IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧 ▶ 株式会社デンソーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108823
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】駐車支援装置及び駐車支援方法
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/06 20060101AFI20240805BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
B60W30/06
G08G1/16 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023013414
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】弁理士法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】下村 一哉
(72)【発明者】
【氏名】尾山 啓介
(72)【発明者】
【氏名】水瀬 雄樹
(72)【発明者】
【氏名】大林 幹生
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA21
3D241BC01
3D241BC02
3D241CC01
3D241CC08
3D241CC17
3D241CE06
3D241DA13Z
3D241DA23Z
3D241DA52Z
3D241DA58Z
3D241DB05Z
3D241DB13Z
3D241DB32Z
5H181AA01
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC12
5H181CC14
5H181FF04
5H181FF14
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF32
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL08
5H181LL09
5H181LL17
(57)【要約】
【課題】自動駐車制御の実行中に適切なタイミングで運転者の状態が不安全状態であることに対する警告情報を報知することができる駐車支援装置を提供すること。
【解決手段】駐車支援装置1は、駐車スポットに自車両が駐車するように自車両を制御する駐車支援ECU10と、所定の情報を表示する表示装置70とを有する。駐車支援ECU10は、駐車スポットに至るまでの経路に沿って自車両が走行し、駐車スポットに自車両が駐車するように自車両を制御する自動駐車制御と、自動駐車制御の実行中に、自車両の運転者の状態が自車両のステアリングホイール53aを把持していない状態を含む不安全状態と認められる場合に表示装置70が所定の警告情報を表示するように表示装置70を制御する警告制御と、自動駐車制御の実行中に所定の特定区間を自車両が走行している場合に表示装置70による警告情報の表示を制限する警告制限制御と、を実行可能に構成される。
【選択図】 図17

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の駐車スポットに自車両が駐車するように自車両を制御する制御装置と、所定の情報を報知する報知装置と、を有する駐車支援装置であって、
前記制御装置は、
前記駐車スポットに至るまでの経路に沿って自車両が走行し、前記駐車スポットに自車両が駐車するように、自車両を制御する自動駐車制御と、
前記自動駐車制御の実行中に、自車両の運転者の状態が、自車両のステアリングホイールを把持していない状態を含む不安全状態と認められる場合に前記報知装置が所定の警告情報を報知するように前記報知装置を制御する警告制御と、
前記自動駐車制御の実行中に所定の特定区間を自車両が走行している場合に前記報知装置による前記警告情報の報知を制限する警告制限制御と、
を実行可能に構成される、駐車支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の駐車支援装置であって、
前記経路は、予め記憶されている登録経路を含む、駐車支援装置。
【請求項3】
請求項1に記載の駐車支援装置であって、
前記特定区間は、自車両のステアリングホイールが大きく回転する区間を含む区間として設定される、駐車支援装置。
【請求項4】
請求項1に記載の駐車支援装置であって、
前記特定区間は、所定の単位時間当たりにおける自車両のステアリングホイールの回転角の変化量が閾値変化量以上である区間として設定される、駐車支援装置。
【請求項5】
請求項1に記載の駐車支援装置であって、
前記特定区間は、自車両のステアリングホイールの回転角が閾値角以上である区間として設定される、駐車支援装置。
【請求項6】
請求項1に記載の駐車支援装置であって、
前記特定区間は、半径が閾値半径以下であるカーブ区間として設定される、駐車支援装置。
【請求項7】
請求項3乃至6のいずれか1項に記載の駐車支援装置であって、
前記制御装置は、前記特定区間を自車両が走行しているときに、自車両のステアリングホイールが自動で回転することを表す情報が報知されるように報知装置を制御することができるように構成される、駐車支援装置。
【請求項8】
請求項3乃至6のいずれか1項に記載の駐車支援装置であって、
自車両のステアリングホイールに作用する操舵トルクを検出する操舵トルクセンサを有し、
前記制御装置は、前記自動駐車制御の実行中であって前記特定区間以外の区間を自車両が走行しているときに前記操舵トルクセンサが所定の第一閾値トルクよりも大きい操舵トルクを検出した場合には前記自動駐車制御を中断し又は中止し、前記自動駐車制御の実行中であって前記特定区間を自車両が走行しているときに前記操舵トルクセンサが前記第一閾値トルクよりも大きい操舵トルクを検出した場合には前記自動駐車制御を継続する、駐車支援装置。
【請求項9】
請求項8に記載の駐車支援装置であって、
前記制御装置は、前記自動駐車制御の実行中であって前記特定区間を自車両が走行しているときに前記操舵トルクセンサが前記第一閾値トルクよりも大きい操舵トルクを検出した場合には、自車両の走行経路が逸脱することを表す情報が報知されるように報知装置を制御する、駐車支援装置。
【請求項10】
請求項9に記載の駐車支援装置であって、
前記制御装置は、前記自動駐車制御の実行中であって前記特定区間を自車両が走行しているときに前記操舵トルクセンサが前記第一閾値トルクよりも大きく且つ自車両の走行経路が前記駐車スポットに至るまでの経路に復帰できない程度に逸脱する大きさの操舵トルクとして予め設定される第二閾値トルク以上の操舵トルクを検出した場合には、前記自動駐車制御を中断又は中止する、駐車支援装置。
【請求項11】
請求項1に記載の駐車支援装置であって、
前記制御装置は、
前記駐車スポットに至るまでの経路の一つを登録経路として予め記憶しており、
前記自動駐車制御は、
自車両が前記登録経路の近傍にて前記登録経路に平行に走行するように自車両を制御する自動走行処理と、
自車両の走行経路が前記登録経路に合流するように自車両を制御する合流処理と、
前記合流処理の実行後に自車両を前記登録経路に沿って走行させる経路走行処理と、を実行可能に構成され、
前記特定区間は、前記合流処理を実行しているときに自車両が走行する区間である合流区間を含む、駐車支援装置。
【請求項12】
請求項11に記載の駐車支援装置であって、
前記特定区間は、自車両を前記駐車スポットに駐車させるために自車両の姿勢を変化させる動作を実行している区間を含む、駐車支援装置。
【請求項13】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の駐車支援装置であって、
所定の画像を表示する表示装置を備え、
前記制御装置は、自車両が前記特定区間を走行中に、前記特定区間が強調された画像が表示されるように前記表示装置を制御する、駐車支援装置。
【請求項14】
所定の駐車スポットに自車両が駐車するように自車両を制御する駐車支援方法であって、
前記駐車スポットに至るまでの経路に沿って自車両が走行し、前記駐車スポットに自車両が駐車するように、自車両を制御する自動駐車制御を実行するステップと、
前記自動駐車制御の実行中に、自車両の運転者の状態が、自車両のステアリングホイールを把持していない状態を含む不安全状態と認められる場合に所定の警告情報を報知するステップと、
前記自動駐車制御の実行中に所定の特定区間を自車両が走行している場合に前記警告情報の報知を制限するステップと、
を含む、駐車支援方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、駐車支援装置及び駐車支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
駐車支援装置は、自車両が所定の駐車スポットに至るまでの経路に沿って走行するとともに駐車スポットに駐車されるように自車両の運転操作の少なくとも一部または全部を実行する自動駐車制御を実行可能に構成される。このような駐車支援装置に関連し、標準規格であるISO20900(Partially automated parking systems: PAPS)やISO16787(Assisted parking systems: APS)には、車両の駐車にかかわる車両制御について規定されている。
【0003】
特許文献1は、自車両を駐車することができる駐車スポットの位置を記憶することができる駐車支援装置を開示する。この駐車支援装置によれば、記憶された駐車スポットに自車両を自動駐車制御によって駐車することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-117128号公報
【発明の概要】
【0005】
自動駐車制御の実行中、自車両の運転者は、ステアリングホイールから手を離したり、脇見或いは目を閉じるなど、不安全行為を実行する可能性がある。よって、自動駐車制御の実行中は、運転者の状態を適切に監視し、運転者の状態が不安全行為を実行している状態である不安全状態と認められる場合には運転者に対して警告情報を報知する必要がある。その一方で、自動駐車制御の実行中、自車両のステアリングホイールが大きく回転する場合もある。そのような場合に運転者の状態が不安全状態であることに対して警告情報が報知されると、運転者がステアリングホイールを強く把持することによってステアリングホイールに作用する操舵トルクが増加し、それにより自動駐車制御が中止されるなどの自動駐車制御の実行に支障をきたす場合がある。
【0006】
本開示は、上記した課題を解決し得る駐車支援装置及び駐車支援方法を提供することを目的とする。すなわち本開示は、自動駐車制御の実行中に適切なタイミングで運転者の状態が不安全状態であることに対する警告情報を報知することができる駐車支援装置及び駐車支援方法を提供することを目的とする。
【0007】
本開示に係る駐車支援装置は、所定の駐車スポットに自車両が駐車するように自車両を制御する制御装置と、所定の情報を報知する報知装置と、を有する駐車支援装置であって、制御装置は、駐車スポットに至るまでの経路に沿って自車両が走行し、駐車スポットに自車両が駐車するように、自車両を制御する自動駐車制御と、自動駐車制御の実行中に、自車両の運転者の状態が、自車両のステアリングホイールを把持していない状態を含む不安全状態と認められる場合に報知装置が所定の警告情報を報知するように報知装置を制御する警告制御と、自動駐車制御の実行中に所定の特定区間を自車両が走行している場合に報知装置による警告情報の報知を制限する警告制限制御と、を実行可能に構成される。
【0008】
また、本開示に係る駐車支援方法は、所定の駐車スポットに自車両が駐車するように自車両を制御する駐車支援方法であって、駐車スポットに至るまでの経路に沿って自車両が走行し、駐車スポットに自車両が駐車するように、自車両を制御する自動駐車制御を実行するステップと、自動駐車制御の実行中に、自車両の運転者の状態が、自車両のステアリングホイールを把持していない状態を含む不安全状態と認められる場合に所定の警告情報を報知するステップと、自動駐車制御の実行中に所定の特定区間を自車両が走行している場合に警告情報の報知を制限するステップと、を含む。
【0009】
本開示に係る駐車支援装置及び駐車支援方法によれば、自動駐車制御の実行中に自車両が特定区間を走行している場合には、自車両の運転者の状態が、ステアリングホイールを把持していない状態を含む不安全状態と認められる場合であっても警告情報の報知が制限される。このため警告情報が報知されることが好ましくない区間を特定区間に設定することにより、不適切なタイミングで運転者が不安全状態であることに対する警告情報が報知されることが抑制される。言い換えれば、自動駐車制御の実行中における適切なタイミングで、運転者が不安全状態であることに対する警告情報を報知することができる。
【0010】
本開示に係る警告制限制御において「警告情報の報知を制限する」とは、自車両が特定区間を走行している場合に、警告制御によって警告されるべき警告情報の一部または全部を報知しないことを意味する。従って、警告情報を一切報知しないことも、警告情報の報知を制限することに含まれる。また、警告情報の一部を報知せず、他の一部を報知することも、警告情報の報知を制限することに含まれる。この場合、警告制限制御の実行により報知される警告情報は、自車両が特定区間を走行中に報知することにより起こりうる不具合が存在しない警告情報として、予め設定することができる。
【0011】
本開示に係る駐車支援装置の一態様において、駐車スポットに至るまでの経路は、予め記憶されている登録経路を含む。これによれば、予め記憶されている登録経路に沿って自車両を走行させて、所定の駐車スポットに自車両を駐車することができる。
【0012】
本開示に係る駐車支援装置の一態様において、特定区間は、自車両のステアリングホイールが大きく回転する区間を含む区間として設定される。また、本開示に係る駐車支援装置の他の一態様において、特定区間は、単位時間当たりにおける自車両のステアリングホイールの回転角の変化量が閾値変化量以上である区間として設定される。また、本開示に係る駐車支援装置の他の一態様において、特定区間は、自車両のステアリングホイールの回転角が閾値角以上である区間として設定される。
