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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010884
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】物品搬送容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 21/08 20060101AFI20240118BHJP
   B65D 81/38 20060101ALI20240118BHJP
   B65D 6/18 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
B65D21/08
B65D81/38 B
B65D6/18 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022112444
(22)【出願日】2022-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100158067
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 基
(74)【代理人】
【識別番号】100147854
【弁理士】
【氏名又は名称】多賀 久直
(72)【発明者】
【氏名】加藤 誠
【テーマコード(参考)】
3E061
3E067
【Fターム(参考)】
3E061AA01
3E061AD07
3E061CA01
3E061CA06
3E061DA02
3E067AA30
3E067BA05A
3E067BA09A
3E067BB17A
3E067BC07A
3E067CA18
3E067EB27
3E067FA01
3E067FC01
3E067GA01
3E067GA06
(57)【要約】
【課題】物品搬送容器の使い勝手を向上する。
【解決手段】物品搬送容器10は、底壁体12の縁辺に立つ複数の側壁体14により囲われる物品収納部16を有している。側壁体14は、下壁部24と下壁部24に接続された上壁部26との間で折り曲げ可能である。物品搬送容器10は、上壁部26を下壁部24の上側に並べて、物品収納部16を形成する第1状態と、第1状態から折り返した上壁部26を下壁部24の外側に重ねて、物品収納部16を形成する第2状態とに変更可能である。
【選択図】図1



【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁体の縁辺に立つ複数の側壁体により囲われる物品収納部を有する物品搬送容器であって、
前記側壁体は、下壁部と前記下壁部に接続された上壁部との間で折り曲げ可能であり、
前記上壁部を前記下壁部の上側に並べて、前記物品収納部を形成する第1状態と、
前記第1状態から折り返した前記上壁部を前記下壁部の外側に重ねて、前記物品収納部を形成する第2状態と、に変更可能である
ことを特徴とする物品搬送容器。
【請求項2】
前記第1状態において隣り合う前記側壁体の前記上壁部同士を接続する上部接続手段を備えている請求項1記載の物品搬送容器。
【請求項3】
前記物品収納部を開閉する蓋体を備え、
前記蓋体は、前記側壁体の前記第1状態における前記物品収容部の開口内及び前記側壁体の前記第2状態における前記物品収納部の開口内に嵌まり込む篏合部を備えている請求項1記載の物品搬送容器。
【請求項4】
前記上壁部を前記下壁部の外側に重ねた前記側壁体を、前記底壁体に重なる状態に姿勢変化可能である請求項1記載の物品搬送容器。
【請求項5】
前記第1状態及び前記第2状態において隣り合う前記側壁体の前記下壁部同士を接続する下部接続手段を備えている請求項4に記載の物品搬送容器。
【請求項6】
前記底壁体及び前記側壁体が、断熱性部材を含み、
前記物品搬送容器が、保温保冷容器である請求項1記載の物品搬送容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、物品搬送容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
