(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108922
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】バイオマスペレット粉砕装置及びこれを備えた発電プラント並びにバイオマスペレット粉砕装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
B02C 15/04 20060101AFI20240805BHJP
B02C 23/20 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
B02C15/04
B02C23/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023013572
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】松本 慎治
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 拓
(72)【発明者】
【氏名】三井 秀雄
(72)【発明者】
【氏名】竹野 豊
(72)【発明者】
【氏名】松▲崎▼ 光輝
(72)【発明者】
【氏名】近藤 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】栗原 誠矢
(72)【発明者】
【氏名】坂本 大記
(72)【発明者】
【氏名】山口 聡太朗
【テーマコード(参考)】
4D063
4D067
【Fターム(参考)】
4D063EE03
4D063EE12
4D063GA08
4D063GA10
4D063GC02
4D063GC17
4D063GD04
4D063GD27
4D067EE01
4D067EE17
4D067GA04
4D067GA20
(57)【要約】
【課題】バイオマスペレットのハンドリング性を確保した上で粉砕性を向上させることができるバイオマスペレット粉砕装置を提供する。
【解決手段】ハウジング11と、ハウジング11の内部に設けられ、中心軸線L1の回りに回転する粉砕テーブル12と、粉砕テーブル12へバイオマス原料を成形したバイオマスペレットを供給する燃料供給管17と、燃料供給管17から供給されたバイオマスペレットを粉砕テーブル12との間の噛込み部70で噛み込んで粉砕する粉砕ローラ13と、燃料供給管17から噛込み部70にバイオマスペレットが噛み込まれる前までの位置に、バイオマスペレットに水を供給する水供給部62と、を備えている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、
前記本体部の内部に設けられ、中心軸線の回りに回転する回転テーブルと、
前記本体部に設けられ、前記回転テーブルへバイオマス原料を成形したバイオマスペレットを供給する燃料供給管と、
前記燃料供給管から供給された前記バイオマスペレットを前記回転テーブルとの間の噛込み部で噛み込んで粉砕する粉砕ローラと、
前記燃料供給管から前記噛込み部に前記バイオマスペレットが噛み込まれる前までの位置に、該バイオマスペレットに水を供給する水供給部と、
を備えているバイオマスペレット粉砕装置。
【請求項2】
前記水供給部は、前記燃料供給管から水を供給する請求項1に記載のバイオマスペレット粉砕装置。
【請求項3】
前記水供給部は、前記燃料供給管の内壁に水膜を形成する請求項2に記載のバイオマスペレット粉砕装置。
【請求項4】
前記水供給部は、前記回転テーブルに向けて水を供給する請求項1に記載のバイオマスペレット粉砕装置。
【請求項5】
前記水供給部から供給される水量を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記バイオマスペレットが形状崩壊する水分量を超えた量の水を供給するように前記水供給部を制御する請求項1に記載のバイオマスペレット粉砕装置。
【請求項6】
粉砕されたバイオマスペレットを分級する分級機を備え、
前記制御部は、前記分級機と前記回転テーブルとの間で粉砕されたバイオマスペレットが循環する循環量に基づいて、前記水供給部を制御する請求項5に記載のバイオマスペレット粉砕装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記回転テーブルを駆動するミル動力に基づいて、前記水供給部を制御する請求項5に記載のバイオマスペレット粉砕装置。
【請求項8】
前記回転テーブルと前記粉砕ローラとによって粉砕された粉砕バイオマスを乾燥させて搬送する乾燥搬送ガスを供給する乾燥搬送ガス供給部を備え、
前記制御部は、前記水供給部から供給される水量に応じて、前記乾燥搬送ガス供給部から供給される乾燥搬送ガスの温度及び/又は流量を制御する請求項5に記載のバイオマスペレット粉砕装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記本体部から排出される前記乾燥搬送ガスの出口温度の制御目標値を低下させる請求項8に記載のバイオマスペレット粉砕装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記本体部へ供給される前記乾燥搬送ガスの入口温度が上限値に到達する前に、前記水供給部から供給する水量を減少または停止させる請求項8に記載のバイオマスペレット粉砕装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記水供給部から供給する水量に応じて、前記粉砕ローラを前記回転テーブルに押し付ける粉砕荷重を制御する請求項5に記載のバイオマスペレット粉砕装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれかに記載されたバイオマスペレット粉砕装置と、
前記バイオマスペレット粉砕装置にて粉砕された粉砕バイオマスを燃焼装置で燃焼して蒸気を生成するボイラと、
前記ボイラによって生成された前記蒸気を用いて発電する発電部と、
を備えている発電プラント。
【請求項13】
本体部と、
前記本体部の内部に設けられ、中心軸線の回りに回転する回転テーブルと、
前記本体部に設けられ、前記回転テーブルへバイオマス原料を成形したバイオマスペレットを供給する燃料供給管と、
前記燃料供給管から供給された前記バイオマスペレットを前記回転テーブルとの間の噛込み部で噛み込んで粉砕する粉砕ローラと、
を備えているバイオマスペレット粉砕装置の制御方法であって、
前記燃料供給管から前記噛込み部に前記バイオマスペレットが噛み込まれる前までの位置に、該バイオマスペレットに水を供給するバイオマスペレット粉砕装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バイオマスペレット粉砕装置及びこれを備えた発電プラント並びにバイオマスペレット粉砕装置の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
火力発電設備等に設置される竪型ローラミル(以下「ミル」という。)は、石炭やバイオマスペレット等の固体燃料の粉砕・乾燥・分級を行う設備である。固体燃料は、ミル内で回転する粉砕テーブル上に供給され、粉砕テーブルの遠心力により粉砕テーブル外周部の粉砕部に供給され、そこで回転自由に支持された粉砕ローラとの間で粉砕される。粉砕ローラは粉砕テーブルの粉砕部に対し、接近及び離間する方向に可動するように支持されており、燃料が粉砕ローラと粉砕テーブルの間に噛み込むと、粉砕テーブル上に燃料層が形成されて、それに乗り上がるように粉砕ローラが持ち上がり、ローラリフトが生じる。これに対し、油圧シリンダ等で粉砕ローラを粉砕テーブルに押し付ける方向に粉砕荷重を付加して粉砕を行う。粉砕された燃料は、粉砕テーブル最外周部から吹き上がる乾燥搬送ガスにより乾燥、吹き上げられ、分級機により粗粒を分離した後、後流へ搬送される。
