることができる。以下、ウエハプローバに用いられるウエハ保持台を例として説明を行う。ウエハプローバは、回路が形成された半導体のウエハを個々のチップに切断する前に、ウエハを所定の温度に制御した状態で各チップの電気性能を測定する検査装置である。本開示の実施形態のウエハ保持台はウエハプローバには限定されず、成膜装置など、同様の構造を備える他の用途のウエハ保持台にも用いることができる。
【0031】
<実施形態1>
図1に示されるウエハ保持台1は、基体2と支持構造3とを備える。基体2は、ウエハが載せられる上面2uと、上面2uと反対側の下面2dとを有する。支持構造3は、基体2を下方から支える。
図1は、基体2の厚さ方向に沿った平面でウエハ保持台1を切断した断面を模式的に示している。基体2の厚さ方向とは、
図1の白抜き矢印で示されるように、基体2の上面2uに垂直で、上面2uから下面2dに向かう方向である。本例の基体2は、基体2の内部において厚さ方向に並ぶ第一冷媒流路4と第二冷媒流路5とを備える。本例のウエハ保持台1の特徴の一つは、第一冷媒流路4および第二冷媒流路5の構成にある。以下、各構成を詳細に説明する。
【0032】
≪基体≫
基体2は、ウエハを冷却するための冷媒が内部に流通される部材である。本例の基体2は、図示は省略するものの、ウエハを吸着するチャックトップの機能も有する。基体2の全体形状は、ウエハの形状に合わせた形状であり、通常、円板状に構成されている。
【0033】
上面2uの直径は、ウエハを載せた際にウエハの周囲に若干の余裕ができる程度の長さである。上面2uの直径は、上面2uに載置されるウエハのサイズにあわせて設計される。ウエハのサイズは、直径2インチ(約50mm)から12インチ(約300mm)まで種々の規格があり、将来的に18インチ(約450mm)をも想定されている。現在、工業的に主に用いられている基体2のサイズは、上面2uの直径が100mm以上400mm以下である。
【0034】
基体2の厚さは、例えば15mm以上30mm以下である。基体2の厚さが15mm以上であれば、基体2の剛性を確保し易く、かつ後述する第一冷媒流路4と第二冷媒流路5の設計の自由度が高い。基体2の厚さが30mm以下であれば、基体2の熱容量が小さくなり易い。そのため、後述するヒータでの加熱と冷媒による冷却の効率および応答性が高くなり易い。基体2の厚さは、更に15mm以上20mm以下であり、特に16mm以上18mm以下である。
【0035】
基体2の構成材料には、熱伝導性に優れる金属、非金属、または金属と非金属との複合体が利用できる。基体2の材質の熱伝導性は高いほど好ましい。金属は、例えば、銅、銅合金、銀、銀合金、アルミニウム、アルミニウム合金である。特に、熱伝導性に優れる銅または銅合金が好適である。非金属は、例えば、シリコンやセラミックスである。セラミックスは、例えば、窒化アルミニウムや炭化ケイ素である。複合体は、例えば、シリコンと炭化ケイ素の複合体、アルミニウムと炭化ケイ素の複合体、アルミニウムとシリコンと炭化ケイ素の複合体である。本例の基体2の材質は無酸素銅である。
【0036】
基体2の構成材料の熱伝導率は例えば、100W/m・K以上である。熱伝導率は、更に200W/m・K以上、300W/m・K以上、特に400W/m・K以上であっても良い。アルミニウムの熱伝導率は約230W/m・K、銅の熱伝導率は約400W/m・K、銀の熱伝導率は約420W/m・Kである。炭化ケイ素の熱伝導率は約200W/m・K、窒化アルミニウムの熱伝導率は約150W/m・Kである。
【0037】
