(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108830
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】作業機及び作業機の製造方法
(51)【国際特許分類】
B25C 1/00 20060101AFI20240805BHJP
【FI】
B25C1/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023013426
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】相澤 宗太郎
(72)【発明者】
【氏名】安富 俊徳
【テーマコード(参考)】
3C068
【Fターム(参考)】
3C068AA01
3C068BB01
3C068CC02
3C068CC07
3C068EE20
3C068JJ05
3C068JJ20
(57)【要約】
【課題】利便性を向上させた作業機を提供する。
【解決手段】作業機10は、軸線を中心として延びる棒状に形成され、軸線方向に移動して、軸線方向の一方側に供給される止具を打撃する打撃部12と、打撃部12の外周面と接触することで、打撃部12の軸線AX1方向の移動を案内する射出部13と、を備える。打撃部12は、軸線方向の一方側に形成される端部300と、端部300と異なる位置に設けられるピストン29と、軸線方向において端部300とピストン29との間に位置する中央部301とを有する。軸線方向視において、端部300の幅はピストン29の幅より小さく、中央部301の幅は端部300の幅よりも小さい。射出部13は、軸線方向視において環状であって打撃部12が軸線方向に沿って挿入されるノーズ部31と、軸線方向視で端部300と重なるように配置されて、中央部301と接触する回転止め部材32と、を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線を中心として延びる棒状に形成され、前記軸線が延びる軸線方向に移動して、前記軸線方向の一方側に供給される止具を打撃する打撃部と、
前記打撃部の外周面と接触することで、前記打撃部の前記軸線方向の移動を案内する射出部と、を備え、
前記打撃部は、
前記軸線方向の一方側に形成される第1端部と、
前記軸線方向において前記第1端部と異なる位置に設けられる第2端部と、
前記軸線方向において前記第1端部と前記第2端部との間に位置する中央部と、を有し、
前記軸線方向視において、前記第1端部の幅は前記第2端部の幅よりも小さく、前記中央部の幅は前記第1端部の幅よりも小さく、
前記射出部は、前記軸線方向視において環状であって前記打撃部が前記軸線方向に沿って挿入される第1部材と、前記軸線方向視で前記第1端部と重なるように配置されて、前記中央部と接触する第2部材と、を有する、作業機。
【請求項2】
請求項1に記載の作業機において、
前記射出部は、前記第1端部と接触する第3部材を有する、作業機。
【請求項3】
請求項2に記載の作業機において、
前記射出部は、前記打撃部を前記第3部材との間に挟み込んで保持する第4部材を有する、作業機。
【請求項4】
請求項3に記載の作業機において、
前記第4部材には、前記軸線方向視において前記第1端部と重複し、前記中央部と接触する突出部が形成される、作業機。
【請求項5】
請求項4に記載の作業機において、
前記第1部材と、前記第2部材と、前記第3部材とはボルトにより共締めされて固定される、作業機。
【請求項6】
請求項4に記載の作業機において、
前記第2部材と前記第3部材とは一体に形成される、作業機。
【請求項7】
請求項5または6に記載の作業機において、
前記第2部材は、前記軸線方向視において、前記中央部の幅の半分以上の範囲で、前記中央部と接触する、作業機。
【請求項8】
請求項7に記載の作業機において、
前記第1端部及び前記第2端部は、前記軸線方向視における断面形状が円形であり、
前記中央部は、前記軸線方向視における断面形状が非円形である、作業機。
【請求項9】
軸線を中心として延びる棒状に形成され、前記軸線が延びる軸線方向に移動して、前記軸線方向の一方側に供給される止具を打撃する打撃部と、前記打撃部の外周面と接触することで、前記打撃部の前記軸線方向の移動を案内する射出部と、を備え、前記打撃部は、前記軸線方向の一方側に形成される第1端部と、前記軸線方向において前記第1端部と異なる位置に設けられる第2端部と、前記軸線方向において前記第1端部と前記第2端部との間に位置する中央部と、を有し、前記軸線方向視において、前記第1端部の幅は前記第2端部の幅よりも小さく、前記中央部の幅は前記第1端部の幅よりも小さく、前記射出部は、前記軸線方向視において環状であって前記打撃部が前記軸線方向に沿って挿入される第1部材と、前記軸線方向視で前記第1端部と重なるように配置されて、前記中央部と接触する第2部材と、を有する作業機の製造方法であって、
前記第1部材に前記打撃部を挿入した後、前記第1部材に前記第2部材を取り付ける、作業機の製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載の作業機の製造方法において、
前記射出部は、前記第1端部と接触する第3部材を有し、
前記第1部材に前記第3部材を取り付けた後、前記第1部材に前記打撃部を挿入する、作業機の製造方法。
【請求項11】
請求項10に記載の作業機の製造方法において、
前記第1部材には、前記打撃部を前記軸線方向に沿って駆動させる駆動部を収容する収容部が形成され、
前記収容部に設けられた開口部を介して前記第2部材を前記第1部材内に挿入し、前記第2部材を前記第1部材に取り付ける、作業機の製造方法。
【請求項12】
請求項9に記載の作業機の製造方法において、
前記射出部には、前記第1端部と接触する第3部材が前記第2部材と一体に形成され、
前記第1部材に前記打撃部を挿入した後、前記第1部材に前記第2部材及び前記第3部材を取り付ける、作業機の製造方法。
