(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108914
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】制御装置、測定方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G05B 19/416 20060101AFI20240805BHJP
【FI】
G05B19/416 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023013563
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】近藤 純平
【テーマコード(参考)】
3C269
【Fターム(参考)】
3C269AB01
3C269AB31
3C269BB05
3C269CC02
3C269CC15
3C269EF03
3C269EF15
3C269MN27
(57)【要約】
【課題】短縮可能な停止時間をユーザに示すことができる制御装置、測定方法及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】制御装置は、駆動軸を有する工作機械を制御する制御装置であって、前記駆動軸が基準速度で初期位置から移動を開始する場合に、前記駆動軸が目標位置に到達する基準時点から待機時間が経過した時点と、前記駆動軸の所在位置及び前記目標位置の差分が所定範囲内の値になった時点との間の短縮可能時間を測定する時間測定部を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動軸を有する工作機械を制御する制御装置であって、
前記駆動軸が基準速度で初期位置から移動を開始する場合に、前記駆動軸が目標位置に到達する基準時点から待機時間が経過した時点と、前記駆動軸の所在位置及び前記目標位置の差分が所定範囲内の値になった時点との間の短縮可能時間を測定する時間測定部
を備える制御装置。
【請求項2】
前記待機時間は、前記駆動軸の加速又は減速を行うための時定数に基づいて定まる
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記時定数は予め定められた値である
請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記時定数は、前記駆動軸の第一移動指令に対応した第一時定数と、前記第一移動指令の後に連続して実行され、前記駆動軸の第二移動指令に対応した第二時定数とを含み、
前記待機時間は、前記第一時定数と前記第二時定数との差分に基づいて定まる
請求項2に記載の制御装置。
【請求項5】
前記待機時間は、前記基準時点と、前記基準速度の大きさに対する前記駆動軸の速度の大きさの割合が予め定めた所定値となる時点との間の時間である
請求項1に記載の制御装置。
【請求項6】
前記待機時間は、前記基準時点と、前記所在位置及び前記目標位置の差分が前記所定範囲よりも大きい第2所定範囲内の値になった時点との間の時間である
請求項1に記載の制御装置。
【請求項7】
前記待機時間は予め定めた値である
請求項1に記載の制御装置。
【請求項8】
前記時間測定部にて測定された前記短縮可能時間を出力する出力部を備える
請求項1から7のいずれか一つに記載の制御装置。
【請求項9】
前記駆動軸の移動指令を少なくとも一つ読み出す読出部を備え、
前記時間測定部は、前記読出部にて読み出した各移動指令に対応する各短縮可能時間を測定し、
前記出力部は、前記各短縮可能時間の合計を表示するための信号を出力する
請求項8に記載の制御装置。
【請求項10】
前記出力部は、前記工作機械の主軸に装着された工具に紐づけて前記短縮可能時間を表示するための信号を出力する
請求項8に記載の制御装置。
【請求項11】
前記出力部は、前記工作機械の主軸に工具が装着されてから工具交換が行われるまでの間における切削時間及び被切削時間と、前記短縮可能時間とを表示するための信号を出力する
請求項8に記載の制御装置。
【請求項12】
前記出力部は、前記短縮可能時間を表又はグラフによって表示するための信号を出力する
請求項8に記載の制御装置。
【請求項13】
前記駆動軸の移動指令を読み出す読出部を備え、
前記所定範囲は第一範囲と、前記第一範囲とは異なる第二範囲とを含み、
前記時間測定部は、前記読出部にて読み出した前記移動指令が前記第一範囲を使用する場合、前記第一範囲に対応する第一短縮可能時間を測定し、前記読出部にて読み出した前記移動指令が前記第二範囲を使用する場合、前記第二範囲に対応する第二短縮可能時間を測定する
請求項8に記載の制御装置。
【請求項14】
駆動軸を有する工作機械における短縮可能な時間を測定する測定方法であって、
前記駆動軸が基準速度で所在位置から移動を開始する場合に、前記駆動軸が目標位置に到達する基準時点から待機時間が経過した時点と、前記所在位置及び前記目標位置の差分が所定範囲内の値になった時点との間の短縮可能時間を測定する
測定方法。
【請求項15】
駆動軸を有する工作機械の制御装置にて実行可能なコンピュータプログラムであって、