【0013】
これらの態様によれば、ステアリングホイールが大きく回転する区間を自車両が走行中に、警告情報の報知が制限される。よって、ステアリングホイールが大きく回転する区間を自車両が走行中に警告情報が報知されることにより運転者が回転しているステアリングホイールを把持し、これにより自動駐車制御の実行に支障をきたすことが防止される。
【0014】
本開示に係る駐車支援装置の他の一態様において、特定区間は、半径が閾値半径以下であるカーブ区間として設定される。これによれば、自車両が比較的急なカーブ路を走行中に警告情報の報知が制限される。よって、当該カーブ路を自車両が走行中に警告情報が報知されることにより自動駐車制御の実行に支障をきたすことが防止される。
【0015】
本開示に係る駐車支援装置の他の一態様において、制御装置は、特定区間を自車両が走行しているときに、自車両のステアリングホイールが自動で回転することを表す情報が報知されるように報知装置を制御することができるように構成される。これによれば、自動駐車制御の実行中にステアリングホイールが大きく回転する区間、或いは比較的急なカーブ路を自車両が走行しているときに、ステアリングホイールが自動で回転することが報知されることにより、運転者がステアリングホイールの自動回転を予期することができる。
【0016】
本開示に係る駐車支援装置の他の一態様において、駐車支援装置は、自車両のステアリングホイールに作用する操舵トルクを検出する操舵トルクセンサを有し、制御装置は、自動駐車制御の実行中であって特定区間以外の区間を自車両が走行しているときに操舵トルクセンサが所定の第一閾値トルクよりも大きい操舵トルクを検出した場合には自動駐車制御を中断又は中止し、自動駐車制御の実行中であって特定区間を自車両が走行しているときに操舵トルクセンサが第一閾値トルクよりも大きい操舵トルクを検出した場合には自動駐車制御を継続する。
【0017】
これによれば、自車両が特定区間以外の区間を走行中に第一閾値トルクよりも大きい操舵トルクが検知された場合には、制御装置は自車両の運転者が意識的に操舵介入を実行して自動駐車制御の中止を要求していると判断して、自動駐車制御を中断又は中止する。一方、自車両が特定区間を走行中に第一閾値トルクよりも大きい操舵トルクが検知された場合には、制御装置は、自車両の運転者が無意識的にステアリングホイールを強く把持することによって操舵トルクが増加したと判断し、自動駐車制御を継続する。これにより、運転者の意識的な操舵介入に対しては自動駐車制御を中断又は中止することができ、無意識的な操舵介入に対しては自動駐車制御を継続することができる。
【0018】
本開示に係る駐車支援装置の他の一態様において、制御装置は、自動駐車制御の実行中であって特定区間を自車両が走行しているときに操舵トルクセンサが第一閾値トルクよりも大きい操舵トルクを検出した場合には、自車両の走行経路が逸脱することを表す情報が報知されるように報知装置を制御する。
【0019】
自車両が特定区間を走行しているときに第一閾値よりも大きい操舵トルクがステアリングホイールに作用した場合でも自動駐車制御が継続されるが、この場合には自車両の走行経路が駐車スポットに至るまでの経路から逸脱する。従って、自車両の走行経路が逸脱することを報知することにより、運転者はステアリングホイールに作用している操舵トルクを低減させることができ、これにより、自車両の走行経路を駐車スポットに至るまでの経路に復帰させることができる。
【0020】
本開示に係る駐車支援装置の他の一態様において、制御装置は、自動駐車制御の実行中であって特定区間を自車両が走行しているときに操舵トルクセンサが第一閾値トルクよりも大きく且つ自車両の走行経路が駐車スポットに至るまでの経路に復帰できない程度に逸脱する大きさの操舵トルクとして予め設定される第二閾値トルク以上の操舵トルクを検出した場合には、自動駐車制御を中断又は中止する。
【0021】
これによれば、自車両が特定区間を走行しているときに、自車両の走行経路が駐車スポットに至るまでの経路に復帰できない程度に逸脱するような大きな操舵トルクがステアリングホイールに作用した場合に、速やかに自動駐車制御を中断又は中止することができる。
【0022】
本開示に係る駐車支援装置の他の一態様において、制御装置は、駐車スポットに至るまでの経路の一つを登録経路として予め記憶している。また、自動駐車制御は、自車両が登録経路の近傍にて登録経路に平行に走行するように自車両を制御する自動走行処理と、自車両の走行経路が登録経路に合流するように自車両を制御する合流処理と、合流処理の実行後に自車両を登録経路に沿って走行させる経路走行処理と、を実行可能に構成される。そして、特定区間は、合流処理を実行しているときに自車両が走行する区間である合間区間を含む。
【0023】
自車両が現在の走行経路から登録経路に合流する際にはステアリングホイールが大きく回転する可能性がある。従って、合流処理の実行時に自車両が走行する区間である合流区間を自車両が走行しているときに警告情報の報知を制限することにより、自動駐車制御の実行に支障をきたすことが防止される。
【0024】
本開示に係る駐車支援装置の他の一態様において、特定区間は、自車両を駐車スポットに駐車させるために自車両の姿勢を変化させる動作を実行している区間を含む。
【0025】
自車両を駐車スポットに駐車させるために自車両の姿勢を変化させる動作を実行している場合には、自車両のステアリングホイールが大きく回転する可能性がある。従って、そのような場合に警告情報の報知を制限することにより、自動駐車制御の実行に支障をきたすことが防止される。
【0026】
本開示に係る駐車支援装置の他の一態様において、駐車支援装置は、所定の画像を表示する表示装置を備え、制御装置は、自車両が特定区間を走行中に、特定区間が強調された画像が表示されるように表示装置を制御する。
【0027】
これによれば、表示装置に特定区間が強調表示されることにより、自車両の運転者は特定区間を走行中であることを認識することができる。この場合、報知装置が表示装置であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本開示の第一実施形態に係る駐車支援装置のブロック図である。
図2】ソナーセンサの取り付け位置の一例を示す図である。
図3】カメラセンサの取り付け位置の一例を示す図である。
図4】提案画像の一例を示す図である。
図5】第二表示処理の実行によってディスプレイに表示される周辺画像の一例を示す。
図6】自動走行処理の実行により走行している自車両を示す図である。
図7】合流処理の実行により走行している自車両を示す図である。
図8】経路走行処理を実行中の自車両を示す図である。
図9】停車処理の実行により登録駐車スポットの周辺の所定位置に停車した自車両を示す図である。
図10】切り返し位置で一旦停止した自車両を示す図である。
図11】駐車処理の実行が終了した時点における自車両を示す図である。
図12】駐車支援ECUが実行する自動駐車制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
図13】第一警告画像の一例を示す図である。
図14】第二警告画像の一例を示す図である。
図15】第一実施形態に係る駐車支援ECUの機能ブロック図である。
図16】フラグ設定部が警告制限フラグを設定するために実行するフラグ設定処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。
図17】第一警告ルーチンの一例を示すフローチャートである。
図18】第二警告ルーチンの一例を示すフローチャートである。
図19】検知モード及び各検知モードの内容を示す図である。
図20】第二実施形態に係る駐車支援装置の駐車支援ECUの機能ブロック図である。
図21】特定区間表示ルーチンの一例を示すフローチャートである。
図22】強調画像及び回転報知画像が表示されたディスプレイを示す図である。
図23】第三実施形態に係る駐車支援装置の駐車支援ECUの機能ブロック図である。
図24】ステアオーバーライド処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。
図25】逸脱画像が表示されたディスプレイを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(第一実施形態)
本開示の第一実施形態に係る駐車支援装置は、自動運転することができる車両1000に搭載される。以下において、車両1000を自車両と呼称することもある。図1に示されるように、本実施形態に係る駐車支援装置1は、駐車支援ECU10、センサ群20、駆動装置30、制動装置40、ステアリング装置50、シフト切替装置60、表示装置70、及びナビゲーション装置80を備える。
【0030】
駐車支援ECU10は、CPU10a、ROM10b、RAM10c及びインターフェース10dを含むマイクロコンピュータを主要構成として含む。駐車支援ECU10は、CPU10aがROM10bに格納されたインストラクション、プログラム又はルーチンを実行することにより、自動駐車制御を含む各種制御を実行することができるように構成される制御装置である。本実施形態において、自動駐車制御は、自車両の駆動装置30、制動装置40、ステアリング装置50の少なくとも1つを駐車支援装置1が制御することにより自車両を駐車スポットに駐車させる制御である。従って、駆動装置30、制動装置40、ステアリング装置50の全ての制御を駐車支援装置1が実行する制御も自動駐車制御であり、ステアリング装置50のみの制御を駐車支援装置1が実行する制御も自動駐車制御である。
【0031】
駐車支援ECU10は、複数のECUにより構成されていてもよい。また、駐車支援ECU10は、CAN(Controller Area Network)を介して、他の複数のECUに接続されている。例えば、図1に示すように、駐車支援ECU10は、駆動ECU31、制動ECU41、ステアリングECU51、SBW-ECU61、表示ECU71、ナビゲーションECU81に接続されており、接続関係にある各ECUとの間で必要な情報を授受することができる。
【0032】
センサ群20は、外界センサ21、車速センサ22、ドライバモニタセンサ23、グリップセンサ24、操舵トルクセンサ25、ステアリング回転角センサ26及びブレーキペダルセンサ27を含む。外界センサ21は、自車両の周囲に存在する物体及び表示に関する情報を取得する。本実施形態において、外界センサ21は、ソナーセンサ211及びカメラセンサ212を含む。
【0033】
ソナーセンサ211は、超音波を間欠的に自車両の周辺領域に放射し、立体物(物体)によって反射された超音波(反射波)を受信する。ソナーセンサ211は、超音波を送信してから反射波を受信するまでの時間に基づいて、自車両と物体との間の距離、自車両と物体との相対的な位置関係等を取得する。ソナーセンサ211は、取得した距離及び位置関係を表す情報を駐車支援ECU10に送信する。
【0034】
本実施形態では、複数のソナーセンサ211が自車両に設けられる。複数のソナーセンサ211は、自車両のほぼ全周囲に超音波を放射することができるように自車両に設けられる。例えば、複数のソナーセンサ211は、図2に示すように、前方ソナーセンサ211a,211b、後方ソナーセンサ211c,211d、右方ソナーセンサ211e,211f、左方ソナーセンサ211g,211h、右前方ソナーセンサ211i、左前方ソナーセンサ211j、右後方ソナーセンサ211k、左後方ソナーセンサ211lを、備えていてもよい。前方ソナーセンサ211a及び211bは、それぞれ、自車両の前方端の右寄りの部分及び左寄りの部分から前方に超音波を放射する。後方ソナーセンサ211c及び211dは、それぞれ、自車両の後方端の右寄りの部分及び左寄りの部分から後方に超音波を放射する。右方ソナーセンサ211e及び211fは、それぞれ、自車両の右側端の前寄りの部分及び後寄りの部分から右方に超音波を放射する。左方ソナーセンサ211g及び211hは、それぞれ、自車両の左側端の前寄りの部分及び後寄りの部分から左方に超音波を放射する。右前方ソナーセンサ211iは、自車両の前方右端部から右斜め前方に超音波を放射する。左前方ソナーセンサ211jは、自車両の前方左端部から左斜め前方に超音波を放射する。右後方ソナーセンサ211kは、自車両の後方右端部から右斜め後方に超音波を放射する。左後方ソナーセンサ211lは、自車両の後方左端部から左斜め後方に超音波を放射する。
【0035】
カメラセンサ212は、カメラ装置及び画像解析装置を含む。カメラ装置は、例えば、レンズ及びCCD(charge coupled device)或いはCIS(CMOS image sensor)により構成される撮像素子を内蔵するデジタルカメラである。カメラ装置は、所定のフレームレートで自車両の周辺領域をそれぞれ撮影して、画像データをそれぞれ取得する。カメラ装置は、各画像データを画像解析装置に送信する。画像解析装置は、取得した画像データを解析して、その画像から自車両の周囲に存在する物体及び表示に関する情報を取得する。例えば、画像解析装置は、走行路面の模様、形状、駐車スポットの壁、フェンスなどの形状や色、路面に表示されている駐車枠線などを認識し、当該認識結果を表す画像情報を駐車支援ECU10に送信する。
【0036】
カメラセンサ212は、自車両の全周囲を撮影することができるように、複数のカメラ装置を有する。例えば、複数のカメラ装置は、図3に示すように、前方カメラ装置212a、後方カメラ装置212b、右側方カメラ装置212c、左側方カメラ装置212dを備える。前方カメラ装置212aは、自車両の前方領域を撮影する。後方カメラ装置212bは、自車両の後方領域を撮影する。右側方カメラ装置212cは、自車両の右側方領域を撮影する。左側方カメラ装置212dは、自車両の左側方領域を撮影する。各カメラ装置の画角は、自車両の全周囲を撮影できるように、180°程度或いはそれ以上であってもよい。また、夜間でも自車両の周囲を撮影することができるように、複数のカメラ装置が赤外線カメラ装置を含んでいてもよい。
【0037】