【0003】
近年は再生可能エネルギーの活用が進められており、従来の石炭用ミルでバイオマスを粉砕するニーズが高まっている。しかしながら、バイオマスは繊維質の為、石炭と比較してミルの圧砕作用による粉砕性が悪く、石炭用ミルを使用して粉砕を行うには、バイオマスの繊維を予め細かく切断する下処理を行い、ペレタイザ等により円柱状に圧縮成形したバイオマスペレットをミルに供給するか、小さく切断したバイオマスチップを石炭に少量(数wt%程度)混入して、石炭の摩砕作用によりバイオマスの繊維を切断して、粉砕を行う必要が有った。
【0004】
バイオマスを大量に粉砕する場合は、一般的にはバイオマスペレットが使用されることが多い。しかし、バイオマスペレットは、石炭と比較して粉砕テーブル上に燃料層が形成されにくい為、ローラリフトが小さい傾向に有る。これは供給されるペレットが、円柱状に成形されている為、石炭と比較して表面が滑らかで凹凸が少なく、且つ粒径が揃っており、石炭のように粒子同士の凹凸が噛み込むことで粒子が動きが拘束されることが少ない上、外形が円柱状であることからコロのように転がり動きやすく、粉砕テーブルの遠心力や、粉砕荷重によりペレットが容易に動いてしまい、粉砕ローラと粉砕テーブルの間からペレットが逃げ出やすい為である。また、ペレットの原料によっては樹脂分、蝋分、脂分、タンニンなどを多く含むことが有り、これらはペレット表面の摩擦係数の低下を引き起こし、さらに粉砕テーブル上での燃料層の形成を阻害する。さらにペレットはハンドリング中の発酵、形状崩壊を防止する為、その水分量は概ね10wt%以下となるように管理される。木材は表面が乾きすぎると、急激に摩擦係数が低下する傾向がある。従って、過乾燥となる冬季には、ペレットの摩擦係数が低下し、滑りやすくなる。
【0005】
上記のように摩擦係数が低下したペレットは、粉砕テーブル上に供給されると、粉砕テーブルの回転による遠心力により粉砕テーブル外周部の粉砕部を超えて、粉砕テーブル最外周部の吹上げ部まで滑り、もしくは転がって移動する為、粉砕テーブル上の粉砕部に燃料層が形成されにくくなる。また、粉砕部に留まったペレットも、粉砕ローラから粉砕荷重を受けると滑り、もしくは転がって粉砕部から移動する為、なかなか粉砕ローラと粉砕テーブルの間に噛み込まれず、燃料層を安定的に形成することが難しい。
【0006】
特に、バイオマスペレットの原料として、硬くて樹脂分を多く含む原料(例えば、アカシア等の一部の広葉樹)から製造されたペレットは、転がり摩擦係数、滑り摩擦係数共に低く、滑り易い。このようなペレットについては、ローラリフトの確保が難しいだけではなく、粉砕ローラと粉砕テーブルの間に噛み込まれないことによってミルの粉砕能力の低下を引き起こす。その際、ミルは、動力的な余裕を大きく余した状態でありながら、未粉砕のペレットがミルの内部に滞留して粉砕テーブル上下の差圧が上昇していく状態となる為、安定的な運転継続が困難となり、対策が課題となっていた。
【0007】
また、ローラリフトの確保が出来ないことで、燃料層の持つクッション効果が小さくなり振動や騒音の増加、それらを改善する為に粉砕荷重を低減せざるを得ないことによる粉砕能力低下、燃料層が薄いことで燃料中の異物が粉砕面に直接接触し易くなることによる粉砕ローラや粉砕テーブルの摩耗の増加等の弊害も有った。
【0008】
従来、石炭を粉砕する際にも、石炭が粉砕ローラと粉砕テーブルの間に噛み込まれないことによるスリップ現象は発生していたが、上記のバイオマスペレットを粉砕する際に発生する事象とはメカニズムが異なる。すなわち、石炭を粉砕する際は、粉砕に伴って生じた石炭の微粉粒子は、摩擦係数が小さく(石炭粒子の主成分であるグラファイト粒子同士の摩擦係数は0.06程度である。)、微粉粒子の固体潤滑作用により、粉砕テーブルの回転トルクが粉砕ローラに伝達されなくなり、粉砕ローラの回転が停止してテーブル上を滑る事象(スリップ現象)が発生するものである。なお、粉砕前の石炭は、比較的摩擦係数が大きく(石炭と金属の摩擦係数は0.3~0.4程度である。)、微粉粒子のようにスリップ現象を引き起こすことはない。
【0009】
これに対して、バイオマスペレットにおけるスリップ事象は上記の通り、円柱状に成形されているバイオマスペレット自身が転がり動く(バイオマスペレットの転がり摩擦係数は、0.05~0.08程度である。)ことで、粉砕テーブルの遠心力又は粉砕ローラの粉砕荷重により、粉砕ローラから逃げて粉砕テーブルとの間に噛み込まれない為に発生するもので、粉砕ローラ自身の回転は停止していない。ペレットが粉砕されてバイオマスの粒子状態となれば、粉砕テーブルからのトルク伝達は、転がり摩擦から滑り摩擦によるものとなる為、摩擦係数が上昇(バイオマスと金属の摩擦係数は0.2~0.6程度である。)する。
【0010】
従って、石炭を粉砕する場合のスリップ現象に対しては、高性能な分級機を用いて微粉のみを分級し、速やかにミル外に排出することで、粉砕テーブル上の微粉濃度を下げ、スリップ現象を抑制することができるが、バイオマスペレットの場合は、粉砕後のバイオマス粒子より、未粉砕のペレットの方が滑りやすい為に、石炭のように分級機で対応することが難しいものであった。
【0011】
特許文献1には、バイオマスペレットを容易に粉砕するために、バイオマスペレット貯蔵装置からホッパまでバイオマスペレットを搬送する際に、水分付与手段によって水分をバイオマスペレットに供給することが開示されている。これにより、ミルへバイオマスペレットを供給する前の所定の保管時間の間に、水分をペレット全体にいきわたらせて形状崩壊させることによって粉砕性を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、バイオマスペレットをミルに供給する前にバイオマスペレットを形状崩壊させると搬送性が低下して搬送経路における付着や閉塞を引き起こす懸念があり、バイオマスペレットをミルに供給する際のハンドリング性が低下する。
【0014】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、バイオマスペレットのハンドリング性を確保した上で粉砕性を向上させることができるバイオマスペレット粉砕装置及びこれを備えた発電プラント並びにバイオマスペレット粉砕装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本開示の一態様に係るバイオマスペレット粉砕装置は、本体部と、前記本体部の内部に設けられ、中心軸線の回りに回転する回転テーブルと、前記本体部に設けられ、前記回転テーブルへバイオマス原料を成形したバイオマスペレットを供給する燃料供給管と、前記燃料供給管から供給された前記バイオマスペレットを前記回転テーブルとの間の噛込み部で噛み込んで粉砕する粉砕ローラと、前記燃料供給管から前記噛込み部に前記バイオマスペレットが噛み込まれる前までの位置に、該バイオマスペレットに水を供給する水供給部と、を備えている。
【0016】
本開示の一態様に係る発電プラントは、上記のバイオマスペレット粉砕装置と、前記バイオマスペレット粉砕装置にて粉砕された粉砕バイオマスを燃焼装置で燃焼して蒸気を生成するボイラと、前記ボイラによって生成された前記蒸気を用いて発電する発電部と、を備えている。
