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特開2024-108885荷台間架設床装置、及び荷台間移載方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108885
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】荷台間架設床装置、及び荷台間移載方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 67/02 20060101AFI20240805BHJP
【FI】
B65G67/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023013510
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】592001816
【氏名又は名称】株式会社マルサ
(71)【出願人】
【識別番号】323002222
【氏名又は名称】有限会社大野組
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100195453
【弁理士】
【氏名又は名称】福士 智恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100205501
【弁理士】
【氏名又は名称】角渕 由英
(72)【発明者】
【氏名】松井 友香
(72)【発明者】
【氏名】南野 貴洋
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 大
(72)【発明者】
【氏名】大野 貴祥
【テーマコード(参考)】
3F076
【Fターム(参考)】
3F076AA01
3F076BA10
3F076CA03
3F076EA03
3F076EA09
3F076FA07
3F076GA06
(57)【要約】
【課題】クレーン車等の揚重機械を用いることなく一方の貨物車両の荷台から他方の貨物車両の荷台へ積荷を移載することができ、移載コストの低減を図ることが可能な荷台間架設床装置、及び該装置を用いた荷台間移載方法を提供する。
【解決手段】架設床装置1は、大型トラックT1の荷台Tc1と小型トラックT2の荷台Tc2に架設されて、積荷Lを移載するために用いられる。架設床装置1は、小型トラックT2の荷台Tc2に設置される第一床部材と、大型トラックT1の荷台Tc1に設置される第二床部材と、積荷Lの移載方向の両側においてそれぞれ第一床部材及び第二床部材と連結する連結床部材と、を備える。第一床部材は、基台部と、基台部に傾動可能に連結された傾動板と、を有している。連結床部材及び第二床部材は、それぞれ傾動板及び連結床部材に傾動可能に連結されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の貨物車両の荷台から他方の貨物車両の荷台へ積荷を移載する際に、前記一方の貨物車両の荷台と前記他方の貨物車両の荷台に架設される荷台間架設床装置であって、
前記他方の貨物車両の荷台に設置される第一床部材と、
前記一方の貨物車両の荷台に設置される第二床部材と、
前記第一床部材と前記第二床部材の間に介在し、前記積荷の移載方向の両側においてそれぞれ前記第一床部材及び前記第二床部材と連結する連結床部材と、を備え、
前記第一床部材は、
前記他方の貨物車両の荷台の上面に設置される基台部と、
前記移載方向及び鉛直方向と直交する方向に延びる第一回転軸を中心に前記基台部に傾動可能に連結された傾動板と、を有し、
前記連結床部材は、前記第一回転軸と平行に延びる第二回転軸を中心に前記傾動板に傾動可能に連結され、
前記第二床部材は、前記第一回転軸及び前記第二回転軸と平行に延びる第三回転軸を中心に前記連結床部材に傾動可能に連結されていることを特徴とする荷台間架設床装置。
【請求項2】
前記連結床部材は、
前記第二床部材の上面が前記傾動板の上面よりも下方に位置する際に、前記一方の貨物車両の荷台から前記他方の貨物車両の荷台に向けて上昇する傾斜面を形成するように傾動し、
前記第二床部材の上面が前記傾動板の上面よりも上方に位置する際に、前記一方の貨物車両の荷台から前記他方の貨物車両の荷台に向けて下降する傾斜面を形成するように傾動することを特徴とする請求項1に記載の荷台間架設床装置。
【請求項3】
前記第二回転軸は、前記連結床部材が前記一方の貨物車両の荷台から前記他方の貨物車両の荷台に向けて下降する傾斜面を形成した際の傾斜角度を規制する連結床部材傾斜角度規制手段を有し、
前記第三回転軸は、前記第二床部材が前記一方の貨物車両の荷台から前記他方の貨物車両の荷台に向けて下降する傾斜面を形成した際の傾斜角度を規制する第二床部材傾斜角度規制手段を有していることを特徴とする請求項2に記載の荷台間架設床装置。
【請求項4】
前記基台部は、下方に突出する第一突出部を有し、
前記第一突出部は、前記基台部が前記他方の貨物車両の荷台の上面に設置された際に、前記他方の貨物車両の荷台の前記移載方向の上流側の端部において前記他方の貨物車両の荷台の上面よりも下方に突出し、前記荷台間架設床装置が前記移載方向の下流側に変位することを規制することを特徴とする請求項1に記載の荷台間架設床装置。
【請求項5】
前記第二床部材又は前記連結床部材は、下方に突出する第二突出部を有し、
