(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108828
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】窒化物半導体装置及び窒化物半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 29/78 20060101AFI20240805BHJP
H01L 29/12 20060101ALI20240805BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240805BHJP
H01L 29/861 20060101ALI20240805BHJP
H01L 29/739 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
H01L29/78 652D
H01L29/78 652T
H01L29/78 652J
H01L29/78 653A
H01L29/78 652C
H01L29/78 658A
H01L29/91 C
H01L29/91 F
H01L29/78 655A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023013421
(22)【出願日】2023-01-31
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)公益社団法人応用物理学会 第83回「応用物理学会 秋季学術講演会」予稿集 第12-221頁 令和4年8月26日発行 (2)第83回「応用物理学会 秋季学術講演会」令和4年9月22日開催
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和4年度、文部科学省、科学技術試験研究委託事業「革新的パワーエレクトロニクス創出基盤技術開発事業」、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】301023238
【氏名又は名称】国立研究開発法人物質・材料研究機構
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(72)【発明者】
【氏名】田中 亮
(72)【発明者】
【氏名】高島 信也
(72)【発明者】
【氏名】埋橋 淳
(72)【発明者】
【氏名】大久保 忠勝
(72)【発明者】
【氏名】宝野 和博
(57)【要約】
【課題】高濃度で、濃度のばらつきが小さいP型領域を実現可能な窒化物半導体装置及び窒化物半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】窒化物半導体装置は、窒化物半導体と、窒化物半導体に設けられたP型領域と、を備える。P型領域におけるアクセプタ元素の濃度は5×10
18cm
-3以上1×10
21cm
-3以下である。P型領域には、(0001)面に平行で、[1-100]方向の長さが2nm以上の積層欠陥が、1×10
15cm
-3以上1×10
19cm
-3以下の密度で存在する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
窒化物半導体と、
前記窒化物半導体に設けられたP型領域と、を備え、
前記P型領域におけるアクセプタ元素の濃度は5×1018cm-3以上1×1021cm-3以下であり、
前記P型領域には、(0001)面に平行で、[1-100]方向の長さが2nm以上の積層欠陥が、1×1015cm-3以上1×1019cm-3以下の密度で存在する、窒化物半導体装置。
【請求項2】
前記P型領域の厚さは60nm未満である、請求項1に記載の窒化物半導体装置。
【請求項3】
前記P型領域には、前記積層欠陥が、1×1016cm-3以上1×1018cm-3以下の密度で存在する、請求項1又は2に記載の窒化物半導体装置。
【請求項4】
前記窒化物半導体は、貫通転位密度の密度が1×107cm-2未満である低転位自立窒化ガリウム(GaN)基板を含む、請求項1又は2に記載の窒化物半導体装置。
【請求項5】
前記アクセプタ元素は、マグネシウム(Mg)及びベリリウム(Be)の少なくとも一方を含む、請求項1又は2に記載の窒化物半導体装置。
【請求項6】
前記窒化物半導体に設けられ、前記P型領域よりも前記アクセプタ元素の濃度が低いP型ウェル領域、をさらに備え、
前記P型領域は、前記P型ウェル領域の表面側に設けられている、請求項1又は2に記載の窒化物半導体装置。
【請求項7】
前記P型ウェル領域の表面側に設けられたN型ソース領域と、
前記P型ウェル領域上に設けられたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に設けられたゲート電極と、
前記窒化物半導体上に設けられ、N型ソース領域と接しているソース電極と、
前記窒化物半導体において前記ソース電極が設けられる面の反対側に設けられたドレイン電極と、をさらに備える請求項6に記載の窒化物半導体装置。
【請求項8】
前記P型領域は前記ソース電極と接している、請求項7に記載の窒化物半導体装置。
【請求項9】
窒化物半導体の表面の側から前記窒化物半導体の一部領域にアクセプタ元素をイオン注入する工程と、
前記アクセプタ元素をイオン注入する工程の前又は後で、前記表面の側から前記一部領域に窒素元素をイオン注入する工程と、
前記アクセプタ元素及び前記窒素元素がイオン注入された前記窒化物半導体に熱処理を施して、前記一部領域にP型領域を形成する工程と、を備え、
前記アクセプタ元素をイオン注入する工程では、
前記アクセプタ元素の注入ピーク位置における濃度が1×1019cm-3以上1×1021cm-3以下で、かつ、前記表面から前記アクセプタ元素の注入ピーク位置までの深さが50nm以下となるように前記アクセプタ元素の注入条件を設定する、窒化物半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記窒素元素をイオン注入する工程では、
前記窒素元素の注入ピーク位置における前記窒素元素の濃度が、前記アクセプタ元素の注入ピーク位置における前記アクセプタ元素の濃度の0.1倍以上10倍以下となるように前記窒素元素の注入条件を設定する、請求項9に記載の窒化物半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記窒素元素をイオン注入する工程では、
前記表面から前記窒素元素の注入ピーク位置まので深さが50nm以下となるように前記窒素元素の注入条件を設定する、請求項9又は10に記載の窒化物半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記一部領域上に絶縁性の保護膜を形成する工程、をさらに備え、
前記熱処理を施す工程では、前記一部領域が前記保護膜で覆われた状態で前記窒化物半導体に熱処理を施す、請求項9又は10に記載の窒化物半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記熱処理は最大温度が1300℃以上である、請求項9又は10に記載の窒化物半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒化物半導体装置及び窒化物半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
縦型のMOS構造を有する窒化物半導体装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、窒化物半導体装置では、マグネシウム(Mg)をドーパントとして用いることによりP型の伝導度制御が可能である(例えば、特許文献2参照)。Mgを高濃度にイオン注入して高温度で熱処理すると、Mgが高密度に偏析したり、Mgが深く拡散したりして、Mg濃度が低下する(例えば、非特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Kumar et.al.,J.Appl.Phys.126(2019)235704.