基体2には、表面処理が施されていてもよい。この表面処理は、例えばメッキである。メッキの具体例は、Ni(ニッケル)メッキやNi-P(リン)メッキである。メッキの手法は、電解メッキや無電解メッキである。本例の表面処理は、無電解メッキによるNi-Pメッキである。基体2として無酸素銅を含む銅を用いる場合、NiメッキやNi-Pメッキを行うことが好ましい。銅はウエハの構成材料であるシリコンに拡散し易いため、NiメッキやNi-Pメッキを行うことで上記拡散を抑制できる。その結果、ウエハから得られるデバイスの信頼性を確保できる。表面処理を行う箇所は、基体2におけるウエハの載置面となる上面2uを含む。
【0038】
本例のウエハ保持台1における第一冷媒流路4と第二冷媒流路5の構成を
図2に基づいて説明する。
図2では、基体2の厚さ方向(
図1の白抜き矢印参照)に見た第一冷媒流路4と第二冷媒流路5とを紙面の上下に並べて示している。
図2では、冷媒の流通方向を太線矢印で示している。
【0039】
第一冷媒流路4は、第一インレット40と第一往路41と接続路42と第一復路43と第一アウトレット45とを備える。
図2では、第一インレット40と第一往路41と接続路42には45°のハッチングが付されており、第一復路43と第一アウトレット45には135°のハッチングが付されている。
【0040】
第一インレット40は、第一冷媒流路4における冷媒の導入路である。本例の第一インレット40は、基体2の外周29の所定位置からほぼ中心軸20に向かって直線状に延びている。第一往路41は、第一インレット40の終端につながり、基体2の外周29から中心軸20を含む中央部に近づくように旋回する渦巻き形状を有する。旋回方向は、第一インレット40とのつなぎ目を始点としたとき、時計回りである。第一往路41は、複数の周回路41Aと複数の屈曲路41Bとを備える。周回路41Aは、中心軸20を中心とする円弧状である。本例の円弧の内角は300°以上あり、ほとんど円形である。各周回路41Aの半径は異なっており、複数の周回路41Aは径方向に並んでいる。本明細書における径方向とは、中心軸20から放射状に離れる方向のことである。一方、屈曲路41Bは、径方向に隣接する二つの周回路41Aをつないでいる。本例の屈曲路41BはS字状に蛇行した形状を有する。屈曲路41Bは、基体2に設けられた孔などの構造物を避ける目的で設けられていても良い。つまり、周回路41Aは、複数の円弧状の流路と少なくとも一つの屈曲路41Bとで構成されていても良い。本例とは異なり、周回路41Aは、旋回するに従って徐々に径が小さくなる形状であっても良い。その場合、屈曲路41Bは必要ない。
【0041】
第一復路43は、基体2の中心軸20を含む中央部から外周29に近づくように旋回する渦巻き形状を有する。第一復路43の旋回方向は、中心軸20に近い端部を始点として反時計回り、すなわち第一往路41と反対向きである。第一復路43の始端は、U字状に折り返された接続路42によって第一往路41の終端と接続されている。第一復路43の構成は、旋回方向を除いて第一往路41と同じである。具体的には、第一復路43は、複数の周回路43Aと複数の屈曲路43Bとを備える。周回路43Aは、中心軸20を中心とする円弧状で、本例の円弧の内角は300°以上である。各周回路43Aの半径は異なっており、複数の周回路43Aは径方向に並んでいる。屈曲路43Bは、S字状に蛇行した形状を有しており、径方向に隣接する二つの周回路43Aをつないでいる。屈曲路43Bは、孔などの構造物を避ける目的で設けられていても良い。つまり、周回路43Aは、複数の円弧状の流路と少なくとも一つの屈曲路43Bとで構成されていても良い。
【0042】
第一往路41と反対向きに旋回する第一復路43の周回路43Aは、第一往路41の隙間に配置される。具体的には、径方向に隣接する二つの周回路41Aの間に、第一復路43の周回路43Aが配置される。本例では、中心軸20の位置から径方向に向かって順に、第一復路43の周回路43Aと、第一往路41の周回路41Aとが交互に並ぶ。最外周に配置される第一外周路49は、第一往路41の周回路41Aである。比較的温度が低い冷媒が流れる周回路41Aと、比較的温度が高い冷媒が流れる周回路43Aとが径方向に交互に並ぶことで、第一往路41の温度と第一復路43の温度とが相殺され易い。ここで、第一往路41の周回路41Aによって構成され、比較的温度が低い冷媒が流れる第一外周路49の外側には、比較的温度が高い冷媒が流れる第一復路43の周回路43Aが存在しないため、第一外周路49の温度は、第一冷媒流路4自身によって相殺され難い。