【0017】
本開示の一態様に係るバイオマスペレット粉砕装置の制御方法は、本体部と、前記本体部の内部に設けられ、中心軸線の回りに回転する回転テーブルと、前記本体部に設けられ、前記回転テーブルへバイオマス原料を成形したバイオマスペレットを供給する燃料供給管と、前記燃料供給管から供給された前記バイオマスペレットを前記回転テーブルとの間の噛込み部で噛み込んで粉砕する粉砕ローラと、を備えているバイオマスペレット粉砕装置の制御方法であって、前記燃料供給管から前記噛込み部に前記バイオマスペレットが噛み込まれる前までの位置に、該バイオマスペレットに水を供給する。
【発明の効果】
【0018】
バイオマスペレットのハンドリング性を確保した上で粉砕性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2】
図1のミルの要部を示した概略構成図である。
【
図3】バイオマスペレットの水分量を示したグラフである。
【
図5】
図4の参考例を示した部分拡大断面図である。
【
図6】第1実施形態に係る水供給部の制御に関する説明図である。
【
図7】第1実施形態に係る水供給部の制御を示したフローチャートである。
【
図8】本開示の第2実施形態に係るミルの要部を示した概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本開示に係る実施形態について、図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
以下、本開示の第1実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態に係る発電プラント1は、バイオマスペレット粉砕装置100とボイラ200とを備えている。
以降の説明では、上方とは鉛直上側の方向を、上部や上面などの“上”とは鉛直上側の部分を示している。また同様に“下”とは鉛直下側の部分を示すものであり、鉛直方向は厳密ではなく誤差を含むものである。
【0021】
バイオマスペレット粉砕装置100は、バイオマス原料を成形したバイオマスペレットを粉砕し、微粉燃料を生成してボイラ200のバーナ(燃焼装置)220へ供給する装置である。
図1に示すバイオマスペレット粉砕装置100とボイラ200とを含む発電プラント1は、1台のバイオマスペレット粉砕装置100を備えるものであるが、1台のボイラ200の複数のバーナ220のそれぞれに対応する複数台のバイオマスペレット粉砕装置100を備えるシステムとしてもよい。
【0022】
バイオマスペレット粉砕装置100は、ミル(粉砕機)10と、バンカ21と、燃料供給装置20と、送風部(搬送ガス供給部)30と、状態検出部40と、制御部50とを備えている。
【0023】
バイオマスペレットに用いられるバイオマス原料は、再生可能な生物由来の有機性資源であり、例えば、間伐材、廃木材、流木、草類、農業・畜産系廃棄物、下水汚泥などであり、ここに提示したものに限定されることはない。バイオマス燃料は、原料となる生物の成育過程において二酸化炭素を取り込むことから、地球温暖化ガスとなる二酸化炭素を排出しないカーボンニュートラルとされるため、その利用が種々検討されている。
【0024】
バイオマスペレットは、その製造過程において特定の形状に成形されている為、石炭に比べて、大きさが一定である。例えば、粉砕前の石炭は2~50mmの塊状であるのに対し、木質ペレットは直径6~8mm程度で長さ40mm程度の円柱状であり、均質である。
【0025】
ミル10は、ハウジング(本体部)11と、粉砕テーブル(回転テーブル)12と、粉砕ローラ13と、減速機14と、減速機14に接続され粉砕テーブル12を回転駆動させるミルモータ15と、回転式分級機(分級部)16と、燃料供給管17と、回転式分級機16を回転駆動させる分級機モータ18とを備えている。
【0026】
ハウジング11は、鉛直方向に延びる筒状に形成されるとともに、粉砕テーブル12と粉砕ローラ13と回転式分級機16と、燃料供給管17とを収容する筐体である。ハウジング11の天井部42の中央部には、燃料供給管17が取り付けられている。この燃料供給管17は、バンカ21から燃料供給装置20を介して導かれたバイオマスペレットをハウジング11内に供給するものであり、ハウジング11の中心位置に上下方向に沿って配置され、下端部がハウジング11内部まで延設されている。なお、ハウジング11は、収容する部品の形状等により、適宜形状を変更しても構わない。例えば回転式分級機16の外形が大きい場合、その周囲のみハウジング11の直径を大きくしても構わない。
【0027】
ハウジング11の底面部41付近には減速機14が設置され、この減速機14に接続されたミルモータ15から伝達される駆動力により回転する粉砕テーブル12が回転自在に配置されている。
【0028】
粉砕テーブル12は、平面視円形の部材であり、燃料供給管17の下端部が対向するように配置されている。粉砕テーブル12の上面は、例えば、中心部が低く、外側に向けて高くなるような傾斜形状をなし、外周部が上方に曲折した形状をなしていてもよい。また、中心部に凸部を設けて、中心部と外周部が高くなるようにしても良い。燃料供給管17は、バイオマスペレットを上方から下方の粉砕テーブル12に向けて供給し、粉砕テーブル12は供給されたバイオマスペレットを粉砕ローラ13との間の噛込み部に挟み込んで粉砕する。
【0029】
バイオマスペレットが燃料供給管17から粉砕テーブル12の中央部へ向けて投入されると、粉砕テーブル12の回転による遠心力によって、バイオマスペレットは粉砕テーブル12の外周側へと導かれ、粉砕テーブル12と粉砕ローラ13との間に挟み込まれて粉砕される。粉砕されたバイオマスペレットは、搬送ガス流路110から導かれた搬送ガス(以下「一次空気」という。)によって上方へと吹き上げられ、回転式分級機16へと導かれる。
【0030】
粉砕テーブル12の外周には、搬送ガス流路110から流入する一次空気を、ハウジング11内の粉砕テーブル12の上方の空間に流出させる吹出口(図示省略)が設けられている。吹出口には旋回羽根(図示省略)が設置されており、吹出口から吹き出した一次空気に旋回力を与える。旋回羽根により旋回力が与えられた一次空気は、旋回する速度成分を有する気流となって、粉砕テーブル12上で粉砕された粉砕バイオマスを、ハウジング11内の上方にある回転式分級機16へと搬送する。なお旋回羽根は、粉砕テーブル12に設置されて粉砕テーブル12と共に回転しても良いし、ハウジング11側に固定設置されていてもよい。
なお、粉砕バイオマスのうち、所定粒径より大きいものは回転式分級機16により分級されて、または、回転式分級機16まで到達することなく落下して、粉砕テーブル12上に戻されて、粉砕テーブル12と粉砕ローラ13との間で再度粉砕される。
【0031】
粉砕ローラ13は、燃料供給管17から粉砕テーブル12上に供給されたバイオマスペレットを粉砕する回転体である。粉砕ローラ13は、粉砕テーブル12の上面に押圧されて粉砕テーブル12と協働してバイオマスペレットを粉砕する。
図1では、粉砕ローラ13が代表して1つのみ示されているが、粉砕テーブル12の上面を押圧するように、周方向に一定の間隔を空けて、複数の粉砕ローラ13が配置される。例えば、外周部上に120°の角度間隔を空けて、3つの粉砕ローラ13が周方向に均等な間隔で配置される。この場合、3つの粉砕ローラ13が粉砕テーブル12の上面と接する部分(押圧する部分)は、粉砕テーブル12の回転中心軸からの距離が等距離となる。