なお、外界センサ21はレーダセンサを含んでいてもよい。レーダセンサは、ミリ波帯の電波を利用して、自車両の周囲に存在する物体を検知することができるように構成される。この場合、レーダセンサは、自車両の前方に電波を放射する前方レーダセンサ、自車両の後方に電波を放射する後方レーダセンサ、自車両の右側方に電波を放射する右側方レーダセンサ、自車両の左側方に電波を放射する左側方レーダセンサ、を備えるとよい。
【0038】
車速センサ22は、自車両の車速を表す情報を検出し、検出した車速を表す情報を駐車支援ECU10に出力する。車速センサ22は、自車両の車輪の回転速度を表す情報を検出する車輪速センサであってもよい。
【0039】
ドライバモニタセンサ23は、ドライバモニタカメラ装置及びドライバ画像生成部を備える。ドライバモニタカメラ装置は、自車両の運転席に着座した運転者の顔を撮像可能な位置に取り付けられている。ドライバモニタカメラ装置により撮影された画像情報はドライバ画像生成部に送信される。ドライバ画像生成部は、受信した画像情報に基づいて運転者の画像情報を取得し、取得した運転者の画像情報を駐車支援ECU10に送信する。
【0040】
グリップセンサ24は、後述するステアリングホイール53aのうち運転者が把持すべき部分に設けられており、ステアリングホイール53aに運転者の手が接触しているか否か、すなわち運転者がステアリングホイール53aを把持しているか否かを表す情報であるグリップ情報を検出することができるように構成される。グリップセンサ24として静電容量センサを例示できる。グリップセンサ24は、検出したグリップ情報を駐車支援ECU10に送信する。
【0041】
操舵トルクセンサ25は、後述するステアリングホイール53aを運転者が操舵する際に入力されるトルク(操舵トルク)を表す情報を検出することができるように構成される。操舵トルクセンサ25は、例えば、ステアリングホイール53aと一体回転するステアリングシャフトに取り付けられ、ステアリングホイール53aが回転することによって生じる捩じりトルクを操舵トルクとして検出する。操舵トルクセンサ25は、検出した操舵トルクを表す情報を駐車支援ECU10に送信する。
【0042】
ステアリング回転角センサ26は、後述するステアリングホイール53aの回転角(以下、ステアリング回転角)を表す情報を検出することができるように構成される。ステアリング回転角は、ステアリングホイール53aが中立位置(自車両が直進走行するときのステアリングホイール53aの回転位置)から回転した角度を表す。また、ステアリング回転角センサ26は、ステアリングホイール53aが中立位置から一方向(例えば右方向)に回転した角度を正の角度として検出し、他方向(例えば左方向)に回転した角度を負の角度として検出することができる。ステアリング回転角センサ26は、例えばステアリングシャフトに取り付けられる。ステアリング回転角センサ26は、検出したステアリング回転角を表す情報を駐車支援ECU10に送信する。
【0043】
ブレーキペダルセンサ27は、後述するブレーキペダル44に取り付けられており、ブレーキペダル44の操作量を表す情報を検出することができるように構成される。ブレーキペダルセンサ27は、検出したブレーキペダル44の操作量を表す情報を駐車支援ECU10に送信する。
【0044】
センサ群20は、上記に説明したセンサ以外のセンサを含んでもよい。例えば、後述するシフトレバーセンサ62、ヨーレートセンサ、加速度センサ、アクセルペダルストロークセンサ、等がセンサ群20に含まれていてもよい。
【0045】
駆動装置30は、駆動力を発生し、その駆動力を自車両の駆動輪に付与する。駆動装置30は、駆動ECU31、駆動アクチュエータ32、駆動源33、変速機34、及び、駆動力を駆動輪に伝達する図示しない駆動力伝達機構を含む。駆動ECU31は駆動アクチュエータ32の動作を制御することができるように駆動アクチュエータ32に電気的に接続される。駆動アクチュエータ32は、駆動源33の駆動力を調整することができるように構成される。例えば駆動源33が内燃機関である場合、駆動アクチュエータ32は、内燃機関に供給する燃料の量を調整することができるスロットルバルブ及びスロットルバルブの開度を調整するための開度調整機構である。
【0046】
駆動ECU31は、駆動アクチュエータ32の動作を制御することによって、駆動源33が発生する駆動力を制御する。駆動源33が発生する駆動力は、変速機34及び駆動力伝達機構を介して自車両の駆動輪に伝達される。従って、駆動ECU31は、駆動アクチュエータ32を制御することによって、自車両の駆動力を制御することができる。また、駐車支援ECU10は、自動駐車制御の実行中に、目標駆動力を表す情報を含む駆動制御信号を駆動ECU31に送信することにより、駆動力が目標駆動力に一致するように、駆動ECU31を介して駆動アクチュエータ32を制御することができる。また、駆動装置30は、自車両に設けられるアクセルペダルを運転者が操作することによっても、駆動力を発生することができる。
【0047】
なお、駆動源33が内燃機関である場合、駆動ECU31は内燃機関によって発生する駆動力を制御する。また、自車両がハイブリッド車両(HEV)である場合、駆動ECU31は、駆動源33としての内燃機関及び電動機の何れか一方又は両方によって発生する駆動力を制御する。また、自車両が電気車両(BEV)である場合、駆動ECU31は、駆動源33としての電動機によって発生する駆動力を制御する。
【0048】
制動装置40は、自車両の車輪に対し制動力を付与する。制動装置40は、制動ECU41、制動アクチュエータ42、及び制動機構43を含む。制動ECU41は、制動アクチュエータ42の動作を制御することができるように制動アクチュエータ42に電気的に接続される。制動アクチュエータ42は、公知の油圧回路を含み、図示しないリザーバー、オイルポンプ及び種々の弁装置等を含む。制動機構43は、ブレーキディスク、キャリパ、ピストン、ブレーキパッドを含み、制動アクチュエータ42から供給された油圧(即ち制動圧)によってブレーキパッドがブレーキディスクに押し付けられることにより摩擦制動力を発生する。制動機構43が発生する摩擦制動力によって自車両が制動する。
【0049】
制動アクチュエータ42は、制動ECU41からの指示に応じて制動機構43に供給する油圧(制動圧)を調整する。制動圧に応じて制動機構43が発生する摩擦制動力が変化する。従って、制動ECU41は、制動アクチュエータ42を制御することによって自車両の制動力を制御することができる。また、駐車支援ECU10は、自動駐車制御の実行中に、目標制動力を表す情報を含む制動制御信号を制動ECU41に送信することにより、制動力が目標制動力に一致するように、制動ECU41を介して制動アクチュエータ42を制御することができる。また、制動装置40は、自車両に設けられるブレーキペダル44を運転者が操作することによっても自車両の車輪に対し制動力を付与することができる。
【0050】
ステアリング装置50は、自車両の操舵輪を操舵するための装置である。ステアリング装置50は、ステアリングECU51、ステアリングアクチュエータ52、及びステアリング機構53を含む。ステアリングECU51は、ステアリングアクチュエータ52の動作を制御することができるようにステアリングアクチュエータ52に電気的に接続される。ステアリング機構53は、ステアリングホイール53a、ステアリングシャフト、ステアリングギアボックス、タイロッド等を含む。ステアリング機構53は、ステアリングホイール53aの回転操作によって操舵輪を操舵することができるように構成される。ステアリングアクチュエータ52は例えば電動機であり、操舵輪を操舵するための動力をステアリング機構53に付与することができるように、ステアリング機構53に接続される。このステアリングアクチュエータ52は、運転者によるステアリングホイール53aの操作をアシストするような操舵アシスト力を発生するように構成することもできる。ステアリングECU51は、ステアリングアクチュエータ52の動作を制御することによって、ステアリング機構53の動作を制御する。従って、ステアリングECU51は、ステアリングアクチュエータ52を制御することによって、自車両の操舵輪の操舵角である車輪操舵角を制御することができる。また、駐車支援ECU10は、自動駐車制御の実行中に、目標操舵角を表す情報を含む操舵制御信号をステアリングECU51に送信することにより、車輪操舵角が目標操舵角に一致するように、ステアリングECU51を介してステアリングアクチュエータ52を制御することができる。
【0051】
シフト切替装置60は、変速機34のシフト位置(変速段)の切り替えを行う。本例において、シフト位置は、駐車位置、ニュートラル位置、前進位置、及び、後退位置を、少なくとも含む。シフト位置が駐車位置であるとき、シフト切替装置60は、駆動輪に駆動力が伝達されず且つ車輪が回転不能となるように車輪を機械的にロックする。具体的には、シフト位置が駐車位置になると、変速機34の出力軸が回転しないように当該出力軸がロックされる。このような状態は、パーキングロック(Pロック)状態とも称呼される。シフト位置がニュートラル位置であるとき、シフト切替装置60は駆動力を駆動輪に伝達しない。但し、シフト位置がニュートラル位置であるとき、シフト切替装置60は車輪を機械的にロックしない。シフト位置が前進位置にあるとき、シフト切替装置60は車両を前進させる駆動力を駆動輪に伝達する。シフト位置が後進位置であるとき、車両を後退させる駆動力を駆動輪に伝達する。
【0052】
シフト切替装置60は、SBW-ECU61、シフトレバーセンサ62、SBWアクチュエータ63、及び、シフト切替機構64等を含む。なお、SBWは、シフトバイワイヤの略称である。SBW-ECU61は、シフトレバーセンサ62及びSBWアクチュエータ63に接続されている。シフトレバーセンサ62は、シフトレバーの操作に対応するシフト位置を検出する。なお、シフトレバーは、それぞれのシフト位置に対応する操作を行うことができるように設けられており、自車両の運転者により操作される。SBW-ECU61は、シフトレバーの操作に対応するシフト位置をシフトレバーセンサ62から受け取り、そのシフト位置に基いてSBWアクチュエータ63を制御する。SBWアクチュエータ63は、SBWーECU61からの指示に応じてシフト切替機構64を作動させて、変速機34のシフト位置を、複数のシフト位置(駐車位置、ニュートラル位置、前進位置及び後進位置)のうちの一つへと切り替える。また、駐車支援ECU10は、自動駐車制御の実行中に目標シフト位置を表す情報を含むシフト制御信号をSBW-ECU61に送信することにより、シフト位置が目標シフト位置に一致するように、SBW-ECU61を介してSBWアクチュエータ63を制御することができる。
【0053】
表示装置70は、表示ECU71及びタッチパネル式のディスプレイ72を含む。表示ECU71は、ディスプレイ72を制御することができるように、ディスプレイ72に接続される。ディスプレイ72として、自車両の運転席の正面に設けられたインストルメントパネルに取り付けられるディスプレイを例示することができる。ディスプレイ72は、通常は地図画面を表示するディスプレイであってもよい。また、駐車支援ECU10は、所定の表示制御信号を表示ECU71に送信することにより、ディスプレイ72に所定の画像情報が表示されるように、表示装置70を制御することができる。表示装置70は、ディスプレイ72を介して所定の情報を報知する報知装置としての機能を有する。また、表示装置70は、ディスプレイ72を介して所定の情報が入力される入力装置としての機能を有する。
【0054】
ナビゲーション装置80は、ナビゲーションECU81及びGPS受信機82を含む。GPS受信機82は、自車両の現位置の緯度及び経度を検出するためのGPS信号を受信する。また、ナビゲーション装置80は、地図情報を記憶した地図データベースを備えている。ナビゲーションECU81は、GPS受信機82が受信したGPS信号によって得られる自車両の緯度及び経度、並びに地図情報等に基いて各種の演算処理を行い、自車両の地図上での位置を特定する。特定された自車両の位置は、駐車支援ECU10に送信されて、自動駐車制御に利用される。
【0055】
上記構成を有する本実施形態に係る駐車支援装置1は、自車両を駐車することができる駐車スポット及びその駐車スポットに至るまでの経路を登録することができるように構成される。この駐車スポット及び経路の登録処理について、説明する。
【0056】
駐車支援装置1の駐車支援ECU10は、車速センサ22が取得する情報に基づいて、自車両の車速を常に監視している。そして、駐車支援ECU10は、自車両の車速が所定の基準車速以下、例えば15km/h以下であることを検知した場合、経路記憶処理を実行する。経路記憶処理では、駐車支援ECU10は、RAM10c内に設けられるリングバッファ領域に自車両の走行経路に関する情報を所定の短時間ごとに連続的に記憶する。所定の短時間ごとに連続的に記憶される情報は、自車両の走行経路を特定することができる情報及びその際における自車両の走行状態を表す情報を含む。自車両の走行経路を特定することができる情報は、駐車支援ECU10がカメラセンサ212から連続的に取得した路面の模様、形状に関する画像情報を含む。また、自車両の走行状態を表す情報は、駐車支援ECU10がステアリング回転角センサ26から取得したステアリング回転角を表す情報、車速センサ22から取得した車速を表す情報、シフトレバーセンサ62から取得したシフト位置を表す情報を含む。自車両の走行状態を表す情報は、連続的に取得される走行路面の模様、形状に関する画像情報のそれぞれに紐づけられており、各画像情報に対応して連続的に取得される。駐車支援ECU10が経路記憶処理を実行することにより、自車両が基準車速以下の車速で走行している場合に現在時点から所定時間遡った時点までの間の自車両の走行経路に関する情報が連続的に記憶される。
【0057】
いま、自車両が所定の駐車スポット、例えば自宅周辺の駐車スポットに向かっていると仮定する。自車両が所定の駐車スポットにある程度近づいた場合、自車両の運転者は、自車両を駐車スポットに駐車させるために自車両の車速を低下させる。このような場合に駐車支援ECU10が経路記憶処理を実行して自車両の走行経路に関する情報を記憶する。
【0058】