【請求項13】
請求項10から12までの何れか一項に記載の作業機の製造方法において、
前記第2部材が前記第1部材に取り付けられた後、前記打撃部を前記第3部材との間に挟み込んで保持する第4部材を取り付ける、作業機の製造方法。
【請求項14】
請求項10から12までの何れか一項に記載の作業機の製造方法において、
前記第1部材に前記打撃部を挿入した後、前記第1部材に前記第2部材を取り付ける前に、前記打撃部を前記第3部材との間に挟み込んで保持する第4部材を取り付ける、作業機の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機及び作業機の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ピストンとドライバブレードとを移動させて、ドライバブレードで止具を打撃する作業機として打込機が知られている。特許文献1に記載の打込機には、矩形形状の断面を有するドライバブレードと、射出路を形成するブレードガイドとが、中心線の方向に沿って配置されている。ドライバブレードとブレードガイドとが当接することにより、ドライバブレードが中心線の方向に沿って移動する際に、ドライバブレードが中心線を軸として回転することが抑制されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ドライバブレードが打撃する止具の形状に合わせて、ドライバブレードの先端部の断面形状を円形にすることが望まれている。しかし、ドライバブレードの先端部の断面形状を円形にすると、矩形形状の断面を有するブレードガイドによるドライバブレードの回転抑制ができなくなる。
【0005】
これに対して、ドライバブレードの先端部以外の断面形状を矩形にすることが考えられる。この場合、組み立て時に射出部の上部からドライバブレードを射出部内に挿入すると、矩形形状の断面を有するブレードガイドとドライバブレードの先端部とが当接するため、ドライバブレードを射出部に組み付けることができない。このため、先端部以外の断面形状が矩形のドライバブレードの回転を抑制可能な射出部を形成できない。ドライバブレードの回転を抑制できない場合、摩擦によってドライバブレードの耐久性が低下し、作業機を使用する際の利便性が損なわれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施の形態による作業機は、軸線を中心として延びる棒状に形成され、前記軸線が延びる軸線方向に移動して、前記軸線方向の一方側に供給される止具を打撃する打撃部と、前記打撃部の外周面と接触することで、前記打撃部の前記軸線方向の移動を案内する射出部と、を備える。前記打撃部は、前記軸線方向の一方側に形成される第1端部と、前記軸線方向において前記第1端部と異なる位置に設けられる第2端部と、前記軸線方向において前記第1端部と前記第2端部との間に位置する中央部と、を有する。前記軸線方向視において、前記第1端部の幅は前記第2端部の幅よりも小さく、前記中央部の幅は前記第1端部の幅よりも小さい。前記射出部は、前記軸線方向視環状であって前記打撃部が前記軸線方向に沿って挿入される第1部材と、前記軸線方向視で前記第1端部と重なるように配置されて、前記中央部と接触する第2部材と、を有する。
【0007】
一実施の形態による作業機の製造方法は、軸線を中心として延びる棒状に形成され、前記軸線が延びる軸線方向に移動して、前記軸線方向の一方側に供給される止具を打撃する打撃部と、前記打撃部の外周面と接触することで、前記打撃部の前記軸線方向の移動を案内する射出部と、を備え、前記打撃部は、前記軸線方向の一方側に形成される第1端部と、前記軸線方向において前記第1端部と異なる位置に設けられる第2端部と、前記軸線方向において前記第1端部と前記第2端部との間に位置する中央部と、を有し、前記軸線方向視において、前記第1端部の幅は前記第2端部の幅よりも小さく、前記中央部の幅は前記第1端部の幅よりも小さく、前記射出部は、前記軸線方向視において環状であって前記打撃部が前記軸線方向に沿って挿入される第1部材と、前記軸線方向視で前記第1端部と重なるように配置されて、前記中央部と接触する第2部材と、を有する作業機の製造方法であって、前記第1部材に前記打撃部を挿入した後、前記第1部材に前記第2部材を取り付ける。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、利便性を向上した作業機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】
図1に示される作業機のA-A線における断面図である。
【
図3】
図2に示される作業機のB-B線における断面図である。
【
図5】射出部について説明する図であり、
図5(A)は
図3に示されるC-C線における断面図であり、
図5(B)は
図3に示されるD-D線における断面図である。
【
図6】射出部を構成する案内部の前方部材の斜視図である。
【
図7】打撃部と射出部との斜視図であり、作業機の製造方法を説明する図である。
【
図8】打撃部と射出部との斜視図であり、作業機の製造方法を説明する図である。
【
図9】第1変形例の打撃部と射出部とを説明する断面図である。
【
図10】第1変形例の打撃部と射出部とを説明する図である。
【
図11】第2変形例の打撃部と射出部とを説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面を参照しながら、実施の形態の作業機について説明する。
【0011】
図1は実施の形態の作業機10の断面図である。
図2は、
図1に示されるA-A線における作業機10の断面図である。
図3は、
図2に示されるB-B線における断面図である。作業機10は、例えば電動釘打機であり、ハウジング11、打撃部12、射出部13、電源部14、電動モータ15、ギヤケース16、変換機構17、蓄圧容器18、供給機構19、及びマガジン54を有する。
【0012】
