(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108871
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】防災用照明装置および防災照明システム
(51)【国際特許分類】
H05B 47/105 20200101AFI20240805BHJP
H05B 47/19 20200101ALI20240805BHJP
H01M 10/42 20060101ALI20240805BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20240805BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
H05B47/105
H05B47/19
H01M10/42 P
H01M10/44 Q
H01M10/48 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023013487
(22)【出願日】2023-01-31
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.JAVASCRIPT
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩坪 幸喜
【テーマコード(参考)】
3K273
5H030
【Fターム(参考)】
3K273PA08
3K273QA38
3K273SA02
3K273SA07
3K273SA17
3K273SA19
3K273SA32
3K273SA33
3K273SA36
3K273SA48
3K273SA60
3K273TA13
3K273TA26
3K273TA54
3K273TA55
3K273TA63
3K273TA72
3K273UA12
3K273UA14
3K273UA16
3K273UA29
5H030AA10
5H030AS15
5H030BB02
5H030FF22
5H030FF43
5H030FF52
(57)【要約】
【課題】電池ユニットの解析が行い易い防災用照明装置および防災照明システムを得ることを目的とする。
【解決手段】本開示に係る防災用照明装置は、光源と、停電時に前記光源を点灯させる電池ユニットと、点検時に前記電池ユニットの電力を前記光源に供給し、前記点検を制御するコントロールユニットと、を備え、前記コントロールユニットは、前記点検で得られた点検情報を含む情報を保持し、前記電池ユニットは前記情報を保持する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
停電時に前記光源を点灯させる電池ユニットと、
点検時に前記電池ユニットの電力を前記光源に供給し、前記点検を制御するコントロールユニットと、
を備え、
前記コントロールユニットは、前記点検で得られた点検情報を含む情報を保持し、
前記電池ユニットは前記情報を保持することを特徴とする防災用照明装置。
【請求項2】
前記コントロールユニットは、前記電池ユニットに前記点検情報を送信することを特徴とする請求項1に記載の防災用照明装置。
【請求項3】
前記情報は、停電についての停電情報を含み、
前記コントロールユニットは、前記電池ユニットに前記停電情報を送信することを特徴とする請求項1または2に記載の防災用照明装置。
【請求項4】
前記情報は、前記コントロールユニットについてのコントロールユニット情報を含み、
前記コントロールユニットは、前記電池ユニットに前記コントロールユニット情報を送信することを特徴とする請求項1または2に記載の防災用照明装置。
【請求項5】
前記情報は、前記電池ユニットについての電池情報を含み、
前記電池ユニットは、前記コントロールユニットに前記電池情報を送信することを特徴とする請求項1または2に記載の防災用照明装置。
【請求項6】
前記コントロールユニットは、前記電池情報に基づき、前記電池ユニットの充電を制御することを特徴とする請求項5に記載の防災用照明装置。
【請求項7】
前記コントロールユニットと電気的に接続され、リーダライタ機能を有するアンテナユニットを備え、
前記電池ユニットはRFタグを有し、
前記アンテナユニットと前記RFタグを介して、前記コントロールユニットと前記電池ユニットとの間で前記情報の少なくとも一部が送受信されることを特徴とする請求項1または2に記載の防災用照明装置。
【請求項8】
前記RFタグは前記電池ユニットのケースに貼り付けられていることを特徴とする請求項7に記載の防災用照明装置。
【請求項9】