【0032】
粉砕ローラ13は、例えばジャーナルヘッド45によって、上下に揺動・変位可能となっており、粉砕テーブル12の上面に対して接近離間自在に支持されている。粉砕ローラ13は、外周面が粉砕テーブル12の上面のバイオマスペレットに接触した状態で、粉砕テーブル12が回転すると、粉砕テーブル12から回転力を受けて連れ回りするようになっている。燃料供給管17からバイオマスペレットが供給されると、粉砕ローラ13と粉砕テーブル12との間の噛込み部でバイオマスペレットが押圧されて粉砕される。この押圧する力を、粉砕荷重と言う。
【0033】
ジャーナルヘッド45の支持アーム47は、中間部が水平方向に沿った支持軸48によって、ハウジング11の側面部に支持軸48を中心として粉砕ローラ13を上下方向に揺動・変位可能に支持されている。また、支持アーム47の鉛直上側にある上端部には、押圧装置49が設けられている。押圧装置49は、ハウジング11に固定されており、粉砕ローラ13を粉砕テーブル12に押し付けるように、支持アーム47等を介して粉砕ローラ13に粉砕荷重を付与する。粉砕荷重は、例えば、ミル10の外部に設置された油圧装置(図示省略)から供給される作動油の圧力により作動する油圧シリンダ(図示省略)によって与えられる。また、粉砕荷重は、ばね(図示省略)の反発力によって与えられてもよい。なお、ローラの支持、粉砕荷重付加の方法は、これらに限定されない。例えば粉砕ローラ13の支持軸を直接油圧シリンダ(図示省略)で押圧しても良い。
【0034】
減速機14は、ミルモータ15に接続されており、ミルモータ15の駆動力を粉砕テーブル12に伝達し、粉砕テーブル12を中心軸回りに回転させる。
【0035】
回転式分級機16は、ハウジング11の上部に設けられ中空状の逆円錐状又は円筒状の外形を有している。回転式分級機16は、その外周位置に上下方向に延在する複数のブレード16aを備えている。各ブレード16aは、回転式分級機16の中心軸線周りに所定の間隔(均等間隔)で設けられている。
回転式分級機16は、粉砕テーブル12と粉砕ローラ13により粉砕されたバイオマスペレット(以下、粉砕されたバイオマスペレットを「粉砕バイオマス」という。)を、所定粒径より大きいもの(以降、所定粒径を超える粉砕バイオマスを「粗粉燃料」という。)と、所定粒径以下のもの(以降、所定粒径以下の粉砕バイオマスを「微粉燃料」という。)に分級する装置である。回転式分級機16は、制御部50によって制御される分級機モータ18により回転駆動力を与えられ、ハウジング11の上下方向に延在する円筒軸(図示省略)を中心に燃料供給管17の周りを回転する。
なお、分級部としては、固定された中空状の逆円錐形状のケーシングと、そのケーシングの外周位置にブレード16aに替わって複数の固定旋回羽根とを備えた固定式分級機を用いてもよい。
【0036】
回転式分級機16に到達した粉砕バイオマスは、ブレード16aの回転により生じる遠心力と、一次空気の気流による向心力との相対的なバランスにより、大きな径の粗粉燃料は、ブレード16aによって叩き落とされ、粉砕テーブル12へと戻されて再粉砕され、微粉燃料はハウジング11の天井部42にある出口ポート19に導かれる。回転式分級機16によって分級された微粉燃料は、一次空気とともに出口ポート19から微粉燃料供給流路120へ排出され、ボイラ200のバーナ220へ供給される。
【0037】
燃料供給管17は、ハウジング11の天井部42を貫通するように上下方向に沿って下端部がハウジング11内部まで延設されて取り付けられ、燃料供給管17の上部から投入されるバイオマスペレットを粉砕テーブル12の中央部に供給する。燃料供給管17の上端には、燃料供給装置20が接続されており、バイオマスペレットが供給される。
【0038】
燃料供給装置20は、バンカ21の下端部から上下方向に延在する管であるダウンスパウト部24によって、バンカ21と接続されている。ダウンスパウト部24の途中には、バンカ21からのバイオマスペレットの排出状態を切り替える弁を設けてもよい。燃料供給装置20は、搬送部22と、給炭機モータ23とを備える。搬送部22は、例えばベルトコンベアであり、ダウンスパウト部24の下端部から排出されるバイオマスペレットを、給炭機モータ23の駆動力によって燃料供給管17の上部に搬送し、内部へ投入する。ミル10へ供給されるバイオマスペレットの供給量は、制御部50からの信号によって、例えば、搬送部22のベルトコンベアの移動速度を調整して制御される。
【0039】
ダウンスパウト部24内に積層しているバイオマスペレットは、石炭に比べてサイズや形状が均一であるため、サイズや形状の異なる粒子による隙間の充填効果(マテリアルシール)が小さく、バイオマスペレット間に形成される隙間が大きくなる。このため、ミル10内部の一次空気が、ダウンスパウト部24内の層内に形成される隙間を通過して、ミル10内部からダウンスパウト部24を経てバンカ21へ逆流し、ミル10内部の圧力が低下する可能性がある。ミル10内部の圧力が低下すると、ミル10内部での粉砕バイオマスの搬送性の悪化、燃料供給装置20内部やバンカ21上部での粉塵の発生、一次空気が高温であることから燃料供給装置20やバンカ21やダウンスパウト部24の内部のバイオマスペレットへの着火、及びバーナ220への微粉燃料の搬送量の低下など、バイオマスペレット粉砕装置100及びボイラ200の安定した運転に種々の問題が生じる可能性がある。このため、燃料供給装置20とミル10内部を接続する燃料供給管17の途中にロータリバルブ60(
図2参照)を設けて、ミル10内部から燃料供給装置20とダウンスパウト部24を経てバンカ21へ向かう一次空気と粉砕バイオマスの逆流の発生を抑制するようにしてもよい。
【0040】
送風部30は、粉砕バイオマスを乾燥させるとともに、回転式分級機16へ搬送するための一次空気を、ハウジング11の内部へ送風する装置である。
送風部30は、ハウジング11の内部へ送風される一次空気の流量と温度を適切に調整するために、本実施形態では、一次空気通風機(PAF:Primary Air Fan)31と、熱ガス流路30aと、冷ガス流路30bと、熱ガスダンパ30cと、冷ガスダンパ30dとを備えている。
【0041】
熱ガス流路30aは、一次空気通風機31から送出された空気の一部を、空気予熱器(熱交換器)34を通過して加熱された熱ガスとして供給する。熱ガス流路30aには、熱ガスダンパ30cが設けられている。熱ガスダンパ30cの開度は、制御部50によって制御される。熱ガスダンパ30cの開度によって、熱ガス流路30aから供給する熱ガスの流量が決定される。
【0042】
冷ガス流路30bは、一次空気通風機31から送出された空気の一部を常温の冷ガスとして供給する。冷ガス流路30bには、冷ガスダンパ30dが設けられている。冷ガスダンパ30dの開度は、制御部50によって制御される。冷ガスダンパ30dの開度によって、冷ガス流路30bから供給する冷ガスの流量が決定される。
【0043】
一次空気の流量は、熱ガス流路30aから供給する熱ガスの流量と冷ガス流路30bから供給する冷ガスの流量の合計の流量となり、一次空気の温度は、熱ガス流路30aから供給する熱ガスと冷ガス流路30bから供給する冷ガスの混合比率で決まり、制御部50によって制御される。
【0044】
