IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ cynaps株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-換気制御システム 図1
  • 特開-換気制御システム 図2
  • 特開-換気制御システム 図3
  • 特開-換気制御システム 図4
  • 特開-換気制御システム 図5
  • 特開-換気制御システム 図6
  • 特開-換気制御システム 図7
  • 特開-換気制御システム 図8
  • 特開-換気制御システム 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010879
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】換気制御システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/00 20230101AFI20240118BHJP
   F24F 7/007 20060101ALI20240118BHJP
   F24F 11/77 20180101ALI20240118BHJP
【FI】
G06Q10/00
F24F7/007 B
F24F11/77
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022112434
(22)【出願日】2022-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】522124150
【氏名又は名称】cynaps株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】岩屋 雄介
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 由治
【テーマコード(参考)】
3L056
3L260
5L049
【Fターム(参考)】
3L056BD01
3L056BD02
3L056BD03
3L260BA13
3L260CA03
3L260CA12
3L260CA13
3L260CA17
3L260CA32
3L260CA33
3L260CA35
3L260CA39
3L260FA01
3L260FC01
5L049AA21
(57)【要約】
【課題】建築構造物の室内の快適さのみならず、高い安全性等も考慮した換気制御システムを提供する。
【解決手段】換気制御システム1は、室内センサ情報、室外センサ情報、室内情報、実績情報、及び外部情報の何れか1以上を取得する情報取得部9と、換気の制御条件を参照し、室内センサ情報、室外センサ情報、室内情報、実績情報、及び外部情報のうち、少なくとも何れか1又は組合せに基づいて、換気装置2の制御の必要度合を判定する判定手段と、判定手段により判定された必要度合に基づいて、換気装置2を制御する制御手段と、制御条件を無線通信を介して遠隔により設定する設定手段としての管理設定部7とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内の換気を行う換気装置を制御するための換気制御システムにおいて、
室内センサ情報、室外センサ情報、室内情報、実績情報、及び外部情報の何れか1以上を取得する情報取得手段と、
換気の制御条件を参照し、上記室内センサ情報、上記室外センサ情報、上記室内情報、上記実績情報、及び上記外部情報のうち、何れか1以上に基づいて、換気装置の制御の必要度合を判定する判定手段と、
上記判定手段により判定された必要度合に基づいて、上記換気装置を制御する制御手段と、
上記制御条件を無線通信を介して遠隔により設定する設定手段とを備えること
を特徴とする換気制御システム。
【請求項2】
上記設定手段は、上記室内センサ情報、上記室外センサ情報、上記室内情報、上記実績情報、及び上記外部情報の何れか1以上に基づいて上記制御条件を設定すること
を特徴とする請求項1記載の換気制御システム。
【請求項3】
上記設定手段は、上記室内センサ情報、上記室外センサ情報、上記室内情報、上記実績情報、及び上記外部情報の何れか1以上に対する上記必要度合を教師データとした判定モデルを利用し、新たに取得された上記室内センサ情報、上記室外センサ情報、上記室内情報、上記実績情報、及び上記外部情報の何れか1以上が入力された場合に上記判定モデルから出力される必要度合に応じて上記制御条件を設定すること
を特徴とする請求項2記載の換気制御システム。
【請求項4】
上記設定手段は、上記室内センサ情報、上記室外センサ情報、上記室内情報、上記実績情報、及び上記外部情報の何れか1以上に対する上記制御条件を教師データとした判定モデルを利用し、新たに取得された上記室内センサ情報、上記室外センサ情報、上記室内情報、上記実績情報、及び上記外部情報の何れか1以上が入力された場合に上記判定モデルから出力される制御条件を設定すること
を特徴とする請求項2記載の換気制御システム。
【請求項5】
上記設定手段は、テキストデータの入力を受け付けた場合には、これを自然言語解析することにより上記外部情報を特定すること
を特徴とする請求項3記載の換気制御システム。
【請求項6】
校正条件を参照し、上記室内センサ情報と、上記室外センサ情報と、上記室内情報と、上記実績情報と、上記外部情報の何れか1以上について校正を施す校正手段をさらに備え、
上記設定手段は、上記校正条件を無線通信を介して遠隔により設定すること
を特徴とする請求項1記載の換気制御システム。
【請求項7】
上記設定手段は、上記室内センサ情報と、上記室外センサ情報と、上記室内情報と、上記実績情報と、上記外部情報を無線通信を介して取得し、取得した上記室内センサ情報、上記室外センサ情報、上記室内情報、上記実績情報、上記外部情報に基づいて上記校正条件を設定すること
を特徴とする請求項6記載の換気制御システム。
【請求項8】
上記設定手段は、更に冷暖房装置の動作情報を取得し、更に取得した上記動作情報に基づいて上記制御条件を設定すること
を特徴とする請求項1記載の換気制御システム。
【請求項9】
上記設定手段は、上記室内センサ情報、上記室外センサ情報、上記室内情報、上記実績情報、上記外部情報、上記動作情報に対する上記必要度合を教師データとした判定モデルを利用し、新たに検出された上記設定手段は、上記室内センサ情報、上記室外センサ情報、上記室内情報、上記実績情報、上記外部情報、上記動作情報が入力された場合に上記判定モデルから出力される必要度合に応じて上記制御条件を設定すること