【非特許文献2】H. Sakurai et. al., Appl. Phys. Lett. 115, 142104 (2019).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
窒化物半導体装置において、高濃度で、濃度のばらつきが小さいP型領域を実現することが望まれている。
【0005】
本発明は、高濃度で、濃度のばらつきが小さいP型領域を実現可能な窒化物半導体装置及び窒化物半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る窒化物半導体装置は、窒化物半導体と、前記窒化物半導体に設けられたP型領域と、を備える。前記P型領域におけるアクセプタ元素の濃度は5×1018cm-3以上1×1021cm-3以下である。前記P型領域には、(0001)面に平行で、[1-100]方向の長さが2nm以上の積層欠陥が、1×1015cm-3以上1×1019cm-3以下の密度で存在する。
【0007】
本発明の一態様に係る窒化物半導体装置の製造方法は、窒化物半導体の表面の側から前記窒化物半導体の一部領域にアクセプタ元素をイオン注入する工程と、前記アクセプタ元素をイオン注入する工程の前又は後で、前記表面の側から前記一部領域に窒素元素をイオン注入する工程と、前記アクセプタ元素及び前記窒素元素がイオン注入された前記窒化物半導体に熱処理を施して、前記一部領域にP型領域を形成する工程と、を備える。前記アクセプタ元素をイオン注入する工程では、前記アクセプタ元素の注入ピーク位置における濃度が1×1019cm-3以上1×1021cm-3以下で、かつ、前記表面から前記アクセプタ元素の注入ピーク位置までの深さが50nm以下となるように前記アクセプタ元素の注入条件を設定する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、高濃度で、濃度のばらつきが小さいP型領域を実現可能な窒化物半導体装置及び窒化物半導体装置の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態1に係るGaN半導体装置の構成例を示す平面図である。
【
図2】
図2は、本開示の実施形態1に係るGaN半導体装置の構成例を示す断面図である。
【
図3】
図3は、本開示の実施形態1に係る縦型MOSFETの繰り返しの単位構造を拡大して示す断面図である。
【
図4A】
図4Aは、本開示の実施形態1に係る縦型MOSFETの製造方法を工程順に示す断面図である。
【
図4B】
図4Bは、本開示の実施形態1に係る縦型MOSFETの製造方法を工程順に示す断面図である。
【
図4C】
図4Cは、本開示の実施形態1に係る縦型MOSFETの製造方法を工程順に示す断面図である。
【
図4D】
図4Dは、本開示の実施形態1に係る縦型MOSFETの製造方法を工程順に示す断面図である。
【
図4E】
図4Eは、本開示の実施形態1に係る縦型MOSFETの製造方法を工程順に示す断面図である。
【
図4F】
図4Fは、本開示の実施形態1に係る縦型MOSFETの製造方法を工程順に示す断面図である。
【
図5】
図5は、GaNにMgとNを連続注入する場合に、GaN結晶に生じる空孔及び格子間原子を模式的に示す図である。
【
図6】
図6は、GaNにMgのみを注入する場合に、GaN結晶に生じる空孔及び格子間原子を模式的に示す図である。
【
図7】
図7は、本開示の実施例に係るGaN基板に生じた積層欠陥を示すSTEM像(広範囲図)である。
【
図8】
図8は、本開示の実施例に係るGaN基板に生じた積層欠陥を示すSTEM像(拡大図)である。
【
図9】
図9は、
図8に示す積層欠陥のフーリエフィルター像である。
【
図10】
図10は、本開示の実施例に係るGaN基板のMg偏析の分析結果を示す3DAP図である。
【
図11】
図11は、
図10に示す3DAP像から算出されたMg濃度の深さプロファイルを示すグラフである。
【
図12】
図12は、本開示の実施例に係るGaN基板と比較例に係るGaN基板について、SIMSで得られたMg濃度の深さプロファイルを示すグラフである。
【
図13】
図13は、本開示の実施例に係るGaN基板であって、積層欠陥密度の導出に用いたLAADF-STEM像である。
【
図14】
図14は、本開示の実施形態2に係る縦型MOSFETの構成を示す断面図である。
【
図15】
図15は、本開示の実施形態3に係る縦型MOSFETの構成例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本開示の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各装置や各部材の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判定すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0011】
また、以下の説明では、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の文言を用いて、方向を説明する場合がある。例えば、X軸方向及びY軸方向は、後述のGaN基板10の表面10aに平行な方向である。X軸方向及びY軸方向を水平方向ともいう。また、Z軸方向は、GaN基板10の表面10aと垂直に交わる方向である。X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、互いに直交する。
【0012】
また、以下の説明では、Z軸の正方向を「上」と称し、Z軸の負方向を「下」と称する場合がある。「上」及び「下」は、必ずしも地面に対する鉛直方向を意味しない。つまり、「上」及び「下」の方向は、重力方向に限定されない。「上」及び「下」は、領域、層、膜及び基板等における相対的な位置関係を特定する便宜的な表現に過ぎず、本開示の技術的思想を限定するものではない。例えば、紙面を180度回転すれば「上」が「下」に、「下」が「上」になることは勿論である。
【0013】
また以下の説明において、導電型を示すPやNに付す+や-は、+及び-が付記されていない半導体領域に比して、それぞれ相対的に不純物濃度が高い又は低い半導体領域であることを意味する。ただし同じPとP(または、NとN)とが付された半導体領域であっても、それぞれの半導体領域の不純物濃度が厳密に同じであることを意味するものではない。
【0014】
<実施形態1>
(窒化ガリウム半導体装置の構成例)
図1は、本開示の実施形態1に係る窒化ガリウム半導体装置(本開示の「窒化物半導体装置」の一例;以下、GaN半導体装置)100の構成例を示す平面図である。
図1は、X-Y平面図である。
図1に示すように、GaN半導体装置100は、活性領域110とエッジ終端領域130とを有する。活性領域110は、ゲートパッド112及びソースパッド114を有する。ゲートパッド112及びソースパッド114は、後述のゲート電極44及びソース電極54にそれぞれ電気的に接続された電極パッドである。
【0015】
