(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108950
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】蓋付き容器
(51)【国際特許分類】
B65D 50/08 20060101AFI20240805BHJP
B65D 43/04 20060101ALI20240805BHJP
B65D 75/58 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
B65D50/08
B65D43/04 100
B65D75/58
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023013634
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(74)【代理人】
【識別番号】100143786
【弁理士】
【氏名又は名称】根岸 宏子
(72)【発明者】
【氏名】藤原 宏太郎
【テーマコード(参考)】
3E067
3E084
【Fターム(参考)】
3E067BA10A
3E067BC07A
3E067EA02
3E067EA17
3E067EA32
3E067EB27
3E067EE59
3E067FC01
3E084AA02
3E084BA01
3E084DB12
3E084FB01
3E084GA01
3E084GA08
3E084GB14
3E084GB30
3E084KA20
(57)【要約】
【課題】封筒等の薄い包装帯に入れることが可能であり、かつ蓋体の取り外し時には十分な掴み代を確保することができる蓋付き容器を提供する。
【解決手段】筒状の第1周壁21及び第1周壁21に連続する第1底部22を有し、第1周壁21及び第1底部22により形成される内部空間23内に内容物を収容する、有底筒状の内容器2と、内容器2を上下にスライド可能に収容する筒状の第2周壁31及び第2周壁31に連続し下方に膨出する弾性変形可能な第2底部32を有する、有底筒状の外容器3と、内容器2の第1周壁21に着脱可能に取り付けられる蓋体4と、を備え、外容器3の第2底部32を下方から上方に押し込むと、第2底部32が反転して上方に膨出することで第1底部22を上方に押し上げ、内容器2が外容器3に対して上方にスライドする蓋付き容器1。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の第1周壁及び前記第1周壁に連続する第1底部を有し、前記第1周壁及び前記第1底部により形成される内部空間内に内容物を収容する、有底筒状の内容器と、
前記内容器を上下にスライド可能に収容する筒状の第2周壁及び前記第2周壁に連続し下方に膨出する弾性変形可能な第2底部を有する、有底筒状の外容器と、
前記内容器の前記第1周壁に着脱可能に取り付けられる蓋体と、
を備え、
前記外容器の前記第2底部を下方から上方に押し込むと、前記第2底部が反転して上方に膨出することで前記第1底部を上方に押し上げ、前記内容器が前記外容器に対して上方にスライドする蓋付き容器。
【請求項2】
前記第1底部が下方に膨出している請求項1に記載の蓋付き容器。
【請求項3】
前記内容器の外周面と前記外容器の内周面のうちの一方に上下方向に沿う溝部が設けられていると共に、他方に前記溝部内に挿通される突起部が設けられている請求項1に記載の蓋付き容器。
【請求項4】
前記蓋体は天壁と、前記天壁に連続して形成される第3周壁とを有し、
前記第2底部が下方に膨出した状態においては、前記蓋体の前記第3周壁の少なくとも一部が前記外容器の前記第2周壁内に収容され、
前記第2底部が上方に膨出した状態においては、前記蓋体の前記第3周壁の外周面全体が前記外容器の前記第2周壁から外部に露出した状態になる請求項1に記載の蓋付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、有底筒状で上部に開口部を有すると共に内部に収容空間を有する容器本体と、容器本体に取り付けられる開閉可能な蓋体を備えた蓋付き容器が用いられている(特許文献1参照)。
【0003】