前記第二突出部は、前記第二床部材が前記一方の貨物車両の荷台に設置された際に、前記一方の貨物車両の荷台の前記移載方向の下流側の端部において前記一方の貨物車両の荷台の上面よりも下方に突出し、前記荷台間架設床装置が前記移載方向の上流側に変位することを規制することを特徴とする請求項1に記載の荷台間架設床装置。
【請求項6】
一方の貨物車両の荷台から他方の貨物車両の荷台へ、荷台間架設床装置及び移載台車を用いて積荷を移載する荷台間移載方法であって、
前記一方の貨物車両の荷台と前記他方の貨物車両の荷台が互いに隣接するように前記一方の貨物車両及び前記他方の貨物車両のいずれか一方の貨物車両を接車する接車工程と、
第一床部材と、第二床部材と、前記積荷の移載方向の両側のそれぞれにおいて回転軸を介して前記第一床部材及び前記第二床部材と連結する連結床部材と、を有する前記荷台間架設床装置の前記第一床部材を前記他方の貨物車両の荷台に設置し、前記第二床部材を前記一方の貨物車両の荷台に設置し、前記連結床部材を前記一方の貨物車両の荷台と前記他方の貨物車両の荷台に架設する架設工程と、
前記連結床部材が前記一方の貨物車両の荷台と前記他方の貨物車両の荷台に水平に架設されるように前記一方の貨物車両の荷台及び前記他方の貨物車両の荷台の少なくともいずれか一方の荷台を昇降する第一荷台昇降工程と、
前記積荷を積載した前記移載台車を牽引し、前記荷台間架設床装置の上面に沿って走行させ、前記一方の貨物車両の荷台及び前記他方の貨物車両の荷台に対して前記積荷の荷重が加わる位置まで前記移載台車を移動させる第一移載工程と、
前記連結床部材が前記一方の貨物車両の荷台と前記他方の貨物車両の荷台に水平に架設されるように前記一方の貨物車両の荷台及び前記他方の貨物車両の荷台の少なくともいずれか一方の荷台を再び昇降する第二荷台昇降工程と、
前記移載台車を再び牽引し、前記他方の貨物車両の荷台に対して前記積荷の全ての荷重が加わる位置まで前記移載台車を移動させる第二移載工程と、をこの順に有することを特徴とする荷台間移載方法。
【請求項7】
前記架設工程は、
前記第一床部材を前記他方の貨物車両の荷台に設置する際に、前記第一床部材の下方に突出する第一突出部を、前記他方の貨物車両の荷台の前記移載方向の上流側の端部において、前記他方の貨物車両の荷台の上面よりも下方に位置させる第一設置工程と、
前記第二床部材を前記一方の貨物車両の荷台に設置する際に、前記第二床部材の下方に突出する第二突出部を、前記一方の貨物車両の荷台の前記移載方向の下流側の端部において、前記一方の貨物車両の荷台の上面よりも下方に位置させる第二設置工程と、を有していることを特徴とする請求項6に記載の荷台間移載方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷台間架設床装置及び該装置を用いた荷台間移載方法に係り、特に一方の貨物車両の荷台から他方の貨物車両の荷台へ積荷を移載する際に用いられる荷台間架設床装置及び該装置を用いた荷台間移載方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建築現場に建築資材を搬送する際には、トラック等の貨物車両が用いられる。ここで、建築現場が市街地や山間にあるときに、建築現場に到達するために、道幅の狭い道路を走行しなければならないことがある。そのため、一般に10トントラックと呼ばれる大型トラックによって建築現場の近くまで資材を搬送した後に、2トントラック、又は3トントラックと呼ばれる小型のトラックに建築資材を積み替えて搬送することが行われていた。ここで、建築資材の積み替えの際には、自走式クレーン車等の揚重機械が利用されていた。
【0003】
また、特許文献1には、貨物自動車の間で積荷の積替えを行う際に用いる昇降装置が開示されている。特許文献1に開示された昇降装置を利用し、大型トラックに積載された積荷を、一時的に昇降装置に積替えて、その後小型トラックに再度積替えることによって大型トラックから小型トラックに積荷を積替えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-274863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
揚重機械、又は特許文献1に開示された昇降装置を利用することによって、大型トラックから小型トラックへ積荷を積み替えることができるものの、以下のような問題があった。すなわち、揚重機械を利用して積荷の積替えを行う場合には、クレーン車の利用に係る費用が発生するとともに、積替えの際に広いスペースが必要になるという問題があった。また、特許文献1に開示された昇降装置を利用する場合には、積替え作業の途中で積荷が左右に傾いた状態となるため、積替え作業中に積荷が転倒する虞があった。