Z軸方向からの平面視で、エッジ終端領域130は、活性領域110の周囲を囲んでいる。エッジ終端領域130は、ガードリング構造、フィールドプレート構造及びJTE(Junction Termination Extension)構造の一以上を有してよい。エッジ終端領域130は、活性領域110で発生した空乏層をエッジ終端領域130まで広げることにより、活性領域110での電界集中を防ぐ機能を有してよい。
【0016】
(縦型MOSFETの構成例)
図2は、本開示の実施形態1に係るGaN半導体装置100の構成例を示す断面図である。
図2は、
図1に示す活性領域110をII-II´線で切断した断面図である。なお、
図2において、
図1に示したゲートパッド112及びソースパッド114の図示は省略している。GaN半導体装置100は、
図2に示す縦型MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)1を複数備える。GaN半導体装置100では、縦型MOSFET1がY軸方向に繰り返し設けられている。
【0017】
図3は、本開示の実施形態1に係る縦型MOSFET1の繰り返しの単位構造を拡大して示す断面図である。
図3に示すように、縦型MOSFET1は、窒化ガリウム基板(本開示の「窒化物半導体」の一例;以下、GaN基板)10と、ゲート絶縁膜42と、ゲート絶縁膜42上に設けられたゲート電極44と、ソース電極54及びドレイン電極56を有する。
【0018】
GaN基板10(本開示の「窒化物半導体」の一例)は、GaN単結晶基板である。GaN基板10は、例えばN-型の基板である。GaN基板10は、表面10aと、表面10aの反対側に位置する裏面10bとを有する。例えば、GaN基板10は、貫通転位密度が1×107cm-2未満である低転位自立GaN基板である。
【0019】
GaN基板10に含まれるドナー(N型不純物)は、Si(シリコン)、Ge(ゲルマニウム)、及びO(酸素)の一種類以上の元素であってよい。また、GaN基板10に含まれるアクセプタ元素(P型不純物)は、Mg(マグネシウム)、Ca(カルシウム)、Be(ベリリウム)及びZn(亜鉛)の一種類以上の元素であってよい。
【0020】
GaN基板10が低転位自立GaN基板であることにより、GaN基板10に大面積のパワーデバイスが形成される場合でも、パワーデバイスにおけるリーク電流を少なくすることができる。これにより、パワーデバイスを高い良品率で製造することが可能となる。また、縦型MOSFET1の製造工程に含まれる熱処理において、イオン注入された不純物が転位に沿って深く拡散することを防止することができる。
【0021】
なお、GaN基板10は、GaN単結晶基板と、GaN単結晶基板上にエピタキシャル成長された単結晶のGaN層とを含んでもよい。この場合、GaN単結晶基板はN+型又はN型であってもよく、GaN層はN型又はN-型であってもよい。
【0022】
縦型MOSFET1において、半導体材料はGaNであるが、半導体材料はアルミニウム(Al)及びインジウム(In)の一以上の元素を含んでもよい。半導体材料は、Al及びInを微量に含んだ混晶半導体、即ちAlxInyGa1-x-yN(0≦x<1、0≦y<1)であってもよい。なお、GaNは、AlxInyGa1-x-yNにおいてx=y=0とした場合である。
【0023】
GaN基板10には、ドリフト領域22、ウェル領域23(本開示の「P型ウェル領域」の一例)、コンタクト領域25(本開示の「P型領域」の一例)及びソース領域26(本開示の「N型ソース領域」の一例)が設けられている。ウェル領域23、コンタクト領域25及びソース領域26は、それぞれ、GaN基板10の表面10aから所定の深さに不純物がイオン注入され、熱処理により不純物が活性化された領域である。
【0024】
例えば、ウェル領域23の表面側にコンタクト領域25が設けられている。ウェル領域23はP型の領域であり、コンタクト領域25はP+型の領域である。ウェル領域23よりもコンタクト領域25の方が、アクセプタ元素の濃度(P型の不純物濃度)が高い。ウェル領域23及びコンタクト領域25は、アクセプタ元素(P型不純物)として、Mg及びBeの少なくとも一方を含む。
【0025】
例えば、ウェル領域23及びコンタクト領域25は、アクセプタ元素として、Mgを含む。ウェル領域23におけるMgの濃度は、1×1016cm-3以上3×1018cm-3以下である。コンタクト領域25におけるMgの濃度は、5×1018cm-3以上1×1021cm-3以下であり、より好ましくは1×1019cm-3以上2×1020cm-3以下である。
【0026】
ドリフト領域22はN-型の領域であり、ソース領域26はN+型の領域である。ドリフト領域22よりもソース領域26の方が、ドナー元素の濃度(N型の不純物濃度)が低い。ドリフト領域22及びソース領域26は、N型の不純物として、例えばSiを含む。例えば、ドリフト領域22のN型の不純物濃度は、GaN基板10のN型の不純物濃度と同じである。この場合、ドリフト領域22には、N型の不純物がイオン注入されていなくてもよい。ソース領域26はウェル領域23の表面側に設けられている。ソース領域26は、ウェル領域23の表面側にSiがイオン注入され、熱処理によりSiが活性化されることにより形成される。
【0027】
図2に示すように、ソース領域26の上部は、GaN基板10の表面10aに露出している。ソース領域26は、底部と第1側部とがウェル領域23に接し、第2側部がコンタクト領域25に接している。ソース領域26の第1側部は、縦型MOSFET1のチャネルが形成される領域(以下、チャネル領域)231側に位置する。ソース領域26の第2側部は、Y軸方向において、第1側部の反対側に位置する。
【0028】
コンタクト領域25の上部は、GaN基板10の表面10aに露出している。コンタクト領域25は、側部がソース領域26に接し、底部がウェル領域23に接している。コンタクト領域25の厚さ(すなわち、GaN基板10の表面10aからコンタクト領域25の底面までの深さ)は、例えば60nm未満であり、より好ましくは50nm未満である。
【0029】
また、コンタクト領域25には、(0001)面(すなわち、C面)に平行で、[1-100]方向の長さが2nm以上の積層欠陥が1×1015cm-3以上1×1019cm-3以下の密度で存在し、より好ましくは1×1016cm-3以上1×1018cm-3以下の密度で存在する。
【0030】
ウェル領域23、コンタクト領域25及びソース領域26のZ軸方向からの平面視による形状は特に限定されないが、一例を挙げると、各々がX軸方向に直線状に延設された形状を有する。すなわち、ウェル領域23、コンタクト領域25及びソース領域26は、X軸方向に延伸するストライプ形状を有する。
【0031】
ドリフト領域22の上部(以下、上部領域)は、GaN基板10の表面10aに露出している。上部領域221は、表面10aにおいてゲート絶縁膜42と接している。上部領域221は、Y軸方向で向かい合う一対のウェル領域23間に位置する。上部領域221はJFET領域と呼んでもよい。
【0032】
ドリフト領域22の下部(以下、下部領域)222は、ウェル領域23の底部と接している。下部領域222は、上部領域221とドレイン電極56との間、及び、ウェル領域23とドレイン電極56との間にそれぞれ位置する。下部領域222は、Y軸方向で繰り返される複数の縦型MOSFET1(すなわち、複数の単位構造)間で、Y軸方向に連続して設けられていてもよい。
