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特開2024-108911情報処理装置、及び情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108911
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】情報処理装置、及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20240805BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240805BHJP
   B41J 29/42 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
H04N1/00 350
B41J29/38 203
B41J29/38 202
B41J29/42 F
H04N1/00 127Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023013560
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】治田 貴文
(72)【発明者】
【氏名】小野澤 雄二
(72)【発明者】
【氏名】槇野 洋平
【テーマコード(参考)】
2C061
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AP07
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061AR01
2C061CQ04
2C061CQ05
2C061CQ23
2C061CQ24
2C061CQ34
2C061HJ07
2C061HJ08
2C061HK11
2C061HN15
5C062AA02
5C062AA05
5C062AA37
5C062AB23
5C062AB38
5C062AB41
5C062AB42
5C062AC05
5C062AC22
5C062AC34
5C062AC58
5C062AE15
5C062AF12
(57)【要約】
【課題】ユーザ認証が行われないために、各々のユーザが作成した機能の設定情報が混在して一覧表示される場合と比較して、ユーザが所望する設定情報を見つけやすくする。
【解決手段】画像形成装置2は、ウェアラブル端末と通信が確立した場合に、ウェアラブル端末を装着しているユーザの生体情報をウェアラブル端末から取得し、機能の実行に先立って機能の動作属性を設定する設定情報が作成された際に取得された生体情報が対応付けられている複数の設定情報の中から、新たに取得した生体情報と同じ生体情報が対応付けられている設定情報を抽出し、抽出した設定情報を他の設定情報よりも優先して表示装置に表示する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
ウェアラブル端末と通信が確立した場合に、前記ウェアラブル端末を装着しているユーザの生体情報を前記ウェアラブル端末から取得し、
機能の実行に先立って機能の動作属性を設定する設定情報が作成された際に取得された生体情報が対応付けられている複数の前記設定情報の中から、新たに取得した生体情報と同じ生体情報が対応付けられている前記設定情報を第1設定情報として抽出し、
抽出した前記第1設定情報を、他の前記設定情報よりも優先して表示装置に表示する
情報処理装置。
【請求項2】
前記設定情報には、前記設定情報が使用された際に前記ウェアラブル端末から取得された生体情報と、取得された生体情報によって表されるユーザ毎の前記設定情報の使用回数が更に対応付けられており、
前記プロセッサは、新たに取得した生体情報と同じ生体情報が、前記設定情報が使用された際に取得された生体情報として対応付けられている前記設定情報を第2設定情報として抽出し、
抽出した前記第1設定情報と前記第2設定情報を、他の前記設定情報よりも優先して前記表示装置に表示する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記設定情報には、前記設定情報が作成された際に前記ウェアラブル端末から取得した前記ウェアラブル端末を識別する端末情報が更に対応付けられており、
前記プロセッサは、前記ウェアラブル端末から新たに取得した生体情報及び端末情報と同じ組み合わせが、前記設定情報が作成された際に取得された生体情報と端末情報として対応付けられている前記設定情報を前記第1設定情報として複数の前記設定情報の中から抽出する
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記設定情報には、前記設定情報が使用された際に前記ウェアラブル端末から取得した端末情報と、取得した端末情報によって表されるウェアラブル端末を装着したユーザ毎の前記設定情報の使用回数が更に対応付けられており、
前記プロセッサは、前記ウェアラブル端末から新たに取得した生体情報及び端末情報と同じ組み合わせが、前記設定情報が使用された際に取得された生体情報と端末情報として対応付けられている前記設定情報を前記第2設定情報として複数の前記設定情報の中から抽出する
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記ウェアラブル端末と初めて通信が確立した場合に前記ウェアラブル端末から取得した前記ウェアラブル端末を識別する端末情報と、前記ウェアラブル端末を装着しているユーザの生体情報との組み合わせを生体情報毎に保存した保存情報に、新たに取得した生体情報が含まれる場合、前記保存情報において新たに取得した生体情報と対応付けられている端末情報のうち、新たに取得した生体情報と共に取得された端末情報以外の他の端末情報を取得し、新たに取得した生体情報と前記他の端末情報との組み合わせが対応付けられている前記設定情報を複数の前記設定情報の中から抽出し、
抽出した前記設定情報を、前記第1設定情報及び前記第2設定情報と共に他の前記設定情報よりも優先して前記表示装置に表示する
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記第2設定情報よりも前記第1設定情報を優先して前記表示装置に表示する
請求項2~請求項5の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
新たに取得した生体情報によって表されるユーザによって使用された前記第2設定情報の使用回数が予め定めた回数以上である場合、
前記プロセッサは、前記第1設定情報よりも使用回数が前記予め定めた回数以上になっている前記第2設定情報を優先して前記表示装置に表示するように表示を切り替える
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記ウェアラブル端末を装着したユーザの状況を表す追加情報を前記ウェアラブル端末から更に取得し、
前記第1設定情報及び前記第2設定情報以外の前記設定情報の中から、前記追加情報によって表されるユーザの状況に対して予め関連付けられている前記設定情報を抽出し、
前記追加情報を用いて抽出した前記設定情報を前記第1設定情報と前記第2設定情報と共に、他の前記設定情報よりも優先して前記表示装置に表示する
請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記追加情報は、前記ウェアラブル端末によって記録された映像、音声、及び位置情報の少なくとも1つによって表される
請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
プロセッサに、
ウェアラブル端末と通信が確立した場合に、前記ウェアラブル端末を装着しているユーザの生体情報を前記ウェアラブル端末から取得し、
機能の実行に先立って機能の動作属性を設定する設定情報が作成された際に取得された生体情報が対応付けられている複数の前記設定情報の中から、新たに取得した生体情報と同じ生体情報が対応付けられている前記設定情報を第1設定情報として抽出し、
抽出した前記第1設定情報を、他の前記設定情報よりも優先して表示装置に表示する処理を実行させるための
情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、生体情報を計測する生体情報計測装置と、測定対象者の属性情報による認証を行うと共に前記生体情報計測装置で計測された生体情報を収集し、前記属性情報と、収集した前記生体情報とを関連付ける生体情報収集装置と、前記生体情報収集装置から互いに関連付けられた前記属性情報と前記生体情報とを取得し、当該生体情報を、前記測定対象者を特定可能な個人情報と関連付けて保持する管理装置と、を備える生体情報収集システムが開示されている。
【0003】
特許文献2には、ユーザが身に付けて使用する端末装置と、前記ユーザからの指示に従って画像を出力する出力処理を実行する画像出力装置と、を有する画像処理システムであって、前記端末装置に、前記ユーザから身体的な特徴を取得する取得手段が備えられ、前記端末装置又は前記画像出力装置に、前記出力処理が実行される前に、前記取得手段によって取得された前記身体的な特徴に基づいて前記ユーザを認証する認証処理を実行する認証手段が備えられ、前記画像出力装置に、前記認証手段によって前記ユーザが認証された場合に、前記出力処理を実行する出力処理手段が備えられた画像処理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-150375号公報
【特許文献2】特開2017-108316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
中小企業等の組織では、例えばマンパワー等の理由により管理者を割り当てることが難しいため、組織に設置された情報処理装置を誰でも使用できるように、情報処理装置を使用する際、ユーザ認証を行わないようにしていることがある。
【0006】
こうした情報処理装置に対して各々のユーザが予め設定した設定情報を表示させる場合、どのユーザがどの設定情報を設定したかわからないため、情報処理装置は設定された設定情報をユーザ毎に分類することなく混在して表示する。したがって、ユーザは、自分が所望する設定情報がどこに表示されているのかを表示された設定情報の中から探すことになる。
【0007】
本開示は、ユーザ認証が行われないために、各々のユーザが作成した機能の設定情報が混在して一覧表示される場合と比較して、ユーザが所望する設定情報を見つけやすくすることができる情報処理装置、及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1態様に係る情報処理装置は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、ウェアラブル端末と通信が確立した場合に、前記ウェアラブル端末を装着しているユーザの生体情報を前記ウェアラブル端末から取得し、機能の実行に先立って機能の動作属性を設定する設定情報が作成された際に取得された生体情報が対応付けられている複数の前記設定情報の中から、新たに取得した生体情報と同じ生体情報が対応付けられている前記設定情報を第1設定情報として抽出し、抽出した前記第1設定情報を、他の前記設定情報よりも優先して表示装置に表示する。
【0009】
第2態様に係る情報処理装置は、第1態様に係る情報処理装置において、前記設定情報には、前記設定情報が使用された際に前記ウェアラブル端末から取得された生体情報と、取得された生体情報によって表されるユーザ毎の前記設定情報の使用回数が更に対応付けられており、前記プロセッサは、新たに取得した生体情報と同じ生体情報が、前記設定情報が使用された際に取得された生体情報として対応付けられている前記設定情報を第2設定情報として抽出し、抽出した前記第1設定情報と前記第2設定情報を、他の前記設定情報よりも優先して前記表示装置に表示する。
【0010】