前記アンテナユニットは、前記アンテナユニットと前記RFタグとが対向するように移動可能に構成されていることを特徴とする請求項7に記載の防災用照明装置。
【請求項10】
前記電池ユニットと前記コントロールユニットの周囲に電波吸収体が設けられることを特徴とする請求項1または2に記載の防災用照明装置。
【請求項11】
前記コントロールユニットは、予め定められた時に、前記コントロールユニットが保持する前記情報と、前記電池ユニットが保持する前記情報とを比較し、比較結果に差がある場合は前記コントロールユニットと前記電池ユニットの保持する前記情報の何れかを更新することを特徴とする請求項1または2に記載の防災用照明装置。
【請求項12】
前記コントロールユニットは、前記情報の少なくとも一部を外部に送信することを特徴とする請求項1または2に記載の防災用照明装置。
【請求項13】
前記情報は、JSON方式で記載されていることを特徴とする請求項1または2に記載の防災用照明装置。
【請求項14】
請求項1または2に記載の防災用照明装置を含む複数の防災用照明装置と、
前記複数の防災用照明装置と通信するサーバと、
を備えることを特徴とする防災照明システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、防災用照明装置および防災照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、詳細な点検情報を提供可能な防災用照明装置が開示されている。この防災用照明装置は、光源と、停電時に光源に電力を供給するバッテリと、点検開始指示を受けたときに光源とバッテリの少なくとも一方の点検する点検部と、点検情報を無線通信によって読み取り可能に記憶するICタグとを具備する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の防災用照明装置では、バッテリは点検情報を保持していない。このため、例えばバッテリが交換された後に、バッテリ単体の解析が困難となる可能性がある。
【0005】
本開示は、電池ユニットの解析が行い易い防災用照明装置および防災照明システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る防災用照明装置は、光源と、停電時に前記光源を点灯させる電池ユニットと、点検時に前記電池ユニットの電力を前記光源に供給し、前記点検を制御するコントロールユニットと、を備え、前記コントロールユニットは、前記点検で得られた点検情報を含む情報を保持し、前記電池ユニットは前記情報を保持する。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る防災用照明装置では、電池ユニットが点検情報を含む情報を保持する。このため、電池ユニットの解析が行い易い。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係る防災用照明装置の斜視図である。
【
図2】実施の形態1に係る防災用照明装置を分解した状態を示す斜視図である。
【
図3】実施の形態1に係る防災用照明装置のブロック図である。
【
図4】実施の形態1に係るRFタグのブロック図である。
【
図5】実施の形態1に係る電池情報を説明する図である。
【
図6】実施の形態1に係る停電情報を説明する図である。
【
図7】実施の形態1に係るコントロールユニット情報を説明する図である。
【
図8】実施の形態1に係る点検情報を説明する図である。
【
図9】RFタグ情報のJSON方式による記述例を示す図である。
【
図10】実施の形態1に係る防災照明システムを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施の形態に係る防災用照明装置および防災照明システムについて図面を参照して説明する。同じまたは対応する構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る防災用照明装置1の斜視図である。防災用照明装置1は例えば天井板に直付け設置される。点検用リモコン5は、防災用照明装置1と相互に通信し、防災用照明装置1の操作・設定・管理を行う
【0011】
防災用照明装置1は、停電時などの非常時に点灯する光源2、モニタランプ3、点検スイッチ4および赤外線通信部25を備える。光源2は例えばLED、有機EL等の発光素子で構成される。点検スイッチ4は、例えば点検開始を指示する自己点検スイッチと、電池ユニットを電源とした光源2の点灯状態を確認する点灯確認スイッチを含む。モニタランプ3は、複数の色のランプから構成される。モニタランプ3は、点灯、点滅、点滅のスピード、消灯、点灯パターン等により、防災用照明装置1の状態を表示する。赤外線通信部25は、点検用リモコン5と赤外線信号によりデータの送受信を行う。
