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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108802
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20240805BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
G06F3/12 339
B41J29/38 202
G06F3/12 303
G06F3/12 385
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023013374
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】中野 克哉
(72)【発明者】
【氏名】宮尾 崇宏
【テーマコード(参考)】
2C061
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP07
2C061HJ08
2C061HK05
2C061HK19
2C061HL01
2C061HN05
2C061HN19
2C061HP00
2C061HQ01
(57)【要約】
【課題】ユーザグループの座席状況のみならず、その他の使用状況等も含めた適切な設定値が選択されやすい。
【解決手段】座席管理サーバ300において、重み記憶部314は、ユーザのグループごとの設定値の使用傾向を表す重み値を記憶している。重み管理部323は、プリンタ200における設定値の使用状況を反映するように上記重み値を更新する。設定値記憶部315は、プリンタ200の各機能における設定項目ごとのデフォルト設定値を記憶している。設定値管理部322は、各グループの在席率と重み値との乗算結果の和に基づいてデフォルト設定値を選択する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成機能を含む1つ以上の機能が利用可能であり、前記1つ以上の機能の利用に当たって1つ以上の設定項目のそれぞれについて複数の設定値のいずれかが使用される画像形成装置と、前記画像形成装置と通信可能なサーバとを備えている画像形成システムであって、
前記サーバは、
前記1つ以上の設定項目のそれぞれにおける前記複数の設定値のそれぞれについての重み値を、複数のユーザグループのそれぞれについて記憶する重み記憶部と、
前記複数のユーザグループのそれぞれにおけるユーザの在席数を取得する在席数取得部と、
前記在席数取得部が取得した前記在席数及び前記重み記憶部の記憶内容に基づいて、前記重み値が大きいほど大きくなると共に前記在席数が大きいほど大きくなる第1値を、前記複数のユーザグループのそれぞれについて且つ前記1つ以上の設定項目のそれぞれにおける前記複数の設定値のそれぞれについて算出すると共に、前記複数のユーザグループについての前記第1値の和である第2値を算出する算出部とを備えており、
前記画像形成装置は、
前記1つ以上の機能に係る動作を行う機能部と、
前記1つ以上の設定項目のいずれにおける前記複数の設定値のいずれがユーザによって選択されたかを示す設定値選択情報を取得可能な設定値取得部と、
制御部とを備えており、
前記制御部は、
前記1つ以上の設定項目のそれぞれについて、前記算出部が算出した前記第2値に基づいて前記複数の設定値から選択されるデフォルト設定値を取得するデフォルト取得処理と、
前記設定値取得部が前記設定値選択情報を取得した場合に、前記設定値選択情報に基づいて、前記1つ以上の設定項目の少なくともいずれかについて、前記デフォルト取得処理により取得された前記デフォルト設定値とは異なる前記設定値を取得する変更設定値取得処理と、
前記1つ以上の設定項目のそれぞれについて、前記デフォルト取得処理により取得された前記デフォルト設定値又は前記変更設定値取得処理により取得された前記デフォルト設定値とは異なる前記設定値を使用しつつ前記動作を行うように前記機能部を制御する機能制御処理とを実行することを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記サーバが、
前記画像形成装置から送信されるユーザ関連情報に基づいて前記複数のユーザグループのいずれかを取得するグループ取得部と、
前記グループ取得部が取得した前記ユーザグループについて前記重み記憶部に記憶された前記重み値を、前記画像形成装置から送信される前記設定値の使用状況が反映されるように更新する重み更新部とをさらに備えており、
前記制御部が、
前記機能制御処理において使用された前記設定値の使用状況及び前記設定値を使用したユーザに関する前記ユーザ関連情報を前記サーバに送信する使用状況送信処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記重み更新部が、
前記重み値に対応する前記設定値が使用されるごとに第1の大きさだけ増加するように前記重み値を更新することを特徴とする請求項2に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記重み更新部が、
前記変更設定値取得処理により前記デフォルト設定値とは異なる前記設定値が取得されるごとに、前記デフォルト設定値についての前記重み値が第2の大きさだけ減少するように前記重み値を更新することを特徴とする請求項2又は3に記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記重み更新部が、
前記変更設定値取得処理により前記デフォルト設定値とは異なる前記設定値が所定の回数、連続的に取得された場合に、前記複数のユーザグループのそれぞれにおける前記デフォルト設定値についての前記重み値を初期化することを特徴とする請求項2又は3に記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記第1値が、前記複数のユーザグループのそれぞれについて、前記重み値と前記在席数との乗算結果を各ユーザグループの所属人数で除算した値であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項7】