【0033】
ドリフト領域22は、ドレイン電極56とチャネル領域231との間の電流経路として機能する。コンタクト領域25は、ソース電極54との接触抵抗を低減する機能を有する。また、コンタクト領域25は、ゲートオフ時の正孔引き抜き経路としても機能する。
【0034】
ゲート絶縁膜42は、例えばシリコン酸化膜(SiO2膜)である。ゲート絶縁膜42は、例えば平坦な表面10a上に設けられる。
【0035】
ゲート電極44は、ゲート絶縁膜42を介してチャネル領域231の上方に設けられている。例えば、ゲート電極44は、平坦なゲート絶縁膜42上に設けられたプレーナ型である。ゲート電極44は、ゲートパッド112と異なる材料で形成されている。ゲート電極44は不純物をドープしたポリシリコンで形成され、ゲートパッド112はAl又はAl‐Siの合金で形成されている。
【0036】
ソース電極54は、GaN基板10の表面10a上に設けられている。ソース電極54は、ソース領域26の一部とコンタクト領域25とに接している。ソース電極54は、図示しない層間絶縁膜を介してゲート電極44上にも設けられてもよい。層間絶縁膜は、ゲート電極44とソース電極54とが電気的に接続しないように、ゲート電極44の上部及び側部を覆ってもよい。
【0037】
ソース電極54は、ソースパッド114と同一の材料で形成されている。例えば、Al又はAl-Siの合金からなるソース電極54が、ソースパッド114を兼ねている。ソース電極54は、GaN基板10の表面10aとAl(または、Al-Si)との間にバリアメタル層を有してもよい。バリアメタル層の材料としてチタン(Ti)を使用してもよい。ドレイン電極56は、GaN基板10の裏面10b側に設けられており、裏面10bに接している。ドレイン電極56もソース電極54と同様の材料で構成されている。
【0038】
図2において、ゲート端子、ソース端子及びドレイン端子を、それぞれG、D及びSで示す。例えば、ゲート端子Gを介してゲート電極44に閾値電圧以上の電位が与えられると、チャネル領域231に反転層が形成される。チャネル領域231に反転層が形成されている状態で、ドレイン電極56に所定の高電位が与えられ、かつ、ソース電極54に低電位(例えば、接地電位)が与えられると、ドレイン端子Dからソース端子Sへ電流が流れる。また、ゲート電極44に閾値電圧よりも低い電位が与えられるとチャネル領域231に反転層は形成されず、電流は遮断される。これにより、縦型MOSFET1は、ソース端子S及びドレイン端子D間における電流をスイッチングすることができる。
【0039】
(縦型MOSFETの製造方法)
次に、本開示の実施形態1に係る縦型MOSFET1の製造方法について説明する。
図4Aから
図4Fは、本開示の実施形態1に係る縦型MOSFET1の製造方法を工程順に示す断面図である。縦型MOSFET1は、成膜装置、露光装置、エッチング装置など、各種の装置によって製造される。以下、これらの装置を製造装置と総称する。
【0040】
図4Aに示すように、製造装置は、GaN基板10において、ウェル領域23(
図3参照)が形成される領域(以下、ウェル形成領域)23´に、アクセプタ元素としてMgをイオン注入する。例えば、製造装置は、GaN基板10の表面10a上にマスクM1を形成する。マスクM1は、GaN基板10に対して選択的に除去可能なSiO
2膜又はフォトレジストである。活性領域110(
図1参照)において、マスクM1は、ウェル形成領域23´の上方を開口し、他の領域の上方を覆う形状を有する。製造装置は、マスクM1が形成されたGaN基板10にMgをイオン注入する。イオン注入後、製造装置は、GaN基板10上からマスクM1を除去する。
【0041】
図4Aに示すMgのイオン注入工程では、イオン注入されるMgについて、GaN基板10の表面10a付近におけるMg濃度が1×10
16cm
-3以上3×10
18cm
-3以下となるように、Mgの注入エネルギー(加速電圧)とドーズ量とが設定される。表面付近とは、例えば、表面10aから深さ50nmまでの範囲をいう。
【0042】
または、
図4Aに示すMgのイオン注入工程では、GaN基板10の表面10a付近だけでなく、ウェル形成領域23´全体におけるMg濃度が1×10
16cm
-3以上3×10
18cm
-3以下となるように、Mgの注入エネルギーとドーズ量とが設定されてもよい。
図4Aに示すMgのイオン注入工程は、加速エネルギーが1条件である一段イオン注入で行ってもよいし、加速エネルギーが複数条件ある多段イオン注入で行ってもよい。
【0043】
次に、
図4Bに示すように、製造装置は、GaN基板10において、ソース領域が形成される領域(以下、ソース形成領域)26´にN型の不純物としてSiをイオン注入する。例えば、製造装置は、GaN基板10上にマスクM2を形成する。マスクM2は、SiO
2膜又はフォトレジストである。活性領域110において、マスクM2は、ソース形成領域26´の上方を開口し、他の領域の上方を覆う形状を有する。製造装置は、マスクM2が形成されたGaN基板10にSiをイオン注入する。イオン注入後、製造装置は、GaN基板10上からマスクM2を除去する。
【0044】
次に、
図4Cに示すように、製造装置は、GaN基板10において、コンタクト領域が形成される領域(本開示の「一部領域」の一例;以下、コンタクト形成領域)25´にP型不純物としてMgをイオン注入する。例えば、製造装置は、GaN基板10上にマスクM3を形成する。マスクM3は、SiO
2膜又はフォトレジストである。活性領域110において、マスクM3は、コンタクト形成領域25´の上方を開口し、他の領域の上方を覆う形状を有する。製造装置は、マスクM3が形成されたGaN基板10にMgをイオン注入する。
【0045】
図4Cに示すMgのイオン注入工程では、GaN基板10の表面10aから注入ピーク位置までの深さが例えば50nm以下となるように、注入エネルギー(加速電圧)が設定される。また、この工程では、イオン注入されるMgについて、注入ピーク位置におけるMg濃度が例えば1×10
19cm
-3以上1×10
21cm
-3以下であり、一例として1×10
19cm
-3となるようにMg(アクセプタ元素)のドーズ量が設定される。
【0046】
次に、
図4Dに示すように、製造装置は、GaN基板10のコンタクト形成領域25´にN(窒素元素)をイオン注入する。例えば、製造装置は、マスクM3が形成されたGaN基板10にNをイオン注入する。イオン注入後、製造装置は、GaN基板10上からマスクM3を除去する。
【0047】
図4Dに示すNのイオン注入工程では、GaN基板10の表面10aから注入ピーク位置までの深さが例えば50nm以下となるように、注入エネルギー(加速電圧)が設定される。この工程では、
図4Cに示したMgのイオン注入工程と同じ注入エネルギーで、Nをイオン注入してよい。また、この工程では、イオン注入されるNについて、Nの注入ピーク位置におけるN濃度が、Mgの注入ピーク位置におけるMg濃度の0.1倍以上10倍以下であり、一例として1倍となるようにNのドーズ量が設定される。
【0048】
また、