前記制御装置に、
駆動軸が基準速度で所在位置から移動を開始する場合に、前記駆動軸が目標位置に到達する基準時点から待機時間が経過した時点と、前記所在位置及び前記目標位置の差分が所定範囲内の値になった時点との間の短縮可能時間を測定する
処理を実行させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、工作機械を制御する制御装置、工作機械における短縮可能な時間を測定する測定方法及び前記制御装置にて実行可能なコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
停止要因と停止要因に基づく停止時間とを取得し、表示部に表示する工作機械が提案されている。作業者は停止時間の短縮を図り、生産性の向上を図る。停止要因はインポジションチェックに起因する停止要因を含む。作業者はインポジションチェックによる停止時間を容易に特定できる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1においてインポジションチェックによる停止時間は、短縮不可能な時間を含む。
【0005】
本開示は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、短縮可能な停止時間をユーザに示すことができる制御装置、測定方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る制御装置は、駆動軸を有する工作機械を制御する制御装置であって、前記駆動軸が基準速度で初期位置から移動を開始する場合に、前記駆動軸が目標位置に到達する基準時点から待機時間が経過した時点と、前記駆動軸の所在位置及び前記目標位置の差分が所定範囲内の値になった時点との間の短縮可能時間を測定する時間測定部を備える。
【0007】
本開示においては、基準時点から待機時間が経過した時点と、駆動軸の所在位置及び目標位置の差分が所定範囲内の値になった時点との間の短縮可能時間を測定する。
【0008】
本開示の一実施形態に係る制御装置は、前記待機時間は、前記駆動軸の加速又は減速を行うための時定数に基づいて定まる。
【0009】
本開示においては、待機時間を駆動軸の加速又は減速を行うための時定数に基づいて定める。
【0010】
本開示の一実施形態に係る制御装置は、前記時定数は予め定められた値である。
【0011】
本開示においては、予め定められた時定数に基づいて待機時間を定める。
【0012】
本開示の一実施形態に係る制御装置は、前記時定数は、前記駆動軸の第一移動指令に対応した第一時定数と、前記第一移動指令の後に連続して実行され、前記駆動軸の第二移動指令に対応した第二時定数とを含み、前記待機時間は、前記第一時定数と前記第二時定数との差分に基づいて定まる。
【0013】
本開示においては、第一時定数と第二時定数との差分に基づいて待機時間を定める。
【0014】
本開示の一実施形態に係る制御装置は、前記待機時間は、前記基準時点と、前記基準速度の大きさに対する前記駆動軸の速度の大きさの割合が予め定めた所定値となる時点との間の時間である。
【0015】
本開示においては、基準時点と、基準速度の大きさに対する駆動軸の速度の大きさの割合が予め定めた所定値となる時点との間の時間を待機時間にする。
【0016】
本開示の一実施形態に係る制御装置は、前記待機時間は、前記基準時点と、前記所在位置及び前記目標位置の差分が前記所定範囲よりも大きい第2所定範囲内の値になった時点との間の時間である。
【0017】
本開示においては、基準時点と、所在位置及び目標位置の差分が第2所定範囲内の値になった時点との間の時間を待機時間にする。
【0018】
本開示の一実施形態に係る制御装置は、前記待機時間は予め定めた値である。
【0019】
本開示においては、待機時間を予め定める。
【0020】
本開示の一実施形態に係る制御装置は、前記時間測定部にて測定された時間を出力する出力部を備える。
【0021】
本開示においては、時間測定部にて測定された時間を出力部から、例えば表示部に出力する。
【0022】
本開示の一実施形態に係る制御装置は、前記駆動軸の移動指令を少なくとも一つ読み出す読出部を備え、前記時間測定部は、前記読出部にて読み出した各移動指令に対応する各短縮可能時間を測定し、前記出力部は、前記各短縮可能時間の合計を表示するための信号を出力する。
【0023】
本開示においては、読出部にて読み出した各移動指令に対応する各短縮可能時間を測定し、各短縮可能時間の合計を表示するための信号を出力する。
【0024】
本開示の一実施形態に係る制御装置は、前記出力部は、前記工作機械の主軸に装着された工具に紐づけて前記短縮可能時間を表示するための信号を出力する。
【0025】
本開示においては、主軸に装着された工具に紐づけて短縮可能時間を表示するための信号を出力する。
【0026】
本開示の一実施形態に係る制御装置は、前記出力部は、前記工作機械の主軸に工具が装着されてから工具交換が行われるまでの間における切削時間及び被切削時間と、前記短縮可能時間とを表示するための信号を出力する。
【0027】
