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特開2024-108865処理装置、プログラム、及び処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108865
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】処理装置、プログラム、及び処理方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20240805BHJP
   H02J 1/00 20060101ALI20240805BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
H02J7/00 302C
H02J1/00 306K
H02J13/00 311R
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023013477
(22)【出願日】2023-01-31
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和 4年 7月26日に、CIGRE PARIS SESSION 2022のウェブサイトにて公開 https://registrations.cigre.org/ 令和 4年 8月30日に、2022年 CIGREパリ大会にて公開
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(71)【出願人】
【識別番号】520307713
【氏名又は名称】関西電力送配電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】久富 和郎
(72)【発明者】
【氏名】大野 裕之
(72)【発明者】
【氏名】西垣 安貴
(72)【発明者】
【氏名】岡本 和馬
(72)【発明者】
【氏名】河内 祐也
(72)【発明者】
【氏名】米澤 憲人
(72)【発明者】
【氏名】山本 和孝
(72)【発明者】
【氏名】湧谷 栄之
(72)【発明者】
【氏名】松浦 康雄
【テーマコード(参考)】
5G064
5G165
5G503
【Fターム(参考)】
5G064AA01
5G064AA04
5G064AC05
5G064AC09
5G064CB08
5G064CB12
5G165CA01
5G165CA05
5G165DA01
5G165DA07
5G165EA02
5G165EA03
5G165HA02
5G165HA03
5G165LA01
5G165MA01
5G503AA06
5G503BA04
5G503BB02
5G503BB03
5G503DA07
5G503DA16
5G503DA17
5G503GB03
(57)【要約】
【課題】複数の蓄電池ユニットから取得した充電状態情報それぞれに応じて、蓄電池ユニットの出力電圧を変更させることが可能な処理装置等を提供する。
【解決手段】処理装置は、複数の蓄電池ユニットと通信可能に接続される処理装置であって、前記蓄電池ユニットからの出力電圧に関する処理を行う処理部を備え、前記処理部は、前記蓄電池ユニットそれぞれから、前記蓄電池ユニットが含む蓄電池の充電状態に関する充電状態情報を取得し、取得した前記充電状態情報それぞれに応じて、前記蓄電池ユニットの出力電圧を変更させるための処理を行い、前記充電状態情報は、前記蓄電池の充電残量を含み、複数の前記蓄電池ユニットの充電残量それぞれの差分に応じて、いずれかの蓄電池ユニットと他の蓄電池ユニットとの出力電圧を異ならせる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の蓄電池ユニットと通信可能に接続される処理装置であって、
前記蓄電池ユニットからの出力電圧に関する処理を行う処理部を備え、
前記処理部は、
前記蓄電池ユニットそれぞれから、前記蓄電池ユニットが含む蓄電池の充電状態に関する充電状態情報を取得し、
取得した前記充電状態情報それぞれに応じて、前記蓄電池ユニットの出力電圧を変更させるための処理を行い、
前記充電状態情報は、前記蓄電池の充電残量を含み、
複数の前記蓄電池ユニットの充電残量それぞれの差分に応じて、いずれかの蓄電池ユニットと他の蓄電池ユニットとの出力電圧を異ならせる
処理装置。
【請求項2】
前記蓄電池ユニットは、前記蓄電池と、前記蓄電池からの直流電圧を変換するDCDCコンバータとを含み、
複数の前記蓄電池ユニットにより直流配電系統が構成され、
前記処理部による処理に応じて、前記DCDCコンバータは、出力する直流電圧の電圧値を変更する
請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記処理部は、複数の前記蓄電池ユニットの充電残量において差分が発生した場合、複数の蓄電池ユニットの内の前記いずれかの蓄電池ユニットよりも、充電残量が高い蓄電池ユニットの出力電圧を、前記いずれかの蓄電池ユニットの出力電圧よりも高い電圧値に変更する
請求項2に記載の処理装置。
【請求項4】
