(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108967
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】貨幣処理装置
(51)【国際特許分類】
G07D 11/14 20190101AFI20240805BHJP
G07D 11/40 20190101ALI20240805BHJP
G07D 11/12 20190101ALI20240805BHJP
【FI】
G07D11/14
G07D11/40
G07D11/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023013662
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】上原 圭介
【テーマコード(参考)】
3E141
【Fターム(参考)】
3E141AA01
3E141AA08
3E141FA05
3E141FC05
3E141FC07
3E141FF09
3E141FG01
3E141FG03
3E141FG07
3E141FG08
3E141FL01
3E141JA15
3E141LA02
3E141LA23
3E141LA45
(57)【要約】
【課題】貨幣の取り忘れを抑止しつつ、装置形状をコンパクトにすることが可能な貨幣処理装置を提供する。
【解決手段】貨幣処理装置1は、紙幣を処理する紙幣処理ユニット10と、硬貨を処理する硬貨処理ユニット20と、紙幣処理ユニット10および硬貨処理ユニット20を左右方向に並んで収容する筐体1aと、筐体1aの前面に上下方向に並んで配置された紙幣出金口12および硬貨出金口22と、紙幣処理ユニット10に配置され、紙幣出金口12に紙幣を送出する紙幣送出部と、硬貨処理ユニット20に配置され、硬貨出金口22に硬貨を送出する硬貨送出部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙幣を処理する紙幣処理ユニットと、
硬貨を処理する硬貨処理ユニットと、
前記紙幣処理ユニットおよび前記硬貨処理ユニットを左右方向に並んで収容する筐体と、
前記筐体の前面に上下方向に並んで配置された紙幣出金口および硬貨出金口と、
前記紙幣処理ユニットに配置され、前記紙幣出金口に紙幣を送出する紙幣送出部と、
前記硬貨処理ユニットに配置され、前記硬貨出金口に硬貨を送出する硬貨送出部と、を備える、
ことを特徴とする貨幣処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の貨幣処理装置において、
前記紙幣出金口は、前記紙幣処理ユニットの前方に配置され、
前記硬貨出金口は、前記紙幣出金口の下方に配置され、
前記硬貨送出部は、前記硬貨処理ユニットから出金された硬貨を前記硬貨出金口に案内する案内通路を有する、
ことを特徴とする貨幣処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の貨幣処理装置において、
前記案内通路は、上下方向において前記紙幣処理ユニットと重なり合う、
ことを特徴とする貨幣処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載の貨幣処理装置において、
前記硬貨処理ユニットは、前後方向に並ぶ金種別の複数の硬貨収納部を備える、
ことを特徴とする貨幣処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の貨幣処理装置において、
前記硬貨処理ユニットは、
前記複数の硬貨収納部の上方を通る入金搬送部と、
前記複数の硬貨収納部にそれぞれ対応して配置され、前記入金搬送部により搬送される硬貨を対応する前記硬貨収納部へと案内する複数の分岐部と、を備える、
ことを特徴とする貨幣処理装置。
【請求項6】
請求項4に記載の貨幣処理装置において、
前記複数の硬貨収納部のうち、手前側に配置された前記硬貨収納部は、奥側に配置された前記硬貨収納部よりも容量が小さい、
ことを特徴とする貨幣処理装置。
【請求項7】
請求項6に記載の貨幣処理装置において、
手前側に配置された前記硬貨収納部は、奥側に配置された前記硬貨収納部よりも高さが低く、
手前側に配置された前記硬貨収納部の上方に、前記入金搬送部により搬送される硬貨の種別を識別するための識別部が配置される、
ことを特徴とする貨幣処理装置。
【請求項8】
請求項4に記載の貨幣処理装置において、
手前側に配置された前記硬貨収納部は、奥側に配置された前記硬貨収納部よりも下端の高さが高く、
各々の前記硬貨収納部から繰り出された硬貨を前方に搬送する出金搬送部の搬送路は、奥側よりも手前側が高い、
ことを特徴とする貨幣処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨幣の入出金処理を行う貨幣処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケット等の店舗では、購入代金の精算等のために貨幣処理装置が設置されている。最近では、顧客自身が精算を行うセルフレジ等にも貨幣処理装置が用いられている。セルフレジでは、顧客自身が精算を行うため、紙幣や硬貨の取り忘れが発生しやすい。
【0003】
これに対し、従来の貨幣処理装置では、紙幣の出金口と硬貨の出金口とが左右に離れて配置されていることが多い。このように紙幣と硬貨の出金口が左右に離れていると、顧客は、精算時に、両方の出金口にお釣りが払い出されていることを一目で確認しにくい。このため、顧客は、一方の出金口からお釣りを取り出した後、他方の出金口に払い出されているお釣りを取り出すことを失念しやすい。
【0004】
以下の特許文献1には、紙幣の出金口と硬貨の出金口を上下に並べて配置した貨幣処理装置が記載されている。通常、顧客は、精算の際に、上方から紙幣の出金口と硬貨の出金口とを見下ろす。このため、このように紙幣の出金口と硬貨の出金口が上下に並んでいると、顧客は、お釣りの確認時に両方の出金口を一目で把握しやすくなる。これにより、顧客は、両方の出金口にお釣りがあるかを円滑に確認でき、お釣りの取り忘れが抑止され得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
