(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108780
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】キャップ
(51)【国際特許分類】
B65D 47/06 20060101AFI20240805BHJP
B65D 47/20 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
B65D47/06 400
B65D47/20 111
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023013342
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】落合 皐汰朗
(72)【発明者】
【氏名】山本 学
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AB01
3E084BA02
3E084CB02
3E084CB04
3E084DB12
3E084FA02
3E084FC12
3E084GA06
3E084GB17
3E084HA03
3E084HB02
3E084LD01
3E084LD02
(57)【要約】
【課題】内容物を、泡立ちを抑えて注出口から注出する。
【解決手段】内容物が収容される容器本体Wの口部W1に装着され、内容物を注出する注出口24が頂壁23に形成された有頂筒状のキャップ本体11と、頂壁から下方に延び、内部が注出口に連通するとともに周壁31に横穴29が形成された有底筒状の整流筒13と、整流筒に対して、整流筒の内部から外部に向けて横穴が開口する方向に並んで配置されるとともに頂壁から下方に延び、内部が横穴に連通する導入筒14と、頂壁の下方に配置され、容器本体の内部と、導入筒の下端開口と、の連通およびその遮断を切り替える弁部材15と、を備え、頂壁の下面において、導入筒の内部に位置する天井面23aには、凹凸部36が設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される容器本体の口部に装着され、内容物を注出する注出口が頂壁に形成された有頂筒状のキャップ本体と、
前記頂壁から下方に延び、内部が前記注出口に連通するとともに周壁に横穴が形成された有底筒状の整流筒と、
前記整流筒に対して、前記整流筒の内部から外部に向けて前記横穴が開口する方向に並んで配置されるとともに前記頂壁から下方に延び、内部が前記横穴に連通する導入筒と、
前記頂壁の下方に配置され、前記容器本体の内部と、前記導入筒の下端開口と、の連通およびその遮断を切り替える弁部材と、を備え、
前記頂壁の下面において、前記導入筒の内部に位置する部分には、凹凸部が設けられている、キャップ。
【請求項2】
前記凹凸部は、前記整流筒および前記導入筒が並んだ向きに延びる複数の第1リブと、前記第1リブに交差する複数の第2リブと、を備えるとともに、下方から見て格子状を呈する、請求項1に記載のキャップ。
【請求項3】
前記第1リブは、複数の前記第2リブのうち、最も前記整流筒側に位置する前記第2リブから前記整流筒側に突出している、請求項2に記載のキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1に示されるように、内容物が収容される容器本体の口部に装着され、内容物を注出する注出口が頂壁に形成された有頂筒状のキャップ本体と、頂壁から下方に延び、内部が注出口に連通するとともに周壁に横穴が形成された有底筒状の整流筒と、整流筒に対して、整流筒の内部から外部に向けて横穴が開口する方向に並んで配置されるとともに頂壁から下方に延び、内部が横穴に連通する垂下筒と、頂壁の下方に配置され、容器本体の内部と、横穴と、の連通およびその遮断を切り替える弁部材と、を備え、垂下筒に、径方向のうち横穴と反対側に向けて開口した切欠きが形成されたキャップが知られている。
このキャップでは、例えば、容器本体がスクイズ変形されたときに、弁部材が開き、容器本体内の内容物が、横穴、および整流筒の内部を通過して注出口に到達し、その後、注出口から注出される。この過程で、内容物は、横穴を通過することで、一度、上下方向に交差する方向に流れるものの、その後、整流筒の内部を通過することで、上下方向に流れを整えられる。そのため、例えば、容器本体を強くスクイズ変形する等しても、注出口から注出される内容物の流れが乱れることが抑制される。よって、内容物を所望の方向に注出し易くすることができる。