第3態様に係る情報処理装置は、第2態様に係る情報処理装置において、前記設定情報には、前記設定情報が作成された際に前記ウェアラブル端末から取得した前記ウェアラブル端末を識別する端末情報が更に対応付けられており、前記プロセッサは、前記ウェアラブル端末から新たに取得した生体情報及び端末情報と同じ組み合わせが、前記設定情報が作成された際に取得された生体情報と端末情報として対応付けられている前記設定情報を前記第1設定情報として複数の前記設定情報の中から抽出する。
【0011】
第4態様に係る情報処理装置は、第3態様に係る情報処理装置において、前記設定情報には、前記設定情報が使用された際に前記ウェアラブル端末から取得した端末情報と、取得した端末情報によって表されるウェアラブル端末を装着したユーザ毎の前記設定情報の使用回数が更に対応付けられており、前記プロセッサは、前記ウェアラブル端末から新たに取得した生体情報及び端末情報と同じ組み合わせが、前記設定情報が使用された際に取得された生体情報と端末情報として対応付けられている前記設定情報を前記第2設定情報として複数の前記設定情報の中から抽出する。
【0012】
第5態様に係る情報処理装置は、第4態様に係る情報処理装置において、前記プロセッサは、前記ウェアラブル端末と初めて通信が確立した場合に前記ウェアラブル端末から取得した前記ウェアラブル端末を識別する端末情報と、前記ウェアラブル端末を装着しているユーザの生体情報との組み合わせを生体情報毎に保存した保存情報に、新たに取得した生体情報が含まれる場合、前記保存情報において新たに取得した生体情報と対応付けられている端末情報のうち、新たに取得した生体情報と共に取得された端末情報以外の他の端末情報を取得し、新たに取得した生体情報と前記他の端末情報との組み合わせが対応付けられている前記設定情報を複数の前記設定情報の中から抽出し、抽出した前記設定情報を、前記第1設定情報及び前記第2設定情報と共に他の前記設定情報よりも優先して前記表示装置に表示する。
【0013】
第6態様に係る情報処理装置は、第2態様~第5態様の何れかの態様に係る情報処理装置において、前記プロセッサは、前記第2設定情報よりも前記第1設定情報を優先して前記表示装置に表示する。
【0014】
第7態様に係る情報処理装置は、第6態様に係る情報処理装置において、新たに取得した生体情報によって表されるユーザによって使用された前記第2設定情報の使用回数が予め定めた回数以上である場合、前記プロセッサは、前記第1設定情報よりも使用回数が前記予め定めた回数以上になっている前記第2設定情報を優先して前記表示装置に表示するように表示を切り替える。
【0015】
第8態様に係る情報処理装置は、第7態様に係る情報処理装置において、前記プロセッサは、前記ウェアラブル端末を装着したユーザの状況を表す追加情報を前記ウェアラブル端末から更に取得し、前記第1設定情報及び前記第2設定情報以外の前記設定情報の中から、前記追加情報によって表されるユーザの状況に対して予め関連付けられている前記設定情報を抽出し、前記追加情報を用いて抽出した前記設定情報を前記第1設定情報と前記第2設定情報と共に、他の前記設定情報よりも優先して前記表示装置に表示する。
【0016】
第9態様に係る情報処理装置は、第8態様に係る情報処理装置において、前記追加情報は、前記ウェアラブル端末によって記録された映像、音声、及び位置情報の少なくとも1つによって表される。
【0017】
第10態様に係る情報処理プログラムは、プロセッサに、ウェアラブル端末と通信が確立した場合に、前記ウェアラブル端末を装着しているユーザの生体情報を前記ウェアラブル端末から取得し、機能の実行に先立って機能の動作属性を設定する設定情報が作成された際に取得された生体情報が対応付けられている複数の前記設定情報の中から、新たに取得した生体情報と同じ生体情報が対応付けられている前記設定情報を第1設定情報として抽出し、抽出した前記第1設定情報を、他の前記設定情報よりも優先して表示装置に表示する処理を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0018】
第1態様、及び第10態様によれば、ユーザ認証が行われないために、各々のユーザが作成した機能の設定情報が混在して一覧表示される場合と比較して、ユーザが所望する設定情報を見つけやすくすることができる、という効果を有する。
【0019】
第2態様によれば、ユーザが作成した設定情報に加えて、ユーザが使用したことのある設定情報も他の設定情報より優先して表示装置に表示することができる、という効果を有する。
【0020】
第3態様によれば、優先して表示する設定情報を生体情報のみを用いて抽出する場合と比較して、ユーザが所望する設定情報を精度よく表示することができる、という効果を有する。
【0021】
第4態様によれば、生体情報及び端末情報を用いて抽出する設定情報をユーザが作成した設定情報に限定する場合と比較して、ユーザが所望する設定情報を精度よく表示することができる、という効果を有する。
【0022】
第5態様によれば、取得した生体情報及び端末情報の組み合わせに対応していない設定情報であっても、ユーザに関連した設定情報であれば優先して表示することができる、という効果を有する。
【0023】
第6態様によれば、ユーザが使用したことのある設定情報よりも、ユーザが作成した設定情報を見つけやすくすることができる、という効果を有する。
【0024】
第7態様によれば、ユーザによる設定情報の使用状況に応じて、優先して表示する設定情報を変更することができる、という効果を有する。
【0025】
第8態様によれば、優先して表示する設定情報を生体情報及び端末情報の少なくとも一方を用いて抽出する場合と比較して、ユーザが所望する設定情報を精度よく表示することができる、という効果を有する。
【0026】
第9態様によれば、優先して表示する設定情報の抽出に、ユーザの言動や様子を記録した情報を利用することができる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】画像形成装置の要部構成例を示す図である。
図2】ペアリングテーブルの一例を示す図である。
図3】メニュー画面の一例を示す図である。
図4】設定画面の一例を示す図である。
図5】実行画面の一例を示す図である。
図6】履歴テーブルの一例を示す図である。
図7】生体情報のみが登録された履歴テーブルの一例である。
図8】端末情報のみが登録された履歴テーブルの一例である。
図9】ユーザの生体情報を用いて、ユーザが作成した設定情報を表示する表示処理における流れの一例を示すフローチャートである。
図10】ユーザの生体情報を用いて、ユーザが作成及び使用した設定情報を表示する表示処理における流れの一例を示すフローチャートである。
図11】ユーザの生体情報及びウェアラブル装置の端末情報を用いて、ユーザが作成した設定情報を表示する表示処理における流れの一例を示すフローチャートである。
図12】ユーザの生体情報及びウェアラブル装置の端末情報を用いて、ユーザが作成及び使用した設定情報を表示する表示処理における流れの一例を示すフローチャートである。
図13】複数のウェアラブル装置を所有するユーザが登録されたペアリングテーブルの一例を示す図である。
図14】複数のウェアラブル装置を所有するユーザによって設定情報が作成及び使用された場合の履歴テーブルの一例を示す図である。
図15】複数のウェアラブル装置を所有するユーザの生体情報及びウェアラブル装置の端末情報を用いて、ユーザが作成及び使用した設定情報を表示する表示処理における流れの一例を示すフローチャートである。
図16】ユーザの生体情報、ウェアラブル装置の端末情報、及び追加情報を用いて、ユーザが作成及び使用した設定情報を表示する表示処理における流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、開示の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、同じ構成要素及び同じ処理には全図面を通して同じ符号を付与し、重複する説明を省略する。
【0029】
図1は、情報処理装置2の要部構成例を示す図である。本実施形態に係る情報処理装置2は、ユーザが設定項目毎に設定した設定情報に従って、選択された機能を実行する装置である。操作子を通じてユーザからの操作を受け付けて機能の実行を開始する装置であれば情報処理装置2の種類に制約はなく、どのような種類の情報処理装置であってもよい。
【0030】
ここで「設定項目」とは、機能の動作属性を規定する項目のことである。「設定情報」とは、各々の設定項目に対して設定された動作属性の設定値と、設定項目の設定対象となっている機能名を対応付けて記憶した情報のことである。すなわち、「設定情報」とは、機能の実行に先立って機能の動作属性を設定した情報である。設定値の内容に制約はなく、例えば数値、文字、記号、図形、及び画像を用いることができる。「操作子」とは、ユーザによる操作対象であって、情報処理装置2がユーザからの操作を受け付けるユーザインターフェースのことである。
【0031】
以降では、情報処理装置2の一例として、例えば指定されたファイルの内容を記録媒体に形成する画像形成機能、原稿に記載された内容を光学的に読み取るスキャナ機能、読み取った原稿の内容を記録媒体に画像として形成するコピー機能、公衆回線を介して画像データを送受信し、受信した画像データを記録媒体に画像として形成するファックス機能、受け付けたデータを電子メールで送信するメール機能、及び受け付けたデータをFTP(File Transfer Protocol)で送信するFTP機能といった複数の機能のうち少なくとも1つの機能を有する画像形成装置を用いて、情報処理装置2の実施形態について説明する。したがって、画像形成装置には情報処理装置2と同じ符号を付して「画像形成装置2」と表すことにする。
【0032】
なお、上記に示した画像形成装置2の機能は一例であり、画像形成装置2が備える機能に制約はない。
【0033】
画像形成装置2は、例えばコンピュータ10を用いて構成される。コンピュータ10は、画像形成装置2が備える機能の実行を担うプロセッサの一例であるCPU(Central Processing Unit)11、コンピュータ10を画像形成装置2として機能させる情報処理プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)12、CPU11の一時的な作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)13、不揮発性メモリ14、及び入出力インターフェース(I/O)15を備える。CPU11、ROM12、RAM13、不揮発性メモリ14、及びI/O15はバス16を介して各々接続されている。
【0034】
不揮発性メモリ14は、不揮発性メモリ14に供給される電力が遮断されても記憶した情報が維持される記憶装置の一例であり、例えば半導体メモリが用いられるがハードディスクを用いてもよい。設定情報のように、画像形成装置2の電源が遮断されても記憶し続ける必要のある情報は不揮発性メモリ14に記憶される。
【0035】
不揮発性メモリ14は必ずしもコンピュータ10に内蔵されている必要はなく、例えばメモリカードのように、コンピュータ10に着脱可能な可搬型の記憶装置であってもよい。
【0036】
I/O15には、通信ユニット20、入力ユニット21、表示ユニット22、画像形成ユニット23、スキャナユニット24、及びファックスユニット25が接続される。
【0037】
通信ユニット20は通信回線に接続され、同じ通信回線に接続されている外部装置とデータを送受信する通信プロトコルを備える。画像形成装置2における電子メール機能、及びFTP機能は通信ユニット20を通じてデータの送受信を行う。
【0038】