を特徴とする請求項8記載の換気制御システム。
【請求項10】
上記設定手段は、更に空気清浄装置の動作情報を取得し、更に取得した上記動作情報に基づいて上記制御条件を設定すること
を特徴とする請求項1記載の換気制御システム。
【請求項11】
上記設定手段は、上記室内センサ情報、上記室外センサ情報、上記室内情報、上記実績情報、上記外部情報、上記動作情報に対する上記必要度合を教師データとした判定モデルを利用し、新たに検出された上記設定手段は、上記室内センサ情報、上記室外センサ情報、上記室内情報、上記実績情報、上記外部情報、上記動作情報が入力された場合に上記判定モデルから出力される必要度合に応じて上記制御条件を設定すること
を特徴とする請求項10記載の換気制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築構造物の室内の換気を行う換気装置を制御するための換気制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
建築構造物の室内の快適さは、温度、湿度に加え、二酸化炭素濃度によって変化する。これに加えて、臭気の度合やオゾン濃度等によってもその快適さは異なる。このような室内の快適さを求めるためには、エアコンを利用することで温度と湿度を適度に制御する。また、換気扇や、全熱交換器、ダンパー等を利用した換気装置を介して、上述した温度や湿度以外に、二酸化炭素濃度や臭気、オゾン濃度等を適度に制御する。
【0003】
このような室内の快適さを求める上で、人間が室内の不快さを感じた場合に都度エアコンや換気装置を手動で制御するのは煩わしい。そのため、従来から、エアコンでは、室内の温度や湿度をセンサにより検知し、予め設定した温度や湿度に近づくように制御する自動制御機能を備えたものが多い。
【0004】
これに対して換気装置は、通常、当初から建築構造物の室内から室外へ貫通する通気口を設けてそこに換気扇やダンパー等全熱交換器を設置するものが多い。この場合、換気装置自体は建築構造物内部に設置された動作機構を介して動作し、エアコンのように後付けで自動制御機能を実装することが難しいため、手動で制御せざるを得ないものが多かったが、近年、自動制御機能を実装するものも提案されつつある。
【0005】
例えば、特許文献1には、外部サーバから天気予報データを取得するデータ取得部を有し、データ取得部により得られた天気予報データに基づいて運転を制御する換気装置が提案されている。
【0006】
しかしながら、換気装置による換気は、建築構造物の室内の快適さのみならず、例えば、フィルターも通過してしまうような微小な有毒物質等が室内に侵入してしまう危険性を抑制する等の高い安全性等も考慮すべきだが、このような高い安全性等まで考慮した技術自体は未だ見聞されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2020-85375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、建築構造物の室内の快適さのみならず、高い安全性等も考慮した換気制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1発明に係る換気制御システムは、室内の換気を行う換気装置を制御するための換気制御システムにおいて、室内センサ情報、室外センサ情報、室内情報、実績情報、及び外部情報の何れか1以上を取得する情報取得手段と、換気の制御条件を参照し、上記室内センサ情報、上記室外センサ情報、上記室内情報、上記実績情報、及び上記外部情報のうち、何れか1以上に基づいて、換気装置の制御の必要度合を判定する判定手段と、上記判定手段により判定された必要度合に基づいて、上記換気装置を制御する制御手段と、上記制御条件を無線通信を介して遠隔により設定する設定手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
第2発明に係る換気制御システムは、第1発明において、上記設定手段は、上記室内センサ情報、上記室外センサ情報、上記室内情報、上記実績情報、及び上記外部情報の何れか1以上に基づいて上記制御条件を設定することを特徴とする。
【0011】
第3発明に係る換気制御システムは、第2発明において、上記設定手段は、上記室内センサ情報、上記室外センサ情報、上記室内情報、上記実績情報、及び上記外部情報の何れか1以上に対する上記必要度合を教師データとした判定モデルを利用し、新たに取得された上記室内センサ情報、上記室外センサ情報、上記室内情報、上記実績情報、及び上記外部情報の何れか1以上が入力された場合に上記判定モデルから出力される必要度合に応じて上記制御条件を設定することを特徴とする。
【0012】
第4発明に係る換気制御システムは、第2発明において、上記設定手段は、上記室内センサ情報、上記室外センサ情報、上記室内情報、上記実績情報、及び上記外部情報の何れか1以上に対する上記制御条件を教師データとした判定モデルを利用し、新たに取得された上記室内センサ情報、上記室外センサ情報、上記室内情報、上記実績情報、及び上記外部情報の何れか1以上が入力された場合に上記判定モデルから出力される制御条件を設定することを特徴とする。
【0013】
第5発明に係る換気制御システムは、第3発明において、上記設定手段は、テキストデータの入力を受け付けた場合には、これを自然言語解析することにより上記外部情報を特定することを特徴とする。
【0014】
第6発明に係る換気制御システムは、第1発明において、校正条件を参照し、上記室内センサ情報と、上記室外センサ情報と、上記室内情報と、上記実績情報と、上記外部情報の何れか1以上について校正を施す校正手段をさらに備え、上記設定手段は、上記校正条件を無線通信を介して遠隔により設定することを特徴とする。
【0015】
第7発明に係る換気制御システムは、第6発明において、上記設定手段は、上記室内センサ情報と、上記室外センサ情報と、上記室内情報と、上記実績情報と、上記外部情報を無線通信を介して取得し、取得した上記室内センサ情報、上記室外センサ情報、上記室内情報、上記実績情報、上記外部情報に基づいて上記校正条件を設定することを特徴とする。
【0016】
第8発明に係る換気制御システムは、第1発明において、上記設定手段は、更に冷暖房装置の動作情報を取得し、更に取得した上記動作情報に基づいて上記制御条件を設定することを特徴とする。
