(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108848
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】処理装置、処理方法、および、コンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/48 20060101AFI20240805BHJP
H04N 1/407 20060101ALI20240805BHJP
H04N 1/19 20060101ALI20240805BHJP
H04N 1/401 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
H04N1/48
H04N1/407 780
H04N1/19
H04N1/401
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023013455
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001058
【氏名又は名称】鳳国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】吉田 康成
【テーマコード(参考)】
5C072
5C077
5C079
【Fターム(参考)】
5C072AA01
5C072BA19
5C072EA07
5C072UA17
5C072UA18
5C072WA02
5C072XA01
5C077LL19
5C077MM02
5C077MM22
5C077MM27
5C077PP15
5C077PP32
5C077PP36
5C077PP37
5C077PP46
5C077PP47
5C077PQ08
5C077PQ23
5C077TT06
5C079HB01
5C079HB08
5C079JA22
5C079LA01
5C079LA12
5C079LA31
5C079MA04
5C079NA05
5C079PA02
(57)【要約】
【課題】イメージセンサを用いて生成される画像データを適切に変換する。
【解決手段】
処理装置は、N個の部分画像を含む特定画像を示す第1特定画像データと、特定画像を示す第2特定画像データと、を取得する。第1特定画像データは、第1イメージセンサによる読取画像データであり、第2パッチ画像データは、第2イメージセンサによる読取画像データである。処理装置は、第1イメージセンサによる読取画像データの特定成分の値を変換する第1変換テーブルを取得し、第1変換テーブルに基づいて第2イメージセンサによる読取画像データの特定成分の値を変換する第2変換テーブルを生成する。生成処理は、第1特定画像データと第2特定画像データとの比較に基づいてN個の部分画像の中からn個の対象部分画像を選択する処理と、n個の対象部分画像を示す第1部分データと第2部分データとを用いて第1変換テーブルを補正する処理と、を含む。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理装置であって、
N個(Nは2以上の整数)の部分画像を含む特定画像を示す第1特定画像データと、前記特定画像を示す第2特定画像データと、を取得する第1取得部であって、前記第1特定画像データは、前記特定画像を示すシートを第1イメージセンサによって読み取ることによって得られる読取画像データであり、前記第2パッチ画像データは、前記シートを第2イメージセンサによって読み取ることによって得られる読取画像データである、前記第1取得部と、
前記第1イメージセンサによって得られる読取画像データに含まれる色値を構成する特定成分の値を変換する第1変換テーブルを取得する第2取得部と、
前記第1変換テーブルに基づいて前記第2イメージセンサによって得られる読取画像データに含まれる色値を構成する前記特定成分の値を変換する第2変換テーブルを生成する生成処理を実行する生成部と、
を備え、
前記生成処理は、
前記第1特定画像データと前記第2特定画像データとの比較に基づいて前記N個の部分画像の中からn個(nはN未満1以上の整数)の対象部分画像を選択する選択処理と、
前記第1特定画像データのうちの前記n個の対象部分画像を示す第1部分データと、前記第2特定画像データのうちの前記n個の対象部分画像を示す第2部分データと、を用いて前記第1変換テーブルを補正する補正処理であって、前記第2部分データの前記特定成分の値を補正済みの前記第1変換テーブルを用いて変換して得られる値が、前記第1部分データの前記特定成分の値を補正前の前記第1変換テーブルを用いて変換して得られる値に近づくように補正する前記補正処理と、
を含む、処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の処理装置であって、
前記読取画像データに含まれる色値は、L種(Lは2以上の整数)の色成分を含み、
前記生成部は、前記L種の色成分のそれぞれを前記特定成分として前記生成処理を実行することによって、前記L種の色成分の値を変換するためのL個の前記第2変換テーブルを生成する、処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の処理装置であって、
前記生成処理は、
前記第1特定画像データのうち、注目部分画像を示す複数個の画素の前記特定成分の値である第1成分値を、値が小さな順に並べた順位に応じてQ個(Qは2以上の整数)のグループに分類する処理と、
前記第2特定画像データのうち、前記注目部分画像を示す複数個の画素の前記特定成分の値である第2成分値を、値が小さな順に並べた順位に応じて前記Q個のグループに分類する処理と、
前記Q個のグループのそれぞれについて、前記第1成分値の代表値と、前記第2成分値の代表値と、を算出する処理と、
を含み、
前記選択処理は、
前記Q個のグループのそれぞれについて算出される前記第1成分値の代表値と前記第2成分値の代表値との比較に基づいて、前記n個の対象部分画像を選択する処理
を含む、処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の処理装置であって、
前記生成処理は、
前記Q個のグループのそれぞれについて、前記第1成分値の代表値と、前記第2成分値の代表値と、の差分値である第1差分値を算出する処理を含み、
前記選択処理は、
Q個の前記第1差分値の最大値と最小値との差分値である第2差分値に基づいて、前記n個の対象部分画像を選択する処理
を含む、処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の処理装置であって、
前記読取画像データに含まれる色値は、第1種の色成分の値と第2種の色成分の値を含み、
前記第2差分値は、前記第1種の色成分について算出されるQ個の前記第1差分値の最大値と最小値との差分値である第3差分値と、前記第2種の色成分について算出されるQ個の前記第1差分値の最大値と最小値との差分値である第4差分値と、を含み、
前記選択処理は、前記第3差分値が閾値未満であり、かつ、前記第4差分値が前記閾値未満である場合に、前記注目部分画像を前記対象部分画像として選択する処理を含む、処理装置。
【請求項6】
請求項1に記載の処理装置であって、
前記補正処理は、
前記第1部分データの前記特定成分の値と、前記第2部分データの前記特定成分の値と、を用いて、前記特定成分の値が取り得る複数個の値のそれぞれに対応する補正パラメータを規定する補正テーブルを生成する処理と、
前記補正テーブルを用いて、前記第1変換テーブルを補正する処理と、
を含む、処理装置。
【請求項7】
請求項6に記載の処理装置であって、
前記補正テーブルを生成する処理は、
前記特定成分の値が取り得る複数個の値のうち、前記第2部分データに含まれる値に対応する前記補正パラメータを算出する第1処理と、
前記特定成分の値が取り得る複数個の値のうち、前記第2部分データに含まれない値に対応する前記補正パラメータを算出する第2処理と、
を含み、
前記第2処理は、前記第1処理にて算出済みの前記補正パラメータを用いた補間処理によって前記補正パラメータを算出する処理である、処理装置。
【請求項8】
請求項7に記載の処理装置であって、
前記第1処理は、
前記第1部分データに含まれる複数個の前記特定成分の値と、前記第2部分データに含まれる複数個の前記特定成分の値と、を、値が小さな順にそれぞれ並べ替える並替処理と、
前記第2部分データに含まれる前記特定成分の注目値に対応する前記補正パラメータを、前記注目値に対応する前記第1部分データの値を用いて算出する処理と、を含み、
前記注目値に対応する前記第1部分データの値は、前記第1部分データに含まれる複数個の前記特定成分の値のうち、前記並替処理の後の順番が前記注目値の順番と等しい値である、処理装置。
【請求項9】
請求項1に記載の処理装置であって、
前記処理装置は、前記第1イメージセンサと、前記第2イメージセンサと、を備えるデバイスであり、
前記第1取得部は、前記第1イメージセンサによって前記シートを読み取ることによって前記第1特定画像データを生成し、
前記第2取得部は、前記第1イメージセンサによって前記シートを読み取ることによって前記第2特定画像データを生成する、処理装置。
【請求項10】
請求項1に記載の処理装置であって、
前記処理装置は、前記第1イメージセンサを備えるデバイスであり、
前記第1取得部は、前記第1イメージセンサによって前記シートを読み取ることによって前記第1特定画像データを生成し、
前記第2取得部は、前記第2イメージセンサを備える他のデバイスによって生成される前記第2特定画像データを取得する、処理装置。
【請求項11】
請求項1に記載の処理装置であって、
前記第1取得部は、前記第1イメージセンサ備え前記処理装置と通信可能に接続されるデバイスによって生成される前記第1特定画像データを取得し、
前記第2取得部は、前記第2イメージセンサを備え前記処理装置と通信可能に接続されるデバイスによって生成される前記第2特定画像データを取得する、処理装置。
【請求項12】
変換テーブルの生成方法であって、