保冷ボックスに物品を収納し、物品を冷やした状態で、宅配等の搬送が行われている。物品を届けることで、保冷ボックス内の物品が減っていくが、保冷ボックスの占めるスペースは変わらない。そこで、入れ子構造の内部ボックスと外部ボックスと有する伸縮式の保冷ボックスが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の保冷ボックスは、内部ボックスと外部ボックスとを上下にずらして配置することで、内部を大きくできる。また、特許文献1の保冷ボックスは、内部ボックスと外部ボックスとを重ねて合わせて配置することで、内部を小さくできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3094650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の保冷ボックスは、外部ボックスと内部ボックスとずらして伸張した状態において、物品が内部ボックスに載ったり、出し入れ時に物品が内部ボックスに引っ掛かったりすることがあり、使い勝手が悪い。また、特許文献1の保冷ボックスは、伸張した状態であっても、外部ボックスと内部ボックスとを一部重ねる必要がある。このため、伸張した状態において内部が余り大きくならないことも、使い勝手を損なっている。
【0005】
本発明は、従来の技術に係る前記課題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、使い勝手のよい物品搬送容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る物品搬送容器の第1態様は、
底壁体の縁辺に立つ複数の側壁体により囲われる物品収納部を有する物品搬送容器であって、
前記側壁体は、下壁部と前記下壁部に接続された上壁部との間で折り曲げ可能であり、
前記上壁部を前記下壁部の上側に並べて、前記物品収納部を形成する第1状態と、
前記第1状態から折り返した前記上壁部を前記下壁部の外側に重ねて、前記物品収納部を形成する第2状態と、に変更可能であることを要旨とする。
【0007】
本発明に係る物品搬送容器の第2態様は、前記第1態様において、
前記第1状態において隣り合う前記側壁体の前記上壁部同士を接続する上部接続手段を備えていてもよい。
【0008】
本発明に係る物品搬送容器の第3態様は、前記第1態様又は前記第2態様において、
前記物品収納部を開閉する蓋体を備え、
前記蓋体は、前記側壁体の前記第1状態における前記物品収容部の開口内及び前記側壁体の前記第2状態における前記物品収納部の開口内に嵌まり込む篏合部を備えていてもよい。
【0009】
本発明に係る物品搬送容器の第4態様は、前記第1態様、前記第2態様及び前記第3態様の何れか1つにおいて、
前記上壁部を前記下壁部の外側に重ねた前記側壁体を、前記底壁体に重なる状態に姿勢変化可能であってもよい。
【0010】
本発明に係る物品搬送容器の第5態様は、前記第1態様、前記第2態様、前記第3態様及び前記第4態様の何れか1つにおいて、
前記第1状態及び前記第2状態において隣り合う前記側壁体の前記下壁部同士を接続する下部接続手段を備えていてもよい。
【0011】
本発明に係る物品搬送容器の第6態様は、前記第1態様、前記第2態様、前記第3態様、前記第4態様及び前記第5態様の何れか1つにおいて、
前記底壁体及び前記側壁体が、断熱性部材を含み、
前記物品搬送容器が、保温保冷容器であってもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る物品搬送容器によれば、使い勝手がよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施例に係る物品搬送容器を示す斜視図である。なお、蓋を取り付けた第1状態である。
図2】実施例の物品搬送容器を示す斜視図である。なお、蓋を取り外した第1状態である。
図3図1のA-A線で切断した断面図である。
図4図1のB-B線で切断した断面図である。
図5】実施例の物品搬送容器を示す斜視図である。なお、第1状態から第2状態に変更する途中である。
図6】実施例の物品搬送容器を示す斜視図である。なお、蓋を取り付けた第2状態である。
図7】実施例の物品搬送容器を示す斜視図である。なお、蓋を取り外した第2状態である。
