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  • 特開-堤防装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108965
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】堤防装置
(51)【国際特許分類】
   E02B 3/10 20060101AFI20240805BHJP
【FI】
E02B3/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023013657
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】306024805
【氏名又は名称】株式会社 林物産発明研究所
(72)【発明者】
【氏名】林 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】林 和志郎
(72)【発明者】
【氏名】林 宏三郎
(72)【発明者】
【氏名】林 加奈子
【テーマコード(参考)】
2D118
【Fターム(参考)】
2D118AA12
2D118AA20
2D118CA02
2D118CA07
2D118FA01
2D118FA04
(57)【要約】
【課題】 簡易かつ低廉に設置可能であり、十分な強度で回転板の回転範囲を規制することが可能であり、回転板の表面全体にソーラーパネルを敷設可能な堤防装置を提供する。
【解決手段】 基台と、前記基台上の支点に対して回転可能な回転板であって、前記支点の前方に延在する前方部と前記支点の後方に延在する後方部を有する、該回転板と、前記前方部及び前記後方部の表面に敷設したソーラーパネルと、前記前方部の裏面に取り付けられた浮力体と、前記後方部の裏面に当接することで前記回転板の回転範囲を制限するストッパを有することを特徴とする堤防装置とした。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台と、
前記基台上の支点に対して回転可能な回転板であって、前記支点の前方に延在する前方部と前記支点の後方に延在する後方部を有する、該回転板と、
前記前方部及び前記後方部の表面に敷設したソーラーパネルと、
前記前方部の裏面に取り付けられた浮力体と、
前記後方部の裏面に当接することで前記回転板の回転範囲を制限するストッパを有することを特徴とする堤防装置。
【請求項2】
前記基台が、外フレームと、浮力により前記外フレームに対して上昇可能な内フレームを有する浮力上昇構造を有することを特徴とする請求項1の堤防装置。
【請求項3】
前記基台がアンカーボルトで固定されていることを特徴とする請求項1の堤防装置。
【請求項4】
前記ストッパがパッキンの機能を有することを特徴とする請求項1の堤防装置。
【請求項5】
前記回転板の先端の第二支点に対して回転可能な第二回転板と、
前記第二回転板の表面及び/又は裏面に設けた第二、第三浮力体を更に有することを特徴とする請求項1~3のいずれかの堤防装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浮力により上昇可能な堤防装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、津波や増水時に浮力により回転起立する回転板を備えた堤防装置を開示する。特許文献1では、回転板の回転範囲を規制するストッパが回転板の付け根付近にあるため強度確保が困難である。また、回転板上にソーラーパネルが無いため、エネルギー効率的ではない。ソーラーパネルを設けるとしても、ストッパが回転板の表面に当接することから、回転板の表面全体にソーラーパネルを敷設できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5747208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、簡易かつ低廉に設置可能であり、十分な強度で回転板の回転範囲を制限することが可能であり、回転板の表面全体にソーラーパネルを敷設可能な堤防装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願には、
基台と、
前記基台上の支点に対して回転可能な回転板であって、前記支点の前方に延在する前方部と前記支点の後方に延在する後方部を有する、該回転板と、
前記前方部及び前記後方部の表面に敷設したソーラーパネルと、
前記前方部の裏面に取り付けられた浮力体と、
前記後方部の裏面に当接することで前記回転板の回転範囲を制限するストッパを有することを特徴とする堤防装置が開示される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】堤防装置10を示す。(a)は初期状態、(b)は回転状態。