【0043】
第一アウトレット45は、第一冷媒流路4における冷媒の排出路である。本例の第一アウトレット45は、第一復路43の終端につながっている。第一アウトレット45は、外周29に向かって直線状に延びている。本例では、第一アウトレット45は、第一インレット40に近い位置に配置されている。本例とは異なり、第一アウトレット45は、外周29に沿って時計回りまたは反時計回りに第一インレット40から離れた位置に配置されていても良い。例えば、第一アウトレット45は、第一インレット40から180°離れた位置に配置されていても良い。
【0044】
第二冷媒流路5は、第二インレット50と第二往路51と接続路52と第二復路53と第二アウトレット55とを備える。第二冷媒流路5は、第一冷媒流路4の上下反転形状を備える。
図2では、第二インレット50と第二往路51と接続路52には45°のハッチングが付されており、第二復路53と第二アウトレット55には135°のハッチングが付されている。
【0045】
第二インレット50は、第二冷媒流路5における冷媒の導入路である。本例の第二インレット50は、基体2の外周29の所定位置からほぼ中心軸20に向かって直線状に延びている。第二往路51は、第二インレット50の終端につながり、基体2の外周29から中心軸20を含む中央部に近づくように旋回する渦巻き形状を有する。旋回方向は、第二インレット50とのつなぎ目を始点としたとき、反時計回りである。第二往路51は、複数の周回路51Aと複数の屈曲路51Bとを備える。周回路51Aは、中心軸20を中心とする円弧状である。例えば円弧の内角は300°以上あり、ほとんど円形である。各周回路51Aの半径は異なっており、複数の周回路51Aは径方向に並んでいる。一方、屈曲路51Bは、径方向に隣接する二つの周回路51Aをつないでいる。本例の屈曲路51BはS字状に蛇行した形状を有する。屈曲路51Bは、孔などの構造物を避ける目的で設けられていても良い。つまり、周回路51Aは、複数の円弧状の流路と少なくとも一つの屈曲路51Bとで構成されていても良い。本例とは異なり、周回路51Aは、旋回するに従って徐々に径が小さくなる形状であっても良い。その場合、屈曲路51Bは必要ない。
【0046】
第二復路53は、基体2の中心軸20を含む中央部から外周29に近づくように旋回する渦巻き形状を有する。第二復路53の旋回方向は、中心軸20に近い端部を始点として時計回り、すなわち第二往路51と反対向きである。第二復路53の始端は、U字状に折り返された接続路52によって第二往路51の終端と接続されている。第二復路53の構成は、旋回方向を除いて第二往路51と同じである。具体的には、第二復路53は、複数の周回路53Aと複数の屈曲路53Bとを備える。周回路53Aは、中心軸20を中心とする円弧状で、例えば円弧の内角は300°以上である。各周回路53Aの半径は異なっており、複数の周回路53Aは径方向に並んでいる。屈曲路53Bは、S字状に蛇行した形状を有しており、径方向に隣接する二つの周回路53Aをつないでいる。屈曲路53Bは、孔などの構造物を避ける目的で設けられていても良い。つまり、周回路53Aは、複数の円弧状の流路と少なくとも一つの屈曲路53Bとで構成されていても良い。
【0047】