また、通信ユニット20は近距離無線通信にも対応している。近距離無線通信とは、見通し距離(例えば10m以内)を通信範囲とする無線通信である。近距離無線通信には、例えばRFID(Radio Frequency Identification)、NFC(Near Field Communication)、Zigbee(登録商標)、及びBluetooth(登録商標)等が含まれる。通信ユニット20は公知の近距離無線通信を用いて、通信範囲内にある外部装置とデータ通信を行う。後ほど説明するように、通信ユニット20は、ユーザに装着されているウェアラブル装置とデータ通信を行う。ユーザに装着されているウェアラブル装置とは、腕時計型や眼鏡型のようにユーザの身体に固定されている情報機器の他、例えば手に持った情報機器、及び衣服のポケットや鞄に入っている情報機器も含まれる。すなわち、ウェアラブル装置とは、ユーザの移動に伴って移動する情報機器である。
【0039】
本実施形態に係るウェアラブル装置は、画像形成装置2からの要求によって、ウェアラブル装置を装着したユーザの生体情報を取得し、通信ユニット20を通じて画像形成装置2に取得した生体情報を送信する機能を有する。また、本実施形態に係るウェアラブル装置は、画像形成装置2からの要求によって自身の端末情報を、通信ユニット20を通じて画像形成装置2に送信する機能を有する。
【0040】
ユーザの生体情報とは、ユーザの身体から得られる情報である。ユーザの生体情報には、脈波、脈拍数、指紋、血圧、静脈パターン、及び酸素飽和度等といった様々な種類の情報が含まれるが、本実施形態に係るウェアラブル装置は、例えば生体情報として脈波を取得する。
【0041】
端末情報とは、ウェアラブル端末の識別に用いられる情報である。ウェアラブル装置の端末情報には、例えば製造番号、MACアドレス、及びIPアドレス等といった種類の情報が含まれるが、本実施形態に係るウェアラブル装置は、例えばウェアラブル装置の製造番号を端末情報として用いる。
【0042】
入力ユニット21は、ユーザの指示を受け付けてCPU11に通知する装置であり、例えばボタン、タッチパネル、及びポインティングデバイス等が用いられる。一例として、画像形成装置2には少なくともタッチパネルが備えられているものとする。
【0043】
表示ユニット22は、CPU11によって処理された情報を画像として表示する表示装置の一例であり、例えば液晶ディスプレイ又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等が用いられる。一例として、表示ユニット22には入力ユニット21の一例であるタッチパネルが重畳して取り付けられており、タッチパネルを押下した場所に表示されている操作子がユーザによって押下されると、押下された操作子と対応付けられた指示がCPU11に通知される。なお、タッチパネルを通じて操作子を押下することを、操作子を「選択する」という。
【0044】
画像形成ユニット23は、CPU11の指示に従って、受け付けた画像を記録媒体に形成するユニットである。画像形成ユニット23における画像形成方式はどのような方式であってもよく、例えば電子写真方式、インクジェット方式、及びオフセット印刷方式の何れであってもよい。画像形成ユニット23は、画像形成機能、コピー機能、及びファックス機能の実行に伴い用いられる。
【0045】
スキャナユニット24は、CPU11の指示に従って、例えばプラテンガラスに置かれた原稿の内容を光学的に読み取り、読み取った原稿の内容を画像データに変換するユニットである。スキャナユニット24はスキャナ機能、コピー機能、及びファックス機能の実行に伴い用いられる。
【0046】
ファックスユニット25は、公衆回線を介して、例えばスキャナユニット24で得られた画像データを他のファックス装置に送信すると共に、公衆回線を介して、他のファックス装置から画像データを受信するユニットである。CPU11は、公衆回線から受信した画像データを画像形成ユニット23で記録媒体に画像として形成させる。
【0047】
なお、コピー機能は、CPU11がスキャナユニット24で得られた画像データを、画像形成ユニット23を用いて記録媒体に形成させることによって実現される。
【0048】
図1のように構成される画像形成装置2は、通信ユニット20における近距離無線通信の通信範囲内において、一度もデータ通信を行ったことがないウェアラブル装置を検知した場合、通信を確立する前に、データ通信に必要なお互いの情報を交換し合うペアリングを行う。画像形成装置2は、1度ペアリングが行われたウェアラブル装置とは再度ペアリングを行うことなく通信を確立してデータ通信を行う。
【0049】
画像形成装置2は、ペアリングの際に生体情報及び端末情報をウェアラブル装置から取得する。画像形成装置2は、検知したウェアラブル装置がペアリング済みであるか否かを判定するため、ペアリングによって取得した生体情報及び端末情報をペアリングテーブル18Aに保存する。
【0050】
図2は、ペアリングテーブル18Aの一例を示す図である。ペアリングテーブル18Aには、画像形成装置2がウェアラブル装置とのペアリングによってウェアラブル装置から取得した生体情報及び端末情報との組み合わせが生体情報毎に保存される。
【0051】
なお、ペアリングテーブル18Aの生体情報欄における「ユーザA」とは、ユーザAの生体情報であることを表している。同様に、「ユーザB」とは、ユーザBの生体情報であることを表し、「ユーザC」とは、ユーザCの生体情報であることを表している。ウェアラブル装置から取得した生体情報には、この生体情報が誰の生体情報であるのかを表す情報は含まれない。しかしながら、ペアリングテーブル18Aでは各々の生体情報をわかりやすく区別するため、説明の便宜上、生体情報が得られたユーザの名前を用いて生体情報を表している。
【0052】
ペアリングテーブル18Aの端末情報欄における「端末A」、「端末B」、及び「端末C」は、それぞれペアリングによってウェアラブル装置から取得した端末情報を表す。以降では、生体情報及び端末情報との組み合わせを生体情報毎に保存したペアリングテーブル18Aの各々の情報を「保存情報」という。
【0053】
また、以降の説明において、ペアリングテーブル18Aとは異なる他のペアリングテーブルが登場するが(例えば図13)、ペアリングテーブルを区別して説明する必要がない場合、各々のペアリングテーブルを「ペアリングテーブル18」と表す。
【0054】
図3は、画像形成装置2の表示ユニット22に表示されるメニュー画面1の一例を示す図である。メニュー画面1は、画像形成装置2の電源をオンにした場合に、表示ユニット22に最初に表示される初期画面の一例である。
【0055】
メニュー画面1には、ユーザに実行する機能を選択させるメニューボタン3が表示される。メニューボタン3には画像形成装置2が有する機能を実行するための各種ボタンが含まれる。具体的には、メニューボタン3にはコピー機能の実行を行うコピーボタン、画像形成機能の実行を行うプリントボタン、ファックス機能の実行を行うファックスボタン、スキャナ機能の実行を行うスキャナボタン、FTP機能の実行を行うFTPボタン、及びメール機能を実行する電子メールボタンが含まれる。
【0056】
ユーザが何れかの機能に対応したメニューボタン3を選択すると、選択したメニューボタン3と関連付けられた機能の設定画面4が表示ユニット22に表示される。設定画面4は、機能の動作属性を規定する各々の設定項目を含む。
【0057】
図4は、例えばユーザがメニューボタン3の中からコピーボタンを選択した場合に表示される設定画面4の一例を示す図である。
【0058】
設定画面4は、機能に対して予め用意されている各々の設定項目について、設定されている現状の設定値を設定項目毎に表示する画面である。設定画面4の表示範囲内にすべての設定項目が表示しきれない場合には、ユーザが設定画面4をスクロールすることですべての設定項目が表示される。
【0059】
コピー機能に関する設定項目には、例えばコピーの部数、コピーした画像の色を指定するカラーモード、コピーを行う記録媒体面を指定するコピー面、コピーを行う用紙を選択する用紙選択、コピーの拡大及び縮小の比率を設定する倍率、及び1ページにまとめてコピーするページ数を指定するNアップ等の項目が存在する。
【0060】
各設定項目には、画像形成装置2によって予め定められた初期値が設定値として設定される。ユーザは設定画面4を通じて、ユーザ自身の希望に沿ったコピーを実行するために変更が必要な設定項目の設定値を初期値から希望の値に変更する。なお、初期値には、画像形成装置2の製造元が工場出荷時に予め設定した設定値が用いられるが、ユーザが入力ユニット21を操作して初期値を変更してもよい。また、画像形成装置2は、直前に設定された設定項目毎の設定値を設定項目の初期値としてもよい。
【0061】
ユーザが実行ボタン4Aを選択してコピー機能の実行操作を行うと、画像形成装置2は、コピー機能の設定項目毎に設定された設定値に従ってコピーを実行する。画像形成装置2は機能を実行する度に、各設定項目と設定値との組み合わせを設定情報として不揮発性メモリ14に記憶する。
【0062】
ここでは一例として、ユーザがコピー機能を選択した場合の設定画面4及び設定情報の作成について説明したが、画像形成装置2は、ユーザによってコピー機能以外の他の機能が選択された場合にも、それぞれ選択された機能に対応した設定画面4を表示ユニット22に表示し、各設定項目に対する設定値の設定を受け付ける。また、画像形成装置2は、ユーザによってコピー機能以外の他の機能が選択された場合にも、機能を実行する毎に設定情報を不揮発性メモリ14に記憶する。
【0063】
画像形成装置2は、ユーザが次に画像形成装置2を利用する場合、ユーザが同じ設定を行わなくても機能が実行できるように、記憶した各々の設定情報に従って機能を実行するショートカットボタンを表示ユニット22に表示する。
【0064】
次に、各々の設定情報と対応付けられたショートカットボタンについて説明する。
【0065】
図5は、不揮発性メモリ14に記憶された設定情報に従って機能の実行を行う実行画面6の一例を示す図である。実行画面6は、例えばユーザが図3に示したメニュー画面1の上側に表示されている「クイック」ボタンを押下した場合に表示される。実行画面6では、後ほど詳細に説明するように、特定の設定情報に対応したショートカットボタンを他の設定情報に対応したショートカットボタンよりも優先して表示する。
【0066】
実行画面6のリスト5には、不揮発性メモリ14に記憶されているそれぞれの設定情報と対応付けられたショートカットボタンの一例であるリスト項目8が表示される。ユーザが何れかのリスト項目8を選択すると、リスト項目8に対応付けられている設定情報に従って、設定情報と対応付けられている機能が、設定情報に記憶されている設定値と同じ設定値で実行される。リスト項目8に対応付けられている設定情報の機能名と各設定項目の設定値は、リスト項目8に表示される。
【0067】
ユーザは、リスト項目8に表示された機能名と各設定項目の設定値を参照して、実行画面6のリスト5から希望のリスト項目8を選択することで、機能を実行する毎に図4に示した設定画面4から各設定項目の設定値を設定することなく、ユーザが以前設定した設定情報と同じ設定情報に従って同じ機能を実行することができる。
【0068】
例えば、図5における「コピー片面白黒」と表示されたリスト項目8がユーザによって選択された場合、画像形成装置2は、コピー面を記録媒体の片面とし、カラーモードを白黒としたコピー機能を実行する。
【0069】
なお、リスト5の表示範囲内にすべてのリスト項目8が表示しきれない場合には、ユーザがスクロールバー7を操作してリスト5をスクロールすることによって各々のリスト項目8の中から所望のリスト項目8を探し出す。
【0070】
以降では説明の便宜上、各々の設定情報を“Pin”と表すことがある。図4に示した設定画面4の例では、画像形成装置2は、ユーザが実行ボタン4Aを選択して実際に実行した設定情報を不揮発性メモリ14に記憶する例を示した。しかしながら、例えば今すぐ実行したいわけではないが、機能に関して頻繁に使用されると思われる設定情報に対応したリスト項目8をユーザが事前に実行画面6に登録しておきたいような場合が存在する。したがって、画像形成装置2は、ユーザが設定画面4において実行ボタン4Aを選択することなく設定した各設定項目と設定値との組み合わせを設定情報として不揮発性メモリ14に記憶してもよい。
【0071】