スーパーマーケット等の店舗では、設置スペースの制約等から、コンパクトな貨幣処理装置が求められている。
【0007】
これに対し、上記特許文献1の構成では、紙幣の出金口と貨幣の出金口とを上下に並べるために、紙幣処理ユニットと硬貨処理ユニットとが上下に重ねて配置される。このため、貨幣処理装置が高さ方向にかなり大きくなってしまう。
【0008】
また、この構成では、貨幣処理装置の天面の硬貨投入口に投入された硬貨を下段の硬貨処理ユニットへと案内するために、上段に配置される紙幣処理ユニットの右側に大きなスペースが設けられている。さらに、このスペースを介して、硬貨処理ユニットの入金口が天面の硬貨投入口に対向するよう、硬貨処理ユニットの左右方向の幅が、上記スペースをカバーする範囲まで広げられている。このため、左右方向においても貨幣処理装置が大型化し、結局、上下左右の両方において、貨幣処理装置の大型化を招いてしまう。
【0009】
かかる課題に鑑み、本発明は、貨幣の取り忘れを抑止しつつ、装置形状をコンパクトにすることが可能な貨幣処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の主たる態様に係る貨幣処理装置は、紙幣を処理する紙幣処理ユニットと、硬貨を処理する硬貨処理ユニットと、前記紙幣処理ユニットおよび前記硬貨処理ユニットを左右方向に並んで収容する筐体と、前記筐体の前面に上下方向に並んで配置された紙幣出金口および硬貨出金口と、前記紙幣処理ユニットに配置され、前記紙幣出金口に紙幣を送出する紙幣送出部と、前記硬貨処理ユニットに配置され、前記硬貨出金口に硬貨を送出する硬貨送出部と、を備える。
【0011】
本態様に係る貨幣処理装置によれば、紙幣処理ユニットと硬貨処理ユニットが左右方向に並んで配置されるため、貨幣処理装置の高さが高くなることを抑制でき、貨幣処理装置の形状をコンパクトにできる。また、紙幣出金口と硬貨出金口とが上下方向に並ぶように筐体の前面に配置されるため、使用者は、紙幣出金口および硬貨出金口に貨幣が出金されているか否かを一目で的確に把握できる。よって、紙幣出金口および硬貨出金口に対する貨幣の取り忘れを抑止できる。
【0012】
本実施形態における貨幣処理装置において、前記紙幣出金口は、前記紙幣処理ユニットの前方に配置され、前記硬貨出金口は、前記紙幣出金口の下方に配置され、前記硬貨送出部は、前記硬貨処理ユニットから出金された硬貨を前記硬貨出金口に案内する案内通路を有するよう構成され得る。
【0013】
この構成によれば、紙幣処理ユニットおよび硬貨処理ユニットを左右方向に並べて配置しつつ、案内通路を配置することで、紙幣出金口の下方に配置された硬貨出金口に硬貨を送出できる。よって、貨幣の取り忘れの抑止と装置形状のコンパクト化を実現しつつ、貨幣処理装置の構成を簡素にできる。
【0014】
この構成において、前記案内通路は、上下方向において前記紙幣処理ユニットと重なり合うよう配置され得る。
【0015】
この構成によれば、たとえば、紙幣処理ユニットの前方に案内通路を通すためのスペースを設ける必要がないため、貨幣処理装置の形状を前後方向にコンパクトにできる。
【0016】
本実施形態における貨幣処理装置において、前記硬貨処理ユニットは、前後方向に並ぶ金種別の複数の硬貨収納部を備えるよう構成され得る。
【0017】
この構成によれば、紙幣処理ユニットの前後方向の範囲内に、金種別の複数の硬貨収納部を、各々の容量を高く維持しつつ効率的に配置できる。
【0018】
この構成において、前記硬貨処理ユニットは、前記複数の硬貨収納部の上方を通る入金搬送部と、前記複数の硬貨収納部にそれぞれ対応して配置され、前記入金搬送部により搬送される硬貨を対応する前記硬貨収納部へと案内する複数の分岐部と、を備えるよう構成され得る。
【0019】
この構成によれば、硬貨処理ユニットの側方に入金搬送部を配置するためのスペースを設ける必要がない。よって、貨幣処理装置の形状を左右方向にコンパクトにできる。
【0020】
また、前記複数の硬貨収納部のうち、手前側に配置された前記硬貨収納部は、奥側に配置された前記硬貨収納部よりも容量が小さく構成され得る。
【0021】
この構成において、手前側に配置された前記硬貨収納部は、奥側に配置された前記硬貨収納部よりも高さが低く、手前側に配置された前記硬貨収納部の上方に、前記入金搬送部により搬送される硬貨の種別を識別するための識別部が配置され得る。
【0022】
この構成によれば、たとえば、50円や5円等、使用頻度が低い金種を手前の硬貨収納部に割り当てることにより、手前の硬貨収納部の高さを小さく構成し得る。また、これにより手前の硬貨収納部の上方に生じるスペースに識別部等を配置でき、最前方の硬貨収納部のさらに前側に識別部等の配置スペースを確保する必要がない。よって、貨幣処理装置の形状を前後方向にコンパクトにできる。
【0023】
また、上記構成において、手前側に配置された前記硬貨収納部は、奥側に配置された前記硬貨収納部よりも下端の高さが高く、各々の前記硬貨収納部から繰り出された硬貨を前方に搬送する出金搬送部の搬送路は、奥側よりも手前側が高くなるよう配置され得る。
【0024】
この構成によれば、出金搬送部の搬送路が水平の場合に比べて、当該搬送路の前端を持ち上げることができる。このため、その分だけ、硬貨出金口の位置を高くでき、結果、硬貨出金口とその上方の紙幣出金口とを上下方向に接近させることができる。よって、使用者は、紙幣出金口および硬貨出金口に貨幣が出金されているか否かを一目でより的確に把握でき、紙幣出金口および硬貨出金口に対する貨幣の取り忘れをより確実に抑止できる。
【発明の効果】
【0025】
以上のとおり、本発明によれば、貨幣の取り忘れを抑止しつつ、装置形状をコンパクトにすることが可能な貨幣処理装置を提供することができる。