前記重み更新部が、
前記画像形成装置から送信される前記設定値の使用状況が示す前記設定値に応じた前記重み値が前記重み記憶部の記憶内容に含まれない場合に、当該設定値に応じた前記重み値を前記重み記憶部の記憶内容に追加することを特徴とする請求項2又は3に記載の画像形成システム。
【請求項8】
前記サーバと通信可能な複数の端末装置のそれぞれが、ユーザの識別情報を前記サーバに送信し、
前記サーバが、前記ユーザの識別情報と前記ユーザグループとの対応関係を記憶する所属グループ記憶部をさらに備えており、
前記在席数取得部が、前記複数の端末装置のそれぞれから送信される前記ユーザの識別情報と前記所属グループ記憶部が記憶する前記対応関係とに基づいて前記ユーザの在席数を取得することを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項9】
前記サーバが、前記画像形成装置に関する設定情報を記憶する設定情報記憶部をさらに備えており、
前記算出部が前記第2値を算出するタイミングが、前記画像形成装置においてユーザが前記1つ以上の機能のいずれかの利用を開始してから所定の時間が経過したタイミング、前記画像形成装置の起動のタイミング及び前記設定情報記憶部の記憶内容が変更されたタイミングの少なくともいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項10】
前記サーバと通信可能な複数の端末装置のそれぞれが、その使用場所を前記サーバに送信し、
前記設定情報が、前記使用場所と前記画像形成装置との対応関係を示す情報であることを特徴とする請求項9に記載の画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成機能が利用可能である画像形成装置を備えた画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ある画像形成装置の機能を利用するユーザグループが複数に跨る場合に、ユーザグループごとの在席状況に基づいて画像形成装置の機能に係る設定値を決定する特許文献1のような技術が存在する。特許文献1では、ユーザグループに適した内容の設定値群が用意されており、在席数の大きいユーザグループに対応する設定値群が選択される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-250150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、単にユーザグループの在席状況のみに基づいて、いずれか1つのユーザグループに適した設定値が使用される。したがって、画像形成装置における使用状況等のその他の事情を考慮せずに設定値が選択されるので、その画像形成装置に真に適した設定値が使用されないおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、ユーザグループの座席状況のみならず、その他の使用状況等も含めた適切な設定値が選択されやすい画像形成システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像形成システムは、画像形成機能を含む1つ以上の機能が利用可能であり、前記1つ以上の機能の利用に当たって1つ以上の設定項目のそれぞれについて複数の設定値のいずれかが使用される画像形成装置と、前記画像形成装置と通信可能なサーバとを備えている画像形成システムであって、前記サーバは、前記1つ以上の設定項目のそれぞれにおける前記複数の設定値のそれぞれについての重み値を、複数のユーザグループのそれぞれについて記憶する重み記憶部と、前記複数のユーザグループのそれぞれにおけるユーザの在席数を取得する在席数取得部と、前記在席数取得部が取得した前記在席数及び前記重み記憶部の記憶内容に基づいて、前記重み値が大きいほど大きくなると共に前記在席数が大きいほど大きくなる第1値を、前記複数のユーザグループのそれぞれについて且つ前記1つ以上の設定項目のそれぞれにおける前記複数の設定値のそれぞれについて算出すると共に、前記複数のユーザグループについての前記第1値の和である第2値を算出する算出部とを備えており、前記画像形成装置は、前記1つ以上の機能に係る動作を行う機能部と、前記1つ以上の設定項目のいずれにおける前記複数の設定値のいずれがユーザによって選択されたかを示す設定値選択情報を取得可能な設定値取得部と、制御部とを備えており、前記制御部は、前記1つ以上の設定項目のそれぞれについて、前記算出部が算出した前記第2値に基づいて前記複数の設定値から選択されるデフォルト設定値を取得するデフォルト取得処理と、前記設定値取得部が前記設定値選択情報を取得した場合に、前記設定値選択情報に基づいて、前記1つ以上の設定項目の少なくともいずれかについて、前記デフォルト取得処理により取得された前記デフォルト設定値とは異なる前記設定値を取得する変更設定値取得処理と、前記1つ以上の設定項目のそれぞれについて、前記デフォルト取得処理により取得された前記デフォルト設定値又は前記変更設定値取得処理により取得された前記デフォルト設定値とは異なる前記設定値を使用しつつ前記動作を行うように前記機能部を制御する機能制御処理とを実行する。
【発明の効果】
【0007】
ユーザグループごとに適した設定値を示す重み値とユーザグループごとの在席数との両方が考慮されてデフォルト設定値が選択される。したがって、各ユーザグループにおける設定値ごとの使用頻度等を重み値に反映させることで、在席状況のみならずその他の使用状況等も考慮した適切なデフォルト設定値が選択される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係るプリンタシステムの構成を示すブロック図である。
図2図1のプリンタに座席が割り当てられる状況を示す概念図である。
図3図1のプリンタシステムに含まれるPC、プリンタ及び座席管理サーバの構成を示すブロック図である。
図4】ユーザのログインからデフォルト設定値の更新に繋がるまでの図3の制御部による一連の処理に掛かるフローチャートである。