【0012】
図2は、実施の形態1に係る防災用照明装置1を分解した状態を示す斜視図である。本体6と枠7には、電源端子台8と、コントロールユニット9と、電池ユニット10と、アンテナユニット11と、光源2が内蔵される。コントロールユニット9には、モニタランプ3と、点検スイッチ4と、赤外線通信部25が設けられる。コントロールユニット9は、点検時に電池ユニット10の電力を光源2に供給し、点検を制御する。
【0013】
電池ユニット10は、停電時に光源2を点灯させる。コントロールユニット9に対して電池ユニット10をスライドさせることで、コントロールユニット9と電池ユニット10とを電気的に接続し、固定することができる。
【0014】
電池ユニット10はRF(Radio Frequency)タグ12を有する。RFタグ12は例えば電池ユニット10のケースに貼り付けられている。コントロールユニット9は、リーダライタ機能を有するアンテナユニット11と電気的に接続されている。アンテナユニット11は、アンテナと一体化されたモジュールであり、RFタグ12と相互に無線通信可能である。アンテナユニット11とRFタグ12は、対向するように設置される。コントロールユニット9とアンテナユニット11は、器具内で自由に移動できる長さの配線で接続されている。つまり、アンテナユニット11は、アンテナユニット11とRFタグ12とが対向するように移動可能に構成されている。
【0015】
本実施の形態では、コントロールユニット9と電池ユニット10の対向する面に、それぞれアンテナユニット11とRFタグ12を配置する。アンテナユニット11は、電池ユニット10のRFタグ12と電磁誘導方式の無線通信を行う。また、電池ユニット10のうち、コントロールユニット9への取付面でない面にRFタグ12貼られている場合、コントロールユニット9への取付面にアンテナユニット11を移動させることができる。従って、通信環境を最適化できる。
【0016】
コントロールユニット9と電池ユニット10の対向する面の設置環境に合わせて、電波が反射してマルチパスによるヌル点が発生して通信エラーが発生することのない様に、通信環境を最適化すると良い。例えば電池ユニット10とコントロールユニット9の周囲に電波吸収体が設けられても良い。電波吸収体は例えば枠7の内側に貼り付けられる。
【0017】
図3は、実施の形態1に係る防災用照明装置1のブロック図である。コントロールユニット9には、電源端子台8と、電池ユニット10と、アンテナユニット11と、光源2が接続されている。コントロールユニット9は、電源回路21と、停電検知回路22と、充放電回路23と、マイクロコンピュータ20と、点灯回路30と、モニタランプ3と、不揮発メモリ24と、赤外線通信部25と、点検スイッチ4と、無線通信部26を備える。マイクロコンピュータ20は、メイン処理部27と、点検処理部28と、通信処理部29の機能ブロックで構成される。なお、マイクロコンピュータ20の機能は、プロセッサ等の任意の制御回路で実現されても良い。
【0018】
電源端子台8は、電源回路21に接続され、マイクロコンピュータ20の動作電源であるDC5Vと、周辺回路の動作電圧であるDC12Vを給電する。電池ユニット10は、停電時および点検スイッチ操作時に、マイクロコンピュータ20および周辺回路に電力を供給する。例えば電池ユニット10は、ニカド電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池など充電可能な電池である。
【0019】
停電検知回路22は、電源回路21と接続され、商用電源の停電を監視し、マイクロコンピュータ20に停電状態を伝える。停電検知回路22は、例えば所定時間以上、周波数の検知がない場合に停電を検知する。電源回路21が商用電源より給電されている時は、充放電回路23は電池ユニット10と電気的に接続されている。このとき充放電回路23は、DC12Vを所定の電圧に変換し、電池ユニット10の充電状態を監視しながら、定電流方式により充電する。
【0020】
停電検知回路22が商用電源の停電を検知すると、停電検知回路22の停電検知情報がマイクロコンピュータ20のメイン処理部27に通知される。メイン処理部27は、点検処理部28を介して、充放電回路23を充電側から放電側に切替える。さらにメイン処理部27は、充放電回路23の電源を電源回路21から電池ユニット10のDC電源に切替えて、点灯回路30に電力を供給し光源2を点灯させる。点検処理部28は、点検中に停電が発生すると点検を中断し、点灯回路30に電力を供給し光源2を点灯させる。