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、クレーン車等の揚重機械を用いることなく一方の貨物車両の荷台から他方の貨物車両の荷台へ積荷を移載することができ、これにより移載コストの低減を図ることが可能な荷台間架設床装置、及び該装置を用いた荷台間移載方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、移載作業における安全性の向上を図ることが可能な荷台間架設床装置、及び該装置を用いた荷台間移載方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題は、本発明の荷台間架設床装置によれば、一方の貨物車両の荷台から他方の貨物車両の荷台へ積荷を移載する際に、前記一方の貨物車両の荷台と前記他方の貨物車両の荷台に架設される荷台間架設床装置であって、前記他方の貨物車両の荷台に設置される第一床部材と、前記一方の貨物車両の荷台に設置される第二床部材と、前記第一床部材と前記第二床部材の間に介在し、前記積荷の移載方向の両側においてそれぞれ前記第一床部材及び前記第二床部材と連結する連結床部材と、を備え、前記第一床部材は、前記他方の貨物車両の荷台の上面に設置される基台部と、前記移載方向及び鉛直方向と直交する方向に延びる第一回転軸を中心に前記基台部に傾動可能に連結された傾動板と、を有し、前記連結床部材は、前記第一回転軸と平行に延びる第二回転軸を中心に前記傾動板に傾動可能に連結され、前記第二床部材は、前記第一回転軸及び前記第二回転軸と平行に延びる第三回転軸を中心に前記連結床部材に傾動可能に連結されていることにより解決される。
【0008】
上記構成によれば、一方の貨物車両の荷台と他方の貨物車両の荷台の間には、荷台間架設床装置が架設される。そして、架設床装置は第一の回動軸、第二の可動軸及び第三の可動軸によって傾動板、連結床部材及び第一床部材が傾動可能に連結されているため、積荷の移載に伴って荷台の高さが変位しても、変位に連動して傾斜面を形成することができる。そのため、積荷を積載した移載機を傾斜面の上面に沿って走行させることにより、一方の貨物車両の荷台から他方の貨物車両の荷台へ積荷を移載することができる。これにより、クレーン車等の揚重機械を用いる必要がないため、移載コストの低減を図ることが可能となる。また、積荷は、一方の貨物車両の荷台と他方の貨物車両の荷台の間に架設された荷台間架設床装置の上を移動させることによって移載することができるため、移載の途中で積み荷が傾いて転倒する虞がなく、安全性の向上を図ることが可能となる。
【0009】
また、前記連結床部材は、前記第二床部材の上面が前記傾動板の上面よりも下方に位置する際に、前記一方の貨物車両の荷台から前記他方の貨物車両の荷台に向けて上昇する傾斜面を形成するように傾動し、前記第二床部材の上面が前記傾動板の上面よりも上方に位置する際に、前記一方の貨物車両の荷台から前記他方の貨物車両の荷台に向けて下降する傾斜面を形成するように傾動するとよい。
上記構成によれば、第二床部材の上面が傾動板よりも下方に位置する際に、連結床部材が一方の貨物車両から他方の貨物車両に向けて上昇するように傾斜する。また、一方の貨物車両の荷台が上昇し、他方の貨物車両の荷台が降下することによって第二床部材の上面が傾動板よりも上方に位置する際に、連結床部材が一方の貨物車両から他方の貨物車両に向けて下降するように傾斜する。そのため、連結床部材の上面に沿って積荷を移動させることにより、クレーン車等の揚重機械を用いることなく一方の貨物車両の荷台から他方の貨物車両の荷台へ積荷を移載することができ、移載コストの低減を図ることが可能となる。
【0010】
また、前記第二回転軸は、前記連結床部材が前記一方の貨物車両の荷台から前記他方の貨物車両の荷台に向けて下降する傾斜面を形成した際の傾斜角度を規制する連結床部材傾斜角度規制手段を有し、前記第三回転軸は、前記第二床部材が前記一方の貨物車両の荷台から前記他方の貨物車両の荷台に向けて下降する傾斜面を形成した際の傾斜角度を規制する第二床部材傾斜角度規制手段を有しているとよい。
上記構成によれば、第二回転軸及び第三回転軸が傾斜角度規制手段を有しているため、一方の貨物車両の荷台の上面から第二床部材が大きく跳ね上がることによって積荷の移載作業の妨げとなることを抑制することが可能となる。
【0011】
また、前記基台部は、下方に突出する第一突出部を有し、前記第一突出部は、前記基台部が前記他方の貨物車両の荷台の上面に設置された際に、前記他方の貨物車両の荷台の前記移載方向の上流側の端部において前記他方の貨物車両の荷台の上面よりも下方に突出し、前記荷台間架設床装置が前記移載方向の下流側に変位することを規制するとよい。
上記構成によれば、積荷の移載作業中において、荷台間架設床装置が他方の貨物車両の荷台に対して移載方向の下流側に位置ずれし、不安定な状態で移載作業が行われることを抑制することができるため、移載作業における安全性の向上を図ることが可能となる。
【0012】
また、前記第二床部材又は前記連結床部材は、下方に突出する第二突出部を有し、前記第二突出部は、前記第二床部材が前記一方の貨物車両の荷台に設置された際に、前記一方の貨物車両の荷台の前記移載方向の下流側の端部において前記一方の貨物車両の荷台の上面よりも下方に突出し、前記荷台間架設床装置が前記移載方向の上流側に変位することを規制するとよい。
上記構成によれば、積荷の移載作業中において、荷台間架設床装置が一方の貨物車両の荷台に対して移載方向の上流側に位置ずれし、不安定な状態で移載作業が行われることを抑制することができるため、移載作業における安全性の向上を図ることが可能となる。
【0013】