図5図3の座席管理サーバにおいて、図4の処理によりプリンタから送信された設定値の使用状況に基づいて重み値が更新されるまでの重み管理部による一連の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の好適な一実施形態に係るプリンタシステム1について図1図5を参照しつつ、以下に説明する。図1に示すように、プリンタシステム1(本発明の「画像形成システム」に相当する)は、PC100、プリンタ200及び座席管理サーバ300を有している。これらの機器は、複数の座席が並べられた建物内のフロア(例えば、オフィス)に設置されている。ユーザは、座席のいずれかを自由に選択し、持参したPC100を座席のデスク上に設置して使用する。各座席には識別情報が設定されている(後述の表2参照)。座席の識別情報(以下、「座席ID」と記載することがある)は、座席の上面等、ユーザによって把握できる箇所に表示されている。フロア内には、LAN(Local Area Network)等の通信ネットワークNが構築されている。PC100、プリンタ200及び座席管理サーバ300は、通信ネットワークNを通じて互いに通信可能である。
【0010】
PC100(本発明の「端末装置」に相当する)及び座席管理サーバ300は、それぞれ、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びストレージを有する。ROM及びRAMには、CPUが各種制御を行うためのプログラムやデータが格納される。RAMは、CPUがプログラムを実行する際に用いるデータを一時的に記憶する。
【0011】
PC100(本発明の「端末装置」に相当する)は、図3に示すように、キーボードやマウス等の入力部110とディスプレイ120とを有している。PC100に内蔵されたストレージには、座席管理サーバ300とデータを通信してプリンタ200に画像形成を実行させるためのドライバソフトウェアがインストールされている。このドライバソフトウェアの他、オペレーティングシステムソフトウェア等の各種のプログラムがCPUに所定の処理を実行させることで、PC100が後述の各種処理を実行する。
【0012】
ユーザがPC100を座席に設置してその使用を開始する際に、入力部110を通じて座席の識別情報をPC100に入力する。その入力結果は、座席の使用を開始する通知及びユーザの識別情報(以下、「ユーザID」と記載することがある)と共に座席管理サーバ300に送信される。また、ユーザが座席でのPC100の使用を終了する際、入力部110を通じて座席の使用を終了する通知をPC100に入力する。その入力結果は、ユーザの識別情報と共に座席管理サーバ300に送信される。なお、PC100から座席管理サーバ300に送信される座席の識別情報は、PC100が使用される場所を表し、本発明の「端末装置」の「使用場所」を示す情報に相当する。
【0013】
プリンタシステム1は複数のプリンタ200(本発明の「画像形成装置」に相当する)を含んでいる。本実施形態においては、プリンタシステム1に含まれている各プリンタ200に複数の座席が割り当てられている。図2はその割り当て例を示している。図2において、フロアは複数の座席をそれぞれの内部に含んだ複数のユーザ対象領域で仕切られ、各ユーザ対象領域が各プリンタ200に対応付けられることにより、ユーザ対象領域に含まれる複数の座席が各プリンタ200に割り当てられている。各ユーザ対象領域内の座席は複数のグループによって使用される。グループとは、例えば、企業における部署に対応する。座席を使用する各ユーザは、複数のグループのいずれかに所属している。
【0014】
各プリンタ200は、図3に示すように、画像形成部210、スキャナ部220、タッチパネルディスプレイ230及び制御部240を有している。画像形成部210は、印刷用紙を収容しており、この印刷用紙にインクを付着させることにより、画像データが示す画像を印刷用紙上に形成する画像形成動作を実行する。スキャナ部220は、原稿が設置される読み取り面を有している。原稿は、例えば、画像が形成されたり、文字や図形等が手書きされたりした印刷用紙や紙、布等のシート状の媒体である。スキャナ部220は、読み取り面に設置された原稿の読み取り面側の表面に形成された文字、図形、画像等を読み取り、読み取った画像を示す画像データを生成する。
【0015】
本実施形態においては、ユーザが利用可能なプリンタ200の機能としてコピー機能及びスキャン機能がある。スキャン機能は、スキャナ部220に原稿を読み取らせると共に、読み取られた画像に対応する画像データを生成させる機能である。コピー機能は、スキャナ部220による原稿の読み取り結果に対応する画像データが示す画像を画像形成部210によって印刷用紙上に形成させる機能である。すなわち、スキャナ部220は、スキャン機能に係る動作を実行する本発明の「機能部」に相当する。また、画像形成部210及びスキャナ部220は、コピー機能に係る動作を実行する本発明の「機能部」に相当する。
【0016】
スキャン機能及びコピー機能の利用に当たっては、ユーザは、各機能に係る1つ以上の設定項目のそれぞれについて複数の設定値からいずれか所望するものを使用することができる。例えば、スキャン機能の設定項目には原稿サイズや読み取り解像度が含まれている。原稿サイズには、A4、B5等の複数の設定値がある。ユーザは、スキャン機能の利用にあたり、原稿サイズに関してこれらの設定値のいずれかを使用する。また、読み取り解像度には、600dpi、1200dpi等の複数の設定値がある。ユーザは、スキャン機能の利用にあたり、読み取り解像度に関してこれらの設定値のいずれかを使用する。
【0017】
また、例えば、コピー機能の設定項目には用紙サイズや用紙タイプが含まれている。用紙サイズには、A4、Letter等の複数の設定値がある。ユーザは、コピー機能の利用にあたり、用紙サイズに関してこれらの設定値のいずれかを使用する。また、用紙タイプには、普通紙、インクジェット紙等の複数の設定値がある。ユーザは、コピー機能の利用にあたり、用紙タイプに関してこれらの設定値のいずれかを使用する。
【0018】
タッチパネルディスプレイ230(本発明の「設定値取得部」に相当する)は、文字や画像等を画面に表示する。また、タッチパネルディスプレイ230は、画面に指等が接触するとその接触位置を検出し、その検出結果を制御部240に出力する。これにより、タッチパネルディスプレイ230は、各種のユーザ入力を受け付けることが可能である。