【0021】
また、ユーザーが点検スイッチ4または点検用リモコン5の点灯確認スイッチを操作すると、押下情報がマイクロコンピュータ20のメイン処理部27に通知される。メイン処理部27は、点検処理部28を介して、充放電回路23を充電側から放電側に切替える。次にメイン処理部27は、充放電回路23の電源を電源回路21から電池ユニットのDC電源に切替えて、点灯回路30に電力を供給する。これにより、光源2が点灯して電池ユニット10による点灯確認ができる。
【0022】
点灯確認は規定時間継続され、規定時間経過後は電源回路21の給電による点灯に切り替わる。この切替わり時に、光源2が消灯するタイミングを設けても良い。これにより、ユーザーは切替わりを目視できる。
【0023】
点検処理部28は、点検中に動作し、例えば点検時間のカウントと、規定時間後の電池ユニット10の電圧測定、インピーダンス測定および温度測定を実施する。点検処理部28は、これらの点検で得られた点検情報をメイン処理部27に通知する。メイン処理部27は、点検情報を不揮発メモリ24に保存している判定値と比較して点灯試験の合否を行い、点検情報を不揮発メモリ24に記憶する。
【0024】
モニタランプ3は、マイクロコンピュータ20に接続され、コントロールユニット9の状態を表示する。赤LEDは、光源2の状態を表し、配線外れまたは破損時は点灯し、正常時は消灯する。緑LEDは、電池ユニット10の充電状況を表し、正常に充電されている時は点灯し、充電不足および断線の場合は消灯し、寿命の場合は点滅する。橙LEDは、点検状態を表し、点検中は点滅し、点検が終了し合格の場合は点灯し、不合格の場合は高速で点滅する。橙LEDは、再度点検スイッチ4または点検用リモコン5を操作すると消灯する。
【0025】
コントロールユニット9は、点検情報を含む情報を不揮発メモリ24に保持している。不揮発メモリ24に記憶される情報は、電池ユニット10についての電池情報50、停電についての停電情報51、コントロールユニット9についてのコントロールユニット情報52、点検情報53等である。これらの情報は、電池ユニット10においても保持される。なお、電池情報50、停電情報51、コントロールユニット情報52、点検情報53については、
図5~8で詳細に説明する。
【0026】
コントロールユニット9は、例えば防災用照明装置1の通電起動時および電池ユニット10の取付時に、電池ユニット10のRFタグ12に記録された電池情報50を、アンテナユニット11のアンテナ42および通信回路13を介して読み込む。つまり、電池ユニット19は、コントロールユニット9に電池情報50を送信する。読み込まれた電池情報50は、通信処理部29で解析され、メイン処理部27に通知される。メイン処理部27は、読み込まれた電池情報50と不揮発メモリ24の情報とを比較し、情報が更新されている場合は、不揮発メモリ24に追加して保存する。
【0027】
コントロールユニット情報52は、防災用照明装置1の出荷検査時に、検査治具による検査工程に合格した場合、検査治具から赤外線信号で出力される。赤外線信号は、コントロールユニット9の赤外線通信部25で受信され、マイクロコンピュータ20のメイン処理部27で処理され、不揮発メモリ24に保存される。同時に、コントロールユニット情報52は、出荷検査以外では書き換えができない様に、検査治具にてロックされる。さらにメイン処理部27は、通信処理部29、アンテナユニット11を介して、RFタグ12にコントロールユニット情報52を記録する。つまりコントロールユニット9は、電池ユニット10にコントロールユニット情報52を送信する。
【0028】
停電情報51は、コントロールユニット9の停電検知回路22が停電を検知した場合、マイクロコンピュータ20に通知される。停電情報51は、メイン処理部27で停電に関する情報が付加されて、不揮発メモリ24に保存される。停電時には、マイクロコンピュータ20を動作させる電源として電池ユニット10の電源が消費される。マイクロコンピュータ20の電源は、光源2が点灯できなくなっても数日間は確保できるように構成されている。次にメイン処理部27は、通信処理部29、アンテナユニット11を介して、RFタグ12に停電情報51を記録する。つまりコントロールユニット9は、電池ユニット10に停電情報を送信する。
【0029】
メイン処理部27は、通信処理部29とアンテナユニット11を介して、RFタグ12に上述の点検で得られた点検情報53を記録する。つまり、コントロールユニット9は、電池ユニット10に点検情報53を送信する。
【0030】