そして、自車両が所定の駐車スポットの直近位置にまで近づいた場合に、自車両の運転者は自車両を駐車スポットに駐車させるための駐車動作を実行する。これにより自車両が所定の駐車スポットに駐車される。なお、このとき駐車支援ECU10が自動駐車制御を実行することにより、自車両を所定の駐車スポットに駐車しても良いし、自車両の運転者が運転操作を実行することによって自車両を所定の駐車スポットに駐車してもよい。自車両の駐車動作が実行されている間も、駐車支援ECU10は自車両の走行経路に関する情報を記憶し続ける。つまり、駐車動作を実行する際における自車両の走行経路に関する情報も記憶される。
【0059】
駐車支援ECU10は、自車両が所定の駐車スポットに駐車されたと判断した場合、駐車スポットを特定することができる情報をRAM10c内に記憶する。このときに記憶される情報は、例えば、カメラセンサ212により取得された駐車スポットの形状、特徴点等に関する情報、及び駐車スポットの位置に関する情報である。
【0060】
また、駐車支援ECU10は、自車両が所定の駐車スポットに駐車されたと判断した場合、駐車スポット及びその駐車スポットに至るまでの自車両の走行経路を登録するか否かを選択するための画像がディスプレイ72に表示されるように、表示装置70を制御する。そして、駐車スポット及びその駐車スポットに至るまでの経路を登録することが選択された場合、駐車支援ECU10は、RAM10c内に記憶されている駐車スポットに関する情報と、その駐車スポットに至るまでの自車両の走行経路に関する情報を、ROM10b内の所定の記憶領域に記憶する。これにより、駐車スポット及びその駐車スポットに至るまでの自車両の走行経路の一つが登録される。以下において、登録された駐車スポットを登録駐車スポットと呼び、登録された自車両の走行経路の一つを登録経路と呼ぶ。
【0061】
また、本実施形態に係る駐車支援装置1は、自動駐車制御を実行することにより、登録経路に沿って自車両が走行し、登録駐車スポットに自車両を自動的に駐車させることができるように構成される。このような自動駐車制御について、以下に説明する。
【0062】
登録駐車スポットに自車両を駐車する場合、自車両の運転者は、自車両を、登録経路が設定されている走行路(以下、経路設定路)を所定の低速度以下の車速、例えば15km/h以下の車速で走行させる。一方、駐車支援ECU10は、自車両が所定の低速度以下の車速で走行している場合に、自車両が登録駐車スポット及び登録経路の近傍位置を走行しているか否かを判断する。この判断は、まず、GPS受信機82が検出するGPS信号に基づいて取得される自車両の現位置と、登録駐車スポットの位置とを比較することによりなされる。駐車支援ECU10は、自車両が登録駐車スポット及び登録経路の近傍位置を走行していると判断した場合、カメラセンサ212により取得される自車両の現在の走行路面の模様、形状に関する画像情報と、登録経路を特定するために記憶されている路面の模様、形状に関する画像情報とを比較する。そして、カメラセンサ212により取得される走行路面の模様、形状に関する画像情報と、記憶されている路面の模様、形状に関する画像情報との一致度又は類似度が所定の閾値以上であると判断した場合、駐車支援ECU10は、登録経路を検知し、且つ、自車両が経路設定路を走行していると判断する。
【0063】
なお、詳細は後述するが、自車両が経路設定路を走行している場合であっても、自車両が登録経路に沿って走行してない場合がある。
【0064】
駐車支援ECU10は、自車両が経路設定路を走行していると判断した場合、第一表示処理を実行する。この第一表示処理では、駐車支援ECU10は、ディスプレイ72に、登録駐車スポットに駐車するための自動駐車制御を実行することを提案する提案画像が表示されるように、表示装置70を制御する。図4は、提案画像の一例を示す。図4に示すように、提案画像G10は、第一文字画像G11と、第二文字画像G12と、開始アイコンC11とを含む。第一文字画像G11は、登録経路を検知したことを表す。第二文字画像G12は、登録経路にそって自車両を走行させて、登録駐車スポットに自車両を駐車させるための自動駐車制御を提案することを表す。
【0065】
自車両の乗員は、自動駐車制御の実行を希望する場合に、開始アイコンC11をタップする。開始アイコンC11がタップされた場合、開始信号が表示ECU71から駐車支援ECU10に送信される。駐車支援ECU10は、開始信号を受信した場合に、自動駐車制御の実行を開始する。一方、自動駐車制御の実行を希望しない場合には、自車両の乗員は開始アイコンC11をタップしない。駐車支援ECU10は、提案画像G10がディスプレイ72に表示されてから、開始信号を受信することなく所定の時間(例えば5秒)が経過した場合に、提案画像G10がディスプレイ72から消去されるように表示装置70を制御する。この場合、自動駐車制御は実行されない。
【0066】
駐車支援ECU10は、自動駐車制御の実行を開始した場合、第二表示処理を実行する。第二表示処理では、駐車支援ECU10は、カメラセンサ212から取得した画像データを用いて周辺画像を生成する。周辺画像は、自車両の周囲の領域の少なくとも一部の範囲に対応する画像であり、カメラ視点画像及び仮想視点画像を含む。
【0067】
カメラ視点画像は、複数のカメラ装置のそれぞれのレンズの配設位置を視点とする画像である。仮想視点画像は、自車両の周囲の任意の位置に設定された仮想視点から自車両及び自車両の周囲を見た画像である。仮想視点画像の生成方法は、周知である(例えば、特開2012-217000号公報、特開2016-192772号公報及び特開2018-107754号公報等を参照)。
【0068】
また、駐車支援ECU10は、第二表示処理では、生成した周辺画像のうちの所定の周辺画像がディスプレイ72に表示されるように、表示装置70を制御する。図5は、第二表示処理の実行によってディスプレイ72に表示される周辺画像の一例を示す。図5に示すように、周辺画像G20は、第一視点画像G21と第二視点画像G22を含む。第一視点画像G21は、周辺画像G20の左側の領域に表示された画像であり、第二視点画像G22は、周辺画像G20の右側の領域に表示された画像である。
【0069】
第一視点画像G21は、前方カメラ装置212aにより撮影されたカメラ視点画像である。図5において、第一視点画像G21には、自車両が走行している経路設定路R、及び登録駐車スポットPSが示される。第二視点画像G22は、自車両の直上から自車両及び自車両の周辺領域を見た仮想視点画像である。
【0070】
また、駐車支援ECU10は、自動駐車制御の実行を開始した場合、自動走行処理を実行する。自動走行処理では、駐車支援ECU10は、前方カメラ装置212aにより撮影される自車両の前方の走行路面に関する情報に基づいて経路設定路を特定する。また、駐車支援ECU10は、自車両が経路設定路に沿って所定の低速度で自動走行するように、駆動装置30、制動装置40、及びステアリング装置50を制御する。
【0071】
ここで、登録経路は、その登録経路に沿って自車両が走行した際にカメラセンサ212により取得される路面の模様、形状に関する画像情報として記憶されている。また、記憶された路面の模様、形状に関する画像情報は、経路設定路の幅方向における位置によって異なる。従って、記憶されている路面の模様、形状に関する画像情報によって再現される経路と同じ経路を自車両が辿る場合、経路設定路における登録経路の幅方向位置と自車両が走行している走行経路の幅方向位置が一致しなければならない。
【0072】
しかしながら、自動走行処理の実行により自車両が経路設定路を走行している場合に、自車両の走行経路の幅方向位置が登録経路の幅方向位置と一致しているとは限らない。図6は、自動走行処理の実行により走行している自車両を示す図である。図6において、実線で示された経路が、経路設定路R内に設定される登録経路P0であり、破線で示された経路が自車両の現在の走行経路P1である。また、図6に示す区間Aが自動走行処理の実行によって自車両が走行する自動走行区間である。図6に示すように、自動走行区間では自車両(車両1000)は経路設定路Rを走行しているものの、登録経路P0に沿って走行していない。つまり、自動走行区間における自車両の走行経路P1の幅方向位置は登録経路P0の幅方向位置からずれている。また、登録経路P0は経路設定路Rに沿って設定されており、自動走行処理の実行により走行する自車両も経路設定路Rに沿って走行する。従って、駐車支援ECU10が自動走行処理を実行した場合、自車両が経路設定路R内で登録経路P0に平行に走行するように自車両が制御される。
【0073】
登録経路P0に対して幅方向にずれた経路を自車両が走行している状況では、自動駐車制御によって登録駐車スポットに自車両を駐車させることができない。そこで、駐車支援ECU10は、所定のタイミングで自動走行処理の実行を終了するとともに合流処理の実行を開始する。この合流処理では、駐車支援ECU10は、経路設定路における自車両の走行経路の幅方向位置が登録経路の幅方向位置に一致するように自車両を制御する。すなわち、合流処理では、自車両の走行経路P1が登録経路P0に合流するように自車両が制御される。この場合、例えば駐車支援ECU10は、カメラセンサ212から取得した路面の模様、形状に関する画像情報と、登録経路を特定するために記憶されている路面の模様、形状に関する画像情報とを比較し、両者を一致させるための自車両の操舵方向を推定する。駐車支援ECU10は、推定した操舵方向に自車両が操舵されるようにステアリング装置50を制御する。そして、カメラセンサ212により取得される路面の模様、形状に関する画像情報と、記憶されている路面の模様、形状に関する画像情報がほぼ一致した場合に、駐車支援ECU10は、自車両の走行経路が登録経路に一致したと判断する。すなわち合流処理が完了したと判断する。
【0074】
図7は、合流処理の実行により走行している自車両を示す図である。図7に示すように、合流処理の開始から合流処理が完了するまでに自車両(車両1000)が走行する区間Bが合流区間である。この合流区間では、駐車支援ECU10は、自車両の走行経路P1が登録経路P0に一致するようにステアリング装置50が制御される。この場合、ステアリングホイール53aが自動的に大きく回転する場合がある。例えば、合流区間Bでは、ステアリングホイール53aが、中立位置から90°以上回転する場合もある。
【0075】
合流処理の開始タイミングは、様々な条件に基づいて設定することができる。例えば、自動走行処理にて自車両の車速が所定の低速度(例えば10km/h)に一致するまで自車両を減速走行させ、自車両の車速が所定の低速度に一致したタイミングで合流処理を開始することができる。また、例えば、自動走行処理の実行開始から所定時間経過したタイミングで合流処理を開始することができる。
【0076】
合流処理が完了した場合、駐車支援ECU10は合流処理を終了するとともに、経路走行処理を実行する。経路走行処理では、駐車支援ECU10は、自車両が登録経路に沿って自動走行するように、自車両を制御する。この場合、駐車支援ECU10は、カメラセンサ212から取得した路面の模様、形状に関する画像情報と、登録経路を特定するために記憶された路面の模様、形状に関する画像情報、及び、記憶されている画像情報に対応して記憶されている自車両の走行状態とに基づいて、自車両の駆動装置30、制動装置40、ステアリング装置50を制御する。これにより自車両が登録経路に沿って自動走行する。図8は、経路走行処理を実行中の自車両を示す図である。図8に示すように、経路走行処理の実行により自車両が走行する区間Cが、経路走行区間である。経路走行処理によって、自車両は登録経路P0に沿って走行する。
【0077】
経路走行処理の実行によって自車両が登録駐車スポットの近傍に到達した場合に、駐車支援ECU10は停車処理を実行する。停車処理では、駐車支援ECU10は、登録経路上の位置であって登録駐車スポットの周辺の所定位置に自車両が停車するように、自車両の駆動装置30、制動装置40、ステアリング装置50を制御する。これにより、自車両が登録駐車スポットの周辺の所定位置に停車する。図9は、停車処理の実行により登録駐車スポットPSの周辺の所定位置に停車した自車両を示す図である。図9に示すように、本実施形態では、自車両は、登録駐車スポットPSの間口(入口)に自車両の左側面が正対するように、登録駐車スポットPSの周辺位置に停車する。停車処理により自車両が停車する位置は、任意に設定することができる。例えば、駐車支援ECU10は、停車処理の実行により、登録駐車スポットに自車両を駐車させるために自車両の姿勢を大きく変更する直前の位置に自車両を停車させることができる。
【0078】
停車処理の実行によって自車両が登録駐車スポットの周辺の所定位置に停車した場合、駐車支援ECU10は、自車両の運転者に対して自車両のブレーキペダル44を踏むことを指示するための画像がディスプレイ72に表示されるように表示装置70を制御する。自車両の運転者は、ディスプレイ72の指示に従って自車両のブレーキペダル44を踏み、周囲の安全確認を実施した後に、ブレーキペダル44を離す。駐車支援ECU10は、ブレーキペダル44が離されたことを検知した場合に、駐車処理の実行を開始する。
【0079】
駐車処理では、駐車支援ECU10は、停車位置から登録経路に沿って自車両が移動するように、自車両を制御する。これにより、登録駐車スポットに駐車するための駐車動作を実行するように自車両が制御される。なお、登録経路は駐車処理によって自車両が登録駐車スポットに駐車されるまでの経路を含む。従って、駐車処理の実行によって自車両が登録経路に沿って移動するように制御されることによって、登録駐車スポットへの自車両の駐車が完了する。つまり、駐車処理は経路走行処理の一部ともいえる。
【0080】
駐車処理の実行中、駐車支援ECU10は、登録駐車スポット近辺の登録経路を特定するために記憶されている路面の模様、形状に関する画像情報と、カメラセンサ212から取得した路面の模様、形状に関する画像情報とを比較しながら、自車両が登録経路を走行するように自車両を制御する。ここで、自車両の駐車動作を制御するにあたり、登録駐車スポット近辺の登録経路を特定するために記憶されている画像情報に紐づけて記憶した自車両の走行状態(ステアリング回転角、車速、自車両の位置、シフト位置)が参照される。これにより、登録駐車スポットに自車両を駐車させるための自車両の移動操作が、駐車支援装置1によって支援される。本実施形態では、駐車処理の実行により、自車両は、停車位置から所定の切り返し位置まで前進し、切り返し位置で一旦停止する。その後、自車両は切り返し位置から登録駐車スポット内の所定位置まで後退する。図10は、切り返し位置で一旦停止した自車両を示す。また、図10において、区間Dにより示される区間が、駐車処理の実行により自車両が移動する駐車処理区間である。