【0019】
制御部240は、タッチパネルディスプレイ230への文字等の表示を制御すると共に、タッチパネルディスプレイ230を通じたユーザ入力の結果に基づき、画像形成部210及びスキャナ部220の他、プリンタ200の各部の動作を制御する。制御部240は、CPU、記憶デバイス、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、タイマー等のハードウェアと、記憶デバイスに格納されたソフトウェアとを有している。このうち、ハードウェアのタイマーは、作動を開始してからの経過時間を出力可能である。これらハードウェアとソフトウェアの協働により各種の処理を実行する。
【0020】
本実施形態において、プリンタ200の機能を利用するためには、タッチパネルディスプレイ230を通じたユーザの識別情報の入力によりプリンタ200にログインすることが必要である。制御部240は、タッチパネルディスプレイ230を通じたユーザの識別情報の入力があった場合に、そのユーザの識別情報を座席管理サーバ300へと送信する。その後、制御部240は、タッチパネルディスプレイ230を通じたユーザ入力に基づき、スキャン機能及びコピー機能のいずれを利用するかをユーザに選択させる。また、制御部240は、タッチパネルディスプレイ230を通じたユーザ入力に基づき、各機能の利用に当たって各設定項目についていずれの設定値を使用するかをユーザに選択させる。
【0021】
制御部240は、上記設定項目のそれぞれに関してデフォルト設定値を記憶する記憶部を有している。デフォルト設定値は、タッチパネルディスプレイ230を通じたユーザ入力により各設定項目について設定値をユーザに選択させる際に、制御部240が最初にタッチパネルディスプレイ230に表示させる設定値である。ユーザは、タッチパネルディスプレイ230上の操作により、最初に表示されたデフォルト設定値をそのまま選択することも可能であるし、デフォルト設定値以外の設定値を選択することも可能である。
【0022】
制御部240は、タッチパネルディスプレイ230におけるユーザ入力結果に基づき、ユーザによって選択された設定値(デフォルト設定値又はその他の設定値)及び機能(コピー機能又はスキャン機能)を取得する。そして、制御部240は、取得した設定値を使用しつつ、取得した機能に係る動作を行うように画像形成部210及びスキャナ部220を制御する(本発明の「機能制御処理」に相当する)。なお、ユーザの選択に基づいてデフォルト設定値以外の設定値が制御部240によって取得される処理が、本発明の「変更設定値取得処理」に相当する。
【0023】
デフォルト設定値は、後述の通り、座席管理サーバ300の設定値管理部322から各プリンタ200に送信される。座席管理サーバ300からデフォルト設定値を受け取ると、各プリンタ200の制御部240は、記憶部の記憶内容が示すデフォルト設定値を座席管理サーバ300から受け取ったデフォルト設定値に更新する。なお、制御部240が座席管理サーバ300からデフォルト設定値を受け取る処理が、本発明の「デフォルト取得処理」に相当する。
【0024】
ユーザによるプリンタ200へのログインの状態は、制御部240によって、ログインから所定の時間が経過するまで継続するものとして取り扱われる。所定の時間が経過したか否かは、制御部240が有するタイマーに基づいて判定される。ログイン開始から所定の時間が経過すると、制御部240は、ユーザがログアウトした旨を座席管理サーバ300に送信する。なお、本実施形態においては、あるユーザによるログインから所定の時間が経過する前に新たに別のユーザがログインした場合に、制御部240によってタイマーが一旦初期化される。したがって、別のユーザによる新たなログインから所定の時間が経過するまでログインの状態が延長される。また、ユーザがコピー機能又はスキャン機能を利用するごとにログインの状態が延長されてもよい。
【0025】
座席管理サーバ300は、ユーザ情報記憶部311、座席情報記憶部312、ユーザ対象領域記憶部313、重み記憶部314、設定値記憶部315、座席管理部321、設定値管理部322、重み管理部323、グループ取得部324及び評価値算出部325を有している。
【0026】
ユーザ情報記憶部311(本発明の「所属グループ記憶部」に相当する)は、下記表1に一例を示すように、ユーザの識別情報、ユーザの氏名及びグループの識別情報(以下、「グループID」と記載することがある)を互いに関連付けて記憶している。このうち、グループの識別情報は、ユーザが所属するグループを表す情報である。表1では、ユーザの識別情報がUser1、User2、User3…のように表されている。また、グループの識別情報がA、B、C…のように表されている。以下、A、B、C…の識別情報と対応するグループをグループA、グループB、グループC…と記載する。
【0027】
【表1】
【0028】
座席情報記憶部312は、下記表2に一例を示すように、座席の識別情報、座席の位置(X座標、Y座標)及び座席の使用状況を互いに関連付けて記憶している。表2では、座席の識別情報がSeat1、Seat2、Seat3…のように表されている。表2のX座標及びY座標は、各座席におけるフロア内の水平位置を示している。表2の座席の使用状況は、その座席を使用しているユーザの識別情報を示すか、空席である旨が「--」によって表されている。
【0029】
座席管理部321は、座席の使用開始及び終了の通知がPC100から送信された場合に、上記通知と共に送信されたユーザ及び座席の識別情報に基づいて表2の使用状況の内容を更新する。
【0030】
【表2】
【0031】