また、前記課題は、本発明の荷台間移載方法によれば、一方の貨物車両の荷台から他方の貨物車両の荷台へ、荷台間架設床装置及び移載台車を用いて積荷を移載する荷台間移載方法であって、前記一方の貨物車両の荷台と前記他方の貨物車両の荷台が互いに隣接するように前記一方の貨物車両及び前記他方の貨物車両のいずれか一方の貨物車両を接車する接車工程と、第一床部材と、第二床部材と、前記積荷の移載方向の両側のそれぞれにおいて回転軸を介して前記第一床部材及び前記第二床部材と連結する連結床部材と、を有する前記荷台間架設床装置の前記第一床部材を前記他方の貨物車両の荷台に設置し、前記第二床部材を前記一方の貨物車両の荷台に設置し、前記連結床部材を前記一方の貨物車両の荷台と前記他方の貨物車両の荷台に架設する架設工程と、前記連結床部材が前記一方の貨物車両の荷台と前記他方の貨物車両の荷台に水平に架設されるように前記一方の貨物車両の荷台及び前記他方の貨物車両の荷台の少なくともいずれか一方の荷台を昇降する第一荷台昇降工程と、前記積荷を積載した前記移載台車を牽引し、前記荷台間架設床装置の上面に沿って走行させ、前記一方の貨物車両の荷台及び前記他方の貨物車両の荷台に対して前記積荷の荷重が加わる位置まで前記移載台車を移動させる第一移載工程と、前記連結床部材が前記一方の貨物車両の荷台と前記他方の貨物車両の荷台に水平に架設されるように前記一方の貨物車両の荷台及び前記他方の貨物車両の荷台の少なくともいずれか一方の荷台を再び昇降する第二荷台昇降工程と、前記移載台車を再び牽引し、前記他方の貨物車両の荷台に対して前記積荷の全ての荷重が加わる位置まで前記移載台車を移動させる第二移載工程と、をこの順に有するとよい。
【0014】
上記構成によれば、一方の貨物車両の荷台と他方の貨物車両の荷台の間には、荷台間架設床装置が架設され、移載台車を牽引することによって積荷を移載することができる。そのため、クレーン車等の揚重機械を用いることなく一方の貨物車両の荷台から他方の貨物車両の荷台へ積荷を移載することができ、これにより移載コストの低減を図ることが可能となる。また、連結床部材が一方の貨物車両の荷台と他方の貨物車両の荷台に水平に架設されるように一方の貨物車両の荷台及び他方の貨物車両の荷台の少なくともいずれか一方を昇降するため、移載の途中で積み荷が傾いて転倒する虞がなく、安全性の向上を図ることが可能となる。
【0015】
また、前記架設工程は、前記第一床部材を前記他方の貨物車両の荷台に設置する際に、前記第一床部材の下方に突出する第一突出部を、前記他方の貨物車両の荷台の前記移載方向の上流側の端部において、前記荷台の上面よりも下方に位置させる第一設置工程と、前記第二床部材を前記一方の貨物車両の荷台に設置する際に、前記第二床部材の下方に突出する第二突出部を、前記一方の貨物車両の荷台の前記移載方向の下流側の端部において、前記荷台の上面よりも下方に位置させる第二設置工程と、を有しているとよい。
上記構成によれば、積荷の移載作業中において、荷台間架設床装置が一方の貨物車両の荷台及び他方の貨物車両の荷台に対して位置ずれし、不安定な状態で移載作業が行われることを抑制することができるため、移載作業における安全性の向上を図ることが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の荷台間架設床装置、及び該装置を用いた荷台間移載方法によれば、クレーン車等の揚重機械を用いることなく、一方の貨物車両の荷台から他方の貨物車両の荷台へ積荷を移載することができ、これにより移載コストの低減を図ることが可能となる。
また、本発明の荷台間架設床装置、及び該装置を用いた荷台間移載方法によれば、移載作業における安全性の向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】大型トラックの荷台から小型トラックの荷台へ積荷を移載する前の状態を示す図である。
図2】積荷が移載された後の小型トラックの荷台を示す図である。
図3】架設床装置の斜視図である。
図4A】水平に架設された状態の架設床装置の側面図である。
図4B】移載方向の下流側に向けて上昇する傾斜面が形成された状態の架設床装置の側面図である。
図4C】移載方向の下流側に向けて下降する傾斜面が形成された状態の架設床装置の側面図である。
図5】荷台間における積荷の移載方法の流れを示す図である。
図6】大型トラックの荷台の後端に小型トラックが接車されて架設床装置が架設された状態を示す図である。
図7】大型トラックの荷台を上昇させて架設床装置を水平に架設した状態を示す図である。
図8】ハンドリフタを牽引して積荷の移載を開始した状態を示す図である。
図9】大型トラックの荷台と小型トラックの荷台に積荷の荷重が加えられた状態を示す図である。
図10】大型トラックの荷台を下降させて架設床装置を水平に架設した状態を示す図である。
図11】ハンドリフタを牽引して積荷の荷重の全てが小型トラックに加えられた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図1図11を参照しながら、本発明の一実施形態(以下、本実施形態)に係る架設床装置1、及び架設床装置1を用いた荷台間移載方法について説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。つまり、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
【0019】
本発明の荷台間架設床装置に相当する架設床装置1は、一方の貨物車両から他方の貨物車両に積荷Lを移載するために用いられる。特に、架設床装置1は、積荷Lを積載したハンドリフタH等の移載台車を牽引し、大型トラックT1の荷台Tc1から小型トラックT2の荷台Tc2へと積み替える際に、荷台Tc1と荷台Tc2に架設される床板装置として用いられる。これにより、クレーン車等の揚重機械を用いることなく積荷Lを移載することが可能となり、移載コストの低減を図ることが可能となる。また、移載の途中で積荷Lが傾いて転倒する虞がなく、安全性の向上を図ることが可能となる。