本開示においては、主軸に工具が装着されてから工具交換が行われるまでの間における切削時間及び被切削時間と、短縮可能時間とを表示するための信号を出力する。
【0028】
本開示の一実施形態に係る制御装置は、前記出力部は、前記短縮可能時間を表又はグラフによって表示するための信号を出力する。
【0029】
本開示においては、短縮可能時間を表又はグラフによって表示するための信号を出力する。
【0030】
本開示の一実施形態に係る制御装置は、前記駆動軸の移動指令を読み出す読出部を備え、前記所定範囲は第一範囲と、前記第一範囲とは異なる第二範囲とを含み、前記時間測定部は、前記読出部にて読み出した前記移動指令が前記第一範囲を使用する場合、前記第一範囲に対応する第一短縮可能時間を測定し、前記読出部にて読み出した前記移動指令が前記第二範囲を使用する場合、前記第二範囲に対応する第二短縮可能時間を測定する。
【0031】
本開示においては、読み出した移動指令が第一範囲を含む場合、第一範囲に対応する第一短縮可能時間を測定し、読み出した移動指令が第二範囲を含む場合、第二範囲に対応する第二短縮可能時間を測定する。
【0032】
本開示の一実施形態に係る測定方法は、駆動軸を有する工作機械における短縮可能な時間を測定する測定方法であって、前記駆動軸が基準速度で所在位置から移動を開始する場合に、前記駆動軸が目標位置に到達する基準時点から待機時間が経過した時点と、前記所在位置及び前記目標位置の差分が所定範囲内の値になった時点との間の短縮可能時間を測定する。
【0033】
本開示においては、基準時点から待機時間が経過した時点と、駆動軸の所在位置及び目標位置の差分が所定範囲内の値になった時点との間の短縮可能時間を測定する。
【0034】
本開示の一実施形態に係るコンピュータプログラムは、駆動軸を有する工作機械の制御装置にて実行可能なコンピュータプログラムであって、前記制御装置に、駆動軸が基準速度で所在位置から移動を開始する場合に、前記駆動軸が目標位置に到達する基準時点から待機時間が経過した時点と、前記所在位置及び前記目標位置の差分が所定範囲内の値になった時点との間の短縮可能時間を測定する。
【0035】
本開示においては、基準時点から待機時間が経過した時点と、駆動軸の所在位置及び目標位置の差分が所定範囲内の値になった時点との間の短縮可能時間を測定する。
【発明の効果】
【0036】
本開示の一実施形態に係る制御装置、測定方法及びコンピュータプログラムにあっては、基準時点から待機時間が経過した時点と、駆動軸の所在位置及び目標位置の差分が所定範囲内の値になった時点との間の短縮可能時間を測定する。そのため短縮可能時間を作業者に示すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】実施の形態1に係る工作機械の斜視図である。
【
図2】工具交換装置及び軌道を覆うカバー等を省略した工作機械の斜視図である。
【
図4】インポジション待ち時間を説明するグラフである。
【
図10】制御部による短縮可能時間測定処理を説明するフローチャートである。
【
図11】時短可能処理に関する情報を表示する表示部の一例を示す画面図である。
【
図12】各工具番号に対応したインポジション待ち時間を示す円グラフである。
【
図13】各工具番号のインポジション待ち時間を示す棒グラフである。
【
図14】実施の形態2に係るインポジション待ち時間を説明するグラフである。
【
図15】時短可能処理に関する情報を表示する表示部の一例を示す画面図である。
【
図16】第1インポジション待ち時間及び第2インポジション待ち時間を示す棒グラフである。
【
図17】第1インポジション待ち時間及び第2インポジション待ち時間を示す棒グラフである。
【
図18】実施の形態3に係る制御部による短縮可能時間測定処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
(実施の形態1)
以下本発明を実施の形態1に係る工作機械を示す図面に基づいて説明する。以下の説明では図中の上下前後左右を使用する。
図1は工作機械の斜視図であり、
図2は工具交換装置及び軌道を覆うカバー等を省略した工作機械の斜視図である。
【0039】
工作機械100は、制御装置4、基台20、Y軸方向移動装置22、X軸方向移動装置26、立柱28、Z軸方向移動装置30、主軸ヘッド32、工具交換装置10等を備える。X軸方向は左右方向に対応し、Y軸方向は前後方向に対応し、Z軸方向は上下方向に対応する。基台20は床面上に固定してある。基台20は、Y軸方向移動装置22、X軸方向移動装置26を介して立柱28を前後方向及び左右方向に移動可能に支持する。
【0040】
基台20の前部はワーク保持装置120を支持する。ワーク保持装置120はA軸モータ124及びC軸モータ79を備える(
図3参照)。A軸は左右に延びる。A軸モータ124の駆動によってワーク保持装置120はA軸回りに回転可能である。ワーク保持装置120はワークを保持する保持面を有する。
図1において保持面は上面である。C軸は保持面及びA軸に直交する。C軸モータ79の駆動によってワーク保持装置120はC軸回りに回転可能である。ワーク保持装置120は保持部に対応する。立柱28にZ軸方向移動装置30が設けてある。Z軸方向移動装置30は主軸ヘッド32を上下方向に移動する。工具交換装置10は、主軸ヘッド32に装着する工具を交換する。