図8図6のC-C線で切断した断面図である。
図9図6のD-D線で切断した断面図である。
図10】実施例の物品搬送容器を示す斜視図である。なお、第2状態から更に折り畳む途中である。
図11】実施例の物品搬送容器を示す斜視図である。なお、側壁を折り畳んだ状態である。
図12図11のE-E線で切断した断面図である。
図13図11のF-F線で切断した断面図である。
図14】物品搬送容器の別例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明に係る物品搬送容器につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。
【実施例0015】
図1図2図6及び図7に示すように、実施例に係る物品搬送容器10は、物品搬送容器10の底面を構成する底壁12と、物品搬送容器10の側面を構成する側壁14とを備えている。物品搬送容器10は、底壁12及び側壁14により囲われる物品収納部16を有し、この物品収納部16に物品を収納可能になっている。また、物品搬送容器10は、物品収納部16を開閉する蓋18を備え、蓋18が物品搬送容器10の天面を構成する。なお、実施例において、底壁12が本発明の底壁体の一態様に対応し、側壁14が本発明の側壁体の一態様に対応し、蓋18が本発明の蓋体の一態様に対応する。
【0016】
図2及び図7に示すように、実施例の物品搬送容器10は、底壁12及び底壁12の縁辺に立つ側壁14によって、上部が開口する箱状の容器本体が構成される。実施例では、平面視四角形状に形成された底壁12の各縁辺に対応して、側壁14が配置されており、4枚の側壁14によって物品収納部16を囲んでいる。側壁14を特に区別する場合、物品収納部16を囲んで対向する一方の組の側壁14を、第1側壁14Aといい、物品収納部16を囲んで対向する他方の組の側壁14を、第2側壁14Bという。実施例では、第1側壁14Aが、対向配置された2枚の第2側壁14B,14Bの間に挟まれて配置されている(図2参照)。第1側壁14Aが、底壁12の上面に接続されている(図4及び図9参照)。また、第2側壁14Bが、底壁12の側端面に接続されている(図3及び図8参照)。
【0017】
物品搬送容器10は、側壁14の上下寸法を変更可能であり、これにより物品収納部16の上下寸法を変化させることができる(図1図9参照)。また、物品搬送容器10は、側壁14が底壁12の縁辺に立つ状態(図1図9)と、側壁14が底壁12に重なる状態(図10図13参照)とに、側壁14を姿勢変化可能にしてもよい。物品搬送容器10は、側壁14を立てた姿勢で物品の収納に使用される。物品搬送容器10は、側壁14を底壁12に重ねて倒した姿勢にすることで、不使用時にコンパクトにまとめることが可能である。
【0018】
図3図4図8及び図9に示すように、実施例において、底壁12、側壁14及び蓋18は、構成要素として、断熱性部材20を含んでいる。従って、側壁14及び底壁12で構成される容器本体及び蓋18が、断熱性を有している。実施例の物品搬送容器10は、物品収納部16の内部を、低温、常温又は高温等の所定温度で保持できる保冷保温冷容器である。
【0019】
図3図4図8及び図9に示すように、実施例において、底壁12、側壁14及び蓋18は、外装となる袋体22と、袋体22の内側に収納された板状の断熱性部材20とを備えている。実施例では、側壁14を構成する壁部24,26及び基礎壁部32のそれぞれが、断熱性部材20及び断熱性部材20を覆う袋体22とを備える板状体である。断熱性部材20としては、例えば、ウレタンフォーム、ポリスチレンフォーム、フェノールフォームなどの発泡体からなる発泡体系断熱材や、内部の空気を抜いて真空状態にしてある真空断熱材や、グラスウール又はロックウール等の無機系断熱材などを、単独又は組み合わせて用いることができる。なお、発泡体は、断熱性や剛性やコストなどの観点から、硬質のものが好ましく、この中でも硬質ウレタンフォームが好ましい。袋体22は、シートを縫製等により組み合わせて立体形状に形成されている。袋体22を構成するシートとしては、塩化ビニルなどのプラスチックシートや、プラスチックシートとアルミ蒸着フィルムとの複合シートや、その他材料のシートを用いることができる。
