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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001089
(43)【公開日】2024-01-09
(54)【発明の名称】経口投与用の新しい遅延放出組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4178 20060101AFI20231226BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20231226BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20231226BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20231226BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231226BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20231226BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20231226BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20231226BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20231226BHJP
   A61K 9/30 20060101ALI20231226BHJP
   A61K 9/56 20060101ALI20231226BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20231226BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20231226BHJP
   A61K 9/28 20060101ALI20231226BHJP
   A61K 9/54 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
A61K31/4178
A61P3/00
A61P11/00
A61P29/00
A61P43/00 111
A61P13/12
A61P9/00
A61K9/10
A61K9/14
A61K9/30
A61K9/56
A61K47/38
A61K47/42
A61K9/28
A61K9/54
【審査請求】有
【請求項の数】32
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023169472
(22)【出願日】2023-09-29
(62)【分割の表示】P 2022540547の分割
【原出願日】2021-04-23
(31)【優先権主張番号】2006074.5
(32)【優先日】2020-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】522097843
【氏名又は名称】ヴィコール ファルマ アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】キャンバー,オラ
(72)【発明者】
【氏名】ヨハンソン,クリスティーナ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】胃腸管への経口投与に適した医薬剤形を提供する。
【解決手段】本発明によれば、N-ブチルオキシカルボニル-3-(4-イミダゾール-1-イルメチルフェニル)-5-イソ-ブチルチオフェン-2-スルホンアミド(C21)、又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物が提供され、組成物C21又はその塩は、腸溶性物質を含むコーティングの存在によって保護されている。好ましい剤形は、C21又はその塩が、乾燥粉末混合物の形態で、又はそれが不溶性である溶媒中のC21の粒子の懸濁液の形態で提示されるカプセルを含む。このような剤形は、特発性肺線維症、サルコイドーシス、及び呼吸器ウイルス誘発性組織損傷などの肺疾患の治療に有用性があることが見出されている。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
胃腸管への経口投与に適した医薬剤形であって、剤形が、N-ブチルオキシカルボニル-3-(4-イミダゾール-1-イルメチルフェニル)-5-イソ-ブチルチオフェン-2-スルホンアミド、又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を含み、組成物前記N-ブチルオキシカルボニル-3-(4-イミダゾール-1-イルメチルフェニル)-5-イソ-ブチルチオフェン-2-スルホンアミド又はその塩が、腸溶性物質を含むコーティングの存在によって保護されている、胃腸管への経口投与に適した医薬剤形。
【請求項2】
前記腸溶性物質が、ポリビニルアセタートフタラート又はメタクリル酸コポリマーである、請求項1に記載の剤形。
【請求項3】
最終剤形が、腸溶コーティングされたピル、錠剤、カプセル、又はフィルムを含む、請求項1又は請求項2に記載の剤形。
【請求項4】
前記最終剤形が腸溶コーティングされたカプセルである、請求項3に記載の剤形。
【請求項5】
N-ブチルオキシカルボニル-3-(4-イミダゾール-1-イルメチルフェニル)-5-イソ-ブチルチオフェン-2-スルホンアミド又はその塩が、粉末、単純な混合物、顆粒、ペレット、ビーズ、溶液又は懸濁液の形態で提供される、請求項1~4のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項6】
前記形態が単純な粉末混合物である、請求項5に記載の剤形。
【請求項7】
前記カプセルがハードシェルのツーピースカプセルである、請求項4に従属する、請求項6に記載の剤形。
【請求項8】
前記カプセルがヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む、請求項7に記載の剤形。
【請求項9】
前記形態が、脂質担体中のその中で不溶性であるN-ブチルオキシカルボニル-3-(4-イミダゾール-1-イルメチルフェニル)-5-イソ-ブチルチオフェン-2-スルホンアミド又はその塩の粒子の懸濁液である、請求項5に記載の剤形。
【請求項10】
前記カプセルがソフトシェルの一体型カプセルである、請求項4に係属する、請求項9に記載の剤形。
【請求項11】
前記カプセルがゼラチンを含む、請求項10に記載の剤形。
【請求項12】
N-ブチルオキシカルボニル-3-(4-イミダゾール-1-イルメチルフェニル)-5-イソ-ブチル-チオフェン-2-スルホンアミド又はその薬学的に許容される塩が、約50μm以下の重量及び/又は体積ベースの平均直径を有する粒子の形態で提供される、請求項1~11のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項13】
本質的に水を含まない、請求項1~12のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項14】
N-ブチルオキシカルボニル-3-(4-イミダゾール-1-イルメチル-フェニル)-5-イソ-ブチルチオフェン-2-スルホンアミドの薬学的に許容される塩がナトリウム塩である、請求項1~13のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項15】
N-ブチルオキシカルボニル-3-(4-イミダゾール-1-イルメチル-フェニル)-5-イソ-ブチルチオフェン-2-スルホンアミド又はその薬学的に許容される塩を含む組成物を、腸溶性物質でコーティングすることを含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の剤形の製造プロセス。
【請求項16】
N-ブチルオキシカルボニル-3-(4-イミダゾール-1-イルメチル-フェニル)-5-イソ-ブチルチオフェン-2-スルホンアミド又はその薬学的に許容される塩をカプセルに充填することを含み、カプセルが腸溶性物質でコーティングされている、請求項4~14のいずれか一項に記載の剤形の製造プロセス。
【請求項17】
請求項15又は請求項16に定義されたプロセスによって得られる剤形。
【請求項18】
間質性肺疾患の治療に使用するための、請求項1~14又は17のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項19】
間質性肺疾患の治療のための薬剤の製造のための、請求項1~14又は17のいずれか一項に記載の剤形の使用。
【請求項20】
間質性肺疾患の治療方法であって、前記治療を必要とする患者への請求項1~14又は17のいずれか一項に記載の剤形の投与を含む、間質性肺疾患の治療方法。
【請求項21】
前記間質性肺疾患が特発性肺線維症である、請求項18に記載の使用のための剤形、請求項19に記載の使用、又は請求項20に記載の治療方法。
【請求項22】
前記間質性肺疾患がサルコイドーシスである、請求項18に記載の使用のための剤形、請求項19に記載の使用、又は請求項20に記載の治療方法。
【請求項23】
呼吸器ウイルス誘発性組織損傷の治療に使用するための、請求項1~14又は17のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項24】
呼吸器ウイルス誘発性組織損傷の前記治療のための薬剤の製造のための、請求項1~14又は17のいずれか一項に記載の剤形の使用。
【請求項25】
呼吸器ウイルス誘発性組織損傷の治療方法であって、前記治療を必要とする患者に、請求項1~14又は17のいずれか一項に記載の剤形を投与することを含む、呼吸器ウイルス誘発性組織損傷の治療方法。
【請求項26】
前記損傷が、呼吸器ウイルスによって引き起こされる気道の粘膜組織の損傷及び/又は機能不全を含む、請求項23に記載の使用のための剤形、請求項24に記載の使用、又は請求項25に定義された治療方法。
【請求項27】
前記呼吸器ウイルスがコロナウイルス又はインフルエンザウイルスである、請求項26に記載の使用のための剤形、使用又は治療方法。
【請求項28】
前記呼吸器ウイルスが重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2である、請求項27に記載の使用のための剤形、使用又は治療方法。
【請求項29】
前記治療が、前記ウイルスによって引き起こされているか、又は引き起こされた前記疾患の症状の治療を含む、請求項23~28(必要に応じて)のいずれか一項に記載の使用のための剤形、使用又は治療方法(適切な場合)。
【請求項30】
前記損傷又は前記疾患の前記症状が、咳、呼吸困難、呼吸促迫、呼吸不全、肺炎、肺、心臓及び/又は腎臓から選択される1つ又は複数の内臓における線維症のうちの1つ又は複数を含む、請求項29に記載の使用のための剤形、使用又は治療方法。
【請求項31】
前記治療が、前記関連する状態における罹患率及び/又は死亡率の予防を含む、請求項18~30(必要に応じて)のいずれか一項に記載の使用のための剤形、使用、又は治療方法。
【請求項32】
前記組成物が経口経路によって投与される、請求項18~31(必要に応じて)のいずれか一項に記載の使用のための剤形、使用、又は治療方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新しい医薬剤形、薬剤としてのそれらの使用、特に、とりわけ、肺疾患、例えば間質性肺疾患を治療するためのそれらの投与に関する。
【背景技術】
【0002】
間質性肺疾患(ILD)は、間質に影響を与える肺疾患のグループであり、肺胞周辺の組織が瘢痕化及び/又は肥厚化し、呼吸プロセスを阻害することを特徴としている。
【0003】
ILDは、閉塞性気道疾患(例えば、慢性閉塞性気道疾患(COPD)及び喘息)とは異なり、これらは通常、気管支及び/又は細気管支の狭窄(閉塞)を特徴とする。ILDは、異常な治癒反応を引き起こす肺の損傷によって引き起こされる可能性があるが、場合によっては、これらの疾患の原因がわかっていない。ILDは、化学物質(珪肺症、石綿肺、特定の薬物)、感染症(例えば、肺炎)、又はその他の疾患(例えば、関節リウマチ、全身性硬化症、筋炎、過敏性肺炎又は全身性エリテマトーデス)によって引き起こされる可能性がある。
【0004】
最も一般的なILDは、特発性肺線維症(IPF)及びサルコイドーシスであり、どちらも慢性炎症及び肺機能の低下を特徴としている。
【0005】
サルコイドーシスは原因不明の疾患であり、しこり(肉芽腫)を形成する炎症細胞の集まりを特徴とし、多くの場合、肺(並びに皮膚及び/又はリンパ節、いかなる臓器も影響を受ける可能性がある)で開始する。サルコイドーシスが肺に影響を与える場合、症状には咳、喘鳴、息切れ、及び/又は胸痛が含まれる。
【0006】
サルコイドーシスの治療は患者によって異なる。ほとんどの場合、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)による対症療法が可能であるが、肺症状を示す患者には、糖質コルチコイド(例えば、プレドニゾン又はプレドニゾロン)、代謝拮抗剤、及び/又はモノクローナル抗腫瘍壊死因子抗体がよく使用される。
【0007】
IPFは原因不明の肺疾患であり、世界中で約500万人が罹患している。まれなケースであるが、肺移植を除いて治療法の選択肢はない。その結果、慢性的で不可逆的な進行性の肺機能の低下が起こり、ほとんどの場合、2~5年以内に死亡する(生存期間中央値2.5~3.5年)。IPFの全体的な予後は不良であるが、個々の患者の進行速度を予測することは困難である。IPFの危険因子には、年齢、男性の性別、遺伝的素因、及び喫煙歴が含まれる。年間発生率は10万人当たり5~16人で、10万人当たり13~20例の有病率であり、年齢とともに劇的に増加する(King Jr TE et al.,Lancet(2011)378,1949-1961;Noble PW et al.,J.Clin.Invest.(2012)122,2756-2762)。IPFは肺に限定されており、全身性疾患に関連する肺線維症(PF)と区別する免疫系を標的とする治療に不応性である。