尚、以後の説明において、
図1の紙面上部を上方、紙面下部を下方、紙面右側を前方、紙面左側を後方と呼ぶことがある。また、
図2の紙面右側を右方、紙面左側を左方と呼ぶこともある。また、上下方向を第1方向AR1と呼び、下方を第1方向AR1の一方側、上方を第1方向AR1の他方側と呼ぶこともある。
【0013】
<ハウジング11>
ハウジング11は、作業機10の外郭要素である。ハウジング11は、シリンダケース20と、シリンダケース20に接続されたハンドル21と、シリンダケース20に接続されたモータケース22と、ハンドル21及びモータケース22に接続された装着部23と、を有する。
【0014】
<シリンダケース20>
シリンダケース20には、シリンダ28が支持される。シリンダ28は金属製である。シリンダ28は、シリンダケース20に対して第1方向(上下方向)AR1に平行な軸線AX1方向及び径方向(軸線AX1と直交する方向)に位置決めされている。尚、軸線AX1は、後述する打撃部12が延びる方向である。
【0015】
<ハンドル21>
ハンドル21は作業機10の前後方向に沿って延びる。
図1に示されるように、ハンドル21の下方にトリガ51が設けられる。作業者はハンドル21を掴んだ状態にてトリガ51を操作することができる。ハンドル21内には不図示のトリガスイッチが設けられ、トリガ51に操作力が加わると操作信号を出力する。トリガ51の操作力が解除されると、トリガスイッチは操作信号の出力を停止する。
【0016】
<モータケース22>
モータケース22は、後述する電動モータ15、ギヤケース16及び変換機構17(
図2参照)を収容する収容部である。モータケース22は、電動モータ15の回転軸線AX2に沿って延伸する筒形状を有する。電動モータ15の回転軸線AX2は、第1方向(上下方向)AR1、すなわち軸線AX1と交差する方向に延びる。
【0017】
<装着部23>
装着部23は、ハンドル21及びモータケース22の後端に配置される。装着部23には、後述する電源部14が着脱可能に取り付けられる。
【0018】
また、装着部23内には、制御部73が設けられる。制御部73は、入出力インタフィース、演算処理部及び記憶部を有するマイクロコンピュータである。制御部73は、配線によってトリガスイッチと電気的に接続される。制御部73は、作業者によりトリガ51が操作されると、操作に応じて後述する電動モータ15の駆動開始又は駆動終了を指示する電気信号を出力する。
【0019】
<打撃部12>
図4は、打撃部12及び射出部13の分解斜視図である。また、
図5(A)は
図3に示されるC-C線における断面図であり、
図5(B)は
図3に示されるD-D線における断面図である。
【0020】
図2,
図3,
図4に示されるように、打撃部12は、軸線AX1を中心として延びる棒状に形成される。打撃部12は、ピストン29及びドライバブレード30を有する。ピストン29は、軸線AX1方向(すなわち上下方向)の上方側(他方側)に設けられ、軸線AX1を軸とする円柱形状を有する。このため、ピストン29の断面形状は、軸線AX1方向視(すなわち、軸線AX1と直交する面上)において、円形である。ピストン29の径は後述するドライバブレード30の径よりも大きい。
【0021】
ピストン29は、詳細を後述する蓄圧容器18に対して第1方向AR1の一方側(下方側)に設けられ、蓄圧容器18に設けられる圧力室27の圧力により第1方向AR1の一方側(下方)に常に付勢される。ピストン29は、シリンダ28の内部において軸線AX1に沿って第1方向AR1に移動可能である。ピストン29の外周面にはシール部材が取り付けられる。シール部材は、シリンダ28の内周面に接触してシール面を形成する。
【0022】
ドライバブレード30は、例えば金属製である。ドライバブレード30は、ピストン29の第1方向AR1の下方側にてピストン29と接続され、軸線AX1に沿って延びる。換言すると、ドライバブレード30は、その上方側の端部にてピストン29と接続している。上述したようにピストン29が第1方向AR1に移動可能であることから、ドライバブレード30も第1方向AR1に移動可能である。
【0023】
ドライバブレード30は、端部(第1端部)300と中央部301とを有する。端部300は、第1方向AR1の下方側、すなわち軸線AX1の下方側(一方側)に形成される。端部300は、軸線AX1を軸とする円柱形状を有する。このため、端部300の断面形状は、軸線AX1方向視(すなわち、軸線AX1と直交する面上)において、円形である。この端部300の径は、上述したピストン29の径よりも小さい。このため、軸線AX1方向視において、端部300の幅はピストン29の幅よりも小さい。換言すると、上述したピストン29は、軸線AX1の方向において端部300とは異なる位置に設けられ、端部300よりも大径の第2端部である。尚、端部300の断面形状は円形であると説明したが、ここで言う円形とは、円形の一部が切り欠かれた形状を含む。本実施の形態においても、端部300の断面形状は完全な円形ではなく、一部が円弧状に切り欠かれた形状であることが
図5(B),
図7等から見てとれる。
【0024】
中央部301は、軸線AX1に沿う第1方向AR1(上下方向)において端部300とピストン29との間に位置する。中央部301は、軸線AX1を中心とし軸線AX1に沿って延びる。中央部301は、軸線AX1に沿った長辺と、前後方向と直交する平面とを有する扁平形状を有する。このため、中央部301の断面形状は、軸線AX1方向視(すなわち、軸線AX1と直交する面上)において矩形、すなわち非円形である。
図2,
図3に示されるように、中央部301の左右方向及び前後方向の長さ(幅)は、端部300の径よりも小さい。また、中央部301の前後方向の長さ(幅)は、左右方向の長さ(幅)よりも小さい。すなわち、中央部301は、軸線AX1方向視において、端部300及びピストン29よりも軸線AX1を中心とする径方向に窪み、端部300の幅よりも小さい。
【0025】
中央部301には、