ミル10の状態検出部40により計測または検出したデータは、制御部50に送信される。状態検出部40は、例えば、差圧計測手段であり、搬送ガス流路110からハウジング11の内部へ一次空気が流入する部分における圧力と、ハウジング11の内部から微粉燃料供給流路120へ一次空気と微粉燃料が排出される出口ポート19における圧力との差圧を、ミル10の差圧として計測する。また、粉砕テーブル12を挟んだ上下の差圧をテーブル差圧として計測する。ミル10の差圧またはテーブル差圧の増減は、ハウジング11内部の回転式分級機16付近と粉砕テーブル12付近の間を循環している粉砕バイオマスの循環量の増減に対応する。すなわち、このミル10の差圧またはテーブル差圧に応じて回転式分級機16の回転数を調整することで、出口ポート19から排出される微粉燃料の量と粒径範囲を調整することができるので、微粉燃料の粒径をバーナ220におけるバイオマスペレットの燃焼性に影響しない範囲に維持しつつ、ミル10へのバイオマスペレットの供給量に対応した量の微粉燃料を、ボイラ200に設けられたバーナ220に安定して供給することができる。
【0045】
状態検出部40は、例えば、温度計測手段であり、ハウジング11の内部へ供給される一次空気の入口温度や、出口ポート19における一次空気と微粉燃料との混合気体の出口温度を検出して、それぞれの上限温度を超えないように送風部30を制御する。各上限温度は、バイオマスペレットの性状に応じた着火の可能性等を考慮して決定される。
【0046】
制御部50は、バイオマスペレット粉砕装置100の各部を制御する装置である。
制御部50は、例えば、ミルモータ15に駆動指示を伝達して粉砕テーブル12の回転速度を制御してもよい。
制御部50は、例えば、分級機モータ18へ駆動指示を伝達して回転式分級機16の回転速度を制御して分級性能を調整し、微粉燃料の粒径をバーナ220におけるバイオマスペレットの燃焼性に影響しない範囲に維持しつつ、ミル10へのバイオマスペレットの供給量に対応した量の微粉燃料を、バーナ220へ安定して供給することができる。
また、制御部50は、例えば給炭機モータ23へ駆動指示を伝達することにより、ミル10へ供給するバイオマスペレットの供給量を調整することができる。
また、制御部50は、送風部30へ開度指示を伝達することにより、熱ガスダンパ30cおよび冷ガスダンパ30dの開度を制御して一次空気の流量と温度を調整することができる。
【0047】
制御部50は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体等から構成されている。そして、各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で記憶媒体等に記憶されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、ROMやその他の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。また、HDDはソリッドステートディスク(SSD)等で置き換えられてもよい。
【0048】
ボイラ200は、火炉210とバーナ220とを備えている。ボイラ200は、バイオマスペレット粉砕装置100から供給される微粉燃料の燃焼によって蒸気を発生させる。
【0049】
バーナ220は、微粉燃料供給流路120から供給される微粉燃料と一次空気との混合気と、押込通風機(FDF:Forced Draft Fan)32から送出される空気(外気)を空気予熱器34で加熱して供給される二次空気とを用いて、微粉燃料を燃焼させて火炎を形成する装置である。微粉燃料の燃焼は火炉210内で行われ、高温の燃焼ガスは、蒸発器、過熱器、節炭器などの熱交換器(図示省略)を通過した後にボイラ200の外部に排出される。
【0050】
ボイラ200から排出された燃焼ガスは、環境装置(脱硝装置、集塵装置、脱硫装置などで図示省略)で所定の処理を行うとともに、空気予熱器34で一次空気や二次空気との熱交換が行われ、誘引通風機(IDF:Induced Draft Fan)33を介して煙突(図示省略)へと導かれて外気へと放出される。空気予熱器34において燃焼ガスにより加熱された一次空気通風機31から送出される空気は、前述した熱ガス流路30aに供給される。
【0051】
ボイラ200の各熱交換器への給水は、節炭器(図示省略)において加熱された後に、蒸発器(図示省略)および過熱器(図示省略)によって更に加熱されて高温高圧の過熱蒸気が生成され、発電部である蒸気タービン(図示省略)へと送られて蒸気タービンを回転駆動し、蒸気タービンに接続した発電機(図示省略)を回転駆動して発電が行われ、発電プラント1を構成する。
【0052】
図2には、ミル10の要部が示されている。ミル10には、バイオマスペレットに水分を付加する水供給部62が設けられている。水供給部62は、水供給管64と、水供給管に設けられた流量計65及び流量調整弁66とを備えている。
【0053】
水供給管64は、図示しない水供給源から燃料供給管17内に水を導く。具体的には、水供給管64は、微粉燃料の流れA1と一次空気の流れA2とに水が干渉しないように、水を供給する。流量計65は水供給管64を通過する水の流量を計測し、制御部50(
図1参照)へと計測値を送信する。流量調整弁66は、流量計65の水流れの上流側に位置し、制御部50の指令によって開度が制御される。なお、流量計65は現場指示計であってもよく、流量調整弁66は手動弁であっても構わない。この場合、人力にて水供給管64を通過する水の流量を計測、制御する。流量計65の計測結果、流量調整弁66の制御結果は、人が制御部50(
図1参照)へ入出力しても良い。
【0054】
水供給部62から供給された水は、燃料供給管17の内周壁に水膜Wを形成するように供給される。この水膜Wによってバイオマスペレットより分離した欠片や粉砕バイオマス等が燃料供給管17の内周壁に付着することが防止される。燃料供給管17内に供給された水は、燃料供給管17の下端から下方の粉砕テーブル12上に導かれる。なお、燃料供給管17に供給される水は、水膜Wを形成せずに又は水膜Wに加えて、燃料供給管17の内部にスプレイするようにしても良い。なお、水供給部62から燃料供給管17に水が供給される位置は、ロータリバルブ60の下方とされる。
【0055】
図3には、水供給部62から供給する水分量が示されている。同図に示されているように、水供給部62から水が供給される前(注水前)のバイオマスペレットの水分量が8wt%の場合には、バイオマスペレットの形状崩壊が開始する水分量Xwt%(例えば約10wt%)を超えるように4wt%に相当する水を水供給部62から供給する。これにより、最終的に注水後は12wt%の水分量のバイオマスペレットとして噛込み部70へ導くようにする。
【0056】
注水前のバイオマスペレットの水分量が10wt%の場合には、2wt%に相当する水を水供給部62から供給して注水後に12wt%の水分量のバイオマスペレットとして噛込み部70へ導くようにする。このように注水後の水分量の変動が少なくなるように制御することで、ミルが行うべき乾燥仕事量の変動が少なくなり、一次空気の温度制御を安定化することができる。
【0057】
なお、水供給部62から水を供給した後のバイオマスペレットの全水分量は、12%に限定されるものではなく、少なくともバイオマスペレットの形状崩壊が開始する水分量Xwt%を超えるものであればよい。粉砕性を考慮して予め試験をして定めておくことが好ましい。また、注水前のバイオマスペレットの水分量は、バイオマスペレットを製造者から受け入れた際にサンプリングして計測しておくのが好ましい。バイオマスペレットが形状崩壊する水分量Xwt%については、バイオマスペレットを形成する原料やバイオマスペレットの製造方法によって異なり、一般に、バイオマスペレットの製造者から与えられる。