【0008】
IPFの患者は通常、慢性及び進行性の労作性呼吸困難と咳のために医療援助を求める。肺の画像は、古典的に牽引性気管支拡張症、肥厚した腎葉間中隔及び胸膜下蜂巣肺を明らかにする。3つの所見がすべて存在し、全身性結合組織病又は環境曝露の証拠がない場合、IPFと診断される可能性が非常に高くなる。明確な診断は通常、肺生検によって行われ、ILDの経験がある呼吸器科医、放射線科医、病理学者を含む専門知識の学際的なチームが必要である。
【0009】
IPFは、軽度、中等度、重度として定義される、様々な予後を伴う様々な表現型を示す。軽度の症例は安定した、又はゆっくりとした進行経路をたどり、患者は医学的アドバイスを求めるのに数年かかることがある。加速されたIPFは、生存期間が短くなり、はるかに急速に進行し、患者のサブグループ、通常は男性の喫煙者に影響を及ぼす。IPFの急性増悪は、疾患の急速な悪化として定義され、この亜集団の患者は、短期的には高い死亡率で非常に悪い結果を示す。IPFの原因は不明であるが、環境及び遺伝的要因の相互作用から、正常な修復ではなく、線維芽細胞による容赦ない組織リモデリングを引き起こす可能性が高い疾患のようであり、炎症性ではなく、主に線維症による病態形成である。この疾患が肺胞上皮細胞の微小損傷とアポトーシスによって開始され、隣接する上皮細胞を活性化し、腫瘍のような方法で線維芽細胞と筋線維芽細胞の集団の拡大に関与する因子を産生する幹細胞又は前駆細胞を引き付けることによって、この疾患が開始される、という証拠が増えていることを示唆している。線維芽細胞の病巣は、過剰な量の細胞外マトリックスを分泌し、それが肺実質を破壊し、最終的には肺機能の喪失につながる。
【0010】
肺機能(肺活量)の平均年間低下率は、0.13~0.21リットルの範囲内である。症状は診断に1~2年先行し、X線写真の徴候は症状に先行する場合がある(Ley B et al.,Am.J.Respir.Crit.Care Med.(2011)183,431-440)。
【0011】
多くの治療アプローチが、抗炎症薬、免疫調節薬、細胞毒性薬、一般的な抗線維症薬、抗酸化薬、抗凝固薬、抗ケモカイン薬、抗血管新生薬物並びにRAS遮断薬、エンドセリンアンタゴニスト、及びシルデナフィルなど、前臨床モデルや臨床試験で試験されており、これらの全ては、基本的には利点が限られているか、全くないことが示されている(Rafii R et al.,J.Thorac.Dis.(2013)5,48-73)。
【0012】
IPFの現在の治療には、酸素補給が含まれる。使用される薬にはピルフェニドン又はニンテダニブが含まれるが、疾患の進行を遅らせることに限られた成功しか収めていない。更に、これらの薬物は両方とも一般的に(主に胃腸の)副作用を引き起こす。
【0013】
前述のILD(及びIPF)薬物治療のすべてに関連する欠点があり、より安全でかつ/又はより効果的な治療が実際に臨床的に必要とされている。
【0014】
肺胞上皮を回復させることは、IPFの治療効果として非常に望ましいため、幹細胞治療も試験されている。いくつかの前臨床研究は、肺の上皮細胞と内皮細胞に分化し、それによって肺の損傷と線維症を修復することができる多能性幹細胞の使用に有望であることを示している。
【0015】
現在、肺移植は、IPF患者の生存率を大幅に改善する唯一の介入である。ただし、感染症や移植片拒絶反応などの合併症は珍しいことではない。
【0016】
したがって、IPFの新しい治療戦略の開発は重要である。したがって、将来の根本的な課題は、疾患の進行を逆転又は停止させる適切な治療アプローチを開発することである。
【0017】
レニン-アンジオテンシン系(RAS)は、血圧の恒常性の重要な調節因子である。プロテアーゼであるレニンは、その唯一の既知の基質(アンジオテンシノーゲン)を切断してアンジオテンシンI(AngI)を形成し、これが次にアンジオテンシン変換酵素(ACE)の基質として機能してアンジオテンシンII(AngII)を形成する。内因性ホルモンAngIIは、線状オクタペプチド(Asp-Arg-Val-Tyr-lle-His-Pro-Phe)であり、レニンアンギオテンシン系(RAS)の有効成分である。
【0018】
アンジオテンシンIIタイプ1(AT1)受容体は、ほとんどの臓器で発現しており、AngIIの病理学的影響の大部分の原因であると考えられている。ロサルタン(AT1受容体阻害剤)の安全性及び有効性は、IPF(www.clinicaltrials.gov 識別子NCT00879879)に関する小規模な制御されていない非盲検パイロット試験で最近調査された。
【0019】
成人を対象としたいくつかの研究は、AngII刺激後の反応の調節において、アンジオテンシンIIタイプ1(AT2)受容体の活性化がAT1受容体によって媒介されるものと反対の効果を有することを示しているようである。
【0020】
AT2受容体は、アポトーシス及び細胞増殖の阻害にも関与していることが示されている(de Gasparo M et al.,Pharmacol.Rev.,2000;52:415-472)。
【0021】
AT2受容体アゴニストはまた、消化不良や過敏性腸症候群などの消化管の疾患、及び多臓器不全の治療及び/又は予防に潜在的に有用であることが示されている(国際特許出願第99/43339号を参照)。
【0022】
AT2受容体のアゴニズムの予想される薬理学的効果は、一般に、de Gasparo M et al.(上記)に記載されている。AT2受容体のアゴニズムがIPFの治療に使用される可能性があることは言及されていない。
【0023】
国際特許出願第2002/096883号は、AT2受容体アゴニストとしてのイミダゾリル、トリアゾリル、及びテトラゾリルチオフェンスルホンアミド及び誘導体の調製を記載している。その文書に記載されている化合物(実施例1として)のうち、N-ブチルオキシカルボニル-3-(4-イミダゾール-1-イルメチルフェニル)-5-イソ-ブチルチオフェン-2-スルホンアミド(化合物21、又は以下で使用される場合「C21」)は、選択的AT2受容体アゴニストとして約20の関連類似体のグループから臨床開発のために選択された。C21は現在、AT2受容体アゴニストによる治療が有益であると考えられている、IPFを含む障害の治療のために臨床開発中である(例えば、国際特許出願である、国際公開第2016/139475号を参照されたい)。
【0024】
C21及びその塩に関して実施された配合作業は非常に困難であることが証明されている。結果として、C21は以前は水溶液として配合されており、保存中に凍結され、次いで経口投与の直前に解凍されていた。
【0025】
本出願人は、この有効成分に約20年間取り組んでおり、最近まで、周囲温度で保存した時に有効成分が安定している剤形である、薬学的に許容される剤形を得ることができなかった。
【0026】
これに加えて、C21の安全性、忍容性、及び薬物動態を評価するために実施された、健康な被験者に実施された第I相臨床試験では、顕著な食事の影響が観察された。
【0027】
絶食状態及び摂食状態の両方でシミュレートされた腸液における未発表の前臨床研究が、臨床用量で良好な吸収のために腸内の有効成分の利用可能性を可能にするのに十分であるように思われることを考慮すると、これは予想外であった。
【発明の概要】
【0028】
本発明の第1の態様によれば、胃腸管への経口投与に適した医薬剤形が提供され、この剤形は、C21又はその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を含み、組成物のC21又はその塩は、腸溶性物質を含むコーティングの存在によって保護されている。このような剤形は、以下、まとめて「本発明の剤形」と呼ばれる。
【0029】
本発明の剤形は、完全な剤形として、経口投与及び胃腸管への送達に適している。これは、本発明の剤形が全体として飲み込むのに適しており、胃腸管内でのその後の消費及び/又は摂取のための完全な剤形であり、使用中、飲み込まれ、次にその管内で消費及び/又は摂取されることを意味する。
【0030】
本発明の文脈において、「腸溶性」物質は、C21又はその薬学的に許容される塩を含む組成物をコーティング、封入及び/又はカプセル化して、胃内で有効成分がその組成物から放出されること、及び/又は胃液と接触すること、及び/又はその成分が小腸に到達するまで防止するために使用される。「実質的に防止する」は、有効成分の約20%以下、例えば約15%、例えば約10%、より具体的には約5%以下が胃の酸性環境内で放出されることを含む。
【0031】
典型的な腸溶性コーティング材料には、以下のもの、セルロースアセタート、セルロースアセタートスクシナート、セルロースアセタートフタラート、セルロースアセタートテトラヒドロフタラート、ポリビニルアセタートフタラート、ヒドロキシエチルエチルセルロースフタラート、メタクリル酸コポリマー、ポリメタクリル酸/アクリル酸コポリマー、スチロールマレイン酸コポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート、アクリル樹脂、セルロースアセタートトリメリテート、ヒドロキシプロピルメチルセルローストリメリテート、セラック、ヒドロキシエチルエチルセルロースフタラート、カルボキシメチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースアセタートスクシナートが含まれる。好ましい腸溶性物質には、ポリビニルアセタートフタラート、特にメタクリル酸コポリマーが含まれる。
【0032】
腸溶性物質は、様々な剤形をコーティングするために使用できる。本発明の剤形を調製するために使用することができる多くの製剤/投与原理があり、これらは以下に非限定的な意味で記載される。
【0033】
この点で、C21及びその塩は、腸溶性物質によってコーティング、封入、及び/又はカプセル化されて、胃腸管への経口投与に適した最終投与量を作ることができる任意の形態で提示され得、したがって、粉末、単純な混合物、顆粒、ペレット、ビーズ、溶液及び/又は懸濁液の形態で提供される。最終剤形には、ピル、錠剤、カプセル、フィルム、溶液又は懸濁液(例えば、シロップ)、粉末、ケーキなどが含まれる。
【0034】
C21又はその塩が粉末、顆粒、ペレット、及び/又はビーズとして多粒子の形態で提供される場合、粒子は、腸溶性物質で個別に又は集合的にコーティングされなければならない。これは様々な方法で行うことができる。
【0035】
この点で、C21及びその塩は、担体システムとの単純な混合物の形態で提示することができ、担体システムは、組成物又は組成物の成分の質量を増加させて、適切に処理可能な剤形を提供することができる、任意の薬学的に許容される不活性材料である。
【0036】
したがって、適切な担体には、薬学的に許容される無機塩、例えば、塩化ナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸二カルシウム水和物、リン酸二カルシウム二水和物、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、及び硫酸バリウム;ポリマー、例えば(任意選択でケイ化された)微結晶性セルロース、セルロース及び架橋ポリビニルピロリドン;デンプン;糖及び糖アルコール、例えばラクトース、マンニトール、キシリトール、イソマルト、デキストロース;又は前述のいずれかの混合物が含まれる。
【0037】
担体材料は、好ましくは、コーティングされるC21又はその塩を含む組成物の総重量に基づいて、約5重量%~約90重量%の量で使用される。好ましい範囲は、約10重量%~約80重量%である。
【0038】
好ましい担体材料には、ラクトース、キシリトール、イソマルト、微結晶性セルロース、より好ましくはマンニトールが含まれる。担体粒子は、前述の材料のいずれかの物理的混合物を含み得、及び/又はこれらの材料の1つ又は複数の複合体を含み得る。
【0039】
その後、C21/塩と担体材料との混合物をカプセルに直接充填した後、腸溶性物質を適用することができる。あるいは、そのような混合物は、ペレット、顆粒又はビーズに造粒され得、これらの二次粒子は、腸溶性物質で個別にコーティングされ得るか、又は腸溶性物質でコーティングされる前に適切なカプセルに装填され得る。あるいは、粉末、ペレット、顆粒、又はビーズを、腸溶性物質でコーティングする前に錠剤に圧縮することができる。
【0040】
造粒は、乾式造粒、湿式造粒、溶融造粒、熱可塑性ペレット化、スプレー造粒又は押出/球形化(spheronization)を含む周知の技術を使用して実施することができる。
【0041】
C21又はその塩を含む粉末、顆粒、ペレット又はビーズは、担体材料に加えて、当技術分野で使用される他の一般的に使用される医薬添加剤及び/又は賦形剤も含み得る(例えば、Rowe et al,Handbook of Pharmaceutical Excipients,8th ed.(2017)及びそこに引用されている文書を参照されたい)。
【0042】
結合剤、崩壊剤、流動促進剤、潤滑剤などの他の薬学的に許容される賦形剤は、当業者に知られている。
【0043】
バインダーは、結合形成促進剤として作用することができる材料として定義することができ、これは、粉末塊のまとまった成形体への圧縮を容易にすることができる。適切な結合剤には、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、セルロースガム、(任意選択でケイ化された)微結晶性セルロース等のセルロース誘導体などが含まれる。存在する場合、結合剤は、好ましくは、C21又はその塩を含む組成物の総重量に基づいて、約2重量%~約50重量%の量で使用される。好ましい範囲は、約5重量%~約30重量%である。
【0044】