【0020】
図3図4図8及び図9に示すように、側壁14は、複数の壁部24,26を互いに接続して構成されている。また、側壁14は、壁部24,26同士を繋ぐ接続部28で折り曲げ可能になっている。ここで、実施例の接続部28は、第1状態において上下に隣り合う壁部24,26の外面を構成する袋体22同士を接続して形成されている。また、接続部28は、壁部24,26の外縁又は内縁に設けられている。実施例のように、接続部28を壁部24,26の外縁に設けることで、隣り合う壁部24,26が上下に並ぶ状態から、上側の壁部26が外側へ折れ曲がることが許容される。一方、接続部28を壁部24,26の内縁に設けることで、隣り合う壁部24,26が上下に並ぶ状態から、上側の壁部26が内側へ折れ曲がることが許容される。接続部28の位置は、全ての側壁14で同じ高さに設定することが好ましい。実施例のように、複数の壁部24,26が、同じ厚さであるとよく、側壁14が基礎壁部32を有する場合は、基礎壁部32を含めて側壁14全体を同じ厚さにするとよい。
【0021】
物品搬送容器10は、複数の壁部24,26を上下に並べて、物品収納部16を形成する第1状態(図1図4)と、第1状態から、上下に隣り合う壁部24,26の一方(上側)の壁部26を他方(下側)の壁部24に重ねるように折り返して、物品収納部16を形成する第2状態(図6図9)とに変更可能である。第1状態にあるとき、上下に並ぶ複数の壁部24,26の内面が揃っている(図3及び図4)。また、第1状態において、上下に並ぶ複数の壁部24,26の外面が揃っている。複数の壁部24,26を上下に並べて1枚の壁となるように展開した第1状態において、側壁14(物品収納部16)の上下寸法が大きくなる。隣り合う一方の壁部26を他方の壁部24の外側に重ねるように折り返した第2状態において、側壁14(物品収納部16)の上下寸法が小さくなる。更に、側壁14を、第2状態から、底壁12に重なる状態に姿勢変化可能である(図11図13)。
【0022】
より具体的には、図1図4に示すように、実施例の第1側壁14A及び第2側壁14Bは、下壁部24と、下壁部24に接続された上壁部26とを有している。下壁部24は、側壁14の一部を構成する板状部分であり、側壁14の中で底壁12側を構成している。また、下壁部24が、上壁部26を支持している。第1側壁14A及び第2側壁14Bは、下壁部24及び上壁部26の間を接続する接続部28で折り曲げ可能である。このように、第1側壁14A及び第2側壁14Bにおいて、上壁部26が、下壁部24の上端にヒンジ接続されている。なお、接続部28は、下壁部24を構成する断熱性部材20を覆う袋体22と、上壁部26を構成する断熱性部材20を覆う袋体22と、を繋ぐ縫製部分であったり、袋体22同士を繋ぐ帯状体であったり、折り曲げを許容するその他の構成を採用できる。また、接続部28は、下壁部24の外縁と上壁部26の外縁とを接続しており、下壁部24及び上壁部26が外縁以外の部位で互いに接続されていない(図8及び図9参照)。実施例において、全ての側壁14において、下壁部24の上端(接続部28)が、同じ高さ位置に設定されている。
【0023】
第1側壁14A及び第2側壁14Bは、上壁部26を下壁部24の上側に並べて、物品収納部16を形成する第1状態(図1図4)と、第1状態から折り返した上壁部26を下壁部24の外側に重ねて、物品収納部16を形成する第2状態(図6図9)と、に変更可能である。第1状態において、上下に並ぶ下壁部24及び上壁部26によって、物品収納部16の側面が形成される(図3及び図4参照)。また、第1状態において、上壁部26の上縁によって、物品収納部16の開口が形成される(図2参照)。第2状態において、下壁部24及び下壁部24の外側に重なる上壁部26によって、物品収納部16の側面が形成される(図8及び図9参照)。すなわち、第2状態では、物品収納部16の側面が、下壁部24と上壁部26との2重になっている。また、第2状態において、下壁部24の上縁によって、物品収納部16の開口が形成される(図7参照)。
【0024】