【0041】
Y軸方向移動装置22は、互いに平行な二つの軌道22a、複数の移動体22b、Y軸方向移動台22c及びY軸モータ22d(
図3参照)を備える。軌道22aは基台20の上面にて前後方向に延びる。移動体22bは二つの軌道22a夫々に前後方向に移動可能に嵌合する。Y軸方向移動台22cは二つの軌道22aに跨がって移動体22b上に固定してある。Y軸モータ22dの駆動によって、Y軸方向移動台22cは前後方向に移動する。
【0042】
X軸方向移動装置26は、互いに平行な二つの軌道26a、複数の移動体26b、立柱台26c及びX軸モータ26d(
図3参照)を備える。軌道26aはY軸方向移動台22cの上面に左右方向に延びる。移動体26bは二つの軌道26a夫々に左右方向に移動可能に嵌合する。立柱台26cは二つの軌道26aに跨がって移動体26b上に固定してある。立柱28は立柱台26c上に固定してある。X軸モータ26dの駆動によって、立柱台26cは左右方向に移動する。立柱28は、Y軸方向移動装置22及びX軸方向移動装置26によって前後方向及び左右方向に移動する。
【0043】
Z軸方向移動装置30は、互いに平行な二つの軌道30a、複数の移動体30b、主軸ヘッド台30c及びZ軸モータ30d(
図3参照)を備える。軌道30aは、立柱28の前面に上下方向に延びる。複数の移動体30bは二つの軌道30a夫々に上下方向に移動可能に嵌合する。主軸ヘッド台30cは二つの軌道30aに跨がって移動体30bの前面に固定してある。Z軸モータ30dの駆動によって、主軸ヘッド台30cは上下方向に移動する。
【0044】
主軸ヘッド32は主軸ヘッド台30cに固定してある。主軸ヘッド32は、前側内部に上下方向に延びる主軸34を回転可能に保持する。主軸34は中空の筒形状をなす。X軸モータ26d、Y軸モータ22d及びZ軸モータ30dを駆動制御することで、主軸ヘッド32は前後、左右及び上下に移動する。
【0045】
工具交換装置10は、長円形の軌道(図示略)、該軌道を移動する複数の移動台(図示略)を備える。軌道は主軸ヘッド32及び立柱28を囲み、前側下方から後側上方へ延び、水平面から所定角度傾斜する。複数の移動台はリンクによってチェーン状に結合されている。
図1に示すように、ギア51及びマガジンモータ52が軌道の内側に配置してある。ギア51はマガジンモータ52に連結し、マガジンモータ52の駆動によって回転する。複数の移動台はギア51に噛合し、マガジンモータ52の駆動によって軌道上を回転する。各移動台は把持アーム53を支持する。
【0046】
空の把持アーム53を工具交換装置10の軌道の前端部に配置し、工具11を装着した主軸34が上昇することによって、把持アーム53は工具11を主軸34から取り外して把持する。工具11を把持する把持アーム53を工具交換装置10の軌道の前端部に配置し、工具11を把持していない主軸34が下降することによって、主軸34は工具11を装着する。
【0047】
図3は、工作機械100のブロック図である。制御装置4は、制御部4a、RAM4b、記憶部4c及びインタフェース4dを備える。制御部4aはプロセッサ、例えばCPU又はMPU等である。なおプロセッサに代えてロジック回路、例えばFPGA又はASIC等でもよい。RAM4bは主記憶装置の一例であり、他のメモリでもよい。記憶部4cは補助記憶装置であり、例えば不揮発性メモリ、ハードディスク等を有する。不揮発性メモリは、例えばEPROM、EEPROM等である。記憶部4cは工作機械1の制御プログラム(プログラム製品)を記憶する。制御プログラムはワークを加工する加工プログラムを含む。記憶部4cは後述の変数K及び処理周期C等を記憶する。尚、制御プログラムを記憶した持ち運び可能な記憶媒体4eに制御プログラムを記憶し、記憶媒体4eから記憶部4cにインストールしてもよく、制御装置4を通信可能に構成し、サーバから記憶部4cに制御プログラムをダウンロードしてもよい。
【0048】
制御部4aは記憶部4cからRAM4bに制御プログラムを読み出し、制御プログラムに基づき、駆動信号をインタフェース4d、及び駆動回路26e、22e、30e、35a、52a、125a又は79aを介してX軸モータ26d、Y軸モータ22d、Z軸モータ30d、主軸モータ35、マガジンモータ52、A軸モータ125又はC軸モータ79に出力する。以下、駆動回路26e、22e、30e、35a、52a、125a又は79aを区別する必要がない場合、単に駆動回路と称し、X軸モータ26d、Y軸モータ22d、Z軸モータ30d、マガジンモータ52、A軸モータ125又はC軸モータ79を区別する必要がない場合、単にモータと称する。各モータはエンコーダを有し、エンコーダは駆動回路に検出値を送信する。駆動回路はエンコーダの検出値を受け、フィードバック制御を実施する。制御部4aは制御プログラムに基づいて後述する短縮可能時間測定処理を実行する。作業者は操作部21を操作し、操作部21はインタフェース4dを介して制御装置4に情報を入力する。操作部21はキーボード、タッチパネル又はスイッチ等を有する。制御部4aはインタフェース4dを介して情報を表示するための信号を表示部40に出力する。表示部40は表示画面を有する。