崩壊剤(disintegrant又はdisintegrating agent)は、顆粒又は錠剤などのC21又はその塩を含む組成物の成分の崩壊/分散を測定可能な程度まで加速することができる材料として定義され得る。これは、例えば、水性媒体(特に胃腸管に見られるものを含む体液)と接触して配置された時に、膨潤及び/又は膨張することができる材料によって達成され得、したがって、本発明の剤形の少なくとも一部を、水を含んだ時に崩壊させる。適切な崩壊剤には、架橋ポリビニルピロリドン、架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース(クロスカルメロース、例えば、Ac-Di-Sol、FMC Corp.、USA)、カルボキシメチルデンプン、天然デンプン、アルファ化デンプン、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、デンプングリコール酸ナトリウム(Primojel(登録商標)、DMV International BV、Netherlands)、低置換ヒドロキシプロピルセルロースなどが含まれる。崩壊剤(上記の材料の1つ又は複数を含み得る)は、好ましくは、C21又はその塩を含む組成物の総重量に基づいて、約1重量%(例えば、約5%)~約40重量%の量で使用される。好ましい範囲は、約5重量%(例えば、約10%)~約30重量%である。使用される好ましい崩壊剤には、架橋ポリビニルピロリドン、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、及び特に低置換ヒドロキシプロピルセルロースが含まれる。
【0045】
流動促進剤は、粒子間の摩擦及び/又は凝集を低減することによって粉末の流れを促進する薬学的に許容される材料である(ただし、カプセル充填機又はホッパーなどの外部材料への付着を低減及び/又は防止する能力を必ず有する必要はない)。したがって、適切な薬学的に許容される流動性材料には、タルク、炭酸マグネシウム又はケイ酸カルシウムが含まれるが、流動促進剤は、ヒュームド/焼性シリカ又はより具体的にはシリカゲル、シリカエアロゲル及び/又はコロイダルシリカを含む様々な形態のシリカのうちの1つ又は複数などの親水性流動促進剤であることが好ましい。
【0046】
潤滑剤は通常、飲み込まれる最終的な剤形が錠剤の形態である際に使用され、顆粒又は粉末がパンチダイ/フェースに付着するのを防ぎ、圧縮後のダイからの円滑な排出を促進する適切な潤滑剤には、ステアリン酸、フマル酸ステアリルナトリウム、無水コロイドシリカ、タルク、又は好ましくはステアリン酸マグネシウムが含まれる。潤滑剤を使用する場合、非常に少量で使用されるべきである(例えば、C21又はその塩を含む組成物の総重量に基づいて、最大約3重量%、好ましくは最大2重量%)。
【0047】
経口剤形で使用できる他の賦形剤には、界面活性剤、湿潤剤、香料(例、レモン、メントール、又はペパーミント粉末)、甘味料(例、ネオヘスペリジン、スクラロース、又はアセスルファムカリウム)、染料、抗酸化剤(天然に存在する場合もあれば、そうでない場合もある(例えば、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ビタミンC、ビタミンE、β-カロテン、尿酸、ユニキオン、スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)、グルタチオンペルオキシダーゼ又はペルオキシダーゼカタラーゼ))、防腐剤及び緩衝剤が含まれる。
【0048】
これら、及び本明細書で言及される他の薬学的に許容される賦形剤は、市販され得るか、そうでなければ、文献に記載されており、例えば、この種類の賦形剤の全てに関して、例えば、Rowe et al.,supra and Remington The Science and Practice of Pharmacy,21st ed.,Lippincott Williams and Wilkins,Philadelphia(2006)及びそこで参照されている文書に記載されているものを含み、これらすべての文書の関連する開示は、参照により本明細書に組み込まれる。別の方法では、適切な経口調製は、日常的な技術を用いて当業者によって非進歩的に達成され得る。
【0049】
顆粒、ペレット又はビーズは、形成後に更に処理することができる。例えば、乾燥した顆粒は、適切な粉砕技術を使用して、砕かれ、すりつぶされ、又は粉砕されて、より小さなサイズの粒子状物質を生成することができ、これをふるいにかけて、所望のサイズの画分を分離することもできる。湿った顆粒をスクリーニングして、顆粒の凝集体を破壊し、微細な材料を除去することができる。いずれの場合も、無駄を避けるために、未使用の小さめ(細かい)及び大きめの材料を再処理することができる。
【0050】
しかし、粉末混合物、顆粒、錠剤又はカプセルは、腸溶性物質でコーティングする前に作られ、コーティングされる組成物の調製は、C21又はその薬学的に許容される塩が担体材料(及び/又は他の使用されている賦形剤)全体に均一に分散されることを確実にする。
【0051】
単純な混合物の場合、これには、例えば以下に説明するように、均一に分散された有効成分を提供する期間のための混合が含まれる。これは、使用する機器によって異なる可能性がある。
【0052】
本発明の文脈における「均質」及び「均質に分散」という用語は、担体材料(及び/又は使用される他の賦形剤)全体にC21又はその塩の実質的に均一な含有があることを意味する。言い換えれば、複数の(例えば、少なくとも2つ、より好ましくは約6つ、例えば約10~最大約30、又は必要に応じてそれを超える)サンプルが、有効成分及び担体ブレンドを含む混合物から採取される場合、そのようなサンプルの間に存在する有効成分の測定された含有量は、約8%未満、例えば、約6%未満、例えば、約5%未満、特に約2%未満の平均量からの標準偏差(すなわち、変動係数及び/又は相対標準偏差)を生じさせる。
【0053】
好ましい混合装置には、タンブラー、シェーカ混合(例えば、Turbula)、対流、ホッパー、及び流動化ブレンダなどの標準的な混合装置が含まれる。好ましいブレンダには、Vブレンダが含まれる。
【0054】
錠剤は、圧縮(compression/compaction)のプロセスによって形成され得る。直接圧縮(direct compression/compaction)は、例えば、Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets.Volume 1,3rd Edition,Augsburger et al(eds.),CRC Press(2008)及びそこに引用されている文書に記載されているもの等の技術を使用して達成され得る。適切な圧縮装置には、Kilian SP300又はKorsch EK0などの標準的な打錠機が含まれる。
【0055】
C21又はその塩を含む組成物は、そのような経口投与に適したカプセル内に含まれることが好ましい。
【0056】
適切な薬学的に許容されるカプセルには、ゼラチン、セルロースポリマー、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC又はヒプロメロース)、ヒプロメロースアセタートスクシナート(HPMCAS)、デンプンポリマー、プルラン又は他の適切な材料から、例えば標準的なカプセル充填プロセスによって作製される、ソフトシェル又はハードシェルカプセルが含まれる。
【0057】
本発明の剤形が、C21又はその塩の混合物を担体材料(例えば、粉末、顆粒などの形態で)と共に含む固体製剤を含む場合、本発明の好ましい態様によれば、カプセルは、好ましくはハードシェルのツーピースカプセル、例えばゼラチン、又はより好ましくはHPMCから作製され、分離されて粒子状物質で満たされ、その後再組み立てされ得る、閉じた半分として供給されるカプセルである。そのようなカプセルは、任意のサイズ(例えば、00~5)であり得るが、好ましいカプセルサイズは、サイズ2、サイズ1、又はより好ましくは、サイズ0である。
【0058】
本発明のこの、及び他の、好ましい実施形態において、C21又はその塩は、粒子の形態で提示され、これは、アモルファス又は結晶性、あるいは2つの混合物であり得る。好ましい粒子は、カプセル充填プロセス中又は貯蔵時にカプセルに充填される組成物の形成中のいずれにおいても、分離を導かないサイズのものである。
【0059】
これに関して、C21又はその塩は、通常、約1,000μm以下、例えば、約250μmを含む500μm、好ましくは約50μm以下を含む約100μm以下、例えば約20μm、又は約10μm以下の重量及び/又は体積ベースの平均直径を有する、複数の一次(すなわち、非凝集の)粒子の形態で提供され得る。本発明に従って使用することができる粒径に下限はないが、製造を容易にするために、C21又はその塩の一次粒子は、1μm未満、例えば約2μm、約3μmの重量及び/又は体積ベースの平均直径を有することが好ましい。
【0060】
本明細書で使用される場合、「重量ベースの平均直径」という用語は、平均粒径が、重量による粒径分布、すなわち、各サイズクラスにおける既存の分率(相対量)が、例えば、ふるい分け(例えば、湿式ふるい分け)によって得られる重量分率として定義される分布から特性決定され、定義されることを含むように当業者に理解される。「体積基準平均直径」という用語は、重量基準平均直径と意味が類似しているが、平均粒径が、体積による粒径分布、すなわち、各サイズクラスにおける既存の分率(相対量)が、例えば、レーザー回折によって測定された体積分率として定義される分布から特性決定され、定義されることを含むように当業者に理解される。粒子径はまた、Sympatec GMbH(Clausthal-Zellerfeld,Germany)などの製造業者から入手可能な乾式分散技術を含む乾式粒径測定技術などの標準装置で測定できる。例えば、Malvern Instruments、Ltd(Worcestershire,UK),Shimadzu(Kyoto,Japan)及びElzone,Micromeritics(USA;electrical sensing zone method)が販売する機器など、この分野でよく知られている他の機器を用いて、粒径を測定することができる。
【0061】
上記の制限内の重量及び/又は体積ベースの平均直径を有する粒子によって、本発明による調製時及び関連する賦形剤と混合する前、及び/又はカプセルに装填する前の粒子の平均直径を含む。二次粒子を形成するための一次粒子のいくらかの凝集が、有効成分の取り扱い及び/又は処理中に起こり得ることが理解されるであろう。しかし、これは最小限に抑える必要がある。
【0062】
C21又はその塩はまた、質量中央径(D50;対数正規質量中央径)、質量による平均粒径及び/又は累積PSDの質量の50%が含まれる直径)及び/又は幾何標準偏差(式D84.13/D50又はD50/D 15.78で測定されるGSD又はσであって、ここでD84.13及びD15.78はそれぞれ、質量の84.13%及び15.78%が含まれる直径であり、D50は前述の通りである)を含む、標準的な技術及び当技術分野で認められたパラメータによって測定されるように、比較的狭い粒径分布(PSD)を有する粒子の形態で提供され得る。そのようなパラメータは、前述のような任意の適切なサンプリング方法及び粒径測定技術を使用して、プロセス内で測定及び計算することができる。
【0063】
この点で、C21又はその塩は、約3未満など、約4未満のGSDであるPSDを有することが好ましい。
【0064】
C21又はその塩の一次粒子は、沈殿、切断(例えば、圧力下での超臨界流体への溶解、その後の急速な膨張による)、噴霧乾燥などの適切な技術によって調製することができ、又は適切な場合、すりつぶし、乾式粉砕、ジェット粉砕、湿式粉砕及び/又は破砕などの当技術分野で周知の技術によって微粉化することができる。
【0065】
粒子はまた、所望のサイズの画分に分離するためにふるい分けされ、並びに/あるいは凝集物を分解するために、及び/又は微細な物質を除去するためにスクリーニングされ得る。いずれの場合も、無駄を避けるために、未使用の小さめ(細かい)及び大きめの材料を再処理することができる。あるいは、粒子は、空気分級機、沈降、力場分別、及び/又は水簸法によって、サイクロン分離を使用して適切な粒径に分離され得る。
【0066】
C21又はその塩は、上記の技術の1つ又は複数を使用して、前述の重量又は体積に基づく平均直径、粒径、PSD及び/又はGSDを選択及び/又は提供することができるが、本発明の剤形を形成するためにカプセルに装填される組成物を配合することの主な利点の1つは、C21又はその塩は、関連する賦形剤とブレンドする前に上記の粒子処理技術を必要としないということである。
【0067】
この点で、前述のように、C21及びその塩は、取り扱うことが非常に困難であることが見出された。問題の一部は、光及び水の複合存在に対する、C21及びその塩のこれまで報告されていない極端な感度である。
【0068】
更に、特に、そして以下に記載されるように、適合性研究は、特定の標準的な賦形剤が、C21及びその塩と共混合されると、有効成分の重大な化学的不安定性を引き起こすことを明らかにした。更に、C21及びその塩は、粘着性があり、凝集する傾向がある針状の結晶として形成される。これは、特定の標準的な薬学的に許容される成分との乾式混合が非常に困難であり、有効成分の薬学的に許容される含有量の均一性、及び/又はカプセル内でその均一性を有するブレンドを製造することは容易ではないことを意味する。
【0069】
更に、有効成分の一次粒子を微粒化することがまた、当業者が予想したように、これらの問題の解決策を提供しておらず、また、局所的な加熱及び静電気に関連する追加の問題を引き起こす。
【0070】
しかし、本発明者等は、C21又はその薬学的に許容される塩を、C21又はその薬学的に許容される塩の固体粒子の、重量及び/又は体積ベースの平均直径、及び/又は構造(粒子)密度と類似している、重量ベース及び/又は体積ベースの平均直径、及び/又は構造(粒子)密度を有する粒子担体の予め混合されたブレンド、及び流動促進剤とブレンドすることによって、前述の問題を回避し、C21又はその塩が均一かつ均等に分布し、このような充填後のカプセル間の有効成分の用量均一性を確保するだけでなく、カプセルに充填するための組成物を提供することが可能である。製造中及び製造後、通常の保管条件下、及び使用中に物理的及び化学的に安定することを可能にする。
【0071】
したがって、本発明のこの最初に好ましい態様では、C21の粒子又はその薬学的に許容される塩と混合された賦形剤は、C21又はその薬学的に許容される塩の、重量及び/又は体積ベースの平均直径、及び/又は構造(粒子)密度それぞれと類似している、重量ベース及び/又は体積ベースの平均直径、及び/又は構造(粒子)密度を有する少なくとも1つのタイプの担体粒子、及び流動促進剤のブレンドを含む。次に、そのような組成物は、経口投与に適しており、腸溶性物質でコーティングされているカプセルに装填される。