図4及び図9に示すように、第1側壁14Aの下壁部24は、底壁12の上面に接続されている。実施例の第1側壁14Aは、下壁部24及び底壁12の間を接続する連結部30で折り曲げ可能である(図10図11及び図13参照)。このように、下壁部24の下端が、底壁12の上面にヒンジ接続されている。なお、連結部30は、下壁部24を構成する断熱性部材20を覆う袋体22と、底壁12を構成する断熱性部材20を覆う袋体22と、を繋ぐ縫製部分であったり、袋体22同士を繋ぐ帯状体であったり、折り曲げを許容するその他の構成を採用できる。また、連結部30は、下壁部24の内縁と底壁12の上面とを接続しており、立てた姿勢にある下壁部24の下面において内縁以外が底壁12に接続されていない(図13参照)。
【0025】
図3及び図8に示すように、第2側壁14Bは、底壁12と下壁部24との間に、基礎壁部32を有している。実施例の基礎壁部32は、下壁部24及び上壁部26と同じ厚さの板状体である。また、基礎壁部32は、下壁部24と同様に、外装となる袋体22と、袋体22の内側に収納された板状の断熱性部材20を備える断熱構造である。基礎壁部32は、底壁12の側端面に接続されている。実施例の基礎壁部32は、底壁12に固定されており、底壁12及び底壁12を挟んで対向配置された一対の基礎壁部32,32が固定物となっている。実施例の第2側壁14Bは、下壁部24及び基礎壁部32の間を接続する結節部34で折り曲げ可能である(図11及び図12参照)。このように、下壁部24の下端が、基礎壁部32の上端にヒンジ接続されている。なお、結節部34は、下壁部24を構成する断熱性部材20を覆う袋体22と、基礎壁部32を構成する断熱性部材20を覆う袋体22と、を繋ぐ縫製部分であったり、袋体22同士を繋ぐ帯状体であったり、折り曲げを許容するその他の構成を採用できる。また、結節部34は、下壁部24の内縁と基礎壁部32の内縁とを接続しており、立てた姿勢にある下壁部24の下面において内縁以外が基礎壁部32に接続されていない(図12参照)。基礎壁部32は、底壁12の上面からの突出寸法を、第1側壁14Aを構成する壁部24,26を重ね合わせた厚さと同等かそれよりも大きくするとよく、実施例では、下壁部24の厚さの2倍程度に設定されている。
【0026】
図10に示すように、第1側壁14Aの下壁部24を、立てた姿勢から、連結部30で内側に折り曲げて、底壁12の上面に重ねて倒した姿勢に変化可能である。図11に示すように、第2側壁14Bの下壁部24を、立てた姿勢から、結節部34で内側に折り曲げて、底壁12の上側に重ねて倒した姿勢に変化可能である。より具体的には、第2側壁14Bは、倒した姿勢にした第1側壁14Aの上に載せて、倒した姿勢とされる。ここで、第1状態であっても、下壁部24を倒すことは可能であるが、上壁部26を折り返した第2状態で下壁部24を倒すことで、対向配置された側壁14,14同士の干渉を防いで、よりコンパクトにまとめることができる。
【0027】
図1図4に示すように、第1状態において、隣り合う側壁14,14の上壁部26,26同士を接続する上部接続手段36,38を有している。実施例の上部接続手段は、第2側壁14Bの上壁部26の外面に設けられた上接続片36と、第1側壁14Aの上壁部26の外面に設けられ、上接続片36を着脱可能である上接続受部38と、を備えている。実施例の上接続片36は、一端部が上壁部26に固定された帯状体であり、上壁部26に固定されていない他端部に、面ファスナー等の着脱部60が設けられている。実施例の上接続受部38は、面ファスナー等の着脱部60で構成されている。
【0028】
図1図4に示すように、第1状態及び第2状態において、隣り合う側壁14,14の下壁部24,24同士を接続する下部接続手段40,42を有している。実施例の下部接続手段は、第2側壁14Bの下壁部24の外面に設けられた下接続片40と、第1側壁14Aの下壁部24の外面に設けられ、下接続片40を着脱可能である下接続受部42と、を備えている。実施例の下接続片40は、一端部が下壁部24に固定された帯状体であり、下壁部24に固定されていない他端部に、面ファスナー等の着脱部60が設けられている。実施例の下接続受部42は、面ファスナー等の着脱部60で構成されている。
【0029】