【0026】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、実施形態に係る、貨幣処理装置の構成を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る、紙幣処理ユニットの構成を模式的に示す側面図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る、硬貨処理ユニットの構成を模式的に示す側面図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る、硬貨処理ユニットの構成を模式的に示す上面図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る、硬貨処理ユニットの構成を模式的に示す正面図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る、硬貨処理ユニットの構成を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、変更例1に係る、硬貨処理ユニットの構成を模式的に示す側面図である。
【
図8】
図8は、変更例2に係る、硬貨処理ユニットの構成を模式的に示す上面図である。
【
図9】
図9は、変更例2に係る、硬貨処理ユニットの構成を模式的に示す正面図である。
【
図10】
図10は、変更例3に係る、紙幣処理ユニットの構成を模式的に示す側面図である。
【
図11】
図11は、変更例4に係る、硬貨処理ユニットの構成を模式的に示す上面図である。
【
図12】
図12は、変更例4に係る、硬貨処理ユニットの構成を模式的に示す側面図である。
【
図13】
図13は、変更例4に係る、硬貨処理ユニットの他の構成を模式的に示す上面図である。
【
図14】
図14は、変更例5に係る、紙幣処理ユニットおよび硬貨処理ユニットの構成を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。便宜上、各図には、貨幣処理装置の上下、左右および前後を示す矢印が付されている。
【0029】
本実施形態では、紙幣払出部120および搬送部140が特許請求の範囲に記載の「紙幣送出部」に対応し、出金搬送部260、振分部262および案内通路263、243が特許請求の範囲に記載の「硬貨送出部」に対応する。但し、この対応付けは一例であって、本願発明を特に限定するものではない。
【0030】
【0031】
貨幣処理装置1は、装置の外郭を形成する矩形状の筐体1aを有する。筐体1a内に、紙幣処理ユニット10と、硬貨を処理する硬貨処理ユニット20とが、左右に並んで収容されている。紙幣処理ユニット10は、紙幣に対する入出金処理を行う。硬貨処理ユニット20は、硬貨に対する入出金処理を行う。筐体1aは、複数のパーツを組み合わせて構成されてよい。
【0032】
紙幣処理ユニット10側の筐体1aの前面には、紙幣を入金するための紙幣入金口11と、紙幣を出金するための紙幣出金口12と、紙幣収納カセット13と、硬貨を出金するための硬貨出金口22とが上下に並んで配置されている。紙幣収納カセット13は、筐体1aに対して着脱可能となっている。紙幣収納カセット13は、たとえば、後述の紙幣収納部150、160、170(
図2参照)に対する紙幣の補充または回収のために用いられる。硬貨出金口22は、平面視において円弧形状の凹部を有する硬貨の受け皿によって形成されている。
【0033】
本実施形態では、紙幣入金口11、紙幣出金口12、紙幣収納カセット13および硬貨出金口22の左右方向の各中央位置が上下方向に略直線状に並ぶように、これら各部が配置されている。但し、これら各部の配置はこれに限定されるものではない。たとえば、紙幣出金口12の左右方向の中央位置と、硬貨出金口22の左右方向の中央位置とが、平面視において、左右方向にややずれていてもよい。紙幣出金口12と硬貨出金口22とは、少なくとも一部が、上下方向に重なっていればよい。
【0034】
硬貨処理ユニット20側の筐体1aの上面には、硬貨を入金するための硬貨入金口21が配置されている。
図1において、硬貨入金口21は、開閉可能なシャッタ21aによって閉じられている。シャッタ21aは、後述の操作端末30(
図6参照)に対する入金操作により開放される。操作端末30は、筐体1aの後ろ側の上面に載置され得る。
【0035】
本実施形態では、硬貨処理ユニット20から出金される硬貨は、案内通路によって硬貨出金口22へと送り出される。案内通路の構成は、追って、
図3~
図5を参照して説明する。
【0036】
図2は、紙幣処理ユニット10の構成を模式的に示す側面図である。
図2には、紙幣処理ユニット10を右側から見たときの構成が模式的に示されている。
【0037】
紙幣処理ユニット10は、
図1に示した紙幣収納カセット13の他、紙幣受入部110と、紙幣払出部120と、出金リジェクト部130と、搬送部140と、3つの紙幣収納部150、160、170とを備えている。
【0038】
紙幣受入部110は、
図1の紙幣入金口11から挿入された紙幣を受け入れて収納する。紙幣受入部110は、受け入れた紙幣を、繰出機構111により搬送路142に繰り出す。
【0039】
紙幣払出部120は、搬送路142から受け入れた紙幣を
図1の紙幣出金口12に送出する。紙幣払出部120は、搬送路142から送り込まれた紙幣を集積するためのステージ121と、ステージ121上の紙幣を紙幣出金口12へと繰り出す繰出ベルト122とを備えている。ステージ121は、アーム部材121aにより支持されている。
【0040】
出金リジェクト部130は、出金処理時において、紙幣収納部150、160、170から繰り出された紙幣のうち、重送や斜行等の搬送異常により識別部143で識別できなかった紙幣を出金リジェクト紙幣として収納する。
【0041】
搬送部140は、周回搬送部141と、複数の搬送路142とを備える。周回搬送部141の前側に配置された複数の搬送路142は、紙幣受入部110、紙幣払出部120、出金リジェクト部130および紙幣収納カセット13と周回搬送部141とを接続する。周回搬送部141の後ろ側に配置された複数の搬送路142は、紙幣収納部150、160、170と周回搬送部141とを接続する。
【0042】
周回搬送部141は、