【0072】
本発明のこの態様の文脈における「均一」及び「均一に分散された」という用語は、前述のように定義される。
【0073】
本発明のこの好ましい態様において、適切な担体粒子材料は、ソルビトール、キシリトール、特にマンニトールなどの糖アルコールなどの炭水化物を含む、水に可溶な薬学的に許容される物質を含み得る。また、担体粒子は、これらの材料のいずれかの物理的混合物を含み得、及び/又はこれらの材料の1つ又は複数の複合体を含み得る。
【0074】
担体粒子は、本発明の剤形を作製するためにカプセルに装填される組成物で使用される有効成分粒子と同様の粒径分布及び/又は構造(粒子)密度を有する。
【0075】
「同様の粒径分布及び/又は構造(粒子)密度」とは、担体粒子の重量及び/又は体積ベースの平均直径、及び/又は粒子密度が、使用されるC21又はその塩の関連する寸法の、例えば、約±40%、例えば、約±30%、又は約±20%を含む、約±10%を含む、±50%等の、約±75%の範囲内であることを意味する。
【0076】
この点に関して、好ましい担体粒径には、約100μm未満、例えば約80μm未満、例えば約70μm未満、例えば約20μm~約60μm(例えば、約25μm、又はより好ましくは約50μm)である重量ベース及び/又は体積ベースの平均直径が含まれる。
【0077】
本発明者等は、有効成分のものと同様及び/又は上記の範囲内のサイズを有する担体粒子を使用することによって、ブレンドの分離は回避されることを見出した。
【0078】
したがって、本発明のこの態様に従って剤形を作製するための、カプセルに充填される組成物を作製するために、有効成分と混合する前に、必要なサイズの担体粒子が適切な流動促進剤、好ましくは商品名Syloid(登録商標)で製造されている独自のシリカ(https://grace.com/pharma-and-biotech/en-us/Documents/Syloid/M309cを参照されたい)、コロイド状シリカ、及び/又はヒュームド/焼成シリカと予めブレンドされる。したがって、シリカの好ましい形態には、重量ベース及び/又は体積ベースの平均直径が約1nm~約100nm(例えば、最大約50nm、例えば最大約20nm、例えば約10nm~約15nm)であるアモルファスシリカ粒子の安定な水性分散液(ゾル)が含まれる。
【0079】
したがって、流動促進剤及び担体粒子を一緒に混合して、流動促進剤材料のより小さな粒子で大部分がコーティングされた担体粒子の相互作用(又は秩序化)混合物を形成し、次にこの混合物を有効成分粒子と混合することが好ましい。
【0080】
また、本発明者等は、有効成分と混合する前に、前述の流動促進剤を担体粒子に添加して、最初に賦形剤ブレンドを形成することにより、賦形剤ブレンドの流動特性が改善され、その後、C21又はその薬学的に許容される塩とより良好に混合され、ブレンド分離の可能性を更に減少させることを見出した。
【0081】
本発明のこの態様では、剤形はまた、前述のものなどの、有効成分の経口送達のための当業者に周知である他の賦形剤を含み得る。
【0082】
しかし、他の化学物質に対するC21及びその塩の極端な感受性を考慮して、そのような他の賦形剤は、本発明のこの態様による剤形に含まれないことが好ましい。これに関して、C21の固体粒子の、重量及び/又は体積ベースの平均直径、並びに/あるいは構造(粒子)と類似している、重量ベース及び/又は体積ベースの平均直径、並びに/あるいは構造(粒子)密度を有する担体粒子、及び流動促進剤のブレンドと混合された、C21又はその薬学的に許容される塩の固体粒子を含む粒子状混合物の形態の医薬組成物から本質的になる本発明の剤形が提供され、組成物は、経口投与に適しており、腸溶性物質でコーティングされたカプセル内に含まれる。
【0083】
本発明の他の態様について本明細書で言及される、本発明のこの態様に何らかの形で関連するすべての好ましい特徴は、等しく適用可能である。
【0084】
「から本質的になる」という用語は、本発明のこの(そしてこれのみの)態様の範囲が、本発明のこの態様の基本的かつ新規な特性(複数可)に実質的に影響を及ぼさない他の特徴とともに、上記の特定の本質的な特徴に限定されることを意味すると理解される。
【0085】
この点で、本発明のこの好ましい態様の本質的な特徴ではないが、カプセルに充填する前に、潤滑剤(フマル酸ステアリルナトリウム、又は好ましくはステアリン酸マグネシウムなど)をブレンドに添加して、ブレンドが機器(カプセル充填機及びホッパーなど)に付着するのを防ぐ。これは、本発明のこの態様の基本的かつ新規な特性に実質的に影響を及ぼさない好ましい特徴である。
【0086】
上記で定義された担体粒子及び流動促進剤のブレンドと混合された、C21又はその薬学的に許容される塩の固体粒子を含む粒子状混合物から「本質的になる」カプセルに充填される組成物は、代替的に、それらの特定の成分の合計の少なくとも約97重量%など、少なくとも約95%を含むことを意味する。
【0087】
本発明のこの第1の好ましい態様において、例えば以下に記載されるように、ブレンドプロセス中に形成される凝集物を分解するために、乾燥混合ブレンドが混合プロセス中のある時点でふるいを通過することも好ましい。適切なふるいは、ブレンドの最大構成要素の粒径と同じくらい小さい(又はその程度)サイズの細孔サイズを有するものである。したがって、適切なふるいサイズは、約50μm、例えば75μm、100μm、例えば150μm、200μm又は250μm(例えば、約300μm)~約1,000μm、例えば約400μm(例えば、約500μm)~約900μm(例えば、約800μm)である。
【0088】
本発明の第2の好ましい態様によれば、医薬組成物が、C21又はその薬学的に許容される塩の固体粒子を含む不均一混合物の形態で提示される本発明の剤形が提供される、本発明の剤形が提供され、C21又はその薬学的に許容される塩は、C21又はその塩が本質的に不溶性である、薬学的に許容される疎水性の脂質ベースの担体に懸濁され、その組成物は、そのような経口投与に適し、腸溶性物質でコーティングされたカプセルに装填される。
【0089】
C21又はその塩の固体粒子が懸濁されている脂質ベースの担体システムは、室温で固体の形態(脂肪)であり得るか、又はより好ましくは、室温で液体の形態(油)であり得る。それにもかかわらず、C21の粒子又はその塩は、脂質担体のいずれかの形態で懸濁され得る。
【0090】
本発明のこの好ましい態様によれば、カプセルは、ソフトシェルの一体型カプセル、例えば、ソフトゼラチンカプセルであることが好ましく、一体型ゼラチンカプセルは、脂質ベースのC21又はその塩の懸濁液で満たされ、その後、例えば、ゼラチン溶液の液滴で、一体型として密閉される。ゼラチンは任意の供給源(例えば、ブタ及びウシの供給源)から入手することができるが、ソフトゼラチンカプセルに代わるビーガンの代替品があることに注意する必要がある。
【0091】
ソフトゼラチンカプセルシェルは、1つ又は複数の可塑剤、例えばキシリトール、ソルビトール、ポリグリセロール、ソルビトールの非結晶化溶液、グルコース、フルクトロース及びグルコースシロップ、より好ましくはグリセリン/グリセロール、ソルビトール及び/又はAnidrisorbs(ソルビトール、ソルビタン、マルチトール及びマンニトールの独自の混合物、Anidrisorb85/70(液体ソルビトール-マンニトール加水分解デンプン可塑剤)を含む、Roquette Freres)などの独自の可塑剤を含み得る。ソフトゼラチンカプセルシェルは、任意選択で、1つ又は複数の香味剤、着色剤、及び/又は乳白剤(二酸化チタンなど)を含む。
【0092】
そのようなカプセルは、任意の形状(例えば、長方形、円形、楕円形、管状など)及び任意のサイズ(例えば、3~24の長方形、1~20の円形、2~20の楕円形、5~120の管など)であり得る。好ましいカプセルサイズは、約0.3~約1.0mLの体積を保持する。
【0093】
本発明のこの好ましい態様の本質的な特徴は、C21又はその薬学的に許容される塩が、通常の貯蔵条件下で脂質ベースの担体内に本質的に不溶性であることである。「本質的に不溶性」とは、C21又はその塩が、その担体内で、担体1グラム当たり約0.015mg以下のC21又はその塩の溶解性を有することを含む。
【0094】
このように、疎水性の担体の二重の特性及びC21又はその塩を溶解する傾向の欠如のために、有効成分は、前述のようにその分解を触媒し得る量の水に曝露されない。
【0095】
驚くべきことに、これらの要件を満たし、したがって本発明の剤形において周囲温度でC21又はその塩を安定化することができる脂質ベースの担体材料は比較的少ないことがわかった。
【0096】
前述のようにC21又はその塩が不溶性でなければならない疎水性脂質ベースの担体材料は、本質的に水と混和しない非極性の油又は脂肪を含み得る。脂質ベースの担体は、主にトリアシルグリセロール(「トリグリセリド」としても知られる)からなることが好ましく、これは、グリセロール部分の3つのヒドロキシル基すべてと脂肪酸(カルボン酸)との反応によって形成されるエステルである。
【0097】
したがって、脂質は飽和又は不飽和鎖脂肪酸を含み得、その鎖は、1個の炭素原子~最大30個の炭素原子(最大26個の炭素原子を含む)、最大22個の炭素原子(8、10、12、14、16、18又は20個の炭素を含む)等の範囲であり得る。
【0098】
言及され得る飽和脂肪酸には、酢酸(2)、プロピオン酸(3)、酪酸(4)、バレル酸(5)、カプロン酸(6)、エナント酸(7)、カプリル酸(8)、ペラルゴン酸(9)、カプリン酸(10)、ウンデシル酸(11)、ラウリン酸(12)、トリデシル酸(13)、ミリスチン酸(14)、ペンタデシル酸(15)、パルミチン酸(16)、マルガリン酸(17)、ステアリン酸(18)、ノナデシル酸(19)、アラキジン酸(20)、ヘネイコシル酸(21)、ベヘン酸(22)、トリコシル酸(23)、リグノセリン酸(24)、ペンタコシル酸(25)、セロチン酸(26)、カルボセリン酸(27)、モンタン酸(28)、ノナコシル酸(29)及びメリシン酸(30)が含まれ、ここで、括弧内の数字は、脂肪酸分子中の炭素原子の数である。
【0099】
言及され得る不飽和脂肪酸には、クロトン酸(4:1)、並びにω-3不飽和脂肪酸、例えばオクタン酸(8:1)、デカン酸(10:1)、デカジエン酸(10:2)、ラウロレイン酸(12:1)、ラウロリノール酸(12:2)、ミリストバセン酸(14:1)、ミリストリノール酸(14:2)、ミリストリノレン酸(14:3)、パルミトリノレン酸(16:3)、ヘキサデカトリエン酸(16:3)、パルミチドン酸(16:4)、α-リノレン酸(18:3)、ステアリドン酸(18:4)、11,14,17-エイコサトリエン酸(20:3)、エイコサテトラエン酸(20:4)、エイコサペンタエン酸(20:5)、ヘネイコサペンタエン酸(21:5)、クルパノドン酸(22:5)、ドコサヘキサエン酸(22:6)、9,12,15,18,21-テトラコサペンタエン酸(24:5)、ニシン酸(24:6)及び6,9,12,15,18,21-テトラコサヘキサエン酸(24:6);ω-5不飽和脂肪酸、例えばミリストレイン酸(14:1)、パルミトバクセン酸(16:1)、α-エレオステアリン酸(18:3)、β-エレオステアリン酸(trans-18:3)、プニン酸(18:3)、7,10,13-オクタデカトリエン酸(18:3)、9,12,15-エイコサトリエン酸(20:3)及びβ-エイコサテトラエン酸(20:4);ω-6不飽和脂肪酸、例えばテトラデセン酸(14:1)、12-オクタデセン酸(18:1)、リノール酸(18:2)、リノレイド酸(trans-18:2)、γ-リノレン酸(18:3)、カレンジン酸(18:3)、ピノレン酸(18:3)、11,14-エイコサジエン酸(20:2);ジホモ-リノール酸(20:2)、ジホモ-γ-リノレン酸(20:3)、アラキドン酸(20:4)、ドコサジエン酸(22:2)、アドレン酸(22:4)、オスボンド酸(22:5)、テトラコサテトラエン酸(24:4)及びテトラコサペンタエン酸(24:5);ω-7不飽和脂肪酸、例えば5-ドデセン酸(12:1)、7-テトラデセン酸(14:1)、パルミトール酸(16:1)、バクセン酸(18:1)、ルーメン酸(18:2)、パウリン酸(20:1)、7,10,13-エイコサトリエン酸(20:3)、15-ドコセン酸(22:1)及び17-テトラコセン酸(24:1);ω-9不飽和脂肪酸、例えばヒポゲ酸(16:1)、オレイン酸(18:1)、エライジン酸酸(trans-18:1)、ゴンド酸(20:1)、8,11-エイコサジエン酸(20:2)、エルカ酸(22:1)、ネルボン酸(24:1)、ミード酸(20:3)及びキシメン酸(26:1);ω-10不飽和脂肪酸、例えばサピエン酸(16:1);ω-11不飽和脂肪酸、例えばガドレイン酸(20:1);及びω-12不飽和脂肪酸、例えば、4-ヘキサデセン酸(16:1)、ペトロセリン酸(18:1)及びエイコセン酸(20:1)が含まれ、ここで、括弧内の数字は、それぞれ、脂肪酸分子内の、炭素原子の数及び不飽和(すなわち二重)結合の数である。
【0100】
言及され得る脂肪酸には、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リシノール酸、リノール酸、リノレン酸、エイコセン酸、ベヘン酸及びエルカ酸が含まれる。
【0101】
トリグリセリドは、天然に存在する油又は脂肪である場合もあれば、半合成である場合もあり、合成である場合もある。
【0102】
天然に存在する油又は脂肪は、動物から、又はより好ましくは、種子、穀粒、又は果物などの植物源から得ることができる。
【0103】
天然に存在する植物油は、主に、異なる脂肪酸鎖長を有するグリセリドの混合物であるトリグリセリドを含む。
【0104】
このカテゴリーに分類される天然に存在する薬学的に許容される油には、ヒマワリ油、大豆油、トウモロコシ油、ブドウ種子油、菜種油、ゴマ油、アーモンド油、アプリコット穀粒油、綿種子油、ヤシ穀粒油、ヒマシ油、オリーブ油、パーム油、及びココナッツ油が含まれる(それぞれの組成については、例えば、Occurrence and Characteristics of Oils and Fats at pages 47-224in Padley,Gunstone and Harwood(Eds.),The Lipid Handbook.,Chapman&Hall,London,1994を参照されたい)。