ユーザ対象領域記憶部313(本発明の「設定情報記憶部」に相当する)は、下記表3に一例を示すように、プリンタ200の識別情報(以下、プリンタIDと記載することがある)、その位置(X座標、Y座標)及びユーザ対象領域を互いに関連付けて記憶している。表3では、プリンタシステム1が含んでいる複数のプリンタ200の識別情報がPrinter1、Printer2、Printer3…のように表されている。表3のX座標及びY座標は、各プリンタ200におけるフロア内の水平位置を示している。表3のユーザ対象領域は、各プリンタ200に割り当てられた座席を含んでいる。表3の例では、Printer1に対応するプリンタ200には、Seat1、Seat2…に対応する座席が割り当てられている。また、Printer3に対応するプリンタ200には、Seat60、Seat61…に対応する座席が割り当てられている。
【0032】
ユーザ対象領域記憶部313の記憶内容は、フロア内のレイアウト変更等により、プリンタシステム1に含まれるプリンタ200に変動が生じたり、プリンタ200に対する座席の割り当てに変更が生じたりした場合に適宜更新される。この更新は、座席管理サーバ300に接続されたユーザ入力装置を用いたユーザ入力等を通じてなされる。
【0033】
【表3】
【0034】
ところで、上記の通り、プリンタ200は複数の座席を含んだユーザ対象領域と対応付けられている。1つのユーザ対象領域内に含まれる座席は、複数のグループによって使用される。一方で、各プリンタ200において、ユーザによる各機能の利用の際にタッチパネルディスプレイ230に最初に表示されるデフォルト設定値は、利便性の観点からすると、そのプリンタ200を使用するユーザによる設定値の使用傾向に応じたものであることが好ましい。ところが、各プリンタ200は複数のグループによって使用される。このため、各グループ内での設定値の使用傾向がある程度共通であったとしても、複数のグループには互いに異なる使用傾向が存在することが想定される。したがって、このような互いに異なる使用傾向を有するユーザが使用するプリンタ200において、デフォルト設定値の内容をどのように調整するべきかという問題が生じる。
【0035】
そこで、プリンタシステム1は、複数のグループにとって可能な限り適切な内容のデフォルト設定値が選択されるように、以下のように構成されている。
【0036】
まず、デフォルト設定値が適切に選択されるように、座席管理サーバ300に設定値記憶部315及び設定値管理部322が設置されている。設定値記憶部315は、下記表4に一例を示すように、プリンタ200の識別情報に関連付けて、各機能の各設定項目におけるデフォルト設定値を記憶している。座席管理サーバ300の設定値管理部322は、各グループにおける設定値の使用傾向に基づいてデフォルト設定値を更新する。
【0037】
【表4】
【0038】
各グループにおける設定値の使用傾向は、以下のように重み値によって管理される。座席管理サーバ300の重み記憶部314は、下記表5に一例を示すように、グループの識別情報、機能、設定項目、設定値及び重み値を互いに関連付けて記憶している。重み値は、グループごとの各設定項目における各設定値の使用傾向を示す値である。具体的には、重み値は、表5に示すように、グループごとに、且つ、設定項目ごとに、且つ、設定値ごとに管理されている。表5では、例えば、グループAのコピー機能の設定項目である用紙サイズの設定値A4については重み値が42である。これに対し、用紙サイズの設定値A3については重み値が10である。これは、グループAにおいて、用紙サイズの設定値としてA4の使用傾向がA3の使用傾向より高いことを示している。同様に、グループBのコピー機能の設定項目である用紙サイズの設定値A4については重み値が23である。これは、用紙サイズの設定項目に関して、グループAにおける設定値A4の使用傾向がグループBにおける設定値A4の使用傾向より高いことを示している。
【0039】
【表5】
【0040】
各プリンタ200においては、制御部240がユーザによる設定値の使用状況を座席管理サーバ300に送信する。本実施形態においては、ユーザが各機能を利用するごとに、ユーザが使用した設定値が、そのプリンタ200の識別情報及びそのユーザの識別情報並びにその設定値に係る機能及び設定項目と共に座席管理サーバ300に送信される(本発明の「使用状況送信処理」に相当する)。座席管理サーバ300のグループ取得部324は、プリンタ200から送信されたユーザの識別情報及びユーザ情報記憶部311の記憶内容に基づいてそのユーザが所属するグループを取得する。
【0041】
そして、座席管理サーバ300の重み管理部323(本発明の「重み更新部」に相当する)は、プリンタ200から送信されたプリンタ200及びユーザの識別情報を座席情報記憶部312及びユーザ対象領域記憶部313の記憶内容と照合する。そして、重み管理部323は、この照合の結果、ユーザが使用している座席に対応するユーザ対象領域のプリンタ200が使用されていると判定した場合には、グループ取得部324が取得したグループについて、プリンタ200から送信された設定値の使用状況が反映されるように重み記憶部314の重み値を更新する。本実施形態においては、設定値記憶部315の記憶内容に基づき、各機能の各設定項目について、プリンタ200で使用された設定値がデフォルト設定値であるか否かに応じて重み値が更新される。
【0042】
具体的には、プリンタ200において使用された設定値がデフォルト設定値であった場合に、重み管理部323が、当該デフォルト設定値について重み記憶部314が記憶している重み値を1つ増加させる。なお、重み値の増加量(本発明の「第1の大きさ」に相当する)は1以外であってもよい。例えば、2以上の自然数であってもよいし、自然数以外の実数であってもよい。
【0043】
一方、プリンタ200において使用された設定値がデフォルト設定値でなかった場合には、重み管理部323が、当該デフォルト設定値について重み記憶部314が記憶している重み値を1つ減少させると共に、使用された設定値について重み記憶部314が記憶している重み値を1つ増加させる。なお、重み値の増加量及び減少量(本発明の「第2の大きさ」に相当する)のそれぞれは1以外であってもよい。例えば、2以上の自然数であってもよいし、自然数以外の実数であってもよい。
【0044】
例えば、表4のデフォルト設定値及び表5の重み値に対し、Printer1に対応するユーザ対象領域内の座席を使用中のグループAに所属するユーザがコピー機能を使用する際に、その設定項目である用紙サイズについて設定値Letterを使用したとする。この設定項目においては、表4に示す通り、Printer1におけるデフォルト設定値がLetterである。このため、重み管理部323は、これに対応する表5のグループA、コピー機能、用紙サイズにおけるLetterの重み値43を44に更新する。