前記処理部は、複数の前記蓄電池ユニットの充電残量の差分に応じて、前記いずれかの蓄電池ユニットと前記他の蓄電池ユニットとの出力電圧を異ならせた状態において、今回取得した充電残量による差分が、以前に取得した充電残量による差分よりも小さくならない場合、前記いずれかの蓄電池ユニットと前記他の蓄電池ユニットとの出力電圧の差異を大きくする
請求項3に記載の処理装置。
【請求項5】
複数の蓄電池ユニットと通信可能に接続されるコンピュータに、
前記蓄電池ユニットそれぞれから、前記蓄電池ユニットが含む蓄電池の充電状態に関する充電状態情報を取得し、
取得した前記充電状態情報それぞれに応じて前記蓄電池ユニットの出力電圧を変更し、
前記充電状態情報は、前記蓄電池の充電残量を含み、
複数の前記蓄電池ユニットの充電残量それぞれの差分に応じて、いずれかの蓄電池ユニットと他の蓄電池ユニットとの出力電圧を異ならせる
処理を実行させる処理方法。
【請求項6】
複数の蓄電池ユニットと通信可能に接続されるコンピュータに、
前記蓄電池ユニットそれぞれから、前記蓄電池ユニットが含む蓄電池の充電状態に関する充電状態情報を取得し、
取得した前記充電状態情報それぞれに応じて前記蓄電池ユニットの出力電圧を変更し、
前記充電状態情報は、前記蓄電池の充電残量を含み、
複数の前記蓄電池ユニットの充電残量それぞれの差分に応じて、いずれかの蓄電池ユニットと他の蓄電池ユニットとの出力電圧を異ならせる
処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理装置、プログラム、及び処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電力系統に接続された複数の電力装置を管理して、電力系統との間での送受電の制御を行う電力システムが普及しつつある。例えば、特許文献1には、複数の電力装置と処理装置 とを備えた電力システムの一例が開示されている。処理装置は、所定の調整対象電力を目標電力に制御するための指標を算出する。各電力装置は、処理装置が算出した誘導指令値を用いて、分散的に出力電力を制御している。このとき、各電力装置は、誘導指令値を用いた最適化問題に基づいて、出力電力の目標値を算出する。そして、出力電力が当該目標値となるように、出力電力を制御する。このようにして、電力システムのエネルギー管理を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-148627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された電力システムにおいては、複数の蓄電池ユニットから取得した充電状態情報それぞれに応じて、蓄電池ユニットの出力電圧を変更させる点について考慮されていない。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、複数の蓄電池ユニットから取得した充電状態情報それぞれに応じて、蓄電池ユニットの出力電圧を変更させることが可能な処理装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る処理装置は、複数の蓄電池ユニットと通信可能に接続される処理装置であって、前記蓄電池ユニットからの出力電圧に関する処理を行う処理部を備え、前記処理部は、前記蓄電池ユニットそれぞれから、前記蓄電池ユニットが含む蓄電池の充電状態に関する充電状態情報を取得し、取得した前記充電状態情報それぞれに応じて、前記蓄電池ユニットの出力電圧を変更させるための処理を行う。
【0007】
本態様にあたっては、複数の蓄電池ユニットそれぞれは、複数の施設、拠点、又は地域にて分散して配置されており、電力線により接続されている。蓄電池ユニットは蓄電池を含み、当該蓄電池ユニットと同じ拠点等に配置されている直流負荷装置及び太陽光発電装置等と電力線により接続されている。これら直流負荷装置及び太陽光発電装置における電力需給バランスが崩れた場合、当該電力需給の差分は、蓄電池ユニットそれぞれが分担して充電又は放電することにより吸収され、系統電圧が安定化される。処理装置の処理部は、これら複数の蓄電池ユニットと、有線(通信線)又は無線により通信可能に接続されており、蓄電池ユニットそれぞれから、周期的、定期的又は定常的に、各蓄電池ユニットが備える蓄電池の充電状態に関する充電状態情報を取得する。処理装置の処理部は、取得した充電状態情報と、取得時刻とを関連付けて、処理装置の記憶部等に記憶するものであってもよい。処理装置の処理部は、蓄電池ユニットそれぞれから取得した充電状態情報(蓄電池の充電状態)に応じて、蓄電池ユニットの出力電圧を変更させるための処理を行う。従って、複数の蓄電池ユニットそれぞれにおいて、蓄電池の充電状態の差分等が発生した場合であっても、複数の蓄電池ユニットの内のいずれかの蓄電池ユニットの出力電圧を変更し、これら蓄電池ユニットの蓄電池の充電状態をバランスさせる制御を行うことができる。これにより、分散して配置及び接続される複数の蓄電池を、仮想的な単一の蓄電池として運用することができ、蓄電池ユニットが大型化することを抑制し、比較的に低コストにて信頼性の高い電圧維持手法を提供することができる。
【0008】