【0058】
図2に示すように、燃料供給管17から供給されたバイオマスペレットは、回転軸線L1回りに回転する粉砕テーブル12上に導かれた後に、粉砕ローラ13との間の噛込み部70にて粉砕され、粉砕テーブル12上に燃料層72を形成する。
【0059】
粉砕バイオマスのうちの微粒燃料は、矢印A1で示すように、一次空気(矢印A2)に伴って上昇した後に回転式分級機16を通りボイラ200へと導かれる。
【0060】
図4には、
図2のB部の拡大図が示されている。同図に示すように、注水後のバイオマスペレットは、加水により軟化し形状崩壊して転がり摩擦係数が上昇する。これと同時に、バイオマスペレット同士または粉砕部(粉砕テーブル12及び粉砕ローラ13)との滑り摩擦係数も上昇し、粉砕テーブル12の遠心力又は粉砕ローラ13の粉砕荷重により、バイオマスペレットが粉砕部から逃げて噛込み部70で噛み込まれない事象を抑制することができる。これにより、噛込み部70において所望のリフト量LF1を得ることができる。また、所望のリフト量LF1を確保できるので、燃料層72内に異物D1が存在していたとしても噛込み部70に存在するバイオマスペレットがクッションとなり、振動や騒音が発生することが抑制される。また、異物D1の接触による粉砕部の摩耗を抑制することができる。さらに、振動や騒音を抑制することが出来る為、より大きな粉砕荷重を付加することにより、効率的な粉砕を行うことが可能となる。
【0061】
これに対して、バイオマスペレットの水分量が十分でない場合には、
図5に示すように、転がり摩擦係数が低いために噛込み部70からバイオマスペレットが逃げてしまい、噛込み部70における燃料層72が薄くなってしまう。これにより、リフト量LF0が十分に確保できずに異物D1を噛み込んでしまい振動や騒音の原因となってしまう。また、異物D1の接触による粉砕部の摩耗の原因となる。さらに、振動や騒音を抑制する為に粉砕荷重を低くすれば、粉砕効率が低下する。
【0062】
次に、
図6を用いて、水供給部62から水を供給する際に行う制御部50の動作を説明する。
図6(a)に示すように、制御部50は、回転式分級機16と粉砕テーブル12との間を循環する粉砕バイオマスの量に基づいて水供給部62を制御する。具体的には、粉砕テーブル12の上部空間と下部空間との間の差圧であるテーブル差圧が所定値よりも大きい場合は、粉砕バイオマスの循環量が多く粉砕性が低下したと判断し、注水量を増大させる。
但し注水量を多くし過ぎると、ミルの乾燥仕事能力を超えてしまう為、一次空気の温度及び風量が上限となる注水量で上限を設けておくことが好ましい。同様に一次空気の温度及び風量が下限となる注水量で下限を設けておくことが好ましい。バイオマスペレットの場合、安全上の理由から、ミルに投入される一次空気の温度の上限が制限される(
図6(b)では170℃)。一次空気の温度下限及び、風量の制限については熱ガスダンパ30c又は冷ガスダンパ30dの制御性等により制限される。
なお、注水量の制御範囲で、これらの制限まで到達しない場合は、上下限は設けなくともよい。また、テーブル差圧に限らず、ミル差圧を用いることができる。ミル差圧とは、ミル粉砕部の上流側と下流側の差圧を意味する。ここで、ミル粉砕部の上流側とはハウジング11の下部から搬送ガス流路110上流部までのいずれかの位置であり、ミル粉砕部の下流側とはハウジング11の上部から微粉燃料供給流路120下流部までのいずれかの位置である。
また、上記の制御部50による制御に代えて、手動で水の供給を調整するようにしても良い。
【0063】
図6(b)に示すように、制御部50は、一次空気のミル入口温度がバイオマスの性状に応じて予め設定された上限値(同図では170℃)に到達する前に、注水量を減少させる。これにより、乾燥に要する熱量が過大とならないようにして一次空気の入口温度の上昇を抑制する。
【0064】
微粉燃料の受け入れ先であるバーナ220や火炉210の制約によって一次空気の流量を増加できない場合がある。この場合には、ミル10から排出される一次空気のミル出口温度の制御目標値を低下させる。これにより、水供給部62からの注水を継続する。そして、
図6(c)に示すように、制御部50は、一次空気のミル出口温度が所定値(同図では60℃)を下回った場合に、注水量を低下させる。これにより、ミル出口温度の大幅な低下を抑制する。
【0065】
図6(d)に示すように、粉砕テーブル12を駆動するミルモータ15の動力(ミル動力)が小さい場合は、粉砕ローラ13との間の噛込み部70で十分にバイオマスペレットを噛み込んでいないことを意味するので、この場合には、制御部50は、水供給部62からの注水量を増大させて噛込み性を向上させる。
【0066】
図6(e)に示すように、制御部50は、一次空気のミル入口温度が増大した場合には、これに応じて一次空気の流量のバイアス値(制御設定値に対する加算値)を増大する。これにより、ミル入口温度の過大な増加を抑制しつつ、必要な乾燥熱量を得ることができる。
【0067】
図6(f)に示すように、制御部50は、水供給部62からの注水量に応じて、粉砕ローラ13を粉砕テーブル12に押し付ける粉砕荷重(
図2の押圧装置49の油圧)を制御する。水供給部62からの注水量が増大するとバイオマスペレットの粉砕性が向上するので、粉砕荷重(油圧)のバイアス値を増大させることによってミル10の粉砕量を増大させることができる。
【0068】
図7には、水供給部62の注水に関するフローチャートが示されている。
ミル運転中(ステップS1)に、テーブル差圧を確認し、所定値よりも大きくなっているかを確認する(ステップS2)。テーブル差圧が所定値よりも大きい場合(YES)は、粉砕テーブル12と回転式分級機16との間で循環する粉砕バイオマスの量が多い、すなわちバイオマスペレットの粉砕性が低下していると判断できる。この場合はステップS3へ進む。
【0069】
ステップS2にてテーブル差圧が所定値以下の場合(NO)はステップS5へ進み、水供給部62からの注水量を所定量減少させる。ただし注水量の下限は0である。また、粉砕荷重(油圧)設定値に加算していたバイアス値を所定量減少させる(
図6(f)参照)。ただし、油圧のバイアス量の下限は0である。
【0070】
ステップS2からステップS3に進んだ場合は、ミル動力が所定値よりも大きいか否かを判断する。ミル動力が所定値よりも小さい場合(YES)は、ミル動力すなわち粉砕テーブル12の駆動力が過小、すなわちバイオマスペレットの粉砕性が低下していると判断して、ステップS4へ進み、水供給部62からの注水量を所定値まで増大させる(
図6(d)参照)。ただし、注水量は所定値に到達したら、それ以上に増大させることはない。また、粉砕荷重のバイアス値を所定値まで増大させる(
図6(f)参照)。ただし、バイアス値は所定値に到達したら、それ以上に増大させることはない。
【0071】
ステップS3にてミル動力が所定値以上の場合(NO)には、ステップS5へ進む。ステップS5の動作は上述した通りである。
【0072】
ステップS4またはステップS5で注水量と油圧バイアスを調整した後は、ステップ6へ進む。ステップS6では、ミル出口における一次空気の温度(ミル出口温度)が所定値よりも低いかどうかを判断する。ミル出口温度が所定値よりも低い場合(YES)は、ステップS8へ進み、ボイラ200側の要求温度を満たすように、ミル入口における一次空気の温度(ミル入口温度)のバイアス値を増大させる。ただし、バイアス値は所定値に到達したら、それ以上に増大させることはない。
【0073】