図2に示されるように、移動方向である第1方向AR1(すなわち軸線AX1)に沿って所定の間隔にて複数のラック47が配置される。ラック47は、ドライバブレード30の中央部301から電動モータ15の回転軸線AX2へ向けて突出する。ラック47が突出する方向は電動モータ15の回転軸線AX2と直交する方向である。
【0026】
尚、ドライバブレード30が
図1で第1方向AR1(軸線AX1)の一方側(下方側)へ移動することを下降と呼ぶ。ドライバブレード30が
図1で第1方向AR1(軸線AX1)の他方側(上方側)へ移動することを上昇と呼ぶ。
【0027】
<射出部13>
射出部13は、シリンダケース20に対して軸線AX1方向及びシリンダ28の径方向に位置決めされて配置される。射出部13は、第1部材であるノーズ部31、第2部材である回転止め部材32、案内部33及び筒部34を有する。ノーズ部31は軸線AX1を軸とする筒形状(環状)であり、かつ、ガイド孔35を有する。ガイド孔35は軸線AX1を中心として配置される。また、ノーズ部31には、後述する案内部33及び回転止め部材32を取り付けるボルト400,401が挿入される穴310,311(
図5(A)参照)が形成される。穴310には、前方側からボルト400が挿入される。穴311はねじ穴であり、後方側からボルト401が挿入される。
【0028】
ノーズ部31内にバンパ36が配置される。バンパ36は、例えばエラストマー等の合成ゴムで一体成形される。バンパ36には、軸線AX1を中心とするガイド孔37が設けられる。ドライバブレード30はガイド孔37内で軸線AX1に沿って第1方向AR1に移動可能である。
【0029】
筒部34は、後述する変換機構17が収容される収容部であり、ノーズ部31に対して下方側に設けられる。筒部34は、電動モータ15の回転軸線AX2を軸とする筒形状であり、前方側には製造時に変換機構17を外部から挿入するための開口部340が形成されている。
【0030】
案内部33は、ボルト405,406によってノーズ部31に固定され、かつ、ノーズ部31から第1方向AR1の下方側に突出している。案内部33の内部には、軸線AX1を中心とする同心状の射出路38が形成される。この射出路38内でドライバブレード30は軸線AX1に沿って第1方向AR1に移動可能である。射出路38の内壁面は、ドライバブレード30の端部300の外周面と接触する。これにより、ドライバブレード30は、射出路38によって、第1方向AR1に沿った移動が案内される。すなわち、射出部13は、案内部33が打撃部12であるドライバブレード30の端部300の外周面と接触することで、打撃部12の軸線AX1方向の移動を案内する。
【0031】
この射出路38に、後述するマガジン54内に収容された止具である止具Nが供給される。案内部33の第1方向AR1の下方側の端部にはプッシュレバー72が取り付けられている。プッシュレバー72は案内部33に対して第1方向AR1の所定範囲で移動可能である。
【0032】
案内部33は、軸線AX1に対して前方側に設けられる第3部材である前方部材331と、軸線AX1に対して後方側に設けられる第4部材である後方部材332とがボルト403,404によって固定されることにより形成される。前方部材331は、軸線AX1方向(上下方向)視において、前方に向けて突出する湾曲した断面形状を有する。後方部材332は、軸線AX1方向(上下方向)視において、後方に向けて突出する湾曲した断面形状を有する。このため、前方部材331の内壁面331aと後方部材332の内壁面332aとにより囲まれる領域が上記の射出路38となる。上述したように、ドライバブレード30の端部300の外周面が射出路38の内壁面(すなわち内壁面331a,332a)と接触しているため、第3部材である前方部材331は第1端部である端部300と接触している、と言うことができる。また、ドライバブレード30は、射出路38内を軸線AX1に沿って第1方向AR1に移動可能に保持されている。このため、ドライバブレード30は前方部材331と後方部材332との間に挟み込まれて保持されている、と言うことができる。
【0033】
図6(A),(B)は前方部材331の斜視図である。
図6(A)は前方部材331を前方から見た斜視図であり、
図6(B)は前方部材331を後方から見た斜視図である。前方部材331は、後述する回転止め部材32が取り付けられる取付部333と、上下方向に延びる本体部334とにより構成される。取付部333は、前方部材331の上方側の端部近傍に形成される。取付部333には、ボルト400,401が挿入される穴335,336が形成される。穴355はねじ穴である。
【0034】
本体部334は、上述したように、軸線AX1方向視において、前方に向けて突出する湾曲した断面形状を有する。
図6(B)に示されるように、本体部334の下端部近傍には、上下方向に沿った切り欠きにより形成された移動規制部334aが設けられる。ドライバブレード30の端部300の外周面に形成された不図示の突部が移動規制部334aに接触して収容されることにより、ドライバブレード30が左右方向に移動することが規制される。
【0035】
後方部材332の上方側には、
図3に示されるように、内壁面332aから前方側、すなわち軸線AX1側へ突出する突出部337が形成されている。突出部337の前方側の面は、射出路38に挿入されたドライバブレード30に形成された中央部301の後方側の面301bと平行であり、面301bと接触する。このため、上下方向視(軸線AX1方向視)において、突出部337は、中央部301の前後方向の長さよりも大きな径を有する端部300と重複する。
【0036】
回転止め部材32は、上述したドライバブレード30の中央部301の前方側に配置される。具体的には、回転止め部材32には、穴321,322が形成される。ノーズ部31の穴310に挿入されたボルト400が穴321及び取付部333の穴335に挿入されることにより、回転止め部材32は取付部333に固定される。また、回転止め部材32の穴322及び取付部333の穴336に挿入されたボルト401がノーズ部31の穴311に挿入されることによって、回転止め部材32及び前方部材331がノーズ部31に取り付けられる。換言すると、ノーズ部31と、回転止め部材32と、前方部材331とはボルトにより共締めされて固定される。