【0081】
駐車処理の実行によって自車両の位置が登録駐車スポット内の所定位置に到達した場合、駐車支援ECU10は駐車処理を終了する。図11は、駐車処理の実行が終了した時点における自車両を示す図である。図11に示すように、駐車処理の実行が終了した場合、自車両は登録駐車スポットの所定位置に駐車される。
【0082】
駐車支援ECU10は、駐車処理の実行を終了した場合、終了処理を実行する。終了処理では、駐車支援ECU10は、自車両のシフト位置が駐車位置になるようにSBWアクチュエータ63を作動させる。これにより自車両がパーキングロックされる。また、終了処理では、駐車支援ECU10は、自車両の駐車が完了した旨がディスプレイ72に表示されるように、或いは自車両の駐車が完了した旨の音声ガイダンスが発話装置から発生されるように、表示装置70又は発話装置を制御する。駐車支援ECU10は、終了処理の実行後、自動駐車制御を終了する。
【0083】
また、駐車支援ECU10は、自動駐車制御の実行中に、所定の終了条件が成立した場合、自動駐車制御を中断又は中止する。所定の終了条件として、例えば運転者により自車両のアクセルペダル又はブレーキペダル44が操作されるという条件を例示することができる。また、所定の終了条件として、例えば運転者により自車両のステアリングホイール53aが操作されて、操舵トルクセンサ25が所定の閾値トルクよりも大きい操舵トルクTを検出したという条件を例示することができる。
【0084】
図12は、上記した自動駐車制御を実行するために、駐車支援ECU10が実行する車両制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示される車両制御ルーチンは、自車両が始動した場合に起動し、所定の短時間ごとに繰り返し実行される。車両制御ルーチンが起動すると、駐車支援ECU10は、ステップ(以下、ステップをSと略記する)100からこのルーチンの実行を開始し、S102に処理を進める。
【0085】
S102では、駐車支援ECU10は、自車両の現在の車速Vが所定の閾値車速Vth未満であるか否かを判断する。閾値車速Vthは、例えば15km/hに設定することができる。
【0086】
自車両の現在の車速Vが閾値車速Vth以上であると判断した場合(S102:No)、駐車支援ECU10はS136に処理を進めてこのルーチンの実行を一旦終了する。一方、自車両の現在の車速Vが閾値車速Vth未満であると判断した場合(S102:Yes)、駐車支援ECU10はS104に処理を進める。
【0087】
S104では、駐車支援ECU10は、GPS受信機82が取得したGPS信号に基づいて、自車両の現在位置が登録駐車スポット及び登録経路の近傍位置であるか否かを判断する。この場合、例えば駐車支援ECU10は、GPS受信機82が取得するGPS信号に基づいて演算される自車両の現在位置から所定の半径(例えば50m)の円内に登録駐車スポットの位置が含まれるか否かを判断する。
【0088】
自車両の現在位置が登録経路又は登録駐車スポットの近傍位置ではないと判断した場合(S104:No)、駐車支援ECU10はS136に処理を進めてこのルーチンの実行を一旦終了する。一方、自車両の現在位置が登録経路の近傍位置であると判断した場合、駐車支援ECU10はS106に処理を進める。
【0089】
S106では、駐車支援ECU10は、自車両が経路設定路を走行しているか否かを判断する。自車両が経路設定路を走行していないと判断した場合(S106:No)、駐車支援ECU10はS136に処理を進めてこのルーチンの実行を一旦終了する。一方、自車両が経路設定路を走行していると判断した場合(S106:Yes)、駐車支援ECU10はS108に処理を進める。
【0090】
S108では、駐車支援ECU10は、第一表示処理を実行する。これにより、ディスプレイ72に図4に示すような提案画像G10が表示される。次いで、駐車支援ECU10はS110に処理を進める。
【0091】
S110では、駐車支援ECU10は、開始信号を受信したか否かを判断する。開始信号を受信していないと判断した場合(S110:No)、駐車支援ECU10は、S114に処理を進めて、第一表示処理の実行を開始してから所定時間(例えば5秒間)が経過したか否かを判断する。所定時間が経過していないと判断した場合(S114:No)、駐車支援ECU10はS110の処理を繰り返す。一方、所定時間が経過したと判断した場合(S114:Yes)、駐車支援ECU10は第一表示処理の実行を終了し、S136に処理を進めてこのルーチンの実行を一旦終了する。
【0092】
また、S110にて開始信号を受信したと判断した場合(S110:Yes)、駐車支援ECU10は、自動駐車制御の実行を開始する。駐車支援ECU10は、自動駐車制御を開始した場合、S112に処理を進める。S112では、駐車支援ECU10は、第二表示処理を実行する。これにより、ディスプレイ72に図5に示すような周辺画像G20が表示される。次いで、駐車支援ECU10はS116に処理を進める。S116では、駐車支援ECU10は、自動走行処理の実行を開始する。これにより、図6に示すように、自車両が経路設定路Rに沿って登録経路P0の近傍を平行に走行するように、自車両の駆動装置30、制動装置40、ステアリング装置50が制御される。
【0093】
S116にて自動走行処理の実行を開始した後に、駐車支援ECU10はS118に処理を進めて、現時点が合流処理を開始するタイミング(合流タイミング)であるか否かを判断する。合流タイミングを設定するにあたり、例えば、自動走行処理により自車両が減速制御される場合には、自車両の車速が合流処理を開始する際の車速(例えば10km/h)として予め定められる車速まで低下した時点を合流タイミングに設定することができる。また、自動走行処理の実行の開始から所定時間が経過した時点を合流タイミングに設定することができる。
【0094】
S118にて現時点が合流タイミングではないと判断した場合(S118:No)、駐車支援ECU10はS118の判断を繰り返す。一方、S118にて現時点が合流タイミングであると判断した場合(S118:Yes)、駐車支援ECU10はS120に処理を進める。
【0095】
S120では、駐車支援ECU10は合流処理を実行する。これにより、自車両の走行経路が登録経路に一致するように、ステアリング装置50が制御される。また、S120にて、駐車支援ECU10は、自車両の走行経路が登録経路に一致したか否かを判断する。自車両の走行経路が登録経路に一致していないと判断した場合には、駐車支援ECU10は合流処理の実行を継続する。一方、自車両の走行経路が登録経路に一致していると判断した場合、駐車支援ECU10は合流処理を終了してS122に処理を進める。
【0096】
S122では、駐車支援ECU10は、経路走行処理を実行する。これにより、自車両が登録経路に沿って走行するように、駆動装置30、制動装置40、ステアリング装置50が制御される。また、S122にて、駐車支援ECU10は、GPS受信機82が取得したGPS信号から演算される自車両の位置及び登録駐車スポットの位置情報に基づいて、自車両が登録駐車スポットの近傍位置に到達したか否かを判断する。自車両が登録駐車スポットの近傍位置に到達していないと判断した場合、駐車支援ECU10は経路走行処理の実行を継続する。一方、自車両が登録駐車スポットの近傍位置に到達したと判断した場合、駐車支援ECU10はS124に処理を進める。
【0097】
S124では、駐車支援ECU10は、停車処理を実行する。これにより、自車両が登録経路上の位置であって登録駐車スポットの周辺の所定位置に自車両が停車するように、自車両の駆動装置30、制動装置40、ステアリング装置50が制御される。また、S124にて、駐車支援ECU10は、カメラセンサ212により取得される路面の模様、形状に関する画像情報と、登録駐車スポット近辺の登録経路を特定するために記憶されている路面の模様、形状に関する画像情報とを比較して、自車両が登録駐車スポットの周辺の所定位置に停車したか否かを判断する。自車両が登録駐車スポットの周辺の所定位置に停車していないと判断した場合、駐車支援ECU10は停車処理の実行を継続する。一方、自車両が登録駐車スポットの周辺の所定位置に停車したと判断した場合、駐車支援ECU10は停車処理の実行を終了してS126に処理を進める。
【0098】
S126では、駐車支援ECU10は、安全確認処理を実行する。この安全確認処理では、駐車支援ECU10は、自車両の運転者が自車両のブレーキペダル44を踏み、周囲の安全を確認することを促すための画像がディスプレイ72に表示されるように、表示装置70を制御する。また、S126にて、駐車支援ECU10は、ブレーキペダルセンサ27が取得する情報に基づいて、ブレーキペダル44が踏まれたか否かを判断する。ブレーキペダル44が踏まれていないと判断した場合、駐車支援ECU10は安全確認処理の実行を継続する。一方、ブレーキペダル44が踏まれたと判断した場合、駐車支援ECU10は安全確認処理の実行を終了してS128に処理を進める。
【0099】
S128では、駐車支援ECU10は、ブレーキペダルセンサ27が取得する情報に基づいて、ブレーキペダル44が離されたか否かを判断する。ブレーキペダル44が離されていないと判断した場合、駐車支援ECU10はS128の処理を繰り返す。一方、ブレーキペダル44が離されたと判断した場合、駐車支援ECU10はS130に処理を進める。なお、S128の処理を行う前に、駐車支援ECU10は、ブレーキペダルを離すと駐車処理を開始することを示す画像がディスプレイ72に表示されるように、表示装置70を制御することができる。
【0100】
S130では、駐車支援ECU10は、駐車処理の実行を開始する。これにより、自車両を駐車スポットに駐車させるための駐車動作が開始する。次いで、駐車支援ECU10はS132に処理を進める。
【0101】
S132では、駐車支援ECU10は、カメラセンサ212が取得する情報と、登録駐車スポットを特定するための情報とを比較することにより、自車両が登録駐車スポット内の所定の目標駐車位置に到達したか否かを判断する。自車両が所定の目標駐車位置に到達していない場合(S132:No)、駐車支援ECU10はS132の判断を繰り返す。一方、自車両が所定の目標駐車位置に到達したと判断した場合(S132:Yes)、駐車支援ECU10はS134に処理を進める。
【0102】
S134では、駐車支援ECU10は、終了処理を実行する。この終了処理の実行により自車両の駐車が完了した旨の通知がなされる。その後、駐車支援ECU10は、自動駐車制御を終了するとともに、S136に処理を進めてこのルーチンを終了する。
【0103】
上記のように、自動駐車制御は、図12のS112~S134の処理を駐車支援ECU10が実行することによって行われる。このような自動駐車制御は、自車両を登録経路に沿って登録駐車スポットまで誘導した上で自車両を登録駐車スポットに駐車させる制御であり、単に自車両を駐車スポットに駐車させるだけの制御と比較して自車両が制御により移動する距離が長い。このため自動駐車制御の実行中に不測の事態が生じる可能性が高まる。よって、実際に不測の事態が生じた場合に運転者が迅速に対処することができるように、駐車支援ECU10は運転者の状態を監視し、必要に応じて所定の警告を運転者に対して報知する必要がある。
【0104】
例えば、自動駐車制御の実行中、自車両の前方に不意に現れる障害物等と自車両との衝突を回避するための運転操作である緊急回避操作を運転者が行うことができるように、自車両の運転者はステアリングホイール53aを把持した状態で前方を注視していなければならない。よって、駐車支援ECU10は、自動駐車制御の実行中に運転者を監視し、運転者の状態が不安全状態と認められる場合に運転者に対して所定の警告情報を報知するための警告制御を実行する。ここで、不安全状態とは、緊急回避操作を速やかに行うことを阻害するような運転者の状態である。例えば、運転者がステアリングホイール53aを把持していない状態、運転者が閉眼している状態、運転者が脇見をしている状態、運転者が姿勢を崩している状態は、緊急回避操作を速やかに行うことを阻害する状態である。よって、これらの状態は不安全状態である。
【0105】
本実施形態では、駐車支援ECU10は、自動駐車制御の実行中に、グリップセンサ24により検出される情報に基づいてステアリングホイール53aが把持されているか否かを判定する。駐車支援ECU10は、ステアリングホイール53aが把持されていないと判断した場合、第一警告制御を実行する。第一警告制御では、駐車支援ECU10は、ステアリングホイール53aを把持することを促す情報を報知する。例えば、駐車支援ECU10は、ステアリングホイール53aを把持することを促す第一警告画像がディスプレイ72に表示されるように表示装置70を制御する。図13は、第一警告画像の一例を示す。図13に示されるように、第一警告画像G30は、運転者がステアリングホイールを把持している状態を表す画像である。
【0106】
自車両の運転者は、第一警告画像G30がディスプレイ72に表示されることにより、ステアリングホイール53aを把持する。また、駐車支援ECU10は、第一警告画像G30がディスプレイ72に表示されているときにグリップセンサ24が検出する情報に基づいてステアリングホイール53aが把持されたことを検知した場合に、ディスプレイ72に第一警告画像G30が表示されないように表示装置70を制御する。
【0107】