図2の時計方向および反時計方向に紙幣を1枚ずつ搬送する。周回搬送部141と各々の搬送路142との間で紙幣の搬送経路を切り換えるための経路切換部(図示せず)が、周回搬送部141に沿って配置されている。さらに、周回搬送部141には、紙幣の金種等を識別するための識別部143が設けられている。識別部143は、周回搬送部141により搬送される紙幣の金種、真偽、正損、搬送状態等の識別を可能に構成されている。
【0043】
紙幣収納部150、160、170は、金種別に紙幣を収納する。たとえば、紙幣収納部150、160、170には、それぞれ、千円札、5千円札、1万円札が収納される。紙幣収納部150、160、170は、識別部143の識別結果に基づいて、対応する金種の紙幣を収納する。また、紙幣収納部150、160、170には、それぞれ繰出機構151、161、171が設けられている。紙幣収納部150、160、170に収納されている紙幣は、各々の繰出機構151、161、171によって、対応する搬送路142に1枚ずつ繰り出される。
【0044】
入金時において、紙幣入金口11から入金された紙幣は、紙幣受入部110を介して搬送路142に繰り出され、周回搬送部141へと搬送される。その後、紙幣は、周回搬送部141で搬送される際に、識別部143でその金種が識別される。そして、紙幣は、識別された金種に対応する紙幣収納部150、160、170へと送り込まれる。
【0045】
出金時において、紙幣収納部150、160、170の何れかから繰り出された紙幣は、対応する搬送路142を介して周回搬送部141に搬送される。その後、紙幣は、紙幣払出部120に接続される搬送路142を介して、周回搬送部141から紙幣払出部120に送り込まれる。そして、紙幣は、紙幣払出部120内の繰出ベルト122によって、紙幣出金口12へと送り込まれる。こうして、紙幣の払い出しが行われる。
【0046】
図3~
図5は、硬貨処理ユニット20の構成を模式的に示す側面図、上面図および正面図である。
図3には、硬貨処理ユニット20を右側から見たときの構成が模式的に示され、
図4には、硬貨処理ユニット20を上側から見たときの構成が模式的に示されている。
図5には、硬貨処理ユニット20を前側から見たときの構成が模式的に示されている。
【0047】
硬貨処理ユニット20は、硬貨受入部210と、入金搬送部220と、識別部230と、案内通路241~244と、硬貨収納部251~256と、出金搬送部260と、リフト部270と、を備える。
【0048】
硬貨受入部210は、
図1の硬貨入金口21から投入された硬貨を受け入れて収納する。硬貨受入部210は、上面が開放された箱形状を有し、底部に向かうにつれて左右方向の幅が次第に小さくなっている。硬貨受入部210の底面に繰出機構211が配置されている。硬貨受入部210は、受け入れた硬貨を、繰出機構211により入金搬送部220に繰り出す。
【0049】
入金搬送部220は、繰出機構211により繰り出された硬貨を、硬貨収納部251~256に搬送する。入金搬送部220は、硬貨収納部251~256の上方を通っている。入金搬送部220は、硬貨の搬送路となる循環ベルト221を備える。便宜上、
図3および
図4には、循環ベルト221のうち、硬貨収納部251~256の中央を通る部分のみが示され、その他の部分は省略されている。
【0050】
循環ベルト221は、繰出機構211により繰り出された硬貨を後方に搬送するよう駆動される。循環ベルト221には、複数の突起部(図示せず)が等間隔で設けられている。循環ベルト221に設けられた各突起部に硬貨が引っかかることにより、循環ベルト221の循環移動に伴って、硬貨が1枚ずつ後方に搬送される。
【0051】
識別部230は、入金搬送部220の搬送路の最上流位置に配置されている。識別部230は、入金搬送部220により搬送される硬貨の金種、真偽、正損等を識別する。識別部230の下流側の入金搬送部220には、分岐部231~237が配置されている。分岐部231、232、234~237は、それぞれ、入金搬送部220を搬送される硬貨を硬貨収納部251~256に案内するためのものである。分岐部233は、入金搬送部220を搬送される硬貨をリジェクトするためのものである。
【0052】
分岐部231~234は、入金搬送部220によって搬送される硬貨を、選択的に入金搬送部220から分岐させて、案内通路241~244にそれぞれ送る。案内通路241、242、244は、それぞれ、硬貨収納部251~253の上方へと延びている。案内通路241、242、244は、分岐部231~234によって分岐された硬貨を、硬貨収納部251~253にそれぞれ案内する。案内通路243は、
図4および
図5に示すように、案内通路243は、下側の案内通路263に繋がっている。
【0053】
分岐部235~237は、入金搬送部220によって搬送される硬貨を、選択的に入金搬送部220から分岐させて、硬貨収納部254~256にそれぞれ送る。すなわち、硬貨収納部254~256の上部は、それぞれ開放されて開口となっている。分岐部235~237は、硬貨収納部254~256の上部の開口にそれぞれ対向する。分岐部235~237は、入金搬送部220によって搬送される硬貨を、選択的に入金搬送部220から分岐させて落下させる。これにより、分岐された硬貨は、対応する硬貨収納部の開口を通って、当該硬貨収納部に収納される。
【0054】
硬貨収納部251~256は、金種別に硬貨を収納する。たとえば、硬貨収納部251~256には、それぞれ、50円、5円、500円、100円、10円、1円の金種がそれぞれ割り当てられる。本実施形態では、50円、5円、500円の金種が割り当てられた前側3つの硬貨収納部251~253の容量が、後ろ側3つの硬貨収納部254~256の容量よりも小さく設定されている。前側の硬貨収納部251~253の容量は互いに同じであり、後ろ側の硬貨収納部254~256の容量は互いに同じである。
【0055】
より詳細には、硬貨収納部251~253の高さは、硬貨収納部254~256の高さより低くなっている。これにより、前側3つの硬貨収納部251~253の上方にスペースS1が設けられ、このスペースS1に、識別部230が配置される。
【0056】