【0017】
第9発明に係る換気制御システムは、第8発明において、上記設定手段は、上記室内センサ情報、上記室外センサ情報、上記室内情報、上記実績情報、上記外部情報、上記動作情報に対する上記必要度合を教師データとした判定モデルを利用し、新たに検出された上記設定手段は、上記室内センサ情報、上記室外センサ情報、上記室内情報、上記実績情報、上記外部情報、上記動作情報が入力された場合に上記判定モデルから出力される必要度合に応じて上記制御条件を設定することを特徴とする。
【0018】
第10発明に係る換気制御システムは、第1発明において、上記設定手段は、更に空気清浄装置の動作情報を取得し、更に取得した上記動作情報に基づいて上記制御条件を設定することを特徴とする。
【0019】
第11発明に係る換気制御システムは、第10発明において、上記設定手段は、上記室内センサ情報、上記室外センサ情報、上記室内情報、上記実績情報、上記外部情報、上記動作情報に対する上記必要度合を教師データとした判定モデルを利用し、新たに検出された上記設定手段は、上記室内センサ情報、上記室外センサ情報、上記室内情報、上記実績情報、上記外部情報、上記動作情報が入力された場合に上記判定モデルから出力される必要度合に応じて上記制御条件を設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
上述した構成からなる本発明によれば、建築構造物の室内の快適さのみならず、高い安全性等も考慮した換気制御システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の実施形態に係る換気制御システムのブロック構成図である。
図2図2は、無線通信制御ユニットの構成について説明するための図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係る換気制御システムの動作シーケンスを説明するための図である。
図4図4は、自動制御コントローラーのユーザインターフェース上に表示される取得データの集計結果の例を示す図である。
図5図5は、管理設定部の代替として、人工知能(AI)を利用して自動的に判別するためのシーケンスを説明するための図である。
図6図6は、各取得情報に対する、換気の必要度合を教師データとした、人工知能による判定モデルを示す図である。
図7図7は、換気装置に対して、直接無線通信制御ユニットを接続する換気制御システムのブロック構成図である。
図8図8は、本発明に係る換気制御システムの他の実施形態について説明するための図である。
図9図9は、屋外の快適度と室内の快適度に基づいて、制御条件を判定し、換気装置を制御する例について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を適用して例示した実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0023】
[実施形態]
図1は、本発明の実施形態に係る換気制御システム1のブロック構成を示している。換気制御システム1は、換気装置2に対して、換気の制御条件を参照し、換気装置の制御の必要度合を判定するシステムであり、自動制御コントローラー3と、無線通信制御ユニット4と、無線通信アクセスポイント5と、データサーバ6と、管理設定部7とを備えている。この無線通信アクセスポイント5は、インターネットを始めとした公衆通信網10を介して、データサーバ6と管理設定部7とに接続されている。更にこの自動制御コントローラー3には、冷暖房装置22との間で有線、又は無線通信を可能とする構成としてもよい。自動制御コントローラー3は、冷暖房装置22に対して、図示しない無線通信ユニットを介してクラウド経由で接続され、有線通信又は無線通信を行うようにしてもよい。更にこの自動制御コントローラー3には、空気清浄装置23との間で有線、又は無線通信を可能とする構成としてもよい。自動制御コントローラー3は、空気清浄装置23に対しても、図示しない無線通信ユニットを介してクラウド経由で接続され、有線通信又は無線通信を行うようにしてもよい。
【0024】
換気装置2は、建築構造物に設置された送風機、全熱交換器、ダンパー等で構成され、室内の空気を室外へと送出し、或いは室外の空気を室内へと送入する。この換気装置2は、建築構造物における壁面に形成され、室内から室外に向けて形成された通気孔に設けられる。この換気装置2は、建築構造物内部に設置された動作機構を介して動作する。換気装置2は、通常は手動による操作により制御可能とされており、例えば建築構造物の室内の内壁に設けられた図示しない操作パネルを操作することにより実現することができる。換気装置2は、これ以外に自動制御コントローラー3を介して制御可能とされている。
【0025】
自動制御コントローラー3は、換気装置2に対して有線通信で通信可能とされており、換気装置2のON又はOFFの制御や換気度合の強弱の制御を可能としている。自動制御コントローラー3は、換気装置2が例えば送風機や全熱交換器で構成されるものであれば、その送風のON又はOFF、或いは送風の強弱を有線通信を通じて、或いは直接的に制御することが可能となる。
【0026】
この自動制御コントローラー3には、更に情報取得部9が接続されている。この情報取得部9は、室内センサ情報を取得する室内センサ情報取得部91と、室外センサ情報を取得する室外センサ情報取得部92と、室内情報を取得する室内情報取得部93と、実績情報を取得する実績情報取得部94と、外部情報を取得する外部情報取得部95とにより構成される。但し、この情報取得部9は、これら各種情報取得部91~95がすべて実装されていることは必須ではない。即ち、情報取得部9は、これら各種情報取得部91~95の1以上を実装して実施してもよい。この情報取得部9による室内センサ情報、室外センサ情報、室内情報、実績情報、外部情報(以下、これらを取得データという場合もある。)の取得は、1分から255分の取得間隔で順次行う。また情報取得部9により取得された取得データは、都度自動制御コントローラー3側に通知するようにしてもよいし、ある程度取得データを蓄積してから一括して通知するようにしてもよい。なお、これらの情報取得部9における取得データの取得は、この自動制御コントローラー3内で行う場合に限定されるものではなく、他の構成要素(無線通信制御ユニット4、換気装置2、冷暖房装置22、空気清浄装置23、データサーバ6、管理設定部7)において行うようにしてもよい。特に外部情報の取得については、データサーバ6、公衆通信網10、管理設定部7と協働し、インターネットからデータや情報を取得する場合もある。