N個(Nは2以上の整数)の部分画像を含む特定画像を示す第1特定画像データと、前記特定画像を示す第2特定画像データと、を取得する第1取得工程であって、前記第1特定画像データは、前記特定画像を示すシートを第1イメージセンサによって読み取ることによって得られる読取画像データであり、前記第2特定画像データは、前記シートを第2イメージセンサによって読み取ることによって得られる読取画像データである、前記第1取得工程と、
前記第1イメージセンサによって得られる読取画像データに含まれる色値を構成する特定成分の値を変換する第1変換テーブルを取得する第2取得工程と、
前記第1変換テーブルに基づいて前記第2イメージセンサによって得られる読取画像データに含まれる色値を構成する前記特定成分の値を変換する第2変換テーブルを生成する生成処理を実行する生成工程と、
を備え、
前記生成処理は、
前記第1特定画像データと前記第2特定画像データとの比較に基づいて前記N個のパッチの中からn個(nはN未満1以上の整数)の対象パッチを選択する選択処理と、
前記第1特定画像データのうちの前記n個の対象部分画像を示す第1部分データと、前記第2特定画像データのうちの前記n個の対象部分画像を示す第2部分データと、を用いて前記第1変換テーブルを補正する補正処理であって、前記第2部分データの前記特定成分の値を補正済みの前記第1変換テーブルを用いて変換して得られる値が、前記第1部分データの前記特定成分の値を補正前の前記第1変換テーブルを用いて変換して得られる値に近づくように補正する前記補正処理と、
を含む、生成方法。
【請求項13】
コンピュータプログラムであって、
N個(Nは2以上の整数)の部分画像を含む特定画像を示す第1特定画像データと、前記特定画像を示す第2特定画像データと、を取得する第1取得機能であって、前記第1特定画像データは、前記特定画像を示すシートを第1イメージセンサによって読み取ることによって得られる読取画像データであり、前記第2特定画像データは、前記シートを第2イメージセンサによって読み取ることによって得られる読取画像データである、前記第1取得機能と、
前記第1イメージセンサによって得られる読取画像データに含まれる色値を構成する特定成分の値を変換する第1変換テーブルを取得する第2取得機能と、
前記第1変換テーブルに基づいて前記第2イメージセンサによって得られる読取画像データに含まれる色値を構成する前記特定成分の値を変換する第2変換テーブルを生成する生成処理を実行する生成機能と、
をコンピュータに実現させ、
前記生成処理は、
前記第1特定画像データと前記第2特定画像データとの比較に基づいて前記N個の部分画像の中からn個(nはN未満1以上の整数)の対象部分画像を選択する選択処理と、
前記第1特定画像データのうちの前記n個の対象部分画像を示す第1部分データと、前記第2特定画像データのうちの前記n個の対象部分画像を示す第2部分データと、を用いて前記第1変換テーブルを補正する補正処理であって、前記第2部分データの前記特定成分の値を補正済みの前記第1変換テーブルを用いて変換して得られる値が、前記第1部分データの前記特定成分の値を補正前の前記第1変換テーブルを用いて変換して得られる値に近づくように補正する前記補正処理と、
を含む、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、読取装置によって得られる画像データを処理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
スキャナなどの読取装置を用いて原稿などの対象物を読み取ることによって生成される画像データに対して、補正を行う技術が知られている。例えば、特許文献1の画像処理装置は、原稿の表面を読み取るイメージセンサと裏面を読み取るイメージセンサとを備えている。画像処理装置は、一方のイメージセンサによって生成される画像データの特性パラメータを調整する補正を行い、この補正された画像データに基づいて、他方のイメージセンサによって生成される画像データの特性パラメータを調整する補正を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記技術では、複数のイメージセンサが用いられる場合に、どのような画像データを用いてどのように特性パラメータを調整するかについて十分な工夫がなされているとは言えなかった。
【0005】
本明細書は、複数のイメージセンサが用いられる場合に、各イメージセンサを用いて生成される画像データを適切に変換できる技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示された技術は、以下の適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]処理装置であって、N個(Nは2以上の整数)の部分画像を含む特定画像を示す第1特定画像データと、前記特定画像を示す第2特定画像データと、を取得する第1取得部であって、前記第1特定画像データは、前記特定画像を示すシートを第1イメージセンサによって読み取ることによって得られる読取画像データであり、前記第2パッチ画像データは、前記シートを第2イメージセンサによって読み取ることによって得られる読取画像データである、前記第1取得部と、前記第1イメージセンサによって得られる読取画像データに含まれる色値を構成する特定成分の値を変換する第1変換テーブルを取得する第2取得部と、前記第1変換テーブルに基づいて前記第2イメージセンサによって得られる読取画像データに含まれる色値を構成する前記特定成分の値を変換する第2変換テーブルを生成する生成処理を実行する生成部と、を備え、前記生成処理は、前記第1特定画像データと前記第2特定画像データとの比較に基づいて前記N個の部分画像の中からn個(nはN未満1以上の整数)の対象部分画像を選択する選択処理と、前記第1特定画像データのうちの前記n個の対象部分画像を示す第1部分データと、前記第2特定画像データのうちの前記n個の対象部分画像を示す第2部分データと、を用いて前記第1変換テーブルを補正する補正処理であって、前記第2部分データの前記特定成分の値を補正済みの前記第1変換テーブルを用いて変換得られる値が、前記第1部分データの前記特定成分の値を補正前の前記第1変換テーブルを用いて変換して得られる値に近づくように補正する前記補正処理と、を含む、処理装置。
【0008】
上記構成によれば、第2変換テーブルを生成する生成処理は、第1イメージセンサによって得られる第1特定画像データのうちのn個の対象パッチを示す第1部分データと、第2イメージセンサによって得られる第2特定画像データのうちのn個の対象部分画像を示す第2部分データと、を用いて第1変換テーブルを補正する補正処理と、を含む。そして、n個の対象部分画像は、第1特定画像データと第2特定画像データとの比較に基づいてN個の部分画像の中から選択される。この結果、N個の部分画像の全てを用いて第1変換テーブルを補正する場合と比較して、不適切な部分画像のデータが補正に用いられることを抑制することができる。これによって、例えば、第1イメージセンサによって得られる読取画像データの特性と、第2イメージセンサによって得られる読取画像データの特性と、が近づくように、これらの読取画像データを適切に変換することができる一組の変換テーブル(第1、第2変換テーブル)を生成できる。したがって、第1、第2変換テーブルを用いることによって、各イメージセンサを用いて生成される読取画像データを適切に変換できる。
【0009】
なお、本明細書に開示された技術は、種々の形態で実現可能であり、例えば、変換テーブルの生成方法、処理装置や生成方法の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体、等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施例の処理システム1000を示す説明図。
【
図5】実施例のガンマ変換テーブル生成処理のフローチャート。
【
図6】パッチシートPSと目標色値テーブルTDとの説明図。
【
図9】特性テーブルPTと補正テーブルATの一例を示す図。
【
図10】特性テーブルPTと補正テーブルATとの説明図。
【
図12】変形例の処理システム1000Bを示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
A.実施例:
A-1.データ処理装置100と複合機200との構成:
図1は、実施例の処理システム1000を示す説明図である。処理システム1000は、データ処理装置100と、データ処理装置100に接続された複合機200と、を含んでいる。後述するように、複合機200は、シート等の対象物を読み取るスキャナ部280と、画像を印刷するプリンタ部290と、複合機200の全体を制御する制御部299と、を有している。
【0012】
データ処理装置100は、例えば、パーソナルコンピュータである(例えば、デスクトップコンピュータ、タブレットコンピュータなど)。データ処理装置100は、プロセッサ110と、記憶装置115と、画像を表示する表示部140と、ユーザによる操作を受け取る操作部150と、通信インタフェース170と、を有している。これらの要素は、バスを介して互いに接続されている。記憶装置115は、揮発性記憶装置120と、不揮発性記憶装置130と、を含んでいる。
【0013】
プロセッサ110は、データ処理を行う装置であり、例えば、CPUである。揮発性記憶装置120は、例えば、DRAMであり、不揮発性記憶装置130は、例えば、フラッシュメモリやハードディスクである。
【0014】
不揮発性記憶装置130は、プログラム132を格納している。プロセッサ110は、プログラム132を実行することによって、後述するガンマ変換テーブル生成処理を実現する。揮発性記憶装置120は、プログラム132の実行に利用される種々の中間データを一時的に格納するためのバッファ領域を提供する。プログラム132は、例えば、複合機200の製造者によって作成され、データ処理装置100にインストールされている。
【0015】
表示部140は、画像を表示する装置であり、例えば、液晶ディスプレイである。これに代えて、LEDディスプレイ、有機ELディスプレイなどの、画像を表示する他の種類の装置が採用されてよい。操作部150は、ユーザによる操作を受け取る装置であり、例えば、表示部140上に重ねて配置されたタッチパネルである。これに代えて、ボタン、レバーなどの、ユーザによって操作される他の種類の装置が採用されてよい。