【0020】
<<トラックの荷台間における移載の概要について>>
図1は、大型トラックT1の荷台Tc1から小型トラックT2の荷台Tc2へ積荷Lを移載する前の状態を示している。図2は、積荷Lを移載した後の小型トラックT2の荷台Tc2の状態を示している。図1及び図2において、説明の都合により、荷台を構成する箱体や、「あおり」と呼ばれる荷台壁は、図示を省略している。
【0021】
大型トラックT1及び小型トラックT2は、互いに協働して建築現場に建築資材を搬送する役割を担う。大型トラックT1は、小型トラックT2と比べて大きな荷台Tc1を有し、小型トラックT2と比べて一度に多くの建築資材を搬送する能力に優れている。一方、小型トラックT2は、市街地や山間など、道幅が狭い道路を走行して建築資材を搬送する能力に優れている。そのため、大型トラックT1及び小型トラックT2が協働し、途中で積荷Lを積み替えて最終目的地である建築現場に積荷Lを搬送することにより、建築資材の円滑で効率的な搬送が可能となる。
大型トラックT1、小型トラックT2は、それぞれ一方の貨物車両及び他方の貨物車両に相当する。
【0022】
大型トラックT1は、運転席等が設置されたキャブTd1と、キャブTd1に連結された荷台Tc1を主な構成として有している。荷台Tc1には、建築現場に搬送されるべき建築資材である積荷Lが積載されている。大型トラックT1は、一般に「10トントラック」と呼ばれる貨物車両であるが、これに限定されない。
【0023】
大型トラックT1の車輪の前後には、サスペンションTs1が配設されている。サスペンションTs1は、大型トラックT1の走行中における衝撃を吸収する役割を担う。サスペンションTs1は、気体を注入することによって膨張し、又は気体を排出することによって収縮するエアサスペンションである。換言すると、大型トラックT1の荷台Tc1は、サスペンションTs1に対する気体の注入量を制御することによって、その高さを調節することができる。
【0024】
小型トラックT2も同様に、キャブTd2と、キャブTd2に連結された荷台Tc2を主な構成として有している。小型トラックT2は、一般に「2トントラック」と呼ばれる貨物車両であるが、これに限定されない。小型トラックT2は、3トントラックであってもよい。
【0025】
小型トラックT2の車輪の前後には、サスペンションTs2が配設されている。サスペンションTs2は、エアサスペンションである。したがって、小型トラックT2の荷台Tc2は、サスペンションTs2に対する気体の注入量を制御することによって、その高さを調整することができる。
【0026】
大型トラックT1の荷台Tc1に積載された積荷Lを、小型トラックT2の荷台Tc2に積み替える際には、ハンドリフタHが用いられる。ハンドリフタHは、積荷Lを積載可能なリフタと、リフタを支持する車輪を有している。作業者は、ハンドリフタHを牽引して架設床装置1の上面に沿って走行させることによって、ハンドリフタHに積載された積荷Lを移載することができる。ハンドリフタHは、移載台車に相当する。
【0027】
架設床装置1は、大型トラックT1の荷台Tc1と、小型トラックT2の荷台Tc2の間に架け渡されるように架設される。そして、架設床装置1は、ハンドリフタHを用いて積荷Lを移載する際に、ハンドリフタHの走行を可能とするための床板装置としての役割を担う。
【0028】
ここで、大型トラックT1の荷台Tc1及び小型トラックT2の荷台Tc2は、積荷Lの移動に伴って、変位する。より詳細に説明すると、積荷Lの荷重を受けると、大型トラックT1のサスペンションTs1及び小型トラックT2のサスペンションTs2は収縮する。これにより、荷台Tc1及びTc2は下降する。一方、積荷Lの荷重が抜けると、大型トラックT1のサスペンションTs1及び小型トラックT2のサスペンションTs2は膨張する。これにより、荷台Tc1又はTc2は上昇する。図4Aから図4Cを参照して後述するように、架設床装置1は、積荷Lの移動に伴って高さ方向に変位する荷台間の高低差に連動する傾斜面を形成する。これにより、ハンドリフタHは、架設床装置1の上面に沿って走行することができ、積荷Lの移載作業が可能となる。
【0029】
図2に示すように、ハンドリフタHが架設床装置1の上面に沿って走行すると、積荷Lは、小型トラックT2の荷台Tc2に積載される。小型トラックT2の荷台Tc2には、ハンドリフタHを停止させるためのストッパ50及び安全柵60が設置されている。ストッパ50及び安全柵60によって、ハンドリフタHを牽引する作業者の安全性の向上、及び積荷Lの損傷を防止することが可能となる。また、図2には図示されていないものの、大型トラックT1から小型トラックT2に向けたハンドリフタHの走行を支援するためのガイドレールが架設床装置1の上面に設けられていてもよい。
【0030】
<<架設床装置1について>>
次に、図2及び図3を参照して架設床装置1について説明する。
図2及び図3に示すように、架設床装置1は、第一床部材10と、第二床部材20と、連結床部材30と、を主な構成として有している。架設床装置1を用いて大型トラックT1から小型トラックT2に積荷Lを移載する場合、第一床部材10は、移載方向の下流側に位置し、第二床部材20は、移載方向の上流側に位置する。換言すると、ハンドリフタHに積載された積荷Lは、ハンドリフタHが牽引されると、第二床部材20から第一床部材10に向かって走行するように移載される。