本開示の一態様に係る処理装置においては、前記蓄電池ユニットは、前記蓄電池と、前記蓄電池からの直流電圧を変換するDCDCコンバータとを含み、複数の前記蓄電池ユニットにより直流配電系統が構成され、前記処理部による処理に応じて、前記DCDCコンバータは、出力する直流電圧の電圧値を変更する。
【0009】
本態様にあたっては、蓄電池ユニットは、蓄電池と、蓄電池からの直流電圧を変換するDCDCコンバータとを含み、直流配電系統を構成する。複数の蓄電池ユニットそれぞれは、線路インピータンスを含む電力線にて接続されており、これら複数の蓄電池ユニットによって、直流配電系統システムが構成される。蓄電池ユニットそれぞれと通信可能に接続される処理装置は、蓄電池ユニットの状態監視及び出力電圧値の設定(出力電圧設定値)及び、当該出力電圧設定値の出力を行う系統監視装置として機能し、直流配電系統システムに含まれる。蓄電池ユニットは、例えば、処理装置の処理部から送信される出力電圧設定値を受信し、受信した出力電圧設定値に基づき、当該蓄電池ユニットが備えるDCDCコンバータが出力する直流電圧の電圧値を変更するため、出力電圧を変更する処理を効率的に行うことができる。
【0010】
本開示の一態様に係る処理装置においては、前記充電状態情報は、前記蓄電池の充電残量を含み、前記処理部は、複数の前記蓄電池ユニットの充電残量それぞれの差分に応じて、いずれかの蓄電池ユニットと他の蓄電池ユニットとの出力電圧を異ならせる。
【0011】
本態様にあたっては、充電状態情報は、例えば、SOC(State of Charge:SOC(%)=残容量(Ah)/満充電容量(Ah)×100)等、蓄電池の充電残量(充電残容量、充電率)に関する情報を含む。蓄電池ユニットは、例えば、蓄電池の開放電圧(OCV)を取得することにより、充電残量(SOC)を計測(推定)し、計測した充電残量(SOC)を処理装置に送信する。処理装置の処理部は、複数の蓄電池ユニットの充電残量(SOC)それぞれの差分に応じて、蓄電池ユニットそれぞれにおける出力電圧を異ならせるため、いずれかの蓄電池ユニットの充電残量(SOC)が、他の蓄電池ユニットの充電残量(SOC)が著しく低くなり、当該いずれかの蓄電池ユニットが系統から脱落することを防止することができる。
【0012】
本開示の一態様に係る処理装置においては、前記処理部は、複数の前記蓄電池ユニットの充電残量において差分が発生した場合、複数の蓄電池ユニットの内の前記いずれかの蓄電池ユニットよりも、充電残量が高い蓄電池ユニットの出力電圧を、前記いずれかの蓄電池ユニットの出力電圧よりも高い電圧値に変更する。
【0013】
本態様にあたっては、複数の蓄電池ユニット(蓄電池ユニットが3台の場合:U1、U2、U3)の製品仕様又は蓄電池の充放電特性等が同一である場合、複数の蓄電池ユニットにおける出力電圧(出力電圧設定値)の初期値(V)は、全て同一(U1:V1=U2:V2=U3:V3)に設定されている。処理装置の処理部は、複数の蓄電池ユニットそれぞれから、周期的に充電残量(SOC)を取得し、実質的に同時期に取得したこれら複数の蓄電池ユニットの充電残量における差分を算出する。当該差分を算出するにあたり、処理装置の処理部は、例えば、充電残量(SOC)が最も少ない蓄電池ユニット(最小SOCの蓄電池ユニット:U1)を特定し、当該最小SOCの蓄電池ユニットと、他の蓄電池ユニットとの充電残量(SOC)の差分を算出するものであってもよい。蓄電池ユニット(U1)の近傍に大きな直流負荷が存在し、他の蓄電池ユニット(U2,U3)の近傍に直流負荷が存在しない場合、各蓄電池ユニット間に存在する線路インピーダンスの影響により、大きな直流負荷の近傍にある蓄電池ユニット(U1)が主に放電して当該直流負荷に電力を供給する。この結果、他の蓄電池ユニット(U2,U3)の放電量は、大きな直流負荷の近傍にある蓄電池ユニット(U1)の放電量と比べて、小さくなる。これにより、蓄電池ユニット(U1)の蓄電池電力が、他の蓄電池ユニット(U2,U3)と比べ早く消費され、当該状態が継続することにより、最終的に蓄電池ユニット(U1)は、充電残量(SOC)の低下により系統から脱落することが想定される。これに対し、処理装置の処理部は、特定した最小SOCの蓄電池ユニット(U1)以外となる他の蓄電池ユニット(U2,U3)の出力電圧(V2,V3)を、当該最小SOCの蓄電池ユニットの出力電圧(V1)よりも高い電圧値に設定(V1<V2=V3)する。又は、処理装置の処理部は、取得したこれら複数の蓄電池ユニットの充電残量(SOC)の平均値を算出し、当該平均値よりも高い充電残量(SOC)の蓄電池ユニットに対し、出力電圧を高くする処理を行う(増加した出力電圧設定値を出力する)ものであってもよい。すなわち、当該平均値を基準とした偏差に基づき、出力電圧を高くする処理の対象となる蓄電池ユニットを特定するものであってもよい。このように複数の蓄電池ユニットにおいて、充電残量(SOC)が相対的に低下した蓄電池ユニットが発生した場合、他の蓄電池ユニットの出力電圧設定値を、充電残量が低下した蓄電池ユニットの出力電圧設定値よりも、高く設定する。これより、充電残量(SOC)が相対的に多い蓄電池ユニット(出力電圧設定値が高く設定された蓄電池ユニット)からの放電量の割合を増やし、各蓄電池ユニットの放電量をバランス(均衡化)させることができる。