また、駐車支援ECU10は、自動駐車制御の実行中に、ドライバモニタセンサ23により検出された情報に基づいて、運転者の不安全状態を検知する。例えば、駐車支援ECU10は、ドライバモニタセンサ23により検出された情報に基づいて、運転者の閉眼、脇見、姿勢崩れを検知する。駐車支援ECU10は、運転者の不安全状態を検知した場合、第二警告制御を実行する。第二警告制御では、駐車支援ECU10は、不安全状態を検知したこと表す第二警告画像がディスプレイ72に表示されるれるように表示装置70を制御する。図14は、第二警告画像の一例を示す。図14には、閉眼を検知したことを示す文字画像G41、脇見を検知したことを示す文字画像G42、姿勢崩れを検知したことを示す文字画像G43が示される。駐車支援ECU10が運転者の閉眼を検知した場合にはディスプレイ72に文字画像G41が表示され、駐車支援ECU10が運転者の脇見を検知した場合にはディスプレイ72に文字画像G42が表示され、駐車支援ECU10が運転者の姿勢崩れを検知した場合にはディスプレイ72に文字画像G43が表示される。なお、駐車支援ECU10が複数の不安全状態を検知した場合、それぞれの不安全状態を検知したことを表す文字画像がディスプレイ72に表示される。
【0108】
自車両の運転者は、ディスプレイ72に不安全状態を検知したことを表す文字画像が表示されることにより、表示されている不安全状態を解消する。これにより、自動駐車制御の実行中における安全性を高めることができる。また、駐車支援ECU10は、自動駐車制御の実行中に、ドライバモニタセンサ23が取得する情報に基づいて不安全状態が検知されないと判断した場合に、不安全状態を検知したことを表す文字画像がディスプレイ72に表示されないように表示装置70を制御する。
【0109】
このように、本実施形態に係る駐車支援ECU10は、自動駐車制御の実行中に、自車両の運転者の状態が、自車両のステアリングホイール53aを把持していない状態を含む不安全状態と認められる場合に表示装置70のディスプレイ72が所定の警告情報(第一警告画像G30、第二警告画像(G41、G42、G43)を表示するように表示装置70を制御する警告制御(第一警告制御、第二警告制御)を実行可能に構成される。
【0110】
ところで、自動駐車制御の実行中には、自車両のステアリングホイール53aが自動的に大きく回転する場合がある。例えば、図7に示すように駐車支援ECU10が合流処理を実行し、自車両が合流区間を走行している場合には、ステアリングホイール53aが自動的に大きく回転する。また、図10に示すように駐車処理の実行中、自車両を登録駐車スポットに駐車させるために自車両の姿勢を変更する際に、ステアリングホイール53aが自動的に大きく回転する場合がある。ステアリングホイール53aが大きく回転する場合には、周囲の安全確認を図る必要性が高い。運転者が周囲の安全確認を行う場合、運転者は前方を注視することができず、また、運転姿勢が崩れる場合もある。従って、そのような状況下で第二警告制御が実行されてもその警告に従うことができず、また従った場合には周囲の安全確認を行うことができない。よって、そのような状況では、警告制御による警告情報の報知が制限されるのが望ましい。
【0111】
また、ステアリングホイール53aが大きく回転する場合に第一警告制御が実行された場合、回転しているステアリングホイール53aを把持することになるため、運転者はステアリングホイール53aの回転を阻害する程度に強くステアリングホイール53aを把持する虞がある。この場合、ステアリングホイール53aに作用する操舵トルクTが閾値トルクを超える場合があり、そのような場合には終了処理が実行されて自動駐車制御が中断又は中止する。つまり、ステアリングホイール53aが大きく回転するときに第一警告制御が実施された場合には、駐車支援ECU10による自動駐車制御の実行に支障をきたす虞がある。よって、そのような状況では、警告制御による警告情報の報知が制限されるのが望ましい。
【0112】
このように、ステアリングホイール53aが大きく回転する区間を自車両が走行しているときには、所定の警告は制限されることが望ましい。ここで、駐車スポットに至るまでの経路が登録されている場合には、自車両が走行する区間のうちステアリングホイール53aが大きく回転する区間を事前に把握することができる。この点に着目し、本実施形態に係る駐車支援ECU10は、自動駐車制御が開始された場合に特定区間設定処理を実行してステアリングホイール53aが大きく回転する区間を特定区間として設定する。また、駐車支援ECU10は、設定した特定区間を自車両が走行中であるときに、警告情報の報知を制限するための警告制限制御を実行する。本実施形態では、後述するように駐車支援ECU10は、警告制限制御として第一警告制限制御及び第二警告制限制御を実行する。
【0113】
図15は、駐車支援ECU10の機能ブロック図である。図15に示すように、駐車支援ECU10は、機能ブロックとして、自動駐車制御部101と、特定区間設定部102と、フラグ設定部103と、第一警告部104と、第二警告部105とを有する。自動駐車制御部101は、上述した自動駐車制御を実行する。
【0114】
特定区間設定部102は、自動駐車制御部101から自動駐車制御が開始されたか否かについての情報を入力する。また、特定区間設定部102は、自動駐車制御の実行が開始された場合に、特定区間を設定する。本実施形態では、特定区間は、自動駐車制御の実行の開始から登録駐車スポットに至るまでに自車両が走行する経路のうち、自車両のステアリングホイール53aが大きく回転する区間として設定される。
【0115】
特定区間設定部102は、特定区間を設定するにあたり、例えば、自動駐車制御の実行開始位置から登録駐車スポットに至るまでに自車両が走行する経路を、図6乃至図11に示すように自動走行処理が実行される自動走行区間(区間A)、合流処理が実行される合流区間(区間B)、経路走行処理が実行される経路走行区間(区間C)、駐車処理が実行される駐車処理区間(区間D)、に区分する。ここで、合流区間は、自車両の走行経路を登録経路に合流させるためにステアリングホイール53aが大きく回転する区間を含む。また、駐車処理区間は、自車両を登録駐車スポットに駐車させるために自車両の姿勢を変化させる動作を実行する際にステアリングホイール53aが大きく回転する区間を含む。従って、特定区間設定部102は、区分した各区間のうち合流区間及び駐車処理区間を特定区間に設定することができる。
【0116】
また、特定区間設定部102は、特定区間を設定するにあたり、例えば、自動駐車制御の実行開始位置から登録駐車スポットに至るまでに自車両が走行する区間のうち、所定の単位時間当たりにおけるステアリング回転角の変化量が所定の閾値変化量以上である区間を特定区間に設定することができる。この場合、特定区間設定部102は、登録経路を特定するために連続的に記憶されている路面の模様、形状に関する画像情報及び、その画像情報に対応して連続的に記憶されているステアリング回転角に関する情報に基づいて、登録経路上の各画像情報に対応する位置におけるステアリング回転角の変化量を演算する。そして、登録経路のうち演算したステアリング回転角の変化量が所定の閾値変化量以上である区間を抽出し、抽出した区間を特定区間を設定することができる。また、閾値変化量として、例えば180[degree/sec.]以上の角度変化量を例示することができる。
【0117】
さらに、特定区間設定部102は、特定区間を設定するにあたり、例えば、自動駐車制御の実行開始位置から登録駐車スポットに至るまでに自車両が走行する区間のうち、ステアリング回転角が所定の閾値角度以上である区間を特定区間に設定することができる。この場合、特定区間設定部102は、登録経路を特定するために連続的に記憶されている路面の模様、形状に関する画像情報及びその画像情報に対応して連続的に記憶されているステアリング回転角に基づいて、ステアリング回転角が所定の閾値角度以上である区間を抽出し、抽出した区間を特定区間に設定することができる。また、閾値角度として、例えば180[degree]以上の角度を例示することができる。
【0118】
さらに、特定区間設定部102は、特定区間を設定するにあたり、例えば、自動駐車制御の実行開始位置から登録駐車スポットに至るまでに自車両が走行する区間のうち、半径が閾値半径以下のカーブ区間を特定区間に設定することができる。この場合、特定区間設定部102は、登録経路を特定するために連続的に記憶されている路面の模様、形状に関する画像情報及びその画像情報に対応して連続的に記憶されているステアリング回転角に基づいて、登録経路のうち半径が閾値半径以上の区間を抽出し、抽出した区間を特定区間に設定することができる。また、閾値半径として、例えば18[m]以下の半径を例示することができる。
【0119】
フラグ設定部103は、特定区間設定部102から特定区間に関する情報を入力する。また、フラグ設定部103は、自車両が特定区間を走行しているか否かに基づいて、警告制限フラグを設定する。図16は、フラグ設定部103が警告制限フラグを設定するために実行するフラグ設定ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、自動駐車制御が開始された場合に起動し、所定の短時間ごとに繰り返し実行される。このルーチンが起動すると、フラグ設定部103は図16のS200からこのルーチンを開始し、S202に処理を進める。S202では、フラグ設定部103は、特定区間設定部102から特定区間に関する情報を入力する。次いで、フラグ設定部103は、S204に処理を進めて、自車両が特定区間を走行しているか否かを判断する。自車両が特定区間を走行中であるか否かは、様々な方法により判断することができる。例えば、特定区間が合流区間及び駐車処理区間である場合、自動駐車制御部101が合流処理又は駐車処理を実行しているか否かに基づいて、自車両が特定区間を走行中であるか否かを判断することができる。また、例えば特定区間が、単位時間当たりにおけるステアリング回転角の変化量又はステアリング回転角が所定の閾値以上である区間、或いは、半径が所定の閾値半径以下のカーブ区間である場合、カメラセンサ212が取得する路面の模様、形状に関する画像情報と、登録経路のうち特定区間に設定された区間を特定するために記憶されている路面の模様、形状に関する画像情報とを比較することにより、自車両が特定区間を走行中であるか否かを判断することができる。
【0120】
自車両が特定区間を走行していると判断した場合(S204:Yes)、フラグ設定部103はS206に処理を進めて、警告制限フラグFを1に設定する。その後、フラグ設定部103はS210に処理を進める。一方、自車両が特定区間を走行していないと判断した場合(S204:No)、フラグ設定部103はS208に処理を進めて、警告制限フラグFを0に設定する。その後、フラグ設定部はS210に処理を進める。
【0121】
S210では、フラグ設定部103は設定した警告制限フラグFを第一警告部104及び第二警告部105に送信する。その後、フラグ設定部103はS212に処理を進めてこのルーチンの実行を一旦終了する。フラグ設定部103が上記したフラグ設定処理を実行することにより、自車両が特定区間を走行中である場合に警告制限フラグFが1に設定され、自車両が特定区間以外の区間を走行中である場合に警告制限フラグFが0に設定される。
【0122】
第一警告部104は、フラグ設定部103から警告制限フラグFを入力する。また、第一警告部104は、第一警告ルーチンを実行することにより第一警告制御及び第一警告制限制御を実行する。図17は、第一警告ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、自動駐車制御の実行が開始された場合に起動し、所定の短時間ごとに繰り返し実行される。このルーチンが起動すると、第一警告部104は、図17のS300からこのルーチンを開始して、S302に処理を進める。
【0123】
S302では、第一警告部104は、グリップセンサ24が検出したグリップ情報を入力する。次いで、第一警告部104はS304に処理を進めて、入力したグリップ情報に基づいて、ステアリングホイール53aが把持されているか否かを判断する。
【0124】
ステアリングホイール53aが把持されていると判断した場合(S304:Yes)、第一警告部104はS308に処理を進める。S308では、第一警告部104は、図13に示す第一警告画像G30がディスプレイ72に表示されないように表示装置70を制御する。その後、第一警告部104はS312に処理を進めてこのルーチンを一旦終了する。
【0125】
また、S304にてステアリングホイール53aが把持されていないと判断した場合(S304:No)、第一警告部104はS306に処理を進める。S306では、第一警告部104は、警告制限フラグFが1に設定されているか否かを判断する。警告制限フラグFが1に設定されていないと判断した場合(S306:No)、すなわち自車両が特定区間以外の区間を走行している場合、第一警告部104はS310に処理を進める。
【0126】
S310では、第一警告部104は、第一警告画像G30がディスプレイ72に表示されるように表示装置70を制御する。なお、第一警告画像G30がディスプレイ72に既に表示されている場合は、その表示状態を維持する。S310の処理が、第一警告制御である。その後、第一警告部104はS312に処理を進めてこのルーチンを一旦終了する。
【0127】
また、S306にて警告制限フラグFが1に設定されていると判断した場合(S306:Yes)、すなわち自車両が特定区間を走行している場合、第一警告部104はS308に処理を進めて、第一警告画像G30がディスプレイ72に表示されないように表示装置70を制御する。S306の判断がYesである場合に実行するS308の処理が、第一警告制限制御である。その後、第一警告部104はS312に処理を進めてこのルーチンを一旦終了する。
【0128】
第一警告部104が上記した第一警告処理を実行することにより、自動駐車制御の実行中であって、自車両が特定区間以外の区間を走行中に運転者がステアリングホイール53aを把持していない場合に、第一警告制御が実行される。これにより第一警告画像G30がディスプレイ72に表示される。運転者は第一警告画像G30がディスプレイ72に表示されたことを受けてステアリングホイール53aを把持する。これにより、運転者の不安全状態が解消される。また、自動駐車制御の実行中であって、自車両が特定区間を走行中に運転者がステアリングホイール53aを把持していない場合には、第一警告制限制御が実行されて、第一警告画像G30がディスプレイ72に表示されない。すなわち警告情報が報知されない。このため、ステアリングホイール53aが回転しているときに第一警告画像G30が表示されることによって運転者がステアリングホイール53aを強く把持することが抑制される。よって、回転しているステアリングホイール53aを運転者が強く把持することにより自動駐車制御が中断又は中止されることを効果的に防止することができる。