第二往路51と反対向きに旋回する第二復路53の周回路53Aは、第二往路51の隙間に配置される。具体的には、径方向に隣接する二つの周回路51Aの間に、第二復路53の周回路53Aが配置される。本例では、中心軸20の位置から径方向に向かって順に、第二往路51の周回路51Aと、第二復路53の周回路53Aとが交互に並ぶ。最外周に配置される第二外周路59は、第二復路53の周回路53Aである。比較的温度が低い冷媒が流れる周回路51Aと、比較的温度が高い冷媒が流れる周回路53Aとが径方向に交互に並ぶことで、第二往路51の温度と第二復路53の温度とが相殺され易い。ここで、第二復路53の周回路53Aによって構成され、比較的温度が高い冷媒が流れる第二外周路59の外側には、比較的温度が低い冷媒が流れる第二往路51の周回路51Aが存在しないため、第二外周路59の温度は、第二冷媒流路5自身によって相殺され難い。
【0048】
第二アウトレット55は、第二冷媒流路5における冷媒の排出路である。本例の第二アウトレット55は、第二復路53の終端につながっている。第二アウトレット55は、外周29に向かって直線状に延びている。本例では、第二アウトレット55は、第二インレット50に近い位置に配置されている。本例とは異なり、第二アウトレット55は、外周29に沿って時計回りまたは反時計回りに第二インレット50から離れた位置に配置されていても良い。例えば、第二アウトレット55は、第二インレット50から180°離れた位置に配置されていても良い。
【0049】
次に、基体2の厚さ方向における第一冷媒流路4と第二冷媒流路5との位置関係を説明する。既に説明したように、第一冷媒流路4では、第一外周路49が第一往路41となるように第一往路41と第一復路43とが配置され、第二冷媒流路5では、第二外周路59が第二復路53となるように第二往路51と第二復路53とが配置されている。つまり、基体2の厚さ方向に、第一冷媒流路4の第一往路41と第二冷媒流路5の第二復路53とが重複し、第一冷媒流路4の第一復路43と第二冷媒流路5の第二往路51とが重複している。従って、基体2の厚さ方向に、第一冷媒流路4の温度と第二冷媒流路5の温度とが相殺され易い。もちろん、第一冷媒流路4自身では温度が相殺され難い第一外周路49と、第二冷媒流路5自身では温度が相殺され難い第二外周路59とにおいても、基体2の厚さ方向に温度が相殺され易い。
【0050】
上述した基体2の厚さ方向から見た第一冷媒流路4と第二冷媒流路5との位置関係によって、基体2の上面2uにおける中心軸20を中心とした円周上における温度分布に偏りが生じ難い。従って、本例のウエハ保持台1では、基体2の外周縁を含む上面2uの外周領域における温度分布に偏りが生じ難い。本例における外周領域は、上面2uのうち、基体2の外周縁から所定幅を有する円環状の領域である。本例における外周領域の所定幅は、上面2uの半径の1/3の長さである。上面2uのうち、外周領域を除く領域は中央領域である。中央領域は、上面2uと同心で、上面2uの半径の2/3の半径を有する円状の領域である。
【0051】
一方、基体2の上面2uにおける中央領域の温度は、外周領域の温度よりも高くなり易い。なぜなら、第一冷媒流路4と第二冷媒流路5は共に、外周29から中心軸20に向かって渦巻き状に旋回した後、中心軸20から外周に向かって渦巻き状に旋回しているため、第一冷媒流路4と第二冷媒流路5では中心軸20近傍の温度が高くなり易いからである。この中央領域と外周領域との温度差は、後述する温度調節ユニットのヒータによって小さくすることができる。
【0052】
(その他)
本例における第一冷媒流路4の第一インレット40と第二冷媒流路5の第二インレット50は、厚さ方向に重複する位置にある。すなわち、