以上から、点検情報、個体識別情報を含む情報が、コントロールユニット9と電池ユニット10で2重化して保存される。アンテナユニット11とRFタグ12を介して、コントロールユニット9と電池ユニット10との間で、電池情報50、停電情報51、コントロールユニット情報52、点検情報53の少なくとも一部が送受信される。
【0031】
コントロールユニット9は、不揮発メモリ24に記憶された情報の少なくとも一部を外部に送信することができる。赤外線通信部25は、例えば電池情報50と、停電情報51と、コントロールユニット情報52と、点検情報53の何れかの確認要求を点検用リモコン5から受けると、マイクロコンピュータ20のメイン処理部27に通知する。次にメイン処理部27は、不揮発メモリ24に保存している情報を読み出し、赤外線通信部25を介して点検用リモコン5に送信する。点検用リモコン5は、画面に受信した情報を表示する。点検用リモコン5にUSB(Universal Serial Bus)のインタフェースを設けても良い。これにより、コントロールユニット9から受信した情報を他の機器に転送する事ができる。
【0032】
無線通信部26は、例えばBLE(Bluetooth Low Energy)、Wi-Fi、サブギガ等の通信モジュールで構成され、メッシュ通信機能を備えている。無線通信部26は、コントロールユニット情報52、点検情報53等の確認要求を後述する照明制御装置64から受けると、マイクロコンピュータ20のメイン処理部27に通知する。次にメイン処理部27は、不揮発メモリ24に保存している情報を読み出し、無線通信部26を介して照明制御装置64に送信する。照明制御装置64の画面には、受信した情報が表示される。
【0033】
図4は、実施の形態1に係るRFタグ12のブロック図である。RFタグ12は、メモリ12aと、制御回路12bと、アンテナ12cを有している。アンテナ12cは、例えばループコイルアンテナで構成され、アンテナユニット11が有するアンテナ42と電磁結合する。RFタグ12は、アンテナ12cから供給された電力および無線信号を制御回路12bに出力する。このため、メモリ12aおよび制御回路12bは電池不要となる。
【0034】
制御回路12bは、アンテナ12cから出力される電力によって動作する。制御回路12bは、アンテナユニット11からの問合せに対して、メモリ12aに記憶している情報を読み出し、アンテナ12cを介してアンテナユニット11に送信する。
【0035】
メモリ12aは例えば不揮発メモリである。RFタグ12のメモリ12aには、コントロールユニット9の不揮発メモリ24に記録された電池情報50、停電情報51、コントロールユニット情報52、点検情報53と同じ情報が記録される。
【0036】
コントロールユニット9は、例えば予め定められた時に、コントロールユニット9が保持する情報と、電池ユニット10が保持する情報とを比較する。コントロールユニット9のマイクロコンピュータ20は、例えば一日一回等の定期的に、不揮発メモリ24の情報とRFタグ12の情報を比較する。コントロールユニット9は、比較結果に差がある場合は、コントロールユニット9と電池ユニット10の保持する情報の何れかを更新する。情報の更新については、例えば電池情報50はRFタグ12を正とし、停電情報51、コントロールユニット情報52および点検情報53は不揮発メモリ24を正とする。
【0037】
図5は、実施の形態1に係る電池情報50を説明する図である。電池情報50は、製造メーカ、電池形名、定格電圧・容量、電池タイプ、製造年月日、ロット番号等を含む。電池情報50には出荷検査の情報が含まれても良い。電池情報50は電池製造時の検査工程で個体識別情報としてRFタグ12に記録され、検査工程以外での電池情報50の書込みは禁止される。定格電圧・容量は、コントロールユニット9との適合性があるか否かの判断に使用できる。電池タイプは、充電方式を切替える情報として使用できる。つまりコントロールユニット9は、電池情報50に基づき、電池ユニット10の充電を制御しても良い。コントロールユニット9は、電池情報50を読み取る事で電池交換が実施されたかを判別することもできる。
【0038】
図6は、実施の形態1に係る停電情報51を説明する図である。停電情報51は、停電発生日時、停電時間、電池電圧、停電回数、温度等を含む。停電情報51は、例えば停電発生時および復旧時に記録される。停電時の停電時間と電池電圧を解析する事で、点検情報53と合わせて電池ユニット10の交換時期の通知および特性解析が可能となる。なお停電回数は、電池ユニット10における累積時間であり、交換時にリセットされる。
【0039】