【0129】
第二警告部105は、フラグ設定部103から警告制限フラグFを入力する。また、第二警告部105は、第二警告ルーチンを実行することにより第二警告制御及び第二警告制限制御を実行する。図18は、第二警告部105が実行する第二警告ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、自動駐車制御の実行が開始された場合に起動し、所定の短時間ごとに繰り返し実行される。このルーチンが起動すると、第二警告部105は、図18のS400からこのルーチンを開始して、S402に処理を進める。
【0130】
S402では、第二警告部105は、ドライバモニタセンサ23から運転者の画像情報を入力する。次いで、第二警告部105はS404に処理を進める。S404では、第二警告部105は、入力した運転者の画像情報に基づいて、運転者の不安全状態を検知する。この例では、第二警告部105は、S404にて、運転者の閉眼、脇見、姿勢崩れを検知する。
【0131】
次いで、第二警告部105はS406に処理を進める。S406では、第二警告部105は、S404にて検知した運転者の不安全状態に基づいて、検知モードを設定する。図19は、S406にて設定される検知モード及び各検知モードの内容を示す図である。図19に示すように、運転者の閉眼、脇見、姿勢崩れのいずれも検知されていない場合、検知モードはモード0に設定される。運転者の閉眼のみが検知された場合、検知モードはモード1に設定され、運転者の脇見のみが検知された場合、検知モードはモード2に設定され、運転者の姿勢崩れのみが検知された場合、検知モードはモード3に設定される。また、運転者の閉眼及び姿勢崩れが検知された場合、検知モードはモード4に設定され、運転者の脇見及び姿勢崩れが検知された場合、検知モードはモード5に設定される。なお、運転者の閉眼と脇見は同時に検知されない。
【0132】
検知モードを設定した後に、第二警告部105はS408に処理を進める。S408では、第二警告部105は、設定した検知モードがモード0であるか否かを判断する。検知モードがモード0であると判断した場合(S408:Yes)、第二警告部105はS414に処理を進める。S414では、第二警告部105は、不安全状態を検知したことを表す画像、すなわち第二警告画像がディスプレイ72に表示されないように表示装置70を制御する。その後、第二警告部105はS420に処理を進めてこのルーチンを一旦終了する。
【0133】
また、S408にて検知モードがモード0ではないと判断した場合(S408:No)、第二警告部105はS410に処理を進める。S410では、第二警告部105は、警告制限フラグFが1に設定されているか否かを判断する。警告制限フラグFが1に設定されていないと判断した場合(S410:No)、すなわち自車両が特定区間以外の区間を走行中である場合、第二警告部105はS418に処理を進める。S418では、第二警告部105は検知モードに応じた検知画像がディスプレイ72に表示されるように表示装置70を制御する。例えば、検知モードがモード2である場合、脇見検知を表す文字画像G42がディスプレイ72に表示され、検知モードがモード3である場合、姿勢崩れ検知を表す文字画像G43がディスプレイ72に表示され、検知モードがモード5である場合、脇見検知を表す文字画像G42及び姿勢崩れ検知を表す文字画像G43がディスプレイ72に表示される。なお、S418の処理を実行する際にすでに表示すべき第二警告画像がディスプレイ72に表示されている場合には、その表示状態が維持される。S418の処理が第二警告制御である。その後、第二警告部105はS420に処理を進めてこのルーチンを一旦終了する。
【0134】
またS410にて警告制限フラグFが1に設定されていると判断した場合(S410:Yes)、すなわち自車両が特定区間を走行中である場合、第二警告部105はS412に処理を進める。S412では、第二警告部105は、検知モードがモード1または4に設定されているか、すなわち検知モードが閉眼検知を含むモードに設定されているか否かを判断する。検知モードがモード1または4に設定されていると判断した場合(S412:Yes)、すなわち検知モードが閉眼検知を含むモードである場合、第二警告部105はS416に処理を進める。S416では、第二警告部105は、第二警告画像のうち閉眼を検知したことを表す文字画像G41のみがディスプレイ72に表示されるように表示装置70を制御する。また、ディスプレイ72に既に文字画像G41のみが表示されている場合には、その表示状態を維持する。その後、第二警告部105はS420に処理を進めてこのルーチンを一旦終了する。
【0135】
一方、S412にて検知モードがモード1又は4ではないと判断した場合、すなわち検知モードが閉眼検知を含まず且つ少なくとも脇見検知又は姿勢崩れ検知を含むモードである場合、第二警告部105はS414に処理を進めて第二警告画像がディスプレイ72に表示されないように表示装置70を制御する。その後、第二警告部105はS420に処理を進めてこのルーチンを一旦終了する。
【0136】
このように、自車両が特定区間を走行している場合には、閉眼検知された場合にのみディスプレイ72に閉眼を検知したことを表す文字画像G41が表示される。また、自車両が特定区間を走行しているときに閉眼検知以外の不安全状態が検知された場合には、ディスプレイ72には第二警告画像が表示されない。つまり、自車両が特定区間を走行している場合には、ディスプレイ72に表示される警告情報は閉眼検知を表す警告情報のみに制限される。S410の判断がYesである場合に実行されるS416及びS414の処理が、第二警告制限制御である。
【0137】
なお、自車両が特定区間を走行中に閉眼が検知された場合(S412:Yes)に閉眼検知を表す文字画像G41をディスプレイ72に表示させる理由は、表示させることにより起こりうる不具合が存在しないからである。一方、自車両が特定区間を走行中に閉眼以外の不安全状態が検知された場合にその不安全状態に対応する第二警告画像をディスプレイ72に表示させない理由は、表示させることにより、例えば表示に従うと周囲の安全確認を行うことができないといった不具合や、運転者に不快感を与える等の不具合が起こり得るからである。
【0138】
このように、本実施形態に係る駐車支援装置1は、所定の駐車スポットに自車両が駐車するように自車両を制御する駐車支援ECU10と、所定の情報を報知する報知装置としての表示装置70と、を有する。そして、駐車支援ECU10は、駐車スポットに至るまでの経路に沿って自車両が走行し、駐車スポットに自車両が駐車するように、自車両を制御する自動駐車制御と、自動駐車制御の実行中に、自車両の運転者の状態が不安全状態と認められる場合(S304:No、S408:No)に、ディスプレイ72に警告情報(第一警告画像G30又は第二警告画像)が表示されるように表示装置70を制御する警告制御(S310、S418)と、自動駐車制御の実行中に所定の特定区間を自車両が走行している場合(S306:Yes、S410:Yes)に、ディスプレイ72への警告情報の表示を制限する警告制限制御(S308、S414、S416)と、を実行可能に構成される。
【0139】
また、本実施形態に係る駐車支援方法は、駐車スポットに至るまでの経路に沿って自車両が走行し、駐車スポットに自車両が駐車するように、自車両を制御する自動駐車制御を実行するステップと、自動駐車制御の実行中に、自車両の運転者の状態が、自車両のステアリングホイールを把持していない状態を含む不安全状態と認められる場合(S304:No、S408:No)に所定の警告情報を報知するステップ(S310、S418)と、自動駐車制御の実行中に所定の特定区間を自車両が走行している場合(S306:Yes、S410:Yes)に警告情報の報知を制限するステップ(S308、S414、S416)と、を含む。
【0140】
また、特定区間は、自車両のステアリングホイール53aが大きく回転する区間を含む区間として設定される。例えば、特定区間は、合流区間及び駐車処理区間を含む区間として設定される。或いは、特定区間は、単位時間当たりにおけるステアリング回転角の変化量が閾値変化量以上である区間として設定される。或いは、特定区間は、ステアリング回転角が閾値角度以上である区間として設定される。或いは、特定区間は、半径が閾値半径以下であるカーブ区間として設定される。このように特定区間をステアリングホイール53aが大きく回転する区間を含む区間として設定することにより、ステアリングホイール53aが大きく回転する区間を自車両が走行中に警告情報の報知が制限される。このため、特定区間を自車両が走行中に警告情報が報知されることにより生じる不具合の発生、例えば、運転者が回転しているステアリングホイール53aを把持することにより自動駐車制御の実行に支障をきたすこと、又は、警告に従った結果周囲の安全確認を怠ること、或いは運転者に不快感を与えること、が防止される。つまり、不適切なタイミングでの警告情報の報知を制限することで、不適切なタイミングで警告情報を報知することにより生じる不具合の発生を未然に防止することができる。言い換えれば、本実施形態によれば、適切なタイミングで警告情報を報知することができる。
【0141】
(第二実施形態)
本開示の第二実施形態に係る駐車支援装置の構成は、基本的には第一実施形態にて示した図1の構成と同一であるので、その具体的説明は省略する。
【0142】
図20は、第二実施形態に係る駐車支援装置の駐車支援ECUの機能ブロック図である。図20に示すように、本実施形態に係る駐車支援ECU10Aは、第一実施形態に係る駐車支援ECU10が備える機能要素(自動駐車制御部101、特定区間設定部102、フラグ設定部103、第一警告部104、第二警告部105)に加え、特定区間表示部106を備える。自動駐車制御部101、特定区間設定部102、フラグ設定部103、第一警告部104、第二警告部105の各機能は、上記第一実施形態にて説明したので、ここでの説明は省略し、特定区間表示部106についてのみ説明する。
【0143】
特定区間表示部106は、図20に示すように、フラグ設定部103から警告制限フラグFを入力する。この特定区間表示部106は、入力した警告制限フラグFが1に設定されている場合に、ディスプレイ72にステアリングホイールが大きく回転する区間である特定区間を走行中であることを強調して表示する機能及びステアリングホイールが自動で回転することを運転者に報知する機能を有する。
【0144】
図21は、特定区間表示部106が上記した各機能を実現するために実行する特定区間表示ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、自動駐車制御の実行が開始された場合に起動し、所定の短時間ごとに繰り返し実行される。このルーチンが起動すると、特定区間表示部106は、S500からこのルーチンを開始し、S502に処理を進める。S502では、特定区間表示部106は、警告制限フラグFが1に設定されているか否か、すなわち自車両が特定区間を走行しているか否かを判断する。
【0145】
警告制限フラグFが1に設定されていると判断した場合(S202:Yes)、すなわち自車両が特定区間を走行中である場合、特定区間表示部106はS504に処理を進める。S504では、特定区間表示部106は、ディスプレイ72に強調画像が表示されるように表示装置70を制御する。また、既にディスプレイ72に強調画像が表示されている場合には、その表示状態を維持する。ここで、強調画像とは、ステアリングホイール53aが大きく回転する特定区間を自車両が走行中であることを示すための画像である。
【0146】
次に、特定区間表示部106はS506に処理を進める。S506では、特定区間表示部106は、回転報知画像がディスプレイ72に表示されるように表示装置70を制御する。また、既にディスプレイ72に回転報知画像が表示されている場合には、その表示状態を維持する。ここで、回転報知画像とは、ステアリングホイール53aが自動で回転することを表す画像である。その後、特定区間表示部106はS512に処理を進めてこのルーチンを一旦終了する。
【0147】
また、S502にて警告制限フラグFが1に設定されていないと判断した場合(S202:No)、すなわち自車両が特定区間以外の区間を走行中である場合、特定区間表示部106はS508に処理を進める。S508では、特定区間表示部106は、ディスプレイ72に強調画像が表示されないように表示装置70を制御する。次いで、特定区間表示部106はS510に処理を進める。
【0148】
S510では、特定区間表示部106は、ディスプレイ72に回転報知画像が表示されないように表示装置70を制御する。その後、特定区間表示部106はS512に処理を進めてこのルーチンを一旦終了する。
【0149】
特定区間表示部106がこのような特定区間表示ルーチンを実行することにより、自車両が特定区間を走行しているときに、ディスプレイ72には、強調画像及び回転報知画像が表示される。図22は、強調画像及び回転報知画像が表示されたディスプレイ72を示す図である。図22に示すように、ディスプレイ72には、第一視点画像G21及び第二視点画像G22を含む周辺画像G20が表示されている。第一視点画像G21は前方カメラ装置212aにより撮影されている自車両の前方領域の画像である。この第一視点画像G21に、強調画像G51及び回転報知画像G52が重畳して表示されている。強調画像G51は、ステアリングホイール53aが回転することによって自車両の進行方向が変化することを示す画像である。この例では、強調画像G51は、自車両の進行方向が変化する方向を表す矢印により構成されている。運転者はディスプレイ72内の強調画像G51を視認することにより、ステアリングホイール53aが大きく回転する特定区間を自車両が走行中であることを認識することができる。
【0150】
また、強調画像G51の下方に、回転報知画像G52が表示される。図22に示すように、回転報知画像G52は、ステアリングホイール53aが自動的に回転することを示す文字画像である。運転者はディスプレイ72内の回転報知画像G52を視認することにより、自車両が特定区間を走行中にステアリングホイール53aが自動で回転することを認識することができる。
【0151】