図3の断面図に示されるように、第一インレット40と第二インレット50とは、厚さ方向に並んでいる。本例では、第一インレット40と第二インレット50とにつながる共通インレット6が設けられている。共通インレット6の端部は、基体2の外周面29sに形成される孔にはめ込まれており、共通インレット6の端面は、第一インレット40の端面と第二インレット50の端面とに接触している。そのため、太線矢印で示されるように冷媒が共通インレット6に導入されると、共通インレット6から第一冷媒流路4の第一往路41と第二冷媒流路5の第二往路51とに冷媒が分配される。このような構成では、ウエハ保持台1に一つの冷媒供給管をつなぐことによって、第一冷媒流路4と第二冷媒流路5とに一括して冷媒を供給することができる。冷媒供給管が一つであれば、ウエハ保持台1を含む装置が簡素化する。
【0053】
図2に示されるように、本例における第一冷媒流路4の第一アウトレット45と第二冷媒流路5の第二アウトレット55は、厚さ方向に重複する位置にある。すなわち、
図4の断面図に示されるように、第一アウトレット45と第二アウトレット55とは、厚さ方向に並んでいる。本例では、第一アウトレット45と第二アウトレット55とにつながる共通アウトレット7が設けられている。共通アウトレット7の端面は、第一アウトレット45の端面と第二アウトレット55の端面とに接触している。そのため、第一アウトレット45と第二アウトレット55から排出された冷媒は、太線矢印で示されるように、共通アウトレット7を通ってウエハ保持台1の外部に排出される。このような構成では、ウエハ保持台1に一つの冷媒回収管をつなぐことによって、第一冷媒流路4と第二冷媒流路5から一括して冷媒を回収できる。冷媒回収管が一つであれば、ウエハ保持台1を含む装置が簡素化する。
【0054】
≪支持構造≫
支持構造3は、
図1に示すように、支持体30と温度調整ユニット31と脚部材32とベース板33とを備える。
【0055】
(支持体)
支持体30は、ウエハの検査時の熱により基体2に反りが生じることを抑制するための部材である。支持体30は必要に応じて設ければよく、必須の部材ではない。支持体30がない場合、後述する脚部材32が基体2を支持する。支持体30を備えていれば、上面2uから加わる力に対して変形し難いウエハ保持台1とすることができる。本例では、支持体30は、基体2の下面2dに密着している。基体2と支持体30とを密着させることによって、ウエハ保持台1全体の剛性を高めることができる。支持体30と基体2とは例えば、図示しない吸引経路を用いた真空吸着によって密着される。支持体30の全体形状は、基体2の形状に合わせた形状であり、本例では円板状である。支持体30の材質は、例えば、セラミックス、またはセラミックスと金属との複合材のいずれかである。セラミックスは、例えば、アルミナ、ムライトアルミナ、ムライト、コージライト、ステアタイト、窒化ケイ素、炭化ケイ素である。セラミックスの剛性が高いため、支持体30がセラミックスで構成されていれば、基体2の反りを抑制し易い。
【0056】
(温度調整ユニット)
温度調整ユニット31は、ウエハを所定の温度に加熱するためのユニットである。この温度調整ユニット31は、ウエハの温度を調整できる。本例では、支持体30の下面に温度調整ユニット31が設けられている。温度調整ユニット31は、円板状の加熱体を備える。加熱体には、抵抗発熱体などのヒータが配置されている。
【0057】
図5は、基体2の厚さ方向から見たヒータ8の概略図である。本例におけるヒータ8は、中央に配置された三つの加熱ゾーン8Aと、加熱ゾーン8Aの外周に配置された六つの加熱ゾーン8Bと、を備える。中央の加熱ゾーン8Aは、内角120°の扇形状である。三つの加熱ゾーン8Aの面積は同じである。外周の加熱ゾーン8Bは、内角60°の内周円弧と外周円弧とを有する帯形状である。六つの加熱ゾーン8Bの面積は同じである。加熱ゾーン8Aの面積は、外周側の加熱ゾーン8Bの面積よりも小さい。各加熱ゾーン8A,8Bは、独立した回路パターンを備える。