ステップS6にてミル出口温度が所定値以上の場合(NO)には、ステップS7へ進み、水供給部62からの注水量に適したミル入口温度に調整するため、ミル入口温度のバイアス値を低減する。ただし、ミル入口温度のバイアス値の下限は0である。
【0074】
ステップS7またはステップS8でミル入口温度のバイアスを調整した後は、ステップ9へ進む。ステップS9では、ミル入口温度が過大であるかを判断する。ミル入口温度が所定値以下の場合(NO)には、ステップS10へ進み、水供給部62からの注水量に適したミル出口温度に調整するため、一次空気流量のバイアス値を減少させる(
図6(e)参照)。ただし、一次空気流量のバイアス値の下限は0である。ステップS10の次は、ステップS1へ戻る。
【0075】
ステップS9にてミル入口温度が所定値を超えてミル入口温度が過大である場合(YES)には、ステップS11へ進み、一次空気流量が上限値に到達しているか否かを判断する。
【0076】
ステップS11にて一次空気流量が上限未満の場合(NO)には、ステップS12へ進み、一次空気流量のバイアス値を所定値増大させる。これにより、水供給部62からの注水量に見合う乾燥熱量を確保する。ただし、一次空気流量のバイアス値は所定値に到達したらそれ以上は増大させないようになっている。ステップS12の次は、ステップS1へと戻る。
【0077】
ステップS11にて一次空気流量が上限以上の場合(YES)には、ステップS13へ進み注水量を減少させる。このとき、注水量が0に到達したら、水供給部62からの注水を停止する。そして、ステップS6へと戻る。
【0078】
以上説明した本実施形態の作用効果は以下の通りである。
バイオマスペレットは、バイオマス原料を成形したものなので、形状が一定で転がり摩擦係数が小さい。このため粉砕テーブル12と粉砕ローラ13との間の噛込み部で噛み込むことができずに所望の粉砕性能が得られない。そこで、バイオマスペレットに水を供給することによって転がり摩擦係数を増大させて噛込み部70での噛込み性を向上させることとした。これにより、粉砕性能を増大させることができる。
【0079】
燃料供給管17から水を供給することとし、バイオマスペレットが水を吸収してから粉砕されるまでの時間を可及的に短くした。これにより、燃料供給管17に供給する前にバイオマスペレットが水分を含んで形状崩壊することを抑制することができ、バイオマスペレットのハンドリング性を損なうことがない。水をバイオマスペレットに供給してからバイオマスペレットが噛込み部に到達する時間は1分未満とされ、好ましくは10秒以下とされる。また、燃料供給管17は燃料供給装置20よりも後流側となるため、燃料供給装置20にて計量される燃料流量に水の影響を与えることが無い。
【0080】
バイオマスペレットが供給される燃料供給管17から水を供給することによって、ミル10の内部に投入されたバイオマスペレットに対して確実に水分を含ませることができる。
【0081】
燃料供給管17の内壁に水膜Wを形成するように水を供給することとしたので、燃料供給管17の内面に付着したバイオマスペレットより分離した欠片や微粉燃料を洗い流すことができる。
【0082】
水供給部62から形状崩壊する程度の水を供給することによって粉砕性を向上させることができる。また、バイオマスペレットは水が供給された後に直ぐに噛込み部70で粉砕されるので、形状崩壊する水分量をバイオマスペレットに供給しても問題ない。
【0083】
[第2実施形態]
次に、本開示の第2実施形態について、
図8を用いて説明する。
本実施形態は、第1実施形態に対して、バイオマスペレットに水を供給する位置が異なり、その他は同様である。したがって、以下の説明では、第1実施形態と異なる事項について説明し、それ以外の共通する事項は基本的に同一符号を付しその説明を省略する。
【0084】
図8に示すように、水供給部82は、水供給管84と、水供給管に設けられた流量計85及び流量調整弁86とを備えている。
【0085】
水供給管84は、図示しない水供給源から粉砕テーブル12に向けて水を導く。具体的には、水供給管84は、微粉燃料の流れA1と乾燥搬送ガスの流れA2とに水が干渉しないように、回転軸線L1から噛込み部70までの範囲における所定の位置に水を供給する。流量計85は水供給管84を通過する水の流量を計測し、制御部50(
図1参照)へと計測値を送信する。流量調整弁86は、流量計85の水流れの上流側に位置し、制御部50の指令によって開度が制御される。
【0086】
本実施形態の作用効果は以下の通りである。
粉砕テーブル12に向けて水を供給することとしたので、粉砕テーブル12上に堆積しているバイオマスペレットに対して、噛込み部70に導かれる直前に水分を含ませることができる。
【0087】
以上説明した各実施形態に記載のバイオマスペレット粉砕装置及びこれを備えた発電プラント並びにバイオマスペレット粉砕装置の制御方法は、例えば以下のように把握される。
【0088】
本開示の第1態様に係るバイオマスペレット粉砕装置(100)は、本体部(11)と、前記本体部の内部に設けられ、中心軸線の回りに回転する回転テーブル(12)と、前記本体部に設けられ、前記回転テーブルへバイオマス原料を成形したバイオマスペレットを供給する燃料供給管(17)と、前記燃料供給管から供給された前記バイオマスペレットを前記回転テーブルとの間の噛込み部で噛み込んで粉砕する粉砕ローラ(13)と、前記燃料供給管から前記噛込み部に前記バイオマスペレットが噛み込まれる前までの位置に、該バイオマスペレットに水を供給する水供給部(62,82)と、を備えている。
【0089】
バイオマスペレットは、バイオマス原料を成形したものなので、形状が一定で転がり摩擦係数が小さい。このため回転テーブルと粉砕ローラとの間の噛込み部で噛み込むことができずに所望の粉砕性能が得られない。そこで、バイオマスペレットに水を供給することによって転がり摩擦係数を増大させて噛込み部での噛込み性を向上させることとした。これにより、粉砕性能を増大させることができる。
燃料供給管から噛込み部にバイオマスペレットが噛み込まれる前までの位置に水を供給することとし、バイオマスペレットが水を吸収してから粉砕されるまでの時間を可及的に短くした。これにより、燃料供給管に供給する前にバイオマスペレットが水分を含んで形状崩壊することを抑制することができ、バイオマスペレットのハンドリング性を損なうことがない。
水をバイオマスペレットに供給してからバイオマスペレットが噛込み部に到達する時間は1分未満とされ、好ましくは10秒以下とされる。
【0090】
本開示の第2態様に係るバイオマスペレット粉砕装置では、前記第1態様において、前記水供給部(62)は、前記燃料供給管(17)から水を供給する。
【0091】
バイオマスペレットが供給される燃料供給管から水を供給することによって、本体部の内部に投入されたバイオマスペレットに対して確実に水分を含ませることができる。
【0092】
本開示の第3態様に係るバイオマスペレット粉砕装置では、前記第1態様又は前記第2態様において、前記水供給部(62)は、前記燃料供給管(17)の内壁に水膜(W)を形成する。
【0093】
燃料供給管の内壁に水膜を形成するように水を供給しても良い。これにより、燃料供給管の内面に付着したバイオマスペレットの微粉を洗い流すことができる。
【0094】
本開示の第4態様に係るバイオマスペレット粉砕装置では、前記第1態様において、前記水供給部(82)は、前記回転テーブル(12)に向けて水を供給する。
【0095】
回転テーブルに向けて水を供給することとしても良い。これにより、回転テーブル上に堆積しているバイオマスペレットに対して水分を含ませることができる。