こうして識別部230をスペースS1に配置することで、硬貨処理ユニット20の前後方向のサイズを小さくでき、結果、貨幣処理装置1を前後方向にコンパクトにできる。
【0057】
なお、このようにスペースS1を設けて識別部230を配置したことにより、分岐部231と硬貨収納部251との間に前後方向の位置ずれが生じ、また、分岐部231、232、234と硬貨収納部251~253の上部の開口との間の距離が大きくなる。このため、分岐部231、232、234により分岐された硬貨を確実に硬貨収納部251~253に案内するために、案内通路241、242、244が設けられている。
【0058】
硬貨収納部251~256は、箱形状を有し、底部に繰出機構251a~256aをそれぞれ備えている。繰出機構251a~256aは、硬貨収納部251~256に収納されている硬貨を1枚ずつ出金搬送部260に繰り出す。
【0059】
出金搬送部260は、硬貨収納部251~256の左側に配置され、繰出機構251a~256aにより繰り出された硬貨を前方に送る。出金搬送部260は、たとえば、搬送ベルト261を備えたベルトコンベアを含む。繰出機構251a~256aは、搬送ベルト261の上面に硬貨を繰り出す。循環ベルト221と同様、搬送ベルト261の上面にも、硬貨を引っ掛けるための突起部が設けられてもよい。
【0060】
出金搬送部260の前端に、振分部262が配置されている。振分部262は、出金搬送部260により搬送された硬貨を、リフト部270の受け皿271または案内通路263の何れか一方に振り分ける。案内通路263は、硬貨出金口22に繋がっている。したがって、案内通路263に振り分けられた硬貨は、案内通路263を通って硬貨出金口22に送り出される。
【0061】
図5に示すように、リフト部270は、受け皿271と、リフト機構272と、送り出し機構273とを備えている。受け皿271は、底部に向かうにつれて前後方向の幅が狭くなっている。受け皿271の底は開放されて左右に延びる開口となっている。この開口に送り出し機構273の搬送ベルト273aが配置されている。送り出し機構273は、左右方向に延びるベルトコンベアにより構成される。したがって、振分部262によって受け皿271に振り分けられた硬貨は、搬送ベルト273aの上面に載る。送り出し機構273は、搬送ベルト273aの上面に載った硬貨を右方向に送る。
【0062】
受け皿271には、搬送ベルト273aによって搬送される硬貨の出口位置に、開口271aが設けられている。開口271aの出口には、搬送ベルト273aによって搬送される硬貨を1枚に制限するための硬貨制限部(図示せず)が配置され得る。これにより、搬送ベルト273aによって搬送される硬貨は、1枚ずつ、リフト機構272に送られる。
【0063】
リフト機構272は、送り出し機構273によって搬入された硬貨を、硬貨受入部210へと搬送する。硬貨受入部210の右側面には内部に連通する開口210aが設けられ、さらに、この開口210aを開閉可能な扉210bが設けられている。扉210bは、駆動機構(図示せず)により開閉される。扉210bは、硬貨の入金時には開口210aを閉塞し、硬貨の精査時には開口210aを開放する。リフト機構272は、扉210bが開放されている状態において、送り出し機構273から受け入れた硬貨を開口210aへと搬送する。これにより、硬貨が硬貨受入部210に搬入される。
【0064】
リフト機構272は、硬貨を搬送するための搬送ベルト272aと、硬貨を開口210aへと案内するためのガイド272bとを備える。搬送ベルト272aは、ガイド272bに沿って配置され、駆動部によりこのガイド272bに沿って移動される。搬送ベルト272aには、受け入れた硬貨が引っ掛かる複数の突起部が、搬送ベルト272aの長手方向に一定間隔で設けられている。送り出し機構273からリフト機構272に送り出された硬貨は、突起部に引っ掛けられて、搬送ベルト272aによりガイド272bに沿って開口210aへと搬送される。
【0065】
硬貨の入金時には、
図1のシャッタ21aが開放されて、硬貨入金口21に硬貨が投入される。これにより、
図4に示す硬貨受入部210に硬貨が収納される。収納された硬貨は、繰出機構211により入金搬送部220に1枚ずつ繰り出され、入金搬送部220によって後方に搬送される。こうして搬送された各硬貨は、まず、識別部230によって金種または真偽、正損が識別される。
【0066】
金種が識別された硬貨は、分岐部231、232、234~237の何れかによって、対応する金種の硬貨収納部251~256に収納される。金種が識別されなかった硬貨は、リジェクト硬貨として、分岐部233により案内通路243に送られる。この案内通路243は、案内通路263に繋がっている。したがって、金種が識別されなかった硬貨は、リジェクト硬貨として、硬貨出金口22に送り出される。
【0067】
硬貨の出金時には、硬貨収納部251~256のうち出金対象の金種の硬貨収納部から出金搬送部260の硬貨が繰り出される。繰り出された硬貨は、出金搬送部260によって前方に搬送される。搬送された硬貨は、振分部262によって、案内通路263に振り分けられる。これにより、出金対象の金種の硬貨収納部から繰り出された硬貨は、順次、硬貨出金口22に送り出される。
【0068】
硬貨の精査時には、硬貨収納部251~256のうち精査対象の金種の硬貨収納部から出金搬送部260へ硬貨が繰り出される。繰り出された硬貨は、出金搬送部260によって前方に搬送される。搬送された硬貨は、振分部262によって、受け皿271に振り分けられる。その後、硬貨は、リフト部270の送り出し機構273およびリフト機構272によって、硬貨受入部210に移送される。このような動作が、金種の硬貨収納部から全ての硬貨が繰り出されるまで行われる。これにより、当該硬貨収納部に収納されていた全ての硬貨が、受け皿271および硬貨受入部210に分配される。
【0069】
その後、硬貨受入部210に移送された硬貨は、繰出機構211により入金搬送部220に繰り出され、入金搬送部220によって後方に送られる。こうして硬貨は、識別部230を通過する。識別部230は、通過する硬貨の金種を識別し、識別結果を後述の制御部301(