設定画面4からユーザが設定した各設定項目と設定値との組み合わせは、ユーザが作成した設定情報の一例である。また、設定画面4の実行ボタン4Aを選択して実行した機能の設定情報、及びリスト項目8を選択することによって実行画面6から実行した機能の設定情報は、ユーザが使用した設定情報の一例である。
【0072】
設定情報の作成及び使用に伴い、画像形成装置2は、各々の設定情報を作成したユーザ(「作成者」という)と設定情報の使用履歴を設定情報毎に記録した履歴テーブル9Aを生成する。
【0073】
図6は、履歴テーブル9Aの一例を示す図である。履歴テーブル9AのPin欄には、ユーザによって生成された設定情報を識別する設定情報名が記録される。履歴テーブル9Aの作成者欄には、設定情報を作成したユーザに関する情報が記録される。履歴テーブル9Aの使用履歴欄には、設定情報の使用状況が記録される。
【0074】
そのため、画像形成装置2は、設定画面4によって設定情報が作成された際の生体情報及び端末情報をウェアラブル装置から取得して、履歴テーブル9Aの作成者欄に記録する。具体的には、画像形成装置2は、設定画面4によって設定情報が作成される毎に、ユーザの生体情報及びウェアラブル装置の端末情報をウェアラブル装置から取得し、設定情報の作成者を表す情報として設定情報に対応付ける。
【0075】
ただし、ユーザによって作成された設定情報と同じ設定情報が既に履歴テーブル9Aに記録されている場合には、画像形成装置2は、ウェアラブル装置から取得した生体情報及び端末情報を履歴テーブル9Aの作成者欄に記録しないようにする。
【0076】
また、画像形成装置2は、ユーザが機能を実行した際のユーザの生体情報及びウェアラブル装置の端末情報をウェアラブル装置から取得して、履歴テーブル9Aの使用履歴欄に記録する。具体的には、画像形成装置2は、設定画面4の実行ボタン4Aが選択された場合、及び実行画面6において何れかのリスト項目8が選択された場合に、生体情報及び端末情報をウェアラブル装置から取得し、設定情報の使用状況を表す情報として、実行した機能の設定情報に対応付ける。この場合、画像形成装置2は、生体情報及び端末情報の組み合わせに対して設定情報の使用回数も記録する。
【0077】
履歴テーブル9AにおけるPin欄の設定情報名は、ユーザが設定しても、画像形成装置2が設定してもどちらでもよい。設定情報名と設定情報は1対1に対応付けられる。
【0078】
図6に示した履歴テーブル9Aの場合、例えば“PinA”として表される設定情報の作成者は、端末Aという端末情報と作成者欄に記録されている生体情報との組み合わせによって表されるユーザ(具体的にはユーザA)であることがわかる。また、“PinA”として表される設定情報の使用履歴を見ると、端末Aという端末情報と使用履歴欄に記録されている生体情報との組み合わせによって表されるユーザ(具体的にはユーザA)によって5回使用されていることがわかる。
【0079】
このように設定情報名、設定情報の作成者、及び設定情報の使用履歴を設定情報毎に対応付けた情報を「履歴情報」という。
【0080】
既に説明したように、ウェアラブル装置から取得した生体情報には、この生体情報が誰の生体情報であるのかを表す情報は含まれない。したがって、履歴テーブル9Aの作成者欄及び使用履歴欄における生体情報には「ユーザA」のようにユーザを識別する情報は含まれておらず、単に生体情報のみが記録されているが、説明の便宜上、生体情報が得られたユーザの名前を用いて生体情報を区別している。
【0081】
上記では、設定情報が作成された際、及び設定情報が使用された際に生体情報及び端末情報をウェアラブル装置から取得して履歴テーブル9Aに記録する例について説明したが、生体情報及び端末情報の何れか一方をウェアラブル装置から取得して履歴テーブル9Aに記録してもよい。
【0082】
図7は、設定情報が作成された際、及び設定情報が使用された際に生体情報のみをウェアラブル装置から取得して生成した履歴テーブル9Bの一例である。履歴テーブル9Bは、図6に示した履歴テーブル9Aに記録されている各々の履歴情報と同じ履歴情報を生体情報のみを用いて表している。
【0083】
一方、図8は、設定情報が作成された際、及び設定情報が使用された際に端末情報のみをウェアラブル装置から取得して生成した履歴テーブル9Cの一例である。履歴テーブル9Cは、図6に示した履歴テーブル9Aに記録されている各々の履歴情報と同じ履歴情報を端末情報のみを用いて表している。
【0084】
このように、画像形成装置2は端末情報のみをウェアラブル装置から取得してもよいが、端末情報よりも生体情報の方がユーザを精度よく区別することができるため、できるだけユーザの生体情報を取得することが好ましい。ユーザの生体情報が取得できれば、ウェアラブル装置の端末情報は必ずしも必須ではない。
【0085】
以降では、履歴テーブル9A、9B、9Cというように各々の履歴テーブルを区別して説明する必要がない場合、各々の履歴テーブルを「履歴テーブル9」と表す。
【0086】
<表示処理A>
次に、画像形成装置2における設定情報の表示処理について説明する。
【0087】
図9は、例えばユーザが予め作成された設定情報を使用して所望の機能を実行しようとして、図5に示した実行画面6を表示ユニット22に表示した場合に、画像形成装置2のCPU11によって実行される設定情報の表示処理における流れの一例を示すフローチャートである。
【0088】
表示処理を規定する情報処理プログラムは、例えば画像形成装置2のROM12に予め記憶されている。画像形成装置2のCPU11は、ROM12に記憶される情報処理プログラムを読み込み、表示処理を実行する。
【0089】
図9のステップS10において、CPU11は、所望の機能を実行しようとしているユーザに装着されたウェアラブル装置との間で通信が確立されたか否かを判定する。ウェアラブル装置が通信ユニット20による近距離無線通信の通信範囲内にない場合、CPU11は、通信ユニット20を介したウェアラブル装置との通信が確立できないため、ステップS10の判定処理を繰り返し実行して、ウェアラブル装置と通信が確立されるまで待機する。
【0090】
一方、ウェアラブル装置が通信ユニット20による近距離無線通信の通信範囲内にある場合、CPU11は、通信ユニット20を介してウェアラブル装置と通信を確立するためステップS20に移行する。
【0091】
ステップS20において、CPU11は、ステップS10の判定処理によって通信の確立が確認されたウェアラブル装置に対してユーザの生体情報を要求し、ウェアラブル装置を装着しているユーザ、すなわち、所望の機能を実行しようとしているユーザの生体情報を取得する。
【0092】
ステップS30において、CPU11は、ステップS20で取得した生体情報がペアリングテーブル18の生体情報欄に登録されているか否かを判定する。図9に示す表示処理ではウェアラブル装置から端末情報を取得しないため、ペアリングテーブル18には少なくとも生体情報が登録されていればよく、端末情報は必ずしも必須ではない。
【0093】
ステップS20で取得した生体情報がペアリングテーブル18の生体情報欄に登録されていない場合、ユーザが装着しているウェアラブル装置とはまだペアリングが終了していないことから、図9に示す表示処理を終了する。なお、ステップS20でウェアラブル装置から生体情報が取得できなかった場合も図9に示す表示処理を終了してもよい。
【0094】
一方、ステップS20で取得した生体情報がペアリングテーブル18の生体情報欄に登録されている場合にはステップS40に移行する。
【0095】
ステップS40において、CPU11は、ステップS20で取得した生体情報が履歴テーブル9の作成者欄に記録されている生体情報であるか否か、すなわち、ステップS20で取得した生体情報が何れかの設定情報の作成者の生体情報であるか否かを判定する。このように図9に示す表示装置では、取得した生体情報が履歴テーブル9の作成者欄に登録されているか否かを判定することから、履歴テーブル9の作成者欄及び使用履歴欄にはユーザの生体情報が記録されていればよく、端末情報は必ずしも必須ではない。ステップS20で取得した生体情報が何れかの設定情報の作成者の生体情報である場合、ステップS50に移行する。
【0096】
ステップS50において、CPU11は履歴テーブル9を参照して、ステップS20で取得した生体情報によって表されるユーザが作成した設定情報を抽出してステップS80に移行する。換言すれば、CPU11は、履歴テーブル9に記録されている設定情報の中から、作成者欄にステップS20で取得した生体情報と同じ生体情報が対応付けられている設定情報を抽出する。
【0097】
ステップS20で取得した生体情報によって表されるユーザが作成した設定情報が複数存在する場合、CPU11は、履歴テーブル9に記録されている設定情報の中から、ステップS20で取得した生体情報によって表されるユーザが作成したすべての設定情報を抽出する。
【0098】
ステップS50で抽出された設定情報のように、画像形成装置2で機能を実行しようとしているユーザが自ら作成した設定情報は「第1設定情報」の一例である。
【0099】
一方、ステップS40の判定処理で、ステップS20で取得した生体情報が何れの設定情報の作成者の生体情報でもないと判定された場合、ステップS50の処理を実行することなくステップS80に移行する。
【0100】
ステップS80において、CPU11は、抽出した設定情報を抽出しなかった他の設定情報よりも優先的に表示ユニット22に表示して、図9に示す表示処理を終了する。具体的には、CPU11は、実行画面6のリスト5において、ステップS50によって抽出した設定情報に対応したリスト項目8を、抽出しなかった他の設定情報に対応したリスト項目8よりも優先的に表示して、図9に示す表示処理を終了する。
【0101】
抽出した設定情報を他の設定情報よりも優先的に表示するとは、所望の機能を実行しようとしているユーザに対して、抽出した設定情報を他の設定情報よりも探し出しやすくすることをいう。
【0102】
抽出した設定情報に対応したリスト項目8をリスト5の先頭から順に表示すれば、リスト5をスクロールしなくても、抽出した設定情報に対応したリスト項目8を選択できるようになるため、抽出した設定情報を他の設定情報よりも優先的に表示する一例となる。
【0103】
また、抽出した設定情報に対応したリスト項目8だけをリスト5に表示し、他の設定情報に対応したリスト項目8はリスト5に表示しないようにすれば、抽出した設定情報に対応したリスト項目8だけを選択できるようになるため、抽出した設定情報を他の設定情報よりも優先的に表示する一例となる。
【0104】
また、抽出した設定情報に対応したリスト項目8の背景色や、リスト項目8に用いる文字の大きさ、文字色、及びフォント種類等の少なくとも1つを他の設定情報に対応したリスト項目8と異なるようにすれば、抽出した設定情報に対応したリスト項目8がどれであるか区別がつきやすくなるため、抽出した設定情報を他の設定情報よりも優先的に表示する一例となる。
【0105】
また、抽出した設定情報に対応したリスト項目8の大きさを他の設定情報に対応したリスト項目8の大きさよりも大きくすれば、抽出した設定情報に対応したリスト項目8がどれであるか区別がつきやすくなるため、抽出した設定情報を他の設定情報よりも優先的に表示する一例となる。
【0106】
一方、ステップS20で取得した生体情報が何れの設定情報の作成者の生体情報でもないと判定された場合にはステップS50の処理が実行されない。このような場合には、CPU11は、例えば設定情報の作成順や設定情報の使用回数が多い順といった予め定めた順序に従って、各々の設定情報に対応したリスト項目8を実行画面6のリスト5に表示する。
【0107】
なお、以降では、設定情報に対応したリスト項目8をリスト5に表示することを、「設定情報を表示する」という。
【0108】
図9の表示処理に関して、例えばウェアラブル装置を装着したユーザAが画像形成装置2を用いて所望の機能を実行しようとした場合に、CPU11が図2に示したペアリングテーブル18Aと図7に示した履歴テーブル9Bを参照する例について説明する。この場合、ユーザAの生体情報はペアリングテーブル18Aに登録されており、ユーザAが作成した設定情報であるPinAが履歴テーブル9Bに記録されている。したがって、CPU11は、PinAをPinB及びPinCよりも優先的に表示する。