図5では回路パターンの図示を省略している。加熱ゾーン8A,8Bの数、及び加熱ゾーン8A,8Bの形状は特に限定されない。例えば、加熱ゾーンの数は一つでも良い。また、加熱ゾーンの中で発熱密度に分布が形成される構成であっても良い。
【0058】
本例のウエハ保持台1では、既に述べたように、上面2uの外周領域の温度よりも中央領域の温度が高くなり易い。外周領域の温度よりも中央領域の温度が高くなった場合、ヒータ8の加熱ゾーン8Bの通電状態を調整して外周領域の温度を上昇させることで、上面2u全体の温度分布を均一化することができる。
【0059】
(脚部材)
図1に示される脚部材32は、ベース板33の上に基体2を支持する部材である。支持体30がある場合、脚部材32はベース板33の上に支持体30を支持する。脚部材32の形状は、例えば柱状または筒状である。柱状または筒状の脚部材32は、温度調整ユニット31に設けられた孔部を貫通して支持体30または基体2を支持する。柱状または筒状の脚部材32の外径は、支持体30の外径または基体2の外径に比べて十分に小さい。柱状または筒状の脚部材32を用いることで、脚部材32と支持体30との接触面積または脚部材32と基体2との接触面積が低減される。それにより、脚部材32を介したベース板33への熱伝導が抑制され、基体2の均熱性が保持される。更に、柱状または筒状の脚部材32を用いることで、温度調整ユニット31とベース板33との間に空間を形成できる。この空間は、ベース板33と基体2との断熱に寄与する。本例の脚部材32は筒状体である。脚部材32の数は、基体2または支持体30をバランス良く支持できるように複数設けられることが好ましい。脚部材32の材質は、例えば、アルミナ、ムライトアルミナ、ムライト、コージライト、ステアタイト、窒化ケイ素のいずれかである。
【0060】
(ベース板)
ベース板33は、基体2、支持体30、温度調整ユニット31、および脚部材32を支持する台座となる部材である。このベース板33の材質は、例えば、アルミナ、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、シリコンと炭化ケイ素の複合体、アルミニウムと炭化ケイ素の複合体、アルミニウムとシリコンと炭化ケイ素の複合体である。
【0061】
<変形例>
図2において、冷媒の流通方向を逆向きにしても良い。つまり、
図2に示される共通アウトレット7から冷媒が導入され、共通インレット6から冷媒が排出されても良い。その他、
図2に示される第一冷媒流路4の形状と第二冷媒流路5の形状とを入れ替えても良い。
【0062】
<実施形態2>
実施形態2では、第一冷媒流路4と第二冷媒流路5とが同一形状を有する例を
図6に基づいて説明する。
図6の見方は
図2と同じである。
【0063】
図6に示されるように、厚さ方向に見て第一冷媒流路4と第二冷媒流路5とは同一形状を有する。ただし、第一冷媒流路4における冷媒の流通方向と、第二冷媒流路5における冷媒の流通方向とは互いに逆向きになっている。本例の構成では、第一冷媒流路4と第二冷媒流路5とが、厚さ方向に見てずれることなく重複する。従って、第一冷媒流路4の温度と第二冷媒流路5の温度とが相殺され易い。
【符号の説明】
【0064】
1 ウエハ保持台
2 基体
2u 上面
2d 下面
20 中心軸
29 外周
29s 外周面
3 支持構造
30 支持体
31 温度調節ユニット
32 脚部材
33 ベース板
4 第一冷媒流路
40 第一インレット
41 第一往路
41A 周回路
41B 屈曲路
42 接続路
43 第一復路
43A 周回路
43B 屈曲路
45 第一アウトレット
49 第一外周路
5 第二冷媒流路
50 第二インレット
51 第二往路
51A 周回路
51B 屈曲路
52 接続路
53 第一復路
53A 周回路
53B 屈曲路
55 第一アウトレット
59 第二外周路
6 共通インレット
7 共通アウトレット
8 ヒータ
8A,8B 加熱ゾーン