図6参照)に出力する。制御部301は、識別結果を順次、操作端末30(
図6参照)に送信する。操作端末30は、順次受信する識別結果から、精査対象の金種の硬貨の枚数および金額を表示する。識別部230を通過した硬貨は、対応する金種の硬貨収納部に戻される。
【0070】
このような動作が、リフト部270により受け皿271の硬貨を硬貨受入部210に移送しつつ、精査対象の硬貨収納部に収納されていた全ての硬貨が識別部230を通過するまで行われる。これにより、操作端末30は、全ての硬貨の識別結果を受信し、精査対象の金種の硬貨の総枚数と合計金額を取得する。こうして、精査対象の金種に対する精査処理が終了する。
【0071】
図6は、硬貨処理ユニット20の構成を示すブロック図である。
【0072】
硬貨処理ユニット20は、回路部の構成として、制御部301および検出部302を備える。制御部301は、マイクロコンピュータ等の演算処理回路とROM、RAM等のメモリを備え、メモリに記憶されたプログラムに従って各部を制御する。検出部302は、各部の動作状態を検出するためのセンサ群を含む。
【0073】
上述の硬貨の入金、出金および精査の処理は、操作端末30からの制御指示に応じて、制御部301が実行する。この他、操作端末30は、紙幣の入金時および出金時にも、紙幣処理ユニット10の制御部(図示せず)に制御指示を出力する。これに応じて、紙幣処理ユニット10の制御部は、上述の入金および出金時の動作を行うための制御を実行する。
【0074】
<実施形態の効果>
本実施形態によれば、以下の効果が奏され得る。
【0075】
図1および
図4に示したように、紙幣処理ユニット10と硬貨処理ユニット20が筐体1a内において左右方向に並んで配置されるため、貨幣処理装置1の高さが高くなることを抑制でき、貨幣処理装置1の形状をコンパクトにできる。また、紙幣出金口12と硬貨出金口22とが上下方向に並ぶように筐体1aの前面に配置されるため、使用者は、紙幣出金口12および硬貨出金口22に貨幣が出金されているか否かを一目で的確に把握できる。よって、紙幣出金口12および硬貨出金口22に対する貨幣の取り忘れを抑止できる。
【0076】
図1および
図3~
図5に示したように、紙幣出金口12は、紙幣処理ユニット10の前方に配置され、硬貨出金口22は、紙幣出金口12の下方に配置され、硬貨送出部(出金搬送部260、振分部262、案内通路263、243)は、硬貨処理ユニット20から出金された硬貨を硬貨出金口22に案内する案内通路263、243を有する。これにより、紙幣処理ユニット10および硬貨処理ユニット20を左右方向に並べて配置しつつ、案内通路263、243を配置することで、紙幣出金口12の下方に配置された硬貨出金口22に硬貨を送出できる。よって、貨幣の取り忘れの抑止と装置形状のコンパクト化を実現しつつ、貨幣処理装置1の構成を簡素にできる。
【0077】
図5に示したように、案内通路263は、上下方向において紙幣処理ユニット10と重なり合うよう配置される。これにより、たとえば、紙幣処理ユニット10の前方に案内通路263を通すためのスペースを設ける必要がないため、貨幣処理装置1の形状を前後方向にコンパクトにできる。
【0078】
図3および
図4に示したように、硬貨処理ユニット20は、前後方向に並ぶ金種別の複数の硬貨収納部251~256を備える。これにより、紙幣処理ユニット10の前後方向の範囲内に、金種別の複数の硬貨収納部251~256を、各々の容量を高く維持しつつ効率的に配置できる。
【0079】
図3および
図4に示したように、硬貨処理ユニット20は、複数の硬貨収納部251~256の上方を通る入金搬送部220と、複数の硬貨収納部251~256にそれぞれ対応して配置され、入金搬送部220により搬送される硬貨を対応する硬貨収納部251~256へと案内する複数の分岐部231、232、234~237と、を備える。これにより、硬貨処理ユニット20の側方に入金搬送部220を配置するためのスペースを設ける必要がない。よって、貨幣処理装置1の形状を左右方向にコンパクトにできる。
【0080】
図3に示したように、複数の硬貨収納部251~256のうち、手前側に配置された硬貨収納部251~253は、奥側に配置された硬貨収納部254~256よりも容量が小さく設定されている。
【0081】
具体的には、手前側に配置された硬貨収納部251~253は、奥側に配置された硬貨収納部254~256よりも高さが低く、手前側に配置された硬貨収納部251~253の上方に、入金搬送部220により搬送される硬貨の種別を識別するための識別部230が配置されている。これにより、たとえば、50円や5円等、使用頻度が低い金種を手前の硬貨収納部251~253に割り当てることにより、手前の硬貨収納部251~253の高さを低くできる。また、これにより手前の硬貨収納部251~253の上方に生じるスペースS1に識別部230を配置でき、最前方の硬貨収納部251のさらに前側に識別部230の配置スペースを確保する必要がない。よって、貨幣処理装置1の形状を前後方向にコンパクトにできる。
【0082】
<変更例1>
上記実施形態では、出金搬送部260の搬送路(搬送ベルト261)が水平に配置された。これに対し、変更例1では、出金搬送部260の搬送路(搬送ベルト261)が、奥側よりも手前側が高くなるよう配置される。
【0083】
図7は、変更例1に係る、硬貨処理ユニット20の構成を模式的に示す側面図である。
【0084】
図7に示すように、変更例1では、手前側に配置された硬貨収納部251~253は、奥側に配置された硬貨収納部254~256よりも下端の高さが高くなっている。ここでは、硬貨収納部251~253の下端の高さは、手前に向かうほど高くなっている。また、各々の硬貨収納部251~256から繰り出された硬貨を前方に搬送する出金搬送部260の搬送路(搬送ベルト261)は、繰出機構251a~256aによって繰り出された硬貨を円滑に受け取り得るように、奥側よりも手前側が高くなるよう配置されている。
【0085】
この構成では、出金搬送部260の搬送路(搬送ベルト261)の前端が、上記実施形態の場合よりも高くなる。このため、案内通路263および硬貨出金口22の高さも、上記実施形態の場合よりも高くなっている。