【0109】
なお、ステップS30の判定処理において、ステップS20で取得した生体情報がペアリングテーブル18の生体情報欄に登録されていない場合、ユーザが装着しているウェアラブル装置とはまだペアリングが終了していないことから、図9に示す表示処理を終了した。しかしながら、CPU11は、ユーザが装着しているウェアラブル装置とペアリング処理を行ったうえでステップS40に移行し、図9に示す表示処理を継続してもよい。
【0110】
このように、画像形成装置2は、ウェアラブル端末を装着しているユーザの生体情報をウェアラブル端末から取得し、設定情報が作成された際に取得された生体情報が対応付けられている複数の設定情報の中から、新たに取得した生体情報と同じ生体情報が対応付けられている設定情報を抽出し、抽出した設定情報を他の設定情報よりも優先して表示ユニット22に表示する。したがって、ユーザが機能を実行する前にユーザ認証を行って、予めユーザ名が登録されたユーザしか利用できないように設定された画像形成装置2ではなく、誰でも利用できるように設定された画像形成装置2であったとしても、画像形成装置2を利用するユーザが誰であるかわからないからといって、例えば設定情報の作成順に設定情報を一覧表示せずに済むため、複数の設定情報の中からユーザが所望する設定情報を見つけやすくなる。
【0111】
<表示処理B>
図9に示す表示処理では、所望の機能を実行しようとしているユーザが作成した設定情報を他の設定情報よりも優先的に表示する例について説明したが、当該ユーザが作成した設定情報に加えて、当該ユーザがこれまでに使用したことのある設定情報も、他の設定情報より優先的に表示してもよい。
【0112】
図10は、例えばユーザが予め作成された設定情報を使用して所望の機能を実行しようとして、図5に示した実行画面6を表示ユニット22に表示した場合に、画像形成装置2のCPU11によって実行される設定情報の表示処理における流れの一例を示すフローチャートである。
【0113】
図10に示す表示処理が図9に示した表示処理と異なる点は、ステップS60及びステップS70の処理が追加された点であり、その他の処理は図9に示した表示処理と同じである。したがって、図10に示す表示処理ではステップS60及びステップS70の処理を中心に説明する。
【0114】
ステップS40の判定処理において、ステップS20で取得した生体情報が何れの設定情報の作成者の生体情報でもないと判定された場合、又は、ステップS50の処理において、ステップS20で取得した生体情報によって表されるユーザが作成した設定情報を履歴テーブル9に記録された設定情報の中から抽出した場合、ステップS60が実行される。
【0115】
ステップS60において、CPU11は、ステップS20で取得した生体情報が履歴テーブル9の使用履歴欄に登録されている生体情報であるか否か、すなわち、画像形成装置2に登録されている何れかの設定情報を使用したことのあるユーザ(「使用者」という)の生体情報であるか否かを判定する。ステップS20で取得した生体情報が何れかの設定情報の使用者の生体情報である場合、ステップS70に移行する。
【0116】
ステップS70において、CPU11は履歴テーブル9を参照して、ステップS20で取得した生体情報によって表されるユーザが使用した設定情報を抽出してステップS80に移行する。換言すれば、CPU11は、履歴テーブル9に記録されている設定情報の中から、使用履歴欄にステップS20で取得した生体情報と同じ生体情報が対応付けられている設定情報を抽出する。
【0117】
ステップS20で取得した生体情報によって表されるユーザが使用した設定情報が複数存在する場合、CPU11は、履歴テーブル9に記録されている設定情報の中から、ステップS20で取得した生体情報によって表されるユーザが使用したすべての設定情報を抽出する。
【0118】
ステップS70で抽出された設定情報のように、画像形成装置2で機能を実行しようとしているユーザが使用したことのある設定情報は「第2設定情報」の一例である。
【0119】
なお、ユーザが使用した設定情報は、ユーザ自身が作成した設定情報であっても、他のユーザが作成した設定情報であってもどちらでもよい。
【0120】
一方、ステップS60の判定処理で、ステップS20で取得した生体情報が何れの設定情報の使用者の生体情報でもないと判定された場合、ステップS70の処理を実行することなくステップS80に移行する。
【0121】
ステップS80において、CPU11は、ステップS50及びステップS70の処理で抽出した設定情報、すなわち、ステップS20で取得した生体情報によって表されるユーザが作成した設定情報、及びステップS20で取得した生体情報によって表されるユーザが使用した設定情報を、抽出しなかった他の設定情報よりも優先的に表示ユニット22に表示して、図10に示す表示処理を終了する。
【0122】
ユーザが使用した設定情報が複数存在する場合、CPU11は、例えば使用回数が多い設定情報から順に表示する。
【0123】
ユーザは、自身の利用形態にあわせて画像形成装置2を利用しやすくするために、自身の利用形態に即した設定情報を作成している。したがって、他の設定情報よりも優先的に表示ユニット22に表示する設定情報として、ユーザが作成した設定情報とユーザが使用した設定情報が共に抽出された場合、CPU11は、ユーザが使用した設定情報よりもユーザが作成した設定情報を優先して表示ユニット22に表示する。
【0124】
しかしながら、例えば他のユーザが作成した設定情報であったとしても、その設定情報が自身の利用形態に即していれば使用回数が増加する。すなわち、設定情報の使用回数は、画像形成装置2におけるユーザの利用形態と設定情報の適合度合いを表す。したがって、ユーザが使用した設定情報の使用回数が増えるにつれ、ユーザが作成した設定情報よりも使用回数の多い設定情報を優先的に表示した方がよい場合がある。
【0125】
以上の理由から、CPU11は、使用回数が予め定めた回数以上になっている設定情報が存在する場合、ユーザが作成した設定情報よりも使用回数が予め定めた回数以上になっている設定情報を優先して表示ユニット22に表示することが好ましい。すなわち、CPU11は、ステップS20で取得した生体情報によって表されるユーザによる使用回数が予め定めた回数以上になっている設定情報、ステップS20で取得した生体情報によって表されるユーザが作成した設定情報、及びステップS20で取得した生体情報によって表されるユーザによる使用回数が予め定めた回数未満である設定情報の順に、他の設定情報よりも優先的に表示ユニット22に表示する。
【0126】
使用回数における予め定めた回数は、例えば不揮発性メモリ14に予め記憶されており、ユーザ毎に変更可能である。
【0127】
図10の表示処理に関して、例えばウェアラブル装置を装着したユーザAが画像形成装置2を用いて所望の機能を実行しようとした場合に、CPU11が図2に示したペアリングテーブル18Aと図7に示した履歴テーブル9Bを参照する例について説明する。この場合、ユーザAの生体情報はペアリングテーブル18Aに登録されており、ユーザAが作成し、かつ、ユーザAが使用したことのある設定情報であるPinAと、ユーザA以外のユーザ(具体的にはユーザC)が作成した設定情報であるが、ユーザAが使用したことのある設定情報であるPinBが履歴テーブル9Bに記録されている。したがって、CPU11は、PinA及びPinBをPinCよりも優先的に表示すると共に、PinBより使用回数が多く、ユーザAが作成したPinAをPinBよりも優先的に表示する。
【0128】
<表示処理C>
図9に示す表示処理では、ウェアラブル装置から取得した生体情報を用いて、所望の機能を実行しようとしているユーザが作成した設定情報を他の設定情報よりも優先的に表示する例について説明した。しかしながら、ユーザの生体情報及びユーザが装着しているウェアラブル装置の端末情報を用いて優先的に表示する設定情報を抽出した方が、設定情報の抽出に利用できる情報量が増えるため、ユーザが使用したい設定情報を精度よく表示できる場合がある。
【0129】
図11は、例えばユーザが予め作成された設定情報を使用して所望の機能を実行しようとして、図5に示した実行画面6を表示ユニット22に表示した場合に、画像形成装置2のCPU11によって実行される設定情報の表示処理における流れの一例を示すフローチャートである。
【0130】
図11のステップS100において、CPU11は、図9のステップS10の処理と同様に、所望の機能を実行しようとしているユーザに装着されたウェアラブル装置との間で通信が確立されたか否かを判定する。通信が確立されていない場合、CPU11は、ステップS100の判定処理を繰り返し実行して、ウェアラブル装置と通信が確立されるまで待機する。一方、ウェアラブル装置との間で通信が確立された場合、ステップS110に移行する。
【0131】
ステップS110において、CPU11は、ステップS100の判定処理によって通信の確立が確認されたウェアラブル装置に対して生体情報及び端末情報を要求し、ウェアラブル装置を装着しているユーザ、すなわち、所望の機能を実行しようとしているユーザの生体情報と、ウェアラブル装置の端末情報を取得する。
【0132】
ステップS120において、CPU11は、ステップS110で取得した生体情報及び端末情報の組み合わせと同じ組み合わせの保存情報がペアリングテーブル18に登録されているか否かを判定する。図11に示す表示処理ではウェアラブル装置からユーザの生体情報及びウェアラブル装置の端末情報を取得するため、ペアリングテーブル18にもペアリング時に取得されたユーザの生体情報及びウェアラブル装置の端末情報の組み合わせが登録されている。
【0133】
ステップS110で取得した生体情報及び端末情報の組み合わせがペアリングテーブル18に登録されていない場合、ユーザが装着しているウェアラブル装置とはまだペアリングが終了していないことから、図11に示す表示処理を終了する。なお、ステップS110でウェアラブル装置から生体情報及び端末情報、又は、生体情報が取得できなかった場合も図11に示す表示処理を終了してもよい。
【0134】
一方、ステップS110で取得した生体情報及び端末情報の組み合わせがペアリングテーブル18に登録されている場合にはステップS130に移行する。
【0135】
ステップS130において、CPU11は、ステップS110で取得した生体情報及び端末情報の組み合わせと同じ組み合わせが履歴テーブル9の作成者欄に記録されているか否か、すなわち、ステップS110で取得した生体情報及び端末情報の組み合わせによって表されるユーザが何れかの設定情報の作成者であるか否かを判定する。このように図11に示す表示装置においてCPU11が参照する履歴テーブル9の作成者欄には、ユーザが設定情報を作成した際に取得されたユーザの生体情報、及びウェアラブル装置の端末情報の組み合わせが記録されている。
【0136】
ステップS110で取得した生体情報及び端末情報の組み合わせによって表されるユーザが何れかの設定情報の作成者である場合、ステップS140に移行する。
【0137】
ステップS140において、CPU11は履歴テーブル9を参照して、ステップS110で取得した生体情報及び端末情報の組み合わせによって表されるユーザが作成した設定情報を抽出してステップS170に移行する。換言すれば、CPU11は、履歴テーブル9に記録されている設定情報の中から、作成者欄にステップS110で取得した生体情報及び端末情報の組み合わせと同じ組み合わせが対応付けられている設定情報を抽出する。
【0138】
ステップS110で取得した生体情報及び端末情報によって表されるユーザが作成した設定情報が複数存在する場合、CPU11は、履歴テーブル9に記録されている設定情報の中から、ステップS110で取得した生体情報及び端末情報によって表されるユーザが作成したすべての設定情報を抽出する。
【0139】