図4Dに示すNのイオン注入工程では、コンタクト形成領域25´だけでなく、ウェル形成領域23´にもNを注入してよい。
【0049】
なお、本開示の実施形態1では、
図4Cに示したMgのイオン注入工程と、
図4Dに示したNのイオン注入工程とを入れ替えた工程順としてもよい。すなわち、
図4Dに示したNイオン注入工程の後で、
図4Cに示したMgのイオン注入工程を行ってもよい。
【0050】
次に、
図4Eに示すように、製造装置は、GaN基板10の表面10a上に絶縁性の保護膜31を形成する。保護膜31は、熱処理中においてGaN基板10から窒素原子が放出されることを抑制する機能を有する。窒素原子がGaN基板10から放出された位置には窒素空孔が形成される。窒素空孔は、ドナー型欠陥として機能し得るので、P型特性の発現が阻害される可能性がある。これを防ぐことを目的に、製造装置は、GaN基板10上に保護膜31を設ける。
【0051】
保護膜31は、耐熱性が高く、GaN基板10と良好な密着性を有し、保護膜31からGaN基板10側へ不純物が拡散せず、かつ、GaN基板10に対して選択的に除去可能であることが好ましい。保護膜31は、窒化アルミニウム(AlN)膜、SiO2膜又は窒化シリコン(SiN)膜である。保護膜31は、AlN膜、SiO2膜及びSiN膜の少なくとも1つ以上を含む積層膜であってもよい。また、GaN基板10と保護膜31との間に、保護膜31の下地となる絶縁膜が設けられていてもよい。下地となる絶縁膜として、例えばSiO2膜が挙げられる。
【0052】
次に、製造装置は、保護膜31で覆われたGaN基板10に、最大温度が1300℃以上2000℃以下の熱処理を施す。この熱処理は、例えば急速加熱処理である。この熱処理により、GaN基板10に導入されたMgとSiとが活性化される。これにより、
図4Fに示すように、GaN基板10に、P型のウェル領域23と、P+型のコンタクト領域25と、N+型のソース領域26とが形成されるとともに、ドリフト領域22が画定される。また、この熱処理により、GaN基板10において、イオン注入により生じた欠陥をある程度回復することができる。熱処理後、製造装置は、GaN基板10上から保護膜31を除去する。
【0053】
次に、製造装置は、GaN基板10の表面10a上にゲート絶縁膜42(
図3参照)を形成する。次に、製造装置は、ゲート電極44(
図3参照)、ソース電極54(
図3参照)を形成する。次に、製造装置は、ゲート電極44上に層間絶縁膜(図示せず)を形成する。次に、製造装置は、ゲート電極44に電気的に接続するゲートパッド112(
図1参照)と、ソース電極54に電気的に接続するソースパッド114(
図1参照)とを形成する。また、これらの工程と前後して、製造装置は、GaN基板10の裏面10b側にドレイン電極56を形成する。これにより、
図3に示した縦型MOSFET1が完成する。
【0054】
(エピタキシャル成長法で形成される構造との相違点)
本開示の実施形態において、P型のコンタクト領域25は、Mgのイオン注入と、この後に続くNのイオン注入(または、Nのイオン注入と、この後に続くMgのイオン注入)とで形成する。コンタクト領域25をイオン注入で形成するため、同様の構造をエピタキシャル成長法で形成する場合に対して、以下(1)から(3)が相違点となりうる。
(1)コンタクト領域25は、周辺領域(P型のウェル領域23、N+型のソース領域26など)とMg以外の不純物濃度が同じである点。例えば、コンタクト領域25とウェル領域23とで、Mg以外の不純物濃度が互いに同じである点。また、コンタクト領域25とソース領域26とで、Mg及びSi以外の不純物濃度が互いに同じである点。コンタクト領域25と同様の構造をエピタキシャル成長法で形成すると、コンタクト領域と周辺領域との間で、Mg以外(または、Mg及びSi以外)の不純物濃度に差が生じてしまう。本開示の実施形態では、このような差は生じない。
(2)コンタクト領域25は、周辺領域(P型のウェル領域23、N+型のソース領域26など)との界面にSiのピークがない点。コンタクト領域25と同様の構造をエピタキシャル成長法で形成すると、コンタクト領域と周辺領域との界面に、Siのピークが生じる。このSiのピークは、チャンバ内の雰囲気に存在するSiが、再成長の際に上記界面に取り込まれることで生じる。本開示の実施形態では、このようなSiのピークは生じない。
(3)コンタクト領域25の表面と、周辺領域(例えば、P型のウェル領域23、N+型のソース領域26など)の表面との間に段差が無い(または、ほぼ無い)点。コンタクト領域25と同様の構造をエピタキシャル成長法で形成すると、コンタクト領域の表面と周辺領域の表面との間に、エッチング又は選択エピタキシャル成長による段差が生じてしまう。本開示の実施形態では、このような段差は生じない。
【0055】
(積層欠陥の発生)
本開示の実施形態において、P型のコンタクト領域25は、Mgのイオン注入と、この後に続くNのイオン注入(または、Nのイオン注入と、この後に続くMgのイオン注入)とで形成する。本明細書では、Mgのイオン注入に続いてNをイオン注入すること(または、Nのイオン注入に続いてMgをイオン注入すること)を連続注入ともいう。連続注入では、Mgのイオン注入とNのイオン注入との間で、熱処理は行われない。
【0056】
GaN基板10に浅くMgとNを連続注入することで、Mgの偏析と拡散を抑制し、母相中のMgを高濃度に維持することができる。また、GaN基板10に浅くMgとNを連続注入してP型のコンタクト領域25を形成すると、コンタクト領域25には、(0001)面に平行で、[1-100]方向の長さが2nm以上の積層欠陥が、1×1015cm-3以上1×1019cm-3以下の密度で生じることが確認された。
【0057】
この積層欠陥の発生メカニズムの詳細は現時点で不明であるが、以下の過程を経て生じるものと考えられる。以下、積層欠陥の発生メカニズムについて、Mgのみを注入する場合(すなわち、連続注入しない場合)と、MgとNとを連続注入する場合とを例に挙げて、仮説を説明する。
【0058】
(1)MgとNを連続注入する場合
図5は、GaNにMgとNを連続注入する場合に、GaN結晶に生じる空孔及び格子間原子を模式的に示す図である。
図5において、ステップST1はMgとNのイオン注入工程を示し、ステップST2はMgとNのイオン注入後を示し、ステップST3は熱処理後を示す。また、
図5及び後述の
図6において、「Ga
i」は格子間Gaを示し、「N
i」は格子間Nを示し、「Mg
i」は格子間Mgを示す。「V
Ga」はGa空孔を示し、「V
N」はN空孔を示す。
【0059】
図5のステップST1に示すように、MgとNの連続注入前は、GaとNが規則正しく配列している。ステップST2に示すように、Mgをイオン注入すると、GaN結晶中に、格子間Ga(Ga
i)、格子間N(N
i)、格子間Mg(Mg
i)、Ga空孔(V
Ga)、N空孔(V
N)が形成される。また、Nをイオン注入すると、GaN結晶中の格子間N(N
i)の割合が相対的に増加する。
【0060】
この状態で、熱処理をすると、まず格子間N(Ni)が動く。動いた格子間N(Ni)の一部はN空孔(VN)を埋め、他の一部はGaN結晶の外側へ抜けていく。MgとNを連続注入する場合は、Nのイオン注入により格子間N(Ni)の割合は相対的に増えているため、ステップST3に示すように、熱処理によりN空孔(VN)は減り、空孔クラスタが形成されにくくなる。