【0086】
このように、変更例1の構成によれば、出金搬送部260の搬送路(搬送ベルト261)が水平の場合に比べて、当該搬送路(搬送ベルト261)の前端を持ち上げることができるため、その分だけ、硬貨出金口22の位置を高くでき、結果、硬貨出金口22とその上方の紙幣出金口12とを上下方向に接近させることができる。よって、使用者は、紙幣出金口12および硬貨出金口22に貨幣が出金されているか否かを一目でより的確に把握でき、紙幣出金口12および硬貨出金口22に対する貨幣の取り忘れをより確実に抑止できる。
【0087】
なお、
図7の構成では、搬送路(搬送ベルト261)の全体が一様に傾くよう搬送路(搬送ベルト261)が配置されたが、搬送路を傾ける方法はこれに限られるものではない。たとえば、後ろ側の硬貨収納部254~256の範囲において、第1の搬送路(搬送ベルト)が水平に配置され、手前側の硬貨収納部251~253の範囲において、奥側よりも手前側が高くなるように第2の搬送路(搬送ベルト)が配置されてもよい。この場合、第2の搬送路の奥側の端部は、第1の搬送路の手前側に端部と同じ高さに設定される。出金搬送部260は、第1の搬送路と第2の搬送路とから構成される。
【0088】
この場合も、第2の搬送路の前端を持ち上げることができるため、
図7の構成と同様、硬貨出金口22の位置を高くできる。但し、この場合は、第1の搬送路と第2の搬送路とが個別に配置されるため、
図7の構成に比べて、出金搬送部260の構成が複雑となる。
【0089】
また、繰出機構251a~256aによって繰り出された硬貨を円滑に受け取り得る限りにおいて、硬貨収納部251~256の下端の高さは、
図7の例から変更されてもよい。たとえば、硬貨収納部251~253の下端の高さが同じであってもよく、また、最も奥側の硬貨収納部256の下端の高さが、
図7の例より低くてもよい。
【0090】
<変更例2>
上記実施形態では、
図5に示すように、リジェクト硬貨を案内するための案内通路243が、出金硬貨を案内するための案内通路263に繋がっていたが、案内通路243が出金搬送部260の搬送ベルト261(搬送路)上にリジェクト硬貨を案内する構成であってもよい。
【0091】
図8および
図9は、それぞれ、変更例2に係る、硬貨処理ユニット20の構成を模式的に示す上面図および正面図である。
【0092】
図8および
図9に示すように、変更例2では、案内通路243の出口が、出金搬送部260の搬送ベルト261(搬送路)の上面付近に位置付けられている。したがって、分岐部233により案内通路243に分岐されたリジェクト硬貨は、案内通路243を介して、搬送ベルト261の上面へと送られる。その後、リジェクト硬貨は、搬送ベルト261により振分部262へと搬送され、振分部262により案内通路263へと振り分けられる。こうして、リジェクト硬貨は、硬貨出金口22へと送り出される。
【0093】
<変更例3>
上記実施形態では、
図2に示すように、紙幣払出部120が紙幣受入部110の直下に配置されたが、紙幣払出部120の配置は、これに限られるものではない。
【0094】
図10は、変更例3に係る、紙幣処理ユニット10の構成を模式的に示す側面図である。
【0095】
図10に示すように、変更例3では、紙幣受入部110、出金リジェクト部130、紙幣収納カセット13および紙幣払出部120が、上から順番にこの順で配置されている。これに応じて、紙幣出金口12が、
図2の場合に比べて下方にシフトされている。
【0096】
この構成では、上記実施形態に比べて、紙幣出金口12と硬貨出金口22とを上下方向に接近させることができる。よって、使用者は、紙幣出金口12および硬貨出金口22に貨幣が出金されているか否かを一目でより的確に把握でき、紙幣出金口12および硬貨出金口22に対する貨幣の取り忘れをより確実に抑止できる。
【0097】
図10の構成において、紙幣収納カセット13と紙幣払出部120との位置が入れ替えられてもよい。この場合も、上記実施形態に比べて、紙幣出金口12と硬貨出金口22とを上下方向に接近させることができる。これにより、紙幣出金口12および硬貨出金口22に対する貨幣の取り忘れをより確実に抑止できる。
【0098】
<変更例4>
上記実施形態では、
図5に示すように、硬貨を硬貨出金口22に案内するための案内通路263が、上下方向において紙幣処理ユニット10と重なり合っていたが、案内通路263と紙幣処理ユニット10とが上下方向に重なり合っていなくてもよい。
【0099】
図11および
図12は、変更例4に係る、硬貨処理ユニット20の構成を模式的に示す上面図および側面図である。
【0100】
図11および
図12に示すように、変更例4では、紙幣処理ユニット10に前端と筐体1aの内側面との間にスペースS2が設けられ、このスペースS2に案内通路263が配置される。また、スペースS2が設けられたため、
図12に示すように、紙幣入金口11および紙幣出金口12の奥に、紙幣を案内するためのガイド11a、12aが設けられる。リジェクト硬貨を案内する案内通路243は、変更例2と同様、搬送ベルト261の上面へと延びている。
【0101】
この構成によれば、紙幣処理ユニット10の前方にスペースS2が設けられるため、上記実施形態に比べて、貨幣処理装置1の形状が前後方向にやや大きくなる。その一方、紙幣処理ユニット10の下に案内通路263を引き回す必要がないため、上記実施形態に比べて、硬貨出金口22の位置を高くでき、紙幣出金口12と硬貨出金口22とを上下方向に接近させることができる。よって、使用者は、紙幣出金口12および硬貨出金口22に貨幣が出金されているか否かを一目でより的確に把握でき、紙幣出金口12および硬貨出金口22に対する貨幣の取り忘れをより確実に抑止できる。
【0102】
なお、
図13に示すように、硬貨出金口22を右にずらして、案内通路263を省略してもよい。この場合、振分部262は、出金対象の硬貨を硬貨出金口22へと直接振り分ける。
【0103】
この構成によれば、案内通路263を省略できるため、構成の簡素化を図ることができる。また、出金対象の硬貨が振分部262により直接、硬貨出金口22へと振り分けられるため、