図2】堤防装置10の平面図を示す。
図3】堤防装置10Aを示す。(a)は初期状態、(b)は回転状態。
図4】堤防装置10Bを示す。(a)は初期状態、(b)は回転状態。
図5】堤防装置10Cを示す。(a)は初期状態、(b)は回転状態。
図6】回転板30の角度を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1,2は、例示的な堤防装置10を示す。堤防装置10は、河岸や海岸、堤防又はその天端等に設置できる。
【0008】
堤防装置10は、基台20と、基台20上の支点21に対して回転可能な回転板30を有する。基台20はコンクリート等で形成するとよい。支点21はヒンジとするとよい。基台20は、アンカーボルト22等で地面に固定するとよい。本例では、基台20の背面がストッパとして機能する。
【0009】
回転板30は、支点21の前方に延在する前方部31と支点の後方に延在する後方部32を有する。支点21の位置に背凭33を設けるとよい。背凭33は単なる仕切りでもよい。回転板30の表面にはソーラーパネル40が敷設され、前方部31の裏面には浮力体50が取り付けられている。前方部31の裏面に止水シート34を貼設すると、回転板30として隙間を有する組木構造を使用できるので回転板30を軽量化できる。
【0010】
津波、洪水等により増水すると、浮力体50の浮力により回転板30は支点21の周りで回転し(図1(a)の0度から図1(b)の約90度に)、止水高を大きくすることができる。回転板30が90度まで回転すると後方部32の裏面が基台20の背面(ストッパ)に当接するのでそれ以上の回転(転倒)は阻止される。
【0011】
回転板30の後方部32(及び/又は背凭33)は、図2のように長手方向に沿って間欠的に設けることが可能である。長手方向に連続的に設けても良い。後方部32はベンチとして使用可能である。
【0012】
図3は、他の実施形態の堤防装置10Aを示す。堤防装置10Aは、回転板30の先端に設けた第二支点21Aと、第二支点21Aに対して回転可能な第二回転板35と、第二回転板35の表面及び裏面に設けた第二、第三浮力体51,52を有する。上記と同じ理由で、第二回転板35と第二浮力体51の間に止水シートを貼設するとよい。
【0013】
増水すると、堤防装置10と同様に回転板30が90度まで回転し、さらに増水すると、第二回転板35が第二支点21Aの周りで回転するので(図3(b))、止水高を一層大きくできる。第二回転板35は第二浮力体51が回転板30の先端に当接するので、回転範囲は90度以下に制限できる。
【0014】
図4は、他の実施形態の堤防装置10Bを示す。堤防装置10Bは、基台20の背面から突起したストッパ23を有する点が堤防装置10と相違する。堤防装置10Bでは、ストッパ23が基台20の背面から突起しているために、回転板30は前傾した状態で停止する。よって、耐水圧性が高くなり、水が引いた後に回転板30は自然に初期状態(図4(a))に復帰する。ストッパ23は、パッキンの機能を兼ねることが望ましく、止水性を高くできる。
【0015】
図5は、他の実施形態の堤防装置10Cを示す。堤防装置10Cでは、基台20が、導水口24Aを有する外フレーム24と、外フレーム24に対して上下動可能な内フレーム25と、内フレーム25の下部に取り付けられた第四浮力体27を有する浮力上昇構造を有する。堤防装置10Bの支点21は、内フレーム25の上面に取り付けられている。
【0016】
堤防装置10Cでは、増水時に導水口24Aから侵入した水で内フレーム25が上昇し、さらなる増水により回転板30が回転する(図5(b))。堤防装置10Cでは、内フレーム25の肩がストッパとして機能するので、堤防装置10Cと同様の機能が達成される。内フレーム25の肩にパッキン兼用のストッパ26を設けてもよい。
【0017】
上記実施形態に記載した堤防装置の構成要素やその寸法、形状、配置、個数、材料等は、例示であり、他の態様も可能である。堤防装置は、海、川、湖等の堤防に設置してもよいが、住宅地やオフィス街、工場地区等に設置してもよい。回転板30の角度は太陽の位置に応じて図6のように調整するとよい。各実施形態の特徴は任意に組み合わせ可能である。
【符号の説明】
【0018】
10,10A,10B,10C・・・堤防装置
20・・・基台
21・・・支点
21A・・・第二支点
22・・・アンカーボルト
23・・・ストッパ
24・・・外フレーム
24A・・・導水口
25・・・内フレーム
26・・・ストッパ
27・・・第四浮力体
30・・・回転板
31・・・前方部
32・・・後方部
33・・・背凭
34・・・止水シート
35・・・第二回転板
40・・・ソーラーパネル
50・・・浮力体
51・・・第二浮力体
52・・・第三浮力体
図1
図2
図3
図4
図5
図6