【0031】
第一床部材10は、小型トラックT2の荷台Tc2に設置される。第一床部材10は、基台11と、傾動板13と、回転軸14と、固定スロープ15と、を主な構成として有している。
基台11は、平面視で長方形形状を有するフレーム構造体である。より詳細には、基台11は、横枠材111と縦枠材112が互いに直交するように連結された構造を有している。基台11は、基台部に相当する。
【0032】
基台11の長手方向の一方(移載方向の上流側)の端部には、基台11から下方に突出する位置規制板12が取り付けられている。したがって、図2に示すように第一床部材10を小型トラックT2の荷台Tc2の後端に設置した際に、位置規制板12が小型トラックT2の後面部Tc21と当接し、第一床部材10が移載方向の下流側に変位して位置ずれすることを防止することができる。図3において、位置規制板12は、板状体として示されているが、これに限定されない。位置規制板12は、荷台Tc2の後端部と当接することによって第一床部材10の水平方向の位置ずれを防止することができればよい。位置規制板12は、基台11から下方に突出する突出状態と、基台11から下方に突出しない非突出状態との間で変位可能に基台11に取り付けられていてもよい。また、位置規制板12の強度を向上させるための補強部材が設けられていてもよい。位置規制板12は、第一突出部に相当する。
【0033】
基台11の長手方向における位置規制板12と反対側(移載方向の下流側)には、移載方向及び鉛直方向に直交する方向に延びる回転軸14が設けられている。傾動板13は、回転軸14を中心に基台11に対して傾動可能に連結されている。傾動板13が基台11に対して傾動することにより、移載方向の下流側に向けて下降する傾斜面が形成される。傾動板13は、その上面131に滑り止め加工が施された縞鋼板である。回転軸14は、第一回転軸に相当する。
【0034】
第一床部材10の移載方向の下流側の端部には、固定スロープ15が取り付けられている。固定スロープ15は、傾動板13の上面から荷台Tc2の上面に向けて下降する傾斜面を形成する。固定スロープ15の上面には、傾動板13と同様の滑り止め加工が施されている。
【0035】
第二床部材20は、大型トラックT1の荷台Tc1に設置される。第二床部材20は、床板材21と、当接板23と、を主な構成として有している。床板材21は、鋼製の板状体である。床板材21は、上流側ヒンジ40を介して後述する連結床部材30に対して傾動可能に連結されている。上流側ヒンジ40は、上述した回転軸14及び下流側ヒンジ41と平行に延びている。上流側ヒンジ40は、第三回転軸に相当する。
【0036】
第二床部材20には、第二床部材20の下方に突出する当接板23が取り付けられている。したがって、第二床部材20を大型トラックT1の荷台Tc1の後端に設置した際に、当接板23が荷台Tc1の後端に取り付けられた当て板Gと当接する。これにより、架設床装置1が移載方向の上流側に変位して位置ずれすることを防止することができる。図3において、当接板23は、板状体として示されているが、これに限定されない。当接板23は、当て板Gと当接することによって第二床部材20の上下方向及び水平方向の位置ずれを防止することができればよい。また、当接板23に補強リブを設けることによって強度の向上を図ることができる。当接板23は、第二突出部に相当する。
【0037】
連結床部材30は、第一床部材10と第二床部材20の間に介在し、移載方向の両側においてそれぞれ第一床部材10及び第二床部材20と連結している。連結床部材30は、床板材31を主な構成として有している。
床板材31は、回転軸14と平行に延びる下流側ヒンジ41を中心に傾動板13に傾動可能に連結している。床板材31は、その上面131に滑り止め加工が施された縞鋼板である。下流側ヒンジ41は、第二回転軸に相当する。
【0038】
次に、図4Aから図4Cを参照して、架設床装置1の動作について説明する。
図4Aに示すように、第二床部材20の上面と傾動板13の上面の高さが等しい場合、連結床部材30の床板材31は、水平姿勢で大型トラックT1の荷台Tc1と小型トラックT2の荷台Tc2に架設される。後述するように、大型トラックT1に積載された積荷Lは、床板材31を水平姿勢とした状態から、ハンドリフタHを走行させることによって移載が開始される。
【0039】
一方、図4Bに示すように、第二床部材20の上面が傾動板13の上面よりも下方に位置する際には、床板材31は、大型トラックT1の荷台Tc1から小型トラックT2の荷台Tc2に向けて上昇する傾斜面を形成する。後述するように、大型トラックT1の荷台Tc1と、小型トラックT2の荷台Tc2が互いに隣接するように接車された際に、図4Bに示す傾斜面が形成されることがある。このとき、大型トラックT1の荷台Tc1のサスペンションTs1に圧縮空気を注入し、床板材31が図4Aに示す水平状態となるように移行させることが行われる。
【0040】