【0061】
さらに、GaN結晶の歪みを緩和するために、格子間Ga(Gai)と格子間N(Ni)が集まって積層欠陥SFを形成する。その結果、Ga空孔(VGa)が余り、Ga空孔(VGa)に格子間Mg(Mgi)が入り易くなる。これにより、格子間Mg(Mgi)の拡散や偏析を抑制しつつ、アクセプタを活性化する可能となる。例えば、積層欠陥SF中のGa原子数≒MgGa数となり得る。GaN結晶において、積層欠陥SFが形成されることにより、MgGaの増加が可能となる。
【0062】
MgとNの注入が浅いと、Ga空孔(VGa)、N空孔(VN)に対して格子間N(Ni)、格子間Mg(Mgi)の量が相対的に増加するため、上記効果(すなわち、積層欠陥SFの発生とMgGaの増加)が発現しやすくなる。これにより、母相におけるMg濃度を高濃度に維持することが可能となる。
【0063】
(2)Mgのみを注入する場合
図6は、GaNにMgのみを注入する場合に、GaN結晶に生じる空孔及び格子間原子を模式的に示す図である。
図6において、ステップST11はMgのイオン注入工程を示し、ステップST12はMgのイオン注入後を示し、ステップST13は熱処理後を示す。
【0064】
図6のステップST11に示すように、Mgの注入前は、GaとNが規則正しく配列している。ステップST12に示すように、Mgをイオン注入すると、GaN結晶中には、格子間Ga(Ga
i)、格子間N(N
i)、格子間Mg(Mg
i)、Ga空孔(V
Ga)、N空孔(V
N)が生じる。
【0065】
この状態で、熱処理をすると、まず格子間N(Ni)が動く。動いた格子間N(Ni)の一部はN空孔(VN)を埋め、他の一部はGaN結晶の外側へ抜けていく。MgとNを連続注入する場合とは異なり、Nは注入されていないので、格子間N(Ni)の割合は相対的に小さく、N空孔(VN)が残る。
【0066】
その結果、Ga空孔(VGa)はN空孔(VN)と巨大クラスタを形成する。多数の格子間Ga(Gai)と格子間Mg(Mgi)が、残されたGa空孔(VGa)を取り合う。Mgは巨大クラスタに偏析しやすく、偏析した分だけ母相におけるMg濃度が低くなるため、アクセプタが出来にくくなる。
【0067】
(実験結果)
次に、本開示者が行った実験結果を示す。この実験では、GaN単結晶基板の表面からのイオン注入の注入ピーク深さが20nm、注入ピーク位置における濃度が1×1019cm-3となるようにGaN基板にMgとNを連続注入し、連続注入後のGaN単結晶基板を1300℃で熱処理することで、実施例に係るGaN基板を得た。
【0068】
また、この実験では、GaN単結晶基板の表面からのイオン注入の注入ピーク深さが20nm、注入ピーク位置における濃度が1×1019cm-3となるようにGaN単結晶基板にMgのみを注入し、注入後のGaN単結晶基板を1300℃で熱処理することで、比較例に係るGaN基板を得た。
【0069】
(1)積層欠陥のSTEM像とMg偏析、Mg濃度について
図7は、本開示の実施例に係るGaN基板に生じた積層欠陥を示すSTEM像(広範囲図)である。
図7に示すSTEM(Scanning Transmission Electron Microscope)像は、GaN基板の表面からの注入ピーク深さが20nm、注入ピーク位置における濃度が1×10
19cm
-3となるようにGaN基板にMgとNを連続注入し、連続注入後のGaN基板を1300℃で熱処理することで得られた試料の断面を測定したものである。
図8は、本開示の実施例に係るGaN基板に生じた積層欠陥を示すSTEM像(拡大図)である。
図9は、
図8に示す積層欠陥のフーリエフィルター像である。
図7及び
図8に示すSTEM像において、白く光っている箇所に積層欠陥SFが存在し、結晶歪みが生じているものと考えられる。
【0070】
図10は、本開示の実施例に係るGaN基板のMg偏析の分析結果を示す3DAP(3-Dimension Atom Probe Microscope)図である。
図10の矢印で示すドットの集合箇所が、Mgが偏析している箇所である。
【0071】
図11は、
図10に示す3DAP像から算出されたMg濃度の深さプロファイルを示すグラフである。
図11の横軸はGaN基板の表面からの深さ(nm)を示し、縦軸はMg濃度(cm
-3)を示している。また、
図11のグラフ中の実線(太線)は、3DAP像から算出されたMg濃度であって、Mg偏析箇所とMg非偏析箇所を含む全領域のMg濃度を示している。
図11のグラフ中の実線(細線)は、3DAP像から算出されたMg濃度であって、Mg非偏析箇所のMg濃度を示している。
図11のグラフ中の破線は、後述する
図12のSIMS測定で得られたMg濃度(Mg+N:実施例)を示している。
【0072】
図11のグラフ中において、実線(太線)と実線(細線)との間のMg濃度差が小さいことから、GaN基板の表面から50nm付近までの浅い領域では、Mgの偏析が抑制されていることがわかる。本開示の実施例によれば、GaN基板にMgとNを浅く連続注入することで、Mg拡散とMg偏析を大幅に抑制することができ、母相中のMg濃度を5×10
18cm
-3以上に維持可能であることが確認された。
【0073】
図12は、本開示の実施例に係るGaN基板と比較例に係るGaN基板について、SIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)で得られたMg濃度の深さプロファイルを示すグラフである。
図12の横軸はGaN基板の表面からの深さ(μm)を示し、縦軸はMg濃度(cm
-3)を示している。なお、
図12のグラフ中で、As-imp.の破線は、実施例及び比較例に共通するデータであり、熱処理前のMg濃度の深さプロファイルを示している。
【0074】
図12に示すように、本開示の実施例によれば、比較例と比べて、GaN基板の表面から深さ0.3μm(=300nm)までの範囲おいて、Mg濃度を高く保持できることが確認された。比較例で示されるように、Mgのイオン注入が浅いと、1300℃の熱処理でも深さ方向に激しく拡散し、表面近傍のMg濃度が大きく低下する傾向がある。しかし、本開示の実施例によれば、MgとNを浅く連続注入することによって、Mgの深さ方向への拡散を、GaN基板の表面から深さ0.3μmまでの範囲において、大幅に抑制することができることが確認された。
【0075】
(2)積層欠陥の密度について
本開示者は、本開示の実施例に係るGaN基板(実サンプル)を用いて、積層欠陥密度を導出した。
【0076】
図13は、本開示の実施例に係るGaN基板であって、積層欠陥密度の導出に用いたLAADF(Low Angle Annular Dark Field)-STEM像である。
図13に示すLAADF-STEM像において、白く光っている箇所に積層欠陥SFが存在し、結晶歪みが生じているものと考えられるため、白い箇所の数をカウントした。
【0077】
(a)積層欠陥の密度
図13に示すGaN基板(実サンプル)において、厚み40nm×深さ60nm×視野幅375nmの範囲内に積層欠陥56個を確認した。この結果から、積層欠陥の密度は、6.2×10
16個/cm