また、弁部材が、容器本体の内部と、横穴と、の連通およびその遮断を切り替える。よって、不用意な内容物の注出を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のキャップでは、内容物の注出に際し、弁部材を通過した容器本体内の内容物が空気と混ざって発泡し、発泡した内容物が注出口から注出されるおそれがある。
【0005】
本発明は、内容物を、泡立ちを抑えて注出口から注出することができるキャップを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るキャップは、内容物が収容される容器本体の口部に装着され、内容物を注出する注出口が頂壁に形成された有頂筒状のキャップ本体と、前記頂壁から下方に延び、内部が前記注出口に連通するとともに周壁に横穴が形成された有底筒状の整流筒と、前記整流筒に対して、前記整流筒の内部から外部に向けて前記横穴が開口する方向に並んで配置されるとともに前記頂壁から下方に延び、内部が前記横穴に連通する導入筒と、前記頂壁の下方に配置され、前記容器本体の内部と、前記導入筒の下端開口と、の連通およびその遮断を切り替える弁部材と、を備え、前記頂壁の下面において、前記導入筒の内部に位置する部分には、凹凸部が設けられている。
【0007】
頂壁の下面において、導入筒の内部に位置する部分に、凹凸部が設けられているので、内容物の注出に際し、容器本体内の内容物が、弁部材を通過して導入筒の内部に進入したときに、導入筒の内部の空気のうち、凹凸部の凹部分に位置する空気を、内容物と混ざりにくくして、凹部分に留めておくことが可能になり、内容物を、泡立ちを抑えた状態で、横穴および整流筒の内部を通過させて注出口に到達させることができる。これにより、内容物を、泡立ちを抑えて注出口から注出することができる。
【0008】
前記凹凸部は、前記整流筒および前記導入筒が並んだ向きに延びる複数の第1リブと、前記第1リブに交差する複数の第2リブと、を備えるとともに、下方から見て格子状を呈してもよい。
【0009】
凹凸部が、第1リブおよび第2リブを備えるとともに、下方から見て格子状を呈するので、容器本体内の内容物が、弁部材を通過して導入筒の内部に進入したときに、導入筒の内部の空気のうち、凹凸部の凹部分に位置する空気を、確実に内容物と混ざりにくくすることができる。
【0010】
前記第1リブは、複数の前記第2リブのうち、最も前記整流筒側に位置する前記第2リブから前記整流筒側に突出してもよい。
【0011】
整流筒および導入筒が並んだ向きに延びる第1リブが、第1リブに交差する複数の第2リブのうち、最も整流筒側に位置する第2リブから整流筒側に突出しているので、弁部材を通過して導入筒の内部に進入した容器本体内の内容物を、横穴に誘導することが可能になり、凹凸部を設けたことで、注出口から注出される内容物の流れが乱れるのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様によれば、内容物を、泡立ちを抑えて注出口から注出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】一実施形態として示したキャップの縦断面図である。
【
図2】
図1に示す弁部材の下面図であって、整流筒、導入筒、装着筒および凹凸部を破線で示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係るキャップを説明する。
キャップ1は、
図1に示されるように、内容物(内容液)が収容される容器本体Wの口部W1に装着される。容器本体Wの胴部は、スクイズ変形可能に形成されている。
キャップ1は、有頂筒状のキャップ本体11と、有頂筒状の蓋体12と、整流筒13と、導入筒14と、弁部材15と、を備えている。蓋体12は、キャップ本体11にヒンジCを介して連結されている。本実施形態では、キャップ1は、いわゆるヒンジキャップである。
【0015】
キャップ本体11および蓋体12は、共通軸と同軸に配設されている。