【0016】
通信インタフェース170は、他の装置と通信するためのインタフェースである(例えば、USBインタフェース、有線LANインタフェース、IEEE802.11の無線インタフェース)。通信インタフェース170を介して、データ処理装置100は、複合機200と通信可能に接続される。
【0017】
複合機200は、制御部299と、スキャナ部280と、プリンタ部290と、を備えている。制御部299は、プロセッサ210と、記憶装置215と、画像を表示する表示部240と、ユーザによる操作を受け取る操作部250と、通信インタフェース270と、を有している。これらの要素は、バスを介して互いに接続されている。記憶装置215は、揮発性記憶装置220と、不揮発性記憶装置230と、を含んでいる。
【0018】
プロセッサ210は、データ処理を行う装置であり、例えば、CPUである。揮発性記憶装置220は、例えば、DRAMであり、不揮発性記憶装置230は、例えば、フラッシュメモリやハードディスクである。
【0019】
不揮発性記憶装置230は、プログラム232を格納している。プロセッサ210は、プログラム232を実行することによって、複合機200を制御する種々の機能を実現する。本実施例では、プログラム232は、複合機200の製造者によって、ファームウェアとして、不揮発性記憶装置230に予め格納されている。
【0020】
不揮発性記憶装置230は、さらに、第1ガンマ変換テーブル群GT1と第2ガンマ変換テーブル群GT2とを格納している。この第1ガンマ変換テーブル群GT1と第2ガンマ変換テーブル群GT2とは、後述するガンマ変換テーブル生成処理によって生成されるため、ガンマ変換テーブル生成処理が実行される前は、これらのテーブル群GT1、GT2は、不揮発性記憶装置230に格納されていない。これらのテーブル群GT1、GT2については、後述する。
【0021】
表示部240は、画像を表示する装置であり、例えば、液晶ディスプレイである。これに代えて、LEDディスプレイ、有機ELディスプレイなどの、画像を表示する他の種類の装置が採用されてよい。操作部250は、ユーザによる操作を受け取る装置であり、例えば、表示部240上に重ねて配置されたタッチパネルである。これに代えて、ボタン、レバーなどの、ユーザによって操作される他の種類の装置が採用されてよい。ユーザは、操作部250を操作することによって、種々の指示を複合機200に入力可能である。
【0022】
通信インタフェース270は、他の装置と通信するためのインタフェースである。本実施例では、通信インタフェース270は、データ処理装置100の通信インタフェース170に接続されている。
【0023】
プリンタ部290は、所定の方式(例えば、レーザ方式や、インクジェット方式)で、用紙(印刷媒体の一例)上に画像を印刷する装置である。本実施例では、プリンタ部290は、シアンC、マゼンタM、イエロY、ブラックKの4種類のインクを用いてカラー画像を印刷可能なインクジェット方式の印刷装置である。
【0024】
スキャナ部280は、CCDやCMOSなどの光電変換素子を用いて光学的にシート等の対象物を読み取ることによって、読み取った画像を表すスキャンデータ(読取画像データとも呼ぶ)を生成する。スキャナ部280は、対象物を読み取って対象物の画像データを生成する読取装置の例である。本実施例では、スキャンデータは、RGB値を用いて、スキャン画像の各画素の色を示すビットマップデータである。本実施例では、RGB値は、RGB表色系の色値であり、RGBの3種の色成分の値、R値、G値、B値で構成される。
【0025】
図2を参照して、スキャナ部280の構成について、さらに説明する。
図2は、スキャナ部280の概略構成を示す図である。スキャナ部280は、シートを光学的に読み取る2個のイメージセンサ51、52と、イメージセンサ51、52にシートを読み取らせるためにシートSを搬送する搬送機構60と、を備えている。
【0026】
搬送機構60は、プロセッサ210の制御に従って動作する搬送モータ(図示省略)と、該搬送モータによって駆動される複数個のローラ62、64、66、68を備えている。搬送機構60は、ローラを駆動することで給紙トレイ31から排紙トレイ32に至る搬送経路RTに沿ってシートSを搬送する。搬送経路RTは、筐体85内に、ガイド部材81、82、83、84によって形成されている。
【0027】
イメージセンサ51、52は、例えば、LEDなどの光源と光電変換素子を含み、光源からシートSに光を照射し、シートSからの反射光を光電変換素子によって受け取ることで、光電変換素子から反射光強度に応じた電気信号を出力する一次元イメージセンサである。
【0028】
第1イメージセンサ51は、搬送経路RTに沿う所定の位置に配置され、シートSの第1面Faを読取リ、シートSの第1面Faを示すスキャンデータを生成するために用いられる。第2イメージセンサ52は、搬送経路RTに沿う所定の位置に配置され、シートSの第1面Faの反対側の第2面Fbを読取リ、シートSの第2面Fbを示すスキャンデータを生成するために用いられる。スキャナ部280は、2つのイメージセンサ51、52を備えることで、シートSの両面を並行して読み取ることができる。
【0029】
A-2.ガンマ変換テーブル
本実施例のガンマ変換テーブル生成処理(後述)は、第1イメージセンサ51によって生成されるスキャンデータ用の第1ガンマ変換テーブル群GT1と、第2イメージセンサ52によって生成されるスキャンデータ用の第2ガンマ変換テーブル群GT2と、を生成する処理である。ガンマ変換テーブル群GT1、GT2は、それぞれ、スキャンデータに含まれる色値を構成する成分毎のガンマ変換テーブル、すなわち、R値用、G値用、B値用の3つのガンマ変換テーブルを含む。第1ガンマ変換テーブル群GT1に含まれる3個のガンマ変換テーブルを第1ガンマ変換テーブルとも呼び、第2ガンマ変換テーブル群GT2に含まれる3個のガンマ変換テーブルを第2ガンマ変換テーブルとも呼ぶ。ガンマ変換テーブル生成処理の説明に先立って、ガンマ変換テーブルについて説明する。
【0030】
図3は、ガンマ変換テーブルの説明図である。各成分値用のガンマ変換テーブルは、例えば、入力値と出力値との対応関係を規定する一次元ルックアップテーブルである。
図3には、R値用のガンマ変換テーブルに規定される入力値Rinと出力値Routとの対応関係を示すグラフLC1、LC2が図示されている。グラフLC1は、R値用の第1ガンマ変換テーブル、すなわち、第1イメージセンサ51のためのR値用の第ガンマ変換テーブルを示す。グラフLC2は、R値用の第2ガンマ変換テーブル、すなわち、第2イメージセンサ52のためのR値用のガンマ変換テーブルを示す。
【0031】
図3の例では、入力値Rinは、0~1023の整数値を取る1024階調の値であり、出力値Routは、0~255の整数値を取る256階調の値である。
図3の例では、0≦Rin≦Vaの範囲R1の入力値Rinは、出力値Routの最小値(0)に対応付けられ、Vb≦Rin≦1023の範囲R2の入力値Rinは、出力値Routの最大値(255)に対応付けられている。そして、Va<Rin<Vbの範囲の入力値Rinは、0<Rout<255の出力値Routに対応付けられている。
【0032】
ガンマ変換テーブル群の利用態様の一例について説明する。
図4は、読取処理のフローチャートである。読取処理は、複合機200のプロセッサ210によって実行される。読取処理は、スキャナ部280によって生成されるスキャンデータに、前処理を実行して、処理済スキャンデータを生成、出力する処理である。処理済スキャンデータは、スキャン画像の表示、印刷など様々な用途に用いられる。
【0033】
読取処理は、例えば、ユーザが、読取対象のシートSをスキャナ部280の原稿台に配置して、操作部250を操作して読取指示を入力した場合に開始される。S10では、プロセッサ210は、スキャナ部280にシートを読み取らせることによってスキャナ部280にスキャンデータを生成させ、スキャナ部280から該スキャンデータを取得する。スキャナ部280によって生成されるスキャンデータのRGB値の各成分値は、本実施例では、0~1023の範囲の値を取る1024階調の値である。
図4の例では、シートSの両面が読み取られる。すなわち、シートSの第1面Faをイメージセンサ51によって読み取って得られる第1スキャンデータと、シートSの第2面Fbを第2イメージセンサ52によって読み取って得られる第2スキャンデータと、が取得される。S20-S40では、これらのスキャンデータに対して前処理を実行する。
【0034】
S20では、プロセッサ210は、第1スキャンデータに含まれる複数個のRGB値の各成分値を、第1ガンマ変換テーブル群GT1に含まれる各成分値用の第1ガンマ変換テーブルを用いて変換することによって、第1補正済スキャンデータを生成する。
【0035】
S30では、プロセッサ210は、第1スキャンデータに含まれる複数個のRGB値の各成分値を、第2ガンマ変換テーブル群GT2に含まれる各成分値用の第2ガンマ変換テーブルを用いて変換することによって、第2補正済スキャンデータを生成する。以下では、ガンマ変換テーブルを用いて実行される成分値の変換を、「ガンマ補正」とも呼ぶ。ガンマ補正によって、RGB値の各成分値は、1024階調の値から256階調の値に変換される。
【0036】
S40では、プロセッサ210は、第1補正済スキャンデータと第2補正済スキャンデータとのそれぞれに対して色変換処理を実行して、第1処理済スキャンデータと第2処理済スキャンデータを生成する。色変換処理は、補正済スキャンデータに含まれる各RGB値の色が読取対象のシート上に表現された色を適切に示すように、各RGB値を変換する処理である。色変換処理は、例えば、変換前のRGB値と変換後のRGB値との対応関係を規定する公知の三次元ルックアップテーブルを用いて実行される。三次元ルックアップテーブルは、RGB色空間上に配置される複数個(例えば、17の3乗個)のグリッドについて変換後のRGB値が対応付けられている。プロセッサ210は、RGB色空間上において、変換前のRGB値の近傍の複数個のグリッドに対応付けられたRGB値を用いて補間演算を行うことによって、変換前のRGB値に対応する変換後のRGB値を算出する。三次元ルックアップテーブルは、第1補正済スキャンデータと第2補正済スキャンデータとの両方に共通して用いられる。