図11の場合よりさらに、硬貨出金口22の位置を高くでき、紙幣出金口12と硬貨出金口22とを上下方向に接近させることができる。
【0104】
なお、このように硬貨出金口22が右にずらされても、紙幣出金口12と硬貨出金口22は、少なくとも一部が上下に重なるように、上下方向に並んでいる。したがって、使用者は、紙幣出金口12と硬貨出金口22とが上下方向にさらに接近することと相俟って、紙幣出金口12および硬貨出金口22に貨幣が出金されているか否かを一目でより一層的確に把握できる。よって、紙幣出金口12および硬貨出金口22に対する貨幣の取り忘れをより確実に抑止できる。
【0105】
<変更例5>
上記実施形態では、
図2に示すように、紙幣が水平な状態で入出金されるよう、紙幣入金口11および紙幣出金口12と、紙幣処理ユニット10とが配置されたが、紙幣が鉛直な状態で入出金されるよう、紙幣入金口11および紙幣出金口12と、紙幣処理ユニット10とが配置されてもよい。
【0106】
図14は、変更例5に係る、紙幣処理ユニット10および硬貨処理ユニット20の構成を示す上面図である。
【0107】
この構成では、紙幣が鉛直な状態で入出金されるよう、紙幣入金口11および紙幣出金口12と、紙幣処理ユニット10とが配置されている。すなわち、紙幣処理ユニット10は、
図2の状態から、前後方向に平行な軸の周りに90度回転した状態で配置されている。
【0108】
紙幣処理ユニット10において、紙幣払出部120は、最も硬貨処理ユニット20に接近する位置に配置されている。硬貨出金口22は、搬送ベルト261の延長線上に配置されている。平面視において、紙幣出金口12は、硬貨出金口22の左右方向の幅の範囲内に含まれている。すなわち、硬貨出金口22と紙幣出金口12とは、上下に重なっており、上下方向に並んでいる。
【0109】
振分部262は、出金搬送部260により搬送される出金対象の硬貨をそのまま前方に移動させて、硬貨出金口22へと導く。
図14の構成では、搬送ベルト261の延長線上に硬貨出金口22が配置されるため、硬貨出金口22に硬貨を導くための案内通路263は省略され得る。リジェクト硬貨の案内通路243は、振分部262の上方を通って、硬貨出金口22の上方へと延びている。リジェクト硬貨は、案内通路243を通って、直接、硬貨出金口22に送られる。
【0110】
この構成によっても、上記実施形態と同様の効果が奏され得る。すなわち、紙幣処理ユニット10と硬貨処理ユニット20とが左右方向に並ぶため、貨幣処理装置1の形状をコンパクトにできる。また、紙幣出金口12と硬貨出金口22とが上下方向に並ぶため、これら出金口からそれぞれ出金された紙幣および硬貨の取り忘れを抑止することができる。
【0111】
なお、この構成において、紙幣払出部120が紙幣受入部110の直ぐ右に配置されると、紙幣出金口12と硬貨出金口22とが上下に並ばなくなる。この場合は、上記実施形態または変更例4と同様、案内通路263を配置して、硬貨出金口22を紙幣出金口12の下方に配置すればよい。また、上記変更例2と同様、リジェクト硬貨のための案内通路243は、リジェクト硬貨を搬送ベルト261の上面に案内するよう配置されてもよい。
【0112】
<その他の変更例>
上記実施形態では、
図1に示したように、硬貨処理ユニット20が紙幣処理ユニット10の右側に並ぶよう配置されたが、硬貨処理ユニット20が紙幣処理ユニット10の左側に並ぶよう配置されてもよい。この場合、
図5に示した出金搬送部260は硬貨収納部251~256の右側に配置される等、硬貨処理ユニット20内の各部の配置も適宜変更される。
【0113】
また、リジェクト硬貨のための分岐部233の配置位置は、
図3の位置に限られるものではない。たとえば、識別部230の直後に、リジェクト硬貨のための分岐部233を配置し、これに続いて、硬貨収納部251~253のための分岐部231、232、234が順番に配置されてもよい。
【0114】
また、硬貨収納部251~256の高さ(容量)が同じであってもよい。但し、この場合は、最も前側の硬貨収納部251のさらに前方に識別部230を配置するためのスペースが必要となる。このため、その分だけ、貨幣処理装置1の形状が前後に大きくなる。したがって、貨幣処理装置1の形状をよりコンパクト化するためには、上記実施形態のように、前側の硬貨収納部251~253の高さを低くしてスペースS1を設け、このスペースS1に識別部230を配置することが好ましい。
【0115】
また、容量の小さい硬貨収納部251~256に割り当てられる金種は、上記実施形態に示した金種に限られるものではない。たとえば、10円単位の取引を行う店舗などでは、10円および100円等の金種の硬貨の取扱いが多いため、さらにこれらの金種の収納容量を増やすために、容量の小さい硬貨収納部251~256がこれらの金種のサブ収納庫として使用されてもよい。この構成では、取引で用いられ得ない10円未満の金種(5円、1円)が硬貨処理ユニット20に投入された場合、これらの硬貨は、リジェクトされればよい。
【0116】
また、紙幣出金口12と硬貨出金口22とを上下方向に並べる方法は、上記実施形態および変更例1~5に示した方法に限られるものではない。たとえば、紙幣出金口12と硬貨出金口22とが硬貨処理ユニット20の前方に配置され、紙幣処理ユニット10から出金される紙幣が紙幣出金口12へと搬送されてもよい。この場合、紙幣出金口12が硬貨出金口22の下に配置されてもよい。
【0117】
この他、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に記載の範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0118】
1 貨幣処理装置
1a 筐体
10 紙幣処理ユニット
12 紙幣出金口
20 硬貨処理ユニット
22 硬貨出金口
120 紙幣払出部(紙幣送出部)
140 搬送部(紙幣送出部)
220 入金搬送部
230 識別部
231~237 分岐部
251~256 硬貨収納部
260 出金搬送部(硬貨送出部)
261 搬送ベルト(搬送路)
262 振分部(硬貨送出部)
263 案内通路(硬貨送出部)