以下、この共通軸をキャップ軸Oといい、キャップ軸Oに沿う蓋体12の蓋頂壁21側を上側といい、キャップ軸Oに沿うキャップ本体11の本体周壁22の開放端側を下側といい、キャップ軸Oに沿う方向を上下方向という。上下方向から見てキャップ軸Oに交差する方向を径方向といい、上下方向から見てキャップ軸O回りに周回する方向を周方向という。
キャップ軸Oに対してヒンジCが位置する側を後側といい、キャップ軸Oに対してヒンジCの反対側を前側という。上下方向から見て前後方向に直交する方向を左右方向という。
【0016】
キャップ本体11は、頂壁23および本体周壁22を有する有頂筒状に形成されている。
頂壁23の下面には、シール筒27および装着筒28が形成されている。シール筒27および装着筒28は、キャップ軸Oと同軸に配設されている。シール筒27は、下方に向けて延び、容器本体Wの口部W1内に液密に嵌合されている。装着筒28は、シール筒27より径方向の内側に設けられている。
頂壁23に、内容物を注出する注出口24が形成されている。注出口24は、キャップ軸Oから前方に離れている。頂壁23の上面における注出口24の開口周縁部に、上方に向けて延びる注出筒25が形成されている。
蓋体12の蓋頂壁21の下面には、下方に向けて延び、注出筒25内に着脱可能に嵌合された封止筒26が形成されている。
【0017】
整流筒13は、キャップ本体11の頂壁23から下方に延び、内部が注出口24に連通している。整流筒13は、頂壁23の下面における注出口24の開口周縁部から下方に向けて延びている。
整流筒13は、周壁31および底壁32を有する有底筒状に形成されている。
【0018】
周壁31に、横穴29が形成されている。横穴29は、周壁31を径方向に貫通している。横穴29は、周壁31の後部に形成され、周壁31を前後方向に貫通している。横穴29は、周壁31における上下方向の全長にわたって設けられている。横穴29の下端縁は、整流筒13の底壁32の上面により構成されている。
図2に示されるように、上下方向から見て、整流筒13の周壁31の前端部が、装着筒28の前端部に内接するように、整流筒13および装着筒28は、前後方向に連結されている。整流筒13の下端部は、装着筒28の下端部より上方に位置している。
底壁32は、注出口24の全域にわたって注出口24と上下方向で対向している。底壁32の上面は、後方に向かうに従い下方に向けて延びている。
【0019】
導入筒14は、キャップ本体11の頂壁23から下方に延び、整流筒13に対して、整流筒13の内部から外部に向けて横穴29が開口する方向(後方)に並んで配置されている。導入筒14は、装着筒28より径方向の内側に設けられている。導入筒14は、キャップ軸Oと同軸に配設されている。
図2に示されるように、上下方向から見て、導入筒14の前端部が、整流筒13の周壁31の後端部に外接するように、導入筒14および整流筒13は、前後方向に連結されている。導入筒14の前端部内に横穴29が開口している。導入筒14の直径は、整流筒13の直径より大きくなっている。導入筒14の下端部は、整流筒13の下端部より下方に位置している。導入筒14は、横穴29が開口している前端部を除く全周にわたって連続して延びている。
【0020】
弁部材15は、キャップ本体11の頂壁23の下方に配置され、容器本体Wの内部と、導入筒14の下端開口と、の連通およびその遮断を切り替える。弁部材15は、例えば、容器本体Wの胴部がスクイズ変形して容器本体Wの内圧が上昇したときに開弁する。弁部材15は、例えば、容器本体W内の内容物の流動圧を受けて開弁する。
弁部材15は、装着部33と弁本体34とを備えている。
【0021】
装着部33は、環状に形成され、キャップ本体11の装着筒28に嵌合されて固定されている。
弁本体34は、弾性変形可能な膜体とされ、装着部33の内側を閉塞している。弁本体34は、導入筒14の下端開口を全域にわたって導入筒14の下方から覆っている。弁本体34に、上下方向に貫くスリット34aが形成されている。スリット34aは、上下方向から見て十字状を呈する。スリット34aは全長にわたって、導入筒14の内部と上下方向で対向している。これにより、スリット34aを通過した容器本体W内の内容物は、ほぼ全て、キャップ本体11の内部のうちの導入筒14内に進入する。
【0022】
弁本体34のうち、径方向の中央部に、他の部分より厚肉の厚肉部35が形成されている。