【0037】
S50では、プロセッサ210は、第1処理済スキャンデータと第2処理済スキャンデータを出力する。処理済スキャンデータの出力は、例えば、処理済スキャンデータを用いて印刷を行うことによって用紙上にスキャン画像を再現すること(いわゆるコピー処理)であっても良い。処理済スキャンデータの出力は、処理済スキャンデータを含むファイル(例えば、PDFファイル)を、ユーザの利用に供するために、不揮発性記憶装置130に格納する、あるいは、ユーザの端末装置(図示省略)に送信することであっても良い。
【0038】
S40の色変換処理に先立って、S20、S30にてガンマ補正を行う理由は、以下のとおりである。色変換処理は、上述のように補間演算を行うことによって行われる。補間演算によって得られる変換後のRGB値が適切な色を示すことを担保するためには、変換前のRGB値によって示される色がRGBの各成分値の変化に対して、線形的に変化することが好ましい。S10にて取得されるスキャンデータのRGB値によって示される色は、RGBの各成分値の変化に対して、線形的に変化していないため、各成分値に対してガンマ補正が実行される。これによって、RGBの各成分値は、RGB値によって示される色がRGBの各成分値の変化に対して線形的に変化するように補正される。
【0039】
ここで、第1イメージセンサ51によって生成される第1スキャンデータ用と、第2イメージセンサ52によって生成される第2スキャンデータ用とに、それぞれ異なるガンマ変換テーブル群GT1、GT2が用いられる理由を説明する。第1イメージセンサ51と、第2イメージセンサ52とでは、読取特性が互いに異なり得る。読取特性は、例えば、イメージセンサ51、52が配置される周辺の構造の差異、イメージセンサ51、52自身の製造バラツキに起因して生じる。あるいは、第1イメージセンサ51と第2イメージセンサ52とに、互いに異なる部品、例えば、品番や製造部品メーカが異なる部品が採用される場合には、部品が互いに異なることに起因して読取特性が異なり得る。
【0040】
このような読取特性に起因して、例えば、同じ色の画像を第1イメージセンサ51と第2イメージセンサ52とによって読み取った場合でも、その色を示す第1スキャンデータのRGB値と第2スキャンデータのRGB値と、が異なり得る。この場合には、例えば第1スキャンデータによって示される画像と、第2スキャンデータによって示される画像と、を見たユーザは、違和感を感じる場合がある。
【0041】
このために、第1ガンマ変換テーブル群GT1と第2ガンマ変換テーブル群GT2とは、同じ色の画像を第1イメージセンサ51と第2イメージセンサ52とによって読み取った場合に、その色を示すガンマ補正済みの第1スキャンデータのRGB値とガンマ補正済みの第2スキャンデータのRGB値とがほぼ一致するように、変換されることが好ましい。以下では、このような変換が適切に行われた第1ガンマ変換テーブル群GT1と第2ガンマ変換テーブル群GT2とを生成するためのガンマ変換テーブル生成処理について説明する。
【0042】
A-3.ガンマ変換テーブル生成処理
図5は、実施例のガンマ変換テーブル生成処理のフローチャートである。ガンマ変換テーブル生成処理は、例えば、複合機200を製造する工場や研究所において、複合機200において使用するガンマ変換テーブルを生成するために実行される。ガンマ変換テーブル生成処理は、例えば、作業者が、複合機200(
図1)のスキャナ部280にパッチシートPSを配置して、データ処理装置100に開始指示を入力した場合に開始される。
【0043】
図6は、パッチシートPSと目標色値テーブルTDとの説明図である。
図6(A)に示すように、パッチシートPSは、N個のパッチPk(kは1以上N以下の整数)が印刷されたシートである。パッチPkの個数Nは、2以上の整数であり、例えば、150である(N=150)。N個のパッチPkは、明度が互いに異なる無彩色の矩形の画像である。
図6の例では、N個のパッチの符号「Pk」の末尾の数字kは、パッチに付されたパッチ番号であり、暗い順に付されている。すなわち、最も暗いパッチは、パッチP1であり、最も明るいパッチは、パッチPNである。各パッチPkは、単色のモノクロ画像データに対してハーフトーン処理を実行して得られるドットデータに従って、黒の印刷材(インクやトナー)を用いて印刷されている。したがって、各パッチPkは、一般的な印刷物と同様に、網点(複数個のドット)によって表現されている。
【0044】
なお、N個のパッチPkのそれぞれに、RGBの各成分の目標値、すなわち、目標R値Rkと、目標G値Gkと、目標B値Bkと、が予め定められている。
図6(B)には、これらの目標R値Rkと、目標G値Gkと、目標B値Bkが記録された目標色値テーブルTDが例示されている。
【0045】
目標値Rk、Gk、Bkは、ガンマ補正済みのパッチ画像データによって示されるパッチ画像PIのパッチPkを構成する画素の平均R値、平均G値、平均B値の目標値である。例えば、各パッチPkが測色器によって測色され、CIELAB色空間のL*値が特定される。そして、sRGB色空間の色値(RGB値)と、CIELAB色空間の色値(L*a*b*値)と、の変換式を用いて、測色によって得られたL*値を有する無彩色を示すL*a*b*値をRGB値に変換する。これによって、得られたRGB値を構成するR値、G値、B値が、パッチPkの目標値Rk、Gk、Bkとして決定される。
【0046】
S110では、プロセッサ110は、パッチシートPSを第1イメージセンサ51によって読み取って得られるスキャンデータ(以下、第1パッチ画像データとも呼ぶ)を取得する。例えば、プロセッサ110は、複合機200に対して読取指示を送信する。複合機200のプロセッサ110は、スキャナ部280を制御して第1イメージセンサ51によってパッチシートPSを読み取って第1パッチ画像データを生成し、該第1パッチ画像データをデータ処理装置100に送信する。データ処理装置100のプロセッサ110は、受信した第1パッチ画像データを揮発性記憶装置120に格納する。第1パッチ画像データによって示される第1パッチ画像PI1は、N個のパッチPkを示す画像である。このために、
図6(A)は、第1パッチ画像PI1を示す図でもある、と言うことができる。
【0047】
S115では、プロセッサ110は、第1パッチ画像データを用いて、第1ガンマ変換テーブル群GT1を生成する。すなわち、RGBの3つの色成分のそれぞれについて、第1イメージセンサ51用の第1ガンマ変換テーブルが生成され、不揮発性記憶装置130に格納される。ガンマ変換テーブルの生成は、公知の方法で実行される。例えば、公知の作成方法の概要は、以下のとおりである。第1パッチ画像データによって示される各パッチPkを構成する複数個の画素の平均成分値(例えば、R値の平均値)が、該パッチの目標成分値(例えば、R値の目標値)に補正されるように、入力値(例えば、入力値Rin)と出力値(例えば、出力値Rout)との対応関係が決定される。そして、該入力値と該出力値との対応関係を示す一次元ルックアップテーブルがガンマ変換テーブルとして生成される。公知の作成方法の詳細は、例えば、特開2020-141344号公報に開示されている。なお、変形例では、ガンマ変換テーブル群GT1は、
図6(A)のパッチシートPSを用いて、上述した方法で予め作成されて、不揮発性記憶装置130に予め格納されていても良い。また、ガンマ変換テーブル群GT1は、
図6(A)のパッチシートPSとは異なるパッチシートを用いて作成されたものであっても良い。
【0048】
S120では、プロセッサ110は、パッチシートPSを第2イメージセンサ52によって読み取って得られるスキャンデータ(以下、第2パッチ画像データとも呼ぶ)を取得する。例えば、作業者は、パッチシートPSを複合機200(
図1)のスキャナ部280の第2イメージセンサ52が読取可能に配置した状態で、データ処理装置100に操作部150を介して取得指示を入力する。該取得指示の入力に応じて、プロセッサ110は、複合機200に対して読取指示を送信する。複合機200のプロセッサ110は、スキャナ部280を制御して第2イメージセンサ52によってパッチシートPSを読み取って第2パッチ画像データを生成し、該第2パッチ画像データをデータ処理装置100に送信する。データ処理装置100のプロセッサ110は、受信した第2パッチ画像データを揮発性記憶装置120に格納する。第2パッチ画像データによって示される第2パッチ画像PI2は、N個のパッチPkを示す画像である。このために、
図6(A)は、第2パッチ画像PI2を示す図でもある、と言うことができる。以下では、第1パッチ画像PI1に含まれる各パッチの画像を第1パッチとも呼び、第2パッチ画像PI2に含まれる各パッチの画像を第2パッチとも呼ぶ。
【0049】
S122では、プロセッサ110は、第1パッチ画像データと第2パッチ画像データのそれぞれに対して、公知の変換式を用いて階調数変換処理を実行する。階調数変換処理は、各パッチ画像データのRGBの各成分値の階調数を1024階調から256階調に変換する処理である。この変換処理は、計算時間の短縮のために行われるものであり、省略されても良い。以下では、階調数変換処理後の第1パッチ画像データと第2パッチ画像データを、単に、第1パッチ画像データと第2パッチ画像データと呼ぶ。
【0050】
S125では、プロセッサ110は、第1パッチ画像データと第2パッチ画像データとを用いて、有効パッチ選択処理を実行する。有効パッチ選択処理は、第1パッチ画像データと第2パッチ画像データとの比較に基づいてN個のパッチPkの中からn個(nはN未満1以上の整数)の有効パッチPsを選択する処理である。
【0051】