【0027】
室内センサ情報取得部91には、室内センサ情報として、例えば、室内温度を取得する室内温度取得センサ、室内湿度を取得する室内湿度取得センサ、室内の二酸化炭素濃度を取得する室内二酸化炭素濃度取得センサ、室内のPM2.5やスモッグ等で汚染された汚染の度合を取得するPMセンサやVOCセンサや花粉センサ、室内の臭気の度合を取得する室内臭気取得センサ、室内のオゾン濃度を取得する室内オゾン濃度取得センサ、室内の人数を取得する人検知センサ(人感センサや人数カウンタやAIカメラや防犯カメラ等)、床温度センサ、換気装置2の風量計、換気装置2の吹出口に設けた温度取得センサ、換気装置2の吹出口に設けた湿度取得センサ、換気装置2の消費電力計、換気装置2の総運転時間取得計、冷暖房装置22の風量計、冷暖房装置22の吹出口に設けた温度取得センサ、冷暖房装置22の吹出口に設けた湿度取得センサ、冷暖房装置22の消費電力計、冷暖房装置22の総運転時間取得計等を用いることができる。なお、現在、大抵の人が所有しているスマートフォン等には物の位置等の緯度経度を取得するGPSセンサが内蔵されていることが多いので、人検知センサ等の代替として利用することもできる。そして、この室内センサ情報取得部91は、室内センサ情報を取得するためのものである。
【0028】
室外センサ情報取得部92には、室外センサ情報として、例えば、室外温度を取得する室外温度取得センサ、室外湿度を取得する室外湿度取得センサ、室外のPM2.5やスモッグ等で汚染された汚染の度合を取得するPMセンサやVOCセンサや花粉センサ、室外の臭気の度合を取得する室外臭気取得センサ等を用いることができる。そして、この室外センサ情報取得部92は、室外センサ情報を取得するためのものである。
【0029】
室内情報取得部93には、室内情報として、例えば、建築構造物の住所を含む室内の換気装置2の設置位置や数、室内の大きさ、室内の天井の高さ、室内の最大収容人数、営業時間、室内の過去の混雑情報等の取得データの記録装置等を用いることができる。そして、この室内情報取得部93は、室内情報を取得するためのものであり、例えばキーボードやタッチパネル等のユーザインターフェースを介して入力されるものであってもよいし、既にこのような室内情報を取得したデータベースやメモリ等により構成されるものであってもよい。
【0030】
実績情報取得部94には、実績情報として、例えば換気装置2や冷暖房装置22の過去の電気使用量の実績値が予め取得されたデータベースやメモリ等により構成される。この過去の電気使用量の実績値は、例えば、先週の水曜日の12時~13時に150kWh使用、或いは、先週の火曜日の13時~15時は、120kWh使用した、等の使用実績で示されるものであってもよい。この実績情報取得部94としては、実績情報として、換気装置2や冷暖房装置22の過去の各種制御条件、換気装置2や冷暖房装置22の過去の入力等の取得データの記録装置等を用いることができる。そして、この実績情報取得部94は、実績情報を取得するためのものであり、例えばキーボードやタッチパネル等のユーザインターフェースを介して入力されるものであってもよいし、既にこのような室内情報を取得したデータベースやメモリ等により構成されるものであってもよい。
【0031】
外部情報取得部95には、外部情報として、例えば、補助金情報、換気装置2や冷暖房装置22の価格情報、換気装置2や冷暖房装置22の在庫情報、換気装置2や冷暖房装置22のメンテナンスや設置の価格情報、換気装置2や冷暖房装置22の設置工事業者の空き状況情報、現在契約している電力会社の情報、電力各社の契約プラン情報、電力の使用量の情報、使用している冷暖房装置22の型番情報、冷暖房装置22の使用開始年月日、晴れ、曇り、雨、雪、雹等の天気予報や、体感温度指数、ヒートショック予報、熱中症情報、降水確率、花粉や黄砂やスモッグやPM2.5等に関する情報、火山の噴火やそれによるガスの充満、降灰に関する情報、海の波の情報、室外の風向き、風速の情報、車の渋滞情報、原発事故等に起因するものを含む放射線情報、各種ニュース情報、ビール指数、アイス指数等のインターネット等の公衆通信網10等で得られる取得データを記録する記録装置等を用いることができる。公衆通信網10から取得したこれらの情報は、テキスト情報として取得した場合には、必要に応じて自然言語解析され、構文解析、意味解析がなされた上で、各種意味を持った情報に分類される。このため、外部情報取得部95は、テキスト情報で構成された外部情報について自然言語解析するためのツールが実装されていてもよい。
【0032】
このような情報取得部9が接続されている自動制御コントローラー3は、情報取得部9により取得された取得データの少なくとも1以上を取得する。そして、取得した各種取得データの何れか1以上に基づいて、換気装置2の制御の必要度合を、判定手段となる後述の管理設定部7で判定させる。さらに、自動制御コントローラー3は、換気装置2を有線通信を通じて、或いは直接的に制御することができる。この自動制御コントローラー3は、例えば換気装置2を制御するための回路や、動作をON/OFFさせるためのリレー等に直接接続されており、建築構造物内部に設置された動作機構に作用することで、所期の換気制御を施すことが可能となる。
【0033】
また自動制御コントローラー3は、接続された冷暖房装置22から順次その動作状況を示す動作情報を取得するものであってもよい。動作情報は、冷暖房装置22が運転しているか否かに加えて、実際に冷暖房装置22において設定されている室内温度、風量、風向等に関する情報も含む。自動制御コントローラー3は、取得した動作情報に基づいて、換気装置2を有線通信又は無線通信を通じて、或いは直接的に制御することができる。但し、この自動制御コントローラー3は、制御対象をあくまで換気装置2に限定するものであり、冷暖房装置22を制御するものではない。また冷暖房装置22から特に情報を取得しない場合には、この自動制御コントローラー3に対して冷暖房装置22が非接続になっていてもよい。
【0034】
また自動制御コントローラー3は、接続された空気清浄装置23から順次その動作状況を示す動作情報を取得する。動作情報は、空気清浄装置23が運転しているか否かに加えて、実際に空気清浄装置23において設定されている強弱等に関する情報も含む。自動制御コントローラー3は、取得した動作情報に基づいて、換気装置2を有線通信又は無線通信を通じて、或いは直接的に制御することができる。