【0096】
本開示の第5態様に係るバイオマスペレット粉砕装置では、前記第1態様から前記第4態様のいずれかにおいて、前記水供給部(62,82)から供給される水量を制御する制御部(50)を備え、前記制御部は、前記バイオマスペレットが形状崩壊する水分量を超えた量の水を供給するように前記水供給部を制御する。
【0097】
形状崩壊する程度の水を供給することによって粉砕性を向上させることができる。また、バイオマスペレットは水が供給された後に直ぐに噛込み部で粉砕されるので、形状崩壊する水分量をバイオマスペレットに供給しても問題ない。
バイオマスペレットが形状崩壊する水分量は、バイオマスペレットを受け入れる際にバイオマスペレット製造者から得ることができる。例えば木質系のバイオマスペレットであれば、形状崩壊する水分量は10wt%程度である。
【0098】
本開示の第6態様に係るバイオマスペレット粉砕装置では、前記第1態様から前記第5態様のいずれかにおいて、粉砕されたバイオマスペレットを分級する分級機(16)を備え、前記制御部は、前記分級機と前記回転テーブルとの間で粉砕されたバイオマスペレットが循環する循環量に基づいて、前記水供給部を制御する。
【0099】
バイオマスペレットの粉砕性能が悪い場合、分級機を通過して本体部から外部へ排出される粉砕バイオマスの量が少なくなり、紛糾機と回転テーブルとの間で循環する粉砕バイオマスの循環量が多くなる。この場合には、制御部によって水供給部を制御し、多くの水をバイオマスペレットへ供給して粉砕性を向上させる。一方、粉砕バイオマスの循環量が少なくなってきたら、水の供給量を減らす制御を行う。
粉砕バイオマスの循環量は、例えば、回転テーブルの前後を通過する乾燥搬送ガスの差圧であるテーブル差圧を計測することによって把握することができる。なお、テーブル差圧に限らず、ミル差圧を用いることができる。ミル差圧とは、ミル粉砕部の上流側と下流側の差圧を意味する。ここで、ミル粉砕部の上流側とは下部ハウジングから一次空気流路上流部までのいずれかの位置であり、ミル粉砕部の下流側とは上部ハウジングから微粉燃料供給流路下流部までのいずれかの位置である。
【0100】
本開示の第7態様に係るバイオマスペレット粉砕装置では、前記第1態様から前記第6態様のいずれかにおいて、前記制御部は、前記回転テーブル(12)を駆動するミル動力に基づいて、前記水供給部を制御する。
【0101】
回転テーブルを駆動するミル動力が小さい場合は粉砕ローラとの間の噛込み部で十分にバイオマスペレットを噛み込んでいないことを意味する。この場合には水供給部からの水供給量を増大させて噛込み性を向上させる。
【0102】
本開示の第8態様に係るバイオマスペレット粉砕装置では、前記第1態様から前記第7態様のいずれかにおいて、前記回転テーブルと前記粉砕ローラとによって粉砕された粉砕バイオマスを乾燥させて搬送する乾燥搬送ガスを供給する乾燥搬送ガス供給部(110)を備え、前記制御部は、前記水供給部(62,82)から供給される水量に応じて、前記乾燥搬送ガス供給部から供給される乾燥搬送ガスの温度及び/又は流量を制御する。
【0103】
水供給部から水が供給されると、その水量に応じた乾燥熱量が必要となる。そこで、水供給部から供給された水量に応じて乾燥搬送ガスの温度及び/又は流量を制御することとした。例えば、水供給部から供給された水量が増大した場合には、増大した水分を乾燥するための熱量を確保するために、乾燥搬送ガスの温度を上昇させ、かつ、乾燥搬送ガスの流量を増大させる。ただし、乾燥搬送ガスの流量よりも乾燥搬送ガスの温度を優先して制御する方が好ましい。
【0104】
本開示の第9態様に係るバイオマスペレット粉砕装置では、前記第1態様から前記第8態様のいずれかにおいて、前記制御部は、前記本体部(11)から排出される前記乾燥搬送ガスの出口温度の制御目標値を低下させる。
【0105】
バイオマスペレット粉砕装置によって粉砕されたバイオマス燃料の受け入れ先であるバーナや火炉の制約によって乾燥搬送ガスの量を増加できない場合がある。この場合には、乾燥搬送ガスの出口温度の制御目標値を低下させる。これにより、水供給部からの注水を継続することができる。このとき、乾燥搬送ガスの出口温度の大幅な低下を抑制するために、注水量を低下させる制御を行っても良い。
【0106】
本開示の第10態様に係るバイオマスペレット粉砕装置では、前記第1態様から前記第9態様のいずれかにおいて、前記制御部は、前記本体部(11)へ供給される前記乾燥搬送ガスの入口温度が上限値に到達する前に、前記水供給部(62,82)から供給する水量を減少または停止させる。
【0107】
乾燥搬送ガスの入口温度には上限が設けられている。この上限に到達する前に、水供給部から供給する水量を減少または停止させることによって、過大な乾燥熱量を要求しないようにして乾燥搬送ガスの入口温度の上昇を抑制することとした。
【0108】
本開示の第11態様に係るバイオマスペレット粉砕装置では、前記第1態様から前記第10態様のいずれかにおいて、前記制御部は、前記水供給部(62,82)から供給する水量に応じて、前記粉砕ローラ(13)を前記回転テーブル(12)に押し付ける粉砕荷重を制御する。
【0109】
水供給部から供給する水量が増大すると粉砕性が向上するので、粉砕荷重を増大させることによって粉砕量を増大させることができる。
【0110】
本開示の一態様に係る発電プラント(1)は、前記第1態様から前記第11態様のいずれかに記載されたバイオマスペレット粉砕装置(100)と、前記バイオマスペレット粉砕装置にて粉砕された粉砕バイオマスを燃焼装置で燃焼して蒸気を生成するボイラ(200)と、前記ボイラによって生成された前記蒸気を用いて発電する発電部と、を備えている。
【0111】
本開示の一態様に係るバイオマスペレット粉砕装置の制御方法は、本体部と、前記本体部の内部に設けられ、中心軸線の回りに回転する回転テーブルと、前記本体部に設けられ、前記回転テーブルへバイオマス原料を成形したバイオマスペレットを供給する燃料供給管と、前記燃料供給管から供給された前記バイオマスペレットを前記回転テーブルとの間の噛込み部で噛み込んで粉砕する粉砕ローラと、を備えているバイオマスペレット粉砕装置の制御方法であって、前記燃料供給管から前記噛込み部に前記バイオマスペレットが噛み込まれる前までの位置に、該バイオマスペレットに水を供給する。
【符号の説明】
【0112】
1 発電プラント
10 ミル
11 ハウジング(本体部)
12 粉砕テーブル
13 粉砕ローラ
14 減速機
15 ミルモータ
16 回転式分級機
16a ブレード
17 燃料供給管
18 分級機モータ
19 出口ポート
20 燃料供給装置
21 バンカ
22 搬送部
23 給炭機モータ
24 ダウンスパウト部
30 送風部
30a 熱ガス流路
30b 冷ガス流路
30c 熱ガスダンパ
30d 冷ガスダンパ
31 一次空気通風機
34 空気予熱器
40 状態検出部
41 底面部
42 天井部
45 ジャーナルヘッド
47 支持アーム
48 支持軸
49 押圧装置
50 制御部
60 ロータリバルブ
62 水供給部
64 水供給管
65 流量計
66 流量調整弁
70 噛込み部
72 燃料層
82 水供給部
84 水供給管
85 流量計
86 流量調整弁
100 バイオマスペレット粉砕装置
110 搬送ガス流路(一次空気流路)
120 微粉燃料供給流路
200 ボイラ
210 火炉
220 バーナ
A1 微粉燃料の流れ
A2 一次空気の流れ
D1 異物
L1 回転軸線(中心軸線)
LF0 リフト量
LF1 リフト量
W 水膜