図7は、有効パッチ選択処理のフローチャートである。S205では、プロセッサ110は、RGBの3つの成分値から1つの注目成分値を選択する。以下では、注目成分値がR値である場合を例示しつつ説明するが、注目成分値がG値、B値であっても同様の処理が行われる。ここで、本明細書では、第1イメージセンサ51を用いて生成されたR値を第1R値と呼び、第2イメージセンサ52を用いて生成されたR値を第2R値とも呼ぶ。したがって、第1パッチ画像データに含まれるR値は、第1R値であり、第2パッチ画像データに含まれるR値は、第2R値である。
【0052】
S210では、プロセッサ110は、パッチシートPS上のN個のパッチPkの中から1つの注目パッチを選択する。1つの実物の注目パッチに対応するスキャン画像内のパッチには、第1パッチ画像PI1の第1パッチと、第2パッチ画像PI2の第2パッチと、の2つがある。以下では、第1パッチ画像PI1の注目パッチを注目第1パッチとも呼び、第2パッチ画像PI2の注目パッチを注目第2パッチとも呼ぶ。
【0053】
S215では、プロセッサ110は、注目パッチを示す複数個の画素の注目成分値をQ個のグループに分類する。グループ数Qは、2以上の整数であり、例えば、10である。以下では、Q=10として説明する。注目パッチを示す複数個の画素は、第1パッチ画像データに含まれる注目第1パッチを示す画素と、第2パッチ画像データに含まれる注目第2パッチを示す画素と、を含む。本実施例では、注目第1パッチを示す画素の個数、および、注目第2パッチを示す画素の個数は、それぞれ、900個である。パッチシートPS上の各パッチPkの位置は、予め決められている。従って、プロセッサ110は、パッチ画像PI1、PI2の複数の画素のうち、注目第1パッチ、注目第2パッチに予め対応付けられた複数の画素を、注目するパッチを構成する画素として用いてよい。これに代えて、プロセッサ110は、パッチ画像PI1、PI2を解析することによって、各パッチPkを示する複数の複数の画素を特定してもよい。
【0054】
例えば、注目成分値がR値である場合には、プロセッサ110は、注目第1パッチを示す900個の画素の第1R値を、値が小さな順に並べ替える。プロセッサ110は、注目第2パッチを構成する900個の画素の第2R値を、同様に、値が小さな順に並べ替える。プロセッサ110は、並べ替えた後の順番に応じて、900個の第1R値と900個の第2R値とを、10個のグループG1~G10に分類する。
【0055】
図8は、有効パッチ選択処理の説明図である。
図8(A)には、横軸に900個のR値の番号1~900を取り、縦軸にR値をプロットしたグラフL1a、L2a、L1b、L2bが示されている。番号は、R値が小さな順に付されている。グラフL1aは、特定の第1パッチのグラフであり、グラフL2aは、特定の第1パッチと同じパッチを示す第2パッチのグラフを示す。グラフL2bは、別の第1パッチのグラフであり、グラフL2aは、該別の第1パッチと同じパッチを示す第2パッチのグラフを示す。
【0056】
例えば、1~90番のR値は、第1グループG1に分類され、91~180番のR値は第2グループG2に分類される。このようにして、注目第1パッチの900個の第1R値は、10個のグループG1~G10に分類され、注目第2パッチの900個の第2R値も、同様に、10個のグループG1~G10に分類される。したがって、1つのグループは、注目第1パッチの90個の第1R値と、注目第2パッチの90個の第2R値と、を含む。
【0057】
S220では、プロセッサ110は、各グループの注目成分値の平均値を算出する。例えば、注目成分値がR値である場合には、プロセッサ110は、注目第1パッチの第1R値の平均値である第1平均R値と、注目第2パッチの第2R値の平均値である第2平均R値と、を10個のグループG1~G10のそれぞれについて、グループごとに算出する。これによって、10個の第1平均R値と10個の第2平均R値とが算出される。
【0058】
S225では、プロセッサ110は、注目第1パッチの平均成分値と注目第2パッチの平均成分値との差分をグループごとに算出する。例えば、注目成分値がR値である場合には、プロセッサ110は、10個のグループG1~G10のそれぞれについて、第1平均R値と第2平均R値との差分値ΔRを算出する。これによって、10個のグループG1~G10のそれぞれ差分値ΔRが算出される。
【0059】
図8(B)には、横軸に10個のグループを取り、縦軸に差分値ΔRをプロットしたグラフDa、Dbが示されている。グラフDaは、
図8(A)のグラフL1aに示すR値を有する第1パッチとグラフL2aに示すR値を有する第2パッチとが、注目パッチである場合に、算出される差分値ΔRを示す。グラフDbは、
図8(B)のグラフL1bに示すR値を有する第1パッチとグラフL2bに示すR値を有する第2パッチとが、注目パッチである場合に、算出される差分値ΔRを示す。
【0060】
S230では、プロセッサ110は、10個の差分値ΔRの最大値ΔRmaxと最小値ΔRminとを用いて、評価値EVを算出する。評価値EVは、差分値ΔRの最大値ΔRmaxから最小値ΔRminを減じた値である(EV=ΔRmax-ΔRmin)。換言すれば、評価値EVは、最大値ΔRmaxと最小値ΔRminとの差分値である。
図8(B)の例では、グラフDaに示す差分値ΔRを有する第1パッチおよび第2パッチが注目パッチである場合には、破線の円C1a、C2aで示すように、グループG10の差分値ΔRが最大値ΔRmaxであり、グループG1の差分値ΔRが最小値ΔRminである。また、グラフDbに示す差分値ΔRを有する第1パッチおよび第2パッチが注目パッチである場合には、破線の円C1b、C2bで示すように、グループG10の差分値ΔRが最大値ΔRmaxであり、グループG1の差分値ΔRが最小値ΔRminである。グラフDaに示す差分値ΔRを有する第1パッチおよび第2パッチの評価値EVは、グラフDbに示す差分値ΔRを有する第1パッチおよび第2パッチの評価値EVよりも大きいことが解る。
【0061】
評価値EVが過度に大きい場合、すなわち、最大値ΔRmaxと最小値ΔRminとの差分値が過度に大きい場合には、第1パッチの第1R値と第2パッチの第2R値との差異には、イメージセンサ51、52の読取特性に起因する差異に加えて、その他の要因に起因する差異が大きく寄与していると考えられる。その他の要因としては、例えば、読取時のシートSの搬送バラツキ等によって、読取時のセンサとシートSとの距離のずれが大きくなり、第1パッチと第2パッチとのいずれかのぼけの程度が過度に大きいことが考えられる。また、その他の要因としては、読取時のゴミの混入などによって、第1パッチと第2パッチとのいずれかが、パッチを適切に示していないことが考えられる。このために、評価値EVが過度に大きい場合、注目第1パッチと注目第2パッチとの差異は、他の要因に起因する差異を過剰に含むために、イメージセンサ51、52の読取特性の差異を適切に示していないと考えられる。したがって、評価値EVが過度に大きい場合には、注目パッチ(注目第1パッチと注目第2パッチ)は、第2ガンマ変換テーブルの作成に用いるのに適していないと考えられる。このように、評価値EVは、その値が小さいほど高い評価を示し、その値が大きいほど低い評価を示す。
【0062】
S235では、プロセッサ110は、注目パッチの評価値EVは、閾値THe以上であるか否かを判断する。注目パッチの評価値EVが閾値THe以上である場合には(S235:YES)、S240にて、プロセッサ110は、注目パッチを無効パッチに決定する。注目パッチの評価値EVが閾値THe未満である場合には(S235:NO)、プロセッサ110は、S240をスキップする。
【0063】
S245では、プロセッサ110は、N個のパッチPkの全てを注目パッチとして処理したか否かを判断する。N個のパッチPkの全てが処理された場合には(S245:YES)、プロセッサ110は、S250に処理を進める。未処理のパッチPkがある場合には(S245:NO)、プロセッサ110は、S210に戻る。
【0064】
S250では、プロセッサ110は、RGBの全ての成分値を注目成分値として処理したか否かを判断する。全ての成分値が処理された場合には(S250:YES)、プロセッサ110は、S255にて処理を進める。未処理の成分値がある場合には(S250:NO)、プロセッサ110は、S205に戻る。
【0065】
S255に進んだ時点では、N個のパッチPkのうち、RGBのうち少なくとも1つの成分値について評価値EVが閾値THe以上であるパッチは、S240にて無効パッチに決定されている。N個のパッチPkのうち、無効パッチに決定されていないパッチは、有効パッチである。したがって、RGBの全ての成分値の評価値EVが閾値THe未満であるパッチが有効パッチに選択される。
【0066】
S255では、プロセッサ110は、S235にて無効パッチの数は、パッチPkの総数Nの(3/4)より多いか否かを判断する。
【0067】
無効パッチの数が(3/4)Nより多い場合には(S255:YES)、十分な個数の有効パッチがないと判断できる。このために、この場合には、プロセッサ110は、エラーとしてガンマ変換テーブル生成処理を中断する。例えば、プロセッサ110は、表示部140にエラーを表示することで、作業者にエラーを通知して、ガンマ変換テーブル生成処理を終了する。この場合には、作業者は、例えば、パッチシートPSを再度、複合機200のスキャナ部280に載置して、開始指示を入力することで、データ処理装置100に、再度、ガンマ変換テーブル生成処理を最初から実行させる。
【0068】
無効パッチの数が(3/4)N以下である場合には(S255:NO)、S260にて、プロセッサ110は、無効パッチの数は、パッチPkの総数Nの(1/2)より多いか否かを判断する。無効パッチの数が(1/2)Nより多い場合には(S260:YES)、S265にて、プロセッサ110は、無効パッチの数を(1/2)Nに調整する。具体的には、無効パッチの個数をmとすると、プロセッサ110は、(1/2)Nを超える分の個数{m-(1/2)N}の無効パッチを有効パッチに変更する。{m-(1/2)N}個の変更対象のパッチは、例えば、評価値EVに基づく評価が高い順に、選択される。例えば、m個の無効パッチのうち、RGBの3つの成分値の評価値EVの平均が小さい順に、{m-(1/2)N}個のパッチが、変更対象として選択される。無効パッチの数が(1/2)N以下である場合には(S260:NO)、プロセッサ110は、S265をスキップする。