【0035】
無線通信制御ユニット4は、自動制御コントローラー3に対して有線通信により接続され、或いは自動制御コントローラー3内にその機能が実装されるものであってもよい。無線通信制御ユニット4は、図2に示すように、無線通信アクセスポイント5との間で無線通信が可能な無線通信インターフェース41と、上述した自動制御コントローラー3との間で有線通信を行うための有線通信インターフェース42と、これら無線通信インターフェース41、有線通信インターフェース42に接続され、通信自体の制御を行うための通信制御部43とを備えている。この通信制御部43には、実際に通信自体の制御を行うための図示しないマイクロチップが実装されており、その図示しないマイクロチップには、通信制御のシーケンスを実行するためのプログラムが記述されたROM等が接続されている。そして、無線通信制御ユニット4は、判定手段となる後述の管理設定部7で判定された換気装置2の制御の必要度合に基づいて、換気装置2の制御をする。
【0036】
無線通信アクセスポイント5は、室内又は室外に設けられたゲートウェイ基地局であり、上述した無線通信制御ユニット4との間で無線通信を行うためのデバイスとして構成される。
【0037】
データサーバ6は、実際に各種情報取得部9により取得された取得情報の取得データ、またその取得データを校正した結果得られる校正データに加え、制御条件や校正条件等の各種レギュレーション、規則等も記録されるデータベースである。
【0038】
管理設定部7は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)等を始めとした電子機器で構成されているが、PC以外に、携帯電話、スマートフォン、タブレット型端末、ウェアラブル端末等、他のあらゆる電子機器で具現化されるものであってもよい。この管理設定部7は、実際に換気制御システム1の制御を統括する管理者に対して、実際のデータサーバ6に格納されている取得データや校正データ等をユーザインターフェース上に表示する。また管理設定部7は、この管理者による入力を受け付けて、データサーバ6に格納されている制御条件の設定や校正条件の調整や変更を行う。さらに、上述したように、この管理設定部7は、情報取得部9により取得された各種取得データの何れか1又は組合せに基づいて、換気装置2の制御の必要度合を判定する判定手段が実装されていてもよいが、これに限定されるものではなく、当該判定手段が、データベース6、或いは無線通信制御ユニット4において実装されるものであってもよい。
【0039】
図3は、上述した構成からなる換気制御システム1の動作シーケンスを示している。先ず自動制御コントローラー3では、先ず情報取得部9を通じて、上述した室内センサ情報、室外センサ情報、室内情報、実績情報、外部情報等の各取得データを取得する。そして、校正条件を参照し、これら取得した取得データに対しては校正が施される。この校正の例としては、室内センサ情報として取得した二酸化炭素濃度を例にとる場合、取得データの中から、過去24時間分の最低値を取得し、その値を基準値400ppmとする。またこの校正においては、1時間以内に取得した取得データの最小値、又は平均値とするようにしてもよい。
【0040】
上述した校正の方法は、一例であり、他のいかなる校正を施すようにしてもよい。また二酸化炭素濃度のみならず何れの取得データも校正を施すようにしてもよい。
【0041】
なお、本発明の実施形態に係る換気制御システム1では、校正を施すようにしたが、校正を施すことは必須ではなく、校正自体を省略するようにして実施もよい。
【0042】
校正した取得データ、或いは校正を施さない生の取得データは、その後制御条件の下で判定が行われる。この判定では、予め設定されている換気の制御条件を参照し、取得データに基づいて換気装置2の制御の必要度合を判定する。
【0043】
ここで換気の制御条件を行う場合、室内センサ情報の例では、CO2の濃度が1000ppm以上であれば、換気装置2の風量を強(または急速)にする、CO2の濃度が600ppm未満であれば換気装置2をOFFにする、CO2の濃度が800ppm以上であれば、換気装置2における換気弁を開く等がある。外部情報の例では、感染者数が10000人を下回った場合、換気装置2について省エネモードに移行する、感染者数が10000人以上の場合には、換気装置2について感染対策モードとして、換気を強くするモードに移行する、近隣において災害が発生した場合には、換気装置2について災害対策モードとして換気を強くする、ビール指数が高かったり、或いは南国と同様の温湿度であると判別した場合には、換気装置2について、●●モード(ビールがおいしい、南国気分が味わる換気条件)にする、冷暖房装置22の耐用年数が超える、或いは助成金がもらえるタイミングであれば、換気装置2について買い替えアラートを通知する、冷暖房装置22の効き目が30%ダウンし、設置工事が混む前の時期であれば、換気装置2について故障アラートを通知する等がある。室外センサ情報の例では、室外の温度が25℃以上になったら、換気装置2による風量を弱くするとともに冷暖房装置22の運転を冷房にする、室外の温度が18℃以下であれば換気装置2による風量を強くするとともに冷暖房装置22の運転を暖房にする、室内快適度が室外快適度を上回ったら、換気装置2による風量を強くする、室外の湿度が60%以上であれば、冷暖房装置22の設定温度を下げるとともに、換気装置2をOFFにする等が挙げられる。
【0044】
更には、室内センサ情報、室外センサ情報の例において、室内温度、室内湿度、二酸化炭素濃度等を時系列的に取得し、24時間以内に、基準値を超えた頻度又は時間等に基づいて換気装置2の調整すべき換気度合が設定されているものであってもよいし、その24時間の取得データの平均値又は最大値が基準値を超えたか否かに基づいて判別するものであってもよい。かかる場合には、室内温度、室内湿度、二酸化炭素濃度等との間で最も平均値が高いものを選択し、その平均値について基準値と比較してもよいし、これら3つのファクターの間で所望の重み付けを施し、これについて基準値と比較するようにしてもよい。
【0045】