【0014】
本開示の一態様に係る処理装置においては、前記処理部は、複数の前記蓄電池ユニットの充電残量の差分に応じて、前記いずれかの蓄電池ユニットと前記他の蓄電池ユニットとの出力電圧を異ならせた状態において、今回取得した充電残量による差分が、以前に取得した充電残量による差分よりも小さくならない場合、前記いずれかの蓄電池ユニットと前記他の蓄電池ユニットとの出力電圧の差異を大きくする。
【0015】
本態様にあたっては、処理装置の処理部は、複数の蓄電池ユニットの充電残量間にて差分が生じ、充電残量(SOC)が相対的に低下した蓄電池ユニットが発生した場合、当該蓄電池ユニットよりも充電残量が多い蓄電池ユニット(他の蓄電池ユニット)の出力電圧設定値を増加し、当該他の蓄電池ユニットからの出力電圧を高くする処理を行う。これにより複数の蓄電池ユニットにおいて、出力電圧(出力電圧設定値)が異なる状態が発生するものとなる。処理装置の処理部は、当該状態を維持しつつ、複数の蓄電池ユニットそれぞれからの充電残量(SOC)の取得及び、これら充電残量間の差分の算出を継続している。処理装置の処理部は、蓄電池ユニットそれぞれにおける出力電圧を異ならせた状態を維持しつつも、今回取得した充電残量それぞれによる差分が、以前に取得した充電残量それぞれによる差分よりも小さくならない場合、各蓄電池ユニットの放電量のバランス(均衡化)が改善されていないことを示す。これに対し、処理装置の処理部は、蓄電池ユニットそれぞれにおける出力電圧の差異を更に大きくすることにより、各蓄電池ユニットの放電量のバランス(均衡化)の改善を図るための上乗せ処理を行う。処理装置の処理部は、例えば、他の蓄電池ユニットの出力電圧設定値を更に増加することにより、蓄電池ユニットそれぞれにおける出力電圧の差異を大きくするものであってもよい。又は、処理装置の処理部は、例えば、充電残量(SOC)が相対的に低下した蓄電池ユニットの出力電圧設定値を減少することにより、蓄電池ユニットそれぞれにおける出力電圧の差異を大きくするものであってもよい。又は、処理装置の処理部は、充電残量(SOC)が相対的に低下した蓄電池ユニットの出力電圧設定値を減少させつつ、他の蓄電池ユニットの出力電圧設定値を増加することにより、蓄電池ユニットそれぞれにおける出力電圧の差異を大きくするものであってもよい。このように周期的又は定期的に算出する差分の変化に応じて、蓄電池ユニットそれぞれにおける出力電圧の差異を変更することにより、各蓄電池ユニットの放電量を効率的にバランス(均衡化)させることができる。
【0016】
本開示の一態様に係る処理方法は、複数の蓄電池ユニットと通信可能に接続されるコンピュータに、前記蓄電池ユニットそれぞれから、前記蓄電池ユニットが含む蓄電池の充電状態に関する充電状態情報を取得し、取得した前記充電状態情報それぞれに応じて前記蓄電池ユニットの出力電圧を変更する処理を実行させる。
【0017】
本態様にあたっては、コンピュータを複数の蓄電池ユニットから取得した充電状態情報それぞれに応じて、蓄電池ユニットの出力電圧を変更させる処理装置として機能させる処理方法を提供することができる。
【0018】
本開示の一態様に係るプログラムは、複数の蓄電池ユニットと通信可能に接続されるコンピュータに、前記蓄電池ユニットそれぞれから、前記蓄電池ユニットが含む蓄電池の充電状態に関する充電状態情報を取得し、取得した前記充電状態情報それぞれに応じて前記蓄電池ユニットの出力電圧を変更する処理を実行させる。
【0019】
本態様にあたっては、コンピュータを複数の蓄電池ユニットから取得した充電状態情報それぞれに応じて、蓄電池ユニットの出力電圧を変更させる処理装置として機能させるプログラムを提供することができる。
【発明の効果】
【0020】
複数の蓄電池ユニットから取得した充電状態情報それぞれに応じて、蓄電池ユニットの出力電圧を変更させる処理装置等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施形態1に係る処理装置を含む直流配電系統システムの構成例を示すシステム構成図である。
図2】処理装置等の構成例を示すブロック図である。
図3】処理装置の処理部の処理手順を示すフローチャートである。
図4】実施形態2に係る処理装置の処理部の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(実施形態1)
以下、実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1は、実施形態1に係る処理装置1を含む直流配電系統システムSの構成例を示すシステム構成図である。図2は、処理装置1等の構成例を示すブロック図である。直流配電系統システムSは、電力線S1によって相互に接続される複数の蓄電池ユニット2(本実施例では3つの蓄電池ユニット2)、及びこれら複数の蓄電池ユニット2それぞれと通信可能に接続される処理装置1とを含む。
【0023】