このような蓋付き容器では、多くの場合蓋体は容器本体にねじ構造を用いて着脱可能に取り付けられている。そして、蓋付き容器から内容物を取り出す際には、使用者が一方の手で容器本体を把持しつつ、他方の手で蓋体を把持して蓋体を容器本体に対して回転することにより、容器本体から蓋体を取り外すことが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年の通信販売による商取引の拡大に伴い、蓋付き容器を郵送やメール便等、簡便な方法で発送することができ、受け取りも郵便ポストにより気軽に行える送付方法により送付する機会が増えている。そして、郵送等により蓋付き容器を送付するためには、封筒等の薄い包装体に入れる必要があるため、このような封筒等に入れられる、薄く扁平な蓋付き容器が用いられる機会が増えている。
【0006】
しかし、薄く扁平な蓋付き容器では、蓋体の取り外し時に使用者が容器本体を掴む際の掴み代が少なくなってしまうため、蓋体を開けづらいという問題があった。
【0007】
本発明はこのような問題を解決することを課題とするものであって、封筒等の薄い包装帯に入れることが可能であり、かつ蓋体の取り外し時には十分な掴み代を確保することができる蓋付き容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、筒状の第1周壁及び前記第1周壁に連続する第1底部を有し、前記第1周壁及び前記第1底部により形成される内部空間内に内容物を収容する、有底筒状の内容器と、前記内容器を上下にスライド可能に収容する筒状の第2周壁及び前記第2周壁に連続し下方に膨出する弾性変形可能な第2底部を有する、有底筒状の外容器と、前記内容器の前記第1周壁に着脱可能に取り付けられる蓋体と、を備え、前記外容器の前記第2底部を下方から上方に押し込むと、前記第2底部が反転して上方に膨出することで前記第1底部を上方に押し上げ、前記内容器が前記外容器に対して上方にスライドする蓋付き容器であることを特徴とする。
【0009】
上記蓋付き容器について、前記第1底部が下方に膨出していることが好ましい。
【0010】
また、上記蓋付き容器について、前記内容器の外周面と前記外容器の内周面のうちの一方に上下方向に沿う溝部が設けられていると共に、他方に前記溝部内に挿通される突起部が設けられていることが好ましい。
【0011】
また、上記蓋付き容器について、前記蓋体は天壁と、前記天壁に連続して形成される第3周壁とを有し、前記第2底部が下方に膨出した状態においては、前記蓋体の前記第3周壁の少なくとも一部が前記外容器の前記第2周壁内に収容され、前記第2底部が上方に膨出した状態においては、前記蓋体の前記第3周壁の外周面全体が前記外容器の前記第2周壁から外部に露出した状態になることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の蓋付き容器によれば、封筒等の薄い包装帯に入れることが可能であり、かつ蓋体の取り外し時には十分な掴み代を確保することができる蓋付き容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係る蓋付き容器を示す正面部分断面図である。
【
図2】
図1の蓋付き容器についての断面部分の拡大図である。
【
図5】
図1の蓋付き容器を逆さまにして外容器の第2底部を押し込む様子を示す正面部分断面図である。
【
図6】
図5の蓋付き容器について外容器の第2底部を反転させて内容器が上方にスライド移動した状態を示す正面部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明に従う蓋付き容器の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る蓋付き容器1を示す正面部分断面図である。
図2は、
図1の蓋付き容器1についての断面部分の拡大図である。
図3は、
図2の蓋付き容器1についての平面図である。
図4は、
図3の領域Bの拡大図である。なお、以下の説明において、蓋付き容器1についての上とは、蓋体4が設けられている側をいい、下とは、第2底部32が設けられている側をいう。
【0015】
図1及び
図2に示すように、本発明の実施形態に係る蓋付き容器1は、内容物を収容する有底筒状の内容器2と、内容器2を上下方向にスライド可能に収容する有底筒状の外容器3と、内容器2に着脱可能に取り付けられる蓋体4と、を備えている。
【0016】
内容器2は、筒状の第1周壁21及び第1周壁21に連続し下方に膨出する第1底部22を有し、第1周壁21及び第1底部22により形成される内部空間23内に内容物を収容する。
【0017】
第1周壁21の上端部分の外周面には第1ねじ部211が形成されている。また第1周壁21の第1ねじ部211より下側の外周面には、第1周壁21の径方向外側に突出する平面視で円環状のリブ部212と、リブ部212の外周縁から下方に延在する筒状の外筒部213が形成されている。