【0049】
主軸に装着する工具を交換する場合、主軸から工具を取り外した後、マガジンモータ52は最高速度に至るまで加速し、最高速度を所定時間維持した後、減速し、工具マガジン7に収納した所定の工具を交換位置に割り出す。
【0050】
制御部4aは制御プログラムに基づき、主軸に工具が装着されてから工具交換が行われるまでの間に、時間短縮可能な時短可能処理が存在するか否か判定する。制御部4aは時短可能処理が存在すると判定した場合、時短可能処理における短縮可能な時間を測定する。例えば、時短可能処理はインポジション待ち処理であり、短縮可能な時間はインポジション待ち時間である。
【0051】
図4は、インポジション待ち時間を説明するグラフである。
図4のグラフは、例えば主軸ヘッド32、工具交換装置10又はワーク保持装置120が移動を開始してから目標位置に到達するまでの時間及び速度を示す。換言すれば、モータが移動を開始してから目標位置に到達するまでの時間及び速度を示す。グラフの横軸は時間を示し、縦軸は速度を示す。
【0052】
制御部4aは加工プログラムからモータの移動指令を読み出す。移動指令は指令速度を含む。制御部4aはモータの駆動回路に指令速度を与える。時点0はモータが初期位置にある時点である。時点t0は、モータが制御部4aから与えられた一定速度(指令速度)で時点0から移動を開始した場合に、目標位置に到達する時点である。一定速度は基準速度に対応する。時点t0は基準時点に対応する。駆動回路は、制御部4aから与えられた一定速度を予め定めた時定数で補正し、補正後の速度でモータを駆動する。時定数は、例えばモータを停止状態から指令速度まで加速させるのに必要な時間又はモータを指令速度から停止状態まで減速させるのに必要な時間に対応する。補正後の速度は
図4のグラフで示される速度である。
【0053】
時点t1は、時点t0から待機時間S0が経過した時点である。待機時間S0の詳細は後述する。時点t1は、インポジション待ち時間の測定を開始する時点である。時点t2は、インポジション待ち時間の測定を終了する時点である。即ち、時点t2は、モータの所在位置と、目標位置との差分が所定範囲内の値になった時点である。制御部4aは時点t1と時点t2との間の時間S1、即ちインポジション待ち時間を測定する。
【0054】
待機時間S0は例えば以下のようにして定まる。
図5は待機時間S0の一例を説明するグラフである。
図5に示すように、時点t1におけるモータの速度は基準速度(指令速度)Vの50%である。待機時間S0は時点t0から時点t1の間の時間である。50%は基準速度Vの大きさに対する割合の一例であり、30%又は70%等他の割合でもよい。割合は予め定められる。即ち、待機時間S0は、基準時点t1と、基準速度Vの大きさに対するモータの速度の大きさの割合が予め定めた所定値となる時点との間の時間である。
【0055】
また、待機時間S0は例えば以下のようにして定めてもよい。
図6は待機時間S0の一例を説明するグラフである。
図6において、実線のグラフは時定数Tで補正したモータの速度を示し、一点鎖線のグラフは、エンコーダの検出値に基づいて算出されたモータの速度を示す。即ち実線のグラフはモータに入力される計算上の速度を示し、一点鎖線のグラフはモータの実際の速度を示す。時点t1は時点t0から時定数Tが経過した時点である。時点t2は、モータの所在位置と目標位置との差分が所定範囲内の値になった時点である。待機時間S0は時点t0から時点t1の間の時間である。即ち、待機時間S0は時定数Tである。
【0056】
また、待機時間S0は例えば以下のようにして定めてもよい。
図7は待機時間S0の一例を説明するグラフである。
図7において、実線のグラフは、第一時定数T1で補正した第一移動指令のモータの速度を示し、一点鎖線のグラフは、第二時定数T2で補正した第二移動指令のモータの速度を示す。第一移動指令及び第二移動指令はモータの移動指令である。第二移動指令は第一移動指令の後に連続して実行される移動指令である。
【0057】
時点t1は、時点t0から第一時定数T1と第二時定数T2との差分の大きさと同じ時間が経過する時点である。即ち待機時間S0は、第一時定数T1と第二時定数T2との差分の大きさと同じ時間である。時点t2はモータの所在位置と目標位置との差分が所定範囲内の値になる時点である。
【0058】
また、待機時間S0は例えば以下のようにして定めてもよい。
図8は待機時間S0の一例を説明するグラフである。
図8において、上のグラフは時定数で補正したモータの速度と時間を示し、下のグラフはモータの所在位置と目標位置との差分、即ち位置偏差量と時間を示す。
図8のPは前記所定範囲、即ちインポジション範囲の大きさを示す。時点t1はモータの所在位置と目標位置との差分がインポジション範囲Pのn倍、即ちインポジション範囲P×n以内になる時点を示す。即ち待機時間S0は、基準時点t0と、モータの所在位置と目標位置との差分がインポジション範囲Pのn倍以内になる時点との間の時間である。時点t2はモータの所在位置と目標位置との差分がインポジション範囲P以内の値になる時点を示す。nは、例えば任意の正の数であり、予め定めた値である。インポジション範囲P×nは第2所定範囲に対応する。