【0105】
本発明のこの好ましい態様の剤形で使用される場合、天然に存在する油は医薬品グレードであるべきであり、したがって、好ましくは、それらの天然源(複数可)からの抽出後に精製されるべきである。これは、当業者によく知られている技術を使用して行うことができる。
【0106】
好ましい油には、ゴマ油、コーン油、パーム穀粒油、ココナッツ油又は大豆油のうちの1つ又は複数が含まれる。
【0107】
半合成及び合成脂質ベースの担体システムは、当技術分野で周知の技術、例えば、分離、エステル交換、脂肪分解及びエステル交換反応(グリセロリシス)を使用して作製することができる。
【0108】
したがって、半合成及び合成脂質ベースの担体システムには、短鎖(C~C)トリグリセリド(トリアセチンなど)及び中鎖(C~C12)トリグリセリド(天然に存在する油のパーム穀粒及びココナッツ油の主成分、例えばカプリン酸トリグリセリド、より具体的にはミグリオール812N);長鎖(C14~C22)トリグリセリド(Gelicure43/10など)を含む、半固形脂肪の形態であることが多いものが含まれる。
【0109】
疎水性脂質ベースの担体システムの形態が何であれ、担体システムの主成分は、少なくとも約85%のトリアシルグリセロール、より好ましくは少なくとも約90%のトリアシルグリセロール、特に少なくとも約95%のトリアシルグリセロールを含むことが好ましい。
【0110】
上記の天然に存在する、半合成及び/又は合成脂質ベースの担体材料のいずれかの混合物を使用することができる。
【0111】
本発明のこの好ましい態様では、C21又はその塩は、粒子の形態で提示され、これは、アモルファス又は結晶性、あるいは2つの混合物であり得る。好ましい粒子は、懸濁液の形成中、カプセル充填プロセス中、又は貯蔵中のいずれにおいても、沈降を引き起こさないサイズのものである。
【0112】
この点に関して、C21又はその塩は、典型的には、本発明の第1の好ましい態様について本明細書に記載されたものと同じ範囲及び値の、重量及び/又は体積ベースの平均直径(前述)を有する複数の一次(すなわち非凝集)粒子の形態で、脂質ベースの担体に懸濁するために提供され得る。
【0113】
本明細書に記載されているように、前述の制限内の重量及び/又は体積ベースの平均直径を有する粒子によって、調製時及び脂質ベースの担体に懸濁前、そのように懸濁される時及び/又はカプセルに装填される前の粒子の平均直径を含む。したがって、C21/その塩の一次粒子は、前述のように調製することができる。
【0114】
本発明のこの第2の好ましい態様の懸濁液をカプセルに装填する前に、それがC21又はその塩を懸濁液全体に均一かつ均等に分布させて、カプセルへのそのような装填後の有効成分の用量均一性を確実にすることを確実にすることが重要である。したがって、C21及びその塩は、好ましくは、前述のように相対的PSDを有する粒子の形態で提供される。
【0115】
C21又はその塩は、上記の技術の1つ又は複数を使用してそのようなPSD及び/又はGSDを選択及び/又は提供されて、その懸濁液内にC21/塩粒子が均一に分布する安定な懸濁液を提供することができるが、C21/塩を脂質ベースの担体システムと完全に混合して、充填前に担体内に有効成分粒子が均一に分布するようにする。これは、カプセル充填プロセスの一部として使用されるバルク懸濁液の場合に特に当てはまり、この場合、混合物が開始において均一であるだけでなく、この均一性が生産バッチ内の用量の均一性を確保するための充填プロセス中に保持されることが重要である。
【0116】
「均一」及び「均一に分布」という用語は、脂質ベースの担体材料全体にC21又はその塩の実質的に均一な含有量が存在することを意味し、前述のように定義される。
【0117】
脂質ベースの担体システムが脂肪の形態である場合(すなわち、通常の製造温度及び/又は製品貯蔵温度において、又はその周辺での固体又は半固体)、当業者は、混合する前に温度を上げることによって、脂肪を溶融する必要があることを理解するであろう。
【0118】
更に、そのような懸濁液が担体内の有効成分の安定した均一で均等な分布を確実に提供するために、必要に応じて、脂質ベースの担体システム(及び特に、通常の製造温度及び/又は製品保管温度において、又はその周辺で液体油の形態であるもの)は、微結晶性セルロース及びカルボキシメチルセルロースナトリウムなどの粒子の凝集及び/又は沈降を回避するための増粘剤、並びにモノ、ジ及びトリグリセリドとGelucire43/01、水素化植物油、蜜蝋、パラフィンワックス等の不飽和脂肪のPEGエステルとのブレンドを更に含み得る。
【0119】
本発明のこの態様による粒子の懸濁液の形態でC21又はその塩を提示することにより、本発明の剤形は、一貫した及び/又は均一な用量の有効成分を送達できるだけでなく、有効成分が、製造中及び/又は製造後、通常の貯蔵条件下、及び/又は使用中に、物理的及び化学的に安定な形態のままであることを保証することも可能であることを見出した。
【0120】
本明細書で使用される場合、C21、又はその薬学的に許容される塩は、本発明の剤形を作製するためにカプセルに直接充填され得る組成物の形態で作製及び保存され得、更に、一旦作製されると、本発明の剤形は、経時的に、剤形、そこに含まれる組成物混合物、及び/又は最も重要なことに、有効成分の物理化学的特性のわずかな程度の変化を伴って、通常の貯蔵条件下で貯蔵することができる。
【0121】
したがって、「物理化学的特性のわずかな程度の変化」には、カプセルに充填される前後に、したがって本発明の剤形の形態で、前述のように適切な担体中にC21/塩を含む組成物が、物理的安定性及び化学的安定性の両方を有することが含まれる。
【0122】
「化学的安定性」とは、適切な担体にC21/塩を含む組成物、及び本発明の剤形が、通常の保存条件下で、本発明の剤形及び/又はそこに含まれる懸濁液、特に有効成分の化学的分解又は解体のわずかな程度で、(適切な医薬品包装の有無にかかわらず)保存できることを含む。
【0123】
「物理的安定性」とは、適切な担体にC21/塩を含む懸濁液、及び本発明の剤形が、通常の保存条件下で、本発明の剤形及び/又はそこに含まれる組成物、特に有効成分の、溶解、溶媒和、固相相転移を含む、上記のような凝集、分離又は分裂、又は沈降、あるいは性質及び/又は完全性の変化などのわずかな程度の物理的変換で、(適切な医薬品包装の有無にかかわらず)保存できることを含む。
【0124】
「通常の保管条件」の例には、マイナス80~プラス50℃(好ましくは0~40℃、より好ましくは周囲温度、例えば15~30℃)の温度、0.1~2バールの圧力(好ましくは大気圧)、5~95%(好ましくは10~60%)の相対湿度、及び/又は460ルクスのUV/可視光への長期間(すなわち、6か月以上)の曝露が含まれる。
【0125】
そのような条件下で、C21、その塩、及び/又はそれらを含む組成物は、約15%未満、より好ましくは約10%未満、とりわけ約5%未満、物理的/及び/又は化学的に変換されることが見出され得る。当業者は、温度及び圧力の上記の上限及び下限が通常の保管条件の極値を表し、これらの極値の特定の組み合わせが通常の保管中に経験されないことを理解する(例えば、50℃の温度及び圧力0.1バール)。
【0126】
医薬組成物は、乾燥粉末混合物、脂質ベースの懸濁液又はその他の形態であるかどうか、並びに/あるいは上記のように又はその他の方法でカプセル内に含まれるかどうかにかかわらず、それらは本質的に水を含まない状態で、製造及び/又は保存されることが好ましい。
【0127】
「本質的に水を含まない」とは、粒子C21又はその塩、及びそれが混合される賦形剤の両方が、本質的に乾燥した方法で個別に調製及び/又は提供されることを保証するために適切な予防措置が取られ、それらがまた本質的に乾燥状態に保たれている環境において、一緒に混合されて乾燥混合物を形成することを含む。
【0128】
「本質的に乾燥している」又は「本質的に水を含まない」とは、C21/塩及び関連する賦形剤を含む組成物が、全体として、約2%以下を含む約5%以下、約0.5%以下を含む約1%以下、例えば約0.1%以下の水を含有することを含む。
【0129】
C21又はその塩及び関連する賦形剤を含む組成物の、前述のような本発明の剤形への更なる処理もまた、好ましくは、それがそのような本質的に水を含まない状態に保たれる方法で行われ得る。
【0130】
この点で、薬学的に許容されるカプセル材料は、残留量の水を含み得るが、カプセル材料からの組成物への水の侵入(固体(例えば、粉末混合物)又は液体(例えば、脂質懸濁液)の形態であるかにかかわらず)は、最小限に抑える必要があり、これにより、感受性の高いC21又はその塩を水との接触から保護し、光の存在下の分解を防ぐ。
【0131】
それにもかかわらず、剤形自体を乾燥状態に保ち、光から保護する方法で本発明の剤形を包装することが(必ずしも必須ではないが)好ましい。これには、密閉包装、潮解性材料の使用などが含まれ得る。
【0132】
本発明の更なる態様によれば、本発明の剤形を製造するためのプロセスが提供され、このプロセスは、C21又はその薬学的に許容される塩を含む組成物を腸溶性物質でコーティングすることを含む。
【0133】
薬学的に許容されるC21の塩には、酸付加塩が含まれる。そのような塩は、従来の手段によって、例えば、遊離酸の形態のC21(以下、遊離C21)と、1つ以上の当量の適切な酸との、任意で、溶媒中、又は塩が不溶性の媒体中での反応、その後の標準的な技術を使用した(例えば、真空、凍結乾燥、若しくはろ過による)該溶媒又は該媒体の除去によって、形成され得る。塩はまた、例えば適切なイオン交換樹脂を使用して、塩の形態の有効成分の対イオンを別の対イオンと交換することによって、調製されてもよい。C21の好ましい塩には、HCl塩、マグネシウム及びカルシウム塩などのアルカリ土類塩、並びにカリウム塩又は好ましくはナトリウム塩などのアルカリ金属塩が含まれる。
【0134】
本発明の剤形中のC21又はその塩の量は、状態の重症度、又はそのような重症度の予想、及び治療される患者に依存するか、及び/またそれらに応じて選択することができるが、当業者によって決定され得る。投与方法はまた、投与のタイミング及び頻度、並びに状態の重症度によって決定され得る。
【0135】
成人患者(平均体重が例えば70kg)におけるC21の適切なより低い1日量は、1日当たり、約10mg、例えば約20mg、例えば約25mgであり得る。C21の1日用量範囲の適切な上限は、約400mgを含む600mgなどの約900mgまで、及び約100mgなどの約200mg、及び約50mgを含むことができる。
【0136】
上記の用量はすべて遊離C21として計算される。用量は、1日当たり複数の個別の用量に分割することができる。用量は、1日1回~6回、例えば4回、好ましくは1日3回、より好ましくは1日2回与えられ得る。
【0137】
いずれにせよ、開業医又は他の当業者は、病態の重症度及び投与経路に応じて、個々の患者に最も好適な実際の投与量を日常的に決定することができる。上記の投薬量は、平均的な場合の例示であり、当然、より高い又はより低い投薬量範囲がふさわしい個々の事例が存在し得、そのようなものは本発明の範囲内である。
【0138】
患者に投与される用量は、本発明の文脈において、妥当な時間枠(本明細書上述のように)にわたって、患者の適切な反応をもたらすために十分でなければならない。当業者は、正確な用量及び組成並びに最も適切な送達レジメンの選択が、とりわけ製剤の薬理学的特性、治療される病態の性質、段階、及び/又は重症度、レシピエントの体調及び精神状態、治療される患者の年齢、状態、体重、性別及び反応等、並びに疾患の病期/重症度、並びに患者間の遺伝的差異によっても影響されることを認識している。
【0139】
本発明の剤形は、AT2受容体が発現され、それらの刺激が所望又は要求される条件において有用である。
【0140】
この点に関して、本発明の剤形は、血管収縮、線維症、炎症、細胞増殖及び/又は分化の増加、心臓収縮性の増加、心臓血管肥大の増加、及び/又は体液及び電解質の保持の増加、並びに皮膚疾患及び筋骨格疾患を特徴とする症状の治療に示される。
【0141】
本発明の剤形は、サルコイドーシス又は線維症、より具体的にはPF、特にIPFなどのILD、並びに全身性硬化症、関節リウマチ、筋炎若しくは全身性エリテマトーデスなどのILDを誘発し得る状態、又は肺高血圧症及び/若しくは肺動脈性肺高血圧症などのILDと関連する状態の治療及び/又は予防に特に適応となるものである。
【0142】
本発明の剤形はまた、トロンボキサン受容体活性を示し得る。この点に関して、本発明の剤形は、血小板活性化及び/又は凝集に対する阻害効果(したがって、例えば、抗血栓効果)を有してよく、及び/又は治療的方法で血管収縮及び/又は気管支収縮を低減し得る。
【0143】
本発明の剤形は、ストレス関連疾患の治療、及び/又は微小循環及び/又は粘膜保護メカニズムの改善において更に示される。
【0144】
したがって、本発明の剤形は、上記のように特徴付けられ得る疾患の治療において有用であることが期待され、これらは、例えば、胃腸管、心臓血管系、気道、腎臓、免疫系、眼、女性の生殖(排卵)システム及び中枢神経系(CNS)である。
【0145】
言及され得る胃腸管の障害には、食道炎、バレット食道、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、消化不良(非潰瘍性消化不良を含む)、胃食道逆流、刺激性腸症候群(IBS)、炎症性腸疾患(IBD)、肝障害(肝炎など)、胆嚢疾患、多臓器不全(MOF)及び敗血症が含まれる。言及され得る他の胃腸疾患には、口内乾燥症、胃炎、胃不全麻痺、過酸性、胆道の疾患、コエリシア、クローン病、潰瘍性大腸炎、下痢、便秘、大腸炎、食欲不振、嘔吐、悪心、消化不良及びショーグレン症候群が含まれる。
【0146】
言及され得る気道の障害には、喘息などの炎症性疾患、閉塞性肺疾患(慢性閉塞性肺疾患など)、非感染性肺炎、肺高血圧症、及び成人呼吸困難症候群が含まれる。
【0147】
言及され得る腎臓の疾患には、腎不全、糖尿病性腎症、腎炎、及び腎高血圧症が含まれる。
【0148】
言及され得る眼の疾患には、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、及び網膜微小血管新生が含まれる。