【0069】
以上の有効パッチ選択処理によって、エラーで中断される場合を除いて、n個の有効パッチが選択される。有効パッチの個数nは、上述の説明から解るように、本実施例では、(1/2)N以上である。
【0070】
有効パッチ選択処理後の
図5のS130では、プロセッサ110は、RGBの3つの成分値から1つの注目成分値を選択する。以下では、注目成分値がR値である場合を例示しつつ説明するが、注目成分値がG値、B値であっても同様の処理が行われる。
【0071】
S135では、プロセッサ110は、有効パッチデータを用いて特性テーブルPTを生成する。有効パッチデータは、第1パッチ画像データのうちのn個の有効パッチを示す部分データである第1有効パッチデータと、第2パッチ画像データのうちのn個の有効パッチを示す部分データである第2有効パッチデータと、を含む。本実施例では、1つのパッチを構成する画素の個数は、900であるので、第1有効パッチデータの各成分値の個数Mは、(900×n)個である。第2パッチ有効データの各成分値の個数Mも、同じく(900×n)個である。なお、処理の便宜のために、第1有効パッチデータや第2パッチ有効データに対して、適宜に縮小処理を実行して画素数を減らすことによって、成分値の個数Mを減らしても良い。
【0072】
図9は、特性テーブルPTと補正テーブルATの一例を示す図である。プロセッサ110は、第1有効パッチデータのM個の注目成分値を、その値が小さな順番に並べ替える。同様に、プロセッサ110は、第2有効パッチデータのM個の注目成分値を、その値が小さな順番に並べ替える。注目成分値がR値である場合には、
図9(A)に示すように、特性テーブルPTは、小さな順に並べられた第1有効パッチデータのM個の第1R値と、小さな順に並べられた第2有効パッチデータのM個の第2R値と、を含む。特性テーブルPTの番号は、小さな順に並べられた第1R値と第2R値とに付された番号であり、1~Mの値の整数である。
【0073】
図10は、特性テーブルPTと補正テーブルATとの説明図である。
図10(A)には、横軸に1~Mの番号を取り、縦軸に第1R値をプロットしたグラフPG1と、縦軸に第2R値をプロットしたグラフPG2と、が示されている。グラフPG1とグラフPG2とは、第1イメージセンサ51と第2イメージセンサ52との読取特性の差異に起因してずれている。
【0074】
S140では、プロセッサ110は、生成された特性テーブルPTを用いて、補正テーブルATを生成する。補正テーブルATは、後述する第1ガンマ変換テーブルの補正に用いられる。例えば、注目成分値がR値である場合には、補正テーブルATは、0~255の範囲の整数の値を取る第2R値のそれぞれに、補正パラメータを対応付けて記録したテーブルである。
【0075】
S140の処理は、
図5に示すようにS141、S142の処理を含んでいる。S141では、プロセッサ110は、特性テーブルPTに含まれる各第2R値(すなわち、第2有効パッチデータに含まれる各第2R値)に対応付ける補正パラメータを算出する。
【0076】
特定の第2R値(例えば、「4」)に対応付ける補正パラメータは、特性テーブルPTにおいて該特定の第2R値に対応する1以上の第1R値を用いて算出される。
図9(A)にて破線枠Abで示すように、
図9(A)の特性テーブルPTは、「4」を示す第2R値が、11個記録されている(1~11番の第2R値)。特性テーブルPTにおいて、この11個の第2R値に対応する11個の第1R値は、同じ番号の第1R値であり、
図9(A)にて破線枠Aaに示すように、2個の第1R値「4」と9個の第1R値「5」である。このように、特定の第2R値に対応する1以上の第1R値は、第1有効パッチデータに含まれる複数個の第1R値のうち、値が小さな順に並べ替えた後の順番が特定の第2R値の順番と等しい値である、と言うことができる。
【0077】
第2R値「4」に対応付けられる補正パラメータは、これらの11個の第1R値の平均値「4.8182」である。
図9(B)にて破線枠Baに示されるように、
図9(B)の補正テーブルATでは、第2R値「4」に、補正パラメータ「4.8182」が対応付けられていることが解る。特定色を第2イメージセンサ52によって読み取って得られる第2R値が特定の第2R値(例えば、「4」)である場合に、補正パラメータは、該特定色を第1イメージセンサ51によって読み取って得られる第1R値(例えば、4.8182)を示している、と考えられる。したがって、補正テーブルATは、第1R値と第2R値との対応関係を示すデータである、と言うことができる。
【0078】
S142では、プロセッサ110は、欠損値に対応付ける補正パラメータを補間によって算出する。ここで、第2有効パッチデータには、第2R値が取り得る256個の値のうちの一部が含まれない場合がある。第2R値が取り得る256個の値のうち、第2有効パッチデータに含まれない値を欠損値とも呼ぶ。欠損値は、当然に、特性テーブルPTにも含まれない。
図9(A)の例では、最も小さな第2R値は「4」であるので、0~3は、欠損値である。このように、第2R値が取り得る256個の値のうち、両端の値「0」、「255」は、通常は欠損値になる。第2R値「0」に対応付ける補正パラメータは「0」に設定され、第2R値「255」に対応付ける補正パラメータは「255」に設定される。「0」と「255」以外に欠損値がある場合には、当該欠損値である第2R値に対応付ける補正パラメータは、欠損値ではない第2R値や「0」や「255」に対応付けられた複数個の補正パラメータを用いた補間演算によって算出される。
【0079】
例えば、
図9(B)にて破線枠Bcに示すように、欠損値である第2R値「0」には、補正パラメータとして「0」が対応付けられている。
図9(B)にて破線枠Bbに示すように、欠損値である第2R値「1」「2」「3」には、それぞれ、第2R値「0」に対応付けられた補正パラメータ「0」と、第2R値「4」に対応付けられた補正パラメータ「4.8182」と、を用いて算出された補間値が対応付けられている。なお、補間には、本実施例では、線形補間が用いられている。これに限らず、ラグランジュ補間やスプライン補間などの他の補間が用いられても良い。
【0080】
図10(B)には、補正テーブルATにおける第2R値を横軸に取り、縦軸に補正率をプロットしたグラフAGが示されている。補正率は、補正パラメータを第2R値で除して得られる値である(補正率=(補正パラメータ/第2R値))。
図10の例では、0~255の範囲のうち、0に近い範囲で補正率が高く、255に向かうに連れて補正率が低くなっている。補正率が高い範囲は、第1イメージセンサ51と第2イメージセンサ52との特性差が大きな範囲であると考えられる。
【0081】
S150では、プロセッサ110は、補正テーブルATを用いて、注目成分値用の第1ガンマ変換テーブルを補正することによって、注目成分値用の第2ガンマ変換テーブルを生成する。具体的には、プロセッサ110は、以下の式(1)~(5)を用いて、第1ガンマ変換テーブルを補正する。
【0082】
【0083】
ここで、iは、0~255の範囲の整数値であり、補正テーブルATに記録された256階調の第2R値に対応している。Iは、式(1)から解るように、4の倍数である。iが0~255の範囲であるから、Iは、0~1020の値をとる。式(2)のD(i)は、補正テーブルATにおいて第2R値「i」に対応付けられている補正パラメータである。式(2)のint(A)は、Aのうちの小数部分を切り捨てた整数を意味する。I0、I1は、0~1023の範囲の4刻みの整数である。γ1(I0)は、第1ガンマ変換テーブルの入力値RinとしてI0を入力して得られる出力値Routである。γ1(I1)は、第1ガンマ変換テーブルの入力値RinとしてI1を入力して得られる出力値Routである。rt(I)は、合成比であり、0~1の範囲の値である。式(5)のγ2(I)は、第2ガンマ変換テーブルにおいて、0~1023の入力値Rinのうちの4の倍数の入力値Rinに対応付けるべき出力値Routである。
【0084】
以上の説明から解るように、プロセッサ110は、式(1)~(5)に従って、第2ガンマ変換テーブルにおいて、4の倍数の入力値Rinに対応付ける出力値Routを算出する。さらに、プロセッサ110は、第2ガンマ変換テーブルにおいて、4の倍数とは異なる入力値Rinに対応付ける出力値Routを、4の倍数の入力値Rinに対応付けられた出力値Routを用いた補間演算によって、算出する。補間演算には、例えば、線形補間が用いられる。これに代えて、他の補間演算、例えば、ラグランジュ補間やスプライン補間が用いられても良い。この結果、0~1023の全ての入力値Rinに対応付ける出力値Routが算出され、第2ガンマ変換テーブルが生成される。
【0085】
第2ガンマ変換テーブルは、式(1)~(5)から解るように、特性テーブルPTを用いて、第1ガンマ補正テーブルの値(γ1(I0)、γ(I1))を、第2イメージセンサ52用に補正することによって得られる。特性テーブルPTは、第1有効パッチデータと第2有効パッチデータとの比較に基づいて、第1イメージセンサ51によって得られる第1R値と、第2イメージセンサ52によって得られる第2R値と、の対応関係が規定されている。そして、式(1)~(5)を用いることで、第1R値を補正前の第1ガンマ変換テーブルを用いて変換して得られるガンマ補正済みの第1R値と、第2R値を補正済みの第1ガンマ変換テーブル(すなわち、本実施例の第2ガンマ変換テーブル)を用いて変換して得られるガンマ補正済みの第2R値と、が近づくように、γ2(I)を算出できる。これによって、例えば、生成されたガンマ変換テーブル群GT1、GT2を用いることで、同一の画像を読み取って得られるガンマ補正済みのスキャン画像は、第1イメージセンサ51によって読み取られた場合であっても第2イメージセンサ52によって読み取られた場合であっても、同様の画像を示すことが期待できる。
【0086】