また、図4Cに示すように、第二床部材20の上面が傾動板13の上面よりも上方に位置する場合、床板材31と傾動板13は、大型トラックT1の荷台Tc1から小型トラックT2の荷台Tc2に向けて下降する傾斜面を形成する。後述するように、積荷Lが大型トラックT1から小型トラックT2に移動すると、これに伴って積荷Lの重心位置も移動する。これにより、大型トラックT1の荷台Tc1は荷重が抜けて上昇する一方で、小型トラックT2の荷台Tc2は荷重が増加しても下降する。そうすると、図4Cに示す傾斜面が形成される。このとき、ハンドリフタHは、傾斜面の上面に沿って走行することができる。
【0041】
ここで、図4Cに二点鎖線で示すように、第二床部材20の床板材21が、大型トラックT1の荷台Tc1の上面よりも上方に浮き上がる現象が発生する場合がある。より詳細には、後述する図9に示すように、積荷Lの荷重が、第一床部材10又は連結床部材30に加えられる場合に、第二床部材20の床板材21が大きく傾動し、荷台Tc1の上面から上方に浮き上がることとなる。このとき、床板材21は、ハンドリフタHの下面に当接し、ハンドリフタHの走行を妨げる虞があった。
【0042】
このように床板材21が浮き上がる現象を抑制するために、上流側ヒンジ40は、床板材21の連結床部材30に対する傾斜角度を規制する上流側角度規制具401を有していてもよい。上流側角度規制具401は、ハンドリフタHの走行を妨げない位置において床板材21と床板材31の間に取り付けられる。上流側角度規制具401は、第二床部材傾斜角度規制手段に相当する。
同様に、下流側ヒンジ41は、連結床部材30の傾動板13に対する傾斜角度を規制する下流側角度規制具411を有していてもよい。下流側角度規制具411は、ハンドリフタHの走行を妨げない位置において床板材31と傾動板13の間に取り付けられる。下流側角度規制具411は、連結床部材傾斜角度規制手段に相当する。
【0043】
以上のように、架設床装置1は、大型トラックT1の荷台Tc1と小型トラックT2の荷台Tc2の位置関係に連動して傾斜面を形成する。これにより、架設床装置1は、積荷Lを積載したハンドリフタHの走行を可能とするための床板装置(スロープ形成装置)としての機能を果たすことができる。
【0044】
<<積荷Lの移載方法について>>
次に、大型トラックT1の荷台Tc1から小型トラックT2の荷台Tc2へ積荷Lを移載する流れについて説明する。図5は、荷台間で積荷Lを移載する際の作業の流れを示している。
最初に、大型トラックT1に対して小型トラックT2を接車する接車工程が行われる(ステップS10)。詳細に説明すると、停車して待機状態にある大型トラックT1の後端に対して、小型トラックT2を後退させながら接近させ、小型トラックT2の後端が大型トラックT1の後端と隣接するように接車する。このとき、大型トラックT1の後端と小型トラックT2の後端は、15cm程度の間隔を形成すると好適である。これにより、大型トラックT1と小型トラックT2が接触することを抑制することができるとともに、架設床装置1が大型化することを抑制することができる。
【0045】
次に、大型トラックT1の荷台Tc1と小型トラックT2の荷台Tc2に架設床装置1を架設する架設工程が行われる(ステップS11)。詳細に説明すると、図6に示すように、架設床装置1の第一床部材10が小型トラックT2の荷台Tc2に設置される。次に、第二床部材20が大型トラックT1の荷台Tc1に設置される。これにより、連結床部材30は大型トラックT1と小型トラックT2の間に介在するように架設される。
【0046】
ここで、第一床部材10は、第一床部材10の下方に突出する位置規制板12が、小型トラックT2の荷台Tc2の移載方向の上流側の端部において、荷台Tc2の上面よりも下方に位置するように設置される(第一設置工程)。このとき、位置規制板12は、荷台Tc2の後面部Tc21に当接する。これにより、架設床装置1が移載方向の下流側に変位して位置ずれすることを抑制することが可能となる。
また、第二床部材20は、第二床部材20の下方に突出する当接板23が、大型トラックT1の荷台Tc1の移載方向の下流側の端部において、荷台Tc1の上面よりも下方に位置するように設置される(第二設置工程)。このとき、当接板23は、大型トラックT1の荷台Tc1の後面部Tc11に取り付けられた当て板Gに当接する。これにより、架設床装置1が移載方向の上流側に変位して位置ずれすることを抑制することができる。
【0047】
続いて、大型トラックT1の荷台Tc1を上昇させる第一荷台昇降工程が行われる(ステップS12)。詳細に説明すると、大型トラックT1のサスペンションTs1に圧縮空気が注入される。これにより、図7に示すように、大型トラックT1の荷台Tc1が上昇し、連結床部材30が大型トラックT1の荷台Tc1と小型トラックT2の荷台Tc2に水平に架設されることとなる。ここで、大型トラックT1の荷台Tc1を上昇させることとして説明したが、これに限定されない。連結床部材30が水平に架設された状態となればよく、小型トラックT2の荷台Tc2が下降されることとしてもよい。
なお、図7に示す状態において、積荷Lの荷重は、大型トラックT1の荷台Tc1に加えられており、小型トラックT2の荷台Tc2には加えられていない。
【0048】
次に、ハンドリフタHを走行させる第一移載工程が行われる(ステップS13)。詳細に説明すると、図8に示すように、ハンドルHhを操作してハンドリフタHの牽引が開始される。これにより、ハンドリフタHは、積荷Lとともに架設床装置1の上面に沿って走行する。図8において、ハンドリフタHの前輪Hfは、連結床部材30の上面に移動している。
【0049】