蓄電池ユニット2は、蓄電池22及び、蓄電池22からの直流電圧を昇圧又は降圧して出力電圧を変換した直流電圧を出力するDCDCコンバータ21を含み、直流電圧電源として機能する。複数の蓄電池ユニット2それぞれは、複数の施設、拠点又は地域にて分散して配置されており、線路インピーダンスZを有する電力線S1により接続されている。詳細は後述するが、各蓄電池ユニット2は、電力線S1を介して、他の蓄電池ユニット2が配置されている拠点等の直流負荷装置4に対し、電力を供給することができる。
【0024】
各拠点等に分散して配置されている蓄電池ユニット2それぞれを接続する電力線S1は、当該拠点にて複数の支線(電力線S1)に分岐され、分岐された支線(電力線S1)の一つに蓄電池ユニット2が接続され、他の支線(電力線S1)それぞれには、例えば、太陽光発電装置3、及び直流負荷装置4が接続されている。太陽光発電装置3は、直流電力を発電する自然エネルギー発電装置の一例であり、例えば、風力発電装置等が接続されるものであってもよい。太陽光発電装置3は、発電装置用DCDCコンバータ31を介して、蓄電池ユニット2又は直流負荷装置4と接続される。当該発電装置用DCDCコンバータ31によって、太陽光発電装置3からの出力電圧は、変換される。直流負荷装置4は、例えば、発動機、駆動装置、又は照明装置等であり、供給される直流電力を消費する。同一の拠点等にて配置される太陽光発電装置3と直流負荷装置4とによる電力需給のバランスは、時間帯によって崩れることになるが、当該電力需給の差分は、同じ拠点等に配置される蓄電池ユニット2それぞれが分担して充電又は放電することにより吸収され、系統電圧が安定化される。
【0025】
蓄電池ユニット2それぞれと通信可能に接続される処理装置1は、蓄電池ユニット2の状態監視及び出力電圧値の設定(出力電圧設定値)及び出力電圧設定値の出力を行う系統監視装置として機能する。処理装置1(系統監視装置)は、有線(通信線)又は無線により、蓄電池ユニット2それぞれと通信可能に接続されており、蓄電池ユニット2それぞれから、周期的、定期的又は定常的に、各蓄電池ユニット2が備える蓄電池22の充電状態に関する充電状態情報を取得する。充電状態情報は、各蓄電池22の充電残量(SOC)を示すデータを含む。
【0026】
処理装置1(系統監視装置)は、各蓄電池ユニット2から取得した充電残量(SOC)に基づき、蓄電池ユニット2それぞれに対する出力電圧設定値それぞれを決定し、決定した出力電圧設定値を、対象となる蓄電池ユニット2に送信(出力)する。蓄電池ユニット2は、処理装置1(系統監視装置)から受信(取得)した出力電圧設定値に応じて、DCDCコンバータ21からの出力電圧を変更する。
【0027】
処理装置1は、種々の情報処理、情報の送受信が可能なコンピュータ(情報処理装置)であり、例えばサーバ装置、パーソナルコンピュータ等である。サーバ装置は、単体のサーバ装置のみならず、複数台のコンピュータによって構成されるクラウドサーバ装置、又は仮想サーバ装置を含む。処理装置1は、処理部11、記憶部12、及び通信部13を含む。
【0028】
処理部11は、一又は複数のCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等の計時機能を備えた演算処理装置を有し、記憶部12に記憶されたプログラムP(プログラム製品)を読み出して実行することにより、種々の情報処理、制御処理等を行う制御部として機能する。
【0029】
記憶部12は、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の揮発性記憶領域及び、EEPROM又はハードディスク等の不揮発性記憶領域を含む。記憶部12には、プログラムP(プログラム製品)及び処理時に参照するデータが予め記憶してある。記憶部12に記憶されたプログラムP(プログラム製品)は、処理装置1が読み取り可能な記録媒体Mから読み出されたプログラムP(プログラム製品)を記憶したものであってもよい。また、図示しない通信網に接続されている図示しない外部コンピュータからプログラムP(プログラム製品)をダウンロードし、記憶部12に記憶させたものであってもよい。記憶部12には、直流配電系統システムSに含まれる全ての蓄電池ユニット2を一意に示すユニット番号、及び当該蓄電池ユニット2が設置されている拠点(場所情報)、蓄電池ユニット2が含む蓄電池22の満充電容量等の特性情報、現時点における充電残量(SOC)等が関連付けられて、テーブル形式(ユニットテーブル)にて記憶されているものであってもよい。
【0030】
通信部13は、イーサネット(登録商標)等の有線、又は無線により、各蓄電池ユニット2と通信するための通信モジュール又は通信インターフェイスであり、例えばWi-Fi(登録商標)、 Bluetooth(登録商標)等の狭域無線通信モジュール、又は4G、5G等の広域無線通信モジュールである。制御部は、通信部13を介し、例えばインターネット等の外部ネットワーク、又はLAN等を通じて、各蓄電池ユニット2と通信する。
【0031】