【0037】
回転止め部材32は、前後方向と直交する面323,324と、前後方向と平行な面325とを有する。面325は、前方側で面323と連接し、後方側で面324と連接している。回転止め部材32が前方部材331の取付部333に取り付けられると、取付部333は、前後方向において面323と面324とによって挟み込まれる。上述した穴321は面323に形成され、穴322は面324に形成される。
【0038】
取付部333に対して後方側に位置する面324は、中央部301の前方側の面301a(
図3参照)と平行である。回転止め部材32の面324は、中央部301の前方側の面301aと接触する。すなわち、面324は、前方部材331の内壁面331aよりも後方側、具体的には軸線AX1に近い側に位置する。このため、第2部材である回転止め部材32に面324は、軸線AX1方向視において、ドライバブレード30の端部300と重なるように配置されて、ドライバブレード30の中央部301と接触している。回転止め部材32の面324は、上下方向視(軸線AX1方向視)、すなわち左右方向において、中央部301の面301aの長さ(幅)の半分以上の範囲で接触する。このため、ドライバブレード30の中央部301は、前方側にて回転止め部材32の面324と接触し、後方側にて後方部材332の突出部337と接触する。この結果、ドライバブレード30が軸線AX1に沿って第1方向AR1に移動する際に、軸線AX1を中心として回転することが抑制される。
【0039】
尚、打撃部12を射出部13に組み付けて作業機10を製造する製造方法については、詳細を後述する。
【0040】
<電源部14>
図1に示されるように、電源部14は装着部23に着脱可能に取り付けられ、電動モータ15及び供給機構19に電力を供給する直流電源である。電源部14は、収容ケースと、収容ケース内に収容した複数の電池セルとを有する。電池セルは、充電及び放電が可能な二次電池であり、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、リチウムイオンポリマー電池、ニッケルカドミウム電池の何れかを用いることができる。
【0041】
<電動モータ15>
電動モータ15は、電源部14から電力の供給を受けて回転し、打撃部12を駆動する。電動モータ15は、モータケース22内に配置されている。電動モータ15は、例えばロータ及びステーターを有するブラシレスモータである。
【0042】
<ギヤケース16>
ギヤケース16は、モータケース22内にて電動モータ15の前方側に設けられる。ギヤケース16は筒形状であり、ノーズ部31及び筒部34に対して回転しない。ギヤケース16内には、入力要素、出力要素及び複数組のプラネタリギヤ機構を有する減速機構が設けられる。減速機構の入力要素は電動モータ15の回転軸に連結されており、入力要素は軸受により回転可能に支持されている。
【0043】
<変換機構17>
変換機構17は、ギヤケース16の前方側において、射出部13の筒部34に収容される。変換機構17は、ギヤケース16内の減速機構の出力要素の回転力をドライバブレード30の軸線AX1に沿った第1方向AR1の移動力に変換する。
図2,
図4に示されるように、変換機構17は、駆動軸45、ピンホイール46及びピニオンピン48を有する。駆動軸45は電動モータ15の回転軸線AX2を中心として軸受により回転可能に支持される。ピンホイール46は駆動軸45に固定される。ピンホイール46は複数のピニオンピン48を有する。
【0044】
複数のピニオンピン48は、ピンホイール46の回転方向に間隔をおいて配置される。複数のピニオンピン48は、ピンホイール46の回転方向における所定角度の範囲に配置される。複数のピニオンピン48は、上述したドライバブレード30の中央部301に設けられた複数のラック47に対してそれぞれ単独で係合及び解放が可能である。
【0045】
<蓄圧容器18>
図2,
図3に示されるように、蓄圧容器18は、キャップ24を有する。ヘッドカバー26がシリンダケース20の第1方向AR1の上方側に取り付けられており、蓄圧容器18は、シリンダケース20内及びヘッドカバー26内に配置される。蓄圧容器18内に圧力室27が設けられる。圧力室27には気体が充填される。気体は圧縮性の気体であればよい。気体として、空気の他、例えば窒素ガス、希ガス等の不活性ガスが用いられる。上述したように、蓄圧容器18に設けられる圧力室27の圧力により打撃部12は第1方向AR1の一方側(下方)に常に付勢される。尚、圧力室27に空気が充填されているものとして説明を行う。
【0046】
<供給機構19>
図1に示されるように、供給機構19は、後述するマガジン54内に収容された止具N(
図2参照)を、第2方向AR2に沿って射出部13内に供給する。尚、第2方向AR2は、第1方向AR1と交差し、電動モータ15の回転軸線AX2と非平行な方向である。
【0047】
供給機構19は、スプリング59、ソレノイド60、鉄芯61及びフィーダ部62を有する。フィーダ部62は、鉄芯61と共に第2方向AR2に沿って往復運動可能である。フィーダ部62には、第2方向AR2に沿って複数の送り爪(不図示)が所定の間隔ごとに設けられている。
【0048】
ソレノイド60は、ボビン、ボビン内に設けられるコイル等を有する。鉄芯61は、ソレノイド60のボビンに対して第2方向AR2に沿って往復運動可能である。鉄芯61は、例えば鉄等の磁性材料製である。スプリング59は、鉄芯61を第2方向AR2の前方側に付勢する付勢部材であり、フィーダ部62を初期位置に位置させる。ソレノイド60のコイルは電源部14に接続され、電源部14により電流が供給されると磁気吸引力を発生する。この磁気吸引力により、鉄芯61は、スプリング59の付勢力に抗して第2方向AR2の後方側へ移動する。この鉄芯61の移動とともに、フィーダ部62も第2方向AR2の後方側の所定の位置(止具装着位置)へ移動する。