【0059】
また、待機時間S0は例えば以下のようにして定めてもよい。
図9は待機時間S0の一例を説明するグラフである。
図9において、Tcは予め定められた固定値である。時点t1は時点t0から固定値Tcが経過した時点である。即ち、待機時間S0は固定値Tcと同じ時間である。時点t2はモータの所在位置と目標位置との差分が所定範囲内の値になる時点である。
【0060】
図10は、制御部4aによる短縮可能時間測定処理を説明するフローチャートである。加工プログラムの実行が開始された場合、制御部4aは主軸に装着された工具の工具番号を取得する(S1)。制御部4aは変数Kに0を代入する(S2)。制御部4aは加工プログラムが終了したか否か判定する(S3)。加工プログラムが終了していない場合(S3:NO)、制御部4aは、工具交換指令が加工プログラムから読み込まれ、工具交換指令の実行が完了したか否か判定する(S4)。
【0061】
工具交換指令が完了してない場合(S4:NO)、制御部4aは短縮可能時間の測定条件が成立したか否か判定する(S5)。短縮可能時間は時間S1である。時間S1の測定条件は、モータに移動指令が出力された場合において、時点t0から所定時間S0が経過したことを示すことである。
【0062】
測定条件が成立する場合(S5:YES)、制御部4aは変数Kの値を1加算する。(S6)、ステップS6の処理後又は測定条件が成立しない場合(S5:NO)、制御部4aはステップS3に処理を戻す。
【0063】
ステップS4において、工具交換指令が完了した場合(S4:YES)、制御部4aは変数Kの値と処理周期Cとを乗算し、乗算結果をRAM4b又は記憶部4cに記憶し(S8)、ステップS1に処理を戻す。処理周期CはステップS2~ステップS6までの処理を実行する時間である。
【0064】
ステップS3において、加工プログラムが終了した場合(S3:YES)、制御部4aは変数Kの値と処理周期Cとを乗算し、乗算結果をRAM4b又は記憶部4cに記憶し(S7)、処理を終了する。
【0065】
図11は、時短可能処理に関する情報を表示する表示部40の一例を示す画面図である。制御部4aは表示部40に時短可能処理に関する情報を表示するための信号を出力する。時短可能処理に関する情報は、例えば時間S1を含む。制御部4aは、実行したプログラムの番号と、主軸に装着された工具の工具番号と、ワークを保持部にクランプしてからアンクランプするまでのサイクルタイムと、加工プログラムの実行によって主軸に装着された工具の順番と、切削時間と、非切削時間と、サイクルタイムに占める切削時間の割合とを表示するための信号を出力する。
【0066】
図11に示すように、表示部40には、プログラムの番号、サイクルタイム、切削時間、非切削時間及びサイクルタイムに占める切削時間の割合が表示される。また時間S1、即ちインポジション待ち時間が表示される。
図11において、表は、「NO.」、「工具番号」、「切削時間」、「非切削時間」及び「インポジション待ち時間」を表示する。「「NO.」は加工プログラムの実行によって主軸に装着された工具の順番を示す。「工具番号」は主軸に装着された工具の工具番号を示す。
図11においては、「NO.」及び「工具番号」に紐づけて「切削時間」、「非切削時間」及び「インポジション待ち時間」が表示されている。
【0067】
図12は、各工具番号に対応したインポジション待ち時間を示す円グラフである。
図12に示すように、工具番号1~3に対応したインポジション待ち時間を表示部40に円グラフで示してもよい。また工具番号1~3以外の工具番号について、同様にインポジション待ち時間を円グラフで示してもよい。
【0068】
図13は、各工具番号のインポジション待ち時間を示す棒グラフである。
図13に示すように、表示部40は工具番号1~3を示し、各工具番号それぞれのインポジション待ち時間を1本の棒グラフによって表示してもよい。また表示部40は1~3以外の工具番号について、同様に棒グラフで表示してもよい。
【0069】
実施の形態1に係る工作機械にあっては、基準時点t0から待機時間S0が経過した時点t1と、モータの所在位置及び目標位置の差分が所定範囲内の値になった時点t2との間のインポジション待ち時間、即ち短縮可能時間S1を測定する。そのため短縮可能時間S1を作業者に示すことができる。
【0070】
また待機時間S0をモータの加速又は減速を行うための時定数に基づいて定めてもよい。また予め定められた時定数に基づいて待機時間S0を定めてもよい。また第一時定数T1と第二時定数T2との差分に基づいて待機時間S0を定めてもよい。
【0071】
また基準時点t0と、基準速度Vの大きさに対する駆動軸の速度の大きさの割合が予め定めた所定値となる時点t1との間の時間を待機時間にする。また基準時点t0と、所在位置及び目標位置の差分がインポジション範囲P×n内の値になった時点t1との間の時間を待機時間S1にする。また予め定めた固定値を待機時間S1にする。
【0072】