一方、ステップS130の判定処理で、ステップS110で取得した生体情報及び端末情報によって表されるユーザが何れの設定情報の作成者でもないと判定された場合、ステップS140の処理を実行することなくステップS170に移行する。
【0140】
ステップS170において、CPU11は、抽出した設定情報を抽出しなかった他の設定情報よりも優先的に表示ユニット22に表示して、図11に示す表示処理を終了する。何れの設定情報もステップS170で抽出されなかった場合、CPU11は、例えば設定情報の作成順のように予め定めた順序で各々の設定情報を表示ユニット22に表示する。
【0141】
図11の表示処理に関して、例えば端末情報が端末Aであるウェアラブル装置を装着したユーザAが画像形成装置2を用いて所望の機能を実行しようとした場合に、CPU11が図2に示したペアリングテーブル18Aと図6に示した履歴テーブル9Aを参照する例について説明する。この場合、ユーザAの生体情報及び端末Aという端末情報の組み合わせを有する保存情報がペアリングテーブル18Aに登録されており、ユーザAが、端末情報が端末Aであるウェアラブル装置を装着していたときに作成した設定情報であるPinAが履歴テーブル9Aに記録されている。したがって、CPU11は、PinAをPinB及びPinCよりも優先的に表示する。
【0142】
なお、ステップS120の判定処理において、ステップS110で取得した端末情報はペアリングテーブル18に登録されているが、ステップS110で取得した生体情報はペアリングテーブル18に登録されていないことがある。例えばペアリング時にユーザが正しくウェアラブル装置を装着していない場合に、ウェアラブル装置の端末情報は取得できるがユーザの生体情報は取得できない状況が発生し、端末情報だけがペアリングテーブル18に登録されることがある。
【0143】
ペアリングテーブル18において、ステップS110で取得した端末情報に対して生体情報が登録されていない場合、CPU11は、ステップS110で取得した生体情報及び端末情報の組み合わせがペアリングテーブル18に登録されていないと判定して、図11に示す表示処理を終了することが好ましい。なぜなら、複数のユーザが同じウェアラブル装置を共有している場合も考えられるからである。
【0144】
しかしながら、CPU11は、ステップS110で取得した端末情報に対して生体情報がペアリングテーブル18に登録されていなくても、ステップS110で取得した端末情報がペアリングテーブル18に登録されていれば、ステップS110で取得した生体情報及び端末情報の組み合わせがペアリングテーブル18に登録されているとみなしてステップS130以降の処理を継続してもよい。このように、CPU11は、ペアリングの登録判定に関する予め定められた設定に従って、ウェアラブル装置からユーザの生体情報が取得できなかった後の処理を実行する。
【0145】
<表示処理D>
図11に示す表示処理では、所望の機能を実行しようとしているユーザの生体情報及びウェアラブル装置の端末情報を用いてユーザが作成した設定情報を抽出し、ユーザが作成した設定情報を他の設定情報よりも優先的に表示する例について説明した。しかしながら、ユーザの生体情報及びウェアラブル装置の端末情報を用いて、ユーザが作成した設定情報に加えて、ユーザがこれまでに使用したことのある設定情報を抽出してもよい。
【0146】
図12は、例えばユーザが予め作成された設定情報を使用して所望の機能を実行しようとして、図5に示した実行画面6を表示ユニット22に表示した場合に、画像形成装置2のCPU11によって実行される設定情報の表示処理における流れの一例を示すフローチャートである。
【0147】
図12に示す表示処理が図11に示した表示処理と異なる点は、ステップS150及びステップS160の処理が追加された点であり、その他の処理は図11に示した表示処理と同じである。したがって、図12に示す表示処理ではステップS150及びステップS160の処理を中心に説明する。
【0148】
ステップS130の判定処理において、ステップS110で取得した生体情報及び端末情報の組み合わせによって表されるユーザが何れかの設定情報の作成者でもないと判定された場合、又はステップS140の処理において、ステップS110で取得した生体情報及び端末情報の組み合わせによって表されるユーザが作成した設定情報を、履歴テーブル9に記録された設定情報の中から抽出した場合にステップS150が実行される。
【0149】
ステップS150において、CPU11は、ステップS110で取得した生体情報及び端末情報の組み合わせと同じ組み合わせが履歴テーブル9の使用履歴欄に記録されているか否か、すなわち、ステップS110で取得した生体情報及び端末情報の組み合わせによって表されるユーザが、履歴テーブル9に記録されている何れかの設定情報を使用したことのある使用者であるか否かを判定する。ステップS110で取得した生体情報及び端末情報の組み合わせによって表されるユーザが何れかの設定情報の使用者の生体情報である場合、ステップS160に移行する。
【0150】
ステップS160において、CPU11は履歴テーブル9を参照して、ステップS110で取得した生体情報及び端末情報の組み合わせによって表されるユーザが使用した設定情報を抽出してステップS170に移行する。換言すれば、CPU11は、履歴テーブル9に記録されている設定情報の中から、使用履歴欄にステップS110で取得した生体情報及び端末情報の組み合わせと同じ組み合わせが対応付けられている設定情報を抽出する。
【0151】
ステップS110で取得した生体情報及び端末情報の組み合わせによって表されるユーザが使用した設定情報が複数存在する場合、CPU11は、履歴テーブル9に記録されている設定情報の中から、ステップS110で取得した生体情報及び端末情報の組み合わせによって表されるユーザが使用したすべての設定情報を抽出する。
【0152】
一方、ステップS150の判定処理で、ステップS110で取得した生体情報及び端末情報の組み合わせによって表されるユーザが、履歴テーブル9に記録されている何れの設定情報も使用したことがないと判定された場合、ステップS160の処理を実行することなくステップS170に移行する。
【0153】
したがって、ステップS170において、所望の機能を実行しようとしているユーザが作成した設定情報に加えて、当該ユーザがこれまでに使用したことのある設定情報も、他の設定情報より優先的に実行画面6に表示される。
【0154】
図10のステップS80の処理で説明したように、ステップS170の処理においても、ユーザが作成した設定情報とユーザが使用した設定情報が共に抽出された場合、CPU11は、ユーザが使用した設定情報よりもユーザが作成した設定情報を優先して表示ユニット22に表示する。また、CPU11は、使用回数が予め定めた回数以上になっている設定情報が存在する場合、ユーザが作成した設定情報よりも使用回数が予め定めた回数以上になっている設定情報を優先して表示ユニット22に表示する。
【0155】
この予め定めた回数は、ユーザの生体情報及びウェアラブル装置の端末情報の組み合わせ毎に変更可能である。
【0156】
図12の表示処理に関して、例えばウェアラブル装置を装着したユーザAが画像形成装置2を用いて所望の機能を実行しようとした場合に、CPU11が図2に示したペアリングテーブル18Aと図6に示した履歴テーブル9Aを参照する例について説明する。この場合、ウェアラブル装置から取得した生体情報及び端末情報の組み合わせと同じ組み合わせがペアリングテーブル18Aに登録されている。また、履歴テーブル9Aでは、ウェアラブル装置から取得した生体情報及び端末情報の組み合わせと同じ組み合わせが、PinAの作成者欄及び使用履歴欄と、PinBの使用履歴欄に記録されている。したがって、例えばCPU11は、PinA及びPinBをPinCよりも優先的に表示すると共に、PinBより使用回数が多く、ユーザAが作成したPinAをPinBよりも優先的に表示する。
【0157】
図12に示した表示処理では、ウェアラブル装置から取得した生体情報及び端末情報の組み合わせを用いて、ユーザが作成した設定情報とユーザが使用した設定情報の両方を抽出したが、ユーザが作成した設定情報、及びユーザが使用した設定情報の何れか一方だけをウェアラブル装置から取得した生体情報及び端末情報の組み合わせを用いて抽出し、他方の設定情報はユーザの生体情報のみを用いて抽出してもよい。
【0158】
<表示処理E>
ユーザによっては複数のウェアラブル装置を所有し、画像形成装置2を利用する場合に、これまで装着したことのないウェアラブル装置を装着していることもある。ペアリングにおいて、画像形成装置2がユーザの生体情報及びウェアラブル装置の端末情報を取得してペアリングテーブル18に登録する場合、同じ生体情報を有するユーザであってもウェアラブル装置の端末情報が異なれば、他のウェアラブル装置によってペアリングが行われたユーザであったとしても新たにペアリングが行われ、取得したユーザの生体情報及びウェアラブル装置の端末情報の組み合わせがペアリングテーブル18に登録される。
【0159】
図13は、複数のウェアラブル装置を所有するユーザが登録されたペアリングテーブル18Bの一例を示す図である。図13のように、例えばユーザAが、端末情報が端末A1であるウェアラブル装置と端末情報が端末A2であるウェアラブル装置を所有している場合、ユーザAの生体情報に対して、それぞれ端末A1と端末A2の端末情報が対応付けられた保存情報がペアリングテーブル18に登録される。
【0160】
また、設定情報が作成された際、及び設定情報が使用された際に、画像形成装置2がユーザの生体情報及びウェアラブル装置の端末情報を取得して、設定情報の作成状況及び使用状況を履歴テーブル9に記録する場合、同じ生体情報を有するユーザであっても装着しているウェアラブル装置の端末情報が異なれば、取得したユーザの生体情報及びウェアラブル装置の端末情報の組み合わせ毎に、生体情報及び端末情報の組み合わせを履歴テーブル9の作成者欄及び使用履歴欄に記録する。
【0161】
図14は、複数のウェアラブル装置を所有するユーザによって設定情報が作成及び使用された場合の履歴テーブル9Dの一例を示す図である。図14のように、例えばユーザAが、端末情報が端末A1であるウェアラブル装置と端末情報が端末A2であるウェアラブル装置をそれぞれ装着して設定情報を作成及び使用した場合、ユーザの生体情報及びウェアラブル装置の端末情報の組み合わせ毎に設定情報の作成状況及び使用状況が履歴テーブル9に記録される。図14の履歴テーブル9Dの例では、ユーザAは端末情報が端末A1であるウェアラブル装置を装着して作成した設定情報であるPinAを、端末情報が端末A1であるウェアラブル装置を装着した状態で5回使用したことが記録されている。また、ユーザAは端末情報が端末A2であるウェアラブル装置を装着して作成した設定情報であるPinBを、端末情報が端末A2であるウェアラブル装置を装着した状態で1回使用したことが記録されている。
【0162】
図14に示す履歴テーブル9の例では、Pin欄に記録されている設定情報名によって表される設定情報が、画像形成装置2が備える何れの機能に関する設定情報であるかが記録されている。このように、CPU11は、ユーザが作成した設定情報に、何れの機能に関する設定情報であるのかを示す機能情報を対応付けて履歴テーブル9に記録してもよい。
【0163】
次に、複数のウェアラブル装置を所有するユーザによる画像形成装置2の使用例について説明する。図15は、例えば複数のウェアラブル装置を所有するユーザが予め作成された設定情報を使用して所望の機能を実行しようとして、図5に示した実行画面6を表示ユニット22に表示した場合に、画像形成装置2のCPU11によって実行される設定情報の表示処理における流れの一例を示すフローチャートである。
【0164】
図15に示す表示処理が図12に示した表示処理と異なる点は、ステップS130~S160の処理がステップS131~S135の処理に置き換えられた点であり、その他の処理は図12に示した表示処理と同じである。したがって、図15に示す表示処理ではステップS131~S135の処理を中心に説明する。
【0165】