3と算出された。
【0078】
(b)積層欠陥のサイズ
図13に示すLAADF-STEM像は断面図であり、この断面図の横方向が[1-100]方向である。
図13に示す断面図において、積層欠陥の[1-100]方向の長さは、最大8.6nm、最小2.3nm、平均5.04nmであった。
【0079】
(c)積層欠陥を構成するGa原子の空間平均密度
上述したように、
図13に示す断面図において、積層欠陥の[1-100]方向の長さの平均値は5.04nmであった。積層欠陥の平面視による形状が円形で、その円の直径の平均値が5nmであるとすると、1個の積層欠陥に含まれるGa原子の個数は約300個となる。したがって、積層欠陥を構成するGa原子の空間平均密度は、6.2×10
16個/cm
3×300≒1.9×10
19個/cm
3となる。
【0080】
(d)仮説との合致
このGa原子の空間平均密度1.9×10
19個/cm
3は、実施例に係るGaN基板(実サンプル)にイオン注入されたMgの注入ピーク位置におけるMg濃度と同等の値である。これは、
図5を参照しながら説明した積層欠陥の発生メカニズムの仮説(すなわち、GaN結晶において、Mgのイオン注入により生じた格子間Mg(Mg
i)がGa空孔(V
Ga)に入り、余った格子間Ga(Ga
i)が積層欠陥SFを形成して、GaN結晶の歪みを緩和する)と合致する。これは、上記仮説を裏付ける根拠となり得る。
【0081】
(実施形態1の効果)
以上説明したように、本開示の実施形態1に係るGaN半導体装置100は、GaN基板10と、GaN基板10に設けられたP型のコンタクト領域25と、を備える。コンタクト領域25におけるアクセプタ元素(例えば、Mg)の濃度は5×1018cm-3以上1×1021cm-3以下である。コンタクト領域25には、(0001)面に平行で、[1-100]方向の長さが2nm以上の積層欠陥SFが、1×1015cm-3以上1×1019cm-3以下の密度で存在し、より好ましくは1×1016cm-3以上1×1018cm-3以下の密度で存在する。
【0082】
これによれば、コンタクト領域25では、格子間Ga(Gai)と格子間N(Ni)とが集まって積層欠陥SFを形成しているものと考えられる。積層欠陥SFの形成により、Ga空孔(VGa)が余るため、Ga空孔(VGa)にMgが入り易くなると考えられる。これにより、Mgの偏析と拡散を抑制することができ、母相中のMgを高濃度に維持することができる。高濃度で、濃度のばらつきが小さいコンタクト領域25を実現することができる。
【0083】
本開示の実施形態1に係るGaN半導体装置100の製造方法は、GaN基板10の表面10aの側からGaN基板10のコンタクト形成領域25´にアクセプタ元素(例えば、Mg)をイオン注入する工程と、Mgをイオン注入する工程の前又は後で、表面10aの側からコンタクト形成領域25´にN(窒素元素)をイオン注入する工程と、Mg及びNがイオン注入された(すなわち、Mg及びNが連続注入された)GaN基板10に熱処理を施して、コンタクト形成領域25´にP型のコンタクト領域25を形成する工程と、を備える。Mgをイオン注入する工程では、Mgの注入ピーク位置における濃度が1×1019cm-3以上1×1021cm-3以下で、かつ、表面10aからMgの注入ピーク位置までの深さが50nm以下となるようにMgの注入条件を設定する。
【0084】
これによれば、GaN基板10の結晶中で、格子間N(Ni)の割合を相対的に増やすことができ、N空孔(VN)を格子間N(Ni)で埋めることが容易となる。これにより、N空孔(VN)を減らすことができるので、Ga空孔(VGa)とN空孔(VN)とが集まって巨大クラスタが形成されることを抑制することができる。Mgは巨大クラスタに偏析し易いが、巨大クラスタの形成が抑制されるため、Mgの偏析を抑制することができる。
【0085】
また、格子間N(Ni)の割合を相対的に増やすことができるため、格子間Ga(Gai)と格子間N(Ni)とが集まって積層欠陥SFが形成されることを促すことができる。積層欠陥SFの形成により、Ga空孔(VGa)が余るため、Ga空孔(VGa)にMgが入り易くなると考えられる。これにより、Mgの偏析と拡散を抑制することができ、母相中のMgを高濃度に維持することができる。高濃度で、濃度のばらつきが小さいコンタクト領域25を有するMOSFET1を製造することができる。
【0086】
<実施形態2>
本開示の実施形態では、ドリフト領域22にN型の不純物濃度を高めるドープ(カウンタドープ)が施されていてもよい。
【0087】
図14は、本開示の実施形態2に係る縦型MOSFET1Aの構成を示す断面図である。
図14に示すように、実施形態2に係る縦型MOSFET1Aは、N-型のドリフト領域22に設けられたN型のドープ領域cdを備える。ドープ領域cdは、N型の不純物(例えば、Si)がドープされた領域である。ドリフト領域22において、ドープ領域cd以外の領域は、非ドープ領域ucdである。ドープ領域cdは、非ドープ領域ucdよりもN型不純物(例えば、Si)の濃度が高い。
【0088】
ドープ領域cdは、非ドープ領域ucdよりもGaN基板10の表面10aに近い側に位置する。例えば、ドープ領域cdは、上部領域(JFET領域)221の全体と、下部領域222において上部領域221と接する側の端部とに連続して設けられている。
【0089】
このような構成であっても、高濃度で、濃度のばらつきが小さいコンタクト領域25を実現することができる。また、縦型MOSFET1Aは、ドリフト領域22においてチャネル領域231に隣接する領域のN型不純物濃度を高くすることができるため、耐圧の低下を抑制しつつ、オン抵抗を低減することができる。
【0090】
<実施形態3>
上記の実施形態1、2では、GaN半導体装置100がプレーナゲート構造の縦型MOSFETを備える場合を説明した。しかしながら、縦型MOSFETはプレーナゲート構造に限定されない。縦型MOSFETはトレンチゲート構造であってもよい。例えば、GaN半導体装置100は、以下に説明するトレンチゲート構造の縦型MOSFET1Bを備えてもよい。
【0091】
図15は、本開示の実施形態3に係る縦型MOSFET1Bの構成例を示す断面図である。
図15に示すように、縦型MOSFET1Bは、GaN基板10に設けられたトレンチHを有する。トレンチHは、GaN基板10の表面10a側に開口している。トレンチHはP型のウェル領域23よりも深く形成されており、トレンチHの底部はN-型の領域まで達している。
【0092】
トレンチHの内側には、ゲート絶縁膜42とゲート電極44とが配置されている。トレンチHの内側の側面と底面とをゲート絶縁膜42が覆っている。また、ゲート電極44は、ゲート絶縁膜42を介してトレンチHに埋め込まれている。縦型MOSFET1Bでは、トレンチHの内側の側面に設けられたゲート絶縁膜42を介してゲート電極44と向かい合う領域がチャネル領域231となる。
【0093】
このような構成であっても、高濃度で、濃度のばらつきが小さいコンタクト領域25を実現することができる。また、縦型MOSFET1Bは、トレンチゲート構造を採用することにより、チャネル領域231をより密に配置することが可能となる。縦型MOSFET1Bは、素子サイズの微細化とチャネル密度の向上とが可能となる。