図7は、実施の形態1に係るコントロールユニット情報52を説明する図である。コントロールユニット情報52は、製造メーカ、形名、LEDモジュール仕様、製造年月、ロット番号等を含む。コントロールユニット情報52には出荷検査の情報が含まれても良い。コントロールユニット情報52は、コントロールユニット9の製造時の検査工程で個体識別情報として記録され、検査工程以外でのコントロールユニット情報52の書込みは禁止される。
【0040】
図8は、実施の形態1に係る点検情報53を説明する図である。点検情報53は、実施日、点検タイプ、電池形名、ロット番号、結果、電池電圧、インピーダンス、温度等を含む。点検情報53は点検終了時に記録される。点検時の電池電圧、インピーダンスを解析する事で、電池ユニット10の交換時期の通知および特性解析が可能となる。点検タイプには、点検とリフレッシュがあり、リフレッシュを定期的に実施する事で電池ユニット10の電池容量が改善される。
【0041】
図9は、RFタグ情報のJSON(JavaScript Object Notation)方式による記述例を示す図である。RFタグ12に記憶された情報およびコントロールユニット9の不揮発メモリ24に記憶された情報は、例えばJSON方式で記載されている。JSON方式は、通信におけるデータフォーマットとブラウザ内でのデータ保持に適しており、IoT化に向けた最適なデータ形式である。JSON方式は、項目名と値をペアとして、:(コロン)と”(ダブルクオーテーション)を使用して記述する簡単で分かりやい形式である。
【0042】
図10は、実施の形態1に係る防災照明システム100を説明する図である。防災用照明装置1をネットワーク化し、クラウド65を使用した防災照明システム100を構成しても良い。防災照明システム100は、本実施の形態の防災用照明装置1を含む複数の防災用照明装置と、照明制御装置64と、照明制御装置64を介して複数の防災用照明装置と通信するサーバとを備える。複数の防災用照明装置は、例えば誘導灯60と、非常用照明器具61と、40形非常用照明器具62と、階段灯非常用照明器具63を含む。
図10の例では各種類の照明器具がn個設けられている。複数の防災用照明装置の1つ以上が、本実施の形態の防災用照明装置1であれば良い。サーバは、例えばクラウド65上の防災照明システムサーバー66である。
【0043】
照明制御装置64には、防災用照明装置1と無線通信を行うための無線通信部と、クラウド65と通信するためのLAN(Local Area Network)通信部と、操作、監視、モニタのユーザーインタフェースとなる画面を備えている。
【0044】
防災用照明装置1の無線通信部26は、メッシュ通信機能を備え、見通しが悪い環境でもホッピング機能で通信できる。防災用照明装置1のコントロールユニット9の情報を収集した照明制御装置64は、防災照明システムサーバー66に通知する。防災照明システムサーバー66では、各ビルの点検状況および電池ユニット10の交換時期を使用者に提示できる。
【0045】
また、クラウド65上のスケジュール機能に、点検日時およびリフレッシュ日時を登録する事で、計画的に点検およびリフレッシュを実施される。点検結果およびリフレッシュ結果を防災照明システムサーバー66から点検レポートとしてビルオーナーへ報告するサービスを提供しても良い。点検レポートは、ビルオーナーと保守契約を結ぶことで提供される。
【0046】
本実施の形態では、照明制御装置64に無線通信を送受信する機能を設けた。この変形例として、照明制御装置64が実施している管理機能を全て、クラウド上の防災照明システムサーバー66に実行させても良い。これにより、照明制御装置64を汎用の無線ルータにする事ができ、システム機器のコストを削減できる。
【0047】
次に、本実施の形態の防災用照明装置1による効果について説明する。防災用照明装置1によれば、コントロールユニット9と電池ユニット10が共に、点検情報を含む情報を保持する。このため、電池ユニット10が交換された場合等にも、電池ユニット10の解析が行い易い。また、点検情報、個体識別情報等の情報は、コントロールユニット9と電池ユニット10との間で、自動で2重化される。このため、点検情報を読み書きするために、専用のリーダライタ端末等が必要ない。また、情報を連携するために複合端末を別途用意する必要もない。さらに、情報の入力をユーザーが行う必要がない。このためシステムコストおよび運用コストを抑制でき、利便性を向上できる。
【0048】