ステップS120の判定処理において、ステップS110で取得した生体情報及び端末情報の組み合わせがペアリングテーブル18に登録されている場合、ステップS131が実行される。
【0166】
ステップS131において、CPU11は、ステップS110で取得した生体情報及び端末情報の組み合わせと同じ組み合わせが履歴テーブル9の作成者欄及び使用履歴欄の少なくとも一方に記録されているか否かを判定する。ステップS110で取得した生体情報及び端末情報の組み合わせと同じ組み合わせが履歴テーブル9の作成者欄及び使用履歴欄の少なくとも一方に記録されている場合、ステップS132に移行する。
【0167】
ステップS132において、CPU11は、履歴テーブル9の作成者欄及び使用履歴欄の少なくとも一方において、ステップS110で取得した生体情報及び端末情報の組み合わせと同じ組み合わせを有する設定情報を履歴テーブル9からすべて抽出する。これにより、ステップS110で取得した生体情報及び端末情報の組み合わせによって表されるユーザが作成した設定情報、及び使用した設定情報が履歴テーブル9から抽出される。なお、ステップS132の処理で履歴テーブル9から抽出した設定情報を、特に「主設定情報」という。
【0168】
次に、CPU11は、ステップS110で取得した生体情報及び端末情報の組み合わせによって表されるユーザが、ステップS110で取得した端末情報以外の他の端末情報を有する他のウェアラブル装置を装着して設定情報の作成及び使用の少なくとも一方を行ったことがないか確認する。
【0169】
そのため、ステップS133において、CPU11はペアリングテーブル18を参照して、ステップS110で取得した生体情報に、ステップS110で取得した端末情報以外の他の端末情報が対応付けられているか否かを判定する。ステップS110で取得した生体情報に他の端末情報が対応付けられている場合には、当該他の端末情報を取得してステップS134に移行する。
【0170】
この場合、ステップS110で取得した生体情報によって表されるユーザには、ステップS132の処理で抽出した設定情報以外に、当該ユーザが作成又は使用した設定情報が存在する可能性がある。
【0171】
したがって、ステップS134において、CPU11は、ステップS110で取得した生体情報、及びステップS133の肯定判定後に取得した他の端末情報の組み合わせと同じ組み合わせが履歴テーブル9の作成者欄及び使用履歴欄の少なくとも一方に記録されているか否かを判定する。ステップS110で取得した生体情報、及びステップS133の肯定判定後に取得した他の端末情報の組み合わせと同じ組み合わせが履歴テーブル9の作成者欄及び使用履歴欄の少なくとも一方に記録されている場合、ステップS135に移行する。
【0172】
この場合、履歴テーブル9の作成者欄及び使用履歴欄の少なくとも一方に、ステップS110で取得した生体情報、及びステップS133の肯定判定後に取得した他の端末情報の組み合わせと同じ組み合わせが記録されていることになる。
【0173】
したがって、ステップS135において、CPU11は、履歴テーブル9の作成者欄及び使用履歴欄の少なくとも一方において、ステップS110で取得した生体情報、及びステップS133の肯定判定後に取得した他の端末情報の組み合わせと同じ組み合わせを有する設定情報を履歴テーブル9からすべて抽出してステップS170に移行する。なお、ステップS135の処理で履歴テーブル9から抽出した設定情報を、特に「派生設定情報」という。
【0174】
一方、ステップS133の判定処理において、ステップS110で取得した生体情報にはステップS110で取得した端末情報以外の他の端末情報が対応付けられていないと判定された場合、及び、ステップS134の判定処理において、ステップS110で取得した生体情報、及びステップS133の肯定判定後に取得した他の端末情報の組み合わせと同じ組み合わせが履歴テーブル9の作成者欄及び使用履歴欄の何れにも記録されていないと判定された場合、ステップS135の処理を実行することなくステップS170に移行する。
【0175】
以上により、ステップS170において、主設定情報に加え、所望の機能を実行しようとしているユーザが装着しているウェアラブル装置以外の他のウェアラブル装置を装着して当該ユーザが作成又は使用した設定情報、すなわち、派生設定情報も抽出されなかった他の設定情報より優先的に実行画面6に表示される。
【0176】
なお、ユーザは、所望の機能を実行しようとしている際に装着しているウェアラブル装置とは異なるウェアラブル装置を装着していた場合に作成又は使用した設定情報よりも、実際に装着しているウェアラブル装置と同じウェアラブル装置を装着していた場合に作成又は使用した設定情報を選択する蓋然性が高い。したがって、主設定情報と派生設定情報が存在する場合、CPU11は、主設定情報を派生設定情報よりも優先的に表示することが好ましい。
【0177】
図15の表示処理に関して、例えば端末情報が端末A2であるウェアラブル装置を装着したユーザAが画像形成装置2を用いて所望の機能を実行しようとした場合に、CPU11が図13に示したペアリングテーブル18Bと図14に示した履歴テーブル9Dを参照する例について説明する。この場合、ウェアラブル装置から取得した生体情報及び端末情報の組み合わせと同じ組み合わせがペアリングテーブル18Aに登録されている。また、履歴テーブル9Dでは、ウェアラブル装置から取得した生体情報及び端末情報の組み合わせと同じ組み合わせが、PinBの作成者欄及び使用履歴欄に記録されている。一方で、図13に示したペアリングテーブル18Bにおいて、ウェアラブル装置から取得したユーザAの生体情報には、端末A2の他に端末A1で表される端末情報が対応付けられている。また、履歴テーブル9Dでは、ウェアラブル装置から取得した生体情報及び端末A1で表される端末情報の組み合わせと同じ組み合わせが、PinAの作成者欄及び使用履歴欄に記録されている。したがって、例えばCPU11は、PinA及びPinBをPinC及びPinDよりも優先的に表示すると共に、派生設定情報であるPinAより主設定情報であるPinBをPinAよりも優先的に表示する。
【0178】
なお、ユーザが装着しているウェアラブル装置の種類とユーザが利用する機能との間には相関がみられることがある。例えばユーザの視線方向にある文字を読み取って画像形成装置2に送信する機能を備えた眼鏡型ウェアラブル装置をユーザが所有している状況において、ユーザが請求書の宛先を読み取って画像形成装置2に送信し、ファックスの宛先を自動的に設定したい場合、ユーザは当該眼鏡型ウェアラブル装置を利用すれば、視線を請求書の宛先に向けるだけで請求書の宛先が画像形成装置2に送信されるため、当該眼鏡型ウェアラブル装置を装着すると考えられる。また、画面から選択したファイルを画像形成装置2に送信する機能を備えた腕時計型ウェアラブル装置をユーザが所有している状況において、画像形成装置2でファイルの内容を記録媒体に印刷したい場合、ユーザは当該腕時計型ウェアラブル装置を利用すれば、わざわざ鞄等からスマートフォン等の情報機器を取り出さなくても腕時計型ウェアラブル装置から印刷したいファイルを選択できるため、当該腕時計型ウェアラブル装置を装着すると考えられる。
【0179】
したがって、ウェアラブル装置の端末情報と当該端末情報が取得された場合に利用される蓋然性の高い機能とを対応付けた情報を例えば予め不揮発性メモリ14に記憶しておく。そのうえで、CPU11が参照する履歴テーブル9として、例えば図14に示したような設定情報に機能情報が対応付けられた履歴テーブル9Dを用いれば、CPU11は、図15のステップS170において、図15のステップS132及びS135の処理で抽出した設定情報のうち、取得した端末情報と対応付けられた機能に関する設定情報をより優先的に実行画面6に表示してもよい。
【0180】
<表示処理F>
ウェアラブル装置は、ユーザの生体情報及びウェアラブル装置の端末情報以外の情報も取得可能である。
【0181】
例えばカメラを備えたウェアラブル装置は映像を取得し、マイクを備えたウェアラブル装置は音声を取得し、GPSセンサのように位置を計測する位置センサを備えたウェアラブル装置は位置情報を取得する。
【0182】
映像はユーザの行動や周囲の状況を記録し、音声はユーザの言動を記録し、位置情報はユーザのいる場所を表すことから、映像、音声、及び位置情報は、所望の機能を実行しようとしているユーザがどのような状況にあるのかを表す情報の一例である。このように、ユーザの生体情報及びウェアラブル装置の端末情報以外の情報であって、各々のウェアラブル装置に備えられた機能によって取得可能なユーザの状況を表す情報を「追加情報」という。
【0183】
画像形成装置2がウェアラブル装置から追加情報を取得すれば、ユーザがどのような状況にあるのかわかる。したがって、ユーザが画像形成装置2で所望の機能を利用するにあたり、画像形成装置2が追加情報も参考にして複数の設定情報の中からユーザが使用しそうな設定情報を抽出すれば、ユーザの生体情報及びウェアラブル装置の端末情報のみを用いて設定情報を抽出する場合よりも、ユーザが使用しそうな設定情報を精度よく実行画面6に表示できる場合がある。
【0184】
したがって、画像形成装置2がウェアラブル装置からユーザの生体情報及びウェアラブル装置の端末情報の他に追加情報も取得して、ユーザが使用しそうな設定情報を表示する例について説明する。
【0185】
図16は、例えばユーザが予め作成された設定情報を使用して所望の機能を実行しようとして、図5に示した実行画面6を表示ユニット22に表示した場合に、画像形成装置2のCPU11によって実行される設定情報の表示処理における流れの一例を示すフローチャートである。
【0186】
図16に示す表示処理が図12に示した表示処理と異なる点は、ステップS110がステップS110Aに置き換えられ、ステップS160とステップS170の処理の間にステップS162及びステップS164が追加された点である。その他の処理は図12に示した表示処理と同じである。したがって、図16に示す表示処理ではステップS110A、ステップS162、及びステップS164の処理を中心に説明する。
【0187】
ユーザに装着されたウェアラブル装置と通信が確立した後にステップS110Aが実行される。
【0188】
ステップS110Aにおいて、CPU11は、通信が確立されたウェアラブル装置に対して生体情報、端末情報、及び追加情報を要求し、所望の機能を実行しようとしているユーザの生体情報と、ウェアラブル装置の端末情報と、追加情報を取得する。
【0189】
既に説明したように、図12のステップS130~ステップS160の処理において、CPU11は、ユーザの生体情報及びウェアラブル装置の端末情報を用いて、生体情報及び端末情報の組み合わせによって表されるユーザが作成及び使用した設定情報を抽出する。
【0190】
その後、ステップS162において、CPU11は、ステップS110Aで取得した追加情報の内容を解析し、追加情報からユーザの状況を推定する。
【0191】
例えば取得した追加情報が映像である場合、CPU11は、公知の画像解析手法を用いて映像に映っている内容を推定する。なお、映像は動画であっても静止画であってもよい。例えば取得した追加情報が音声である場合、CPU11は、公知の音声解析手法を用いてユーザが発した言葉を推定したり、ユーザの周囲の環境音を推定したりする。例えば取得した追加情報が位置情報である場合、CPU11は、時系列に沿った位置情報を用いてユーザの移動経路を推定する。
【0192】
なお、映像と音声というように種類の異なる追加情報をウェアラブル装置から取得した場合、CPU11は、取得した追加情報毎にユーザの状況を推定してもよい。
【0193】
ステップS164において、CPU11は履歴テーブル9を参照して、ステップS162の処理で推定したユーザの状況からみてユーザが使用する蓋然性が高い設定情報を抽出する。
【0194】