即ち、この制御条件は、取得データの1種のみならず、2種以上を組み合わせて、これらと制御の具体的な内容を紐づけた規則、レギュレーションとして規定されている。この制御条件は、上述したように時系列的要素、或いは他の要素を組み合わせて判別するものであってもよい。
【0046】
このような制御条件に対して、上述した取得データが適合するか否かを判別する。例えば、制御条件が「CO2の濃度が600ppm未満であれば換気装置2をOFFにする」であれば、検出したCO2の濃度が600ppm未満であるか否かを判別する。その結果、制御条件に適合するのであれば、当該制御条件に紐付けられた具体的な換気装置2への制御を実行するように制御命令をする。これに対して、制御条件に適合しないのであれば、換気装置2に対して特段新たな制御を施すことはない。
【0047】
図4は、管理設定部7のユーザインターフェース上に表示される取得データの集計結果の例を示している。室内温度、室内湿度、二酸化炭素濃度の取得データを時系列的に取得し、24時間を1時間おきにその平均値をグラフに示したものである。このグラフの最右端にある数値が、24時間の平均値を示したものである。
【0048】
このユーザインターフェースの例では、室内温度、室内湿度、二酸化炭素濃度の各平均値のうち一つでも閾値を超えるものがあれば、異常と判断する。かかる場合には、制御条件に基づいて換気装置2をONにし、又は換気装置2の換気度合を強めるための制御をする。
【0049】
自動制御コントローラー3から発生られた制御命令は、有線通信を通じて、或いは直接的に換気装置2に送信される。換気装置2は、受信した具体的な制御命令に基づいて、換気ON又はOFF、又は換気度合の強弱を調整することとなる。
【0050】
また、上述した自律制御は、自動制御コントローラー3を介して行われるが、これと並行して無線通信制御ユニット4は、取得データを有線通信を通じて常時取り込む。この無線通信制御ユニット4において取り込むべき取得データは、校正が施されていない生データであってもよいし、校正が施されたデータであってもよいし、或いは生データと校正が施されたデータの双方であってもよい。
【0051】
無線通信制御ユニット4は、この取り込んだ取得データを無線通信を通じて公衆通信網10を介してデータサーバ6へと送信する。データサーバ6は、この取得データを順次格納する。このデータサーバ6には、他の様々な箇所に設けられている無線通信制御ユニット4から順次取得データが送られ、これを順次格納する。その結果、このデータサーバ6には、各所の情報取得部9から取得された取得データが無線通信制御ユニット4を介して集められることとなる。
【0052】
そして、このデータサーバ6に対しては、公衆通信網10を介して管理設定部7側からアクセスすることができる。管理設定部7は、データサーバ6に記録されている取得データを必要に応じて統計的に整理し、集計した上で、ユーザインターフェース上で視認可能とされている。この取得データの統計的な整理や集計は、個々の無線通信制御ユニット4単位で行うようにしてもよいし、複数の無線通信制御ユニット4についてまとめて集計するようにしてもよい。
【0053】
以下の例では、取得データの統計的な整理や集計は、個々の無線通信制御ユニット4単位で行う場合について説明をする。
【0054】
かかる場合において管理設定部7は、取得データの集計結果をユーザインターフェース上に表示する。このユーザインターフェース上の表示画面は、例えば図4に示すような各取得値を時系列的に表示するものであってもよい。なお、管理者が、この測定データの集計結果を視認し、異常であると自ら判別した場合は、制御条件を変更するための命令を手動で出すことができる。かかる場合には、管理者自らの経験により、制御条件をそのまま変更せずに放置すべきか、或いは制御条件自体を変更すべきか、判別することとなる。この管理者の判別の結果は、制御条件に反映されることとなる。管理者は判別の結果、いかなる制御条件とすべきかを自らの判断で決めるようにしてもよいし、管理設定部7側において自動的に決めるようにしてもよい。かかる場合には、制御条件を変更すべき判別の頻度に応じて制御条件が紐付けられたテンプレートを予め形成しておき、そのテンプレートに基づいて制御条件を特定するようにしてもよい。
【0055】
この制御条件の変更、更新は、基本的には、管理設定部7側において自動的に行うようにしてもよい。制御条件の変更の方法としては、例えば、室内センサ情報、室外センサ情報、室内情報、実績情報、外部情報のうち何れか1以上の各取得データにつき、基準値を超えた頻度又は時間等に対する室内の快適さ、省エネルギー、故障の有無、熱中症リスク、感染症リスク等の何れか1以上判定結果を紐付けたテンプレートを準備しておく。そして、実際に管理設定部7側において、新たに取得した取得データについて基準値を超えた頻度又は時間等を特定し、その特定した頻度又は時間に紐付けられた室内の快適さ、省エネルギー、故障の有無、熱中症リスク、感染症リスク等の何れか1以上を抽出する。これにより、管理設定部7側において、取得データから都度室内の快適さ、省エネルギー、故障の有無、熱中症リスク、感染症リスク等の何れか1以上を自動判定することができる。故障の有無については、制御条件の範囲から大きく外れた数値になっていれば故障が発生している可能性があることを判別することができる。
【0056】
また、これら室内の快適さ、省エネルギー、故障の有無、熱中症リスク、感染症リスク等の何れか1以上と、具体的な制御条件を紐付けたテンプレートを予め準備しておく。このテンプレートの例としては、室内の快適さが5段階評価で上から2番目、省エネルギーが5段階評価で下から1番目、熱中症リスクが5段階評価で上から3番目である場合に、「時系列的な室内温度の温度上昇率が0.3℃/分であり、臭気の度合の上昇率が30/分を超えるのであれば、換気装置2を即座にONにする」という制御条件において「時系列的な室内温度の温度上昇率」を0.3℃/分から0.2℃/分に下げる等の変更を行う、等である。
【0057】
また、例えば二酸化炭素濃度が1000ppmを超える場合は換気装置2による換気を強くする制御条件が予め設定されていたものとする。しかし、実際の二酸化炭素濃度は時系列的に測定しても24時間中700ppmは一度もなく、600ppmを超える場合が数回ある程度とする。かかる場合には、その室内は二酸化炭素濃度が低いところで安定しており、中にいる人もその環境に慣れていることから、逆に900ppmを超えると中には不快感を感じる場合もある。かかる場合には、二酸化炭素濃度が900ppmを超える場合は換気装置2による換気を強くする制御条件に変更することもできる。