【0045】
これに対し、上記ユーザがコピー機能を使用する際に、その設定項目である用紙サイズについて、デフォルト設定値Letterと異なる設定値A4を使用したとする。この場合、重み管理部323は、これに対応する表5のグループA、コピー機能、用紙サイズにおけるLetterの重み値43を42に更新すると共に、A4の重み値42を43に更新する。
【0046】
なお、重み管理部323が、各設定項目におけるデフォルト設定値について、他の設定値が連続して使用された回数に基づいて重み値を更新してもよい。例えば、プリンタ200において使用された設定値がデフォルト設定値でなかったことが所定の回数、連続した場合に、重み管理部323が、当該デフォルト設定値について重み記憶部314が記憶している重み値を初期化する。初期化は、重み値をゼロにすることでなされる。なお、初期化の値はゼロ以外であってもよい。例えば、ゼロに近い実数であってもよい。
【0047】
以上のように管理された重み値に基づき、設定値管理部322は、以下の通りにデフォルト設定値を更新する。デフォルト設定値の更新タイミングは、プリンタ200からユーザのログアウトが座席管理サーバ300に通知されたタイミングである。まず、座席管理部321が、ユーザ情報記憶部311の記憶内容に基づいて各グループの所属人数を集計する。例えば、表1において、グループA、B、C…と関連付けられたユーザの人数をグループごとに計数することで各グループの所属人数を集計する。
【0048】
また、座席管理部321が、ユーザ情報記憶部311、座席情報記憶部312及びユーザ対象領域記憶部313の記憶内容に基づいて、ログアウトが座席管理サーバ300に通知されたプリンタ200(以下、「ログアウトの通知に係るプリンタ200」とする)と対応付けられたユーザ対象領域におけるユーザの在席数、つまり、座席を使用しているユーザの人数を各グループについて計数する。例えば、表3によると、ログアウトの通知に係るプリンタ200と対応するユーザ対象領域内の全座席が取得される。次に、取得された各座席について、表2により、いずれのユーザが使用中であるかが取得される。さらに、取得された各ユーザについて、表1により、所属するグループが取得される。よって、これらの取得結果に基づいて、ログアウトの通知に係るプリンタ200についてグループごとの在席数が取得される。
【0049】
次に、評価値算出部325(本発明の「算出部」に相当する)が、座席管理部321が取得した各グループの所属人数、ログアウトの通知に係るプリンタ200に対応するユーザ対象領域について、各グループの在席数及び重み記憶部314の記憶内容に基づいて、数式1に示される関数Fに基づく評価値(本発明の「第2値」に相当する)を、各機能、各設定項目、各設定値について算出する。
【0050】
【数1】
【0051】
具体的には、評価値算出部325は、ログアウトの通知に係るプリンタ200について、各グループの所属人数で各グループの在席数を除算して得られる在席率を算出し、その在席率に各グループの機能ごと且つ設定項目ごと且つ設定値ごとに重みを乗算して得られる値(数式1のΣ内の演算値)を取得する。この値が本発明の「第1値」に相当する。そして、評価値算出部325は、この値を、各機能における設定項目ごと且つ設定値ごとに全てのグループに亘って加算(数式1のΣの演算)することにより評価値を算出する。
【0052】
設定値管理部322は、評価値算出部325が算出した評価値を設定項目ごとに設定値同士で比較し、評価値が最も大きい設定値をその設定項目に関するデフォルト設定値として選択する。選択されたデフォルト設定値は、設定値管理部322からログアウト通知に係るプリンタ200へと送信される。ログアウト通知に係るプリンタ200においては、上記の通り、制御部240の記憶部の記憶内容が、座席管理サーバ300から受信したデフォルト設定値に基づいて更新される。
【0053】
以下、プリンタシステム1によるデフォルト設定値の管理処理の流れについて、図4及び図5を参照しつつ説明する。
【0054】
図4は、ユーザのログインからデフォルト設定値の更新に繋がるまでのプリンタ200の制御部240による一連の処理に係るフローチャートである。まず、制御部240は、プリンタ200へのユーザのログインを受け付ける(S1)。これに応じ、制御部240は、タイマーによる時間の計測を開始する(S2)。次に、制御部240は、新たに別のユーザがログインしたか否かを判定する(S3)。新たに別のユーザがログインしたと判定すると(S3、Yes)、制御部240は、タイマーによる時間の計測を初期化する(S7)。つまり、タイマーによる時間の計測があらためてゼロから開始される。そして、S4からの処理が実行される。一方、S3において新たに別のユーザがログインしていないと判定すると(S3、No)、制御部240は、プリンタ200の機能(コピー機能又はスキャン機能)がユーザによって利用されたか否かを判定する(S4)。プリンタ200の機能が利用されたと判定すると(S4、Yes)、制御部240は、プリンタ200の識別情報、設定値の使用状況及びユーザの識別情報を座席管理サーバ300に送信する(S8)。これに応じ、座席管理サーバ300においては、S8によりプリンタ200から送信された設定値の使用状況に基づいて重み記憶部314の重み値が上記の通り更新される。そして、S5からの処理が実行される。一方、S4においてプリンタ200の機能がユーザによって利用されていないと判定すると(S4、No)、制御部240は、S2のタイマー開始又はS7のタイマーの初期化から所定の時間が経過したか否かを判定する(S5)。所定の時間が経過したと判定すると(S5、Yes)、制御部240は、ユーザがログアウトした旨を座席管理サーバ300に送信する(S6)。そして、一連の処理が終了する。S6に応じ、座席管理サーバ300においては、上記の通りデフォルト設定値が更新される。更新されたデフォルト設定値はプリンタ200に送信され、プリンタ200でのデフォルト設定値の更新に使用される。S5において、所定の時間が経過していないと判定すると(S5、No)、制御部240は、S3以降の処理を実行する。