【0018】
外筒部213の外周面には、周方向に沿う突条状の第1係止突条部214が、外筒部213の周方向に沿い形成されている。また、外筒部213の外周面には、上下方向に沿う突条状の突起部215が形成されている。第1係止突条部214は、突起部215が形成されている部分を除き、外筒部213の全周に亘り形成されている。
図3に示すように、本実施形態においては、4つの突起部215が外筒部213の円周方向において等間隔に設けられている。突起部215は、第1係止突条部214よりも外筒部213の径方向外側に突出するように形成されていて、第1係止突条部214と交差する部分では、第1係止突条部214と連続して一体的に形成されている。
【0019】
第1底部22は、下方に向けてドーム状に膨出している。後述するように外容器3の第2底部32を押し込み内容器2を上方にスライドする際に、内容器2の上方へのスライドを確実に行うことができるよう、第1底部22は弾性変形しないように第2底部32よりも肉厚に形成されている。
【0020】
外容器3は、内容器2を上下にスライド可能に収容する筒状の第2周壁31及び第2周壁31に連続し下方に膨出する弾性変形可能な第2底部32を有する
【0021】
第2周壁31は、本実施形態においては円筒状の内側周壁311と、内側周壁311の下端部から径方向外側に突出する平面視で円環状の円環底部312と、円環底部312の外周縁部から上方に延在する円筒状の外側周壁313により形成されている。内容器2は、外筒部213を外容器3の内側周壁311と外側周壁313との間の間隙に挿入するようにして、外容器3内に収容されている。
【0022】
内側周壁311は、その内周面に第2底部32の外周縁部が連続するように形成されている。第2底部32と内側周壁311との連結部分322は、第2底部32が上方に弾性変形した際に当該弾性変形した状態を維持することができるよう、撓み代を持って形成されている。
【0023】
円環底部312は、第2底部32が下方に膨出した状態において、第2底部32よりも下方に突出するように形成されている。
【0024】
外側周壁313は、その内周面の上端部近傍において、突条状の第2係止突条部314が、外側周壁313の周方向に沿い形成されていると共に、その内周面の下端部近傍において、突条状の第3係止突条部315が、第2係止突条部314と同じく外側周壁313の周方向に沿い形成されている。第2係止突条部314と第3係止突条部315は、溝部316が形成されている部分を除き、外側周壁313の全周に亘り形成されている。
【0025】
第2底部32は、弾性変形可能であり、下方に膨出した状態において第1底部22の下面の形状に沿うドーム状に形成されている。
【0026】
図1及び
図2に示すように、外容器3の第2底部32が下方に突出し、内容器2が外容器3に最大限収容された状態においては、内容器2の第1係止突条部214が外容器3の第3係止突条部315に係止することで、外容器3の第2底部32を押し込まない限り、内容器2が外容器3から突出した状態(
図6の状態)になることが防止されている。これにより、蓋付き容器1について、搬送中等に内容器2が不用意に突出してしまうことを防止することができ、蓋付き容器1を薄く扁平な状態に保つことが可能になる。
【0027】
また、外側周壁313の内周面には、上下方向に沿う溝部316が形成されている。
図3に示すように、本実施形態においては、4つの溝部316が外側周壁313の周方向において等間隔に設けられていると共に、
図4に示すように、それぞれの溝部316に、内容器2の突起部215が挿通されている。溝部316に突起部215が挿通されていることにより、内容器2は外容器3に対する回転動作が規制されつつ、上下方向にスライド可能になっている。
【0028】
また、
図1及び
図2に示すように、外容器3の第2底部32が下方に膨出している状態においては、外側周壁313が内容器2の外筒部213の外周面全体を覆っていて、外筒部213の外周面が外部に露出しない状態になっている。
【0029】
蓋体4は、円板状の天壁41と、天壁41の周縁部から下方に向けて連続して形成されている円筒状の第3周壁42とを有している。
【0030】
第3周壁42の内周面には、蓋体4を内容器2に取り付ける際に内容器2の第1ねじ部211と螺合する第2ねじ部421が形成されている。第3周壁42は、蓋体4が内容器2に取り付けられると共に第2底部32が下方に膨出した状態(
図1及び