蓄電池ユニット2は、DCDCコンバータ21及び蓄電池22を含み、更に、これらDCDCコンバータ21及び蓄電池22を制御する制御装置23を含むものであってもよい。蓄電池22は、例えばリチウムイオン電池等の二次電池、又はスーパーキャパシタ(電気二重層コンデンサ)により構成される。DCDCコンバータ21は、直流電流(直流電圧)を別の直流電流(直流電圧)に変換する装置である。DCDCコンバータ21は、蓄電池22から出力された直流電圧を、制御装置23からの制御信号に応じて、出力電圧設定値にて示される直流電圧に変換して、出力する。当該出力される直流電圧が、蓄電池ユニット2からの出力電圧となる。
【0032】
制御装置23は、例えば、マイコン等により構成され、蓄電池22パワーコンディショナーとして機能するものであってもよい。このように蓄電池22パワーコンディショナーとして機能する制御装置23は、処理装置1と同様に制御部(CPU)、記憶部及び通信部を含み、当該通信部を介して、処理装置1との通信を行う。
【0033】
制御装置23は、蓄電池22の充電残量(SOC)を計測し、計測した充電残量(SOC)を処理装置1に送信する。制御装置23は、蓄電池22の充電残量(SOC)を計測するにあたり、蓄電池22の開放電圧(OCV)を取得し、取得した開放電圧に基づき、充電残量(SOC)を推定するものであってもよい。
【0034】
制御装置23は、処理装置1から送信される出力電圧設定値を受信し、当該出力電圧設定値に基づき、DCDCコンバータ21に対する制御信号を生成する。DCDCコンバータ21に対する制御信号は例えばPWM信号等にて構成され、制御装置23は、当該制御信号をDCDCコンバータ21に出力することにより、DCDCコンバータ21による昇圧又は降圧を実行させる。これにより、蓄電池ユニット2は、処理装置1から送信される出力電圧設定値に応じた直流電圧を出力するものとなる。
【0035】
図3は、処理装置1の処理部11の処理手順を示すフローチャートである。処理装置1は、例えば、蓄電池ユニット2の状態監視及び出力電圧値の設定(出力電圧設定値)及び出力電圧設定値の出力を行う系統監視装置として常時、機能している。処理装置1は、当該系統監視に関する処理の一部として、下記フローチャートによる処理を行うものであってもよい。
【0036】
処理装置1の処理部11は、複数の蓄電池ユニット2から、蓄電池22の充電残量(SOC)を取得する(S101)。各蓄電池ユニット2に含まれる蓄電池22パワーコンディショナー等の制御装置23は、当該制御装置23が制御を担う蓄電池22の充電残量(SOC)を取得し、取得した充電残量(SOC)を示すデータを、処理装置1へ周期的又は定期的に送信する処理を行っている。処理装置1の処理部11は、各蓄電池ユニット2の制御装置23から送信される充電残量(SOC)を示すデータを取得し、取得した充電残量(SOC)を示すデータと、送信元となる蓄電池ユニット2を一意に示すユニット番号及び、取得時刻とを関連付けて、記憶部12に記憶する。
【0037】
処理装置1の処理部11は、取得した複数の充電残量(SOC)における差分が所定値よりも大きいか否かを判定する(S102)。処理装置1の処理部11は、所定の処理期間内など、実質的に同一時点にて取得した複数の充電残量(SOC)に基づき、これら充電残量間における差分が所定値よりも大きいか否かを判定する。本実施形態にように蓄電池ユニット2が3台(U1、U2、U3)の場合、処理装置1の処理部11は、例えば、最も充電残量(SOC)が少ない蓄電池ユニット2(最小SOCの蓄電池ユニット2:U1)と、当該最小SOCの蓄電池ユニット2(U1)以外となる他の蓄電池ユニット2(U2,U3)との充電残量(SOC)の差分を算出するものであってもよい。又は、処理装置1の処理部11は、取得したこれら複数の蓄電池ユニット2の充電残量(SOC)の平均値を算出し、当該平均値と、最も充電残量(SOC)が少ない蓄電池ユニット2(最小SOCの蓄電池ユニット2)の充電残量(SOC)との偏差を、差分として算出するものであってもよい。
【0038】
差分が所定値よりも大きいか否かを判定するにあたり、当該差分の絶対値を算出し、この絶対値が予め定められた所定値よりも大きいか否かを判定するものであってもよい。当該所定値は、処理装置1の記憶部12に予め記憶されている。例えば、所定値を0として設定(予め記憶)している場合、複数の蓄電池ユニット2において充電残量(SOC)の差異が少しでも発生した場合、差分は所定値(0)よりも大きいと判定される。
【0039】
所定値が0以外の値にて設定されている場合、複数の蓄電池ユニット2において許容できる充電残量(SOC)の差異に応じて、当該所定値を設定するものであってもよい。すなわち、複数の蓄電池ユニット2の充電残量(SOC)が完全同一でない場合であっても、これら充電残量(SOC)の差異が各蓄電池ユニット2からの放電量をバランス(均衡化)させる上で許容できる値となるように、所定値を設定するものであってもよい。
【0040】
処理装置1の処理部11は、複数の蓄電池ユニット2におけるいずれかの2つの蓄電池ユニット2の組み合わせそれぞれにおいて、充電残量(SOC)の差分(差分の絶対値)を算出するものであってもよい。処理装置1の処理部11は、いずれか一つの組み合わせにおいてのみ、充電残量(SOC)の差分が所定値よりも大きい場合であっても、複数の充電残量(SOC)における差分が所定値よりも大きいと判定するものであってもよい。