【0149】
言及され得る女性の生殖器系の疾患には、排卵機能障害及び子宮内膜症が含まれる。
【0150】
言及され得る心臓血管系疾患には、高血圧、心臓肥大、心不全(駆出率が維持された状態の心不全を含む)、アテローム性動脈硬化症、動脈血栓症、静脈血栓症、内皮機能障害、内皮病変、バルーン拡張後狭窄、血管新生、糖尿病性合併症、微小血管機能不全、アンギナ、心不整脈、間欠性クラウディケート、子癇前症、心筋梗塞、再梗塞、虚血性病変、勃起不全及び新生内膜増殖が含まれる。
【0151】
言及され得るCNSの疾患には、認知機能障害、食物摂取の機能障害(空腹/満腹)及び喉の渇き、脳卒中、脳出血、脳塞栓及び脳梗塞、多発性硬化症(MS)、アルツハイマー病及びパーキンソン病が含まれる。
【0152】
本発明の剤形はまた、成長代謝及び増殖の調節、例えば、加齢、肥大性疾患、前立腺肥大症、自己免疫疾患(例えば、関節リウマチなどの関節炎、又は全身性エリテマトーデス)、乾癬、肥満、神経細胞の再生、潰瘍の治癒、脂肪組織の過形成の抑制、幹細胞の分化と増殖、線維性疾患、がん(例えば、胃腸管(食道又は胃を含む)の又はその中における)、前立腺、乳房、肝臓、腎臓、並びにリンパ腫、肺がん、卵巣がん、膵臓がん、血液悪性腫瘍など)、アポトーシスの阻害、腫瘍(一般的に)及び肥大、糖尿病、神経病変及び臓器拒絶反応の治療において、有用であり得る。
【0153】
本発明の剤形はまた、脳卒中、脊髄損傷、鎌状赤血球症、筋ジストロフィー、がん治療関連の心臓毒性、末梢神経障害、及び特に全身性硬化症の治療においても有用である。
【0154】
更に、本発明の剤形は、呼吸器ウイルス誘発性組織損傷の治療に有用であり得、その損傷は、関連する組織の損傷及び/又は機能不全を含み得る。関連する組織には、気道の(粘膜などの)組織、特に肺の組織が含まれる。したがって、関連する組織には、気道を湿らせ、ウイルスなどの病原体の侵入から保護する呼吸器上皮が含まれる。
【0155】
この点で言及され得る呼吸器ウイルスには、インフルエンザAウイルス(例:H1N1及びH3N2ウイルス)、インフルエンザBウイルス又はインフルエンザCウイルス等のインフルエンザウイルス、より具体的には、SARSコロナウイルス(SARS-CoV)などの重症急性呼吸器症候群(SARS)コロナウイルスが含まれ、特に、新規のSARSコロナウイルス2(SARS-CoV-2、以前は「2019-nCoV」又は「新型コロナウイルス2019」として知られていた)はコロナウイルス疾患2019(COVID-19)を引き起こすウイルスであり、その中には多くの遺伝的バリアントがある。
【0156】
「組織損傷の治療」とは、C21及びその塩が、上記ウイルスによって引き起こされた気道の組織損傷に有益な効果をもたらすだけでなく、関連するウイルスが、例えば気道内の上皮細胞に侵入した時に発生する、気道内のそのウイルスによって別な方法で引き起こされた損傷を予防及び/又は軽減する可能性があることを含む。
【0157】
したがって、C21及びその塩は、そのようなウイルスによって誘発された組織損傷並びに/あるいはそのような損傷又は疾患の症状によって引き起こされる疾患の発症を阻止又は予防し得る。
【0158】
この点で、C21及びその塩は、呼吸器ウイルスによって引き起こされている、又は引き起こされた疾患(すなわち、インフルエンザ、並びに急性肺損傷として急性肺損傷(ALI)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、特にSARS、より具体的にはCOVID-19)及びそれらの後遺症を、治療及び/又は進行を阻止する可能性がある。C21及びその塩はまた、咳、呼吸困難、呼吸促迫(例えば、補給/補給的酸素(フェイスマスク又は鼻カニューレ(高流量又はその他)を介して投与され得る)の必要性、及び/又は機械的人工換気/体外式膜型人工肺の必要性によって明らかになる)、呼吸不全、並びに/あるいは直接的(ウイルス性肺炎)及び/又は間接的肺炎(インフルエンザで一般的な二次細菌感染に起因する細菌性肺炎)、並びに肺及び他の臓器(例えば、心臓及び腎臓)の炎症に起因するその後の線維症を含むそのような呼吸器疾患の症状の治療及び/又は予防を含む、そのようなウイルスによって引き起こされている、又は引き起こされた損傷を治療及び/又は予防し得る。更に、C21及びその塩は、呼吸器ウイルスによって誘発される罹患率及び/又は死亡率の進行を防止又は阻止する可能性があり、C21は、上記で特定された慢性症状のいずれかの発症を治療及び/又は阻止する可能性がある。
【0159】
更に、本発明の剤形はまた、線維性結合組織の過剰な蓄積を特徴とする1つ又は複数の内臓の線維性症状の治療又は予防、及び/又は線維形成及びそれに関連する可能性のある罹患率及び死亡率の治療又は予防において有用であり得る。このような線維症は、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、(SARS)、多臓器炎症などの急性炎症症状、及び内的若しくは外的外傷(例えば、損傷)若しくは感染によって引き起こされ得る傷害並びに/又は不全に関連している可能性がある。
【0160】
したがって、そのような症状は、ウイルス、細菌、又は真菌感染によって引き起こされる敗血症又は敗血症性ショックに起因する可能性がある。更に、急性肺損傷、ARDS、及び特にSARSは、SARS-CoV-2が含まれるコロナウイルスなどのウイルスによって引き起こされる可能性があり、内部組織の損傷及び/又は関連する内部(例えば、粘膜)の組織、及び/又はそれらを含む細胞(呼吸器上皮など)の機能障害を引き起こす可能性がある。そのような組織の損傷は、次に、重度の線維症を引き起こす可能性がある。例えば、SARS-CoV-2(コロナウイルス疾患2019又はCOVID-19)によって引き起こされるSARS疾患は、多くの場合、線維症を引き起こすことが知られている。
【0161】
しかし、本発明の剤形はまた、サルコイドーシス又は線維症、より具体的には肺線維症、特にIPFなどのILD、並びに全身性硬化症、関節リウマチ、筋炎若しくは全身性エリテマトーデスなどのILDを誘発し得る状態、又は肺高血圧症及び/若しくは肺動脈性肺高血圧症などのILDと関連する状態の治療及び/又は予防に特に有用である。
【0162】
「ILD」という用語は、サルコイドーシス、及びPF、とりわけIPFなどの原因に関係なく、慢性炎症、肺機能の低下及び/又は瘢痕化を含む異常な治癒反応を特徴とする任意の肺状態を含むことが当業者によって理解される。この用語はまた、全身性硬化症などのそのような肺の状態につながる、及び/又はその原因となることが知られている疾患及び/又は状態を含み得る。この点に関して、全身性硬化症を含むPF又はIPFなどのILDにつながる、及び/又はその原因である状態で使用するための本発明の剤形が更に提供される。
【0163】
IPFを含むPFの治療において、本発明の剤形は、線維症の減少及び細胞外マトリックスの更なる沈着の防止を伴う、抗線維化効果を有し得る。本発明の剤形は、肺の瘢痕化/創傷治癒に影響を及ぼし、また抗アポトーシス効果を有し、それにより、PFの発症の開始因子である肺胞内皮細胞のアポトーシスを防止し得る。本発明の剤形はまた、抗増殖効果を有し得、したがって、PFにおける線維芽細胞及び筋線維芽細胞のがん様増殖を低減し得る。本発明の剤形はまた、PFにおける血管リモデリングを改善し、それにより二次性肺高血圧症を軽減し得る。最後に、本発明の剤形は、抗炎症及び抗サイトカイン効果を示し得る。
【0164】
本発明の更なる態様によれば、呼吸器ウイルスの損傷、より具体的には、PF、特にIPFを含むILDを含む前述の状態いずれかの治療方法が提供され、方法は、そのような症状に罹患しているか、又は影響を受けやすい個人に、治療有効量の本発明の剤形を投与することを含む。
【0165】
本発明の更に別の態様によれば、対象における呼吸器ウイルス誘発性組織損傷の治療方法が提供され、方法は、治療有効量の本発明の剤形を、上記治療を必要とする対象に投与することを含み、特に、
● 損傷を受けている組織は、呼吸器上皮を含む肺組織であり、
● 損傷は、呼吸器ウイルスによって引き起こされる気道の粘膜組織の損傷及び/又は機能不全を含み、
● 治療には、ウイルスによって引き起こされている、又は引き起こされた疾患の治療、及び/又は進行の阻止が含まれ、
● 呼吸器ウイルスはSARS-CoV-2などのコロナウイルスであり、疾患はCOVID-19などのSARSであるか、又は呼吸器ウイルスはインフルエンザウイルスであり、疾患がインフルエンザであり、
● 治療には、関連するウイルスによって引き起こされている、又は引き起こされた疾患の症状の治療が含まれ、
● 損傷又は疾患の症状には、咳、呼吸困難、呼吸促迫(補給酸素及び/又は機械的換気の必要性によって明らかにされる)、呼吸不全、肺炎、肺、心臓及び/又は腎臓を含む1つ又は複数の内臓の線維症のうちの1つ又は複数が含まれ、並びに/あるいは
● 治療には、前述の状態の1つ又は複数における呼吸器ウイルス誘発性の罹患率及び/又は死亡率の予防が含まれる。
【0166】
本発明の剤形は、上記症状のいずれかのうちの、治療的、対症療法的、及び/又は診断的治療、(例えば、状態が停止した場合の精密診断中)並びに予防的治療(これにより、状態の低下及び/又は悪化の、予防及び/又は抑止を含む)の両方で示される。
【0167】
「患者」には、鳥類、及び哺乳動物(特にヒト)の患者が含まれる。ヒトの患者には、成人患者と小児患者の両方が含まれ、後者には、生後約24ヶ月までの患者、約2~約12歳の患者、及び約12~約16歳の患者が含まれる。約16歳を超える患者は、本発明の目的のために成人と見なされ得る。これらの異なる患者集団には、異なる用量のC21又はその塩を投与することができる。
【0168】
呼吸器ウイルス誘発性組織損傷などの特定の状態の治療において、C21又はその薬学的に許容される塩が、成人患者、より具体的には、約20歳超、例えば、約40歳超を含む約30歳超、より好ましくは約50歳超、特に約60歳超、特に約70歳超、より具体的には約80歳超の対象;及び/又は以下の根本的な病状の1つ又は複数を有する患者(そのような患者が上記の年齢層の1つに存在するかどうかにかかわらず)に投与されることが好ましい。
● 肺線維症、肺高血圧症、肺動脈性肺高血圧症、その他のILD、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺気腫又は気管支炎などの慢性(長期)呼吸器疾患
● 心不全、心房細動又は高血圧等慢性心血管(例:心臓)疾患、
● 慢性腎疾患
● 肝炎等の慢性肝疾患
● パーキンソン病、運動ニューロン疾患、多発性硬化症、学習障害又は脳性麻痺等の慢性神経学的状態
● 糖尿病
● 患者の脾臓の問題-例えば、鎌状赤血球疾患、又は脾臓が摘出された場合
● HIV及びエイズ等の状態、又はステロイド錠又は化学療法等の薬物の結果として、減弱した免疫系
● 肥満(例:40以上の肥満度指数(BMI))
● 妊娠
【0169】
この点に関して、本発明のいくつかの更なる態様によれば、1つ又は複数の以下の状態の治療及び/又は予防の方法が提供される。
● 「long COVID」、「慢性COVID症候群」(CCS)及び/又は「long-haul COVID」として知られているものなど、例えばSARS-CoV-2感染の罹患後症状(post-acute sequelae)(PASC)
● 急性腎障害及び/又は慢性腎疾患、
● 肺線維症、肺高血圧症、肺動脈性肺高血圧症、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺気腫又は気管支炎などの呼吸器疾患、及び
● 心筋梗塞、心不全、心房細動、高血圧又は血栓症及び/又は例えば心臓、肺及び/又は脳における塞栓形成などの心血管疾患。
【0170】
これらはすべて、呼吸器ウイルス(SARS-CoV-2など)によって直接的又は間接的に誘発される可能性があり、この方法は、C21又はその薬学的に許容される塩を、そのような治療及び/又は予防を必要とする対象に投与することを含む。
【0171】
(例えば)呼吸器ウイルス誘発性組織損傷の急性治療に関連して、C21又はその塩の用量を1日1~4回(例えば1~3回)、最大3ヶ月間(例えば2ヶ月)、例えば最大3週間を含む1か月など、例えば4日又は3日などの最大1週間、投与することができる。そのような治療期間は、必要に応じて繰り返され得る。
【0172】
肺及び他の内臓の線維症など、前述の1つ又は複数の慢性症状が発生した場合、上記の急性投与レジメンに加えて、及び/又はその代わりに、C21又はその塩による治療を、継続的に行われるか、及び/又は必要に応じて行われるか/必要となる。
【0173】
ウイルス感染症の患者の治療においてC21との併用療法で使用される可能性のある関連する有効成分には、ウイルス感染症により様々に適用される標準治療が含まれ、抗体療法(例:LY-CoV555/LY-CoV016(バムラニビマブ及びエテセビマブ))、LY-CoV555(バムラニビマブ、イーライリリー)、REGN-COV2(カシリビマブ及びイムデビマブ)、REGN3048-3051、TZLS-501、SNG001(シナリゲン)、エクリズマブ(Soliris;Alexion Pharmaceuticals)、ラブリズマブ(ユルトミリス;Alexion Pharmaceuticals)、レンジルマブ、レロンリマブ、トシリズマブ(Actemra;Roche)、サリルマブ(Kevzara;Regeneron Pharma)、及びオクタグラム(Octapharma))、抗ウイルス薬(例:オセルタミビル、レムデシビル、ファビピラビル、モルヌピラビル、シメプレビル、ダクラタスビル、ソフォスブビル、リバビリン、ウミフェノビル、ロピナビル、リトナビル、ロピナビル/リトナビル(カレトラ;AbbVie Deutschland GmbH Co.KG)、テイコプラニン、バリシチニブ(Olumiant;イーライリリー)、ルキソリチニブ(Jakavi;Novartis)、トファシチニブ(Xeljanz;Pfizer)、TMPRSS2阻害剤、カモスタット、又はカモスタットメシレート、アクテンブラ(Roche)、TZLS-501、AT-100(rhSP-D)、MK-7110(CD24Fc;Merck))、OYA1(OyaGen9)、BPI-002(BeyondSpring)、NP-120(イフェンプロジル、Algernon Pharmaceuticals)、ガリデシビル(Biocryst Pharma)、抗炎症剤(例えば、イブプロフェン、ケトロラク、ナプロキセンなどのNSAID、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、インターフェロン(例:インターフェロンベータ(インターフェロンベータ-1a)、トシリズマブ(アクテムラ)、レナリドミド、ポマリドマイド及びサリドマイド)、鎮痛薬(例:パラセタモール又はオピオイド)、鎮咳薬(例:デキストロメトルファン)、ワクチン接種(例:Inovio Pharmaceuticals及びBeijing Advaccine BiotechnologyによるINO-4800、可能な場合)、COVID-19回復期血漿(CCP)及び/又はSARS-CoV又はSARS-CoV-2の感染から回復した人々の血液からの抗体による受動的抗体療法を含む。