図2の状態)においては、少なくとも一部が外容器3の第2周壁31内(内側周壁311と外側周壁313の間)に収容され、外部に露出していない状態になる。これにより、使用者が蓋付き容器1を持ち歩く等した際に、第3周壁42に周囲の物が接触する等して蓋体4が回転して開いてしまうことを防止することができる。
【0031】
上述した構成を備える蓋付き容器1は、
図1及び
図2に示すように、第2底部32が下方に膨出した状態では薄く扁平な状態になるため、封筒等の薄い包装帯に入れることが可能になる。
【0032】
次に、上述した蓋付き容器1の蓋体4を取り外して内容物を取り出す際に、蓋付き容器1を変形させる様子について説明する。
図5は、
図1の蓋付き容器1を逆さまにして外容器3の第2底部32を押し込む様子を示す正面部分断面図である。
図6は、
図5の蓋付き容器1について外容器3の第2底部32を反転させて内容器2が上方にスライド移動した状態を示す正面部分断面図である。
図7は、
図6の領域Dの拡大図である。
【0033】
図1及び
図2に示す状態にある蓋付き容器1について、蓋体4を取り外し可能な状態にする場合には、まず
図5に示すように、蓋付き容器1を逆さまにして、外容器3の第2底部32を外部に露出して押し込みやすい状態にすることが行われる。
【0034】
次に、第2底部32が下方(第2底部32側)から上方(蓋体4側)に向けて押し込まれると、
図6に示すように第2底部32が反転して上方に膨出することで、内容器2の第1底部22が上方に押し上げられ、内容器2が外容器3に対して上方にスライドする。
【0035】
そして、内容器2の第1係止突条部214が外容器3の第3係止突条部315を乗り越え、内容器2が外容器3に対して上方にスライドすると、蓋体4の第3周壁42の外周面全体が外容器3の第2周壁31から外部に露出した状態になる。これにより、使用者は蓋体4の外周面を把持してこれを開けることが可能になる。このとき、
図7に示すように内容器2の第1係止突条部214が外容器3の第2係止突条部314に係止することで、内容器2が外容器3から脱落しないようになっている。
【0036】
また、内容器2が外容器3に対して上方にスライドすることにより、内容器2の外筒部213の外周面が外部に露出した状態になる。これにより蓋体4の開動作時に外容器3の掴み代が増えて、蓋体4をより開けやすくすることができる。
【0037】
上述した本実施形態に係る蓋付き容器1によると、第2底部32が下方に膨出している状態においては内容器2が外容器3内に退避した状態になり、蓋付き容器1を薄く扁平な状態にすることができるため、封筒等の薄い包装帯に入れることが可能になる。また、第2底部32を反転させて上方に膨出した状態にすると、内容器2が外容器3から突出した状態になり、蓋体4の取り外しのための十分な掴み代を確保することが可能になる。さらに、内容器2の第1底部22が下方に向けてドーム状に膨出していることにより、第2底部32を弾性変形させて上方に膨出させる際に、第2底部32が直ちに第1底部22に当接してこれを押し上げ始めることができ、内容器2を上方に大きく突出することが可能になり、掴み代を大きく確保することが可能になる。
【0038】
なお、本発明は上述した実施形態に係る蓋付き容器1に限定されず、種々の変形を採用することができる。
【0039】
例えば、上述した実施形態においては、蓋付き容器1に対して突起部215と溝部316をそれぞれ4つずつ設けていたが、本発明においてはこれに限らず、3つ以下、又は5以上の突起部215と溝部316を設けてもよい。
【0040】
また、上述した実施形態においては、複数の突起部215と複数の溝部316とがそれぞれ周方向において等間隔に設けられていたが、本発明においてはこれに限らず、複数の突起部215と複数の溝部316とを周方向において異なる間隔で設けてもよい。
【0041】
また、上述した実施形態においては、内容器2側に突起部215を設けると共に、外容器3側に溝部316を設けていたが、本発明においてはこれに限らず、内容器2側に溝部を設けると共に、外容器3側に溝部に挿通可能な突起部を設けてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1:蓋付き容器
2:内容器
3:外容器
4:蓋体
21:第1周壁
22:第1底部
23:内部空間
31:第2周壁
32:第2底部
41:天壁
42:第3周壁
211:第1ねじ部
212:リブ部
213:外筒部
214:第1係止突条部
215:突起部
311:内側周壁
312:円環底部
313:外側周壁
314:第2係止突条部
315:第3係止突条部
316:溝部
322:連結部分
421:第2ねじ部