S160では、プロセッサ110は、RGBの全ての成分値を注目成分値として処理したか否かを判断する。全ての成分値が処理された場合には(S160:YES)、プロセッサ110は、ガンマ変換テーブル生成処理を終了する。未処理の成分値がある場合には(S160:NO)、プロセッサ110は、S130に戻る。ガンマ変換テーブル生成処理を終了された時点で、RGBの各成分値用の第2ガンマ変換テーブル、すなわち、第2ガンマ変換テーブル群GT2(
図1)が生成されている。
【0087】
以上説明した本実施例によれば、プロセッサ110は、プロセッサ110は、パッチシートPSを第1イメージセンサ51によって読み取ることによって得られる第1パッチ画像データと、パッチシートPSを第2イメージセンサ52によって読み取ることによって得られる第2パッチ画像データを取得する(
図5のS110、S120)。プロセッサ110は、第1イメージセンサ51用の第1ガンマ変換テーブルを取得する(
図5のS115)。プロセッサ110は、第1ガンマテーブルに基づいて第2イメージセンサ52用の第2ガンマ変換テーブルを生成する生成処理を実行する(
図5のS122~S160)。この生成処理は、N個のパッチPkの中からn個の有効パッチを選択する有効パッチ選択処理(
図5のS125)と、第1有効パッチデータ第2有効パッチデータとを用いて、第1変換テーブルを補正する補正処理(
図5のS130~S150)と、を含む。この結果、N個のパッチPkの全てを用いて第1ガンマ補正テーブルを補正する場合と比較して、不適切なパッチのデータが補正に用いられることを抑制することができる。これによって、例えば、第1イメージセンサ51によって得られるスキャンデータの特性と、第2イメージセンサ52によって得られるスキャンデータの特性と、が近づくように、これらのスキャンデータを適切に変換(ガンマ補正)することができる一組のガンマ変換テーブル(ガンマ変換テーブル群GT1、GT2)を生成できる。したがって、これらのガンマ変換テーブル群GT1、GT2を用いることで(例えば、
図4の読取処理)、スキャンデータを適切に変換できる。
【0088】
例えば、N個のパッチPkの中には、例えば、読取時に、ゴミの付着や搬送バラツキに起因する読取距離の差異が生じているパッチも含まれ得る。このようなパッチを示すスキャン画像の第1R値と第2R値との間には、第1イメージセンサ51と第2イメージセンサ52との読取特性とは異なる要因に起因する差異が含まれている。このために、このようなパッチを用いて、特性テーブルPTが生成されると、第1イメージセンサ51と第2イメージセンサ52との読取特性の差異を適切に反映した特性テーブルPTが作成できない可能性がある。本実施例によれば、センサの読取特性とは異なる要因に起因する差異が含まれる可能性が高いパッチを除いた適切な有効パッチを用いて、特性テーブルPTが作成できる。この結果、第1イメージセンサ51と第2イメージセンサ52との読取特性の差異を考慮した適切なガンマ補正を実行できる第1ガンマ変換テーブルと第2ガンマ変換テーブルとのセットを生成できる。
【0089】
さらに、本実施例によれば、スキャンデータに含まれる色値(RGB値)は、L種(本実施例では3種)の色成分の値(R値、G値、B値)を含む。プロセッサ110は、L種の色成分について生成処理を実行することによって、L種の色成分の値を変換するためのL個の第2ガンマ変換テーブル(すなわち、第2ガンマ変換テーブル群GT2)を生成する。この結果、複数種の色成分の値を適切に変換することができる一組の第2ガンマ変換テーブルを生成できる。
【0090】
さらに、本実施例によれば、プロセッサ110は、注目パッチを示す複数個の画素の第1R値と第2R値とを、値が小さな順に並べた順位に応じてQ個(本実施例では10個)のグループG1~G10に分類し(
図7のS215)、Q個のグループのそれぞれについて、第1平均R値と第2平均R値とを算出する(
図7のS220)。プロセッサ110は、Q個のグループのそれぞれについて算出される第1平均R値と第2平均R値と比較に基づいて、n個の有効パッチを選択する(
図7のS225~S240)。この結果、第1平均R値と第2平均R値とを用いて、n個の有効パッチを適切に選択することができる。
【0091】
より具体的には、プロセッサ110は、Q個のグループのそれぞれについて、第1平均R値と第2平均R値との差分値である差分値ΔRを算出し(
図7のS225)、Q個の差分値ΔRの最大値ΔRmaxと最小値ΔRminとの差分値である評価値EVに基づいて、n個の有効パッチを選択する(
図7のS230~S240)。この結果、n個の有効パッチを適切に選択することができる。例えば、上述のように、ゴミの付着や搬送バラツキに起因する読取距離の差異が生じている場合には、評価値EVが過度に大きくなりやすいので、このような不適切なパッチを除いた有効パッチを選択できる。
【0092】
さらに、本実施例によれば、上述したように、RGBの3種の色成分の全ての評価値EVが閾値THe未満であるパッチが、有効パッチとして選択される(
図7のS235~S245)。すなわち、1つの注目パッチについて算出される評価値EVは、第1種の色成分(例えば、R成分)について算出される評価値EVと、第2種の色成分(例えば、B成分)について算出される評価値EVと、を含んでいる。プロセッサ110は、第1種の色成分(例えば、R成分)について算出される評価値EVが閾値THe未満であり、かつ、第2種の色成分(例えば、B成分)について算出される評価値EVが閾値THe未満である場合に、注目パッチを有効パッチとして選択する。この結果、例えば、1つの色成分の値だけに基づいて、有効パッチを選択する場合と比較して、より厳密に有効パッチと無効パッチとを分類できる。しがって、n個の有効パッチを適切に選択することができる。
【0093】
さらに、本実施例によれば、プロセッサ110は、第1有効パッチデータの第1R値と、第2有効パッチデータの第2R値と、R値が取り得る複数個の値(本実施例では0~255)のそれぞれに対応する補正パラメータを規定する補正テーブルAT(
図9)を生成する(
図5のS140、
図9(B))。プロセッサ110は、該補正テーブルATを用いて、第1ガンマ変換テーブルを補正する。この結果、補正テーブルATを用いることで、第1変換テーブルを適切に補正できる。
【0094】
さらに、本実施例によれば、プロセッサ110は、第2R値が取り得る値のうち、第2有効パッチデータに含まれる値に対応する補正パラメータを決定する(
図5のS141)。プロセッサ110は、第2R値が取り得る複数個の値のうち、第2有効パッチデータに含まれない欠損値に対応する補正パラメータを、決定済みの補正パラメータを用いた補間処理によって決定する(
図5のS142)。したがって、欠損値がある場合であっても、補間処理によって、欠損値に対応する補正パラメータを決定することができる。
【0095】
さらに、本実施例によれば、プロセッサ110は、第1有効パッチデータに含まれる複数個の第1R値と、第2有効パッチデータに含まれる複数個の第2R値と、をそれぞれ、値が小さな順に並べ替えることで、特性テーブルPTを生成する(
図5のS135)。プロセッサ110は、注目第2R値に対応付ける補正パラメータを、注目第2R値に対応する1以上の第1R値を用いて算出する(
図9)。注目第2R値に対応する第1R値は、第1有効パッチデータに含まれる複数個の第1R値のうち、特性テーブルPTにおける順番(すなわち、並替処理の後の順番)が注目第2R値の順番と等しい値である。同じ画像を読み取って得られる2つのスキャン画像の間では、同じ部位を示す画素の第1R値と第2R値とは、特性テーブルPTにおける順番が概ね同じになると考えられる。したがって、特性テーブルPTを用いて、互いに対応する第1R値と第2R値とを適切に特定し得る。
【0096】
以上の説明か解るように、本実施例の第1パッチ画像データは、第1特定画像データの例であり、第2パッチ画像データは、第2特定画像データの例である。また、N個のパッチPkのそれぞれは部分画像の例であり、N個のパッチPkの全体は、特定画像の例である。また、第1有効パッチデータは、第1部分データの例であり、第2有効パッチデータは、第2部分データの例である。差分値ΔRは、第1差分値の例であり、評価値EVは、第2差分値の例である。第1平均R値および第2平均R値は、代表値の例である。
【0097】
B.変形例
(1)上記実施例のガンマ変換テーブル生成処理では、N個のパッチPkを含むパッチシートPSを読み取って得られる第1パッチ画像データと第2パッチ画像データとが用いられる。これに代えて、パッチとは異なる画像を含むシートを第1イメージセンサ51によって読み取って得られる第1画像データと、同じシートを第2イメージセンサ52によって読み取って得られる第2画像データと、が用いられても良い。
【0098】
図11は、変形例のシートGSの一例を示す図である。シートGSは、グラデーション画像GAを含む。グラデーション画像GAは、黒の印刷材(インクやトナー)を用いて印刷されたモノクロ画像である。したがって、グラデーション画像GAは、一般的な印刷物と同様に、網点(複数個のドット)によって表現されている。グラデーション画像GAは、各部分の明度が画像上における所定方向に向かうに連れて連続的に変化している。グラデーション画像GAは、明度が互いに異なる多数の部分を含んでいる。そして、明度が互いに異なる多数の部分の明度は、最も明るい無彩色(白)から最も暗い無彩色(黒)までの広い明度範囲に亘って分布している。
【0099】
変形例では、シートGSを第1イメージセンサ51によって読み取って得られる示す第1グラデーションデータが、実施例の第1パッチ画像データに代えて用いられる。シートGSを第2イメージセンサ52によって読み取って得られる示す第2グラデーションデータが、実施例の第2パッチ画像データに代えて用いられる。
図11は、第1グラデーションデータによって示される第1グラデーション画像GI1、および、第2グラデーションデータによって示される第2グラデーション画像GI2を示す図とも言うことができる。
【0100】
プロセッサ110は、第1グラデーション画像GI1と第2グラデーション画像GI2を、それぞれ、N個の矩形のブロックBL1に分割する。プロセッサ110は、上記実施例にて、N個のパッチのそれぞれを注目パッチとして実行される処理を、N個のブロックBLのそれぞれを注目ブロックとして同様に実行する。すなわち、変形例では、プロセッサ110は、