【0174】
IPFなどのILDの治療においてC21との併用療法で使用され得る関連する有効成分には、例えば、抗線維薬(例えば、ニンテダニブ、特にピルフェニドン);ビタミン(例えば、ビタミンB、C、D);粘液溶解薬(例えば、アセチルシステイン及びアンブロキソール);コルチゾン及びプレドニゾンなどのコルチコステロイド;シクロホスファミドなどの炎症抑制剤;アザチオプリン及びミコフェノラートモフェチルなどの他の免疫抑制剤;及びN-アセチルシステインなどの抗酸化剤である。サルコイドーシスの治療において、C21との併用療法で使用され得る関連する有効成分には、例えば、コルチゾン、プレドニゾン及びプレドニゾロンなどのコルチコステロイド;代謝拮抗剤;メトトレキサート、アザチオプリン、レフルノミド、ミコフェノール酸/ミコフェノラートモフェチル、シクロホスファミドなどの免疫系抑制剤;アミノキノリン;インフリキシマブ及びアダリムマブなどのモノクローナル抗腫瘍壊死因子抗体;レナリドミド、ポマリドマイド及び特にサリドマイド等の免疫調節イミド薬;TNF阻害剤、エタネルセプト;並びにイブプロフェン及びパラセタモールなどの鎮痛剤;咳抑制剤、及び/又は去痰剤が含まれる。
【0175】
誤解を避けるために、上記の「コルチコステロイド」には、天然に存在するコルチコステロイド及び合成コルチコステロイドの両方が含まれる。
【0176】
言及される得る天然に存在するコルチコステロイドには、コルチゾール(ヒドロコルチゾン)、アルドステロン、コルチコステロン、コルチゾン、プレグネノロン、プロゲステロン、並びにコルチコステロイド生合成における天然に存在する前駆体及び中間体、並びに11-デオキシコルチゾール、21-デオキシコルチゾール、11-デヒドロコルチコステロン、11-デオキシコルチコステロン、18-ヒドロキシ-11-デオキシコルチコステロン、18-ヒドロキシコルチコステロン、21-デオキシコルチゾン、11β-ヒドロキシプレグネノロン、11β,17α,21-トリヒドロキシプレグネノロン、17α、21-ジヒドロキシプレグネノロン、17αヒドロキシプレグネノロン、21-ヒドロキシプレグネノロン、11-ケトプロゲステロン、11β-ヒドロキシプロゲステロン、17α-ヒドロキシプロゲステロン及び18-ヒドロキシプロゲステロン等の天然に存在するコルチコステロイドの他の誘導体が含まれる。
【0177】
言及され得る合成コルチコステロイドには、コルチゾンアセタート、ヒドロコルチゾンアセポナート、ヒドロコルチゾンアセタート、ヒドロコルチゾンブテプレート、ヒドロコルチゾンブチラート、ヒドロコルチゾンバレラート、チキソコルトール及びチキソコルトールピバレート、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、クロプレドノール、ジフルプレドネート、フルドロコルチゾン、フルオシノロン、フルペロロン、フルプレドニゾロン、プレドニゾン、クロロプレドニゾン、クロプレドノール、ジフルプレドナート、フルドロコルチゾン、フルオチノロン、フルペロロン、フルペレドニゾロン、ロテプレドノール、プレドニカルベート及びトリアムシノロンなどのヒドロコルチゾンタイプ(グループA);アムシノニド、ブデソニド、デソニド、フルオシノロンセトニド、フルオシノニド、ハルシノニド、トリアムシノロンアセトニド、シクレソニド、デフラザコート、フォルモコルタル、フルドロキシコルチド、フルニソリド及びフルオシノロンアセトニドなどのアセトニド及び関連物質(グループB);ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ベタメタゾンジプロピオナート及びベタメタゾンバレラート、デキサメタゾン、フルコルトロン、ハロメタゾン、モメタゾン及びモメタゾンフロエート、アルクロメタゾン及びアルクロメタゾンジプロピオナート、クロベタゾール及びクロベタゾールプロピオナート、クロベタゾン及びクロベタゾンブチラート、クロコルトロン、デスオキシメタゾン、ジフロラゾン、ジフルオコルトロン、フルクロロロン、フルメタゾン、フルオコルチン、フルプレドニデン及びフルプレドニデンアセタート、フルチカソン、フルチカゾンフロエート及びフルチカソンプロピオナート、メプレドニソン、パラメタゾン、プレドニリデン、リメキソロン及びウロベタゾール等の(β)メタゾンタイプ(グループC)のもの;フルゲストン、フルオロメトロン、メドリゾン及びプレベジオロンアセタートなどのプロゲステロンタイプのもの;及びクロルマジノンアセタート、シプロテロンアセタート、メドロゲストン、メドロキシプロゲステロンアセタート、メゲストロールアセタート及びセゲステロンアセタートなどのプロゲステロン誘導体(プロゲスチン);並びにコルチバゾール及び6-メチル-11β,17β-ジヒドロキシ-17α-(1-プロピニル)アンドロスタ-1,4,6-トリエン-3-オンなどの他のコルチコステロイドが含まれる。
【0178】
好ましいコルチコステロイドには、コルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、及び特にデキサメタゾンが含まれる。
【0179】
更に、C21との併用療法で使用され得る関連する有効成分(例えば、呼吸器ウイルス感染症を治療するため)には、H2受容体遮断薬、抗凝固薬、抗血小板薬、並びにスタチン、抗菌薬、及び抗アレルギー/抗喘息薬が含まれる。
【0180】
言及され得るH2受容体遮断薬にはファモチジンが含まれる。言及され得る抗凝固剤には、ヘパリン及び低分子量ヘパリン(例えば、ベミパリン、ナドロパリン、レビパリン、エノキサパリン、パルナパリン、セルトパリン、ダルテパリン、チンザパリン);直接作用する経口抗凝固薬(例えば、ダビガトラン、アルガトロバン、リバロキサバン、アピキサバン、エドキサバン、ベトリキサバン、ダレクサバン、オタミキサバン、レタキサバン、エリバキサバン、ヒルジン、レピルジン、及びビバリルジン);クマリン型ビタミンK拮抗薬(例えば、クマリン、アセノクマロール、フェンクロクモン、アトロメンチン、及びフェニンジオン)及び第Xa因子の合成五糖阻害剤(例えば、フォンダパリヌクス、イドラパリヌクス、及びイドラビオタパリヌクス)が含まれる。言及され得る抗血小板薬には、不可逆的なシクロオキシゲナーゼ阻害剤(例えば、アスピリン及びトリフルサル);アデノシン二リン酸受容体阻害剤(例えば、カングレロール、クロピドグレル、プラスグレル、チカグレロル及びチクロピジン);ホスホジエステラーゼ阻害剤(例えば、シロスタゾール);プロテアーゼ活性化受容体1アンタゴニスト(例えば、ボラパキサル);糖タンパク質IIB/IIIA阻害剤(例えば、アブシキシマブ、エプチフィバチド、及びチロフィバン);アデノシン再取り込み阻害剤(例えば、ジピリダモール);及びトロンボキサン阻害剤(例えば、テルトロバン、ラマトロバン、セラトロダスト及びピコタミド)が含まれる。言及され得るスタチンには、アトルバスタチン、シンバスタチン、及びロスバスタチンが含まれる。言及され得る抗菌剤には、アジスロマイシン、セフトリアキソン、セフロキシム、ドキシサイクリン、フルコナゾール、ピペラシリン、タゾバクタム、及びテイコプラニンが含まれる。言及され得る抗アレルギー/抗喘息薬には、クロルフェニラミン、レボセチリジン、及びモンテルカストが含まれる。
【0181】
更に、C21との併用療法で使用され得る関連する有効成分(例えば、呼吸器ウイルス感染症を治療するため)には、当技術分野で知られている他のAT2アゴニスト、並びに当技術分野で知られているAT1受容体アンタゴニストとの組合わせ、及び/又はアンジオテンシン変換酵素(ACE)の阻害剤との組合わせが含まれる。実施形態に従って使用できるAT1受容体アンタゴニストの非限定的であるが例示的な例には、アジルサルタン、カンデサルタン、エプロサルタン、フィマサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、ミルファサルタン、オルメサルタン、ポミサルタン、プラトサルタン、リピアサルタン、サプリサルタン、タソサルタン、テルミサルタン、バルサルタン及び/又はそれらの組合わせが含まれる。実施形態に従って使用することができるACE阻害剤の非限定的であるが例示的な例には、カプトプリル、ゾフェノプリル、エナラプリル、ラミプリル、キナプリル、ペリンドプリル、リシノプリル、ベナゼプリル、イミダプリル、トランドラプリル、フォシノプリル、モエキシプリル、シラザプリル、スピラプリル、テモカプリル、セロナプリル、デレプリル、ムーベルチプリル、及び/又はそれらの組み合わせが含まれる。
【0182】
関連のある患者はまた、そのような有効成分のうちの1つ又は複数の投与に基づいて、関連する状態のために上記の治療及び/又は他の治療剤のいずれかのうちの1つ又は複数を受けることができ(及び/又はすでに受けている)、それにより、C21又はその塩を用いる治療の前、それに加えて、及び/又はその後に、本明細書に言及されているこれらの有効成分のうちの1つ又は複数の処方用量を受け取ることを本発明者等は意味する。
【0183】
上記の他の有効成分の、薬学的に許容される塩、及び用量には、当技術分野で知られているものが含まれ、問題の薬物については、医学文献、例えば、Martindale-The Complete Drug Reference,38th Edition,Pharmaceutical Press,London(2014及びそこに引用される文書に記載され、この文書の全てにおける関連する出願は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0184】
本発明の剤形は、凍結及び/又は光に曝されることなく、カプセルと共に含まれる組成物、特に有効成分の薬学的に許容される物理化学的安定性を維持することを含む、通常の貯蔵条件下で製造及び貯蔵できるという利点を有する。
【0185】
本発明の剤形はまた、改善された薬物負荷を提供し、大量/用量の活性化合物を提示することを可能にし、また、一貫した/均一な方法でそのようなより高い用量の効率的な送達を提供し得る。これにより、治療の有効性と効率が向上し、医療費が削減される。
【0186】
本明細書に記載の使用/方法は、これらの状態で使用されるか、又は他の方法で使用されるかにかかわらず、先行技術で知られている同様の方法(治療)よりも、他の点では、前で述べた状態の1つ又は複数、特にILD及び又は呼吸器ウイルス感染症の治療において、これらは医師及び/又は患者にとってより便利である可能性があり、より有効であり、より毒性が低く、より広い範囲の活性を有し、より強力であり、より少ない副作用を生じ、又は他の有用な薬理学的特性を有する可能性があるという利点を有し得る。
【0187】
「約」という言葉が本明細書で使用される場合はいつでも、例えば、量、すなわち、サイズ(例えば、粒径)、用量、(有効な)成分の重量又は濃度、年齢、温度又は期間などの絶対量、又は、パーセンテージ、標準偏差を含む相対量の文脈で、そのような変数は概算であり、特定される実際の数値から±10%、例えば±5%、好ましくは±2%(例えば、±1%)変動する可能性があることが理解される。この点で、「約10%」という用語は、例えば、数10について±約10%、すなわち9%~11%の間を意味する。
【0188】
本発明を、以下の実施例によって例示するが、それにより何ら限定されるものではない。
【0189】
実施例
実施例1
臨床環境における食事の影響の観察
健康な男性及び女性の被験者におけるC21の安全性、忍容性、及び薬物動態を評価するために、第I相臨床試験を実施した。試験設計は、被験者の安全及び幸福を確保するために、集中的な臨床データ及びPKモニタリングで用量を徐々に増やすことを可能にした。
【0190】
この研究は、CROの標準業務手順書(SOP)に従って設計及び実施した。これは、主要な規制当局が要求する医薬品規制調和国際会議(ICH)良き臨床上の基準(Good Clinical Practice:GCP)ガイダンスに基づく、及び1996年10月の第48回総会によって修正されたヘルシンキ宣言に従った倫理原則に準拠している。C21は安全であり、一般的に忍容性が高いことがわかった。重篤な有害事象は記録されていない。
【0191】
更に、C21の薬物動態(PK)に対する食物の影響を、75mgの単回経口投与で10名の男性及び女性の被験者を対象に非盲検法で調査した。
【0192】
被験者は、絶食状態又は摂食状態のいずれかで、ランダム化された方法で、少なくとも3日間隔で75mgのC21を2回単回投与された。食品医薬品局(FDA)が推奨する高脂肪の朝食を使用して、最大の効果を調査した。
【0193】
試験の食事の影響の部分では、被験者の年齢は22歳~44歳の範囲であり、年齢の中央値は36.0歳であった。被験者のほとんどは白人(9(90.0%)の被験者)及び男性(8(80.0%)の被験者)であった。被験者全体の平均(SD)BMIは23.96(2.223)kg/mであった。
【0194】
事前凍結経口液剤としてのC21ナトリウム塩(2.5mg/mLのC21ナトリウム塩、炭酸塩水性緩衝液に溶解したナトリウム塩を含む)、組成を以下の表1に示す。
【表1】
【0195】
定量下限(LLOQ)未満の血漿濃度は、定量下限未満(BLQ)として表した。C21の血漿中濃度は、試験パート、用量コホート、及び名目上の時点によって要約した。
【0196】
薬物動態パラメータは、以下のガイドラインに従って、Phoenix(登録商標)WinNonlin(登録商標)(バージョン8.0)以降を使用した濃度-時間データから非コンパートメント分析法によって計算した。