また制御部4aは短縮可能時間S1を例えば表示部40に出力する。また制御部4aは主軸に装着された工具に紐づけて短縮可能時間S1を表示するための信号を例えば表示部40に出力する。また制御部4aは主軸に工具が装着されてから工具交換が行われるまでの間における切削時間及び被切削時間と、短縮可能時間S1とを表示するための信号を例えば表示部40に出力する。また制御部4aは短縮可能時間S1を表又はグラフによって表示するための信号を出力する。
【0073】
(実施の形態2)
以下本発明を実施の形態2に係る工作機械を示す図面に基づいて説明する。実施の形態2の構成のうち、実施の形態1と同様な構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図14は、インポジション待ち時間を説明するグラフである。
【0074】
図14のグラフは、例えば主軸ヘッド32、工具交換装置10又はワーク保持装置120が移動を開始してから目標位置に到達するまでの時間及び速度を示す。換言すれば、モータが移動を開始してから目標位置に到達するまでの時間及び速度を示す。グラフの横軸は時間を示し、縦軸は速度を示す。
【0075】
時点0はモータが初期位置にある時点である。時点t0は、モータが制御部4aから与えられた一定速度で時点0から移動を開始した場合に、目標位置に到達する時点である。一定速度は基準速度に対応する。時点t0は基準時点に対応する。駆動回路は、制御部4aから与えられた一定速度を予め定めた時定数で補正し、補正後の速度でモータを駆動する。補正後の速度は
図14のグラフで示される速度である。
【0076】
時点t1は、時点t0から待機時間S0が経過した時点である。時点t1は、インポジション待ち時間の測定を開始する時点である。時点t2-1は、インポジション待ち時間の測定を終了する第一終了時点である。即ち、時点t2-1は、モータの所在位置と、目標位置との差分が第一インポジション範囲内の値になった時点である。制御部4aは時点t1と時点t2-1との間の第1インポジション待ち時間S1を測定する。第一インポジション範囲は第一範囲に対応し、第1インポジション待ち時間S1は第一短縮可能時間に対応する。
【0077】
時点t2-2は、インポジション待ち時間の測定を終了する第二終了時点である。即ち、時点t2-2は、モータの所在位置と、目標位置との差分が第二インポジション範囲内の値になった時点である。制御部4aは時点t1と時点t2-2との間の第2インポジション待ち時間S2を測定する。第二インポジション範囲は第二範囲に対応し、第2インポジション待ち時間S2は第二短縮可能時間に対応する。
【0078】
例えば制御部4aが加工プログラムからZ軸モータ30dのZ軸方向への移動指令と、X軸モータ26d及びY軸モータ22dによるX及びY軸方向への移動指令と、切削指令とを順に読み出し、これらの移動指令を順に実行する場合、制御部4aは、Z軸方向への移動指令実行時のインポジションチェックにおいては、第一インポジション範囲を使用し、第1インポジション待ち時間S1を測定する。X及びY軸方向への移動指令実行時のインポジションチェックにおいては、第二インポジション範囲を使用し、第2インポジション待ち時間S2を測定する。なお第一インポジション範囲又は第二インポジション範囲のいずれを使用するのかは、例えばパラメータによって表すことでき、移動指令に含まれる。
第二インポジション範囲の大きさは第一インポジション範囲よりも小さい。即ち、第二インポジション範囲を使用するインポジションチェックは、第一インポジション範囲を使用する場合よりも、位置決めの精度が高い。
【0079】
X及びY軸方向への移動指令の実行後に切削指令が実行される。そのため、X及びY軸方向への移動指令における位置決めの精度が加工精度に与える影響は、Z軸方向への移動指令における位置決めの精度よりも大きい。そのため、X及びY軸方向への移動指令において第二インポジション範囲を使用し、位置決めの精度を高めて加工精度の向上を図る。一方、Z軸方向への移動指令においては第一インポジション範囲を使用し、サイクルタイムの改善を図る。加工精度の向上とサイクルタイムの改善との両立を図ることができる。
【0080】
図15は、時短可能処理に関する情報を表示する表示部40の一例を示す画面図である。制御部4aは表示部40に時短可能処理に関する情報を表示するための信号を出力する。時短可能処理に関する情報は、例えば第1インポジション待ち時間S1及び第2インポジション待ち時間S2を含む。制御部4aは、加工プログラムの実行によって主軸に装着された工具の順番と、主軸に装着された工具の工具番号と、切削時間と、非切削時間と、第1インポジション待ち時間S1と、第2インポジション待ち時間S2とを表示するための信号を出力する。
【0081】
図15に示すように、表示部40は、「NO.」、「工具番号」、「切削時間」、「非切削時間」、「第1インポジション待ち時間」及び「第2インポジション待ち時間」を含む表を表示する。「NO.」は加工プログラムの実行によって主軸に装着された工具の順番を示す。「工具番号」は主軸に装着された工具の工具番号を示す。