図5のS125にて、N個のブロックBLの中からn個の有効ブロックを選択する。さらに、
図5のS135では、プロセッサ110は、第1グラデーションデータのうち、n個の有効ブロックを示す第1有効ブロックデータと、第2グラデーションデータのうち、n個の有効ブロックを示す第2有効ブロックデータと、を用いて、特性テーブルPTを生成する。
【0101】
このようにして、本変形例によっても実施例と同様に、第1ガンマ変換テーブルを補正することによって、適切な第2ガンマ変換テーブルを生成することができる。なお、シートに印刷される画像は、N個のパッチやグラデーションに限らず、例えば、風景や人工物を被写体とするモノクロ写真であっても良い。印刷される画像は、明度が互いに異なる多数の部分を含んでいることが好ましい。該多数の部分の明度は、最も明るい無彩色(白)から最も暗い無彩色(黒)までの広い明度範囲に亘って分布していることが好ましい。
【0102】
(2)上記実施例では、2つのイメージセンサ51、52は、1つの複合機200に備えられている。これに代えて、2つのイメージセンサは、別々のデバイスが備えていても良い。
【0103】
図12は、変形例の処理システム1000Bを示す説明図である。処理システム1000Bは、実施例と同様のデータ処理装置100と、第1スキャナ200Aと、第2スキャナ200Bと、を備えている。第1スキャナ200Aは、1つの第1イメージセンサ51Aを備え、第1イメージセンサ51Aによってシートを読み取ってスキャンデータを生成するデバイスである。第2スキャナ200Bは、1つの第2イメージセンサ52Bを備え、第2イメージセンサ52Bによってシートを読み取ってスキャンデータを生成するデバイスである。
【0104】
第1スキャナ200Aと第2スキャナ200Bとは、同一のモデルである。このモデルには、例えば、製造メーカが異なる2種類のイメージセンサ51A、52Bが採用されている。このために、第1スキャナ200Aと第2スキャナ200Bとでは、同一のモデルであるにも拘わらず、特性が互いに異なるイメージセンサ51A、52Bが用いられている。
【0105】
このような場合に、第1スキャナ200Aと第2スキャナ200Bとの品質の均一性を保つために、一のシートを第1スキャナ200Aを用いて読み取ることによって得られるスキャンデータが示す画像と、該一のシートを第2スキャナ200Bを用いて読み取ることによって得られるスキャンデータが示す画像と、は同じ画像になることが好ましい。このために、変形例では、実施例と同様のガンマ変換テーブル生成処理を実行することによって、第1イメージセンサ51A用(すなわち、第1スキャナ200A用)のガンマ変換テーブル群と、第2イメージセンサ52B用(すなわち、第2スキャナ200B用)のガンマ変換テーブル群と、のセットが生成される。
【0106】
具体的には、
図5のS110では、プロセッサ110は、パッチシートPSを第1スキャナ200Aの第1イメージセンサ51Aによって読み取って得られる第1パッチ画像データを、第1スキャナ200Aから取得する。
図5のS120では、プロセッサ110は、パッチシートPSを第2スキャナ200Bの第2イメージセンサ52Bによって読み取って得られる第2パッチ画像データを、第2スキャナ200Bから取得する。
【0107】
変形例のガンマ変換テーブル生成処理の他の処理は、実施例と同様であるので、その説明を省略する。本変形例によれば、第1スキャナ200Aの不揮発性記憶装置に格納する第1ガンマ変換テーブル群と、第2スキャナ200Bの不揮発性記憶装置に格納する第2ガンマ変換テーブル群と、のセットを生成することができる。
【0108】
(3)上記実施例では、データ処理装置100のプロセッサ110が
図5のガンマ変換テーブル生成処理を実行する。これに代えて、複合機やスキャナなどのデバイスのプロセッサがガンマ変換テーブル生成処理を実行しても良い。
【0109】
図13は、変形例の複合機200Cの説明図である。複合機200Cの不揮発性記憶装置230には、実施例のプログラム232とは異なるコンピュータプログラム232Cが格納されている。コンピュータプログラム232Cは、スキャナ部280やプリンタ部290の制御等の機能に加えて、ガンマ変換テーブル生成処理を実行する機能をプロセッサ210に実現させる。複合機200Cの他の構成は、実施例の複合機200の構成と同一である。
【0110】
本変形例では、複合機200Cのプロセッサ210が、
図5のガンマ変換テーブル生成処理を実行する。
図5のS110では、複合機200Cのプロセッサ210は、スキャナ部280を制御して、パッチシートPSを第1イメージセンサ51によって読み取ることで、第1パッチ画像データを生成する。
図5のS120では、プロセッサ210は、スキャナ部280を制御して、パッチシートPSを第2イメージセンサ52によって読み取ることで、第2パッチ画像データを生成する。これによって、プロセッサ210は、第1パッチ画像データと第2パッチ画像データとを取得する。
【0111】
変形例のガンマ変換テーブル生成処理の他の処理は、実施例と同様であるので、その説明を省略する。本変形例によれば、複合機200Cが、自身の不揮発性記憶装置230に格納する第1ガンマ変換テーブル群と第2ガンマ変換テーブル群とのセットを生成することができる。
【0112】
(4)なお、
図12の第1スキャナ200Aが、
図5のガンマ変換テーブル生成処理を実行しても良い。この場合には、
図5のS110では、第1スキャナ200Aは、パッチシートPSを第1イメージセンサ51Aによって読み取ることで、第1パッチ画像データを生成する。
図5のS120では、第1スキャナ200Aからの指示、あるいは、作業者の指示に基づいて、第2スキャナ200Bが、パッチシートPSを第2イメージセンサ52Bによって読み取ることで、第2パッチ画像データを生成する。第2スキャナ200Bは、生成した第2パッチ画像データを第1スキャナ200Aに送信する。これによって、第1スキャナ200Aは、第1パッチ画像データを自身で生成することによって取得し、第2パッチ画像データを第2スキャナ200Bから取得する。
【0113】
本変形例でもガンマ変換テーブル生成処理の他の処理は、実施例と同様であるので、その説明を省略する。本変形例によれば、第1スキャナ200Aが、自身の不揮発性記憶装置230に格納する第1ガンマ変換テーブル群と、第2スキャナ200Bの不揮発性記憶装置に格納する第2ガンマ変換テーブル群と、のセットを生成することができる。
【0114】
(5)第1有効パッチデータと第2有効パッチデータとを用いて、第1ガンマ補正テーブルを補正する具体的な計算方法は、一例であり、これに限られない。例えば、プロセッサ110は、パッチごとに、ガンマ補正後の第1R値の平均値とガンマ補正後の第2R値の平均値との差分値ΔRvに応じた補正量と、補正対象とすべき入力値Rinの範囲と、を規定したテーブルを予め用意しておき、第1有効パッチデータと第2有効パッチデータとを用いて算出される差分値ΔRvに応じた補正量で、補正対象とすべき入力値Rinに対応付けるRoutを補正しても良い。そして、該補正を差分値ΔRvが閾値以下になるまで繰り返し実行しても良い。
【0115】
(6)上記実施例では、各パッチPkのR値の代表値として、平均R値が用いられている。これに限らず、R値の代表値は、パッチPkを構成する複数個の画素のR値の中央値、最頻値などの他の統計値であっても良い。
【0116】
(7)上記実施例では、S150にて補正済みの第1ガンマ変換テーブルが、最終的な第2ガンマ変換テーブルとされている。これに代えて、最終的な第2ガンマ変換テーブルが生成される過程の処理は、適宜な変更がなされ得る。例えば、補正済みの第1ガンマ変換テーブルに対して、公知のスムージング処理が行われたものが、最終的な第2ガンマ変換テーブルとされても良い。
【0117】
(8)上記各実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部あるいは全部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。例えば、ヒストグラムデータを生成する処理を、専用のハードウェア回路によって実現してもよい。
【0118】
(9)本発明の機能の一部または全部がコンピュータプログラムで実現される場合には、そのプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体(例えば、一時的ではない記録媒体)に格納された形で提供することができる。プログラムは、提供時と同一または異なる記録媒体(コンピュータ読み取り可能な記録媒体)に格納された状態で、使用され得る。「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」は、メモリーカードやCD-ROMのような携帯型の記録媒体に限らず、各種ROM等のコンピュータ内の内部記憶装置や、ハードディスクドライブ等のコンピュータに接続されている外部記憶装置も含み得る。
【0119】
以上、実施例、変形例に基づき本発明について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれる。
【符号の説明】
【0120】
1000,1000B…処理システム,100…データ処理装置,110…プロセッサ,115…記憶装置,120…揮発性記憶装置,130…不揮発性記憶装置,132…プログラム,140…表示部,150…操作部,170…通信インタフェース,200…複合機,210…プロセッサ,215…記憶装置,220…揮発性記憶装置,230…不揮発性記憶装置,232…プログラム,240…表示部,250…操作部,270…通信インタフェース,280…スキャナ部,290…プリンタ部,299…制御部,31…給紙トレイ,32…排紙トレイ,51,51A…第1イメージセンサ,52,52B…第2イメージセンサ,60…搬送機構,AT…補正テーブル,GT1…第1ガンマ変換テーブル群,GT2…第2ガンマ変換テーブル群,PS…パッチシート,PT…特性テーブル,TD…目標色値テーブル