本実施の形態の変形例として、コントロールユニット9の不揮発メモリ24は、構造上問題が無ければRFタグであっても良い。また、アンテナユニット11はコントロールユニット9に内蔵されていても良い。点検機能は、例えばクラウド65のスケジュール機能で実施されるが、クラウド65で管理している人の在不在情報と合わせて点検を実施しても良い。これにより、作業者の視環境を損なわないで点検ができる。また本実施の形態では照明制御装置64と複数の防災用照明装置は無線通信を行っているが、有線による多重伝送の通信方式を用いても良い。
【0049】
なお、本実施の形態で説明した技術的特徴は適宜に組み合わせて用いても良い。
【0050】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
光源と、
停電時に前記光源を点灯させる電池ユニットと、
点検時に前記電池ユニットの電力を前記光源に供給し、前記点検を制御するコントロールユニットと、
を備え、
前記コントロールユニットは、前記点検で得られた点検情報を含む情報を保持し、
前記電池ユニットは前記情報を保持することを特徴とする防災用照明装置。
(付記2)
前記コントロールユニットは、前記電池ユニットに前記点検情報を送信することを特徴とする付記1に記載の防災用照明装置。
(付記3)
前記情報は、停電についての停電情報を含み、
前記コントロールユニットは、前記電池ユニットに前記停電情報を送信することを特徴とする付記1または2に記載の防災用照明装置。
(付記4)
前記情報は、前記コントロールユニットについてのコントロールユニット情報を含み、
前記コントロールユニットは、前記電池ユニットに前記コントロールユニット情報を送信することを特徴とする付記1から3の何れか1項に記載の防災用照明装置。
(付記5)
前記情報は、前記電池ユニットについての電池情報を含み、
前記電池ユニットは、前記コントロールユニットに前記電池情報を送信することを特徴とする付記1から4の何れか1項に記載の防災用照明装置。
(付記6)
前記コントロールユニットは、前記電池情報に基づき、前記電池ユニットの充電を制御することを特徴とする付記5に記載の防災用照明装置。
(付記7)
前記コントロールユニットと電気的に接続され、リーダライタ機能を有するアンテナユニットを備え、
前記電池ユニットはRFタグを有し、
前記アンテナユニットと前記RFタグを介して、前記コントロールユニットと前記電池ユニットとの間で前記情報の少なくとも一部が送受信されることを特徴とする付記1から6の何れか1項に記載の防災用照明装置。
(付記8)
前記RFタグは前記電池ユニットのケースに貼り付けられていることを特徴とする付記7に記載の防災用照明装置。
(付記9)
前記アンテナユニットは、前記アンテナユニットと前記RFタグとが対向するように移動可能に構成されていることを特徴とする付記7または8に記載の防災用照明装置。
(付記10)
前記電池ユニットと前記コントロールユニットの周囲に電波吸収体が設けられることを特徴とする付記1から9の何れか1項に記載の防災用照明装置。
(付記11)
前記コントロールユニットは、予め定められた時に、前記コントロールユニットが保持する前記情報と、前記電池ユニットが保持する前記情報とを比較し、比較結果に差がある場合は前記コントロールユニットと前記電池ユニットの保持する前記情報の何れかを更新することを特徴とする付記1から10の何れか1項に記載の防災用照明装置。
(付記12)
前記コントロールユニットは、前記情報の少なくとも一部を外部に送信することを特徴とする付記1から11の何れか1項に記載の防災用照明装置。
(付記13)
前記情報は、JSON方式で記載されていることを特徴とする付記1から12の何れか1項に記載の防災用照明装置。
(付記14)
付記1から13の何れか1項に記載の防災用照明装置を含む複数の防災用照明装置と、
前記複数の防災用照明装置と通信するサーバと、
を備えることを特徴とする防災照明システム。
【符号の説明】
【0051】
1 防災用照明装置、2 光源、3 モニタランプ、4 点検スイッチ、5 点検用リモコン、6 本体、7 枠、8 電源端子台、9 コントロールユニット、10 電池ユニット、11 アンテナユニット、12 RFタグ、12a メモリ、12b 制御回路、12c アンテナ、13 通信回路、19 電池ユニット、20 マイクロコンピュータ、21 電源回路、22 停電検知回路、23 充放電回路、24 不揮発メモリ、25 赤外線通信部、26 無線通信部、27 メイン処理部、28 点検処理部、29 通信処理部、30 点灯回路、42 アンテナ、50 電池情報、51 停電情報、52 コントロールユニット情報、53 点検情報、60 誘導灯、61 非常用照明器具、62 40形非常用照明器具、63 階段灯非常用照明器具、64 照明制御装置、65 クラウド、66 防災照明システムサーバー、100 防災照明システム