【0055】
図5は、座席管理サーバ300において、図4のS8によりプリンタ200から送信された設定値の使用状況に基づいて重み値が更新されるまでの重み管理部323による一連の処理を示すフローチャートである。まず、重み管理部323は、ユーザによって使用されたプリンタ200が適切なプリンタ200であるか否か、つまり、ユーザが使用している座席に対応するユーザ対象領域のプリンタ200が使用されたか否かを判定する(S10)。この判定は、プリンタ200から座席管理サーバ300に設定値の使用状況と併せて送信されたプリンタ200及びユーザの識別情報を座席情報記憶部312及びユーザ対象領域記憶部313の記憶内容と照合することによりなされる。適切なプリンタ200が使用されていないと判定すると(S10、No)、重み管理部323は処理を終了する。適切なプリンタ200が使用されていると判定すると(S10、Yes)、重み管理部323は、設定値の使用状況に基づいて、プリンタ200で使用された設定値がデフォルト設定値であるか否かを判定する(S11)。デフォルト設定値であると判定すると(S11、デフォルト設定値)、重み管理部323は、重み記憶部314に記憶されたデフォルト設定値に係る重み値を1つ増加させる(S18)。そして、一連の処理が終了する。
【0056】
一方、S11において、プリンタ200で使用された設定値がデフォルト設定値でないと判定すると(S11、デフォルト設定値以外)、重み管理部323は、その設定値が重み記憶部314の記憶内容には存在しない新たな設定値であるか否かを判定する(S12)。例えば、コピー機能の用紙サイズの設定値として、A4、A3及びLetterのみが上記表5に含まれているとする。このとき、プリンタ200で使用された設定値がB4であったとすると、重み管理部323は、その設定値が重み記憶部314の記憶内容には存在しない設定値であると判定する。
【0057】
プリンタ200で使用された設定値が重み記憶部314の記憶内容には存在しない新たな設定値であると判定すると(S12、Yes)、重み管理部323は、重み記憶部314内に、設定値の使用状況が示す機能及び設定項目におけるその設定値に関する重み値の記憶領域を追加すると共に、その記憶領域の重み値をゼロ(又は、ゼロ以外の負の値等)に設定する(S17)。そして、S13以降の処理が実行される。
【0058】
プリンタ200で使用された設定値が重み記憶部314の記憶内容に存在する設定値であると判定すると(S12、No)、重み管理部323は、デフォルト設定値以外の設定値が所定の回数、連続して使用されたか否かを判定する(S13)。デフォルト設定値以外の設定値が所定の回数、連続して使用されたと判定すると(S13、Yes)、重み管理部323は、当該デフォルト設定値について重み記憶部314が記憶している重み値を初期化する(S16)。そして、一連の処理が終了する。
【0059】
デフォルト設定値以外の設定値が所定の回数、連続して使用されていないと判定すると(S13、No)、重み管理部323は、当該デフォルト設定値について重み記憶部314が記憶している重み値を1つ減少させる(S14)。また、重み管理部323は、使用された設定値について重み記憶部314が記憶している重み値を1つ増加させる(S15)。そして、一連の処理が終了する。
【0060】
なお、図5のS14~S16及びS18のそれぞれで更新される重み値は、プリンタ200の機能を使用したユーザが所属するグループについての重み値であって、設定値の使用状況が示す機能に係る設定項目における重み値である。
【0061】
以上説明した本実施形態によれば、上記数式1に示す通り、ユーザのグループごとの使用傾向に即した設定値を示す重み値とユーザのグループごとの在席数との両方が考慮された評価値が算出される。そして、算出された評価値に基づいてデフォルト設定値が選択される。したがって、在席状況のみならず設定値の使用状況も考慮した適切なデフォルト設定値が選択される。また、重み値は、プリンタ200における機能の利用ごとにプリンタ200から座席管理サーバ300に送信される設定値の使用状況に基づいて逐次更新される。したがって、プリンタ200における最新の設定値の使用状況を考慮したデフォルト設定値の選択が可能である。
【0062】
また、本実施形態においては、設定値の使用に応じて増加するように重み値が更新される。つまり、設定値の使用頻度に応じてその重み値が大きくなる。一方、デフォルト設定値が使用されない場合にはその重み値が小さくなる。このため、設定値の使用状況の変動に適切に応じた重み値の更新が可能である。
【0063】
また、本実施形態では、上記数式1に示す通り、グループの在席率、つまり、在席数をグループの所属人数で除算して得られる値に応じて算出された評価値に基づいてデフォルト設定値が選択される。このため、所属人数の大きいグループの設定値の使用傾向がデフォルト設定値の選択に当たって過大に評価されることが抑制される。
【0064】
また、本実施形態においては、デフォルト設定値以外の設定値が所定の回数、連続して使用された場合に、デフォルト設定値に関する重み値が初期化される。このようにデフォルト設定値が連続して使用されない場合、グループにおけるユーザの変動等により設定値の使用傾向が大きく変動した可能性がある。この場合に重み値が初期化されるので、使用傾向の変動に適切に応じた重み値の更新が可能である。
【0065】
また、本実施形態においては、重み記憶部314の記憶内容に存在しない設定値がプリンタ200において使用された場合には、その設定値に係る重み値のための記憶領域が重み記憶部314内に追加される。したがって、あらかじめ全ての設定値に関して重み値が設定されなくても、プリンタ200における設定値の使用状況に応じた適切な重み値の管理が可能である。
【0066】