図2及び図7に示すように、蓋18は、蓋本体44と、蓋本体44の外縁に設けられ、容器本体に接続する蓋取付部46とを備えている。蓋本体44は、その外縁部が側壁14の上面に載るサイズで形成されている。また、蓋本体44は、側壁14の上面に載る外縁部よりも下方へ突出する嵌合部44aを備えている(図3図4図8及び図9参照)。嵌合部44aは、物品収納部16の開口に合わせた形状で形成されている。蓋取付部46は、側壁14に設けられた第1蓋取付受部48又は第2蓋取付受部50に着脱する面ファスナー等の着脱部60を備えている。第1蓋取付受部48は、第1状態における上壁部26の外面上部に設けられている(図2図4参照)。実施例の第1蓋取付受部48は、面ファスナー等の着脱部60で構成されている。第2蓋取付受部50は、第1状態における上壁部26の内面の下部に設けられ、第2状態になると、第2蓋取付受部50が上壁部26の外面上部に配置される(図7図9参照)。実施例の第2蓋取付受部50は、面ファスナー等の着脱部60で構成されている。
【0030】
図3及び図4に示すように、第1状態において、上壁部26の外面にある第1蓋取付受部48の着脱部60に、蓋取付部46の着脱部60が貼り付いて、蓋18が容器本体に取り付けられる。このとき、蓋本体44の嵌合部44aが、上壁部26で形成される物品収納部16の開口に嵌まり込む。図8及び図9に示すように、第2状態において、上壁部26の外面にある第2蓋取付受部50の着脱部60に、蓋取付部46の着脱部60が貼り付いて、蓋18が容器本体に取り付けられる。このとき、蓋本体44の嵌合部44aが、下壁部24で形成される物品収納部16の開口に嵌まり込む。このように、蓋18は、第1状態と第2状態とで共用される。
【0031】
図2図4に示すように、側壁14は、第1状態において、下壁部24と上壁部26とを接続する壁部接続手段52,50を備えている。実施例の壁部接続手段52,50は、下壁部24の内面に設けられて、上壁部26の内面の第2蓋取付受部50に着脱する壁部接続片52を備えている。実施例の壁部接続片52は、一端部が下壁部24に固定された帯状体であり、下壁部24に固定されていない他端部に、面ファスナー等の着脱部60が設けられている。このように、第2蓋取付受部50は、第2状態において蓋取付部46の接続対象となるだけでなく、第1状態において壁部接続片52の接続対象としても兼用される。側壁14は、壁部接続手段によって下壁部24と上壁部26とを接続することで、下壁部24の上側に並べた上壁部26の姿勢を保つことができる。また、壁部接続手段によって下壁部24と上壁部26とを内側から接続することで、側壁14の外側から加わる力に対して強くすることができる。
【0032】
図8及び図9に示すように、側壁14は、第2状態において、折り返した上壁部26を保持する保持手段を備えている。第2側壁14Bの保持手段は、上接続片36の固定部外面に設けられた面ファスナー等の着脱部60と、下接続片40の固定部外面に設けられた面ファスナー等の着脱部60と、を備えている。第2側壁14Bの第2状態において、上接続片36の固定部と下接続片40の固定部とが重なり、両者の着脱部60が接続することで、上壁部26が下壁部24の外側で保持される。第1側壁14Aの保持手段は、上壁部26の上接続受部38の着脱部60と、下接続片40の延出部外面に設けられた面ファスナー等の着脱部60と、を備えている。第1側壁14Aの第2状態において、上接続受部38と、下壁部24の下接続受部42に接続された下接続片40の延出部とが重なり、両者の着脱部60が接続することで、上壁部26が下壁部24の外側で保持される。このように、第2状態において、折り返した上壁部26を下壁部24の外側で保持手段によって保持することで、上壁部26が搬送時に揺れ動くことを防止できる。
【0033】
図1に示すように、第2側壁14Bの上壁部26には、第1持ち手54が設けられている。第1持ち手54は、第1状態において、第2側壁14Bの外面上部に位置して、第1状態の物品搬送容器10を持つ際に使用される。図6に示すように、第2側壁14Bの上壁部26には、第2持ち手56が設けられている。第2持ち手56は、第1状態において、物品収納部16に配置される。第2持ち手56は、第2状態において、第2側壁14Bの外面上部に位置して、第2状態の物品搬送容器10を持つ際に使用される。
【0034】