【0094】
<その他の実施形態>
上記のように、本開示は実施形態1から3によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本開示を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、変形例が明らかとなろう。
【0095】
例えば、ゲート絶縁膜42は、SiO2膜に限定されるものではなく、他の絶縁膜であってもよい。ゲート絶縁膜42には、シリコン酸窒化(SiON)膜、ストロンチウム酸化物(SrO)膜、シリコン窒化物(Si3N4)膜、アルミニウム酸化物(Al2O3)膜も使用可能である。また、ゲート絶縁膜42には、単層の絶縁膜をいくつか積層した複合膜等も使用可能である。ゲート絶縁膜42としてSiO2膜以外の絶縁膜を用いた縦型MOSFETは、縦型MISFETと呼んでもよい。MISFETは、MOSFETを含む、より包括的な絶縁ゲート型トランジスタを意味する。
【0096】
また、上記の実施形態では、コンタクト領域25が縦型MISFETに含まれることを説明した。しかしながら、本開示の実施形態はこれに限定されない。コンタクト領域25は、GaN基板の垂直方向に電流が流れる縦型MISFETではなく、GaN基板の水平方向に電流が流れる横型MISFETに含まれていてもよい。
【0097】
また、上記の実施形態では、コンタクト領域25と接触する電極がソース電極54であることを説明した。しかしながら、本開示の実施形態はこれに限定されない。コンタクト領域25は、ソース電極以外の電極と接触してもよい。また、コンタクト領域25に例示されるP型領域は、MOSFET以外の他の素子に含まれていてもよく、例えば、バイポーラトランジスタ、ダイオード、容量素子又は抵抗素子等に含まれていてもよい。
【0098】
また、上記の実施形態では、製造方法の例として、
図4A、4B、4C、4Dの各工程では、GaN基板10の表面10aを絶縁膜(スルー膜)で保護した状態で、イオン注入してもよい。スルー膜として、例えばSiO
2膜、SiN膜又はAlN膜を用いてもよい。
【0099】
このように、本技術はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。上述した実施形態及び変形例の要旨を逸脱しない範囲で、構成要素の種々の省略、置換及び変更のうち少なくとも1つを行うことができる。また、本明細書に記載された効果はあくまでも例示であって限定されるものでは無く、また他の効果があってもよい。
【0100】
なお、本開示は以下のような構成も取ることができる。
(1)
窒化物半導体と、
前記窒化物半導体に設けられたP型領域と、を備え、
前記P型領域におけるアクセプタ元素の濃度は5×1018cm-3以上1×1021cm-3以下であり、
前記P型領域には、(0001)面に平行で、[1-100]方向の長さが2nm以上の積層欠陥が、1×1015cm-3以上1×1019cm-3以下の密度で存在する、窒化物半導体装置。
(2)
前記P型領域の厚さは60nm未満である、前記(1)に記載の窒化物半導体装置。
(3)
前記P型領域には、前記積層欠陥が、1×1016cm-3以上1×1018cm-3以下の密度で存在する、前記(1)又は(2)に記載の窒化物半導体装置。
(4)
前記窒化物半導体は、貫通転位密度の密度が1×107cm-2未満である低転位自立窒化ガリウム(GaN)基板を含む、前記(1)から(3)のいずれか1項に記載の窒化物半導体装置。
(5)
前記アクセプタ元素は、マグネシウム(Mg)及びベリリウム(Be)の少なくとも一方を含む、前記(1)から(4)のいずれか1項に記載の窒化物半導体装置。
(6)
前記窒化物半導体に設けられ、前記P型領域よりも前記アクセプタ元素の濃度が低いP型ウェル領域、をさらに備え、
前記P型領域は、前記P型ウェル領域の表面側に設けられている、前記(1)から(5)のいずれか1項に記載の窒化物半導体装置。
(7)
前記P型ウェル領域の表面側に設けられたN型ソース領域と、
前記P型ウェル領域上に設けられたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に設けられたゲート電極と、
前記窒化物半導体上に設けられ、N型ソース領域と接しているソース電極と、
前記窒化物半導体において前記ソース電極が設けられる面の反対側に設けられたドレイン電極と、をさらに備える前記(6)に記載の窒化物半導体装置。
(8)
前記P型領域は前記ソース電極と接している、前記(7)に記載の窒化物半導体装置。
(9)
窒化物半導体の表面の側から前記窒化物半導体の一部領域にアクセプタ元素をイオン注入する工程と、
前記アクセプタ元素をイオン注入する工程の前又は後で、前記表面の側から前記一部領域に窒素元素をイオン注入する工程と、
前記アクセプタ元素及び前記窒素元素がイオン注入された前記窒化物半導体に熱処理を施して、前記一部領域にP型領域を形成する工程と、を備え、
前記アクセプタ元素をイオン注入する工程では、
前記アクセプタ元素の注入ピーク位置における濃度が1×1019cm-3以上1×1021cm-3以下で、かつ、前記表面から前記アクセプタ元素の注入ピーク位置までの深さが50nm以下となるように前記アクセプタ元素の注入条件を設定する、窒化物半導体装置の製造方法。
(10)
前記窒素元素をイオン注入する工程では、
前記窒素元素の注入ピーク位置における前記窒素元素の濃度が、前記アクセプタ元素の注入ピーク位置における前記アクセプタ元素の濃度の0.1倍以上10倍以下となるように前記窒素元素の注入条件を設定する、前記(9)に記載の窒化物半導体装置の製造方法。
(11)
前記窒素元素をイオン注入する工程では、
前記表面から前記窒素元素の注入ピーク位置まので深さが50nm以下となるように前記窒素元素の注入条件を設定する、前記(9)又は(10)に記載の窒化物半導体装置の製造方法。
(12)
前記一部領域上に絶縁性の保護膜を形成する工程、をさらに備え、
前記熱処理を施す工程では、前記一部領域が前記保護膜で覆われた状態で前記窒化物半導体に熱処理を施す、前記(9)から(11)のいずれか1項に記載の窒化物半導体装置の製造方法。
(13)
前記熱処理は最大温度が1300℃以上である、前記(10)から(12)のいずれか1項に記載の窒化物半導体装置の製造方法。
【符号の説明】
【0101】
1、1A、1B 縦型MOSFET
10 GaN基板
10a 表面
10b 裏面
22 ドリフト領域
23 ウェル領域
23´ ウェル形成領域
25 コンタクト領域
25´ コンタクト形成領域
26 ソース領域
26´ ソース形成領域
31 保護膜
42 ゲート絶縁膜
44 ゲート電極
54 ソース電極
56 ドレイン電極
100 GaN半導体装置
110 活性領域
112 ゲートパッド
114 ソースパッド
130 エッジ終端領域
221 上部領域(JFET領域)
222 下部領域
231 チャネル領域
cd ドープ領域
D ドレイン端子
G ゲート端子
Gai 格子間Ga
H トレンチ
M1、M2、M3 マスク
Mgi 格子間Mg
Ni 格子間N
S ソース端子
SF 積層欠陥
ucd 非ドープ領域
VGa Ga空孔
VN N空孔