【0049】
この移動を開始する時点では、フィーダ部62に設けられた送り爪は、後述する連結要素により連結された複数の止具(釘)Nの間には進入していない。このため、複数の止具Nは第2方向AR2の前方側へ移動されることはない。フィーダ部62が止具装着位置に到達すると、フィーダ部62に設けられた送り爪は連結要素により連結されている止具N同士の間に進入する。
【0050】
電源部14による電流供給が終了されると、コイルは磁気吸引力を解消する。これにより、鉄芯61はスプリング59の付勢力により第2方向AR2の前方側に移動する。この鉄芯61の移動とともにフィーダ部62も止具装着位置から第2方向AR2の前方側に移動し、初期位置へ移動する。フィーダ部62が第2方向AR2の前方側へ移動すると、フィーダ部62と共に移動する送り爪により止具Nが第2方向AR2の前方側の射出部13へ供給される。これにより、フィーダ部62は、マガジン54に収容された止具Nのうち、連結要素の先頭に位置する止具Nをドライバブレード30の下方側に位置させる。
【0051】
<マガジン54>
図1に示されるように、マガジン54は、ハンドル21及びモータケース22(すなわち、電動モータ15)に対して、第1方向(上下方向)AR1の一方側(下方)であり、供給機構19の後方(第2方向AR2の他方側)に配置される。マガジン54は、第3方向AR3に平行な軸線を中心とする略円筒形状を有する。マガジン54には、連結された複数の止具Nをロール状にして内部に収容する。複数の止具Nは、例えば接着剤、針金等の連結要素によって互いに連結されており、それぞれの止具Nは第3方向AR3に平行に延びる。連結された複数の止具Nは、上記の第3方向AR3に平行な軸線を中心として巻かれた渦状、すなわちロール状に巻かれた状態でマガジン54内に配置される。
【0052】
<作業機10の動作>
釘打機である作業機10を用いて止具Nである釘を作業対象物(被打込材)に打ち込む際の作業機10の動作の一例を説明する。作業者がトリガ51に操作力を加え、かつ、プッシュレバー72が作業対象物に押し付けられて押し操作されると、制御部73に制御されて、電源部14から電動モータ15に電力が供給される。電力の供給を受けた電動モータ15により駆動軸45が回転駆動すると、ピンホイール46が回転する。
【0053】
ピンホイール46が
図2の時計回りに回転して、少なくとも1個のピニオンピン48と、少なくとも1個のラック47とが係合すると、ピンホイール46の回転力は打撃部12のドライバブレード30に伝達される。伝達された回転力によりドライバブレード30は圧力室27の圧力に抗して上昇する。すなわち、変換機構17は、ドライバブレード30と係合した状態で電動モータ15の駆動力によって回転することで、ドライバブレード30を第1方向AR1の他方側(上方)、すなわち軸線AX1の方向に沿って駆動させる駆動部として機能する。
【0054】
ピニオンピン48が全てラック47から解放されると、ピンホイール46の回転力はドライバブレード30に伝達されない。その結果、ドライバブレード30は、圧力室27の圧力により下降し、射出部13の射出路38に案内されて、第1方向AR1(すなわち軸線AX1の方向)の一方側(下方側)に移動する。そして、ドライバブレード30は、射出路38に供給された止具Nを打撃する。すなわち、打撃部12のドライバブレード30は、軸線AX1に沿った軸線AX1方向に移動して、軸線AX1方向の一方側(下方側)の止具Nを打撃する。これの結果、止具Nは、ドライバブレード30により打撃され、作業対象物(被打込材)に打ち込まれる。
【0055】
<作業機10の製造方法>
図7(A)~
図8(B)を参照して、打撃部12を射出部13に組み付けて作業機10を製造する方法について説明する。
図7(A)は、ノーズ部31の上部にシリンダ28が取り付けられた状態で、案内部33の前方部材331が射出部13に取り付けられた状態を示す斜視図である。前方部材331は、前方から挿入されるボルト405,406によって射出部13に取り付けられている。
【0056】
図7(B)は、
図7(A)に示されるようにノーズ部31に前方部材331が取り付けられた後、打撃部12が取り付けられた状態を示す。打撃部12は、シリンダ28の上方からシリンダ28及び環状のノーズ部31の内部に軸線AX1の方向に沿って挿入される。尚、打撃部12は、ドライバブレード30の中央部301に設けられたラック47が右側、すなわち筒部34側となるように、ノーズ部31内に挿入される。
【0057】
図7(C)は、
図7(B)に示されるように打撃部12が取り付けられた後、ノーズ部31に回転止め部材32が取り付けられた状態を示す。回転止め部材32は、筒部34の前方側の開口部340を介してノーズ部31内に挿入される。回転止め部材32は、面323と面324とによって前後方向から前方部材331の取付部333を挟み込むように取り付けられる。そして、ノーズ部31の前方側から穴310に挿入されたボルト400と、ノーズ部31の後方側から挿入されたボルト401とによって、回転止め部材32及び前方部材331がノーズ部31に固定される。
【0058】
図8(A)は、
図7(C)に示されるように回転止め部材32が取り付けられた後、前方部材331の後方に後方部材332が取り付けられた状態を示す。前方部材331と後方部材332とは、前方から挿入されたボルト403,404によって固定される。これにより、前方部材331の後方に位置するドライバブレード30が、前方部材331と後方部材332とによって挟み込まれる。その後、
図8(B)に示されるように、変換機構17が、射出部13の筒部34内に前方から挿入され、固定されることにより、打撃部12と射出部13との組み付けが終了する。尚、後方部材332の取り付けと、変換機構17の取り付けとの順番は上記の逆順序であってもよい。すなわち、