【0058】
なお、この制御条件の変更の方法として、室内センサ情報、室外センサ情報、室内情報、実績情報、外部情報等の各取得データに対して、制御条件の変更内容を直接的に紐付けておき、新たに取得データを検出した場合には、これを読み出して、変更すべき制御条件を直接導き出すようにしてもよい。
【0059】
このようにして管理設定部7側において、変更すべき制御条件を導き出した後、公衆通信網10を介してデータサーバ6に記録されている制御条件を更新する。この制御条件の更新は、無線通信制御ユニット4単位で行うようにしてもよいし、複数の無線通信制御ユニット4で共通の制御条件を更新するようにしてもよい。
【0060】
無線通信制御ユニット4は、このデータサーバ6上において更新された制御条件を公衆通信網10を介して取得し、これを自動制御コントローラー3へと送信する。自動制御コントローラー3は、この更新された制御条件に基づいて、上述した判定を行うことが可能となる。
【0061】
なお、換気制御システム1は、制御条件の設定、変更、更新について、上述した方法に基づいて管理設定部7において行う場合に限定されるものではない。例えば図5に示すように、管理設定部7の代替として、人工知能(AI)を利用して自動的に判別するようにしてもよい。
【0062】
図5において上述した図2と同一の構成要素、部材を引用することで以下での説明を省略する。図5の例では、実際に管理設定部7を利用する代わりに、データサーバ6に対して人工知能を実装する。即ち、このデータサーバ6に格納されているデータについて、この人工知能を介して学習させている。
【0063】
図6は、各取得情報の取得データ(室内センサ情報、室外センサ情報、室内情報、実績情報、外部情報等)に対する、換気の必要度合を教師データとした、人工知能による判定モデルを示している。この換気の必要度合は、上述した室内の快適さ、省エネルギー性、故障の有無、熱中症リスク、感染症リスクの可能性等の何れか1以上で具体的に示されるものであってもよい。中央にあるニューラルネットワークは、入力が室内センサ情報、室外センサ情報、室内情報、実績情報、外部情報等の何れか1以上の取得データであり、出力が判定結果である換気の必要度合となっている。
【0064】
特に、情報取得部9のうち、外部情報取得部95で取得する外部情報は、例えば、インターネット等の公衆通信網10を介して得られる換気装置2の制御に直接的又は関連する可能性を有する天気予報やその他のニュース等をデータ情報としたものなので、人工知能による方が処理し易い。かかる場合は、管理設定部7の代替である人工知能が、テキストデータの入力を受けると、自然言語解析することで外部情報を特定することができる。人工知能が判定する場合は、外部情報を入力し、出力としての判定結果で、換気装置2の制御の必要度合の判定を行うことができる。なお、外部情報は、インターネット等だけでなく、テレビやラジオ等からでも取得することができる。テレビの場合、画像情報や音声情報から文字情報に変換し、テキストデータ化できるソフトウェアがあるので、そのテキストデータ化されたものを、入力すると、自然言語解析して、キーワードを抽出し、外部情報を特定することができる。ラジオの場合、音声情報から文字情報に変換し、テキストデータ化できるソフトウェアがあるので、そのテキストデータ化されたものを、入力すると、自然言語解析して、キーワードを抽出し、外部情報を特定することができる。なお、外部情報をリスク判定毎に予め数値化する等して対応する換気装置2の制御を紐付けしておく等すれば、設定手段が、管理設定部7であっても、対応することができる。
【0065】
具体的には、例えば、換気装置2や冷暖房装置22、或いは空気清浄装置23が故障したか、或いは故障しそうな状態となった場合、外部情報として、ユーザのスマートフォン等に換気装置2や冷暖房装置22、或いは空気清浄装置23の補助金、換気装置2や冷暖房装置22、或いは空気清浄装置23の価格情報、換気装置2や冷暖房装置22、或いは空気清浄装置23の在庫情報等が入力されると、判定結果である出力として、換気装置2や冷暖房装置22、或いは空気清浄装置23の制御の必要度合が判定されるとともに、付随サービスとして、メンテンナンスや買い替えにお得な価格情報とその在庫情報、クーポン発行や補助金が受けられる条件等のお得情報を送ることができ、換気装置2や冷暖房装置22、或いは空気清浄装置23のメンテナンスや買い替えのお勧めアラートを、ユーザのスマートフォン等に通知することもできる。
【0066】
また、電気代が高い場合、外部情報として、ユーザのスマートフォン等に現在契約している電気会社と同社との電力の契約プランと電力の使用量とが入力されると、判定結果である出力として、換気装置2や冷暖房装置22、或いは空気清浄装置23の制御の必要度合が判定されるとともに、付随サービスとして、同社の他の契約プランや他社との比較情報を送ることができる。
【0067】
また、外部情報として、使用している換気装置2や冷暖房装置22、或いは空気清浄装置23の型番や使用開始年月日を入力しておくと、判定結果である出力として、換気装置2や冷暖房装置22、或いは空気清浄装置23の制御の必要度合が判定されるとともに、付随サービスとして、リコール情報があった場合等、ユーザのスマートフォン等に通知させることも等もできる。
【0068】
また、外部情報として、晴れ、曇り、雨、雪、雹等の天気予報や、体感温度指数、ヒートショック予報、熱中症情報、降水確率、花粉や黄砂やスモッグやPM2.5等に関する情報が入力されると、判定結果である出力として、それらに対応した換気装置2や冷暖房装置22、或いは空気清浄装置23の制御の必要度合が判定されるとともに、付随サービスとして、ユーザのスマートフォン等に警報等を通知させることも等もできる。
【0069】
また、外部情報として、自然災害で、火山の噴火があった場合、ガスや降灰の影響と、屋外の風向きや風速の予報とを入力すると、これらを組み合わせて、判定結果である出力として、それらに対応した換気装置2や冷暖房装置22、或いは空気清浄装置23の制御の必要度合が判定されるとともに、付随サービスとして、ユーザのスマートフォン等に警報等を通知させることも等もできる。
【0070】