【0041】
処理装置1の処理部11は、差分が所定値よりも大きくないと判定された場合(S102:NO)、処理部11は、再度S101からの処理を実行すべく、ループ処理を行う。差分が所定値よりも大きくない判定された場合、各蓄電池ユニット2からの充放電量が、比較的に平衡していることを意味する。
【0042】
処理装置1の処理部11は、差分が所定値よりも大きいと判定された場合(S102:YES)、出力電圧を高くする蓄電池ユニット2を特定する(S103)。直流配電系統システムSに含まれる複数の蓄電池ユニット2の製品仕様又は蓄電池22の充放電特性等が同一である場合、これら複数の蓄電池ユニット2における出力電圧(出力電圧設定値)の初期値(V)は、全て同一(U1:V1=U2:V2=U3:V3)に設定されている。しかしながら、電力線S1の線路インピーダンスZ、直流負荷装置4、及び太陽光発電装置3等に対し、各蓄電池ユニット2は、電気回路的に対称な位置には基本的に存在しないため、例えば初期値として設定されるように出力電圧設定値を同一にすると、各蓄電池ユニット2からの充放電量が不平衡となり、蓄電池22それぞれにおける充電残量(SOC)が、ずれていく。当該蓄電池22それぞれにおける充電残量(SOC)がずれることにより、充電残量間における差分が発生するものとなる。
【0043】
処理装置1の処理部11は、差分が所定値よりも大きい、すなわちこれら充電残量(SOC)のずれが許容量を逸脱すると判定される場合、出力電圧を高くする蓄電池ユニット2を特定する。本実施形態に示すように、蓄電池ユニット2が例えば3台(U1、U2、U3)の場合、処理装置1の処理部11は、充電残量(SOC)が最も少ない蓄電池ユニット2(最小SOCの蓄電池ユニット2:U1)以外となる他の蓄電池ユニット2(U2,U3)を、出力電圧を高くする蓄電池ユニット2として特定するものであってもよい。
【0044】
処理装置1の処理部11は、特定した蓄電池ユニット2の出力電圧設定値を増加する(S104)。処理装置1の処理部11は、特定した蓄電池ユニット2に対し、現時点の出力電圧設定値よりも、高く設定した出力電圧設定値を出力する。これにより、最小SOCの蓄電池ユニット2(U1)以外となる他の蓄電池ユニット2(U2,U3)の出力電圧(V2,V3)は、当該最小SOCの蓄電池ユニット2の出力電圧(V1)よりも高い電圧値に設定(出力電圧設定値:V1<V2=V3)される。これにより、複数の蓄電池ユニット2の充電残量それぞれの差分に応じて、蓄電池ユニット2それぞれにおける出力電圧を異ならせることができる。この場合、処理装置1の処理部11は、最小SOCの蓄電池ユニット2の出力電圧(V1)を現時点の値に維持するものであってもよく、又は、現時点の値よりも低い電圧値に設定するものであってもよい。
【0045】
処理装置1の処理部11は、算出した差分の絶対値に応じて、高く設定した出力電圧設定値、すなわち現時点の出力電圧設定値からの増加量を決定するものであってもよい。処理装置1の記憶部12には、差分(差分の絶対値)と、出力電圧設定値の増加量とが関連付けられたデータが例えばテーブル形式(出力電圧テーブル)にて記憶されており、処理装置1の処理部11は、当該出力電圧テーブルを参照することにより、差分に応じた出力電圧設定値を導出するものであってもよい。
【0046】
処理装置1の処理部11は、複数の蓄電池ユニット2から、蓄電池22の充電残量(SOC)を取得する(S105)。処理装置1の処理部11は、処理S101と同様に、複数の蓄電池ユニット2から、蓄電池22の充電残量(SOC)を取得する。すなわち、処理装置1の処理部11は、複数の蓄電池ユニット2の充電残量それぞれの差分に応じて、蓄電池ユニット2それぞれにおける出力電圧を異ならせる処理を実行後においても、蓄電池22それぞれの充電残量(SOC)の周期的な取得を継続する。
【0047】
処理装置1の処理部11は、取得した複数の充電残量(SOC)における差分が所定値よりも大きいか否かを判定する(S106)。処理装置1の処理部11は、処理S102と同様に、取得した複数の充電残量(SOC)における差分が所定値よりも大きいか否かを判定する。すなわち、処理装置1の処理部11は、複数の蓄電池ユニット2の充電残量それぞれの差分に応じて、蓄電池ユニット2それぞれにおける出力電圧を異ならせる処理を実行後においても、蓄電池22それぞれの充電残量(SOC)の差分を周期的に算出し、当該差分が所定値よりも大きいか否かを判定する処理を継続する。
【0048】
差分が所定値よりも大きいと判定された場合(S106:YES)、処理部11は、再度S105からの処理を実行すべく、ループ処理を行う。これにより、差分が所定値よりも大きい状況下において、いずれかの蓄電池ユニット2と他の蓄電池ユニット2との出力電圧が異なる状態が継続されように、S105及びS106の処理が、継続的に繰り返されるものとなる。
【0049】