このように、本実施形態によれば、駐車支援ECU10Aは、特定区間を自車両が走行しているときに、自車両のステアリングホイール53aが自動で回転することを表す回転報知画像G52がディスプレイ72に表示されるように表示装置70を制御する。このため運転者がステアリングホイール53aの自動回転を予期することができる。
【0152】
また、本実施形態によれば、駐車支援ECU10Aは、特定区間を自車両が走行しているときに、ステアリングホイール53aが自動的に大きく回転する区間を含む特定区間を自車両が走行中であることを示す強調画像G51がディスプレイ72に表示されるように表示装置70を制御する。このため自車両の運転者は特定区間を走行中であることを認識することができる。
【0153】
(第三実施形態)
本開示の第三実施形態に係る駐車支援装置の構成は、基本的には第一実施形態にて示した図1の構成と同一であるので、その具体的説明は省略する。
【0154】
図23は、第三実施形態に係る駐車支援装置の駐車支援ECUの機能ブロック図である。図23に示すように、本実施形態に係る駐車支援ECU10Bは、第一実施形態に係る駐車支援ECU10が備える機能要素(自動駐車制御部101、特定区間設定部102、フラグ設定部103、第一警告部104、第二警告部105)に加え、オーバーライド処理部107を備える。自動駐車制御部101、特定区間設定部102、フラグ設定部103、第一警告部104、第二警告部105の各機能は、上記第一実施形態にて説明したので、ここでの説明は省略し、オーバーライド処理部107についてのみ説明する。
【0155】
オーバーライド処理部107は、図23に示すようにフラグ設定部103から警告制限フラグFを入力する。そして、オーバーライド処理部107は、自動駐車制御の実行中にステアリングホイール53aが操作された場合に、警告制限フラグFに基づいて自動駐車制御を継続するか中断又は中止するかを判断するとともに、判断結果に基づいて自車両を制御する機能を有する。
【0156】
図24は、オーバーライド処理部107が上記した機能を実現するために実行するステアオーバーライド処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、駐車支援ECU10Bが自動駐車制御の実行を開始した場合に起動し、所定の短時間ごとに繰り返し実行される。このルーチンが起動すると、オーバーライド処理部107は、図24のS600からこのルーチンを開始し、S602に処理を進める。
【0157】
S602では、オーバーライド処理部107は、操舵トルクセンサ25から操舵トルクTを取得する。次いで、オーバーライド処理部107はS604に処理を進める。
【0158】
S604では、オーバーライド処理部107は、取得した操舵トルクTが第一閾値トルクTth1よりも大きいか否かを判断する。第一閾値トルクTth1は、操舵トルクTがそれ以下の場合にはステアリングホイール53aが意図的に操作されたとは認められず、操舵トルクTがそれよりも大きい場合にステアリングホイール53aが意図的に操作されたと判断できる程度の小さい値として予め設定される。第一閾値トルクTth1は、例えば、0.4[Nm]に設定することができる。
【0159】
S604にて操舵トルクTが第一閾値トルクTth1未満であると判断した場合(S602:No)、オーバーライド処理部107はS614に処理を進める。S614では、オーバーライド処理部107は、後述する逸脱画像がディスプレイ72に表示されないように表示装置70を制御する。その後、オーバーライド処理部107はこのルーチンを一旦終了する。
【0160】
S604にて操舵トルクTが第一閾値トルクTth1よりも大きいと判断した場合(S602:Yes)、オーバーライド処理部107は、ステアリングホイール53aが操作されたと判断する。この場合、オーバーライド処理部107はS606に処理を進める。
【0161】
S606では、オーバーライド処理部107は、警告制限フラグFが1に設定されているか否かを判断する。警告制限フラグFが1に設定されていないと判断した場合、すなわち自車両が特定区間以外の区間を走行している場合、オーバーライド処理部107は、運転者が意図的にステアリングホイール53aを操作したと判断する。この場合、オーバーライド処理部107はS612に処理を進めて、自動駐車制御を中断又は中止するための処理を実行する。これにより、自車両が停車するとともに、自動駐車制御が中断又は中止される。その後、オーバーライド処理部107はS616に処理を進めてこのルーチンを終了する。なお、S612の処理によって自動駐車制御が中断又は中止した場合、この処理は繰り返し実行されない。また、S612の処理によって自動駐車制御が中断又は中止した場合、その後の自車両の運転操作は運転者に委ねられる。また、S612の処理によって自動駐車制御が中断した場合、運転者による何等かの操作によって、自動駐車制御が再開されるように構成されていてもよい。
【0162】
S606にて警告制限フラグFが1に設定されていると判断した場合、すなわち自車両が特定区間を走行している場合、オーバーライド処理部107は、S608に処理を進める。S608では、オーバーライド処理部107は、操舵トルクTが第二閾値トルクTth2未満であるか否かを判断する。第二閾値トルクTth2は第一閾値トルクTth1よりも大きく、且つ、操舵トルクTがそれ以上の場合には自車両の走行経路を登録経路に復帰させることができない程度の値として設定される。例えば第二閾値トルクTth2は、2.6[Nm]に設定することができる。
【0163】
S608にて操舵トルクが第二閾値トルクTth2以上と判断した場合(S608:No)、オーバーライド処理部107はS612に処理を進めて、自動駐車制御を中断又は中止するための処理を実行する。これにより、自車両が停車するとともに、自動駐車制御が中断又は中止される。その後、オーバーライド処理部107はS616に処理を進めてこのルーチンを終了する。一方、S608にて操舵トルクが第二閾値トルクTth2未満であると判断した場合(S608:Yes)、オーバーライド処理部107はS610に処理を進める。S610では、オーバーライド処理部107は、ステアリングホイール53aに操舵トルクが入力されることによって自車両の走行経路が登録経路から逸脱することを表す逸脱画像がディスプレイ72に表示されるように表示装置70を制御する。
【0164】
図25は、逸脱画像が表示されたディスプレイ72を示す図である。図25に示すように、ディスプレイ72には、第一視点画像G21及び第二視点画像G22を含む周辺画像G20が表示されている。第一視点画像G21は前方カメラ装置212aにより撮影されている自車両の前方領域の画像である。この第一視点画像G21に、逸脱画像G60が重畳して表示されている。この例では、逸脱画像G60は、自車両の走行経路が登録経路から逸脱することを示す文字画像である。
【0165】
オーバーライド処理部107は、S610にて、図25に示すような逸脱画像がディスプレイ72に表示されるように表示装置70を制御した後に、S616に処理を進めてこのルーチンを一旦終了する。この場合、自動駐車制御は継続される。
【0166】
オーバーライド処理部107が上記したオーバーライド処理ルーチンを実行することにより、自動駐車制御の実行中であって自車両が特定区間以外の区間を走行しているときに第一閾値トルクTth1よりも大きい操舵トルクTが検出された場合には、駐車支援ECU10Bは、運転者による意識的な操舵介入が行われたと判断する。この場合、自動駐車制御が中断又は中止される。一方、自動駐車制御の実行中であって自車両が特定区間を走行しているときに第一閾値トルクTth1よりも大きく且つ第二閾値トルクTth2未満の操舵トルクが検出された場合には、駐車支援ECU10Bは運転者による無意識的な操舵介入が行われたと判断する。この場合、自動駐車制御は継続される。このようにして、運転者の意識的な操舵介入と無意識的な操舵介入とを判別し、意識的な操舵介入であれば運転者の意思を尊重して自動駐車制御を中断し、無意識的な操舵介入であれば自動駐車制御を継続することができる。
【0167】
また、自動駐車制御の実行中であって自車両が特定区間を走行しているときに、第一閾値トルクTth1よりも大きく第二閾値トルクTth2未満の操舵トルクが検出された場合には、自動駐車制御は継続されるものの、ステアリングホイール53aに入力された操舵トルクによって自車両が操舵されることにより自車両が登録経路から逸脱する。この場合、逸脱画像G60がディスプレイ72に表示される。運転者は逸脱画像G60を視認し、ステアリングホイール53aに入力する操舵トルクを低下させることによって、登録経路から逸脱した自車両の走行経路を登録経路に復帰させることができる。
【0168】
また、自動駐車制御の実行中であって自車両が特定区間を走行しているときに、第二閾値トルクTth2以上の操舵トルクが検出された場合には、駐車支援ECU10Bは、自車両を登録経路に復帰させることができないと判断する。この場合、自動駐車制御が中断又は中止される。これにより、自車両が登録経路に復帰することができない場合に速やかに自動駐車制御を終了することができる。
【0169】
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示に係る駐車支援装置は上記実施形態に限定されるべきものではない。例えば、本開示に係る駐車支援装置の駐車支援ECUの機能構成は、第二実施形態に示した特定区間表示部106と第三実施形態に示したオーバーライド処理部107とを双方とも有するものであってもよい。
【0170】
また、上記第一実施形態では、自動駐車制御が停車処理を含む例について説明したが、この停車処理は省略してもよい。この場合、自車両が停車することなく、経路走行処理から駐車処理に処理が移行する。すなわち、自車両を停止させることなく、シームレスに、経路走行から駐車処理に処理を移行させることができる。
【0171】
また、上記第一実施形態では、ステアリングホイールが大きく回転する特定区間の一例として、合流区間、駐車処理区間等を例示したが、自動走行区間及び経路走行区間に存在するステアリングホイールが大きく回転する区間も特定区間に設定することができる。また、自動走行区間又は経路走行区間に右左折する区間が存在する場合、その区間を特定区間に設定することもできる。
【0172】
また、上記第一実施形態では、登録経路を特定するための情報として、路面の模様、形状に関する画像情報を例示したが、例えば登録経路を特定するための情報は、地図上に表される登録経路の形状に関する情報等でもよい。この場合には、登録経路の形状から、ステアリングホイールが大きく回る区間を演算することができる。
【0173】
また、上記実施形態では、駐車支援ECUが登録経路を記憶している例について説明したが、登録経路を記憶していない場合にも、本開示に係る技術を適用することができる。例えば、駐車支援ECUは、駐車スポットに至るまでの経路を生成し、生成した経路に沿って自車両を走行させることによって自車両が駐車スポットに駐車するように、自車両を制御するように構成されていてもよい。この場合、生成した経路のうちの所定の区間、例えばステアリングホイールが大きく回転すると予測される区間を含む区間を特定区間に設定することができる。そして、設定した特定区間を自車両が走行している場合に、警告情報の報知を制限することができる。
【0174】
また、上記実施形態では、第一警告画像、第二警告画像、強調画像、回転報知画像、逸脱画像、等により、所定の情報が表示装置70のディスプレイ72に表示される例について説明したが、上記した所定の情報は、表示装置以外の装置により報知することができる。例えば、上記した所定の情報は、表示装置に代えて、或いは表示装置とともに、音声ガイダンス等により報知することができる。
【0175】
また、上記実施形態では、自動駐車制御が、自動走行処理と、合流処理と、経路走行処理と、駐車処理とを含む例について説明したが、自動駐車制御は、自車両を駐車スポットに駐車させるだけの処理、すなわち駐車処理を含んでいればよい。例えば自動駐車制御が駐車処理のみにより構成されていてもよい。この場合、例えば駐車支援ECUは、自車両を駐車スポット内の所定位置に駐車させるための経路を演算し、演算した経路のうちの所定の区間、例えば、ステアリングホイールが大きく回転すると予測される区間を含む区間、又は、駐車スポットに自車両を駐車させるために自車両の姿勢を変化させる区間を含む区間を、特定区間に設定することができる。そして、設定した特定区間を自車両が走行している場合に、警告情報の報知を制限することができる。このように、本開示に係る技術は、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、変形可能である。
【0176】
また、本開示の技術は、標準規格であるISO20900(Partially automated parking systems: PAPS)やISO16787(Assisted parking systems: APS)に準拠する技術への適用が可能な技術である。
【符号の説明】
【0177】
1・・・駐車支援装置、10,10A,10B・・・駐車支援ECU(制御装置)、101・・・自動駐車制御部、102・・・特定区間設定部、103・・・フラグ設定部、104・・・第一警告部、105・・・第二警告部、106・・・特定区間表示部、107・・・オーバーライド処理部、20・・・センサ群、21・・・外界センサ、211・・・ソナーセンサ、212・・・カメラセンサ、22・・・車速センサ、23・・・ドライバモニタセンサ、24・・・グリップセンサ、25・・・操舵トルクセンサ、26・・・ステアリング舵角センサ、27・・・ブレーキペダルセンサ、30・・・駆動装置、40・・・制動装置、44・・・ブレーキペダル、50・・・ステアリング装置、53a・・・ステアリングホイール、60・・・シフト切替装置、70・・・表示装置(報知装置)、72・・・ディスプレイ、80・・・ナビゲーション装置、82・・・GPS受信機、F・・・警告制限フラグ、P0・・・登録経路、PS・・・登録駐車スポット、R・・・経路設定路、Tth1・・・第一閾値トルク、Tth2・・・第二閾値トルク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25