また、本実施形態においては、プリンタ200からユーザのログアウトが座席管理サーバ300に通知されたタイミングでデフォルト設定値が更新される。このようにユーザがログアウトしたタイミングは、ユーザがログイン中にプリンタ200の機能を利用することで重み値の更新がなされた直後である可能性がある。このように重み値の更新がなされた直後のタイミングでデフォルト設定値が更新されることにより、設定値の最新の使用状況に適切に応じたデフォルト設定値が選択されやすい。さらに、デフォルト設定値の更新は、上記数式1に基づく評価値の算出等、座席管理サーバ300における処理の負荷が大きい。また、プリンタ200においてもデフォルト設定値の更新がなされるため、処理の負荷が大きい。このような負荷が大きい処理が、ユーザのログアウト直後になされることで、ユーザのログイン中になされる場合と比べて、ユーザによるプリンタ200の機能の利用がデフォルト設定値の更新処理によって妨げられにくい。
【0067】
なお、デフォルト設定値の更新タイミングは、プリンタ200の起動のタイミングであってもよい。この場合、プリンタ200が起動された際に、その旨が座席管理サーバ300に通知され、この通知に応じてデフォルト設定値が更新されればよい。また、デフォルト設定値の更新タイミングは、ユーザ対象領域記憶部313の記憶内容に変動が生じたタイミングであってもよい。プリンタ200の起動及びユーザ対象領域記憶部313の記憶内容の変動のいずれにおいても、設定値の使用傾向に変動が生じる可能性がある。したがって、このようなタイミングでデフォルト設定値が更新されることにより、設定値の最新の使用状況に適切に応じたデフォルト設定値が選択されやすい。
【0068】
<変形例>
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0069】
例えば、上述の実施形態では、座席管理サーバ300が座席情報記憶部312、ユーザ対象領域記憶部313等の各種記憶部を含んでいる構成が示されている。これに対し、これらの記憶部の機能を担うデータベースサーバが、グループ取得部324や座席管理部321等を有する座席管理サーバとは別個に設置されてもよい。この場合、座席情報記憶部312、ユーザ対象領域記憶部313等の記憶部ごとにデータベースサーバが設置されてもよいし、複数の記憶部の機能を担うデータベースサーバが設置されてもよい。
【0070】
また、上述の実施形態においては、タッチパネルディスプレイ230を通じたユーザ入力を用いてプリンタ200へのログインが行われている。これに対し、ユーザが保持する携帯端末のNFC(Near Field Communication)等の通信機能を用いた通信によりプリンタ200へのログインが行われてもよい。
【0071】
また、上述の実施形態においては、数式1に示すように、各グループについて在席数を所属人数で除算して得られる値を設定値の重みに乗算して得られる値がグループについて積算されることで評価値が算出される。これに対し、各グループについて在席数をユーザ情報記憶部311の記憶内容における総人数又はユーザ対象領域内の総人数で除算して得られる値を設定値の重みに乗算して得られる値がグループについて積算されることで評価値が算出されてもよい。後者の総人数が用いられる場合には、例えば、表1において、ユーザの識別情報と座席の識別情報とがさらに関連付けられていればよい(つまり、ユーザが使用する座席が固定されていればよい)。これにより、表3において各ユーザ対象領域と関連付けられた座席に対応するユーザを表1に基づいてグループごとに集計することにより、ユーザ対象領域内における各グループの総人数が導出される。
【0072】
また、上述の実施形態では、座席管理サーバ300が評価値に基づいて選択したデフォルト設定値がプリンタ200に送信されている。これに対し、座席管理サーバ300からプリンタ200へと評価値が設定値ごとに送信されてもよい。この場合、プリンタ200において、評価値が最も大きい設定値が設定項目ごとのデフォルト設定値として選択されればよい。
【0073】
また、上述の実施形態では、表3に示すように、各プリンタ200の識別情報と複数の座席の識別情報とが直接対応付けられている。これに対し、フロア内のユーザ対象領域がX座標及びY座標のそれぞれにおける範囲で指定されることでそのユーザ対象領域に対応するプリンタ200と範囲内の座席とが対応付けられてもよい。
【0074】
また、上述の実施形態では、プリンタ200のログイン時にタッチパネルディスプレイ230を通じてユーザの識別情報が入力されると共に、入力されたユーザの識別情報が座席管理サーバ300へと送信される。そして、座席管理サーバ300において、ユーザの識別情報に基づいてユーザの所属グループが取得される。これに対し、プリンタ200のログイン時にタッチパネルディスプレイ230を通じてユーザの所属グループの識別情報が入力されると共に、入力されたグループの識別情報が座席管理サーバ300へと送信されてもよい。
【0075】
また、上述の実施形態では、複数のプリンタ200を有するプリンタシステム1に本発明が適用されている。これに対し、1つのプリンタ200のみを有するプリンタシステムに本発明が適用されてもよい。
【0076】
加えて、上述の各実施形態においては、プリンタ200を有するプリンタシステム1に対して本発明を適用する場合について説明したが、これには限定されない。本発明は、ヘッドからインクを吐出するインクジェット式のその他の画像形成装置、例えば、複合機やコピー機等又はこれらの画像形成装置を有するシステムに適用されてもよい。また、インクジェット方式でインクを印刷用紙に付着させる代わりに、トナーを印刷用紙に付着させることで画像記録処理を実行するレーザー式の画像形成装置又はこれを有するシステムに適用されてもよい。この場合、画像形成装置にはトナーを収容するトナーカートリッジが着脱可能に装着される。
【符号の説明】
【0077】
1 プリンタシステム
100 PC
110 入力部
120 ディスプレイ
200 プリンタ
210 画像形成部
220 スキャナ部
230 タッチパネルディスプレイ
240 制御部
300 座席管理サーバ
311 ユーザ情報記憶部
312 座席情報記憶部
313 ユーザ対象領域記憶部
314 重み記憶部
315 設定値記憶部
321 座席管理部
322 設定値管理部
323 重み管理部
324 グループ取得部
325 評価値算出部
N 通信ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5