図9は、ハンドリフタHの前輪Hfが傾動板13の上面に移動した状態を示している。換言すると、大型トラックT1の荷台Tc1と小型トラックT2の荷台Tc2の両方に対して積荷Lの荷重が加わる位置までハンドリフタHが移動した状態を示している。このとき、小型トラックT2の荷台Tc2は、積荷Lの荷重によってサスペンションTs2が圧縮されて下降する。一方、大型トラックT1の荷台Tc1は、積荷Lの荷重が減少することによって上昇する。したがって、大型トラックT1の荷台Tc1と小型トラックT2の荷台Tc2の間には、高低差が生じる。連結床部材30及び傾動板13は、荷台間の高低差に連動して傾動する。そのため、連結床部材30及び傾動板13は、大型トラックT1の荷台Tc1から小型トラックT2の荷台Tc2に向かって所定の傾斜角度で下降する傾斜面を形成する。ハンドリフタHは、連結床部材30及び傾動板13の上面に沿って走行し、積荷Lを移動させる。
【0050】
次に、大型トラックT1の荷台Tc1を下降させる第二荷台昇降工程が行われる(ステップS14)。詳細に説明すると、図10に示すように、大型トラックT1のサスペンションTs1から圧縮空気が排出されることによって、荷台Tc1が下降する。これにより、連結床部材30と傾動板13が大型トラックT1の荷台Tc1と小型トラックT2の荷台Tc2に水平に架設された状態となる。これにより、作業者は、ハンドリフタHを牽引して安全に走行させることが可能となる。ここで、大型トラックT1の荷台Tc1を下降させることとして説明したが、これに限定されない。連結床部材30及び傾動板13が水平状態となればよく、小型トラックT2の荷台Tc2が上昇されることとしてもよい。
【0051】
最後に、ハンドリフタHを再び牽引する第二移載工程が行われる(ステップS15)。詳細に説明すると、図11に示すように、ハンドリフタHの後輪Hrが傾動板13の上面まで移動する。換言すると、図11は、小型トラックT2の荷台Tc2に対して積荷Lの荷重の全てが加わる位置までハンドリフタHを移動した状態を示している。このとき、小型トラックT2の荷台Tc2は、積荷Lの荷重によって更にサスペンションTs2が圧縮するため、下降する。
【0052】
ハンドリフタHを更に牽引し、架設床装置1の上面を完全に通過させると、図2に示すように、積荷Lを大型トラックT1の荷台Tc1から小型トラックT2の荷台Tc1に移載する作業が完了する。このとき、ストッパ50及び安全柵60によってハンドリフタHを強制停止することができるため、ハンドリフタHを牽引する作業者の安全性を確保することができる。
また、図2において図示されていないものの、ハンドリフタHに安全帯を取り付けることができる。これにより、移載作業の安全性のさらなる向上を図ることができる。
【0053】
以上のように、大型トラックT1から小型トラックT2に積荷Lを移載する途中に、荷台間の高低差が変化する場合であっても、第一床部材10、第二床部材20及び連結床部材30がその高低差に連動して変位する。そのため、架設床装置1を用いることによって、クレーン車等の揚重機械を用いることなく積荷Lを移載することができ、これにより移載コストの低減を図ることが可能となる。
【0054】
以上、本発明の一実施形態に係る架設床装置1について説明したが、上述した実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。
上述した実施形態では、積荷Lは、大型トラックT1の荷台Tc1の後方から小型トラックT2の荷台Tc2に移載することとして説明したが、これに限定されない。大型トラックT1と小型トラックT2が側方に並ぶように接車し、荷台Tc1の側方から移載することとしてもよい。
【0055】
また、上述した実施形態において、積荷Lは、ハンドリフタHを用いて移載されることとして説明したが、これに限定されない。積荷Lを載置可能な載置部材と車輪を有し、架設床装置1の上面を走行しながら積荷Lを移動させることができればよく、積荷Lは、手押し台車、又はローラーコンベア付きの台車によって移載されてもよい。
【0056】
また、上述した実施形態において、当接板23は、大型トラックT1の後面部Tc11に取り付けられた当て板Gに当接されることとして説明したが、これに限定されない。当接板23は、大型トラックT1の後面部Tc11に直接当接されることとしてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 架設床装置
10 第一床部材
11 基台(基台部)
111 横枠材
112 縦枠材
12 位置規制板
13 傾動板
131 上面
14 回転軸(第一回転軸)
15 固定スロープ
20 第二床部材
21 床板材
23 当接板
30 連結床部材
31 床板材
40 上流側ヒンジ(第三回転軸)
401 上流側角度規制具(第二床部材傾斜角度規制手段)
41 下流側ヒンジ(第二回転軸)
411 下流側角度規制具(連結床部材傾斜角度規制手段)
50 ストッパ
60 安全柵
T1 大型トラック
Td1 キャブ
Tc1 荷台
Tc11 後面部
Ts1 サスペンション
G 当て板
T2 小型トラック
Td2 キャブ
Tc2 荷台
Tc21 後面部
Ts2 サスペンション
L 積荷
H ハンドリフタ
Hh ハンドル
Hf 前輪
Hr 後輪
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11