【0197】
● 名目時間ではなく投薬に関連する実際のサンプリング時間は、すべての導出された薬物動態パラメータの計算に使用した。
● 欠測データの帰属はなかった。
● 少なくともCmax及びAUC(0-t)を確実に計算できれば、濃度データが欠落している被験者はすべてPK分析セットに含まれていた。
【0198】
投与前及び最初の定量化可能な濃度の前の吸収段階にあるすべてのBLQ値は、ゼロに置き換えた。PK変数を計算する前に、2つの評価可能な濃度の間にある単一のBLQは欠落に置き換えた。PK変数を計算する前に、評価可能な濃度の間にある連続したBLQをゼロに置き換えた。末端BLQ値は無視した。
【0199】
自然対数変換データに基づく混合効果モデルを使用して、試験処理と参照処理との推定差の周りに90%の信頼区間を構築することにより、非盲検の食事の影響アームからのPKパラメータの生物学的等価性を決定した。混合効果モデルは、SAS Proc Mixedを使用し、REML推定法及びKenward-Roger自由度アルゴリズムを使用して実装した。
【0200】
自然対数変換されたAUC(0-inf)(データが許容されている場合)、AUC(0-24)、及びCmaxは、固定効果としてシーケンス、期間、及び処理を、ランダム効果としてシーケンス内の被験者を含む混合効果モデルを使用して分析した。平均差の推定値(試験-参照)及び対応する90%信頼区間をモデルから取得した。推定された平均差と差の90%信頼区間は、幾何平均の比率(試験/参照)の推定値及び比率の90%信頼区間を提供するために指数化された。絶食状態のC21は参照治療であり、摂食状態のC21は試験治療である。
【0201】
食事の影響(生物学的同等性)を評価する比較を使用して、絶食及び摂食条件下で投与されたC21の吸収の速度及び程度に対する食物の効果を評価し、平均差の推定値及び対応する90%信頼区間を示した。
【0202】
C21の薬物動態パラメータデータは、以下の表2(表2-1~表2~3)に簡単にまとめられている。
【0203】
【表2-1】
【0204】
【表2-2】
【0205】
【表2-3】
【0206】
75mg C21の経口投与後、絶食及び摂食条件下で投与した場合、ピーク血漿中濃度は中央値tmax0.67及び1.26時間でそれぞれ発生した。幾何平均Cmaxは、絶食時75mgで1708ng/mL、摂食時75mgで263ng/mLであった。
【0207】
maxの変動性(幾何学CV%)は、絶食時と摂食時でそれぞれ37%及び22%であった。幾何平均AUC(0-12)は、75mgの絶食及び摂食でそれぞれ1767h*ng/mL及び767h*ng/mLであった。すべてのAUCパラメータは、各治療で同等であり、AUCパラメータの幾何学CV%は、絶食及び摂食時の75mgで、21%~34%の範囲であった。平均t1/2は、絶食治療及び摂食治療の両方で1時間未満であった。測定されたAUC値と一致して、CL/Fは摂食治療で約2倍高く、V/Fは絶食治療値と比較して3倍高かった。
【0208】
C21に対する食事の影響の統計分析を表3に要約する。
【表3】
【0209】
このモデルは、分散分析(ANOVA)モデルであり、シーケンス、期間、治療の期間が固定されており、シーケンス内の被験者にランダム効果がある。
C21PKパラメータに対する食事の影響の統計分析(上記の表3を参照)は、C21が食物と一緒に与えられた時にCmaxの減少があったことを示した。Cmaxの幾何平均比は0.16であり、90%信頼区間は1(100%)を下回り、Cmaxの差が統計的に有意であることを示している。食物と一緒に75mgのC21を投与すると、AUC(0-24)が減少し、
AUC(0-inf);幾何平均比は両方とも0.45であり、90%信頼区間は1(100%)を下回り、AUC値の差が有意であることを示している。
【0210】
実施例2
溶解試験
(A)
50.7mgのC21ナトリウム塩(Ardena、Riga、Latvia)を900mLの0.09M炭酸緩衝液(pH8.95)に、37±3℃の温度で攪拌しながら添加した。化合物は即座に溶解した。15分間撹拌した後、2M酢酸溶液を滴下で添加して、pH4.52を得た。COの発生が注目された。1時間攪拌した後、小さな白い粒子の形成が観察された。更に1.5時間撹拌した後、1MのNaOHを加えてpHを6.8に上げた。攪拌を更に1.5時間続けたが、外観に大きな変化はなかった(小さな白い粒子)。
【0211】
(B)
51.2mgのC21ナトリウム塩を900mLの酢酸緩衝液(pH4.4)に同じ温度で撹拌しながら加えた。添加された化合物は薄いスラリーを形成し、それは表面の上部に浮かんでいた。1時間攪拌した後、1MのNaOH溶液を滴下で添加して、pHを7.2に上げた。スラリーは薄くなり、破片は小さくなり、クリーム様となった。攪拌を更に1.5時間続け、外観に大きな変化はなかった(小さなクリーム様粒子)。
【0212】
(C)
攪拌しながら同じ温度で53.2mgのC21ナトリウム塩を900mLの0.1MのHCl緩衝液(pH1.0)に加えた。添加した化合物は瞬時に溶解した。20分間撹拌した後、1MのNaOH溶液を滴下で添加して、pHを4.5に上げた。NaOH溶液の添加後、沈殿は観察されなかった。2時間撹拌した後、形成溶液はまだ透明であった。
【0213】
(D)
51.0mgのC21ナトリウム塩を900mLの0.1Mクエン酸緩衝液(pH4.42)に同じ温度で撹拌しながら加えた。添加された化合物は薄いスラリーを形成した。何も溶解しなかったようである。同じ温度で7時間撹拌した後、外観に大きな変化はなかった。UPLCによる分析では、実験の終了時にC21の分解は発生はなかったと示した。
【0214】
(E)
同じ温度で50.8mgのC21ナトリウム塩を900mLの酢酸緩衝液(pH4.49)に加えた。添加された化合物は、表面に浮かぶ薄いスラリーを形成した。1時間攪拌した後、1MのNaOH溶液を滴下で添加して、pHを6.8に上げた。スラリーはわずかに薄くなった。攪拌を更に1時間続け、外観に大きな変化はなかった。UPLCは、実験の終了時にC21の分解は発生はなかったと示した。
【0215】
まとめると、これらの結果は、中間のpHで形成されるC21の双性イオンが予想外に不溶性であることを示している。これは、上記の実施例1で見られた食事の影響を説明している。
【0216】
実施例3
本発明の剤形
賦形剤ブレンドは、21.4gのコロイド状二酸化ケイ素(Aerosil(登録商標);Evonik)を計量ボートに計量することによって調製された。次に、2033.8gのマンニトール(Pearlitol 50C、Roquette)を秤量し、その量の約半分をVブレンダー(Multiblender、Pharmatech、UK)の25L Vシェルに注いだ。次に、秤量した量のコロイド状二酸化ケイ素をVシェルに加え、続いて残りのマンニトールを加えた。得られた混合物を30rpmで10分間ブレンドした。
【0217】
次に、賦形剤ブレンドを800μmのふるいでふるいにかけた後、30rpmで更に20分間ブレンドした。
【0218】
得られた賦形剤ブレンドの半分を秤量し、Vシェルに再添加した。次に、528gのC21ナトリウム塩(Ardena,Riga,Latvia)をVシェルに加えた。次に、残りの賦形剤ブレンドをVシェルに加え、続いて30rpmで10分間ブレンドした。
【0219】
次に、得られたブレンドを800μmのふるいでふるいにかけ、続いて30rpmで20分間ブレンドした。
【0220】
ブレンドを調製した後、約270mgのブレンドサンプルを100mLメスフラスコに量り取り、40mLのMilliQ水及び20分間の超音波処理を加え、40mLのメタノールを添加し、更に20分間超音波処理することによってブレンドの均一性を決定した。室温に平衡化した後、1.0mLのサンプル溶液を10mLメスフラスコに加えた。これに続いて、メタノールで所望の体積に希釈し、混合した。
【0221】
サンプルを0.45μmのPTFE膜シリンジフィルタでろ過し、ろ液の最初の3mLを廃棄した。C21ナトリウム塩の量はUHPLCによって決定した。結果の溶液には、0.1mg/mLのC21のNa塩(100%の公称サンプル濃度の場合)が含まれているべきである。
【0222】
結果を以下の表4に示す。
【表4】
【0223】
この後、26.1gのステアリン酸マグネシウム(Ligamed MF-2-V、Peter Greven、Germany)を800μmのふるいでふるいにかけ、ブレンドに加え、続いて15rpmで15分間最終ブレンドした。
【0224】
最終的な組成物は、以下の表5に示す通りである。
【表5】
【0225】
約6,700個のカプセルがMG Compact(MG2,Bologna,Italy)を使用してカプセル化され、dosatorは、サイズ0で、以下の設定をチャンバー-11mmに適用した。圧縮-0mm;粉末層:30.0mm。
【0226】
カプセルの正味充填重量に5%の許容限界を適用して重量分類を行ったところ、18.6%であることがわかった。カプセル化後、カプセルは、乾燥剤を含む子供に対する不正開封防止キャップを備えた100mL高密度ポリエチレン(HDPE)瓶に手動で一次包装した(56カプセル/瓶)。合計97の瓶が製造され、臨床試験で使用するためにラベルを付けた。
【0227】
これらのカプセルの約600個(上記の実施例3で説明した手順に従って取得)を、水性アクリル腸溶コーティングシステム(水中の20%溶液として適用された)を備えたパンコータ(2Lドラム及び直径0.7mmのノズルを備えた4M8TriXパンコータ;ProCepT,Belgium)を使用してコーティングした。
【0228】
精製水640gを800mLビーカに量り取り、予め秤量したAcryl-EZE(登録商標)93F19225Clear(Colorcon)160gを、機械的に20分間攪拌しながら徐々に水に加え、プロペラスターラを中央に置き、容器の底にできるだけ近くし、均質化するために激しい渦を形成する。コーティングプロセスの前に、分散液を200μmのふるいに通した。
【0229】
パンコータ内のカプセルの良好な動きを促進し、ドラムにロードする適切な量に到達するために、異なるカプセルの色(濃い緑色)及び充填重量(マンニトールの410mg/カプセル(Pearlitol 160C)と共に、560個のダミーカプセル(サイズ0)も添加して、後に計量選別及び目視検査によって分離できるようにする。
【0230】
所定の時間に採取したサンプルを用いて段階的コーティングを行った。
【0231】
コーティングプロセスは、ドラムにカプセルを充填し、入口温度を40℃に設定することによって実行した。ドラムが回転している間、コーティング溶液を噴霧する前にカプセルを30℃に加熱し、その時点で最終入口温度を設定した。
【0232】
コーティングプロセスの終わりに、加熱システムをオフにし、カプセルをゆっくりと転がしながら乾燥させた。
【0233】
噴霧液量は740gであった。組成物のカプセル当たりの充填含有量は、カプセル当たり260.93mgである。空のカプセルの重量が96.1mgで、充填されたカプセル当たりの総重量が357mgの場合、コーティング/充填されたカプセル当たりの総重量は490.66mgであり、カプセル当たりのコーティング量は133.66となる。これは、カプセル当たりのコーティングの重量に相当し、空のカプセルの139.08%、充填されたカプセルの37.44%であった。
【0234】
カプセルはPh.Eurに提出した。(第10版)標準(2.9.1装置B;ディスク付き)コーティングされたカプセル(n=6)を対象とした2段階の崩壊試験:
(a) pH1.2(水中の0.1NのHCl、250mLの0.2MのNaCl、425mLの0.2MHCl、及び325mLの精製水を混合して作製);及び
(b) リン酸緩衝液を使用したpH6.8(250mLの0.2Mリン酸水素カリウム、112mLの0.2MのNaOH、及び638mLの精製水を混合して作製)。
【0235】
この装置は、バスケットラックアセンブリ、バスケットを上下させるための装置、1Lビーカ、及び流体を37℃(±2℃)で加熱するための恒温装置で構成されていた。バスケットラックアセンブリは、ステンレス鋼スクリーン上に配置された3つの異なる透明なシリンダチューブに3つのカプセルを含むように設計されており、チューブへの溶液の流入を可能にした。
【0236】
これらの実験では、5つの穴のある円筒形の透明なプラスチックディスクを浮いたカプセルの上に置き、試験中にチューブ内に保持した(ディスクがないとカプセルは媒体の表面に浮く)。
【0237】
Ph.Eur.によると、胃抵抗性の殻を備えたカプセルは、内容物の脱出を可能にする崩壊又は破裂の兆候を示すことなく、酸性媒体中で2時間生き残る必要がある。
【0238】
2時間後、バスケットラックアセンブリを穏やかに乾燥させ、コーティングされたカプセルを視覚的に検査して、変形又は破裂の兆候を特定した。
【0239】
続いて、バスケットをリン酸緩衝液pH6.8に移した。Ph.Eurによると、仕様では、すべてのカプセルは60分以内に崩壊するはずである。
【0240】
目視検査は、酸性媒体で完全に無傷のカプセル(a)及びより塩基性の媒体で急速なカプセル崩壊(b)を示し、したがって、カプセルが腸溶コーティングに成功したことを示した。
【0241】
実施例4
本発明の剤形の安定性試験
上記の実施例3に記載の方法を使用して得られた腸溶性カプセルは、ICH(医薬品規制調和国際会議)保管条件(i)25℃及び60%RH(長期保管条件)及び(ii)40℃及び75%RH(加速保管条件)における臨床代表包装での安定性を評価するための試験でテストされた。
【0242】
最終的な組成物は、以下の表6に示す通りである。
【表6】
【0243】
様々な保存条件及び時間での安定性の結果を、以下の表7(アッセイ及びクロマトグラフィの純度)及び表8(崩壊)に示す。カールフィッシャー滴定法を使用して含水量を測定した。不純物1は以前にC21で知られていたが、不純物2及び3は新規である。LORは、レポートの制限を表す(すなわち、0.10%,l.c.)。
【表7】

【表8】
【0244】
すべての安定性崩壊の結果は予想と一致しており、腸溶コーティングされたカプセルは酸性媒体に溶解せず、pH6.8で急速に溶解した。アッセイは、両方の保存条件で6か月の安定期間にわたって安定していた。