図15においては、「NO.」及び「工具番号」に紐づけて「切削時間」、「非切削時間」、「第1インポジション待ち時間」及び「第2インポジション待ち時間」が表示されている。
【0082】
図16は、第1インポジション待ち時間S1及び第2インポジション待ち時間S2を示す棒グラフである。
図16に示すように、工具番号1~3に対応した第1インポジション待ち時間S1及び第2インポジション待ち時間S2を表示部40に棒グラフで示してもよい。
図16では、工具番号毎に、第1インポジション待ち時間S1を示す棒グラフと、第2インポジション待ち時間S2を示す棒グラフとが一組になって左右に並ぶ。なお工具番号1~3以外の工具番号について、同様に第1インポジション待ち時間S1及び第2インポジション待ち時間S2を棒グラフで示してもよい。
【0083】
図17は、第1インポジション待ち時間S1及び第2インポジション待ち時間S2を示す棒グラフである。
図17に示すように、工具番号1~3に対応した第1インポジション待ち時間S1及び第2インポジション待ち時間S2を表示部40に棒グラフで示してもよい。
図17では、工具番号毎に、第1インポジション待ち時間S1を示す棒グラフと、第2インポジション待ち時間S2を示す棒グラフとが重なって表示される。なお工具番号1~3以外の工具番号について、同様に第1インポジション待ち時間S1及び第2インポジション待ち時間S2を棒グラフで示してもよい。
【0084】
実施の形態2に係る工作機械にあっては、読み出した移動指令が第一インポジション範囲を使用する場合、第一インポジション範囲に対応する第1インポジション待ち時間S1を測定し、読み出した移動指令が第二インポジション範囲を使用する場合、第二インポジション範囲に対応する第2インポジション待ち時間S2を測定する。
【0085】
(実施の形態3)
以下本発明を実施の形態3に係る工作機械を示す図面に基づいて説明する。実施の形態3の構成のうち、実施の形態1又は2と同様な構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
制御部4aは加工プログラムから複数の指令を順に読み出す。制御部4aは少なくとも一つの移動指令を読み出した場合、モータの駆動回路に各移動指令を与え、読み出した各移動指令に対応する各短縮可能時間を測定する。
図18は、制御部4aによる短縮可能時間測定処理を説明するフローチャートである。
【0086】
加工プログラムの実行が開始された場合、制御部4aは変数Kに0を代入する(S11)。制御部4aは加工プログラムが終了したか否か判定する(S12)。加工プログラムが終了していない場合(S12:NO)、制御部4aは、短縮可能時間の測定条件が成立したか否か判定する(S13)。短縮可能時間は時間S1又はS2である。時間S1及びS2の測定条件は、モータに移動指令が出力された場合において、時点t0から所定時間S0が経過したことを示すことである。
【0087】
測定条件が成立する場合(S13:YES)、制御部4aは変数Kの値を1加算する。(S14)、ステップS14の処理後又は測定条件が成立しない場合(S13:NO)、制御部4aはステップS12に処理を戻す。
【0088】
ステップS12において、加工プログラムが終了した場合(S12:YES)、制御部4aは変数Kの値と処理周期Cとを乗算し、乗算結果をRAM4b又は記憶部4cに記憶し(S15)、処理を終了する。
【0089】
実施の形態3にあっては、制御部4aは、加工プログラムの開始から終了まで各移動指令を読み出す。制御部4aは各移動指令に対応する各インポジション待ち時間、即ち各短縮可能時間の合計時間を測定し、記憶する。即ち、制御部4aはモータの移動指令を少なくとも一つ読み出し、各移動指令に対応する各短縮可能時間を測定し、各短縮可能時間の合計を記憶する。制御部4aは、各短縮可能時間の合計を表示するための信号を表示部40に出力する。表示部40は各短縮可能時間の合計を表示する。
【0090】
なおコンピュータプログラムは、単一のコンピュータ上で、または1つのサイトに配置されるか、若しくは複数のサイトにわたって分散され、通信ネットワークによって相互接続された複数のコンピュータ上で実行されるように展開することができる。
【0091】
今回開示した実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、特許請求の範囲内での全ての変更及び特許請求の範囲と均等の範囲が含まれることが意図される。各実施形態に記載した事項は相互に組み合わせることが可能である。また、特許請求の範囲に記載した独立請求項及び従属請求項は、引用形式に関わらず全てのあらゆる組み合わせにおいて、相互に組み合わせることが可能である。さらに、特許請求の範囲には他の2以上のクレームを引用するクレームを記載する形式(マルチクレーム形式)を用いているが、これに限るものではない。マルチクレームを少なくとも一つ引用するマルチクレーム(マルチマルチクレーム)を記載する形式を用いて記載してもよい。
【符号の説明】
【0092】
4 制御装置
4a 制御部
4b RAM
4c 記憶部
22d Y軸モータ
26d X軸モータ
30d Z軸モータ
40 表示部
79 C軸モータ
100 工作機械
125 A軸モータ