物品搬送容器10は、第1状態において、上下に並べた複数の壁部24,26によって物品収納部16を形成しているので、物品収納部16の上下寸法を大きくして、物品収納部16に多くの物品を収納することができる。具体的には、第1状態において、底壁12の上面から、下壁部24の上に並べた上壁部26の上部まで物品収納部16として用いることができる。このように、第1状態において、複数の壁部24,26を上下に並べているので、複数の壁部24,26の上下寸法を最大限に利用して、物品収納部16を広くすることができる。従って、物品搬送容器10は、使い勝手がよい。
【0035】
物品搬送容器10は、第2状態において、複数の壁部の一部を折り返して複数の壁部の残部によって物品収納部16を形成しているので、物品収納部16の上下寸法を小さくして、少量の物品に合わせた物品収納部16のサイズに変更できる。具体的には、第2状態において、上壁部26が下壁部24の外側に折り返されているので、底壁12の上面から下壁部24の上部までに物品収納部16の上下寸法を縮めることができる。このように、物品搬送容器10は、物品の量の多寡に応じて、物品収納部16の上下サイズを変えることができる。物品搬送容器10は、第2状態にすることで、側壁14の上下寸法を小さくでき、これにより、トラックの荷台などにおいて占めるスペースをコンパクトにできる。このように、物品搬送容器10は、使い勝手がよい。また、物品搬送容器10が保温保冷容器である場合、第2状態にして物品収納部16のサイズを縮小することで、物品収納部16の冷却効率又は保温効率を向上できる。
【0036】
物品搬送容器10は、第1状態において、複数の壁部24,26を上下に並べて側壁14を形成しているので、下壁部24で囲われる物品収納部16の縦横スペースと、上壁部26で囲われる物品収納部16の縦横スペースとで大きさが変わらない。これにより、物品収納部16において、物品が上下に隣り合う壁部24,26間に載ることを防止でき、物品収納部16全体を有効利用できる。また、物品の出し入れ時に壁部24,26に引っ掛かったりすることを防止でき、物品をスムーズに出し入れできる。また、物品搬送容器10は、第2状態において物品収納部16を囲う下壁部24の外側に上壁部26を折り返す構成であるから、第2状態においても、上壁部26が邪魔にならず、物品収納部16全体を有効利用できると共に物品をスムーズに出し入れできる。このように、物品搬送容器10は、使い勝手がよい。
【0037】
物品搬送容器10は、第1状態において隣り合う側壁14の上壁部26同士を接続する上部接続手段36,38を備えているので、上壁部26を立てた第1状態を上部接続手段36,38で保つことができる。立てた上壁部26が意図せず倒れることを防止できことから、使い勝手を向上できる。
【0038】
蓋18は、側壁14の第1状態における物品収容部16の開口内及び側壁14の第2状態における物品収納部16の開口内に嵌まり込む篏合部44aを備えている。このように、蓋18を閉じた際に、嵌合部44aが物品収納部16の開口に嵌まることで、嵌合部44aによって壁部24,26が内側へ倒れることを防止できる。また、物品搬送容器10の剛性を向上できる。しかも、第1状態及び第2状態において蓋18を共用できるので、部品点数の増加を招かない。特に物品搬送容器10が保温保冷容器である場合、物品収納部16の開口を介する熱流を抑えて、物品収納部16の冷却又は保温効率を向上できる。
【0039】
物品搬送容器10は、上壁部26を下壁部24の外側に重ねた側壁14を、底壁12に重なる状態に姿勢変化させることで、第2状態よりもサイズをコンパクトにまとめることができる。これにより、トラックの荷台などにおいて占めるスペースを小さくできる。従って、物品搬送容器10は、使い勝手がよい。
【0040】
物品搬送容器10は、第1状態及び第2状態において隣り合う側壁14,14の下壁部24,24同士を接続する下部接続手段40,42を備えている。下壁部24を立てた姿勢を下部接続手段40,42で保つことができる。特に、下壁部24が底壁12上に倒れる構成である場合、立てた下壁部24が意図せず倒れることを防止できことから、使い勝手を向上できる。
【0041】
(変更例)
前述した事項に限らず、例えば以下のようにしてもよい。なお、本発明は、実施例および以下の変更例の具体的な記載のみに限定されるものではない。