差分が所定値よりも大きくないと判定された場合(S106:NO)、処理部11は、特定した蓄電池ユニット2の出力電圧設定値を減少する(S107)。処理装置1の処理部11は、特定した蓄電池ユニット2に対し、現時点の出力電圧設定値、すなわち処理S104にて増加した出力電圧設定値よりも、低く設定した出力電圧設定値を出力する。この場合、処理装置1の処理部11は、特定した蓄電池ユニット2に対し、処理S104にて増加する前の出力電圧設定値(元の出力電圧設定値)を、低く設定した出力電圧設定値として、出力するものであってもよい。又は、処理装置1の処理部11は、出力電圧設定値の初期値となるように、直流配電系統システムSに含まれる全ての蓄電池ユニット2からの出力電圧を同じ(同一の出力電圧設定値に設定)にする処理を行うものであってもよい。S107の処理の実行後、処理部11は、再度S101からの処理を実行すべく、ループ処理を行うものであってもよい。
【0050】
(実施形態2)
図4は、実施形態2に係る処理装置1の処理部11の処理手順を示すフローチャートである。処理装置1の処理部11は、実施形態1の処理S101からS106と同様にS201からS206までの処理を行う。差分が所定値よりも大きくない判定された場合(S206:NO)、処理装置1の処理部11は、実施形態1の処理S107と同様に、特定した蓄電池ユニット2の出力電圧設定値を減少する(S207)。
【0051】
差分が所定値よりも大きいと判定された場合(S206:YES)、処理装置1の処理部11は、今回の差分は、前回の差分よりも小さいか否かを判定する(S2061)。処理装置1の処理部11は、S202の処理、及びS206をループ処理することにより、複数の蓄電池ユニット2の充電残量(SOC)における差分を周期的に算出し、算出した差分を算出時刻と関連付けて、記憶部12に記憶している。
【0052】
処理装置1の処理部11は、S202にて充電残量(SOC)の差分が所定値よりも大きいと判定した際、差分を算出するにあたり用いた複数の蓄電池ユニット2間における充電残量(SOC)の差分を再度算出し、当該再度算出した差分を今回の差分とするものであってもよい。この場合、S202にて算出した差分が、前回の差分に相当する。又は、処理装置1の処理部11は、S204にて出力電圧設定値を増加させた蓄電池ユニット2と、S202にて特定した充電残量(SOC)が最も少ない蓄電池ユニット2との充電残量(SOC)の差分を周期的に算出することにより、今回の差分と前回の差分との対比を行うものであってもよい。
【0053】
処理装置1の処理部11は、今回算出した差分は、前回算出した差分(以前に算出した差分)よりも小さいか否かを判定する。今回及び前回の差分の大小比較を行うにあたり、差分の絶対値を用いるものであってもよい。今回算出した差分が前回算出した差分よりも小さい場合、各蓄電池ユニット2の充電残量(SOC)が均衡化する方向に改善されていることを示す。今回算出した差分が前回算出した差分よりも小さくない場合、すなわち今回算出した差分と前回算出した差分とが同一である場合、又は、今回算出した差分が前回算出した差分よりも大きくなっている場合、各蓄電池ユニット2の充電残量(SOC)が均衡化する方向に改善されていないことを示す。
【0054】
今回の差分は、前回の差分よりも小さくないと判定された場合(S2061:NO)、処理装置1の処理部11は、特定した蓄電池ユニット2の出力電圧設定値を、更に増加する(S2062)。処理装置1の処理部11は、S203にて特定した蓄電池ユニット2に対し、現時点の出力電圧設定値よりも更に高い出力電圧設定値を設定し、当該出力電圧設定値を出力することにより、S203にて特定した蓄電池ユニット2の出力電圧を更に高くする。処理装置1の処理部11は、特定した蓄電池ユニット2の出力電圧を更に高くするにあたり、現時点の出力電圧設定値に対し、例えば10%程度の増加分を上乗せした出力電圧設定値を、当該蓄電池ユニット2に出力するものであってもよい。
【0055】
このように特定した蓄電池ユニット2に対し、出力電圧設定値を段階的に高めて出力することにより、急変な出力電圧が発生することを抑制しつつ、充電残量(SOC)が比較的に高い蓄電池ユニット2からの放電量の割合を段階的に増やし、各蓄電池ユニット2の放電量をバランス(均衡化)させることができる。S2062の処理後、又は今回の差分は、前回の差分よりも小さいと判定された場合(S2061:YES)、処理部11は、再度S205からの処理を実行すべく、ループ処理を行う。
【0056】
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0057】
特許請求の範囲に記載されている複数の請求項に関して、引用形式に関わらず、相互に組み合わせることが可能である。特許請求の範囲では、複数の請求項に従属する多項従属請求項が記載されている。特許請求の範囲では、多項従属請求項に従属する多項従属請求項は記載されていないが、多項従属請求項に従属する多項従属請求項を記載してもよい。
【符号の説明】
【0058】
S 直流配電系統システム、 S1 電力線、 Z 線路インピーダンス、 1 処理装置、 11 処理部、 12 記憶部、 M 記録媒体、 P プログラム、 13 通信部、 2 蓄電池ユニット、 21 DCDCコンバータ、 22 蓄電池、 23 制御装置、 3 太陽光発電装置、 31 発電装置用DCDCコンバータ、 4 直流負荷装置
図1
図2
図3
図4