図2に示されるように、厚肉部35は、上下方向から見てスリット34aに沿って延び、スリット34aは、弁本体34のうちの厚肉部35に限って設けられている。これにより、スリット34aを容易に形成することができる。厚肉部35は、弁本体34の下面に形成されている。厚肉部35を弁本体34に形成しなくてもよい。
【0023】
そして、本実施形態では、キャップ本体11の頂壁23の下面において、導入筒14の内部に位置する部分(以下、天井面23aという)に、凹凸部36が設けられている。凹凸部36の少なくとも一部は、スリット34aと上下方向で対向している。凹凸部36は、天井面23aのうち、前端部を除く全域にわたって設けられている。凹凸部36は、横穴29から後方に離れている。
【0024】
凹凸部36は、整流筒13および導入筒14が並んだ前後方向に延びる複数の第1リブ37と、第1リブ37に交差する複数の第2リブ38と、を備えるとともに、下方から見て格子状を呈する。複数の第1リブ37は、左右方向に間隔をあけて設けられている。複数の第2リブ38は、前後方向に間隔をあけて設けられている。第2リブ38は、第1リブ37と直交している。
【0025】
第1リブ37および第2リブ38それぞれの上下方向の大きさは、互いに同じになっている。第1リブ37および第2リブ38の各下端部は、横穴29の下端縁より上方に位置している。
第1リブ37は、複数の第2リブ38のうち、最も前側(整流筒13側)に位置する第2リブ38から前側に突出している。第1リブ37の前端縁37aは、上方に向かうに従い前方に向けて延びている。
第1リブ37の後端部は、導入筒14の内周面に連結されている。第2リブ38の左右方向の両端部は、導入筒14の内周面に連結されている。
【0026】
以上説明したように、本実施形態によるキャップ1によれば、キャップ本体11の頂壁23の下面における天井面23aに、凹凸部36が設けられているので、内容物の注出に際し、容器本体W内の内容物が、弁部材15を通過して導入筒14の内部に進入したときに、導入筒14の内部の空気のうち、凹凸部36の凹部分36aに位置する空気を、内容物と混ざりにくくして、凹部分36aに留めておくことが可能になり、内容物を、泡立ちを抑えた状態で、横穴29および整流筒13の内部を通過させて注出口24に到達させることができる。これにより、内容物を泡立ちを抑えて注出口24から注出することができる。
【0027】
凹凸部36が、第1リブ37および第2リブ38を備えるとともに、下方から見て格子状を呈するので、容器本体W内の内容物が、弁部材15を通過して導入筒14の内部に進入したときに、導入筒14の内部の空気のうち、凹凸部36の凹部分36aに位置する空気を、確実に内容物と混ざりにくくすることができる。
【0028】
整流筒13および導入筒14が並んだ前後方向に延びる第1リブ37が、第1リブ37に交差する複数の第2リブ38のうち、最も前側に位置する第2リブ38から前側に突出しているので、弁部材15を通過して導入筒14の内部に進入した容器本体W内の内容物を、横穴29に誘導することが可能になり、凹凸部36を設けたことで、注出口24から注出される内容物の流れが乱れるのを抑制することができる。
【0029】
なお、本発明の技術範囲は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0030】
例えば、第1リブ37は、複数の第2リブ38のうち、最も前側に位置する第2リブ38から前側に突出していなくてもよい。
凹凸部36は、天井面23aにおける全域にわたって設けられてもよい。
凹凸部36は、横穴29と前後方向に連なってもよい。
スリット34aは、上下方向から見て、例えば一文字状、若しくはC字状等を呈してもよく、スリット34aの平面視形状は適宜変更してもよい。
【0031】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記実施形態および前記変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0032】
1 キャップ
11 キャップ本体
13 整流筒
14 導入筒
15 弁部材
16 柱部
23 頂壁
23a 天井面
24 注出口
29 横穴
31 周壁
36 凹凸部
37 第1リブ
38 第2リブ
O キャップ軸
W 容器本体
W1 口部