図7(C)に示される状態から変換機構17を取り付けた後、後方部材332を取り付けてもよい。
【0059】
以上で説明した実施の形態によれば、以下の作用効果の少なくとも一つが得られる。
【0060】
(1)打撃部12は、第1端部である端部300と、第2端部であるピストン29と、中央部301とを有する。端部300は、ドライバブレード30の軸線AX1方向の一方側(下方側)に形成される。ピストン29は、軸線AX1方向において端部300と異なる位置に設けられる。中央部301は、軸線AX1方向において端部300とピストン29との間に位置する。軸線AX1方向視において、端部300の幅(径)はピストン29の幅(径)よりも小さく、端部300の幅は端部300の幅よりも小さい。射出部13は、環状であって打撃部12が軸線AX1方向に挿入される第1部材であるノーズ部31と、軸線AX1方向視で端部300と重なるように配置されて、中央部301と接触する第2部材である回転止め部材32と、を有する。これにより、ドライバブレード30の端部300の断面形状を止具Nの形状に合わせて円形にした場合であっても、中央部301と接触する回転止め部材32によってドライバブレード30の軸線AX1を回転中心とする回転を抑制可能な射出部13を形成することができる。この結果、ドライバブレード30の回転による摩擦のためにドライバブレード30の耐久性が低下することが抑制され、作業機10の使用時の利便性が損なわれることが抑えられる。
【0061】
(2)射出部13は、端部300と接触する第3部材である前方部材331を有する。これにより、端部300の外周面が前方部材331の内壁面331aに接触するため、ドライバブレード30は、射出路38内で軸線AX1とは異なる方向に移動することが抑制される。
【0062】
(3)射出部13は、打撃部12を前方部材331との間に挟み込んで保持する第4部材である後方部材332を有する。これにより、ドライバブレード30は、前方部材331と後方部材332とによって形成される射出路38内で、軸線AX1に沿って第1方向AR1に移動することが可能となる。
【0063】
(4)後方部材332には、軸線AX1方向視において端部300と重複し、中央部301と接触する突出部337が形成される。これにより、中央部301の後方側においても射出部13と接触することになるので、ドライバブレード30が軸線AX1を回転中心として回転することを抑制することができる。この結果、ドライバブレード30の回転による摩擦のためにドライバブレード30の耐久性が低下することが抑制され、作業機10の使用時の利便性が損なわれることが抑えられる。
【0064】
(5)ノーズ部31と、回転止め部材32と、前方部材331とはボルト400,401により共締めされて固定される。これにより、回転止め部材32を固定するための部品点数を減少させ、軽量化、低コスト化に寄与することができる。
【0065】
(6)回転止め部材32は、軸線AX1方向視において、中央部301の幅の半分以上の範囲で、中央部301と接触する。これにより、回転止め部材32と中央部301とは、ドライバブレード30の軸線AX1を回転中心とする回転を抑制するために必要な接触面積を得ることができる。
【0066】
(7)端部300及びシリンダ28は軸線AX1方向視における断面形状が円形であり、中央部301は軸線AX1方向視における断面形状が非円形である。これにより、ドライバブレード30の端部300を止具Nの形状に応じた断面形状とすることができるので、ドライバブレード30は確実に止具Nを打撃することができる。また、中央部301を回転止め部材32の面323と広い範囲で接触可能な形状とすることができるので、ドライバブレード30が軸線AX1を回転中心として回転することが抑制される。
【0067】
(8)作業機10を製造する際には、ノーズ部31に前方部材331が取り付けられた後、ノーズ部31に打撃部12が挿入される。その後、ノーズ部31に回転止め部材32が取り付けられる。具体的には、回転止め部材32は、収容部である筒部34に設けられた開口部340を介してノーズ部31内に挿入され、ノーズ部31に取り付けられる。これにより、ドライバブレード30の中央部301の断面形状が円形ではない場合に、製造時にドライバブレード30を射出部13の上部から挿入しても、ドライバブレード30の軸線AX1を回転中心とする回転を抑制可能な作業機10を得ることができる。
【0068】
(9)回転止め部材32がノーズ部31に取り付けられた後、打撃部12を前方部材331との間に挟み込んで保持する後方部材332が取り付けられる。これにより、ドライバブレード30の中央部301の断面形状が円形ではない場合に、ドライバブレード30が射出路38内に収容された作業機10を得ることができる。
【0069】
上述した実施の形態を次のように変形することができる。
【0070】
<第1変形例>
第1変形例の作業機10は、実施の形態の作業機10が有する射出部13の回転止め部材32とは異なる形状を有する回転止め部材を有する。以下の説明においては、実施の形態の作業機10と同様の構成には同一の符号を付与する。また、以下の説明は実施の形態との相違点を主として行い、実施の形態と同一の点については説明を行わない。
【0071】
図9,
図10(A),
図10(B)は、第1変形例の作業機10の打撃部12及び射出部13を説明する図である。
図9は、実施の形態における
図3の断面図と同様の断面図である。
図10(A)は、打撃部12及び射出部13の一部を後方下部から見た斜視図である。
図10(B)は、
図9のE-E線における断面図である。
【0072】
作業機10の射出部13は、回転止め部材42を有する。回転止め部材42は、前後方向と直交する面420と、前後方向と平行な面421とを有する。面421は、後方側で面420と連接している。面420には、ボルト401が挿入される穴422が形成されている。また、面420には、ボルト407が挿入される不図示の穴が、穴422の下方に形成されている。後方側から上記の2個の穴にボルト401,407が挿入されることにより、回転止め部材42はノーズ部31に固定される。