また、外部情報として、原発事故等の災害があった場合、事故現場からの距離や放射線の影響と、風向きや風速の予報とを入力すると、これらを組み合わせて、判定結果である出力として、それらに対応した換気装置2や冷暖房装置22、或いは空気清浄装置23の制御の必要度合が判定されるとともに、付随サービスとして、ユーザのスマートフォン等に警報等を通知させることも等もできる。
【0071】
また、外部情報として、近所で火事があった場合等が入力されると、判定結果である出力として、それに対応した換気装置2や冷暖房装置22、或いは空気清浄装置23の制御の必要度合が判定されるとともに、付随サービスとして、ユーザのスマートフォン等に警報等を通知させることも等もできる。また、外部情報として、コロナウイルス等の感染拡大の地域内にある場合等が入力されると、判定結果である出力として、それに対応した換気装置2や冷暖房装置22、或いは空気清浄装置23の制御の必要度合が判定されるとともに、付随サービスとして、ユーザのスマートフォン等に警報等を通知させることも等もできる。
【0072】
また、例えば、室内が飲食店等であり、外部情報として、ビールやアイスが美味しいドバイ等の温度や湿度でのビール指数やアイス指数が入力されると、判定結果である出力として、換気装置2や冷暖房装置23の制御の必要度合が判定される。
【0073】
また、室内情報取得部93から取得される建築構造物の住所を含む室内の換気装置2の設置位置や数、室内の大きさ、室内の天井の高さ、最大収容人数等の室内情報は、特に外部情報等の他の取得情報と組み合わせて便利に利用されることが多い。なお、室内情報は、基本的には変化しない場合が多いので、データベース6等に予め記録しておいてもよい。例えば、外部情報として、換気装置2の設置位置に台風等による強風雨が打ち付けられる可能性があるとの情報があった場合等が入力されるとともに、室内情報として、換気装置2の設置位置も入力され、これらの組合せにより、判定結果である出力として、それらに対応した換気装置2や冷暖房装置22、或いは空気清浄装置23の制御の必要度合が判定される。
【0074】
さらに、実績情報取得部94から取得される過去の電気使用量の実績値、過去の各種制御条件、過去の入力等の実績情報も、特に外部情報等の他の取得情報と組み合わせて便利に利用されることが多い。なお、実績情報は過去のものなので、公衆通信網10を介して、データベース6等に送り予め記録しておいてもよい。例えば、外部情報として、上述したような異常な事態に過去に襲われた場合等が入力されるととともに、実績情報として、どのように上手く制御方法でクリアしたか等を入力すると、判定結果である出力として、それに対応した換気装置2や冷暖房装置22、或いは空気清浄装置23の制御の必要度合が判定される。
【0075】
学習データは、以前において取得した各取得データと、その際に管理者が具体的に判定した換気装置2の制御の必要度合を学習用データセットとして学習させたものであってもよい。
【0076】
このような人工知能を利用し、取得データを入力すると、判定結果である出力として、これに応じた換気装置2の必要度合が判定される。このような換気装置2の制御の必要度合が判定されれば、上述と同様にこれに紐付けられている変更すべき換気装置2の制御を得ることができる。
【0077】
また、換気制御システム1は、上述した実施形態に限定されるものではない。室内に自動制御コントローラー3が設置できない場合には、図7に示すように、換気装置2に対して、直接無線通信制御ユニット4を接続する。情報取得部9は、自動制御コントローラー3とは独立し、単独で設けられる。この情報取得部9は無線通信アクセスポイント5を介して無線通信制御ユニット4に測定データを送ることができ、また公衆通信網10を介して管理設定部7へ送ることができる。
【0078】
また、人それぞれで体感温度等は異なるので、室内に複数人いる場合は、個々のスマートフォン等で意見を募り、これらを平均値化して制御条件に反映させるようにしてもよい。
【0079】
以上のように構成されているので、上述した換気制御システム1によれば、建築構造物の室内の快適さのみならず、高い安全性等も考慮した換気制御システムを提供することができる。
【0080】
さらに、この換気制御システム1では、ユーザのそれぞれに合わせた快適性を提供することができ、リスク管理についても、例えば、ユーザが花粉症でない場合等は、花粉対策はリスクに取り入れないで制御条件を設定して実施することもできる。
【0081】
なお、本発明は、以下に説明するシステム構成を具現化するものであってもよい。
【0082】
図8に示すように、各取得情報の取得データ(室内センサ情報、室外センサ情報、室内情報、実績情報、外部情報等)の何れか1種又は2種以上の組み合わせに対する、制御条件を教師データとした、人工知能によるモデルを予め作っておく。図8の例では、入力として、外部情報と、室内情報の組み合わせに対する制御条件を教師データとしたものとしている。次に、実際に取得した取得データに対する制御条件を出し、これを無線通信アクセスポイント5を介して、自動制御コントローラー3へと送信する。その後の換気装置2への換気制御は上述と同様である。
【0083】
かかる場合には、図9に示すように、外部情報として天気情報をAPIにより取得し、気温や湿度の予想値や実績値を取得し、これに基づいて屋外の快適度を算出する。また室内情報として、室内の気温や湿度の予想値や実績値を取得し、室内の快適度を算出する。屋外の快適度と室内の快適度に基づいて、制御条件を判定し、換気装置2を制御するようにしてもよいし、換気装置2における制御条件の設定変更を行うようにしてもよい。
【0084】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0085】
例えば、図示は省略したが、乾燥した時期がある場所や加湿が必要となるリスク等にも対応可能とする場合等では、室内に加湿器を設けて、換気制御システム1に連動させるようにして実施してもよい。
【符号の説明】
【0086】
1 換気制御システム
2 換気装置
22 冷暖房装置
23 空気清浄装置
3 自動制御コントローラー
4 無線通信制御ユニット
41 無線通信インターフェース
42 有線通信インターフェース
43 通信制御部
5 無線通信アクセスポイント
6 データサーバ
7 管理設定部
9 情報取得部
91 室内センサ情報取得部
92 室外センサ情報取得部
93 室内情報取得部
94 実績情報取得部
95 外部情報取得部
10 公衆通信網
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9