(1)側壁体は、1段のサイズ変更に限らず、2段以上のサイズ変更可能であってもよい。例えば図14に示すように、側壁体62の高さを三段階に変更するようにしてもよい。図14に示す側壁体62は、第1壁部64と、第1壁部64に接続された第2壁部66と、第2壁部66に接続された第3壁部68を有している。第1壁部64の上側に第2壁部66を並べると共に第2壁部66の上側に第3壁部68を並べることで、上下に並ぶ3枚の壁部64,66,68によって物品収納部16を形成する第1状態となる(図14(a)参照)。第1状態から、側壁体62の中で一番上にある第3壁部68を、下側の第2壁部66の外側に重ねるように折り返すことで、第1壁部64及び第2壁部66で物品収納部16を形成する第2状態となる(図14(b)参照)。第1状態又は第2状態から、第1壁部64と第2壁部66との接続部28で、第2壁部66及び第3壁部68を下側の第1壁部64の外側に重ねるように折り返すことで、第1壁部64で物品収納部16を形成する第3状態となる(図14(b)参照)。このように、上下に配置する壁部64,66,68の枚数を増やすことで、物品収納部16の上下寸法を多段階に変更できる。
【0042】
(2)物品搬送容器の各側面を、1枚の側壁体で構成することに限らず、複数枚の側壁体を横に連ねて、物品搬送容器の一つの側面を形成してもよい。
(3)側壁体は、複数の壁部を上下に接続して構成され、その中の隣り合う2つの壁部を見た場合、底壁体側に接続されている壁部を下壁部といい、下壁部の上側に接続される壁部を上壁部という。
(4)側壁体を底壁体に重なるように姿勢変化する構成を省略してもよい。この場合、第2側壁に対応する側壁体において、基礎壁部を省略したり、隣り合う辺の下壁部同士を繋げるようにしてもよい。
(5)上部接続手段を省略してもよい。また、上部接続手段は、1箇所に限らず、上下に複数箇所設けてもよい。
(6)下部接続手段を省略してもよい。また、下部接続手段は、1箇所に限らず、上下に複数箇所設けてもよい。
(7)第2状態において、一方の壁部を他方の壁部の外側で保持する保持手段は、実施例の構成に限らない。例えば、保持手段は、上接続受部と下接続受部とが着脱部で接合する構成や、上接続片と下接続片とが着脱部で接合する構成や、接続片と接続受部とが着脱部で接合する構成などであってもよい。保持手段は、下接続受部に接合した下接続片の延出部に上接続片の延出部が重なって接合して、その上に上接続受部が接合する構成であってもよい。また、保持手段は、接続片又は接続受部が、接続部又は接続受け部と別の位置に設けた着脱部に接続する構成であってもよく、接続片及び接続受部と別の位置に設けられた着脱部同士が接続する構成であってもよい。なお、第1蓋取付受部を保持手段の要素として用いてもよい。
(8)着脱部は、面ファスナーを用いた取り付け構造に限らず、磁石の組み合わせや、磁石と金属片との組み合わせや、スナップボタンや、その他の手段を用いてもよい。
(9)物品搬送容器は、保温保冷容器であることに限らず、断熱性を有していない容器であってもよい。
【0043】
本明細書には、以下の物品搬送容器の一態様が記載されている。
底壁体の縁辺に立つ側壁体により囲われる物品収納部を有する物品搬送容器であって、
前記側壁体は、複数の壁部を接続して構成され、前記壁部の間で折り曲げ可能であり、
前記複数の壁部を上下に並べて、前記物品収納部を形成する第1状態と、
前記1状態から、一部の前記壁部を折り返して他の前記壁部の外側に重ねて、前記物品収納部を形成する第2状態と、に変更可能である、物品搬送容器。
【符号の説明】
【0044】
10 物品搬送容器,12 底壁(底壁体),14 側壁(側壁体),
16 物品収納部,18 蓋(蓋体),20 断熱性部材,24 下壁部(壁部),
26 上壁部(壁部),36上接続片(上部接続手段),
38 上接続受部(上部接続手段),40 下接続片(下部接続手段),
42 下接続受部(下部接続手段)
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8
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図12
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図14