【0073】
尚、ドライバブレード30の取付部333には、実施の形態とは異なり、ボルト401が挿入される穴336が形成されていない。すなわち、回転止め部材42は、取付部333を介することなくノーズ部31に固定される。また、回転止め部材42は、実施の形態の回転止め部材32の面323に相当する面を有していない。このため、ノーズ部31の穴310に前方から挿入されたボルト400が取付部333の穴335に挿入されることにより、前方部材331はノーズ部31に固定される。
【0074】
取付部333に対して後方側に位置する面420は、実施の形態の回転止め部材32の面323と同様に、中央部301の前方側の面301aと平行である。そして、回転止め部材42の面420は中央部301の前方側の面301aと接触する。この場合も、回転止め部材42の面420は、上下方向視(軸線AX1方向視)、すなわち左右方向において、中央部301の面301aの長さ(幅)の半分以上の範囲で接触する。この結果、実施の形態の場合と同様に、ドライバブレード30が軸線AX1に沿って第1方向AR1に移動する際に、軸線AX1を中心として回転することが抑制される。
【0075】
尚、第1変形例においても、製造時には、
図7(B)に示される状態のとき、回転止め部材42は、筒部34の前方側の開口部340からノーズ部31内に挿入される。そして、回転止め部材42は、面420が前方部材331の取付部333の後方に位置するように取り付けられ、ノーズ部31の後方側から挿入されたボルト401,407によってノーズ部31に固定される。
【0076】
これにより、第1変形例においても、上述した実施の形態により得られる作用効果(1)~(9)の少なくとも一つが得られる。
【0077】
<第2変形例>
第2変形例の作業機10は、実施の形態の作業機10が有する射出部13と異なり、回転止め部材と前方部材とが一体に形成されている。以下の説明においては、実施の形態の作業機10と同様の構成には同一の符号を付与する。また、以下の説明は実施の形態との相違点を主として行い、実施の形態と同一の点については説明を行わない。
【0078】
図11は、第2変形例の作業機10の打撃部12及び射出部13を説明する図であり、実施の形態における
図3の断面図と同様の断面図である。第2変形例の作業機10の射出部13が有する案内部33は、前方部材431と、実施の形態と同様の後方部材332とを有する。前方部材431の上方側端部の近傍には、内壁面431aから後方側(軸線AX1側)へ突出する突部432が形成されている。
【0079】
突部432の後方側の面は、射出路38に挿入されたドライバブレード30に形成された中央部301の前方側の面301aと平行であり、面301aと接触する。この場合も、突部432の後方側の面は、上下方向視(軸線AX1方向視)、すなわち左右方向において、中央部301の面301aの長さ(幅)の半分以上の範囲で接触する。この結果、実施の形態と同様に、ドライバブレード30が軸線AX1に沿って第1方向AR1に移動する際に、軸線AX1を中心として回転することが抑制される。換言すると、突部432は、実施の形態の第2部材である回転止め部材32と同様に機能する。このため、第2変形例においては、第2部材である突部432と、第3部材である前方部材431とは一体に形成される、と言うことができる。
【0080】
上記の構成を有することにより、第2変形例においても、上述した実施の形態により得られる作用効果(1)~(4),(6),(7)の少なくとも一つが得られる。
【0081】
尚、第2変形例においては、ノーズ部31にドライバブレード30を挿入した後に、前方部材431をノーズ部31に取り付け、ボルト400によって固定する。そして、実施の形態にて説明した
図8(A),8(B)に示されるように、後方部材332と変換機構17とを取り付けることにより作業機10が製造される。突部432と前方部材431とが一体に形成されているため、
図7(C)に示される回転止め部材32を取り付ける工程を省略することができ、製造効率の向上に寄与する。また、実施の形態とは異なり回転止め部材32を取り付ける必要が無いため、実施の形態のノーズ部31の穴311と取付部333の穴336とは形成されなくてよい。
【0082】
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【0083】
たとえば、ドライバブレード30の中央部301の断面形状は軸線AX1方向視において、円形や楕円形であってもよい。この場合、実施の形態の回転止め部材32の面323や、第1変形例の回転止め部材42の面420や、第2変形例の前方部材431の突部432の後方側の面は、軸線AX1方向視において、中央部301の形状に応じて湾曲した形状を有しているとよい。さらに、後方部材332の突出部337も中央部301の形状に応じて湾曲した形状を有しているとよい。
【0084】
また、ノーズ部31に対して前方部材331を取り付け、打撃部12を挿入した後、ノーズ部31に回転止め部材32を取り付ける前に、後方部材332を取り付ける構成としてもよい。
【符号の説明】
【0085】
10 作業機、11 ハウジング、12 打撃部、13 射出部、15 電動モータ、17 変換機構、20 シリンダケース、28 シリンダ、29 ピストン、30 ドライバブレード、31 ノーズ部、32,42 回転止め部材、33 案内部、34 筒部、38 射出路、46 ピンホイール、47 ラック、48 ピニオンピン、300 端部、301 中央部、301a,301b 面、331,431 前方部材、331a,332a,431a 内壁面、332 後方部材、333 取付部、334 本体部、334a 移動規制部、337 突出部、340 開口部、432 突部、400,401 ボルト