具体的には、ユーザがUSB(Universal Serial Bus)メモリを持っている映像が追加情報として取得された場合、ユーザは、USBメモリに記憶されているファイルを用いた機能を実行する蓋然性が高い。したがって、CPU11は、例えばUSBメモリに記憶されているファイルの内容を記録媒体に形成する画像形成機能に関する設定情報を抽出する。また、「カラーコピー」という言葉が記録された音声が追加情報として取得された場合、ユーザは、コピー機能を実行する蓋然性が高い。したがって、CPU11は、例えばコピー機能に関する設定情報を抽出する。また、ユーザが見積書に対してOCR処理を行い、見積書の内容をデータ化する部署から来た位置情報が追加情報として取得された場合、ユーザは、スキャナ機能を実行する蓋然性が高い。したがって、CPU11は、スキャナ機能に関する設定情報を抽出する。
【0195】
こうしたユーザの状況に対する設定情報の抽出は、CPU11が、ユーザの状況毎にユーザが使用する蓋然性が高いと思われる設定情報を予め関連付けた情報を参照することによって行われる。
【0196】
ステップS170において、CPU11は、抽出した設定情報を抽出しなかった他の設定情報よりも優先的に表示ユニット22に表示して、図16に示す表示処理を終了する。したがって、ステップS170において、所望の機能を実行しようとしているユーザが作成及び使用した設定情報に加えて、追加情報によって表されるユーザの状況から使用する蓋然性が高い設定情報も、他の設定情報より優先的に実行画面6に表示される。
【0197】
当然のことながら、上記で説明した追加情報による設定情報の抽出を、図9図11、及び図15に示した各表示処理に適用してもよいことは言うまでもない。
【0198】
以上、実施形態を用いて本開示に係る画像形成装置2の一態様について説明したが、開示した画像形成装置2の形態は一例であり、画像形成装置2の形態は実施形態に記載の範囲に限定されない。本開示の要旨を逸脱しない範囲で実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、当該変更又は改良を加えた形態も開示の技術的範囲に含まれる。例えば、本開示の要旨を逸脱しない範囲で、図9図12図15、及び図16に示した各表示処理内の処理順序を変更してもよい。
【0199】
また、実施形態では、一例として各表示処理をソフトウェアで実現する形態について説明した。しかしながら、図9図12図15、及び図16に示したフローチャートと同等の処理をハードウェアで処理させるようにしてもよい。この場合、各表示処理をソフトウェアで実現した場合と比較して処理の高速化が図られる。
【0200】
上記の実施形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU11)や、専用のプロセッサ(例えば GPU:Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。
【0201】
また、上記の実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記の実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0202】
上記の実施形態では、ROM12に情報処理プログラムが記憶されている例について説明したが、情報処理プログラムの記憶先はROM12に限定されない。本開示の情報処理プログラムは、コンピュータ10で読み取り可能な記憶媒体に記録された形態で提供することも可能である。例えば情報処理プログラムをCD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、及びブルーレイディスクのような光ディスクに記録した形態で提供してもよい。また、情報処理プログラムを、USBメモリ及びメモリカードのような可搬型の半導体メモリに記録した形態で提供してもよい。ROM12、不揮発性メモリ14、CD-ROM、DVD-ROM、ブルーレイディスク、USB、及びメモリカードは非一時的(non-transitory)記憶媒体の一例である。
【0203】
更に、情報処理装置の一例である画像形成装置2は、通信ユニット20を通じて通信回線に接続された外部装置から情報処理プログラムをダウンロードし、ダウンロードした情報処理プログラムを記憶装置に記憶してもよい。この場合、画像形成装置2のCPU11は、外部装置からダウンロードした情報処理プログラムを読み込んで各表示処理を実行する。
【0204】
以下に本実施形態に係る付記を示す。
【0205】
(((1)))
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
ウェアラブル端末と通信が確立した場合に、前記ウェアラブル端末を装着しているユーザの生体情報を前記ウェアラブル端末から取得し、
機能の実行に先立って機能の動作属性を設定する設定情報が作成された際に取得された生体情報が対応付けられている複数の前記設定情報の中から、新たに取得した生体情報と同じ生体情報が対応付けられている前記設定情報を第1設定情報として抽出し、
抽出した前記第1設定情報を、他の前記設定情報よりも優先して表示装置に表示する
情報処理装置。
【0206】
(((2)))
前記設定情報には、前記設定情報が使用された際に前記ウェアラブル端末から取得された生体情報と、取得された生体情報によって表されるユーザ毎の前記設定情報の使用回数が更に対応付けられており、
前記プロセッサは、新たに取得した生体情報と同じ生体情報が、前記設定情報が使用された際に取得された生体情報として対応付けられている前記設定情報を第2設定情報として抽出し、
抽出した前記第1設定情報と前記第2設定情報を、他の前記設定情報よりも優先して前記表示装置に表示する
(((1)))に記載の情報処理装置。
【0207】
(((3)))
前記設定情報には、前記設定情報が作成された際に前記ウェアラブル端末から取得した前記ウェアラブル端末を識別する端末情報が更に対応付けられており、
前記プロセッサは、前記ウェアラブル端末から新たに取得した生体情報及び端末情報と同じ組み合わせが、前記設定情報が作成された際に取得された生体情報と端末情報として対応付けられている前記設定情報を前記第1設定情報として複数の前記設定情報の中から抽出する
(((2)))に記載の情報処理装置。
【0208】
(((4)))
前記設定情報には、前記設定情報が使用された際に前記ウェアラブル端末から取得した端末情報と、取得した端末情報によって表されるウェアラブル端末を装着したユーザ毎の前記設定情報の使用回数が更に対応付けられており、
前記プロセッサは、前記ウェアラブル端末から新たに取得した生体情報及び端末情報と同じ組み合わせが、前記設定情報が使用された際に取得された生体情報と端末情報として対応付けられている前記設定情報を前記第2設定情報として複数の前記設定情報の中から抽出する
(((3)))に記載の情報処理装置。
【0209】
(((5)))
前記プロセッサは、前記ウェアラブル端末と初めて通信が確立した場合に前記ウェアラブル端末から取得した前記ウェアラブル端末を識別する端末情報と、前記ウェアラブル端末を装着しているユーザの生体情報との組み合わせを生体情報毎に保存した保存情報に、新たに取得した生体情報が含まれる場合、前記保存情報において新たに取得した生体情報と対応付けられている端末情報のうち、新たに取得した生体情報と共に取得された端末情報以外の他の端末情報を取得し、新たに取得した生体情報と前記他の端末情報との組み合わせが対応付けられている前記設定情報を複数の前記設定情報の中から抽出し、
抽出した前記設定情報を、前記第1設定情報及び前記第2設定情報と共に他の前記設定情報よりも優先して前記表示装置に表示する
(((4)))に記載の情報処理装置。
【0210】
(((6)))
前記プロセッサは、前記第2設定情報よりも前記第1設定情報を優先して前記表示装置に表示する
(((2)))~(((5)))の何れか1つに記載の情報処理装置。
【0211】
(((7)))
新たに取得した生体情報によって表されるユーザによって使用された前記第2設定情報の使用回数が予め定めた回数以上である場合、
前記プロセッサは、前記第1設定情報よりも使用回数が前記予め定めた回数以上になっている前記第2設定情報を優先して前記表示装置に表示するように表示を切り替える
(((6)))に記載の情報処理装置。
【0212】
(((8)))
前記プロセッサは、前記ウェアラブル端末を装着したユーザの状況を表す追加情報を前記ウェアラブル端末から更に取得し、
前記第1設定情報及び前記第2設定情報以外の前記設定情報の中から、前記追加情報によって表されるユーザの状況に対して予め関連付けられている前記設定情報を抽出し、
前記追加情報を用いて抽出した前記設定情報を前記第1設定情報と前記第2設定情報と共に、他の前記設定情報よりも優先して前記表示装置に表示する
(((7)))に記載の情報処理装置。
【0213】
(((9)))
前記追加情報は、前記ウェアラブル端末によって記録された映像、音声、及び位置情報の少なくとも1つによって表される
(((8)))に記載の情報処理装置。
【0214】
(((10)))
プロセッサに、
ウェアラブル端末と通信が確立した場合に、前記ウェアラブル端末を装着しているユーザの生体情報を前記ウェアラブル端末から取得し、
機能の実行に先立って機能の動作属性を設定する設定情報が作成された際に取得された生体情報が対応付けられている複数の前記設定情報の中から、新たに取得した生体情報と同じ生体情報が対応付けられている前記設定情報を第1設定情報として抽出し、
抽出した前記第1設定情報を、他の前記設定情報よりも優先して表示装置に表示する処理を実行させるための
情報処理プログラム。
【0215】
(((1)))、及び(((10)))によれば、ユーザ認証が行われないために、各々のユーザが作成した機能の設定情報が混在して一覧表示される場合と比較して、ユーザが所望する設定情報を見つけやすくすることができる、という効果を有する。
【0216】
(((2)))によれば、ユーザが作成した設定情報に加えて、ユーザが使用したことのある設定情報も他の設定情報より優先して表示装置に表示することができる、という効果を有する。
【0217】
(((3)))によれば、優先して表示する設定情報を生体情報のみを用いて抽出する場合と比較して、ユーザが所望する設定情報を精度よく表示することができる、という効果を有する。
【0218】
(((4)))によれば、生体情報及び端末情報を用いて抽出する設定情報をユーザが作成した設定情報に限定する場合と比較して、ユーザが所望する設定情報を精度よく表示することができる、という効果を有する。
【0219】
(((5)))によれば、取得した生体情報及び端末情報の組み合わせに対応していない設定情報であっても、ユーザに関連した設定情報であれば優先して表示することができる、という効果を有する。
【0220】
(((6)))によれば、ユーザが使用したことのある設定情報よりも、ユーザが作成した設定情報を見つけやすくすることができる、という効果を有する。
【0221】
(((7)))によれば、ユーザによる設定情報の使用状況に応じて、優先して表示する設定情報を変更することができる、という効果を有する。
【0222】
(((8)))によれば、優先して表示する設定情報を生体情報及び端末情報の少なくとも一方を用いて抽出する場合と比較して、ユーザが所望する設定情報を精度よく表示することができる、という効果を有する。
【0223】
(((9)))によれば、優先して表示する設定情報の抽出に、ユーザの言動や様子を記録した情報を利用することができる、という効果を有する。
【符号の説明】
【0224】
1 メニュー画面
2 画像形成装置(情報処理装置)
3 メニューボタン
4 設定画面
4A 実行ボタン
5 リスト
6 実行画面
7 スクロールバー
8 リスト項目
9(9A~9D) 履歴テーブル
10 コンピュータ
11 CPU
12 ROM
13 RAM
14 不揮発性メモリ
15 I/O
16 バス
18(18A、18B) ペアリングテーブル
20 通信ユニット
21 入力ユニット
22 表示ユニット
23 画像形成ユニット
24 スキャナユニット
25 ファックスユニット
図1
図2
図3
図4
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